JP2004122022A - 静電霧化装置及び静電霧化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、エア流路内に帯電用電極を有する静電霧化装置において、帯電霧化を停止した際に、イオン化空気による放電電食などのトラブルを生じない静電霧化装置と静電霧化方法とを提供することである。
【解決手段】本発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止された後から少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止された後から少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電霧化装置及び静電霧化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性塗料などの電気抵抗の低い塗料に対して、静電塗装ガンを用いた静電塗装を行う場合、高電圧を印加した塗料を接地状態の被塗物に塗着させるようになっているが、塗料に負電荷を帯電させる方法としては、内部印加による方法と外部印加による方法とがある。
【0003】
内部印加は、塗装ガンに設けた静電気帯電用電極に高電圧電源を供給し、その帯電用電極を、塗装ガンの内部において塗料に接触させ、塗料全体に高電圧をかけることで帯電状態で塗装ガンから吐出するようにしたものである。この内部印加による方法では、塗料経路が電気回路となるので、経路の一部が接地されると電流が漏れて 高電圧がかけられなくなることから、これを防ぐために、塗料タンクから塗装ガンの塗料吐出口に至る塗料経路を電気的に絶縁しておく必要がある。そのため、色替えに際しては、まず、塗装ガン及びそれに接続している塗料タンクを放電させて接地状態とし、その後、塗装ガンを塗料タンクから切り離して別の塗料タンクに接続し、その後、塗装ガンとそれに接続された塗料タンクを大地に対して電気的に絶縁する状態に切り替える、という工程が必要となり、段取り替えに関しては工数が多くなって効率が悪いという欠点がある。
【0004】
そこで、色替え作業の効率が要求される場合には、外部印加による方法が用いられ、その一例として、特開平7−328493号(特許文献1)に開示されているものがある。これは、塗装ガンの外部に露出する形態で帯電用電極を設けて、塗装ガンの近傍の空気をイオン化し、塗装ガンから吐出した塗料をイオン化空気に接触させることによって帯電状態にするようにしたものである。この外部印加による方法であれば、塗料の流路を常に接地状態にしておくことができるので、段取り替えに際して絶縁状態と放電状態との切り替え作業が不要となる。
【0005】
このように従来の外部印加形の静電塗装ガンでは、帯電用電極が塗装ガンの外部に露出された状態で設けられていた。そのため、塗装中に帯電用電極が他の部材と干渉し、その結果、帯電用電極が破損するなどのおそれがあり、特にハンドガンにおいては干渉を生じやすいという傾向がある。また、塗装ガンの周囲には、霧化状態となった塗料の一部が浮遊していることから、その霧化塗料が帯電用電極に付着して汚れてしまうという問題もある。
【0006】
以上のような問題点を解決するために、発明者らは、特願2002−040309号で帯電用電極をエア流路の内部に配した静電塗装ガンを提案した。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−328493号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この帯電用電極がエア流路の内部に配された構成の静電塗装ガンでは、帯電用電極に対して他の部材が干渉したり、塗装ガンの周囲に浮遊している霧化塗料が帯電用電極に付着するという問題は解消した。
【0009】
しかし、被塗物への塗料の塗着効率をさらに向上するために帯電圧を高くするとエアキャップ内に放電電食を発生するという不都合が生じた。その原因を追求したところ、この電食は塗装作業中の静電噴霧停止時に帯電用電極があるエア流路に滞留するイオン化空気によって引き起こされていることが判明した。すなわち、静電塗装ガンの静電噴霧を停止する手順は、まず塗料供給手段が停止し、次にエア供給手段が停止し、しかる後にエアフロースイッチがオフとなって電圧供給手段が停止する。つまり、短時間ではあるが、エアが供給されないで静電気のみが発生してエア流路中にオゾンなどのイオン化空気が滞留することとなる。この現象が塗装作業の1サイクルに必ず1回は発生し、全塗装作業工程では相当な回数繰り返し発生することとなり、イオン化空気が原因の電食による損傷や穴あきをエアキャップ等に生じるといった問題を引き起こすおそれがある。
【0010】
本発明はこれらの問題を解消すべく実施されたもので、エア流路内に帯電用電極を有する静電霧化装置において、帯電霧化を停止した際に、イオン化空気による放電電食などのトラブルを生じない静電霧化装置と静電霧化方法とを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、
該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止された後から少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【0012】
ここで、エア供給制御手段は、帯電制御手段により電圧供給手段が停止された後、所定時間経過後にエア供給手段を停止する遅延手段を有することが望ましい。また、前記帯電制御手段は、エア供給手段のエアにより電圧供給手段を作動および停止するエアフロースイッチを有することが好ましく、前記エア供給制御手段は、エア絞り手段を有し、電圧供給手段が停止するまで極微量のエアを供給することができることが望ましい。
