JP2004121686A - 位牌 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の故人の戒名を差し替え自在に、かつ美しく浮かび上がる本尊像とともに表示可能とした位牌を提供すること。
【解決の手段】正面に仏画プレート5を挿入して本尊像その他の仏画を表示する仏画表示部4を備えた位牌本体1と、位牌本体1を直立状態に支持する台座2と、位牌本体2の両側に着脱自在かつ開閉自在に配した戒名表示扉3、3と、収納容器及びその両側に着脱自在かつ折り畳み自在にヒンジ結合した戒名表示扉3、3…とで構成する。仏画プレート5は、ガラス板にエッチングにより表裏反転状態に本尊像その他の仏の姿を彫刻形成したものである。戒名表示扉3は、その内面側に戒名表示部10備え、戒名表示部10には故人の戒名をエッチングにより表裏反転状態に彫刻した戒名プレート11を挿脱自在に挿入する。
【選択図】 図1
【解決の手段】正面に仏画プレート5を挿入して本尊像その他の仏画を表示する仏画表示部4を備えた位牌本体1と、位牌本体1を直立状態に支持する台座2と、位牌本体2の両側に着脱自在かつ開閉自在に配した戒名表示扉3、3と、収納容器及びその両側に着脱自在かつ折り畳み自在にヒンジ結合した戒名表示扉3、3…とで構成する。仏画プレート5は、ガラス板にエッチングにより表裏反転状態に本尊像その他の仏の姿を彫刻形成したものである。戒名表示扉3は、その内面側に戒名表示部10備え、戒名表示部10には故人の戒名をエッチングにより表裏反転状態に彫刻した戒名プレート11を挿脱自在に挿入する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、故人の戒名が記され、故人を象徴するものとして仏壇内に配置されて使用される位牌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より位牌は故人を象徴するものとして仏壇の中に配置されるものあって、通常の位牌は、上から下に向けて順に札板、蓮華、二の板、上の板、ナス座、返り花、受及び框によって構成され、その材料には高価な黒檀や紫檀が用いられ、概ね手作りで製造されるものとなっている。その札板には、故人の戒名や亡くなった年月日等が彫刻又は毛筆等により表示されている。また故人となった夫婦は、一つの位牌の札板の左右に並べてその戒名や亡くなった年月日等が表示されているものもある。
【0003】
ところで代々引き継がれて来ている旧家や、親族の多い家の仏壇にあっては、その中に安置される位牌の数も多くなり、仏壇の中が相対的に狭くなる問題があるが、このような問題を良好に解決する位牌は提案されていない。
【0004】
このような位牌に関しては、位牌用プレートおよび位牌(特許文献1)が提案されている。これは、位牌本体1と、この位牌本体1に取り付けられる位牌用プレート2とからなるものであり、その位牌本体1は戒名を記した札部11と、この札部11に接続する台部12とで構成されている。札部11の表側表面には戒名が記されている。位牌用プレート2は、札部11に記される戒名と同一人の肖像を表したものであり、金属板にエッチングにより形成したり、金属板にカラー或いは白黒で肖像写真を印刷したものである。
【0005】
このように、戒名を記した札部11の一部にその戒名本人の肖像を表した位牌用プレート2を取り付けたので、仏壇に複数の位牌が配置されていても各位牌を見ただけでその位牌が誰のものであるかは比較的分かり易くなることは確かであるが、位牌の数が増えてくると云うことは、必ずしも故人の顔を知っているとは限らなくなってくると云うことでもあり、肖像があっても容易に特定できるとは限らなくなってくることでもある。もっともここでは、それが問題なのではなく、このような位牌では、そのように位牌の数が増えて仏壇が相対的に狭くなってきた場合に、位牌を余裕を持って納めることができないという問題に対しては何らの解決手段を提供していないということである。
【0006】
このような位牌に関してはまた別に写真や肖像を表示するとともに音声をも表示できる位牌(特許文献2)が提案されている。これは、位牌1に、故人の肖像2を表示し、故人の声の再生装置3を設け、更に故人の人生の記録の表示部4を設けたものである。
【0007】
これは、録音された故人の声が再生装置で再生できる点が特許文献1と異なるが、この位牌にも、位牌が増えてきて仏壇に収まり切れなくなってきた場合の問題に関しては何も答えるものがない。
【0008】
更にこのような位牌に関しては、位牌本体に、納骨容器を収納する空洞部を形成した位牌(特許文献3)が提案されている。これは、若干詳細に説明すると、基台と、この基台に連接して内部に空洞部を形成した収納体と、該収納体に於ける空洞部に収納する納骨容器と、前記収納体の上部に立設させた戒名表記体とを備えさせた位牌である。
【0009】
これは墓地の確保が困難な地域に於ける有効な納骨手段として考え出された特殊な位牌である。ただし、この位牌も位牌が増えて相対的に仏壇が狭くたった場合の問題に対しては何らの解決策も示してはいない。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−224811号公報
【特許文献2】
特開平11−290199号公報
【特許文献3】
特開平7−23845号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のように、仏壇内の位牌の数が増えてきた場合の問題点を解決するとともに、単独で又は夫婦一組で戒名を表示することが可能であり、併せて本尊像を表示し、更に加えて、各法要の際には、前記本尊像に代えて当該の法要を司る仏の姿を自在に差し替えて表示でき、加えて複数の故人の戒名等を自在に差し替えることが可能であり、更には荘厳な雰囲気を醸し出して供養する人の心に癒しを感じさせる照明手段及び音響手段を取り入れ、故人の遺品を収納する収納部を備えた位牌を提供することを解決の課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1は、正面に仏画表示部を備えた位牌本体と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に仏画を彫刻形成した仏画プレートであって、前記位牌本体の仏画表示部に該仏画を表示すべく、該仏画表示部に差し替え自在に挿入する仏画プレートと、
前記仏画プレートをその裏面側から照射する照明手段と、
前記位牌本体の両側に、その正面の仏画表示部を、組立分解自在なヒンジにより、開閉自在に閉じる観音開きの二つの戒名表示扉であって、その各内面に戒名表示部を備えた戒名表示扉と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に戒名を彫刻形成した戒名プレートであって、前記戒名表示扉の戒名表示部に該戒名を表示すべく、該戒名表示部に差し替え自在に挿入する戒名プレートと、
前記位牌本体を立ち上げ状態に支持する台座と、
で構成した位牌である。
【0013】
本発明の2は、本発明の1の位牌に於いて、前記仏画プレートとして、各法要毎に差し替える初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩の13仏の姿を各々彫刻形成してなる13枚のそれを差し替え用として用意したものである。
【0014】
本発明の3は、本発明の1の位牌に於いて、前記照明手段を、供養する人の接近を感知して点灯するように構成したものである。
【0015】
本発明の4は、本発明の1の位牌に於いて、前記戒名プレートを、該当家系の故人毎に作成し、それらを戒名表示扉の戒名表示部に差し替え自在に挿入することとしたものである。
【0016】
本発明の5は、本発明の1の位牌に於いて、前記台座に、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配したものである。
【0017】
本発明の6は、本発明の1又は5の位牌に於いて、前記台座に、故人の遺品を収納する収納部を構成した位牌である。
【0018】
本発明の7は、本発明の1の位牌に於いて、前記戒名表示扉の一方の側部の前縁及び後縁に各々ヒンジを構成するヒンジピンを構成し、他方の側部の前縁及び後縁に各々対応する組立分解自在なヒンジ管を構成したものである。
【0019】
本発明の8は、本発明の7の位牌に於いて、上部に前記仏画プレートの出し入れ口を備え、かつ両側部の前縁又は後縁に各々ヒンジを構成する組立分解自在なヒンジピン又はヒンジ管を構成した仏画プレートの収納容器であって、正面から見て前記位牌本体と近似する形状を持ち、かつ該位牌本体及び前記台座の背後に配置されるべき収納容器と、該収納容器を直立状態に支持する台座とからなる位牌型保管ケースを備えた位牌であって、
該収納容器の両側の前縁又は後縁に於けるヒンジのヒンジピン又はヒンジ管のいずれかに、各々前記戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のヒンジピン又はヒンジ管の内、前者が前縁に配置してある場合は後者は後縁の、前者が後縁に配置してある場合は後者は前縁のヒンジピン又はヒンジ管の対応するそれを組立分解自在に係合し、更に該収納容器の両側に結合した戒名表示扉の外側の側部には、その内側の側部が前縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、後縁の、その内側の側部が後縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、前縁のヒンジピン又はヒンジ管で他の戒名表示扉の同一側の縁の対応するヒンジピン又はヒンジ管で接続して、該収納容器の両側の戒名表示扉を該収納容器の側部に屏風状に折り畳み得るようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、基本的に、位牌本体と、仏画プレートと、照明手段と、戒名表示扉と、戒名プレートと、台座とで構成した位牌である。
【0021】
前記位牌本体は、台座の上に立ち上がる縦長の部材であり、その正面に長方形の仏画表示部を備えている。該仏画表示部は、該位牌本体の正面に開口した表示用開口部からなり、完全に開口しているか、または透明ガラス等によって内部が見える状態に被覆したものとすることができる。該仏画表示部には、該位牌本体の上部又は側部に開口した出入り口が形成してあり、該出入り口から仏画プレートを挿入できるようにする。該仏画表示部は、このようにして挿入した仏画プレートに彫刻形成されている本尊像又はその他の各法要に対応する仏画を前記表示用開口部から表示する。
【0022】
前記仏画プレートは、透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に仏画を彫刻形成したものであり、前記位牌本体の仏画表示部に該仏画を表示すべく、該仏画表示部に差し替え自在に挿入するものである。該仏画プレートとしては、必ず各宗派毎に決まっている本尊像を彫刻形成したものが必要である。その他には所望により各法要毎にその法要を司る仏の姿を彫刻形成したものを用意することができる。その彫刻は、化学薬品、例えば、フッ化水素酸によるエッチングによって行う。またはゴム又は樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行う。
