JP2004122381A - テープ印刷装置およびそのテープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体 - Google Patents

テープ印刷装置およびそのテープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】テープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できるテープ印刷装置、テープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体を提供する。
【解決手段】テープTを収容したテープカートリッジCをテープ装着部に装着し、テープTをテープカートリッジCから送り出しながらこれに印刷を行うテープ印刷装置であって、自動または手動により電源オフが指示されたときに、テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り手段120と、電源オフ時所定長送りの実行と連携して、テープTに所定の電源オフ時記載事項を印刷する電源オフ時記載事項印刷手段12と、電源オフ時所定長送りが実行された後に、電源オフを行う電源オフ手段200と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープカートリッジを装着してそれに収容されたテープを印刷対象物として印刷を行うテープ印刷装置およびそのテープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種のテープ印刷装置においては、印刷対象物となるテープをテープリールに巻き取り収容したテープカートリッジを装着し、テープを送り出しながら、印刷を行う。すなわち、印刷対象物となるテープは、テープカートリッジに収容された形態で提供される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−122264号公報(段落[0020]〜[0027]、図1〜7)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、この場合のテープカートリッジは、消耗品となるので、安価な構成が採用され、テープ印刷装置に装着されていない単体状態では、振動等の原因によってテープの先端がテープカートリッジ内に引き込まれてしまうことがあり、この場合、そのままテープ印刷装置に装着しても所定のテープ送りができないので、使いものにならなくなる。この種の事故を軽減するため、新規購入のテープカートリッジでは、紙片などの係合部材を挟み込んでテープリールの回転を規制したりしているが、この種の係合部材は使用開始時に廃棄したり紛失してしまうことが多いので、他の種のテープカートリッジと交換して再使用のために保管するときには、利用しにくい。また、安価な消耗品のテープカートリッジを保管するために、簡易な係合部材ではなく、保管のための専用ケースなどを用意するのでは、不自然かつ不経済となる。
【0005】
本発明は、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できるテープ印刷装置およびそのテープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のテープ印刷装置は、印刷対象物となるテープを収容したテープカートリッジを装置本体のテープ装着部に装着し、テープ送りを行って前記テープを前記テープカートリッジから送り出しながら、前記テープに印刷を行うテープ印刷装置であって、自動または手動により電源オフが指示されたときに、前記テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り手段と、前記電源オフ時所定長送りの実行と連携して、前記テープに所定の電源オフ時記載事項を印刷する電源オフ時記載事項印刷手段と、前記電源オフ時所定長送りが実行された後に、前記電源オフを行う電源オフ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項9のテープ処理方法は、印刷対象物となるテープを収容したテープカートリッジをテープ装着部に装着し、テープ送りを行って前記テープを前記テープカートリッジから送り出しながら、前記テープに印刷を行うテープ印刷装置のテープ処理方法であって、自動または手動により電源オフが指示されたときに、前記テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り工程と、前記電源オフ時所定長送りの実行と連携して、前記テープに所定の電源オフ時記載事項を印刷する電源オフ時記載事項印刷工程と、前記電源オフ時所定長送りが実行された後に、前記電源オフを行う電源オフ工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このテープ印刷装置およびそのテープ処理方法では、テープ装着部を含む部位の電源オフが指示されたときに、テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行し、その後に、電源オフを行うため、電源オフ実行後には、電源オフ指示時点より所定長分だけ長くテープが外部に出ていることになる。すなわち、適切な長さを所定長として設定しておけば、電源オフ後、テープカートリッジを取り外して再使用のために保管するにしても、その保管状態(テープカートリッジの単体状態)において振動等によりテープ先端がテープカートリッジ内に引き込まれるなどの事故を軽減できる。また、電源オフ時所定長送りの実行と連携して(例えば所定長のテープ送りと並行して)、テープに所定の電源オフ時記載事項を印刷するため、電源オフ時記載事項としての印刷の内容を工夫すれば、テープカートリッジを取り外して保管するにしても、装着のまま待機するにしても、その印刷内容により種々の情報を得られるようにできる。すなわち、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できる。なお、この場合の電源オフの指示には、キー操作等の手動によるものの他、時間管理によるオートオフなど、自動的に指示するものを含む。
【0009】
また、上述のテープ印刷装置において、前記テープ装着部と装置外部とを連通するテープ排出口を通って、前記テープカートリッジから繰り出された前記テープが装置外部に排出されるように構成されており、前記装置本体には、装置外部に向かってテープ排出部が拡開形成され、その内側に前記テープ排出口が開口しており、前記テープ排出口に臨むように配設され、前記テープカートリッジからの前記テープを切断する切断手段をさらに備え、前記所定長は、前記切断手段による切断位置から前記テープ排出口の前記テープ排出部側の開口端までの距離以上、且つ、前記切断位置から前記テープ排出部の外部側の開口端面までの距離以下に、設定されていることが好ましい。
【0010】
このテープ印刷装置では、装置外部に向かって(例えば略V字または略U字の形状の)テープ排出部が拡開形成され、その内側にテープ排出口が開口しているので、テープカートリッジから繰り出されたテープは、テープ排出部に開口するテープ排出口を介して装置外部に排出される。また、テープ排出口に臨むように切断手段が配設され、所定長は、切断手段により切断されたテープの先端が、テープ排出口のテープ排出部側(装置外部側)の開口端とテープ排出部の外部側の周縁を含む開口端面(装置の側壁を延長した面)との間に至る距離に設定されている。ここで、電源オフの指示前にテープが切断されている場合には、電源オフが指示された時点でのテープの先端は、切断位置にあり、電源オフの指示によって電源オフ時所定長送りが実行された後に、電源オフが行われるので、電源オフ実行後のテープ先端は、テープ排出口の開口端〜テープ排出部の開口端面の間に位置することになる。このため、その後、テープカートリッジを交換しないで装着したまま待機するときには、テープ先端が外乱を受けにくく、かつ、他の作業のじゃまにならない、という利点があり、テープカートリッジを交換して再使用のために保管するときには、テープ先端がテープカートリッジ内に引き込まれない程度に出ているので、その種の事故を軽減できる。また、いずれの場合も外部からテープが確認できるので、テープ幅やテープ色などを把握でき、印刷された内容を見て各種情報を把握することもできる。
【0011】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記電源オフ時記載事項には、前記テープカートリッジを扱う際の注意事項が含まれることが好ましい。
【0012】
このテープ印刷装置では、電源オフ時記載事項にテープカートリッジを扱う際の注意事項が含まれるので、そのテープカートリッジを交換して保管するにも、そのまま待機するにしても、テープに印刷された内容を見るだけで、そのテープカートリッジを扱う際の注意事項が容易に把握できる。
