JP2004121890A - 磁性吸着剤およびその製造方法並びに水処理方法 - Google Patents

磁性吸着剤およびその製造方法並びに水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】物理的な吸着性と電磁的な担磁性を併有する磁性吸着媒体にすることであり、また添加効率よく多種類の被分離物質を磁気分離できる磁性吸着剤とすることである。
【解決手段】第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含有する水溶液に、層状結晶構造を有する粘土鉱物を混合し、塩基性反応条件で磁性酸化鉄−粘土化合物を化成する。層状結晶構造を有する粘土鉱物に磁性酸化鉄を化合させた磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤が得られ、このものを溶質または分散質を含有する被処理水に混合し、または被処理水中で生成させて溶質または分散質を吸着させ、この被処理水を磁気分離して被分離物質を簡単に効率よく選別できる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水に溶解または分散しているイオン性物質などを吸着し、さらに磁気分離可能な磁性吸着剤およびその製造方法、並びに磁性吸着剤を用いた水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な粘土鉱物は、Al3+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Mn3+、Mg2+、Ca2+、K、Naを化学主成分とし、結晶構造はSi−Oの四面体が互いに結合して層状を形成しているフィロケイ酸塩鉱物が大部分であり、その層間や結晶の破面にはCa、K、Naなどの交換性イオンが配位されているので、これに接するイオン性物質はこれらのイオンと置換されるように吸着される。
【0003】
このようなイオン交換性により、フィロケイ酸塩鉱物と呼ばれる層状結晶構造を有する粘土鉱物は、水中など溶液中でイオン性物質を吸着し、また層状の結晶構造によって、金属類その他染料などの有機物を含めて多くの物質を層間に物理・化学的に吸着させる。
【0004】
ところで、水処理技術の一つとして、水中から分離されるべき被分離物質が非磁性体である場合に、被処理水に磁性粉末を混合し、高分子凝集剤を添加して攪拌し、被分離物質を磁性粉末を含んだフロック状に形成して磁気分離するという方法が周知である。
【0005】
また、所定の分離される非磁性材等の活性基に、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を結合させ、そのコロイド粒子の少なくとも一部を酸化して磁化し、被磁気分離体とする技術が公知である(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−210311号公報(特許請求の範囲、段落番号0001〜0040)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来技術のうち、被分離物質を磁性粉末が含まれたフロック状にして磁気分離する方法では、被分離物質に、凝集剤と磁性粉末とを多量に添加しなければならないため、被分離物質の量よりも添加剤の量の方が多くなる場合もあり、これでは凝集後の処理量が多くなって処理が却って煩雑になるという問題がある。
【0008】
また、所定の非磁性材の活性基に、磁化性のコロイド粒子を結合させて磁化した被磁気分離体とする方法では、非磁性材が所定の活性基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル基、スルホ基またはニトロ基など)を有していなければ磁気分離できず、被分離物質が磁化性のコロイド粒子と結合しないものには適用できないという問題がある。
【0009】
周知の吸着剤としては、活性炭やゼオライトなどが挙げられるが、これらは電気的に中性であるから、被分離物質を吸着した後に沈殿、またはろ過などして分離されねばならず、磁気分離という効率の良い選別法を採用できなかった。
