JP2004119441A - 半田バンプ付き配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半田バンプ中にボイドが形成されにくく、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することが可能な半田バンプ付き配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁基板2の表面に、複数の半田接合パッド3およびこの半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを有する耐半田樹脂層4を形成し、次に半田接合パッド3上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペースト21を塗布し、次にこの第一の半田ペースト21中の半田粉末を加熱溶融させて半田接合パッド3上に半田層31を被着させ、次に半田層31上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペースト22を塗布し、次にこの第二の半田ペースト22中の半田および半田層31の半田を加熱溶融させて半田バンプ5を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】絶縁基板2の表面に、複数の半田接合パッド3およびこの半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを有する耐半田樹脂層4を形成し、次に半田接合パッド3上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペースト21を塗布し、次にこの第一の半田ペースト21中の半田粉末を加熱溶融させて半田接合パッド3上に半田層31を被着させ、次に半田層31上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペースト22を塗布し、次にこの第二の半田ペースト22中の半田および半田層31の半田を加熱溶融させて半田バンプ5を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するための半田バンプ付き配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するために用いられる配線基板には、ガラス基材および熱硬化性樹脂から成る絶縁板と銅箔等から成る配線導体層とを交互に複数積層して成るプリント基板や、絶縁板上に熱硬化性樹脂およびフィラーから成る絶縁層と銅めっき層から成る配線導体層とを複数積層して成るビルドアップ基板が用いられてきている。そして、このようなプリント基板やビルドアップ基板等の配線基板の上面には、半導体素子等の電子部品の電極を接続するための半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる耐半田樹脂層が被着形成されており、さらに、耐半田樹脂層から露出した半田接合パッド上には電子部品と半田接合パッドとを接合するための半田バンプが形成されている。
【0003】
そして、このような半田バンプ付きの配線基板においては、電子部品をその各電極がそれぞれ対応する半田バンプに当接するようにして配線基板の上面に載置するとともに、これらを例えば電気炉等の加熱装置で加熱して半田バンプを溶融させて半田バンプと電子部品の電極とを接合させることによって、電子部品が配線基板上に実装される。
【0004】
なお、このような半田バンプ付きの配線基板は、内部および/または表面に複数の配線導体を有する絶縁基板の表面に、配線導体に接続された略円形の複数の半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる開口部を有する耐半田樹脂層を被着させ、次に前記半田接合パッド上にフラックスおよび半田粉末から成る半田ペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して半田バンプに対応する量だけ一度に印刷塗布するとともにこれを加熱して半田ペースト中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成することによって製作されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−122090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半田バンプ付き配線基板によれば、半田接合パッド上に印刷塗布した半田ペースト中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成する際に、半田バンプに対応する量だけ一度に塗布した半田ペースト中に含有されるフラックスの一部が溶融した半田中に取り残されて半田バンプ中にボイドを発生させてしまいやすく、半田バンプ中にそのようなボイドが多量に発生すると、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して接合する際に、電子部品の電極と半田接合パッドとの接合がボイドにより阻害されたり、半田バンプの強度が弱いものとなって、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することができなくなってしまうという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、半田接合パッド上に形成された半田バンプ中にボイドが形成されにくく、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することが可能な半田バンプ付き配線基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法は、配線導体を有する絶縁基板の表面に、前記配線導体に接続された複数の半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる開口部を有する耐半田樹脂層を形成する工程と、前記開口部内に露出した前記半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを塗布する工程と、この第一の半田ペースト中の前記半田粉末を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田層を被着させる工程と、この半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを塗布する工程と、この第二の半田ペースト中の半田および前記半田層の半田を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田バンプを形成する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法によれば、耐半田樹脂層の開口部内に露出した半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを塗布する工程と、この第一の半田ペースト中の半田粉末を加熱溶融させて半田接合パッド上に半田層を被着させる工程と、その半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを塗布する工程と、この第二の半田ペースト中の半田および半田層の半田を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成する工程とを行なうことから、フラックス量の多い第一の半田ペーストにより、この第一の半田ペースト中の半田と半田接合パッドとが良好に濡れるとともに半田接合パッド上にボイドのない薄い半田層が形成され、その上に塗布されるフラックス量の少ない第二の半田ペーストによりフラックスの残留に起因するボイドの少ない十分な高さの半田バンプを形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法により製作される半田バンプ付き配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。また、図2は本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法を説明するための工程毎の要部拡大断面図である。
