JP2004123216A - 耐熱性キャップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】頂板部及び頂板部周縁から垂下するスカート部から成るキャップシェル、該キャップシェル頂板部内面に形成される密封用ライナー、及び該ライナーの表面中央部分に形成される被覆層からなる耐熱性キャップにおいて、前記ライナー及び被覆層は、キャップシェル内でライナー材及び被覆材を順次圧縮成形することにより形成されていると共に、前記ライナー材が耐熱性熱可塑性エラストマーから成り、前記被覆材が前記ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする耐熱性キャップ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性キャップに関し、より詳細には、レトルト殺菌のような高温殺菌にも耐え得る耐熱性を有すると共に、内容物に対するフレーバー性や、成形性にも優れたキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
キャップには、容器との密封信頼性を保持するために、キャップ頂板部に密封用ライナーが形成されており、かかる密封用ライナーとしては、従来のキャップにおいては、適度な弾性を有すると共に加工性に優れていることから、塩化ビニルのプラスチゾルから成る密封材が広く使用されていたが、塩化ビニルは、環境性及び安全性の見地からその使用を回避することが望まれている。
【0003】
このような観点から、適度な弾性を有すると共に、優れた機械的強度、耐摩耗性等を有する熱可塑性エラストマーがキャップの密封用ライナー材として使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−182586号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる熱可塑性エラストマーは耐熱性に優れているが耐水蒸気性に劣り、レトルト殺菌のように高温湿熱条件下に置かれた場合には、臭気成分を吸着しやすく、内容液の香味成分を吸着することにより内容液のフレーバー性が低下してしまうという問題もある。
また、熱可塑性エラストマーはそれ自体臭気を有するものがあり、密封用ライナーは容器内の内容液等に直接触れる部分であることから、熱可塑性エラストマーの臭気成分が内容液へ移行することによってもフレーバー性が低下するという問題が生じる。
更に、容器の内容物保存性の問題から、容器とキャップとの接触界面からガスが内部に侵入して内容物に影響を与える場合のみならず、ライナー材の内部を通して侵入するガス量を低減させることも望まれているが、熱可塑性エラストマーはガスバリヤー性に劣るため、熱可塑性エラストマーから成るライナー材においても、満足し得るガスバリヤー性を保持することも望まれている。
【0006】
従って、本発明の目的は、レトルト殺菌にも耐え得る耐熱性を有すると共に、内容物のフレーバー性や、ガスバリヤー性にも優れた耐熱性キャップを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部及び頂板部周縁から垂下するスカート部から成るキャップシェル、該キャップシェル頂板部内面に形成される密封用ライナー、及び該ライナーの表面中央部分に形成される被覆層からなる耐熱性キャップにおいて、前記ライナー及び被覆層は、キャップシェル内でライナー材及び被覆材を順次圧縮成形することにより形成されていると共に、前記ライナー材が耐熱性熱可塑性エラストマーから成り、前記被覆材が前記ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする耐熱性キャップが提供される。
【0008】
本発明の耐熱性キャップにおいては、
1.被覆層が、50乃至500μmの厚みを有していること、
2.ライナー材を構成する熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーの何れかであること、
3.被覆層を構成する結晶性熱可塑性樹脂が、耐熱性、臭気バリヤー性、耐水蒸気性に優れたものであること、特にポリプロピレン又はポリエチレン等のオレフィン系樹脂であること、
4.耐熱性キャップを構成するすべての材料がレトルト殺菌可能な材料から成ること、
が好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明のキャップは、頂板部及び頂板部周縁から垂下するスカート部から成るキャップシェルの頂板部内面に形成される密封用ライナーを、キャップシェル側に設けられるライナーと、該ライナーの内容液に接する部分を被覆するように設けられる被覆層の2層構成とし、このライナー及び被覆層を、キャップシェル内でライナー材及び被覆材を順次圧縮成形することにより形成すること、及びライナー材が耐熱性熱可塑性エラストマーから成り、前記被覆材が前記ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成ることが重要な特徴である。
【0010】
