JP2004120855A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニッケル−水素二次電池を複数個直列に接続して成る組電池4と、商用電源1からの交流電力を整流して例えば通信機器を含む負荷および組電池に対して直流電力を供給する整流器2と、整流器からの直流電力を受けて組電池に対する電気量の充電を制御する充電制御手段5と、組電池に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段6と、組電池の電圧情報V11〜V14、電流情報I1、および温度情報Tb1に基づいて、少なくとも組電池の残存容量を演算し、組電池の状態を監視する電池監視手段7とを備え、電池監視手段は、演算した残存容量が第1の残存容量値以下になった場合、充電開始要求を発して充電制御手段に組電池への充電を開始させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源装置に関し、特に無線通信の基地局等に設置され、停電時等のバックアップ用電源としてニッケル−水素二次電池が塔載された通信用直流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話等の基地局に設置される通信用直流電源装置には、停電時や保守時のバックアップ用電源として、鉛蓄電池が使用されてきた(例えば、特許文献1参照)。この鉛蓄電池は、商用電源の交流電圧を整流器により整流した直流電圧によりフロート充電され、特に充電制御は行われていなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−315015号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、通信用直流電源装置に対する電力需要が増大しており、またその設置スペースも限られている。しかしながら、通信用直流電源装置のバックアップ用電源として鉛蓄電池を用いた場合、高容量化や省スペース化の点で問題があり、また、経年劣化による寿命も短く、保守・点検等によりコストが増大するという問題もある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、鉛蓄電池に代えてニッケル−水素二次電池を用いることで、高容量化や省スペース化、また長寿命化を図ったバックアップ用電源を塔載した電源装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の電源装置は、ニッケル−水素二次電池を複数個直列に接続して成る組電池と、商用電源からの交流電力を整流して例えば通信機器を含む負荷および組電池に対して直流電力を供給する整流器と、整流器からの直流電力を受けて組電池に対する電気量の充電を制御する充電制御手段と、組電池に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段と、組電池の電圧情報(V11、V12、V13、V14)、電流情報(I1)、および温度情報(Tb1)に基づいて、少なくとも組電池の残存容量(SOC1)を演算し、組電池の状態を監視する電池監視手段(電池ECU)とを備え、電池監視手段は、演算した残存容量が第1の残存容量値(SOCt1)以下になった場合、充電開始要求(CSTART)を発して充電制御手段に組電池への充電を開始させるとともに、演算した残存容量が第2の残存容量値(SOCt2)以下になった場合、放電停止要求(DSTOP)を発して放電制御手段に組電池からの放電を停止させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、バックアップ用電源としてニッケル−水素二次電池が複数個直列に接続された組電池を用いて、電池監視手段(電池ECU(Electronic Control Unit))により、演算された組電池の残存容量が第1の残存容量値(例えば、80%)以下になったと判断された場合、充電制御手段に組電池への充電を開始させ、また、演算された組電池の残存容量が第2の残存容量値(放電下限残存容量値)以下になったと判断された場合、放電制御手段に組電池からの放電を停止させる。これにより、エネルギー密度が高く(すなわち、コンパクトにエネルギーを蓄積できる)、出力密度も高いニッケル−水素二次電池を用いて、その残存容量に応じて充放電制御を行うことで、高容量化や省スペース化、また長寿命化を図ったバックアップ用電源を塔載した電源装置を実現することができる。
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第2の電源装置は、ニッケル−水素二次電池を複数個直列に接続して成る組電池が複数個並列に接続された複数の組電池と、商用電源からの交流電力を整流して負荷および複数の組電池に対して直流電力を供給する整流器と、整流器からの直流電力を受けて複数の組電池に対する電気量の充電を制御する充電制御手段と、複数の組電池に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段と、複数の組電池の電圧情報(V11、V12、V13、V14;V21、V22、V23、V24)、電流情報(I1;I2)、および温度情報(Tb1;Tb2)に基づいて、少なくとも複数の組電池の残存容量(SOC1;SOC2)を演算し、複数の組電池の状態を監視する電池監視手段(電池ECU)とを備え、電池監視手段は、演算した複数の組電池のうちある組電池の残存容量が第1の残存容量値(SOCt1)以下になった場合、充電開始要求(CSTART1;CSTART2)を発して充電制御手段に該当組電池への充電を開始させるとともに、演算した複数の組電池のうちある組電池の残存容量が第2の残存容量値(SOCt2)以下になった場合、放電停止要求(DSTOP1;DSTOP2)を発して放電制御手段に該当組電池からの放電を停止させることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第1の電源装置の利点に加えて、並列に接続された組電池を設けることで、更なる高容量化を図ることができ、また、いずれかの組電池が劣化した場合でも、残りの組電池をバックアップ用電源として使用することができる。
