JP2004122281A - エンドミル - Google Patents
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Abstract
【課題】切りくず溝の形状を改善することにより、切りくず排出性を向上させ、溝加工における高能率化を図ったエンドミルを提供する。
【解決手段】エンドミルの外周切れ刃2のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面による断面において、切りくず排出溝4には、溝底から離間し且つ隣接切れ刃のヒール6寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線が形成され、前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に凹曲線が形成される。前記凸曲線は、前記凹曲線よりも曲率半径が小さく、前記凹曲線とすくい面を形成する凹曲線とに対して半径方向に突出するとともに、狭い範囲に形成されるため、切りくずを拘束し小さくカールさせ、且つ、円滑に排出させる。前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線は、上記切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さが確保される。
【選択図】図2
【解決手段】エンドミルの外周切れ刃2のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面による断面において、切りくず排出溝4には、溝底から離間し且つ隣接切れ刃のヒール6寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線が形成され、前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に凹曲線が形成される。前記凸曲線は、前記凹曲線よりも曲率半径が小さく、前記凹曲線とすくい面を形成する凹曲線とに対して半径方向に突出するとともに、狭い範囲に形成されるため、切りくずを拘束し小さくカールさせ、且つ、円滑に排出させる。前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線は、上記切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さが確保される。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ねじれた外周切れ刃を有するエンドミルに係わり溝削りにおける切りくず排出性を改善するとともに溝削りの高能率化を図る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンドミルによる溝削りで一般的に用いられる工具を図6および図7に示す。図6はこのエンドミル(以下、「従来エンドミルA」という)を軸線直角方向からみた形状である。図7は図6の軸直角断面の形状とともに、外周切れ刃のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面による断面形状を一緒に示す。図7に示すように、前記螺旋曲面による切りくず排出溝(4)の断面形状は、外周切れ刃(2)から溝底(5)までの範囲(以下、「刃裏」という)をエンドミル本体(1)の回転方向に向って凹んだ曲率半径R1の凹曲線(8)で形成され、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲(以下、「刃裏以外の範囲」という)を回転方向後方に突出した曲率半径R2の凸曲線(9)と、回転方向に向って凹んだ曲率半径R3の凹曲線(10)とをつないだ曲線で形成される。前記凸曲線(9)の曲率半径(R2)は該エンドミル外径の0.1〜0.15倍、前記凹曲線(10)の曲率半径(R3)は該エンドミル外径の0.03〜0.035倍に設定され、R2>R3の関係にある。前記凸曲線(9)は、刃裏以外の範囲の大部分を占め、前記凹曲線(10)より広い範囲に形成される。さらに、前記凸曲線(9)は、回転方向後方に大きく突出しているので、外周切れ刃(2)の背面の肉厚を増し刃先強度を高める作用と、外周切れ刃(2)のすくい面に沿って誘導された切りくずを接触拘束し、強制的にカールさせる作用とを有する。前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)までの範囲を形成する凹曲線(10)は、切りくず排出溝(4)を形成する曲線のなかで外周切れ刃(2)から最も遠く離間した位置に設けられ、曲率半径が小さく、且つ、狭い範囲に形成される曲線であるため、切りくず排出性にはほとんど関与していない。
【0003】
また、エンドミルの切りくず排出溝(4)を広げることによって、溝削りにおける切りくず排出性を高めたエンドミルの一例として、特開2000−52127号公報に開示された発明のエンドミル(以下、「従来エンドミルB」という)がある。このエンドミルの軸線直角方向からみた形状を図8に示し、外周切れ刃(2)に直交する断面(AA断面)形状を図9に示す。このエンドミルの切りくず排出溝(4)は、外周切れ刃に直交する断面において、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至る曲線上の任意の3点により定義される円の中心が全て該曲線の外側にある連続した凹曲線をなす。あるいは、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至るまで、任意の位置における接線が断面形状内を通過する自由な曲率をもつ略U字型をなす。以上の構成によれば、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に凸曲線状のふくらみをもつ背面が存在しなくなるため、切りくず排出溝(4)を広くすることができ、切りくずを誘導するように大きな溝底丸みを設けて切りくず処理を円滑にする効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンドミルにおいて溝削りの高能率化を図るべく、軸線方向の切込みを該エンドミル外径の0.5倍以上とし、1刃当りの送り条件を高めると、大きな切りくずが生成され、切りくず排出の問題が生じ易くなる。このような高能率な切削条件下では、従来エンドミルAは、切りくず排出溝(4)の刃裏以外の範囲に形成された凸曲線(9)が回転方向後方に大きく突出しているため、切りくずを過度に接触拘束してしまい、切りくず詰まりを発生してしまう。それによって、該エンドミルに高い負荷が加わり工具びびりが生じてしまう。また、該エンドミルの外周切れ刃(2)の刃数を増すことによって高能率化を図ろうとしても、該エンドミル本体(1)の剛性を確保するため切りくず排出溝(4)を狭くしなければならず、切りくず排出性はさらに低下する。よって、切りくず排出性はさらに悪化することになり1刃当りの送りを下げざるを得ない。以上のことから、従来エンドミルAによる溝削りは、外周切れ刃(2)が3枚以下のエンドミルを用いて低い送り条件で行なうほかはなく、高能率化することが非常に困難であった。
【0005】