【0010】
因みに、活性炭やゼオライトからなる吸着剤そのものを磁化(担磁)しようとすると、これらは化学的に反応点を持たない多孔物質であるので、磁化(担磁)効率が悪く、充分に実用性のある磁性吸着剤を調製できなかった。
【0011】
そこで、本願の磁性吸着剤に係る発明の課題は、上記した問題点を解決して、物理的な吸着性と電磁的な担磁性を併有する磁性吸着媒体にすることであり、また添加効率よく多種類の被分離物質を磁気分離できる磁性吸着剤とし、特に被分離物質がイオン性粒子と結合しない中性の物質である場合にも適用できる磁性吸着剤とすることである。また、このような磁性吸着剤を比較的簡単な手法で確実に得られる製造方法を提案することである。
【0012】
また、本願の磁性吸着剤を用いた水処理方法に係る発明は、前記した問題点を解決して、添加効率よく多種類の被分離物質を磁気分離できる水処理方法とし、しかも被分離物質の溶質または分散質がイオン的に中性の物質である場合にも分離除去できる水処理方法とすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、磁性吸着剤に係る発明では、層状結晶構造を有する粘土鉱物に磁性酸化鉄を化合させた磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤としたのである。
【0014】
上記したように構成されるこの発明の磁性吸着剤は、磁性酸化鉄が、粘土鉱物に化合一体化しているので、粘土鉱物の層状構造を利用して、溶質または分散質などの種々の物質は層間反応(=インターカレーション)による吸着が可能であると共に、磁性酸化鉄による磁性吸着性を有するものである。
【0015】
このような磁性吸着剤は、粘土鉱物の吸着性(層間反応や粘土の多孔性による)を利用しているから、結晶層間や層間上に多種類の物質の化学的吸着や物理的吸着が可能であり、吸着後は磁力によって被分離性のイオン性物質−磁性吸着剤複合体を引きつければ、吸着されなかった物(水などの溶媒)とは分離して選別することができる。
【0016】
この磁性吸着剤を確実に製造するには、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含有する水溶液に、層状結晶構造を有する粘土鉱物を混合し、塩基性反応条件で磁性酸化鉄−粘土化合物を化成する磁性吸着剤の製造方法を採用することが好ましい。
【0017】
すなわち、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンをpH9〜11程度、好ましくはpH10〜11のアルカリ条件で粘土鉱物の存在下で反応させると、粘土鉱物の表面には水酸基や極性の原子などの反応性の高い極性基を有するので、これに磁性酸化鉄(マグネタイト)が化学的に結合した状態で生成し担磁されるものと考えられる。
【0018】
この反応においてできるだけ確実に磁性酸化鉄である四三酸化鉄Fe(=FeO・Fe)を化学合成するためには、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンは、2:1のモル比またはこれに近い比率で配合した水溶液で反応させることが好ましい。
【0019】
このようにして磁性酸化鉄の生成反応系内に粘土鉱物を存在させると、この粘土鉱物は単にγ−二三酸化鉄と四三酸化鉄との混合物ではなく、磁性酸化鉄が粘土鉱物と化合して磁性を有する粘土鉱物になる。
【0020】
一方、吸着剤を用いた水処理方法に係る前述の課題を解決するために、層状結晶構造を有する粘土鉱物に磁性酸化鉄を化合させた磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤を、溶質または分散質を含有する被処理水に混合して溶質または分散質を前記磁性吸着剤に吸着させ、その後、磁気分離して水と溶・分散質−磁性吸着剤複合体とを選別する水処理方法としたのである。
【0021】
磁性酸化鉄−粘土化合物は、カチオン性の物質やアニオン性の物質をイオン交換反応などにより結晶層間や層間上に取り込むことができ、かつその磁性によって水から磁気分離することができる。磁気分離は、適宜な手段で磁性を持たせた磁性体と、溶・分散質−磁性吸着剤複合体を分散した被処理水に対して、直接又は間接に接触させることであり、これによって磁性を有する物質と磁性を有しない物質を分離することができ、効率よく水と溶・分散質−磁性吸着剤複合体とを選別できる。
