JP2004123410A - 建材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比重が小さく、優れた耐久性を発揮し、製造コストの高騰化を抑制できる建材の製造方法を提供する。
【解決手段】SiO2分の少なくとも一部はシリカヒュームであり、調合物は予め水和又は水熱処理により硬化されたリサイクル粉砕物を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】SiO2分の少なくとも一部はシリカヒュームであり、調合物は予め水和又は水熱処理により硬化されたリサイクル粉砕物を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セメント系基材等の基材上に無機質の塗膜である無機塗膜が形成された建材は、以下の製造方法により製造されていた(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法は基材形成工程及び塗膜形成工程を有する。基材形成工程では、セメント等のCaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化することにより、基材を形成する。また、基材形成工程後の塗膜形成工程では、基材上にアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を塗布して未硬化塗膜を形成し、未硬化塗膜を加熱により脱水するとともに脱アルカリ処理して無機塗膜を形成する。
【0003】
こうして得られた建材では、基材に含まれる軽量化原料の割合を多くすることにより比重を小さくできる一方、軽量化原料の割合に制限を設けて小さな吸水率を維持することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−202313号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の製造方法では、許容できる吸水率において軽量化原料の割合を可及的に多くすれば、比重が小さく、軽量化を実現可能な建材を製造できるものの、基材の表面を脆弱化させる傾向が明らかとなった。このため、その基材を用いた建材は、長期の使用により、無機塗膜が基材の表層部分とともに剥離するおそれがあり、この意味において耐久性が危惧される。
【0006】
この点、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けることもなされている。こうであれば、基材とシーラ層との間でアンカー効果が生じることとなるとともに、シーラ層が無機塗膜と好適に密着することから、基材の表層部分の強度を補強するとともに、無機塗膜が基材から剥がれることを防止できる。また、このシーラ層は比較的多孔質の無機塗膜から浸透する水が基材に浸入することを防止し、基材の炭酸化(中性化)を防止して建材の耐久性を向上させる。
【0007】
しかしながら、こうして基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けるとすると、シーラ層を構成するシーラが比較的高価であるとともに、シーラ層を設ける工程が必要になることから、製造コストが高騰してしまう。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、比重が小さく、優れた耐久性を発揮し、製造コストの高騰化を抑制できる建材の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のために鋭意研究を行い、基材を構成するSiO2分の少なくとも一部にシリカ微粒子を使用し、さらに基材を得るための調合物に予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材を使用することによって、基材の少なくとも表層部分の強度が上がることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の建材の製造方法では、CaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化した基材を得る基材形成工程と、該基材上にアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を塗布して未硬化塗膜を形成し、該未硬化塗膜を加熱により脱水するとともに脱アルカリ処理して無機塗膜とする塗膜形成工程とを有する建材の製造方法において、前記SiO2分の少なくとも一部はシリカ微粒子であり、前記調合物は予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の建材の製造方法では、基材形成工程において、CaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化することにより、基材を形成する。このとき、SiO2分の少なくとも一部がシリカ微粒子であるから、軽量化原料の周囲において、CaO分とSiO2分とは微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化することとなる。また、硬質骨材はアンカー効果を発揮する。そして、それら硬質骨材は、ケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化する基材と同様、予め水和又は水熱処理により硬化されたものであるため、基材の他の材料と強固に結合する。特に、調合物中のSiO2分であるシリカ微粒子はこの硬質骨材の周囲においても微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化する。このため、吸水率を考慮しつつ、基材ひいては建材の比重を小さくするために、調合物中の軽量化原料の割合を多くしても、得られた建材は、軽量化原料とともに表面の材料が脱落しにくく、表面が脆弱化しない。なお、基材はケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化したものであり、無機塗膜はアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を脱水・脱アルカリ処理してなるものであるため、両者の熱膨張係数はほぼ等しく、両者による直接的な密着性が損なわれない。このため、無機塗膜は、基材との間にシーラ層を設けなくても又そのシーラ層を薄くしたとしても、この基材に対して好適に密着し、基材から剥がれ難い。