一方、従来エンドミルBは、外周切れ刃(2)に直交する断面形状において、切りくず排出溝(4)が半径方向に凹んだ凹曲線のみで形成されるので、強制的に切りくずを拘束しないので、従来エンドミルAのように切りくずを過度に接触拘束して負荷が高まるということはない。しかしながら、溝底(5)に設けられた大きな丸みに誘導されて切りくずが排出されるため、高能率な溝削りを行なうと、切りくずはカール径が大きく、伸びた形状となってしまう。また、このエンドミルは、心厚(13)が該エンドミル外径の60〜75%と大きめに設定されているので、前記切りくず排出溝(4)は、上述したカール径の大きい切りくずを収容できるほど十分な半径方向の深さを確保されていない。そのため、切りくずは、切りくず排出溝(4)と被削材の壁との間に挟まれ、円滑な排出を妨げられる。
【0006】
エンドミルの切りくず排出溝(4)の断面形状は、切りくず排出性に主眼をおくならば、切りくずの排出する方向の断面において検討されるべきである。その点、従来エンドミルBは、切りくず排出溝(4)の形状が外周切れ刃(2)に直交する平面的な断面において検討されているのみで、理論的に切りくず排出方向に近似した断面で検討されているとはいえない。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みなされたもので、理論的に切りくず排出方向に近似した断面において、切りくず排出溝形状を改良することで、エンドミルの溝削りにおける切りくず排出性を改善し、従来エンドミルにくらべ軸線方向の切込みと送りを高めて加工するのに好適なエンドミルを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンドミルは、軸線回りに回転させられる略円柱状のエンドミル本体(1)の外周にねじれた切りくず排出溝(4)が設けられ、前記切りくず排出溝(4)の該エンドミル本体の回転方向に向かう壁がすくい面とされ、前記すくい面の外周側辺稜に外周切れ刃(2)が形成されるエンドミルにおいて、前記外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)により断面が求められ、前記断面における前記切りくず排出溝(4)は、前記外周切れ刃(2)のすくい面から溝底(5)に至るまでの範囲に前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)が形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に半径方向に凹んだ凹曲線(10)が形成されたことを特徴とするエンドミルである。
【0009】
また、前記断面における切りくず排出溝(4)において、前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線(9)の曲率半径をR2a、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ前記凹曲線(10)の曲率半径をR3aとすれば、R3a>R2aなる関係があり、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線(9)の曲率半径R2aが該エンドミル外径の0.2〜0.25倍であり、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃の2番逃げ端部(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線(10)の曲率半径R3aが該エンドミル外径の0.3〜0.35倍であることを特徴とするエンドミルである。
【0010】
さらに詳細には、前記断面における前記切りくず排出溝(4)において、前記外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、前記平坦部(3)の半径方向の幅が該エンドミル外径の4〜6%であり、前記外周切れ刃(2)が3〜8枚、ねじれ角が30〜65゜であり、該エンドミルの心厚(13)が該エンドミル外径の60〜80%であることを特徴とするエンドミルである。
【0011】
また、本発明のエンドミルは、切りくず排出溝形状が外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)による断面で形状を決定され、前記断面形状がコンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換され、前記軸直角断面形状でもって前記切りくず排出溝(4)が研削成形されることを特徴とする研削方法である。
【0012】
従来のエンドミルにおいて、切りくず排出溝(4)の形状は、軸直角断面や外周切れ刃(2)に直交する断面において検討されている。しかし、エンドミルによる切削加工において、切りくずは、外周切れ刃(2)のすくい面と面接触しながら生成されていることから、その排出方向は、前記すくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)に理論的に近似する。本発明のエンドミルは、この螺旋曲面(11)による断面において切りくず排出溝(4)の形状が検討、改善されているため、従来のエンドミルにくらべ、前記切りくず排出溝(4)における切りくず排出性の改善効果が高められる。
【0013】
本発明のエンドミルは、前記螺旋曲面(11)による断面において、外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、この平坦部(3)に前記すくい面を有する凹曲線(8)が該エンドミルの回転方向に向って凹むように接続されるため、前記平坦部(3)で生成された直後の切りくず排出を阻害することがない。また、前記凹曲線(8)の曲率半径R1aは、従来エンドミルAより小さく設定され、前記凹曲線(8)内に設けられる溝底(5)のエンドミル軸心からの距離、すなわち、心厚(13)を大きくし、該エンドミルの剛性を高めるとともに、前記凹曲線(8)に連なり半径方向に突出した凸曲線(9)へ切りくずを円滑に誘導する作用をもつ。
【0014】
本発明のエンドミルは、前記螺旋曲面(11)による断面において、刃裏に形成される回転方向に向って凹んだ凹曲線(8)と、刃裏以外の範囲に設けられた凹曲線(10)とを連続的につながれず、両凹曲線の間に凸曲線(9)が設けられる。この凸曲線(9)は、切りくずを接触拘束し強制的にカールさせる効果を有する。そのため、本発明のエンドミルは、従来エンドミルBと切りくず排出溝(4)の広さが同一であっても、切りくずが小さくカールした形状となるので、大きな切りくずが生成されるような溝削りでは、切りくず排出性が大幅に向上する。
【0015】
さらに、前記凸曲線(9)は、その両端に連なる2つの凹曲線より狭い範囲に形成されるとともに、その曲率半径R2aが該エンドミルの直径の0.2倍以上に設定されることにより、前記凸曲線(9)の両端に連なる2つの凹曲線から過度に突出しないので、溝削りにおける大きい切りくずが生成する場合にも、切りくずを過度に拘束することがない。また、前記凸曲線(9)は、その曲率半径R2aが該エンドミル外径の0.25倍以下であれば、前記凸曲線(9)の両端に連なる2つの凹曲線から十分な突出量が確保されるとともに、切りくずを強制的にカールさせる効果を損なうこともない。
【0016】