【0011】
図1において、1は絶縁基板、2は配線導体、3は半田接合パッド、4は耐半田樹脂層、5は半田バンプ、6は外部リードピンであり、主にこれらで本例の半田バンプ付き配線基板が構成されている。なお、この例では外部リードピン6を有する例を示したが、外部リードピン6は必ずしも必要ではなく、外部リードピン6に代えて例えば半田から成る外部接続用の端子を設けてもよい。
【0012】
絶縁基板1は、例えばガラス繊維を縦横に織り込んだガラス織物にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る板状の芯体1aの上下面にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る絶縁層1bをそれぞれ複数層ずつ積層して成り、芯体1aや各絶縁層1bの表面には銅箔や銅めっき膜等の導体層から成る複数の配線導体2が形成されている。
【0013】
絶縁基板1を構成する芯体1aは、厚みが0.3〜1.5mm程度であり、その上面から下面にかけて直径が0.1〜1.0mm程度の複数の貫通孔7を有している。そして、各貫通孔7の内壁には配線導体2の一部が被着されており、芯体1aの上下面に形成された配線導体2同士が貫通孔7内の配線導体2を介して電気的に接続されている。
【0014】
このような芯体1aは、ガラス織物に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたシートを熱硬化させた後、これに上面から下面にかけて貫通孔7用のドリル加工を施すことにより製作される。なお、芯体1aの上下面の配線導体2は、芯体1a用のシートの上下全面に厚みが3〜50μm程度の銅箔を貼着しておくとともに、この銅箔をシートの硬化後にエッチング加工することにより芯体1aの上下面に所定のパターンに形成される。また、貫通孔7内の配線導体2は、芯体1aに貫通孔7を設けた後に、この貫通孔7の内壁に無電解めっき法および電解めっき法により厚みが3〜50μm程度の銅めっき膜を析出させることにより貫通孔7の内壁に被着形成される。
【0015】
さらに、芯体1aは、その貫通孔7の内部にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る樹脂柱8が充填されている。樹脂柱8は、貫通孔7を塞ぐことにより貫通孔7の直上および直下に絶縁層1bを形成可能とするためのものであり、未硬化のペースト状の熱硬化性樹脂を貫通孔7内にスクリーン印刷法により充填し、これを熱硬化させた後、その上下面を略平坦に研磨することにより形成される。そして、この樹脂柱8を含む芯体1aの上下面に絶縁層1bが積層されている。
【0016】
芯体1aの上下面に積層された絶縁層1bは、それぞれの厚みが20〜60μm程度であり、各層の上面から下面にかけて直径が30〜100μm程度の複数の貫通孔9を有しており、これらの貫通孔9内には配線導体2の一部が被着形成されている。これらの絶縁層1bは、配線導体2を高密度に配線するための絶縁間隔を提供するためのものである。そして、上層の配線導体2と下層の配線導体2とを貫通孔9内の配線導体2を介して電気的に接続することにより高密度配線を立体的に形成可能としている。
【0017】
このような絶縁層1bは、厚みが20〜60μm程度の未硬化の熱硬化性樹脂のフィルムを芯体1a上下面に貼着し、これを熱硬化させるとともにレーザ加工により貫通孔9を穿孔し、さらにその上に同様にして次の絶縁層1bを順次積み重ねることによって形成される。なお、各絶縁層1b表面および貫通孔9内に被着された配線導体2は、各絶縁層1bを形成する毎に各絶縁層1bの表面および貫通孔9内に5〜50μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法やサブトラクティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。
【0018】
さらに、最表層の絶縁層1b上には耐半田樹脂層4が被着されている。耐半田樹脂層4は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂にシリカやタルク等の無機物粉末フィラーを30〜70質量%程度分散させた絶縁材料から成り、表層の配線導体2同士の電気的絶縁信頼性を高めるとともに、後述する半田接合パッド3やピン接合パッド10の絶縁基板1への接合強度を大きなものとする作用をなす。
【0019】
このような耐半田樹脂層4は、その厚みが10〜50μm程度であり、感光性を有する耐半田樹脂層4用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して最表層の絶縁層1b上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半田接合パッド3やピン接合パッド10の中央部を露出させる開口部4a、4bを形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。あるいは、耐半田樹脂層4用の未硬化の樹脂フィルムを最上層の絶縁層1b上に貼着した後、これを熱硬化させ、しかる後、半田接合パッド3やピン接合パッド10に対応する位置にレーザビームを照射し、硬化した樹脂フィルムを部分的に除去することによって半田接合パッド3やピン接合パッド10を露出させる開口部4a、4bを有するように形成される。
【0020】
また、絶縁基板1の上面から下面にかけて形成された配線導体2は、電子部品の各電極を外部電気回路基板に接続するための導電路として機能し、絶縁基板1の上面の実装領域に設けられた部位の一部が電子部品の各電極に例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る半田バンプ5を介して接合される半田接合パッド3を、絶縁基板1の下面に露出した部位の一部が外部電気回路基板に接続される外部リードピン6を接合するためのピン接合パッド10を形成している。このような半田接合パッド3やピン接合パッド10は、配線導体2に接続された導体層から成る略円形のパターンの外周部を耐半田樹脂層4により15〜35μm程度の幅で被覆してその外周縁を画定することによりその露出する直径が、半田接合パッド3であれば70〜200μm程度に、ピン接合パッド10であれば0.5〜2.5mm程度になるように形成されている。なお、このように半田接合パッド3およびピン接合パッド10の外周部を耐半田樹脂層4により被覆することによって、半田接合パッド3同士やピン接合パッド10同士の電気的な短絡が有効に防止されるとともに、半田接合パッド3やピン接合パッド10の絶縁基板1に対する接合強度が高いものとなっている。
