JP2004121667A - 磁性流体検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、操作性良く、安価な磁性流体検出装置を実現する。
【解決手段】磁性流体検出装置1は、体腔内に挿入可能で、励磁磁石11及び磁気センサ12を先端側に内蔵したプローブ2と、このプローブ2に接続ケーブル3で接続され、該プローブ2を制御するための制御装置4とで構成される。前記プローブ2は、前記励磁磁石11及び前記磁気センサ12とがアクチュエータ13により、長手軸方向に振動して、前記励磁磁石11で励磁した磁性流体6による局所磁界に偏調を施し、その局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)を2つの磁気センサ12で検出して、これら2つの磁気センサ12の出力の差分を取り、更に復調することで、偏調周波数以外の地磁気や他の電気機器からの磁気ノイズを除去して磁性流体6を検出でき、センチネルリンパ節5を同定できる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍の原発巣からリンパ管に入った腫瘍細胞が最初に到達するリンパ節であるセンチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node)を同定する根拠として、腫瘍近傍に注入した磁性を有する磁性流体が所定時間後にどのように分布しているかを測定するための磁性流体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、早期癌の切除手術は、発見率が向上し、頻繁に行われている。一般に、早期癌の手術は、根治を目的とし、病変部に加え、病変部の周囲に存在する転移が疑われる複数個のリンパ節を切除することが多い。また、早期癌の手術は、術後に切除したリンパ節の病理検査を行い、リンパ節への転移の有無を確認して術後の治療方針などを決定している。
【0003】
手術段階において、リンパ節への転移の有無は、不明である。このため、早期癌の手術は、病変部近傍に存在する複数個のリンパ節を切除するため、患者の負担が大きい。また、例えば早期乳癌において、リンパ節への転移比率は、20%程度である。このため、早期癌の手術は、実際に転移していない80%の患者にとって、無用なリンパ節切除が行われたことになる。
【0004】
近年、患者のQOL(Quality of Life)及び癌切除手術における根治性の両立は、求められている。そのための手法のひとつとして、無用なリンパ節切除を防ぐ、センチネルノードナビゲーションサージェリ( Sentinel Node Navigation Surgery )は、注目されている。以下、簡単にセンチネルノードナビゲーションサージェリについて説明する。
【0005】
癌は、リンパ節に転移する場合、ランダムに転移を生じることなく、一定のパターンに従って、病変部からリンパ管を経て、リンパ節に転移することが、最近の研究により解明されている。癌は、リンパ節に転移している場合、必ずセンチネルリンパ節に転移があると考えられる。ここで、センチネルリンパ節( Sentinel Lymph Node )とは、癌の原発巣からリンパ管に入った癌細胞が最初に到達するリンパ節のことである。
【0006】
このため、早期癌の手術は、癌切除術中に、センチネルリンパ節を見つけ、生検し、迅速病理検査を行うことにより、リンパ節への転移の有無を判定することができる。センチネルリンパ節に癌が転移していない場合、早期癌の手術は、残りのリンパ節の切除が不用となる。一方、センチネルリンパ節に癌が転移している場合、早期癌の手術は、転移状況に応じて、病変部近傍の複数個のリンパ節を切除する。
【0007】
このセンチネルノードナビゲーションサージェリを行なうことで、早期癌の手術は、リンパ節に癌が転移していない患者において、無用なリンパ節切除が行われることがなく、患者に対して負担が少なくなる。また、センチネルノードナビゲーションサージェリは、乳癌に限らず、消化器などの開腹手術や或いは腹腔鏡を用いた手術などにも適用される。
このセンチネルノードナビゲーションサージェリは、センチネルリンパ節を容易にかつ精度良く検出できる検出装置が強く求められている。
【0008】
そこで、上記検出装置は、例えば、特開2001−299676号公報に記載されているように近赤外励起光を用いるものが提案されている。
上記近赤外励起光を用いる検出方法は、トレーサーとして赤外蛍光色素であるインドシアニングリーン( Indocyanine green )を腫瘍周囲に局注する。そして、所定時間後、上記検出装置は、開腹手術を行って、被観察部に近赤外励起光を照射する。すると、センチネルリンパ節は、インドシアニングリーンを蓄積しているため、近赤外蛍光を発する。その近赤外蛍光を可視光に変換して可視化像として観察することで、上記検出装置は、センチネルリンパ節を検出することが可能である。
【0009】
しかしながら、上記特開2001−299676号公報に記載の検出装置は、センチネルリンパ節の位置を同定できるのが表面から数mmの深さに過ぎない。従って、上記特開2001−299676号公報に記載の検出装置は、脂肪が厚い場合や、肺の様に炭などが沈着している場合、センチネルリンパ節を確認することが困難である。
【0010】
一方、これに対して上記検出装置は、例えば、特開平9−189770号公報や特開平10−96782号公報に記載されているように放射線を用いたものが提案されている。
【0011】
上記放射線を用いる検出方法は、トレーサーとして放射性同位元素を腫瘍周囲に局注する。そして、所定時間後、上記検出装置は、センチネルリンパ節に滞留している放射性同位元素からの放射線を検出することで、センチネルリンパ節を検出することが可能である。
しかしながら、上記特開平9−189770号公報や特開平10−96782号公報に記載の検出装置は、放射線を用いているので、人体が被爆する。
【0012】
また、近年、超伝導量子干渉素子( Superconducting QUantum Interference Device :以下、SQUIDと略す)を用いたSQUID磁束計は、様々な分野で応用されている。上記SQUIDは、地磁気の10億分の1程度の磁束を高感度で検出することが可能である。
【0013】
