JP2004120790A - 共振器及び高周波フィルタ - Google Patents

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榎原 晃
Michio Okajima
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Abstract

【課題】 小型化されつつ、低損失で特性の安定したTMモード共振器を提供する。
【解決手段】 共振器3は、円柱状の誘電体1と、誘電体1の表面の上を密着して覆う導体膜2とを備えている。導体膜2は円筒部Rclと2つの平面部Rflとによって構成されている。導体膜2は、誘電体1の表面にメタライズ処理などを施すことにより、形成されている。導体膜2が誘電体1と密着した状態で誘電体1の表面を覆っているので、円筒部Rclから2つの平面部Rflに亘って高周波誘導電流が流れても、コーナー部での接続状態の不安定性に起因するQ値の劣化などを抑制することができる。
【選択図】    図1

Description

 本発明は、移動体通信システムの高周波回路装置などに用いられ、高周波フィルタなどを構成する共振器に関する。
 従来より、高周波通信システムにおいては、高周波フィルタをはじめとする共振器を基本に構成される高周波回路用素子が不可欠の要素である。そして、低損失な高周波フィルタを構成するための共振器としては、誘電体を遮蔽導体の中に固定した誘電体共振器が多く用いられている。
 図19(a),(b)は、従来より低損失の誘電体フィルタに良く用いられているTE01δ モードを基本モードとする誘電体共振器の斜視図及び断面図である。この誘電体共振器503は、円柱状の誘電体501と、誘電体501の周囲を間隙を隔てて囲む円柱状の筐体502とを備えている。誘電体501は筐体502の底壁に台座を介して接続されており、筐体502の天井部は、誘電体501の上面とはある間隙をもって設けられ、筐体502の側壁(円筒面部)は、誘電体501の円筒面部とは間隙をもって設けられている。
 なお、図19(a),(b)に示す共振器の筐体502は、実際には図20に示すように、筐体本体と蓋とによって構成されているが、図19(a),(b)においては、筐体502の構造が簡略化して示されている。
 このTEモードを用いた共振器(以下、「TEモード共振器」という)は、他のモードを用いたものに比べて、損失が小さく、良好なQ値を示すという点で優れているが、大きな体積を要するという欠点もある。したがって、共振器の小型化を望む場合には、ある程度Q値に関する特性を犠牲にして、TEモード以外のモードを基本モードとする共振器を用いることがある。
 図20は、小型化を図るには有力といわれているTMモードを用いた共振器(以下、「TMモード共振器」という)を利用した高周波フィルタの断面図である。図20に示す共振器は、TMモードの中でもTM010 モードと呼ばれている。
 同図に示すように、この高周波フィルタ530は、円柱状の誘電体540と、誘電体540を収納する筐体本体532及び蓋533からなる筐体531とを備えている。筐体本体532と蓋533とは、蓋533の下面と筐体本体532の側壁部の上面とが接触するようにボルト535によって締め付けられて、互いに接続されている。そして、蓋533の下面と筐体本体532の底壁の上面とは、誘電体540の上面及び下面にそれぞれ接触している。つまり、蓋533と筐体本体532とによって誘電体540を挟持している。一方、筐体本体532の側面部(円筒面部)は間隙を挟んで誘電体540の円筒部を同心状に囲んでいる。また、筐体本体532の底壁には、誘電体540と入力結合する入力結合プローブ536と、誘電体540と出力結合する出力結合プローブ537とが設けられている。
 しかしながら、図20に示すTM010 モード共振器を実際に試作してみると、期待されたフィルタ特性が得られないことがわかった。その原因について、本発明者達は、以下のように考えている。
 図19に示すTEモード共振器(TE01δ モード)では、電磁界エネルギーの大部分は誘電体中に閉じ込められており、筐体502の側面部に流れる高周波電流は少ないのに対し、図20に示すTMモード共振器では、筐体本体532の側面部を軸方向に平行な方向に高周波誘導電流が流れる。そのために、TMモード共振器では、導体損失の影響が比較的大きく、特に、筐体本体532の側壁と蓋533との間の接続部Rcnctがあるコーナー部を横切って大きな電流が流れるために、実際に共振器530を組み上げる際に、この接続部Rcnctでの接触不良があると、それがQ値の大きな劣化や動作の不安定性を生じさせる要因となると考えられる。また、製造時の各部の寸法誤差などによって誘電体540の上下面と筐体本体532又は蓋533との間に空隙が生じると、共振周波数が急激に増加して動作不安定性を引き起こすおそれがあることも確認された。特に、複数の共振器を組み立ててフィルタを構成する場合などには、複数の共振器の共振周波数を正確に固定することが必要であるために、この動作の不安定性を回避しつつ、所望のフィルタ特性を得るためには、相当煩雑な作業が必要になると考えられる。
 また、TEモード共振器又はTMモード共振器のいずれを用いて高周波フィルタを構成する場合であっても、以下の1〜3の3つの機能、つまり、
 1.所望の比帯域を有する強い入出力結合がとれること
 2.共振器のQ値劣化が軽微で、かつ簡便に大きな周波数調整範囲を得ることができる共振周波数調整機構を有すること
 3.複数個の共振器を配置して多段の高周波フィルタを構成する場合には、簡便かつ結合度調整範囲の広い段間結合度調整機構を有すること
が重要であり、かかる機能を備えた高周波フィルタの実現が望まれている。
 本発明の第1の目的は、小型で単純な構造で、かつ、安定な動作を実現するための誘電体共振器及び高周波フィルタを提供することにある。
 本発明の第2の目的は、上記1〜3の機能を発揮しうる高周波フィルタを提供することにある。
 本発明の共振器によれば、コーナー部を横切る電流が生じるような共振モードを有する柱状の共振器を用いた場合にも、小型で良好なQ値を有する,動作の安定性の高い共振器を得ることができる。
 本発明の高周波フィルタによれば、所望の比帯域を有する強い入出力結合を実現すること、共振器のQ値の劣化を抑制しつつ周波数調整範囲の広い共振周波数調整機構を有すること、複数個の共振器を配置して簡便かつ結合度調整範囲の広い段間結合度調整機構を有することなどを実現することができる。
 本発明の第1の共振器は、柱状の誘電体と、上記誘電体を取り囲む遮蔽導体とを備え、上記柱状の誘電体のコーナー部を横切る電流を生じさせる共振モードを有する共振器であって、上記遮蔽導体は、上記誘電体の表面に直接接触して形成されている。
 これにより、柱体の軸方向に平行な側面と軸方向に直交する端面とに亘って高周波誘導電流が流れるTMモードを利用した共振器においても、コーナー部が連続した遮蔽導体によって構成されているので、良好な導通性が確保され、振動などに対する安定性を確保することができる。そして、Q値の劣化や動作の不安定性を抑制し、TMモード共振器が有する小型化,良好なQ値という特性を発揮することができる。
 上記誘電体は、中心部分と、上記中心部分の少なくとも一部を覆う外皮部分とにより構成されており、上記中心部分の誘電率が上記外皮部分の誘電率よりも高いことにより、特に円筒面部における導体損失が低減され、無負荷Q値の改善を図ることができる。
 上記柱状の誘電体は、円柱形状または四角柱形状を有することにより、製造の容易化を図ることができる。