【0013】
また、本発明の静電霧化方法は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置を用い、該吐出物供給手段、該エア供給手段及び該電圧供給手段を作動させて霧化された吐出物を荷電する霧化荷電工程を実施した後、まず該吐出物供給手段を停止させ、該吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に該電圧供給手段を停止し、該電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過後、該エア供給手段を停止する停止工程を実施することを特徴とする。
【0014】
【発明の作用及び効果】
本発明の静電霧化装置を停止する場合には、吐出制御手段による吐出物供給手段の停止、帯電制御手段による電圧供給手段の停止、エア供給制御手段によるエア供給手段の停止が逐次実行されるが、エア供給制御手段は帯電制御手段により電圧供給手段が停止された後、少なくとも所定時間はエアを供給する手段であるので、エア流路から静電気を有するイオン化空気を排出してからエア停止となる。従って、エア流路中に静電気が滞留することがないのでエアキャップなどに電食の発生するおそれはない。その結果、帯電圧を上げることができるので塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0015】
ここで、エア供給制御手段は、遅延手段を有しているので所定時間経過後にエア供給手段を停止することができる。よって、エア流路中に滞留したイオン化空気を掃気することができる。
【0016】
また、帯電制御手段は、エアフロースイッチを有しており、さらにエア供給制御手段はエア絞り手段を有しているので、エアフロースイッチによって高電圧の供給を停止するまで極微量のエアを供給することができる。この極微量のエアによって、エア流路中に滞留したイオン化空気を掃気することもできる。
【0017】
本発明の静電霧化方法によれば、静電霧化装置を停止する場合に、まず吐出物供給手段を停止させ、この吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に電圧供給手段を停止し、この電圧供給手段を停止した後少なくとも所定時間経過後にエア供給手段を停止する停止工程を採用しているので、エア流路から静電気を有するイオン化空気を排出した後にエア供給を停止することとなる。従ってエア流路中に静電気が滞留することがないので、例えばエアキャップなどに対して電食などの発生を未然に防止することができる。また、帯電圧を上げることができるので塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止されてから少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【0019】
本発明の静電霧化装置は、例えば塗料などを圧縮空気などで霧化すると同時に帯電させる装置であり、具体的には作業者が把持して取り扱うハンドガンタイプの静電塗装ガンを例示することができる。
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態であるハンドガンタイプの静電塗装ガンについて、図1ないし図3を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の静電塗装ガンは、絶縁性の樹脂材料からなるガン本体10と、ガン本体10の後端部に設けられたグリップ(図示せず)と、ガン本体10の前端部に設けられた、塗料とエアを吐出・噴出させるためのノズル20とから構成されている。
【0022】
また、本実施形態の静電塗装ガンは、霧化用の吐出口27と、この吐出口27から塗料(吐出物)を供給する吐出物供給手段とを有している。吐出物供給手段は塗料ノズル21と、ニードル弁11と、塗料ホース12とから構成されている。ここで、図示しないトリガの操作に連動して開閉される常閉式のニードル弁11が開弁すると、ガン本体10の前端部下面に接続された塗料ホース12を通して圧送された塗料が、塗料ノズル21に向けて供給されるようになっている。
【0023】
ノズル20は、ガン本体10の前端部に取り付けた以下の複数部品(塗料ノズル21、取付用リング22、ナット23,エアキャップ24)から構成されている。ガン本体10の前端部には、その前端面中央を切欠した形態の円形の取り付け凹部18が形成され、この取り付け凹部18の内周には、絶縁性材料からなる塗料ノズル21が、その後端部を螺合する事により、前端部を取り付け凹部18から前方に突出した形態で取り付けられている。ガン本体10の円筒部16の外周には取付用リング22が螺合され、この取付用リング22の外周にはナット23が螺合されていて、このナット23により、絶縁性の樹脂材料からなるエアキャップ24が、塗料ノズル21の前方位置において仕切用円筒部29を塗料ノズル21の前端面に突き当てた状態で固定されている。
【0024】
塗料ノズル21の中心孔は塗料流路26aとなっており、この塗料流路26aの後端は上記したニードル弁11に連通されている。塗料ノズル21の前端部はエアキャップ24の中心孔に臨んでおり、この塗料ノズル21の前端部、すなわち、塗料流路26aの前端はノズル20の前端面に臨む塗料吐出口27として静電塗装ガンの外部に開口されている。
【0025】