近年、上記SQUIDは、液体窒素温度(77.3K:−196℃)での冷却で利用可能な高温超伝導SQUIDが実用化されている。
これを利用して、検出装置は、例えば、日本生体磁気学界誌 特別号( Vol.15 No.1 2002 第17回)日本生体磁気学界論文集に記載されているように高温超伝導SQUIDを用いたものが提案されている。
【0014】
上記高温超伝導SQUIDを用いた検出方法は、トレーサーとして磁性を有する磁性流体を腫瘍周囲に局注する。そして、所定時間後、磁性流体は、センチネルリンパ節に滞留する。上記検出装置は、磁力の大きい電磁石で磁性流体を磁化し、電磁石をオフにしたとき、この磁性流体に残る微弱な残留磁界をSQUIDで検出することで、センチネルリンパ節を検出することが可能である。
ここで、磁性流体は、粒子径が数百nmと小さいので、保磁力が弱く、残留磁界が非常に小さくなる。このため、SQUIDのような高感度の磁気センサを必要とする。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−299676号公報
【0016】
【特許文献2】
特開平9−189770号公報
【0017】
【特許文献3】
特開平10−96782号公報
【0018】
【非特許文献1】
日本生体磁気学界誌 特別号Vol.15 No.1;日本生体磁気学界論文集、2002年 第17回、p.31−32
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記高温超伝導SQUIDで形成した磁気センサ(以下、SQUID磁気センサ)は、−190℃くらいの低温で動作させるため、液体窒素を用いてセンサを冷やさなければならない。このため、装置が大型化し、操作性が悪くなる。また、液体窒素も数時間毎に交換する必要があり、ランニングコストがかかる。更に、液体窒素の交換時に危険が伴う等の問題がある。また、磁性流体の残留磁界が非常に小さいため、電機機器からの磁気ノイズの影響が大きく、磁気シールドする必要があり、更に大型化、コストアップになる。
【0020】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、操作性良く、安価な磁性流体検出装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の磁性流体検出装置は、被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の磁石と、前記磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、を具備し、前記磁石のみ、前記磁石及び前記複数の磁気センサ、又は前記磁石及び前記複数の磁気センサと前記複数の磁気センサからの出力を増幅するためのプリアンプとを振動又は回動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴としている。
また、本発明の請求項2に記載の磁性流体検出装置は、被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の電磁石と、前記複数の電磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、を具備し、前記電磁石を交流電流で駆動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴としている。
また、本発明の請求項3は、請求項2に記載の磁性流体検出装置において、前記複数の電磁石は、該複数の電磁石で形成される磁界の相互作用により、前記磁気センサに弱磁界が作用すると共に、前記磁性流体に強磁界が作用するように配置して駆動されることを特徴としている。
この構成により、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、操作性良く、安価な磁性流体検出装置を実現する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明の第1の実施の形態の磁性流体検出装置を示す全体構成図、図2は外部磁界(の磁束密度)検出の原理を示す説明図であり、図2(a)は周辺より透磁率の高い物質(磁性流体)が存在していない場合の励磁磁石及び磁気センサの様子を示す概念図、図2(b)は周辺より透磁率の高い物質(磁性流体)が存在している場合の励磁磁石及び磁気センサの様子を示す概念図、図3は磁気センサの検出動作を示す説明図であり、図3(a)は外部磁界(の磁束密度)Bが存在していない場合の磁気センサの検出動作を示す概念図、図3(b)は外部磁界(の磁束密度)Bが存在している場合の磁気センサの検出動作を示す概念図、図4は図3の磁気センサを2つ用いた際の説明図であり、図4(a)は外部磁界(の磁束密度)Bが存在している場合の磁気センサの検出動作を示す概念図、図4(b)は同図(a)の回路を示す概略図、図5は本第1の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図、図6は図1のプローブの第1の変形例を示す説明図、図7は回動自在な電極を示す概略図、図8は図1のプローブの第2の変形例を示す説明図、図9は図1のプローブの第3の変形例を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように本発明の第1の実施の形態の磁性流体検出装置1は、体腔内に挿入可能で、後述の励磁磁石及び磁気センサを先端側に内蔵したプローブ2と、このプローブ2に接続ケーブル3で接続され、該プローブ2を制御するための制御装置4とで構成されている。
【0024】
前記プローブ2は、被検体内部のセンチネルリンパ節5に滞留している磁性流体6を励磁磁石11がプローブ近傍の空間を介して励磁し、この励磁した磁性流体6による局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)を2つの磁気センサ12が検出してセンチネルリンパ節5を同定するようになっている。
【0025】
また、前記プローブ2は、前記励磁磁石11及び前記磁気センサ12とがアクチュエータ13により、長手軸方向に振動するようになっている。
