JP2004124379A - サッシ枠水切り板の取り付け工法 - Google Patents

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礒   照
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【課題】新築、改修された時点でのサッシ枠周りの外観は、汚れもなく見映えの良いものであるが、築後あるいは改修後早いもので数ヶ月後には、特にこのサッシ枠の下端に筋状の汚れが付着し、ひどい場合には壁表面の塗装塗膜剥離、更に壁材そのものを浮き上がらせる。本発明は、サッシ枠下端に発生する筋状の汚れ、壁の浮きを抑え、長期間に亘って美観を維持することを目的とする。
【解決手段】躯体とサッシ枠下端部に取り付ける水切り板下がり幕板間にシーリング材の打設がなくとも強風雨時に雨水の建物内部への浸入を阻止できる幅と形状の下がり幕板を有する水切り板を前記サッシ枠に取り付け、サッシ枠裏面の結露水発生を防止し、結露水に起因する汚れの発生や壁の浮きを抑える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は建築物開口部に取り付けられるサッシ枠下端部の水切り板の形状とその取り付け工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐候性や耐水性、メンテナンスの面から、アルミニウムやスチールなどからなる金属製サッシ枠は、前記以外の気密性や防音性などにも優れる点から、多用されている。その取り付け工法は、建物の躯体開口部に取り付けた後、雨水などが浸入しないようにサッシ枠と壁との間にできる隙間にシリコーン樹脂系やウレタン樹脂系などのシーリング材を打設して仕上げられている。
【0003】
しかしながら、新築、改修された時点での外観は、汚れもなく見映えの良いものであるが、築後あるいは改修後早いもので数ヶ月後には、このサッシ枠の下端に筋状の汚れが付着し、ひどい場合には壁表面の塗装塗膜剥離、更に壁材そのものを浮き上がらせる場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記のような現象を施工面から検証し、この現象が、雨水の浸入ではなく、前記サッシ枠内部の裏面に発生する結露水に起因することを突き止めた。本発明は、内部結露の発生を防止し、長期間に亘って壁の美観を維持できるサッシ枠の取り付け工法を提供することにある。
【0005】
一般に、アルミニウム等のサッシ枠は溶接又はビス等により躯体に取り付けられ、通常はサッシ枠下端部水切り下がり幕板の幅が15〜25mm程度で、雨仕舞いのため取り合い部分には各種シーリング材が施工される。さらに、取り付けられた躯体には防水及び化粧効果のある仕上げ塗装や仕上げタイル等が施工される。
【0006】
前記サッシ枠と躯体とには、外内壁材及びシーリング材とで囲設されることで気密体が形成される。そして、冬季において、内部は暖房により高温となる一方、外気温度が低温であるために温度差が生じ、結露現象が発生する。また、夏季では外気温により熱せられたサッシ枠とその枠裏面周辺は高温となっており、そこに夕立降雨があると一時的に異常な温度差が生まれ、結露現象が発生する。結露水の発生は、不飽和状態にある空気を冷却することによって飽和状態以上、いわゆる露点温度以下となった場合、水分が凝縮して金属やガラス等の非通気性物体に付着する現象であり、本発明者らは、この温度差が4℃以上になると頻繁に低温側に発生することを見いだしている。
【0007】
このような条件下で発生したサッシ枠裏面に生じた結露水は、サッシ枠内を伝わり、サッシ枠下端部の水切り板取り合いに打設されたシーリング材を破壊、あるいは躯体や壁材に浸入し、雨垂れ状の汚れや結露水の凍害による塗装材の剥がれ、躯体破壊の原因となる大きな要因である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の原因は、サッシ枠と躯体間のサッシ枠面に発生する結露水が主要因であることより、新築、改修にあたっては結露防止が必須である。本発明においては、下記条件をも加味して結露水の防止をなした。
内外の温度差をなくすための通気道を取り付けても風雨の浸入を阻止できる構造工法であること。
美観の著しい変化がない構造工法であること。
【0009】