【0012】
さらに、本発明の製造方法によれば、ケイ酸カルシウム水和物の結晶構造が緻密になるため、基材中の気孔率が抑えられ、無機塗膜を透過した水分が基材中に浸入し難くなる。こうして、基材の炭酸化を防止して建材の耐久性を向上させる。また、硬質骨材は自らの強度によって基材ひいては建材全体の強度も高める。
【0013】
こうして、シリカ微粒子と、予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材とは、軽量化原料の増量を促進することにより基材の比重を小さくするとともに、基材の吸水率を小さくすることもできるという二律背反する要求を実現できる。このため、本発明の製造方法では、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けなかったり、例え設けるにしてもそれを薄くできることから、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
したがって、本発明の建材の製造方法によれば、比重が小さく、かつ優れた耐久性を発揮する建材を安価に製造することができる。
【0015】
硬質骨材は、曲げ強度5MPa以上、圧縮強度15MPa以上のものであることが好ましい。この程度以上で硬質のものであれば、本発明の効果を奏することができるからである。硬質骨材はリサイクル品の粉砕物であることが好ましい。このような粉砕物は、例えば、産業廃棄物や建設廃材等として回収されたタイル屑、コンクリート屑等を粉砕することで得られる。このため、産業廃棄物等の減量や活用に役立つこととなり、それらのリサイクルが求められている今日において、環境上の価値が高いこととなる。
【0016】
軽量化原料としては、フライアッシュ、パーライト、シラスバルーン、珪藻土、発泡スチレンビーズ、パルプ繊維、有機繊維等を採用し得る。パルプ繊維はバージンパルプでもよいが、例えば古新聞、古雑誌又はダンボール等の紙製品の回収品をパルプ繊維とすれば、建材を安価に製造することができる。パルプ繊維を用いれば、基材ひいては建材に靭性を付与することができる。有機繊維としては、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニル繊維等を採用することができる。有機繊維もバージン繊維でもよいが、例えばボロ布等の繊維製品の回収品を有機繊維とすれば、建材を安価に製造することができる。
【0017】
シリカ微粒子としては、シリカフューム、コロイダルシリカ、マイクロシリカ、アエロジル等を採用することができる。特に、シリカフュームであることが好ましい。シリカフュームは、これらシリカ微粒子の中でも最も微細であり、CaO分に反応しやすい。なお、CaO分及びSiO2分としては、セメント、フライアッシュ等を採用することができる。CaO分としては、消石灰等を採用することができる。
【0018】
発明者らの試験結果によれば、調合物はセメントを含み、セメント100質量部に対し、シリカフュームは20質量部以上含まれ、硬質骨材は30〜50質量部含まれ、軽量化原料は20〜40質量部含まれていることが好ましい。この範囲であれば、基材の比重及び吸水率の二律背反する要求を調和させることができ、さらに、基材の強度を上げることができるからである。特に、シリカフュームは40質量部以下含まれていることが好ましい。
【0019】
基材形成工程としては、水和処理又は水熱処理を行なうことができるが、水熱処理を行なうことが好ましい。水熱処理の方がCaO分とSiO2分とがより微小に反応し、より極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化することとなるからである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
「準備工程」
実施形態の建材の製造方法では、CaO分及びSiO2分としてセメント及びフライアッシュ、シリカ微粒子としてシリカフューム、軽量化原料として有機繊維及びパルプ繊維、硬質骨材としてリサイクル粉砕物を準備する。また、メチルセルロース(MC)及び水も準備する。リサイクル粉砕物は、産業廃棄物として回収されたタイル屑を粒径が3mmアンダーに粉砕したものである。
【0022】
「基材形成工程」
次に、図1に示す基材形成工程S10として、表1に示す割合(質量部)でセメント、フライアッシュ、シリカフューム、有機繊維、パルプ繊維、リサイクル粉砕物及びMCをアイリッヒミキサーに投入し、乾式混合を行う。また、表2に示す割合(質量部)でセメント、フライアッシュ、有機繊維、パルプ繊維及びMC、シリカフューム若しくはリサイクル粉砕物をアイリッヒミキサーに投入し、乾式混合を行う。次いで、これに表1又は表2に示す割合(質量部)の水を加えて湿式混合を行う。そして、これをニーダに投入し、さらに混練して調合物を得る。得られた調合物を押出成形機(本田鉄工製DE−100)で押出し、厚さ10(mm)×幅100(mm)の未硬化基材を形成する。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
この後、1気圧で12時間かけて未硬化基材のスチーム養生を行う。そして、水熱処理として、6気圧、160°Cで12時間かけて未硬化基材のオートクレーブ養生を行う。こうして、調合物から得られる未硬化基材からケイ酸カルシウム水和物を生じて水熱硬化した基材が得られる。この基材を所望の大きさに切断する。