【0010】
第1および第2の電源装置はさらに、負荷に供給される組電池の電圧が第1の電圧値(負荷の動作保証電圧の下限値よりも高い電池電圧値、例えば46ボルト)を下回った場合、負荷に供給される電圧を昇圧して第1の電圧値に維持する昇圧手段を備えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、停電等が発生した際に組電池が放電末期に至り電池電圧が低下している場合に、電池電圧を昇圧して負荷に動作保証電圧を供給することができる。
【0012】
第1および第2の電源装置はさらに、負荷に供給される組電池の電圧が第2の電圧値(負荷の動作保証電圧の上限値よりも低い電池電圧値、例えば、55ボルト)を上回った場合、負荷に供給される電圧を降圧して第2の電圧値に維持する降圧手段を備えることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、組電池が満充電に近い状態にあり電池電圧が上昇している場合に、電池電圧を降圧して負荷に動作保証電圧を供給することができる。
【0014】
第1および第2の電源装置において、放電制御手段が降圧手段の機能を兼ねることが好ましい。これにより、容易に降圧手段を構成することができる。
【0015】
第1および第2の電源装置はさらに、組電池の深放電が検出された場合、負荷への放電を停止する過放電防止手段を備えることが好ましく、この場合、放電制御手段が過放電防止手段の機能を兼ねることが好ましい。
【0016】
第1および第2の電源装置はさらに、整流器の動作を制御するとともに、電池監視手段からの指示に応じて充電制御手段および放電制御手段を制御する監視制御部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、監視制御部は、通常動作時には、電池監視手段による制御の下で、また、定期的に組電池の劣化を判定するための放電容量試験時には、電池監視手段に試験要求を発して、組電池の充放電制御を行うことができる。
【0018】
第1および第2の電源装置において、電池監視手段は、組電池への充電を行っている間に、温度情報に基いて組電池の温度が所定温度(例えば、60℃)以上になったと判断した場合、充電停止要求(CSTOP)を発して充電制御手段に組電池への充電を中断させることが好ましい。
【0019】
この場合、電池監視手段は、充電停止要求を発した後、充電制御手段に組電池への充電を中断させている間に、温度情報に基いて組電池の温度が所定温度(例えば、60℃)未満になったと判断した場合、充電開始要求(CSTART)を発して充電制御手段に組電池への充電を再開させることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、組電池の温度が高い場合には充電効率が悪化するため、組電池への充電を一時中断し、組電池の温度が低下するのを待って、充電を再開することで、組電池に対して最適な充電制御を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置の一構成例を示すブロック図である。図1において、1は50Hzまたは60Hzの商用電源、2は商用電源1の交流電力を整流して直流電力(例えば、公称電圧VCC=−48V)を生成する整流器、3は通信機器等を含む負荷(電流定格としては、例えば60A)、4はニッケル−水素二次電池からなる単位電池(例えば、電池モジュール)が4つ直列に接続された組電池(例えば、容量100Ah)、5は整流器2からの直流電力を受けて組電池4に対する電気量の充電を制御する充電制御手段、6は組電池4に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段、7は組電池4の電圧情報(V11、V12、V13、V14)、電流情報(I1)、および温度情報(Tb1)に基づいて、少なくとも組電池4の残存容量(State of Charge)SOC1を演算し、組電池4の状態を監視する電池監視手段(電池ECU(Electronic Control Unit))、8は組電池4に流れる充放電電流を検出する電流センサである。充電制御手段5および放電制御手段6は、それぞれ、パワースイッチ素子および逆流防止用のダイオードを含んで構成される。
【0023】
次に、このように構成された電源装置の動作について説明する。
【0024】
通常、電池ECU7は、例えば停電時など商用電源1からの交流電力が遮断された場合に備えて、充電制御手段5におけるパワースイッチ素子をオフ状態に制御し、また放電制御手段6におけるパワースイッチ素子をオン状態に制御して、整流器2からの直流電圧が低下しても、組電池4から負荷3に直流電力を供給できるように待機している。
