JP2004123632A - 消炎鎮痛外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤において皮膚透過後のオキシカム系消炎鎮痛薬の拡散性を高めることにより、患部までのオキシカム系消炎鎮痛薬の輸送効率の上昇、皮膚刺激の軽減、高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤の吸収率低下の抑制等の効果を発現させ、飛躍的に優れたオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤を提供する。
【解決手段】本発明の消炎鎮痛剤外用剤はオキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を同時に含有することを特徴とし、剤型としては外用剤としての剤型であればどのようなものでもよい。
【解決手段】本発明の消炎鎮痛剤外用剤はオキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を同時に含有することを特徴とし、剤型としては外用剤としての剤型であればどのようなものでもよい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
従来、比較的副作用の少ない消炎鎮痛剤として、非ステロイド系消炎鎮痛剤が知られている。この非ステロイド系消炎鎮痛剤は、痛みを増強する代謝経路であるアラキドン酸カスケードのうち最初の反応を触媒するシクロオキシゲナーゼを阻害することによって、炎症や発痛に関わるプロスタグランジンの生成を抑制する作用を有する。
【0002】
ところがプロスタグランジンは、炎症や発痛といった好ましくない作用を有する一方で生体内において多彩な作用を発揮するものであるため、非ステロイド系消炎鎮痛剤の投与によりプロスタグランジンの生成を必要以上に抑制すると、重篤な副作用が生じる場合がある。例えば、シクロオキシゲナーゼのアイソザイムであるシクロオキシゲナーゼI型は、胃粘膜保護や腎機能に関係しているため、これを非ステロイド系消炎鎮痛剤により阻害すると、消化官障害や腎機能障害が生じることがある。
従って、非ステロイド系消炎鎮痛剤について、これら副作用を比較的生じ難い外用剤としての開発が進められてきた。
【0003】
ところで、斯かる非ステロイド系消炎鎮痛剤の中でも、オキシカム系消炎鎮痛薬は、慢性リウマチ、変形性関節症、腰痛症、術後の消炎鎮痛などに優れた効果を発揮し、世界各国で市販されており、外用剤としてはオキシカム系消炎鎮痛薬の中のピロキシカムの軟膏剤が知られている。
【0004】
それらオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤はドラッグデリバリーシステムの概念を用い、経皮吸収に重点を置いて研究され、開発されてきた。皮膚を介して血中にオキシカム系消炎鎮痛薬が到達するまでを観点に置き製剤設計され、いろいろな技術が開発された。それらの技術の多くは製剤基剤に対する薬剤の溶解性向上を工夫することにより問題を解決してきた。(特公平3−38250、特開平10−87494)すなわち、低級アルカノールアミンでpHを上げ水にピロキシカムを溶解したもの、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステルなどの界面活性剤を用いて溶解したものなどが挙げられる。しかしこれらの技術は、本当の意味でのドラッグデリバリーシステムとは言い難い。なぜなら、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤は局所作用型の消炎鎮痛を目的とした外用剤であり、オキシカム系消炎鎮痛薬の到達点は血中ではなく炎症や痛みのある組織であるからである。血中へのオキシカム系消炎鎮痛薬の到達には真皮までオキシカム系消炎鎮痛薬が到達すればよいが、炎症や痛みのある組織は通常それよりもっと深い筋肉や関節の組織であることが多く、真皮より先の組織への浸透性もしくは拡散性はあまり考えられて製剤設計されていないのが現状である。確かに皮膚は外界とのバリアーであるため、その障壁を越えることはオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤におけるドラッグデリバリーシステムの大きな命題ではあるかもしれないが、次の深患部への輸送もさらに重要であり、それらすべてを解決して初めてオキシカム系消炎鎮痛薬のドラッグデリバリーシステムは完成される。
【0005】
しかし、製剤基剤への薬剤の溶解性向上は経皮吸収性向上にはつながるが、深患部にオキシカム系消炎鎮痛薬を到達させることにはつながらないと考えられる。
【0006】
また、それはオキシカム系消炎鎮痛薬が皮膚でとどまりやすいことを意味し、2次的障害を引き起こす。その2次的障害として皮膚刺激や高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬製剤の吸収効率の鈍化等が挙げられる。
【0007】
皮膚刺激は皮膚組織でのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度の上昇に伴いオキシカム系消炎鎮痛薬そのものが刺激を引き起こすことが考えられる。