 上記遮蔽導体は、上記誘電体の表面上に形成されたメタライズ層であることにより、誘電体に対する強い密着性が得られるので、著効を発揮することができる。
 本発明の第2の共振器は、誘電体と、上記誘電体を収納するための筐体とを備え、上記筐体の一部が導体箔によって構成され、かつ、上記導体箔が誘電体を電磁的にシールドする機能の一部を分担しているている。
 これにより、導体箔を筐体の合わせ目など電磁的にシールドする機能が不安定な箇所に配置して電磁的なシールド機能を確保することが可能になり、動作特性の安定した共振器を得ることができる。
 上記筐体は、第1部分と第2部分とに分割されており、上記導体箔は、上記第1部分と上記第2部分との間に介在していて、上記誘電体は、上記第1部分と上記導体箔により部分的に電磁シールドされていることにより、第1部分と第2部分との接続部に導体箔が介在しているので、第1部分と第2部分との間に振動が生じても、導体箔により振動が吸収され、第1部分と第2部分との間の接続状態の悪化が抑制される。したがって、Q値の劣化の抑制と、動作の安定性の向上とを図ることができる。
 上記筐体は、第1部分と第2部分とに分割されており、上記導体箔は、上記誘電体と上記筐体の上記第2部分との間に介在しており、上記誘電体は、上記筐体の上記第2部分と上記第1部分とによって挟持されていることにより、誘電体と導体箔との接触状態が良好に保持されるので、共振周波数の急激な増大などの不具合の発生を抑制することができる。
 上記導体箔と上記第2部分との間に介在する弾性体層をさらに備えることにより、振動の吸収作用がより顕著に得られる。
 共振モードとしてTMモードを含むことにより、第1部分と導体箔との間の導通状態を良好に確保することができ、
 本発明の第3の共振器は、一部に孔を有する誘電体と、上記誘電体を囲む筐体と、上記誘電体の孔に挿入され、かつ、挿入深さが可変に構成された導体棒とを備え、上記導体棒の上記孔への挿入深さにより、共振周波数が調整されるように構成されている。
 これにより、無負荷Q値の実用レベルでの劣化を招くことなく、広い範囲で共振周波数を簡単に調整することができる。
 本発明の第1の高周波フィルタは、誘電体と、上記誘電体を電磁的にシールドする導体部材と、上記導体部材によって囲まれる空間を貫通するように、上記導体部材の一部から上記導体部材の他の一部まで延びて、上記誘電体と、外部入力信号又は外部出力信号とを結合させるための導体プローブとを備えている。
 これにより、高周波フィルタが小型化された場合にも、誘電体と外部信号との強い入出力結合が得られるので、良好なQ値を有する小型のフィルタの提供を図ることができる。
 本発明の第2の高周波フィルタは、コーナー部を横切る電流を生じさせる共振モードを有する柱状の共振器を有する高周波フィルタであって、上記共振器は、誘電体と、上記誘電体を取り囲み、上記誘電体の表面に直接接触して形成された遮蔽導体とを備えている。
 これにより、柱体の軸方向に平行な側面と軸方向に直交する端面とに亘って高周波誘導電流が流れるTMモードを利用した共振器においても、コーナー部が連続した遮蔽導体によって構成されているので、良好な導通性が確保され、振動などに対する安定性を確保することができる。そして、Q値の劣化や動作の不安定性を抑制し、TMモード共振器が有する小型化,良好なQ値という特性を利用した高周波フィルタが得られる。
 本発明の第3の高周波フィルタは、共振器を有する高周波フィルタであって、 上記共振器は、誘電体と、上記誘電体を収納するための筐体とを備え、上記筐体の一部が導体箔によって構成され、かつ、上記導体箔が誘電体を部分的に電磁シールドしている。
 これにより、導体箔を筐体の合わせ目など電磁的にシールドする機能が不安定な箇所に配置して電磁的なシールド機能を確保することが可能になり、動作特性の安定した共振器を有する高周波フィルタを得ることができる。
 本発明の第4の高周波フィルタは、共振器を有する高周波フィルタであって、上記共振器は、一部に孔を有する誘電体と、上記誘電体を囲む筐体と、上記筐体の壁部を通って上記誘電体の孔に挿入され、かつ、挿入深さが可変に構成された導体棒とを備え、上記導体棒の上記孔への挿入深さにより、共振周波数が調整されるように構成されている。
 これにより、無負荷Q値の実用レベルでの劣化を招くことなく、広い範囲で共振周波数が調整可能な共振器を有する高周波フィルタが得られる。
 本発明の第5の高周波フィルタは、誘電体を有し外部機器から高周波信号を受ける入力段の共振器と、誘電体を有し外部機器に高周波信号を出力する出力段の共振器とを少なくとも含む複数の共振器を有する高周波フィルタであって、上記複数の共振器の周囲を囲み、各共振器を電磁シールドする筐体と、上記複数の共振器のうち互いに電磁界が結合する共振器同士の間に設けられた隔壁と、上記隔壁に形成された段間結合窓と、上記段間結合窓の面積を調節するための導体棒からなる段間結合度部材とを備えている。
 これにより、複数の共振器を配置して多段の高周波フィルタを構成しつつ、複数の共振器間における簡便かつ結合度の調整範囲の広い段間結合度調整機構を実現することができる。
  (第1の実施形態)
 図1(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1の実施形態における共振器の斜視図及び断面図である。同図に示すように、本実施形態の共振器3は、誘電体セラミックスなどからなる円柱状の誘電体1と、誘電体1のほぼ全表面を密着して覆う導体膜2とを備えている。この共振器3は、すでに説明した共振モードのうちTM010 モードを利用するものである。上記導体膜2は、円柱状の誘電体1の円筒面を覆う円筒部Rclと、誘電体1の上下面を覆う2つの平面部Rflとによって構成されている。この導体膜2は、誘電体1の表面に微小粒状の金属銀を付着させた後、これを溶融させて、金属銀と誘電体1とを誘電体材料と銀との反応生成物によって接合させる処理(いわゆるメタライズ処理)などを施すことにより、形成されたものである。このように、導体膜2が誘電体1と密着した状態で誘電体1の表面を覆っていることが本実施形態の特徴である。
 ただし、後述する他の実施形態において説明するように、誘電体1を筐体に取り付けるための穴などを誘電体1の一部に設けることがある。また、導体膜に段間結合用窓を形成することもある。それらの場合には、孔や窓の部分には導体膜は設けられていないので、導体膜2が誘電体1の全表面を覆っていないことになるが、そのような場合にも、本発明を適用することができる。
 また、本発明の誘電体の形状は、必ずしも円柱である必要はなく、四角柱,六角柱などの多角柱や、楕円柱,長円柱などの柱体であってもよい。例えば四角柱形状の誘電体を用いた場合、円柱状の誘電体を有する共振器と同じ体積でほぼ同一の特性の共振器を実現できる。
 図2〜図4は、本実施形態の構造を有する共振器のTM010 モードの共振周波数と構造との相関関係を各パラメータについて示す図である。いずれの場合にも、誘電体1の比誘電率は42としている。図2は、共振器3の直径D(図1参照)と共振周波数fとの相関関係をシミュレーションした結果を示す図である。図3は、共振器3の直径Dを一定値(17mm)としたときの軸方向の長さL(図1参照)と共振周波数fとの相関関係をシミュレーションした結果を示す図である。図4は、共振器3の直径Dを17mm(f=2GHz)としたときのその長さLに対する無負荷Q値を計算した結果を示す図である。
