JP2004124748A - 軸流ファン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハブ11の外周側面に複数の翼12を一体的に形成してなる軸流ファン1において、回転中の空気流出部にあたる翼後縁部22と翼外周部23とが交わる角部を空気流出方向に凸状に膨出する膨出部24を形成すると共に、前記膨出部24に翼の負圧面側に傾斜させた傾斜部24aを設けた。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機の室外機や換気装置等に使用される軸流ファンに関し、特に翼の後縁部分の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軸流ファンは、円筒状のハブの外周側面に沿って所定の間隔を在して複数の翼がハブと一体または一体的に設けられている。
【0003】
ファンの回転に伴って空気は軸方向に送風され、翼の前縁部が空気の導入方向となり、翼の後縁部が空気の流出方向となる。
翼は、前縁部と外周部が交わる角部が回転方向側に大きく突出する一方で、後縁部と外周部とが交わる部分が膨出部として空気流出側に凸状に膨出して形成されている。(例えば、特許文献1参照。)。
上記の軸流ファンにおいては、翼後縁部を略直線状に形成した場合に比べて、翼後縁部後流で生じる渦の発生を低減することができ、送風騒音低減と電動機負荷低減の効果が得られる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−257088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そして、近年、空気調和機の小型化、静音化とともに、省エネルギー化の要請が益々強くなり、特に、空気調和機の室外機に採用される軸流ファンにおいては、室外熱交器の熱換率を向上させるために軸流ファンの風量アップが要求されている。
しかしながら、特許文献1の軸流ファンでは、送風量を上げるために回転数を増加させた場合、翼の後縁部に形成された膨出部から流出した空気によって膨出部の後方に渦が発生し、送風騒音及び電動機の負荷が増大してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的は、膨出部の流れの整流化を図り、送風騒音及び電動機負荷を低減するとともに送風量を増大することのできる軸流ファンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、ハブの周辺に複数の翼を一体的に形成してなる軸流ファンにおいて、回転中の空気流出部にあたる翼後縁と翼外周縁とが交わる角部を空気流出方向に凸状に膨出する膨出部を形成すると共に、前記膨出部を翼の負圧面側に傾斜させて形成した。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記翼の断面形状において、翼の回転軸に垂直な面に対し、翼前縁と前記傾斜部の傾斜始点とを結ぶ線分がなす角度をθとしたとき、前記傾斜部は、前記線分と0.1θ〜0.75θの角度をなすように傾斜させた。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記翼の断面形状において、前記翼の前縁から後縁までの長さをLとしたとき、前記傾斜部の長さを0.05L〜0.35Lとした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
図1は,本発明に関わる軸流ファン1を翼12の正圧面側から見たときの全体構成を示す平面図であり,図2は図1の1つの翼12を拡大して示した図である。
軸流ファン1は、円筒状のハブ11の外周面側面に、複数枚の翼12を例えば周方向当分位置にて一体ないし一体的に取り付けており、例えば樹脂モールド成形等により一体に成形される。
ハブ11には、その中心部に図示しない電動機の回転軸が挿入固定されており、軸流ファン1は、電動機により矢印X方向に回転される。
【0011】
上記翼12のハブ11と一体に連設される部分を根元部20と呼び、回転前側を翼前縁部21と呼び、回転後側を翼後縁部22と呼び、これら翼前縁部21外周端部と翼後縁22外周端部を結ぶ端部を翼外周部23と呼ぶ。
また、軸流ファン1の回転にともなう翼12上の空気の流れを基準にすると、上記翼前縁部21が空気の導入方向であり、上記翼後縁部22が空気の流出方向である。
【0012】
上記翼前縁部21は、根元部20から翼外周部23にむけて回転方向へ大きく突出しており、上記翼後縁部22は、空気の流出方向とは反対の導入方向に凹んだ円弧状の凹状に形成されている。
そして、上記翼後縁部22と翼外周部23とで形成される角部は、空気の流出方向に膨出した凸状の膨出部24が形成されている。
ここで、上記膨出部24の半径方向の形成範囲は、回転軸Oから上記翼外周部22までの半径をRとしたとき、上記翼後縁部22のうち0.6Rよりも半径方向外側の部分に形成されている。
【0013】
図3は、図2におけるA−A線に沿う翼12の断面形状を翼外周部23方向から見て示した図である。なお、翼12の点線部分は、回転軸10方向から見える翼12の断面形状を表している。
上記翼12の断面形状は、空気の流入側の前縁fから流出側の後縁bに向けて傾斜して形成されている。
軸流ファン1がX方向に回転することにより、翼12の下側面が負圧面(吸込み側)となり、上側面が正圧面(吹出し側)となる。