【0021】
なお、通常であれば、半田接合パッド3およびピン接合パッド10の露出する表面には、半田接合パッド3やピン接合パッド10の酸化腐蝕の防止と半田バンプ5や外部リードピン6との接続を良好にするために、ニッケル、金等の良導電性で耐腐蝕性に優れた金属をめっき法により1〜20μmの厚さに被着することが好ましい。
【0022】
また、半田接合パッド3には、半田バンプ5が固着形成されている。半田バンプ5は、錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金等の半田材料から成り、半田接合パッド3と電子部品とを電気的および機械的に接続するための端子として機能し、電子部品の各電極がそれぞれ対応する半田バンプ5に当接するようにして絶縁基板1上に電子部品を載置するとともに、これらを例えば電気炉などの加熱装置で加熱して半田バンプ5を溶融させることにより半田バンプ5と電子部品の電極とが接続される。
【0023】
また、ピン接合パッド10は、銅や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る外部リードピン6が半田バンプ5よりも融点が高い半田を介して接合されている。外部リードピン6は、絶縁基板1に実装される電子部品を外部電気回路基板に電気的に接続するための端子部材として機能し、外部リードピン6を外部電気回路基板の配線導体に半田やソケットを介して接続することにより、電子部品が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0024】
次に半田接合パッド3上に半田バンプ5を形成する本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法について説明する。
【0025】
先ず、図2(a)に示すように、配線導体2を有する絶縁基板1の上面に、配線導体2に接続された半田接合パッド3およびこの半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを有する耐半田樹脂層4を形成する。半田接合パッド3は、絶縁基板1を構成する最上層の絶縁層1b上に5〜20μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法やサブトラクティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。また、耐半田樹脂層4は、感光性を有する耐半田樹脂層4用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して最上層の絶縁層1b上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。あるいは、耐半田樹脂層4用の未硬化の樹脂フィルムを最上層の絶縁層1b上に貼着した後、これを熱硬化させ、しかる後、半田接合パッド3に対応する位置にレーザビームを照射し、硬化した樹脂フィルムを部分的に除去することによって半田接合パッド3を露出させる開口部4aを有するように形成される。なお、耐半田樹脂層4の開口部4aから露出した半田接合パッド3の表面には、半田接合パッド3の酸化腐食を防止するとともに半田バンプ5との接合を強固なものとするために2〜5μmの厚みのニッケルめっき層と0.01〜1μmの厚みの金めっき層を電解めっき法や無電解めっき法により順次被着させる。
【0026】
次に、図2(b)に示すように、耐半田樹脂層4の開口部4aから露出した半田接合パッド3上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペースト21を例えば従来周知のスクリーン印刷法を採用して塗布する。半田粉末としては、例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末が使用される。
【0027】
次に図2(c)に示すように、第一の半田ペースト21を加熱して第一の半田ペースト21中のフラックスを気化除去するとともに、第一の半田ペースト21中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド3上に半田層31を形成する。このとき、第一の半田ペースト21中には20〜30質量%の多量のフラックスを含有させたことから、この多量のフラックスにより半田接合パッド3の露出表面を極めて清浄なものとすることができ、その結果、半田接合パッド3の露出表面に半田層31を良好に被着させることができる。また、第一の半田ペースト21は、フラックスの量が20〜30質量%と多いことから薄く印刷される。したがって、加熱により気化したフラックスはその薄い半田層31中を容易に抜け出して外部に良好に除去され、半田層31内にボイドが発生することは殆どない。
【0028】
なお、第一の半田ペースト21中に含有されるフラックスの量が20質量%未満の場合、半田接合パッド3上に第一の半田ペースト21を印刷塗布した後、それを加熱して半田接合パッド3上に半田層31を形成する際に、第一の半田ペースト21中のフラックスにより半田接合パッド3の露出表面を十分に清浄な状態とすることができず、その結果、半田接合パッド3上に半田層31を良好に被着させることが困難となる傾向にあり、他方、30質量%を超えると、半田接合パッド3上に第一の半田ペースト21を印刷塗布した後、それを加熱して半田接合パッド3上に半田層31を形成する際に、半田層31が薄くなり過ぎてしまい、後述する第2の半田ペースト22を印刷塗布して加熱した場合に半田層31と耐半田樹脂層4との間の段差部にボイドを巻き込んでしまう危険性がある。したがって、第一の半田ペースト21中に含有されるフラックスの量は20〜30質量%の範囲に特定される。
【0029】
また、半田接合パッド3上に被着される半田層31は、その高さを、耐半田樹脂層4の高さに対して−5μm〜+15μmの範囲としておくことが好ましい。半田層31の高さが耐半田樹脂層4の高さに対して−5μmより低い場合、半田層31の上に後述する第二の半田ペースト22を印刷塗布するとともにそれを加熱して半田バンプ5を形成する際に、半田層31と耐半田樹脂層4との間に形成される段差部により半田バンプ5の内部にフラックスが取り残されてボイドが発生しやすくなる傾向にあり、他方、+15μmより高い場合、第一の半田ペースト21を塗布して加熱する場合に半田層31内に発生したガスやフラックスが抜けきれず、それが半田バンプ5内にボイドとして残ってしまう危険があるとともに後述するように、第二の半田ペースト22を印刷塗布する際に半田層31と耐半田樹脂層4との間の段差により半田ペースト22がにじみやすく第二の半田ペースト22を正確に印刷することが困難となる危険性がある。
【0030】
次に、図2(d)に示すように、半田接合パッド3上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペースト22を例えば従来周知のスクリーン印刷法を採用して塗布する。第二の半田ペースト22においては、第一の半田ペースト21と同様に半田粉末としては、例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末が使用される。
