JP2004122167A - レーザ加工装置及びレーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルムの加工範囲幅が50mm以上で、幅広で広範囲のレーザ加工を、ねじれや皺などが発生することなく連続的に高精度で行うこと。
【解決手段】被加工フィルム6としての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送し、その加工すべき領域が加工テーブル8の上方まで搬送されてきたとき、搬送を一時停止し、加工テーブルを上昇させて被加工フィルムを所定位置に支持し、これをレーザビームの掃引方向とは直角方向に移動すると共に、所定位置に固定された1個の加工ヘッドからのレーザビームを掃引手段によって単方向又は双方向に掃引し、1回のビーム連続掃引で、被加工フィルムの掃引幅方向において50〜300mmの領域を照射する配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
【選択図】 図1
【解決手段】被加工フィルム6としての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送し、その加工すべき領域が加工テーブル8の上方まで搬送されてきたとき、搬送を一時停止し、加工テーブルを上昇させて被加工フィルムを所定位置に支持し、これをレーザビームの掃引方向とは直角方向に移動すると共に、所定位置に固定された1個の加工ヘッドからのレーザビームを掃引手段によって単方向又は双方向に掃引し、1回のビーム連続掃引で、被加工フィルムの掃引幅方向において50〜300mmの領域を照射する配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺状の配線板用樹脂フィルムを連続的にレーザ加工して樹脂フィルムを開口することのできるレーザ加工装置及びそのレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
配線板の絶縁層となる樹脂フィルムあるいは樹脂フィルムと導体層が積層されてなるフィルム配線板の樹脂層の一部を除去して加工などを行うレーザ加工装置として、X−YスキャナとX−Yステージからなるレーザ加工装置が、特開平11−333575号公報(特許文献1)等で知られている。これは、X−Yスキャナによってパルスレーザビームの照射位置を、更にX−Yステージによってそのステージに固定されている被加工材料をそれぞれ位置決めし、被加工物上の決められた点にレーザ照射して加工を行うものである。しかしながら、このような装置で長尺状の配線板用樹脂フィルム材料をレーザ加工しようとした場合、X−Yステージ上に全ての長尺状材料を固定することは困難であり、長尺状材料の一部を固定すれば、レーザ加工の際にX−Yステージを駆動した場合に、例えばX−Yステージを長尺状材料の長手方向とは垂直方向に移動する場合には、長尺状材料がねじれて皺になったり、折れたりして不良品となる場合が考えられる。
また、送り出しリールと、加工テーブルと、巻き取りリールから構成されるレーザ加工装置も特開平11−192575号公報(特許文献2)で知られている。この場合、長尺状の材料は、長手方向にのみ移動するため、前述のような長尺状材料のねじれが発生することはないが、一つのレーザ加工ヘッドにてレーザ加工される範囲は通常30mm×30mm、大きくても50mm×50mmの範囲であり、長尺状材料の幅方向の加工するべき長さがこの範囲を超えた場合には、該公報に記載があるように、加工ヘッドを複数設ける必要があり、加工ヘッドを複数設けることは、それにかかる光学系等の数量も多く必要となり、高価な装置となる。また、加工ヘッドをXY方向にすると、光走査に同期したマスク位置制御などが必要になり複雑かつ高価になることを考慮して、加工テーブルをXY方向に移動可能にし、帯状ワーク移動方向の直交方向に、加工テーブルの移動と共にリール手段を直動させる直動手段を設けるようにしたレーザ加工装置も特開2001−105170号公報(特許文献3)に提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−333575号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平11−192575号公報(請求項2、段落0013)
【特許文献3】
特開2001−105170号公報(段落0017、0019)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、上記したような従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、長尺状の配線板用樹脂フィルム材料を、皺を発生させたり傷つけたりすることなく、連続的に搬送して精度良くレーザ加工を行うことのできる簡易なレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工装置であって、レーザビームを連続的に出力する所定位置に固定された1個の加工ヘッドと、加工ヘッドから加工中に連続的に出力されるレーザビームを単方向又は双方向に掃引する掃引手段と、レーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動可能であり、かつ被加工フィルムに対して上下動可能とされた加工テーブルと、加工テーブルの上昇動によって該加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射可能としたことを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置である。
【0006】