エア噴出口としては、霧化エア噴出口30と、副パターンエア噴出口31と、パターンエア噴出口34とが設けられており、それぞれエア供給手段を有している。霧化エア噴出口30と、副パターンエア噴出口31とにエアを供給する供給手段は、霧化エア流路28a〜28dから構成されている。すなわち、塗料ノズル21には、塗料流路26aと同心円状に配された複数の霧化エア流路28cが、塗料ノズル21の前後両端面間に貫通する孔状に形成されている。これらの霧化エア流路28cの後端は、取付凹部18の奥端部に形成された環状の霧化エア通路28bに連通され、この環状の霧化エア流路28bは、ガン本体10の内部に形成された霧化エア流路28aに連通されている。また、塗料ノズル21の霧化エア流路28cの前端は、塗料ノズル21の前端部外周とエアキャップ24の仕切筒部29の内周及びエアキャップ24の後面とによって囲まれた環状の霧化エア流路28dに連通されている。そして、この環状の霧化エア流路28dは、エアキャップ24の中心孔の内周と塗料ノズル21の前端部外周との隙間に塗料吐出口27を囲むように形成された環状の霧化エア噴出口30,及びエアキャップ24における霧化エア噴出口30の上下両側に形成した孔状をなす副パターンエア噴出口31を介してノズル20の前端面に開口されている。
【0026】
一方パターンエア噴出口34にエアを供給する供給手段は、パターンエア流路32a〜32eによって構成されている。パターンエア流路32aは、ガン本体10の内部に上記霧化エア流路28a〜28dとは独立した別個の経路として孔状の流路が形成され、このパターンエア流路32aの前端部は、取付凹部18の内周に溝状に形成された環状のパターンエア流路32bに連通され、このパターンエア流路32bは、前後方向に貫通する複数のパターンエア流路32cを介して、塗料ノズル21の外周と導電部材17の内周との間に形成された環状のパターンエア流路32dに連通されている。そして、このパターンエア流路32dは、エアキャップ24の前端面上下両端部から突出する角部33の内部に形成した上下一対のパターンエア流路32eに連通され、この角部33内のパターンエア流路32eは、角部33に形成したパターン噴出口34を介して、ノズル20の外部に開口されている。
【0027】
ガン本体10の内部には吐出物(塗料)を荷電するための帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段が設けられている。電圧供給手段は、高電圧発生器13と、導電性の押圧ピン14と、バネ15と、導電部材17と、帯電用電極35とから構成されている。高電圧発生器13はガン本体10の内部に前後方向に長い状態でニードル弁11よりも上方に位置して収容されている。そして、高電圧発生器13の前端に接続された導電性の押圧ピン14が導電性のバネ15の付勢によりガン本体10の前端面から突出した状態で設けられている。また、ガン本体10の前端部には、その外周縁から突出する円筒部16が形成され、この円筒部16内には、導電性の樹脂からなる円筒状の導電部材17が、径方向のガタツキなく内嵌されている。この導電部材17の後端面には上記した押圧ピン14の前端がバネ15の付勢により弾性的に且つ電気的導通可能に接触されている。なお、導電部材17は導電性樹脂に限らず、金属製としてもよい。
【0028】
エアキャップ24の内部には、金属製の帯電用電極35が収容されている。なお、この帯電用電極35は導電性樹脂製でもよい。この帯電用電極35は、一部が切り欠けされた形態の円弧状のリング部36と、このリング部36から前方(このリング部36の中心軸と平行方向)へ突出する上下一対のピン部37とからなる。ピン部37はリング部36に対して溶接などによって固着されている。かかる帯電用電極35は、そのピン部37を角部33内のパターンエア流路32e内に差し込んでそのパターンエア流路32eの奥端(前端)に突き当てるとともに、リング部36をエアキャップ24の内周面に沿わせた状態で収容されている。収容された状態においては、上記した導電部材17がバネ15の付勢により後方からリング部36を弾性的に押圧するとともに、このバネ15の押圧力によってピン部37が角部33のパターンエア流路32eの奥端部に突き当てられている。これにより、エアキャップ24内のパターンエア流路32e内では、帯電用電極35のピン部37が、前後方向への遊動を規制されるとともに、バネ15,押圧ピン14及び導電部材17を介して高電圧発生器13に対して導通可能に接続された状態で収容されている。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0030】
吐出制御手段は、ハンドガンのトリガとニードル弁11とから構成される。トリガーを操作するとニードル弁11が開弁して塗料がノズル20の塗料吐出口27から前方に吐出される。エア供給制御手段はトリガと図示しない空気弁とから構成される。トリガの操作と同時に空気弁が開きエア供給手段は作動状態となる。つまり、ノズル20の霧化エア噴出口30と副パターンエア噴出口31からは霧化エア流路28a〜28dを通して供給された所定圧力のエアが、それぞれ、霧化エアAa及び副パターンエアAbとして噴出され、吐出された塗料は霧化エアAaにより霧化された塗料流Pとなる。また、パターンエア噴出口34からも、パターンエア流路32a〜32eを通して供給された所定圧力のエアがパターンエアAcとして霧化塗料流Pに向けて噴出され、このパターンエアAcにより霧化塗料流Pは略楕円形断面のパターンに成形される。なお、副パターンエアAbは、パターンエアAcに向かって吹き付けられ、そのパターンエアAcが霧化塗料流Pに対して局所的に集中して吹き付けられることに起因する霧化塗料流Pの分断が防止されている。
【0031】
このとき、塗料には、ノズル20から吐出された後、外部印加によって高電圧の負電荷が帯電される。トリガを操作してエア供給が開始すると同時にコントロールボックス内に設けられている帯電制御手段であるエアフロースイッチが作動して電圧供給手段が作動する。すなわち、パターンエア流路32a〜32e内を流れるエアは、ノズル20の角部33内のパターンエア流路32e内に配置された帯電用電極35に接触することによりイオン化された状態で、パターンエア噴出口34からノズル20の外部へ噴出され、このイオン化されたパターンエアAcと霧化塗料流Pとがノズル20の前方において接触し、これによって霧化塗料流Pが高電位に印加された状態となる。このようにして、高電圧に印加された霧化塗料Pは、接地状態におかれている被塗物(図示せず)に塗着される。