【0013】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記電源オフ時記載事項には、前記テープカートリッジの仕様事項が含まれることが好ましい。
【0014】
このテープ印刷装置では、電源オフ時記載事項にテープカートリッジの仕様事項が含まれるため、テープに印刷された内容を見るだけで、そのテープカートリッジの仕様事項が容易に把握できる。
【0015】
また、上記のテープ印刷装置において、前記テープカートリッジの仕様事項には、それに収容された前記テープの材質、色、粘着強度およびテープ幅、並びに、そのテープに印刷可能な最大の文字サイズおよび最大行数、の少なくとも1が含まれることが好ましい。
【0016】
このテープ印刷装置では、上記の電源オフ時記載事項の仕様事項には、テープカートリッジに収容されたテープの材質、色、テープ幅、粘着強度、印刷可能な最大の文字サイズおよび最大行数、の少なくとも1が含まれるため、テープに印刷された内容を見るだけで、それらを容易に把握できる。
【0017】
また、上記の電源オフ時記載事項として仕様事項を印刷する各テープ印刷装置において、前記テープカートリッジがインクリボンを収容している場合、前記テープカートリッジの仕様事項には、それに収容された前記インクリボンの色が含まれることが好ましい。
【0018】
このテープ印刷装置では、インクリボンを収容しているテープカートリッジを装着した場合、印刷される仕様事項にインクリボンの色が含まれるので、テープに印刷された内容を見るだけで、インクリボン色を容易に把握できる。
【0019】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記電源オフ時記載事項印刷手段は、前記電源オフ時記載事項の印刷の有無を選択する電源オフ時記載事項有無選択手段と、前記電源オフ時記載事項の印刷の「有」が選択されたときに、前記電源オフ時記載事項の印刷を実行する電源オフ時記載事項印刷実行手段と、前記電源オフ時記載事項の印刷の「無」が選択されたときに、前記電源オフ時記載事項の印刷を省略する電源オフ時記載事項印刷省略手段と、を有することが好ましい。
【0020】
このテープ印刷装置では、その時々の都合に合わせて、電源オフ時記載事項の印刷の有無を選択できる。すなわち、印刷の有を選択すれば、上述の電源オフ時記載事項の印刷による各種情報が得られるなどの利点があり、それらの情報が不要であれば、印刷の無を選択して、印刷しないようにもできる。
【0021】
また、上述した各テープ印刷装置において、電源オフ時所定長送り手段は、前記電源オフ時所定長送りの有無を選択する電源オフ時所定長送り有無選択手段と、前記電源オフ時所定長送りの「有」が選択されたときに、前記電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り実行手段と、前記電源オフ時所定長送りの「無」が選択されたときに、前記電源オフ時所定長送りを省略する電源オフ時所定長送り省略手段と、を有することが好ましい。
【0022】
このテープ印刷装置では、電源オフ時所定長送りの有無を選択でき、それによって、電源オフ時所定長送りを実行したり省略したりできるので、電源オフ後にテープカートリッジを交換するか否かや交換後の保管状態やその後の運用その他の実状に合わせて、任意に選択できる。
【0023】
また、請求項10のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置のテープ処理方法を実行可能なことを特徴とする。
【0025】
これらのプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できる。
【0026】
また、請求項12の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0027】
また、請求項13の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置のテープ処理方法を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0028】
プログラム処理可能なテープ印刷装置において、これらの記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1および図2に示すように、このテープ印刷装置1は、装置ケース2(装置本体)により外殻が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーから成るキーボード3を備えている。また、後部上面には、その左部に開閉蓋21が取り付けられ、その右部にはディスプレイ4が配設されている。また、装置ケース2の左側部には、装置外部に向かって拡開形成された略V字または略U字の形状のテープ排出ガイド部(テープ排出部、外殻凹部)23が形成され、その内側底部に連なって開口するように、ポケット(テープ装着部)6と装置外部とを連通するスリット状のテープ排出口22が形成され、テープ排出口22には、送りだした印刷用テープ(以下単に「テープ」)Tを切断するテープカッタ132が臨んでいる(図5、図6参照)。
【0031】
また、図3に示すように、基本的な構成として、キーボード3やディスプレイ4を有してユーザとのインタフェースを行う操作部11と、印刷ヘッド(サーマルヘッド)7やテープ送り部120を有してポケット6内に装着したテープカートリッジCのテープTに印刷を行う印刷部12と、印刷後のテープTの切断を行う切断部13と、各種センサを有して各種検出を行う検出部14と、各種ドライバを有して各部回路を駆動する駆動部270と、テープ印刷装置1内の各部を制御する制御部200と、を備えている。
【0032】
このため、装置ケース2の内部には、印刷部12、切断部13、検出部14などの他、図外の回路基板が収納されている。この回路基板には、電源ユニットの他、駆動部270や制御部200の各回路などが搭載され、図外のACアダプタ接続口や外部から着脱可能なニッカド電池等の電池に接続されている。
【0033】
テープ印刷装置1では、ユーザが、ポケット6にテープカートリッジCを装着した後、ディスプレイ4により入力・編集結果を確認しながらキーボード3により所望の文字など(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)の印刷情報を入力して、印刷を指示すると、テープ送り部120によりテープカートリッジCからテープTを繰り出して、印刷ヘッド7によりテープTに所望の印刷を行い、印刷済み部分はテープ排出口22から随時外部に送り出される。所望の印刷が完了すると、テープ送り部120は、余白分を含むテープ長さの位置までテープTの送りを行った後、その送りを停止する。
【0034】
図2および図3に示すように、印刷部12には、開閉蓋21の内側に、テープカートリッジCを装着するためのポケット6が設けられていて、テープカートリッジCはこの開閉蓋21を開放した状態でポケット6に対して着脱される。また、テープカートリッジCの裏面には、相異なる幅等のテープTの種別を識別できるように小さな複数の孔(図示せず)が設けられ、ポケット6には、この孔の有無を検出するマイクロスイッチなどのテープ識別センサ142が設けられていて、テープTの有無(正確にはテープカートリッジCが装着されているか否か)およびテープTの種別(正確にはテープカートリッジCの種別)を検出できるようになっている。また、ポケット6には、開閉蓋21の開閉を検出するマイクロスイッチやリミットスイッチなどの蓋開閉センサ143が設けられている。
【0035】
次に、図2、図4および図5に示すように、テープカートリッジCには、カートリッジケース51の内部に一定の幅(4.5mm〜48mm程度)のテープTとインクリボンRとが収容されており、印刷ヘッド7が臨む貫通開口55が形成されている。テープTは、裏面に粘着面が形成され、それが剥離紙によって覆われた構成になっている。また、テープTとインクリボンRとが重なる部分には、ヘッドユニット61に内蔵された印刷ヘッド7に対応して、プラテンローラ(プラテン)56が収納されている。テープカートリッジCが装着された状態で、印刷ヘッド7が貫通開口55から露出しているインクリボンRの裏面に当たり、発熱駆動されて所望の文字などがテープTの表面に印刷される。
【0036】
