JP2004117867A - 光ドロップケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、工事コストの低減に寄与するとともに、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブルを提供することにある。
【解決手段】複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納する。ケーブルシース15には、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納する。ケーブルシース15には、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバネットワークの支線系に接続されているクロージャから例えば集合住宅の構内に引き落とすためのドロップケーブルに関し、特に、配線形態の柔軟性を向上して工事コストの低減に寄与することができる光ドロップケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報通信社会の推進に向けて、FTTH(Fiber to the Home)が提唱されている。このFTTHは、個々の家庭まで光ファイバを引き込んで、電話、コンピュータ通信、CATV(ケーブル・テレビや光ネットワークの配線方法)などの通信サービスを統合して提供するネットワークであり、電話局の末端にリモート端末を設置しておき、そのリモート端末から幹線系の光ケーブルを敷設し、幹線上に設けられたクロージャから各家庭や集合住宅に光ドロップケーブルを敷設するものである。
【0003】
従来の光ドロップケーブルは、1心または2心ケーブルであり、支線系に接続されているクロージャから例えば集合住宅に設けられた光成端箱にこの光ドロップケーブルを引き込み、さらに、光成端箱を経由して光ドロップケーブルを例えば集合住宅の各家庭に設けられたローゼットまで配線するものである。
【0004】
このような従来の光ドロップケーブルは、例えば特開2000−171673に開示されたものがある。この光ドロップケーブル101は、図6に示すように光ファイバ心線103の両側に抗張力体105を配置し、これらを一括して被覆107を施し、抗張力体105と被覆107との間に、抗張力体105と被覆107との接着性を高めることができる接着剤層109を介在させている。
【0005】
また、従来の光ドロップケーブル111は、図7に示すように8心の素線又はテープ心線からなる光ファイバ113が長尺形状のケーブルシース117に設けられた収納部115に収納されており、ケーブルシース117の収納部115の近傍に伸長方向の張力を吸収する抗張力体119が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開2000−171673に開示された従来の前者の光ドロップケーブル101は、その心数が1心であるため、1本の光ドロップケーブルから1つの家庭にしか引き落としができない。このため、集合住宅などでは、戸数に見合っただけの光ドロップケーブルの条数が必要となる。
【0007】
また、新規加入の都度、クロージャから各家庭のローゼットまで光ドロップケーブルを敷設する工事が必要になり、敷設工事の所要時間がかかるので、コスト上昇の要因になるといった問題があった。
【0008】
さらに、従来の後者の光ドロップケーブル111は、光ファイバ113が収納部115内で分散して収納されているため、図7に示すようにケーブルシース117の中心線CLより下部に位置する光ファイバ113は、常に下部に存在する。その結果、中心線CLより下部に位置する光ファイバ113は、光ドロップケーブル111を図7に示す方向に曲げた際に常に余りが生じるため、光ファイバ113に無理な曲がりが加わったり、余りが局部に集中する場合、伝送特性が低下することが懸念される。そして、中心線CLより上部に位置する場合でも、常に延び方向の歪みが加わった状態のままでは、光ファイバ113の強度を保証することができず、断線に至る可能性がある。
【0009】
また、光ドロップケーブル111は、それぞれの光ファイバ113が不均一に送り出されて収納部115に収納された場合、収納状態、押出成形時の状態如何によっては、線長にバラツキが生じる可能性が高い。収納部115に収納された光ファイバ113に線長差が生じると、不特定に伝送損失特性及び温度特性が悪化する光ファイバ113や、心線移動量の大きい光ファイバ113が現れるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、工事コストの低減に寄与するとともに、光ファイバに線長差が生じることなく、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、複数の素線又はテープ心線が一定ピッチにて一方向に撚られた光ファイバと、前記光ファイバを収納する収納部の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部を設けた長尺形状のケーブルシースと、前記ケーブルシースの収納部の近傍に設けられ伸長方向の張力を吸収する抗張力体とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ケーブルシースの短面に接続して前記光ファイバを支持する支持線とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記光ファイバに縦添えする緩衝層を有し、前記光ファイバと緩衝層とを一体にして前記収納部に収納することを要旨とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、前記複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことを要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ドロップケーブル11の構成を示す断面図である。
図1に示す光ドロップケーブル11は、光ファイバ13−1〜13−8、ケーブルシース15、収納部17、ノッチ部19,21、抗張力体23,25から構成されている。
【0016】
ケーブルシース15の断面中央には、断面円形の収納部17が設けられ、この収納部17には8心の光ファイバ13−1〜13−8が収納されている。これらの光ファイバ13−1〜13−8は、1心の素線又は2心のテープ心線からなり、ケーブルシース21に設けられた収納部23において、図2に示すように一定ピッチPにて一方向に撚られた状態で収納配置されている。
【0017】
すなわち、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。
【0018】