上述したとおり前記凸曲線(9)は、主に切りくずを強制的にカールさせる作用を有するものであるから、切りくず排出溝(4)内の広い範囲に形成される必要はなく、切りくずを円滑に排出するという点から狭い範囲に形成されることが好ましい。一方、この凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの広い範囲には、半径方向に凹んだ凹曲線(10)が形成される。この凹曲線(10)の曲率半径R3aは、該エンドミル外径の0.3倍以上と、従来エンドミルAより大きく設定される。そして、前記凹曲線(10)は、前記凸曲線(9)との接続部近傍で前記凸曲線(9)の最も突出した位置に対し半径方向に一旦凹み、緩やかに彎曲する。よって、前記凹曲線(10)は、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを阻害することなく引き続き円滑に排出させ、切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さを確保させる。さらに、前記凹曲線(10)は、隣接切れ刃のヒール(6)に近づくにしたがって徐々に回転方向後方に湾曲しているので、隣接切れ刃(12)の背面の肉厚を増し切れ刃強度を向上させる効果をもたらす。前記凹曲線(10)の曲率半径が該エンドミル外径の0.35倍以下であれば、上述の切れ刃強度を向上させる効果が損なわれることもない。
【0017】
以上のように本発明のエンドミルは、切りくず排出溝(4)の断面形状が3つの曲線で構成されるという点で従来エンドミルAと同一であるが、刃裏以外の範囲に形成される凸曲線(9)の曲率半径R2aと、凹曲線(10)の曲率半径R3aとが、R3a>R2aの関係である点で従来エンドミルと相違する。この構成によれば、前述したように、前記凸曲線が強制的に切りくずを強制的にカールさせる作用は、従来エンドミルAと同一であるが、前記凸曲線がこれに連なる前記凹曲線より小さい範囲に、且つ、半径方向への突出量が小さく形成されることで、切りくず排出を阻害しないという従来エンドミルAでは得られない格別な効果がもたらされる。一方、前記凹曲線は、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを阻害することなく引き続き円滑に排出させ、切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さを確保させるという効果をもたらす。このように、本発明のエンドミルの切りくず排出溝(4)における前記凸曲線(9)と前記凹曲線(10)とは、従来エンドミルAと作用・効果を異にするものであり、溝削りにおける切りくず排出性を格別に改善するものである。
【0018】
本発明のエンドミルは、螺旋曲面(11)による断面において、外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、前記平坦部(3)の半径方向の幅は、従来エンドミルAが該エンドミル外径の3〜4%であるのに対し、本発明のエンドミルでは該エンドミル外径の4〜6%と大きめに設定される。4%以上であれば、軸線方向切込みや1刃当り送り等を高めた高能率切削するのに十分な外周切れ刃(2)の刃先強度が得られ、6%以下であれば、切れ味を低下させることがなく、工具びびりの抑制が図られる。
【0019】
本発明のエンドミルは、外周切れ刃(2)が3枚以上に設定されることにより、従来の溝削りに使用されてきたエンドミルと同等以上の刃数が確保され、送り条件面での高能率化を図られる。また、十分な広さの切りくず排出溝(4)とともに高いエンドミル本体(1)の剛性が確保できる。外周切れ刃(2)の刃数が8枚以下であれば、切りくずを収容し、且つ、円滑に排出するのに十分な切りくず排出溝(4)の広さが確保でき、エンドミル本体(1)の剛性を著しく低下させることもない。
【0020】
軸線方向の切込みや送り条件を高めた高能率な溝削りでは、エンドミル本体(1)には高い負荷が加わる。エンドミル本体(1)にはそのような負荷に耐えうる剛性が必要なため、心厚(13)は該エンドミル外径の60%以上に設定される。心厚(13)をさらに増すとエンドミル本体(1)の剛性はさらに高まる反面、切りくず排出溝(4)は狭くなるので、切りくず排出性を確保するため心厚(13)は該エンドミル外径の80%以下とする必要がある。
【0021】
さらに、外周切れ刃(2)のねじれ角は30°以上とすることで、エンドミル軸線の法線方向の切削分力が低減され、切りくずの上向きカールが促進され、溝削りに好適な切削性が得られる。しかし、前記ねじれ角が大きくなるにしたがいエンドミルの軸直角断面における剛性は低下するが、ねじれ角が60°以下であれば実用上十分な剛性が確保できる。
【0022】
本発明のエンドミルは、螺旋曲面(11)による断面形状を切りくず排出溝(4)の設計上の断面形状としている。該切りくず排出溝(4)が研削成形されるうえで、この断面形状が用いられても良いが、好ましくは、この断面形状をコンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換され、この軸直角断面形状をもとに研削成形されるのがよい。なぜならば、従来のエンドミルを製作するときと同じ研削設備、研削工具、研削プログラム等を使用することができ、コスト的にも製造技術的にも有利だからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のエンドミルを軸直角方向からみた形状を図1に示す。図2はこのエンドミルの螺旋曲面(11)による切りくず排出溝(4)の断面形状と、軸直角断面形状を示す。図3は螺旋曲面(11)による断面形状の展開図、図4はこのエンドミルの軸直角断面を含む立体モデルの斜視図である。図5は本発明のエンドミルの断面を定義している螺旋曲面(11)の模式図である。図2を用いながらこの実施形態のエンドミルを説明する。この実施形態のエンドミルは、外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)による断面において、切りくず排出溝(4)の刃裏の範囲を前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)で形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を半径方向に凹んだ凹曲線(10)で形成される。図9に示された従来エンドミルBとくらべれば、前記凸曲線(9)部を有する点が大きな違いである。この実施形態のエンドミルは、外径が8mm、ねじれ角40°、心厚70%、4枚刃のエンドミルである。そして、外周切れ刃(2)とすくい面との間には平坦部(3)が形成され、この平坦部(3)の半径方向の幅は0.4mmであり、これは該エンドミルの直径の5%にあたる。
【0024】
前記切りくず排出溝(4)の前記螺旋曲面による断面において、溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した凸曲線(9)は、曲率半径R2aが1.6mm、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線(10)は、曲率半径R3aが2.4mmであり、R3a>R2aの関係がある。また、前記凸曲線(9)は、その両端に連なる2つの凹曲線より狭い範囲に形成されるとともに、前記凸曲線(9)はその両端に連なる2つの凹曲線からの半径方向への突出量が小さくなるように形成されている。これらの構成は図7に示された従来エンドミルAの前記螺旋曲面(11)による断面形状と全く異なるものである。
【0025】
この実施形態におけるエンドミルの切りくず排出溝(4)の形状は、前記螺旋曲面(11)による断面において仕様決定されているが、該エンドミルの研削成形においては、前記螺旋曲面(11)による断面形状を、コンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換させ、この軸直角断面形状でもって切りくず排出溝(4)の研削成形が行われる。
