JP2004124041A - 再利用可能な保冷材及びその再利用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用後回収して植物育成用保水剤として再利用できる保冷材及び再利用方法を提供する。
【解決手段】カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍であり、好ましくは塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolである吸水性樹脂(A)を含むことを特徴とする保冷材;使用済の該保冷材を使用した植物育成用保水剤;使用済の該保冷材を回収して植物育成用保水剤として再利用する方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍であり、好ましくは塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolである吸水性樹脂(A)を含むことを特徴とする保冷材;使用済の該保冷材を使用した植物育成用保水剤;使用済の該保冷材を回収して植物育成用保水剤として再利用する方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再利用可能な保冷材及び使用済保冷材の再利用方法に関する。更に詳しくは、使用後回収して植物育成用保水剤として再利用できる保冷材及び再利用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来保冷材としては、保冷期間が長いものとして保冷用媒体に吸水性樹脂を含むものが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−122871号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記保冷材は繰り返し使用されても最後は廃棄されるのみで、使用済の保冷材即ちゲル状又は粉末状の吸水性樹脂が再利用されることはなく、資源として無駄であり、吸水性樹脂を使用する保冷材であって使用後に再利用できる保冷材が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を改善した保冷材を得るべく鋭意検討した結果、植物育成用保水剤として使用可能な吸水性樹脂を使用して保冷材を構成すれば、使用後回収したゲル状又は粉末状の吸水性樹脂は廃棄せず植物育成用保水剤として再使用できることを見いだし本発明に到達した。
即ち本発明は、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂(A)を含むことを特徴とする保冷材;使用済の該保冷材を使用した植物育成用保水剤;使用済の該保冷材を回収して植物育成用保水剤として再利用する方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において吸水性樹脂(A)としては、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂であればアニオン系、ノニオン系、カチオン系吸水性樹脂であれ特に限定はないが、具体的には例えば下記の(1)〜(5)の吸水性樹脂(a)にカルシウムイオン吸収量を調整したものが挙げられる。
(1)デンプン又はセルロース等の多糖類(イ−1)及び/若しくは単糖類(イ−2)と水溶性単量体及び/若しくは加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂。(イ−1)としてはショ糖、セルロース、CMC、デンプン等が挙げられ、(イ−2)としてはペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース等が挙げられる。
【0007】
(ロ)としては例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体及びそれらの塩、及び水酸基、アミド基、3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性水溶性単量体等が挙げられる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば不飽和モノ又はポリ(2価〜6価)カルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。以下同様の記載を用いる)、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等]及びそれらの無水物[無水マレイン酸等]等が挙げられる。
【0008】
スルホン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸等)、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等]、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。
リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。
上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等]等が挙げられる。
【0009】
水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体[アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート等];
アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド等)等];
3級アミノ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等];
第4級アンモニウム塩基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えば上記3級アミノ基含有単量体の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];
エポキシ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えばグリシジル(メタ)アクリレート等];
その他ラジカル重合性水溶性単量体[4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等]等が挙げられる。
【0010】
加水分解により水溶性となる単量体としては、少なくとも1個の加水分解性基[酸無水物基、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル基、ニトリル基等]を有するラジカル重合性単量体が挙げられる。酸無水物基を有するラジカル重合性単量体としては例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の炭素数4〜20のラジカル重合性単量体、エステル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、モノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキル(C1〜C3)エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等]、モノエチレン性不飽和アルコールのエステル[例えば、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリル等]等が挙げられる。ニトリル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは加水分解は重合時であっても重合後であってもよく、通常加水分解によって塩を形成し水溶性となる。塩としては前記の塩形成基に記載した塩と同じものがあげられる。
これらの単量体は、単独で使用しても良いし、必要であれば2種以上を併用使用しても良い。
これらは2種以上併用してもよい。これらのうち好ましいものは、水溶性単量体である。さらに好ましいものは、水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体、アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性水溶性単量体及びその塩であり、特に好ましくは不飽和モノ又はポリカルボン酸及びその塩、最も好ましくは(メタ)アクリル酸及びその塩である。
【0011】
架橋剤(ハ)としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する架橋剤、ラジカル重合性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性官能基を2個以上有する架橋剤などが挙げられる。ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する化合物の具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0012】
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物の具体例としては、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン等)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン等)、及びポリアミン(例えば、ポリエチレンイミン等)等が挙げられる。
これらの架橋剤は2種類以上を併用しても良い。これらのうち好ましいものは、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する共重合性の架橋剤であり、更に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスルトールトリアリルエーテル、トリアリルアミンである。
(イ)、(ロ)及び(ハ)の割合、吸水性樹脂の製造法は特に限定されない。
【0013】
吸水性樹脂の製造法としては、例えば水溶液重合法、逆相懸濁重合法、噴霧重合法、光開始重合法、放射線重合法等が例示される。好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、通常と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
上記架橋剤の量が0.001%より少ない場合は、吸水時にゾル状になり、吸水性樹脂の機能である吸水・保水能力が小さくなる。また、乾燥性が非常に悪く、生産性が非効率的である。一方5%を超える場合は、逆に架橋が強くなりすぎ、十分な吸水・保水能力を発揮しない。これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えば、チオール化合物など)、界面活性剤等を添加しても差し支えない。
【0014】
架橋する場合は、上記の架橋剤(ハ)を使用して架橋する場合と、架橋剤を使用しないで特定の温度に加熱して水酸基やアミド基等の官能基の反応性を利用した熱架橋による架橋の場合がある。該熱架橋を行える好ましい重合体としては(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートを含有する重合体が挙げられ、具体的には(メタ)アクリルアミド/(メタ)アクリル酸(アルカリ金属塩)共重合体、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸(アルカリ金属塩)共重合体等を例示することができる。
熱架橋を行う方法としては、目的の粒径に調整する前に、重合体を所定温度に加熱して熱架橋させた後、必要により粉砕を行って目的の粒径に粒度調整しても良いが、好ましくは、重合体を目的の粒径の粉末状あるいは粒子状に粒度調整した後、所定温度に加熱して熱架橋させることにより、いわゆる表面架橋の原理で内部の架橋密度が低くかつ外部の架橋密度の高い吸水性樹脂を得る方法である。
熱架橋の際の加熱温度は、好ましくは120℃〜230℃、更に好ましくは140℃〜220℃である。加熱温度が120℃〜230℃であると、加熱架橋が早く進行し、重合体(P)が熱分解せず、品質が低下しないので好ましい。加熱時間に関しては、達成したい架橋度によって種々異なるが、目的の温度に達してから、好ましくは1〜600分、更に好ましくは5〜300分である。加熱時間が1分未満ではうまく熱架橋が起こらぬことがあり、一方加熱時間が600分を超えると、加熱する温度や重合体の組成にもよるが、一部分解が開始する場合がある。
【0015】
含水ゲル状重合体の乾燥温度は、通常60〜230℃、好ましくは100〜200℃、特に105〜180℃である。乾燥温度が60℃未満の場合、乾燥に非常に長くの時間を必要とし経済的ではなく、一方、230℃を超える場合は、副反応や樹脂の分解などが起こることがあり、吸収性能と吸収速度の低下を招く。乾燥する装置は通常の装置でよく、例えば、ドラムドライヤー、平行流バンド乾燥機(トンネル乾燥機)、通気バンド乾燥機、噴出流(ノズルジェット)乾燥機、箱型熱風乾燥機、赤外線乾燥機などが挙げられる。特に熱源は限定されない。これらの乾燥機は複数個を組み合わせて使用することもできる。乾燥後、粉砕し、さらに必要により粒度調整して吸水性樹脂を得る。粉砕機は従来公知のものが使用でき、粒度調整も篩い振とう機等の従来公知のものが使用できる。
吸水性樹脂の製造法等は特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報に詳細に記載されているものと同じものが挙げられる。
【0016】
(2)上記(イ)と(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物等);
(3)上記(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等);
(4)上記(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報に記載されているもの等)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並びに、
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合物(自己架橋型ポリアクリル酸塩等);
が挙げられる。以上例示した吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
中和塩の形態の吸水性樹脂である場合の塩の種類及び中和度については特に限定はないが、塩の種類としては好ましくはアルカリ金属塩、さらに好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、酸基に対する中和度は好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜80モル%である。
以上例示した吸水性樹脂(a)は2種以上併用してもよい。
【0017】
これらの吸水性樹脂(a)のうち、好ましいものは架橋ポリアクリルアミド共重合体等のノニオン系吸水性樹脂;架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール等のアニオン系吸水性樹脂であり、より好ましくは架橋ポリアクリルアミド共重合体及び架橋されたポリアクリル酸(塩)であり、特に好ましくは架橋されたポリアクリル酸(塩)である。
(a)の吸水倍率は、上記の架橋構造、特に架橋密度に依存し、一般に架橋密度が低い程、吸水倍率が大きくなる傾向がある。
(a)の架橋密度は、全単量体に対する分岐点のモル%で、好ましくは0.01〜10mol%、より好ましくは0.05〜5mol%である。架橋剤により架橋構造を導入する場合、架橋剤の全単量体(該架橋剤自体をも含む)に対する共重合重量比は、好ましくは0.005〜3wt.%であり、より好ましくは0.01〜2wt.%である。
【0018】
(a)の架橋密度が10mol%未満の場合には、(a)の吸水倍率が大きくなるために、吸水性樹脂の吸水・保水効果が大きくなる。一方、架橋密度が0.01mol%以上の場合には、該(a)の機械的強度が強くなり、取扱いが良好となる。
(a)及び粒子の集合体の形状、大きさ等は特に制限なく、例えば粉末状、粒状、塊(ブロック)状等のものが使用可能であり、またその大きさは1μmから数cmのものまでが使用可能である。使用する目的に応じて、これらの形状、大きさ等は適宜選択することができる。例えば、平均粒子径は好ましくは5〜5,000μm、さらに好ましくは10〜4,000μmであり、特に好ましくは50〜850μmである。平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の質量の50%をしめるところの粒子径を求める方法により測定する。好ましくは0.1μm未満の粒子の含有量が3%以下である。
【0019】
本発明における(A)はカルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgである。る。
本発明において、「カルシウムイオン吸収量」は例えば以下の方法により好適に測定可能である。
(カルシウムイオン吸収量の測定)
1gの乾燥した吸水性樹脂(A)を、カルシウムイオン濃度200mg/Lの塩化カルシウム水溶液1Lに添加し、時々撹拌しながら25℃で48時間、恒温槽中で放置して、該(A)を膨潤させつつカルシウムイオンを吸収させる。膨潤した(A)を分離し、残存する上清(上記塩化カルシウム水溶液の過剰分)中のカルシウムイオン濃度を原子吸光分析により定量する(α mg/L)。
【0020】
この際、上記原子吸光分析法によるカルシウムイオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<原子吸光分析の測定条件>
原子吸光分析装置:島津製作所社製、商品名:AA−6500オートシステム
点灯条件:Ca#8
電流:10mA/0mA
波長:422.7nm
スリット幅:0.5μm
このようにして測定したカルシウムイオン濃度の定量値(α)に基づき、吸水性樹脂(A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量は、次式により求められる。(A)と上清の分離に際し、未架橋の水溶性高分子が上清中に溶解している可能性があるため、必要に応じて、重量平均分子量1,000〜 3,000程度の限外濾過膜を用いた限外濾過による分離を行う。
吸水性樹脂(A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量(mg/g)=200−α
【0021】
上記方法により測定された「カルシウムイオン吸収量」が吸水性樹脂の乾燥重量1gあたり100mgを超える場合では、保冷剤として使用済みの吸水性樹脂(A)を植物育成用保水剤として使用した場合に該吸水性樹脂(A)に接触する植物体に「カルシウムイオン欠乏症」が生じ易くなる。本発明において再利用を考えた場合には、この「カルシウムイオン吸収量」は、吸水性樹脂の乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、好ましくは0〜80mgである。
ポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂の場合には、吸水性樹脂(A)のカルシウムイオン吸収量を100mg以下とするために、該(A)が「カルボキシル基の多価金属塩」を含有することが、好ましい一態様である。該多価金属塩のイオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+、Be2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+等が挙げられる。中でも、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+、Be2+が好ましく、Ca2+が特に好ましい。
該多価金属塩の含有量は、吸水性樹脂の乾燥重量1g当たり0.1〜7mmolであり、好ましくは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.0mmolである。
【0022】
特にポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂を使用する場合、アクリル酸及びアクリル酸のアルカリ金属塩を架橋重合させた後、上記の多価金属塩を添加する方法が好適に利用される。特に多価金属塩として塩化カルシウム、塩化マグネシウムを使用した場合には、アルカリ金属塩をCa,Mgに置換することにより、該吸水性樹脂のCa吸収量を抑制することができる。さらに後記する様に該吸水性樹脂に塩素イオンをも導入することができる。