【0026】
この際、表1に示すように、100質量部のセメント、110質量部のフライアッシュ、20質量部のシリカフューム、40質量部のリサイクル粉砕物、1.5質量部の有機繊維、20質量部のパルプ繊維、3質量部のMC及び120質量部の水を加えた基材を試験例1とする。試験例1に比して、シリカフュームを30質量部に変更した基材を試験例2とする。試験例1に比して、シリカフュームを40質量部に変更し、水を125質量部に変更した基材を試験例3とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を30質量部に変更した基材を試験例4とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を50質量部に変更した基材を試験例5とする。試験例2に比して、パルプ繊維を30質量部に変更し、水を125質量部に変更した基材を試験例6とする。試験例2に比して、パルプ繊維を40質量部に変更し、水を130質量部に変更した基材を試験例7とする。
【0027】
また、表2に示すように、100質量部のセメント、150質量部のフライアッシュ、1.5質量部の有機繊維、20質量部のパルプ繊維、3質量部のMC及び120質量部の水を加えた基材を比較例1とする。試験例2に比して、シリカフュームを0質量部に変更した基材を比較例2とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を0質量部に変更した基材を比較例3とする。比較例3に比して、シリカフュームを10質量部に変更した基材を比較例4としている。比較例1に比して、20質量部のリサイクル粉砕物を加えた基材を比較例5とする。試験例2に比して、パルプ繊維を加えない基材を比較例6とする。
【0028】
「比重の測定」
試験例1〜7及び比較例1〜6の絶乾密度を比重として測定する。その結果を表3及び表4に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
「曲げ強度の測定・たわみ量の測定」
100(mm)×200(mm)×15(mm)の大きさの基材において、試験例1〜7及び比較例1〜6の曲げ強度(MPa)をオートグラフによって測定する。その際、試験例1〜7及び比較例1〜6のたわみ量(mm)も測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0032】
「圧縮強度の測定」
30(mm)×30(mm)×30(mm)の大きさの基材において、試験例2及び試験例5の圧縮強度(MPa)をオートグラフによって測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0033】
「吸水率・吸水長さ変化率の測定」
JIS A 5430に準じて試験例1〜7及び比較例1〜6の吸水率(%)及び吸水長さ変化率(%)を測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0034】
「透水量の測定」
ロート法に準じ、試験例1〜7及び比較例1〜6の表面側に水を入れた直径70(mm)の円筒管を置き、24時間後の円筒管内の減水量(g/m2)を透水量(g/m2)として測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0035】
「基材の表面引張強度の測定」
建研式接着力試験器を用いて5(mm)角の試験例1〜7及び比較例1〜6の表面引張強度(N)を測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0036】
そして、図1に示す塗膜形成工程S20として、アルカリケイ酸塩水溶液(水ガラス)、珪石粉、顔料及びその他の消泡剤や界面活性剤を混合した公知の無機塗料を用意する。そして、その無機塗料を試験例1〜7及び比較例1〜6の表面にエアスプレーによって厚さ20〜100(μm)になるまで塗布する。
【0037】
次に、試験例1〜7及び比較例1〜6上に形成された未硬化塗膜を120〜200°Cで加熱する。次いで、脱水した未硬化塗膜をアルカリ処理液に浸漬する。こうして、脱アルカリ処理した後、水洗い及び乾燥を行うことによって、試験例1〜7及び比較例1〜6上に無機塗膜を形成し、建材を製造する。
【0038】
「密着性の測定」
各建材の無機塗膜側にガムテープを密着する。そして、ガムテープを剥がした後、各試験例1〜7及び比較例1〜6の表面から剥離した各無機塗膜の面積を測定する。この際、剥離した各無機塗膜の面積が各試験例1〜7及び比較例1〜6の表面積に対して5(%)以下であるものを○とし、5(%)を超えるものを×としている。その結果も表3及び表4に示す。
【0039】
(評価)
比重の測定において、試験例1が1.05、試験例2が1.07、試験例3が1.08、試験例4が1.01、試験例5が1.10、試験例6が0.96及び試験例7が0.91であるのに対し、比較例5が1.40ある。このため、試験例1〜7の基材は比重が小さい。
【0040】
また、曲げ強度の測定において、試験例1が10.59(MPa)、試験例2が10.89(MPa)、試験例3が12.45(MPa)、試験例4が9.41(MPa)、試験例5が14.12(MPa)、試験例6が9.02(MPa)及び試験例7が8.53(MPa)であるのに対し、比較例1が6.37(MPa)、比較例2が7.16(MPa)及び比較例4が6.77(MPa)である。このため、試験例1〜7の基材は高い曲げ強度を有している。
【0041】
さらに、たわみ量の測定において、試験例1が12.40(mm)、試験例2が13.20(mm)、試験例3が12.80(mm)、試験例4が11.90(mm)、試験例5が12.60(mm)、試験例6が14.70(mm)、試験例7が16.10(mm)であるのに対し、比較例1が12.40(mm)、比較例2が12.70(mm)、比較例3が11.60(mm)及び比較例4が12.40(mm)である。このため、試験例1〜7の基材は、比較例1〜4の基材と略同等のたわみ量を有している。