【0032】
塗装作業は例えば被塗物の幅方向の塗装を1サイクルとして塗料の噴射と停止を繰り返すことにより遂行される。前記は、静電塗装ガンの作動の場合についてその作用を説明したが、塗料の噴射を停止する場合には、以下のような順序となる。まず、トリガ操作を停止するとスプリングの付勢によりニードル弁11は塗料供給路を遮断してノズル20への塗料の供給を停止する。次に、帯電制御手段により電圧供給手段が停止される。この電圧供給手段が停止された後、エア供給制御手段に付随する、例えばタイマーなどによる遅延手段が作動して所定時間経過後に空気弁を閉としてエア供給手段が停止する。
【0033】
以上のような本実施形態においては、塗料噴射が停止し、電圧供給が停止してからエア供給が停止されるので、帯電用電極35が収容されているパターンエア流路32e内にイオン化空気が滞留することがない。従って放電による電食発生のおそれがない。従って、帯電圧を高くすることができ塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0034】
本発明の静電霧化方法は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置を用い、該吐出物供給手段、該エア供給手段及び電圧供給手段を作動させて霧化された吐出物を荷電する霧化荷電工程を実施した後、まず該吐出物供給手段を停止させ、該吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に該電圧供給手段を停止し、該電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過後、該エア供給手段を停止する停止工程を実施することを特徴とする。
【0035】
すなわち、本発明の静電霧化方法は、吐出物を帯電霧化する霧化荷電工程と、静電霧化装置を停止する停止工程とから構成されている。霧化荷電工程は、吐出物供給手段と、エア供給手段及び電圧供給手段とを同時又は順次作動させて霧化された吐出物を荷電する工程である。一方、停止工程は、まず吐出物供給手段を停止させ、吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に電圧供給手段を停止し、電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過してから、エア供給手段を停止する工程である。
【0036】
本発明のように停止工程を電圧供給手段の停止後にエア供給手段を停止する順序としたので、パターンエア流路32e内にイオン化空気が滞留することがない。従って放電による電食発生のおそれがない。また、帯電圧を高くすることができ塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0037】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【0038】
すなわち、上記実施形態の静電霧化装置では、遅延手段により電圧供給手段の停止後所定時間経過してからエア供給手段を停止することとしたが、例えば、コントロールボックス内に設けられたエアフロースイッチの感度以下の少量のエアをパターンエア流路に常時流すことによりイオン化空気の滞留を防止することができる。この方法によれば、パターンエア流路を常時掃気することとなるので、前記の効果に加えてエアキャップ内への塗料ミストの侵入を防止するという効果をも奏することができる。また、エアフロースイッチに加えてエア圧力スイッチを組み合わせて使用することにより、高圧低流量エアの場合には電圧供給手段を停止するように帯電制御することも好ましい。さらに、上記実施形態では作業者が把持して取り扱うハンドガンタイプのものに適用した例を説明したが、本発明は、塗装ロボットやレシプロケータなどの自動塗装装置に設けた自動ガンタイプのものにも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の静電霧化装置の部分断面図である。
【図2】ノズルの部分拡大断面図である。
【図3】エアキャップと帯電用電極の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
20:ノズル 24:エアキャップ 27:塗料吐出口 30:霧化エア噴出口(エア噴出口) 32e:パターンエア流路(エア流路) 34:パターンエア噴出口(エア噴出口) 35:帯電用電極
【発明の属する技術分野】
本発明は静電霧化装置及び静電霧化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性塗料などの電気抵抗の低い塗料に対して、静電塗装ガンを用いた静電塗装を行う場合、高電圧を印加した塗料を接地状態の被塗物に塗着させるようになっているが、塗料に負電荷を帯電させる方法としては、内部印加による方法と外部印加による方法とがある。
【0003】
内部印加は、塗装ガンに設けた静電気帯電用電極に高電圧電源を供給し、その帯電用電極を、塗装ガンの内部において塗料に接触させ、塗料全体に高電圧をかけることで帯電状態で塗装ガンから吐出するようにしたものである。この内部印加による方法では、塗料経路が電気回路となるので、経路の一部が接地されると電流が漏れて 高電圧がかけられなくなることから、これを防ぐために、塗料タンクから塗装ガンの塗料吐出口に至る塗料経路を電気的に絶縁しておく必要がある。そのため、色替えに際しては、まず、塗装ガン及びそれに接続している塗料タンクを放電させて接地状態とし、その後、塗装ガンを塗料タンクから切り離して別の塗料タンクに接続し、その後、塗装ガンとそれに接続された塗料タンクを大地に対して電気的に絶縁する状態に切り替える、という工程が必要となり、段取り替えに関しては工数が多くなって効率が悪いという欠点がある。