【0022】
このような水処理方法は、被処理水が、重金属、有機物または微生物を含有する水である場合にも採用でき、重金属、有機物または微生物の分離除去または回収が可能である。
【0023】
そして、水処理方法の態様としては、上述したように、被処理水に磁性酸化鉄−粘土化合物を混合する方法があるほか、被処理水中で磁性酸化鉄−粘土化合物を生成させる方法もある。
【0024】
すなわち、この方法は、被処理水に、層状結晶構造を有する粘土鉱物、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを添加混合して塩基性反応条件で反応させ、化成した磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤に溶・分散質を吸着させ、次いで生成した溶・分散質−磁性吸着剤複合体を水から磁気分離する水処理方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
この発明に用いる粘土鉱物は、層状結晶構造を有するものであり、主にフィロケイ酸塩鉱物と称されるものからなる。その結晶構造については、Si−Oの四面体が互いに結合して六角網状の四面体層(T)を形成し、その間に二つの水酸基(OH)と四つの酸素で囲まれた格子点を生じ、ここに金属イオンが配置された八面体層(O)を基本構造として、層状を形成している。
【0026】
この発明に好適に用いられる粘土鉱物としては、1枚のT層が1枚のO層と隣り合っている1:1型(例えばカオリナイト、ハロイサイト、蛇紋岩など)、2枚のT層が1枚のO層と組み合っている2:1型(例えばスメクタイト、バーミキュライト、セリサイト、モンモリロナイト、雲母、緑泥石など)が挙げられ、主としてカチオン性の化合物に適用される。また、主としてアニオン性有機物を交換可能なハイドロタルサイトを用いてもよい。
【0027】
粘土鉱物の吸着性は、以下のような機構により、カチオン性の物質やアニオン性の物質をイオン交換反応によって粘土層内に取り込むことができる。
【0028】
例えば、粘土鉱物であるサポナイトは、八面体構造のアルミノケイ酸塩と四面体構造のケイ酸塩からなる3層構造(2:1構造)を繰り返し単位とする構造である。この層間の表面には、金属イオンの同型置換による層内余剰の負の電荷を補償するために、アルカリ金属イオンが存在する。通常、この金属イオンには、層間水が付随して親水的な表面を与えており、水などの誘電率の高い溶媒には膨潤しやすい傾向にある。
【0029】
このとき、4級アンモニウムイオン(R−N(CH)やカチオン染料(Dye)などのカチオン種が系内に存在すれば、この層間イオン(Na)との間には下記の化1に示す平衡(前者の場合に式(1)、後者の場合に(2))が成立し、新たなカチオン種との交換が可能になる。
【0030】
【化1】
Figure 2004121890
【0031】
このような交換反応によって、粘土とカチオン性化合物との間に有機/無機複合体が生成する。この結合定数はかなり大きく、カチオン種にもよるが、10にも達する場合もある。
【0032】
また、層間にアニオン種を交換可能な粘土としてハイドロタルサイトを使用する場合には、下記の化2に示す平衡が成立し、アニオン性の物質をイオン交換反応により粘土層内に取り込むことができる。
【0033】
【化2】
Figure 2004121890
【0034】
また、粘土鉱物は、たとえばモンモリロナイトは800m/gというような比較的大きな表面積を有するから、上述したようなイオン性の層間吸着以外にも他の多くの物質を物理的な吸着によって取り込むことが可能である。
【0035】
このような粘土鉱物に対して磁性を持たせるために磁性酸化鉄を化合させるのであるが、通常は、第1鉄イオンと第2鉄イオンの混合溶液にpH9〜11程度、好ましくはpH10〜11となるアルカリを加えると、磁性を帯びた鉄の酸化物(磁鉄鉱)の粉末が得られる。
【0036】