 図2に示されているように、共振周波数fは共振器3の直径Dに依存して変化しており、直径Dが小さくなるほど共振周波数fが高くなる。図3に示されているように、共振周波数fは、この条件下(D=17mm)では共振器3の軸方向の長さLには依存せず、長さLが変化しても共振周波数fは一定(2000MHz)である。図4に示されているように、共振器3の無負荷Q値は、共振器の軸方向の長さLに依存して変化しており、長さLが小さくなるほど小さくなる。
 すなわち、より周波数が高く、より無負荷Q値の大きい共振器を得るためには、共振器3の直径Dを小さい値に、かつ、長さLを比較的大きい値に設計することが好ましい。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、電界も磁界も電磁波の進行方向の成分を持っている混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
 特に、TMモードの中でも、TM010 モードは最低次共振モードであり、小型の共振器を形成できるため、実用上の利点が大きい。
  −実施例−
 図1に示す構造を有する誘電体1を、誘電率42、誘電正接0.00005の誘電体セラミックス材料を用いて作成した。その誘電体1の表面全体に銀ペーストを塗布した後、それを銀の溶融温度以上に加熱することにより、誘電体1の表面をメタライズして、導体膜2を形成した。そして、作成された共振器3の共振特性を実験により評価した。誘電体1の寸法は、L=18mm,D=17mmで、体積が約4.1cm3 である。
 評価に際しては、導体膜2の各平面部Rflの一部および誘電体1のうち上記導体膜の一部に隣接する領域に穴(底付き穴)を設けて、各穴に、同軸線路を形成する中心導体をわずかに挿入し、その同軸線路からの信号によって共振器にTM010 モードの共振を励起させた。そして、上下の同軸線路をネットワークアナライザに接続し、その透過特性から、共振周波数fと無負荷Q値を測定した。
 上記測定の結果、共振周波数は2.1GHzで、無負荷Q値は約1300であった。また、共振器の振動などに対する共振周波数の変動は観測されなかった。
 一方、本実施例の共振器の誘電体を構成する誘電体材料を用いて、本実施例と同等の共振周波数fを有するTE01δ モードの共振器を構成しようとすると、その共振器の体積が約72cm3 程度に達することがわかっている。それに対し、本実施例の共振器の体積は、約4.08(π/4)×1.7×1.8≒4.08(cm3 )である。したがって、本実施例のTM010 モード共振器は、誘電体材料が同じで共振周波数fが同じであるTE01δ モード共振器に対し、体積比で約1/17程度までの小型化が可能である。
 また、本実施形態のTM010 モード共振器は、図20に示す従来のTM010 モード共振器に比べて、以下の利点を有している。
 すでに述べたように、従来のTM010 モード共振器は、図20に示すごとく、誘電体540の周囲を囲む筐体531を遮蔽導体として備えている。そして、筐体本体532と蓋533との接続部Rcnct(コーナー部)を横切って大きな高周波誘導電流が流れるので、接続部Rcnctでの導通状態がフィルタ特性に大きな影響を与える。ところが、図20に示す接続部Rcnctのごとくボルトの締め付け力を利用したり、あるいは筐体本体532と蓋533とを互いに溶接するなどによって形成されているために、この接続部Rcnctにおける高周波誘導電流の良好な導通性の確保が困難である。また、筐体531の形成後に振動などによって、接続部Rcnctにおける導通状態に変化が起きることもある。その結果、従来のTM010 共振器においては、フィルタ特性が変動するおそれがあった。
 それに対し、本実施形態においては、誘電体1の素体の表面に、メタライズなどによって形成された導体膜2を誘電体1に密着させて形成し、この導体膜2を共振器3の遮蔽導体として利用している。この導体膜2は、互いに連続した平面部Rflと円筒面部Rclとによって構成されているので、導体膜2の円筒面部Rclと平面部Rflとの境界であるコーナー部Rcにおける導通不良が起こることはなく、振動などに対しても安定した動作を示している。したがって、Q値の劣化や動作の不安定性を抑制し、TM010 モード共振器が有する小型化,大きなQ値という特性を発揮することができる。また、製造工程の簡素化も可能である。
 このように、本実施形態のTM010 モード共振器の構成により、従来例に対して、製造工程の簡素化、機械的強度の向上、振動などに対する動作の安定性の確保、共振器の小型化などを実現することができる。
 なお、誘電体の表面を覆う導体膜の形成方法は、本実施形態で説明したメタライズ加工に限られるものではなく、例えば溶融金属の誘電体表面への吹きつけ加工や、金属板の誘電体へのプレス加工など、他の加工法によって誘電体の表面に導体膜を密着させる方法を用いることができる。
  (第2の実施形態)
 図5は、本発明の第2の実施形態における共振器の断面図である。本実施形態の共振器13は、誘電体セラミックス材料などからなる円柱状の高誘電率部11aと、高誘電率部11aのほぼ全周囲を囲む円筒状の低誘電率部11bとからなる誘電体11を備えている。さらに、誘電体11のほぼ全表面の上を密着して覆う導体膜12を備えている。この共振器13は、すでに説明した共振モードのうちTM010 モードを利用するものである。上記導体膜12は、円柱状の誘電体11の低誘電率部11bの円筒面を覆う円筒部Rclと、低誘電率部11bの上下面を覆う2つの平面部Rflとによって構成されている。
 本実施形態においては、まず、高誘電率部11aとこれを囲む低誘電率部11bとからなる誘電体11を形成する。そして、低誘電率部11bの表面に微小粒状の金属銀を付着させた後溶融させる処理(いわゆるメタライズ処理)などを施すことにより、導体膜12を形成する。このように、導体膜12が誘電体11の低誘電率部11bと密着した状態で誘電体11の表面を覆っていることが本実施形態の特徴である。
 ただし、後述する他の実施形態において説明するように、誘電体1を筐体に取り付けるための穴などを誘電体1の一部に設けることがある。また、導体膜に段間結合用窓を形成することもある。それらの場合には、孔や窓の部分には導体膜は設けられていないので、導体膜2が誘電体1の全表面を覆っていないことになるが、そのような場合にも、本発明を適用することができる。
 また、本発明の誘電体11(高誘電率部11aと低誘電率部11bとを合わせたもの)の形状は、必ずしも円柱である必要はなく、四角柱,六角柱などの多角柱や、楕円柱,長円柱などの柱体であってもよい。例えば四角柱形状の誘電体を用いた場合、円柱状の誘電体を有する共振器と同じ体積でほぼ同一の特性の共振器を実現できる。
 本実施形態の共振器13によると、導体膜12の平面部Rflと円筒面部Rclとが互いに連続した1つの膜になっており、かつ、導体膜12が誘電体11(低誘電率部11b)のほぼ全表面を覆っているので、上記第1の実施形態とほぼ同じ効果を発揮することができる。
 加えて、本実施形態の構成により、図1の構成を有する共振器に比べて、特に円筒面部Rclにおける導体損失が低減され、無負荷Q値の改善がなされることがわかっている。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  −変形例−