【0023】
前記各法要毎にその法要を司る仏は、13仏あり、当該の法要の際の差し替え用として用意することができるものである。これらは、初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩であり、これらの13仏の姿を、前記のように、ガラスエッチングにより腐食させて彫刻形成する。
【0024】
こうして、仏画表示部に挿入しておく仏画プレートを、各法要の際に、13種類の仏画プレートの中から、該当する法要に合致した仏画が描かれたそれに差し替えて挿入表示することができ、これによってその法要に一致し、違和感のない雰囲気の中で故人を供養することが出来るようになる。
【0025】
前記照明手段は、前記仏画表示部に挿入してある仏画プレートをその裏面側から照明するように配置したものであるが、なるべくその下方から照明するのが適当である。またその照明光は、白色光よりも、赤、青、黄色等の色を持った光とするのが適当である。例えば、これらの色を持った照明光を時間とともに循環させて照明することができる。光源は様々なそれを自由に採用できるが、例えば、省電力で熱を殆ど生ぜずに発光できるLED(発光ダイオード)等が採用可能であ
【0026】
前記三色の光をLEDを用いて順次的に裏面下方から照射すると、仏画表示部に挿入されている仏画プレートの本尊像等は、幻想的な感覚の中に浮かび上がり、厳粛かつ荘厳な雰囲気を醸し出して、供養する人の心に癒しを感じさせるようになり得る。
【0027】
なお前記照明手段は、供養する人の接近を感知して点灯するように構成することが可能である。例えば、赤外線センサによって供養する人が接近したことを感知し、これによって照明手段に電源を投入し、例えば、タイマによって設定された一定時間照明を継続するようにすることができる。勿論、人の着座がタイマの設定時間以上になれば、赤外線センサは継続して人の接近を感知するので、再度タイマによって電源の投入が行われ、照明手段の点灯が継続することになる。このようにすることによって、前記照明手段は、人が接近した場合にのみ点灯し、無意味な点灯がなくなるため、経済的なものともなる。
【0028】
前記戒名表示扉は、前記位牌本体の両側部に、該位牌本体の正面の仏画表示部を、組立分解自在なヒンジにより、開閉自在に閉じることができるように観音開きに配したものである。また該戒名表示扉は、その内面に戒名表示部を構成してあるものである。該戒名表示扉は、上記のように、ヒンジを組立分解自在なものとすることにより、前記位牌本体に対して交換可能なものとする。これは、例えば、該位牌本体の両側部に、ヒンジの一部であるヒンジ管を配し、戒名表示扉の該当する側部にはヒンジの他の一部であるヒンジピンを配し、後者を前者に上方から挿入することで両者を組立分解自在に連結できるようにすることができる。
【0029】
前記戒名表示扉は、先に述べたように、その内面に戒名表示部を備えたものである。該戒名表示部は、該戒名表示扉の内面に開口した表示用開口部からなり、完全に開口しているか、または透明ガラス等によって内部が見える状態に被覆したものとすることができる。該戒名表示部には、該戒名表示扉の上部又は側部に開口した出入り口を形成し、該出入り口から戒名プレートを挿入できるようにするのが適当である。該戒名表示部は、このようにして挿入した戒名プレートに彫刻形成されている戒名を戒名表示部の表示用開口部から表示する。
【0030】
前記戒名プレートは、透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に戒名を彫刻形成したものであり、その戒名を前記戒名表示扉の戒名表示部で表示すべく、これに差し替え自在に挿入するものである。その彫刻は、化学薬品、例えば、フッ化水素酸によるエッチングによって行う。或いはゴム又は樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行う。
【0031】
一枚の戒名プレートには、一人の故人の戒名を彫刻形成し、夫婦共に亡くなっている場合は、夫婦を一組として彫刻形成する。多数の故人がある場合でも、位牌そのものは一つのみ構成し、故人の一人一人又は夫婦一組に対して戒名プレートを一枚ずつ構成することとするものである。通常、最も最近に亡くなった二組の故人、又は法要の際或いはこれが近づいている場合に、その法要に至った故人の戒名プレートを、前記戒名表示扉の戒名表示部に挿入して前記位牌本体の両側部に配することとし、他の戒名プレートは仏壇の一部に安置して置くようにする。或いは、詳細は後述する、位牌型保管ケースに収納して位牌の背後に安置しておく事とするものである。
【0032】
こうして故人の各々に位牌を作るのではなく、各々には戒名プレートのみを作成して以上のように使用することとしたので、必要な場合には、いつでも位牌を必要な故人の戒名を表示した状態にすることが可能であり、直接表示しない場合は、該戒名プレートを粗末にすることなく仏壇内に安置可能であり、他方では、仏壇が相対的に狭くなって位牌を良い状態で安置できなくなるような問題を解決することもできるものである。
【0033】
前記台座は、位牌本体を立ち上げ状態に支持し、これを通じてその両側に配する戒名表示扉をも安定して支持するベース部材の機能を備えたものであるが、更に該台座は通常宗教的な装飾機能をも備える。宗教的な装飾は、例えば、通常の位牌に用いられている蓮華、二の板、上の板、ナス座、返り花、受等である。これらの装飾は必須ではないが、位牌としての機能を感得させるためにはこれらが施されているのが好ましい。
【0034】
前記台座には、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配することができる。この場合の供養する人の接近を感知する手段は、前記照明手段についてそれを採用した場合は、その感知手段を共用することができる。音声放射手段は、一般の手段を自由に採用することができるが、例えば、該当する宗派のお経を読む声を合成するデータを持った音声合成IC又は読経を録音した固体記憶素子等、その出力する音声信号を増幅するアンプ及びその音声信号を音響信号に変換して放射するスピーカ等で構成することができる。その他に、前記赤外線センサ等の感知手段の感知信号を受けて、以上の音声合成IC等を一定時間駆動するように制御する制御手段をも必要とすることは云うまでもない。
【0035】
このような構成を採用した場合は、感知手段によって供養する人が接近したことが感知されると、これによって前記音声合成ICその他の一組の音声放射手段の動作が開始し、該当する宗派のお経を読む声が台座に配したスピーカから放射されることとなる。これは制御手段によってその設定時間だけ継続することになる。供養する人の着座が長引いた場合等に関しては、前記照明手段について説明したのと同様に作用し、同様に、供養する人の着座中は、読経は継続して放射される。
【0036】
前記台座には、故人の遺品を収納する遺品収納部を構成することができる。例えば、遺品収納部として、前記台座に引出しを設け、この中に故人の遺品、例えは、髪の毛や爪などを紙などに包んで収納して置けるようにするものである。
【0037】
また本発明の位牌には、仏画プレートをその中に入れて仏壇内に安置するための位牌型保管ケースを付設するのが適当である。そしてこの場合は、前記戒名表示扉は、その一方の側部の前縁及び後縁に各々ヒンジを構成するヒンジピンを構成し、他方の側部の前縁及び後縁に各々対応する組立分解自在なヒンジ管を構成しておく必要がある。
【0038】
前記位牌型保管ケースは、正面から見て前記位牌本体と近似する形状を持っている収納容器であって、該位牌本体及び前記台座の背後に配置されるべき収納容器と、該収納容器を直立状態に支持する台座とで構成し、更に該収納容器は、その上部に前記仏画プレートの出し入れ口を備え、かつその両側部の前縁又は後縁のいずれか一方にヒンジを構成する組立分解自在なヒンジピン又はヒンジ管を構成したものとする。
【0039】
該収納容器の両側のヒンジの一部を構成するヒンジピン又はヒンジ管と、戒名表示扉の両側のヒンジのそれとの関係は以下のように設定すべきである。即ち、該収納容器の両側のヒンジピン又はヒンジ管のいずれかに、各々該戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のヒンジピン又はヒンジ管の内、前者(収納容器のヒンジ管又はヒンジピン)が前縁に配置してある場合は後者は後縁の、前者が後縁に配置してある場合は後者は前縁のヒンジピン又はヒンジ管の対応するそれを組立分解自在に係合し、更に該収納容器の両側に連結した戒名表示扉の外側の側部には、その内側の側部が前縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、後縁の、その内側の側部が後縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、前縁のヒンジピン又はヒンジ管で他の戒名表示扉の同一側の縁の対応するヒンジピン又はヒンジ管で接続して、該収納容器の両側の戒名表示扉を該収納容器の側部に屏風状に折り畳み得るようにするものである。
【0040】
これによって、前記位牌本体の仏画表示部に挿入している仏画プレート以外の13枚のそれは、前記収納容器中に装入し、また前記位牌本体の側部に取り付けていない戒名表示扉は、それぞれ該収納容器の側部にヒンジを介して直接又は間接に接続して、仏壇内の位牌の背後に安置することができる。そのため、それらの仏画プレート及び戒名プレートを粗末に扱わうことなく、仏壇内を整理することができることとなるものである。
【0041】
従って本発明の位牌によれば、通常は、該位牌は、その位牌本体の仏画表示部に本尊像を彫刻形成した仏画プレートを装入し、かつ該位牌本体の両側部には、最も現在に近い時点で亡くなった故人又は故人夫婦の戒名を各々彫刻形成した戒名プレートを各戒名表示部に装入した戒名表示扉各々を開閉自在に取り付けて仏壇に安置する。なお、云うまでもなく、位牌本体の仏画表示部にどの仏画プレートを装入して表示するか、戒名表示扉の戒名表示部にいずれの故人の戒名プレートを装入して表示するかは任意である。
【0042】
この位牌は、両側の戒名表示扉を開いた状態にすれば、位牌本体の正面の仏画表示部に装入された仏画プレートの仏の像、この場合は、本尊像が表示された状態になり、同時に、その戒名表示扉3、3の内面側の戒名表示部に装入された各戒名プレートの戒名が表示状態になる。
【0043】
この状態で、前記仏画プレートの裏面下方から照明手段の照明光が照射され、本尊像が美しく浮かび上がることになる。供養をする人の接近を感知する感知手段を設けた場合は、通常は、照明手段は消灯状態にあり、供養をする人が近づいた場合にのみこれを感知して照明手段の電源が投入され、上記照明が行われることになる。更に、照明手段として赤色、青色及び黄色のLEDを用い、これを循環状態に順に点灯させることとした場合は、前記本尊像は、順にそれぞれの色の光で照明されることになるため、より美しく浮かび上がることとなる。
【0044】