この発明において水溶液に存在させる第1鉄イオンは、2価の鉄塩から供給されるものであり、鉄塩としては硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウムが挙げられる。この発明において水溶液に存在する第2鉄イオンは、3価の鉄塩から供給されるものであり、鉄塩としては硫酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、その他の市販工業薬品の硫酸第二鉄液やポリテツ(商品名)を用いることもできる。
【0037】
そして、このような磁鉄鉱の生成反応系内に粘土鉱物を存在させると、この粘土鉱物は単にγ−二三酸化鉄と四三酸化鉄の混合物ではなく、磁性を有する新規な粘土鉱物である磁性酸化鉄−粘土化合物になる。
【0038】
すなわち、水で充分に膨潤させた粘土の懸濁液に、前もって水で溶解した硫酸第一鉄(FeSO・7HO)などの第一鉄塩と、硫酸第二鉄(Fe(SO・xHO)などの第二鉄塩とを添加し攪拌する。次いで上部から攪拌しながらゆっくりと10N−KOHを加えたところ、黒褐色に着色した懸濁液が得られる。これを必要に応じて例えば50℃程度に加熱し、約1時間程度の所定時間攪拌し、濾過して採取された沈殿物を再度イオン交換水に懸濁させ、その懸濁液の下方から磁石を近づけて固形物の沈下を促進し、その上澄み液を捨てる操作を繰り返して磁性のある粘土である磁性酸化鉄−粘土化合物が得られる。
【0039】
得られた磁性酸化鉄−粘土化合物を用いて水処理をすることにより、水中に含まれている重金属イオン、希少な元素、有機物(染料、可塑剤など)を吸着させ、周知の磁性分離によって選別できる。
【0040】
また、溶質または分散質を含有する被処理水に、層状結晶構造を有する粘土鉱物、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを添加混合して塩基性反応条件で反応させ、化成した磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤に溶質または分散質を吸着させ、次いで生成した溶・分散質−磁性吸着剤複合体を水から磁気分離する水処理方法であってもよい。
【0041】
水中に含有されている物質量に対して処理のために配合または水中に生成させる磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤の量は、選別する物質の種類と水処理の必要程度に応じて調整すればよく、数値限定をして配合されるものではない。
【0042】
水処理の基本操作は、磁性吸着剤の添加と攪拌と磁石(好ましくは超伝導磁石)を用いた磁力による固液分離であり、吸着速度を適当にするために、被処理水を適宜に加温することが好ましい。
【0043】
【実施例】
磁性吸着剤の合成例1〜3:
〔実施例1〕
粘土(コープケミカル社製:合成スメクタイト)6gを500mlの水に充分膨潤および懸濁させ、この懸濁液に予め準備しておいた硫酸第二鉄水溶液(Fe(SO・nHOの8.3gを水300mlに溶解した水溶液)および硫酸第一鉄水溶液(FeSO・7HOの10gを水30mlに溶解した水溶液)を順次攪拌しながら添加した。その後、10N−KOHを加えてアルカリ性(pH11)に調整し、1時間室温下で攪拌した。これに酸を加えて中性に戻してろ過し、分離した沈殿物を充分に水洗し、80℃で乾燥して12.3gの黒色乾燥物を得た。
【0044】
この乾燥物を乳鉢で擂り潰して粉末化し、これが永久磁石に引き付けられる磁性を有することを確認した。
【0045】
〔実施例2〕
粘土(合成スメクタイト)4gを500mlの水に充分膨潤および懸濁させ、この懸濁液に予め準備しておいた硫酸第二鉄水溶液(Fe(SO・nHO  3.7gを水200mlに溶解した水溶液)および硫酸第一鉄水溶液(FeSO・7HO  4.5gを水40mlに溶解した水溶液)を順次攪拌しながら添加した。その後は実施例1と全く同様にしてpH調整し、ろ過し、分離、乾燥して11.4gの茶褐色乾燥物を得た。
【0046】
この乾燥物を乳鉢で擂り潰して粉末化し、これが永久磁石に引き付けられる磁性を有することを確認した。
【0047】
〔実施例3〕