そして、光ファイバ13−1〜13−8の撚りピッチは、一定ピッチPであって、10〜1000mmの範囲、より望ましくは300mm程度である。因みに、光ファイバ13−1〜13−8の撚りピッチは、10mm未満であると、伝送特性が劣る一方、1000mmを超えると、光ファイバ13−1〜13−8が一体化せずに線長差が生じる場合があり、不特定に伝送損失特性及び温度特性が悪化するものが現れる。
【0019】
ケーブルシース15は、断面寸法が横5.9mm,縦2.6mmの長尺形状で、低密度の難燃ポリエチレンからなり、収納部17内における光ファイバ13−1〜13−8をそれぞれ収納して被覆する。また、ケーブルシース15は、その長尺面(以下、長面という。)15aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成している。
【0020】
さらに、ケーブルシース15は、収納部17の縦断面近傍であって、収納部17と並列に伸長方向の張力を吸収する亜鉛めっきなどの防食処理が施された外径0.4mmの鋼線からなる2本の抗張力体23,25をそれぞれ被覆している。なお、これらの抗張力体23,25は、上記のような0.4mmの鋼線の代わりに、ガラスFRPやケブラーなどのアラミド繊維を用いることも可能である。
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、光ドロップケーブル11の作用効果について説明する。
まず、図1に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0022】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース15には、収納部17に対して直交する長面15aに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース15の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。
【0023】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面15aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成しているので、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース15を引き裂いて2分割することにより、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0024】
すなわち、ケーブルシース15は、長面15aにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース15を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル11を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース15の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0025】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル11を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0026】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0027】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル11を提供することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル11を提供することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る光ドロップケーブル31の構成を示す断面図である。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の部分には、図1と同一の符号を用いて説明する。他の実施の形態も同様である。
図3に示す光ドロップケーブル31は、図1に示す光ドロップケーブル11に対して、ケーブルシース33を形成する際にネック35を介して支持線としてのテンションメンバ37を付け加えている。このテンションメンバ37には、1.2mmの鋼線を使用している。
【0030】
すなわち、本実施の形態の光ドロップケーブル31は、ケーブルシース33の短尺面(以下、短面という。)33aにネック35を介して光ファイバ13−1〜13−8を支持するテンションメンバ37が接続されるように、ケーブルシース33の短面33aにネック35を介してテンションメンバ37が一体成形されている。
【0031】
次に、図3を参照して、光ドロップケーブル31の作用効果について説明する。
まず、図3に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0032】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース33には、収納部17に対して直交する長面33bに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース33の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。また、ケーブルシース33を形成する際にネック35を介してテンションメンバ37を並列に送り出してシースする。
【0033】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面33bに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成し、さらにテンションメンバ37を被覆しているので、支線系に設けられたクロージャ(図示しない)から集合住宅に設けられた光成端箱(図示しない)まで光ドロップケーブル31を引き込むことができる。
【0034】
また、集合住宅内では、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース33を引き裂いて2分割することができ、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0035】
