JP2004119296A - 画像表示装置、画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、およびこの製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度上昇、消費電力増加、製造コスト増加を引き起こすことなく、電子ビームの軌道を容易に制御し、画像品位の向上した画像表示装置、スペーサの製造方法、この方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置を提供する。
【解決手段】蛍光面を有する第1基板10と、第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、複数の電子源18が設けられた第2基板と、を備え、これら第1および第2基板間には、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサ30a、30bが設けられている。各スペーサの第1基板側の先端部および第2基板側の先端部は、導電性材料が含浸されそれぞれ導電性付与部31a、31bを形成している。
【選択図】 図3
【解決手段】蛍光面を有する第1基板10と、第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、複数の電子源18が設けられた第2基板と、を備え、これら第1および第2基板間には、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサ30a、30bが設けられている。各スペーサの第1基板側の先端部および第2基板側の先端部は、導電性材料が含浸されそれぞれ導電性付与部31a、31bを形成している。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、一方の基板の内面に配設された複数の電子源と、を有した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高品位放送用あるいはこれに伴う高解像度の画像表示装置が望まれており、そのスクリーン表示性能については一段と厳しい性能が要望されている。これら要望を達成するためにはスクリーン面の平坦化、高解像度化が必須であり、同時に軽量、薄型化も図らねばならない。
【0003】
上記のような要望を満たす画像表示装置として、例えば、フィールドエミッションディスプレイ(以下FEDと称する)等の平面表示装置が注目されている。このFEDは、所定の隙間を置いて対向配置された第1基板および第2基板を有し、これらの基板は、その周縁部同士が直接あるいは矩形枠状の側壁を介して互いに接合され真空外囲器を構成している。第1基板の内面には画像表示を行う為の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体層を励起して発光させる電子源として複数の電子放出素子が設けられている。
【0004】
また、第1基板および第2基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には支持部材として複数のスペーサが配設されている。そして、このFEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。
【0005】
このようなFEDでは、電子放出素子の大きさがマイクロメートルオーダーであり、第1基板と第2基板との間隔をミリメートルオーダーに設定することができる。このため、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)と比較して、画像表示装置の高解像度化、軽量化、薄型化を達成することが可能となる。
【0006】
上述のような画像表示装置において、実用的な表示特性を得るためには、通常の陰極線管と同様の蛍光体を用い、アノード電圧を数kV以上に設定することが望ましい。しかし、第1基板と第2基板との間の隙間は、解像度や支持部材の特性、製造性などの観点からあまり大きくすることはできず、1〜3mm程度に設定する必要がある。そのため、第2基板から放出された電子が第1基板に形成された蛍光面に衝突する際、2次電子および反射電子が放出され、これらの2次電子、反射電子が基板間に配設されたスペーサに衝突し、その結果、スペーサが帯電してしまう。FEDにおける加速電圧では、一般にスペーサは正に帯電し、電子放出素子から放出された電子ビームはスペーサに引き付けられ、本来の軌道からずれてしまう。その結果、蛍光体層に対して電子ビームのミスランディングが発生し、表示画像の色純度が劣化するという問題がある。
【0007】
このようなスペーサによる電子ビームの吸引を低減するため、スペーサ表面の全部または一部に導電処理を施して帯電を逃がすことが考えられる。例えば、特許文献1には、絶縁スペーサの第2基板側の端部に導電性処理を施し、スペーサの帯電を逃がす構造が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,726,529号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スペーサに導電性処理を施した場合、スペーサを介して第1基板から第2基板に流れる無効電流が増加し、温度の上昇や消費電力の増加を引き起こす。また、従来の導電性処理方法では、製造コストの増加を避けることが難しい。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、温度の上昇や消費電力の増加、製造コストの増加を引き起こすことなく、電子ビームの軌道を容易に制御し、画像品位の向上した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、蛍光面を有した第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出して上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、それぞれ絶縁材料で形成されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、上記各スペーサの上記第1基板側の先端部および第2基板側の先端部は、導電性材料が含浸されそれぞれ導電性付与部を形成していることを特徴としている。
【0012】
上記構成の画像表示装置によれば、スペーサ近傍に位置した電子源から放出された電子は、スペーサの両端部に位置する導電性付与部によって形成された電界により反発され、スペーサから離れる方向へ軌道を取った後、今度はスペーサに吸引されスペーサに接近する方向へ軌道を取る。そして、この反発と吸引とにより電子の軌道ずれが相殺され、電子源から放出された電子は最終的に画像表示面の目標の位置に到達する。これにより、電子のミスランディングに起因する色純度の劣化を低減し、画像品位の向上した画像表示装置が得られる。また、スペーサ全体に導電性を持たせる場合に比較して、温度の上昇や消費電力の増加を抑制することができる。
【0013】
この発明の他の態様に係る画像表示装置のスペーサの製造方法は、絶縁材料によりスペーサを成形し、上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストまたは溶液を付着させ、毛細管現象により上記スペーサの先端部内に上記ペーストまたは溶液を染込ませ、上記ペーストまたは溶液が染み込んだスペーサを焼成し、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0014】
また、この発明の他の態様に係るスペーサの製造方法は、絶縁材料によりスペーサを成形し、上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストを付着させ、上記ペーストが付着したスペーサを加熱処理して、導電性を有する成分をスペーサの先端部内に熱拡散させ、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0015】
この発明の更に他の態様に係るスペーサの製造方法は、スペーサを成形するための複数の透孔を有した金型を用意し、導電性を有する成分を含まない第1ペーストを上記透孔に注入し、導電性を有する成分を分散させた第2ペーストを上記第1ペーストに重ねて上記透孔に注入し、上記第1および第2ペーストを加熱処理し、導電性を有する成分が分散された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このSEDは、透明な絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間を置いて対向配置されている。第2基板12は、第1基板10よりも僅かに大きな寸法に形成されている。そして、第1基板10および第2基板12、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器15を構成している。
【0017】
第1基板10の内面には蛍光面として蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、電子の衝突で赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および黒色遮光層11を並べて構成されている。これらの蛍光体層R、G、Bはストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17が形成されている。なお、第1基板10と蛍光体スクリーンとの間に、例えばITO等からなる透明導電膜あるいはカラーフィルタ膜を設けてもよい。
【0018】
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