これらの製造方法及び吸水性樹脂の具体例は、特願平10−316440号公報、特願平11−290552号公報に記載されている。
【0023】
上記した「カルボキシル基の多価金属塩の含有量」は、例えば、以下の方法により測定可能である。
(カルボキシル基の多価金属塩の含有量の測定方法)
吸水性樹脂(A)をイオン交換水で充分洗浄した後乾燥し、0.2gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電気炉で灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加えて50mlの定容として、原子吸光分析により多価金属イオン濃度(EmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカルボキシル基多価金属塩の含有量はE×価数/4(mmol)として算出される。この多価金属イオンの価数(例えば、Mgイオンであれば、価数=2)は、該多価金属イオンが混合している場合には、各多価金属イオンの価数を「重み付け平均」して得られた価数を用いる。
【0024】
この際、上記原子吸光分析法による陽イオンにおいては、前述した「カルシウムイオン分析」におけるのと同様の条件が使用可能である。
「ポリアクリル酸のアルカリ金属塩の架橋物」からなる従来のハイドロゲルは、非イオン性の親水性高分子架橋物からなるハイドロゲルと比較して著しく高い吸水倍率を有し、この高吸水倍率がゆえに従来、農業分野で吸水性樹脂として使用されてきた。しかしながら、このハイドロゲルは、解離性のイオン基の導入量が非常に大きく(例えば、アクリル酸のアルカリ金属塩の導入量が乾燥樹脂1gあたり約8mmol以上)、植物の生長に必須であるカルシウムイオン等の重金属イオンを吸着してしまい、植物生長を著しく阻害する傾向があった。上記の様にカルボキシル基を重金属塩とすると吸水倍率が低下してしまい、保水剤として十分な水分を補給することができなくなる。従って、カルボキシル基を重金属塩にする一方、解離性のイオン基(例えばカルボキシル基のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩)をある量導入して吸水倍率を確保する必要がある。上記解離性のイオン基を乾燥吸水性樹脂1gあたり0.3〜7mmol導入した場合には、植物に対してカルシウムイオン欠乏症を生じさせることなく植物を育成させるに充分な保水効果(イオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍)を示すので好ましい。
【0025】
上記の様に、カルボキシル基を多価金属塩とすると吸水倍率が低下するので、吸水倍率を向上させるため、カルボキシル基を一定量以上のアルカリ金属塩とする必要がある。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が望ましい。(A)が、カルボキシル基を有するアニオン系吸水性樹脂の場合、該カルボキシル基のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の含有量が、乾燥重量1gあたり好ましくは0.3〜7mmolである。0.3mmol以上では吸水性樹脂の吸水倍率を10倍以上とすることが可能となり、7mmol以下であると、カルシウムイオン吸収量が乾燥吸水性樹脂1gあたり100mgを超えにくくなる。
【0026】
(カルボキシル基のアルカリ金属塩の含有量の測定方法)
吸水性樹脂(A)をイオン交換水で充分に洗浄した後乾燥し、0.2gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電気炉で灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加えて50mlの定容として、原子吸光分析により陽イオン濃度(DmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカルボキシル基塩の含有量は、D/4(mmol=1リットル中のモル濃度)として算出される。ここで使用した原子吸光分析用の溶液中の乾燥した(A)の濃度は、上述したように0.2g/50ml=4g/1L(リットル)であるから、乾燥した(A)1g中のカルボキシル基塩の含有量は、(D/4)mmolとなる。
【0027】
さらに本発明においては前記(A)の塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolが好ましい。
塩素イオン含有量は例えば、以下の方法で測定できる。
(塩素イオン含有量の測定)
0.2gの乾燥状態の(A)を200mlのイオン交換水に浸漬し、2日間放置する。この上清をフィルターで濾過し、濾液中の塩素イオン濃度をイオン分析計(Ion AnalyzerIA−100、東亜電波工業)により分析する。このようにして求めた塩素イオン濃度に基づき、上記イオン交換水200ml中の塩素イオン量を計算により求め、該計算値を乾燥吸水性樹脂(A)0.2g中の塩素イオン量とする。
【0028】
この際、上記イオン分析計による塩素イオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<イオン分析計の測定条件>
カラム:陰イオン用カラムPCI−201S(東亜電波工業社製)、及びカードカラムPCI−201SG(東亜電波工業社製)
溶媒:陰イオン用溶離液(東亜電波工業社製)
カラム槽温度:40±4℃
上記方法により測定された「塩素イオン含有量」が吸水性樹脂(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolの範囲内であれば、後述する実施例に示すように「カルシウムイオン欠乏症」をさらに抑制することが可能となる。より好ましくは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.0mmolである。
塩素イオンのカウンター陽イオンの種類に特に制限はないが、Na,K,Ca,NH4イオンであることが好ましい。中でも、Naイオンであることが特に好ましい。
【0029】
吸水性樹脂(a)に塩素イオンを含有させる方法としては、該(a)に塩素イオンを含有する水溶液を吸収させることによって行うことができる。また、(AA)を水中で合成する場合には、この水溶液に塩素イオンを含有させておく方法がより好ましい。この時、塩素イオンの添加量は得られる吸水性樹脂(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolとなるように設定する。
また、既に(a)が塩素イオンを乾燥重量1gあたり7mmol以上含有している場合は、これを塩素イオンを含まない(あるいは低塩素イオン濃度の)水で洗浄することにより、塩素イオンの含有量を所望の設定値まで低減させることもできる。
【0030】
本発明における吸水性樹脂(A)の吸水倍率は、通常10〜1,000倍であり、好ましくは30〜900倍であり、より好ましくは50〜800倍である。吸水倍率が10倍以上では、保水材の一定量を用いた場合に、植物に充分な水分を供給することが可能となる。本発明において、上記した「イオン交換水中での吸水倍率」は、例えば、以下の方法により測定可能である。
(イオン交換水中の吸水倍率の測定)
乾燥吸水性樹脂(A)の一定量(W1g)を秤取り、過剰量(例えば、前記吸水性樹脂の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で48時間恒温槽中に放置して、前記(A)を膨潤させる。余剰の水を濾過により除去した後、吸水膨潤した(A)の重量(W2g)を測定し、次式により吸水倍率を求める。
吸水倍率=(W2−W1)/W1
この吸水倍率の測定に際しては、重量W1、W2の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG−220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
【0031】
(A)の吸水速度は、好ましくは2〜180秒であり、さらに好ましくは2〜150秒であり、特に好ましくは 2〜120秒である。吸水速度が2秒以上であると、水溶液を投入し保冷材を作成する時に吸水性樹脂同士のブロッキング等のママコが生じにくくなり、加工適性が良好である。一方、吸水速度が180秒以下であると、本発明の保冷材を回収し、土壌保水剤として再利用した時に土壌中の水分を保水する能力が十分となる。
吸水速度試験法:JIS K 7224−1996の試験法(試験液:0.9質量%の食塩水)に準拠した試験法。
【0032】
上記の吸水性樹脂(A)の吸水速度を上げる目的で、吸水性樹脂の製造前、製造中、製造後乾燥前、製造後乾燥後、粉砕後の段階で微小フィラー(b)、界面活性剤(c)を添加又は処理してもよい。(b)の場合は乾燥前に配合混合するのがさらに好ましい。
微小フィラー(b)としては、みかけ密度が0.5g/cm3以下であるものが好ましく、0.1g/cm3以下であるものがさらに好ましい。0.5g/cm3以下であると、吸水性樹脂が含水したゲル(以下含水ゲルという)中への微小フィラーの配合が均一となり、得られる保冷材の吸水速度の向上効果がみられる。
【0033】
ここでみかけ密度とは、例えばACCUPYC 1330 PYCNOMETERによって測定される値であり、具体的な測定操作の例は次の通りである。
PYCNOMETERにはバルブで連結された2つのchamber(部屋)、即ちcell chamberと、expansion chamberとがあり、それぞれの体積はV(c)、V(e)で示される。
cell chamber内で、試料質量(W)を量り(体積をVとする)、expansion chamberにつながるバルブは閉じ、cellchamber内の圧力はP(1)に固定する。
またその時のexpansion chamberの圧力はP(a)である。
そしてexpansion chamberにつながるバルブを開栓し両方のchamberに行き渡った圧力P(2)を測定する。
バルブを開く前後のそれぞれのchamberの体積と圧力から試料体積が求まり、次式によってみかけ密度が算出される。
みかけ密度=W÷V
=W÷[V(c)+V(e)×{P(a)−P(2)}÷{P(1)−P(2)}]
【0034】
微小フィラー(b)の材質は特に限定されず、有機系、無機系のいずれであってもよい。
有機系材質の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリブタジエン、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリアセタール、セルロース誘導体等が挙げられる。これらの樹脂を構成する単量体を2種以上共重合して得られるものも挙げられる。これらの重量平均分子量は特に限定はないが、好ましくは1万以上であり、さらに好ましくは2〜10万である。
【0035】
無機系材質の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
該(A)に対する(b)の配合量は、好ましくは0.05〜10質量%である。さらに好ましくは0.1〜7%、特に好ましくは0.5〜5%である。添加量が0.05%以上であると、保冷材の吸水速度の向上効果がみられ、一方10%以下であると、吸水速度の向上がはかれると共に、吸水性樹脂粒子の機械的強度も弱くならない。
【0036】
(b)は、吸水性樹脂の重合前、即ち重合用原材料の混合等の調整段階から乾燥前までのいずれかの段階において配合される。好ましくは重合後から乾燥前までの段階の含水ゲル状重合体に添加して混練する方法である。なぜなら、含水ゲル状態の吸水性樹脂は膨張するのに適度の可撓性を有しており、さらにその後の乾燥工程での加熱により体積膨張させて表面積を増加させることが出来るからである。
微小フィラーは粉末、水スラリー、水分散液のいずれの形態にしても添加可能であるが、均一な膨張と、得られる保冷材の吸水速度の向上効果を高めるためには、水スラリーあるいは水分散液にして添加し、含水ゲル中に均一に添加するのが好ましい。
また、吸水性樹脂の含水ゲルと微小フィラーとの配合物における含水率は、吸水性樹脂の固形分に対し2〜10倍であることが好ましい。
【0037】
含水ゲル状態の吸水性樹脂に(b)を配合し、均一分散させるための混練装置としては、従来から公知の装置を使用することが出来る。具体的な装置の例として、双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機等が挙げられる。これらは複数個を組み合わせて使用することもできる。
吸水性樹脂を添加した含水ゲル状配合物の加熱乾燥温度は、好ましくは60〜230℃、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは105〜180℃である。乾燥温度が60℃以上であると、乾燥時間が長くならず経済的であり、一方、230℃以下であると、副反応や樹脂の分解等も起らず、吸水性能と吸水速度の低下を招かない。
【0038】
含水ゲル状態の吸水性樹脂と(b)との配合物を乾燥する装置は、通常のものでよく、例えば、ドラムドライヤー、平行流バンド乾燥機(トンネル乾燥機)、通気バンド乾燥機、噴出流(ノズルジェット)乾燥機、箱型熱風乾燥機、赤外線乾燥機などが挙げられる。
【0039】
微小フィラー(b)の平均粒径(ナッセンシュタイン径)は(A)の粒子径より小さく、好ましくは0.001〜200μm、さらに好ましくは0.005〜150μm、特に好ましくは0.01〜100μmである。さらに0.0005〜200μmにおける(b)の粒度が質量で好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である、(b)の平均粒径が200μm以下であると、乾燥性の向上を図るために添加量を多く必要とせず経済的である。更に得られる吸水性樹脂の性能が低下せず好ましい。一方、0.001μm以上であると、(b)同士の凝集が起こりにくく均一な分布になりやすく、乾燥性を低下しないので好ましい。
平均粒径の測定は、分散媒に検査試料を50〜100mg加え、超音波を60秒かけた後SKレーザー粒度分布測定器(セイシン企業社製)を用いて測定する。
(b)の形状は、特に限定されず、破砕状、中空状、多孔質状、花弁状、造粒状等が挙げられる。好ましい形状は破砕状及び多孔質状である。
【0040】
また処理される界面活性剤(c)としては、従来公知のノニオン性界面活性剤(c1)、アニオン性界面活性剤(c2)、カチオン性界面活性剤(c3)、両性界面活性剤(c4)が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤(c1)としては、具体的には例えば脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加(重合度=20)物等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ソルビタンパルミチン酸(モノ/ジ)エステル等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタンラウリン酸(モノ/ジ)エステル等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル(ポリオキシエチレン(重合度=20)ノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]、ポリジメチルシロキサンポリオキシエチレン付加物、ポリオキエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(重量平均分子量=150〜10000)等が挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤(c2)としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸又はその塩、[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等]、その他[スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム等]等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤(c3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩等]等が挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤(c4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
これらの界面活性剤の1種又は2種以上が使用出来る。これらの内でノニオン性界面活性剤(c1)、アニオン性界面活性剤(c2)が好ましい。界面活性剤を併用することにより、保冷材の吸水速度の向上効果をより顕著に発揮させることができる。
【0043】
吸水性樹脂(A)又は(a)に対する(c)の添加量は、(A)又は(a)の性質及び(c)の添加量によって種々変化させることができるが、好ましくは(A)又は(a)の固形分の質量に対して0.005〜1%、さらに好ましくは、0.01〜0.7%である。添加量が0.005%以上であると、乾燥性の向上効果が発現する。一方、1%以下であると、乾燥後の製品の粉体流動性に悪影響を与えることがなく、また植物育成用保水剤として再利用した場合にも悪影響が少なく、吸水性樹脂としての粉体ハンドリング性が良好である。
【0044】
(A)又は(a)への(c)の添加混合する方法については特に限定はない。(b)及び(c)を水及び/又は溶剤に分散した後添加混合するのが、均一に混合できて好ましい。(b)及び(c)を水及び/又は溶剤に分散する場合の濃度は質量で0.01〜50%が適当である。さらに好ましくは0.1〜30%である。濃度が0.01%以上であると、(A)又は(a)への(b)の添加量が多くなると、(A)又は(a)中の水及び/又は溶剤の量が増加せず乾燥効率も悪化しない。50%以下であると、(b)及び(c)溶液の粘度も上昇せず取り扱いが容易であり、(A)又は(a)への混合も均一となり、乾燥性向上効果が発揮される。溶剤としては(b)及び(c)が分散できれば限定はないが、100℃までの低沸点のものが好ましい。具体的にはアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等)等が挙げられる。
【0045】
(b)と(c)との水及び/又は溶剤分散液の(A)又は(a)への添加混合する方法は、(A)又は(a)を細断する前、細断中あるいは細断後にスプレー、ポンプ等を使用してふりかける方法がある。好ましくは(A)の細断後にふりかけ、乾燥機へのゲル移送中に(A)又は(a)の表面に(b)と(c)とができるだけ均一に分散混合される方法が好ましい。該分散液をふりかけた後、大きなシェアーでゲルを混練すると、分散液が(A)又は(a)の内部にまで混練されて、添加効果が薄れるとともに、添加量が多く必要となるため非経済的となりやすい。
(A)又は(a)を細断し、更に(A)又は(a)と(b)と(c)との配合に用いられる装置としては、従来から公知の装置を使用することが出来、前記と同じものが使用できる。
【0046】
本発明において、吸水性樹脂(A)又は(a)を保冷材として使用する場合はゲル状であるのが好ましく、水あるいは水を主体とした混合溶媒を吸収させて吸水性樹脂(A)のゲル状物を得ることができる。
ゲル中の吸水性樹脂(A)の量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.2〜2重量%である。0.1〜10重量%であると十分にゲル状物となり保冷材として使用できる。
【0047】
また、このゲル状物に氷点降下物質(多価アルコール類、尿素、硝酸アンモニウム等)、水溶解時に吸熱する物質(尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム10水塩、リン酸二アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム10水塩、チオ硫酸ナトリウム10水塩等)、水溶性ポリマー、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。添加量は、全重量 に対して好ましくは0.01〜50重量%である。
【0048】