また、本発明は、被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを連続的に搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工方法であって、被加工フィルムを連続的に搬送し、被加工フィルムの加工すべき領域が加工テーブルの上方まで搬送されてきたとき、被加工フィルムの搬送を一時停止すると共に、加工テーブルを上昇させて、加工テーブルを被加工フィルムに接触させて被加工フィルムを所定位置に支持し、所定位置に固定された1個の加工ヘッドからレーザビームを連続的に出力すると共に、レーザビームを掃引手段によって単方向又は双方向に掃引し、被加工フィルムを支持した加工テーブルをレーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動することによって、1回のビーム連続掃引で、被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射することを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法である。
【0007】
上記本発明の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置及びレーザ加工方法において、1)連続発振レーザがCO2レーザであること、2)加工ヘッドから出力されるレーザビームの波長が9.2〜9.7μmであり、ビーム照射面でのエネルギ密度が3〜50J/cm2であること、3)加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの50mm×50mmの範囲以上300mm×1000mmの範囲以下の領域を照射可能としたこと、5)被加工フィルムのレーザ照射側に位置し、レーザビームの照射範囲を画定する照射領域特定部材を備えていること、6)掃引手段が加工ヘッドに付設されてなること、又は、7)被加工フィルムの搬送が、加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、樹脂フィルムを開口する際は一定速度で行われることは、本発明の好ましい態様である。また、8)被加工フィルムが、ポリイミド又はポリイミドを主成分とする樹脂層を有し、該樹脂層の少なくとも一側に銅層を備えていることは、本発明の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法の好ましい態様である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のレーザ加工装置の構成を示す一例である。
本発明のレーザ加工装置で加工される被加工フィルム6には、長尺状の配線板用樹脂フィルムか又はポリイミドを主成分とする樹脂層を有し、該樹脂層の少なくとも一側に銅層を備えている長尺状の配線板用材料が適当である。長尺状の配線板用樹脂フィルムとは、少なくともレーザ加工される樹脂フィルム層が含まれる材料であり、銅層等の導体層と一体となったものであっても良く、またその導体層がパターニングされたものであっても良い。
【0009】
本発明のレーザ加工装置に使用されるレーザ発振装置1は、連続発振が可能なレーザ発振装置であればよく、例えばYAGレーザなどが挙げられるが、好ましくはCO2レーザである。レーザ発振装置1から発振するレーザビームの波長は、被加工フィルムの吸収特性に合わせて選ぶことができるが、ポリイミド樹脂を含む樹脂フィルムのほとんどが吸収することのできる波長である9.2〜9.7μmの範囲であることが好ましい。
【0010】
レーザ発振装置1から発振されたレーザビームは、ミラー2などを介して固定された1個の加工ヘッド3に導かれる。ミラーの構成、配置及び個数などについては、特に限定されるものではなく、レーザ発振装置から出力されたレーザビームを加工ヘッドに導くものであれば良い。また、本発明では、該加工ヘッドが1個であり、所定位置に固定されている。
【0011】
加工ヘッド3は、レーザ発振装置1から発振されたレーザビームを、主に適正なエネルギ密度に制御して被加工フィルムへと導くためのものであるが、図1では、集光レンズなどの光学レンズで構成される加工ヘッドにレーザビームを単方向又は双方向に掃引する掃引手段が付帯された例を示している。掃引されたレーザビームは、光学レンズによって集光され、その集光径と、レーザビームの連続発振出力及び掃引の速度によって被加工フィルムのビーム照射面でのレーザビームのエネルギ密度が決まる。このビーム照射面でのエネルギ密度は、3〜50J/cm2の範囲に制御されることが好ましい。3J/cm2未満の場合は、そのエネルギ密度が加工閾値を下回るため、被加工フィルムの加工を行うことができない場合があり、また、50J/cm2を超える場合は、加工すべき箇所以外の箇所にも熱影響などの悪影響が及ぼされる場合がある。
【0012】
レーザビームの掃引手段は、レーザビームを連続的に一方向のみ(例えば、図1中Y方向)に掃引可能な手段であれば特に限定されるものではないが、例えば、複数の反射ミラーからなる回転体であるポリゴンミラーによる方法を用いて、レーザビームを一定幅で単方向に掃引してもよく、又は、一つの反射ミラーが回転往復運動するガルバノミラーによる方法を用いて、レーザビームを一定幅で双方向に掃引しても良い。いずれにしても、レーザビームの掃引幅が50mm以上300mm以下となるような掃引方法を用いればよい。掃引幅が50mm未満であると、レーザ加工すべき長尺状の被加工フィルムによってはその加工範囲を満たすことができなくなる場合があり、300mmを超える掃引幅は、掃引手段の有効範囲を超えるか、又は対応する光学レンズなどの適正な性能の範囲を超えるので、精度良いレーザ加工を行うことが困難となる。
【0013】
加工テーブル8は、長尺状の被加工フィルムのうち少なくともレーザ加工する部分を支持するためのものであり、被加工フィルムにレーザビームを照射する際に被加工フィルムが振動したりしないように固定される。レーザビーム照射中に被加工フィルムが振動したりして移動すると、レーザビーム照射位置が、被加工フィルムの加工すべき範囲からずれるばかりでなく、加工ヘッドから被加工フィルムまでの距離が変化することにより、照射されるレーザビームのエネルギ密度が変化することとなり、適正なレーザ加工が行えなくなる。
【0014】