【0019】
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、第1基板および第2基板同士を接合している。
【0020】
また、図2および図3に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12間に配設されたスペーサアッセンブリ22を備えている。本実施の形態において、スペーサアッセンブリ22は、板状のグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された複数の柱状のスペーサと、を備えて構成されている。
【0021】
詳細に述べると、グリッド24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。そして、グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26および複数のスペーサ開孔28が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。また、スペーサ開孔28は、それぞれ電子ビーム通過孔26間に位置し所定のピッチで配列されている。
【0022】
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.25mmに形成されている。グリッド24の表面には、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe3O4、NiFe2O4からなる酸化膜が形成されている。更に、グリッド24の少なくとも第2基板側の表面には、ガラス、セラミックからなる高抵抗物質を塗布、焼成した高抵抗膜が形成され、高抵抗膜の抵抗は、E+8Ω/□以上に設定されている。
【0023】
電子ビーム通過孔26は、例えば、0.15〜0.25mm×0.15〜0.25mmの矩形状に形成され、スペーサ開孔28は、例えば径が約0.2〜0.5mmの円形に形成されている。なお、上述した高抵抗膜は、グリッド24に設けられた電子ビーム通過孔26の壁面にも形成されている。
【0024】
グリッド24の第1表面24a上には、各スペーサ開孔28に重ねて第1スペーサ30aが一体的に立設され、その延出端は、メタルバック17および蛍光体スクリーン16の黒色遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。また、グリッド24の第2表面24b上には、各スペーサ開孔28に重ねて第2スペーサ30bが一体的に立設され、その延出端は、第2基板12の内面に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの延出端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。
【0025】
第1および第2スペーサ30a、30bは、絶縁材料により形成されている。また、第1スペーサ30aの先端部および第2スペーサ30bの先端部は、導電性材料が含浸され導電性付与部31a、31bをそれぞれ構成している。各導電性付与部31a、31bにおいて、導電性材料の含有濃度は、スペーサの先端から中間部に向かって、つまり、グリッド24側に向かって徐々に減少している。
【0026】
後述するように、導電性付与部31a、31bは、電子放出素子18から放出された電子ビームをスペーサ30a、30bから離間する方向へ反発するように電界を形成する。各導電性付与部31a、31bに含有される導電性材料としては、例えば、Ni、In、Ag、Au、Pt、Ir、Ru、W等を用いることができる。また、導電性付与部31a、31bの高さ、および導電性材料の含有濃度は、電子ビームに与える反発力、つまり、電子ビームの軌道補正量を考慮して任意に設定される。
【0027】
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aはグリッド24側に位置した基端の径が約0.4mm、延出端の径が約0.3mm、高さが約0.6mmに形成されている。また、各第2スペーサ30bはグリッド24側に位置した基端の径が約0.4mm、延出端の径が約0.25mm、高さが約0.8mmに形成されている。このように、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。
【0028】
第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bの表面抵抗は5×1013Ωとなっている。各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。
【0029】
上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
【0030】
図2に示すように、SEDは、グリッド24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、グリッド24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、グリッド24に12kV、メタルバック17に12kV以下の電圧を印加する。すなわち、グリッド24に印加する電圧は、第1基板10に印加する電圧と同一か、より高く設定されている。
【0031】
このSEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームBをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
【0032】
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。スペーサアッセンブリ22を製造する場合、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この場合、Fe−45〜55%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0033】
図4に示すように、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0034】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0035】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からペースト状のスペーサ形成材料40を供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。スペーサ形成材料40としては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用いる。
【0036】
続いて、充填されたスペーサ形成材料40に対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行ってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、図5に示すように、スペーサ形成材料40と透孔の間にすき間を作る。更に、各スペーサ形成材料40の両端に、すなわち、第1スペーサ30aとなる部分の先端、および第2スペーサ30bとなる部分の先端のみに、例えば、スクリーン印刷法により導電性材料としての銀ペースト42を付着させる。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0037】
続いて、スペーサ形成材料40により第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料および銀ペースト42を本焼成する。これにより、図6に示すように、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、銀ペースト42中の銀成分が第1および第2スペーサ30a、30bの先端部内に約0.15mm程度拡散する。その結果、それぞれ先端部に銀を含有した導電性付与部31a、31bをバルグとして、つまり、一体に備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0038】
一方、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。
【0039】
続いて、上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22を第2基板12上に位置決め配置する。この際、第2スペーサ30bの延出端がそれぞれ配線21上に配置されるようにスペーサアッセンブリ22を位置決めする。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサアッセンブリ22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが製造される。
【0040】
以上のように構成されたSEDによれば、図3に示すように、第2スペーサ30bの近傍に位置した電子放出素子18から放出された電子ビームBは、第2スペーサ30bの先端部を構成した導電性付与部31bが形成する電界により反発され、第2スペーサから離れる方向へ軌道を取りながら電子ビーム通過孔26に向かう。その後、電子ビームBは、今度は、帯電した第2スペーサ30bおよび第1スペーサ30aに吸引され、これらのスペーサに接近する方向へ軌道を取る。更に、電子ビームBは、第1スペーサ30aの先端部を構成した導電性付与部31aが形成する電界により反発され、第1スペーサから離れる方向へ軌道を取りながら蛍光体スクリーン16に向かう。そして、この反発と吸引とにより電子ビームBの軌道ずれが相殺され、電子放出素子18から放出された電子ビームBは、最終的に蛍光体スクリーン16の目標とする蛍光体層に到達する。