またこの位牌の台座に、読経を放射する音声放射手段と供養をする人の接近を感知する感知手段とを設けた場合は、供養をする人が接近すると、読経の声が放射され、故人を供養する気持ちを盛り上げることができることとなる。
【0045】
ところで、戒名プレートに戒名を彫刻形成されている故人の内、いずれかが法要の時期に至っている場合は、戒名表示扉の戒名表示部に装入されている戒名プレートを法要に至っている故人の戒名プレートに取り替え、更に位牌本体の仏画表示部に装入されている仏画プレートを本尊像を描いたそれから当該の法要を司る仏の像のそれに取り替える。こうして法要に対応させることができる。
【0046】
なお本尊像を彫刻形成した仏画プレート以外に、各法要を司る仏の像を描いた仏画プレートを用意した場合には、位牌本体の仏画表示部に装入していない13枚の仏画プレート及び位牌本体の両側部に取り付けられていない戒名表示扉(それがある場合は)は、それぞれまとめて仏壇の一部に安置することができる。前記位牌型保管ケースを採用した場合は、その収納容器中に以上の13枚の仏画プレートを装入し、他方、該収納容器の両側部に順次折り畳み自在に位牌本体の両側部に取り付けた戒名表示扉以外の戒名表示扉を取り付ける。そうした上で、該位牌型保管ケースを位牌の背後に安置する。こうして位牌に取り付けられていない仏画プレートや戒名表示扉を大事に取り扱うことができることとなる。
【0047】
また位牌本体を支持する台座に遺品収納部を構成した場合は、この中に故人の遺品である髪の毛や爪などを、例えば、紙等に包んで収めておくことができる。このようにしておくと、供養の時にこれらを取り出して故人を忍ぶことができるようになる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の位牌の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図7は本発明の一実施例を示しており、図1はその位牌の概略正面図、図2は(a)は位牌の概略側面図、図2(b)は戒名表示扉を取り外した状態の概略側面図、図3は、位牌本体と戒名表示扉との取り付け関係を示す概略平面説明図、図4は、照明手段、読経用の音声放射手段及びこれらを駆動する駆動回路並びに供養する人の接近を感知する感知手段を示すブロック図、図5は位牌型保管ケースの概略正面図、図6は位牌型保管ケースの概略側面図、図7は(a)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を折り畳んだ状態を示す概略平面説明図、図7(b)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を展開した状態を示す概略平面説明図である。
【0049】
この実施例の位牌は、図1及び図2に示すように、位牌本体1と、これを直立状態に支持する台座2と、該位牌本体2の両側に配した戒名表示扉3、3とで構成したものである。いずれも同質の木材によって構成したものである。
【0050】
前記位牌本体1は、図1〜図3に示すように、背後の全面板と、両側部及び下部の内側方向の途中までにのみ位置する相互に対称な一対の中間板と、長方形の開口部を有する前面板とを重ね合わせて、仏画表示部4となる薄板状の空間及び該空間に正面から連通する開口部を構成する。この仏画表示部4は、上部のスリット状開口部4aが仏画プレート5の出し入れ口となっており、ここから装入した仏画プレート5は、図1に示すように、正面の開口部に表れ、そこに描かれた本尊像等の仏の姿が表示されることになる。
【0051】
該位牌本体1の両側部の前縁の上下二カ所には、図1及び図2に示すように、各々ヒンジ管1a、1aを固設する。これは戒名表示扉3の各一側部の前縁に固設した二つのヒンジピン3a、3aを上方からその中に挿入して、該戒名表示扉3を該位牌本体1の正面に対して開閉自在になるように連結するヒンジを構成するものである。
【0052】
前記台座2は、図1及び図2に示すように、その外観が、慣習に従った装飾によって構成され、その内、最下部の基台2aには、後述する照明手段であるLED6及び読経用の音声放射手段であるスピーカ7の駆動回路及び制御回路等を構成した基板12を収納する基板収納室8が構成してあり、中間台部2bには遺品収納用の引き出し9を出し入れ自在に構成したものである。
【0053】
前記戒名表示扉3は、図1及び図2に示すように、背後の全面板と、ほぼU字形の中間板と、長方形の開口部を有する前面板とを重ね合わせて、戒名表示部10となる薄板状の空間及び該空間に正面から連通する開口部を構成する。この戒名表示部10は、上部のスリット状開口部10aが戒名プレート11の出し入れ口となっており、ここから装入した戒名プレート11は、図1に示すように、正面の開口部に表れ、そこに彫刻形成された戒名が表示されることになる。
【0054】
該戒名表示扉3の両側部には、その前縁と後縁の上下の二カ所にヒンジを構成するヒンジピン3a、3a又はヒンジ管3b、3bを固設する。該戒名表示扉3は、ヒンジピン3a、3a及びヒンジ管3b、3bの取り付け方に関して二種類のそれを構成する。前記位牌本体1の右側に取り付ける戒名表示扉3と左側に取り付けるそれである。
【0055】
右側に取り付ける戒名表示扉3は、図3に示すように、その左側の前縁及び後縁にヒンジピン3aを固設する。前縁及び後縁のいずれにも、図1及び図2(a)に示すように、上下二カ所にヒンジピン3aを固設する。それらの上下の間隔は、前記位牌本体1の側部に取り付けてあるヒンジ管1a、1aの間隔と同一寸法とする。またこの戒名表示扉3の右側の前縁及び後縁には、図3に示すように、ヒンジ管3bを固設する。前縁及び後縁のいずれにも、図1及び図2(a)に示すように、上下二カ所にヒンジ管3bを固設する。それらの上下の間隔は、左側のヒンジピン3a、3aのそれと同一であるが、左側のヒンジピン3a、3aより該ヒンジピン3aの支持部の高さ分だけ低い位置に固設する。
【0056】
左側に取り付ける戒名表示扉3は、右側のそれと対称となるように、ヒンジピン3a及びヒンジ管3bを取り付けたものとする。
【0057】
前記仏画プレート5は、当該の宗派の本尊の姿を描いた一枚と、13種類の法要を司る仏の姿を描いた13枚とを用意したものである。具体的には、初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩を用意した。
【0058】
該仏画プレート5は、当該の宗派の本尊及び上記13仏の姿をそれぞれ1枚の透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に描いたものである。この描画は、樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行ったものである。この仏画プレート5のサイズは、前記位牌本体1の仏画表示部4に良好に収まるものとする。
【0059】
前記戒名プレート11は、当該の家系の故人の戒名をそれぞれ1枚の透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に彫刻して表記したものである。この彫刻も、前記仏画プレート5と同様に、樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行ったものである。またこの戒名プレート11のサイズは、前記戒名表示扉3の戒名表示部10に良好に収まるものとする。
【0060】
前記照明手段であるLED6は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、位牌本体1の仏画表示部4に於いて、該仏画表示部4に装入される仏画プレート5の裏面側最下部に配設してあり、赤、青、黄色の発光部を備えたものである。前記台座2の基台2aの前面に配した赤外線センサ13で供養をする人の接近が感知されると、図4に示すように、基台2a中のセンサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号がマイクロコントローラ14aに入力され、これに基づいて該マイクロコントローラ14aにより前記LED6が発光駆動されることになる。この発光動作は、該LED6の赤、青、黄色の発光部が順次発光する態様で行われ、この発光動作が3分間継続するように制御される。
【0061】
前記スピーカ7は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、台座2の基台2aの側部に配してあり、該当する宗派の読経の声を放射するためのものである。前記のように、赤外線センサ13で供養をする人の接近が感知されると、図4に示すように、基台2a中のセンサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号がマイクロコントローラ14aに入力され、これに基づいて前記音声合成IC14cに駆動信号が出力され、該音声合成IC14cで読経の音声信号が合成されることになる。こうして合成された読経の音声信号はパワーアンプ14dに入力されて増幅され、その音声信号はスピーカ7に入力されて放射されることになる。この読経の声も3分間継続して放射されるように制御される。
【0062】
前記LED6による発光動作も、該スピーカ7による読経の声の放射動作も、供養をする者が3分以上着座している場合は、それが再度赤外線センサ13で感知され、継続して行われるように制御される。
なお図4中15は直流電源である。
【0063】
またこの実施例の位牌には、仏画プレート5をその中に入れて仏壇内に安置するための位牌型保管ケースを付設する。該位牌型保管ケースは、図5及び図6に示すように、正面から見て前記位牌本体1と近似する形状を持つ収納容器16と、該収納容器16を直立状態に支持する台座17とで構成し、更に該収納容器16は、その上部に前記仏画プレート5の出し入れ口を備え、かつその両側部の前縁に各々ヒンジを構成する組立分解自在なヒンジ管1a、1aを構成したものとする。これらのヒンジ管1a、1aの上下方向の間隔は位牌本体1の側部に配したヒンジ管1a、1aと全く同一であり、その構成も全く同一である。
【0064】
そのため、図6に示すように、前記位牌本体1の仏画表示部4に挿入している仏画プレート5以外の13枚のそれは、前記収納容器16中に装入し、また前記位牌本体1の側部に取り付けていない戒名表示扉3、3…は、それぞれ該収納容器16の側部に、直接又は間接に、ヒンジ管1a、1a、ヒンジピン3a、3b及びヒンジ管3b、3bを介して取り付けることができる。該収納容器16の両側部に取り付けた戒名表扉3、3…は、展開した状態を維持することも、屏風状に折り畳むこともできる。
【0065】
従ってこの実施例の位牌によれば、通常は、図1及び図2(a)に示すように、該位牌は、その位牌本体1の仏画表示部4に本尊の姿を彫刻形成した仏画プレート5を装入し、かつ該位牌本体1の両側部には、最も現在に近い時点で亡くなった故人又は故人夫婦の戒名を各々彫刻形成した戒名プレート11を各戒名表示部10に装入した戒名表示扉3、3を各々を開閉自在に取り付けて仏壇に安置する。位牌本体1の両側部への戒名表示扉3の取付は、前者の側部のヒンジ管1a、1aに後者の側部前縁に配してあるヒンジピン3a、3aをそれぞれ挿入することで行う。位牌本体1の右側には左側前縁にヒンジピン3a、3aを配してある戒名表示扉3を取り付けることになり、左側には右側前縁にヒンジピン3a、3aを配してある戒名表示扉3を取り付けることになる。