被加工フィルム6の次の加工すべき領域が加工テーブルの上方に来るまでの搬送時には、加工テーブル8は被加工フィルムと接触しないようにZ方向の下方向に移動している。加工すべき領域が加工テーブルの上方に来た時点で、樹脂フィルムの搬送を一旦停止し、加工テーブルがZ方向の上方向に移動して被加工フィルムを支持する。この搬送時に被加工フィルムを上下に移動させて加工テーブルと接触しないようにする方法も考えられるが、被加工フィルムの搬送方向以外の方向への移動を極力減らすことにより、長尺状の被加工フィルムへの必要以上の応力を軽減でき、ねじれなどによる皺の発生を防ぐことが有利である。
【0015】
被加工フィルムの加工すべき領域が所定位置に来たとき、搬送が一旦停止されて加工テーブルの上面に接触して支持されるが、その際、他の手段を用いて固定しても良い。固定の方法は特に限定されるものではないが、例えば加工テーブルに設けられた穴を介した真空吸引の方法などは、被加工フィルムに傷をつけることが少ないので好ましい方法である。
【0016】
被加工フィルムを支持固定した加工テーブルは、掃引手段によるレーザビームの掃引方向(Y方向)とは略直角(直角を含む)のX方向に一定速度で移動する。そのとき、加工テーブルに支持固定されていない部分の被加工フィルムに必要以上の応力がかかって切れたりしないように、例えば、被加工フィルムの巻き出し装置5、巻き取り装置9などを設けたり、更に、被加工フィルムがたわまないようにテンションリールなどの装置を設けることが望ましい。ただし、加工テーブルはY方向には移動しないので、長尺状の被加工フィルムがねじれて皺になったりすることはない。
【0017】
図2は加工テーブル8の平面図であり、照射領域特定部材7を備えた場合を示している。10は加工テーブルが停止している状態での掃引されたレーザビームの照射軌跡を表しているが、レーザ加工の際には、加工テーブルが一定速度でX方向に移動しながら、加工ヘッドから連続的に出力され、かつ掃引されたレーザビームが、レーザビームの掃引幅と加工テーブルの移動距離で決められる範囲全面に照射されることとなる。この時、掃引されたレーザビームが隙間無く被加工フィルムに照射されるよう、掃引速度及び加工テーブルの移動速度が制御される。この間レーザビームは加工ヘッドから連続的に出力され、かつ連続的に掃引されるが、この1回のビーム連続掃引によって、加工テーブルに支持された被加工フィルムの加工すべき範囲へのレーザビームの照射を終了し、その時点で例えばシャッター機構などでレーザビームが被加工フィルムに照射されないようにした後、被加工フィルムを搬送し、次の加工すべき範囲へレーザビームを照射する工程に移る。
【0018】
本発明では、この1回のビーム連続掃引によって、従来に比べて大きな面積の加工が行えることを特徴とする。すなわち、加工ヘッドから連続的に出力されるレーザビームを単方向又は双方向に掃引して、この1回のビーム連続掃引によって、掃引幅と加工テーブルの搬送方向の長さで決められる範囲全面にレーザビームを照射しようとするものであり、掃引幅は前述した通り50mm以上300mm以下が好ましい。加工テーブルの長さには下限はないが、長尺状の材料を加工する場合、1回のビーム連続掃引による加工面積が大きく取れることによって効率が向上するため、50mm以上が好ましいが、加工テーブルの長さが1000mmを超えると、レーザ加工装置自体が大きなものになり好ましくない。つまり、1回のビーム連続掃引によって、50mm×50mmの範囲以上、300mm×1000mmの範囲以下領域を照射できることがよい。
【0019】
長尺状の被加工フィルムの中には、フィルムの幅の両端に貫通穴であるガイド穴が設けられたものもあるが、このような材料をレーザ加工する場合には、フィルムの両端にあるガイド穴にレーザビームが照射されて、加工テーブルを傷つけないよう、レーザビームを遮蔽する必要がある。あるいは、例えば掃引手段としてガルバノミラーを用いた場合には、掃引の端部はレーザビームの折り返し点となるため、レーザビームのエネルギ密度が局部的に大きくなる場合があり、このような部分が被加工フィルムに照射されると、所望のレーザ加工ができない場合があり、このような時にも、掃引の両端が被加工フィルムに照射されないよう、レーザビームを遮蔽する必要がある。
【0020】
照射領域特定部材7は、掃引されたレーザビームが被加工フィルムへ照射される範囲を限定するためのものであり、特に掃引されたレーザビームの両端部を遮蔽するために用いられる。この照射領域特定部材は、レーザビームが照射されても加工されたり、変形したりすることの無い材料から構成されることが望ましく、例えばこの構成材料としては、レーザビームを反射する、少なくとも金あるいは銅で被覆された材料であるか、レーザビームを吸収する、表面を荒らしたアルミニウムや黒鉛などが挙げられる。また、材料の内部に冷却水が通るようにした水冷式にしても良い。照射領域特定部材のサイズ及び形状は特に限定されないが、被加工フィルムの加工すべき領域と、レーザビームの掃引幅に合わせて最適な形状とサイズのものを選択すればよい。
【0021】
被加工フィルムへレーザ照射している間には、加工領域特定部材は少なくとも被加工フィルムのレーザ照射側に位置する必要があり、好ましくは加工ヘッドと被加工フィルムの間に位置するのであるが、必ずしも被加工フィルムに接触している必要は無く、また、被加工フィルムの搬送時には、被加工フィルムに接触しない位置に移動することができるものであることが望ましい。
【0022】
【実施例】
次に、実施例を基に本発明のレーザ加工方法について詳細に説明する。
波長9.6μmのレーザビームを出力する連続発振のCO2レーザ発振装置と、レーザビームを双方向に掃引するためのガルバノミラー及び掃引されたレーザビームを集光して、かつレーザビームが被加工フィルムの表面に対して略垂直に入射するための複数の光学レンズから構成される加工ヘッドと、レーザビームの掃引方向とは略直角方向に一定速度で移動可能な幅100mm×長さ500mmのワークサイズを持つ加工テーブルと、加工テーブルの上方に設けられた銅被覆の金属製照射範囲特定部材と、被加工フィルムを加工テーブルの上記移動方向と同じ方向に搬送するための巻き出し装置及び巻き取り装置とから構成されるレーザ加工装置を用いた。幅70mm、長さ20mのポリイミドで構成される厚み0.05mmの樹脂フィルムの両面に厚み18μmの銅箔が一体化されており、一側の銅箔に直径0.1mmから2.0mmまでの複数の円形の開口パターンがエッチングの手法で形成されている長尺状の被加工フィルムのレーザ加工を行った。同じ構成とサイズであり、樹脂フィルムの構成だけが、異なるポリイミドを用いている複数の被加工フィルムのレーザ加工も行った。