【0031】
次に図2(e)に示すように、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに、第二の半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田接合パッド3上に半田バンプ5を形成する。このとき、第二の半田ペースト22中のフラックスの量が5〜15質量%の少量であっても半田接合パッド3上には予め半田層31が被着されていることから、第二の半田ペースト22中の半田および半田層31の半田が溶融して形成される半田バンプ5と半田接合パッド3とが極めて良好に接合される。また、第二の半田ペースト22中のフラックス量は5〜15質量%と少ないことから、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田バンプ5を形成する際に気化したフラックスが半田バンプ5内に取り残されにくく、ボイドの少ない半田バンプ5を形成することができるとともに、第二の半田ペースト22は単位体積中の半田量が多いことから半田バンプ5を十分な高さに形成することができる。
【0032】
なお、第二の半田ペースト22中のフラックス量が5質量%未満の場合、第二の半田ペースト22にペーストとしての適度な粘度を付与することができずに半田ペースト22を半田層31上に良好に印刷塗布することが困難となる傾向にあり、他方、15質量%を超えると、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田バンプ5を形成する際に半田ペースト22中の半田量が少ない為、半田バンプ5を十分な高さに形成することができない危険性がある。したがって、第二の半田ペースト22の中のフラックス量は5〜15質量%の範囲に特定される。
【0033】
かくして、本発明により提供される半田バンプ付き配線基板によると、配線基板1の上面に電子部品をその電極が半田バンプ5に当接するようにして載置するとともに、半田バンプ5を溶融させて電子部品の電極と半田接合パッド3とを接合させることにより製品としての電子装置となる。
【0034】
なお、本発明は、上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0035】
【実施例】
試験用基板としてガラス織物にエポキシ樹脂を含浸させて成る厚みが0.8mmの芯体上にエポキシ樹脂から成る厚みが40μmの絶縁層を2層積層するとともに、最上層の絶縁層上に厚みが15μmの銅めっき層から成る直径が125μmの半田接合パッドを1351個被着させ、さらにその上にアクリル変性エポキシ樹脂から成る厚みが25μmの耐半田樹脂層を各半田接合パッドの中央部を露出させる直径が100μmの開口部を有するように被着させるとともにその開口部から露出した半田接合パッドの表面に厚みが5μmのニッケルめっき層および厚みが0.03μmの金めっき層を被着させたものを準備した。
【0036】
また、第一の半田ペーストとしてフラックスの含有量がそれぞれ15、20、25、30、35質量%で残部が半田粉末から成る半田ペーストを5種類用意するとともに第二の半田ペーストとしてフラックスの含有量がそれぞれ5、10、15、20質量%で残部が半田粉末から成る半田ペーストを4種類準備した。なお、フラックスとしては、RAタイプのフラックスを、半田粉末としては、錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末を用いた。
【0037】
次に、試験用基板の半田接合パッドに各第一の半田ペーストをそれぞれ印刷塗布するとともにそれを加熱して半田接合パッド上に半田層を形成した後、その半田層上に各第二の半田ペーストをそれぞれ印刷するとともに加熱して半田接合パッド上に半田バンプを形成して表1に示す本発明による試料および比較のための試料を得た。なお、表1中で*印を付与した試料番号のものは本発明の範囲外の比較のための試料である。
【0038】
【表1】
次に、各試料における全半田バンプをX線で見て内部にあるボイドの数を直径が25μm以下のものと25μmを超えるものとで分けて数えた。直径が25μmを超えるボイドがある場合、接合の信頼性が極めて低くなるために不良品として判定した。また、試験用基板の半田接合パッドと対応する電極を有する半導体集積回路素子を各試料の半田接合バッドに半田バンプを介して接合させ、その半導体集積回路素子を垂直に引っ張って半導体集積回路素子が引き剥がされたときの荷重を測定して接合強度とした。その結果を表1に示す。表1に示すように、本発明による試料は全ての試料(試料番号2、3、4、5、6、7、9)において直径が25μmを超えるボイドは一切見られず、また接合強度も0.13N/pad以上と大きなものであった。これに対して比較のための試料は試料番号1、10において25μm以上の大きなボイドの発生が見られ、その接合強度も0.1N/pad以下の小さなものであった。また、試料番号8においては25μmを超えるボイドは見られなかったものの十分な高さの半田バンプを得られなかった。
【0039】
以上の結果から、本発明による半田バンプ付き配線基板は、半田バンプ中に25μmを超える大きなボイドの発生が皆無であるとともに、25μm以下のボイドの発生も少なく、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して極めて強固に接合できることが分かる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法によれば、耐半田樹脂層の開口部内に露出した半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを印刷塗布するとともにこの第一の半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田層を被着させ、次にその半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを印刷するとともにこの第二の半田ペースト中の半田および前記半田層の半田を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成することから、フラックス量の多い第一の半田ペーストにより、この第一の半田ペースト中の半田と半田接合パッドとが良好に濡れるとともに半田接合パッド上にボイドのない薄い半田層が形成され、その上に塗布されるフラックス量の少ない第二の半田ペーストによりフラックスの残留に起因するボイドの少ない十分な高さの半田バンプを形成することができる。したがって、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することが可能な半田バンプ付き配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造される半田バンプ付き配線基板の実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法を説明するための工程毎の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・絶縁基板
2・・・・・配線導体
3・・・・・半田接合パッド