すなわち本発明においては、キャップシェル内に形成される密封用ライナーをキャップシェル側のライナーと、ライナーの内容液に接する部分を覆うような被覆層の2層構成とし、このライナーを耐熱性エラストマーから構成することによって、密封用ライナーとしての密封性や開栓性を良好なものとすることができると共にキャップシェル内での圧縮成形が可能となる。
【0011】
また、耐湿性に優れた結晶性熱可塑性樹脂から成る被覆層をライナー上に形成することにより、熱可塑性エラストマーの大部分と内容物が直接接することがなく、しかも結晶性熱可塑性樹脂はガスバリヤー性に優れたものであるため、内容物への熱可塑性エラストマーの臭気成分の移行を防止できると共に、熱可塑性エラストマーが内容物の香味成分を吸着してしまうことをもなく、フレーバー性に優れたキャップとすることが可能となる。また被覆層はライナー材と接着可能な樹脂から成っているため、先にライナーをインシェルモールドによって成形した後、同様にライナー上でインシェルモールドにより被覆層を形成することによって、特別な接着手段を要することなくライナー上に被覆層を一体的に設けることができる。
【0012】
本発明においてライナー材を構成する熱可塑性エラストマーは、長期にわたって優れた密封性及び開栓性を有するために、適度な柔軟性を有すると共に永久圧縮歪みが小さいことが好ましく、かかる点から、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーの何れかであることが望ましい。
【0013】
また本発明においては、被覆層を構成する樹脂は、ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成り、耐熱性、臭気バリヤー性、耐水蒸気性に優れたものであることが、本発明のキャップが前述した特性を有するために必要であり、このような耐熱性、臭気バリヤー性、耐水蒸気性等に優れた樹脂としては、オレフィン系樹脂やポリエステル樹脂等を挙げることができ、特にポリプロピレン又はポリエチレンを好適に使用することができる。
【0014】
本発明の耐熱性キャップは、特にレトルト殺菌にも耐える耐熱性を有しており、キャップを構成するすべての材料が、レトルト殺菌のような高温湿熱条件下に置かれても影響を受けることのない材料から構成されている。従って、キャッピング後にレトルト殺菌に付されても、ライナーが有すべき密封性、開栓性、被覆層が有すべき臭気バリヤー性が低下することがない。
【0015】
以下本発明の耐熱性キャップを添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の耐熱性キャップの一例の側面図(右半分)及び側断面図(左半分)であり、図2は、本発明の耐熱性キャップにおける密封用ライナーをキャップシェル内に形成する工程を説明するための側断面図であり、図3は、本発明の耐熱性キャップにおける密封用ライナー上に被覆層を形成する工程を説明するための側断面図である。
全体を1で示す耐熱性キャップは、概略的に言って、頂板部3及び頂板部3の周縁から垂下するスカート部4から成るキャップシェル2、及びキャップシェルの頂板部内面に設けられる密封用ライナー5及び密封用ライナー5の中央部を被覆する被覆層6から成る。
【0016】
図1に示す具体例においては、キャップシェル2のスカート部4の内面には、容器口部(図示せず)と螺合するネジ部7が形成されて、また外面にはキャップを把持する際の滑り止めとなるローレット溝8が形成されている。また頂板部3の内面の周縁側には環状突起9が形成されており、この環状突起9で区画される内側領域に密封用ライナー5が形成されている。
またキャップシェルのスカート部の下端10には、破断可能な弱化部11を介してタンパーエビデントバンド12が一体的に形成され、かかるタンパーエビデントバンド12の内面側には、開栓の際に容器口部(図示せず)と係合して弱化部11を破断するためのラチェット13が形成されている。
【0017】
密封用ライナー5には、容器口部先端と当接するシール面14の外側及び内側にそれぞれアウターリング15及びインナーリング16が形成され、キャップの密封性を高めている。密封用ライナー5は、後述するライナー形成の工程から明らかなように、インナーリング16で区画される内側領域17にも形成されている。
密封用ライナー5のかかる内側領域17には、ポリプロピレン等から成る被覆層6が形成され、密封用ライナー5が容器内の内容液と直接接することが防止され、これにより前述した通り、密封用ライナー材によるフレーバー性の低下が有効に防止されている。
【0018】
本発明においては、密封用ライナー及び被覆層をキャップシェル内で順次圧縮成形することにより形成することが重要な特徴であり、図2は密封ライナーをキャップシェル内で圧縮成形(インシェルモールド)により形成する工程を説明するための図である。
図2に示すように、キャップシェル2の頂板部内面に供給された熱可塑性エラストマーから成る密封用ライナー材20を密封用ライナー形成用型押し部材21で押圧することにより、密封用ライナー5を形成すると同時にキャップシェル2に密封用ライナー5を接着する。
かかる密封用ライナー形成用型押し部材21は、キャップシェル頂板部内面の環状突起9の内側と実質上同一の外径を有し、また形成された密封用ライナーが前述したアウターリング15及びインナーリング16を有するように、押圧面にこれらのリング状突起に対応する凹部が形成されている。