ポケット6には、DCモータから成る送りモータ121を駆動源として、スプライン形式またはセレーション形式でプラテン56に係合してこれを回転させるプラテン駆動軸62と、同様にリボン巻取りリール54に係合してこれを回転させる巻取り駆動軸63と、位置決めピン64とが、それぞれ立設されている。テープカートリッジCがポケット6に装着されると、ヘッドユニット61にテープカートリッジCの貫通開口55が、位置決めピン64にテープリール52(の中心孔52a)が、プラテン駆動軸62にプラテン56(の中心孔56a)が、巻取り駆動軸63にリボン巻取りリール54(の中心孔54a)が、それぞれ差し込まれ、この状態で開閉蓋21が閉塞されると、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテン56に当接して、テープTおよびインクリボンRの送りと、それらによる印刷が可能になる。
【0037】
すなわち、プラテン56とリボン巻取りリール54とが同期して回転することにより、テープTはテープリール52から繰り出され、インクリボンRはリボンリール53から繰り出され、貫通開口55の位置で相互に重なり合った状態で走行するとともに、これらに同期して印刷ヘッド7が駆動されることで、印刷が行われる。その後、インクリボンRは内部で巻き取られながら、テープTのみがテープ繰出口59からテープカートリッジCの外部に排出され、プラテン56の回転(リボン巻取りリール54も同期回転する)が所定時間続行することで、テープTのテープ送りが続行され、テープ繰出口59からテープ排出口22を介して装置外部となるテープ排出部23に送り出され、所定の切断位置がテープカッタ132の位置まで送られる。
【0038】
次に、図5ないし図7に示すように、テープ送り部120は、ポケット6の側方に配設した送りモータ121を動力(駆動)源として、上記のプラテン駆動軸62および巻取り駆動軸63を回転させるものであり、ポケット6の側方から下方に亘る空間に配設されている。ここで、テープ送り部120は、この送りモータ121と、プラテン駆動軸62と、巻取り駆動軸63と、送りモータ121の動力を各駆動軸に伝達する減速歯車列65と、送りモータ121の回転数を検出するためのエンコーダ122と、これらを支持するシャーシ123とを備えている。
【0039】
送りモータ121は、モータホルダ124を介してシャーシ123に取り付けられている。減速歯車列65は、送りモータ121側の共有歯車列125と、プラテン駆動軸62側のプラテン歯車列126と、巻取り駆動軸63側の巻取り駆動ギヤ127とを備えている。送りモータ121の回転動力は、共有歯車列125に伝達され、次に共有歯車列125の出力端から分岐してプラテン歯車列126および巻取り駆動ギヤ127に伝達され、更にプラテン歯車列126および巻取り駆動ギヤ127からプラテン駆動軸62および巻取り駆動軸63にそれぞれ伝達される。
【0040】
また、共有歯車列125は、送りモータ121の主軸に固定されたウォーム125a、それに噛み合うウォームホイール125b、それに同軸上で固定された第1ギヤ125c、それに噛み合う第2ギヤ125d、それに噛み合う第3大ギヤ125e、それに同軸上で固定された第3小ギヤ125f、それに噛み合う分岐大ギヤ125g、それに同軸上で固定された分岐小ギヤ125hとを備え、回転動力はここに記載の順で減速されながら伝達され、プラテン歯車列126および巻取り駆動ギヤ127に出力される。
【0041】
プラテン歯車列126は、上記の分岐小ギヤ125hに噛み合う中間大ギヤ126aと、それに同軸上で固定された中間小ギヤ126bと、それに噛み合うプラテン駆動ギヤ126cとを備えている。プラテン駆動ギヤ126cの上面には、プラテン駆動軸62が立設され、同様に巻取り駆動ギヤ127の上面には、巻取り駆動軸63が立設されている。なお、図中の符号62aは、プラテン駆動ギヤ126cおよびプラテン駆動軸62を一体として回転自在に支持するプラテン側軸ピンであり、符号63aは、巻取り駆動ギヤ127および巻取り駆動軸63を一体として回転自在に支持する巻取り側軸ピンである。
【0042】
また、エンコーダ122は、円盤状の周方向の4箇所に検出開口122aが形成され、上記のウォーム125aの同軸上の先端に固着され、回転速度センサ141は、検出開口122aに臨むフォトセンサ141aと、フォトセンサ141aを支持すると共にフォトセンサ141aとの間で光電変換を行うセンサ回路基板141bとを備えている(図6参照)。フォトセンサ141aには、図外の発光素子と受光素子とが対向配置され、発光素子の光が回転する検出開口122aを通過して受光素子に受光されることにより、回転数(パルス数)が検出される。すなわち、受光素子で受光された光の明滅が、センサ回路基板141bにより光電変換され、パルス信号として制御部200に出力される。
【0043】
次に、図3に示すように、切断部13は、テープカッタ132(図5、図6参照)と、これを切断動作させるカッタモータ131と、任意長印刷などの場合に手動(マニュアル)によりテープカッタを切断動作させるカットボタン133と、を備えている。また、定長印刷などの場合には自動(オート)でカッタモータ131を駆動する。また、モード設定によって、自動/手動を切り替えられるようにしている。
【0044】
検出部14は、上記の回転速度センサ141と、前述のテープ識別センサ142と、蓋開閉センサ143と、を備えている。なお、実状に合わせて、これらを省略した構成とすることもできる。
【0045】
駆動部270は、ディスプレイドライバ271と、ヘッドドライバ272と、モータドライバ273と、を備えている。ディスプレイドライバ271は、制御部200から出力される制御信号に基づき、その指示にしたがって、操作部11のディスプレイ4を駆動する。同様に、ヘッドドライバ272は、制御部200の指示にしたがって、印刷部12の印刷ヘッド7を駆動する。また、モータドライバ273は、印刷部12の送りモータ121を駆動する送りモータドライバ273dと、切断部13のカッタモータ131を駆動するカッタモータドライバ273cとを有し、同様に、各モータを駆動する。
【0046】
操作部11は、キーボード3とディスプレイ4とを備えている。ディスプレイ4は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能な表示画面41を有し、ユーザがキーボード3からデータを入力して、キャラクタ列画像データなどの印刷画像データを作成・編集したり、その結果等を視認したり、キーボード3から各種指令・選択指示等を入力したりする際などに用いられる。
【0047】
キーボード3には、アルファベットキー群、数字キー群、平仮名や片仮名等の仮名キー群、および外字を呼び出して選択するための外字キー群等を含む文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群32などが配列されている。機能キー群32には、図外の電源キー、印刷動作を指示するための印刷キー、テキスト入力時のデータ確定や改行および選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー、並びに、それぞれ上下左右の方向へのカーソル移動や表示画面41の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキーなどが含まれる。なお、これらは、各キー入力毎に個別にキーを設けて入力しても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力しても良い。
【0048】
キーボード3は、種々の指令およびデータを制御部200に入力する。制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240、周辺制御回路(P−CON)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。
【0049】
ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域221の他、色変換テーブル、文字修飾テーブルなどを含む制御データを記憶する制御データ領域222を有している。CG−ROM230は、テープ印刷装置1に用意されている文字等(数字、記号、図形等を含む)のフォントデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
【0050】
RAM240は、電源オフ時のバックアップがされていて、各種フラグ・レジスタ群241、テキストデータ領域242、表示画像データ領域243、印刷画像データ領域244、描画登録画像データ領域245、外字登録画像データ領域246、文字展開バッファ、印刷バッファなどの各種バッファ領域247などの領域を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
【0051】
