JP2004118781A - 自動販売機の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】庫内温度が上昇して圧縮機の運転開始温度に近接した時に、先ず開とされて高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧が解消されることによりて圧縮機に過大な負荷を与えないほか、冷却エネルギーの無駄な消費が抑制された自動販売機の冷却装置を提供すること。
【解決手段】庫1内に設けられた蒸発器2、庫外の圧縮機3、凝縮器4、電磁弁15と、庫内のキャピラリ銅パイプ16からなる冷凍回路を備えた冷却装置10において、電磁弁15は、庫1の庫内温度が上昇し圧縮機3の運転開始温度に近接すると開とされ、その開の時点から10秒経過した時点で圧縮機3が起動される。すなわち、圧縮機3側の高圧と蒸発器2側の圧力差をなくしてから圧縮機3を起動させる。また庫内ファン8の駆動源には回転速度の制御を可能とした小型DCモータを使用し、圧縮機3の停止時には回転速度を60%程度に落とす。
【選択図】 図1
【解決手段】庫1内に設けられた蒸発器2、庫外の圧縮機3、凝縮器4、電磁弁15と、庫内のキャピラリ銅パイプ16からなる冷凍回路を備えた冷却装置10において、電磁弁15は、庫1の庫内温度が上昇し圧縮機3の運転開始温度に近接すると開とされ、その開の時点から10秒経過した時点で圧縮機3が起動される。すなわち、圧縮機3側の高圧と蒸発器2側の圧力差をなくしてから圧縮機3を起動させる。また庫内ファン8の駆動源には回転速度の制御を可能とした小型DCモータを使用し、圧縮機3の停止時には回転速度を60%程度に落とす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動販売機の冷却装置に関するものであり、更に詳しくは、収容する飲食品等を冷却状態で販売する自動販売機に使用される冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(従来例1)
図4は従来の一般的な自動販売機の冷却装置100の冷凍回路を示す図である。図4を参照して、冷却装置100は断熱壁107で囲われた三つの庫101A、庫101B、庫101Cを備えており、各庫内には蒸発器102A、蒸発器102B、蒸発器102Cが配置され、断熱壁107の外側には圧縮機103、凝縮器104が配置されている。そして凝縮機104と各蒸発器102A、102B、102Cとの間にはオン・オフ動作で開閉する電磁弁115A、115B、115Cとキャピラリ銅パイプ116A、116B、116Cが設けられて公知の冷凍回路が構成されている。
【0003】
すなわち、圧縮機103から吐出される高温高圧のガス状の冷媒は凝縮器104で冷却されて高温高圧のまま液化され、開とされた電磁弁115A、115B、115Cを経由しキャピラリ銅パイプ116A、116B、116Cを通過する間に減圧されて低温低圧の液体となる。そして、冷媒は蒸発器102A、102B、102Cに至って庫101A、101B、101Cの内部空気から吸熱してガス化され、圧縮機103に吸入されて再び高温高圧のガスとして吐出される。このような冷却サイクルを繰り返すことにより庫101A、101B、101Cの内部が冷却される。
【0004】
そのほか、各庫内には庫内の空気を攪拌する庫内ファン108A、108B、108C、および庫内温度センサ109A、109B、109Cが設けられ、庫外には制御手段120、圧縮機103の吸引側に冷媒の逆止弁113、凝縮器104にはその出口における冷媒温度を調整するための庫外ファン111が設けられている。なお、庫101B、101Cには加熱ヒータ112B、112Cが設けられており加熱モードで使用することが可能になっているが、加熱モードで使用する場合には電磁弁115B、115Cは全閉される。
【0005】
説明の容易化のために、庫101Aのみが冷却モードで使用されているとする。図5は、圧縮機103の運転と停止、および電磁弁115Aの開閉のタイミングを示すタイムチャートである。図5を参照して、庫101Aの庫内温度が所定の運転停止温度(例えば5℃)まで冷却されると、制御手段120によって圧縮機103の運転が停止され、停止の30〜60秒後(図5においては60秒後)に電磁弁115Aが閉じられている。これは高温高圧の冷媒を低圧の蒸発器102A側へ流して差圧を解消し、次に運転が開始される圧縮機103に負荷となることを避けるためである。その後、庫内温度が所定の運転開始温度(例えば特定の飲食品について食品衛生法で定められている冷蔵の上限温度である10℃)まで上昇すると、電磁弁115Aが開けられると共に圧縮機103の運転が開始される。そして、このようなサイクルが繰り返される。
【0006】
(従来例2)
従来例1の冷却装置100では、電磁弁115Aの閉のタイミングが圧縮機103の運転停止の30〜60秒後であるために、その間に高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器102Aへ移動して凝縮し液相成分の多い冷媒として残留し易い。このような状態で圧縮機103の運転を開始すると圧縮機103にかかる負荷が大きく消費電力も大になることから、特開2001−165511号公報には、図6に示すような冷凍回路と持つ自動販売機の冷却装置200が開示されている。すなわち冷却装置200は断熱壁207で囲われた三つの庫201A、庫201B、庫201Cを備えており、各庫内には蒸発器202A、蒸発器202B、蒸発器202Cが配置され、断熱壁207の外側には圧縮機203、凝縮器204、および制御手段220が配置されている。
【0007】
そして、凝縮器204と各蒸発器202A、202B、202Cとの間には、冷媒流量の調整手段としての電子膨張弁215A、215B、215Cが設けられており、制御手段220から入力される信号に基づいて開度が調整されるようになっている。そのほか各庫内には庫内の空気を攪拌するための庫内ファン208A、208B、208C、および庫内温度センサ209A、209B、209Cが設けられている。また各蒸発器202A、202B、202Cには、それぞれ入口側温度センサ217A、217B、217C、および出口側温度センサ218A、218B、218Cが取り付けられており、入口側および出口側における冷媒温度が検出される。そして、庫外においては制御手段220のほか、圧縮機203の上流側に冷媒の逆止弁213、凝縮器214には出口の冷媒温度を調整するための庫外ファン211が設けられている。なお、庫201B、201Cは加熱モードでの使用が可能なように加熱ヒータ212B、212Cが設けられており、加熱モードで使用する場合には電子膨張弁215B、215Cは全閉される。
【0008】
今、庫201Aのみが冷却モードで使用されているとして説明する。圧縮機203が運転されて庫201Aの冷却が行われている時、蒸発器202Aの入口側温度センサ217Aと出口側温度センサ218Aの検出値は制御手段220に入力されて、蒸発器202Aにおける出入口の温度差(加熱度)が算出され、加熱度が所定の値(例えば5℃)となるように電子膨張弁215Aの開度が調整される。そして、図7のタイムチャートで示すように、庫201Aの庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却されたことが庫内温度センサ209Aによって検出されると、電子膨張弁215Aを全閉して冷媒の流れが遮断されるが、蒸発器202A内に冷媒が可及的に残留しないように、圧縮機203は運転を継続され、所定時間(td秒)が経過してから停止される。そして、その後に庫201Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇すると、電子膨張弁215Aが開けられ圧縮機203の運転が開始される。
【0009】
上記のほか、清涼飲料や牛乳等を販売するための冷却モード専用の自動販売機が存在する。その冷凍回路の図示は省略するが、現時点で知る限りにおいて、冷却モード専用機の凝縮器と蒸発器との間には、開度の調整が可能な電子膨張弁は勿論のこと、オン・オフ動作で開閉される電磁弁も設けられていない。なお、従来例1の図4に示した冷却装置100の庫101B、101Cから加熱ヒータ112B、112Cを取り除いたもの、ないしは冷却装置100から庫101Aを独立させたものは冷却モード専用機であると見なし得るであろう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
冷却モード専用機の冷却装置では、庫内温度が低下して圧縮機の運転が停止されても、凝縮器と蒸発器との間に電磁弁や電子膨張弁を持たないために、圧縮機の高圧の吐出側から低圧の蒸発器側へ冷媒が移動し、蒸発器内へ流入した冷媒は凝縮されて蒸発器の温度を商品の温度よりも上昇させるので、その分だけエネルギーが無駄に消費されている。
【0011】