 図6は、第2の実施形態の変形例における共振器の断面図である。本変形例のTM010 モードを利用した共振器23は、誘電体セラミックス材料などからなる円柱状の高誘電率部21aと、高誘電率部21aの円筒面のみを囲む円筒状の低誘電率部21bとからなる誘電体21を備えている。つまり、高誘電率部21aの上下面は低誘電率部21bによって覆われていない。また、誘電体21のほぼ全表面の上を密着して覆う導体膜22を備えている。上記導体膜22は、円柱状の誘電体21の低誘電率部21bの円筒面を覆う円筒部Rclと、高誘電率部21aの上下面と低誘電率部21bの上下面とを覆う2つの平面部Rflとによって構成されている。
 本変形例においては、まず、高誘電率部21aとその円筒面を囲む低誘電率部21bとからなる誘電体21を形成する。そして、高誘電率部21a及び低誘電率部21bの露出している表面に微小粒状の金属銀を付着させた後、これを溶融させて、金属銀と誘電体21とを誘電体材料と銀との反応生成物によって接合させる処理(いわゆるメタライズ処理)などを施すことにより、導体膜22を形成する。このように、導体膜22が誘電体21の高誘電率部21a及び低誘電率部21bと密着した状態で誘電体21のほぼ全表面を覆っていることが本変形例の特徴である。
 ただし、後述する他の実施形態において説明するように、誘電体21を筐体に取り付けるための穴などを誘電体21の上下面部の双方あるいはいずれか一方に設けることがある。その場合には導体膜22が誘電体21の全表面を覆っていないことになるが、そのような場合にも、本発明を適用することができる。
 また、誘電体21(高誘電率部21aと低誘電率部21bとを合わせたもの)の形状は、必ずしも円柱である必要はなく、四角柱,六角柱などの多角柱や、楕円柱,長円柱などの柱体であってもよい。例えば四角柱形状の誘電体を用いた場合、円柱状の誘電体を有する共振器と同じ体積でほぼ同一の特性の共振器を実現できる。
 本変形例によると、上下の平面部Rflにおける導体損失は、図5に示す構造を有する共振器に比べてわずかに増加するが、共振器サイズはより小型にすることができるという利点がある。
 上記第1,第2の実施形態においては、共振器単体の構造について説明したが、この共振器を用いて高周波フィルタを構成する場合には、後述する第9の実施形態におけるような工夫が必要である。
  (第3の実施形態)
 図7は、第3の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。同図に示すように、この高周波フィルタ30Aは、円柱状の誘電体40と、誘電体40を収納する筐体本体32及び蓋33とを主要要素として備えた筐体31とを備えている。蓋33の下面の上には、クッション層34と導体箔35とが形成されており、筐体本体32と蓋33とは、蓋33の下面と筐体本体32の側壁部の上面との間にクッション層34及び導体箔35を挟んで取り付けボルト36によって締め付けられて、互いに機械的に接続されている。そして、蓋33の下面と誘電体40の上面との間にも、クッション層34及び導体箔35が介在しており、誘電体40の上面は導体箔35に接触している。また、誘電体40の下面は筐体本体32の底壁の上面に接触している。つまり、蓋33と筐体本体32とにより、クッション層34と導体箔35と介在させて誘電体40を挟持している。
 一方、筐体本体32の側面部(円筒面部)は間隙を挟んで共振器40の円筒部を同心状に囲んでいる。本実施形態においては、筐体本体32及び導体箔35により、誘電体40を電磁シールドしていることになる。そして、誘電体40,筐体本体32,蓋33,クッション層34及び導体箔34により、共振器が構成されている。
 また、筐体本体32の底壁には、誘電体40と入力結合する入力結合プローブ37と、誘電体40と出力結合する出力結合プローブ38と、入力結合プローブ37に外部機器からの入力信号を伝えるための入力用同軸コネクタ41と、出力結合プローブ38から外部機器に出力信号を伝えるための出力用同軸コネクタ42とが設けられている。つまり、筐体本体32に開けた小さな孔に同軸コネクタ41,42を設け、その先に入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38をはんだづけしている。つまり、共振器と入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38とにより、共振器を利用した高周波フィルタが構成されている。
 本実施形態によると、取り付けボルト36を締め上げることにより、筐体本体32の側壁部と蓋33との接続部Rcnt1において、クッション層34が変形し、筐体本体32の側壁部と導体箔35とが隙間なく密着する。同時に、蓋33と誘電体40との接続部Rcnt2においても、クッション層34が変形するので、誘電体40と導体箔35とが隙間なく密着する。したがって、筐体本体32及び導体箔35により、誘電体40に対する電磁シールドが確実に確保される。
 また、TMモードを利用した共振器を用いると、柱体である誘電体の軸方向に交差する方向に磁場が生じるように、筐体本体32及び導体箔35に高周波誘導電流が流れる。その結果、筐体本体32と導体箔35との接続部Rcnt1を横切って高周波誘導電流が流れるが、本実施形態のごとく、筐体本体32と導体箔35との導通状態が良好に確保されることにより、フィルタ特性の向上を図ることができる。
 本実施形態の高周波フィルタの製造の際には、予めクッション層34と導体箔35とを貼り付けておく。そして、筐体本体32の中に誘電体40を位置決めして配置し、クッション層34及び導体箔35を筐体本体32及び誘電体40の上に配置して、その上に蓋33を取り付けボルト36によって固定する。取り付けボルト36は、少なくとも4個配置されていることが好ましく、取り付けボルト36による筐体31の組立の際には、互いに対向するボルト同士の1対ずつを順番に固定していくことが好ましい。
 なお、導体箔が弾性のある材料によって構成されている場合には、上記クッション層は必ずしもなくてもよい。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  −実施例−
 本実施例では、誘電体40として、直径9mm,軸方向の長さ10mmの寸法を有し、誘電率が42で、誘電正接(tan δ)が0.00005の誘電体セラミクスを用いている。また、筐体本体32として、内径25mm,内部高さ10mmの無酸素銅からなる底付き円筒体を用いている。さらに、導体箔35として、厚さ0.05mmの銅箔を用い、クッション層34には、厚さ0.2mmの柔軟性のあるポリテトラフロロエチレン系樹脂シート(製品名:NITOFLON adhesive tapes NO.903 日東電工製)を用いている。取り付けボルト36は、円筒形状の筐体本体32に、平面的にみて60°の等間隔で6本配置している。取り付けボルト36の締め付けトルクは100N・m〜200N・m程度でよい。ただし、トルクレンチなどの工具を使用せずに、取り付けボルト36が破壊する寸前まで取り付けボルト36を締め付けるようにしてもよい。入力プローブ37及び出力結合プローブ38の筐体本体32の底壁からの突出量P1は、例えば3mm程度である。
 また、導体箔35を構成する銅箔の厚さは、0.02mm〜0.1mm程度であることが好ましい。クッション層34の厚さは、材質によっても異なるが、本実施例の材質であれば、0.05mm〜0.3mm程度であることが好ましい。
 次に、本実施形態の高周波フィルタの効果を検証するため、その共振特性を実験的に評価した。この評価においては、同軸コネクタ41から入力結合プローブ37に入力した高周波信号によってTM010 モードの共振を励起させ、その通過特性を出力結合プローブ38から取り出して、ネットワークアナライザを用いて測定し、共振周波数と無負荷Q値を測定した。