【0042】
また、圧縮強度の測定において、試験例2が57.07(MPa)であるのに対し、比較例5が59.23(MPa)である。このため、試験例2の基材は、比較例5の基材と略同等の圧縮強度を有している。
【0043】
さらに、吸水率の測定において、試験例1が23.50(%)、試験例2が20.30(%)、試験例3が18.50(%)、試験例4が26.10(%)、試験例5が16.40(%)、試験例6が28.50(%)及び試験例7が29.70(%)であるのに対し、比較例1が43.80(%)、比較例2が45.90(%)、比較例3が35.80(%)及び比較例4が38.60(%)である。また、吸水長さ変化率の測定において、試験例1が0.72×10−1(%)、試験例2が0.53×10−1(%)、試験例3が0.37×10−1(%)、試験例4が0.68×10−1(%)、試験例5が0.48×10−1(%)、試験例6が0.65×10−1(%)及び試験例7が0.92×10−1(%)であるのに対し、比較例1が1.54×10−1(%)、比較例2が1.56×10−1(%)、比較例3が1.24×10−1(%)及び比較例4が1.39×10−1(%)である。このため、試験例1〜7の基材は吸水率及び吸水長さ変化率が抑えられている。
【0044】
また、透水量の測定において、試験例1が753.00(g)、試験例2が547.00(g)、試験例3が369.00(g)、試験例4が837.00(g)、試験例5が287.00(g)、試験例6が836.00(g)及び試験例7が942.00(g)であるのに対し、比較例1が2475.00(g)、比較例2が2648.00(g)、比較例3が1475.00(g)及び比較例4が1872.00(g)である。このため、試験例1〜7の基材は水分が浸入し難い。
【0045】
さらに、基材の表面引張強度の測定において、試験例1が378.28×10(N)、試験例2が418.46×10(N)、試験例3が477.26×10(N)、試験例4が359.66×10(N)、試験例5が493.92×10(N)、試験例6が348.88×10(N)及び試験例7が341.04×10(N)であるのに対し、比較例1が104.86×10(N)、比較例2が123.48×10(N)、比較例3が1475.00(N)及び比較例4が1872.00(N)である。このため、試験例1〜7の基材は表層部分が脆弱化しない。
【0046】
また、密着性の測定において、試験例1〜7及び比較例5が○であるのに対し、比較例1〜4が×である。このため、試験例1〜7及び比較例5の建材は密着性が良好である。
【0047】
また、試験例2では、たわみ量(mm)や表面引張強度(N)が比較例6に比して大きいことから靭性を有しており、パルプ繊維を用いることにより建材に靭性を付与できることがわかる。
【0048】
以上のような実施形態の製造方法では、試験例1〜7が全ての測定で良好な効果を発揮できる。試験例1〜7では、基材形成工程S10においてシリカフュームを含む調合物を硬化することにより基材を形成しており、軽量化原料の周囲において、シリカフュームがセメント等のCaO分とより微小に反応し、より極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物が硬化されるからである。また、リサイクル粉砕物はアンカー効果を発揮するからである。そして、それらリサイクル粉砕物は、ケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化する基材と同様、予め水和により硬化されたものであるため、基材の他の材料と強固に結合するからである。特に、調合物中のSiO2分であるシリカフュームはこのリサイクル粉砕物の周囲においても微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化する。このため、実施形態の製造方法によれば、吸水率を考慮しつつ、基材ひいては建材の比重を小さくするために調合物中の軽量化原料の割合を多くしても、得られた建材は軽量化原料とともに表面の材料が脱落しにくい。
【0049】
また、試験例1〜7では、シリカ微粒子の中でも最も微細なシリカフュームがCaO分に反応してケイ酸カルシウム水和物の結晶構造を緻密にする。このため、基材中の気孔率が抑えられ、無機塗膜を透過した水分が基材中に浸入し難くなるため、基材の炭酸化を防止して建材の耐久性を向上させる。また、リサイクル粉砕物は自らの強度によって基材ひいては建材全体の強度も高める。
【0050】
こうして、シリカフュームとリサイクル粉砕物とは、軽量化原料の増量を促進することにより基材の比重を小さくするとともに、基材の吸水率を小さくすることもできるという二律背反する要求を実現できる。このため、実施形態の製造方法では、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設ける必要がないため、製造コストの低廉化を実現できる。
【0051】
したがって、実施形態の建材の製造方法によれば、比重が小さく、かつ優れた耐久性を発揮する建材を安価に製造することができる。また、この製造方法では、リサイクル粉砕物を硬質骨材としているため、リサイクルを促進し、環境上も好ましい効果を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の建材の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
S10…基材形成工程
S20…塗膜形成工程
【発明の属する技術分野】