【0026】
上述した仕様のエンドミルを超微粒子超硬合金の母材にTiAlNコーティングを施して製作した。このエンドミルと、以下に列記するような切りくず排出溝(4)形状の異なる比較エンドミルとを用いて深切込みの溝加工を行い、切りくずの形状および排出性の評価実験を行った。
比較工具▲1▼:従来エンドミルAに相当するもので、切りくず排出溝(4)において、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を凸曲線(9)と凹曲線(10)とで形成され、それぞれの曲率半径R2とR3との大小関係がR2>R3であるエンドミル。
比較工具▲2▼:従来エンドミルBに相当するもので、切りくず排出溝(4)がすくい面から隣接切れ刃のヒール(6)にかけて、連続的な凹曲線で形成され、突出部を有しないエンドミル。
比較工具▲3▼:本発明のエンドミルに類似した切りくず排出溝(4)形状を有するエンドミルであり、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される凸曲線(9)の代わりに直線で形成されたエンドミル。
比較工具▲4▼:切りくず排出溝(4)形状がすくい面から隣接切れ刃のヒール(6)にかけて凹曲線で形成され、さらに、外周切れ刃(2)のすくい面に、切れ刃稜線より内周側に離間した位置に凹部(くぼみ)が設けられたエンドミル。
実験に用いたエンドミルの外径は全て8mm、刃数は4枚であり、実験の切削条件は、工具回転数が3200/min、切削速度が80m/min、1分間当たりの送りが955mm/min、1刃当たりの送りが0.075mm/tooth、軸方向切込みが8mm(エンドミル直径の1倍)である。
【0027】
図10は実験によって得られた切りくず形状であり、カール状態がわかるように示してある。まず、本発明のエンドミルの切りくずは、カール半径が0.613mmと実験工具の中で最も小さかった。また、生成初期から終わりまでほぼ一定の小さなカール半径であり、全エンドミルのなかで最もコンパクトな形状を呈していた。比較工具▲1▼では、切りくずは切りくず排出溝(4)の凸曲線によって強制的にカールさせられているが、過度に拘束されているため、そのカール半径が不安定な長丸状の形状となっている。そのため、切りくずのカール半径は0.864mmと実験工具の中で2番目に大きかった。比較工具▲2▼の切りくずは、本発明のエンドミルと同様に一定なカール半径を呈しているが、エンドミルの切りくず排出溝(4)が凹曲線のみで形成され、切りくずを強制的にカールさせる作用がほとんどないため、カール半径は本発明のエンドミルにくらべ0.811mmと大きかった。比較工具▲3▼の切りくずは、本発明のエンドミルに最も近い形状の切りくずであるが、切りくずを強制的にカールさせる作用が不十分なため、カール半径が0.789mmとやや大きかった。比較工具▲4▼の切りくずは、カール半径が1.245mmと実験工具の中で最も大きかった。これは、切りくず排出溝(4)が凹曲線のみで形成され、さらに、すくい面に凹んだくぼみが設けられたことで、すくい面と切りくずとの擦過抵抗が低いため最も切りくずが伸びやすくなるからである。
【発明の効果】
エンドミルの外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)は、理論的に切りくず排出方向に近似する曲面であり、この螺旋曲面(11)による断面において切りくず排出溝(4)の形状を検討している本発明のエンドミルは、従来のエンドミルにくらべ切りくず排出溝(4)形状の検討精度を向上させている。また、上記螺旋曲面(11)による切りくず排出溝(4)の断面形状は、前記外周切れ刃(2)から溝底(5)に至るまでの範囲を前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)で形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)は切りくずを接触拘束し強制的にカールさせることで、カール径の小さいコンパクトな切りくずを生成させる。さらに、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を半径方向に凹んだ凹曲線(10)で形成され、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝(4)の広さが確保され、切りくずの排出を阻害することがない。以上のことから、本発明のエンドミルは、大きい切りくずが生成し易い溝削りにおいて、切りくず排出性が大幅に改善され、さらに、エンドミル本体(1)への負荷が低減されるので、従来エンドミルによる溝削りより軸線方向の切込みと送り条件をさらに高めることが可能となり、高能率な溝削りを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンドミルを軸線直角方向からみた形状を示す。
【図2】本発明のエンドミルの螺旋曲面による断面形状、および軸直角断面形状を示す。
【図3】本発明のエンドミルの螺旋曲面による断面形状の展開図
【図4】本発明のエンドミルの軸直角断面を含む立体モデルの斜視図
【図5】本発明のエンドミルの断面を定義している螺旋曲面の模式図
【図6】従来エンドミルAの軸線直角方向からみた形状を示す。
【図7】従来エンドミルAの軸直角断面形状および螺旋曲面による断面形状を示す。
【図8】従来エンドミルBを軸線直角方向からみた形状を示す。
【図9】図8におけるAA断面形状を示す。
【図10】本発明のエンドミルの一実施形態と従来のエンドミルとによる溝け加工を行ったときの切りくず形状を示す。
【符号の説明】
1 エンドミル本体
2 外周切れ刃
3 平坦部
4 切りくず排出溝
5 溝底
6 隣接切れ刃のヒール
7 隣接切れ刃の2番逃げ
8 刃裏の凹曲線
9 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凸曲線
10 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線
11 螺旋曲面
12 隣接切れ刃
13 心厚
R1,R1a 刃裏の凹曲線の曲率半径
R2,R2a 凸溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凸曲線の曲率半径
R3,R3a 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線の曲率半径
α 外周切れ刃のねじれ角
【発明の属する技術分野】