冷却モードで使用される従来例1の冷却装置100の庫101Aにおいては、圧縮機103の運転が停止されてから例えば30〜60秒後に電磁弁105が閉とされるので、その間に圧縮機103の高圧の吐出側から低圧の蒸発器102A側へ冷媒が移動し、蒸発器102A内へ流入した冷媒は凝縮して蒸発器102Aの温度を上昇させるのでエネルギーが無駄に消費される。また、庫101Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇して圧縮機103の運転が開始される時には電磁弁115Aは同時に開とされている。従って、高圧の圧縮機103側と低圧の蒸発器102A側との間に大きい差圧が存在するなかで圧縮機103が起動されることになり、圧縮機103にとって大きい負荷となり易いと言う問題がある。
【0012】
従来例2の冷却装置200の庫201Aにおいては、電子膨張弁215Aが全閉されてから所定時間(td秒)経過後に圧縮機203の運転が停止され、その間に蒸発器202A側から冷媒を吸引除去し残留させないものとされているが、庫201Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇して圧縮機203の運転が開始される時には電子膨張弁215Aは同時に開とされており、従来例1と同様、圧縮機203側の高圧と蒸発器202A側の低圧との間に差圧があるなかで圧縮機203が起動されるという問題点が存在している。
【0013】
また、従来例1、2における庫内ファン108A、208Aの駆動源には30〜50WのAC(交流)モータが使用されており、圧縮機103、203の運転時、停止時には関係なく常にフルパワーの回転速度で回転されているが、そのことは圧縮機103、203の停止時に庫外から庫内への熱の侵入を速めており、その結果、庫101A、201A内の商品を所定の温度以下に維持するために圧縮機103、203の運転時間が長くなっておりエネルギーの消費を増大させている。そのほか圧縮機103、203は補充直後の商品を素早く冷却することが可能なように冷却性能のやや大きいものが選定されているが、蒸発器102A、201Aの熱交換能力に付いては長年検討されていない。これらのことは冷却モード専用機においても同様である。
【0014】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、庫内温度が上昇して圧縮機の運転を開始する時には高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧によって圧縮機に過大な負荷がかからず、庫内温度が低下して圧縮機の運転を停止する時には高圧側から低圧側へ移動する冷媒によって蒸発器の温度が上昇することを防いで消費エネルギーを軽減し得る自動販売機の冷却装置を提供すること、更には庫内ファンによって増大している冷却エネルギーを軽減し得る自動販売機の冷却装置、また更には消費電力の小さい圧縮機を使用し得る自動販売機の冷却装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は請求項1の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば、次の如くである。
【0016】
請求項1の自動販売機の冷却装置は、庫外に配置される圧縮機と凝縮器、および庫内に配置される蒸発器を要素として冷媒が循環される冷凍回路を備え、庫内に冷気攪拌用の庫内ファンを有する自動販売機の冷却装置において、凝縮器と蒸発器との間に、庫内温度が圧縮機の運転停止温度まで冷却されて圧縮機の運転が停止される時には閉とされて冷媒の流れを遮断し、庫内温度が上昇して圧縮機の運転開始温度に近接した時に開とされ、開の時点より遅れて起動される圧縮機の起動基準となる開閉弁が設けられているものである。
【0017】
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の起動の事前に弁が開とされ圧縮機の吐出側の高圧と蒸発器側の低圧とが平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機が起動されることから圧縮機に大きい負荷を招かない。そして圧縮機の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、弁を開とすることによって圧縮機側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動しても蒸発器を温度上昇させることは殆どない。また、圧縮機の停止時には弁は同時に閉とされるので、圧縮機側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動することはなく、従って蒸発器の温度を上昇させることもない。
【0018】
請求項1に従属する請求項2の自動販売機の冷却装置は、圧縮機が開閉弁の開の時点よりほぼ10秒間遅れて起動されるものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転開始の事前に余裕を持って弁が開とされることにより、高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧が十分に解消され、次いで起動される圧縮機に過大な負荷がかかることを防ぐ。
【0019】
請求項1に従属する請求項3の自動販売機の冷却装置は、庫内ファンの駆動源に回転速度の制御を可能とした直流電動機が使用されているものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転時には庫内ファンの回転速度を最大として冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には回転速度を低下させて庫外から庫内への熱の侵入を抑制し、冷却エネルギーの消費を合理化させる。
請求項3に従属する請求項4の自動販売機の冷却装置は、庫内ファンが圧縮機の運転時には最大の回転速度で回転され、圧縮機の停止時には運転時のほぼ60%の回転速度で回転されるものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転時には庫内の冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には庫内温度の分布の広がり抑えつつ庫外からの熱の侵入を抑制する。
【0020】
請求項1に従属する請求項5の自動販売機の冷却装置は、蒸発器が内面に凹凸の形成された冷媒用銅パイプで構成されているものである。
このような自動販売機の冷却装置は、冷媒と冷媒用銅パイプ内面との接触面積が大であり蒸発器の熱交換能力が大になることから、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機を採用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明の自動販売機の冷却装置は、凝縮器と蒸発器との間に、庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却されて圧縮機の運転が停止される時には閉とされて冷媒の流れを遮断し、庫内温度が上昇し所定の運転開始温度に近接した時点で開とされ、開の時点より遅れて起動される圧縮機の起動基準となる開閉弁が設けられているものである。
【0022】
上記の開閉弁は庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却され圧縮機の運転が停止されるに伴って冷凍回路における冷媒の循環を遮断することが可能なものである限りにおいて弁体の形状は限定されず、開閉弁の開閉様式に付いても電磁弁のようにオン・オフ動作で開閉する弁、または電子式制御弁や空気圧式制御弁のように弁の開度調整が可能な開閉弁であってもよい。また、上記の開閉弁の設置箇所は凝縮器と蒸発器との間であれば庫外であってもよく、また庫内であってもよい。通常的には、開度調整が可能な開閉弁は庫内に設置され、オン・オフ動作の開閉弁は庫外に設置されて庫内のキャピラリ銅パイプと組み合わされる。
【0023】
そして、上記の開閉弁は庫内温度が低下して圧縮機の運転が停止される時に閉とされるので、圧縮機側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動し凝縮されて蒸発器の温度を上昇させることはない。その後、庫内温度が上昇して運転開始温度に近接すると開閉弁は開とされ、開とされた時点より一定の時間が経過後に至る運転開始温度において圧縮機の運転が開始される。一定の時間後の庫内温度は運転開始温度を超えないことを要するので、開閉弁を開とする庫内温度、および弁を閉としてから圧縮機の運転を開始するまでの時間は実際に則して設定される。
【0024】
庫自体および庫内に収容する商品の熱容量によって異なるが、開閉弁の開の時点から圧縮機を起動する時刻の設定には、一例として、例えば開閉弁を開としてから圧縮機の運転を開始するまでの時間をp秒とした時の庫内温度の上昇がq℃であることを予め計測しておき、圧縮機の運転開始温度を例えば10℃とするには、庫内温度が上昇し(10−q)℃に達した時点で開閉弁を開とし、開とした時点を基準としてそのp秒後に圧縮機を起動することによって、運転開始温度の10℃で圧縮機を運転開始することができる。または、他の例として、庫内温度が上昇し(10−r)℃に達した時点で開閉弁を開とし、庫内温度センサから制御手段へ刻々入力される庫内温度の上昇速度から庫内温度が例えば10℃の到達する時刻を算出し、その時刻に制御手段によって圧縮機を起動させることも可能である。すなわち、このような制御を行うことにより、庫内温度が食品衛生法で規定されている冷蔵の上限温度(10℃)を超えないように自動販売機の冷却装置を作動させることができる。