P−CON250には、CPU210の機能を補うとともに周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。例えば、種々の計時を行うタイマ251などもP−CON250内の機能として組み込まれている。このため、P−CON250は、検出部14の各種センサやキーボード3と接続され、検出部14からの前述した各種検出信号およびキーボード3からの各種指令や入力データなどをそのままあるいは加工して内部バス260に取り込むとともに、CPU210と連動して、CPU210等から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部270に出力する。
【0052】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムにしたがって、P−CON250を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介して駆動部270に制御信号を出力することにより、印刷の位置制御や表示画面41の表示制御等を行うとともに、印刷ヘッド7を制御して所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
【0053】
次に、テープ印刷装置1の制御全体の処理フローについて、図8を参照して説明する。電源キーを押すこと(電源オン)により処理が開始すると、同図に示すように、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S1)、次に、前回の表示画面を初期画面として表示する(S2)。
【0054】
同図のその後の処理、すなわちキー入力か否かの判断分岐(S3)および各種割込処理(S4)は、概念的に示した処理である。実際には、テープ印刷装置1では、初期画面表示(S2)が終了すると、キー入力その他による割込を許可し、何らかの割込が発生するまでは、そのままの状態を維持し(S3:No)、何らかの割込が発生すると(S3:Yes)、それぞれの割込処理に移行して(S4)、その割込処理が終了すると、再度、その状態を維持する(S3:No)。
【0055】
上述のように、テープ印刷装置1では、主な処理を割込処理により行うので、印刷画像作成などの準備ができていれば、ユーザが任意の時点で印刷キーを押すことにより、印刷処理割込が発生して、印刷処理が起動され、印刷画像データに基づいて印刷画像の印刷ができる。すなわち、印刷に至るまでの操作手順は、ユーザが任意に選択できる。
【0056】
例えば図9に示すように、カーソルKまでの1行目の文字(キャラクタ)列「ABCDE」を入力後のテキスト編集画面表示の状態で(画面D10)、ユーザにより印刷キーが押されると、「印刷中」のメッセージの表示とともに文字列「ABCDE」の文字列画像を印刷画像として印刷し(D11)、印刷が終了すると、元のテキスト編集画面に戻る(D12:D10と同じ)。なお、テープ印刷装置1では、ユーザは、キー入力による各種指示を取消キーにより取り消すことができ、上述の状態(D11)から取消キーを押すことにより、元のテキスト編集画面の表示状態(D10)に戻すことができる。
【0057】
次に、装着時送り設定メニューについて説明する。装着時送り設定とは、テープカートリッジCを装着したときに(正確にはテープカートリッジCを装着した状態で開閉蓋21を閉塞したときに)、その装着時(閉塞時)を検出して、所定長だけテープ送りを行う「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)の実行の有無を設定するためのものである。
【0058】
この場合、図9に示すように、例えば前述のテキスト編集画面の状態から(D10)、ユーザにより装着時送り設定キーが押されると、装着時送り設定の第1階層の選択画面の選択肢を表示する(D13)。この画面での選択肢は、「装着時テープ送り」を行うこと(有)を設定する「あり」、および、行わないこと(無)を設定する「なし」となっていて、カーソルKにより指定され白黒反転表示(ネガ表示)された1の選択肢を選択候補とする状態で表示(以下「選択表示」)する。なお、装着時送り設定の(選択画面D13を表示させる)ためには、装着時送り設定キーの押下の代わりに、メニューキーの押下により各種機能をメニュー表示させ、カーソル操作(カーソルキーの押下)により「装着時送り設定」を選択表示させてから、それを選択キーにより選択・確定させても良い。
【0059】
ここでは、仕様上、画面遷移直後には、前回選択された選択肢(該当するものがない場合はデフォルトの選択肢)を選択表示する(D13)。図示の例では、「あり」が選択表示された状態(選択候補となっている状態)となっている。ただし、ユーザは、上述の状態から(D13)、カーソル操作により他の選択肢を選択表示させることができる。このため、カーソル操作により「なし」を選択表示させてから、選択キーを押せば、「なし」の選択肢、すなわち装着時テープ送りを行わないこと(無)を選択でき、「なし」が選択されて設定されたときには、その直後に、元のテキスト編集画面に戻る(D14:D10と同じ)。
【0060】
一方、図10に示すように、「装着時テープ送り」の「あり」が選択表示された状態から(D13:図9と共通)、ユーザにより選択キーが押されると、「あり」が選択され、その下位の選択画面に移行(画面遷移)する(D15)。この選択画面は、装着時テープ送りが実行された後に、テープ送りされたテープTをカットする「装着時テープ送り後カット」(装着時所定長送り後カット)の実行の有無を選択するためのものであり、選択肢は、「装着時テープ送り後カット」を行うこと(有)を設定する「あり」、および、行わないこと(無)を設定する「なし」となっていて、図示の例の画面遷移後の初期表示は、「あり」が選択表示された状態となっている(D15)。
【0061】
続いて、この状態から(D15)、ユーザにより選択キーが押されると、「あり」が選択・設定され、カーソル操作により「なし」が選択表示されてから、選択キーが押されると、「なし」が選択・設定され、いずれかの設定が終了した直後に、元のテキスト編集画面に戻る(D16:D10と同じ)。
【0062】
上述のような各設定の後の状態あるいは初期化状態で、蓋開閉センサ143によって開閉蓋21の閉塞が検出されると、蓋閉塞検出割込が発生して、図11に示すように、テープ装着時送り処理(S20)が起動され、まず、テープ識別センサ142による検出結果、すなわちテープTの有無および種別の検出結果を取得する(S21)。ここで、テープTが未装着であるときには(S22:Yes)、「テープ無しエラー」の旨のエラーメッセージとビープ音によりエラー報知して(S28)、全処理(S20)を終了する(S27)。
【0063】
なお、テープカートリッジの装着時である「テープ装着時」を文字通り捉えれば、テープカートリッジの未装着状態から装着状態への変化時点が装着時となるので、ここでは、本来、テープカートリッジCが装着された時点(装着時)を検出して、例えば「装着時検出割込」等を発生させ、下記の処理(S23〜S27)のみを「テープ装着時送り処理」としても良い。
【0064】
ただし、テープカートリッジCの着脱のために開閉される開閉蓋21等を有する場合、実質的にはその開閉蓋21を閉じたときにその後の処理(テープ送りや印刷等)の準備が整う。このため、ここでは、開閉蓋21の閉塞とテープカートリッジCの未装着を検出し、開閉蓋21の閉塞が検出された時点(蓋開閉検出割込が発生した時点)で、テープカートリッジCの未装着が検出されなかったときに(S22:No)、その時点をテープカートリッジCの装着時と推定する。
【0065】
これにより、装着時が検出されたとき(S22:No)には、開閉蓋21も閉じているので、すぐにその後の処理に移行できる。また、状態の変化点を検出する動的な検出を開閉蓋21に対して設け、開から閉への変化時点(閉塞時)を検出することで、テープカートリッジCに対しては動的な検出が不要になり、静的な検出(すなわち未装着か否かの検出)で済むので、ポケット(テープ装着部)6の検出機構を単純化できる。また、その分、テープカートリッジCの種別等の検出機構との兼備が容易になるなどの利点がある。すなわち、テープTの有無や種別などを各情報が必要になった時点で取得(S21)すれば良いので、出力(検出)パルスのエッジによって割込を発生させるような動的な検出機構が不要となる。また、プラテン駆動軸62等は下部側のみで支持されているので、回転時にはテープカートリッジCを上方に浮かす力が働くが、開閉蓋21は、ポケット6内の左右の爪と協動してテープカートリッジCが浮くのを押さえるため、その開閉蓋21の閉塞を検出後に次の処理に移行することで、より安定した動作(テープ送りや印刷等)を確保できるなどの利点もある。
【0066】
そして、このようにしてテープ(カートリッジ)装着時が検出されたときには(S22:No)、次に、「装着時テープ送り」が設定されているか否かを判別し(S23)、設定されていないとき、すなわち設定が「なし」のときには(S23:No)、以下の処理(S24〜S26)を省略して、そのまま全処理(S20)を終了する(S27)。一方、「装着時テープ送り」が設定されているときには(S23:Yes)、次に、テープ送りを一定量(所定長)分だけ行う「装着時テープ送り処理」を実行する(S24)。