この発明は、ねじれた外周切れ刃を有するエンドミルに係わり溝削りにおける切りくず排出性を改善するとともに溝削りの高能率化を図る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンドミルによる溝削りで一般的に用いられる工具を図6および図7に示す。図6はこのエンドミル(以下、「従来エンドミルA」という)を軸線直角方向からみた形状である。図7は図6の軸直角断面の形状とともに、外周切れ刃のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面による断面形状を一緒に示す。図7に示すように、前記螺旋曲面による切りくず排出溝(4)の断面形状は、外周切れ刃(2)から溝底(5)までの範囲(以下、「刃裏」という)をエンドミル本体(1)の回転方向に向って凹んだ曲率半径R1の凹曲線(8)で形成され、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲(以下、「刃裏以外の範囲」という)を回転方向後方に突出した曲率半径R2の凸曲線(9)と、回転方向に向って凹んだ曲率半径R3の凹曲線(10)とをつないだ曲線で形成される。前記凸曲線(9)の曲率半径(R2)は該エンドミル外径の0.1〜0.15倍、前記凹曲線(10)の曲率半径(R3)は該エンドミル外径の0.03〜0.035倍に設定され、R2>R3の関係にある。前記凸曲線(9)は、刃裏以外の範囲の大部分を占め、前記凹曲線(10)より広い範囲に形成される。さらに、前記凸曲線(9)は、回転方向後方に大きく突出しているので、外周切れ刃(2)の背面の肉厚を増し刃先強度を高める作用と、外周切れ刃(2)のすくい面に沿って誘導された切りくずを接触拘束し、強制的にカールさせる作用とを有する。前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)までの範囲を形成する凹曲線(10)は、切りくず排出溝(4)を形成する曲線のなかで外周切れ刃(2)から最も遠く離間した位置に設けられ、曲率半径が小さく、且つ、狭い範囲に形成される曲線であるため、切りくず排出性にはほとんど関与していない。
【0003】
また、エンドミルの切りくず排出溝(4)を広げることによって、溝削りにおける切りくず排出性を高めたエンドミルの一例として、特開2000−52127号公報に開示された発明のエンドミル(以下、「従来エンドミルB」という)がある。このエンドミルの軸線直角方向からみた形状を図8に示し、外周切れ刃(2)に直交する断面(AA断面)形状を図9に示す。このエンドミルの切りくず排出溝(4)は、外周切れ刃に直交する断面において、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至る曲線上の任意の3点により定義される円の中心が全て該曲線の外側にある連続した凹曲線をなす。あるいは、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至るまで、任意の位置における接線が断面形状内を通過する自由な曲率をもつ略U字型をなす。以上の構成によれば、刃裏を経て隣接する切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に凸曲線状のふくらみをもつ背面が存在しなくなるため、切りくず排出溝(4)を広くすることができ、切りくずを誘導するように大きな溝底丸みを設けて切りくず処理を円滑にする効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンドミルにおいて溝削りの高能率化を図るべく、軸線方向の切込みを該エンドミル外径の0.5倍以上とし、1刃当りの送り条件を高めると、大きな切りくずが生成され、切りくず排出の問題が生じ易くなる。このような高能率な切削条件下では、従来エンドミルAは、切りくず排出溝(4)の刃裏以外の範囲に形成された凸曲線(9)が回転方向後方に大きく突出しているため、切りくずを過度に接触拘束してしまい、切りくず詰まりを発生してしまう。それによって、該エンドミルに高い負荷が加わり工具びびりが生じてしまう。また、該エンドミルの外周切れ刃(2)の刃数を増すことによって高能率化を図ろうとしても、該エンドミル本体(1)の剛性を確保するため切りくず排出溝(4)を狭くしなければならず、切りくず排出性はさらに低下する。よって、切りくず排出性はさらに悪化することになり1刃当りの送りを下げざるを得ない。以上のことから、従来エンドミルAによる溝削りは、外周切れ刃(2)が3枚以下のエンドミルを用いて低い送り条件で行なうほかはなく、高能率化することが非常に困難であった。
【0005】
一方、従来エンドミルBは、外周切れ刃(2)に直交する断面形状において、切りくず排出溝(4)が半径方向に凹んだ凹曲線のみで形成されるので、強制的に切りくずを拘束しないので、従来エンドミルAのように切りくずを過度に接触拘束して負荷が高まるということはない。しかしながら、溝底(5)に設けられた大きな丸みに誘導されて切りくずが排出されるため、高能率な溝削りを行なうと、切りくずはカール径が大きく、伸びた形状となってしまう。また、このエンドミルは、心厚(13)が該エンドミル外径の60〜75%と大きめに設定されているので、前記切りくず排出溝(4)は、上述したカール径の大きい切りくずを収容できるほど十分な半径方向の深さを確保されていない。そのため、切りくずは、切りくず排出溝(4)と被削材の壁との間に挟まれ、円滑な排出を妨げられる。
【0006】
エンドミルの切りくず排出溝(4)の断面形状は、切りくず排出性に主眼をおくならば、切りくずの排出する方向の断面において検討されるべきである。その点、従来エンドミルBは、切りくず排出溝(4)の形状が外周切れ刃(2)に直交する平面的な断面において検討されているのみで、理論的に切りくず排出方向に近似した断面で検討されているとはいえない。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みなされたもので、理論的に切りくず排出方向に近似した断面において、切りくず排出溝形状を改良することで、エンドミルの溝削りにおける切りくず排出性を改善し、従来エンドミルにくらべ軸線方向の切込みと送りを高めて加工するのに好適なエンドミルを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンドミルは、軸線回りに回転させられる略円柱状のエンドミル本体(1)の外周にねじれた切りくず排出溝(4)が設けられ、前記切りくず排出溝(4)の該エンドミル本体の回転方向に向かう壁がすくい面とされ、前記すくい面の外周側辺稜に外周切れ刃(2)が形成されるエンドミルにおいて、前記外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)により断面が求められ、前記断面における前記切りくず排出溝(4)は、前記外周切れ刃(2)のすくい面から溝底(5)に至るまでの範囲に前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)が形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に半径方向に凹んだ凹曲線(10)が形成されたことを特徴とするエンドミルである。
【0009】
また、前記断面における切りくず排出溝(4)において、前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線(9)の曲率半径をR2a、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ前記凹曲線(10)の曲率半径をR3aとすれば、R3a>R2aなる関係があり、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線(9)の曲率半径R2aが該エンドミル外径の0.2〜0.25倍であり、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃の2番逃げ端部(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線(10)の曲率半径R3aが該エンドミル外径の0.3〜0.35倍であることを特徴とするエンドミルである。
【0010】