【0025】
勿論、上記のような厳密な温度管理を要しない場合には、庫内温度が10℃になった時点で開閉弁を開とし、そのp秒後に圧縮機を起動するようにしてもよい。この場合には庫内温度が(10+q)℃において圧縮機が起動されることになるが、qの値が許容できる温度、例えば0.1℃程度になるように、時間p秒の値を小さくすればよいことになる。
【0026】
また、開閉弁を開としてから圧縮機が起動されるまでの間に、圧縮機の吐出側の高圧と蒸発器側の低圧とは平衡化されて差圧が解消されるので、圧縮機は過大な負荷がかかることなく運転を開始することができる。更には、開閉弁を開としてから圧縮機が起動されるまでの間に、圧縮機側から蒸発器側へ冷媒が移動するが、冷媒は圧縮機が停止されている間に温度低下しているので、移動した冷媒が蒸発器を温度上昇させるようなことは殆どない。
【0027】
庫内の空気を攪拌する庫内ファンの駆動源には回転速度の制御を可能としたDC(直流)モータが採用される。DCモータの回転速度は周知のように磁束を変化させる界磁制御、電機子の抵抗を変える抵抗制御、電圧制御、周波数制御等の方法によって制御し得る。何れの制御方法を採用したDCモータであってもよいが、中でもサイリスタによって一次電圧と周波数を同時に制御するようにしたものは損失が少なく好適である。そして、庫内ファンは圧縮機の運転時にはフル回転速度で回転させて庫内の冷気を攪拌して隅々まで急速に均等に行き渡らせる。
【0028】
しかし、圧縮機の停止時にもフル回転速度で回転させ冷気の循環を大にし庫内全体の温度を均等にすると、庫外から庫内への熱の侵入が起こりやすくなるのか、庫内商品の温度上昇が速くなるので、駆動源に回転速度の制御を可能とした小型DCモータを使用し、圧縮機の停止時には運転時のフル回転速度よりも低速度で回転させて冷気の循環量を小とすることにより、庫外から庫内へ侵入する熱が抑制され、かつ庫内の温度分布が大になることは防ぎ得る。このことには小型であることから発熱量も小さい小型DCモータを使用していることが寄与していることも考えられるが、圧縮機の停止時における庫内商品の温度上昇が緩やかになり、結果的に圧縮機のトータルの運転時間が低減される。
【0029】
更には、従来の蒸発器には蒸発器を構成する冷媒用銅パイプとして単なる銅パイプが使用されているが、内面に凹凸を形成させた冷媒用銅パイプは内面の表面積が大となり冷媒との接触面積が大となることから、このよう内面に凹凸を設けた冷媒用銅パイプによる蒸発器を採用することにより、蒸発器の形状サイズや見掛けの冷却面積はそのままで熱交換能力を増大させることができる。従って、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機を採用することが可能になり、消費電力の低減が可能になる。冷媒用銅パイプの内面の凹凸はどのような方法で形成させたものであってもよいが、内面に雌ネジ状の切り溝を形成することによりに好ましい凹凸形状が比較的容易得られる。勿論、冷媒用銅パイプの外面に例え部分的であれフィンを設けることによっても蒸発器の熱交換能力を高めることは可能である。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の自動販売機の冷却装置を、実施例によって図面を参照し、具体的に説明する。
【0031】
(実施例)
図1は実施例の冷却モードのみで使用される一室型の自動販売機に設けられている冷却装置10の冷凍回路を示す図である。図1を参照して、断熱壁7で囲われた一つの庫1からなる自動販売機の庫内には、蒸発器2、庫内ファン8、庫内温度センサ9が配置されており。庫内温度センサ9によって検出される庫内温度は後述の制御手段20へ入力される。なお、この自動販売機は冷却モード専用機であるために、庫1内に加熱ヒータは設けられていない。そして、蒸発器2に使用されている冷媒用銅パイプは内面には雌ネジ状の溝が切られており、従来例1、2の蒸発器102A、102B、102Cや202A、202B、202Cよりも熱交換能力が高められたものとなっている。庫内ファン8の駆動源にはサイリスタによって回転速度の制御を可能とした10Wの小型DCモータが採用されており、圧縮機3の停止時には制御手段20によって運転時におけるフル回転速度の60%程度の回転速度で回転される。
【0032】
そのほか、断熱壁7の外側には圧縮機3、凝縮器4、制御手段20が配置されている。この圧縮機3は蒸発器2の熱交換能力の向上に応じて冷却性能の小さいものが選定されている。そして制御手段20は、上記庫内ファン8の回転速度のほか、圧縮機3の運転の開始と停止、および後述の電磁弁15の開閉を制御する。また、凝縮器4と蒸発器2との間の庫外にはオン・オフ動作で開閉する電磁弁15が設けられ、庫内のキャピラリ銅パイプ16と接続されている。この電磁弁15は、後述するように、圧縮機3の起動の事前に開とされる弁である。そのほか庫外には、制御手段20のほか、圧縮機3の吸引側に冷媒の逆止弁13、凝縮器4にはその出口の冷媒温度を調整するための庫外ファン11が設けられている。
【0033】
冷却装置10の冷凍サイクルの基本的な部分は、当然のことながら、従来例1、2と同様である。すなわち、圧縮機3から吐出される高温高圧のガス状の冷媒は凝縮器4で冷却されて高温高圧のまま液化され、電磁弁15を経由してキャピラリ銅パイプ16を通過する間に減圧されて低温低圧の液体となる。 続いて冷媒は蒸発器2に至って庫1の内部空気から吸熱してガス化され、圧縮機3に吸入され圧縮されて再び高温高圧のガスとして吐出される。そして、実施例の冷却装置10は上記サイクルにおける圧縮機3の運転と停止、および電磁弁15の開閉のタイミングが従来例1、2と異なる。
【0034】
図2は、実施例の自動販売機の冷却装置10における圧縮機3の運転と停止、および電磁弁15の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。図1、図2を参照して、庫1の庫内温度が所定の運転停止温度(5℃)まで冷却されると、制御手段20によって圧縮機3が停止されると共に電磁弁15が閉とされる。従って、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動することはなく、従って、高温高圧の冷媒が蒸発器2で凝縮、液化されて蒸発器2を温度上昇させるようなことは発生せず、当然のことながら冷却の必要もない。その結果、電磁弁15が設けられていない従来の冷却モード専用機と比較して、冷却エネルギーの約5%が節減された。また、液化された冷媒が蒸発器2に残らないので、次に圧縮機3が起動される時に大きい負荷となることもない。
【0035】
その後、庫1の庫内温度が上昇して運転開始温度(例えば10℃)に近接して9.9℃に到達すると制御手段20によって電磁弁15が開とされる。そして、電磁弁15の開の時点を基準にして10秒後に圧縮機3が制御手段20によって起動される。この10秒間は庫内温度9.9℃になり電磁弁15を開としてから10秒経過した時に庫内温度は0.1℃上昇して圧縮機3の運転開始温度である10℃に到達していることが事前の検証によって確認されて設定されている時間である。圧縮機3の起動前に電磁弁15が開とされることにより、圧縮機3の吐出側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動して圧力が平衡化され差圧が解消される。そして、差圧が解消された状態で圧縮機3が起動されることから、圧縮機3には大きい負荷がかからず冷却不良を招くことはない。加えて、圧縮機3が停止されている間に、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒は温度低下しているので、電磁弁15が開とされて圧縮機3側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動しても蒸発器2を温度上昇させることは殆どない。
【0036】
更には、庫内ファン8の駆動源を回転速度の制御が可能な小型DCモータとし、圧縮機3の停止時には運転時におけるフル回転速度の60%程度の回転速度で回転させるようにしたことにより、自動販売機の全稼動時間に対する圧縮機3の運転時間の割合は60%程度になった。ACモータを駆動源とする庫内ファン108A、208Aを使用した従来例1、2においては、全稼動時間に対する圧縮機103、203の運転時間の割合は80%程度であったから大幅に低減されたことになる。これには、従来例1、2では、圧縮機103、203の運転時は勿論のこと、停止時にも、ACモータがフル回転速度で回転され冷気の循環量が大となり断熱壁107、207に至る庫内全体が均等に冷却されることにより、停止時には却って庫外から庫内への熱の侵入が大きくなっていたに対し、本実施例においては、圧縮機3の停止時には庫内ファン8の回転速度をフル回転速度の60%程度とし、庫内の温度分布が大になることを防ぎながら、庫外から庫内への熱の侵入を抑制することができる。これには、また小型DCモータによる発熱が小さいことによる寄与していることも考えられる。