すなわち、ケーブルシース33は、長面33bにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース33を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル31を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。そして、ケーブルシース33の短面33aに接続して光ファイバ13−1〜13−8を支持するテンションメンバ37を備えたので、ケーブル自体の引張強度を高めることができ、敷設する際の取扱い性及び信頼性を向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース15の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0037】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル31を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0038】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0039】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル31を提供することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル31を提供することができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る光ドロップケーブル51の構成を示す断面図である。
図4に示す光ドロップケーブル41は、図3に示す光ドロップケーブル31に対して、収納部17内において、光ファイバ13−1〜13−8に緩衝層45が縦添えされて配置される。この緩衝層45は、アラミド繊維、ケブラー繊維またはPPヤーンからなる。
ケーブルシース43は、収納部17内に配置された光ファイバ13−1〜13−8を緩衝層45とともに収納して被覆する。
【0042】
次に、図4を参照して、光ドロップケーブル41の作用効果について説明する。
まず、図4に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0043】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース43には、収納部17に対して直交する長面43aに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース43の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。また、ケーブルシース43を形成する際にネック35を介してテンションメンバ37を付け加える。
【0044】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面43aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成しているので、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース43を引き裂いて2分割することにより、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0045】
すなわち、ケーブルシース43は、長面43aにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース43を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル41を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。そして、光ファイバ13−1〜13−8と緩衝層45とを一体にして収納部17に収納するので、光ファイバ13−1〜13−8に加わる外力を緩衝層45で緩和することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース43の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0047】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル41を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0048】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0049】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル41を提供することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル41を提供することができる。
【0051】
(実験例)
図3に示す実施の形態において、光ファイバ13−1〜13−8として径0.25mmの心線8本を撚りピッチ300mmで一方向に撚ったものをシースした構造の光ドロップケーブルを試作した。
【0052】
そして、その光ドロップケーブルの初期光伝送損失を評価した結果、全ての心線が1.55μmで0.25dB/km以下であった。また、製造後の歪みを歪み測定器BOTDR(Brillouin Optical fiber Time Domain Reflectometer)で測定したところ、全ての心線共歪みは、0.1%以下であった。すなわち、この歪み測定器は、光ドロップケーブルの一端から光パルスを入射させ、その光パルスの周波数と、長手方向のファイバの歪みにて反射されるブリリアン散乱光の周波数との差を測定することにより、各心線の歪みを測定する。
【0053】
さらに、機械的特性については、側圧及び曲げ共に良好な結果が得られた。つまり、側圧については、加圧幅100mmの平板に光ドロップケーブルを挟み込み、上方から1960Nの荷重をかけても損失幅が認められず、良好な特性を示した。曲げについては、径60mmの曲げ時においても損失増がなかった。
【0054】
また、上記光ドロップケーブルを解体し、内在する光ファイバの心線余長を調べたところ、全ての光ファイバ心線が0.02〜0.04%の範囲内に入っていることが確認された。
【0055】
(比較例)
光ファイバ13−1〜13−8として径0.25mmの心線8本に介在物を縦添えした光ドロップケーブルを8本試作した。
2本の光ドロップケーブルを取り出したところ、1本の光ドロップケーブルが0.4dB/kmの損失増が見出された。この光ドロップケーブルを調査し、上記と同様な測定器により歪み測定を行ったところ、そのロス増ファイバは、長手方向に不均一に歪みが加わっていることが確認された。
【0056】
(実施例)
図5は、第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブルを敷設した様子を示す概略図である。
図5に示すように、光ネットワークの支線系光ケーブル51上に設けられているクロージャ53に接続されている光ドロップケーブルは、他端が光成端箱55を経由して集合住宅57の各住宅に設けられたそれぞれのローゼット59に接続されている。
【0057】
光成端箱55から集合住宅57の1F(1階)までは、ケーブルシースを裂かずにそのまま敷設されている。
次いで、1Fにおいて、ケーブルシースの中央部分に設けられたノッチ部19,21から裂いて2分割する。
【0058】