【0019】
図3は、被覆層を密封用ライナーの中央部(内側領域17)にキャップシェル内で圧縮成形(インシェルモールド)により形成する工程を説明するための図である。
図3に示すように、密封用ライナーの内側領域17に供給されたオレフィン系樹脂等から成る被覆材30を被覆層形成用型押し部材31で押圧することにより、被覆層6を形成すると同時に密封用ライナー5に被覆層6を接着する。
かかる被覆層形成用型押し部材31は、密封用ライナーの内側領域17と実質上同一の外径を有している。
【0020】
(キャップシェル)
本発明においてキャップシェルは、従来公知のアルミニウム等の金属製のものやポリエチレン等の合成樹脂製のもののいずれも用いることができる。
またキャップシェルが金属製の場合は、キャップシェルに予め接着剤を設けた後、密封用ライナーのインシェルモールドをすることもできる。
【0021】
(密封用ライナー)
本発明に用いる密封用ライナーは、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーの何れかからなることが特に好ましい。
スチレン系エラストマーは、スチレン系単量体から主として誘導される少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として誘導される少なくとも2つの重合体ブロック共重合体Bとから成るブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体が使用される。このエラストマーにおいては、スチレン系の単位がハードセグメントと成り、水添された共役ジエン単位がソフトセグメントとなって、エラストマー的特性が発現される。
【0022】
ブロック共重合体を構成するスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン等が挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えばブタンジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種又は2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましい。
ブロック共重合体の数平均分子量は、50万以上であるのが好ましく、またこのブロック共重合体を使用したスチレン系エラストマーのメルトフローレートは(230℃2160g荷重)は0.1〜5.0g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0023】
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン・α−オレフィン共重合ゴムとポリオレフィン樹脂と必須成分として含有し、その少なくとも一方が部分的に架橋されてなるものである。オレフィン系エラストマーにおいては、架橋部分がハードセグメントと成り、非架橋部分がソフトセグメントとなってエラストマー的特性を発現する。
【0024】
オレフィン系エラストマーの原料となるエチレン・α−オレフィン共重合ゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元乃至多元共重合ゴム、エチレン−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン多元共重合ゴム等のエチレンと炭素数3乃至14のα−オレフィンを主成分とする実質的に非晶質のエラストマー乃至その混合物である。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
【0025】
これらの共重合ゴムの中でもエチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴムを好適に用いることができる。この共重合ゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は40乃至80の範囲にあることが好ましく、また共重合ゴムのヨウ素価(不飽和度)は30以下であることが好ましい。
【0026】
オレフィン系エラストマーの他の原料となるポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィンの単独重合体、その2種以上の共重合体或いは上記オレフィンと15モル%以下の他の重合性単量体との共重合体等が挙げられる。他の重合性単量体としては、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどを挙げることができる。
本発明のオレフィン系エラストマーは、メルトフローレート(230℃、10Kg荷重)が10乃至50g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0027】
ウレタン系エラストマーとしては、ポリウレタン鎖とポリオール鎖が交互に連なったブロック共重合体であり、好適には、ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)から成るプレポリマーを加熱硬化させて得られる二液型のポリウレタンエラストマーである。