【0066】
この位牌は、図1及び図2(a)に示すように、両側の戒名表示扉3、3を開いた状態にすれば、位牌本体1の正面の仏画表示部4に装入された仏画プレート5の本尊像が表示された状態になり、同時に、両側の戒名表示扉3、3の内面側の戒名表示部10に装入された各戒名プレート11、11に彫刻されている戒名が表示状態になる。
【0067】
このとき、人が近づかなければ、前記LED6は消灯状態にあり、かつ前記スピーカ7からも何らの音声も放射されない状態になっているが、この状態で、供養をする人がこの位牌を安置した仏壇に接近すると、前記赤外線センサ13がこれを感知し、センサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号を前記マイクロコントローラ14aに入力する。この信号を受けたマイクロコントローラ14aは、一方で、LED6を発光駆動し、他方で、音声合成IC14cを動作させ、その合成する読経の音声信号をパワーアンプ14dで増幅させ、かつこれをスピーカ7から読経音声として放射させる。
【0068】
前記LED6は、前記マイクロコントローラ14aに制御されつつ赤青黄色の光を順次循環的に発光し、前記位牌本体1の仏画プレート5に描かれた本尊像を背後から照射し、これを美しく浮かび上がらせることとなる。このような照明動作は3分間継続して行われる。従って供養する人のいる場合にのみその動作は行われ、無意味な照明動作が行われることはない。
【0069】
前記スピーカ7からの読経音声の放射動作も、前記のように、マイクロコントローラ14aによる制御の下に行われ、LED6による照明光の照射と同様に、これも一分間継続して行われる。
【0070】
ところで、戒名プレートに戒名を彫刻形成されている故人の内、いずれかが法要の時期に至った場合には、位牌本体1の両側の戒名表示扉3、3の戒名表示部10に装入されている戒名プレート11を法要の時期に該当している故人の戒名プレート11に差し替え、更に位牌本体1の仏画表示部4に装入されている仏画プレート5を本尊像を描いたそれから当該の法要を司る仏の姿を描いたそれに取り替える。こうして法要に的確に対応させることができる。
【0071】
なお位牌本体1の仏画表示部4に装入していない13枚の仏画プレート5、5…及び位牌本体1の両側部に取り付けられていない戒名表示扉3、3…は、前記位牌型保管ケースに保管する。以上の13枚の仏画プレート5、5…は、図6に示すように、収納容器16中に装入し、前記戒名表示扉3、3…は該収納容器の両側部に取り付ける。
【0072】
収納容器16の側部への戒名表示扉3、3…の取付は、図7(a)、(b)に示すように、その右側では、左側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3を取り付ける。即ち、収納容器16の右側前縁のヒンジ管1a、1aに該戒名表示扉3の左側後縁のヒンジピン3a、3aをそれぞれ挿入して連結する。その戒名表示扉3の右側には、更に順次左側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3、3を連結する。まず収納容器16の右側に取り付けた戒名表示扉3の右側には、その右側前縁のヒンジ管3b、3bに右側の戒名表示扉3の左側前縁のヒンジピン3a、3aを挿入して連結し、更にその右側後縁のヒンジ管3b、3bに右側の戒名表示扉3の左側後縁のヒンジピン3a、3aを挿入して連結する。このようにして順次連結する戒名表示扉3、3…は前縁又は後縁に於ける連結を交互に繰り返して繋いでゆくことができる。
【0073】
前記収納容器16の左側には、右側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3、3…を取り付ける。取り付け方は、図7(a)、(b)に示すように、右側への取り付け方と対称となるそれである。
【0074】
戒名表示扉3、3…は、収納容器16に、以上のように取り付けたものであるため、図7(a)に示すように、折り畳んだ状態にすることも、図7(b)に示すように、展開状態にすることも自由にできる。
【0075】
このように、この実施例の位牌では、位牌に取り付けていない仏画プレート5、5…や戒名表示扉3、3…は、以上のように、位牌型保管ケースに保管状態とした上で、該位牌型保管ケースを位牌の背後に安置することができる。こうして位牌に取り付けられていない仏画プレートや戒名表示扉を大事に取り扱うことができることとなる。
【0076】
また位牌本体1を支持する台座2の中間台部2bに遺品収納用の引き出し9を出し入れ自在に構成したため、この中に故人の遺品である髪の毛や爪などを紙等に包んで収めておくことができる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の1の位牌によれば、中央の位牌本体に本尊像その他の仏の姿を表示し、その両側の戒名表示扉の内面で戒名を表示することとしたので、該戒名表示扉を開いておけば、本尊その他の仏の姿と共に戒名を表示することができることとなる。また前記本尊像及び戒名表示扉の内面に表示する戒名は、それぞれ仏画プレート及び戒名プレートを差し替えることで表示を変えることが可能であり、各故人の法要の際等には該当する故人の戒名を表示することとし、本尊像も、これを作成しておけば、該法要を司る仏の像に差し替えることができる。
【0078】
なお本尊像には背後から照明光が照射されるのでその姿が美しく浮かび上がることにもなる。
【0079】
更に故人が多くなって通常の位牌では仏壇に納めきれない程になっても、本発明の位牌によれば、一部の代表する故人の戒名のみをこの位牌の戒名表示扉の戒名表示部に装入した戒名プレートで表示し、他の故人の戒名プレートは纏めて仏壇内に安置しておくことができる。
【0080】
本発明の2の位牌によれば、仏画プレートとして、本尊を描いたものの他に、各法要を司る13仏の姿を表したものを作成したので、各法要毎にこれを本尊像を表示した打つがプレートに差し替えて使用することができる。それ故、位牌にその法要に適合する仏の姿が表示されることとなり、より法要を充実したものとすることができる。
【0081】
本発明の3の位牌によれば、照明手段は、供養する人が接近すると、これに伴って照明動作し、本尊等の仏の姿を明るく浮かび上がらせることができることとなり、供養をするものを迎え入れる気分を高めることができる。更には無意味な照明をなくすることもできる。
【0082】
本発明の4は、当該家系の故人全てに位牌を作らず、戒名プレートのみを作成することとしたものであり、通常は、例えば、最も最近に故人となった人の戒名プレートのみを位牌の戒名表示扉に挿入して表示することとし、他の戒名プレートは、他の戒名表示扉があれば、それに挿入した状態で仏壇中に安置することとすることにより、故人が増えて相対的に狭くなった仏壇内が余裕を持ったものとなる。
【0083】
本発明の5の位牌によれば、前記台座に、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配したため、供養する人が、この位牌を配した仏壇に接近すると、当該の宗派のお経を読む声が放射され、故人を供養する気持ちを高めてくれることとなるものである。
【0084】
本発明の6の位牌によれば、位牌本体を支持する台座に故人の遺品を収納する収納部を構成したため、これに故人の遺品を納めておくことができる。
【0085】
本発明の7の位牌によれば、戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のいずれでも位牌本体の側部に取り付け可能になる。通常は前縁で取り付けるべきであり、こうすれば、該戒名表示扉を位牌本体の正面側に閉じるように回動させることができる。後縁で取り付ければ、該戒名表示扉は、その裏面側を位牌本体の側部側に当接させるように回動させることができる。
【0086】
本発明の8の位牌によれば、位牌の仏画表示部に挿入していない13枚の仏画プレートは位牌型保管ケースの収納容器に収納し、位牌本体の側部に連結していない戒名表示扉は、該収納容器の側部に取り付け、必要に応じて折り畳んだ上で、仏壇内に安置しておくことができる。そのため、故人が増えて、相対的に仏壇内が狭くなってきた場合にも、これによって、故人を粗末にすることなく、余裕を持って仏壇内に安置できることとなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の位牌の概略正面図。
【図2】(a)は位牌の概略側面図。(b)は戒名表示扉を取り外した状態の概略側面図。
【図3】位牌本体と戒名表示扉との取り付け関係を示す概略平面説明図。
【図4】照明手段、読経用の音声放射手段及びこれらを駆動する駆動回路並びに供養する人の接近を感知する感知手段を示すブロック図。
【図5】位牌型保管ケースの概略正面図。
【図6】位牌型保管ケースの概略側面図。
【図7】(a)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を折り畳んだ状態を示す概略平面説明図。(b)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を展開した状態を示す概略平面説明図。
【符号の説明】
1 位牌本体
1a ヒンジ管
2 位牌本体の台座
2a 基台
2b 中間台部
3 戒名表示扉
3a ヒンジピン
3b ヒンジ管
4 仏画表示部
4a スリット状開口部
5 仏画プレート
6 LED
7 スピーカ
8 基板収納室
9 引き出し
10 戒名表示部
10a スリット状開口部
11 戒名プレート
12 基板
13 赤外線センサ
14a マイクロコントローラ
14b センサ駆動ユニット
14c 音声合成IC
14d パワーアンプ
15 直流電源
16 収納容器
17 収納容器を支持する台座
【発明の属する技術分野】
本発明は、故人の戒名が記され、故人を象徴するものとして仏壇内に配置されて使用される位牌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より位牌は故人を象徴するものとして仏壇の中に配置されるものあって、通常の位牌は、上から下に向けて順に札板、蓮華、二の板、上の板、ナス座、返り花、受及び框によって構成され、その材料には高価な黒檀や紫檀が用いられ、概ね手作りで製造されるものとなっている。その札板には、故人の戒名や亡くなった年月日等が彫刻又は毛筆等により表示されている。また故人となった夫婦は、一つの位牌の札板の左右に並べてその戒名や亡くなった年月日等が表示されているものもある。
【0003】
ところで代々引き継がれて来ている旧家や、親族の多い家の仏壇にあっては、その中に安置される位牌の数も多くなり、仏壇の中が相対的に狭くなる問題があるが、このような問題を良好に解決する位牌は提案されていない。
【0004】