【0008】
また、従来、オキシカム系消炎鎮痛薬の製剤濃度は1%の製剤でもそれ以上の濃度の製剤でも吸収量がほぼ同じで効果も変わらないことから、通常1%程度が適値とされている。それは、オキシカム系消炎鎮痛薬の拡散性が低いことに起因していると考えられる。オキシカム系消炎鎮痛薬が皮膚でとどまり、皮膚組織におけるオキシカム系消炎鎮痛薬濃度が上昇し、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤との濃度勾配が減少し、それで吸収効率の鈍化が起こると考えられる。
【0009】
それらの問題はオキシカム系消炎鎮痛薬自身の拡散性に依存するといえる。しかしオキシカム系消炎鎮痛薬自身の拡散性はあまり高くなく、それを高めることは、オキシカム系消炎鎮痛薬の分子そのものの改質を意味し、困難であった。
【0010】
上記のような状況から、本発明の解決課題は、消炎鎮痛剤として一般的なオキシカム系消炎鎮痛薬を外用剤として使用するにあたり、深い部分にある炎症や痛みのある組織にオキシカム系消炎鎮痛薬を到達させ、ひいては皮膚刺激、高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬製剤の吸収効率の鈍化の打破を目的とした、拡散性の高いオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の消炎鎮痛外用剤は、オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有することを特徴とする。
【0012】
上記オキシカム系消炎鎮痛薬1質量部に対する上記局所麻酔剤の割合は、0.2〜5質量部であることが好ましく、また、上記局所麻酔剤としては、リドカインが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る外用剤が享有する最大の特長は、局所麻酔剤を含有せしめることにより、従来のオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤のオキシカム系消炎鎮痛薬の皮膚透過後の皮下での拡散性増大にある。更に、皮膚組織でのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度の上昇に伴う皮膚刺激性、高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤における吸収効率の鈍化を改善し、またオキシカム系消炎鎮痛薬の経皮吸収性をも向上させ、飛躍的に優れたオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤の開発に成功したものである。
【0014】
以下に、本発明の実施形態及びその効果について説明する。
本発明に係るオキシカム系消炎鎮痛薬外用剤は、消炎鎮痛剤として使用されるが、慢性疼痛治療用途は除外される場合がある。本発明者らは、本発明と重複する範囲で、別途慢性疼痛治療用外用剤を出願しているからである。
【0015】
本発明に使用される「オキシカム系消炎鎮痛薬」は、医薬品として使用されるオキシカム系消炎鎮痛薬であれば特に限定はされないが、例えばピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカムを挙げることができ、これらより一種または二種以上を選択して使用することが好ましい。
【0016】
本発明に使用される「局所麻酔剤」は、従来医療用局所麻酔剤として使用されているものであれば特に限定はされないが、例えばリドカイン、テトラカイン、プロカイン、ジブカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、メピバカインおよびこれらの塩を挙げることができ、これらより一種または二種以上を選択して使用することが好ましい。
【0017】
これら局所麻酔剤のうち、塩となっていない局所麻酔剤が高い効果を示し、また、リドカインが、特に高い効果を示す。
【0018】
局所麻酔剤の含有割合が、オキシカム系消炎鎮痛薬1質量部に対して0.2〜5質量部(好ましくは0.5〜3質量部)である場合に、特に上記効果が高い。
【0019】
本発明の外用剤に配合されるオキシカム系消炎鎮痛薬の配合量は、外用剤全体に対して1〜50質量%が好ましい。配合量が1質量%未満であると鎮痛効果が不十分となり、50質量%を超えると副作用が強くなるからである。また、本発明の外用剤に配合される局所麻酔剤の配合量も、外用剤全体に対して1〜50質量%が好ましい。配合量が1質量%未満であると鎮痛効果が不十分となり、50質量%を超えると副作用が強くなるからである。
【0020】
本発明に係る外用剤の剤型としては、例えば軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性パップ剤などを挙げることができるが、外用剤として用いられている剤形であるならば、特に限定はされない。
【0021】