本発明は建材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セメント系基材等の基材上に無機質の塗膜である無機塗膜が形成された建材は、以下の製造方法により製造されていた(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法は基材形成工程及び塗膜形成工程を有する。基材形成工程では、セメント等のCaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化することにより、基材を形成する。また、基材形成工程後の塗膜形成工程では、基材上にアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を塗布して未硬化塗膜を形成し、未硬化塗膜を加熱により脱水するとともに脱アルカリ処理して無機塗膜を形成する。
【0003】
こうして得られた建材では、基材に含まれる軽量化原料の割合を多くすることにより比重を小さくできる一方、軽量化原料の割合に制限を設けて小さな吸水率を維持することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−202313号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の製造方法では、許容できる吸水率において軽量化原料の割合を可及的に多くすれば、比重が小さく、軽量化を実現可能な建材を製造できるものの、基材の表面を脆弱化させる傾向が明らかとなった。このため、その基材を用いた建材は、長期の使用により、無機塗膜が基材の表層部分とともに剥離するおそれがあり、この意味において耐久性が危惧される。
【0006】
この点、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けることもなされている。こうであれば、基材とシーラ層との間でアンカー効果が生じることとなるとともに、シーラ層が無機塗膜と好適に密着することから、基材の表層部分の強度を補強するとともに、無機塗膜が基材から剥がれることを防止できる。また、このシーラ層は比較的多孔質の無機塗膜から浸透する水が基材に浸入することを防止し、基材の炭酸化(中性化)を防止して建材の耐久性を向上させる。
【0007】
しかしながら、こうして基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けるとすると、シーラ層を構成するシーラが比較的高価であるとともに、シーラ層を設ける工程が必要になることから、製造コストが高騰してしまう。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、比重が小さく、優れた耐久性を発揮し、製造コストの高騰化を抑制できる建材の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のために鋭意研究を行い、基材を構成するSiO2分の少なくとも一部にシリカ微粒子を使用し、さらに基材を得るための調合物に予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材を使用することによって、基材の少なくとも表層部分の強度が上がることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の建材の製造方法では、CaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化した基材を得る基材形成工程と、該基材上にアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を塗布して未硬化塗膜を形成し、該未硬化塗膜を加熱により脱水するとともに脱アルカリ処理して無機塗膜とする塗膜形成工程とを有する建材の製造方法において、前記SiO2分の少なくとも一部はシリカ微粒子であり、前記調合物は予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の建材の製造方法では、基材形成工程において、CaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化することにより、基材を形成する。このとき、SiO2分の少なくとも一部がシリカ微粒子であるから、軽量化原料の周囲において、CaO分とSiO2分とは微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化することとなる。また、硬質骨材はアンカー効果を発揮する。そして、それら硬質骨材は、ケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化する基材と同様、予め水和又は水熱処理により硬化されたものであるため、基材の他の材料と強固に結合する。特に、調合物中のSiO2分であるシリカ微粒子はこの硬質骨材の周囲においても微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化する。このため、吸水率を考慮しつつ、基材ひいては建材の比重を小さくするために、調合物中の軽量化原料の割合を多くしても、得られた建材は、軽量化原料とともに表面の材料が脱落しにくく、表面が脆弱化しない。なお、基材はケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化したものであり、無機塗膜はアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を脱水・脱アルカリ処理してなるものであるため、両者の熱膨張係数はほぼ等しく、両者による直接的な密着性が損なわれない。このため、無機塗膜は、基材との間にシーラ層を設けなくても又そのシーラ層を薄くしたとしても、この基材に対して好適に密着し、基材から剥がれ難い。
【0012】
さらに、本発明の製造方法によれば、ケイ酸カルシウム水和物の結晶構造が緻密になるため、基材中の気孔率が抑えられ、無機塗膜を透過した水分が基材中に浸入し難くなる。こうして、基材の炭酸化を防止して建材の耐久性を向上させる。また、硬質骨材は自らの強度によって基材ひいては建材全体の強度も高める。
【0013】