【0041】
具体的には、電子放出素子18からスペーサ側壁への距離が小さいほど、電子ビームがスペーサ側へ移動する量は大きく、逆にスペーサ側壁への距離が十分に大きい場合、電子ビームがスペーサ側へ移動する量は無視できる量となる。電子ビームの移動現象は、蛍光面で発生した2次電子及び反射電子がスペーサに衝突することで発生し、この時SEDで使用される加速電圧からスペーサ表面での2次電子放出係数が1以上となり、スペーサ側壁は正に帯電し、電子ビームをスペーサ側へと引き付ける事になる。
【0042】
本実施の形態では、スペーサ側壁の帯電を逃がすのではなく、第1スペーサ30aの第1基板10側の先端部、および第2スペーサ30bの第2基板12側の先端部にそれぞれ導電性付与部31a、31bを設けることにより、電子ビームがスペーサと反発する方向に容易に電界を形成することが可能となる。そして、導電性付与部31a、31bの高さを制御することで電界の強さを変え、反発量を制御することができる。
【0043】
従って、第1および第2スペーサ30a、30bが帯電し、これらスペーサにより電子ビームBが引き付けられた場合でも、電子ビームの軌道ずれを防止することができる。これにより、電子ビームBのミスランディングを防止し、色純度の劣化を低減して画像品位の向上を図ることができる。
【0044】
また、第2基板12側の導電性付与部31bだけで電子ビームの軌道を制御する場合、感度が高く、導電性付与部31bの第2基板12からの高さが少し変化すると電子ビームの軌道が大きく変化する。そのため、製造工程での導電性付与部31bの高さにばらつきが生じると、場所による電子ビーム移動量の差が生じ、電子ビーム軌道の制御が難しい。しかしながら、本実施の形態のように、第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bの両スペーサの先端部に導電性付与部31a、31bを設けた場合、導電性付与部31bでの電子ビーム軌道への作用を抑え気味にし、感度が低い導電性付与部31aにより不足分を補正し、電子ビーム軌道を容易に制御することが可能となる。
【0045】
これにより、導電性付与部31a、31bを容易に製造可能となる。すなわち、導電性付与部を第1および第2スペーサ30a、30bの両方の先端部に設けることにより、第2基板12側だけに高い高さ精度で導電性付与部を設けた場合と同様の効果を容易に得ることができる。
【0046】
なお、第1および第2スペーサ30a、30b全部に導電処理を施した場合、スペーサを介して第1基板10から第2基板12へ流れる無効電流が増加し、温度の上昇や消費電力の増加を引き起こす。また、この導電処理部がSEDの動作中にガスの発生源となり、スペーサ近傍の電子源のイオン衝撃を引き起こす場合もある。これに対して、本実施の形態によれば、第1および第2スペーサ30a、30bの各先端部に導電性付与部31a、31bを形成し、スペーサ全体として、導電部−絶縁部−導電部の3段構造としている。これにより、無効電流の増加、温度の上昇や消費電力の増加、イオン衝突を引き起こすことなく、導電性付与部31a、31bによりスペーサ周辺の電界を変え電子ビームの軌道を容易に制御することができる。
【0047】
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0048】
更に、上記SEDによれば、第1基板10と第2基板12との間にグリッド24が配置されているとともに、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。これにより、グリッド24は第2基板12よりも第1基板10側に接近して位置している。そのため、第1基板10側から放電が生じた場合でも、グリッド24により、第2基板12上に設けられた電子放出素子18の放電破損を抑制することが可能となる。従って、放電に対する耐圧性に優れ画像品位の向上したSEDを得ることができる。
【0049】
また、上記構成のSEDによれば、第1スペーサ30aの高さを第2スペーサ30bよりも低く形成することにより、グリッド24に印加する電圧を第1基板10に印加する電圧より大きくした場合でも、電子放出素子18から発生した電子を蛍光体スクリーン側へ確実に到達させることができる。
【0050】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るSEDに用いるスペーサの製造方法について説明する。上述した第1の実施の形態と同様に、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この際、Fe−45〜55%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0051】
図4に示した場合と同様に、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0052】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0053】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からペースト状のスペーサ形成材料40を供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。スペーサ形成材料40としては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用いる。
【0054】
続いて、充填されたスペーサ形成材料40に対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行ってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、図7に示すように、スペーサ形成材料40と透孔の間にすき間を作る。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0055】
続いて、スペーサ形成材料40により第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばし脱バインダ処理を行う。その後、図8に示すように、スペーサ形成材料40が焼結前の多孔質の状態で、第1スペーサ30aの先端、および第2スペーサ30bの先端のみに、例えば、インクジェットにより、銀の超微粒子とエトラデカン液とからなる溶液を付着させる。付着した溶液は、毛細管現象により第1および第2スペーサ30a、30bの先端部内に約0.2mm程度浸透する。
【0056】
次に、第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内に配置し、約500〜550℃で30分〜1時間、本焼成する。本焼成により、スペーサ形成材料を構成するガラス粒子が一体化し、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、それぞれ先端部に銀を含有した導電性付与部31a、31bをバルグとして備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0057】
その後、第1の実施の形態と同様の方法により、第1基板10、スペーサアッセンブリ22、および第2基板を組立てることにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが得られる。
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0058】
なお、他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第2の実施の形態に係る製造方法により製造されたスペーサを備えたSEDにおいても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、この発明の第3の実施の形態に係るSEDに用いるスペーサの製造方法について説明する。第1の実施の形態と同様に、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この際、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0060】
図9に示すように、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0061】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0062】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からスペーサ形成材料として第1ペースト40aを供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。この際、透孔38aの端部および透孔38bの端部には第1ペースト40aを充填せず空間を残しておく。第1ペースト40aとしては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用い、導電性を有する成分を含まないペーストとする。
【0063】
続いて、第1金型36aおよび第2金型36bの外面側からスペーサ形成材料として第2ペースト40bを供給し、第1ペーストに重ねて透孔38a、38bの端部に注入する。第2ペースト40bとしては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)、およびガラスフィラーを含有しているとともに導電性を有する成分としてAuの粒子が拡散されたガラスペーストを用いる。