このことにより、磁性流体検出装置1は、前記励磁磁石11で励磁した前記磁性流体6による局所磁界に偏調を施し、その局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)を2つの磁気センサ12で検出して、これら2つの磁気センサ12からの出力の差分を取り、更に復調することで、偏調周波数以外の地磁気や他の電気機器からの磁気ノイズを除去できるようになっている。
【0026】
また、前記制御装置4は、前記磁気センサ12が検出した磁束密度の変化を表示するためのLED( Light Emitting Diode )やLCD( Liquid Crystal Display)等で形成された表示部14と、前記磁束密度の変化を音で告知するためのスピーカ15とをフロントパネルに設けている。
尚、前記プローブ2は、このプローブの外装部2aが非磁性材料で形成され、水密に構成されている。
【0027】
先ず、図2(a),(b)を参照して、外部磁界(の磁束密度)検出の原理を説明する。
図2(a)に示すように2つの磁気センサ12は、励磁磁石11が励磁したプローブ近傍の磁界分布の空間勾配(磁束密度)を測定するようになっている。
【0028】
ここで、図2(b)に示すように被検体の関心領域に磁性流体6等の周辺より透磁率の高い物質が存在していると、前記励磁磁石11による印加磁界は、周辺より透磁率の高い物質付近で吸い込まれて磁界分布に局所的な歪みが生じ、これにより、磁界分布の空間勾配(磁束密度)に変化が生じる。尚、矢印は、磁力線である。
【0029】
周辺より透磁率の高い物質により形成された磁界分布の空間勾配を、2つの磁気センサ12の出力の差分を取ることで、検出する。周辺より透磁率が高い物質がない場合、磁界分布の空間勾配が形成されないので2つの磁気センサ12の出力の差分は、0になる。このことから、2つの磁気センサ12は、周辺より透磁率の高い物質の有無を検出できる。
【0030】
次に、磁気センサ12の一例であるMRセンサ(磁気抵抗センサ)について図3及び図4を参照して説明する。
図3(b)に示すようにMRセンサに電流iを通電すると、導体内部を流れる電流経路長は、紙面に対して垂直方向の外部磁界Bをかけていないとき(図3(a))に比べ、外部磁界Bをかけたとき(図3(b))の方が長くなる。従って、外部磁界Bをかけると、MRセンサの抵抗値が大きくなる。
【0031】
このようなMRセンサは、図4(a),(b)に示すように、少なくとも、2つ組み合わせて用いられる。VccからGNDに向けて、電流iを流すと、2つのMRセンサの抵抗値の比に応じた電位がOUTに生じる。2つのセンサに同じ強さの外部磁界がかかっている場合、2つのセンサの抵抗値が同じ値となり、OUTの電位は変わらない。
一方、2つのセンサに違う強さの磁界がかかると、2つのセンサの抵抗値が異なる値となり、OUTの電位は変化する。即ち、電磁界の勾配の傾きに比例して電位が変化する。
【0032】
これは、2つのセンサの出力の差分を取ったことと同等である。実際には、感度良く測定できるように、図4(c)に示すように固定抵抗器R3,R4を組み合わせて、4端子ブリッジを構成して、このブリッジの出力を差動増幅している。
この原理は、上記と同様であり、2つのMRセンサの抵抗比が変化することで、ブリッジの出力が変化する。これも、2つのMRセンサの出力の差動を取っているのと同等であり、外部磁界の勾配の傾きを測定することができる。尚、符号23は、増幅器であり、符号24はAC差動増幅器である。
【0033】
次に、図5を参照して磁性流体検出装置1の回路構成を説明する。
磁性流体検出装置1は、所定の発振周波数を発生する発振器21と、この発振器21で発生した発振周波数で前記アクチュエータ13を駆動するドライバ22と、前記磁気センサ12からの出力をそれぞれ増幅する増幅器23と、これら増幅器23からの出力の差分を取り、この差分を増幅するAC差動増幅器24と、前記発振器21の周波数に同期して前記AC差動増幅器24からの出力の位相を調整するための位相調整器25と、この位相調整器25で調整された位相を前記AC差動増幅器24からの出力に乗算してノイズ成分を除去するための乗算器26と、この乗算器26からの出力の高調波成分を除去し、振幅成分を取り出すローパスフィルタ(LPF)27と、このLPF27からの出力に基づき、外部磁界(磁束密度)Bの変化を数値に変換して前記表示部14や前記スピーカ15を駆動するCPU( Central Processing Unit )28とから主に構成される。尚、位相調整器25と、乗算器26と、LPF27とは、ロックインアンプと同じ構成になり、狭帯域のバンドパスフィルタとなる。
【0034】
また、磁性流体検出装置1は、フォトカプラ32を介して、図示しないRS232Cで、PC、プリンタ等と通信を行い、データの保存、印刷等ができる。尚、RS232Cは、RS232Cインターフェイス(I/F)31で装置に接続される。
また、磁性流体検出装置1は、ACアダプタ34、DC/DCコンバータ33を介して、装置に必要な電圧を生成し、装置に供給している。
【0035】
このように構成される磁性流体検出装置1は、被検体内のセンチネルリンパ節5に滞留している磁性流体6を検出して、センチネルリンパ節5を同定するのに用いられる。
【0036】
先ず、術者は、被検体の病変部の下層に図示しない穿刺針を差し込み、病変部近傍に磁性流体6を局注する。すると、病変部に局注された磁性流体6は、注入部位よりリンパ管に移行し、5分から15分後にセンチネルリンパ節5に達してこのセンチネルリンパ節5に滞留する。
【0037】
そして、術者は、磁性流体検出装置1のプローブ2を図示しない内視鏡の処置具挿通用チャンネルに挿入して用いるか又は、図示しないトラカールを介して外科的に体腔内に挿入して用いる。
【0038】
術者は、プローブ2の先端を患者の病変部近傍に対して、動かしながらセンチネルリンパ節5に滞留している磁性流体6を検出する。
このとき、プローブ2は、励磁磁石11がプローブ近傍の空間を励磁し、磁気センサ12で磁界分布の空間勾配(磁束密度)を測定する。
【0039】
ここで、患者の病変部近傍に磁性流体6が存在していると、励磁磁石11による印加磁界は、磁性流体6付近で吸い込まれて磁界分布に局所的な歪みが生じ、これにより、磁界分布の空間勾配(磁束密度)に変化が生じる。
【0040】
このとき、プローブ2は、所定の発振周波数でアクチュエータ13が駆動されて励磁磁石11及び磁気センサ12が長手軸方向に振動する。すると、励磁磁石11で励磁した磁性流体6による局所磁界に偏調が施される。