【0067】
ここで、本実施形態の「装着時テープ送り」における「所定長」は、図4に仮想線(一点鎖線)で示すように、テープカートリッジCのテープ繰出口59からテープ排出口22の外部側(テープ排出部23側)の開口端(縁を結ぶ面:位置Paの面)までの距離を距離La、テープ繰出口59からテープ排出部23の開口端面(外部側の周縁を含む面:側壁を延長した面:位置Pbの面)までの距離を距離Lbとすると、距離La≦所定長≦距離Lbに設定されている。
【0068】
この場合、図示の距離La≦所定長とすることで、仮に装着時のテープ先端がテープカートリッジCのテープ繰出口59からわずかに出ている程度であっても、装着時テープ送り処理(S24)の実行後のテープTの先端は、テープ排出口22の開口端まで到達するので、短すぎてその後の処理に支障を来すことがなくなる。例えば「装着時テープ送り後カット」が有の場合に、後述の装着時テープ送り後カット処理(S26)において、テープ排出口22にてテープカットができる。
【0069】
なお、この装着時テープ送り処理(S24)には、さらにその前提として、プラテン56とプラテン駆動軸62との間での係合時のギャップ分を解消し、それによる影響(印刷画像の歪み等)を軽減・防止する目的がある。すなわち、係合後に、プラテン駆動軸62を最初に回転させるときには、そのギャップ分だけ空回転してプラテン56に伝わらず、テープ送りにロスが生じるため、テープ送りを行う所定長を、係合時のギャップが最大の場合に生じるテープ送りのロス分の長さ以上の長さとすることにより、所定長のテープ送りが終了するまでの間に(テープ送りの初期の頃には)ギャップ分が解消され、プラテン駆動軸62の回転がプラテン56にそのまま伝達されるようになるので、その後のユーザ所望の印刷画像の画質を確保できる。そして、ここでは、距離La≦所定長とすることで、上記のギャップ分を解消する条件を満たしている。
【0070】
また、その一方、所定長≦距離Lbとすることで、装着時テープ送り処理(S24)の処理後(装着時所定長送りの実行後)のテープTの先端が極端に外部まで繰り出されて作業等のじゃまになるのを、軽減・防止できる。例えば装着時のテープ先端がテープ繰出口59と面一程度の場合であれば、装着時テープ送り処理(S24)後のテープの先端は、テープ排出口22の開口端とテープ排出部23の開口端面(装置の側壁の延長面)との間に位置することになり(図1、図4参照)、テープ先端が外乱を受けにくく、かつ、他の作業のじゃまにならない。
【0071】
なお、上記の装着時テープ送り処理(S24)の所定長を、任意設定できるようにしても良い。例えば図10で前述の「装着時テープ送り」の「あり」(D13)を選択後、「装着時テープ送り後カット」の実行の有無を選択する選択画面(D15)の前に、テープ送りの所定長を複数の選択肢から選択して、あるいは直接的に数値で任意長としての値を入力して、任意設定した後、所定長を確定する選択キーの押下により、下位階層の選択画面(D15)に画面遷移するようにしても良い。
【0072】
そして、図11に示すように、装着時テープ送り処理(S24)が終了すると、次に、「装着時テープ送り後カット」が設定されているか否かを判別し(S25)、設定されていないとき、すなわち設定が「なし」のときには(S25:No)、そのまま全処理(S20)を終了し(S27)、設定されているときには(S25:Yes)、次に、テープカット処理(S26)を実行後に、全処理(S20)を終了する(S27)。
【0073】
上述のように、テープ印刷装置1では、「装着時テープ送り後カット」の有無を、その時々の都合に合わせて任意に選択でき、カットの有を選択すれば、装着時テープ送り分(所定長送り分)をカットして待機できるので、その後に印刷する所望の印刷画像の前余白が比較的大きいとき(例えばヘッドカッタ間以上のとき)などでは、前カットの手間が省けて便利であり、逆に前余白が小さいとき(例えばヘッドカッタ間未満のとき)などには、カットの無を選択すれば、印刷途中における前カット処理にて兼用できて、テープの無駄を少なくすることができる、などの利点がある。
【0074】
また、テープ印刷装置1では、上記の前提となる「装着時テープ送り」の有無も選択でき、それによって、「装着時テープ送り」を実行したり省略したりできるので、テープカートリッジCの保管状態やそれによるテープTのたるみの発生頻度などの実状に合わせて、任意に選択できる。
【0075】
そして、「装着時テープ送り」の有を選択しておけば、テープカートリッジCを装着したときに(正確にはテープカートリッジCを装着した状態で開閉蓋21を閉塞したときに)、その装着時(閉塞時)を検出して、所定長だけテープ送りを行う「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)を実行する。この場合、少なくともテープカートリッジC内のテープTのたるみやプラテン係合時のギャップによる初期の印刷画像の歪みなどを解消できる所定長を設定しておくことにより、その後、ユーザが所望する最初の印刷画像を印刷する時点では、歪み等を生じることなく印刷できる。すなわち、テープカートリッジ装着後、ユーザ所望の印刷画像の画質を確保できる。
【0076】
なお、図9ないし図11で上述の装着時送り設定メニューおよびそれによるテープ装着時送り処理などは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして、テープカートリッジの装着や蓋開閉操作に伴ってテープ装着時に所定長のテープ送り処理を行うプログラムにも適用でき、あるいは、その種のプログラムを記憶するためのCD等を初めとする記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、テープカートリッジ装着後、ユーザ所望の印刷画像の画質を確保できる。また、本実施形態のテープ印刷装置1は、略V字のテープ排出部23を有する据置型のテープ印刷装置であるが、テープ排出部23が略U字のもの(図17〜図18参照)や携帯型のもの(図19〜図20参照)であっても、同様に適用できる。また、その他、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0077】
次に、電源オフ時送り設定メニューについて説明する。前述の装着時送り設定において設定した「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)が、テープTの装着時(正確にはテープカートリッジCを装着した状態での開閉蓋21の閉塞時)の検出を割込発生要件としたのに対し、この電源オフ時送り設定とは、自動または手動により少なくともポケット(テープ装着部)6を含む部位の電源オフが指示されたことを割込発生要件として所定長のテープ送りを行う「電源オフ時テープ送り」(電源オフ時所定長送り)の実行の有無を設定するためのものである。なお、この場合の電源オフは、テープ印刷装置1全体の電源オフでも良いし、一部の電源オフ(少なくともポケット6を含み、テープカートリッジCを着脱可能な電源オフ)でも良い。以下では、装置全体の電源オフとして説明する。
【0078】
この場合、図12に示すように、例えば前述のテキスト編集画面の状態から(D20:図9のD10と同じ)、ユーザにより専用の電源オフ時設定キーが押されるか、あるいはメニューキー押下〜各種機能のメニュー表示〜カーソル操作(カーソルキー押下)〜「電源オフ時送り設定」の選択表示〜選択キー押下により、電源オフ時送り設定の第1階層の選択画面の選択肢を表示する(D21)。この画面での選択肢も、「装着時テープ送り」と同様に、行うこと(有)を設定する「あり」、行わないこと(無)を設定する「なし」となっていて、そのままあるいはカーソル操作によりいずれかを選択表示させてから、選択キーが押されると、「電源オフ時テープ送り」を行うこと(有)、あるいは「電源オフ時テープ送り」を行わないこと(無)が選択・設定され、その直後に、元のテキスト編集画面に戻る(D22:D10と同じ)。
【0079】
上述のような状態で、ユーザにより電源キーが押されて電源オフが指示されると、あるいは何も操作がないまま所定時間が過ぎて自動的に電源オフ(オートオフ)が指示されると、電源オフ指示割込が発生して、図13に示すように、電源オフ処理(S30)が起動され、まず、電源オフのための準備として、図8で前述の電源オン時の初期設定(S1)にて復旧できるように、各種制御フラグの内容などの各種設定情報を退避する(S31)。
【0080】