さらに、ゲル中には植物育成用保水剤として再利用可能なために、植物の育成に支障のない範囲でフィラーあるいはガラス粉末を混入しても良く、フィラーの例としては炭酸カルシウム、ゼオライト、バーミキュライト、粉末マイカ、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン、タルク、コルク等があげられる。ガラス粉末の例としては硼酸塩ガラス、硅酸塩ガラス、燐酸塩ガラス等があげられる。水溶性ポリマーとの反応性の観点から硼酸塩ガラス又は硼酸塩ガラスと他の酸化物ガラスとの混合物が望ましい。酸化物ガラスは板状ガラスを溶融、冷却後、粉砕して用いる。ガラス粉末の粒度は特に制限は無いが、粒子径が小さく同じ粒子径のものが望ましい。
【0049】
本発明のゲル状保冷材は通常包装部材中にゲル状物が充填された状態である。包装部材の形状としては、袋状、箱状、円筒状、ボール状、球状等任意の形でよく、特に制限されない。大きさも使用目的に応じて保冷能力を発揮できる範囲で任意に設定することができる。
包装部材の材質は耐水性のものであれば透水性であれ不透水性であれ特に制限されない。不透水性基材としては、柔軟性のあるフィルム、保形性のある容器があげられる。
柔軟性のフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ナイロン、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂製フィルム;これらの積層ラミネートフィルム;アルミホイル等の金属製フィルム、及び合成樹脂製フィルムと金属フィルムとの多層ラミネートフィルムが挙げられる。柔軟性の点から合成樹脂製フィルム、及び合成フィルムの積層ラミネートフィルムが好ましい。
保形性のある容器としては、ポリエチレン容器、ポリプロピレン容器、ポリエステル容器等の合成樹脂容器が挙げられる。
【0050】
透水性基材としては、柔軟性があり且つ透水性であればよいが、通常使用時に破れない程度の湿潤強度があれば特に形態、材質にはこだわらない。透水性基材としては水が通る孔があれば特に限定はないが、孔の大きさは好ましくは0.01〜1mm、特に好ましくは0.01〜0.5mmであり、吸水性樹脂の粉末が漏れにくいものであればよい。シートの厚みは好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmである。シートの大きさは特に限定はない。
【0051】
材質としては例えば綿、羊毛、絹、セルロース、パルプ等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポバール等及びその変性物等の合成樹脂又は繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維等及びこれらの混合素材、洋紙、和紙等の紙の素材が適用できる。
ここで透水性は100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと30秒以下であり、好ましくは15秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。常態強度は縦/横とも2kg/cm以上、好ましくは3kg/cm以上の引裂強度が必要であり、湿潤強度(25℃のイオン交換水に1分浸漬後の引張強度)は0.05kg/cm以上、好ましくは0.1kg/cm以上必要である。
【0052】
形態としては例えば編布、織布、不織布等の布;ポリエチレン、ポリプロピレン等のシートに微細な孔を数多く開けたもの等のメッシュフィルム;洋紙、和紙等の紙等が挙げられる。これらの中で不織布が特に好ましい。不織布については、「不織布の基礎と応用」(日本繊維機械学会発行)に詳細に記載されている。また、熱融着法で固定する場合は熱融着繊維及び/又はフィルム等の熱融着物質を含んだものを使用するが、「熱融着不織布の実態と熱融着繊維全容」1989年4月24日発行、(株)大阪ケミカルマーケッティングセンターに詳細に記載されているものが挙げられる。
【0053】
本発明のゲル状保冷材は吸水性樹脂(A)、水及び必要により溶剤を万能混合機等で混合して容易に得ることができるし、容器中で混合して得ることもできる。
本発明のゲル状保冷材は、好ましくは−30〜10℃の条件で、さらに好ましくは−20〜5℃の条件で冷却した後、保冷材として用いることができる。
【0054】
ここで、保冷材の保冷用媒体としては上記の本発明のゲル状物が使用できる他、従来公知のものとブレンドして使用でき、例えば水溶性高分子(F)を水に溶解した柔軟なゲル状物が挙げられる。
水溶性高分子(F)としては、水溶性であれば重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは重量平均分子量1000〜100万、さらに好ましくは2000〜50万、特に好ましくは5000〜20万のものが挙げられる。重量平均分子量が1000以上であると、水溶液のゲル化効果が良好であり、100万以下であると水に溶解するのも早くゲル化の時間が遅くならない。具体的に使用できるものは天然高分子、半合成高分子、合成高分子が挙げられる。
【0055】
天然高分子としては、例えば、デンプン質(デンプン等);動物タンパク質(ゼラチン、カゼイン、コーラゲン等);動物タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質等);繊維素(木材セルロース等);海藻抽出物(寒天、カラギーナン等);植物種子粘質物(グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム等);植物樹葉粘質物(アラビアゴム、トラガントガム等);植物果実粘質物(ペクチン等);微生物生産粘質物(キサンタンガム、プルラン、カードラン、デキストラン、ジュランガム等);植物地下茎粘質物(コンニャクナンマン等)等が挙げられる。
半合成高分子としては、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等);デンプン誘導体(可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等);並びに、アルギン酸誘導体(アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール等)等が挙げられる。
【0056】
合成高分子としては、ポリオキシアルキレン化合物(1a)、ビニル系樹脂[アクリル系樹脂(1b)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー]、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
合成高分子の内でポリオキシアルキレン化合物(1a)としては、例えばポリエチレングリコール、多価アルコール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)付加物、ポリオキシエチレン・オキシプロピレングリコール(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック及び/又はランダム共重合体)等の後記するウレタン樹脂製造に使用されるポリエーテルと同じものが挙げられる。
【0057】
合成高分子の内でアクリル系樹脂(1b)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(塩)[例えばアクリル酸ソーダ等]、2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸(塩)[2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸ソーダ等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルアンモニウム4級塩[例えばメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルジアルキルアミン塩[例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートの3級もしくは4級塩等]からなる群より選ばれるビニル系モノマーの少なくとも1種を構成単位とするポリマーであり、この具体例として、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)もしくはビニルスルホン酸(塩)との3元共重合体、ポリ(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム4級塩との共重合物等が挙げられる。上記の塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン塩等が好ましい。
【0058】
本発明の保冷材は保冷剤として使用した後、廃棄せずに回収してさらに植物育成用保水剤として再利用できる。本発明の保冷材に供せられる吸水性樹脂(A)は、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍であるので、また好ましくは塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolであるので、植物体の発根阻害ないしは根の伸長阻害にならず、いわゆる「カルシウムイオン欠乏症」が生じない植物育成用保水剤として利用できるものである。従来の吸水性樹脂は吸水するものの植物に水を供給する能力が乏しく、多く使用すると植物体の発根阻害ないしは根の伸長阻害が生じるので、回収して植物育成用保水剤として使用出来なかった。
【0059】
使用済の本発明の保冷材は回収して、中のゲル状物をそのまま土に混ぜて使用することが出来るし、一旦乾燥して土に混ぜ使用することもできる。その際にはさらに吸水性樹脂(A)を混合してもよいし、担体(D)と混合して使用してもよい。また、植物育成用保水剤として通常添加される添加剤を添加してもよい。
そのままゲル状物を土と混ぜる場合の配合比は、ゲル中の(A)の濃度、土の種類等によっても異なるが、質量比で好ましくは1/99〜90/10であり、より好ましくは2/98〜50/50である。
担体(D)と混合して使用する場合は、(A)の種類、(D)の種類、植物の最適水分量により種々変化しうるが、(回収したゲル状物を乾燥したもの(G)と新たな(A)との合計量)/(D)との比率は重量比で、好ましくは0.1:99.9〜80:20、さらに好ましくは5:95〜70:30、特に好ましくは10:90〜65:35である。(G)と(A)の合計量が0.1以上では保水能力が十分となり、80以下で使用する場合は成形性が良好で経済的な観点からも好ましい。
【0060】
ここで、使用される担体(D)としては、植物体育成に適する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。植物体育成に適する物質としては、例えば無機物質及び/又は有機物質等の粉末、多孔体、ペレット状、繊維状及び発泡体等の水不溶性の固状のものが使用できる。後で述べる各種添加剤は除く。
無機物質としては、無機質粉体(土壌、砂、フライアッシュ、珪藻土、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシウム、アルミナ等);無機質繊維(ロックウール、ガラス繊維等);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミック、くんたん)、バーミキュライト、軽石、火山灰、ゼオライト、シラスバルーン等];無機質発泡体(パーライト等)等が挙げられる。
【0061】
有機物質としては、有機質粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、
ミカンの殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体、合成樹脂粉末(ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末等)等];有機質繊維[天然繊維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラ等)及びその他、草炭、羊毛等〕、人造繊維(レーヨン、アセテート等のセルロース系等)、合成繊維(ポリアミド、ポリエステル、アクリル等)、パルプ〔メカニカルパルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パルプ等)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプ等)、セミケミカルパルプ、再生パルプ(例えばパルプを一旦製紙して作った紙の機械的破砕又は粉砕物、又は故紙の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプ等)等〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材等)等];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭等);有機質発泡体[穀物、合成樹脂又はゴムの発泡体(ポリスチレン発泡体、ポリビニルアセタール系スポンジ、ゴムスポンジ、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ウレタンフォーム等)等];有機質ペレット[ゴム及び合成樹脂のペレット等]等が挙げられる。上記の植物体育成用担体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質繊維、ゴム及び合成樹脂である。発泡体の密度は0.01〜1g/cm3である。
【0062】
ゴム及び/又は合成樹脂については一般的に使用されているものでよいが
、具体例としては下記のものが挙げられる。
ゴムとしては、例えば、通常の天然ゴム(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム等が挙げられる。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、軟質、硬質をとわず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられるが、吸水によって容積が膨潤し得る程度の柔軟性を有するものが好ましく、硬質のものを使用するときは適当な可塑剤を用いて柔軟性を付与することが好ましい。
【0063】
ウレタン系樹脂としては、ポリオール、ジイソシアネート、鎖延長剤をバルク重合あるいは溶液重合することにより得られる直鎖状のポリウレタンをペレット化して押し出し成形、或いは射出成形するか溶液重合により得られたポリウレタン溶液を賦形して溶液を揮発除去するか、或いは凝固浴と接触させて凝固せしめる方法により製造されている。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、高重合度塩化ビニル樹脂、部分架橋塩化ビニル樹脂、ニトリルゴム(NBR)、ウレタン樹脂あるいはポリエステル樹脂等と塩化ビニル樹脂とのブレンド物、ウレタン−塩化ビニル共重合体、ニトリルゴム(NBR)−塩化ビニル共重合体等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴムとポリオレフィンとの混合物、エチレン−プロピレンゴムにポリオレフィンをグラフト化した重合体等が挙げられる。
【0064】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合体等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合体、ポリエステル−ポリアミドブロック共重合体等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂及びゴムの分子量は特に制限はないが、軟化点は通常30〜300℃であり、好ましくは40〜200℃であり、特に好ましくは50〜150℃である。これらはそれぞれ単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばホルマリン縮合樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系等が挙げられる。
ホルマリン縮合樹脂系としては、尿素樹脂(尿素とホルマリンとの反応物)、メラミン樹脂(メラミンとホルマリンとの反応物、フェノール樹脂(フェノールとホルマリンとの反応物)、レゾシノール樹脂(レゾシノールとホルマリンとの反応物等が挙げられる。
【0065】
エポキシ樹脂系としては、末端に反応性のエポキシ基を持つ分子量数百から約一万のオリゴマーと適当な硬化剤と組み合わせ、硬化させることで製造され、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂(エポキシ当量;65〜1000)と硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリメルカプタン類等)との反応物(エポキシ基と各官能基との比率はモル比で1:10〜10:1)等が挙げられる。
ウレタン樹脂系としては、直鎖状のポリエステル、ポリエーテル又はポリエステルアミドをベースとし、ポリイソシアネートを反応させてNCO末端プレポリマー(NCO%:1〜10%)を作り、鎖延長剤により高分子化し、熱又は適当な架橋剤により硬化せしめるプレポリマー法及びポリオール、ジソシアネート、鎖延長剤、架橋剤を同時に混合して反応せしめるポリウレタンを得るワンショット法(イソシアネート/ポリオール等の活性水素=0.8/1〜10/1)により製造され、注型法、混練法で成形される。
上記、ゴム及び熱可塑性樹脂の数平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2〜100万である。又、熱硬化性樹脂の硬化前の数平均分子量は、通常10万以下、好ましくは、5万以下である。数平均分子量はゲルパーミエーション(GPC法)で測定できる。
又、(D)の形態の大きさについては制限がないが、これらの粉末の粒子径(長径)は通常1〜800μ、好ましくは5〜200μであり、多孔体、繊維および発泡体の大きさは通常0.001〜20mm、好ましくは0.01〜10mmである。ペレットは通常1〜1000mmである。
【0066】
さらに担体(D)を使用するときに結合剤(E)を用いてもよい。(E)としては、一般的に使用されているものでよく、水溶性、非水溶性を問わず、いずれであっても使用することができる。該(G)は通常の状態ではいくらかは含水しており、それ自身接着性を有するものであるが、(G)の水分状態、形状、比重等により(G)と(D)との造形効果を高めるために必要により結合剤(E)を用いる。(E)の形状は特に制限はないが、25℃における粘度が100万以下、好ましくは10万以下の流動性を有する状態で使用されるものであり、例えば溶剤及び/又は水に溶解又は分散したもの等が好適に使用出来る。又、成形方法によって適時結合剤を選択使用でき、例えば天然高分子、半合成高分子、合成樹脂及び合成ゴム等が挙げられる。(後述する添加剤は除く)
【0067】
水可溶又は水分散が可能な水系として使用できるものとしては前記の(F)と同じものが挙げられる。また、これらを水系としてでなく熱可塑性を利用して使用することが出来る。熱可塑性の軟化点としては前記した熱可塑性樹脂の場合と同じである。
【0068】
熱可塑性樹脂や溶剤可溶又は分散が可能なものとしてはゴム及び合成樹脂が挙げられる。ゴム及び合成樹脂の例としては前記の(D)と同じものが挙げられる。
本発明において必要により使用する(D)と(A)を結合する役目をもつ結合剤(E)の量は、固形分で(A)と(D)の合計量に対し通常0〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【0069】
回収したゲル状物を再利用する場合、ゲル状物に含まれている含水量が不明なため一旦ゲル状物を乾燥させて水分を取り除いた後使用する場合、回収したゲル状物の乾燥物(G)を使用して(D)を使った植物体育成用保水剤を製造する方法としては、例えば(i)上記(G),(D)及び必要により(E)の撹拌混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、(ii)混合物を加圧成形し、適度な大きさに裁断・粉砕する方法、(iii)上記(i)で得られた裁断・粉砕物の表面に(A)及び必要により(E)をまぶした後に再度加圧成形し、裁断・粉砕する方法、(iv)(iii)の加圧成形前の物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、(v)一旦シート状、棒状あるいはブロック状に加圧成形した後、適当な大きさに裁断又は粉砕する方法、(vi)混合物をシート状、棒状或いはブロック状に加熱成形した後、裁断又は粉砕する方法、(vii)混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加熱成形する方法、(viii)混合物をシート状、棒状或いはブロック状に発泡した後、裁断又は粉砕する方法等が挙げられる。上記方法の中にさらに必要により発泡させても良い。又、(G),(D)及び必要により(E)の混合の際に(G)(D)(E)の合計量の1〜50%の水を加えゲルを増粘させて混合させても良い。これらの方法の中で好ましくは、(ii)、(vi)、(vii)、(viii)である。