アニオン交換用粘土(ハイドロタルサイト)(協和化学社製:KW−1100)6gを100mlの水に充分膨潤および懸濁させ、この懸濁液に予め準備しておいた硫酸第二鉄水溶液(Fe(SO・nHO  8.3gを水300mlに溶解した水溶液)および硫酸第一鉄水溶液(FeSO・7HO  10.0gを水100mlに溶解した水溶液)を順次攪拌しながら添加した。その後は実施例1と全く同様にしてpH調整し、ろ過し、分離、乾燥して12.1gの黒色乾燥物を得た。
【0048】
この乾燥物を乳鉢で擂り潰して粉末化し、これが永久磁石に引き付けられる磁性を有することを確認した。
【0049】
次に、実施例1,2に対する吸着性試験を行なった。
【0050】
[メチレンブルー(MB)の吸着性試験]
50mlのメスフラスコを複数個用意し、実施例1または実施例2の磁性吸着剤の所定量(約10mg〜約250mg)を精密に秤量して入れ、着色物質としてメチレンブルー(MB)の4×10−4M水溶液を入れて50mlとし、数日間の放置後のMB濃度と磁性吸着剤の使用量との関係を調べて図1のグラフに示した(実施例1=a、実施例2=b)。
【0051】
図1の結果からも明らかなように、実施例2の磁性吸着剤(第1鉄成分の添加割合が粘土の1.1倍)は、実施例1(第1鉄成分の添加割合が粘土の1.7倍)に比べてその吸着効率が良いことがわかる。
【0052】
また、実施例1、実施例2またはブランク(未処理のスメクタイト)からなる磁性吸着剤のMB飽和吸着量(カチオン交換容量CECに相当する。)を示す吸着等温線を図2のグラフにそれぞれa,b,cに示した。
【0053】
図2の結果からも明らかなように、磁性吸着剤を調製時の第1鉄イオンの粘土に対する配合割合によりカチオン交換容量(CEC)が異なっている。第1鉄イオン成分を粘土の1.7倍配合した実施例1(図2中の記号a)では、CEC=38meq/100g−clayであり、未処理の粘土ではCEC=101meq/100g−clayに比べて小さいが、第1鉄イオン成分を粘土の1.1倍配合した実施例2(図2中の記号b)では、CEC=78meq/100g−clayであった。
【0054】
また、実施例1では80mg、実施例2では50mgの磁性吸着剤で完全にMBが脱色された。また、染料を吸着した実施例1,2の磁性吸着剤は、磁石に引き付けられることを確認した。
【0055】
次に、実施例3に対する吸着性試験を行なった。
【0056】
[オレンジIIに対する吸着性試験]
50mlのメスフラスコを複数個用意し、実施例3の磁性吸着剤の所定量(0〜0.5g)を精密に秤量して入れ、着色物質としてオレンジIIの2×10−3M水溶液を入れて50mlとし、数日間の放置後のオレンジIIの濃度と磁性吸着剤の使用量との関係を調べて図3のグラフに示した。
【0057】
また、実施例3の磁性吸着剤のオレンジII飽和吸着量の吸着等温線を図4のグラフに示し、磁性吸着剤として使用に耐えるものであることを確認した。なお、オレンジIIのアニオン交換容量AECは、この濃度範囲を超えて存在している。
【0058】
[カドミウムに対する吸着性試験]
1000ppmのカドミウム標準溶液を調製し、一定量の実施例3の磁性吸着剤を入れた50ml容量のメスフラスコに前記溶液を入れ、時々攪拌しながら一晩放置し、これをろ過した。分取した濾液のカドミウムイオン量を原子吸光分析にて測定し、実施例3の磁性吸着剤の吸着効率が95〜100%であることを確認した。
【0059】
[イオン的に中性の物質に対する吸着性試験]
活栓付き試験管にイオン的に中性のハロゲン化合物であるp−ジクロルベンゼンを含む水溶液15ml(1.67×10−3M)を入れ、これに実施例3の磁性吸着剤(Fe/ハイドロタルサイト)100mgを加え、25℃、24時間の試料攪拌を行なう吸着試験を行なった。この試験前後の試料を液体高速クロマトグラフィー(HLPC)測定にてジクロルベンゼン量を調べたところ、試験後には86%が吸着されていることが判明した。
【0060】
〔実施例4〕
