JP2004122623A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録装置の搬送系において不感帯特性領域が極端に大きい場合において制御対象の駆動遅延を減少させることにより、指令値に対する制御対象追従性能の安定化をはかり、記録装置の印字において良好な画質を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明では、駆動モータ操作量を出力する自動制御部において、制御対象の駆動が停止する不感帯特性をモータ操作量の値から判定を行い、不感帯特性を表すモータ操作量を示した時に前記自動制御部の積分演算値において制御対象の実動作に応じた積分値を代入する制御手法演算機構を持ち、積分演算値に代入する特定の積分値において、不感帯特性に対して制御対象が駆動可能なモータ操作量から推定することで、記録媒体の搬送制御における不感帯特性での制御対象の指令値追従性能の安定化を図る。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、駆動モータ操作量を出力する自動制御部において、制御対象の駆動が停止する不感帯特性をモータ操作量の値から判定を行い、不感帯特性を表すモータ操作量を示した時に前記自動制御部の積分演算値において制御対象の実動作に応じた積分値を代入する制御手法演算機構を持ち、積分演算値に代入する特定の積分値において、不感帯特性に対して制御対象が駆動可能なモータ操作量から推定することで、記録媒体の搬送制御における不感帯特性での制御対象の指令値追従性能の安定化を図る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はファクシミリ、複写機、プリンター等の機能を有する画像記録装置及びそれ等機能を備える複合機、ワークステーシヨン等の出力機器として用いられるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置の記録媒体の搬送系における駆動を行う手段としてはパルスモータの使用が主流であった。しかし、近年の超写真画質といわれる高画質印字を行う記録装置においてはより精密な制御が求められ、サーボ制御によるDCモータの精密位置決め系が必要となってきた。
【0003】
DCモータを用いたサーボ制御系では、エンコーダカウント、指令値を入力値として、PID演算等により制御操作量を出力する制御器と、制御操作量を受けモータが駆動を行う制御対象とがあるのが一般的である。
【0004】
このようなサーボ制御系により制御駆動を行った場合、指令値とエンコーダカウントによる入力値との偏差量が0に収束するように制御器が操作量を出力する。指令値は位置目標値や速度目標値であり、意図する記録部材の搬送を行える様に入力されるものであるが、搬送系における最終的に求められるものは位置精度となる。
【0005】
最終目標が位置系(位置精度)であっても駆動開始から停止までの間の指令値としては刻々と変化するものが与えられることが一般的であり、加速区間、定速区間、減速区間の3状態を経て最終目標指令に到達することになる。制御系の指令値と制御対象の関係においては、加速区間、定速区間では特定の偏差量を持って追従し、減速区間においては偏差が徐々に小さくなり、最終的には指令値に一致することになる。指令値に対する偏差量の変動量誤差を少なくして追従させていくことが安定的に制御対象を駆動することと言え、記録媒体の搬送において誤差の少ない搬送を行えると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
制御系におけるメカ性能において物理的抵抗の変化がない理想的な場合において、実際値は指令値に対して特定の偏差量を持って追従し、最終的には指令値に一致することになる。
【0007】
しかし実際の記録装置における記録媒体搬送系においては、クーロン摩擦力のような跳躍要素特性(不感帯特性)が存在するメカ系であることが考えられる。
【0008】
この場合の制御系における指令値追従を考えると、制御対象の実際の動作が不感帯特性となる操作量を制御器が出力した時に、制御対象の実際の動きは停止状態を示すことになる。制御器側の積分値は加算、もしくは減算値がたまっていき不感帯特性を超える操作量が示され制御対象が再び稼動を開始した時には、指令値に対する偏差量は大きくなっており、指令値に追いつくために急激な動作が起こることになり、結果としてオーバーシュート気味の挙動を示すことになる。
【0009】
特に搬送系においては、諸々の条件からなるモータのトルク不足から不感帯特性領域の割合が大きくなることが多々あり、制御対象追従性が不安定になることが容易に考えられる。加えて、時系列的に見た場合でも安定状態になるまでの制定時間が必要となり、結果として駆動開始から最終的に許容できる位置精度に制御対象を停止させるまでの時間も長くなってしまう。