上記の方法で得られる再利用保水剤は、成形体がペレット状の加圧成形体、該シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体の裁断物又は粉砕物、該シート状、棒状若しくはブロック状の加熱成形体の裁断物又は粉砕物、ペレット状の加熱成形体、該シート、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物からなる群より選ばれる植物体育成用保水材である。好ましくは該シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体若しくは加熱成形体の裁断物又は粉砕物、成形体がペレット状の加圧成形体該シート、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物である。
【0070】
本発明の再利用保水材の発泡体を得る際に、上記(D)が熱可塑性樹脂及びゴムの場合、(G)、(D)に発泡剤、さらに必要ならば発泡促進剤又は発泡抑制剤を調合した後、加熱発泡することにより製造される。使用される発泡剤としては、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル、アゾジカルボン酸誘導体、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、ベンゼンモノヒドラゾール、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBBH)、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、プロパン、石油エーテル等が挙げられ、発泡体の発泡倍率により、または用途により異なるが、(D)100質量部に対して1〜80質量部の範囲が望ましい。又、(G)と(D)との混合物を調製する際に必要ならば、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤又は防カビ剤等を混合してもよい。又、(D)としてゴムを用いる場合には加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤あるいは活性剤等のゴム薬品、ゴム補強剤、粘着賦与剤、加工助剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、(オゾン)老化防止剤等を混合してもよい。配合量は(D)100質量部に対して0.01〜 10 部である。
尚、発泡は通常の一段発泡又は二段発泡によって行われる。得られる発泡体の密度は、特に限定されるものではない。
【0071】
上記(D)が熱硬化性樹脂の場合、例えば、(G)を含有するウレタン樹脂の発泡は、通常のウレタンフォームを製造する際に予め(G)と(D)が混合されていればよく、通常のウレタンフォームを製造するのと同様の操作で製造できる。通常のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを発泡剤及び適当な助剤の存在下に一段階に反応せしめるワンショット法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを反応せしめて得られるプレポリマーと水とを適当な助剤の存在下に反応せしめるトータルプレポリマー法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを反応せしめて得られるプレポリマーと追加量のポリヒドロキシル化合物とを発泡剤及びその他の適当な助剤の存在下に反応せしめるセミプレポリマー法等によって得られる。ここに発泡剤とは水の如き反応性の発泡剤の他、低沸点ハロゲン化炭化水素の如き非反応性の発泡剤を含む。その他の助剤とは触媒、発泡調整剤(泡安定剤)、着色剤等を意味する。
【0072】
上記の混合する装置は、混合物を均一に混合できるものであればいかなる装置でも良く、例えばヘシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー、タンブラー、万能混合機等が挙げられる。又、混合物を混練するには、例えば2軸押出機、単軸押出機、コニーダー、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の加熱しながら剪断力下混練できる装置がある。
加圧成形方法の場合は、例えば乾式加圧成形法、直接粉末加圧成形法、湿式加圧成形法等が挙げられる。加圧成形はロール式加圧成型機(ブリケットマシーン等)、ピストン式加圧成型機、スクリュー式加圧成型機、目皿押し出し式成型機(ディスクペレッター等)等を用いて行うことができる。上記加圧成型機のうち好ましいのはロール式加圧成型機及び/又は目皿押し出し式成型機である。又、加圧成形時の加圧は通常常温下で行うが、加熱(例えば30〜300℃)下で行っても差し支えない。加圧成形時の圧力は基材の種類、大きさ(粒度)、性質等に合わせて適当に選ぶことができるが、通常1〜3000kg/cm2、好ましくは10〜2,000kg/cm2である。得られた加圧成形物の形状は任意でよく、たとえばシート状、球状、円筒状、板状、塊状、直方体状、円錐状、角錐状、棒状等の種々の形状が挙げられる。これらの大きさは例えばシート状の場合は厚さ0.1〜30mm、球状〜棒状の場合は最大径0.1〜30mmである。裁断物の大きさは任意でよく、又、粉砕物の大きさは通常0.001〜20mm、好ましくは0.01〜10mmである。裁断は公知の方法で良く例えばカッター、ペレタイザー等を使用して行い、粉砕も公知の方法で良く、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー、遠心粉砕機等)や空気粉砕機(ジエットミル等)等を用いて行う。
【0073】
加温及び/又は乾燥成形方法の場合は、例えば押し出し成形、プレス成形、押し出し成形とプレス成形の併用、遠心成形等各種の方法が適用でき、特に制限はない。代表例として、押し出し成形方法の場合は、本発明の混合物を用い、スクリュー型真空押し出し成型機、スクリュー型押し出し成型機、プランジャー型押し出し成型機等で、その先端に付けたダイス等を通して所望の形に押し出し成形し、切断機又は粉砕機を用いて所望の長さ、大きさに切断、粉砕する。押し出し成形された混合物は、その後加熱及び/又は乾燥を行って目的の成形物が得られる。上記乾燥方法は公知の方法でよく、例えば透気乾燥(バンド乾燥等)や通気乾燥(循風乾燥等)、接触乾燥(ドラムドライヤー乾燥等)、減圧乾燥を行う方法等を例示することができる。又、加温及び/又は乾燥成形時の温度は基材の種類、大きさ(粒度)、性質等に合わせて適当に選ぶことができるが、通常30〜300℃、好ましくは50〜200℃である。上記において乾燥は通常大気圧下で行うが、減圧(750〜5mmHg)下で行っても差し支えない。得られた加熱及び/又は乾燥成形物の形状は加圧成形の場合と同じである。乾燥物の含水量は10%以下であり、好ましくは7%以下である。
【0074】
また、再利用の植物体育成用保水剤に、必要に応じて、肥料、農薬、殺虫剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤、防かび剤、防腐剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤等の薬剤を併用することができる。これらの薬剤は植物体育成用保水剤中に存在していればよく、あらかじめ植物体育成用担体及び/又は吸水性樹脂に添加しておいてもよく、あるいは成形工程の前後において添加してもよい。この保水剤は、着色されていても着色されていなくてもよいが、視覚的な効果から顔料および/又は染料により着色されていることが好ましい。
【0075】
再利用の植物体育成用保水剤の使用方法としては、栽培床材料として単独で使用してもよいし、土壌等の栽培床材料と混合する方法、植物に対して離れた特定箇所に投入する方法、栽培床の適当な深さに層状に埋没する方法が挙げられるが、一般的に播種周辺部、根系発達部、土壌表層部に投入することができる。即ち、再利用の植物体育成用保水剤を用いて、保水層又は保水塊を形成させ栽培植物に保持された水分が有効に利用されるならば、土壌のいかなる場所でも良い。又、本発明の植物体育成用保水剤を植生帯、植生マット、植生袋、植生盤等の資材に組み込んで使用することもできる。
再利用の植物体育成用保水剤は、水又は水溶液(例えば、肥料成分を水に溶解させた水性液)を吸収して、植物体育成用保水剤の質量に対して、好ましくは5〜200倍、より好ましくは10〜100倍に膨潤する性質を有するものである。
架橋ないし網目構造中に保持された「分散液体」は、水を主要成分として含む液体である限り、特に制限されない。より具体的には例えば、分散液体は、水自体であってもよく、また、水溶液(例えば、水溶性肥料等が溶解した水溶液)及び/又は含水液体(例えば、水と1価ないし多価アルコール等の混合液体)のいずれであってもよい。
【0076】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下部は質量部を示す。
【0077】
製造例1
1Lのビーカーに、アクリル酸230g、48%の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH KNEADERPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の塩化カルシウム水溶液35.5gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒径450ミクロン(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)であって、カルシウムイオン吸収量85.4(mg/g)、塩素イオン含有量1.6(mmol/g)、吸水倍率309(g/g)の吸水性樹脂(A▲1▼)を得た。
【0078】
製造例2
市販の吸水性樹脂(三洋化成工業社製,商品名:サンフレッシュST−500D)10gを4Lの蒸留水で膨潤させたところに、1LのCaCl2溶液(Ca含有1g;濃度0.28%)を加え、よく撹拌した。時々撹拌しながら2時間ほど放置し、網(メッシュの細かさ:ナイロンメッシュ濾過布、250メッシュ、安積濾紙社製、商品名N−No250HD)でゲルを濾し取った後、乾燥器(120℃)中で1時間乾燥させた。乾燥後、乳鉢で粉砕しゲル粉末とし、平均粒径450ミクロン、カルシウムイオン吸収量62.9(mg/g)、塩素イオン含有量0.6(mmol/g)、吸水倍率244(g/g)の吸水性樹脂(A▲2▼)を得た。
【0079】
製造例3
1リットルのビーカーにアクリル酸0.29g(0.04mol)に48%の水酸化ナトリウム水溶液0.33g、50%アクリルアミド水溶液278.4g(1.96mol)、水278gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35%の過酸化水素水0.0001g、L−アスコルビン酸0.00005g及び4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.025gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。
このゲルを、ミートチョッパーで細分化した後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒径1000ミクロンの未架橋の乾燥粉末を得た。この未架橋の乾燥粉末100gをステンレスのバットに3mmの厚みで入れ、160℃の循風乾燥機で120分加熱して熱架橋させて、カルシウムイオン吸収量3.3(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率55(g/g)の吸水性樹脂(A▲3▼)を得た。
【0080】
製造例4
製造例3の重合を行う際に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.1g(ダイソー社製)を添加し、熱架橋を行わなかった以外は、製造例3と同様な操作を行い、カルシウムイオン吸収量3.3(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率50(g/g)の吸水性樹脂(A▲4▼)を得た。
【0081】
実施例1
不透水性シートとして、ナイロン/ポリエチレンラミネートフィルム(厚さ:80μm)を16cm×25cmの大きさの長方形に切り、これを2枚ポリエチレンフィルムの側を互いに内側に向けて重ねて三方の端を約1cmの糊しろになるようにヒートシールして袋を作った。吸水性樹脂「A▲1▼」(15g)と、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を上記保冷材容器に入れ、ついで開口部をヒートシール(密封)し、保冷材を作成した。
【0082】
実施例2
吸水性樹脂「A▲2▼」(15g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作成した保冷材容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作成した。
実施例3
吸水性樹脂「A▲1▼」(13g)、水溶性のカルボキシメチルセルロース(2g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作成した保冷材容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作成した。
【0083】
実施例4
吸水性樹脂「A▲3▼」(60g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作製した保冷容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作製した。
実施例5
実施例4において、吸水性樹脂「A▲3▼」に代えて、吸水性樹脂「A▲4▼」を用いた以外は実施例4と同様にして保冷材を作成した。
【0084】
比較例1
実施例1において、吸水性樹脂をA▲1▼に替えてサンフレッシュST−500Dを用いた以外は実施例1と同様にして保冷材を作成した。
サンフレッシュST−500D;アクリル酸塩系吸水性樹脂、平均粒径380μm、カルシウムイオン吸収量164(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率400倍、三洋化成工業社製。
【0085】
保冷材の試験方法を次に示す。
<保冷効果の確認試験>
保冷材を−40℃で完全に凍結させた。この保冷材を試験容器内の敷き布団と掛け布団との間に挿入し、蓋を閉じ、約24時間室内に放置し、保冷材の表面温度を測定した。
試験容器:蓋付きの木箱(厚さ2cmの平板を使用し、巾30cm、横60cm、高さ20cm)の中に綿の敷き布団(厚さ10cm、縦30cm、横60cm)を置いた。
【0086】
性能評価
実施例1〜5の保冷材及び比較例1の保冷材について、保冷効果の確認試験を行った。その結果を表1に示した。
保冷効果の確認試験
測定時の外気温:22〜26℃
【0087】
【表1】
【0088】
性能評価
実施例1〜5の保冷材及び比較例1の保冷材中のゲル状物について、植物の生長度合いの確認試験を行った。その結果を表2に示した。
【0089】
<植物の生育度合い(1)の確認試験>
30cm×20cm×20cmのプラスチックス製のプランターに砂質土壌(例えば川砂)5kgを入れた。
砂質土壌5.0kgに保冷材中のゲル状物(実施例1〜3、比較例1)2.0kg及び化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)0.3kgを加え十分に混合した土壌を砂質土壌の入ったプランターの上に積層し十分灌水した後、キュウリ、大根、イネを播種した。3日おきに100gの水道水を灌水し、14日間の各植物の生育状況(12株の平均値)を観察した。
植物育成度合い(1)の確認試験
【0090】
【表2】
【0091】
実施例6
実施例1で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で3時間乾燥し、水分3.2質量%の使用済み吸水性樹脂B▲1▼を得た。
珪砂「天然珪砂4号」(粒度20〜65mesh、土屋カオリン社製)と上記使用済み吸水性樹脂B▲1▼を85:15の重量比で混合し、室温下、ブリケットマシーン(新東工業社製)で2,000kg/cm(線圧)に加圧して、平均粒径が約4mmの大きさのペレット状土壌保水剤を作成した。
【0092】
実施例7
実施例2で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.8質量%の使用済み吸水性樹脂B▲2▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲2▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0093】
実施例8
実施例3得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分3.5質量%の使用済み吸水性樹脂B▲3▼を得た。
実施例6において「天然珪砂4号」:「使用済み吸水性樹脂B▲1▼」(配合割合が重量比で85:15)を、「天然珪砂4号」:「使用済み吸水性樹脂B▲3▼」:「ラックスターCB−2」(スチレン・ブタジエンゴム、大日本インキ社製)(配合割合が重量比で85:15:1)に替えた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0094】
実施例9
実施例4で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分3.0質量%の使用済み吸水性樹脂B▲4▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲5▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0095】
実施例10
実施例5で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.9質量%の使用済み吸水性樹脂B▲5▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲5▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0096】
比較例2
比較例1で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.6質量%の使用済み吸水性樹脂B▲6▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲6▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0097】
土壌保水剤の試験方法を次に示す。
<植物の生育度合い(2)の確認試験>
30cm×20cm×20cmのプラスチックス製のプランターに砂質土壌(例えば川砂)5kgを入れた。
砂質土壌8.7kgに保冷材中のゲル状物(実施例4〜6、比較例2)1.3kg及び化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)0.5kgを加え十分に混合した土壌を砂質土壌の入ったプランターの上に積層し十分灌水した後、キュウリ、大根、イネを播種した。3日おきに50gの水道水を灌水し、14日間の各植物の生育状況(12株の平均値)を観察した。
【0098】
性能評価
実施例6〜10及び比較例2の土壌保水剤について、植物の生長度合い(2)の確認試験を行った。その結果を表3に示した。
植物育成度合い(2)の確認試験
【0099】
【表3】
【0100】
【発明の効果】
本発明の保冷材は、保冷材として良好な冷却効果を有すると同時に、使用済の保冷材を回収して植物体育成用保水材として廃棄することなく再利用することができるという効果を奏する。