本発明の外用剤には,必要に応じて,賦形剤(例えば、白糖などの糖類;デキストリンなどのデンプン誘導体;カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体;キサンタンガムなどの水溶性高分子等)、着色剤,滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤やマグロゴール等)、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、保存剤、溶剤(例えば、水、エタノール、グリセリン等)、溶解補助剤、懸濁化剤(例えば、カルメロースナトリウム等)、緩衝剤、pH調整剤などを通常の配合量で配合できる。
【0022】
本発明に係る外用剤の使用量は、含有有効成分の種類、患者の症状や年齢等により異なるが、一般的には、成人に対して1日1回〜数回適用することが好ましい。更に好適には、1日1〜2回適用するが、症状によっては投与回数を増やしてもよい。
【0023】
【実施例】
次に、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、本実施例および比較例における配合量の値は、全て質量%である。
【0024】
【実施例1】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0025】
【実施例2】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0026】
【実施例3】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例4】
表2の処方で、通常の製造法により軟膏剤を調製した。
すなわちピロキシカム及びリドカインをセバシン酸ジエチルに溶解したものと防腐剤と白色ワセリンを混合し作成した。
【0029】
【実施例5】
表2の処方で、実施例4と同様の製造法により軟膏剤を調製した。
【0030】
【実施例6】
表2の処方で、実施例4と同様の製造法により軟膏剤を調製した。
【0031】
【表2】
【0032】
【比較例1】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0033】
【比較例2】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0034】
【比較例3】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0035】
【比較例4】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0036】
【表3】
【0037】
【試験例1】
ゼラチンを5、中鎖脂肪酸トリグリセリドを3、カルメロースナトリウムを1、ポリソルベート80を0.5、尿素を0.3、防腐剤を適量および全量100となるよう調整した精製水を加温混合し一様にして、冷却しゲルを作成した。4cmの深さにしたゲル上に100mg/cm2となるように実施例1,2,3,比較例1,2,3,4を重層した。25℃で7日間放置し、ゲルの上層より1cm以外の下層のゲルを切り出し、そのゲルのピロキシカム濃度を測定した。ピロキシカムの濃度測定にはゲルをすりつぶしメタノールで抽出後、高速液体クロマトグラフィにて測定した。その結果を表4に示した。
【0038】
【表4】
【0039】
オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例1,2,3,4は、オキシカム系消炎鎮痛薬のみ含有する外用剤である比較例1,2,3に比べ、拡散性が大きいことが明らかとされた。実施例1,2,3のピロキシカム配合量に比例して、1cmより下層に拡散したピロキシカム濃度が増加している。比べて、比較例1,2,3の拡散量はピロキシカム配合量に対して比例しているとはいえない。このことから本発明の外用剤は良好な拡散性を有していることが示された。
【0040】
【試験例2】
実施例4,5,6を、被験者6人の上腕内側に約2.5cm2の範囲に0.1gの軟膏を塗布しガーゼで覆い、24時間後に軟膏をふき取った。その後、1時間,24時間,48時間後に貼付部の皮膚刺激を観察した。皮膚刺激なしを−、弱い皮膚刺激ありを±、強い皮膚刺激ありを+として判定し、その結果を表5に示した。
【0041】
【表5】
表中の数字は、それぞれのカテゴリーに含まれる被験者数を示す。
以上の結果により、オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例4,5,6は、皮膚刺激がほとんどないことが明らかとされた。
【0042】
【試験例3】
実施例4,5,6を、被験者6人の上腕内側に約2.5cm2の範囲に0.1gの軟膏を塗布しガーゼで覆い、24時間後に軟膏をふき取った。ふき取った軟膏剤を回収し、そのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度を測定し残存したオキシカム系消炎鎮痛薬濃度より吸収量を計測した。オキシカム系消炎鎮痛薬濃度の測定はメタノールにて抽出し、高速液体クロマトグラフィにて測定した。その結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
【0044】