【0025】
また、電池ECU7は、組電池4を構成する4つの電池モジュールのそれぞれの電圧情報V11、V12、V13、V14、電流センサ8からの電流情報I1、および温度センサ(不図示)からの温度情報Tb1に基づいて、組電池4の現在の残存容量SOC1を演算している。なお、残存容量SOC1の演算方法については、周知事項であるためここでは説明しない。
【0026】
電池ECU7は、演算している現在の残存容量SOC1が第1の残存容量値SOCt1(例えば、80%)以下になったと判断した場合、充電開始要求(CSTART)を発し、充電制御手段5のパワースイッチ素子をオフ状態からオン状態に遷移させて、整流器2からの直流電流により組電池4の充電を行う。
【0027】
その後、電池ECU7は、組電池4が満充電に達したと判断した場合、充電停止要求(CSTOP)を発し、充電制御手段5のパワースイッチ素子をオン状態からオフ状態に遷移させて、停電時などに備えて、組電池4から負荷3に直流電力を供給できるように待機する。ここで、組電池4が満充電に達したことの判断は、例えば、組電池4の温度情報Tb1から、電池温度の時間に対する変化率(温度勾配)を算出し、温度勾配が所定値以上になったことをもって行われる。
【0028】
また、電池ECU7は、演算している現在の残存容量SOC1が第2の残存容量値SOCt2(放電下限残存容量値)以下になったと判断した場合、放電停止要求(DSTOP)を発し、放電制御手段6のパワースイッチ素子をオン状態からオフ状態に遷移させて、組電池4から負荷3への電力供給を停止する。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、エネルギー密度が高く(すなわち、コンパクトにエネルギーを蓄積できる)、出力密度も高いニッケル−水素二次電池を用いて、その残存容量に応じて充放電制御を行うことで、高容量化や省スペース化、また長寿命化を図ったバックアップ用電源を塔載した電源装置を実現することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る電源装置の一構成例を示すブロック図である。なお、図2において、第1の実施形態と同じ構成および機能を有する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、組電池が第1の組電池41と第2の組電池42の並列接続で構成され、それぞれの電流経路に電流センサ81と82が設けられている点と、昇圧手段9および監視制御部(MPU)10を設けた点にある。なお、図2には、2つの組電池が並列に接続された場合を例示しているが、必要に応じて3つ以上であってもよいことは言うまでもない。
【0032】
第1の組電池41および第2の組電池42はともに、第1の実施形態における組電池4と同様に、ニッケル−水素二次電池からなる単位電池(例えば、電池モジュール)が4つ直列に接続されて構成される。
【0033】
昇圧手段9は、停電時や電池容量の試験時など整流器2からの直流電圧が低下しており、また放電末期で第1の組電池41と第2の組電池42の電圧が第1の電圧値(負荷3の動作保証電圧の下限値よりも高い電池電圧値、例えば46ボルト)を下回った場合に、負荷3に供給する電圧を昇圧して第1の電圧値に維持する働きをする。
【0034】
監視制御部(MPU)10は、第1の組電池41および第2の組電池42の容量試験時において、整流器2からの出力電圧を制御したり、電池ECU7からの指示(充電開始要求(CSTART)、充電停止要求(CSTOP)、放電開始要求(DSTART)、放電停止要求(DSTOP)など)に応じて、充電制御手段5および放電制御手段6による充放電動作を制御する。なお、充電制御手段5および放電制御手段6は、それぞれ、第1の組電池41および第2の組電池42に対応して、2組のパワースイッチ素子および逆流防止用ダイオードを含んで構成される。
【0035】
次に、このように構成された電源装置の充放電動作について、図2に加えて、図3および図4を参照して説明する。
【0036】
図3は、図2の電源装置における基本的な充放電動作を示す図で、図4は、図2の電源装置における充電中断が発生した場合の充放電動作を示す図である。なお、図3および図4の上側は、充放電による第1の組電池41の残存容量SOC1の時間変化および第2の組電池42の残存容量SOC2の時間変化を示し、図3および図4の下側は、各種要求および状態を指示するフラグを示す。
【0037】
図3において、期間T1(初期充電期間)の開始時(電池交換時)に、電池ECU7が、第1の組電池41に対する充電開始要求(CSTART1)を発すると、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第1の組電池41に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0038】
次に、電池ECU7が第1の組電池41の残存容量SOC1が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC1を発して、第1の組電池41に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART1)を解除する。この状態で、第1の組電池41はバックアップ用電源としての待機状態に入る。
【0039】