再利用の植物体育成用保水材は、植物の生育を阻害することがなく、吸水能が優れているので、植物に十分な水分を補給することができる。また、天然土壌に代わり軽量な基材を使い種々の形状に加工できるので、植え込み材料の重量を大幅に軽量化することができる。特に、施設園芸において生産、流通が吸速に伸びているセル成型苗、コミュニティーポット苗、ポット苗等の「鉢物」用の植え込み材料として有効に利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、再利用可能な保冷材及び使用済保冷材の再利用方法に関する。更に詳しくは、使用後回収して植物育成用保水剤として再利用できる保冷材及び再利用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来保冷材としては、保冷期間が長いものとして保冷用媒体に吸水性樹脂を含むものが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−122871号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記保冷材は繰り返し使用されても最後は廃棄されるのみで、使用済の保冷材即ちゲル状又は粉末状の吸水性樹脂が再利用されることはなく、資源として無駄であり、吸水性樹脂を使用する保冷材であって使用後に再利用できる保冷材が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を改善した保冷材を得るべく鋭意検討した結果、植物育成用保水剤として使用可能な吸水性樹脂を使用して保冷材を構成すれば、使用後回収したゲル状又は粉末状の吸水性樹脂は廃棄せず植物育成用保水剤として再使用できることを見いだし本発明に到達した。
即ち本発明は、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂(A)を含むことを特徴とする保冷材;使用済の該保冷材を使用した植物育成用保水剤;使用済の該保冷材を回収して植物育成用保水剤として再利用する方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において吸水性樹脂(A)としては、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂であればアニオン系、ノニオン系、カチオン系吸水性樹脂であれ特に限定はないが、具体的には例えば下記の(1)〜(5)の吸水性樹脂(a)にカルシウムイオン吸収量を調整したものが挙げられる。
(1)デンプン又はセルロース等の多糖類(イ−1)及び/若しくは単糖類(イ−2)と水溶性単量体及び/若しくは加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂。(イ−1)としてはショ糖、セルロース、CMC、デンプン等が挙げられ、(イ−2)としてはペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース等が挙げられる。
【0007】
(ロ)としては例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体及びそれらの塩、及び水酸基、アミド基、3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基を有するラジカル重合性水溶性単量体等が挙げられる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば不飽和モノ又はポリ(2価〜6価)カルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。以下同様の記載を用いる)、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等]及びそれらの無水物[無水マレイン酸等]等が挙げられる。
【0008】
スルホン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸等)、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等]、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。
リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。
上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等]等が挙げられる。
【0009】
水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体[アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート等];
アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド等)等];
3級アミノ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等];
第4級アンモニウム塩基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えば上記3級アミノ基含有単量体の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];
エポキシ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[例えばグリシジル(メタ)アクリレート等];
その他ラジカル重合性水溶性単量体[4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等]等が挙げられる。
【0010】
加水分解により水溶性となる単量体としては、少なくとも1個の加水分解性基[酸無水物基、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル基、ニトリル基等]を有するラジカル重合性単量体が挙げられる。酸無水物基を有するラジカル重合性単量体としては例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の炭素数4〜20のラジカル重合性単量体、エステル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、モノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキル(C1〜C3)エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等]、モノエチレン性不飽和アルコールのエステル[例えば、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリル等]等が挙げられる。ニトリル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは加水分解は重合時であっても重合後であってもよく、通常加水分解によって塩を形成し水溶性となる。塩としては前記の塩形成基に記載した塩と同じものがあげられる。
これらの単量体は、単独で使用しても良いし、必要であれば2種以上を併用使用しても良い。
これらは2種以上併用してもよい。これらのうち好ましいものは、水溶性単量体である。さらに好ましいものは、水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体、アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性水溶性単量体及びその塩であり、特に好ましくは不飽和モノ又はポリカルボン酸及びその塩、最も好ましくは(メタ)アクリル酸及びその塩である。
【0011】
架橋剤(ハ)としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する架橋剤、ラジカル重合性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性官能基を2個以上有する架橋剤などが挙げられる。ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する化合物の具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0012】
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物の具体例としては、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン等)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン等)、及びポリアミン(例えば、ポリエチレンイミン等)等が挙げられる。
これらの架橋剤は2種類以上を併用しても良い。これらのうち好ましいものは、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する共重合性の架橋剤であり、更に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスルトールトリアリルエーテル、トリアリルアミンである。
(イ)、(ロ)及び(ハ)の割合、吸水性樹脂の製造法は特に限定されない。
【0013】
吸水性樹脂の製造法としては、例えば水溶液重合法、逆相懸濁重合法、噴霧重合法、光開始重合法、放射線重合法等が例示される。好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、通常と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
上記架橋剤の量が0.001%より少ない場合は、吸水時にゾル状になり、吸水性樹脂の機能である吸水・保水能力が小さくなる。また、乾燥性が非常に悪く、生産性が非効率的である。一方5%を超える場合は、逆に架橋が強くなりすぎ、十分な吸水・保水能力を発揮しない。これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えば、チオール化合物など)、界面活性剤等を添加しても差し支えない。
【0014】
架橋する場合は、上記の架橋剤(ハ)を使用して架橋する場合と、架橋剤を使用しないで特定の温度に加熱して水酸基やアミド基等の官能基の反応性を利用した熱架橋による架橋の場合がある。該熱架橋を行える好ましい重合体としては(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートを含有する重合体が挙げられ、具体的には(メタ)アクリルアミド/(メタ)アクリル酸(アルカリ金属塩)共重合体、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸(アルカリ金属塩)共重合体等を例示することができる。
熱架橋を行う方法としては、目的の粒径に調整する前に、重合体を所定温度に加熱して熱架橋させた後、必要により粉砕を行って目的の粒径に粒度調整しても良いが、好ましくは、重合体を目的の粒径の粉末状あるいは粒子状に粒度調整した後、所定温度に加熱して熱架橋させることにより、いわゆる表面架橋の原理で内部の架橋密度が低くかつ外部の架橋密度の高い吸水性樹脂を得る方法である。
熱架橋の際の加熱温度は、好ましくは120℃〜230℃、更に好ましくは140℃〜220℃である。加熱温度が120℃〜230℃であると、加熱架橋が早く進行し、重合体(P)が熱分解せず、品質が低下しないので好ましい。加熱時間に関しては、達成したい架橋度によって種々異なるが、目的の温度に達してから、好ましくは1〜600分、更に好ましくは5〜300分である。加熱時間が1分未満ではうまく熱架橋が起こらぬことがあり、一方加熱時間が600分を超えると、加熱する温度や重合体の組成にもよるが、一部分解が開始する場合がある。
【0015】
含水ゲル状重合体の乾燥温度は、通常60〜230℃、好ましくは100〜200℃、特に105〜180℃である。乾燥温度が60℃未満の場合、乾燥に非常に長くの時間を必要とし経済的ではなく、一方、230℃を超える場合は、副反応や樹脂の分解などが起こることがあり、吸収性能と吸収速度の低下を招く。乾燥する装置は通常の装置でよく、例えば、ドラムドライヤー、平行流バンド乾燥機(トンネル乾燥機)、通気バンド乾燥機、噴出流(ノズルジェット)乾燥機、箱型熱風乾燥機、赤外線乾燥機などが挙げられる。特に熱源は限定されない。これらの乾燥機は複数個を組み合わせて使用することもできる。乾燥後、粉砕し、さらに必要により粒度調整して吸水性樹脂を得る。粉砕機は従来公知のものが使用でき、粒度調整も篩い振とう機等の従来公知のものが使用できる。
吸水性樹脂の製造法等は特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報に詳細に記載されているものと同じものが挙げられる。
【0016】
(2)上記(イ)と(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物等);
(3)上記(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等);
(4)上記(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報に記載されているもの等)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並びに、
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合物(自己架橋型ポリアクリル酸塩等);
が挙げられる。以上例示した吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
中和塩の形態の吸水性樹脂である場合の塩の種類及び中和度については特に限定はないが、塩の種類としては好ましくはアルカリ金属塩、さらに好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、酸基に対する中和度は好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜80モル%である。
以上例示した吸水性樹脂(a)は2種以上併用してもよい。
【0017】
これらの吸水性樹脂(a)のうち、好ましいものは架橋ポリアクリルアミド共重合体等のノニオン系吸水性樹脂;架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール等のアニオン系吸水性樹脂であり、より好ましくは架橋ポリアクリルアミド共重合体及び架橋されたポリアクリル酸(塩)であり、特に好ましくは架橋されたポリアクリル酸(塩)である。
(a)の吸水倍率は、上記の架橋構造、特に架橋密度に依存し、一般に架橋密度が低い程、吸水倍率が大きくなる傾向がある。
(a)の架橋密度は、全単量体に対する分岐点のモル%で、好ましくは0.01〜10mol%、より好ましくは0.05〜5mol%である。架橋剤により架橋構造を導入する場合、架橋剤の全単量体(該架橋剤自体をも含む)に対する共重合重量比は、好ましくは0.005〜3wt.%であり、より好ましくは0.01〜2wt.%である。
【0018】
(a)の架橋密度が10mol%未満の場合には、(a)の吸水倍率が大きくなるために、吸水性樹脂の吸水・保水効果が大きくなる。一方、架橋密度が0.01mol%以上の場合には、該(a)の機械的強度が強くなり、取扱いが良好となる。
(a)及び粒子の集合体の形状、大きさ等は特に制限なく、例えば粉末状、粒状、塊(ブロック)状等のものが使用可能であり、またその大きさは1μmから数cmのものまでが使用可能である。使用する目的に応じて、これらの形状、大きさ等は適宜選択することができる。例えば、平均粒子径は好ましくは5〜5,000μm、さらに好ましくは10〜4,000μmであり、特に好ましくは50〜850μmである。平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の質量の50%をしめるところの粒子径を求める方法により測定する。好ましくは0.1μm未満の粒子の含有量が3%以下である。
【0019】
本発明における(A)はカルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgである。る。
本発明において、「カルシウムイオン吸収量」は例えば以下の方法により好適に測定可能である。
(カルシウムイオン吸収量の測定)
1gの乾燥した吸水性樹脂(A)を、カルシウムイオン濃度200mg/Lの塩化カルシウム水溶液1Lに添加し、時々撹拌しながら25℃で48時間、恒温槽中で放置して、該(A)を膨潤させつつカルシウムイオンを吸収させる。膨潤した(A)を分離し、残存する上清(上記塩化カルシウム水溶液の過剰分)中のカルシウムイオン濃度を原子吸光分析により定量する(α mg/L)。
【0020】
この際、上記原子吸光分析法によるカルシウムイオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<原子吸光分析の測定条件>
原子吸光分析装置:島津製作所社製、商品名:AA−6500オートシステム
点灯条件:Ca#8
電流:10mA/0mA
波長:422.7nm
スリット幅:0.5μm
このようにして測定したカルシウムイオン濃度の定量値(α)に基づき、吸水性樹脂(A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量は、次式により求められる。(A)と上清の分離に際し、未架橋の水溶性高分子が上清中に溶解している可能性があるため、必要に応じて、重量平均分子量1,000〜 3,000程度の限外濾過膜を用いた限外濾過による分離を行う。
吸水性樹脂(A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量(mg/g)=200−α
【0021】
上記方法により測定された「カルシウムイオン吸収量」が吸水性樹脂の乾燥重量1gあたり100mgを超える場合では、保冷剤として使用済みの吸水性樹脂(A)を植物育成用保水剤として使用した場合に該吸水性樹脂(A)に接触する植物体に「カルシウムイオン欠乏症」が生じ易くなる。本発明において再利用を考えた場合には、この「カルシウムイオン吸収量」は、吸水性樹脂の乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、好ましくは0〜80mgである。
ポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂の場合には、吸水性樹脂(A)のカルシウムイオン吸収量を100mg以下とするために、該(A)が「カルボキシル基の多価金属塩」を含有することが、好ましい一態様である。該多価金属塩のイオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+、Be2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+等が挙げられる。中でも、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+、Sr2+、B3+、Be2+が好ましく、Ca2+が特に好ましい。
該多価金属塩の含有量は、吸水性樹脂の乾燥重量1g当たり0.1〜7mmolであり、好ましくは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.0mmolである。
【0022】
特にポリアクリル酸塩系の吸水性樹脂を使用する場合、アクリル酸及びアクリル酸のアルカリ金属塩を架橋重合させた後、上記の多価金属塩を添加する方法が好適に利用される。特に多価金属塩として塩化カルシウム、塩化マグネシウムを使用した場合には、アルカリ金属塩をCa,Mgに置換することにより、該吸水性樹脂のCa吸収量を抑制することができる。さらに後記する様に該吸水性樹脂に塩素イオンをも導入することができる。
これらの製造方法及び吸水性樹脂の具体例は、特願平10−316440号公報、特願平11−290552号公報に記載されている。
【0023】
上記した「カルボキシル基の多価金属塩の含有量」は、例えば、以下の方法により測定可能である。
(カルボキシル基の多価金属塩の含有量の測定方法)
吸水性樹脂(A)をイオン交換水で充分洗浄した後乾燥し、0.2gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電気炉で灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加えて50mlの定容として、原子吸光分析により多価金属イオン濃度(EmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカルボキシル基多価金属塩の含有量はE×価数/4(mmol)として算出される。この多価金属イオンの価数(例えば、Mgイオンであれば、価数=2)は、該多価金属イオンが混合している場合には、各多価金属イオンの価数を「重み付け平均」して得られた価数を用いる。