上記課題を解決するために、新築改修を問わずサッシ枠下端部水切り板と躯体間の雨仕舞いシーリング材を打設せずにサッシ枠下部躯体をカバーする下がり幕板の幅を横風強風雨でも雨水の浸入を阻止できるような幕板の幅とサッシ枠と躯体の間隔を1mm程度確保できる形状とする。上記のように、現在多く取り付けられている水切り下がり幕板の幅は通常15〜25mm、躯体との間隔は15mm前後程度である。
【0010】
従来型サッシ枠水切り下がり幕板幅15mm、躯体との間隔15mm程度の場合、新築時にはシーリング材を打設せずに、改修時には旧シーリング材を除去し、幅40〜60mm、上部L曲がり部8〜10mm、厚み1〜2mm程度の金属やプラスチック等で成形されたL字状プレートを前記サッシ枠水切り下がり幕板と躯体間に曲がり部を外向きに取り付けビス止め固定する。その際、前記L字状プレート裏面と前記躯体間には通期可能なスぺーサー等を当てて1mm程度の通期道を確保する。そして、前記サッシ枠水切り下がり幕板と前記L字状プレートとの間隙部にシーリング材を打設して完成とする。
【0011】
以下、築後15年経過したALC外壁の改修工事に当たり、事前調査の結果北面サッシ枠下端部分の異常な汚れに気付き、さらに細密調査をした結果上記結露水による汚れであることが判明した改修実施例に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1は改修前のサッシ枠部断面図、図2は改修後の同断面図である。
【0013】
サッシ枠(1)の下端水切り板(2)にあるシーリング材(3)を除去する。次に所定の工法で外壁を改修したのち、結露防止のための通期道(5)を確保するL字状プレート(4)を固定用ビス(6)にて取り付けし、水切り板(2)とL字状プレート(4)との間隙にシーリング材(3)を打設して終了する。
【0014】
また、サッシ枠の水切り下がり幕板の幅を40mm程度、躯体との間隙が1mm程度確保できる図3のような形状として端部をシーリング材やゴム製のエンドキャップ等で封止してもよい。
【0015】
さらに、図4のようにサッシ枠上部に直径5〜7mm程度のL型パイプを取り付け、サッシ枠内部の通気を図ることにより、結露水の発生がさらに抑えられる。
【0016】
上記改修した物件は、2年経過した後でも筋状の汚れも仕上げ塗装材の異常も見られず、良好な美観が保たれている。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、特に北面サッシ枠下端の筋状の異常な汚れが雨水の流れにホコリ等の付着であるとされていたものを、多くの現場調査の結果その主たる原因がサッシ枠裏面に発生する結露水であることを見いだし、成し得たものである。すなわち、サッシ枠水切り板と躯体との間に通気可能な隙間が設けられているため、サッシ枠裏面に発生する結露が抑えられ、これに起因する汚れの発生や凍害による躯体破壊が長期間に亘って抑えられ、建物本来の美観と耐久性を維持する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来あるいは改修前のサッシ枠下端部の納まり断面図。
【図2】本発明によるサッシ枠下端部の納まり断面図。
【図3】本発明を利用した水切り板を取り付けたサッシ枠下端部の納まり断面図。
【図4】通気用のL型パイプを取り付けたサッシ枠の正面図。
【図5】通気用のL型パイプを取り付けたサッシ枠の納まり断面図。
【符号の説明】
1 サッシ枠
2 水切り板
3 シーリング材
4 L字状プレート
5 通期道
6 固定用ビス
7 水切り板下がり幕板
8 結露水
9 結露水の流出
10 エンドキャップ
11 L型パイプ

Claims (2)

  1. サッシ枠に取り付ける水切り板に関し、躯体とサッシ枠下端部に取り付ける水切り板下がり幕板間にシーリング材の打設がなくとも強風雨時に雨水の建物内部への浸入を阻止できる幅と形状の下がり幕板を有する水切り板を前記サッシ枠に取り付け、サッシ枠裏面の結露水発生を防止することを特徴とするサッシ枠水切り板の取り付け工法。
  2. 通気口を確保するプレートを固着し、前記水切り板下がり幕板と前記プレートとの隙間にシーリング材を打設する請求項1に記載のサッシ枠水切り板の取り付け工法。
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