この時、前記第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブル11,31,41に対しては、さらに、ニッパなどの工具を用いてケーブルシースに切り込みを入れて裂けば、一体化した光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができ、そして光ファイバ13−1〜13−8の撚りを解くことにより、光ファイバ13−1〜13−8を必要な長さだけ1F〜4Fに2本づつ敷設することができる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、複数の素線又はテープ心線を一定ピッチにて一方向に撚りを加えることで、光ファイバが一体となるので、光ファイバの曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブルを提供することができる。
【0060】
また、ケーブルシースの収納部に複数の素線又はテープ心線の光ファイバを収納配置したことにより、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。
【0061】
請求項2記載の本発明によれば、ケーブルシースの短面に接続して光ファイバを支持する支持線を備えたので、ケーブル自体の引張強度を高めることができ、敷設する際の取扱い性及び信頼性を向上させることができる。
【0062】
請求項3記載の本発明によれば、光ファイバに縦添えする緩衝層を有し、光ファイバと緩衝層とを一体にして収納部に収納するので、光ファイバに加わる外力を緩衝層で緩和することができる。
【0063】
請求項4記載の発明によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光ドロップケーブルの光ファイバを示す側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図5】第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブルを敷設した様子を示す概略図である。
【図6】従来の光ドロップケーブルの構成を示す概略図である。
【図7】従来の他の光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
11,31,41 光ドロップケーブル
13−1〜13−8 光ファイバ
15,33,43 ケーブルシース
15a,33b,43a 長面
17 収納部
19,21 ノッチ部
23,25 抗張力体
33a 短面
35 ネック
37 テンションメンバ(支持線)
45 緩衝層
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバネットワークの支線系に接続されているクロージャから例えば集合住宅の構内に引き落とすためのドロップケーブルに関し、特に、配線形態の柔軟性を向上して工事コストの低減に寄与することができる光ドロップケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報通信社会の推進に向けて、FTTH(Fiber to the Home)が提唱されている。このFTTHは、個々の家庭まで光ファイバを引き込んで、電話、コンピュータ通信、CATV(ケーブル・テレビや光ネットワークの配線方法)などの通信サービスを統合して提供するネットワークであり、電話局の末端にリモート端末を設置しておき、そのリモート端末から幹線系の光ケーブルを敷設し、幹線上に設けられたクロージャから各家庭や集合住宅に光ドロップケーブルを敷設するものである。
【0003】
従来の光ドロップケーブルは、1心または2心ケーブルであり、支線系に接続されているクロージャから例えば集合住宅に設けられた光成端箱にこの光ドロップケーブルを引き込み、さらに、光成端箱を経由して光ドロップケーブルを例えば集合住宅の各家庭に設けられたローゼットまで配線するものである。
【0004】
このような従来の光ドロップケーブルは、例えば特開2000−171673に開示されたものがある。この光ドロップケーブル101は、図6に示すように光ファイバ心線103の両側に抗張力体105を配置し、これらを一括して被覆107を施し、抗張力体105と被覆107との間に、抗張力体105と被覆107との接着性を高めることができる接着剤層109を介在させている。
【0005】
また、従来の光ドロップケーブル111は、図7に示すように8心の素線又はテープ心線からなる光ファイバ113が長尺形状のケーブルシース117に設けられた収納部115に収納されており、ケーブルシース117の収納部115の近傍に伸長方向の張力を吸収する抗張力体119が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開2000−171673に開示された従来の前者の光ドロップケーブル101は、その心数が1心であるため、1本の光ドロップケーブルから1つの家庭にしか引き落としができない。このため、集合住宅などでは、戸数に見合っただけの光ドロップケーブルの条数が必要となる。
【0007】
また、新規加入の都度、クロージャから各家庭のローゼットまで光ドロップケーブルを敷設する工事が必要になり、敷設工事の所要時間がかかるので、コスト上昇の要因になるといった問題があった。
【0008】
さらに、従来の後者の光ドロップケーブル111は、光ファイバ113が収納部115内で分散して収納されているため、図7に示すようにケーブルシース117の中心線CLより下部に位置する光ファイバ113は、常に下部に存在する。その結果、中心線CLより下部に位置する光ファイバ113は、光ドロップケーブル111を図7に示す方向に曲げた際に常に余りが生じるため、光ファイバ113に無理な曲がりが加わったり、余りが局部に集中する場合、伝送特性が低下することが懸念される。そして、中心線CLより上部に位置する場合でも、常に延び方向の歪みが加わった状態のままでは、光ファイバ113の強度を保証することができず、断線に至る可能性がある。
【0009】