【0010】
目標とする位置精度、駆動時間を満たした安定な搬送系駆動制御を行うためには、記録部材に与える挙動に対し極端な加減速をできるだけ避け、一定の偏差量を維持しながら最終目標指令値に近づいていくことが理想的であり、不感帯特性における制御挙動(追従特性)は避けるべきものとなる。
【0011】
特開2000−284805号公報のフィードバック制御装置においては制御対象の停止、駆動の状態変化に合わせて、目標値との偏差の積分値に対し掛けるゲインを変化させ、かつ切り替え時のショックを減少させるために積分値の変化をなめらかにすることを提案している。
【0012】
しかし、搬送系にありがちな不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合においては、不感帯を十分に早い時間で回避出来るように積分ゲインを調整し、定常状態とのゲイン差を大きくした時に、不感帯領域を抜けた瞬間の比例ゲイン等と積分ゲインとの相対関係から変動を吸収できない場合が考えられることや、逆に安定性を考慮した停止状態の積分ゲインでの不感帯を抜けるのに必要な時間では、不必要な制御対象停止状態時間が長いことで追従性能を劣化させてしまう可能性も考えられる。
【0013】
本発明においては、搬送系における不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合において、制御器における積分値そのものの操作から不感帯特性においての操作量に反した制御対象の動作状態を無くすことで、指令値に対する制御対象追従性能の均一化を図り、制御対象の安定な制御を行うことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、記録媒体の搬送制御における不感帯特性での制御対象の指令値追従性能の安定化を図るために、エンコーダカウントによる位置情報と記録媒体を搬送するための目標値である指令値との偏差情報に対して比例、積分、微分演算を適用することから駆動モータ操作量を出力する自動制御部において、制御対象の駆動が停止する不感帯特性をモータ操作量の値から判定を行い、不感帯特性を表すモータ操作量を示した時に前記自動制御部の積分演算値において制御対象の実動作に応じた積分値を代入する制御手法演算機構を持ち、積分演算値に代入する特定の積分値において、不感帯特性に対して制御対象が駆動可能なモータ操作量から推定することを特徴とする記録装置を採用するものである。
【0015】
上記手法を用いた制御器を含む搬送制御系を構成することで、不感帯特性による操作量に反した制御対象の動作状態を最小限に抑えることができる。その結果、指令値に対する制御対象の実動作との偏差量が不感帯特性から急激に変化することを防ぎ、オ−バシュートの様な挙動を防ぐことから、指令値に対する制御対象実動作の安定した追従性能を実現することが可能となる。
【0016】
以上、本発明を整理して要約すれば以下の構成に集約できる。
【0017】
(1)記録媒体の搬送の際、エンコーダカウントによる位置情報と記録媒体を搬送するための目標値である指令値との偏差情報に対して比例、積分、微分演算を適用することから駆動モータ操作量を出力する自動制御部を有し、
制御対象が不感帯特性から停止状態であることを自動制御部から求められるモータ操作量から推定する手段を有し、
制御対象が不感帯特性を示すモータ操作量を示した時に、前記自動制御部の積分演算値に特定の積分値を代入する制御手法演算機構を持つことを特徴とする記録装置。
【0018】
(2)記録装置の制御対象が不感帯から停止状態であることを示すモータ操作量において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量から求めることを特徴とする前記(1)記載の記録装置。
【0019】
(3)記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、前記自動制御部におけるモータ操作量の変化から不感帯特性における制御対象の実動作状態を推定し用いる積分値の選択を行うことを特徴とする前記(1)記載の記録装置。
【0020】
(4)記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量に相当する積分値から求めることを特徴とする前記(3)記載の記録装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、図を参照して本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は搬送制御系を構成する制御系のブロック図となる。1は制御器で、2は指令値発生器、3は指令値で、4は操作量、5が制御対象であり、6がエンコーダカウント、7が不感帯処理部、15が操作量′となる。指令値発生器2により求められた位置、もしくは速度が指令値3となり、制御器1に入力される。