 図21は、第3の実施形態の実施例に係るTM010 モード共振器の共振特性の測定結果を示す図である。同図に示すように、本実施形態の高周波フィルタにおいては、共振周波数は2.00GHzとほぼ設計値どおりの値を示し、約3200程度の無負荷Q値が再現性よく安定的に得られた。また、機械的振動に対する共振周波数の変動は観測されなかった。
 比較のため、図20に示す従来の高周波フィルタに対しても上述の評価と同様の評価を行った。従来の高周波フィルタとしては、導体箔35およびクッション層34が設けられていないだけで、その他の部材の材質及び寸法は、本実施例の高周波フィルタと同じにしている。その結果、従来の高周波フィルタの共振周波数は、取り付けボルトの締め付けトルクの大きさなど、取り付けボルトの締め付け方法によって大きく変動し、2.2GHz〜2.6GHz程度と、設計値よりも高く、かつ、大きなばらつきを示した。また、無負荷Q値も800〜3000程度と大きく変動した。また、共振周波数は、外部からの機械的振動に敏感に反応し変化した。
 ここで、本実施形態の高周波フィルタのQ値の特性が従来の高周波フィルタのQ値よりも安定し、かつ、その値も大きくなった理由は、クッション層34の存在により、高周波フィルタの各部における寸法誤差などがあっても、筐体本体32と蓋33との接続部Rcnt1における筐体本体32の側壁部と導体箔35との密着性が向上し、かつ、両者の接触状態が安定化された結果、高周波誘導電流の導通性が向上したためと考えられる。
 このように、本実施形態のTM010 モード共振器の構成により、従来例に比べて飛躍的に振動などに対する動作の安定化が実現できた。
  (第4の実施形態)
 図8は、第4の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。同図に示すように、この高周波フィルタ30Bは、図7に示す第3の実施形態の高周波フィルタ30Aと基本的には同じ構造を有している。
 本実施形態における高周波フィルタ30Bの特徴は、第3の実施形態における入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38に代えて、それぞれ筐体本体32が囲む空間を貫通するように縦方向に延びて導体箔35に接触する入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48が設けられている点である。つまり、入出力結合機構が第3の実施形態とは異なっている。また、本実施形態の筐体31の形状は、第3の実施形態のように円柱である必要はなく、四角柱であってもよい。その場合、取り付けボルト36は、4すみに設ければよい。
 本実施形態における高周波フィルタ30Bの他の部材の構造及び機能は、第3の実施形態におけるとほぼ同様であるので、図8に示される他の部材については、図7中の符号と同じ符号を付してそれらの説明を省略する。
 また、本実施形態においては、入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48が、それぞれ対向する導体箔35にはんだづけされており、入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48と、導体箔35とが互いに導通している。本実施形態においては、入力結合プローブ47及び出力結合プローブは、直径0.8mmの銀メッキ銅線によって構成されている。なお、銀メッキ導線としては、径が0.5〜1mm程度のものを用いることが好ましい。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器や、TEモードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  −実施例−
 本実施例では、誘電体40として、直径9mm,軸方向の長さ10mmの寸法を有し、誘電率が42で、誘電正接(tan δ)が0.00005の誘電体セラミクスを用いている。また、筐体本体32の形状を、内部寸法における1辺が25mm,内部高さ10mmの無酸素銅からなる底付き四角柱体としている。さらに、導体箔35として、厚さ0.05mmの銅箔を用い、クッション層34には、厚さ0.2mmの柔軟性のあるテフロン系樹脂シート(製品名:NITOFLON adhesive tapes NO.903 日東電工製)を用いている。取り付けボルト36は、四角柱形状の筐体本体32の4すみに4本配置している。
 そして、入力用同軸コネクタ41を介して外部機器から高周波信号を供給してTM010 モードを励振し、出力用同軸コネクタ42を介して、その通過特性を測定することにより、入出力結合の外部Q値(外部入力電力/内部消費電力)を測定した。50Ωの線路を用いたTM010 モードの共振周波数は2.14GHzであった。結合度の測定例として、入力用同軸コネクタ41及び出力用同軸コネクタ42を、それぞれ誘電体40の中心軸から横方向に8.5mm離れた位置に設けた場合、約60程度という十分小さな外部Q値が得られた。
 この外部Q値は、例えば、この入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48を用い、誘電体40(共振器)を4個配置して4段の高周波フィルタを構成する場合、比帯域1%程度の高周波フィルタを実現するに十分な強い入出力結合度に相当する。また、入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48を誘電体40の中心軸に近づけるほど強い結合度が得られた。
 さらに、本実施例における入出力結合度を、図7に示す第3の実施形態において入出力結合プローブの筐体本体の底壁からの突出量P1を天井面に接触しない範囲で大きくし、できるだけ強い入出力結合が得られる構造としたものと比較する評価を行なった。第3の実施形態の実施例と同じ形状及び寸法を有する筐体31(筐体本体32,蓋33,クッション層34及び導体箔35)を用い、入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48のみを、第1の実施形態の実施例における入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38とは異なったものを用いている。
 ここで、第3の実施形態の実施例における入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38の筐体本体32の底壁からの突出量P1が8mmの場合の外部Q値が7000であったのに対し、本実施形態の入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48からなる入出力機構を備えた高周波フィルタの外部Q値は約60と小さい値を得た。すなわち、本実施形態の入出力結合プローブを用いることにより、非常に強い入出力結合を得ることができる。
 すなわち、本実施形態においては、筐体本体31の底壁から延びて導体箔35に達する入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48を有する入出力結合機構を用いることにより、第3の実施形態のような導体箔に達しない入力結合プローブ37及び出力結合プローブ38を有する入出力結合機構を用いた場合に比べ、強い入出力結合が得られることが確認できた。