また、光ドロップケーブル111は、それぞれの光ファイバ113が不均一に送り出されて収納部115に収納された場合、収納状態、押出成形時の状態如何によっては、線長にバラツキが生じる可能性が高い。収納部115に収納された光ファイバ113に線長差が生じると、不特定に伝送損失特性及び温度特性が悪化する光ファイバ113や、心線移動量の大きい光ファイバ113が現れるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、工事コストの低減に寄与するとともに、光ファイバに線長差が生じることなく、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、複数の素線又はテープ心線が一定ピッチにて一方向に撚られた光ファイバと、前記光ファイバを収納する収納部の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部を設けた長尺形状のケーブルシースと、前記ケーブルシースの収納部の近傍に設けられ伸長方向の張力を吸収する抗張力体とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ケーブルシースの短面に接続して前記光ファイバを支持する支持線とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記光ファイバに縦添えする緩衝層を有し、前記光ファイバと緩衝層とを一体にして前記収納部に収納することを要旨とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、前記複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことを要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ドロップケーブル11の構成を示す断面図である。
図1に示す光ドロップケーブル11は、光ファイバ13−1〜13−8、ケーブルシース15、収納部17、ノッチ部19,21、抗張力体23,25から構成されている。
【0016】
ケーブルシース15の断面中央には、断面円形の収納部17が設けられ、この収納部17には8心の光ファイバ13−1〜13−8が収納されている。これらの光ファイバ13−1〜13−8は、1心の素線又は2心のテープ心線からなり、ケーブルシース21に設けられた収納部23において、図2に示すように一定ピッチPにて一方向に撚られた状態で収納配置されている。
【0017】
すなわち、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。
【0018】
そして、光ファイバ13−1〜13−8の撚りピッチは、一定ピッチPであって、10〜1000mmの範囲、より望ましくは300mm程度である。因みに、光ファイバ13−1〜13−8の撚りピッチは、10mm未満であると、伝送特性が劣る一方、1000mmを超えると、光ファイバ13−1〜13−8が一体化せずに線長差が生じる場合があり、不特定に伝送損失特性及び温度特性が悪化するものが現れる。
【0019】
ケーブルシース15は、断面寸法が横5.9mm,縦2.6mmの長尺形状で、低密度の難燃ポリエチレンからなり、収納部17内における光ファイバ13−1〜13−8をそれぞれ収納して被覆する。また、ケーブルシース15は、その長尺面(以下、長面という。)15aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成している。
【0020】
さらに、ケーブルシース15は、収納部17の縦断面近傍であって、収納部17と並列に伸長方向の張力を吸収する亜鉛めっきなどの防食処理が施された外径0.4mmの鋼線からなる2本の抗張力体23,25をそれぞれ被覆している。なお、これらの抗張力体23,25は、上記のような0.4mmの鋼線の代わりに、ガラスFRPやケブラーなどのアラミド繊維を用いることも可能である。
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、光ドロップケーブル11の作用効果について説明する。
まず、図1に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0022】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース15には、収納部17に対して直交する長面15aに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース15の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。
【0023】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面15aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成しているので、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース15を引き裂いて2分割することにより、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0024】
すなわち、ケーブルシース15は、長面15aにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース15を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル11を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース15の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0025】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル11を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0026】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0027】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル11を提供することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル11を提供することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る光ドロップケーブル31の構成を示す断面図である。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の部分には、図1と同一の符号を用いて説明する。他の実施の形態も同様である。
図3に示す光ドロップケーブル31は、図1に示す光ドロップケーブル11に対して、ケーブルシース33を形成する際にネック35を介して支持線としてのテンションメンバ37を付け加えている。このテンションメンバ37には、1.2mmの鋼線を使用している。
【0030】
すなわち、本実施の形態の光ドロップケーブル31は、ケーブルシース33の短尺面(以下、短面という。)33aにネック35を介して光ファイバ13−1〜13−8を支持するテンションメンバ37が接続されるように、ケーブルシース33の短面33aにネック35を介してテンションメンバ37が一体成形されている。
【0031】
次に、図3を参照して、光ドロップケーブル31の作用効果について説明する。