こうして、シリカ微粒子と、予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材とは、軽量化原料の増量を促進することにより基材の比重を小さくするとともに、基材の吸水率を小さくすることもできるという二律背反する要求を実現できる。このため、本発明の製造方法では、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設けなかったり、例え設けるにしてもそれを薄くできることから、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
したがって、本発明の建材の製造方法によれば、比重が小さく、かつ優れた耐久性を発揮する建材を安価に製造することができる。
【0015】
硬質骨材は、曲げ強度5MPa以上、圧縮強度15MPa以上のものであることが好ましい。この程度以上で硬質のものであれば、本発明の効果を奏することができるからである。硬質骨材はリサイクル品の粉砕物であることが好ましい。このような粉砕物は、例えば、産業廃棄物や建設廃材等として回収されたタイル屑、コンクリート屑等を粉砕することで得られる。このため、産業廃棄物等の減量や活用に役立つこととなり、それらのリサイクルが求められている今日において、環境上の価値が高いこととなる。
【0016】
軽量化原料としては、フライアッシュ、パーライト、シラスバルーン、珪藻土、発泡スチレンビーズ、パルプ繊維、有機繊維等を採用し得る。パルプ繊維はバージンパルプでもよいが、例えば古新聞、古雑誌又はダンボール等の紙製品の回収品をパルプ繊維とすれば、建材を安価に製造することができる。パルプ繊維を用いれば、基材ひいては建材に靭性を付与することができる。有機繊維としては、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニル繊維等を採用することができる。有機繊維もバージン繊維でもよいが、例えばボロ布等の繊維製品の回収品を有機繊維とすれば、建材を安価に製造することができる。
【0017】
シリカ微粒子としては、シリカフューム、コロイダルシリカ、マイクロシリカ、アエロジル等を採用することができる。特に、シリカフュームであることが好ましい。シリカフュームは、これらシリカ微粒子の中でも最も微細であり、CaO分に反応しやすい。なお、CaO分及びSiO2分としては、セメント、フライアッシュ等を採用することができる。CaO分としては、消石灰等を採用することができる。
【0018】
発明者らの試験結果によれば、調合物はセメントを含み、セメント100質量部に対し、シリカフュームは20質量部以上含まれ、硬質骨材は30〜50質量部含まれ、軽量化原料は20〜40質量部含まれていることが好ましい。この範囲であれば、基材の比重及び吸水率の二律背反する要求を調和させることができ、さらに、基材の強度を上げることができるからである。特に、シリカフュームは40質量部以下含まれていることが好ましい。
【0019】
基材形成工程としては、水和処理又は水熱処理を行なうことができるが、水熱処理を行なうことが好ましい。水熱処理の方がCaO分とSiO2分とがより微小に反応し、より極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化することとなるからである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
「準備工程」
実施形態の建材の製造方法では、CaO分及びSiO2分としてセメント及びフライアッシュ、シリカ微粒子としてシリカフューム、軽量化原料として有機繊維及びパルプ繊維、硬質骨材としてリサイクル粉砕物を準備する。また、メチルセルロース(MC)及び水も準備する。リサイクル粉砕物は、産業廃棄物として回収されたタイル屑を粒径が3mmアンダーに粉砕したものである。
【0022】
「基材形成工程」
次に、図1に示す基材形成工程S10として、表1に示す割合(質量部)でセメント、フライアッシュ、シリカフューム、有機繊維、パルプ繊維、リサイクル粉砕物及びMCをアイリッヒミキサーに投入し、乾式混合を行う。また、表2に示す割合(質量部)でセメント、フライアッシュ、有機繊維、パルプ繊維及びMC、シリカフューム若しくはリサイクル粉砕物をアイリッヒミキサーに投入し、乾式混合を行う。次いで、これに表1又は表2に示す割合(質量部)の水を加えて湿式混合を行う。そして、これをニーダに投入し、さらに混練して調合物を得る。得られた調合物を押出成形機(本田鉄工製DE−100)で押出し、厚さ10(mm)×幅100(mm)の未硬化基材を形成する。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
この後、1気圧で12時間かけて未硬化基材のスチーム養生を行う。そして、水熱処理として、6気圧、160°Cで12時間かけて未硬化基材のオートクレーブ養生を行う。こうして、調合物から得られる未硬化基材からケイ酸カルシウム水和物を生じて水熱硬化した基材が得られる。この基材を所望の大きさに切断する。
【0026】
この際、表1に示すように、100質量部のセメント、110質量部のフライアッシュ、20質量部のシリカフューム、40質量部のリサイクル粉砕物、1.5質量部の有機繊維、20質量部のパルプ繊維、3質量部のMC及び120質量部の水を加えた基材を試験例1とする。試験例1に比して、シリカフュームを30質量部に変更した基材を試験例2とする。試験例1に比して、シリカフュームを40質量部に変更し、水を125質量部に変更した基材を試験例3とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を30質量部に変更した基材を試験例4とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を50質量部に変更した基材を試験例5とする。試験例2に比して、パルプ繊維を30質量部に変更し、水を125質量部に変更した基材を試験例6とする。試験例2に比して、パルプ繊維を40質量部に変更し、水を130質量部に変更した基材を試験例7とする。