このような位牌に関しては、位牌用プレートおよび位牌(特許文献1)が提案されている。これは、位牌本体1と、この位牌本体1に取り付けられる位牌用プレート2とからなるものであり、その位牌本体1は戒名を記した札部11と、この札部11に接続する台部12とで構成されている。札部11の表側表面には戒名が記されている。位牌用プレート2は、札部11に記される戒名と同一人の肖像を表したものであり、金属板にエッチングにより形成したり、金属板にカラー或いは白黒で肖像写真を印刷したものである。
【0005】
このように、戒名を記した札部11の一部にその戒名本人の肖像を表した位牌用プレート2を取り付けたので、仏壇に複数の位牌が配置されていても各位牌を見ただけでその位牌が誰のものであるかは比較的分かり易くなることは確かであるが、位牌の数が増えてくると云うことは、必ずしも故人の顔を知っているとは限らなくなってくると云うことでもあり、肖像があっても容易に特定できるとは限らなくなってくることでもある。もっともここでは、それが問題なのではなく、このような位牌では、そのように位牌の数が増えて仏壇が相対的に狭くなってきた場合に、位牌を余裕を持って納めることができないという問題に対しては何らの解決手段を提供していないということである。
【0006】
このような位牌に関してはまた別に写真や肖像を表示するとともに音声をも表示できる位牌(特許文献2)が提案されている。これは、位牌1に、故人の肖像2を表示し、故人の声の再生装置3を設け、更に故人の人生の記録の表示部4を設けたものである。
【0007】
これは、録音された故人の声が再生装置で再生できる点が特許文献1と異なるが、この位牌にも、位牌が増えてきて仏壇に収まり切れなくなってきた場合の問題に関しては何も答えるものがない。
【0008】
更にこのような位牌に関しては、位牌本体に、納骨容器を収納する空洞部を形成した位牌(特許文献3)が提案されている。これは、若干詳細に説明すると、基台と、この基台に連接して内部に空洞部を形成した収納体と、該収納体に於ける空洞部に収納する納骨容器と、前記収納体の上部に立設させた戒名表記体とを備えさせた位牌である。
【0009】
これは墓地の確保が困難な地域に於ける有効な納骨手段として考え出された特殊な位牌である。ただし、この位牌も位牌が増えて相対的に仏壇が狭くたった場合の問題に対しては何らの解決策も示してはいない。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−224811号公報
【特許文献2】
特開平11−290199号公報
【特許文献3】
特開平7−23845号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のように、仏壇内の位牌の数が増えてきた場合の問題点を解決するとともに、単独で又は夫婦一組で戒名を表示することが可能であり、併せて本尊像を表示し、更に加えて、各法要の際には、前記本尊像に代えて当該の法要を司る仏の姿を自在に差し替えて表示でき、加えて複数の故人の戒名等を自在に差し替えることが可能であり、更には荘厳な雰囲気を醸し出して供養する人の心に癒しを感じさせる照明手段及び音響手段を取り入れ、故人の遺品を収納する収納部を備えた位牌を提供することを解決の課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1は、正面に仏画表示部を備えた位牌本体と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に仏画を彫刻形成した仏画プレートであって、前記位牌本体の仏画表示部に該仏画を表示すべく、該仏画表示部に差し替え自在に挿入する仏画プレートと、
前記仏画プレートをその裏面側から照射する照明手段と、
前記位牌本体の両側に、その正面の仏画表示部を、組立分解自在なヒンジにより、開閉自在に閉じる観音開きの二つの戒名表示扉であって、その各内面に戒名表示部を備えた戒名表示扉と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に戒名を彫刻形成した戒名プレートであって、前記戒名表示扉の戒名表示部に該戒名を表示すべく、該戒名表示部に差し替え自在に挿入する戒名プレートと、
前記位牌本体を立ち上げ状態に支持する台座と、
で構成した位牌である。
【0013】
本発明の2は、本発明の1の位牌に於いて、前記仏画プレートとして、各法要毎に差し替える初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩の13仏の姿を各々彫刻形成してなる13枚のそれを差し替え用として用意したものである。
【0014】
本発明の3は、本発明の1の位牌に於いて、前記照明手段を、供養する人の接近を感知して点灯するように構成したものである。
【0015】
本発明の4は、本発明の1の位牌に於いて、前記戒名プレートを、該当家系の故人毎に作成し、それらを戒名表示扉の戒名表示部に差し替え自在に挿入することとしたものである。
【0016】
本発明の5は、本発明の1の位牌に於いて、前記台座に、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配したものである。
【0017】
本発明の6は、本発明の1又は5の位牌に於いて、前記台座に、故人の遺品を収納する収納部を構成した位牌である。
【0018】
本発明の7は、本発明の1の位牌に於いて、前記戒名表示扉の一方の側部の前縁及び後縁に各々ヒンジを構成するヒンジピンを構成し、他方の側部の前縁及び後縁に各々対応する組立分解自在なヒンジ管を構成したものである。
【0019】
本発明の8は、本発明の7の位牌に於いて、上部に前記仏画プレートの出し入れ口を備え、かつ両側部の前縁又は後縁に各々ヒンジを構成する組立分解自在なヒンジピン又はヒンジ管を構成した仏画プレートの収納容器であって、正面から見て前記位牌本体と近似する形状を持ち、かつ該位牌本体及び前記台座の背後に配置されるべき収納容器と、該収納容器を直立状態に支持する台座とからなる位牌型保管ケースを備えた位牌であって、
該収納容器の両側の前縁又は後縁に於けるヒンジのヒンジピン又はヒンジ管のいずれかに、各々前記戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のヒンジピン又はヒンジ管の内、前者が前縁に配置してある場合は後者は後縁の、前者が後縁に配置してある場合は後者は前縁のヒンジピン又はヒンジ管の対応するそれを組立分解自在に係合し、更に該収納容器の両側に結合した戒名表示扉の外側の側部には、その内側の側部が前縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、後縁の、その内側の側部が後縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、前縁のヒンジピン又はヒンジ管で他の戒名表示扉の同一側の縁の対応するヒンジピン又はヒンジ管で接続して、該収納容器の両側の戒名表示扉を該収納容器の側部に屏風状に折り畳み得るようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、基本的に、位牌本体と、仏画プレートと、照明手段と、戒名表示扉と、戒名プレートと、台座とで構成した位牌である。
【0021】
前記位牌本体は、台座の上に立ち上がる縦長の部材であり、その正面に長方形の仏画表示部を備えている。該仏画表示部は、該位牌本体の正面に開口した表示用開口部からなり、完全に開口しているか、または透明ガラス等によって内部が見える状態に被覆したものとすることができる。該仏画表示部には、該位牌本体の上部又は側部に開口した出入り口が形成してあり、該出入り口から仏画プレートを挿入できるようにする。該仏画表示部は、このようにして挿入した仏画プレートに彫刻形成されている本尊像又はその他の各法要に対応する仏画を前記表示用開口部から表示する。
【0022】
前記仏画プレートは、透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に仏画を彫刻形成したものであり、前記位牌本体の仏画表示部に該仏画を表示すべく、該仏画表示部に差し替え自在に挿入するものである。該仏画プレートとしては、必ず各宗派毎に決まっている本尊像を彫刻形成したものが必要である。その他には所望により各法要毎にその法要を司る仏の姿を彫刻形成したものを用意することができる。その彫刻は、化学薬品、例えば、フッ化水素酸によるエッチングによって行う。またはゴム又は樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行う。
【0023】
前記各法要毎にその法要を司る仏は、13仏あり、当該の法要の際の差し替え用として用意することができるものである。これらは、初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩であり、これらの13仏の姿を、前記のように、ガラスエッチングにより腐食させて彫刻形成する。
【0024】
こうして、仏画表示部に挿入しておく仏画プレートを、各法要の際に、13種類の仏画プレートの中から、該当する法要に合致した仏画が描かれたそれに差し替えて挿入表示することができ、これによってその法要に一致し、違和感のない雰囲気の中で故人を供養することが出来るようになる。
【0025】
前記照明手段は、前記仏画表示部に挿入してある仏画プレートをその裏面側から照明するように配置したものであるが、なるべくその下方から照明するのが適当である。またその照明光は、白色光よりも、赤、青、黄色等の色を持った光とするのが適当である。例えば、これらの色を持った照明光を時間とともに循環させて照明することができる。光源は様々なそれを自由に採用できるが、例えば、省電力で熱を殆ど生ぜずに発光できるLED(発光ダイオード)等が採用可能であ
【0026】
前記三色の光をLEDを用いて順次的に裏面下方から照射すると、仏画表示部に挿入されている仏画プレートの本尊像等は、幻想的な感覚の中に浮かび上がり、厳粛かつ荘厳な雰囲気を醸し出して、供養する人の心に癒しを感じさせるようになり得る。
【0027】
なお前記照明手段は、供養する人の接近を感知して点灯するように構成することが可能である。例えば、赤外線センサによって供養する人が接近したことを感知し、これによって照明手段に電源を投入し、例えば、タイマによって設定された一定時間照明を継続するようにすることができる。勿論、人の着座がタイマの設定時間以上になれば、赤外線センサは継続して人の接近を感知するので、再度タイマによって電源の投入が行われ、照明手段の点灯が継続することになる。このようにすることによって、前記照明手段は、人が接近した場合にのみ点灯し、無意味な点灯がなくなるため、経済的なものともなる。
【0028】
前記戒名表示扉は、前記位牌本体の両側部に、該位牌本体の正面の仏画表示部を、組立分解自在なヒンジにより、開閉自在に閉じることができるように観音開きに配したものである。また該戒名表示扉は、その内面に戒名表示部を構成してあるものである。該戒名表示扉は、上記のように、ヒンジを組立分解自在なものとすることにより、前記位牌本体に対して交換可能なものとする。これは、例えば、該位牌本体の両側部に、ヒンジの一部であるヒンジ管を配し、戒名表示扉の該当する側部にはヒンジの他の一部であるヒンジピンを配し、後者を前者に上方から挿入することで両者を組立分解自在に連結できるようにすることができる。