4・・・・・耐半田樹脂層
4a・・・・耐半田樹脂層の開口部
5・・・・・半田バンプ
21・・・・・第一の半田ペースト
22・・・・・第二の半田ペースト
31・・・・・半田層
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するための半田バンプ付き配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や抵抗器等の電子部品を搭載するために用いられる配線基板には、ガラス基材および熱硬化性樹脂から成る絶縁板と銅箔等から成る配線導体層とを交互に複数積層して成るプリント基板や、絶縁板上に熱硬化性樹脂およびフィラーから成る絶縁層と銅めっき層から成る配線導体層とを複数積層して成るビルドアップ基板が用いられてきている。そして、このようなプリント基板やビルドアップ基板等の配線基板の上面には、半導体素子等の電子部品の電極を接続するための半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる耐半田樹脂層が被着形成されており、さらに、耐半田樹脂層から露出した半田接合パッド上には電子部品と半田接合パッドとを接合するための半田バンプが形成されている。
【0003】
そして、このような半田バンプ付きの配線基板においては、電子部品をその各電極がそれぞれ対応する半田バンプに当接するようにして配線基板の上面に載置するとともに、これらを例えば電気炉等の加熱装置で加熱して半田バンプを溶融させて半田バンプと電子部品の電極とを接合させることによって、電子部品が配線基板上に実装される。
【0004】
なお、このような半田バンプ付きの配線基板は、内部および/または表面に複数の配線導体を有する絶縁基板の表面に、配線導体に接続された略円形の複数の半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる開口部を有する耐半田樹脂層を被着させ、次に前記半田接合パッド上にフラックスおよび半田粉末から成る半田ペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して半田バンプに対応する量だけ一度に印刷塗布するとともにこれを加熱して半田ペースト中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成することによって製作されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−122090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半田バンプ付き配線基板によれば、半田接合パッド上に印刷塗布した半田ペースト中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成する際に、半田バンプに対応する量だけ一度に塗布した半田ペースト中に含有されるフラックスの一部が溶融した半田中に取り残されて半田バンプ中にボイドを発生させてしまいやすく、半田バンプ中にそのようなボイドが多量に発生すると、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して接合する際に、電子部品の電極と半田接合パッドとの接合がボイドにより阻害されたり、半田バンプの強度が弱いものとなって、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することができなくなってしまうという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、半田接合パッド上に形成された半田バンプ中にボイドが形成されにくく、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することが可能な半田バンプ付き配線基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法は、配線導体を有する絶縁基板の表面に、前記配線導体に接続された複数の半田接合パッドおよびこの半田接合パッドの中央部を露出させる開口部を有する耐半田樹脂層を形成する工程と、前記開口部内に露出した前記半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを塗布する工程と、この第一の半田ペースト中の前記半田粉末を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田層を被着させる工程と、この半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを塗布する工程と、この第二の半田ペースト中の半田および前記半田層の半田を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田バンプを形成する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法によれば、耐半田樹脂層の開口部内に露出した半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを塗布する工程と、この第一の半田ペースト中の半田粉末を加熱溶融させて半田接合パッド上に半田層を被着させる工程と、その半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを塗布する工程と、この第二の半田ペースト中の半田および半田層の半田を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成する工程とを行なうことから、フラックス量の多い第一の半田ペーストにより、この第一の半田ペースト中の半田と半田接合パッドとが良好に濡れるとともに半田接合パッド上にボイドのない薄い半田層が形成され、その上に塗布されるフラックス量の少ない第二の半田ペーストによりフラックスの残留に起因するボイドの少ない十分な高さの半田バンプを形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法により製作される半田バンプ付き配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。また、図2は本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法を説明するための工程毎の要部拡大断面図である。
【0011】
図1において、1は絶縁基板、2は配線導体、3は半田接合パッド、4は耐半田樹脂層、5は半田バンプ、6は外部リードピンであり、主にこれらで本例の半田バンプ付き配線基板が構成されている。なお、この例では外部リードピン6を有する例を示したが、外部リードピン6は必ずしも必要ではなく、外部リードピン6に代えて例えば半田から成る外部接続用の端子を設けてもよい。
【0012】
絶縁基板1は、例えばガラス繊維を縦横に織り込んだガラス織物にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る板状の芯体1aの上下面にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る絶縁層1bをそれぞれ複数層ずつ積層して成り、芯体1aや各絶縁層1bの表面には銅箔や銅めっき膜等の導体層から成る複数の配線導体2が形成されている。