【0037】
また、内面に雌ネジ状の溝が形成された冷媒用銅パイプを使用し熱交換能力が高められた蒸発器2とすることにより、単なる銅パイプを使用していた従来例1、2の場合と比較して冷却性能が約16%小さい圧縮機3を採用することができ、上記の庫内ファン8に回転数制御の可能な小型DCモータを使用したことによる圧縮機の運転時間の低減、高温高圧の冷媒の蒸発器2への移動の阻止も合わせて、トータルで約20%の省エネルギーが達成された。
【0038】
すなわち、実施例の冷却装置10における庫1の電磁弁15が従来例1の冷却装置100の電磁弁115Aと異なる点は以下のように纏められる。
従来例1の電磁弁115Aは圧縮機103の運転開始と同時に開とされる弁であり、圧縮機103側の高圧と蒸発器102A側の低圧との差圧があるなかで圧縮機103が起動されることになり、圧縮機103に過大な負荷がかかることから冷却不良を生じ易く圧縮機103の寿命を短くしかねないものであるに対して、実施例の電磁弁15は圧縮機3の起動の事前に開とされるので、圧縮機3の吐出側の高圧が蒸発器2側の低圧と平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機3が起動されることから圧縮機3に大きい負荷を招かない。また圧縮機3の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、電磁弁15が開とされて圧縮機3側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動しても蒸発器2を温度上昇させることは殆どない。
また従来例1の電磁弁115Aは圧縮機103の運転停止の後、30〜60秒遅れて閉とされる弁であり、その間に圧縮機103の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器102A側へ移動し凝縮されて蒸発機102Aの温度を上昇させ、そのことによって蒸発器102Aに残留する液相成分の多い冷媒が圧縮器103の次に起動に際して大きい負荷となるに対して、実施例の電磁弁15は圧縮機3の運転停止と同時に閉とされるので、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動し凝縮されて残留することが防がれ、圧縮機3が次に起動される時に大きい負荷になることはない。
【0039】
以上、本発明の自動販売機の冷却装置を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれによって限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0040】
例えば本実施例においては、庫1の庫内温度が上昇した時には先ず電磁弁15を開としてから圧縮機3が起動され、庫内温度が低下して圧縮機3が停止される時には同時に閉とされる電磁弁15が凝縮器4と蒸発器2との間に設けられている冷却装置10を例示したが、変形例として、図3のタイムチャートに示すように、庫1の庫内温度が上昇した時に先ず電磁弁15を開としてから圧縮機3が起動されることは実施例と同様であるが、庫内温度が低下した時には、先ず電磁弁15が閉とされ、一定の時間(t秒)が経過してから圧縮機3の運転が停止されるような電磁弁15が凝縮器4と蒸発器2との間に設けられている冷却装置であってもよい。このような冷却装置では、蒸発器2に液相成分の多い冷媒が残留するようなことがあっても、その冷媒は圧縮機3によって吸引除去されるので、圧縮機3の次の起動に際して負荷となることを防ぐ。
【0041】
また本実施例においては、凝縮器4と蒸発器2との間の庫外に電磁弁15を設け、庫内のキャピラリ銅パイプ16を組み合わせて冷媒を減圧させる冷却装置10を例示したが、これらに換えて庫内にパルスモータやステッピングモータによって、または空気圧によって開度調整を可能とした膨張弁を設けて冷媒を減圧させる冷却装置としてもよい。勿論、圧縮機3の運転と停止、および膨張弁の全開と全閉は実施例1の冷却装置10に準じたタイミングで行われることは言うまでもない。
【0042】
また本実施例においては、冷却モードでのみ使用される一室タイプの自動販売機の冷却装置を例示したが、本発明の冷却装置は冷却モードと加熱モードとを切り換えて兼用される2〜3室タイプの自動販売機の冷却装置や、一室タイプの兼用機にも同様に適用される。
【0043】
【発明の効果】
本発明の自動販売機の冷却装置は以上に説明したような形態で実施され、次に記載するような効果を奏する。
【0044】
請求項1の自動販売機の冷却装置によれば、、庫内温度が上昇して圧縮機の運転開始温度に近接した時には先ず凝縮器と蒸発器との間の開閉弁が開とされ、弁が開とされた時点より遅れて圧縮機が起動されるので、圧縮機の吐出側の高圧が蒸発器側の低圧と平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機が起動されることから圧縮機に大きい負荷を招かない。また圧縮機の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、圧縮機の吐出側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動しても蒸発器を温度上昇させることは殆どなく、冷却エネルギーの消費量が増大することを抑制する。また、庫内が圧縮機の運転停止温度に低下して圧縮機の運転が停止される時には上記の開閉弁は同時に閉とされるので、圧縮機側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動し凝縮して蒸発器を温度上昇させることが防がれ、冷却エネルギーの消費量が増大することを抑制する。
【0045】
請求項2の自動販売機の冷却装置によれば、上記の開閉弁が開とされた時点からほぼ10秒間送れて圧縮機が起動されるので、高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧が余裕をもって解消され、続いて起動される圧縮機に過大な負荷がかかることを防ぎ、冷却不良を生じたり、圧縮機の寿命を短くすることはない。
【0046】
請求項3の自動販売機の冷却装置によれば、庫内ファンの駆動源に回転速度の制御を可能とした直流電動機が使用されているので、圧縮機の運転時には庫内ファンの回転速度を最大として冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には回転速度を低下させて、庫内の温度分布の拡大は防ぎつつ、庫外から庫内への熱の侵入を抑制して冷却エネルギーの消費を合理化させる。
請求項4の自動販売機の冷却装置によれば、圧縮機の運転の停止時には庫内ファンの回転数が圧縮機の運転時における回転数のほぼ60%に低下されるので、冷却エネルギーの消費が効果的に低減される。
【0047】
請求項5の自動販売機の冷却装置によれば、蒸発器が内面に凹凸の形成された冷媒用銅パイプで構成されているので、冷媒と冷媒用銅パイプ内面との接触面積が大であり熱交換能力が大の蒸発器となり、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機や蒸発器を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の冷却モード専用で一室タイプの自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図2】同冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図3】同冷凍回路における変形例の圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図4】従来例1の自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図5】従来例1の冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図6】従来例2の自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図7】従来例2の冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 庫
2 蒸発器
3 圧縮機
4 凝縮器
7 断熱壁
8 庫内ファン
9 庫内温度センサ
10 冷却装置
11 庫外ファン
13 逆止弁
15 電磁弁
16 キャピラリ銅パイプ
20 制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は自動販売機の冷却装置に関するものであり、更に詳しくは、収容する飲食品等を冷却状態で販売する自動販売機に使用される冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(従来例1)