【0024】
この際、上記原子吸光分析法による陽イオンにおいては、前述した「カルシウムイオン分析」におけるのと同様の条件が使用可能である。
「ポリアクリル酸のアルカリ金属塩の架橋物」からなる従来のハイドロゲルは、非イオン性の親水性高分子架橋物からなるハイドロゲルと比較して著しく高い吸水倍率を有し、この高吸水倍率がゆえに従来、農業分野で吸水性樹脂として使用されてきた。しかしながら、このハイドロゲルは、解離性のイオン基の導入量が非常に大きく(例えば、アクリル酸のアルカリ金属塩の導入量が乾燥樹脂1gあたり約8mmol以上)、植物の生長に必須であるカルシウムイオン等の重金属イオンを吸着してしまい、植物生長を著しく阻害する傾向があった。上記の様にカルボキシル基を重金属塩とすると吸水倍率が低下してしまい、保水剤として十分な水分を補給することができなくなる。従って、カルボキシル基を重金属塩にする一方、解離性のイオン基(例えばカルボキシル基のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩)をある量導入して吸水倍率を確保する必要がある。上記解離性のイオン基を乾燥吸水性樹脂1gあたり0.3〜7mmol導入した場合には、植物に対してカルシウムイオン欠乏症を生じさせることなく植物を育成させるに充分な保水効果(イオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍)を示すので好ましい。
【0025】
上記の様に、カルボキシル基を多価金属塩とすると吸水倍率が低下するので、吸水倍率を向上させるため、カルボキシル基を一定量以上のアルカリ金属塩とする必要がある。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が望ましい。(A)が、カルボキシル基を有するアニオン系吸水性樹脂の場合、該カルボキシル基のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の含有量が、乾燥重量1gあたり好ましくは0.3〜7mmolである。0.3mmol以上では吸水性樹脂の吸水倍率を10倍以上とすることが可能となり、7mmol以下であると、カルシウムイオン吸収量が乾燥吸水性樹脂1gあたり100mgを超えにくくなる。
【0026】
(カルボキシル基のアルカリ金属塩の含有量の測定方法)
吸水性樹脂(A)をイオン交換水で充分に洗浄した後乾燥し、0.2gの乾燥した(A)を、白金るつぼに秤取り、電気炉で灰化した後、1N塩酸5mlで溶解、蒸留水を加えて50mlの定容として、原子吸光分析により陽イオン濃度(DmM)を求める。乾燥した(A)1g中のカルボキシル基塩の含有量は、D/4(mmol=1リットル中のモル濃度)として算出される。ここで使用した原子吸光分析用の溶液中の乾燥した(A)の濃度は、上述したように0.2g/50ml=4g/1L(リットル)であるから、乾燥した(A)1g中のカルボキシル基塩の含有量は、(D/4)mmolとなる。
【0027】
さらに本発明においては前記(A)の塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolが好ましい。
塩素イオン含有量は例えば、以下の方法で測定できる。
(塩素イオン含有量の測定)
0.2gの乾燥状態の(A)を200mlのイオン交換水に浸漬し、2日間放置する。この上清をフィルターで濾過し、濾液中の塩素イオン濃度をイオン分析計(Ion AnalyzerIA−100、東亜電波工業)により分析する。このようにして求めた塩素イオン濃度に基づき、上記イオン交換水200ml中の塩素イオン量を計算により求め、該計算値を乾燥吸水性樹脂(A)0.2g中の塩素イオン量とする。
【0028】
この際、上記イオン分析計による塩素イオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<イオン分析計の測定条件>
カラム:陰イオン用カラムPCI−201S(東亜電波工業社製)、及びカードカラムPCI−201SG(東亜電波工業社製)
溶媒:陰イオン用溶離液(東亜電波工業社製)
カラム槽温度:40±4℃
上記方法により測定された「塩素イオン含有量」が吸水性樹脂(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolの範囲内であれば、後述する実施例に示すように「カルシウムイオン欠乏症」をさらに抑制することが可能となる。より好ましくは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.0mmolである。
塩素イオンのカウンター陽イオンの種類に特に制限はないが、Na,K,Ca,NH4イオンであることが好ましい。中でも、Naイオンであることが特に好ましい。
【0029】
吸水性樹脂(a)に塩素イオンを含有させる方法としては、該(a)に塩素イオンを含有する水溶液を吸収させることによって行うことができる。また、(AA)を水中で合成する場合には、この水溶液に塩素イオンを含有させておく方法がより好ましい。この時、塩素イオンの添加量は得られる吸水性樹脂(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolとなるように設定する。
また、既に(a)が塩素イオンを乾燥重量1gあたり7mmol以上含有している場合は、これを塩素イオンを含まない(あるいは低塩素イオン濃度の)水で洗浄することにより、塩素イオンの含有量を所望の設定値まで低減させることもできる。
【0030】
本発明における吸水性樹脂(A)の吸水倍率は、通常10〜1,000倍であり、好ましくは30〜900倍であり、より好ましくは50〜800倍である。吸水倍率が10倍以上では、保水材の一定量を用いた場合に、植物に充分な水分を供給することが可能となる。本発明において、上記した「イオン交換水中での吸水倍率」は、例えば、以下の方法により測定可能である。
(イオン交換水中の吸水倍率の測定)
乾燥吸水性樹脂(A)の一定量(W1g)を秤取り、過剰量(例えば、前記吸水性樹脂の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で48時間恒温槽中に放置して、前記(A)を膨潤させる。余剰の水を濾過により除去した後、吸水膨潤した(A)の重量(W2g)を測定し、次式により吸水倍率を求める。
吸水倍率=(W2−W1)/W1
この吸水倍率の測定に際しては、重量W1、W2の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG−220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
【0031】
(A)の吸水速度は、好ましくは2〜180秒であり、さらに好ましくは2〜150秒であり、特に好ましくは 2〜120秒である。吸水速度が2秒以上であると、水溶液を投入し保冷材を作成する時に吸水性樹脂同士のブロッキング等のママコが生じにくくなり、加工適性が良好である。一方、吸水速度が180秒以下であると、本発明の保冷材を回収し、土壌保水剤として再利用した時に土壌中の水分を保水する能力が十分となる。
吸水速度試験法:JIS K 7224−1996の試験法(試験液:0.9質量%の食塩水)に準拠した試験法。
【0032】
上記の吸水性樹脂(A)の吸水速度を上げる目的で、吸水性樹脂の製造前、製造中、製造後乾燥前、製造後乾燥後、粉砕後の段階で微小フィラー(b)、界面活性剤(c)を添加又は処理してもよい。(b)の場合は乾燥前に配合混合するのがさらに好ましい。
微小フィラー(b)としては、みかけ密度が0.5g/cm3以下であるものが好ましく、0.1g/cm3以下であるものがさらに好ましい。0.5g/cm3以下であると、吸水性樹脂が含水したゲル(以下含水ゲルという)中への微小フィラーの配合が均一となり、得られる保冷材の吸水速度の向上効果がみられる。
【0033】
ここでみかけ密度とは、例えばACCUPYC 1330 PYCNOMETERによって測定される値であり、具体的な測定操作の例は次の通りである。
PYCNOMETERにはバルブで連結された2つのchamber(部屋)、即ちcell chamberと、expansion chamberとがあり、それぞれの体積はV(c)、V(e)で示される。
cell chamber内で、試料質量(W)を量り(体積をVとする)、expansion chamberにつながるバルブは閉じ、cellchamber内の圧力はP(1)に固定する。
またその時のexpansion chamberの圧力はP(a)である。
そしてexpansion chamberにつながるバルブを開栓し両方のchamberに行き渡った圧力P(2)を測定する。
バルブを開く前後のそれぞれのchamberの体積と圧力から試料体積が求まり、次式によってみかけ密度が算出される。
みかけ密度=W÷V
=W÷[V(c)+V(e)×{P(a)−P(2)}÷{P(1)−P(2)}]
【0034】
微小フィラー(b)の材質は特に限定されず、有機系、無機系のいずれであってもよい。
有機系材質の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリブタジエン、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリアセタール、セルロース誘導体等が挙げられる。これらの樹脂を構成する単量体を2種以上共重合して得られるものも挙げられる。これらの重量平均分子量は特に限定はないが、好ましくは1万以上であり、さらに好ましくは2〜10万である。
【0035】
無機系材質の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
該(A)に対する(b)の配合量は、好ましくは0.05〜10質量%である。さらに好ましくは0.1〜7%、特に好ましくは0.5〜5%である。添加量が0.05%以上であると、保冷材の吸水速度の向上効果がみられ、一方10%以下であると、吸水速度の向上がはかれると共に、吸水性樹脂粒子の機械的強度も弱くならない。
【0036】
(b)は、吸水性樹脂の重合前、即ち重合用原材料の混合等の調整段階から乾燥前までのいずれかの段階において配合される。好ましくは重合後から乾燥前までの段階の含水ゲル状重合体に添加して混練する方法である。なぜなら、含水ゲル状態の吸水性樹脂は膨張するのに適度の可撓性を有しており、さらにその後の乾燥工程での加熱により体積膨張させて表面積を増加させることが出来るからである。
微小フィラーは粉末、水スラリー、水分散液のいずれの形態にしても添加可能であるが、均一な膨張と、得られる保冷材の吸水速度の向上効果を高めるためには、水スラリーあるいは水分散液にして添加し、含水ゲル中に均一に添加するのが好ましい。
また、吸水性樹脂の含水ゲルと微小フィラーとの配合物における含水率は、吸水性樹脂の固形分に対し2〜10倍であることが好ましい。
【0037】
含水ゲル状態の吸水性樹脂に(b)を配合し、均一分散させるための混練装置としては、従来から公知の装置を使用することが出来る。具体的な装置の例として、双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機等が挙げられる。これらは複数個を組み合わせて使用することもできる。
吸水性樹脂を添加した含水ゲル状配合物の加熱乾燥温度は、好ましくは60〜230℃、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは105〜180℃である。乾燥温度が60℃以上であると、乾燥時間が長くならず経済的であり、一方、230℃以下であると、副反応や樹脂の分解等も起らず、吸水性能と吸水速度の低下を招かない。
【0038】
含水ゲル状態の吸水性樹脂と(b)との配合物を乾燥する装置は、通常のものでよく、例えば、ドラムドライヤー、平行流バンド乾燥機(トンネル乾燥機)、通気バンド乾燥機、噴出流(ノズルジェット)乾燥機、箱型熱風乾燥機、赤外線乾燥機などが挙げられる。
【0039】
微小フィラー(b)の平均粒径(ナッセンシュタイン径)は(A)の粒子径より小さく、好ましくは0.001〜200μm、さらに好ましくは0.005〜150μm、特に好ましくは0.01〜100μmである。さらに0.0005〜200μmにおける(b)の粒度が質量で好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である、(b)の平均粒径が200μm以下であると、乾燥性の向上を図るために添加量を多く必要とせず経済的である。更に得られる吸水性樹脂の性能が低下せず好ましい。一方、0.001μm以上であると、(b)同士の凝集が起こりにくく均一な分布になりやすく、乾燥性を低下しないので好ましい。
平均粒径の測定は、分散媒に検査試料を50〜100mg加え、超音波を60秒かけた後SKレーザー粒度分布測定器(セイシン企業社製)を用いて測定する。
(b)の形状は、特に限定されず、破砕状、中空状、多孔質状、花弁状、造粒状等が挙げられる。好ましい形状は破砕状及び多孔質状である。
【0040】
また処理される界面活性剤(c)としては、従来公知のノニオン性界面活性剤(c1)、アニオン性界面活性剤(c2)、カチオン性界面活性剤(c3)、両性界面活性剤(c4)が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤(c1)としては、具体的には例えば脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加(重合度=20)物等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ソルビタンパルミチン酸(モノ/ジ)エステル等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタンラウリン酸(モノ/ジ)エステル等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル(ポリオキシエチレン(重合度=20)ノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]、ポリジメチルシロキサンポリオキシエチレン付加物、ポリオキエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(重量平均分子量=150〜10000)等が挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤(c2)としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸又はその塩、[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等]、その他[スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム等]等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤(c3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩等]等が挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤(c4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
これらの界面活性剤の1種又は2種以上が使用出来る。これらの内でノニオン性界面活性剤(c1)、アニオン性界面活性剤(c2)が好ましい。界面活性剤を併用することにより、保冷材の吸水速度の向上効果をより顕著に発揮させることができる。
【0043】
吸水性樹脂(A)又は(a)に対する(c)の添加量は、(A)又は(a)の性質及び(c)の添加量によって種々変化させることができるが、好ましくは(A)又は(a)の固形分の質量に対して0.005〜1%、さらに好ましくは、0.01〜0.7%である。添加量が0.005%以上であると、乾燥性の向上効果が発現する。一方、1%以下であると、乾燥後の製品の粉体流動性に悪影響を与えることがなく、また植物育成用保水剤として再利用した場合にも悪影響が少なく、吸水性樹脂としての粉体ハンドリング性が良好である。
【0044】
(A)又は(a)への(c)の添加混合する方法については特に限定はない。(b)及び(c)を水及び/又は溶剤に分散した後添加混合するのが、均一に混合できて好ましい。(b)及び(c)を水及び/又は溶剤に分散する場合の濃度は質量で0.01〜50%が適当である。さらに好ましくは0.1〜30%である。濃度が0.01%以上であると、(A)又は(a)への(b)の添加量が多くなると、(A)又は(a)中の水及び/又は溶剤の量が増加せず乾燥効率も悪化しない。50%以下であると、(b)及び(c)溶液の粘度も上昇せず取り扱いが容易であり、(A)又は(a)への混合も均一となり、乾燥性向上効果が発揮される。溶剤としては(b)及び(c)が分散できれば限定はないが、100℃までの低沸点のものが好ましい。具体的にはアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等)等が挙げられる。
【0045】
(b)と(c)との水及び/又は溶剤分散液の(A)又は(a)への添加混合する方法は、(A)又は(a)を細断する前、細断中あるいは細断後にスプレー、ポンプ等を使用してふりかける方法がある。好ましくは(A)の細断後にふりかけ、乾燥機へのゲル移送中に(A)又は(a)の表面に(b)と(c)とができるだけ均一に分散混合される方法が好ましい。該分散液をふりかけた後、大きなシェアーでゲルを混練すると、分散液が(A)又は(a)の内部にまで混練されて、添加効果が薄れるとともに、添加量が多く必要となるため非経済的となりやすい。
(A)又は(a)を細断し、更に(A)又は(a)と(b)と(c)との配合に用いられる装置としては、従来から公知の装置を使用することが出来、前記と同じものが使用できる。
【0046】
本発明において、吸水性樹脂(A)又は(a)を保冷材として使用する場合はゲル状であるのが好ましく、水あるいは水を主体とした混合溶媒を吸収させて吸水性樹脂(A)のゲル状物を得ることができる。
ゲル中の吸水性樹脂(A)の量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.2〜2重量%である。0.1〜10重量%であると十分にゲル状物となり保冷材として使用できる。
【0047】
また、このゲル状物に氷点降下物質(多価アルコール類、尿素、硝酸アンモニウム等)、水溶解時に吸熱する物質(尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム10水塩、リン酸二アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム10水塩、チオ硫酸ナトリウム10水塩等)、水溶性ポリマー、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。添加量は、全重量 に対して好ましくは0.01〜50重量%である。
【0048】
さらに、ゲル中には植物育成用保水剤として再利用可能なために、植物の育成に支障のない範囲でフィラーあるいはガラス粉末を混入しても良く、フィラーの例としては炭酸カルシウム、ゼオライト、バーミキュライト、粉末マイカ、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン、タルク、コルク等があげられる。ガラス粉末の例としては硼酸塩ガラス、硅酸塩ガラス、燐酸塩ガラス等があげられる。水溶性ポリマーとの反応性の観点から硼酸塩ガラス又は硼酸塩ガラスと他の酸化物ガラスとの混合物が望ましい。酸化物ガラスは板状ガラスを溶融、冷却後、粉砕して用いる。ガラス粉末の粒度は特に制限は無いが、粒子径が小さく同じ粒子径のものが望ましい。
【0049】
本発明のゲル状保冷材は通常包装部材中にゲル状物が充填された状態である。包装部材の形状としては、袋状、箱状、円筒状、ボール状、球状等任意の形でよく、特に制限されない。大きさも使用目的に応じて保冷能力を発揮できる範囲で任意に設定することができる。
包装部材の材質は耐水性のものであれば透水性であれ不透水性であれ特に制限されない。不透水性基材としては、柔軟性のあるフィルム、保形性のある容器があげられる。