【0023】
まず、長尺状の被加工フィルムのパターンがエッチングされている面にレーザビームが照射されるように被加工フィルムを配置し、その加工すべき範囲が、加工テーブル上方に来るまで被加工フィルムを搬送させた。そのとき、加工テーブルを、搬送される被加工フィルムに接触しない位置まで降下させ、照射範囲特定部材を、搬送される被加工フィルムに接触しない位置まで上昇させた。被加工フィルムの加工すべき範囲が加工テーブル上方に来た時点で、被加工フィルムの搬送を一時停止させ、加工テーブルを上昇させて、加工テーブルに設けられた複数の穴を介して真空ポンプによる吸引の方法で被加工フィルムを加工テーブルに固定し、同時に、被加工フィルムの幅方向の両端からそれぞれ5mmづつを覆うための照射範囲特定部材を、被加工フィルム位置まで下降させた。
【0024】
レーザ発振装置に設けられたシャッター装置を開けて、加工ヘッドに導かれたレーザビームが掃引装置により幅70mm幅に双方向に掃引され、複数の光学レンズを経たレーザビームを被加工フィルムに照射開始すると同時に、被加工フィルムを固定した加工テーブルを、一定速度で、レーザビームの掃引方向とは略直角方向に移動を開始した。加工テーブルが490mm移動したところで加工テーブルの移動を停止した。この1回のビーム連続掃引による60mm×490mmの範囲の被加工フィルムへのレーザ照射が完了後、次の加工すべき範囲が加工テーブル上方に来るまで被加工フィルムを搬送した。被加工フィルム20mの全てのレーザ加工が終了するまで、上記搬送、レーザ照射を繰り返した。
【0025】
複数種類の被加工フィルムは別々にレーザ加工したが、その時のビーム照射面でのエネルギ密度は被加工フィルムの種類によって5〜20J/cm2の範囲の異なる値に制御した。また、そのときの加工テーブルの移動速度、つまり、レーザ加工速度は0.6〜1.0m/分の速度であった。
レーザ加工が終了したそれぞれの被加工フィルムには、ねじれたために起こる皺などは見られず、被加工フィルム片面側に設けられた銅箔の開口部に露出した部分の樹脂層のみレーザ加工により除去され、良好なレーザ加工が行えたことが確認された。
【0026】
【発明の効果】
従来のレーザ加工装置の場合、レーザビームを例えば2つのガルバノミラーを用いて、レーザビームの照射されるX−Y座標を決める際、特に第2番目のガルバノミラーの大きさによって、レーザビームを照射できる範囲が限定されていたが、位置決め速度を速くする為にはガルバノミラーの大きさは小さくなくてはならず、実際にはレーザビームの照射範囲は30〜50mm平方程度に限られていた。更に従来では、長尺状の被加工フィルムの幅方向において加工すべき範囲がレーザビームの照射範囲を超えた場合には、加工ヘッドを被加工フィルムの幅方向に移動するか、又は、被加工フィルムを幅方向に移動しなければならなかった。本発明では、レーザビームの掃引に例えば1つのガルバノミラーしか用いない単方向又は双方向の掃引であるため、従来のように第2番目のガルバノミラーの大きさの制限を受けないので、従来の加工範囲を超えた50mm以上の掃引幅が達成できる。更に、本発明では、被加工フィルムの幅方向を掃引方向と略一致させることにより、加工ヘッドあるいは被加工フィルムを被加工フィルムの幅方向に移動させることなく、長尺状の被加工フィルムを加工できる。すなわち、本発明のレーザ加工装置及び方法によれば、加工ヘッドを固定して、かつ、被加工フィルムの搬送方向とは直角方向(Y方向)へ被加工フィルムを移動させることなく、幅広で広範囲のレーザ加工を、被加工フィルムがねじれて皺などが発生することなく、連続的に高精度で行える安価な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の構成を示す一例の模式図
【図2】本発明のレーザ加工装置を構成する加工テーブルの平面図
【符号の説明】
1 レーザ発振装置
2 反射ミラー
3 加工ヘッド
4 レーザビーム
6 被加工フィルム
7 照射領域特定部材
8 加工テーブル
9 巻き取り装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺状の配線板用樹脂フィルムを連続的にレーザ加工して樹脂フィルムを開口することのできるレーザ加工装置及びそのレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
配線板の絶縁層となる樹脂フィルムあるいは樹脂フィルムと導体層が積層されてなるフィルム配線板の樹脂層の一部を除去して加工などを行うレーザ加工装置として、X−YスキャナとX−Yステージからなるレーザ加工装置が、特開平11−333575号公報(特許文献1)等で知られている。これは、X−Yスキャナによってパルスレーザビームの照射位置を、更にX−Yステージによってそのステージに固定されている被加工材料をそれぞれ位置決めし、被加工物上の決められた点にレーザ照射して加工を行うものである。しかしながら、このような装置で長尺状の配線板用樹脂フィルム材料をレーザ加工しようとした場合、X−Yステージ上に全ての長尺状材料を固定することは困難であり、長尺状材料の一部を固定すれば、レーザ加工の際にX−Yステージを駆動した場合に、例えばX−Yステージを長尺状材料の長手方向とは垂直方向に移動する場合には、長尺状材料がねじれて皺になったり、折れたりして不良品となる場合が考えられる。