【0023】
制御器はエンコーダカウント6による制御対象5の位置情報と指令値3の偏差量に対して比例、微分、積分演算を行うことで操作量′15を求める。制御対象5に与える操作量4は操作量′15が不感帯処理部17を経て求められることになる。
【0024】
図2は制御対象5にあたる記録装置の記録媒体搬送駆動系を示したもので、8がモータ、9がモータの動力を伝えるベルト、10がモータ動力を受けるギア、11がギア10が取り付けられているプラテンローラ、12がロータリーエンコーダ、13がキャリッジ、14がプラテンローラ11により搬送される記録媒体となる。
【0025】
ベルト9がモータ8の動力をギア10に伝えることにより、プラテンローラ11が回転し、記録媒体14の搬送が行われる。ロータリーエンコーダ12の位置カウントでプラテンローラ11の位置情報を得ることになり、6のエンコーダカウウントはロータリーエンコーダ12の位置カウント値となる。操作量4はモータ8に与える電圧に相当するもので、制御器1からの出力操作量4はPWM値で表され、モータドライバによりPWM値を電圧に変換してモータ8を駆動することになる。
【0026】
図3が図1の不感帯処理部7のフローチャートとなる。制御対象5が不感帯領域にあるかどうかの識別を最初に行うにあたり、制御器1の出力値、操作量′15から状態推定を行う。操作量4、即ちPWM値と、不感帯特性との関係においては図4のようなものであり、斜線領域Aが不感帯領域を指すものとなる。ある特定のPWM値(図中a以上)を与えるまではモータ8の速度が0となり、停止動作と同じものとなる。よって、制御対象が駆動をはじめる操作量(PWM値)が分かっていれば(図中a)、a以下においては制御対象の動作としては停止状態、即ち制御対象は不感帯特性にいるとみなすことができ、PWM値とaを比較することで制御対象の状態が推定できる。
【0027】
不感帯判定により、不感帯特性に制御対象がない場合には操作量′15が実操作量4になる。不感帯特性である場合には、次の処理として不感帯領域判定を行う。
【0028】
制御対象の状態を推定すると、定常駆動である領域C、PWMが0を示していて停止状態にある領域B、0<PWM<a(−a<PWM<0)であるが不感帯により実際の動作が停止状態にある領域Aが考えられる。このうちAの状態にある時に制御演算側と制御対象側のずれが大きくなり追従性能の劣化が起きていく。したがって、領域Aの状態を無くし、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行うことで、不感帯特性の影響を減らすと考えられる。
【0029】
不感帯領域判定においては、領域A,Bの判定を行うものであり、いずれの領域においてもPWM値から判別できるものであり、不感帯における制御対象の状態を判定する際に特別な検出器を用いる必要はない。またAは前述のとおり駆動PWM値であり、Bは制御器演算による駆動方向が必要以上に敏感に反応しない程度の値となる。
【0030】
次処理として不感帯領域判定による結果から、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、次動作における正しいモータ駆動を導くために、不感帯領域における積分値に対して以下の操作を行う。
【0031】
1 領域Cから領域Aに入ってきた場合には、積分値に0を与える。
【0032】
2 領域Bから領域Aに入ってきた場合には、駆動方向を判断して積分値a(−a)を与える。
【0033】
3 領域Bから領域Bの場合積分値操作は行わない。
【0034】
1では制御対象の停止という実動作に対して正しい積分値を入れることで、制御演算側において正しい状況把握をさせることと、次工程の演算時において制御対象に与える必要なモータ駆動動作(方向)判定の遅れを無くすことができる。
【0035】
2ではモータが駆動を行いたい場合に、不感帯特性からくる操作量に対するモータの駆動動作の遅れを無くすものである。
【0036】
以上3つの操作を行うことにより、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、次動作における正しいモータ駆動を導くことが可能となり、制御対象の状況に応じた積分値が選択された後、その積分値をモータに与える操作量に設定して今工程の制御演算を終了する。
【0037】