【0027】
また、表2に示すように、100質量部のセメント、150質量部のフライアッシュ、1.5質量部の有機繊維、20質量部のパルプ繊維、3質量部のMC及び120質量部の水を加えた基材を比較例1とする。試験例2に比して、シリカフュームを0質量部に変更した基材を比較例2とする。試験例2に比して、リサイクル粉砕物を0質量部に変更した基材を比較例3とする。比較例3に比して、シリカフュームを10質量部に変更した基材を比較例4としている。比較例1に比して、20質量部のリサイクル粉砕物を加えた基材を比較例5とする。試験例2に比して、パルプ繊維を加えない基材を比較例6とする。
【0028】
「比重の測定」
試験例1〜7及び比較例1〜6の絶乾密度を比重として測定する。その結果を表3及び表4に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
「曲げ強度の測定・たわみ量の測定」
100(mm)×200(mm)×15(mm)の大きさの基材において、試験例1〜7及び比較例1〜6の曲げ強度(MPa)をオートグラフによって測定する。その際、試験例1〜7及び比較例1〜6のたわみ量(mm)も測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0032】
「圧縮強度の測定」
30(mm)×30(mm)×30(mm)の大きさの基材において、試験例2及び試験例5の圧縮強度(MPa)をオートグラフによって測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0033】
「吸水率・吸水長さ変化率の測定」
JIS A 5430に準じて試験例1〜7及び比較例1〜6の吸水率(%)及び吸水長さ変化率(%)を測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0034】
「透水量の測定」
ロート法に準じ、試験例1〜7及び比較例1〜6の表面側に水を入れた直径70(mm)の円筒管を置き、24時間後の円筒管内の減水量(g/m2)を透水量(g/m2)として測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0035】
「基材の表面引張強度の測定」
建研式接着力試験器を用いて5(mm)角の試験例1〜7及び比較例1〜6の表面引張強度(N)を測定する。その結果も表3及び表4に示す。
【0036】
そして、図1に示す塗膜形成工程S20として、アルカリケイ酸塩水溶液(水ガラス)、珪石粉、顔料及びその他の消泡剤や界面活性剤を混合した公知の無機塗料を用意する。そして、その無機塗料を試験例1〜7及び比較例1〜6の表面にエアスプレーによって厚さ20〜100(μm)になるまで塗布する。
【0037】
次に、試験例1〜7及び比較例1〜6上に形成された未硬化塗膜を120〜200°Cで加熱する。次いで、脱水した未硬化塗膜をアルカリ処理液に浸漬する。こうして、脱アルカリ処理した後、水洗い及び乾燥を行うことによって、試験例1〜7及び比較例1〜6上に無機塗膜を形成し、建材を製造する。
【0038】
「密着性の測定」
各建材の無機塗膜側にガムテープを密着する。そして、ガムテープを剥がした後、各試験例1〜7及び比較例1〜6の表面から剥離した各無機塗膜の面積を測定する。この際、剥離した各無機塗膜の面積が各試験例1〜7及び比較例1〜6の表面積に対して5(%)以下であるものを○とし、5(%)を超えるものを×としている。その結果も表3及び表4に示す。
【0039】
(評価)
比重の測定において、試験例1が1.05、試験例2が1.07、試験例3が1.08、試験例4が1.01、試験例5が1.10、試験例6が0.96及び試験例7が0.91であるのに対し、比較例5が1.40ある。このため、試験例1〜7の基材は比重が小さい。
【0040】
また、曲げ強度の測定において、試験例1が10.59(MPa)、試験例2が10.89(MPa)、試験例3が12.45(MPa)、試験例4が9.41(MPa)、試験例5が14.12(MPa)、試験例6が9.02(MPa)及び試験例7が8.53(MPa)であるのに対し、比較例1が6.37(MPa)、比較例2が7.16(MPa)及び比較例4が6.77(MPa)である。このため、試験例1〜7の基材は高い曲げ強度を有している。
【0041】
さらに、たわみ量の測定において、試験例1が12.40(mm)、試験例2が13.20(mm)、試験例3が12.80(mm)、試験例4が11.90(mm)、試験例5が12.60(mm)、試験例6が14.70(mm)、試験例7が16.10(mm)であるのに対し、比較例1が12.40(mm)、比較例2が12.70(mm)、比較例3が11.60(mm)及び比較例4が12.40(mm)である。このため、試験例1〜7の基材は、比較例1〜4の基材と略同等のたわみ量を有している。
【0042】
また、圧縮強度の測定において、試験例2が57.07(MPa)であるのに対し、比較例5が59.23(MPa)である。このため、試験例2の基材は、比較例5の基材と略同等の圧縮強度を有している。
【0043】
さらに、吸水率の測定において、試験例1が23.50(%)、試験例2が20.30(%)、試験例3が18.50(%)、試験例4が26.10(%)、試験例5が16.40(%)、試験例6が28.50(%)及び試験例7が29.70(%)であるのに対し、比較例1が43.80(%)、比較例2が45.90(%)、比較例3が35.80(%)及び比較例4が38.60(%)である。また、吸水長さ変化率の測定において、試験例1が0.72×10−1(%)、試験例2が0.53×10−1(%)、試験例3が0.37×10−1(%)、試験例4が0.68×10−1(%)、試験例5が0.48×10−1(%)、試験例6が0.65×10−1(%)及び試験例7が0.92×10−1(%)であるのに対し、比較例1が1.54×10−1(%)、比較例2が1.56×10−1(%)、比較例3が1.24×10−1(%)及び比較例4が1.39×10−1(%)である。このため、試験例1〜7の基材は吸水率及び吸水長さ変化率が抑えられている。