【0013】
絶縁基板1を構成する芯体1aは、厚みが0.3〜1.5mm程度であり、その上面から下面にかけて直径が0.1〜1.0mm程度の複数の貫通孔7を有している。そして、各貫通孔7の内壁には配線導体2の一部が被着されており、芯体1aの上下面に形成された配線導体2同士が貫通孔7内の配線導体2を介して電気的に接続されている。
【0014】
このような芯体1aは、ガラス織物に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたシートを熱硬化させた後、これに上面から下面にかけて貫通孔7用のドリル加工を施すことにより製作される。なお、芯体1aの上下面の配線導体2は、芯体1a用のシートの上下全面に厚みが3〜50μm程度の銅箔を貼着しておくとともに、この銅箔をシートの硬化後にエッチング加工することにより芯体1aの上下面に所定のパターンに形成される。また、貫通孔7内の配線導体2は、芯体1aに貫通孔7を設けた後に、この貫通孔7の内壁に無電解めっき法および電解めっき法により厚みが3〜50μm程度の銅めっき膜を析出させることにより貫通孔7の内壁に被着形成される。
【0015】
さらに、芯体1aは、その貫通孔7の内部にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る樹脂柱8が充填されている。樹脂柱8は、貫通孔7を塞ぐことにより貫通孔7の直上および直下に絶縁層1bを形成可能とするためのものであり、未硬化のペースト状の熱硬化性樹脂を貫通孔7内にスクリーン印刷法により充填し、これを熱硬化させた後、その上下面を略平坦に研磨することにより形成される。そして、この樹脂柱8を含む芯体1aの上下面に絶縁層1bが積層されている。
【0016】
芯体1aの上下面に積層された絶縁層1bは、それぞれの厚みが20〜60μm程度であり、各層の上面から下面にかけて直径が30〜100μm程度の複数の貫通孔9を有しており、これらの貫通孔9内には配線導体2の一部が被着形成されている。これらの絶縁層1bは、配線導体2を高密度に配線するための絶縁間隔を提供するためのものである。そして、上層の配線導体2と下層の配線導体2とを貫通孔9内の配線導体2を介して電気的に接続することにより高密度配線を立体的に形成可能としている。
【0017】
このような絶縁層1bは、厚みが20〜60μm程度の未硬化の熱硬化性樹脂のフィルムを芯体1a上下面に貼着し、これを熱硬化させるとともにレーザ加工により貫通孔9を穿孔し、さらにその上に同様にして次の絶縁層1bを順次積み重ねることによって形成される。なお、各絶縁層1b表面および貫通孔9内に被着された配線導体2は、各絶縁層1bを形成する毎に各絶縁層1bの表面および貫通孔9内に5〜50μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法やサブトラクティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。
【0018】
さらに、最表層の絶縁層1b上には耐半田樹脂層4が被着されている。耐半田樹脂層4は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂にシリカやタルク等の無機物粉末フィラーを30〜70質量%程度分散させた絶縁材料から成り、表層の配線導体2同士の電気的絶縁信頼性を高めるとともに、後述する半田接合パッド3やピン接合パッド10の絶縁基板1への接合強度を大きなものとする作用をなす。
【0019】
このような耐半田樹脂層4は、その厚みが10〜50μm程度であり、感光性を有する耐半田樹脂層4用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して最表層の絶縁層1b上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半田接合パッド3やピン接合パッド10の中央部を露出させる開口部4a、4bを形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。あるいは、耐半田樹脂層4用の未硬化の樹脂フィルムを最上層の絶縁層1b上に貼着した後、これを熱硬化させ、しかる後、半田接合パッド3やピン接合パッド10に対応する位置にレーザビームを照射し、硬化した樹脂フィルムを部分的に除去することによって半田接合パッド3やピン接合パッド10を露出させる開口部4a、4bを有するように形成される。
【0020】
また、絶縁基板1の上面から下面にかけて形成された配線導体2は、電子部品の各電極を外部電気回路基板に接続するための導電路として機能し、絶縁基板1の上面の実装領域に設けられた部位の一部が電子部品の各電極に例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る半田バンプ5を介して接合される半田接合パッド3を、絶縁基板1の下面に露出した部位の一部が外部電気回路基板に接続される外部リードピン6を接合するためのピン接合パッド10を形成している。このような半田接合パッド3やピン接合パッド10は、配線導体2に接続された導体層から成る略円形のパターンの外周部を耐半田樹脂層4により15〜35μm程度の幅で被覆してその外周縁を画定することによりその露出する直径が、半田接合パッド3であれば70〜200μm程度に、ピン接合パッド10であれば0.5〜2.5mm程度になるように形成されている。なお、このように半田接合パッド3およびピン接合パッド10の外周部を耐半田樹脂層4により被覆することによって、半田接合パッド3同士やピン接合パッド10同士の電気的な短絡が有効に防止されるとともに、半田接合パッド3やピン接合パッド10の絶縁基板1に対する接合強度が高いものとなっている。
【0021】
なお、通常であれば、半田接合パッド3およびピン接合パッド10の露出する表面には、半田接合パッド3やピン接合パッド10の酸化腐蝕の防止と半田バンプ5や外部リードピン6との接続を良好にするために、ニッケル、金等の良導電性で耐腐蝕性に優れた金属をめっき法により1〜20μmの厚さに被着することが好ましい。
【0022】
また、半田接合パッド3には、半田バンプ5が固着形成されている。半田バンプ5は、錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金等の半田材料から成り、半田接合パッド3と電子部品とを電気的および機械的に接続するための端子として機能し、電子部品の各電極がそれぞれ対応する半田バンプ5に当接するようにして絶縁基板1上に電子部品を載置するとともに、これらを例えば電気炉などの加熱装置で加熱して半田バンプ5を溶融させることにより半田バンプ5と電子部品の電極とが接続される。
【0023】
また、ピン接合パッド10は、銅や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る外部リードピン6が半田バンプ5よりも融点が高い半田を介して接合されている。外部リードピン6は、絶縁基板1に実装される電子部品を外部電気回路基板に電気的に接続するための端子部材として機能し、外部リードピン6を外部電気回路基板の配線導体に半田やソケットを介して接続することにより、電子部品が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0024】