制御器1は指令値発生器2と位置検出器6の偏差について比例、積分、微分演算を行い操作量を出力する。その出力操作量に対して図3にあるような不感帯処理を施し、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、図4領域A不感帯特性を取り除くことで、指令値と制御対象との追従性能の安定化を行い、記録媒体搬送系における安定な駆動制御を行うことが可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、記録装置の記録媒体搬送系において以下の2点
・不感帯特性を示すモータ操作量を示したときの積分値操作
・積分値操作における不感帯領域内制御対象状態推定
なる処理を適応することにより、搬送系における不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合においても、不感帯特性における制御対象の駆動遅延を無くすことで指令値に対する制御対象追従性能の均一化を図り、制御対象の安定な制御を行うことが可能となり、記録装置の印字においても良好な画質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送制御系を構成する制御系のブロック図
【図2】記録装置の記録媒体搬送駆動系を示す図
【図3】不感帯処理部のフローチャート
【図4】WM値と、不感帯特性との関係を示す図
【符号の説明】
1 制御器
2 指令値発生器
3 指令値
4 操作量
5 制御対象
6 エンコーダカウント
7 不感帯処理部
8 モータ
9 ベルト
10 ギア
11 プラテンローラ
12 ロータリーエンコーダ
13 キャリッジ
14 記録媒体
15 操作量′
【発明の属する技術分野】
本発明はファクシミリ、複写機、プリンター等の機能を有する画像記録装置及びそれ等機能を備える複合機、ワークステーシヨン等の出力機器として用いられるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置の記録媒体の搬送系における駆動を行う手段としてはパルスモータの使用が主流であった。しかし、近年の超写真画質といわれる高画質印字を行う記録装置においてはより精密な制御が求められ、サーボ制御によるDCモータの精密位置決め系が必要となってきた。
【0003】
DCモータを用いたサーボ制御系では、エンコーダカウント、指令値を入力値として、PID演算等により制御操作量を出力する制御器と、制御操作量を受けモータが駆動を行う制御対象とがあるのが一般的である。
【0004】
このようなサーボ制御系により制御駆動を行った場合、指令値とエンコーダカウントによる入力値との偏差量が0に収束するように制御器が操作量を出力する。指令値は位置目標値や速度目標値であり、意図する記録部材の搬送を行える様に入力されるものであるが、搬送系における最終的に求められるものは位置精度となる。
【0005】
最終目標が位置系(位置精度)であっても駆動開始から停止までの間の指令値としては刻々と変化するものが与えられることが一般的であり、加速区間、定速区間、減速区間の3状態を経て最終目標指令に到達することになる。制御系の指令値と制御対象の関係においては、加速区間、定速区間では特定の偏差量を持って追従し、減速区間においては偏差が徐々に小さくなり、最終的には指令値に一致することになる。指令値に対する偏差量の変動量誤差を少なくして追従させていくことが安定的に制御対象を駆動することと言え、記録媒体の搬送において誤差の少ない搬送を行えると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
制御系におけるメカ性能において物理的抵抗の変化がない理想的な場合において、実際値は指令値に対して特定の偏差量を持って追従し、最終的には指令値に一致することになる。
【0007】
しかし実際の記録装置における記録媒体搬送系においては、クーロン摩擦力のような跳躍要素特性(不感帯特性)が存在するメカ系であることが考えられる。
【0008】
この場合の制御系における指令値追従を考えると、制御対象の実際の動作が不感帯特性となる操作量を制御器が出力した時に、制御対象の実際の動きは停止状態を示すことになる。制御器側の積分値は加算、もしくは減算値がたまっていき不感帯特性を超える操作量が示され制御対象が再び稼動を開始した時には、指令値に対する偏差量は大きくなっており、指令値に追いつくために急激な動作が起こることになり、結果としてオーバーシュート気味の挙動を示すことになる。
【0009】
特に搬送系においては、諸々の条件からなるモータのトルク不足から不感帯特性領域の割合が大きくなることが多々あり、制御対象追従性が不安定になることが容易に考えられる。加えて、時系列的に見た場合でも安定状態になるまでの制定時間が必要となり、結果として駆動開始から最終的に許容できる位置精度に制御対象を停止させるまでの時間も長くなってしまう。
【0010】