【0041】
そして、偏調が施された磁性流体6による局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)は、2つの磁気センサ12で検出される。
磁気センサ12からの出力は、それぞれ増幅器23で増幅され、AC差動増幅器24で出力の差分を取られて増幅される。
【0042】
この場合、磁気センサ12は、磁性流体6の近傍を局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)に対して長手方向に振動しながら該局所磁界(の水平磁界成分)を検出する。また、振幅の変化は、磁性流体6の量に依存している。
【0043】
AC差動増幅器24からの出力は、位相調整器25で調整された位相を乗算器26で乗算されてノイズ成分を除去される。乗算器26からの出力は、LPF27で高調波成分を除去され、振幅成分を取り出される。このようにAC差動増幅器24からの出力が復調される。
【0044】
この信号は、CPU28に出力され、CPU28は、磁束密度の変化を数値に変換して表示部14やスピーカ15を駆動する。
表示部14は、磁束密度の変化をインジケータや数字で表示する。この場合、表示部14は、プローブ2先端が磁性流体6に近づくとき、だんだんインジケータの振れ又は数字が大きくなり、プローブ2先端が磁性流体6から遠ざかるとき、だんだんインジケータの振れ又は数字が小さくなる。
【0045】
また、スピーカ15は、磁束密度の変化に応じた音を発生する。この場合、スピーカ15は、プローブ2先端が磁性流体6に近づくとき、だんだん音が大きくなり、プローブ2先端が磁性流体6から遠ざかるとき、だんだん音が小さくなる。又は、プローブと磁性流体との距離に比例して音の周波数が変化する。
【0046】
この結果、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、操作性良くセンチネルリンパ節5に滞留している磁性流体6の位置を正確に検出でき、センチネルリンパ節5の位置を同定することが可能となる。
【0047】
以上のことから、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、励磁磁石11からの磁界を磁性流体6が乱すことによって形成される磁界の勾配を検出しているので、SQUIDのような高感度センサを用いなくても、磁性流体6が滞留しているセンチネルリンパ節5を同定できる。更に、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、センサ部(2つの磁気センサ12)と励磁磁石11とを振動させて偏調し、復調して信号を得ているので、外部の電気機器等からの磁気ノイズを取り除くことができる。
【0048】
このとき、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、センサ部(2つの磁気センサ12)と励磁磁石11との振動幅が小さいので、外部の電気機器等による磁気ノイズの空間的分布の影響を受けず、磁性流体6によって形成される磁界の局所的空間分布のみ影響を受ける。
【0049】
即ち、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、磁性流体6が磁界を乱している量のみ信号として偏調し、検出しているので、復調したときに得られる信号が磁性流体の影響のみ得られ、磁気ノイズ等を取り除くことができる。
以上のことから、本実施の形態の磁性流体検出装置1は、センチネルリンパ節5の正確な位置を同定することができ、小型で操作性良く、安価である。
【0050】
尚、プローブは、図6に示すように前記励磁磁石11の先端側に磁気センサ12を設けて構成しても良い。
この場合、磁性流体検出装置1は、プローブを立てた状態で、センチネルリンパ節5を探索できるので、狭い場所においても操作がし易くなる。また、プローブ2Bは、プリアンプ部(プリアンプ41)も同時に動かしている。MRセンサの場合、磁界による抵抗変化を測定していることになるので、センサとアンプとの間のリード線が延び縮みすることによって抵抗が変化すると、正確に磁界変化を測定できない。そこで、本変形例のプローブ2Bは、プリアンプ41を一緒に動かすことで、このことを防止できる。尚、プリアンプ41は、増幅器23のみ、又はAC差動増幅器24を含めても良い。
【0051】
また、プローブは、図示しないが前記励磁磁石11及び前記磁気センサ12を回動自在に構成しても良い。この場合、プローブは、前記磁気センサ12と前記制御装置4との電気的接続を図7に示すように回動自在な電極を用いて構成する。
【0052】
図7に示すように電極42は、先端側で磁気センサ12側への信号線12aが接続される電極ブラシ42aを当接し、基端側で制御装置4側への信号線4aが接続されている。このことにより、プローブ2は、アクチュエータ13による回動で磁気センサ12側への信号線12aが捩れて損傷したり断線したりすることを防止可能である。
【0053】
また、プローブは、図8に示すようにU字形の励磁磁石を用いて構成して良い。
図8に示すようにプローブ2Cは、励磁磁石11としてU字形の励磁磁石43を用いて構成されている。
前記磁気センサ12(MRセンサ)は、印加磁界が強すぎると磁気的に飽和してしまい、磁界検出が困難となる。
【0054】
U字形の励磁磁石43は、形成する磁界が一端から出て他端に入る。そこで、前記磁気センサ12は、U字形の励磁磁石43の形成する磁界が掛からないようなU字形の内側に配設する。更に具体的に説明すると、U字形の励磁磁石43は、この形成する磁界が磁気センサ12に対して略平行な向きになるようになっている。尚、点線は、磁力線である。
【0055】
このことにより、プローブ2Cは、磁性流体6を励磁するのに例えば、上記第1の実施の形態で説明した励磁磁石11に比べk(キロ)ガウス程度の大きい磁界を形成でき、且つ、磁気センサ12近傍に形成される磁界を弱く形成できる。
従って、プローブ2Cは、磁性流体6が形成する局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)のみを磁気センサ12により効率良く検出可能である。尚、励磁磁石11は、U字形だけでなく、図示しないが馬蹄形のものでも良い。