次に半田接合パッド3上に半田バンプ5を形成する本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法について説明する。
【0025】
先ず、図2(a)に示すように、配線導体2を有する絶縁基板1の上面に、配線導体2に接続された半田接合パッド3およびこの半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを有する耐半田樹脂層4を形成する。半田接合パッド3は、絶縁基板1を構成する最上層の絶縁層1b上に5〜20μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法やサブトラクティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。また、耐半田樹脂層4は、感光性を有する耐半田樹脂層4用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して最上層の絶縁層1b上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半田接合パッド3の中央部を露出させる開口部4aを形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。あるいは、耐半田樹脂層4用の未硬化の樹脂フィルムを最上層の絶縁層1b上に貼着した後、これを熱硬化させ、しかる後、半田接合パッド3に対応する位置にレーザビームを照射し、硬化した樹脂フィルムを部分的に除去することによって半田接合パッド3を露出させる開口部4aを有するように形成される。なお、耐半田樹脂層4の開口部4aから露出した半田接合パッド3の表面には、半田接合パッド3の酸化腐食を防止するとともに半田バンプ5との接合を強固なものとするために2〜5μmの厚みのニッケルめっき層と0.01〜1μmの厚みの金めっき層を電解めっき法や無電解めっき法により順次被着させる。
【0026】
次に、図2(b)に示すように、耐半田樹脂層4の開口部4aから露出した半田接合パッド3上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペースト21を例えば従来周知のスクリーン印刷法を採用して塗布する。半田粉末としては、例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末が使用される。
【0027】
次に図2(c)に示すように、第一の半田ペースト21を加熱して第一の半田ペースト21中のフラックスを気化除去するとともに、第一の半田ペースト21中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド3上に半田層31を形成する。このとき、第一の半田ペースト21中には20〜30質量%の多量のフラックスを含有させたことから、この多量のフラックスにより半田接合パッド3の露出表面を極めて清浄なものとすることができ、その結果、半田接合パッド3の露出表面に半田層31を良好に被着させることができる。また、第一の半田ペースト21は、フラックスの量が20〜30質量%と多いことから薄く印刷される。したがって、加熱により気化したフラックスはその薄い半田層31中を容易に抜け出して外部に良好に除去され、半田層31内にボイドが発生することは殆どない。
【0028】
なお、第一の半田ペースト21中に含有されるフラックスの量が20質量%未満の場合、半田接合パッド3上に第一の半田ペースト21を印刷塗布した後、それを加熱して半田接合パッド3上に半田層31を形成する際に、第一の半田ペースト21中のフラックスにより半田接合パッド3の露出表面を十分に清浄な状態とすることができず、その結果、半田接合パッド3上に半田層31を良好に被着させることが困難となる傾向にあり、他方、30質量%を超えると、半田接合パッド3上に第一の半田ペースト21を印刷塗布した後、それを加熱して半田接合パッド3上に半田層31を形成する際に、半田層31が薄くなり過ぎてしまい、後述する第2の半田ペースト22を印刷塗布して加熱した場合に半田層31と耐半田樹脂層4との間の段差部にボイドを巻き込んでしまう危険性がある。したがって、第一の半田ペースト21中に含有されるフラックスの量は20〜30質量%の範囲に特定される。
【0029】
また、半田接合パッド3上に被着される半田層31は、その高さを、耐半田樹脂層4の高さに対して−5μm〜+15μmの範囲としておくことが好ましい。半田層31の高さが耐半田樹脂層4の高さに対して−5μmより低い場合、半田層31の上に後述する第二の半田ペースト22を印刷塗布するとともにそれを加熱して半田バンプ5を形成する際に、半田層31と耐半田樹脂層4との間に形成される段差部により半田バンプ5の内部にフラックスが取り残されてボイドが発生しやすくなる傾向にあり、他方、+15μmより高い場合、第一の半田ペースト21を塗布して加熱する場合に半田層31内に発生したガスやフラックスが抜けきれず、それが半田バンプ5内にボイドとして残ってしまう危険があるとともに後述するように、第二の半田ペースト22を印刷塗布する際に半田層31と耐半田樹脂層4との間の段差により半田ペースト22がにじみやすく第二の半田ペースト22を正確に印刷することが困難となる危険性がある。
【0030】
次に、図2(d)に示すように、半田接合パッド3上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペースト22を例えば従来周知のスクリーン印刷法を採用して塗布する。第二の半田ペースト22においては、第一の半田ペースト21と同様に半田粉末としては、例えば錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末が使用される。
【0031】
次に図2(e)に示すように、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに、第二の半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田接合パッド3上に半田バンプ5を形成する。このとき、第二の半田ペースト22中のフラックスの量が5〜15質量%の少量であっても半田接合パッド3上には予め半田層31が被着されていることから、第二の半田ペースト22中の半田および半田層31の半田が溶融して形成される半田バンプ5と半田接合パッド3とが極めて良好に接合される。また、第二の半田ペースト22中のフラックス量は5〜15質量%と少ないことから、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田バンプ5を形成する際に気化したフラックスが半田バンプ5内に取り残されにくく、ボイドの少ない半田バンプ5を形成することができるとともに、第二の半田ペースト22は単位体積中の半田量が多いことから半田バンプ5を十分な高さに形成することができる。
【0032】
なお、第二の半田ペースト22中のフラックス量が5質量%未満の場合、第二の半田ペースト22にペーストとしての適度な粘度を付与することができずに半田ペースト22を半田層31上に良好に印刷塗布することが困難となる傾向にあり、他方、15質量%を超えると、第二の半田ペースト22および半田層31を加熱して第二の半田ペースト22中のフラックスを気化除去するとともに半田ペースト22中の半田粉末および半田層31を溶融させて半田バンプ5を形成する際に半田ペースト22中の半田量が少ない為、半田バンプ5を十分な高さに形成することができない危険性がある。したがって、第二の半田ペースト22の中のフラックス量は5〜15質量%の範囲に特定される。