また、送り出しリールと、加工テーブルと、巻き取りリールから構成されるレーザ加工装置も特開平11−192575号公報(特許文献2)で知られている。この場合、長尺状の材料は、長手方向にのみ移動するため、前述のような長尺状材料のねじれが発生することはないが、一つのレーザ加工ヘッドにてレーザ加工される範囲は通常30mm×30mm、大きくても50mm×50mmの範囲であり、長尺状材料の幅方向の加工するべき長さがこの範囲を超えた場合には、該公報に記載があるように、加工ヘッドを複数設ける必要があり、加工ヘッドを複数設けることは、それにかかる光学系等の数量も多く必要となり、高価な装置となる。また、加工ヘッドをXY方向にすると、光走査に同期したマスク位置制御などが必要になり複雑かつ高価になることを考慮して、加工テーブルをXY方向に移動可能にし、帯状ワーク移動方向の直交方向に、加工テーブルの移動と共にリール手段を直動させる直動手段を設けるようにしたレーザ加工装置も特開2001−105170号公報(特許文献3)に提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−333575号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平11−192575号公報(請求項2、段落0013)
【特許文献3】
特開2001−105170号公報(段落0017、0019)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、上記したような従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、長尺状の配線板用樹脂フィルム材料を、皺を発生させたり傷つけたりすることなく、連続的に搬送して精度良くレーザ加工を行うことのできる簡易なレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工装置であって、レーザビームを連続的に出力する所定位置に固定された1個の加工ヘッドと、加工ヘッドから加工中に連続的に出力されるレーザビームを単方向又は双方向に掃引する掃引手段と、レーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動可能であり、かつ被加工フィルムに対して上下動可能とされた加工テーブルと、加工テーブルの上昇動によって該加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射可能としたことを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置である。
【0006】
また、本発明は、被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを連続的に搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工方法であって、被加工フィルムを連続的に搬送し、被加工フィルムの加工すべき領域が加工テーブルの上方まで搬送されてきたとき、被加工フィルムの搬送を一時停止すると共に、加工テーブルを上昇させて、加工テーブルを被加工フィルムに接触させて被加工フィルムを所定位置に支持し、所定位置に固定された1個の加工ヘッドからレーザビームを連続的に出力すると共に、レーザビームを掃引手段によって単方向又は双方向に掃引し、被加工フィルムを支持した加工テーブルをレーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動することによって、1回のビーム連続掃引で、被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射することを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法である。
【0007】
上記本発明の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置及びレーザ加工方法において、1)連続発振レーザがCO2レーザであること、2)加工ヘッドから出力されるレーザビームの波長が9.2〜9.7μmであり、ビーム照射面でのエネルギ密度が3〜50J/cm2であること、3)加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの50mm×50mmの範囲以上300mm×1000mmの範囲以下の領域を照射可能としたこと、5)被加工フィルムのレーザ照射側に位置し、レーザビームの照射範囲を画定する照射領域特定部材を備えていること、6)掃引手段が加工ヘッドに付設されてなること、又は、7)被加工フィルムの搬送が、加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、樹脂フィルムを開口する際は一定速度で行われることは、本発明の好ましい態様である。また、8)被加工フィルムが、ポリイミド又はポリイミドを主成分とする樹脂層を有し、該樹脂層の少なくとも一側に銅層を備えていることは、本発明の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法の好ましい態様である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のレーザ加工装置の構成を示す一例である。
本発明のレーザ加工装置で加工される被加工フィルム6には、長尺状の配線板用樹脂フィルムか又はポリイミドを主成分とする樹脂層を有し、該樹脂層の少なくとも一側に銅層を備えている長尺状の配線板用材料が適当である。長尺状の配線板用樹脂フィルムとは、少なくともレーザ加工される樹脂フィルム層が含まれる材料であり、銅層等の導体層と一体となったものであっても良く、またその導体層がパターニングされたものであっても良い。
【0009】
本発明のレーザ加工装置に使用されるレーザ発振装置1は、連続発振が可能なレーザ発振装置であればよく、例えばYAGレーザなどが挙げられるが、好ましくはCO2レーザである。レーザ発振装置1から発振するレーザビームの波長は、被加工フィルムの吸収特性に合わせて選ぶことができるが、ポリイミド樹脂を含む樹脂フィルムのほとんどが吸収することのできる波長である9.2〜9.7μmの範囲であることが好ましい。
【0010】