さらに詳細には、前記断面における前記切りくず排出溝(4)において、前記外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、前記平坦部(3)の半径方向の幅が該エンドミル外径の4〜6%であり、前記外周切れ刃(2)が3〜8枚、ねじれ角が30〜65゜であり、該エンドミルの心厚(13)が該エンドミル外径の60〜80%であることを特徴とするエンドミルである。
【0011】
また、本発明のエンドミルは、切りくず排出溝形状が外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)による断面で形状を決定され、前記断面形状がコンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換され、前記軸直角断面形状でもって前記切りくず排出溝(4)が研削成形されることを特徴とする研削方法である。
【0012】
従来のエンドミルにおいて、切りくず排出溝(4)の形状は、軸直角断面や外周切れ刃(2)に直交する断面において検討されている。しかし、エンドミルによる切削加工において、切りくずは、外周切れ刃(2)のすくい面と面接触しながら生成されていることから、その排出方向は、前記すくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)に理論的に近似する。本発明のエンドミルは、この螺旋曲面(11)による断面において切りくず排出溝(4)の形状が検討、改善されているため、従来のエンドミルにくらべ、前記切りくず排出溝(4)における切りくず排出性の改善効果が高められる。
【0013】
本発明のエンドミルは、前記螺旋曲面(11)による断面において、外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、この平坦部(3)に前記すくい面を有する凹曲線(8)が該エンドミルの回転方向に向って凹むように接続されるため、前記平坦部(3)で生成された直後の切りくず排出を阻害することがない。また、前記凹曲線(8)の曲率半径R1aは、従来エンドミルAより小さく設定され、前記凹曲線(8)内に設けられる溝底(5)のエンドミル軸心からの距離、すなわち、心厚(13)を大きくし、該エンドミルの剛性を高めるとともに、前記凹曲線(8)に連なり半径方向に突出した凸曲線(9)へ切りくずを円滑に誘導する作用をもつ。
【0014】
本発明のエンドミルは、前記螺旋曲面(11)による断面において、刃裏に形成される回転方向に向って凹んだ凹曲線(8)と、刃裏以外の範囲に設けられた凹曲線(10)とを連続的につながれず、両凹曲線の間に凸曲線(9)が設けられる。この凸曲線(9)は、切りくずを接触拘束し強制的にカールさせる効果を有する。そのため、本発明のエンドミルは、従来エンドミルBと切りくず排出溝(4)の広さが同一であっても、切りくずが小さくカールした形状となるので、大きな切りくずが生成されるような溝削りでは、切りくず排出性が大幅に向上する。
【0015】
さらに、前記凸曲線(9)は、その両端に連なる2つの凹曲線より狭い範囲に形成されるとともに、その曲率半径R2aが該エンドミルの直径の0.2倍以上に設定されることにより、前記凸曲線(9)の両端に連なる2つの凹曲線から過度に突出しないので、溝削りにおける大きい切りくずが生成する場合にも、切りくずを過度に拘束することがない。また、前記凸曲線(9)は、その曲率半径R2aが該エンドミル外径の0.25倍以下であれば、前記凸曲線(9)の両端に連なる2つの凹曲線から十分な突出量が確保されるとともに、切りくずを強制的にカールさせる効果を損なうこともない。
【0016】
上述したとおり前記凸曲線(9)は、主に切りくずを強制的にカールさせる作用を有するものであるから、切りくず排出溝(4)内の広い範囲に形成される必要はなく、切りくずを円滑に排出するという点から狭い範囲に形成されることが好ましい。一方、この凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの広い範囲には、半径方向に凹んだ凹曲線(10)が形成される。この凹曲線(10)の曲率半径R3aは、該エンドミル外径の0.3倍以上と、従来エンドミルAより大きく設定される。そして、前記凹曲線(10)は、前記凸曲線(9)との接続部近傍で前記凸曲線(9)の最も突出した位置に対し半径方向に一旦凹み、緩やかに彎曲する。よって、前記凹曲線(10)は、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを阻害することなく引き続き円滑に排出させ、切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さを確保させる。さらに、前記凹曲線(10)は、隣接切れ刃のヒール(6)に近づくにしたがって徐々に回転方向後方に湾曲しているので、隣接切れ刃(12)の背面の肉厚を増し切れ刃強度を向上させる効果をもたらす。前記凹曲線(10)の曲率半径が該エンドミル外径の0.35倍以下であれば、上述の切れ刃強度を向上させる効果が損なわれることもない。
【0017】
以上のように本発明のエンドミルは、切りくず排出溝(4)の断面形状が3つの曲線で構成されるという点で従来エンドミルAと同一であるが、刃裏以外の範囲に形成される凸曲線(9)の曲率半径R2aと、凹曲線(10)の曲率半径R3aとが、R3a>R2aの関係である点で従来エンドミルと相違する。この構成によれば、前述したように、前記凸曲線が強制的に切りくずを強制的にカールさせる作用は、従来エンドミルAと同一であるが、前記凸曲線がこれに連なる前記凹曲線より小さい範囲に、且つ、半径方向への突出量が小さく形成されることで、切りくず排出を阻害しないという従来エンドミルAでは得られない格別な効果がもたらされる。一方、前記凹曲線は、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを阻害することなく引き続き円滑に排出させ、切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝の広さを確保させるという効果をもたらす。このように、本発明のエンドミルの切りくず排出溝(4)における前記凸曲線(9)と前記凹曲線(10)とは、従来エンドミルAと作用・効果を異にするものであり、溝削りにおける切りくず排出性を格別に改善するものである。
【0018】
本発明のエンドミルは、螺旋曲面(11)による断面において、外周切れ刃(2)とすくい面との間に平坦部(3)が形成され、前記平坦部(3)の半径方向の幅は、従来エンドミルAが該エンドミル外径の3〜4%であるのに対し、本発明のエンドミルでは該エンドミル外径の4〜6%と大きめに設定される。4%以上であれば、軸線方向切込みや1刃当り送り等を高めた高能率切削するのに十分な外周切れ刃(2)の刃先強度が得られ、6%以下であれば、切れ味を低下させることがなく、工具びびりの抑制が図られる。
【0019】
本発明のエンドミルは、外周切れ刃(2)が3枚以上に設定されることにより、従来の溝削りに使用されてきたエンドミルと同等以上の刃数が確保され、送り条件面での高能率化を図られる。また、十分な広さの切りくず排出溝(4)とともに高いエンドミル本体(1)の剛性が確保できる。外周切れ刃(2)の刃数が8枚以下であれば、切りくずを収容し、且つ、円滑に排出するのに十分な切りくず排出溝(4)の広さが確保でき、エンドミル本体(1)の剛性を著しく低下させることもない。
【0020】
軸線方向の切込みや送り条件を高めた高能率な溝削りでは、エンドミル本体(1)には高い負荷が加わる。エンドミル本体(1)にはそのような負荷に耐えうる剛性が必要なため、心厚(13)は該エンドミル外径の60%以上に設定される。心厚(13)をさらに増すとエンドミル本体(1)の剛性はさらに高まる反面、切りくず排出溝(4)は狭くなるので、切りくず排出性を確保するため心厚(13)は該エンドミル外径の80%以下とする必要がある。