【0029】
前記戒名表示扉は、先に述べたように、その内面に戒名表示部を備えたものである。該戒名表示部は、該戒名表示扉の内面に開口した表示用開口部からなり、完全に開口しているか、または透明ガラス等によって内部が見える状態に被覆したものとすることができる。該戒名表示部には、該戒名表示扉の上部又は側部に開口した出入り口を形成し、該出入り口から戒名プレートを挿入できるようにするのが適当である。該戒名表示部は、このようにして挿入した戒名プレートに彫刻形成されている戒名を戒名表示部の表示用開口部から表示する。
【0030】
前記戒名プレートは、透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に戒名を彫刻形成したものであり、その戒名を前記戒名表示扉の戒名表示部で表示すべく、これに差し替え自在に挿入するものである。その彫刻は、化学薬品、例えば、フッ化水素酸によるエッチングによって行う。或いはゴム又は樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行う。
【0031】
一枚の戒名プレートには、一人の故人の戒名を彫刻形成し、夫婦共に亡くなっている場合は、夫婦を一組として彫刻形成する。多数の故人がある場合でも、位牌そのものは一つのみ構成し、故人の一人一人又は夫婦一組に対して戒名プレートを一枚ずつ構成することとするものである。通常、最も最近に亡くなった二組の故人、又は法要の際或いはこれが近づいている場合に、その法要に至った故人の戒名プレートを、前記戒名表示扉の戒名表示部に挿入して前記位牌本体の両側部に配することとし、他の戒名プレートは仏壇の一部に安置して置くようにする。或いは、詳細は後述する、位牌型保管ケースに収納して位牌の背後に安置しておく事とするものである。
【0032】
こうして故人の各々に位牌を作るのではなく、各々には戒名プレートのみを作成して以上のように使用することとしたので、必要な場合には、いつでも位牌を必要な故人の戒名を表示した状態にすることが可能であり、直接表示しない場合は、該戒名プレートを粗末にすることなく仏壇内に安置可能であり、他方では、仏壇が相対的に狭くなって位牌を良い状態で安置できなくなるような問題を解決することもできるものである。
【0033】
前記台座は、位牌本体を立ち上げ状態に支持し、これを通じてその両側に配する戒名表示扉をも安定して支持するベース部材の機能を備えたものであるが、更に該台座は通常宗教的な装飾機能をも備える。宗教的な装飾は、例えば、通常の位牌に用いられている蓮華、二の板、上の板、ナス座、返り花、受等である。これらの装飾は必須ではないが、位牌としての機能を感得させるためにはこれらが施されているのが好ましい。
【0034】
前記台座には、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配することができる。この場合の供養する人の接近を感知する手段は、前記照明手段についてそれを採用した場合は、その感知手段を共用することができる。音声放射手段は、一般の手段を自由に採用することができるが、例えば、該当する宗派のお経を読む声を合成するデータを持った音声合成IC又は読経を録音した固体記憶素子等、その出力する音声信号を増幅するアンプ及びその音声信号を音響信号に変換して放射するスピーカ等で構成することができる。その他に、前記赤外線センサ等の感知手段の感知信号を受けて、以上の音声合成IC等を一定時間駆動するように制御する制御手段をも必要とすることは云うまでもない。
【0035】
このような構成を採用した場合は、感知手段によって供養する人が接近したことが感知されると、これによって前記音声合成ICその他の一組の音声放射手段の動作が開始し、該当する宗派のお経を読む声が台座に配したスピーカから放射されることとなる。これは制御手段によってその設定時間だけ継続することになる。供養する人の着座が長引いた場合等に関しては、前記照明手段について説明したのと同様に作用し、同様に、供養する人の着座中は、読経は継続して放射される。
【0036】
前記台座には、故人の遺品を収納する遺品収納部を構成することができる。例えば、遺品収納部として、前記台座に引出しを設け、この中に故人の遺品、例えは、髪の毛や爪などを紙などに包んで収納して置けるようにするものである。
【0037】
また本発明の位牌には、仏画プレートをその中に入れて仏壇内に安置するための位牌型保管ケースを付設するのが適当である。そしてこの場合は、前記戒名表示扉は、その一方の側部の前縁及び後縁に各々ヒンジを構成するヒンジピンを構成し、他方の側部の前縁及び後縁に各々対応する組立分解自在なヒンジ管を構成しておく必要がある。
【0038】
前記位牌型保管ケースは、正面から見て前記位牌本体と近似する形状を持っている収納容器であって、該位牌本体及び前記台座の背後に配置されるべき収納容器と、該収納容器を直立状態に支持する台座とで構成し、更に該収納容器は、その上部に前記仏画プレートの出し入れ口を備え、かつその両側部の前縁又は後縁のいずれか一方にヒンジを構成する組立分解自在なヒンジピン又はヒンジ管を構成したものとする。
【0039】
該収納容器の両側のヒンジの一部を構成するヒンジピン又はヒンジ管と、戒名表示扉の両側のヒンジのそれとの関係は以下のように設定すべきである。即ち、該収納容器の両側のヒンジピン又はヒンジ管のいずれかに、各々該戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のヒンジピン又はヒンジ管の内、前者(収納容器のヒンジ管又はヒンジピン)が前縁に配置してある場合は後者は後縁の、前者が後縁に配置してある場合は後者は前縁のヒンジピン又はヒンジ管の対応するそれを組立分解自在に係合し、更に該収納容器の両側に連結した戒名表示扉の外側の側部には、その内側の側部が前縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、後縁の、その内側の側部が後縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、前縁のヒンジピン又はヒンジ管で他の戒名表示扉の同一側の縁の対応するヒンジピン又はヒンジ管で接続して、該収納容器の両側の戒名表示扉を該収納容器の側部に屏風状に折り畳み得るようにするものである。
【0040】
これによって、前記位牌本体の仏画表示部に挿入している仏画プレート以外の13枚のそれは、前記収納容器中に装入し、また前記位牌本体の側部に取り付けていない戒名表示扉は、それぞれ該収納容器の側部にヒンジを介して直接又は間接に接続して、仏壇内の位牌の背後に安置することができる。そのため、それらの仏画プレート及び戒名プレートを粗末に扱わうことなく、仏壇内を整理することができることとなるものである。
【0041】
従って本発明の位牌によれば、通常は、該位牌は、その位牌本体の仏画表示部に本尊像を彫刻形成した仏画プレートを装入し、かつ該位牌本体の両側部には、最も現在に近い時点で亡くなった故人又は故人夫婦の戒名を各々彫刻形成した戒名プレートを各戒名表示部に装入した戒名表示扉各々を開閉自在に取り付けて仏壇に安置する。なお、云うまでもなく、位牌本体の仏画表示部にどの仏画プレートを装入して表示するか、戒名表示扉の戒名表示部にいずれの故人の戒名プレートを装入して表示するかは任意である。
【0042】
この位牌は、両側の戒名表示扉を開いた状態にすれば、位牌本体の正面の仏画表示部に装入された仏画プレートの仏の像、この場合は、本尊像が表示された状態になり、同時に、その戒名表示扉3、3の内面側の戒名表示部に装入された各戒名プレートの戒名が表示状態になる。
【0043】
この状態で、前記仏画プレートの裏面下方から照明手段の照明光が照射され、本尊像が美しく浮かび上がることになる。供養をする人の接近を感知する感知手段を設けた場合は、通常は、照明手段は消灯状態にあり、供養をする人が近づいた場合にのみこれを感知して照明手段の電源が投入され、上記照明が行われることになる。更に、照明手段として赤色、青色及び黄色のLEDを用い、これを循環状態に順に点灯させることとした場合は、前記本尊像は、順にそれぞれの色の光で照明されることになるため、より美しく浮かび上がることとなる。
【0044】
またこの位牌の台座に、読経を放射する音声放射手段と供養をする人の接近を感知する感知手段とを設けた場合は、供養をする人が接近すると、読経の声が放射され、故人を供養する気持ちを盛り上げることができることとなる。
【0045】
ところで、戒名プレートに戒名を彫刻形成されている故人の内、いずれかが法要の時期に至っている場合は、戒名表示扉の戒名表示部に装入されている戒名プレートを法要に至っている故人の戒名プレートに取り替え、更に位牌本体の仏画表示部に装入されている仏画プレートを本尊像を描いたそれから当該の法要を司る仏の像のそれに取り替える。こうして法要に対応させることができる。
【0046】
なお本尊像を彫刻形成した仏画プレート以外に、各法要を司る仏の像を描いた仏画プレートを用意した場合には、位牌本体の仏画表示部に装入していない13枚の仏画プレート及び位牌本体の両側部に取り付けられていない戒名表示扉(それがある場合は)は、それぞれまとめて仏壇の一部に安置することができる。前記位牌型保管ケースを採用した場合は、その収納容器中に以上の13枚の仏画プレートを装入し、他方、該収納容器の両側部に順次折り畳み自在に位牌本体の両側部に取り付けた戒名表示扉以外の戒名表示扉を取り付ける。そうした上で、該位牌型保管ケースを位牌の背後に安置する。こうして位牌に取り付けられていない仏画プレートや戒名表示扉を大事に取り扱うことができることとなる。
【0047】
また位牌本体を支持する台座に遺品収納部を構成した場合は、この中に故人の遺品である髪の毛や爪などを、例えば、紙等に包んで収めておくことができる。このようにしておくと、供養の時にこれらを取り出して故人を忍ぶことができるようになる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の位牌の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図7は本発明の一実施例を示しており、図1はその位牌の概略正面図、図2は(a)は位牌の概略側面図、図2(b)は戒名表示扉を取り外した状態の概略側面図、図3は、位牌本体と戒名表示扉との取り付け関係を示す概略平面説明図、図4は、照明手段、読経用の音声放射手段及びこれらを駆動する駆動回路並びに供養する人の接近を感知する感知手段を示すブロック図、図5は位牌型保管ケースの概略正面図、図6は位牌型保管ケースの概略側面図、図7は(a)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を折り畳んだ状態を示す概略平面説明図、図7(b)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を展開した状態を示す概略平面説明図である。
【0049】
この実施例の位牌は、図1及び図2に示すように、位牌本体1と、これを直立状態に支持する台座2と、該位牌本体2の両側に配した戒名表示扉3、3とで構成したものである。いずれも同質の木材によって構成したものである。