水200mlに膨潤させた粘土(スメクタイト)4gと被分離物質であるメチレンブルー(MB)の2.0×10−3M水溶液100mlを混合し、攪拌しながら水に溶解した硫酸第二鉄(Fe(SO・nHO)3.7gおよび硫酸第一鉄(FeSO・7HO)を4.5gを順次添加した。次いで、10N−KOHを加えてアルカリ性(pH11)に調整したところ、黒色の沈殿物が認められた。この懸濁した黒色の沈殿物は、磁石に引き寄せられるものであり、またその上澄み液は無色透明であった。このことは、溶質を含む被処理水に、粘土、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄およびアルカリ成分を加えることによって、被処理水内で溶質・磁性吸着剤複合体を生成し得たことを示している。
【0061】
このように磁性吸着剤を用いることにより、廃水中のイオン性物質や中性物質、その他の有機物や重金属類は、効率よく捕捉され、好ましくは磁気分離手段として超伝導磁石を利用することによって大量の廃水を浄化処理することも可能となり、これにより水処理施設の効率的な運用、水処理コストの低減を図れることが期待できる。
【0062】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤としたので、物理的な吸着性と電磁的な担磁性を併有する磁性吸着剤になり、また添加効率よく多種類の被分離物質を磁気分離できる磁性吸着剤となり、特に被分離物質がイオン性粒子と結合しない中性の物質である場合にも適用できる磁性吸着剤になる利点がある。
【0063】
また、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含有する水溶液に、層状結晶構造を有する粘土鉱物を混合し、塩基性反応条件で磁性酸化鉄−粘土化合物を化成するので、前記利点を有する磁性吸着剤を比較的簡単な手法で確実に得られる製造方法になる。
【0064】
また、溶質または分散質を含有する被処理水に磁性吸着剤を混合し、この被処理水を磁気分離して水と溶・分散質−磁性吸着剤複合体とを選別するか、または被処理水中で磁性酸化鉄−粘土化合物を生成させて、溶・分散質を吸着させ、この被処理水を磁気分離するようにしたので、効率よく多種類の被分離物質を簡単に磁気分離できる水処理方法となり、しかも被分離物質がイオン的に中性の物質である場合にも分離除去できる水処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】メチレンブルー濃度と磁性粘土(吸着剤)の使用量との関係を示す図表
【図2】磁性粘土(吸着剤)のメチレンブルー飽和吸着量を示す等温線を示す図表
【図3】オレンジII濃度と磁性粘土(吸着剤)の使用量との関係を示す図表
【図4】磁性粘土(吸着剤)のオレンジII飽和吸着量を示す等温線を示す図表

Claims (5)

  1. 層状結晶構造を有する粘土鉱物に磁性酸化鉄を化合させた磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤。
  2. 第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含有する水溶液に、層状結晶構造を有する粘土鉱物を混合し、塩基性反応条件で磁性酸化鉄−粘土化合物を化成することからなる磁性吸着剤の製造方法。
  3. 層状結晶構造を有する粘土鉱物に磁性酸化鉄を化合させた磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤を、溶質または分散質を含有する被処理水に混合して溶質または分散質を前記磁性吸着剤に吸着させ、その後、磁気分離して水と溶・分散質−磁性吸着剤複合体とを選別する水処理方法。
  4. 被処理水が、重金属、有機物または微生物を含有する水である請求項3に記載の水処理方法。
  5. 溶質または分散質を含有する被処理水に、層状結晶構造を有する粘土鉱物、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを添加混合して塩基性反応条件で反応させ、化成した磁性酸化鉄−粘土化合物からなる磁性吸着剤に溶質または分散質を吸着させ、次いで生成した溶・分散質−磁性吸着剤複合体を水から磁気分離する水処理方法。
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