まず、図3に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0032】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース33には、収納部17に対して直交する長面33bに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース33の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。また、ケーブルシース33を形成する際にネック35を介してテンションメンバ37を並列に送り出してシースする。
【0033】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面33bに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成し、さらにテンションメンバ37を被覆しているので、支線系に設けられたクロージャ(図示しない)から集合住宅に設けられた光成端箱(図示しない)まで光ドロップケーブル31を引き込むことができる。
【0034】
また、集合住宅内では、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース33を引き裂いて2分割することができ、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0035】
すなわち、ケーブルシース33は、長面33bにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース33を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル31を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。そして、ケーブルシース33の短面33aに接続して光ファイバ13−1〜13−8を支持するテンションメンバ37を備えたので、ケーブル自体の引張強度を高めることができ、敷設する際の取扱い性及び信頼性を向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース15の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0037】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル31を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0038】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0039】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル31を提供することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル31を提供することができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る光ドロップケーブル51の構成を示す断面図である。
図4に示す光ドロップケーブル41は、図3に示す光ドロップケーブル31に対して、収納部17内において、光ファイバ13−1〜13−8に緩衝層45が縦添えされて配置される。この緩衝層45は、アラミド繊維、ケブラー繊維またはPPヤーンからなる。
ケーブルシース43は、収納部17内に配置された光ファイバ13−1〜13−8を緩衝層45とともに収納して被覆する。
【0042】
次に、図4を参照して、光ドロップケーブル41の作用効果について説明する。
まず、図4に示すように、複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ13−1〜13−8を一定ピッチPにて一方向に撚りを加えて一体化したものを準備しておく。
【0043】
次いで、この一体化した光ファイバ13−1〜13−8をケーブルシース15に設けられた収納部17の中心に収納配置する。
このケーブルシース43には、収納部17に対して直交する長面43aに、分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21が切欠き形成され、ケーブルシース43の収納部17の断面近傍にケーブルの伸長方向の張力を吸収する抗張力体23,25が設けられる。また、ケーブルシース43を形成する際にネック35を介してテンションメンバ37を付け加える。
【0044】
そして、本実施の形態では、収納部17内に一体化した光ファイバ13−1〜13−8を収納配置して被覆し、また長面43aに収納部17に対して直交するように、収納部17の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部19,21を切欠き形成しているので、ノッチ部19,21を中心に↑↓方向に逆の力を加えてケーブルシース43を引き裂いて2分割することにより、光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができる。
【0045】
すなわち、ケーブルシース43は、長面43aにおいてノッチ部19,21の切欠き方向に対して互いに逆方向にせん断力を加えることで、ケーブルシース43を引き裂いて2分割することができる。
また、本実施の形態では、光ドロップケーブル41を2分割しても、光ファイバ13−1〜13−8が抗張力体23,25を有しているので、ケーブルの伸長方向の張力を吸収することができる。そして、光ファイバ13−1〜13−8と緩衝層45とを一体にして収納部17に収納するので、光ファイバ13−1〜13−8に加わる外力を緩衝層45で緩和することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、ケーブルシース43の収納部17において8心の光ファイバ13−1〜13−8を収納配置したことにより、1本のケーブルで複数のユーザに配線することができる。
【0047】
さらにまた、本実施の形態では、収納部17に光ファイバ13−1〜13−8をそのままの状態で収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚りを加えることで、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となり、収納部17の中心に配置されるようにしている。したがって、光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることで、光ドロップケーブル41を曲げても中心線の内側に位置する場合と外側に位置する場合とで互いに相殺されるので、光ファイバ13−1〜13−8に極端な曲がり及び伸びが加わる可能性が低い。
【0048】
また、本実施の形態では、全光ファイバ13−1〜13−8を互いに撚ることにより、全光ファイバ13−1〜13−8が一体となって作用するため、全光ファイバ13−1〜13−8のうち、一本の光ファイバだけ線長差が生じるなどの心線別の特性異常を防止することができる。