柔軟性のフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ナイロン、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂製フィルム;これらの積層ラミネートフィルム;アルミホイル等の金属製フィルム、及び合成樹脂製フィルムと金属フィルムとの多層ラミネートフィルムが挙げられる。柔軟性の点から合成樹脂製フィルム、及び合成フィルムの積層ラミネートフィルムが好ましい。
保形性のある容器としては、ポリエチレン容器、ポリプロピレン容器、ポリエステル容器等の合成樹脂容器が挙げられる。
【0050】
透水性基材としては、柔軟性があり且つ透水性であればよいが、通常使用時に破れない程度の湿潤強度があれば特に形態、材質にはこだわらない。透水性基材としては水が通る孔があれば特に限定はないが、孔の大きさは好ましくは0.01〜1mm、特に好ましくは0.01〜0.5mmであり、吸水性樹脂の粉末が漏れにくいものであればよい。シートの厚みは好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmである。シートの大きさは特に限定はない。
【0051】
材質としては例えば綿、羊毛、絹、セルロース、パルプ等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポバール等及びその変性物等の合成樹脂又は繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維等及びこれらの混合素材、洋紙、和紙等の紙の素材が適用できる。
ここで透水性は100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと30秒以下であり、好ましくは15秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。常態強度は縦/横とも2kg/cm以上、好ましくは3kg/cm以上の引裂強度が必要であり、湿潤強度(25℃のイオン交換水に1分浸漬後の引張強度)は0.05kg/cm以上、好ましくは0.1kg/cm以上必要である。
【0052】
形態としては例えば編布、織布、不織布等の布;ポリエチレン、ポリプロピレン等のシートに微細な孔を数多く開けたもの等のメッシュフィルム;洋紙、和紙等の紙等が挙げられる。これらの中で不織布が特に好ましい。不織布については、「不織布の基礎と応用」(日本繊維機械学会発行)に詳細に記載されている。また、熱融着法で固定する場合は熱融着繊維及び/又はフィルム等の熱融着物質を含んだものを使用するが、「熱融着不織布の実態と熱融着繊維全容」1989年4月24日発行、(株)大阪ケミカルマーケッティングセンターに詳細に記載されているものが挙げられる。
【0053】
本発明のゲル状保冷材は吸水性樹脂(A)、水及び必要により溶剤を万能混合機等で混合して容易に得ることができるし、容器中で混合して得ることもできる。
本発明のゲル状保冷材は、好ましくは−30〜10℃の条件で、さらに好ましくは−20〜5℃の条件で冷却した後、保冷材として用いることができる。
【0054】
ここで、保冷材の保冷用媒体としては上記の本発明のゲル状物が使用できる他、従来公知のものとブレンドして使用でき、例えば水溶性高分子(F)を水に溶解した柔軟なゲル状物が挙げられる。
水溶性高分子(F)としては、水溶性であれば重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは重量平均分子量1000〜100万、さらに好ましくは2000〜50万、特に好ましくは5000〜20万のものが挙げられる。重量平均分子量が1000以上であると、水溶液のゲル化効果が良好であり、100万以下であると水に溶解するのも早くゲル化の時間が遅くならない。具体的に使用できるものは天然高分子、半合成高分子、合成高分子が挙げられる。
【0055】
天然高分子としては、例えば、デンプン質(デンプン等);動物タンパク質(ゼラチン、カゼイン、コーラゲン等);動物タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質等);繊維素(木材セルロース等);海藻抽出物(寒天、カラギーナン等);植物種子粘質物(グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム等);植物樹葉粘質物(アラビアゴム、トラガントガム等);植物果実粘質物(ペクチン等);微生物生産粘質物(キサンタンガム、プルラン、カードラン、デキストラン、ジュランガム等);植物地下茎粘質物(コンニャクナンマン等)等が挙げられる。
半合成高分子としては、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等);デンプン誘導体(可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等);並びに、アルギン酸誘導体(アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール等)等が挙げられる。
【0056】
合成高分子としては、ポリオキシアルキレン化合物(1a)、ビニル系樹脂[アクリル系樹脂(1b)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー]、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
合成高分子の内でポリオキシアルキレン化合物(1a)としては、例えばポリエチレングリコール、多価アルコール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)付加物、ポリオキシエチレン・オキシプロピレングリコール(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック及び/又はランダム共重合体)等の後記するウレタン樹脂製造に使用されるポリエーテルと同じものが挙げられる。
【0057】
合成高分子の内でアクリル系樹脂(1b)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(塩)[例えばアクリル酸ソーダ等]、2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸(塩)[2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸ソーダ等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルアンモニウム4級塩[例えばメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルジアルキルアミン塩[例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートの3級もしくは4級塩等]からなる群より選ばれるビニル系モノマーの少なくとも1種を構成単位とするポリマーであり、この具体例として、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)もしくはビニルスルホン酸(塩)との3元共重合体、ポリ(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム4級塩との共重合物等が挙げられる。上記の塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン塩等が好ましい。
【0058】
本発明の保冷材は保冷剤として使用した後、廃棄せずに回収してさらに植物育成用保水剤として再利用できる。本発明の保冷材に供せられる吸水性樹脂(A)は、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍であるので、また好ましくは塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolであるので、植物体の発根阻害ないしは根の伸長阻害にならず、いわゆる「カルシウムイオン欠乏症」が生じない植物育成用保水剤として利用できるものである。従来の吸水性樹脂は吸水するものの植物に水を供給する能力が乏しく、多く使用すると植物体の発根阻害ないしは根の伸長阻害が生じるので、回収して植物育成用保水剤として使用出来なかった。
【0059】
使用済の本発明の保冷材は回収して、中のゲル状物をそのまま土に混ぜて使用することが出来るし、一旦乾燥して土に混ぜ使用することもできる。その際にはさらに吸水性樹脂(A)を混合してもよいし、担体(D)と混合して使用してもよい。また、植物育成用保水剤として通常添加される添加剤を添加してもよい。
そのままゲル状物を土と混ぜる場合の配合比は、ゲル中の(A)の濃度、土の種類等によっても異なるが、質量比で好ましくは1/99〜90/10であり、より好ましくは2/98〜50/50である。
担体(D)と混合して使用する場合は、(A)の種類、(D)の種類、植物の最適水分量により種々変化しうるが、(回収したゲル状物を乾燥したもの(G)と新たな(A)との合計量)/(D)との比率は重量比で、好ましくは0.1:99.9〜80:20、さらに好ましくは5:95〜70:30、特に好ましくは10:90〜65:35である。(G)と(A)の合計量が0.1以上では保水能力が十分となり、80以下で使用する場合は成形性が良好で経済的な観点からも好ましい。
【0060】
ここで、使用される担体(D)としては、植物体育成に適する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。植物体育成に適する物質としては、例えば無機物質及び/又は有機物質等の粉末、多孔体、ペレット状、繊維状及び発泡体等の水不溶性の固状のものが使用できる。後で述べる各種添加剤は除く。
無機物質としては、無機質粉体(土壌、砂、フライアッシュ、珪藻土、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシウム、アルミナ等);無機質繊維(ロックウール、ガラス繊維等);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミック、くんたん)、バーミキュライト、軽石、火山灰、ゼオライト、シラスバルーン等];無機質発泡体(パーライト等)等が挙げられる。
【0061】
有機物質としては、有機質粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、
ミカンの殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体、合成樹脂粉末(ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末等)等];有機質繊維[天然繊維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラ等)及びその他、草炭、羊毛等〕、人造繊維(レーヨン、アセテート等のセルロース系等)、合成繊維(ポリアミド、ポリエステル、アクリル等)、パルプ〔メカニカルパルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パルプ等)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプ等)、セミケミカルパルプ、再生パルプ(例えばパルプを一旦製紙して作った紙の機械的破砕又は粉砕物、又は故紙の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプ等)等〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材等)等];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭等);有機質発泡体[穀物、合成樹脂又はゴムの発泡体(ポリスチレン発泡体、ポリビニルアセタール系スポンジ、ゴムスポンジ、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ウレタンフォーム等)等];有機質ペレット[ゴム及び合成樹脂のペレット等]等が挙げられる。上記の植物体育成用担体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質繊維、ゴム及び合成樹脂である。発泡体の密度は0.01〜1g/cm3である。
【0062】
ゴム及び/又は合成樹脂については一般的に使用されているものでよいが
、具体例としては下記のものが挙げられる。
ゴムとしては、例えば、通常の天然ゴム(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム等が挙げられる。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、軟質、硬質をとわず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられるが、吸水によって容積が膨潤し得る程度の柔軟性を有するものが好ましく、硬質のものを使用するときは適当な可塑剤を用いて柔軟性を付与することが好ましい。
【0063】
ウレタン系樹脂としては、ポリオール、ジイソシアネート、鎖延長剤をバルク重合あるいは溶液重合することにより得られる直鎖状のポリウレタンをペレット化して押し出し成形、或いは射出成形するか溶液重合により得られたポリウレタン溶液を賦形して溶液を揮発除去するか、或いは凝固浴と接触させて凝固せしめる方法により製造されている。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、高重合度塩化ビニル樹脂、部分架橋塩化ビニル樹脂、ニトリルゴム(NBR)、ウレタン樹脂あるいはポリエステル樹脂等と塩化ビニル樹脂とのブレンド物、ウレタン−塩化ビニル共重合体、ニトリルゴム(NBR)−塩化ビニル共重合体等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴムとポリオレフィンとの混合物、エチレン−プロピレンゴムにポリオレフィンをグラフト化した重合体等が挙げられる。
【0064】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合体等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合体、ポリエステル−ポリアミドブロック共重合体等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂及びゴムの分子量は特に制限はないが、軟化点は通常30〜300℃であり、好ましくは40〜200℃であり、特に好ましくは50〜150℃である。これらはそれぞれ単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばホルマリン縮合樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系等が挙げられる。
ホルマリン縮合樹脂系としては、尿素樹脂(尿素とホルマリンとの反応物)、メラミン樹脂(メラミンとホルマリンとの反応物、フェノール樹脂(フェノールとホルマリンとの反応物)、レゾシノール樹脂(レゾシノールとホルマリンとの反応物等が挙げられる。
【0065】
エポキシ樹脂系としては、末端に反応性のエポキシ基を持つ分子量数百から約一万のオリゴマーと適当な硬化剤と組み合わせ、硬化させることで製造され、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂(エポキシ当量;65〜1000)と硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリメルカプタン類等)との反応物(エポキシ基と各官能基との比率はモル比で1:10〜10:1)等が挙げられる。
ウレタン樹脂系としては、直鎖状のポリエステル、ポリエーテル又はポリエステルアミドをベースとし、ポリイソシアネートを反応させてNCO末端プレポリマー(NCO%:1〜10%)を作り、鎖延長剤により高分子化し、熱又は適当な架橋剤により硬化せしめるプレポリマー法及びポリオール、ジソシアネート、鎖延長剤、架橋剤を同時に混合して反応せしめるポリウレタンを得るワンショット法(イソシアネート/ポリオール等の活性水素=0.8/1〜10/1)により製造され、注型法、混練法で成形される。
上記、ゴム及び熱可塑性樹脂の数平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2〜100万である。又、熱硬化性樹脂の硬化前の数平均分子量は、通常10万以下、好ましくは、5万以下である。数平均分子量はゲルパーミエーション(GPC法)で測定できる。
又、(D)の形態の大きさについては制限がないが、これらの粉末の粒子径(長径)は通常1〜800μ、好ましくは5〜200μであり、多孔体、繊維および発泡体の大きさは通常0.001〜20mm、好ましくは0.01〜10mmである。ペレットは通常1〜1000mmである。
【0066】
さらに担体(D)を使用するときに結合剤(E)を用いてもよい。(E)としては、一般的に使用されているものでよく、水溶性、非水溶性を問わず、いずれであっても使用することができる。該(G)は通常の状態ではいくらかは含水しており、それ自身接着性を有するものであるが、(G)の水分状態、形状、比重等により(G)と(D)との造形効果を高めるために必要により結合剤(E)を用いる。(E)の形状は特に制限はないが、25℃における粘度が100万以下、好ましくは10万以下の流動性を有する状態で使用されるものであり、例えば溶剤及び/又は水に溶解又は分散したもの等が好適に使用出来る。又、成形方法によって適時結合剤を選択使用でき、例えば天然高分子、半合成高分子、合成樹脂及び合成ゴム等が挙げられる。(後述する添加剤は除く)
【0067】
水可溶又は水分散が可能な水系として使用できるものとしては前記の(F)と同じものが挙げられる。また、これらを水系としてでなく熱可塑性を利用して使用することが出来る。熱可塑性の軟化点としては前記した熱可塑性樹脂の場合と同じである。
【0068】
熱可塑性樹脂や溶剤可溶又は分散が可能なものとしてはゴム及び合成樹脂が挙げられる。ゴム及び合成樹脂の例としては前記の(D)と同じものが挙げられる。
本発明において必要により使用する(D)と(A)を結合する役目をもつ結合剤(E)の量は、固形分で(A)と(D)の合計量に対し通常0〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【0069】
回収したゲル状物を再利用する場合、ゲル状物に含まれている含水量が不明なため一旦ゲル状物を乾燥させて水分を取り除いた後使用する場合、回収したゲル状物の乾燥物(G)を使用して(D)を使った植物体育成用保水剤を製造する方法としては、例えば(i)上記(G),(D)及び必要により(E)の撹拌混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、(ii)混合物を加圧成形し、適度な大きさに裁断・粉砕する方法、(iii)上記(i)で得られた裁断・粉砕物の表面に(A)及び必要により(E)をまぶした後に再度加圧成形し、裁断・粉砕する方法、(iv)(iii)の加圧成形前の物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、(v)一旦シート状、棒状あるいはブロック状に加圧成形した後、適当な大きさに裁断又は粉砕する方法、(vi)混合物をシート状、棒状或いはブロック状に加熱成形した後、裁断又は粉砕する方法、(vii)混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加熱成形する方法、(viii)混合物をシート状、棒状或いはブロック状に発泡した後、裁断又は粉砕する方法等が挙げられる。上記方法の中にさらに必要により発泡させても良い。又、(G),(D)及び必要により(E)の混合の際に(G)(D)(E)の合計量の1〜50%の水を加えゲルを増粘させて混合させても良い。これらの方法の中で好ましくは、(ii)、(vi)、(vii)、(viii)である。
上記の方法で得られる再利用保水剤は、成形体がペレット状の加圧成形体、該シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体の裁断物又は粉砕物、該シート状、棒状若しくはブロック状の加熱成形体の裁断物又は粉砕物、ペレット状の加熱成形体、該シート、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物からなる群より選ばれる植物体育成用保水材である。好ましくは該シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体若しくは加熱成形体の裁断物又は粉砕物、成形体がペレット状の加圧成形体該シート、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物である。