 以上のように、本実施形態における入出力結合機構により、簡単に、TM010 モードとの強い結合が得られ、本モードの共振器を用いたフィルタが実現可能となった。
 なお、本実施形態においては、クッション層34及び導体箔35が設けられておらずに、蓋33と筐体本体32とが直接接触している構造であっても、入力結合プローブ47及び出力結合プローブ48が蓋33に接触している構造になってさえいれば、強い入出力結合を得ることができる。
  (第5の実施形態)
 図9は、第5の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。同図に示すように、この高周波フィルタ30Cは、図7に示す第3の実施形態の高周波フィルタ30Aと基本的には同じ構造を有している。
 本実施形態における高周波フィルタ30Cの特徴は、第3の実施形態における構造に加えて、誘電体40にその下面から規格M2の銅製ボルトからなる導体棒44が挿入されている点である。この導体棒44の取り付けは、以下の手順により行なわれる。例えば、誘電体40の下面から直径2.4mm,深さ8mmの孔43を形成しておいて、筐体本体32の底壁に形成されたネジ穴に係合する規格M2の銅製ボルトからなる導体棒44を誘電体40の孔43に挿入する。
 本実施形態における高周波フィルタ30Cの他の部材の構造及び機能は、第3の実施形態におけるとほぼ同様であるので、図9に示される他の部材については、図7中の符号と同じ符号を付してそれらの説明を省略する。
 本実施形態においては、導体棒44を孔43への挿入深さを増すにつれて、TM010 モードの共振周波数が低周波数側にシフトする。以下、本実施形態の高周波フィルタ30Cの諸特性の導体棒の挿入深さ依存性について説明する。
 図10は、導体棒の挿入深さに対するTM010 モードの共振周波数の変化を測定した結果を示す特性図である。図11は、導体棒の挿入深さに対するTM010 モードの無負荷Q値を測定した結果を示す特性図である。図11,図12からわかるように、導体棒の挿入深さが4.5mm挿入したときに共振周波数が約2.5%以上低下している。そして、その際の共振器の無負荷Q値の劣化量は、約14%程度以下であり、実用上問題のないレベルであった。
 本実施形態における導体棒44の挿入位置は、誘電体40の中心軸の位置から多少はずれていてもよいが、TM010 モードの電界強度が最も強い中心軸上に設ける場合が最も感度よく周波数を変えることができ、望ましい。また、導体棒44を挿入するために誘電体40に形成する孔43の深さは、6〜10mm程度が好ましい。
 以上のように、本発明における共振周波数調整機構により、無負荷Q値の顕著な劣化はなく、TM010 モードの共振周波数を大幅に調整することができるようになり、本モードの共振器を用いたフィルタが実現可能となった。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器や、TEモードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  (第6の実施形態)
 図12(a),(b)は、それぞれ第6の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図及び蓋などを除去した状態での平面図である。本実施形態の高周波フィルタは、4個の円柱状の誘電体101a〜101dを備え、4個の誘電体101a〜101dにより4段の帯域通過フィルタとして機能させるように構成されている。高周波フィルタの筐体110は、外壁及び底壁によって構成される筐体本体111と、筐体蓋112と、クッション層113と、導体箔114と、筐体本体111によって囲まれる空間を小部屋に仕切る互いに連結された隔壁115a〜115cとによって構成されている。そして、各誘電体101a〜101dは、筐体110内で隔壁115a〜115cによって仕切られた各小部屋に1つづつ配設されている。つまり、筐体110の各小部屋ごとに、筐体本体111の外壁及び底壁と、隔壁115a〜115cと、導体箔114とによって誘電体101a〜101dを電磁的にシールドしており、各誘電体101a〜101dと、筐体本体111の外壁及び底壁と、隔壁115a〜115cと、導体箔114とによって、4段の共振器が構成されている。なお、筐体本体111,蓋112,クッション層113及び導体箔114は、各小部屋のコーナー部に相当する10箇所において、取り付けボルト131によって締め付けられ、互いに固定されている。つまり、取り付けボルト131を締め上げることにより、筐体本体111の外壁及び隔壁と蓋112との接続部Rcnt1において、クッション層113が変形し、筐体本体111の側壁及び隔壁と導体箔114とが隙間なく密着する。同時に、導体箔115と誘電体101a〜101dとの接続部Rcnt2においても、クッション層113が変形するので、誘電体101a〜101dと導体箔114とが隙間なく密着する。その結果、第3の実施形態と同様に、振動に対して周波数変動がおこらず、経時的にも安定なフィルタが得られた。
 ここで、高周波フィルタを製造する際には、各共振器の共振周波数の微調整と、各共振器同士の間の段間結合度の微調整が必要である。そこで、本実施形態においては、各隔壁115a〜115cに、各共振器間の電磁界結合をとるための段間結合窓116a〜116cが設けられている。つまり、各共振器間の結合は、所望のフィルタ特性に必要な段間結合度を見積り、それが得られる幅の結合窓116a〜116dを設けることで実現している。さらに、段間結合度調整機構として、段間結合窓116a〜116dの中央部に、各段間結合窓116a〜116cには、共振器間の電磁界結合の結合の強さを調整するための段間結合度ボルト121a〜121cが配設されている。
 また、筐体本体111に設けられた4つの小部屋のうち両端の小部屋の底壁には、外部からの高周波信号を入出力するための出力用同軸コネクタ142及び入力用同軸コネクタ141が配設されており、入力用同軸コネクタ141及び出力用同軸コネクタ142の中心導体には、筐体本体111の底壁から延びて導体箔114に接触する入力結合プローブ151及び出力結合プローブ152が接続されている。この入力結合プローブ151は、入力用同軸コネクタ141と入力段の誘電体101aとを電磁的に結合するものであり、出力結合プローブ152は出力用同軸コネクタ142と出力段の誘電体101dとを電磁的に結合するものである。
 さらに、各誘電体101a〜101dの下部中央に設けられた孔104a〜104dには、銅製ボルトからなる導体棒122a〜122dがそれぞれ挿入されている。この導体棒122a〜122dは、各共振器の共振周波数調整機構として機能するものである。
 本実施形態によると、複数個の共振器を配置して多段の高周波フィルタを構成しつつ、簡便かつ結合度の調整範囲の広い段間結合度調整機構を実現することができる。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器や、TEモードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
 また、本発明の高周波フィルタにおける共振器の数は、本実施形態のごとき4個に限定されるものではなく、少なくもと入力段の共振器と出力段の共振器との2つの共振器を含んでいればよい。また、複数個の共振器が直列に配置されている必要はなく、平面的にみて縦横複数個ずつ配置された,いわゆるマトリクス状に配置されていてもよい。
  −実施例−