【0056】
また、プローブは、図9に示すようにN極S極の同じ極同士の励磁磁石を並べて配列するように構成して良い。
図9に示すようにプローブ2Dは、励磁磁石11としてN極S極の同じ極同士の励磁磁石44を並べて配列し、これら励磁磁石44の間で、形成する磁界が掛からないように前記磁気センサ12を配設して構成されている。尚、点線は、磁力線である。
【0057】
これにより、プローブ2Dは、上記プローブ2Cと同様に磁性流体6を励磁するのに大きい磁界を形成できると共に、磁気センサ12近傍に形成される磁界を弱く形成できる。従って、プローブ2Dは、磁性流体6が形成する局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)のみを磁気センサ12により効率良く検出可能である。
【0058】
本実施の形態では、磁気センサ12をMRセンサとして説明したが、ホール素子やGMRセンサやMIセンサ等の他の磁気センサでも同様に使用することができる。MIセンサの場合、MRセンサと比べると、飽和磁界が小さいので、プローブ2C,2Dのような構成が特に有効である。
【0059】
(第2の実施の形態)
図10ないし図17は本発明の第2の実施の形態に係り、図10は本発明の第2の実施の形態の磁性流体検出装置を構成するプローブを示す説明図、図11は図10の励磁電磁石を示す説明図、図12は図11の励磁電磁石の代わりにU字形の励磁磁石に励磁コイルを巻回して構成した励磁電磁石を示す説明図、図13は図10のプローブの第1の変形例を示す説明図、図14は磁気センサとしてMRセンサを用いた際の説明図であり、図14(a)はMRセンサを直列に接続した際の説明図、図14(b)はMRセンサを並列に接続した際の説明図、図15は本第2の実施の形態の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図、図16は半導体プロセスを用いて磁気センサ及び励磁電磁石を薄膜で形成した際の説明図であり、図16(a)は薄膜磁気センサ及び薄膜コイルを形成されたシリコン基板を示す正面図、図16(b)は同図(a)の側面図、図17は図10のプローブの第2の変形例を示す説明図である。
【0060】
本第2の実施の形態は、励磁磁石として励磁電磁石を用いて構成する。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
【0061】
即ち、図10に示すように本第2の実施の形態の磁性流体検出装置50は、前記励磁磁石11の代わりに励磁電磁石51を先端側に内蔵したプローブ52を設けて構成される。
【0062】
また、磁性流体検出装置50は、前記プローブ内部に前記プリアンプ41と、前記励磁電磁石51を駆動するための励磁コイル駆動回路53とを設けている。
前記励磁電磁石51は、図11に示すようにフェライト磁芯51aに励磁コイル54を巻回して構成される。
【0063】
尚、図12に示すようにU字形の励磁磁石43又は図示しない馬蹄形の励磁磁石に励磁コイル54を巻回して励磁電磁石51Bを構成しても良い。
また、図13に示すようにプローブ52Bは、N極S極の同じ極同士の並べて配列される励磁磁石44に励磁コイル54を巻回して励磁電磁石51Cを構成しても良い。
【0064】
磁気センサ12の配置例を図14に示す。MRセンサの場合、通電方向に垂直にかかる磁界を感じるので、図14(a)のように縦に並べて配置しても、図14(b)のように横に並べて配置しても良い。
【0065】
次に、図15を用いて本第2の実施の形態の磁性流体検出装置50の回路構成を説明する。
前記磁性流体検出装置50は、前記AC差動増幅器24からの出力の位相を調整するための位相調整器25b及び、この位相調整器25bで調整された位相に基づき、所定の発振周波数を発生する発振器21bと、前記励磁コイル駆動回路53とを有して構成される。
【0066】
前記励磁コイル駆動回路53は、前記発振器21bからの発振周波数で前記励磁コイル54に交流電流を流して前記励磁電磁石51を駆動する。
更に、具体的に説明すると、前記励磁コイル駆動回路53は、前記発振器21bからの発振周波数に基づき、励磁磁界の向き(N極S極の向き)を変える交流駆動を行うようになっている。
【0067】
そして、前記励磁電磁石51は、前記励磁コイル駆動回路53から前記励磁コイル54に所定の発振周波数で交流電流が供給されることで、交流磁界を発生し、磁性流体6を励磁すると共に、この励磁した磁性流体6による局所磁界に偏調を施すようになっている。
尚、それ以外の回路構成は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0068】
このように構成される磁性流体検出装置50は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、磁性流体6が滞留しているセンチネルリンパ節5を同定するのに用いられる。
【0069】
そして、磁性流体検出装置50は、励磁電磁磁石51がプローブ近傍の空間を励磁し、磁気センサ12で磁界分布の空間勾配(磁束密度)を測定する。
このとき、プローブ2は、励磁電磁石51に所定の発振周波数で交流電流が励磁コイル54に供給されることで、交流磁界を発生する。
【0070】
すると、磁性流体6は、励磁されると共に、局所磁界に偏調が施される。そして、偏調が施された磁性流体6による局所磁界は、2つの磁気センサ12で検出される。尚、以降の動作は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0071】
この結果、本第2の実施の形態の磁性流体検出装置50は、上記第1の実施の形態と同様な効果を得ることに加え、アクチュエータ13等の稼動部を用いないので、簡単に構成でき、且つ振動が発生しないので、操作性が良い。
【0072】
尚、磁気センサ12及び励磁電磁石51は、図16(a),(b)に示すように半導体プロセスを用いて薄膜で形成しても良い。
図16(a),(b)に示すようにシリコン基板60は、この基板本体60aの回路上に薄膜磁気センサ61を形成され、また、励磁コイルとして薄膜コイル62を形成されて構成される。また、シリコン基板60は、プリアンプとしてシリコン基板上にMOS( Metal Oxide Semiconductor )−IC( Integrated Circuits )アンプ63も形成することが可能である。