次に、「電源オフ時テープ送り」が設定されているか否かを判別し(S32)、設定されているときには(S32:Yes)、次に、テープ送りを一定量(所定長)分だけ行う「電源オフ時テープ送り処理」を実行し(S33)、設定されていないときには(S32:No)、「電源オフ時テープ送り処理」(S24)を省略し、その後、電源をオフにすることにより(S34)、全処理(S30)が終了する(S35)。
【0081】
上述のように、テープ印刷装置1では、「電源オフ時テープ送り」(電源オフ時所定長送り)の有無を選択でき、それによって、「電源オフ時テープ送り」を実行したり省略したりできるので、電源オフ後にテープカートリッジCを交換するか否かや交換後の保管状態やその後の運用その他の実状に合わせて、任意に選択できる。
【0082】
そして、「電源オフ時テープ送り」の有を選択しておけば、テープ装着部を含む部位の電源オフが指示されたときに、テープ送りを所定長だけ行う「電源オフ時テープ送り」を実行し、その後に、電源オフを行うため、電源オフ実行後には、電源オフ指示時点より所定長分だけ長くテープTが外部に出ていることになる。すなわち、適切な長さを所定長として設定しておくことにより、電源オフ後、テープカートリッジCを取り外して再使用のために保管するにしても、その保管状態(テープカートリッジCの単体状態)において振動等によりテープ先端がテープカートリッジC内に引き込まれるなどの事故を軽減できる。
【0083】
このため、本実施形態の「電源オフ時テープ送り処理」における「所定長」は、図4に仮想線(一点鎖線)で示すように、テープカッタ(切断手段)132により切断されたテープTの先端が、テープ排出口22の開口端(位置Pa)からテープ排出部23の開口端面(位置Pb)までの間に至るように、設定されている。すなわち、スリット状のテープ排出口22内のテープカッタ132による切断位置Pcからテープ排出部23の開口端面までの距離を距離Lc、切断位置Pcからテープ排出口22の開口端までの距離を距離Ldとすると、距離Ld≦所定長≦距離Lcとなるように設定されている。
【0084】
一般に、テープ印刷装置1を使用してテープTに所望の印刷画像を印刷し、その印刷部分をカットしてラベルにする場合、その最終工程として、テープTの切断(テープカット)が行われるが、電源オフの指示前にテープTが切断されている場合には、電源オフが指示された時点でのテープTの先端は、テープ排出口22内(の切断位置Pc)にある。ここで、上述の所定長が設定され、かつ、「電源オフ時テープ送り」の有が選択されている場合、電源オフの指示によって、「電源オフ時テープ送り」が実行された後に、電源オフが行われるので、電源オフ実行後のテープ先端は、テープ排出口22の開口端〜テープ排出部23の開口端面の間に位置することになる。このため、その後、テープカートリッジCを交換しないで装着したまま待機するときには、テープ先端が外乱を受けにくく、かつ、他の作業のじゃまにならない、という利点があり、テープカートリッジCを交換して再使用のために保管するときには、テープ先端がテープカートリッジC内に引き込まれない程度に出ているので、その種の事故を軽減できる。
【0085】
なお、上記の電源オフ時テープ送り処理(S33)の所定長も任意設定可にしても良い。例えば図12で前述の「電源オフ時テープ送り」の「あり」(D21)を選択後、テキスト編集画面(D22)に戻る前に、テープ送り長を複数の選択肢から選択してあるいは直接的に数値で入力して、任意設定できるようにし、所定長を設定後に、テキスト編集画面(D22)に戻るようにしても良い。
【0086】
また、図12ないし図13で上述の電源オフ時送り設定メニューおよびそれによる電源オフ処理などは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして、電源オフ指示に従って電源オフする前に所定長のテープ送り処理を行うプログラムにも適用でき、あるいは、その種のプログラムを記憶するためのCD等を初めとする記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減できる。もちろん、装着時送り設定と同様に、本実施形態のテープ印刷装置1と異なるタイプのテープ印刷装置(図17〜図20参照)にも、適用できる。また、その他、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0087】
ところで、上述の電源オフ時送り設定メニューおよびそれによる電源オフ処理では、テープカートリッジCに関する事故を軽減したり、他のじゃまにならないなど、マイナス面の軽減に主眼を置いて説明したが、所定長のテープ送りを積極的に利用(プラス面に着眼)して、利便性を向上させることもできる。
【0088】
そもそも、近年のテープ印刷装置の小型化に伴って、テープカートリッジCが装着されているか否かが装置外部から確認しにくくなっている。また、外部から確認可能なように装着部の開閉蓋を透明にしたり、専用窓(覗き窓)を設けるのはコストアップに繋がる。また、テープカートリッジCの装着が確認できても、内部に収容されているテープT等の仕様(幅、色、インク色等)は、把握しにくい。このため、テープカートリッジCのケースを透明にするのは、コストアップになるとともに、外部からの光によりテープT等が劣化しやすくなる。また、テープカートリッジCのケースにテープT等の仕様が記載されていても、実感として把握しにくい。
【0089】
これに対し、前述の「電源オフ時テープ送り」(電源オフ時所定長送り)により所定長分だけテープ送りが実行され、テープカートリッジC外にテープTが繰り出され、確認できる(視認でき、かつ、触れることもできる)ことによって、テープカートリッジCの単体状態で保管する場合には、内部に収容されたテープT等の仕様が把握しやすくなる。また、テープ印刷装置1に装着されたまま待機するにしても、テープカートリッジCから繰り出されたテープTが、装置外部から確認(視認および触診)できることによって、装着された待機状態においても、テープT等の仕様が把握しやすくなる。すなわち、「電源オフ時テープ送り」により、テープ印刷装置1から離脱して保管するにしても、装着したまま待機するにしても、テープカートリッジCに関する情報が把握しやすくなる、という利点がある。
【0090】
そして、この利点をさらに向上できる応用例として、例えば「電源オフ時テープ送り」の実行に連携(並行)させて、所定事項(以下「電源オフ時記載事項」)を印刷する例について、以下に説明する。
【0091】
この場合、例えば図14に示すように、「電源オフ時テープ送り設定」の「あり」が選択表示された状態から(D21:図12と共通)、選択キーの押下で「あり」が選択され、その下位の選択画面に遷移する(D25)。この選択画面は、「電源オフ時テープ送り」(電源オフ時所定長送り)の実行と連携して、すなわち図13の電源オフ時テープ送り処理(S33)における所定長のテープ送りと並行して、そのテープTに対して所定の「電源オフ時記載事項」を印刷する「電源オフ時印刷」の実行の有無を選択するためのものであり、選択肢は、「電源オフ時印刷」を行う(有)を設定する「あり」と、行わない(無)を設定する「なし」と、になっていて、図示の例の画面遷移後の初期表示は、「あり」が選択表示された状態となっている(D25)。
【0092】
続いて、この状態から(D25)、カーソル操作により「なし」が選択表示されてから、選択キーが押されると、「なし」が選択・設定され、元のテキスト編集画面に戻る(D26:D10と同じ)。一方、この状態から(D25)、選択キーが押されると、「あり」が選択・設定され、その下位の選択画面に遷移する(D30)。この選択画面は、「電源オフ時記載事項」として印刷する内容を、選択するためのものであり、選択肢は、所定の注意事項を印刷する「注意事項」と、テープカートリッジCに関する各種仕様を印刷する「仕様事項」と、になっていて、図示の例の画面遷移後の初期表示は、「注意事項」が選択表示された状態となっている(D30)。
【0093】
続いて、この状態から(D30)、選択キーが押されると、「注意事項」が選択・設定され、印刷内容設定の最終選択画面に遷移する(D32)。この選択画面の選択肢は、そのまま印刷内容設定を終了する「終了」と、さらに印刷内容(印刷項目)を追加する「追加」と、印刷項目を削除する「削除」と、になっていて、図示例の初期表示は、「注意事項」が選択表示となっている(D32)。そこで、この状態から(D32)、選択キーが押されると、「終了」が選択され、印刷内容の設定が終了して、元のテキスト編集画面に戻る(D26:D10と同じ)。
【0094】
この場合、図13の電源オフ時テープ送り処理(S33)において、所定長のテープ送りと並行して、テープTに「注意事項」が所定の「電源オフ時記載事項」として印刷される。例えば図15(a)に示すように、テープTのテープカートリッジCから繰り出した部分に、同図(b)に示すような「注意事項」が印刷される。
【0095】