図4は従来の一般的な自動販売機の冷却装置100の冷凍回路を示す図である。図4を参照して、冷却装置100は断熱壁107で囲われた三つの庫101A、庫101B、庫101Cを備えており、各庫内には蒸発器102A、蒸発器102B、蒸発器102Cが配置され、断熱壁107の外側には圧縮機103、凝縮器104が配置されている。そして凝縮機104と各蒸発器102A、102B、102Cとの間にはオン・オフ動作で開閉する電磁弁115A、115B、115Cとキャピラリ銅パイプ116A、116B、116Cが設けられて公知の冷凍回路が構成されている。
【0003】
すなわち、圧縮機103から吐出される高温高圧のガス状の冷媒は凝縮器104で冷却されて高温高圧のまま液化され、開とされた電磁弁115A、115B、115Cを経由しキャピラリ銅パイプ116A、116B、116Cを通過する間に減圧されて低温低圧の液体となる。そして、冷媒は蒸発器102A、102B、102Cに至って庫101A、101B、101Cの内部空気から吸熱してガス化され、圧縮機103に吸入されて再び高温高圧のガスとして吐出される。このような冷却サイクルを繰り返すことにより庫101A、101B、101Cの内部が冷却される。
【0004】
そのほか、各庫内には庫内の空気を攪拌する庫内ファン108A、108B、108C、および庫内温度センサ109A、109B、109Cが設けられ、庫外には制御手段120、圧縮機103の吸引側に冷媒の逆止弁113、凝縮器104にはその出口における冷媒温度を調整するための庫外ファン111が設けられている。なお、庫101B、101Cには加熱ヒータ112B、112Cが設けられており加熱モードで使用することが可能になっているが、加熱モードで使用する場合には電磁弁115B、115Cは全閉される。
【0005】
説明の容易化のために、庫101Aのみが冷却モードで使用されているとする。図5は、圧縮機103の運転と停止、および電磁弁115Aの開閉のタイミングを示すタイムチャートである。図5を参照して、庫101Aの庫内温度が所定の運転停止温度(例えば5℃)まで冷却されると、制御手段120によって圧縮機103の運転が停止され、停止の30〜60秒後(図5においては60秒後)に電磁弁115Aが閉じられている。これは高温高圧の冷媒を低圧の蒸発器102A側へ流して差圧を解消し、次に運転が開始される圧縮機103に負荷となることを避けるためである。その後、庫内温度が所定の運転開始温度(例えば特定の飲食品について食品衛生法で定められている冷蔵の上限温度である10℃)まで上昇すると、電磁弁115Aが開けられると共に圧縮機103の運転が開始される。そして、このようなサイクルが繰り返される。
【0006】
(従来例2)
従来例1の冷却装置100では、電磁弁115Aの閉のタイミングが圧縮機103の運転停止の30〜60秒後であるために、その間に高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器102Aへ移動して凝縮し液相成分の多い冷媒として残留し易い。このような状態で圧縮機103の運転を開始すると圧縮機103にかかる負荷が大きく消費電力も大になることから、特開2001−165511号公報には、図6に示すような冷凍回路と持つ自動販売機の冷却装置200が開示されている。すなわち冷却装置200は断熱壁207で囲われた三つの庫201A、庫201B、庫201Cを備えており、各庫内には蒸発器202A、蒸発器202B、蒸発器202Cが配置され、断熱壁207の外側には圧縮機203、凝縮器204、および制御手段220が配置されている。
【0007】
そして、凝縮器204と各蒸発器202A、202B、202Cとの間には、冷媒流量の調整手段としての電子膨張弁215A、215B、215Cが設けられており、制御手段220から入力される信号に基づいて開度が調整されるようになっている。そのほか各庫内には庫内の空気を攪拌するための庫内ファン208A、208B、208C、および庫内温度センサ209A、209B、209Cが設けられている。また各蒸発器202A、202B、202Cには、それぞれ入口側温度センサ217A、217B、217C、および出口側温度センサ218A、218B、218Cが取り付けられており、入口側および出口側における冷媒温度が検出される。そして、庫外においては制御手段220のほか、圧縮機203の上流側に冷媒の逆止弁213、凝縮器214には出口の冷媒温度を調整するための庫外ファン211が設けられている。なお、庫201B、201Cは加熱モードでの使用が可能なように加熱ヒータ212B、212Cが設けられており、加熱モードで使用する場合には電子膨張弁215B、215Cは全閉される。
【0008】
今、庫201Aのみが冷却モードで使用されているとして説明する。圧縮機203が運転されて庫201Aの冷却が行われている時、蒸発器202Aの入口側温度センサ217Aと出口側温度センサ218Aの検出値は制御手段220に入力されて、蒸発器202Aにおける出入口の温度差(加熱度)が算出され、加熱度が所定の値(例えば5℃)となるように電子膨張弁215Aの開度が調整される。そして、図7のタイムチャートで示すように、庫201Aの庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却されたことが庫内温度センサ209Aによって検出されると、電子膨張弁215Aを全閉して冷媒の流れが遮断されるが、蒸発器202A内に冷媒が可及的に残留しないように、圧縮機203は運転を継続され、所定時間(td秒)が経過してから停止される。そして、その後に庫201Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇すると、電子膨張弁215Aが開けられ圧縮機203の運転が開始される。
【0009】
上記のほか、清涼飲料や牛乳等を販売するための冷却モード専用の自動販売機が存在する。その冷凍回路の図示は省略するが、現時点で知る限りにおいて、冷却モード専用機の凝縮器と蒸発器との間には、開度の調整が可能な電子膨張弁は勿論のこと、オン・オフ動作で開閉される電磁弁も設けられていない。なお、従来例1の図4に示した冷却装置100の庫101B、101Cから加熱ヒータ112B、112Cを取り除いたもの、ないしは冷却装置100から庫101Aを独立させたものは冷却モード専用機であると見なし得るであろう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
冷却モード専用機の冷却装置では、庫内温度が低下して圧縮機の運転が停止されても、凝縮器と蒸発器との間に電磁弁や電子膨張弁を持たないために、圧縮機の高圧の吐出側から低圧の蒸発器側へ冷媒が移動し、蒸発器内へ流入した冷媒は凝縮されて蒸発器の温度を商品の温度よりも上昇させるので、その分だけエネルギーが無駄に消費されている。
【0011】
冷却モードで使用される従来例1の冷却装置100の庫101Aにおいては、圧縮機103の運転が停止されてから例えば30〜60秒後に電磁弁105が閉とされるので、その間に圧縮機103の高圧の吐出側から低圧の蒸発器102A側へ冷媒が移動し、蒸発器102A内へ流入した冷媒は凝縮して蒸発器102Aの温度を上昇させるのでエネルギーが無駄に消費される。また、庫101Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇して圧縮機103の運転が開始される時には電磁弁115Aは同時に開とされている。従って、高圧の圧縮機103側と低圧の蒸発器102A側との間に大きい差圧が存在するなかで圧縮機103が起動されることになり、圧縮機103にとって大きい負荷となり易いと言う問題がある。
【0012】
従来例2の冷却装置200の庫201Aにおいては、電子膨張弁215Aが全閉されてから所定時間(td秒)経過後に圧縮機203の運転が停止され、その間に蒸発器202A側から冷媒を吸引除去し残留させないものとされているが、庫201Aの庫内温度が所定の運転開始温度まで上昇して圧縮機203の運転が開始される時には電子膨張弁215Aは同時に開とされており、従来例1と同様、圧縮機203側の高圧と蒸発器202A側の低圧との間に差圧があるなかで圧縮機203が起動されるという問題点が存在している。
【0013】
また、従来例1、2における庫内ファン108A、208Aの駆動源には30〜50WのAC(交流)モータが使用されており、圧縮機103、203の運転時、停止時には関係なく常にフルパワーの回転速度で回転されているが、そのことは圧縮機103、203の停止時に庫外から庫内への熱の侵入を速めており、その結果、庫101A、201A内の商品を所定の温度以下に維持するために圧縮機103、203の運転時間が長くなっておりエネルギーの消費を増大させている。そのほか圧縮機103、203は補充直後の商品を素早く冷却することが可能なように冷却性能のやや大きいものが選定されているが、蒸発器102A、201Aの熱交換能力に付いては長年検討されていない。これらのことは冷却モード専用機においても同様である。