【0064】
続いて、充填された第1および第2ペースト40a、40bに対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から紫外線(UV)を照射し、第1および第2ペーストをUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行なってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、第1および第2ペースト40a、40bと透孔との間にすき間を作る。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0065】
離型後、第1および第2ペースト40a、40bにより第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、第1および第2ペースト内からバインダを飛ばし脱バインダ処理を行う。更に、第1および第2ペースト40a、40bを約500〜550℃で30分〜1時間、本焼成する。これにより、図11に示すように、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、それぞれ先端部にAuが分散された導電性付与部31a、31bをバルグとして備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0066】
その後、第1の実施の形態と同様の方法により、第1基板10、スペーサアッセンブリ22、および第2基板を組立てることにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが得られる。
【0067】
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0068】
なお、他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第3の実施の形態に係る製造方法により製造されたスペーサを備えたSEDにおいても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、この発明は、グリッドを備えた画像表示装置に限らず、グリッドを持たない画像表示装置にも適用可能である。この場合、それぞれ一体に形成された柱状あるいは板状のスペーサを用い、各スペーサの第1基板側の先端部および第2基板側の先端部に導電性付与部を一体的に設けることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
また、この発明において、スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は必要に応じて適宜選択可能である。更に、上述した実施の形態において、スペーサの第2基板側の端は、第2基板の配線上に設ける構成としたが、配線上に限らず、電子放出素子を避けた位置で第2基板上に設けられていればよい。
【0071】
グリッド24の電位と第1基板10の電位とを同電位に設定した場合、第1スペーサ全体に導電性材料を含浸させ、第1スペーサ全体を導電性付与部として形成することもできる。
更に、上述した実施の形態では、第1および第2スペーサの先端部に導電性付与部を形成する構成としたが、上述した製造方法により、第2スペーサの先端部、すなわち、スペーサの第2基板側の先端部のみに導電性付与部を形成し、このスペーサを用いてSEDを構成してもよい。
【0072】
電子源は、表面伝導型電子放出素子に限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の真空中に電子が放出される電子源を用いたFEDならどのタイプにも適用可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、温度の上昇や消費電力の増加、製造コストの増加を引き起こすことなく、電子ビームの軌道を容易に制御し、画像品位の向上した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るSEDを示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿って破断した上記SEDの斜視図。
【図3】上記SEDを拡大して示す断面図。
【図4】上記SEDに用いるスペーサの製造工程において、グリッドに第1および第2金型を装着した状態を示す断面図。
【図5】上記製造工程において、上記金型にスペーサ形成材料を充填後、UV照射、銀ペースト付着を行った状態を示す断面図。
【図6】上記製造工程において、上記金型を離型した状態を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係るSEDのスペーサ製造方法を示す断面図。
【図8】上記第2の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、導電性を有する成分を含む溶液をスペーサ先端部に付着させる工程を示す断面図。
【図9】この発明の第3の実施の形態に係るSEDのスペーサ製造方法を示す断面図。
【図10】上記第3の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、金型に第1ペーストおよび第2ペーストを充填した状態を示す断面図。
【図11】上記第3の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、金型を離型し焼成した状態を示す断面図。
【符号の説明】
10…第1基板
12…第2基板
14…側壁
15…真空外囲器
16…蛍光体スクリーン
18…電子放出素子
22…スペーサアッセンブリ
24…グリッド
26…電子ビーム通過孔
28…スペーサ開孔
30a…第1スペーサ
30b…第2スペーサ
31a、31b…導電性付与部
40…スペーサ形成材料
40a…第1ペースト
40b…第2ペースト
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、一方の基板の内面に配設された複数の電子源と、を有した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高品位放送用あるいはこれに伴う高解像度の画像表示装置が望まれており、そのスクリーン表示性能については一段と厳しい性能が要望されている。これら要望を達成するためにはスクリーン面の平坦化、高解像度化が必須であり、同時に軽量、薄型化も図らねばならない。
【0003】
上記のような要望を満たす画像表示装置として、例えば、フィールドエミッションディスプレイ(以下FEDと称する)等の平面表示装置が注目されている。このFEDは、所定の隙間を置いて対向配置された第1基板および第2基板を有し、これらの基板は、その周縁部同士が直接あるいは矩形枠状の側壁を介して互いに接合され真空外囲器を構成している。第1基板の内面には画像表示を行う為の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体層を励起して発光させる電子源として複数の電子放出素子が設けられている。
【0004】
また、第1基板および第2基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には支持部材として複数のスペーサが配設されている。そして、このFEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。
【0005】
このようなFEDでは、電子放出素子の大きさがマイクロメートルオーダーであり、第1基板と第2基板との間隔をミリメートルオーダーに設定することができる。このため、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)と比較して、画像表示装置の高解像度化、軽量化、薄型化を達成することが可能となる。
【0006】
上述のような画像表示装置において、実用的な表示特性を得るためには、通常の陰極線管と同様の蛍光体を用い、アノード電圧を数kV以上に設定することが望ましい。しかし、第1基板と第2基板との間の隙間は、解像度や支持部材の特性、製造性などの観点からあまり大きくすることはできず、1〜3mm程度に設定する必要がある。そのため、第2基板から放出された電子が第1基板に形成された蛍光面に衝突する際、2次電子および反射電子が放出され、これらの2次電子、反射電子が基板間に配設されたスペーサに衝突し、その結果、スペーサが帯電してしまう。FEDにおける加速電圧では、一般にスペーサは正に帯電し、電子放出素子から放出された電子ビームはスペーサに引き付けられ、本来の軌道からずれてしまう。その結果、蛍光体層に対して電子ビームのミスランディングが発生し、表示画像の色純度が劣化するという問題がある。
【0007】
このようなスペーサによる電子ビームの吸引を低減するため、スペーサ表面の全部または一部に導電処理を施して帯電を逃がすことが考えられる。例えば、特許文献1には、絶縁スペーサの第2基板側の端部に導電性処理を施し、スペーサの帯電を逃がす構造が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,726,529号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スペーサに導電性処理を施した場合、スペーサを介して第1基板から第2基板に流れる無効電流が増加し、温度の上昇や消費電力の増加を引き起こす。また、従来の導電性処理方法では、製造コストの増加を避けることが難しい。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、温度の上昇や消費電力の増加、製造コストの増加を引き起こすことなく、電子ビームの軌道を容易に制御し、画像品位の向上した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、蛍光面を有した第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出して上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、それぞれ絶縁材料で形成されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、上記各スペーサの上記第1基板側の先端部および第2基板側の先端部は、導電性材料が含浸されそれぞれ導電性付与部を形成していることを特徴としている。