【0050】
前記位牌本体1は、図1〜図3に示すように、背後の全面板と、両側部及び下部の内側方向の途中までにのみ位置する相互に対称な一対の中間板と、長方形の開口部を有する前面板とを重ね合わせて、仏画表示部4となる薄板状の空間及び該空間に正面から連通する開口部を構成する。この仏画表示部4は、上部のスリット状開口部4aが仏画プレート5の出し入れ口となっており、ここから装入した仏画プレート5は、図1に示すように、正面の開口部に表れ、そこに描かれた本尊像等の仏の姿が表示されることになる。
【0051】
該位牌本体1の両側部の前縁の上下二カ所には、図1及び図2に示すように、各々ヒンジ管1a、1aを固設する。これは戒名表示扉3の各一側部の前縁に固設した二つのヒンジピン3a、3aを上方からその中に挿入して、該戒名表示扉3を該位牌本体1の正面に対して開閉自在になるように連結するヒンジを構成するものである。
【0052】
前記台座2は、図1及び図2に示すように、その外観が、慣習に従った装飾によって構成され、その内、最下部の基台2aには、後述する照明手段であるLED6及び読経用の音声放射手段であるスピーカ7の駆動回路及び制御回路等を構成した基板12を収納する基板収納室8が構成してあり、中間台部2bには遺品収納用の引き出し9を出し入れ自在に構成したものである。
【0053】
前記戒名表示扉3は、図1及び図2に示すように、背後の全面板と、ほぼU字形の中間板と、長方形の開口部を有する前面板とを重ね合わせて、戒名表示部10となる薄板状の空間及び該空間に正面から連通する開口部を構成する。この戒名表示部10は、上部のスリット状開口部10aが戒名プレート11の出し入れ口となっており、ここから装入した戒名プレート11は、図1に示すように、正面の開口部に表れ、そこに彫刻形成された戒名が表示されることになる。
【0054】
該戒名表示扉3の両側部には、その前縁と後縁の上下の二カ所にヒンジを構成するヒンジピン3a、3a又はヒンジ管3b、3bを固設する。該戒名表示扉3は、ヒンジピン3a、3a及びヒンジ管3b、3bの取り付け方に関して二種類のそれを構成する。前記位牌本体1の右側に取り付ける戒名表示扉3と左側に取り付けるそれである。
【0055】
右側に取り付ける戒名表示扉3は、図3に示すように、その左側の前縁及び後縁にヒンジピン3aを固設する。前縁及び後縁のいずれにも、図1及び図2(a)に示すように、上下二カ所にヒンジピン3aを固設する。それらの上下の間隔は、前記位牌本体1の側部に取り付けてあるヒンジ管1a、1aの間隔と同一寸法とする。またこの戒名表示扉3の右側の前縁及び後縁には、図3に示すように、ヒンジ管3bを固設する。前縁及び後縁のいずれにも、図1及び図2(a)に示すように、上下二カ所にヒンジ管3bを固設する。それらの上下の間隔は、左側のヒンジピン3a、3aのそれと同一であるが、左側のヒンジピン3a、3aより該ヒンジピン3aの支持部の高さ分だけ低い位置に固設する。
【0056】
左側に取り付ける戒名表示扉3は、右側のそれと対称となるように、ヒンジピン3a及びヒンジ管3bを取り付けたものとする。
【0057】
前記仏画プレート5は、当該の宗派の本尊の姿を描いた一枚と、13種類の法要を司る仏の姿を描いた13枚とを用意したものである。具体的には、初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩を用意した。
【0058】
該仏画プレート5は、当該の宗派の本尊及び上記13仏の姿をそれぞれ1枚の透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に描いたものである。この描画は、樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行ったものである。この仏画プレート5のサイズは、前記位牌本体1の仏画表示部4に良好に収まるものとする。
【0059】
前記戒名プレート11は、当該の家系の故人の戒名をそれぞれ1枚の透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に彫刻して表記したものである。この彫刻も、前記仏画プレート5と同様に、樹脂で周囲をマスクし、残った部分をサンドブラストにより物理的に削ることによって行ったものである。またこの戒名プレート11のサイズは、前記戒名表示扉3の戒名表示部10に良好に収まるものとする。
【0060】
前記照明手段であるLED6は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、位牌本体1の仏画表示部4に於いて、該仏画表示部4に装入される仏画プレート5の裏面側最下部に配設してあり、赤、青、黄色の発光部を備えたものである。前記台座2の基台2aの前面に配した赤外線センサ13で供養をする人の接近が感知されると、図4に示すように、基台2a中のセンサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号がマイクロコントローラ14aに入力され、これに基づいて該マイクロコントローラ14aにより前記LED6が発光駆動されることになる。この発光動作は、該LED6の赤、青、黄色の発光部が順次発光する態様で行われ、この発光動作が3分間継続するように制御される。
【0061】
前記スピーカ7は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、台座2の基台2aの側部に配してあり、該当する宗派の読経の声を放射するためのものである。前記のように、赤外線センサ13で供養をする人の接近が感知されると、図4に示すように、基台2a中のセンサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号がマイクロコントローラ14aに入力され、これに基づいて前記音声合成IC14cに駆動信号が出力され、該音声合成IC14cで読経の音声信号が合成されることになる。こうして合成された読経の音声信号はパワーアンプ14dに入力されて増幅され、その音声信号はスピーカ7に入力されて放射されることになる。この読経の声も3分間継続して放射されるように制御される。
【0062】
前記LED6による発光動作も、該スピーカ7による読経の声の放射動作も、供養をする者が3分以上着座している場合は、それが再度赤外線センサ13で感知され、継続して行われるように制御される。
なお図4中15は直流電源である。
【0063】
またこの実施例の位牌には、仏画プレート5をその中に入れて仏壇内に安置するための位牌型保管ケースを付設する。該位牌型保管ケースは、図5及び図6に示すように、正面から見て前記位牌本体1と近似する形状を持つ収納容器16と、該収納容器16を直立状態に支持する台座17とで構成し、更に該収納容器16は、その上部に前記仏画プレート5の出し入れ口を備え、かつその両側部の前縁に各々ヒンジを構成する組立分解自在なヒンジ管1a、1aを構成したものとする。これらのヒンジ管1a、1aの上下方向の間隔は位牌本体1の側部に配したヒンジ管1a、1aと全く同一であり、その構成も全く同一である。
【0064】
そのため、図6に示すように、前記位牌本体1の仏画表示部4に挿入している仏画プレート5以外の13枚のそれは、前記収納容器16中に装入し、また前記位牌本体1の側部に取り付けていない戒名表示扉3、3…は、それぞれ該収納容器16の側部に、直接又は間接に、ヒンジ管1a、1a、ヒンジピン3a、3b及びヒンジ管3b、3bを介して取り付けることができる。該収納容器16の両側部に取り付けた戒名表扉3、3…は、展開した状態を維持することも、屏風状に折り畳むこともできる。
【0065】
従ってこの実施例の位牌によれば、通常は、図1及び図2(a)に示すように、該位牌は、その位牌本体1の仏画表示部4に本尊の姿を彫刻形成した仏画プレート5を装入し、かつ該位牌本体1の両側部には、最も現在に近い時点で亡くなった故人又は故人夫婦の戒名を各々彫刻形成した戒名プレート11を各戒名表示部10に装入した戒名表示扉3、3を各々を開閉自在に取り付けて仏壇に安置する。位牌本体1の両側部への戒名表示扉3の取付は、前者の側部のヒンジ管1a、1aに後者の側部前縁に配してあるヒンジピン3a、3aをそれぞれ挿入することで行う。位牌本体1の右側には左側前縁にヒンジピン3a、3aを配してある戒名表示扉3を取り付けることになり、左側には右側前縁にヒンジピン3a、3aを配してある戒名表示扉3を取り付けることになる。
【0066】
この位牌は、図1及び図2(a)に示すように、両側の戒名表示扉3、3を開いた状態にすれば、位牌本体1の正面の仏画表示部4に装入された仏画プレート5の本尊像が表示された状態になり、同時に、両側の戒名表示扉3、3の内面側の戒名表示部10に装入された各戒名プレート11、11に彫刻されている戒名が表示状態になる。
【0067】
このとき、人が近づかなければ、前記LED6は消灯状態にあり、かつ前記スピーカ7からも何らの音声も放射されない状態になっているが、この状態で、供養をする人がこの位牌を安置した仏壇に接近すると、前記赤外線センサ13がこれを感知し、センサ駆動ユニット14bを介してその旨の信号を前記マイクロコントローラ14aに入力する。この信号を受けたマイクロコントローラ14aは、一方で、LED6を発光駆動し、他方で、音声合成IC14cを動作させ、その合成する読経の音声信号をパワーアンプ14dで増幅させ、かつこれをスピーカ7から読経音声として放射させる。
【0068】
前記LED6は、前記マイクロコントローラ14aに制御されつつ赤青黄色の光を順次循環的に発光し、前記位牌本体1の仏画プレート5に描かれた本尊像を背後から照射し、これを美しく浮かび上がらせることとなる。このような照明動作は3分間継続して行われる。従って供養する人のいる場合にのみその動作は行われ、無意味な照明動作が行われることはない。
【0069】
前記スピーカ7からの読経音声の放射動作も、前記のように、マイクロコントローラ14aによる制御の下に行われ、LED6による照明光の照射と同様に、これも一分間継続して行われる。
【0070】
ところで、戒名プレートに戒名を彫刻形成されている故人の内、いずれかが法要の時期に至った場合には、位牌本体1の両側の戒名表示扉3、3の戒名表示部10に装入されている戒名プレート11を法要の時期に該当している故人の戒名プレート11に差し替え、更に位牌本体1の仏画表示部4に装入されている仏画プレート5を本尊像を描いたそれから当該の法要を司る仏の姿を描いたそれに取り替える。こうして法要に的確に対応させることができる。
【0071】
なお位牌本体1の仏画表示部4に装入していない13枚の仏画プレート5、5…及び位牌本体1の両側部に取り付けられていない戒名表示扉3、3…は、前記位牌型保管ケースに保管する。以上の13枚の仏画プレート5、5…は、図6に示すように、収納容器16中に装入し、前記戒名表示扉3、3…は該収納容器の両側部に取り付ける。
【0072】