これにより、プローブは、更に小型化できる。
【0073】
また、プローブは、図17に示すように把持し易い形状に構成しても良い。  図17に示すようにプローブ52Cは、基端側に把持部70を設けて構成されている。
【0074】
また、把持部70は、押下操作したときに、検出した局所磁界分布の歪み(磁束密度の変化)の値を保持固定するための操作スイッチ71を備えている。このことにより、プローブ52Cは、センチネルリンパ節5としての幾つかの候補の値を比較して絞り込むことができる。
尚、前記操作スイッチ71は、励磁コイル54への電流供給をオンオフするためのものであっても良い。
【0075】
(第3の実施の形態)
図18ないし図24は本発明の第3の実施の形態に係り、図18は本発明の第3の実施の形態の磁性流体検出装置を構成するプローブを示す説明図、図19は図18の励磁電磁石を示す説明図、図20は図19の励磁電磁石が形成する励磁用磁界の磁束密度を示すグラフ、図21は本第3の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図、図22は図20の励磁コイル駆動回路により交流駆動される励磁電磁石の作る(形成する)磁束密度の時間変化を示すグラフ、図23は磁性流体が存在している場合における磁気センサで検出される差動出力を示すグラフ、図24はモニタ用磁気センサを配置した際の説明図である。
【0076】
上記第2の実施の形態は、励磁電磁石を1つ用いて構成しているが、本第3の実施の形態は、励磁電磁石を2つ用いて構成する。それ以外の構成は、上記第2の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
【0077】
即ち、図18に示すように本第3の実施の形態の磁性流体検出装置80は、励磁電磁石を逆向きの極性で2つ組み合わせて構成した励磁電磁石81を先端側に内蔵したプローブ82を設けて構成される。
即ち、本実施の形態の励磁電磁石81は、図19に示すように外側に大口径の大励磁電磁石81Aを配置し、この大励磁電磁石81Aの内側に逆向きの小口径の小励磁電磁石81Bを配置して構成している。
【0078】
前記大励磁電磁石81Aは、口径が大きいほどこの大口径コイルの作る(形成する)磁束密度が遠い距離まで達するようになっている。また、前記小励磁電磁石81Bは、小口径であるのでこの小口径コイルの作る(形成する)磁束密度が所定距離までは、前記大励磁電磁石81Aと同じ位の強度であるが、すぐに減衰するようになっている。
【0079】
そして、本実施の形態の励磁電磁石81は、大口径コイルによる磁束密度と小口径コイルによる磁束密度とが逆向きの極性であるので、互いに打ち消しあって、図20に示すように合成される。尚、図20は、前記励磁電磁石81の長手中心軸上の距離に対する磁束密度の値を示す。
【0080】
図20に示すように、この合成された励磁用磁界の磁束密度は、徐々に大きくなり、口径の大きさに依存して所定距離の所だけ大きくなり、その所定距離を過ぎると小さくなるようになっている。
【0081】
次に、図21を用いて本第3の実施の形態の磁性流体検出装置80の回路構成を説明する。
前記磁性流体検出装置80は、前記位相調整器25cで調整された位相に基づき、発振器21bからの発振周波数で前記励磁電磁石81を駆動する励磁コイル駆動回路83を有して構成される。
【0082】
この励磁コイル駆動回路83は、前記小励磁電磁石81Bを駆動する小励磁コイル駆動回路83Bと、前記大励磁電磁石81Aを駆動する大励磁コイル駆動回路83Aとから構成される。
尚、前記大励磁コイル駆動回路83Aは、反転増幅器84により発振器21bからの位相を反転されるようになっている
ここで、励磁コイル駆動回路83により交流駆動される前記励磁電磁石81の作る(形成する)磁束密度の時間変化は、例えば、図22に示すようになっている。尚、図22は、前記励磁電磁石81の中心軸から水平方向の距離に対する磁束密度の値を示す。
【0083】
この励磁電磁石81の作る(形成する)磁束密度は、上述したように大口径コイルによる磁束密度と小口径コイルによる磁束密度とが互いに打ち消しあって、時間変化に係わらず、常に一定の零点が2つ存在している。
【0084】
そこで、本実施の形態では、上記2つの零点の位置となるように磁気センサ12を配置して、前記励磁電磁石81による磁界の時間変化(交流駆動成分)の影響(ノイズ)を受けないようにしている。
このことにより、前記磁気センサ12は、磁性流体6が存在している場合、この磁性流体6による局所磁界のみを検出でき、即ち、図23に示すようにこれら出力の差動出力が局所磁界成分のみを現すようになっている。
【0085】
また、磁性流体検出装置80は、図24に示すように前記励磁電磁石81の磁界をモニタするためのモニタ用磁気センサ85が2つ配置されている。これらモニタ用磁気センサ85は、これらの出力がそれぞれモニタ用の増幅器86で増幅され、加算器87に入力されるようになっている。
この加算器87は、モニタ用磁気センサ85からの出力を加算して得た積分値を前記位相調整器25cに出力するようになっている。
【0086】
そして、位相調整器25cは、加算器87からの積分値に応じて、前記励磁電磁石81の形成する磁界を一定にするために、前記励磁電磁石81にかける駆動電流の振幅を調整してフィードバックを行うようになっている。
【0087】
このことにより、磁性流体検出装置80は、励磁コイル54の巻き方や、配置の違いによる励磁電磁石81の形成する磁界の影響(ノイズ)を受けないように励磁電磁石81の形成する磁界を調整可能となっている。
尚、それ以外の回路構成は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0088】
このように構成される磁性流体検出装置80は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、磁性流体6が滞留しているセンチネルリンパ節5を同定するのに用いられる。
そして、磁性流体検出装置80は、上記第2の実施の形態で説明したのと同様に励磁電磁磁石51がプローブ近傍の空間を励磁し、磁気センサ12で磁界分布の空間勾配(磁束密度)を測定する。
【0089】