 本実施例では、中心周波数2.14GHz,比帯域1%,帯域内リップル0.05dBのチェビシェフ型高周波フィルタの設計例について説明する。
 誘電体101a〜101dとして、直径9mm,長さ10mm,誘電率42、誘電正接0.00005の誘電体セラミクスを用い、筐体本体111を肉厚4mmの無酸素銅により構成し、導体箔114として厚さ0.05mmの銅箔を用い、クッション層113として厚さ0.2mmの柔軟性を有するテフロン系樹脂シートを用いた。そして、高周波フィルタの中心周波数が2.14GHzになるように、各共振器のTM010 モード共振周波数を設計し、共振器の内寸を算出した。誘電体101aを含む初段の共振器や、誘電体101dを含む最終段の共振器においては、入力結合プローブ151や出力結合プローブ152の影響で、疎結合状態の共振器に比べ共振周波数がわずかに上昇する効果も考慮し、小部屋の内寸を、高さ10mm×奥行き21mm×長さ24mmとした。一方、誘電体101bを含む第2段の共振器や、誘電体101cを含む第3段の共振器においては、小部屋の内寸を高さ10mm×奥行き21mm×長さ21mmとした。
 入力結合プローブ151及び出力結合プローブ152として、それぞれ誘電体101a,101dの中心軸から8.5mm離れた位置に直径0.8mmの銀メッキ銅線を設けた。入力結合プローブ151及び出力結合プローブ152は、いずれも導体箔114にはんだづけされている。段間結合度ボルト121a〜121cとして、規格M4の銅製ボルトを用いた。
 また、誘電体101a〜101dの孔104a〜104dの直径を2.4mmとし、深さを8mmとした。そして、導体棒122a〜122dとして、規格M2の銅製ボルトを用いている。
 そして、入出力結合度は、入出力結合プローブ151,152の誘電体101a−101dの中心軸からの距離を調節することにより決定した。また、結合度の微調整は、ピンセットでプローブ腹部の誘電体中心軸からの距離を微調整する方法で行なった。段間結合度は、段間結合度ボルト121a〜121cにより段間結合窓116a〜116cの窓幅を調節することにより決定した。
 この条件下で、高周波フィルタの入出力結合度は外部Q値で約100であり、初段−第2段間の結合係数及び第3段−最終段間の結合係数は0.0084であり、第2段−第3段間の結合係数は0.0065程度である。
 図13は、結合係数決定のために段間結合窓116a〜116cの窓幅に対する結合係数の変化をシミュレーションした結果を示す図である。
 図14(a)〜(c)は、本実施形態において採用しうる段間結合窓の形状の種類及び段間結合度調整ボルトの取り付け位置のバリエーションを示す断面図である。図14(a)に示す構造では、段間結合窓116が隔壁115の中央部を縦方向に貫通して設けられており、段間結合度ボルト121が筐体本体111の底壁に取り付けられ縦方向に延びている。図14(b)に示す構造では、段間結合窓116が隔壁115の中央部かつ下部に設けられており、段間結合度ボルト121が筐体本体111の底壁に取り付けられている。図14(c)に示す構造では、段間結合窓116が隔壁115の中央部を縦方向に貫通して設けられており、段間結合度ボルト121が筐体本体111の外壁(側壁)に取り付けられ横方向に延びている。この実施形態及び実施例では、結合係数が大きい図14(a)に示す構造を採用している。
 図15は、段間結合度調整ボルト121の段間結合窓116への挿入量に対する結合係数の変化をシミュレーションした結果を示す図である。ここで、図14(c)に示すように段間結合度ボルトを横方向に挿入した場合と、図14(a),(b)に示すように段間結合度ボルトを縦方向に挿入した場合とで、単位挿入量あたりの結合度変化量の差はわずかであった。また、段間結合度調整ボルト121の直径が大きいほど、単位挿入量あたりの結合度変化量が大きいことがわかった。ここで、共振器のQ値に悪影響を与えない範囲でできるだけ結合度変化量の大きい段間結合度調整ボルト121としては、その直径寸法が隔壁115の肉厚寸法と同じ値4mmを有するものを採用した。
 図16は、以上の設計にもとづき設計された4段の共振器を含む高周波フィルタの特性図である。同図に示すように、通過領域の比帯域1%,挿入損失0.9dB,リターンロス20dB以上と、例えば携帯電話基地局などに使用しうる特性の良好な高周波フィルタが得られている。
  (第7の実施形態)
 上記第3〜第6の実施形態においては、誘電体と導体箔とを直接接触させた構造を示したが、誘電体と導体箔との間にさらに導体層を設けることも可能である。図17は、第7の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。同図に示すように、この高周波フィルタ30Dは、図7に示す第3の実施形態の高周波フィルタ30Aと基本的には同じ構造を有している。本実施形態における高周波フィルタ30Dの特徴は、誘電体40の上面及び下面の上にメタライズ層51a,51bが形成されていて、メタライズ層51aと導体箔35とははんだ52aにより、メタライズ層51bと筐体本体32の底壁とははんだ52aによりそれぞれ電気的かつ機械的に接続されている点である。
 本実施形態における高周波フィルタ30Dの他の部材の構造及び機能は、第3の実施形態におけるとほぼ同様であるので、図17に示される他の部材については、図7中の符号と同じ符号を付してそれらの説明を省略する。
 本実施形態においては、振動などの影響によって誘電体40と導体箔35との間に隙間が発生するおそれを確実に回避することができる。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  −実施例−
 メタライズ層51a,51bには、Agペーストにディッピング、加熱して形成された(1)典型的な膜厚が5〜30μmのAgメタライズ層、あるいは(2)同膜厚のAgメッキ層、あるいは(3)典型的な膜厚が1〜5μmのAg蒸着層を試した。また、ハンダづけには作業性、密着性のよいクリームハンダを使用した。その他の部材の構造は、第3の実施形態の実施例と同じとしている。
 この実施例で形成した共振器は、その無負荷Q値が、第3の実施形態のごとく導体箔35と誘電体40とを直接密着させた場合に比べ、約15%〜20%程度低下するものの、温度変化に対する特性の劣化が小さく、特に安定性に優れていた。
  (第8の実施形態)
 第4,第6の実施形態においては、入力結合プローブ及び出力結合プローブを導体箔に接続したが、本発明の5入力結合プローブ及び出力結合プローブを導体箔に接続する必要は必ずしもない。
 図18は、第8の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。この高周波フィルタ30Eは、図9に示す第5の実施形態の高周波フィルタ30Cと基本的には同じ構造を有している。
 本実施形態における高周波フィルタ30Eの特徴は、筐体本体32の底壁から縦方向に延びた後、曲がって筐体本体32の側壁に接する入力結合プローブ53及び出力結合プローブ54を備えている点である。
 本実施形態における高周波フィルタ30Eの他の部材の構造及び機能は、第5の実施形態におけるとほぼ同様であるので、図18に示される他の部材については、図9中の符号と同じ符号を付してそれらの説明を省略する。
 本実施形態の入力結合プローブ53及び出力結合プローブ54の構造は、筐体本体32の内壁高さhが大きくて、途中で曲がっていても比較的プローブ長を確保できる場合に適している。このように、入力結合プローブ53及び出力結合プローブ54を筐体本体32の側壁に導通させても、ある程度の比帯域を確保するに十分な入出力結合を得ることができた。