以上の結果によりオキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例4,5,6,7は含有オキシカム系消炎鎮痛薬濃度に関係なくほぼどれも10%程度の吸収率を示し、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤に局所麻酔剤を配合すると高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤における吸収効率の鈍化を改善することが明らかとなった。
【発明の属する技術分野】
従来、比較的副作用の少ない消炎鎮痛剤として、非ステロイド系消炎鎮痛剤が知られている。この非ステロイド系消炎鎮痛剤は、痛みを増強する代謝経路であるアラキドン酸カスケードのうち最初の反応を触媒するシクロオキシゲナーゼを阻害することによって、炎症や発痛に関わるプロスタグランジンの生成を抑制する作用を有する。
【0002】
ところがプロスタグランジンは、炎症や発痛といった好ましくない作用を有する一方で生体内において多彩な作用を発揮するものであるため、非ステロイド系消炎鎮痛剤の投与によりプロスタグランジンの生成を必要以上に抑制すると、重篤な副作用が生じる場合がある。例えば、シクロオキシゲナーゼのアイソザイムであるシクロオキシゲナーゼI型は、胃粘膜保護や腎機能に関係しているため、これを非ステロイド系消炎鎮痛剤により阻害すると、消化官障害や腎機能障害が生じることがある。
従って、非ステロイド系消炎鎮痛剤について、これら副作用を比較的生じ難い外用剤としての開発が進められてきた。
【0003】
ところで、斯かる非ステロイド系消炎鎮痛剤の中でも、オキシカム系消炎鎮痛薬は、慢性リウマチ、変形性関節症、腰痛症、術後の消炎鎮痛などに優れた効果を発揮し、世界各国で市販されており、外用剤としてはオキシカム系消炎鎮痛薬の中のピロキシカムの軟膏剤が知られている。
【0004】
それらオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤はドラッグデリバリーシステムの概念を用い、経皮吸収に重点を置いて研究され、開発されてきた。皮膚を介して血中にオキシカム系消炎鎮痛薬が到達するまでを観点に置き製剤設計され、いろいろな技術が開発された。それらの技術の多くは製剤基剤に対する薬剤の溶解性向上を工夫することにより問題を解決してきた。(特公平3−38250、特開平10−87494)すなわち、低級アルカノールアミンでpHを上げ水にピロキシカムを溶解したもの、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステルなどの界面活性剤を用いて溶解したものなどが挙げられる。しかしこれらの技術は、本当の意味でのドラッグデリバリーシステムとは言い難い。なぜなら、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤は局所作用型の消炎鎮痛を目的とした外用剤であり、オキシカム系消炎鎮痛薬の到達点は血中ではなく炎症や痛みのある組織であるからである。血中へのオキシカム系消炎鎮痛薬の到達には真皮までオキシカム系消炎鎮痛薬が到達すればよいが、炎症や痛みのある組織は通常それよりもっと深い筋肉や関節の組織であることが多く、真皮より先の組織への浸透性もしくは拡散性はあまり考えられて製剤設計されていないのが現状である。確かに皮膚は外界とのバリアーであるため、その障壁を越えることはオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤におけるドラッグデリバリーシステムの大きな命題ではあるかもしれないが、次の深患部への輸送もさらに重要であり、それらすべてを解決して初めてオキシカム系消炎鎮痛薬のドラッグデリバリーシステムは完成される。
【0005】
しかし、製剤基剤への薬剤の溶解性向上は経皮吸収性向上にはつながるが、深患部にオキシカム系消炎鎮痛薬を到達させることにはつながらないと考えられる。
【0006】
また、それはオキシカム系消炎鎮痛薬が皮膚でとどまりやすいことを意味し、2次的障害を引き起こす。その2次的障害として皮膚刺激や高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬製剤の吸収効率の鈍化等が挙げられる。
【0007】
皮膚刺激は皮膚組織でのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度の上昇に伴いオキシカム系消炎鎮痛薬そのものが刺激を引き起こすことが考えられる。
【0008】
また、従来、オキシカム系消炎鎮痛薬の製剤濃度は1%の製剤でもそれ以上の濃度の製剤でも吸収量がほぼ同じで効果も変わらないことから、通常1%程度が適値とされている。それは、オキシカム系消炎鎮痛薬の拡散性が低いことに起因していると考えられる。オキシカム系消炎鎮痛薬が皮膚でとどまり、皮膚組織におけるオキシカム系消炎鎮痛薬濃度が上昇し、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤との濃度勾配が減少し、それで吸収効率の鈍化が起こると考えられる。
【0009】
それらの問題はオキシカム系消炎鎮痛薬自身の拡散性に依存するといえる。しかしオキシカム系消炎鎮痛薬自身の拡散性はあまり高くなく、それを高めることは、オキシカム系消炎鎮痛薬の分子そのものの改質を意味し、困難であった。