【0012】
上記構成の画像表示装置によれば、スペーサ近傍に位置した電子源から放出された電子は、スペーサの両端部に位置する導電性付与部によって形成された電界により反発され、スペーサから離れる方向へ軌道を取った後、今度はスペーサに吸引されスペーサに接近する方向へ軌道を取る。そして、この反発と吸引とにより電子の軌道ずれが相殺され、電子源から放出された電子は最終的に画像表示面の目標の位置に到達する。これにより、電子のミスランディングに起因する色純度の劣化を低減し、画像品位の向上した画像表示装置が得られる。また、スペーサ全体に導電性を持たせる場合に比較して、温度の上昇や消費電力の増加を抑制することができる。
【0013】
この発明の他の態様に係る画像表示装置のスペーサの製造方法は、絶縁材料によりスペーサを成形し、上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストまたは溶液を付着させ、毛細管現象により上記スペーサの先端部内に上記ペーストまたは溶液を染込ませ、上記ペーストまたは溶液が染み込んだスペーサを焼成し、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0014】
また、この発明の他の態様に係るスペーサの製造方法は、絶縁材料によりスペーサを成形し、上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストを付着させ、上記ペーストが付着したスペーサを加熱処理して、導電性を有する成分をスペーサの先端部内に熱拡散させ、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0015】
この発明の更に他の態様に係るスペーサの製造方法は、スペーサを成形するための複数の透孔を有した金型を用意し、導電性を有する成分を含まない第1ペーストを上記透孔に注入し、導電性を有する成分を分散させた第2ペーストを上記第1ペーストに重ねて上記透孔に注入し、上記第1および第2ペーストを加熱処理し、導電性を有する成分が分散された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このSEDは、透明な絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間を置いて対向配置されている。第2基板12は、第1基板10よりも僅かに大きな寸法に形成されている。そして、第1基板10および第2基板12、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器15を構成している。
【0017】
第1基板10の内面には蛍光面として蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、電子の衝突で赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および黒色遮光層11を並べて構成されている。これらの蛍光体層R、G、Bはストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17が形成されている。なお、第1基板10と蛍光体スクリーンとの間に、例えばITO等からなる透明導電膜あるいはカラーフィルタ膜を設けてもよい。
【0018】
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
【0019】
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、第1基板および第2基板同士を接合している。
【0020】
また、図2および図3に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12間に配設されたスペーサアッセンブリ22を備えている。本実施の形態において、スペーサアッセンブリ22は、板状のグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された複数の柱状のスペーサと、を備えて構成されている。
【0021】
詳細に述べると、グリッド24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。そして、グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26および複数のスペーサ開孔28が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。また、スペーサ開孔28は、それぞれ電子ビーム通過孔26間に位置し所定のピッチで配列されている。
【0022】
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.25mmに形成されている。グリッド24の表面には、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe3O4、NiFe2O4からなる酸化膜が形成されている。更に、グリッド24の少なくとも第2基板側の表面には、ガラス、セラミックからなる高抵抗物質を塗布、焼成した高抵抗膜が形成され、高抵抗膜の抵抗は、E+8Ω/□以上に設定されている。
【0023】
電子ビーム通過孔26は、例えば、0.15〜0.25mm×0.15〜0.25mmの矩形状に形成され、スペーサ開孔28は、例えば径が約0.2〜0.5mmの円形に形成されている。なお、上述した高抵抗膜は、グリッド24に設けられた電子ビーム通過孔26の壁面にも形成されている。
【0024】
グリッド24の第1表面24a上には、各スペーサ開孔28に重ねて第1スペーサ30aが一体的に立設され、その延出端は、メタルバック17および蛍光体スクリーン16の黒色遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。また、グリッド24の第2表面24b上には、各スペーサ開孔28に重ねて第2スペーサ30bが一体的に立設され、その延出端は、第2基板12の内面に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの延出端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。
【0025】
第1および第2スペーサ30a、30bは、絶縁材料により形成されている。また、第1スペーサ30aの先端部および第2スペーサ30bの先端部は、導電性材料が含浸され導電性付与部31a、31bをそれぞれ構成している。各導電性付与部31a、31bにおいて、導電性材料の含有濃度は、スペーサの先端から中間部に向かって、つまり、グリッド24側に向かって徐々に減少している。
【0026】
後述するように、導電性付与部31a、31bは、電子放出素子18から放出された電子ビームをスペーサ30a、30bから離間する方向へ反発するように電界を形成する。各導電性付与部31a、31bに含有される導電性材料としては、例えば、Ni、In、Ag、Au、Pt、Ir、Ru、W等を用いることができる。また、導電性付与部31a、31bの高さ、および導電性材料の含有濃度は、電子ビームに与える反発力、つまり、電子ビームの軌道補正量を考慮して任意に設定される。
【0027】
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aはグリッド24側に位置した基端の径が約0.4mm、延出端の径が約0.3mm、高さが約0.6mmに形成されている。また、各第2スペーサ30bはグリッド24側に位置した基端の径が約0.4mm、延出端の径が約0.25mm、高さが約0.8mmに形成されている。このように、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。
【0028】
第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bの表面抵抗は5×1013Ωとなっている。各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。
【0029】
上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
【0030】
図2に示すように、SEDは、グリッド24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、グリッド24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、グリッド24に12kV、メタルバック17に12kV以下の電圧を印加する。すなわち、グリッド24に印加する電圧は、第1基板10に印加する電圧と同一か、より高く設定されている。
【0031】
このSEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームBをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