【0014】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、庫内温度が上昇して圧縮機の運転を開始する時には高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧によって圧縮機に過大な負荷がかからず、庫内温度が低下して圧縮機の運転を停止する時には高圧側から低圧側へ移動する冷媒によって蒸発器の温度が上昇することを防いで消費エネルギーを軽減し得る自動販売機の冷却装置を提供すること、更には庫内ファンによって増大している冷却エネルギーを軽減し得る自動販売機の冷却装置、また更には消費電力の小さい圧縮機を使用し得る自動販売機の冷却装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は請求項1の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば、次の如くである。
【0016】
請求項1の自動販売機の冷却装置は、庫外に配置される圧縮機と凝縮器、および庫内に配置される蒸発器を要素として冷媒が循環される冷凍回路を備え、庫内に冷気攪拌用の庫内ファンを有する自動販売機の冷却装置において、凝縮器と蒸発器との間に、庫内温度が圧縮機の運転停止温度まで冷却されて圧縮機の運転が停止される時には閉とされて冷媒の流れを遮断し、庫内温度が上昇して圧縮機の運転開始温度に近接した時に開とされ、開の時点より遅れて起動される圧縮機の起動基準となる開閉弁が設けられているものである。
【0017】
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の起動の事前に弁が開とされ圧縮機の吐出側の高圧と蒸発器側の低圧とが平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機が起動されることから圧縮機に大きい負荷を招かない。そして圧縮機の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、弁を開とすることによって圧縮機側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動しても蒸発器を温度上昇させることは殆どない。また、圧縮機の停止時には弁は同時に閉とされるので、圧縮機側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動することはなく、従って蒸発器の温度を上昇させることもない。
【0018】
請求項1に従属する請求項2の自動販売機の冷却装置は、圧縮機が開閉弁の開の時点よりほぼ10秒間遅れて起動されるものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転開始の事前に余裕を持って弁が開とされることにより、高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧が十分に解消され、次いで起動される圧縮機に過大な負荷がかかることを防ぐ。
【0019】
請求項1に従属する請求項3の自動販売機の冷却装置は、庫内ファンの駆動源に回転速度の制御を可能とした直流電動機が使用されているものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転時には庫内ファンの回転速度を最大として冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には回転速度を低下させて庫外から庫内への熱の侵入を抑制し、冷却エネルギーの消費を合理化させる。
請求項3に従属する請求項4の自動販売機の冷却装置は、庫内ファンが圧縮機の運転時には最大の回転速度で回転され、圧縮機の停止時には運転時のほぼ60%の回転速度で回転されるものである。
このような自動販売機の冷却装置は、圧縮機の運転時には庫内の冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には庫内温度の分布の広がり抑えつつ庫外からの熱の侵入を抑制する。
【0020】
請求項1に従属する請求項5の自動販売機の冷却装置は、蒸発器が内面に凹凸の形成された冷媒用銅パイプで構成されているものである。
このような自動販売機の冷却装置は、冷媒と冷媒用銅パイプ内面との接触面積が大であり蒸発器の熱交換能力が大になることから、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機を採用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明の自動販売機の冷却装置は、凝縮器と蒸発器との間に、庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却されて圧縮機の運転が停止される時には閉とされて冷媒の流れを遮断し、庫内温度が上昇し所定の運転開始温度に近接した時点で開とされ、開の時点より遅れて起動される圧縮機の起動基準となる開閉弁が設けられているものである。
【0022】
上記の開閉弁は庫内温度が所定の運転停止温度まで冷却され圧縮機の運転が停止されるに伴って冷凍回路における冷媒の循環を遮断することが可能なものである限りにおいて弁体の形状は限定されず、開閉弁の開閉様式に付いても電磁弁のようにオン・オフ動作で開閉する弁、または電子式制御弁や空気圧式制御弁のように弁の開度調整が可能な開閉弁であってもよい。また、上記の開閉弁の設置箇所は凝縮器と蒸発器との間であれば庫外であってもよく、また庫内であってもよい。通常的には、開度調整が可能な開閉弁は庫内に設置され、オン・オフ動作の開閉弁は庫外に設置されて庫内のキャピラリ銅パイプと組み合わされる。
【0023】
そして、上記の開閉弁は庫内温度が低下して圧縮機の運転が停止される時に閉とされるので、圧縮機側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動し凝縮されて蒸発器の温度を上昇させることはない。その後、庫内温度が上昇して運転開始温度に近接すると開閉弁は開とされ、開とされた時点より一定の時間が経過後に至る運転開始温度において圧縮機の運転が開始される。一定の時間後の庫内温度は運転開始温度を超えないことを要するので、開閉弁を開とする庫内温度、および弁を閉としてから圧縮機の運転を開始するまでの時間は実際に則して設定される。
【0024】
庫自体および庫内に収容する商品の熱容量によって異なるが、開閉弁の開の時点から圧縮機を起動する時刻の設定には、一例として、例えば開閉弁を開としてから圧縮機の運転を開始するまでの時間をp秒とした時の庫内温度の上昇がq℃であることを予め計測しておき、圧縮機の運転開始温度を例えば10℃とするには、庫内温度が上昇し(10−q)℃に達した時点で開閉弁を開とし、開とした時点を基準としてそのp秒後に圧縮機を起動することによって、運転開始温度の10℃で圧縮機を運転開始することができる。または、他の例として、庫内温度が上昇し(10−r)℃に達した時点で開閉弁を開とし、庫内温度センサから制御手段へ刻々入力される庫内温度の上昇速度から庫内温度が例えば10℃の到達する時刻を算出し、その時刻に制御手段によって圧縮機を起動させることも可能である。すなわち、このような制御を行うことにより、庫内温度が食品衛生法で規定されている冷蔵の上限温度(10℃)を超えないように自動販売機の冷却装置を作動させることができる。
【0025】
勿論、上記のような厳密な温度管理を要しない場合には、庫内温度が10℃になった時点で開閉弁を開とし、そのp秒後に圧縮機を起動するようにしてもよい。この場合には庫内温度が(10+q)℃において圧縮機が起動されることになるが、qの値が許容できる温度、例えば0.1℃程度になるように、時間p秒の値を小さくすればよいことになる。
【0026】
また、開閉弁を開としてから圧縮機が起動されるまでの間に、圧縮機の吐出側の高圧と蒸発器側の低圧とは平衡化されて差圧が解消されるので、圧縮機は過大な負荷がかかることなく運転を開始することができる。更には、開閉弁を開としてから圧縮機が起動されるまでの間に、圧縮機側から蒸発器側へ冷媒が移動するが、冷媒は圧縮機が停止されている間に温度低下しているので、移動した冷媒が蒸発器を温度上昇させるようなことは殆どない。
【0027】
庫内の空気を攪拌する庫内ファンの駆動源には回転速度の制御を可能としたDC(直流)モータが採用される。DCモータの回転速度は周知のように磁束を変化させる界磁制御、電機子の抵抗を変える抵抗制御、電圧制御、周波数制御等の方法によって制御し得る。何れの制御方法を採用したDCモータであってもよいが、中でもサイリスタによって一次電圧と周波数を同時に制御するようにしたものは損失が少なく好適である。そして、庫内ファンは圧縮機の運転時にはフル回転速度で回転させて庫内の冷気を攪拌して隅々まで急速に均等に行き渡らせる。
【0028】
しかし、圧縮機の停止時にもフル回転速度で回転させ冷気の循環を大にし庫内全体の温度を均等にすると、庫外から庫内への熱の侵入が起こりやすくなるのか、庫内商品の温度上昇が速くなるので、駆動源に回転速度の制御を可能とした小型DCモータを使用し、圧縮機の停止時には運転時のフル回転速度よりも低速度で回転させて冷気の循環量を小とすることにより、庫外から庫内へ侵入する熱が抑制され、かつ庫内の温度分布が大になることは防ぎ得る。このことには小型であることから発熱量も小さい小型DCモータを使用していることが寄与していることも考えられるが、圧縮機の停止時における庫内商品の温度上昇が緩やかになり、結果的に圧縮機のトータルの運転時間が低減される。