【0044】
また、透水量の測定において、試験例1が753.00(g)、試験例2が547.00(g)、試験例3が369.00(g)、試験例4が837.00(g)、試験例5が287.00(g)、試験例6が836.00(g)及び試験例7が942.00(g)であるのに対し、比較例1が2475.00(g)、比較例2が2648.00(g)、比較例3が1475.00(g)及び比較例4が1872.00(g)である。このため、試験例1〜7の基材は水分が浸入し難い。
【0045】
さらに、基材の表面引張強度の測定において、試験例1が378.28×10(N)、試験例2が418.46×10(N)、試験例3が477.26×10(N)、試験例4が359.66×10(N)、試験例5が493.92×10(N)、試験例6が348.88×10(N)及び試験例7が341.04×10(N)であるのに対し、比較例1が104.86×10(N)、比較例2が123.48×10(N)、比較例3が1475.00(N)及び比較例4が1872.00(N)である。このため、試験例1〜7の基材は表層部分が脆弱化しない。
【0046】
また、密着性の測定において、試験例1〜7及び比較例5が○であるのに対し、比較例1〜4が×である。このため、試験例1〜7及び比較例5の建材は密着性が良好である。
【0047】
また、試験例2では、たわみ量(mm)や表面引張強度(N)が比較例6に比して大きいことから靭性を有しており、パルプ繊維を用いることにより建材に靭性を付与できることがわかる。
【0048】
以上のような実施形態の製造方法では、試験例1〜7が全ての測定で良好な効果を発揮できる。試験例1〜7では、基材形成工程S10においてシリカフュームを含む調合物を硬化することにより基材を形成しており、軽量化原料の周囲において、シリカフュームがセメント等のCaO分とより微小に反応し、より極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物が硬化されるからである。また、リサイクル粉砕物はアンカー効果を発揮するからである。そして、それらリサイクル粉砕物は、ケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化する基材と同様、予め水和により硬化されたものであるため、基材の他の材料と強固に結合するからである。特に、調合物中のSiO2分であるシリカフュームはこのリサイクル粉砕物の周囲においても微小に反応し、極めて緻密なケイ酸カルシウム水和物で硬化する。このため、実施形態の製造方法によれば、吸水率を考慮しつつ、基材ひいては建材の比重を小さくするために調合物中の軽量化原料の割合を多くしても、得られた建材は軽量化原料とともに表面の材料が脱落しにくい。
【0049】
また、試験例1〜7では、シリカ微粒子の中でも最も微細なシリカフュームがCaO分に反応してケイ酸カルシウム水和物の結晶構造を緻密にする。このため、基材中の気孔率が抑えられ、無機塗膜を透過した水分が基材中に浸入し難くなるため、基材の炭酸化を防止して建材の耐久性を向上させる。また、リサイクル粉砕物は自らの強度によって基材ひいては建材全体の強度も高める。
【0050】
こうして、シリカフュームとリサイクル粉砕物とは、軽量化原料の増量を促進することにより基材の比重を小さくするとともに、基材の吸水率を小さくすることもできるという二律背反する要求を実現できる。このため、実施形態の製造方法では、基材と無機塗膜との間にシーラ層を設ける必要がないため、製造コストの低廉化を実現できる。
【0051】
したがって、実施形態の建材の製造方法によれば、比重が小さく、かつ優れた耐久性を発揮する建材を安価に製造することができる。また、この製造方法では、リサイクル粉砕物を硬質骨材としているため、リサイクルを促進し、環境上も好ましい効果を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の建材の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
S10…基材形成工程
S20…塗膜形成工程
Claims (7)
- CaO分及びSiO2分と軽量化原料とを含む調合物からケイ酸カルシウム水和物を生じて硬化した基材を得る基材形成工程と、該基材上にアルカリケイ酸塩水溶液を含有する無機塗料を塗布して未硬化塗膜を形成し、該未硬化塗膜を加熱により脱水するとともに脱アルカリ処理して無機塗膜とする塗膜形成工程とを有する建材の製造方法において、
前記SiO2分の少なくとも一部はシリカ微粒子であり、前記調合物は予め水和又は水熱処理により硬化された硬質骨材を含むことを特徴とする建材の製造方法。 - 上記硬質骨材はリサイクル品の粉砕物であることを特徴とする請求項1記載の建材の製造方法。
- 上記軽量化原料はパルプ繊維を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の建材の製造方法。
- 上記シリカ微粒子はシリカフュームであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の建材の製造方法。
- 上記調合物はセメントを含み、該セメント100質量部に対し、上記シリカフュームは20質量部以上含まれ、上記硬質骨材は30〜50質量部含まれ、上記軽量化原料は20〜40質量部含まれていることを特徴とする請求項4記載の建材の製造方法。
- 上記シリカフュームは40質量部以下含まれていることを特徴とする請求項5記載の建材の製造方法。
- 上記基材形成工程では水熱処理を行なうことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の建材の製造方法。
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