【0004】
そこで、色替え作業の効率が要求される場合には、外部印加による方法が用いられ、その一例として、特開平7−328493号(特許文献1)に開示されているものがある。これは、塗装ガンの外部に露出する形態で帯電用電極を設けて、塗装ガンの近傍の空気をイオン化し、塗装ガンから吐出した塗料をイオン化空気に接触させることによって帯電状態にするようにしたものである。この外部印加による方法であれば、塗料の流路を常に接地状態にしておくことができるので、段取り替えに際して絶縁状態と放電状態との切り替え作業が不要となる。
【0005】
このように従来の外部印加形の静電塗装ガンでは、帯電用電極が塗装ガンの外部に露出された状態で設けられていた。そのため、塗装中に帯電用電極が他の部材と干渉し、その結果、帯電用電極が破損するなどのおそれがあり、特にハンドガンにおいては干渉を生じやすいという傾向がある。また、塗装ガンの周囲には、霧化状態となった塗料の一部が浮遊していることから、その霧化塗料が帯電用電極に付着して汚れてしまうという問題もある。
【0006】
以上のような問題点を解決するために、発明者らは、特願2002−040309号で帯電用電極をエア流路の内部に配した静電塗装ガンを提案した。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−328493号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この帯電用電極がエア流路の内部に配された構成の静電塗装ガンでは、帯電用電極に対して他の部材が干渉したり、塗装ガンの周囲に浮遊している霧化塗料が帯電用電極に付着するという問題は解消した。
【0009】
しかし、被塗物への塗料の塗着効率をさらに向上するために帯電圧を高くするとエアキャップ内に放電電食を発生するという不都合が生じた。その原因を追求したところ、この電食は塗装作業中の静電噴霧停止時に帯電用電極があるエア流路に滞留するイオン化空気によって引き起こされていることが判明した。すなわち、静電塗装ガンの静電噴霧を停止する手順は、まず塗料供給手段が停止し、次にエア供給手段が停止し、しかる後にエアフロースイッチがオフとなって電圧供給手段が停止する。つまり、短時間ではあるが、エアが供給されないで静電気のみが発生してエア流路中にオゾンなどのイオン化空気が滞留することとなる。この現象が塗装作業の1サイクルに必ず1回は発生し、全塗装作業工程では相当な回数繰り返し発生することとなり、イオン化空気が原因の電食による損傷や穴あきをエアキャップ等に生じるといった問題を引き起こすおそれがある。
【0010】
本発明はこれらの問題を解消すべく実施されたもので、エア流路内に帯電用電極を有する静電霧化装置において、帯電霧化を停止した際に、イオン化空気による放電電食などのトラブルを生じない静電霧化装置と静電霧化方法とを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、
該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止された後から少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【0012】
ここで、エア供給制御手段は、帯電制御手段により電圧供給手段が停止された後、所定時間経過後にエア供給手段を停止する遅延手段を有することが望ましい。また、前記帯電制御手段は、エア供給手段のエアにより電圧供給手段を作動および停止するエアフロースイッチを有することが好ましく、前記エア供給制御手段は、エア絞り手段を有し、電圧供給手段が停止するまで極微量のエアを供給することができることが望ましい。
【0013】
また、本発明の静電霧化方法は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置を用い、該吐出物供給手段、該エア供給手段及び該電圧供給手段を作動させて霧化された吐出物を荷電する霧化荷電工程を実施した後、まず該吐出物供給手段を停止させ、該吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に該電圧供給手段を停止し、該電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過後、該エア供給手段を停止する停止工程を実施することを特徴とする。
【0014】
【発明の作用及び効果】
本発明の静電霧化装置を停止する場合には、吐出制御手段による吐出物供給手段の停止、帯電制御手段による電圧供給手段の停止、エア供給制御手段によるエア供給手段の停止が逐次実行されるが、エア供給制御手段は帯電制御手段により電圧供給手段が停止された後、少なくとも所定時間はエアを供給する手段であるので、エア流路から静電気を有するイオン化空気を排出してからエア停止となる。従って、エア流路中に静電気が滞留することがないのでエアキャップなどに電食の発生するおそれはない。その結果、帯電圧を上げることができるので塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0015】
ここで、エア供給制御手段は、遅延手段を有しているので所定時間経過後にエア供給手段を停止することができる。よって、エア流路中に滞留したイオン化空気を掃気することができる。
【0016】