また、翼12の翼断面形状は、前縁側が正圧面側に凸形状となるように湾曲形成され、後縁側が負圧面側に凸形状となるように湾曲形成されている。
そして、上記膨出部24において、上記後縁側の湾曲部分のうち、任意の点pを始点として、点pから後縁bに至る範囲が翼12の負圧面側に傾斜して形成されており、この傾斜部分を傾斜部24aと呼ぶ。
【0014】
上記翼12の前縁fと傾斜始点pとを結ぶ線分をfpとし、この線分fpと回転軸10に垂直な面がなす角度をθとすると、上記傾斜部24aは、線分fpよりも負圧面側にθ´傾斜して形成されている。
上記傾斜角度θ´は、上記線分fpの空気流出方向の延長線をcとし、上記翼12の後縁bと上記傾斜開始点pとを結んだ線分をpbとしたとき、線分pbと上記延長線cとがなす角度である。
以下、θを翼12の取り付け角と呼び、θ´を傾斜部23aの傾斜角度と呼ぶ。
【0015】
また、上記翼12の前縁fと後縁bとの間の長さを翼長Lとし、上記膨出部24の上記線分pbの長さを傾斜部24aの長さをlとする。
【0016】
図4は、翼12の取り付け角度θに対する傾斜部24aの傾斜角度θ´の割合(%)と電動機負荷(W)との関係を示す線図であり、図5は、翼12の取り付け角度θに対する傾斜部24aの傾斜角度θ´の割合(%)と送風騒音(dB)との関係を示す図である。
図4および図5に示されるように、傾斜角度θ´を取り付け角θの約10%から75%(0.1θ〜0.75θ)に至る範囲に形成することにより、傾斜角度がない場合(0%)に比べて電動機負荷および送風騒音が減少しており、上記の範囲に傾斜角度θ´を設定することが有効であることが実験的に判明した。
【0017】
図6は、翼12の翼長Lに対する傾斜部24aの長さlの割合(%)と電動機負荷(W)との関係を示す線図であり、図7は、翼12の翼弦長Lに対する傾斜部長さlの割合(%)と送風騒音(dB)との関係を示す図である。
図6及び図7に示されるように、傾斜部24aの長さlを翼長Lの5%から35%(0.05L〜0.35L)に至る範囲に形成することにより、傾斜部24aがない場合(0%)に比べて電動機負荷および送風騒音は共に減少しており、上記の範囲に傾斜部24aの長さlを設定することが有効であることが実験的に判明した。
【0018】
図8は、本軸流ファンによるファン回転数と送風量の関係を示す線図であり、回転数の増加に略比例して送風量も増加していることがわかる。
そして図9は、本実施の形態に係る軸流ファンによる送風量と、電動機負荷の関係を示す線図であり、図10は、送風量と送風騒音との関係を示す線図である。
上記図9および図10の点線は、傾斜部24aを形成していない翼を備えた軸流ファン(従来のファン)での実験結果であり、同図の実線は、本発明に係る軸流ファンでの実験結果である。
これらの図から明らかなように、回転数を上げて送風量の増加を図った場合においても、本発明の軸流ファンは、送風騒音を上昇させることなく、電動機に与える負荷を小さく抑えることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、膨張部23の傾斜部23aを形成することにより、膨出部23の後流側の渦の発生を抑制し、軸流ファンから発生する騒音および電動機に与える負荷を小さくさせることができるため、空気調和機等の省エネ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸流ファンを軸方向正圧面から見て示した図。
【図2】図1に示した軸流ファンの一つの翼を拡大して示した図。
【図3】図2に示した翼のA−A線に沿う断面形状を示した図。
【図4】傾斜部24aの傾斜角度θ´と、電動機負荷との関係を示す線図。
【図5】傾斜部24aの傾斜角度θ´と、騒音との関係を示す線図。
【図6】傾斜部24aの長さLと、電動機負荷との関係を示す線図。
【図7】傾斜部24aの長さLと、騒音との関係を示す線図。
【図8】本軸流ファンの回転数と送風量との関係を示す線図。
【図9】本軸流ファンの送風量と電動機負荷との関係を示す線図。
【図10】本軸流ファンの送風量と送風騒音との関係を示す線図。
【符号の説明】
1…軸流送風機
11…ハブ
12…翼
21…翼前縁部
22…翼後縁部
24…膨出部
24a…傾斜部
θ…翼の取り付け角度
θ´…傾斜部の傾斜角度
Claims (3)
- ハブの周辺に複数の翼を一体的に形成してなる軸流ファンにおいて、
回転中の空気流出部にあたる翼後縁と翼外周縁とが交わる角部を空気流出方向に凸状に膨出する膨出部を形成すると共に、前記膨出部に翼の負圧面側に傾斜させた傾斜部を設けたことを特徴とする軸流ファン。 - 前記翼の断面形状において、前記軸流ファンの回転軸に垂直な面に対し、翼前縁と前記傾斜部の傾斜始点とを結ぶ線分がなす角度をθとしたとき、前記傾斜部は、前記線分と0.1θ〜0.75θの角度をなすように傾斜させたことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
- 前記翼の断面形状において、前記翼の前縁から後縁までの長さをLとしたとき、前記傾斜部の長さは、0.05L〜0.35Lとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の軸流ファン。
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