レーザ発振装置1から発振されたレーザビームは、ミラー2などを介して固定された1個の加工ヘッド3に導かれる。ミラーの構成、配置及び個数などについては、特に限定されるものではなく、レーザ発振装置から出力されたレーザビームを加工ヘッドに導くものであれば良い。また、本発明では、該加工ヘッドが1個であり、所定位置に固定されている。
【0011】
加工ヘッド3は、レーザ発振装置1から発振されたレーザビームを、主に適正なエネルギ密度に制御して被加工フィルムへと導くためのものであるが、図1では、集光レンズなどの光学レンズで構成される加工ヘッドにレーザビームを単方向又は双方向に掃引する掃引手段が付帯された例を示している。掃引されたレーザビームは、光学レンズによって集光され、その集光径と、レーザビームの連続発振出力及び掃引の速度によって被加工フィルムのビーム照射面でのレーザビームのエネルギ密度が決まる。このビーム照射面でのエネルギ密度は、3〜50J/cm2の範囲に制御されることが好ましい。3J/cm2未満の場合は、そのエネルギ密度が加工閾値を下回るため、被加工フィルムの加工を行うことができない場合があり、また、50J/cm2を超える場合は、加工すべき箇所以外の箇所にも熱影響などの悪影響が及ぼされる場合がある。
【0012】
レーザビームの掃引手段は、レーザビームを連続的に一方向のみ(例えば、図1中Y方向)に掃引可能な手段であれば特に限定されるものではないが、例えば、複数の反射ミラーからなる回転体であるポリゴンミラーによる方法を用いて、レーザビームを一定幅で単方向に掃引してもよく、又は、一つの反射ミラーが回転往復運動するガルバノミラーによる方法を用いて、レーザビームを一定幅で双方向に掃引しても良い。いずれにしても、レーザビームの掃引幅が50mm以上300mm以下となるような掃引方法を用いればよい。掃引幅が50mm未満であると、レーザ加工すべき長尺状の被加工フィルムによってはその加工範囲を満たすことができなくなる場合があり、300mmを超える掃引幅は、掃引手段の有効範囲を超えるか、又は対応する光学レンズなどの適正な性能の範囲を超えるので、精度良いレーザ加工を行うことが困難となる。
【0013】
加工テーブル8は、長尺状の被加工フィルムのうち少なくともレーザ加工する部分を支持するためのものであり、被加工フィルムにレーザビームを照射する際に被加工フィルムが振動したりしないように固定される。レーザビーム照射中に被加工フィルムが振動したりして移動すると、レーザビーム照射位置が、被加工フィルムの加工すべき範囲からずれるばかりでなく、加工ヘッドから被加工フィルムまでの距離が変化することにより、照射されるレーザビームのエネルギ密度が変化することとなり、適正なレーザ加工が行えなくなる。
【0014】
被加工フィルム6の次の加工すべき領域が加工テーブルの上方に来るまでの搬送時には、加工テーブル8は被加工フィルムと接触しないようにZ方向の下方向に移動している。加工すべき領域が加工テーブルの上方に来た時点で、樹脂フィルムの搬送を一旦停止し、加工テーブルがZ方向の上方向に移動して被加工フィルムを支持する。この搬送時に被加工フィルムを上下に移動させて加工テーブルと接触しないようにする方法も考えられるが、被加工フィルムの搬送方向以外の方向への移動を極力減らすことにより、長尺状の被加工フィルムへの必要以上の応力を軽減でき、ねじれなどによる皺の発生を防ぐことが有利である。
【0015】
被加工フィルムの加工すべき領域が所定位置に来たとき、搬送が一旦停止されて加工テーブルの上面に接触して支持されるが、その際、他の手段を用いて固定しても良い。固定の方法は特に限定されるものではないが、例えば加工テーブルに設けられた穴を介した真空吸引の方法などは、被加工フィルムに傷をつけることが少ないので好ましい方法である。
【0016】
被加工フィルムを支持固定した加工テーブルは、掃引手段によるレーザビームの掃引方向(Y方向)とは略直角(直角を含む)のX方向に一定速度で移動する。そのとき、加工テーブルに支持固定されていない部分の被加工フィルムに必要以上の応力がかかって切れたりしないように、例えば、被加工フィルムの巻き出し装置5、巻き取り装置9などを設けたり、更に、被加工フィルムがたわまないようにテンションリールなどの装置を設けることが望ましい。ただし、加工テーブルはY方向には移動しないので、長尺状の被加工フィルムがねじれて皺になったりすることはない。
【0017】
図2は加工テーブル8の平面図であり、照射領域特定部材7を備えた場合を示している。10は加工テーブルが停止している状態での掃引されたレーザビームの照射軌跡を表しているが、レーザ加工の際には、加工テーブルが一定速度でX方向に移動しながら、加工ヘッドから連続的に出力され、かつ掃引されたレーザビームが、レーザビームの掃引幅と加工テーブルの移動距離で決められる範囲全面に照射されることとなる。この時、掃引されたレーザビームが隙間無く被加工フィルムに照射されるよう、掃引速度及び加工テーブルの移動速度が制御される。この間レーザビームは加工ヘッドから連続的に出力され、かつ連続的に掃引されるが、この1回のビーム連続掃引によって、加工テーブルに支持された被加工フィルムの加工すべき範囲へのレーザビームの照射を終了し、その時点で例えばシャッター機構などでレーザビームが被加工フィルムに照射されないようにした後、被加工フィルムを搬送し、次の加工すべき範囲へレーザビームを照射する工程に移る。
【0018】
本発明では、この1回のビーム連続掃引によって、従来に比べて大きな面積の加工が行えることを特徴とする。すなわち、加工ヘッドから連続的に出力されるレーザビームを単方向又は双方向に掃引して、この1回のビーム連続掃引によって、掃引幅と加工テーブルの搬送方向の長さで決められる範囲全面にレーザビームを照射しようとするものであり、掃引幅は前述した通り50mm以上300mm以下が好ましい。加工テーブルの長さには下限はないが、長尺状の材料を加工する場合、1回のビーム連続掃引による加工面積が大きく取れることによって効率が向上するため、50mm以上が好ましいが、加工テーブルの長さが1000mmを超えると、レーザ加工装置自体が大きなものになり好ましくない。つまり、1回のビーム連続掃引によって、50mm×50mmの範囲以上、300mm×1000mmの範囲以下領域を照射できることがよい。