 なお、本実施形態においては、TM010 モードの共振器について説明したが、本発明は、TM010 モード以外のTMモードの共振器や、混成波(Hybrid Wave )の共振モードの共振器や、TEモードの共振器に適用することによっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
  (第3〜第8の実施形態の変形例)
 クッション層の材質は、上記第3〜第8の実施形態において示したもの以外であってもよい。例えば、シリコンゴムあるいは天然ゴムなどの弾性を有する高分子化合物、あるいは、ポリエチレン,ポリテトラフロロエチレン,ポリ塩化ビニリデンなどの塑性変形性を有する高分子化合物、あるいはインジウム,ハンダなどの柔らかい金属を用いても同様の効果を発揮することができる。いずれも場合にも、クッション層の肉厚は0.05mm〜0.3mmの範囲にあることが好ましい。
 また、本発明の高周波フィルタにおける共振器の数は、本実施形態のごとき4個に限定されるものではなく、少なくもと入力段の共振器と出力段の共振器との2つの共振器を含んでいればよい。また、複数個の共振器が直列に配置されている必要はなく、平面的にみて縦横複数個ずつ配置された,いわゆるマトリクス状に配置されていてもよい。
 本発明は、移動体通信システムの高周波回路装置などに用いられる高周波フィルタや、高周波フィルタを構成する共振器として利用することができる。
(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1の実施形態における共振器の斜視図及び断面図である。 共振器の直径Dと共振周波数fとの相関関係をシミュレーションした結果を示す図である。 共振器の直径Dを一定値としたときの軸方向の長さLと共振周波数fとの相関関係をシミュレーションした結果を示す図である。 共振器の直径Dを一定としたときのその長さLに対する無負荷Q値を計算した結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態における共振器の断面図である。 本発明の第2の実施形態の変形例における共振器の断面図である。 本発明の第3の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 本発明の第4の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 本発明の第5の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 導体棒の挿入深さに対するTM010 モードの共振周波数の変化を測定した結果を示す特性図である。 導体棒の挿入深さに対するTM010 モードの無負荷Q値を測定した結果を示す特性図である。 (a),(b)は、それぞれ第6の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図及び蓋などを除去した状態での平面図である。 段間結合窓の窓幅に対する結合係数の変化をシミュレーションした結果を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の第5の実施形態において採用しうる段間結合窓の形状の種類及び段間結合度調整ボルトの取り付け位置のバリエーションを示す断面図である。 段間結合度調整ボルトの段間結合窓への挿入量に対する結合係数の変化をシミュレーションした結果を示す図である。 設計された4段の共振器を含む高周波フィルタの特性図である。 本発明の第7の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 本発明の第8の実施形態におけるTMモード共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 (a),(b)は、従来のTE01δ モードを基本モードとする誘電体共振器の斜視図及び断面図である。 従来のTMモードを用いた共振器を利用した高周波フィルタの断面図である。 第3の実施形態の実施例に係るTM010 モード共振器の共振特性の測定結果を示す図である。
符号の説明
 1  誘電体
 2  導体膜
 3  共振器
 11a 高誘電率誘電体
 11b 低誘電率部
 11 誘電体
 12 導体膜
 13 共振器
 21a 高誘電率誘電体
 21b 低誘電率部
 21 誘電体
 22 導体膜
 23 共振器
 31 筐体
 32 筐体本体
 33 蓋
 34 クッション層
 35 導体箔
 36 取り付けボルト
 37 入力結合プローブ
 38 出力結合プローブ
 41 入力用同軸コネクタ
 42 出力用同軸コネクタ

Claims (7)

  1.  誘電体と、上記誘電体を収納するための筐体とを備えた共振器であって、
     上記筐体は、筐体本体と、蓋と、上記筐体本体と上記蓋との間に介在する導体箔からなり、
     上記誘電体は、上記筐体本体と上記導体箔により、電磁的にシールドされており、
     上記共振器の共振モードはTMモードを含む共振器。
  2.  上記筐体が、
     上記導体箔と上記蓋との間に介在する弾性体層を、さらに備えている請求項1に記載の共振器。
  3.  一部に孔を有する誘電体と、
     上記誘電体を囲む筐体と、
     上記誘電体の孔に挿入され、かつ、挿入深さが可変に構成された導体棒とを備え、
     上記導体棒の上記孔への挿入深さにより、共振周波数が調整されることを特徴とする共振器。
  4.  誘電体と、
     上記誘電体を電磁的にシールドする導体部材と、
     上記導体部材によって囲まれる空間を貫通するように、上記導体部材の一部から上記導体部材の他の一部まで延びて、上記誘電体と、外部入力信号又は外部出力信号とを結合させるための導体プローブとを備えている高周波フィルタ。
  5.  共振器を有する高周波フィルタであって、
     上記共振器は、誘電体と、上記誘電体を収納するための筐体とを備え、
     上記筐体は、筐体本体と、蓋と、上記筐体本体と上記蓋との間に介在する導体箔からなり、
     上記誘電体は、上記筐体本体と上記導体箔により、電磁的にシールドされており、
     上記共振器の共振モードはTMモードを含むことを特徴とする高周波フィルタ。
  6.  共振器を有する高周波フィルタであって、
     上記共振器は、
     一部に孔を有する誘電体と、
     上記誘電体を囲む筐体と、
     上記筐体の壁部を通って上記誘電体の孔に挿入され、かつ、挿入深さが可変に構成された導体棒とを備え、
     上記導体棒の上記孔への挿入深さにより、共振周波数が調整されることを特徴とする高周波フィルタ。
  7.  誘電体を有し外部機器から高周波信号を受ける入力段の共振器と、誘電体を有し外部機器に高周波信号を出力する出力段の共振器とを少なくとも含む複数の共振器を有する高周波フィルタであって、
     上記複数の共振器の周囲を囲み、各共振器を電磁シールドする筐体と、
     上記複数の共振器のうち互いに電磁界が結合する共振器同士の間に設けられた隔壁と、
     上記隔壁に形成された段間結合窓と、
     上記段間結合窓の面積を調節するための導体棒からなる段間結合度部材とを備えている高周波フィルタ。
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