同時に、電池ECU7は、第2の組電池42に対する充電開始要求(CSTART2)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第2の組電池42に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0040】
次に、電池ECU7が第2の組電池42の残存容量SOC2が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC2を発して、第2の組電池42に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART2)を解除する。この状態で、第2の組電池42はバックアップ用電源としての待機状態に入る。
【0041】
第1の組電池41および第2の組電池42が待機状態にある期間T2において、組電池の自己放電に起因して、残存容量SOC1、SOC2が低下する。第1の組電池41の残存容量SOC1が第1の残存容量値SOCt1(例えば、80%)まで低下すると、電池ECU7は、第1の組電池41に対する充電開始要求(CSTART1)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第1の組電池41に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0042】
次に、電池ECU7は、第1の組電池41の残存容量SOC1が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC1を発して、第1の組電池41に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART1)を解除する。これにより、第1の組電池41に対して補充電が行われる。
【0043】
また、第2の組電池42の残存容量SOC2が第1の残存容量値SOCt1(例えば、80%)まで低下すると、電池ECU7は、第2の組電池42に対する充電開始要求(CSTART2)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第2の組電池42に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0044】
次に、電池ECU7は、第2の組電池42の残存容量SOC2が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC2を発して、第2の組電池42に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART2)を解除する。これにより、第2の組電池42に対して補充電が行われる。
【0045】
このようにして、期間T2では、第1の組電池41および第2の組電池42の自己放電と、それによる残存容量の低下を補償するための補充電とが繰り返し行われる。
【0046】
期間T3では、電池の劣化状態を判定するために、MPU10により、例えば交換時から6ヶ月毎に電池容量試験が実施される。ここでは、第2の組電池42に対する電池容量試験を例にとって説明する。まず、試験待機中フラグ(WAIT)が立てられ、所定時間経過した後、試験待機中フラグ(WAIT)が下げられると同時に、試験充電中フラグ(TCS)が立てられる。電池ECU7は、第2の組電池42に対する充電開始要求(CSTART2)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第2の組電池42に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0047】
次に、電池ECU7は、第2の組電池42の残存容量SOC2が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC2を発して、第2の組電池42に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART2)を解除する。
【0048】
同時に、電池ECU7は、第2の組電池42に対する電池容量試験中に停電などが発生した場合に備えて、バックアップ用の第1の組電池41に対する充電開始要求(CSTART1)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第1の組電池41に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0049】
次に、電池ECU7は、第1の組電池41の残存容量SOC1が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC1を発して、第1の組電池41に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART1)を解除する。
【0050】
これにより、試験充電中フラグ(TCS)が下げられ、試験充電終了フラグ(TCE)が所定時間立てられる。
【0051】
試験充電終了フラグ(TCE)が下げられると、電池ECU7は、第1の組電池41に対する放電停止要求(DSTOP1)を発し、これを受けて、MPU10は、放電制御手段6の対応するパワースイッチ素子をオフ状態に制御し、第1の組電池41からの放電を禁止する。この後、電池ECU7は、第2の組電池42に対する放電開始要求(DSTART2)を発し、これを受けて、MPU10は、試験中フラグTESTを立て、放電制御手段6の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御するとともに、整流器2を制御してその出力電圧を所定値(例えば、45ボルト)にまで低下させて、第2の組電池42からの試験放電が開始される。