【0029】
更には、従来の蒸発器には蒸発器を構成する冷媒用銅パイプとして単なる銅パイプが使用されているが、内面に凹凸を形成させた冷媒用銅パイプは内面の表面積が大となり冷媒との接触面積が大となることから、このよう内面に凹凸を設けた冷媒用銅パイプによる蒸発器を採用することにより、蒸発器の形状サイズや見掛けの冷却面積はそのままで熱交換能力を増大させることができる。従って、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機を採用することが可能になり、消費電力の低減が可能になる。冷媒用銅パイプの内面の凹凸はどのような方法で形成させたものであってもよいが、内面に雌ネジ状の切り溝を形成することによりに好ましい凹凸形状が比較的容易得られる。勿論、冷媒用銅パイプの外面に例え部分的であれフィンを設けることによっても蒸発器の熱交換能力を高めることは可能である。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の自動販売機の冷却装置を、実施例によって図面を参照し、具体的に説明する。
【0031】
(実施例)
図1は実施例の冷却モードのみで使用される一室型の自動販売機に設けられている冷却装置10の冷凍回路を示す図である。図1を参照して、断熱壁7で囲われた一つの庫1からなる自動販売機の庫内には、蒸発器2、庫内ファン8、庫内温度センサ9が配置されており。庫内温度センサ9によって検出される庫内温度は後述の制御手段20へ入力される。なお、この自動販売機は冷却モード専用機であるために、庫1内に加熱ヒータは設けられていない。そして、蒸発器2に使用されている冷媒用銅パイプは内面には雌ネジ状の溝が切られており、従来例1、2の蒸発器102A、102B、102Cや202A、202B、202Cよりも熱交換能力が高められたものとなっている。庫内ファン8の駆動源にはサイリスタによって回転速度の制御を可能とした10Wの小型DCモータが採用されており、圧縮機3の停止時には制御手段20によって運転時におけるフル回転速度の60%程度の回転速度で回転される。
【0032】
そのほか、断熱壁7の外側には圧縮機3、凝縮器4、制御手段20が配置されている。この圧縮機3は蒸発器2の熱交換能力の向上に応じて冷却性能の小さいものが選定されている。そして制御手段20は、上記庫内ファン8の回転速度のほか、圧縮機3の運転の開始と停止、および後述の電磁弁15の開閉を制御する。また、凝縮器4と蒸発器2との間の庫外にはオン・オフ動作で開閉する電磁弁15が設けられ、庫内のキャピラリ銅パイプ16と接続されている。この電磁弁15は、後述するように、圧縮機3の起動の事前に開とされる弁である。そのほか庫外には、制御手段20のほか、圧縮機3の吸引側に冷媒の逆止弁13、凝縮器4にはその出口の冷媒温度を調整するための庫外ファン11が設けられている。
【0033】
冷却装置10の冷凍サイクルの基本的な部分は、当然のことながら、従来例1、2と同様である。すなわち、圧縮機3から吐出される高温高圧のガス状の冷媒は凝縮器4で冷却されて高温高圧のまま液化され、電磁弁15を経由してキャピラリ銅パイプ16を通過する間に減圧されて低温低圧の液体となる。 続いて冷媒は蒸発器2に至って庫1の内部空気から吸熱してガス化され、圧縮機3に吸入され圧縮されて再び高温高圧のガスとして吐出される。そして、実施例の冷却装置10は上記サイクルにおける圧縮機3の運転と停止、および電磁弁15の開閉のタイミングが従来例1、2と異なる。
【0034】
図2は、実施例の自動販売機の冷却装置10における圧縮機3の運転と停止、および電磁弁15の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。図1、図2を参照して、庫1の庫内温度が所定の運転停止温度(5℃)まで冷却されると、制御手段20によって圧縮機3が停止されると共に電磁弁15が閉とされる。従って、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動することはなく、従って、高温高圧の冷媒が蒸発器2で凝縮、液化されて蒸発器2を温度上昇させるようなことは発生せず、当然のことながら冷却の必要もない。その結果、電磁弁15が設けられていない従来の冷却モード専用機と比較して、冷却エネルギーの約5%が節減された。また、液化された冷媒が蒸発器2に残らないので、次に圧縮機3が起動される時に大きい負荷となることもない。
【0035】
その後、庫1の庫内温度が上昇して運転開始温度(例えば10℃)に近接して9.9℃に到達すると制御手段20によって電磁弁15が開とされる。そして、電磁弁15の開の時点を基準にして10秒後に圧縮機3が制御手段20によって起動される。この10秒間は庫内温度9.9℃になり電磁弁15を開としてから10秒経過した時に庫内温度は0.1℃上昇して圧縮機3の運転開始温度である10℃に到達していることが事前の検証によって確認されて設定されている時間である。圧縮機3の起動前に電磁弁15が開とされることにより、圧縮機3の吐出側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動して圧力が平衡化され差圧が解消される。そして、差圧が解消された状態で圧縮機3が起動されることから、圧縮機3には大きい負荷がかからず冷却不良を招くことはない。加えて、圧縮機3が停止されている間に、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒は温度低下しているので、電磁弁15が開とされて圧縮機3側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動しても蒸発器2を温度上昇させることは殆どない。
【0036】
更には、庫内ファン8の駆動源を回転速度の制御が可能な小型DCモータとし、圧縮機3の停止時には運転時におけるフル回転速度の60%程度の回転速度で回転させるようにしたことにより、自動販売機の全稼動時間に対する圧縮機3の運転時間の割合は60%程度になった。ACモータを駆動源とする庫内ファン108A、208Aを使用した従来例1、2においては、全稼動時間に対する圧縮機103、203の運転時間の割合は80%程度であったから大幅に低減されたことになる。これには、従来例1、2では、圧縮機103、203の運転時は勿論のこと、停止時にも、ACモータがフル回転速度で回転され冷気の循環量が大となり断熱壁107、207に至る庫内全体が均等に冷却されることにより、停止時には却って庫外から庫内への熱の侵入が大きくなっていたに対し、本実施例においては、圧縮機3の停止時には庫内ファン8の回転速度をフル回転速度の60%程度とし、庫内の温度分布が大になることを防ぎながら、庫外から庫内への熱の侵入を抑制することができる。これには、また小型DCモータによる発熱が小さいことによる寄与していることも考えられる。
【0037】
また、内面に雌ネジ状の溝が形成された冷媒用銅パイプを使用し熱交換能力が高められた蒸発器2とすることにより、単なる銅パイプを使用していた従来例1、2の場合と比較して冷却性能が約16%小さい圧縮機3を採用することができ、上記の庫内ファン8に回転数制御の可能な小型DCモータを使用したことによる圧縮機の運転時間の低減、高温高圧の冷媒の蒸発器2への移動の阻止も合わせて、トータルで約20%の省エネルギーが達成された。
【0038】
すなわち、実施例の冷却装置10における庫1の電磁弁15が従来例1の冷却装置100の電磁弁115Aと異なる点は以下のように纏められる。
従来例1の電磁弁115Aは圧縮機103の運転開始と同時に開とされる弁であり、圧縮機103側の高圧と蒸発器102A側の低圧との差圧があるなかで圧縮機103が起動されることになり、圧縮機103に過大な負荷がかかることから冷却不良を生じ易く圧縮機103の寿命を短くしかねないものであるに対して、実施例の電磁弁15は圧縮機3の起動の事前に開とされるので、圧縮機3の吐出側の高圧が蒸発器2側の低圧と平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機3が起動されることから圧縮機3に大きい負荷を招かない。また圧縮機3の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、電磁弁15が開とされて圧縮機3側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動しても蒸発器2を温度上昇させることは殆どない。
また従来例1の電磁弁115Aは圧縮機103の運転停止の後、30〜60秒遅れて閉とされる弁であり、その間に圧縮機103の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器102A側へ移動し凝縮されて蒸発機102Aの温度を上昇させ、そのことによって蒸発器102Aに残留する液相成分の多い冷媒が圧縮器103の次に起動に際して大きい負荷となるに対して、実施例の電磁弁15は圧縮機3の運転停止と同時に閉とされるので、圧縮機3の吐出側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器2側へ移動し凝縮されて残留することが防がれ、圧縮機3が次に起動される時に大きい負荷になることはない。