目標とする位置精度、駆動時間を満たした安定な搬送系駆動制御を行うためには、記録部材に与える挙動に対し極端な加減速をできるだけ避け、一定の偏差量を維持しながら最終目標指令値に近づいていくことが理想的であり、不感帯特性における制御挙動(追従特性)は避けるべきものとなる。
【0011】
特開2000−284805号公報のフィードバック制御装置においては制御対象の停止、駆動の状態変化に合わせて、目標値との偏差の積分値に対し掛けるゲインを変化させ、かつ切り替え時のショックを減少させるために積分値の変化をなめらかにすることを提案している。
【0012】
しかし、搬送系にありがちな不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合においては、不感帯を十分に早い時間で回避出来るように積分ゲインを調整し、定常状態とのゲイン差を大きくした時に、不感帯領域を抜けた瞬間の比例ゲイン等と積分ゲインとの相対関係から変動を吸収できない場合が考えられることや、逆に安定性を考慮した停止状態の積分ゲインでの不感帯を抜けるのに必要な時間では、不必要な制御対象停止状態時間が長いことで追従性能を劣化させてしまう可能性も考えられる。
【0013】
本発明においては、搬送系における不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合において、制御器における積分値そのものの操作から不感帯特性においての操作量に反した制御対象の動作状態を無くすことで、指令値に対する制御対象追従性能の均一化を図り、制御対象の安定な制御を行うことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、記録媒体の搬送制御における不感帯特性での制御対象の指令値追従性能の安定化を図るために、エンコーダカウントによる位置情報と記録媒体を搬送するための目標値である指令値との偏差情報に対して比例、積分、微分演算を適用することから駆動モータ操作量を出力する自動制御部において、制御対象の駆動が停止する不感帯特性をモータ操作量の値から判定を行い、不感帯特性を表すモータ操作量を示した時に前記自動制御部の積分演算値において制御対象の実動作に応じた積分値を代入する制御手法演算機構を持ち、積分演算値に代入する特定の積分値において、不感帯特性に対して制御対象が駆動可能なモータ操作量から推定することを特徴とする記録装置を採用するものである。
【0015】
上記手法を用いた制御器を含む搬送制御系を構成することで、不感帯特性による操作量に反した制御対象の動作状態を最小限に抑えることができる。その結果、指令値に対する制御対象の実動作との偏差量が不感帯特性から急激に変化することを防ぎ、オ−バシュートの様な挙動を防ぐことから、指令値に対する制御対象実動作の安定した追従性能を実現することが可能となる。
【0016】
以上、本発明を整理して要約すれば以下の構成に集約できる。
【0017】
(1)記録媒体の搬送の際、エンコーダカウントによる位置情報と記録媒体を搬送するための目標値である指令値との偏差情報に対して比例、積分、微分演算を適用することから駆動モータ操作量を出力する自動制御部を有し、
制御対象が不感帯特性から停止状態であることを自動制御部から求められるモータ操作量から推定する手段を有し、
制御対象が不感帯特性を示すモータ操作量を示した時に、前記自動制御部の積分演算値に特定の積分値を代入する制御手法演算機構を持つことを特徴とする記録装置。
【0018】
(2)記録装置の制御対象が不感帯から停止状態であることを示すモータ操作量において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量から求めることを特徴とする前記(1)記載の記録装置。
【0019】
(3)記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、前記自動制御部におけるモータ操作量の変化から不感帯特性における制御対象の実動作状態を推定し用いる積分値の選択を行うことを特徴とする前記(1)記載の記録装置。
【0020】
(4)記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量に相当する積分値から求めることを特徴とする前記(3)記載の記録装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、図を参照して本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は搬送制御系を構成する制御系のブロック図となる。1は制御器で、2は指令値発生器、3は指令値で、4は操作量、5が制御対象であり、6がエンコーダカウント、7が不感帯処理部、15が操作量′となる。指令値発生器2により求められた位置、もしくは速度が指令値3となり、制御器1に入力される。
【0023】