【0052】
ここで、整流器2の出力電圧が下がり、第2の組電池42からの放電により電池電圧が低下して、負荷に供給される電圧が第1の電圧値(例えば、46ボルト)に達すると、昇圧手段9が動作し、電池電圧を昇圧して、負荷3に供給する電圧を第1の電圧値(例えば、46ボルト)に維持する。これにより、負荷3に動作保証電圧を供給することができる。
【0053】
次に、電池ECU7は、電圧情報V11〜V14、V21〜V24から電池電圧が放電下限電圧値(例えば、43ボルト)に達したことを検出すると、試験終了をMPU10に通知する。これを受けて、MPU10は、試験終了フラグ(TEND)を立てる。このとき、電池ECU7は、放電電流から放電電気量を算出し、放電電気量が所定の閾値(例えば、80Ah)を越えたか否かを判定する。判定した結果、放電電気量が所定の閾値を越えている場合は、蓄電能力の劣化無しとして、一方、放電電気量が所定の閾値以下である場合、蓄電能力の劣化有りとして、電池ECU7は、MPU10に試験結果を報告する。
【0054】
このようにして電池容量試験が終了すると、期間T4において、電池ECU7は、第1の組電池41に対する放電停止要求(DSTOP1)を解除するとともに、第2の組電池42に対する充電開始要求(CSTART2)を発し、これを受けて、MPU10は、充電制御手段5の対応するパワースイッチ素子をオン状態に制御し、第2の組電池42に対する充電(例えば、10Aの定電流充電)が行われる。
【0055】
次に、電池ECU7は、第2の組電池42の残存容量SOC2が満充電(100%)に達したことを検出すると、充電電流制御要求CC2を発して、第2の組電池42に対して例えば3Aの充電を所定時間行わせ、充電開始要求(CSTART2)を解除する。
【0056】
以降の期間T5では、期間T2と同様に、第1の組電池41および第2の組電池42の自己放電と、それによる残存容量の低下を補償するための補充電とが繰り返し行われる。
【0057】
図4は、図2の電源装置における充電中断が発生した場合の充放電動作を示す図であるが、期間T2およびT4は、図3のそれらと同様である。図4が図3と異なる点は、初期充電期間である期間T1において、第2の組電池42に対して初期充電の中断が発生し、また電池容量試験期間である期間T3において、第1の組電池41に対して補充電の中断が発生している点にある。
【0058】
図4の期間T1において、第2の組電池42への初期充電中に、電池ECU7が、温度情報Tb2から第2の組電池42の温度が所定温度(例えば、60℃)以上になったことを検出した場合、高温により充電効率が低下しているため、立ち上げていた充電開始要求(CSTART2)を一旦解除して、充電を中断する。
【0059】
充電の中断により、第2の組電池42の温度が所定温度(例えば、60℃)未満にまで低下した場合、電池ECU7は、充電開始要求(CSTART2)を再度発して、第2の組電池42への充電を再開する。
【0060】
また、図4の期間T3において、第1の組電池41への補充電中に、電池ECU7が、温度情報Tb1から第1の組電池41の温度が所定温度(例えば、60℃)以上になったことを検出した場合、高温により充電効率が低下しているため、立ち上げていた充電開始要求(CSTART1)を一旦解除して、充電を中断する。
【0061】
充電の中断により、第1の組電池41の温度が所定温度(例えば、60℃)未満にまで低下した場合、電池ECU7は、充電開始要求(CSTART1)を再度発して、第1の組電池41への充電を再開する。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、第1の電源装置の利点に加えて、並列に接続された第1の組電池と第2の組電池を設けることで、更なる高容量化を図ることができ、また、いずれかの組電池が劣化した場合でも、残りの組電池をバックアップ用電源として使用することができる。
【0063】
なお、上記の各実施形態において、放電制御手段6が降圧手段としての機能を兼ねることもできる。残存容量が高い期間において電池電圧が上昇して第2の電圧値(負荷3の動作保証電圧の上限値よりも低い電池電圧値、例えば55ボルト)に達した場合、降圧手段が動作し、電池電圧を降圧して、負荷3に供給する電圧を第2の電圧値(例えば、55ボルト)に維持する。これにより、負荷3に動作保証電圧を供給することができる。
【0064】
また、上記の各実施形態において、放電制御手段6が過放電防止手段としての機能を兼ねることもできる。電池ECU7は、電池電圧が放電終端電圧値にまで低下したことにより深放電を検出した場合、放電停止要求を発して、放電制御手段6に組電池からの放電を停止させる。これにより、過放電を容易に防止することができる。
【0065】