【0070】
本発明の再利用保水材の発泡体を得る際に、上記(D)が熱可塑性樹脂及びゴムの場合、(G)、(D)に発泡剤、さらに必要ならば発泡促進剤又は発泡抑制剤を調合した後、加熱発泡することにより製造される。使用される発泡剤としては、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル、アゾジカルボン酸誘導体、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、ベンゼンモノヒドラゾール、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBBH)、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、プロパン、石油エーテル等が挙げられ、発泡体の発泡倍率により、または用途により異なるが、(D)100質量部に対して1〜80質量部の範囲が望ましい。又、(G)と(D)との混合物を調製する際に必要ならば、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤又は防カビ剤等を混合してもよい。又、(D)としてゴムを用いる場合には加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤あるいは活性剤等のゴム薬品、ゴム補強剤、粘着賦与剤、加工助剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、(オゾン)老化防止剤等を混合してもよい。配合量は(D)100質量部に対して0.01〜 10 部である。
尚、発泡は通常の一段発泡又は二段発泡によって行われる。得られる発泡体の密度は、特に限定されるものではない。
【0071】
上記(D)が熱硬化性樹脂の場合、例えば、(G)を含有するウレタン樹脂の発泡は、通常のウレタンフォームを製造する際に予め(G)と(D)が混合されていればよく、通常のウレタンフォームを製造するのと同様の操作で製造できる。通常のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを発泡剤及び適当な助剤の存在下に一段階に反応せしめるワンショット法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを反応せしめて得られるプレポリマーと水とを適当な助剤の存在下に反応せしめるトータルプレポリマー法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリヒドロキシル化合物とを反応せしめて得られるプレポリマーと追加量のポリヒドロキシル化合物とを発泡剤及びその他の適当な助剤の存在下に反応せしめるセミプレポリマー法等によって得られる。ここに発泡剤とは水の如き反応性の発泡剤の他、低沸点ハロゲン化炭化水素の如き非反応性の発泡剤を含む。その他の助剤とは触媒、発泡調整剤(泡安定剤)、着色剤等を意味する。
【0072】
上記の混合する装置は、混合物を均一に混合できるものであればいかなる装置でも良く、例えばヘシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー、タンブラー、万能混合機等が挙げられる。又、混合物を混練するには、例えば2軸押出機、単軸押出機、コニーダー、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の加熱しながら剪断力下混練できる装置がある。
加圧成形方法の場合は、例えば乾式加圧成形法、直接粉末加圧成形法、湿式加圧成形法等が挙げられる。加圧成形はロール式加圧成型機(ブリケットマシーン等)、ピストン式加圧成型機、スクリュー式加圧成型機、目皿押し出し式成型機(ディスクペレッター等)等を用いて行うことができる。上記加圧成型機のうち好ましいのはロール式加圧成型機及び/又は目皿押し出し式成型機である。又、加圧成形時の加圧は通常常温下で行うが、加熱(例えば30〜300℃)下で行っても差し支えない。加圧成形時の圧力は基材の種類、大きさ(粒度)、性質等に合わせて適当に選ぶことができるが、通常1〜3000kg/cm2、好ましくは10〜2,000kg/cm2である。得られた加圧成形物の形状は任意でよく、たとえばシート状、球状、円筒状、板状、塊状、直方体状、円錐状、角錐状、棒状等の種々の形状が挙げられる。これらの大きさは例えばシート状の場合は厚さ0.1〜30mm、球状〜棒状の場合は最大径0.1〜30mmである。裁断物の大きさは任意でよく、又、粉砕物の大きさは通常0.001〜20mm、好ましくは0.01〜10mmである。裁断は公知の方法で良く例えばカッター、ペレタイザー等を使用して行い、粉砕も公知の方法で良く、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー、遠心粉砕機等)や空気粉砕機(ジエットミル等)等を用いて行う。
【0073】
加温及び/又は乾燥成形方法の場合は、例えば押し出し成形、プレス成形、押し出し成形とプレス成形の併用、遠心成形等各種の方法が適用でき、特に制限はない。代表例として、押し出し成形方法の場合は、本発明の混合物を用い、スクリュー型真空押し出し成型機、スクリュー型押し出し成型機、プランジャー型押し出し成型機等で、その先端に付けたダイス等を通して所望の形に押し出し成形し、切断機又は粉砕機を用いて所望の長さ、大きさに切断、粉砕する。押し出し成形された混合物は、その後加熱及び/又は乾燥を行って目的の成形物が得られる。上記乾燥方法は公知の方法でよく、例えば透気乾燥(バンド乾燥等)や通気乾燥(循風乾燥等)、接触乾燥(ドラムドライヤー乾燥等)、減圧乾燥を行う方法等を例示することができる。又、加温及び/又は乾燥成形時の温度は基材の種類、大きさ(粒度)、性質等に合わせて適当に選ぶことができるが、通常30〜300℃、好ましくは50〜200℃である。上記において乾燥は通常大気圧下で行うが、減圧(750〜5mmHg)下で行っても差し支えない。得られた加熱及び/又は乾燥成形物の形状は加圧成形の場合と同じである。乾燥物の含水量は10%以下であり、好ましくは7%以下である。
【0074】
また、再利用の植物体育成用保水剤に、必要に応じて、肥料、農薬、殺虫剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤、防かび剤、防腐剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤等の薬剤を併用することができる。これらの薬剤は植物体育成用保水剤中に存在していればよく、あらかじめ植物体育成用担体及び/又は吸水性樹脂に添加しておいてもよく、あるいは成形工程の前後において添加してもよい。この保水剤は、着色されていても着色されていなくてもよいが、視覚的な効果から顔料および/又は染料により着色されていることが好ましい。
【0075】
再利用の植物体育成用保水剤の使用方法としては、栽培床材料として単独で使用してもよいし、土壌等の栽培床材料と混合する方法、植物に対して離れた特定箇所に投入する方法、栽培床の適当な深さに層状に埋没する方法が挙げられるが、一般的に播種周辺部、根系発達部、土壌表層部に投入することができる。即ち、再利用の植物体育成用保水剤を用いて、保水層又は保水塊を形成させ栽培植物に保持された水分が有効に利用されるならば、土壌のいかなる場所でも良い。又、本発明の植物体育成用保水剤を植生帯、植生マット、植生袋、植生盤等の資材に組み込んで使用することもできる。
再利用の植物体育成用保水剤は、水又は水溶液(例えば、肥料成分を水に溶解させた水性液)を吸収して、植物体育成用保水剤の質量に対して、好ましくは5〜200倍、より好ましくは10〜100倍に膨潤する性質を有するものである。
架橋ないし網目構造中に保持された「分散液体」は、水を主要成分として含む液体である限り、特に制限されない。より具体的には例えば、分散液体は、水自体であってもよく、また、水溶液(例えば、水溶性肥料等が溶解した水溶液)及び/又は含水液体(例えば、水と1価ないし多価アルコール等の混合液体)のいずれであってもよい。
【0076】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下部は質量部を示す。
【0077】
製造例1
1Lのビーカーに、アクリル酸230g、48%の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH KNEADERPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の塩化カルシウム水溶液35.5gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒径450ミクロン(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)であって、カルシウムイオン吸収量85.4(mg/g)、塩素イオン含有量1.6(mmol/g)、吸水倍率309(g/g)の吸水性樹脂(A▲1▼)を得た。
【0078】
製造例2
市販の吸水性樹脂(三洋化成工業社製,商品名:サンフレッシュST−500D)10gを4Lの蒸留水で膨潤させたところに、1LのCaCl2溶液(Ca含有1g;濃度0.28%)を加え、よく撹拌した。時々撹拌しながら2時間ほど放置し、網(メッシュの細かさ:ナイロンメッシュ濾過布、250メッシュ、安積濾紙社製、商品名N−No250HD)でゲルを濾し取った後、乾燥器(120℃)中で1時間乾燥させた。乾燥後、乳鉢で粉砕しゲル粉末とし、平均粒径450ミクロン、カルシウムイオン吸収量62.9(mg/g)、塩素イオン含有量0.6(mmol/g)、吸水倍率244(g/g)の吸水性樹脂(A▲2▼)を得た。
【0079】
製造例3
1リットルのビーカーにアクリル酸0.29g(0.04mol)に48%の水酸化ナトリウム水溶液0.33g、50%アクリルアミド水溶液278.4g(1.96mol)、水278gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35%の過酸化水素水0.0001g、L−アスコルビン酸0.00005g及び4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.025gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。
このゲルを、ミートチョッパーで細分化した後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒径1000ミクロンの未架橋の乾燥粉末を得た。この未架橋の乾燥粉末100gをステンレスのバットに3mmの厚みで入れ、160℃の循風乾燥機で120分加熱して熱架橋させて、カルシウムイオン吸収量3.3(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率55(g/g)の吸水性樹脂(A▲3▼)を得た。
【0080】
製造例4
製造例3の重合を行う際に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.1g(ダイソー社製)を添加し、熱架橋を行わなかった以外は、製造例3と同様な操作を行い、カルシウムイオン吸収量3.3(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率50(g/g)の吸水性樹脂(A▲4▼)を得た。
【0081】
実施例1
不透水性シートとして、ナイロン/ポリエチレンラミネートフィルム(厚さ:80μm)を16cm×25cmの大きさの長方形に切り、これを2枚ポリエチレンフィルムの側を互いに内側に向けて重ねて三方の端を約1cmの糊しろになるようにヒートシールして袋を作った。吸水性樹脂「A▲1▼」(15g)と、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を上記保冷材容器に入れ、ついで開口部をヒートシール(密封)し、保冷材を作成した。
【0082】
実施例2
吸水性樹脂「A▲2▼」(15g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作成した保冷材容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作成した。
実施例3
吸水性樹脂「A▲1▼」(13g)、水溶性のカルボキシメチルセルロース(2g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作成した保冷材容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作成した。
【0083】
実施例4
吸水性樹脂「A▲3▼」(60g)、水道水(985g)と混合してゲル溶液を作った。混合から約2分後にこのゲル溶液全量を実施例1で作製した保冷容器に入れ、開口部をヒートシールして保冷材を作製した。
実施例5
実施例4において、吸水性樹脂「A▲3▼」に代えて、吸水性樹脂「A▲4▼」を用いた以外は実施例4と同様にして保冷材を作成した。
【0084】
比較例1
実施例1において、吸水性樹脂をA▲1▼に替えてサンフレッシュST−500Dを用いた以外は実施例1と同様にして保冷材を作成した。
サンフレッシュST−500D;アクリル酸塩系吸水性樹脂、平均粒径380μm、カルシウムイオン吸収量164(mg/g)、塩素イオン含有量0(mmol/g)、吸水倍率400倍、三洋化成工業社製。
【0085】
保冷材の試験方法を次に示す。
<保冷効果の確認試験>
保冷材を−40℃で完全に凍結させた。この保冷材を試験容器内の敷き布団と掛け布団との間に挿入し、蓋を閉じ、約24時間室内に放置し、保冷材の表面温度を測定した。
試験容器:蓋付きの木箱(厚さ2cmの平板を使用し、巾30cm、横60cm、高さ20cm)の中に綿の敷き布団(厚さ10cm、縦30cm、横60cm)を置いた。
【0086】
性能評価
実施例1〜5の保冷材及び比較例1の保冷材について、保冷効果の確認試験を行った。その結果を表1に示した。
保冷効果の確認試験
測定時の外気温:22〜26℃
【0087】
【表1】
【0088】
性能評価
実施例1〜5の保冷材及び比較例1の保冷材中のゲル状物について、植物の生長度合いの確認試験を行った。その結果を表2に示した。
【0089】
<植物の生育度合い(1)の確認試験>
30cm×20cm×20cmのプラスチックス製のプランターに砂質土壌(例えば川砂)5kgを入れた。
砂質土壌5.0kgに保冷材中のゲル状物(実施例1〜3、比較例1)2.0kg及び化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)0.3kgを加え十分に混合した土壌を砂質土壌の入ったプランターの上に積層し十分灌水した後、キュウリ、大根、イネを播種した。3日おきに100gの水道水を灌水し、14日間の各植物の生育状況(12株の平均値)を観察した。
植物育成度合い(1)の確認試験
【0090】
【表2】
【0091】
実施例6
実施例1で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で3時間乾燥し、水分3.2質量%の使用済み吸水性樹脂B▲1▼を得た。
珪砂「天然珪砂4号」(粒度20〜65mesh、土屋カオリン社製)と上記使用済み吸水性樹脂B▲1▼を85:15の重量比で混合し、室温下、ブリケットマシーン(新東工業社製)で2,000kg/cm(線圧)に加圧して、平均粒径が約4mmの大きさのペレット状土壌保水剤を作成した。
【0092】
実施例7
実施例2で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.8質量%の使用済み吸水性樹脂B▲2▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲2▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0093】
実施例8
実施例3得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分3.5質量%の使用済み吸水性樹脂B▲3▼を得た。
実施例6において「天然珪砂4号」:「使用済み吸水性樹脂B▲1▼」(配合割合が重量比で85:15)を、「天然珪砂4号」:「使用済み吸水性樹脂B▲3▼」:「ラックスターCB−2」(スチレン・ブタジエンゴム、大日本インキ社製)(配合割合が重量比で85:15:1)に替えた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0094】
実施例9
実施例4で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分3.0質量%の使用済み吸水性樹脂B▲4▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲5▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0095】
実施例10
実施例5で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.9質量%の使用済み吸水性樹脂B▲5▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲5▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0096】
比較例2
比較例1で得られるゲル状物を120℃に温度調整した乾燥機で同様に乾燥し、水分2.6質量%の使用済み吸水性樹脂B▲6▼を得た。
実施例6において、使用済み吸水性樹脂をB▲1▼に替えて使用済み吸水性樹脂B▲6▼を用いた以外は実施例6と同様にして土壌保水剤を作成した。
【0097】
土壌保水剤の試験方法を次に示す。
<植物の生育度合い(2)の確認試験>
30cm×20cm×20cmのプラスチックス製のプランターに砂質土壌(例えば川砂)5kgを入れた。
砂質土壌8.7kgに保冷材中のゲル状物(実施例4〜6、比較例2)1.3kg及び化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)0.5kgを加え十分に混合した土壌を砂質土壌の入ったプランターの上に積層し十分灌水した後、キュウリ、大根、イネを播種した。3日おきに50gの水道水を灌水し、14日間の各植物の生育状況(12株の平均値)を観察した。
【0098】
性能評価
実施例6〜10及び比較例2の土壌保水剤について、植物の生長度合い(2)の確認試験を行った。その結果を表3に示した。
植物育成度合い(2)の確認試験
【0099】
【表3】
【0100】
【発明の効果】
本発明の保冷材は、保冷材として良好な冷却効果を有すると同時に、使用済の保冷材を回収して植物体育成用保水材として廃棄することなく再利用することができるという効果を奏する。
再利用の植物体育成用保水材は、植物の生育を阻害することがなく、吸水能が優れているので、植物に十分な水分を補給することができる。また、天然土壌に代わり軽量な基材を使い種々の形状に加工できるので、植え込み材料の重量を大幅に軽量化することができる。特に、施設園芸において生産、流通が吸速に伸びているセル成型苗、コミュニティーポット苗、ポット苗等の「鉢物」用の植え込み材料として有効に利用できる。
Claims (7)
- カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mg、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂(A)を含むことを特徴とする保冷材。
- さらに前記(A)の塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolであることを特徴とする請求項1記載の保冷材。
- 前記(A)がノニオン系吸水性樹脂及び/又はアニオン系吸水性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の保冷材。
- 前記(A)がゲル状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の保冷材。
- 包装材に前記(A)が充填された請求項1〜4の何れか記載の保冷材。
- 使用済の前記請求項1〜5の何れか記載の保冷材を使用した植物育成用保水剤。
- 使用済の前記請求項1〜5の何れか記載の保冷材を回収して植物育成用保水剤として再利用する方法。
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