【0010】
上記のような状況から、本発明の解決課題は、消炎鎮痛剤として一般的なオキシカム系消炎鎮痛薬を外用剤として使用するにあたり、深い部分にある炎症や痛みのある組織にオキシカム系消炎鎮痛薬を到達させ、ひいては皮膚刺激、高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬製剤の吸収効率の鈍化の打破を目的とした、拡散性の高いオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の消炎鎮痛外用剤は、オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有することを特徴とする。
【0012】
上記オキシカム系消炎鎮痛薬1質量部に対する上記局所麻酔剤の割合は、0.2〜5質量部であることが好ましく、また、上記局所麻酔剤としては、リドカインが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る外用剤が享有する最大の特長は、局所麻酔剤を含有せしめることにより、従来のオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤のオキシカム系消炎鎮痛薬の皮膚透過後の皮下での拡散性増大にある。更に、皮膚組織でのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度の上昇に伴う皮膚刺激性、高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤における吸収効率の鈍化を改善し、またオキシカム系消炎鎮痛薬の経皮吸収性をも向上させ、飛躍的に優れたオキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤の開発に成功したものである。
【0014】
以下に、本発明の実施形態及びその効果について説明する。
本発明に係るオキシカム系消炎鎮痛薬外用剤は、消炎鎮痛剤として使用されるが、慢性疼痛治療用途は除外される場合がある。本発明者らは、本発明と重複する範囲で、別途慢性疼痛治療用外用剤を出願しているからである。
【0015】
本発明に使用される「オキシカム系消炎鎮痛薬」は、医薬品として使用されるオキシカム系消炎鎮痛薬であれば特に限定はされないが、例えばピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカムを挙げることができ、これらより一種または二種以上を選択して使用することが好ましい。
【0016】
本発明に使用される「局所麻酔剤」は、従来医療用局所麻酔剤として使用されているものであれば特に限定はされないが、例えばリドカイン、テトラカイン、プロカイン、ジブカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、メピバカインおよびこれらの塩を挙げることができ、これらより一種または二種以上を選択して使用することが好ましい。
【0017】
これら局所麻酔剤のうち、塩となっていない局所麻酔剤が高い効果を示し、また、リドカインが、特に高い効果を示す。
【0018】
局所麻酔剤の含有割合が、オキシカム系消炎鎮痛薬1質量部に対して0.2〜5質量部(好ましくは0.5〜3質量部)である場合に、特に上記効果が高い。
【0019】
本発明の外用剤に配合されるオキシカム系消炎鎮痛薬の配合量は、外用剤全体に対して1〜50質量%が好ましい。配合量が1質量%未満であると鎮痛効果が不十分となり、50質量%を超えると副作用が強くなるからである。また、本発明の外用剤に配合される局所麻酔剤の配合量も、外用剤全体に対して1〜50質量%が好ましい。配合量が1質量%未満であると鎮痛効果が不十分となり、50質量%を超えると副作用が強くなるからである。
【0020】
本発明に係る外用剤の剤型としては、例えば軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性パップ剤などを挙げることができるが、外用剤として用いられている剤形であるならば、特に限定はされない。
【0021】
本発明の外用剤には,必要に応じて,賦形剤(例えば、白糖などの糖類;デキストリンなどのデンプン誘導体;カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体;キサンタンガムなどの水溶性高分子等)、着色剤,滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤やマグロゴール等)、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、保存剤、溶剤(例えば、水、エタノール、グリセリン等)、溶解補助剤、懸濁化剤(例えば、カルメロースナトリウム等)、緩衝剤、pH調整剤などを通常の配合量で配合できる。
【0022】
本発明に係る外用剤の使用量は、含有有効成分の種類、患者の症状や年齢等により異なるが、一般的には、成人に対して1日1回〜数回適用することが好ましい。更に好適には、1日1〜2回適用するが、症状によっては投与回数を増やしてもよい。