また、上記の各実施形態において、電源装置が組電池に対する冷却手段(例えば、冷却ファン)を備えてもよい。この場合、電池ECU7は、組電池への充電を行っている間、また充電終了後も電池温度が高ければ、冷却ファンをオンにし、組電池を冷却させる。これにより、組電池の充電効率の低下を抑えて、最適な充電制御を行うことができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エネルギー密度が高く(すなわち、コンパクトにエネルギーを蓄積できる)、出力密度も高いニッケル−水素二次電池を用いて、その残存容量に応じて充放電制御を行うことで、高容量化や省スペース化、また長寿命化を図ったバックアップ用電源を塔載した電源装置を実現することができる、という格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源装置の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る電源装置の構成例を示すブロック図
【図3】図2の電源装置における基本的な充放電動作を示す図
【図4】図2の電源装置における充電中断が発生した場合の充放電動作を示す図
【符号の説明】
1 商用電源
2 整流器
3 負荷
4 組電池
41 第1の組電池
42 第2の組電池
5 充電制御手段
6 放電制御手段
7 電池監視手段(電池ECU)
8、81、82 電流センサ
9 昇圧手段
10 監視制御部(MPU)
Claims (11)
- ニッケル−水素二次電池を複数個直列に接続して成る組電池と、
商用電源からの交流電力を整流して負荷および前記組電池に対して直流電力を供給する整流器と、
前記整流器からの直流電力を受けて前記組電池に対する電気量の充電を制御する充電制御手段と、
前記組電池に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段と、
前記組電池の電圧情報、電流情報、および温度情報に基づいて、少なくとも前記組電池の残存容量を演算し、前記組電池の状態を監視する電池監視手段とを備え、
前記電池監視手段は、演算した前記残存容量が第1の残存容量値以下になった場合、充電開始要求を発して前記充電制御手段に前記組電池への充電を開始させるとともに、演算した前記残存容量が第2の残存容量値以下になった場合、放電停止要求を発して前記放電制御手段に前記組電池からの放電を停止させることを特徴とする電源装置。 - ニッケル−水素二次電池を複数個直列に接続して成る組電池が複数個並列に接続された複数の組電池と、
商用電源からの交流電力を整流して負荷および前記複数の組電池に対して直流電力を供給する整流器と、
前記整流器からの直流電力を受けて前記複数の組電池に対する電気量の充電を制御する充電制御手段と、
前記複数の組電池に充電された電気量の放電を制御する放電制御手段と、
前記複数の組電池の電圧情報、電流情報、および温度情報に基づいて、少なくとも前記複数の組電池の残存容量を演算し、前記複数の組電池の状態を監視する電池監視手段とを備え、
前記電池監視手段は、演算した前記複数の組電池のうちある組電池の残存容量が第1の残存容量値以下になった場合、充電開始要求を発して前記充電制御手段に該当組電池への充電を開始させるとともに、演算した前記複数の組電池のうちある組電池の残存容量が第2の残存容量値以下になった場合、放電停止要求を発して前記放電制御手段に前記該当組電池からの放電を停止させることを特徴とする電源装置。 - 前記電源装置はさらに、前記負荷に供給される前記組電池の電圧が負荷の動作可能な第1の電圧値を下回った場合、前記負荷に供給される電圧を昇圧して前記第1の電圧値に維持する昇圧手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電源装置。
- 前記電源装置はさらに、前記負荷に供給される前記組電池の電圧が負荷の動作可能な第2の電圧値を上回った場合、前記負荷に供給される電圧を降圧して前記第2の電圧値に維持する降圧手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電源装置。
- 前記放電制御手段が前記降圧手段の機能を兼ねることを特徴とする請求項4記載の電源装置。
- 前記電源装置はさらに、前記組電池の深放電が検出された場合、前記負荷への放電を停止する過放電防止手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電源装置。
- 前記放電制御手段が前記過放電防止手段の機能を兼ねることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
- 前記電源装置はさらに、前記整流器の動作を制御するとともに、前記電池監視手段からの指示に応じて前記充電制御手段および前記放電制御手段を制御する監視制御部を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の電源装置。
- 前記電池監視手段は、前記組電池への充電を行っている間に、前記温度情報に基いて前記組電池の温度が所定温度以上になったと判断した場合、充電停止要求を発して前記充電制御手段に前記組電池への充電を中断させることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の電源装置。
- 前記電池監視手段は、前記充電停止要求を発した後、前記充電制御手段に前記組電池への充電を中断させている間に、前記温度情報に基いて前記組電池の温度が前記所定温度未満になったと判断した場合、前記充電開始要求を発して前記充電制御手段に前記組電池への充電を再開させることを特徴とする請求項9記載の電源装置。
- 前記負荷は、通信機器を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の電源装置。
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