制御器はエンコーダカウント6による制御対象5の位置情報と指令値3の偏差量に対して比例、微分、積分演算を行うことで操作量′15を求める。制御対象5に与える操作量4は操作量′15が不感帯処理部17を経て求められることになる。
【0024】
図2は制御対象5にあたる記録装置の記録媒体搬送駆動系を示したもので、8がモータ、9がモータの動力を伝えるベルト、10がモータ動力を受けるギア、11がギア10が取り付けられているプラテンローラ、12がロータリーエンコーダ、13がキャリッジ、14がプラテンローラ11により搬送される記録媒体となる。
【0025】
ベルト9がモータ8の動力をギア10に伝えることにより、プラテンローラ11が回転し、記録媒体14の搬送が行われる。ロータリーエンコーダ12の位置カウントでプラテンローラ11の位置情報を得ることになり、6のエンコーダカウウントはロータリーエンコーダ12の位置カウント値となる。操作量4はモータ8に与える電圧に相当するもので、制御器1からの出力操作量4はPWM値で表され、モータドライバによりPWM値を電圧に変換してモータ8を駆動することになる。
【0026】
図3が図1の不感帯処理部7のフローチャートとなる。制御対象5が不感帯領域にあるかどうかの識別を最初に行うにあたり、制御器1の出力値、操作量′15から状態推定を行う。操作量4、即ちPWM値と、不感帯特性との関係においては図4のようなものであり、斜線領域Aが不感帯領域を指すものとなる。ある特定のPWM値(図中a以上)を与えるまではモータ8の速度が0となり、停止動作と同じものとなる。よって、制御対象が駆動をはじめる操作量(PWM値)が分かっていれば(図中a)、a以下においては制御対象の動作としては停止状態、即ち制御対象は不感帯特性にいるとみなすことができ、PWM値とaを比較することで制御対象の状態が推定できる。
【0027】
不感帯判定により、不感帯特性に制御対象がない場合には操作量′15が実操作量4になる。不感帯特性である場合には、次の処理として不感帯領域判定を行う。
【0028】
制御対象の状態を推定すると、定常駆動である領域C、PWMが0を示していて停止状態にある領域B、0<PWM<a(−a<PWM<0)であるが不感帯により実際の動作が停止状態にある領域Aが考えられる。このうちAの状態にある時に制御演算側と制御対象側のずれが大きくなり追従性能の劣化が起きていく。したがって、領域Aの状態を無くし、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行うことで、不感帯特性の影響を減らすと考えられる。
【0029】
不感帯領域判定においては、領域A,Bの判定を行うものであり、いずれの領域においてもPWM値から判別できるものであり、不感帯における制御対象の状態を判定する際に特別な検出器を用いる必要はない。またAは前述のとおり駆動PWM値であり、Bは制御器演算による駆動方向が必要以上に敏感に反応しない程度の値となる。
【0030】
次処理として不感帯領域判定による結果から、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、次動作における正しいモータ駆動を導くために、不感帯領域における積分値に対して以下の操作を行う。
【0031】
1 領域Cから領域Aに入ってきた場合には、積分値に0を与える。
【0032】
2 領域Bから領域Aに入ってきた場合には、駆動方向を判断して積分値a(−a)を与える。
【0033】
3 領域Bから領域Bの場合積分値操作は行わない。
【0034】
1では制御対象の停止という実動作に対して正しい積分値を入れることで、制御演算側において正しい状況把握をさせることと、次工程の演算時において制御対象に与える必要なモータ駆動動作(方向)判定の遅れを無くすことができる。
【0035】
2ではモータが駆動を行いたい場合に、不感帯特性からくる操作量に対するモータの駆動動作の遅れを無くすものである。
【0036】
以上3つの操作を行うことにより、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、次動作における正しいモータ駆動を導くことが可能となり、制御対象の状況に応じた積分値が選択された後、その積分値をモータに与える操作量に設定して今工程の制御演算を終了する。
【0037】
制御器1は指令値発生器2と位置検出器6の偏差について比例、積分、微分演算を行い操作量を出力する。その出力操作量に対して図3にあるような不感帯処理を施し、制御対象の実動作と制御器演算との対応づけを行い、図4領域A不感帯特性を取り除くことで、指令値と制御対象との追従性能の安定化を行い、記録媒体搬送系における安定な駆動制御を行うことが可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、記録装置の記録媒体搬送系において以下の2点