収納容器16の側部への戒名表示扉3、3…の取付は、図7(a)、(b)に示すように、その右側では、左側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3を取り付ける。即ち、収納容器16の右側前縁のヒンジ管1a、1aに該戒名表示扉3の左側後縁のヒンジピン3a、3aをそれぞれ挿入して連結する。その戒名表示扉3の右側には、更に順次左側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3、3を連結する。まず収納容器16の右側に取り付けた戒名表示扉3の右側には、その右側前縁のヒンジ管3b、3bに右側の戒名表示扉3の左側前縁のヒンジピン3a、3aを挿入して連結し、更にその右側後縁のヒンジ管3b、3bに右側の戒名表示扉3の左側後縁のヒンジピン3a、3aを挿入して連結する。このようにして順次連結する戒名表示扉3、3…は前縁又は後縁に於ける連結を交互に繰り返して繋いでゆくことができる。
【0073】
前記収納容器16の左側には、右側にヒンジピン3a、3aを固設してある戒名表示扉3、3…を取り付ける。取り付け方は、図7(a)、(b)に示すように、右側への取り付け方と対称となるそれである。
【0074】
戒名表示扉3、3…は、収納容器16に、以上のように取り付けたものであるため、図7(a)に示すように、折り畳んだ状態にすることも、図7(b)に示すように、展開状態にすることも自由にできる。
【0075】
このように、この実施例の位牌では、位牌に取り付けていない仏画プレート5、5…や戒名表示扉3、3…は、以上のように、位牌型保管ケースに保管状態とした上で、該位牌型保管ケースを位牌の背後に安置することができる。こうして位牌に取り付けられていない仏画プレートや戒名表示扉を大事に取り扱うことができることとなる。
【0076】
また位牌本体1を支持する台座2の中間台部2bに遺品収納用の引き出し9を出し入れ自在に構成したため、この中に故人の遺品である髪の毛や爪などを紙等に包んで収めておくことができる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の1の位牌によれば、中央の位牌本体に本尊像その他の仏の姿を表示し、その両側の戒名表示扉の内面で戒名を表示することとしたので、該戒名表示扉を開いておけば、本尊その他の仏の姿と共に戒名を表示することができることとなる。また前記本尊像及び戒名表示扉の内面に表示する戒名は、それぞれ仏画プレート及び戒名プレートを差し替えることで表示を変えることが可能であり、各故人の法要の際等には該当する故人の戒名を表示することとし、本尊像も、これを作成しておけば、該法要を司る仏の像に差し替えることができる。
【0078】
なお本尊像には背後から照明光が照射されるのでその姿が美しく浮かび上がることにもなる。
【0079】
更に故人が多くなって通常の位牌では仏壇に納めきれない程になっても、本発明の位牌によれば、一部の代表する故人の戒名のみをこの位牌の戒名表示扉の戒名表示部に装入した戒名プレートで表示し、他の故人の戒名プレートは纏めて仏壇内に安置しておくことができる。
【0080】
本発明の2の位牌によれば、仏画プレートとして、本尊を描いたものの他に、各法要を司る13仏の姿を表したものを作成したので、各法要毎にこれを本尊像を表示した打つがプレートに差し替えて使用することができる。それ故、位牌にその法要に適合する仏の姿が表示されることとなり、より法要を充実したものとすることができる。
【0081】
本発明の3の位牌によれば、照明手段は、供養する人が接近すると、これに伴って照明動作し、本尊等の仏の姿を明るく浮かび上がらせることができることとなり、供養をするものを迎え入れる気分を高めることができる。更には無意味な照明をなくすることもできる。
【0082】
本発明の4は、当該家系の故人全てに位牌を作らず、戒名プレートのみを作成することとしたものであり、通常は、例えば、最も最近に故人となった人の戒名プレートのみを位牌の戒名表示扉に挿入して表示することとし、他の戒名プレートは、他の戒名表示扉があれば、それに挿入した状態で仏壇中に安置することとすることにより、故人が増えて相対的に狭くなった仏壇内が余裕を持ったものとなる。
【0083】
本発明の5の位牌によれば、前記台座に、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配したため、供養する人が、この位牌を配した仏壇に接近すると、当該の宗派のお経を読む声が放射され、故人を供養する気持ちを高めてくれることとなるものである。
【0084】
本発明の6の位牌によれば、位牌本体を支持する台座に故人の遺品を収納する収納部を構成したため、これに故人の遺品を納めておくことができる。
【0085】
本発明の7の位牌によれば、戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のいずれでも位牌本体の側部に取り付け可能になる。通常は前縁で取り付けるべきであり、こうすれば、該戒名表示扉を位牌本体の正面側に閉じるように回動させることができる。後縁で取り付ければ、該戒名表示扉は、その裏面側を位牌本体の側部側に当接させるように回動させることができる。
【0086】
本発明の8の位牌によれば、位牌の仏画表示部に挿入していない13枚の仏画プレートは位牌型保管ケースの収納容器に収納し、位牌本体の側部に連結していない戒名表示扉は、該収納容器の側部に取り付け、必要に応じて折り畳んだ上で、仏壇内に安置しておくことができる。そのため、故人が増えて、相対的に仏壇内が狭くなってきた場合にも、これによって、故人を粗末にすることなく、余裕を持って仏壇内に安置できることとなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の位牌の概略正面図。
【図2】(a)は位牌の概略側面図。(b)は戒名表示扉を取り外した状態の概略側面図。
【図3】位牌本体と戒名表示扉との取り付け関係を示す概略平面説明図。
【図4】照明手段、読経用の音声放射手段及びこれらを駆動する駆動回路並びに供養する人の接近を感知する感知手段を示すブロック図。
【図5】位牌型保管ケースの概略正面図。
【図6】位牌型保管ケースの概略側面図。
【図7】(a)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を折り畳んだ状態を示す概略平面説明図。(b)は位牌型保管ケースの側部の戒名表示扉を展開した状態を示す概略平面説明図。
【符号の説明】
1 位牌本体
1a ヒンジ管
2 位牌本体の台座
2a 基台
2b 中間台部
3 戒名表示扉
3a ヒンジピン
3b ヒンジ管
4 仏画表示部
4a スリット状開口部
5 仏画プレート
6 LED
7 スピーカ
8 基板収納室
9 引き出し
10 戒名表示部
10a スリット状開口部
11 戒名プレート
12 基板
13 赤外線センサ
14a マイクロコントローラ
14b センサ駆動ユニット
14c 音声合成IC
14d パワーアンプ
15 直流電源
16 収納容器
17 収納容器を支持する台座
Claims (8)
- 正面に仏画表示部を備えた位牌本体と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に仏画を彫刻形成した仏画プレートであって、前記位牌本体の仏画表示部に該仏画を表示すべく、該仏画表示部に差し替え自在に挿入する仏画プレートと、
前記仏画プレートをその裏面側から照射する照明手段と、
前記位牌本体の両側に、その正面の仏画表示部を、組立分解自在なヒンジにより、開閉自在に閉じる観音開きの二つの戒名表示扉であって、その各内面に戒名表示部を備えた戒名表示扉と、
透明ガラス板の裏面に表裏反転状態に戒名を彫刻形成した戒名プレートであって、前記戒名表示扉の戒名表示部に該戒名を表示すべく、該戒名表示部に差し替え自在に挿入する戒名プレートと、
前記位牌本体を立ち上げ状態に支持する台座と、
で構成した位牌。 - 前記仏画プレートとして、各法要毎に差し替える初七日の不動明王、二七日の釈迦如来、三七日の文珠菩薩、四七日の普賢菩薩、五七日の地蔵菩薩、六七日の弥勒菩薩、七七日の薬師如来、百ケ日の観世音菩薩、一周忌の勢至菩薩、三回忌の阿弥陀如来、七回忌の阿▲しゅく▼如来、十三回忌の大日如来並びに三十三回忌の虚空蔵菩薩の13仏の姿を各々彫刻形成してなる13枚のそれを差し替え用として用意した請求項1の位牌。
- 前記照明手段を、供養する人の接近を感知して点灯するように構成した請求項1の位牌。
- 前記戒名プレートを、該当家系の故人毎に作成し、それらを戒名表示扉の戒名表示部に差し替え自在に挿入することとした請求項1の位牌。
- 前記台座に、供養する人の接近を感知して読経を放射する音声放射手段を配した請求項1の位牌。
- 前記台座に、故人の遺品を収納する収納部を構成した請求項1又は5の位牌。
- 前記戒名表示扉の一方の側部の前縁及び後縁に各々ヒンジを構成するヒンジピンを構成し、他方の側部の前縁及び後縁に各々対応する組立分解自在なヒンジ管を構成した請求項1の位牌。
- 上部に前記仏画プレートの出し入れ口を備え、かつ両側部の前縁又は後縁に各々ヒンジを構成する組立分解自在なヒンジピン又はヒンジ管を構成した仏画プレートの収納容器であって、正面から見て前記位牌本体と近似する形状を持ち、かつ該位牌本体及び前記台座の背後に配置されるべき収納容器と、該収納容器を直立状態に支持する台座とからなる位牌型保管ケースを備えた位牌であって、
該収納容器の両側の前縁又は後縁に於けるヒンジのヒンジピン又はヒンジ管のいずれかに、各々前記戒名表示扉の側部の前縁又は後縁のヒンジピン又はヒンジ管の内、前者が前縁に配置してある場合は後者は後縁の、前者が後縁に配置してある場合は後者は前縁のヒンジピン又はヒンジ管の対応するそれを組立分解自在に係合し、更に該収納容器の両側に結合した戒名表示扉の外側の側部には、その内側の側部が前縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、後縁の、その内側の側部が後縁のヒンジピン又はヒンジ管で連結している場合は、前縁のヒンジピン又はヒンジ管で他の戒名表示扉の同一側の縁の対応するヒンジピン又はヒンジ管で接続して、該収納容器の両側の戒名表示扉を該収納容器の側部に屏風状に折り畳み得るようにした請求項7の位牌型保管ケースを備えた位牌。
Priority Applications (1)
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JP2002292993A JP2004121686A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 位牌 |
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JP2011056244A (ja) * | 2009-08-11 | 2011-03-24 | Design Keikaku:Kk | 故人情報表示装置 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002292993A patent/JP2004121686A/ja active Pending
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