【0032】
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。スペーサアッセンブリ22を製造する場合、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この場合、Fe−45〜55%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0033】
図4に示すように、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0034】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0035】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からペースト状のスペーサ形成材料40を供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。スペーサ形成材料40としては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用いる。
【0036】
続いて、充填されたスペーサ形成材料40に対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行ってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、図5に示すように、スペーサ形成材料40と透孔の間にすき間を作る。更に、各スペーサ形成材料40の両端に、すなわち、第1スペーサ30aとなる部分の先端、および第2スペーサ30bとなる部分の先端のみに、例えば、スクリーン印刷法により導電性材料としての銀ペースト42を付着させる。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0037】
続いて、スペーサ形成材料40により第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料および銀ペースト42を本焼成する。これにより、図6に示すように、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、銀ペースト42中の銀成分が第1および第2スペーサ30a、30bの先端部内に約0.15mm程度拡散する。その結果、それぞれ先端部に銀を含有した導電性付与部31a、31bをバルグとして、つまり、一体に備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0038】
一方、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。
【0039】
続いて、上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22を第2基板12上に位置決め配置する。この際、第2スペーサ30bの延出端がそれぞれ配線21上に配置されるようにスペーサアッセンブリ22を位置決めする。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサアッセンブリ22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが製造される。
【0040】
以上のように構成されたSEDによれば、図3に示すように、第2スペーサ30bの近傍に位置した電子放出素子18から放出された電子ビームBは、第2スペーサ30bの先端部を構成した導電性付与部31bが形成する電界により反発され、第2スペーサから離れる方向へ軌道を取りながら電子ビーム通過孔26に向かう。その後、電子ビームBは、今度は、帯電した第2スペーサ30bおよび第1スペーサ30aに吸引され、これらのスペーサに接近する方向へ軌道を取る。更に、電子ビームBは、第1スペーサ30aの先端部を構成した導電性付与部31aが形成する電界により反発され、第1スペーサから離れる方向へ軌道を取りながら蛍光体スクリーン16に向かう。そして、この反発と吸引とにより電子ビームBの軌道ずれが相殺され、電子放出素子18から放出された電子ビームBは、最終的に蛍光体スクリーン16の目標とする蛍光体層に到達する。
【0041】
具体的には、電子放出素子18からスペーサ側壁への距離が小さいほど、電子ビームがスペーサ側へ移動する量は大きく、逆にスペーサ側壁への距離が十分に大きい場合、電子ビームがスペーサ側へ移動する量は無視できる量となる。電子ビームの移動現象は、蛍光面で発生した2次電子及び反射電子がスペーサに衝突することで発生し、この時SEDで使用される加速電圧からスペーサ表面での2次電子放出係数が1以上となり、スペーサ側壁は正に帯電し、電子ビームをスペーサ側へと引き付ける事になる。
【0042】
本実施の形態では、スペーサ側壁の帯電を逃がすのではなく、第1スペーサ30aの第1基板10側の先端部、および第2スペーサ30bの第2基板12側の先端部にそれぞれ導電性付与部31a、31bを設けることにより、電子ビームがスペーサと反発する方向に容易に電界を形成することが可能となる。そして、導電性付与部31a、31bの高さを制御することで電界の強さを変え、反発量を制御することができる。
【0043】
従って、第1および第2スペーサ30a、30bが帯電し、これらスペーサにより電子ビームBが引き付けられた場合でも、電子ビームの軌道ずれを防止することができる。これにより、電子ビームBのミスランディングを防止し、色純度の劣化を低減して画像品位の向上を図ることができる。
【0044】
また、第2基板12側の導電性付与部31bだけで電子ビームの軌道を制御する場合、感度が高く、導電性付与部31bの第2基板12からの高さが少し変化すると電子ビームの軌道が大きく変化する。そのため、製造工程での導電性付与部31bの高さにばらつきが生じると、場所による電子ビーム移動量の差が生じ、電子ビーム軌道の制御が難しい。しかしながら、本実施の形態のように、第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bの両スペーサの先端部に導電性付与部31a、31bを設けた場合、導電性付与部31bでの電子ビーム軌道への作用を抑え気味にし、感度が低い導電性付与部31aにより不足分を補正し、電子ビーム軌道を容易に制御することが可能となる。
【0045】
これにより、導電性付与部31a、31bを容易に製造可能となる。すなわち、導電性付与部を第1および第2スペーサ30a、30bの両方の先端部に設けることにより、第2基板12側だけに高い高さ精度で導電性付与部を設けた場合と同様の効果を容易に得ることができる。
【0046】
なお、第1および第2スペーサ30a、30b全部に導電処理を施した場合、スペーサを介して第1基板10から第2基板12へ流れる無効電流が増加し、温度の上昇や消費電力の増加を引き起こす。また、この導電処理部がSEDの動作中にガスの発生源となり、スペーサ近傍の電子源のイオン衝撃を引き起こす場合もある。これに対して、本実施の形態によれば、第1および第2スペーサ30a、30bの各先端部に導電性付与部31a、31bを形成し、スペーサ全体として、導電部−絶縁部−導電部の3段構造としている。これにより、無効電流の増加、温度の上昇や消費電力の増加、イオン衝突を引き起こすことなく、導電性付与部31a、31bによりスペーサ周辺の電界を変え電子ビームの軌道を容易に制御することができる。
【0047】
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0048】
更に、上記SEDによれば、第1基板10と第2基板12との間にグリッド24が配置されているとともに、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。これにより、グリッド24は第2基板12よりも第1基板10側に接近して位置している。そのため、第1基板10側から放電が生じた場合でも、グリッド24により、第2基板12上に設けられた電子放出素子18の放電破損を抑制することが可能となる。従って、放電に対する耐圧性に優れ画像品位の向上したSEDを得ることができる。
【0049】
また、上記構成のSEDによれば、第1スペーサ30aの高さを第2スペーサ30bよりも低く形成することにより、グリッド24に印加する電圧を第1基板10に印加する電圧より大きくした場合でも、電子放出素子18から発生した電子を蛍光体スクリーン側へ確実に到達させることができる。
【0050】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るSEDに用いるスペーサの製造方法について説明する。上述した第1の実施の形態と同様に、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この際、Fe−45〜55%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0051】
図4に示した場合と同様に、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0052】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0053】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からペースト状のスペーサ形成材料40を供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。スペーサ形成材料40としては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用いる。