【0049】
このことから、本実施の形態によれば、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。また、光ファイバ13−1〜13−8は、収納部17にそのまま並列に収納するのではなく、一定ピッチPにて一方向に撚り合わせることで、光ファイバ13−1〜13−8の曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブル41を提供することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブル41を提供することができる。
【0051】
(実験例)
図3に示す実施の形態において、光ファイバ13−1〜13−8として径0.25mmの心線8本を撚りピッチ300mmで一方向に撚ったものをシースした構造の光ドロップケーブルを試作した。
【0052】
そして、その光ドロップケーブルの初期光伝送損失を評価した結果、全ての心線が1.55μmで0.25dB/km以下であった。また、製造後の歪みを歪み測定器BOTDR(Brillouin Optical fiber Time Domain Reflectometer)で測定したところ、全ての心線共歪みは、0.1%以下であった。すなわち、この歪み測定器は、光ドロップケーブルの一端から光パルスを入射させ、その光パルスの周波数と、長手方向のファイバの歪みにて反射されるブリリアン散乱光の周波数との差を測定することにより、各心線の歪みを測定する。
【0053】
さらに、機械的特性については、側圧及び曲げ共に良好な結果が得られた。つまり、側圧については、加圧幅100mmの平板に光ドロップケーブルを挟み込み、上方から1960Nの荷重をかけても損失幅が認められず、良好な特性を示した。曲げについては、径60mmの曲げ時においても損失増がなかった。
【0054】
また、上記光ドロップケーブルを解体し、内在する光ファイバの心線余長を調べたところ、全ての光ファイバ心線が0.02〜0.04%の範囲内に入っていることが確認された。
【0055】
(比較例)
光ファイバ13−1〜13−8として径0.25mmの心線8本に介在物を縦添えした光ドロップケーブルを8本試作した。
2本の光ドロップケーブルを取り出したところ、1本の光ドロップケーブルが0.4dB/kmの損失増が見出された。この光ドロップケーブルを調査し、上記と同様な測定器により歪み測定を行ったところ、そのロス増ファイバは、長手方向に不均一に歪みが加わっていることが確認された。
【0056】
(実施例)
図5は、第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブルを敷設した様子を示す概略図である。
図5に示すように、光ネットワークの支線系光ケーブル51上に設けられているクロージャ53に接続されている光ドロップケーブルは、他端が光成端箱55を経由して集合住宅57の各住宅に設けられたそれぞれのローゼット59に接続されている。
【0057】
光成端箱55から集合住宅57の1F(1階)までは、ケーブルシースを裂かずにそのまま敷設されている。
次いで、1Fにおいて、ケーブルシースの中央部分に設けられたノッチ部19,21から裂いて2分割する。
【0058】
この時、前記第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブル11,31,41に対しては、さらに、ニッパなどの工具を用いてケーブルシースに切り込みを入れて裂けば、一体化した光ファイバ13−1〜13−8を容易に取り出すことができ、そして光ファイバ13−1〜13−8の撚りを解くことにより、光ファイバ13−1〜13−8を必要な長さだけ1F〜4Fに2本づつ敷設することができる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、複数の素線又はテープ心線を一定ピッチにて一方向に撚りを加えることで、光ファイバが一体となるので、光ファイバの曲げに対する余長差が相殺され、伝送損失特性、温度特性及び長期信頼性の優れた光ドロップケーブルを提供することができる。
【0060】
また、ケーブルシースの収納部に複数の素線又はテープ心線の光ファイバを収納配置したことにより、光ファイバの心数分のユーザに対して1本のケーブルを敷設すればよいことになり、配線工事コストを削減することができる。
【0061】
請求項2記載の本発明によれば、ケーブルシースの短面に接続して光ファイバを支持する支持線を備えたので、ケーブル自体の引張強度を高めることができ、敷設する際の取扱い性及び信頼性を向上させることができる。
【0062】
請求項3記載の本発明によれば、光ファイバに縦添えする緩衝層を有し、光ファイバと緩衝層とを一体にして収納部に収納するので、光ファイバに加わる外力を緩衝層で緩和することができる。
【0063】
請求項4記載の発明によれば、複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことにより、複数の素線又はテープ心線を確実に一体化しつつ、伝送損失特性及び温度特性に優れた光ドロップケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光ドロップケーブルの光ファイバを示す側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【図5】第1〜第3の実施の形態に示す光ドロップケーブルを敷設した様子を示す概略図である。
【図6】従来の光ドロップケーブルの構成を示す概略図である。
【図7】従来の他の光ドロップケーブルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
11,31,41 光ドロップケーブル
13−1〜13−8 光ファイバ
15,33,43 ケーブルシース
15a,33b,43a 長面
17 収納部
19,21 ノッチ部
23,25 抗張力体
33a 短面
35 ネック
37 テンションメンバ(支持線)
45 緩衝層
Claims (4)
- 複数の素線又はテープ心線が一定ピッチにて一方向に撚られた光ファイバと、
前記光ファイバを収納する収納部の中央部を2分割するための分割位置を示す略V字形状のノッチ部を設けた長尺形状のケーブルシースと、
前記ケーブルシースの収納部の近傍に設けられ伸長方向の張力を吸収する抗張力体とを備えたことを特徴とする光ドロップケーブル。 - 前記ケーブルシースの短面に接続して前記光ファイバを支持する支持線とを備えたことを特徴とする請求項1記載の光ドロップケーブル。
- 前記光ファイバに縦添えする緩衝層を有し、
前記光ファイバと緩衝層とを一体にして前記収納部に収納することを特徴とする請求項1記載の光ドロップケーブル。 - 前記複数の素線又はテープ心線の撚りピッチを10〜1000mmとしたことを特徴とする請求項1記載の光ドロップケーブル。
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