【0021】
さらに、外周切れ刃(2)のねじれ角は30°以上とすることで、エンドミル軸線の法線方向の切削分力が低減され、切りくずの上向きカールが促進され、溝削りに好適な切削性が得られる。しかし、前記ねじれ角が大きくなるにしたがいエンドミルの軸直角断面における剛性は低下するが、ねじれ角が60°以下であれば実用上十分な剛性が確保できる。
【0022】
本発明のエンドミルは、螺旋曲面(11)による断面形状を切りくず排出溝(4)の設計上の断面形状としている。該切りくず排出溝(4)が研削成形されるうえで、この断面形状が用いられても良いが、好ましくは、この断面形状をコンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換され、この軸直角断面形状をもとに研削成形されるのがよい。なぜならば、従来のエンドミルを製作するときと同じ研削設備、研削工具、研削プログラム等を使用することができ、コスト的にも製造技術的にも有利だからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のエンドミルを軸直角方向からみた形状を図1に示す。図2はこのエンドミルの螺旋曲面(11)による切りくず排出溝(4)の断面形状と、軸直角断面形状を示す。図3は螺旋曲面(11)による断面形状の展開図、図4はこのエンドミルの軸直角断面を含む立体モデルの斜視図である。図5は本発明のエンドミルの断面を定義している螺旋曲面(11)の模式図である。図2を用いながらこの実施形態のエンドミルを説明する。この実施形態のエンドミルは、外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)による断面において、切りくず排出溝(4)の刃裏の範囲を前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)で形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を半径方向に凹んだ凹曲線(10)で形成される。図9に示された従来エンドミルBとくらべれば、前記凸曲線(9)部を有する点が大きな違いである。この実施形態のエンドミルは、外径が8mm、ねじれ角40°、心厚70%、4枚刃のエンドミルである。そして、外周切れ刃(2)とすくい面との間には平坦部(3)が形成され、この平坦部(3)の半径方向の幅は0.4mmであり、これは該エンドミルの直径の5%にあたる。
【0024】
前記切りくず排出溝(4)の前記螺旋曲面による断面において、溝底(5)から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に形成される半径方向に突出した凸曲線(9)は、曲率半径R2aが1.6mm、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線(10)は、曲率半径R3aが2.4mmであり、R3a>R2aの関係がある。また、前記凸曲線(9)は、その両端に連なる2つの凹曲線より狭い範囲に形成されるとともに、前記凸曲線(9)はその両端に連なる2つの凹曲線からの半径方向への突出量が小さくなるように形成されている。これらの構成は図7に示された従来エンドミルAの前記螺旋曲面(11)による断面形状と全く異なるものである。
【0025】
この実施形態におけるエンドミルの切りくず排出溝(4)の形状は、前記螺旋曲面(11)による断面において仕様決定されているが、該エンドミルの研削成形においては、前記螺旋曲面(11)による断面形状を、コンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換させ、この軸直角断面形状でもって切りくず排出溝(4)の研削成形が行われる。
【0026】
上述した仕様のエンドミルを超微粒子超硬合金の母材にTiAlNコーティングを施して製作した。このエンドミルと、以下に列記するような切りくず排出溝(4)形状の異なる比較エンドミルとを用いて深切込みの溝加工を行い、切りくずの形状および排出性の評価実験を行った。
比較工具▲1▼:従来エンドミルAに相当するもので、切りくず排出溝(4)において、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を凸曲線(9)と凹曲線(10)とで形成され、それぞれの曲率半径R2とR3との大小関係がR2>R3であるエンドミル。
比較工具▲2▼:従来エンドミルBに相当するもので、切りくず排出溝(4)がすくい面から隣接切れ刃のヒール(6)にかけて、連続的な凹曲線で形成され、突出部を有しないエンドミル。
比較工具▲3▼:本発明のエンドミルに類似した切りくず排出溝(4)形状を有するエンドミルであり、溝底(5)を越え隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲に形成される凸曲線(9)の代わりに直線で形成されたエンドミル。
比較工具▲4▼:切りくず排出溝(4)形状がすくい面から隣接切れ刃のヒール(6)にかけて凹曲線で形成され、さらに、外周切れ刃(2)のすくい面に、切れ刃稜線より内周側に離間した位置に凹部(くぼみ)が設けられたエンドミル。
実験に用いたエンドミルの外径は全て8mm、刃数は4枚であり、実験の切削条件は、工具回転数が3200/min、切削速度が80m/min、1分間当たりの送りが955mm/min、1刃当たりの送りが0.075mm/tooth、軸方向切込みが8mm(エンドミル直径の1倍)である。
【0027】
図10は実験によって得られた切りくず形状であり、カール状態がわかるように示してある。まず、本発明のエンドミルの切りくずは、カール半径が0.613mmと実験工具の中で最も小さかった。また、生成初期から終わりまでほぼ一定の小さなカール半径であり、全エンドミルのなかで最もコンパクトな形状を呈していた。比較工具▲1▼では、切りくずは切りくず排出溝(4)の凸曲線によって強制的にカールさせられているが、過度に拘束されているため、そのカール半径が不安定な長丸状の形状となっている。そのため、切りくずのカール半径は0.864mmと実験工具の中で2番目に大きかった。比較工具▲2▼の切りくずは、本発明のエンドミルと同様に一定なカール半径を呈しているが、エンドミルの切りくず排出溝(4)が凹曲線のみで形成され、切りくずを強制的にカールさせる作用がほとんどないため、カール半径は本発明のエンドミルにくらべ0.811mmと大きかった。比較工具▲3▼の切りくずは、本発明のエンドミルに最も近い形状の切りくずであるが、切りくずを強制的にカールさせる作用が不十分なため、カール半径が0.789mmとやや大きかった。比較工具▲4▼の切りくずは、カール半径が1.245mmと実験工具の中で最も大きかった。これは、切りくず排出溝(4)が凹曲線のみで形成され、さらに、すくい面に凹んだくぼみが設けられたことで、すくい面と切りくずとの擦過抵抗が低いため最も切りくずが伸びやすくなるからである。
【発明の効果】