一方、上述の「電源オフ時記載事項」の印刷内容の選択画面から(D30)、カーソル操作により「仕様事項」が選択表示されてから、選択キーが押されると、「仕様事項」が選択され、その下位の選択画面に遷移する(D31)。この選択画面は、「仕様事項」として印刷する内容を、選択するためのものであり、選択肢は、「標準」「テープ幅」「テープ色」「テープ材質」「粘着強度」「インク色」「最大文字サイズ」「最大行数」となっていて、図示例の初期表示は「標準」が選択表示となっている(D31)。
【0096】
なお、通常のテープカートリッジCでは、「インク色」は「インクリボン色」となるが、テープTが感熱紙テープの場合など、インクリボンが収容されていない場合には、仕様事項の選択肢「インク色」を削除するか、印刷色で代用するか、選択肢を「印刷色」とするか、などに適宜変更しても良い。
【0097】
続いて、この状態から(D31)、選択キーが押されると、「標準」が選択・設定され、前述した印刷内容設定の最終選択画面に遷移し(D32)、初期表示の「終了」が選択表示された状態のまま(D32)、選択キーが押されると、「終了」が選択され、元のテキスト編集画面に戻る(D26)。
【0098】
ここで、例えば「テープ幅」や「テープ色」は見ただけで把握できるものとし、「インク色」と「最大行数」が把握できる最小限の印刷をすることを「標準」とする。例えば図15(c)(e)(g)に示すように、各行に1文字ずつ最大行数分印刷すれば、印刷された文字色と行数とから、「インク色」と「最大行数」が把握できる。なお、「標準」として、例えば同図(d)(f)(h)に示すように、例えば9mm幅以上のテープTについては、「テープ色」「インク色」「粘着強度」、6mm幅のテープTについては、「テープ色」「インク色」のように定めておいても良い。
【0099】
次に、上述の印刷仕様選択の状態から(D31)、カーソル操作により「テープ色」が選択表示されてから、選択キーが押されると、「テープ色」が選択・設定され、同様に、印刷内容設定の最終選択画面に遷移するが(D32)、ここで、カーソル操作により例えば「追加」が選択表示されてから、選択キーが押されると、追加モードとなってから、印刷内容の選択画面に戻る(D33:D30と同じ)。
【0100】
この後の操作は前述の画面D30〜D32と同じとなるが、追加モードなので、この間で選択されたものは、元の印刷内容に追加される。例えば上述の場合、「テープ色」が選択済みだったので、「注意事項」が選択されれば、「仕様事項」の「テープ色」+「注意事項」が印刷されるように設定される。また、同様に、「仕様事項」の「インク色」が選択されれば、「仕様事項」として「テープ色」+「インク色」が印刷されるように設定される。なお、重複指定(すでに指定済みのものを指定)したときにはエラー報知等をさせても良い。
【0101】
次に、例えば上記の「テープ色」+「インク色」が印刷される設定状態で、印刷内容設定の最終選択画面に遷移し(D32)、ここで、カーソル操作により「削除」が選択表示されてから、選択キーが押されると、削除モードとなってから、印刷内容の選択画面に戻る(D33)。ただし、この後は、削除モードなので、画面D30〜D32間で選択されたものは、元の印刷内容から削除される。例えば上述の場合、「テープ色」+「インク色」だったので、「仕様事項」の「インク色」が選択されれば、「仕様事項」として「テープ色」のみが印刷されるように設定される。なお、すでに指定済みでないものを指定したときにはエラー報知等をさせても良い。
【0102】
上述のように、本例のテープ印刷装置1では、「電源オフ時テープ送り」(電源オフ時所定長送り)の実行に連携(並行)させて、「電源オフ時記載事項」を印刷できるので、「電源オフ時記載事項」としての印刷の内容を工夫すれば、その内容により種々の情報を得られるようにできる。
【0103】
そして、本例では、「電源オフ時記載事項」の印刷内容を選択して設定できるようにしているので、印刷内容に「注意事項」を含めれば、テープカートリッジCを交換して保管するにも、そのまま待機するにしても、テープTに印刷された内容を見るだけで、そのテープカートリッジCを扱う際の注意事項が容易に把握できる。また、「仕様事項」としては、「標準」「テープ幅」「テープ色」「テープ材質」「粘着強度」「インク色」「最大文字サイズ」「最大行数」などを含めることができ、これらを含めれば、テープTに印刷された内容を見るだけで、そのテープカートリッジCの各種の仕様事項が容易に把握できる。
【0104】
また、このテープ印刷装置1では、その時々の都合に合わせて、「電源オフ時記載事項」の印刷の有無を選択でき、印刷の有を選択すれば、上述の印刷による各種情報が得られるなどの利点があり、それらの情報が不要であれば、印刷の無を選択して、印刷しないようにもできる。
【0105】
なお、上述の「電源オフ時印刷事項」の印刷の設定、その有無の選択、印刷内容の選択なども、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、あるいは、その種のプログラムを記憶するための記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減できるばかりでなく、テープカートリッジCを交換して保管するにも、そのまま交換しないで待機するにしても、テープカートリッジCに関する情報が把握しやすいなど、利便性を向上できる。もちろん、これらもテープ印刷装置1のタイプ(図17〜図20参照)に拘わらず、適用でき、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0106】
さて、上述の例では、「電源オフ時送り設定」について利便性を向上させる点を説明したが、同様のことは、「装着時送り設定」についても適用できる。すなわち、もともと同様に、前述の「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)により所定長分だけテープ送りが実行され、テープカートリッジC外にテープTが繰り出され、確認(視認&触診)できることによって、装着されたテープカートリッジC内部に収容されたテープT等の仕様が把握しやすくなるので、この利点をさらに向上できる応用例も同様に適用できる。以下、同様に、「装着時テープ送り」の実行に連携(並行)させて、所定事項(以下「装着時記載事項」)を印刷する例について説明する。
【0107】
この場合、例えば図16に示すように、「装着時テープ送り設定」の「あり」が選択表示された状態から(D13:図9および図10と共通)、選択キーの押下で「あり」が選択され、その下位の選択画面に遷移する(D45)。この選択画面は、「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)の実行と連携して、すなわち図11の装着時テープ送り処理(S24)における所定長のテープ送りと並行して、そのテープTに対して所定の「装着時記載事項」を印刷する「装着時印刷」の実行の有無を選択するものであり、選択肢は、「テープ装着時印刷」を行う(有)を設定する「あり」と、行わない(無)を設定する「なし」と、になっていて、図示例の初期表示は、「あり」が選択表示されている(D45)。
【0108】
なお、以下、この状態(D45)からの各種選択・設定の方法(D45、D40〜D43、D46)は、「電源オフ時テープ送り設定」について、図14を参照して説明した内容(D25、D30〜D33、D26)と同様なので、説明は省略する(図15の例もそのまま参照可)。
【0109】
すなわち、本例のテープ印刷装置1では、「装着時テープ送り」(装着時所定長送り)の実行に連携(並行)させて、「装着時記載事項」を印刷できるので、「装着時記載事項」としての印刷の内容を工夫すれば、その内容により種々の情報を得られるようにできる。なお、この場合、ユーザ作成の印刷画像ではないので、テープカートリッジC内のテープのたるみやプラテン係合時のギャップによる初期の印刷画像の歪みなどは、表面化しないように印刷画像の前端部に工夫を加えて(例えば余白を設けて)も良いし、印刷内容が読めれば画質はさほど問題とならないので、そのままに(工夫しないで放置)しても良い。
【0110】
そして、本例では、「装着時記載事項」の印刷内容を選択して設定でき、印刷内容に「注意事項」を含めれば、テープカートリッジCの装着後、ユーザ所望の印刷画像の画質を確保しつつ、テープTに印刷された内容を見るだけで、待機中に、注意事項が容易に把握でき、「仕様事項」として、「標準」「テープ幅」「テープ色」「テープ材質」「粘着強度」「インク色」「最大文字サイズ」「最大行数」などを含めれば、待機中に、各種の仕様事項が容易に把握できる。また、その時々の都合に合わせて、「装着時記載事項」の印刷の有無を選択でき、印刷の有を選択すれば、印刷による各種情報が得られる利点があり、不要であれば、印刷の無を選択して、印刷しないようにもできる。