【0054】
続いて、充填されたスペーサ形成材料40に対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行ってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、図7に示すように、スペーサ形成材料40と透孔の間にすき間を作る。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0055】
続いて、スペーサ形成材料40により第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばし脱バインダ処理を行う。その後、図8に示すように、スペーサ形成材料40が焼結前の多孔質の状態で、第1スペーサ30aの先端、および第2スペーサ30bの先端のみに、例えば、インクジェットにより、銀の超微粒子とエトラデカン液とからなる溶液を付着させる。付着した溶液は、毛細管現象により第1および第2スペーサ30a、30bの先端部内に約0.2mm程度浸透する。
【0056】
次に、第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内に配置し、約500〜550℃で30分〜1時間、本焼成する。本焼成により、スペーサ形成材料を構成するガラス粒子が一体化し、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、それぞれ先端部に銀を含有した導電性付与部31a、31bをバルグとして備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0057】
その後、第1の実施の形態と同様の方法により、第1基板10、スペーサアッセンブリ22、および第2基板を組立てることにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが得られる。
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0058】
なお、他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第2の実施の形態に係る製造方法により製造されたスペーサを備えたSEDにおいても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、この発明の第3の実施の形態に係るSEDに用いるスペーサの製造方法について説明する。第1の実施の形態と同様に、まず、所定寸法のグリッド24、グリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の第1および第2金型36a、36bを用意する。この際、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの薄板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26、およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理により酸化させ、電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、酸化錫および酸化アンチモンの微粒子を分散させた液をスプレー被覆し、乾燥、焼成して高抵抗膜を形成する。
【0060】
図9に示すように、第1および第2金型36a、36bは、スペーサ形成用の透孔38a、38bを有し、これらの透孔はそれぞれグリッド24のスペーサ開孔28に対応して配置形成されている。第1金型36aおよび第2金型36bにおいて、少なくともスペーサ開孔28に対応した複数の透孔38a、38bの内面には、熱処理により熱分解する樹脂が塗布されている。
【0061】
そして、第1金型36aを、各透孔38aがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型36bを、各透孔38bがグリッド24のスペーサ開孔28と整列するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型36a、グリッド24、および第2金型36bを図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。
【0062】
次に、例えば、第1金型36aの外面側からスペーサ形成材料として第1ペースト40aを供給し、第1金型の透孔38a、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型36bの透孔38bにスペーサ形成材料40を充填する。この際、透孔38aの端部および透孔38bの端部には第1ペースト40aを充填せず空間を残しておく。第1ペースト40aとしては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有した絶縁性のガラスペーストを用い、導電性を有する成分を含まないペーストとする。
【0063】
続いて、第1金型36aおよび第2金型36bの外面側からスペーサ形成材料として第2ペースト40bを供給し、第1ペーストに重ねて透孔38a、38bの端部に注入する。第2ペースト40bとしては、紫外線硬化型のバインダ(有機成分)、およびガラスフィラーを含有しているとともに導電性を有する成分としてAuの粒子が拡散されたガラスペーストを用いる。
【0064】
続いて、充填された第1および第2ペースト40a、40bに対し、第1および第2金型36a、36bの外面側から紫外線(UV)を照射し、第1および第2ペーストをUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行なってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型36a、36bの各透孔38a、38bに塗布された樹脂を熱分解し、第1および第2ペースト40a、40bと透孔との間にすき間を作る。その後、第1および第2金型36a、36bをグリッド24から離型する。
【0065】
離型後、第1および第2ペースト40a、40bにより第1および第2スペーサ30a、30bが成形されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、第1および第2ペースト内からバインダを飛ばし脱バインダ処理を行う。更に、第1および第2ペースト40a、40bを約500〜550℃で30分〜1時間、本焼成する。これにより、図11に示すように、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。同時に、それぞれ先端部にAuが分散された導電性付与部31a、31bをバルグとして備えた第1および第2スペーサ30a、30bが得られる。
【0066】
その後、第1の実施の形態と同様の方法により、第1基板10、スペーサアッセンブリ22、および第2基板を組立てることにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが得られる。
【0067】
本実施の形態に係るSEDと、上述した導電性付与部31a、31bを持たないスペーサが設けられたSEDとを用意し、電子ビームの移動量を比較した。その結果、導電性付与部31a、31bが設けられていないSEDでは電子ビームがスペーサ側に約120μm吸引されたのに対し、本実施の形態に係るSEDでは、電子ビームの移動量がほぼ0となり、表示画像の色純度も改善された。
【0068】
なお、他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第3の実施の形態に係る製造方法により製造されたスペーサを備えたSEDにおいても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、この発明は、グリッドを備えた画像表示装置に限らず、グリッドを持たない画像表示装置にも適用可能である。この場合、それぞれ一体に形成された柱状あるいは板状のスペーサを用い、各スペーサの第1基板側の先端部および第2基板側の先端部に導電性付与部を一体的に設けることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
また、この発明において、スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は必要に応じて適宜選択可能である。更に、上述した実施の形態において、スペーサの第2基板側の端は、第2基板の配線上に設ける構成としたが、配線上に限らず、電子放出素子を避けた位置で第2基板上に設けられていればよい。
【0071】
グリッド24の電位と第1基板10の電位とを同電位に設定した場合、第1スペーサ全体に導電性材料を含浸させ、第1スペーサ全体を導電性付与部として形成することもできる。
更に、上述した実施の形態では、第1および第2スペーサの先端部に導電性付与部を形成する構成としたが、上述した製造方法により、第2スペーサの先端部、すなわち、スペーサの第2基板側の先端部のみに導電性付与部を形成し、このスペーサを用いてSEDを構成してもよい。
【0072】
電子源は、表面伝導型電子放出素子に限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の真空中に電子が放出される電子源を用いたFEDならどのタイプにも適用可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、温度の上昇や消費電力の増加、製造コストの増加を引き起こすことなく、電子ビームの軌道を容易に制御し、画像品位の向上した画像表示装置、この画像表示装置に用いるスペーサの製造方法、および上記製造方法により製造されたスペーサを備えた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るSEDを示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿って破断した上記SEDの斜視図。