ポリイソシアネート成分(A)を構成する、イソシアネートしては、脂肪族及び/又は脂環式系イソシアネートを好適に使用することができ、例えば水素添加した芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート等が挙げられることができる。また芳香族系ポリイソシアネートしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルエタンジイソシアネート等を挙げることができる。
これらの中でも、HDI及び/又はIPDIを好適に使用することができる。またポリオール成分は、具体的には、高分子ポリオール、低分子ポリオール又はこれらの混合物であり、物性を選択しやすい点から、高分子ポリオールと低分子ポリオールとの混合物が好ましい。高分子ポリオール、低分子ポリオールはそれぞれ、1種又は2種以上の混合物であってもよい。
【0028】
高分子ポリオールとしては、前記の数平均分子量が500以上のポリオール、例えば、ポリプロピレングリコール系ポリエーテルポリオール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)とアジペート系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどを挙げることができる。好適には、ポリウレタンエラストマーの溶出物の点から、PTMGとアジペート系ポリエステルポリオールである。耐加水分解性からは、PTMGとPPGが更に好ましい。
【0029】
低分子ポリオールとしては、前記の数平均分子量500未満のポリオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジメチロールヘプタン、ダイマー酸ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、クオドロール、これらの化合物にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得られる数平均分子量500未満の化合物、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。低分子ポリオ一ルの使用量には特に制限はなく、目的とするポリウレタンエラストマーに付与すべき硬度等に応じて適宜選択されるが、高分子ポリオール1モル当たり5モル以下、特に0.1〜3モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0030】
また、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを反応させてポリウレタンエラストマーを合成するに際し、ポリイソシアネート成分(A)は、ポリオール成分(B)及びその他の成分が有している活性水素原子の全量に対し、該活性水素原子1モル当たりのイソシアネート基のモル数が0.9〜1.5モルとなる割合で使用するのが好ましく、1.00〜1.10モル程度となる割合で使用することが更に好ましい。
本発明におけるポリウレタンエラストマーの合成方法としては、公知のウレタン化反応技術のいずれも使用でき、プレポリマー法、ワンショット法のいずれであってもよい。
【0031】
本発明の密封用ライナー材には、所望により、石油樹脂、各種のブロッキング剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤などを含有することも可能である。
【0032】
(被覆層)
本発明のキャップに設けられる被覆層は、密封用ライナーと接着可能な結晶性熱可塑性樹脂、特に耐熱性、臭気バリヤー性、耐水蒸気性に優れたものからなることが好ましいことから、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等を挙げることができるが、特にポリプロピレンであることが好ましい。
【0033】
被覆層としてポリプロピレンを採用する場合、140℃以上の融点を有することが好ましく、融点が上記範囲を下回ると耐熱性が不十分となる。またメルトフローレート(JIS K7210)は一般に50g/10分の範囲にあることが好ましく、メルトフローレートが上記範囲を下回ると加工性に劣り、また上記範囲を上回ると機械的物性が低下するので好ましくない。
【0034】
被覆層の厚みは、50乃至500μmの範囲、特に100乃至250μmの範囲にあることが好ましい。 上記範囲よりも被覆層が薄いと十分な臭気バリヤー性を発現できず、フレーバー性に劣るように成り、一方上記範囲よりも被覆層が厚くても経済的に不利になり、また剥離しやすくなる。
被覆層にも、所望により、従来公知の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤。脱酸素剤等の添加剤を配合することもできる。
【0035】
本発明の耐熱性キャップは、密封用ライナー及び被覆層をキャップシェル内で圧縮成形することにより成形するが、キャップシェル内に供給された密封用ライナー材及び被覆材の溶融物を、成形用モールドで型押しし、所定の形状に成形することにより製造される。