また、帯電制御手段は、エアフロースイッチを有しており、さらにエア供給制御手段はエア絞り手段を有しているので、エアフロースイッチによって高電圧の供給を停止するまで極微量のエアを供給することができる。この極微量のエアによって、エア流路中に滞留したイオン化空気を掃気することもできる。
【0017】
本発明の静電霧化方法によれば、静電霧化装置を停止する場合に、まず吐出物供給手段を停止させ、この吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に電圧供給手段を停止し、この電圧供給手段を停止した後少なくとも所定時間経過後にエア供給手段を停止する停止工程を採用しているので、エア流路から静電気を有するイオン化空気を排出した後にエア供給を停止することとなる。従ってエア流路中に静電気が滞留することがないので、例えばエアキャップなどに対して電食などの発生を未然に防止することができる。また、帯電圧を上げることができるので塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
発明の静電霧化装置は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止されてから少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする。
【0019】
本発明の静電霧化装置は、例えば塗料などを圧縮空気などで霧化すると同時に帯電させる装置であり、具体的には作業者が把持して取り扱うハンドガンタイプの静電塗装ガンを例示することができる。
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態であるハンドガンタイプの静電塗装ガンについて、図1ないし図3を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の静電塗装ガンは、絶縁性の樹脂材料からなるガン本体10と、ガン本体10の後端部に設けられたグリップ(図示せず)と、ガン本体10の前端部に設けられた、塗料とエアを吐出・噴出させるためのノズル20とから構成されている。
【0022】
また、本実施形態の静電塗装ガンは、霧化用の吐出口27と、この吐出口27から塗料(吐出物)を供給する吐出物供給手段とを有している。吐出物供給手段は塗料ノズル21と、ニードル弁11と、塗料ホース12とから構成されている。ここで、図示しないトリガの操作に連動して開閉される常閉式のニードル弁11が開弁すると、ガン本体10の前端部下面に接続された塗料ホース12を通して圧送された塗料が、塗料ノズル21に向けて供給されるようになっている。
【0023】
ノズル20は、ガン本体10の前端部に取り付けた以下の複数部品(塗料ノズル21、取付用リング22、ナット23,エアキャップ24)から構成されている。ガン本体10の前端部には、その前端面中央を切欠した形態の円形の取り付け凹部18が形成され、この取り付け凹部18の内周には、絶縁性材料からなる塗料ノズル21が、その後端部を螺合する事により、前端部を取り付け凹部18から前方に突出した形態で取り付けられている。ガン本体10の円筒部16の外周には取付用リング22が螺合され、この取付用リング22の外周にはナット23が螺合されていて、このナット23により、絶縁性の樹脂材料からなるエアキャップ24が、塗料ノズル21の前方位置において仕切用円筒部29を塗料ノズル21の前端面に突き当てた状態で固定されている。
【0024】
塗料ノズル21の中心孔は塗料流路26aとなっており、この塗料流路26aの後端は上記したニードル弁11に連通されている。塗料ノズル21の前端部はエアキャップ24の中心孔に臨んでおり、この塗料ノズル21の前端部、すなわち、塗料流路26aの前端はノズル20の前端面に臨む塗料吐出口27として静電塗装ガンの外部に開口されている。
【0025】
エア噴出口としては、霧化エア噴出口30と、副パターンエア噴出口31と、パターンエア噴出口34とが設けられており、それぞれエア供給手段を有している。霧化エア噴出口30と、副パターンエア噴出口31とにエアを供給する供給手段は、霧化エア流路28a〜28dから構成されている。すなわち、塗料ノズル21には、塗料流路26aと同心円状に配された複数の霧化エア流路28cが、塗料ノズル21の前後両端面間に貫通する孔状に形成されている。これらの霧化エア流路28cの後端は、取付凹部18の奥端部に形成された環状の霧化エア通路28bに連通され、この環状の霧化エア流路28bは、ガン本体10の内部に形成された霧化エア流路28aに連通されている。また、塗料ノズル21の霧化エア流路28cの前端は、塗料ノズル21の前端部外周とエアキャップ24の仕切筒部29の内周及びエアキャップ24の後面とによって囲まれた環状の霧化エア流路28dに連通されている。そして、この環状の霧化エア流路28dは、エアキャップ24の中心孔の内周と塗料ノズル21の前端部外周との隙間に塗料吐出口27を囲むように形成された環状の霧化エア噴出口30,及びエアキャップ24における霧化エア噴出口30の上下両側に形成した孔状をなす副パターンエア噴出口31を介してノズル20の前端面に開口されている。
【0026】
一方パターンエア噴出口34にエアを供給する供給手段は、パターンエア流路32a〜32eによって構成されている。パターンエア流路32aは、ガン本体10の内部に上記霧化エア流路28a〜28dとは独立した別個の経路として孔状の流路が形成され、このパターンエア流路32aの前端部は、取付凹部18の内周に溝状に形成された環状のパターンエア流路32bに連通され、このパターンエア流路32bは、前後方向に貫通する複数のパターンエア流路32cを介して、塗料ノズル21の外周と導電部材17の内周との間に形成された環状のパターンエア流路32dに連通されている。そして、このパターンエア流路32dは、エアキャップ24の前端面上下両端部から突出する角部33の内部に形成した上下一対のパターンエア流路32eに連通され、この角部33内のパターンエア流路32eは、角部33に形成したパターン噴出口34を介して、ノズル20の外部に開口されている。