【図3】上記SEDを拡大して示す断面図。
【図4】上記SEDに用いるスペーサの製造工程において、グリッドに第1および第2金型を装着した状態を示す断面図。
【図5】上記製造工程において、上記金型にスペーサ形成材料を充填後、UV照射、銀ペースト付着を行った状態を示す断面図。
【図6】上記製造工程において、上記金型を離型した状態を示す断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係るSEDのスペーサ製造方法を示す断面図。
【図8】上記第2の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、導電性を有する成分を含む溶液をスペーサ先端部に付着させる工程を示す断面図。
【図9】この発明の第3の実施の形態に係るSEDのスペーサ製造方法を示す断面図。
【図10】上記第3の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、金型に第1ペーストおよび第2ペーストを充填した状態を示す断面図。
【図11】上記第3の実施の形態に係るスペーサ製造方法において、金型を離型し焼成した状態を示す断面図。
【符号の説明】
10…第1基板
12…第2基板
14…側壁
15…真空外囲器
16…蛍光体スクリーン
18…電子放出素子
22…スペーサアッセンブリ
24…グリッド
26…電子ビーム通過孔
28…スペーサ開孔
30a…第1スペーサ
30b…第2スペーサ
31a、31b…導電性付与部
40…スペーサ形成材料
40a…第1ペースト
40b…第2ペースト
Claims (18)
- 蛍光面を有した第1基板と、
上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出して上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、
それぞれ絶縁材料で形成されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、を備え、
上記各スペーサの上記第1基板側の先端部および第2基板側の先端部は、導電性材料が含浸されそれぞれ導電性付与部を形成していることを特徴とする画像表示装置。 - 上記各導電性付与部は、上記スペーサの先端から中間部に向かって導電性材料の含有濃度が減少していることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 上記スペーサはガラスを含む絶縁材料で形成され、
上記各導電性付与部は、上記スペーサを形成するガラス成分の中に導電性を有する金属粒子が分散されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像表示装置。 - 上記スペーサはガラスを含む絶縁材料で形成され、
上記導電性付与部は、上記スペーサを形成するガラス成分の中に導電性を有する金属成分が拡散されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像表示装置。 - 上記金属粒子及び金属成分は、Ni、In、Ag、Au、Pt、Ir、Ru、Wの少なくとも一種を含んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像表示装置。
- 上記第2基板上に設けられた複数の電位供給用配線を備え、
上記各スペーサの第2基板側の端は上記電位供給用配線上に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像表示装置。 - 上記電子源は表面伝導型の電子源であることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
- 上記電位供給用配線は、上記電子源に電位を供給する配線であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
- 上記第1および第2基板の間に設けられているとともに、それぞれ上記電子源に対応した複数の電子ビーム通過孔を有した板状のグリッドを備え、
上記各スペーサは、上記グリッドに固定されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。 - 蛍光面を有する第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出し上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、を備えた画像表示装置において、上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサを製造するスペーサの製造方法において、
絶縁材料によりスペーサを成形し、
上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストまたは溶液を付着させ、毛細管現象により上記スペーサの先端部内に上記ペーストまたは溶液を染込ませ、
上記ペーストまたは溶液が染み込んだスペーサを焼成し、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 上記成形されたスペーサの両端部に上記ペーストを付着させ、導電性材料が含浸された導電性付与部を両端部に有したスペーサを形成することを特徴とする請求項10に記載のスペーサの製造方法。
- 蛍光面を有する第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出し上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、を備えた画像表示装置において、上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサを製造するスペーサの製造方法において、
絶縁材料によりスペーサを成形し、
上記成形されたスペーサの先端部に、導電性を有する成分を含むペーストを付着させ、
上記ペーストが付着したスペーサを加熱処理して、導電性を有する成分をスペーサの先端部内に熱拡散させ、導電性材料が含浸された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 上記成形されたスペーサの両端部に上記ペーストを付着させ、導電性材料が含浸された導電性付与部を両端部に有したスペーサを形成することを特徴とする請求項12に記載のスペーサの製造方法。
- 蛍光面を有する第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出し上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、を備えた画像表示装置において、上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサを製造するスペーサの製造方法において、
スペーサを成形するための複数の透孔を有した金型を用意し、
導電性を有する成分を含まない第1ペーストを上記透孔に注入し、
導電性を有する成分を分散させた第2ペーストを上記第1ペーストに重ねて上記透孔に注入し、
上記第1および第2ペーストを加熱処理し、導電性を有する成分が分散された導電性付与部を先端部に有したスペーサを形成することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 上記第1ペーストを上記透孔に注入した後、各透孔の両端側から上記第1ペーストの両端側に重ねて上記第2ペーストを注入し、導電性を有する成分が分散された導電性付与部を両端部に有したスペーサを形成することを特徴とする請求項14に記載のスペーサの製造方法。
- 蛍光面を有した第1基板と、
上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出して上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、
請求項10ないし15のいずれか1項に記載の製造方法により製造され、上記第1基板および第2基板間に配設され第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、
を備えた画像表示装置。 - 上記第1および第2基板の間に設けられているとともに、それぞれ上記電子源に対応した複数の電子ビーム通過孔を有した板状のグリッドを備え、
上記各スペーサは、上記グリッドに固定されていることを特徴とする請求項16に記載の画像表示装置。 - 蛍光面を有した第1基板と、
上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、電子を放出して上記蛍光面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、
上記第1および第2基板の間に設けられているとともに、それぞれ上記電子源に対応した複数の電子ビーム通過孔を有した板状のグリッドと、
請求項10、12、14のいずれか1項に記載の製造方法により製造され、上記第1基板および第2基板間に配設されているとともに、それぞれ上記第2基板側に位置した先端部に上記導電性付与部を有し、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数のスペーサと、
を備えた画像表示装置。
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