【0023】
【実施例】
次に、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、本実施例および比較例における配合量の値は、全て質量%である。
【0024】
【実施例1】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0025】
【実施例2】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0026】
【実施例3】
表1の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例4】
表2の処方で、通常の製造法により軟膏剤を調製した。
すなわちピロキシカム及びリドカインをセバシン酸ジエチルに溶解したものと防腐剤と白色ワセリンを混合し作成した。
【0029】
【実施例5】
表2の処方で、実施例4と同様の製造法により軟膏剤を調製した。
【0030】
【実施例6】
表2の処方で、実施例4と同様の製造法により軟膏剤を調製した。
【0031】
【表2】
【0032】
【比較例1】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0033】
【比較例2】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0034】
【比較例3】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0035】
【比較例4】
表3の処方で、通常の製造法によりローション剤を調製した。
【0036】
【表3】
【0037】
【試験例1】
ゼラチンを5、中鎖脂肪酸トリグリセリドを3、カルメロースナトリウムを1、ポリソルベート80を0.5、尿素を0.3、防腐剤を適量および全量100となるよう調整した精製水を加温混合し一様にして、冷却しゲルを作成した。4cmの深さにしたゲル上に100mg/cm2となるように実施例1,2,3,比較例1,2,3,4を重層した。25℃で7日間放置し、ゲルの上層より1cm以外の下層のゲルを切り出し、そのゲルのピロキシカム濃度を測定した。ピロキシカムの濃度測定にはゲルをすりつぶしメタノールで抽出後、高速液体クロマトグラフィにて測定した。その結果を表4に示した。
【0038】
【表4】
【0039】
オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例1,2,3,4は、オキシカム系消炎鎮痛薬のみ含有する外用剤である比較例1,2,3に比べ、拡散性が大きいことが明らかとされた。実施例1,2,3のピロキシカム配合量に比例して、1cmより下層に拡散したピロキシカム濃度が増加している。比べて、比較例1,2,3の拡散量はピロキシカム配合量に対して比例しているとはいえない。このことから本発明の外用剤は良好な拡散性を有していることが示された。
【0040】
【試験例2】
実施例4,5,6を、被験者6人の上腕内側に約2.5cm2の範囲に0.1gの軟膏を塗布しガーゼで覆い、24時間後に軟膏をふき取った。その後、1時間,24時間,48時間後に貼付部の皮膚刺激を観察した。皮膚刺激なしを−、弱い皮膚刺激ありを±、強い皮膚刺激ありを+として判定し、その結果を表5に示した。
【0041】
【表5】
表中の数字は、それぞれのカテゴリーに含まれる被験者数を示す。
以上の結果により、オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例4,5,6は、皮膚刺激がほとんどないことが明らかとされた。
【0042】
【試験例3】
実施例4,5,6を、被験者6人の上腕内側に約2.5cm2の範囲に0.1gの軟膏を塗布しガーゼで覆い、24時間後に軟膏をふき取った。ふき取った軟膏剤を回収し、そのオキシカム系消炎鎮痛薬濃度を測定し残存したオキシカム系消炎鎮痛薬濃度より吸収量を計測した。オキシカム系消炎鎮痛薬濃度の測定はメタノールにて抽出し、高速液体クロマトグラフィにて測定した。その結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
【0044】
以上の結果によりオキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有する外用剤である実施例4,5,6,7は含有オキシカム系消炎鎮痛薬濃度に関係なくほぼどれも10%程度の吸収率を示し、オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤に局所麻酔剤を配合すると高濃度オキシカム系消炎鎮痛薬含有外用剤における吸収効率の鈍化を改善することが明らかとなった。
Claims (3)
- オキシカム系消炎鎮痛薬および局所麻酔剤を含有することを特徴とする消炎鎮痛外用剤。
- 上記オキシカム系消炎鎮痛薬1質量部に対する上記局所麻酔剤の割合が0.2〜5質量部である請求項1に記載の消炎鎮痛外用剤。
- 上記局所麻酔剤が、リドカインである請求項1および2に記載の消炎鎮痛外用剤。
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