【0027】
ガン本体10の内部には吐出物(塗料)を荷電するための帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段が設けられている。電圧供給手段は、高電圧発生器13と、導電性の押圧ピン14と、バネ15と、導電部材17と、帯電用電極35とから構成されている。高電圧発生器13はガン本体10の内部に前後方向に長い状態でニードル弁11よりも上方に位置して収容されている。そして、高電圧発生器13の前端に接続された導電性の押圧ピン14が導電性のバネ15の付勢によりガン本体10の前端面から突出した状態で設けられている。また、ガン本体10の前端部には、その外周縁から突出する円筒部16が形成され、この円筒部16内には、導電性の樹脂からなる円筒状の導電部材17が、径方向のガタツキなく内嵌されている。この導電部材17の後端面には上記した押圧ピン14の前端がバネ15の付勢により弾性的に且つ電気的導通可能に接触されている。なお、導電部材17は導電性樹脂に限らず、金属製としてもよい。
【0028】
エアキャップ24の内部には、金属製の帯電用電極35が収容されている。なお、この帯電用電極35は導電性樹脂製でもよい。この帯電用電極35は、一部が切り欠けされた形態の円弧状のリング部36と、このリング部36から前方(このリング部36の中心軸と平行方向)へ突出する上下一対のピン部37とからなる。ピン部37はリング部36に対して溶接などによって固着されている。かかる帯電用電極35は、そのピン部37を角部33内のパターンエア流路32e内に差し込んでそのパターンエア流路32eの奥端(前端)に突き当てるとともに、リング部36をエアキャップ24の内周面に沿わせた状態で収容されている。収容された状態においては、上記した導電部材17がバネ15の付勢により後方からリング部36を弾性的に押圧するとともに、このバネ15の押圧力によってピン部37が角部33のパターンエア流路32eの奥端部に突き当てられている。これにより、エアキャップ24内のパターンエア流路32e内では、帯電用電極35のピン部37が、前後方向への遊動を規制されるとともに、バネ15,押圧ピン14及び導電部材17を介して高電圧発生器13に対して導通可能に接続された状態で収容されている。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0030】
吐出制御手段は、ハンドガンのトリガとニードル弁11とから構成される。トリガーを操作するとニードル弁11が開弁して塗料がノズル20の塗料吐出口27から前方に吐出される。エア供給制御手段はトリガと図示しない空気弁とから構成される。トリガの操作と同時に空気弁が開きエア供給手段は作動状態となる。つまり、ノズル20の霧化エア噴出口30と副パターンエア噴出口31からは霧化エア流路28a〜28dを通して供給された所定圧力のエアが、それぞれ、霧化エアAa及び副パターンエアAbとして噴出され、吐出された塗料は霧化エアAaにより霧化された塗料流Pとなる。また、パターンエア噴出口34からも、パターンエア流路32a〜32eを通して供給された所定圧力のエアがパターンエアAcとして霧化塗料流Pに向けて噴出され、このパターンエアAcにより霧化塗料流Pは略楕円形断面のパターンに成形される。なお、副パターンエアAbは、パターンエアAcに向かって吹き付けられ、そのパターンエアAcが霧化塗料流Pに対して局所的に集中して吹き付けられることに起因する霧化塗料流Pの分断が防止されている。
【0031】
このとき、塗料には、ノズル20から吐出された後、外部印加によって高電圧の負電荷が帯電される。トリガを操作してエア供給が開始すると同時にコントロールボックス内に設けられている帯電制御手段であるエアフロースイッチが作動して電圧供給手段が作動する。すなわち、パターンエア流路32a〜32e内を流れるエアは、ノズル20の角部33内のパターンエア流路32e内に配置された帯電用電極35に接触することによりイオン化された状態で、パターンエア噴出口34からノズル20の外部へ噴出され、このイオン化されたパターンエアAcと霧化塗料流Pとがノズル20の前方において接触し、これによって霧化塗料流Pが高電位に印加された状態となる。このようにして、高電圧に印加された霧化塗料Pは、接地状態におかれている被塗物(図示せず)に塗着される。
【0032】
塗装作業は例えば被塗物の幅方向の塗装を1サイクルとして塗料の噴射と停止を繰り返すことにより遂行される。前記は、静電塗装ガンの作動の場合についてその作用を説明したが、塗料の噴射を停止する場合には、以下のような順序となる。まず、トリガ操作を停止するとスプリングの付勢によりニードル弁11は塗料供給路を遮断してノズル20への塗料の供給を停止する。次に、帯電制御手段により電圧供給手段が停止される。この電圧供給手段が停止された後、エア供給制御手段に付随する、例えばタイマーなどによる遅延手段が作動して所定時間経過後に空気弁を閉としてエア供給手段が停止する。
【0033】
以上のような本実施形態においては、塗料噴射が停止し、電圧供給が停止してからエア供給が停止されるので、帯電用電極35が収容されているパターンエア流路32e内にイオン化空気が滞留することがない。従って放電による電食発生のおそれがない。従って、帯電圧を高くすることができ塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0034】