【0111】
なお、上述の「装着時印刷事項」の印刷の設定、その有無の選択、印刷内容の選択なども、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、テープカートリッジ装着後、ユーザ所望の印刷画像の画質を確保しつつ、その後の利便性を向上できる。もちろん、これらもテープ印刷装置1のタイプ(図17〜図20参照)に拘わらず、適用できる。また、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0112】
【発明の効果】
上述のように、本発明のテープ印刷装置およびそのテープ処理方法、プログラム並びに記憶媒体によれば、装着されたテープカートリッジを交換して再使用のために保管するときの事故を軽減でき、あるいは交換しないで装着したまま待機するときの利便性を向上できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】図1のテープ印刷装置の、蓋を開けた状態の斜視図である。
【図3】図1のテープ印刷装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図4】図1のテープ印刷装置に装着するテープカートリッジの一例の内部構成図である。
【図5】図4のテープカートリッジを装着するポケット近傍の内部構成図である。
【図6】図1のテープ印刷装置の動力伝達系の内部構成図である。
【図7】図1のテープ印刷装置の動力伝達系の平面図である。
【図8】テープ印刷装置の制御全体の概略処理を示すフローチャートである。
【図9】印刷指示および装着時テープ送り処理を省略するときの一例を示す、表示画面およびその表示画面上での典型的な操作の説明図である。
【図10】装着時テープ送り処理を設定するときの一例を示す、図9と同様の説明図である。
【図11】テープ装着時送り処理を示すフローチャートである。
【図12】電源オフ時テープ送り処理を設定するときの一例を示す、図9と同様の説明図である。
【図13】電源オフ処理を示すフローチャートである。
【図14】電源オフ時印刷処理およびその印刷内容を設定するときの一例を示す、図9と同様の説明図である。
【図15】図14に対応して、印刷結果およびそのときのテープのイメージの一例を示す説明図である。
【図16】装着時印刷処理およびその印刷内容を設定するときの一例を示す、図9と同様の説明図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る図1とは別のテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図18】図17のテープ印刷装置の、蓋を開けた状態の斜視図である。
【図19】さらに別のテープ印刷装置の、図17と同様の外観斜視図である。
【図20】図19のテープ印刷装置の内部構成図である。
【符号の説明】
1   テープ印刷装置
2   装置ケース
3   キーボード
4   ディスプレイ
7   印刷ヘッド
11  操作部
12  印刷部
13  切断部
14  検出部
200 制御部
270 駆動部
C   テープカートリッジ
R   インクリボン
T   テープ

Claims (13)

  1. 印刷対象物となるテープを収容したテープカートリッジを装置本体のテープ装着部に装着し、テープ送りを行って前記テープを前記テープカートリッジから送り出しながら、前記テープに印刷を行うテープ印刷装置であって、
    自動または手動により電源オフが指示されたときに、前記テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り手段と、
    前記電源オフ時所定長送りの実行と連携して、前記テープに所定の電源オフ時記載事項を印刷する電源オフ時記載事項印刷手段と、
    前記電源オフ時所定長送りが実行された後に、前記電源オフを行う電源オフ手段と、
    を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
  2. 前記テープ装着部と装置外部とを連通するテープ排出口を通って、前記テープカートリッジから繰り出された前記テープが装置外部に排出されるように構成されており、
    前記装置本体には、装置外部に向かってテープ排出部が拡開形成され、その内側に前記テープ排出口が開口しており、
    前記テープ排出口に臨むように配設され、前記テープカートリッジからの前記テープを切断する切断手段をさらに備え、
    前記所定長は、前記切断手段による切断位置から前記テープ排出口の前記テープ排出部側の開口端までの距離以上、且つ、前記切断位置から前記テープ排出部の外部側の開口端面までの距離以下に、設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のテープ印刷装置。
  3. 前記電源オフ時記載事項には、前記テープカートリッジを扱う際の注意事項が含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のテープ印刷装置。
  4. 前記電源オフ時記載事項には、前記テープカートリッジの仕様事項が含まれることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のテープ印刷装置。
  5. 前記テープカートリッジの仕様事項には、それに収容された前記テープの材質、色、粘着強度およびテープ幅、並びに、そのテープに印刷可能な最大の文字サイズおよび最大行数、の少なくとも1が含まれることを特徴とする、請求項4に記載のテープ印刷装置。
  6. 前記テープカートリッジがインクリボンを収容している場合、前記テープカートリッジの仕様事項には、それに収容された前記インクリボンの色が含まれることを特徴とする、請求項4または5に記載のテープ印刷装置。
  7. 前記電源オフ時記載事項印刷手段は、
    前記電源オフ時記載事項の印刷の有無を選択する電源オフ時記載事項有無選択手段と、
    前記電源オフ時記載事項の印刷の「有」が選択されたときに、前記電源オフ時記載事項の印刷を実行する電源オフ時記載事項印刷実行手段と、
    前記電源オフ時記載事項の印刷の「無」が選択されたときに、前記電源オフ時記載事項の印刷を省略する電源オフ時記載事項印刷省略手段と、
    を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のテープ印刷装置。
  8. 電源オフ時所定長送り手段は、
    前記電源オフ時所定長送りの有無を選択する電源オフ時所定長送り有無選択手段と、
    前記電源オフ時所定長送りの「有」が選択されたときに、前記電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り実行手段と、
    前記電源オフ時所定長送りの「無」が選択されたときに、前記電源オフ時所定長送りを省略する電源オフ時所定長送り省略手段と、
    を有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のテープ印刷装置。
  9. 印刷対象物となるテープを収容したテープカートリッジをテープ装着部に装着し、テープ送りを行って前記テープを前記テープカートリッジから送り出しながら、前記テープに印刷を行うテープ印刷装置のテープ処理方法であって、
    自動または手動により電源オフが指示されたときに、前記テープ送りを所定長だけ行う電源オフ時所定長送りを実行する電源オフ時所定長送り工程と、
    前記電源オフ時所定長送りの実行と連携して、前記テープに所定の電源オフ時記載事項を印刷する電源オフ時記載事項印刷工程と、
    前記電源オフ時所定長送りが実行された後に、前記電源オフを行う電源オフ工程と、
    を備えたことを特徴とするテープ印刷装置のテープ処理方法。
  10. プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なことを特徴とするプログラム。
  11. プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置のテープ処理方法を実行可能なことを特徴とするプログラム。
  12. プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする記憶媒体。
  13. プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置のテープ処理方法を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする記憶媒体。
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