・不感帯特性を示すモータ操作量を示したときの積分値操作
・積分値操作における不感帯領域内制御対象状態推定
なる処理を適応することにより、搬送系における不感帯特性領域の割合が極端に大きい場合においても、不感帯特性における制御対象の駆動遅延を無くすことで指令値に対する制御対象追従性能の均一化を図り、制御対象の安定な制御を行うことが可能となり、記録装置の印字においても良好な画質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送制御系を構成する制御系のブロック図
【図2】記録装置の記録媒体搬送駆動系を示す図
【図3】不感帯処理部のフローチャート
【図4】WM値と、不感帯特性との関係を示す図
【符号の説明】
1 制御器
2 指令値発生器
3 指令値
4 操作量
5 制御対象
6 エンコーダカウント
7 不感帯処理部
8 モータ
9 ベルト
10 ギア
11 プラテンローラ
12 ロータリーエンコーダ
13 キャリッジ
14 記録媒体
15 操作量′
Claims (4)
- 記録媒体の搬送の際、エンコーダカウントによる位置情報と記録媒体を搬送するための目標値である指令値との偏差情報に対して比例、積分、微分演算を適用することから駆動モータ操作量を出力する自動制御部を有し、制御対象が不感帯特性から停止状態であることを自動制御部から求められるモータ操作量から推定する手段を有し、
制御対象が不感帯特性を示すモータ操作量を示した時に、前記自動制御部の積分演算値に特定の積分値を代入する制御手法演算機構を持つことを特徴とする記録装置。 - 記録装置の制御対象が不感帯から停止状態であることを示すモータ操作量において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量から求めることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、前記自動制御部におけるモータ操作量の変化から不感帯特性における制御対象の実動作状態を推定し用いる積分値の選択を行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 記録装置の自動制御部積分演算値に代入する特定の積分値において、制御対象が駆動を開始したモータ操作量に相当する積分値から求めることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291103A JP2004122623A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291103A JP2004122623A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004122623A true JP2004122623A (ja) | 2004-04-22 |
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ID=32282783
Family Applications (1)
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JP2002291103A Withdrawn JP2004122623A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 記録装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004122623A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007069444A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Ricoh Co Ltd | 位置決め制御装置及びそれを備えた画像形成装置 |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002291103A patent/JP2004122623A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007069444A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Ricoh Co Ltd | 位置決め制御装置及びそれを備えた画像形成装置 |
JP4721835B2 (ja) * | 2005-09-06 | 2011-07-13 | 株式会社リコー | 位置決め制御装置及びそれを備えた画像形成装置 |
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