【0019】
長尺状の被加工フィルムの中には、フィルムの幅の両端に貫通穴であるガイド穴が設けられたものもあるが、このような材料をレーザ加工する場合には、フィルムの両端にあるガイド穴にレーザビームが照射されて、加工テーブルを傷つけないよう、レーザビームを遮蔽する必要がある。あるいは、例えば掃引手段としてガルバノミラーを用いた場合には、掃引の端部はレーザビームの折り返し点となるため、レーザビームのエネルギ密度が局部的に大きくなる場合があり、このような部分が被加工フィルムに照射されると、所望のレーザ加工ができない場合があり、このような時にも、掃引の両端が被加工フィルムに照射されないよう、レーザビームを遮蔽する必要がある。
【0020】
照射領域特定部材7は、掃引されたレーザビームが被加工フィルムへ照射される範囲を限定するためのものであり、特に掃引されたレーザビームの両端部を遮蔽するために用いられる。この照射領域特定部材は、レーザビームが照射されても加工されたり、変形したりすることの無い材料から構成されることが望ましく、例えばこの構成材料としては、レーザビームを反射する、少なくとも金あるいは銅で被覆された材料であるか、レーザビームを吸収する、表面を荒らしたアルミニウムや黒鉛などが挙げられる。また、材料の内部に冷却水が通るようにした水冷式にしても良い。照射領域特定部材のサイズ及び形状は特に限定されないが、被加工フィルムの加工すべき領域と、レーザビームの掃引幅に合わせて最適な形状とサイズのものを選択すればよい。
【0021】
被加工フィルムへレーザ照射している間には、加工領域特定部材は少なくとも被加工フィルムのレーザ照射側に位置する必要があり、好ましくは加工ヘッドと被加工フィルムの間に位置するのであるが、必ずしも被加工フィルムに接触している必要は無く、また、被加工フィルムの搬送時には、被加工フィルムに接触しない位置に移動することができるものであることが望ましい。
【0022】
【実施例】
次に、実施例を基に本発明のレーザ加工方法について詳細に説明する。
波長9.6μmのレーザビームを出力する連続発振のCO2レーザ発振装置と、レーザビームを双方向に掃引するためのガルバノミラー及び掃引されたレーザビームを集光して、かつレーザビームが被加工フィルムの表面に対して略垂直に入射するための複数の光学レンズから構成される加工ヘッドと、レーザビームの掃引方向とは略直角方向に一定速度で移動可能な幅100mm×長さ500mmのワークサイズを持つ加工テーブルと、加工テーブルの上方に設けられた銅被覆の金属製照射範囲特定部材と、被加工フィルムを加工テーブルの上記移動方向と同じ方向に搬送するための巻き出し装置及び巻き取り装置とから構成されるレーザ加工装置を用いた。幅70mm、長さ20mのポリイミドで構成される厚み0.05mmの樹脂フィルムの両面に厚み18μmの銅箔が一体化されており、一側の銅箔に直径0.1mmから2.0mmまでの複数の円形の開口パターンがエッチングの手法で形成されている長尺状の被加工フィルムのレーザ加工を行った。同じ構成とサイズであり、樹脂フィルムの構成だけが、異なるポリイミドを用いている複数の被加工フィルムのレーザ加工も行った。
【0023】
まず、長尺状の被加工フィルムのパターンがエッチングされている面にレーザビームが照射されるように被加工フィルムを配置し、その加工すべき範囲が、加工テーブル上方に来るまで被加工フィルムを搬送させた。そのとき、加工テーブルを、搬送される被加工フィルムに接触しない位置まで降下させ、照射範囲特定部材を、搬送される被加工フィルムに接触しない位置まで上昇させた。被加工フィルムの加工すべき範囲が加工テーブル上方に来た時点で、被加工フィルムの搬送を一時停止させ、加工テーブルを上昇させて、加工テーブルに設けられた複数の穴を介して真空ポンプによる吸引の方法で被加工フィルムを加工テーブルに固定し、同時に、被加工フィルムの幅方向の両端からそれぞれ5mmづつを覆うための照射範囲特定部材を、被加工フィルム位置まで下降させた。
【0024】
レーザ発振装置に設けられたシャッター装置を開けて、加工ヘッドに導かれたレーザビームが掃引装置により幅70mm幅に双方向に掃引され、複数の光学レンズを経たレーザビームを被加工フィルムに照射開始すると同時に、被加工フィルムを固定した加工テーブルを、一定速度で、レーザビームの掃引方向とは略直角方向に移動を開始した。加工テーブルが490mm移動したところで加工テーブルの移動を停止した。この1回のビーム連続掃引による60mm×490mmの範囲の被加工フィルムへのレーザ照射が完了後、次の加工すべき範囲が加工テーブル上方に来るまで被加工フィルムを搬送した。被加工フィルム20mの全てのレーザ加工が終了するまで、上記搬送、レーザ照射を繰り返した。
【0025】
複数種類の被加工フィルムは別々にレーザ加工したが、その時のビーム照射面でのエネルギ密度は被加工フィルムの種類によって5〜20J/cm2の範囲の異なる値に制御した。また、そのときの加工テーブルの移動速度、つまり、レーザ加工速度は0.6〜1.0m/分の速度であった。
レーザ加工が終了したそれぞれの被加工フィルムには、ねじれたために起こる皺などは見られず、被加工フィルム片面側に設けられた銅箔の開口部に露出した部分の樹脂層のみレーザ加工により除去され、良好なレーザ加工が行えたことが確認された。
【0026】
【発明の効果】
従来のレーザ加工装置の場合、レーザビームを例えば2つのガルバノミラーを用いて、レーザビームの照射されるX−Y座標を決める際、特に第2番目のガルバノミラーの大きさによって、レーザビームを照射できる範囲が限定されていたが、位置決め速度を速くする為にはガルバノミラーの大きさは小さくなくてはならず、実際にはレーザビームの照射範囲は30〜50mm平方程度に限られていた。更に従来では、長尺状の被加工フィルムの幅方向において加工すべき範囲がレーザビームの照射範囲を超えた場合には、加工ヘッドを被加工フィルムの幅方向に移動するか、又は、被加工フィルムを幅方向に移動しなければならなかった。本発明では、レーザビームの掃引に例えば1つのガルバノミラーしか用いない単方向又は双方向の掃引であるため、従来のように第2番目のガルバノミラーの大きさの制限を受けないので、従来の加工範囲を超えた50mm以上の掃引幅が達成できる。更に、本発明では、被加工フィルムの幅方向を掃引方向と略一致させることにより、加工ヘッドあるいは被加工フィルムを被加工フィルムの幅方向に移動させることなく、長尺状の被加工フィルムを加工できる。すなわち、本発明のレーザ加工装置及び方法によれば、加工ヘッドを固定して、かつ、被加工フィルムの搬送方向とは直角方向(Y方向)へ被加工フィルムを移動させることなく、幅広で広範囲のレーザ加工を、被加工フィルムがねじれて皺などが発生することなく、連続的に高精度で行える安価な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の構成を示す一例の模式図