このとき、モニタ用磁気センサ85は、励磁電磁石81の形成する磁界を検出する。そして、制御装置4は、磁気センサ12が励磁電磁石81の形成する磁界の影響(ノイズ)を受けないよう励磁電磁石81の形成する磁界を一定にするために、前記励磁電磁石81にかける駆動電流の振幅を調整してフィードバックを行っている。
【0090】
この結果、本第3の実施の形態の磁性流体検出装置80は、上記第2の実施の形態と同様な効果を得ることに加え、更により正確に効率良くセンチネルリンパ節5を同定できる。
【0091】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0092】
[付記]
(付記項1) 被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の磁石と、
前記磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
を具備し、
前記磁石のみ、前記磁石及び前記複数の磁気センサ、又は前記磁石及び前記複数の磁気センサと前記複数の磁気センサからの出力を増幅するためのプリアンプとを振動又は回動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
【0093】
(付記項2) 被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の電磁石と、
前記複数の電磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
を具備し、
前記電磁石を交流電流で駆動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
【0094】
(付記項3) 前記複数の電磁石は、該複数の電磁石で形成される磁界の相互作用により、前記磁気センサに弱磁界が作用すると共に、前記磁性流体に強磁界が作用するように配置して駆動されることを特徴とする付記項2に記載の磁性流体検出装置。
【0095】
(付記項4) 前記磁石は、2つの磁石が同じ磁極同士が並ぶように平行に配置され、これら2つの磁石の間に前記複数の磁気センサを配置したことを特徴とする付記項1に記載の磁性流体検出装置。
【0096】
(付記項5) 前記磁石は、U字形又は馬蹄形の磁石であり、これらU字形又は馬蹄形の磁石に囲まれた間に前記複数の磁気センサを配置したことを特徴とする付記項1に記載の磁性流体検出装置。
【0097】
(付記項6) 前記磁石のみ、前記磁石及び前記複数の磁気センサ、又は前記磁石及び前記複数の磁気センサと前記プリアンプとを振動又は回動するためのアクチュエータを有し、
前記磁石、前記磁気センサ、前記アクチュエータ、前記プリアンプが、非磁性材料で形成された水密構造の1つのプローブに収納されていることを特徴とする付記項1に記載の磁性流体検出装置。
【0098】
(付記項7) 前記電磁石は、フェライト磁芯がU字形又は馬蹄形の磁石であり、これらU字形又は馬蹄形の磁石に囲まれた間に前記複数の磁気センサを配置したことを特徴とする付記項2に記載の磁性流体検出装置。
【0099】
(付記項8) 前記電磁石を駆動するための駆動回路を有し、
前記電磁石、前記磁気センサ、前記プリアンプが、非磁性材料で形成された水密構造の1つのプローブに収納されていることを特徴とする付記項2に記載の磁性流体検出装置。
【0100】
(付記項9) 前記磁気センサが薄膜センサで形成されると共に、前記電磁石が薄膜コイルと薄膜磁性体とで形成され、且つ前記プリアンプと同一の半導体基板上に形成されたことを特徴とする付記項2に記載の磁性流体検出装置。
【0101】
(付記項10) 前記複数の電磁石を磁界が時間的に変化しない点に配置し、前記磁気センサを磁界が変化しない点に配置したことを特徴とする付記項3に記載の磁性流体検出装置。
【0102】
(付記項11) 前記電磁石は、大小2つの電磁石を同心になるように配置したものであることを特徴とする付記項3に記載の磁性流体検出装置。
【0103】
(付記項12) 前記電磁石を2つ平行に配置し、同じ極が並ぶように電流を通電し、その電磁石の間に磁界がかからない方向に感磁方向に向けて、前記磁気センサを配置したことを特徴とする付記項3の磁性流体検出装置。
【0104】
(付記項13) 前記磁気センサは、MI( Magnetic Inpedance )センサであることを特徴とする付記項5又は7に記載の磁性流体検出装置。
【0105】
(付記項14) 前記磁気センサは、MR( Magnetic Resistance )センサであることを特徴とする付記項5又は7に記載の磁性流体検出装置。
【0106】
(付記項15) 前記アクチュエータを駆動するドライバを有し、
前記ドライバ又は前記プリアンプを磁気的にシールドしていること特徴とする付記項6に記載の磁性流体検出装置。
【0107】
(付記項16) 前記駆動回路又は前記プリアンプを磁気的にシールドしていること特徴とする付記項8に記載の磁性流体検出装置。
【0108】
(付記項17) 前記複数の電磁石を上下対象になるように配置し、これら複数の電磁石で形成される磁界を検出するための1個又は複数の電磁石用の磁気センサを配置し、
前記電磁石用の磁気センサの出力又は、これら出力の加算が一定になるように、前記複数の電磁石のうち、所定の電磁石にフィードバックすることを特徴とする付記項10に記載の磁性流体検出装置。
【0109】
(付記項18) 物質内部に滞留している磁性流体を励磁するための電磁石と、
前記電磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
を具備し、
前記電磁石を交流電流で駆動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
【0110】
(付記項19) 物質内部に滞留している磁性流体を励磁するための複数の電磁石と、
前記複数の磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
を具備し、
前記複数の電磁石で生成される磁界の相互作用により、前記磁気センサに弱磁界が作用すると共に、前記磁性流体に強磁界が作用するように、前記複数の電磁石を配置して駆動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
【0111】