エンドミルの外周切れ刃(2)のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面(11)は、理論的に切りくず排出方向に近似する曲面であり、この螺旋曲面(11)による断面において切りくず排出溝(4)の形状を検討している本発明のエンドミルは、従来のエンドミルにくらべ切りくず排出溝(4)形状の検討精度を向上させている。また、上記螺旋曲面(11)による切りくず排出溝(4)の断面形状は、前記外周切れ刃(2)から溝底(5)に至るまでの範囲を前記エンドミル本体(1)の回転方向に向かって凹んだ凹曲線(8)で形成され、前記凹曲線(8)に連なり前記溝底(5)から離間し且つ隣接切れ刃のヒール(6)寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線(9)が形成され、前記凸曲線(9)は切りくずを接触拘束し強制的にカールさせることで、カール径の小さいコンパクトな切りくずを生成させる。さらに、前記凸曲線(9)に連なり隣接切れ刃のヒール(6)に至るまでの範囲を半径方向に凹んだ凹曲線(10)で形成され、前記凸曲線(9)でカールさせられた切りくずを収容するのに十分な切りくず排出溝(4)の広さが確保され、切りくずの排出を阻害することがない。以上のことから、本発明のエンドミルは、大きい切りくずが生成し易い溝削りにおいて、切りくず排出性が大幅に改善され、さらに、エンドミル本体(1)への負荷が低減されるので、従来エンドミルによる溝削りより軸線方向の切込みと送り条件をさらに高めることが可能となり、高能率な溝削りを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンドミルを軸線直角方向からみた形状を示す。
【図2】本発明のエンドミルの螺旋曲面による断面形状、および軸直角断面形状を示す。
【図3】本発明のエンドミルの螺旋曲面による断面形状の展開図
【図4】本発明のエンドミルの軸直角断面を含む立体モデルの斜視図
【図5】本発明のエンドミルの断面を定義している螺旋曲面の模式図
【図6】従来エンドミルAの軸線直角方向からみた形状を示す。
【図7】従来エンドミルAの軸直角断面形状および螺旋曲面による断面形状を示す。
【図8】従来エンドミルBを軸線直角方向からみた形状を示す。
【図9】図8におけるAA断面形状を示す。
【図10】本発明のエンドミルの一実施形態と従来のエンドミルとによる溝け加工を行ったときの切りくず形状を示す。
【符号の説明】
1 エンドミル本体
2 外周切れ刃
3 平坦部
4 切りくず排出溝
5 溝底
6 隣接切れ刃のヒール
7 隣接切れ刃の2番逃げ
8 刃裏の凹曲線
9 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凸曲線
10 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線
11 螺旋曲面
12 隣接切れ刃
13 心厚
R1,R1a 刃裏の凹曲線の曲率半径
R2,R2a 凸溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凸曲線の曲率半径
R3,R3a 溝底を越え隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される凹曲線の曲率半径
α 外周切れ刃のねじれ角
Claims (8)
- 軸線回りに回転させられる略円柱状のエンドミル本体の外周にねじれた切りくず排出溝が設けられ、前記切りくず排出溝の該エンドミル本体の回転方向に向かう壁がすくい面とされ、前記すくい面の外周側辺稜に外周切れ刃が形成されるエンドミルにおいて、前記外周切れ刃のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面により断面が求められ、前記断面における切りくず排出溝が、前記外周切れ刃のすくい面から溝底に至るまでの範囲を前記エンドミル本体の回転方向に向かって凹んだ凹曲線で形成され、前記凹曲線に連なり前記溝底から離間し且つ隣接切れ刃のヒール寄りの位置に半径方向に突出した凸曲線で形成され、前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲を半径方向に凹んだ凹曲線で形成されたことを特徴とするエンドミル。
- 前記螺旋曲面による断面において、前記溝底から離間し、且つ、隣接切れ刃のヒール寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線の曲率半径をR2a、前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線の曲率半径をR3aとすれば、R3a>R2aの関係であることを特徴とする請求項1に記載のエンドミル。
- 前記螺旋曲面による断面において、前記凹曲線に連なり前記溝底から離間し且つ隣接切れ刃のヒール寄りの位置に形成される半径方向に突出した前記凸曲線の曲率半径R2aが該エンドミル外径の0.2〜0.25倍であり、前記凸曲線に連なり隣接切れ刃のヒールに至るまでの範囲に形成される半径方向に凹んだ凹曲線の曲率半径R3aが該エンドミル外径の0.3〜0.35倍であることを特徴とする請求項1と請求項2に記載のエンドミル。
- 前記螺旋曲面による断面において、前記外周切れ刃とすくい面との間に平坦部が形成され、前記平坦部の半径方向の幅が該エンドミル外径の4〜6%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のエンドミル。
- 前記外周切れ刃が3〜8枚であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のエンドミル。
- 前記外周切れ刃のねじれ角が30〜65゜であることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のエンドミル。
- 該エンドミルの心厚が該エンドミル外径の60〜80%であることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のエンドミル。
- 前記切りくず排出溝の断面形状が外周切れ刃のすくい面を形成するねじれ面に直交する等リードの螺旋曲面による断面形状において決定され、前記断面形状がコンピュータおよびコンピュータプログラムを介して軸直角断面形状に変換され、前記軸直角断面形状でもって前記切りくず排出溝が研削成形されることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載のエンドミルの研削方法。
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---|---|---|---|---|
JP2016506875A (ja) * | 2013-02-13 | 2016-03-07 | イスカル リミテッド | 非対称的な割り出し角配置を有する、チタニウムの機械加工のためのエンドミル |
US20170008098A1 (en) * | 2014-01-28 | 2017-01-12 | Kyocera Corporation | End mill and method of manufacturing machined product |
JP7244970B1 (ja) * | 2022-11-04 | 2023-03-23 | 株式会社松岡カッター製作所 | エンドミル及びエンドミルの切屑の排出方法 |
CN116984668A (zh) * | 2023-09-13 | 2023-11-03 | 哈尔滨理工大学 | 一种耦合仿生立铣刀 |
-
2002
- 2002-10-01 JP JP2002288888A patent/JP2004122281A/ja active Pending
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