【0036】
【実施例】
キャップシェルとして38mm径の樹脂キャップを使用して、このキャップのシェル内に以下に示すライナー材及び被覆材用いて,試験用キャップを作成した。300ml内容量のガラス瓶に270mlの蒸留水を入れ,キャップをシール後125℃30分のレトルト処理をした。処理後のキャップ試料、内容液である蒸留水の評価を以下の項目に従って評価した。また試験に使用した各種エラストマー,被覆層として使用した材各種樹脂は次の通りである。尚、非結晶性熱可塑性樹脂の場合、ライナーとの接着性が悪く、成形できないため、試験は行わなかった。
【0037】
(1)ライナー材
1)スチレン系エラストマーA AR800(アロン化成株式会社製)
2)スチレン系エラストマーB AR800のPE改質グレード(アロン化成株式会社製)
3)オレフィン系エラストマー ミラストマー6030N(三井化学株式会社製)
4)ウレタン系エラストマー ペレセン2363(ダウ・ケミカル日本株式会社製)
【0038】
(2)ポリプロピレン(PP)
1)PP−1 MA2 (日本ポリケム株式会社製)
2)PP−2 MC3B (日本ポリケム株式会社製)
3)PP−3 PV940M (サンアロマー株式会社製)
4)PE−1 KM568A (日本ポリオレフィン株式会社製)
5)PE−2 4570 (三井化学株式会社製)
6)PE−3 UJ580 (日本ポリケム株式会社製)
7)PET 2050 (ユニチカ株式会社製)
【0039】
(3)レトルト後の評価
1)被覆層の接着
キャップのライナー材のセンター平面部に接着したそれぞれの被覆層のエッジ部分が剥離していないかどうかを観察した。
○:被覆層のエッジが剥離していない。
×:被覆層のエッジが剥離している。
2)官能
キャップのライナー材に使用したエラストマーはそのエラストマー特有の臭気がある。レトルト処理後にキャップを開栓し、ヘッドスペースの異臭,味の違いを確認する。
○:ほとんど異味異臭は確認されない
△:やや異味異臭がある
×:明らかに異味異臭がある。
【0040】
実施例1の結果から、それぞれのキャップに使用した皮膜層の接着は問題なく接着していた。また、その被覆層の有無、また厚みによる内容液の異味異臭に差が確認され、被覆層が厚いほど内容液に変化がなく良好であった。これは被覆層にバリアー性があり、ライナー材の異味異臭の移行を防止した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、頂板部及び頂板部周縁から垂下するスカート部から成るキャップシェル、該キャップシェル頂板部内面に形成される密封用ライナー、及び該ライナーの表面中央部分に形成される被覆層からなる耐熱性キャップにおいて、前記ライナー及び被覆層は、キャップシェル内でライナー材及び被覆材を順次圧縮成形することにより形成されていると共に、前記ライナー材が耐熱性熱可塑性エラストマーから成り、前記被覆材が前記ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成ることにより、レトルト殺菌にも耐え得る耐熱性を有すると共に、内容物のフレーバー性や、ガスバリヤー性にも優れたキャップを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャップの一例を示す図であり、左半分が側断面図、右半分が側面図である。
【図2】本発明のキャップの一例の密封用ライナーの成形を説明するための図である。
【図3】本発明のキャップの一例の被覆層の成形を説明するための図である。
Claims (7)
- 頂板部及び頂板部周縁から垂下するスカート部から成るキャップシェル、該キャップシェル頂板部内面に形成される密封用ライナー、及び該ライナーの表面中央部分に形成される被覆層からなる耐熱性キャップにおいて、
前記ライナー及び被覆層は、キャップシェル内でライナー材及び被覆材を順次圧縮成形することにより形成されていると共に、前記ライナー材が耐熱性熱可塑性エラストマーから成り、前記被覆材が前記ライナー材と接着可能な結晶性熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする耐熱性キャップ。 - 前記被覆層が、50乃至500μmの厚みである請求項1記載の耐熱性キャップ。
- 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーの何れかである請求項1又は2記載の耐熱性キャップ。
- 前記結晶性熱可塑性樹脂が、耐熱性、臭気バリヤー性、耐水蒸気性に優れたものである請求項1乃至3の何れかに記載の耐熱性キャップ。
- 前記結晶性熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂である請求項1乃至4の何れかに記載の耐熱性キャップ。
- 前記オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン又はポリエチレンである請求項5記載の耐熱性キャップ。
- 該キャップが、レトルト殺菌可能な材料からなる請求項1乃至6の何れかに記載の耐熱性キャップ。
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