本発明の静電霧化方法は、霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置を用い、該吐出物供給手段、該エア供給手段及び電圧供給手段を作動させて霧化された吐出物を荷電する霧化荷電工程を実施した後、まず該吐出物供給手段を停止させ、該吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に該電圧供給手段を停止し、該電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過後、該エア供給手段を停止する停止工程を実施することを特徴とする。
【0035】
すなわち、本発明の静電霧化方法は、吐出物を帯電霧化する霧化荷電工程と、静電霧化装置を停止する停止工程とから構成されている。霧化荷電工程は、吐出物供給手段と、エア供給手段及び電圧供給手段とを同時又は順次作動させて霧化された吐出物を荷電する工程である。一方、停止工程は、まず吐出物供給手段を停止させ、吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に電圧供給手段を停止し、電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過してから、エア供給手段を停止する工程である。
【0036】
本発明のように停止工程を電圧供給手段の停止後にエア供給手段を停止する順序としたので、パターンエア流路32e内にイオン化空気が滞留することがない。従って放電による電食発生のおそれがない。また、帯電圧を高くすることができ塗料の被塗物への塗着効率を向上させることができる。
【0037】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【0038】
すなわち、上記実施形態の静電霧化装置では、遅延手段により電圧供給手段の停止後所定時間経過してからエア供給手段を停止することとしたが、例えば、コントロールボックス内に設けられたエアフロースイッチの感度以下の少量のエアをパターンエア流路に常時流すことによりイオン化空気の滞留を防止することができる。この方法によれば、パターンエア流路を常時掃気することとなるので、前記の効果に加えてエアキャップ内への塗料ミストの侵入を防止するという効果をも奏することができる。また、エアフロースイッチに加えてエア圧力スイッチを組み合わせて使用することにより、高圧低流量エアの場合には電圧供給手段を停止するように帯電制御することも好ましい。さらに、上記実施形態では作業者が把持して取り扱うハンドガンタイプのものに適用した例を説明したが、本発明は、塗装ロボットやレシプロケータなどの自動塗装装置に設けた自動ガンタイプのものにも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の静電霧化装置の部分断面図である。
【図2】ノズルの部分拡大断面図である。
【図3】エアキャップと帯電用電極の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
20:ノズル 24:エアキャップ 27:塗料吐出口 30:霧化エア噴出口(エア噴出口) 32e:パターンエア流路(エア流路) 34:パターンエア噴出口(エア噴出口) 35:帯電用電極
Claims (5)
- 霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置であって、
該吐出物供給手段の作動及び停止を制御する吐出制御手段と、該エア供給手段の作動及び停止を制御するエア供給制御手段と、該電圧供給手段の作動及び停止を制御する帯電制御手段とを有し、さらに、該エア供給制御手段は該帯電制御手段により該電圧供給手段が停止された後から少なくとも所定時間エアを供給する手段であることを特徴とする静電霧化装置。 - 前記エア供給制御手段は前記帯電制御手段により前記電圧供給手段が停止された後所定時間経過後に前記エア供給手段を停止する遅延手段を有する請求項1に記載の静電霧化装置。
- 前記帯電制御手段は前記エア供給手段のエアにより前記電圧供給手段を作動および停止するエアフロースイッチを有する請求項1に記載の静電霧化装置。
- 前記エア供給制御手段はエア絞り手段を有し前記電圧供給手段が停止するまで極微量のエアを供給する手段である請求項1または3に記載の静電霧化装置。
- 霧化用の吐出口と、該吐出口から吐出物を供給する吐出物供給手段と、エア噴出口と、該エア噴出口からエアを供給するエア供給手段と、該エア噴出口に連通したエア流路内に設けられ霧化された吐出物を荷電するための帯電用電極と、該帯電用電極に高電圧を供給する電圧供給手段と、を有する静電霧化装置を用い、
該吐出物供給手段、該エア供給手段及び該電圧供給手段を作動させて霧化された吐出物を荷電する霧化荷電工程を実施した後、まず該吐出物供給手段を停止させ、該吐出物供給手段の停止と同時あるいはその後に該電圧供給手段を停止し、該電圧供給手段の停止後少なくとも所定時間経過後、該エア供給手段を停止する停止工程を実施することを特徴とする静電霧化方法。
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JP2002291196A JP2004122022A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 静電霧化装置及び静電霧化方法 |
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JP2012120975A (ja) * | 2010-12-08 | 2012-06-28 | Asahi Sunac Corp | 静電塗装装置 |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002291196A patent/JP2004122022A/ja active Pending
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