【図2】本発明のレーザ加工装置を構成する加工テーブルの平面図
【符号の説明】
1 レーザ発振装置
2 反射ミラー
3 加工ヘッド
4 レーザビーム
6 被加工フィルム
7 照射領域特定部材
8 加工テーブル
9 巻き取り装置
Claims (14)
- 被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工装置であって、レーザビームを連続的に出力する所定位置に固定された1個の加工ヘッドと、加工ヘッドから加工中に連続的に出力されるレーザビームを単方向又は双方向に掃引する掃引手段と、レーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動可能であり、かつ被加工フィルムに対して上下動可能とされた加工テーブルと、加工テーブルの上昇動によって加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射可能としたことを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 被加工フィルムの搬送が、加工テーブルが被加工フィルムに接触して被加工フィルムを所定位置に支持し、樹脂フィルムを開口する際は一定速度で行われる構成とした請求項1記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 連続発振レーザがCO2レーザである請求項1記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 加工ヘッドから出力されるレーザビームの波長が9.2〜9.7μmであり、ビーム照射面でのエネルギ密度が3〜50J/cm2である請求項1又は2記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの50mm×50mmの範囲以上300mm×1000mmの範囲以下の領域を照射可能とした請求項1記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 被加工フィルムのレーザ照射側に位置し、レーザビームの照射範囲を画定する照射領域特定部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 掃引手段が加工ヘッドに付設されてなる請求項1記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 被加工フィルムとしての長尺状の配線板用樹脂フィルムを搬送しながら、連続発振レーザを用いて樹脂フィルムを開口するレーザ加工方法であって、被加工フィルムを搬送し、被加工フィルムの加工すべき領域が加工テーブルの上方まで搬送されてきたとき、被加工フィルムの搬送を一時停止すると共に、加工テーブルを上昇させて、加工テーブルを被加工フィルムに接触させて被加工フィルムを所定位置に支持し、所定位置に固定された1個の加工ヘッドからレーザビームを連続的に出力すると共に、レーザビームを掃引手段によって単方向又は双方向に掃引し、被加工フィルムを支持した加工テーブルをレーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムを支持した状態で移動することによって、1回のビーム連続掃引で、被加工フィルムの掃引幅方向において50mm以上300mm以下の領域を照射することを特徴とする配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
- 被加工フィルムを支持した加工テーブルをレーザビームの掃引方向とは略直角方向であって被加工フィルムの搬送方向と同方向に移動することによる被加工フィルムの搬送が、1回のビーム連続掃引の間は一定速度で行われる請求項8記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工装置。
- 連続発振レーザがCO2レーザである請求項8記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
- 加工ヘッドから出力されるレーザビームの波長が9.2〜9.7μmであり、ビーム照射面でのエネルギ密度が3〜50J/cm2である請求項8又は9記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
- 加工ヘッドから出力され掃引手段によって掃引される1回のビーム連続掃引によって、前記所定位置に支持された被加工フィルムの50mm×50mmの範囲以上300mm×1000mmの範囲以下の領域を照射することを特徴とする請求項8記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
- 被加工フィルムのレーザ照射側に照射範囲特定部材を配置して、レーザビームの照射範囲を画定することを特徴とする請求項8記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
- 被加工フィルムが、ポリイミド又はポリイミドを主成分とする樹脂層を有し、該樹脂層の少なくとも一側に銅層を備えていることを特徴とする請求項8記載の配線板用樹脂フィルムのレーザ加工方法。
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