【0039】
以上、本発明の自動販売機の冷却装置を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれによって限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0040】
例えば本実施例においては、庫1の庫内温度が上昇した時には先ず電磁弁15を開としてから圧縮機3が起動され、庫内温度が低下して圧縮機3が停止される時には同時に閉とされる電磁弁15が凝縮器4と蒸発器2との間に設けられている冷却装置10を例示したが、変形例として、図3のタイムチャートに示すように、庫1の庫内温度が上昇した時に先ず電磁弁15を開としてから圧縮機3が起動されることは実施例と同様であるが、庫内温度が低下した時には、先ず電磁弁15が閉とされ、一定の時間(t秒)が経過してから圧縮機3の運転が停止されるような電磁弁15が凝縮器4と蒸発器2との間に設けられている冷却装置であってもよい。このような冷却装置では、蒸発器2に液相成分の多い冷媒が残留するようなことがあっても、その冷媒は圧縮機3によって吸引除去されるので、圧縮機3の次の起動に際して負荷となることを防ぐ。
【0041】
また本実施例においては、凝縮器4と蒸発器2との間の庫外に電磁弁15を設け、庫内のキャピラリ銅パイプ16を組み合わせて冷媒を減圧させる冷却装置10を例示したが、これらに換えて庫内にパルスモータやステッピングモータによって、または空気圧によって開度調整を可能とした膨張弁を設けて冷媒を減圧させる冷却装置としてもよい。勿論、圧縮機3の運転と停止、および膨張弁の全開と全閉は実施例1の冷却装置10に準じたタイミングで行われることは言うまでもない。
【0042】
また本実施例においては、冷却モードでのみ使用される一室タイプの自動販売機の冷却装置を例示したが、本発明の冷却装置は冷却モードと加熱モードとを切り換えて兼用される2〜3室タイプの自動販売機の冷却装置や、一室タイプの兼用機にも同様に適用される。
【0043】
【発明の効果】
本発明の自動販売機の冷却装置は以上に説明したような形態で実施され、次に記載するような効果を奏する。
【0044】
請求項1の自動販売機の冷却装置によれば、、庫内温度が上昇して圧縮機の運転開始温度に近接した時には先ず凝縮器と蒸発器との間の開閉弁が開とされ、弁が開とされた時点より遅れて圧縮機が起動されるので、圧縮機の吐出側の高圧が蒸発器側の低圧と平衡化され差圧が解消された状態で圧縮機が起動されることから圧縮機に大きい負荷を招かない。また圧縮機の停止されている間に高温高圧の冷媒は温度低下しているので、圧縮機の吐出側の高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動しても蒸発器を温度上昇させることは殆どなく、冷却エネルギーの消費量が増大することを抑制する。また、庫内が圧縮機の運転停止温度に低下して圧縮機の運転が停止される時には上記の開閉弁は同時に閉とされるので、圧縮機側の高温高圧の冷媒が低圧の蒸発器側へ移動し凝縮して蒸発器を温度上昇させることが防がれ、冷却エネルギーの消費量が増大することを抑制する。
【0045】
請求項2の自動販売機の冷却装置によれば、上記の開閉弁が開とされた時点からほぼ10秒間送れて圧縮機が起動されるので、高圧の圧縮機側と低圧の蒸発器側との間の差圧が余裕をもって解消され、続いて起動される圧縮機に過大な負荷がかかることを防ぎ、冷却不良を生じたり、圧縮機の寿命を短くすることはない。
【0046】
請求項3の自動販売機の冷却装置によれば、庫内ファンの駆動源に回転速度の制御を可能とした直流電動機が使用されているので、圧縮機の運転時には庫内ファンの回転速度を最大として冷気を隅々まで急速かつ均等に行き渡らせ、圧縮機の停止時には回転速度を低下させて、庫内の温度分布の拡大は防ぎつつ、庫外から庫内への熱の侵入を抑制して冷却エネルギーの消費を合理化させる。
請求項4の自動販売機の冷却装置によれば、圧縮機の運転の停止時には庫内ファンの回転数が圧縮機の運転時における回転数のほぼ60%に低下されるので、冷却エネルギーの消費が効果的に低減される。
【0047】
請求項5の自動販売機の冷却装置によれば、蒸発器が内面に凹凸の形成された冷媒用銅パイプで構成されているので、冷媒と冷媒用銅パイプ内面との接触面積が大であり熱交換能力が大の蒸発器となり、その分だけ冷却性能の小さい圧縮機や蒸発器を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の冷却モード専用で一室タイプの自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図2】同冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図3】同冷凍回路における変形例の圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図4】従来例1の自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図5】従来例1の冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【図6】従来例2の自動販売機に使用されている冷却装置の冷凍回路を概念的に示す図である。
【図7】従来例2の冷凍回路における圧縮機の運転と停止、および電磁弁の開閉のタイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 庫
2 蒸発器
3 圧縮機
4 凝縮器
7 断熱壁
8 庫内ファン
9 庫内温度センサ
10 冷却装置
11 庫外ファン
13 逆止弁
15 電磁弁
16 キャピラリ銅パイプ
20 制御手段
Claims (5)
- 庫外に配置される圧縮機と凝縮器、および庫内に配置される蒸発器を要素として冷媒が循環される冷凍回路を備え、前記庫内に冷気攪拌用の庫内ファンを有する自動販売機の冷却装置において、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に、庫内温度が前記圧縮機の運転停止温度まで冷却されて前記圧縮機の運転が停止される時には閉とされて冷媒の流れを遮断し、前記庫内温度が上昇して前記圧縮機の運転開始温度に近接した時に開とされ、前記開の時点より遅れて起動される前記圧縮機の起動基準となる開閉弁が設けられている
ことを特徴とする自動販売機の冷却装置。 - 前記圧縮機が前記開閉弁の開の時点よりほぼ10秒間遅れて起動される
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷却装置。 - 前記庫内ファンの駆動源に回転速度の制御を可能とした直流電動機が使用されている
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷却装置。 - 前記庫内ファンが前記圧縮機の運転時には最大の回転速度で回転され、前記圧縮機の停止時には運転時のほぼ60%の回転速度で回転される
ことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機の冷却装置。 - 前記蒸発器が内面に凹凸の形成された冷媒用銅パイプで構成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷却装置。
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JP2002284932A JP2004118781A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 自動販売機の冷却装置 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
US20070235161A1 (en) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Eric Barger | Refrigerant based heat exchange system with compensating heat pipe technology |
JP2010152673A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Fuji Electric Retail Systems Co Ltd | 自動販売機 |
JP2015138329A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 自動販売機 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002284932A patent/JP2004118781A/ja active Pending
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