【0033】
かくして、本発明により提供される半田バンプ付き配線基板によると、配線基板1の上面に電子部品をその電極が半田バンプ5に当接するようにして載置するとともに、半田バンプ5を溶融させて電子部品の電極と半田接合パッド3とを接合させることにより製品としての電子装置となる。
【0034】
なお、本発明は、上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0035】
【実施例】
試験用基板としてガラス織物にエポキシ樹脂を含浸させて成る厚みが0.8mmの芯体上にエポキシ樹脂から成る厚みが40μmの絶縁層を2層積層するとともに、最上層の絶縁層上に厚みが15μmの銅めっき層から成る直径が125μmの半田接合パッドを1351個被着させ、さらにその上にアクリル変性エポキシ樹脂から成る厚みが25μmの耐半田樹脂層を各半田接合パッドの中央部を露出させる直径が100μmの開口部を有するように被着させるとともにその開口部から露出した半田接合パッドの表面に厚みが5μmのニッケルめっき層および厚みが0.03μmの金めっき層を被着させたものを準備した。
【0036】
また、第一の半田ペーストとしてフラックスの含有量がそれぞれ15、20、25、30、35質量%で残部が半田粉末から成る半田ペーストを5種類用意するとともに第二の半田ペーストとしてフラックスの含有量がそれぞれ5、10、15、20質量%で残部が半田粉末から成る半田ペーストを4種類準備した。なお、フラックスとしては、RAタイプのフラックスを、半田粉末としては、錫(Sn)が10質量%、鉛(Pb)が70質量%、アンチモン(Sb)が8質量%、ビスマス(Bi)が12質量%を含有する錫−鉛−アンチモン−ビスマス合金から成る粒径が3〜25μm程度の球状の半田粉末を用いた。
【0037】
次に、試験用基板の半田接合パッドに各第一の半田ペーストをそれぞれ印刷塗布するとともにそれを加熱して半田接合パッド上に半田層を形成した後、その半田層上に各第二の半田ペーストをそれぞれ印刷するとともに加熱して半田接合パッド上に半田バンプを形成して表1に示す本発明による試料および比較のための試料を得た。なお、表1中で*印を付与した試料番号のものは本発明の範囲外の比較のための試料である。
【0038】
【表1】
次に、各試料における全半田バンプをX線で見て内部にあるボイドの数を直径が25μm以下のものと25μmを超えるものとで分けて数えた。直径が25μmを超えるボイドがある場合、接合の信頼性が極めて低くなるために不良品として判定した。また、試験用基板の半田接合パッドと対応する電極を有する半導体集積回路素子を各試料の半田接合バッドに半田バンプを介して接合させ、その半導体集積回路素子を垂直に引っ張って半導体集積回路素子が引き剥がされたときの荷重を測定して接合強度とした。その結果を表1に示す。表1に示すように、本発明による試料は全ての試料(試料番号2、3、4、5、6、7、9)において直径が25μmを超えるボイドは一切見られず、また接合強度も0.13N/pad以上と大きなものであった。これに対して比較のための試料は試料番号1、10において25μm以上の大きなボイドの発生が見られ、その接合強度も0.1N/pad以下の小さなものであった。また、試料番号8においては25μmを超えるボイドは見られなかったものの十分な高さの半田バンプを得られなかった。
【0039】
以上の結果から、本発明による半田バンプ付き配線基板は、半田バンプ中に25μmを超える大きなボイドの発生が皆無であるとともに、25μm以下のボイドの発生も少なく、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して極めて強固に接合できることが分かる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法によれば、耐半田樹脂層の開口部内に露出した半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを印刷塗布するとともにこの第一の半田ペースト中の半田粉末を溶融させて半田接合パッド上に半田層を被着させ、次にその半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを印刷するとともにこの第二の半田ペースト中の半田および前記半田層の半田を溶融させて半田接合パッド上に半田バンプを形成することから、フラックス量の多い第一の半田ペーストにより、この第一の半田ペースト中の半田と半田接合パッドとが良好に濡れるとともに半田接合パッド上にボイドのない薄い半田層が形成され、その上に塗布されるフラックス量の少ない第二の半田ペーストによりフラックスの残留に起因するボイドの少ない十分な高さの半田バンプを形成することができる。したがって、電子部品の電極と半田接合パッドとを半田バンプを介して強固に接合することが可能な半田バンプ付き配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造される半田バンプ付き配線基板の実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の半田バンプ付き配線基板の製造方法を説明するための工程毎の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・絶縁基板
2・・・・・配線導体
3・・・・・半田接合パッド
4・・・・・耐半田樹脂層
4a・・・・耐半田樹脂層の開口部
5・・・・・半田バンプ
21・・・・・第一の半田ペースト
22・・・・・第二の半田ペースト
31・・・・・半田層
Claims (2)
- 配線導体を有する絶縁基板の表面に、前記配線導体に接続された複数の半田接合パッドおよび該半田接合パッドの中央部を露出させる開口部を有する耐半田樹脂層を形成する工程と、前記開口部内に露出した前記半田接合パッド上に20〜30質量%のフラックスと70〜80質量%の半田粉末とから成る第一の半田ペーストを塗布する工程と、該第一の半田ペースト中の前記半田粉末を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田層を被着させる工程と、該半田層上に5〜15質量%のフラックスと85〜95質量%の半田粉末とから成る第二の半田ペーストを塗布する工程と、該第二の半田ペースト中の半田および前記半田層の半田を加熱溶融させて前記半田接合パッド上に半田バンプを形成する工程とを行なうことを特徴とする半田バンプ付き配線基板の製造方法。
- 前記半田接合パッド上に形成する前記半田層の高さが前記耐半田樹脂層の高さに対して−5μm〜+15μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の半田バンプ付き配線基板の製造方法。
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- 2002-09-24 JP JP2002277125A patent/JP2004119441A/ja active Pending
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