(付記項20) 前記電磁石は、フェライト磁芯がU字形又は馬蹄形の磁石であり、これらU字形又は馬蹄形の磁石に囲まれた間に前記複数の磁気センサを配置したことを特徴とする付記項18に記載の磁性流体検出装置。
【0112】
(付記項21) 前記電磁石を駆動するための駆動回路を有し、
前記電磁石、前記磁気センサ、前記プリアンプが、非磁性材料で形成された水密構造の1つのプローブに収納されていることを特徴とする付記項18又は19に記載の磁性流体検出装置。
【0113】
(付記項22) 前記磁気センサが薄膜センサで形成されると共に、前記電磁石が薄膜コイルと薄膜磁性体とで形成され、且つ前記プリアンプと同一の半導体基板上に形成されたことを特徴とする付記項18又は19に記載の磁性流体検出装置。
【0114】
(付記項23) 前記磁気センサは、MI( Magnetic Inpedance )センサであることを特徴とする付記項18又は19に記載の磁性流体検出装置。
【0115】
(付記項24) 前記磁気センサは、MR( Magnetic Resistance )センサであることを特徴とする付記項18又は19に記載の磁性流体検出装置。
【0116】
(付記項25) 前記複数の電磁石を磁界が時間的に変化しない点に配置し、前記磁気センサを磁界が変化しない点に配置したことを特徴とする付記項19に記載の磁性流体検出装置。
【0117】
(付記項26) 前記電磁石は、大小2つの電磁石を同心になるように配置したものであることを特徴とする付記項19に記載の磁性流体検出装置。
【0118】
(付記項27) 前記電磁石を2つ平行に配置し、同じ極が並ぶように電流を通電し、その電磁石の間に磁界がかからない方向に感磁方向に向けて、前記磁気センサを配置したことを特徴とする付記項19の磁性流体検出装置。
【0119】
(付記項28) 前記駆動回路又は前記プリアンプを磁気的にシールドしていること特徴とする付記項22に記載の磁性流体検出装置。
【0120】
(付記項29) 前記複数の電磁石を上下対象になるように配置し、これら複数の電磁石で形成される磁界を検出するための1個又は複数の電磁石用の磁気センサを配置し、
前記電磁石用の磁気センサの出力又は、これら出力の加算が一定になるように、前記複数の電磁石のうち、所定の電磁石にフィードバックすることを特徴とする付記項25に記載の磁性流体検出装置。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、操作性良く、安価な磁性流体検出装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁性流体検出装置を示す全体構成図
【図2】外部磁界(の磁束密度)検出の原理を示す説明図
【図3】磁気センサの検出動作を示す説明図
【図4】図3の磁気センサを2つ用いた際の説明図
【図5】本第1の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図
【図6】図1のプローブの第1の変形例を示す説明図
【図7】回動自在な電極を示す概略図
【図8】図1のプローブの第2の変形例を示す説明図
【図9】図1のプローブの第3の変形例を示す説明図
【図10】本発明の第2の実施の形態の磁性流体検出装置を構成するプローブを示す説明図
【図11】図10の励磁電磁石を示す説明図
【図12】図11の励磁電磁石の代わりにU字形の励磁磁石に励磁コイルを巻回して構成した励磁電磁石を示す説明図
【図13】図10のプローブの第1の変形例を示す説明図
【図14】磁気センサとしてMRセンサを用いた際の説明図
【図15】本第2の実施の形態の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図
【図16】半導体プロセスを用いて磁気センサ及び励磁電磁石を薄膜で形成した際の説明図
【図17】図10のプローブの第2の変形例を示す説明図
【図18】本発明の第3の実施の形態の磁性流体検出装置を構成するプローブを示す説明図
【図19】図18の励磁電磁石を示す説明図
【図20】図19の励磁電磁石が形成する励磁用磁界の磁束密度を示すグラフ
【図21】本第3の磁性流体検出装置の回路構成を示す回路ブロック図
【図22】図20の励磁コイル駆動回路により交流駆動される励磁電磁石の作る(形成する)磁束密度の時間変化を示すグラフ
【図23】磁性流体が存在している場合における磁気センサで検出される差動出力を示すグラフ
【図24】モニタ用磁気センサを配置した際の説明図
【符号の説明】
1…磁性流体検出装置
2…プローブ
4…制御装置
5…センチネルリンパ節
6…磁性流体
11…励磁磁石
12…磁気センサ
12A…MRセンサ
13…アクチュエータ
14…表示部
15…スピーカ
21…発振器
22…ドライバ
23…増幅器
24…AC差動増幅器
25…位相調整器
26…乗算器
27…ローパスフィルタ(LPF)
28…CPU
41…プリアンプ

Claims (3)

  1. 被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の磁石と、
    前記磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
    を具備し、
    前記磁石のみ、前記磁石及び前記複数の磁気センサ、又は前記磁石及び前記複数の磁気センサと前記複数の磁気センサからの出力を増幅するためのプリアンプとを振動又は回動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
  2. 被検体内部に滞留している磁性流体を励磁するための1個又は、複数の電磁石と、
    前記複数の電磁石で励磁した前記磁性流体による局所磁界分布の歪みを検出するための複数の磁気センサと、
    を具備し、
    前記電磁石を交流電流で駆動し、前記複数の磁気センサからの出力の差分を取り、更に復調することで前記磁性流体を検出することを特徴とする磁性流体検出装置。
  3. 前記複数の電磁石は、該複数の電磁石で形成される磁界の相互作用により、前記磁気センサに弱磁界が作用すると共に、前記磁性流体に強磁界が作用するように配置して駆動されることを特徴とする請求項2に記載の磁性流体検出装置。
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