JP2004117848A - 光学フィルター及び画像表示装置 - Google Patents

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Eiichi Kato
加藤 栄一
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Abstract

【課題】近赤外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能及び耐光性に優れた光学フィルターを得る。
【解決手段】透明支持体上に少なくとも近赤外線吸収性のフィルター層を有する光学フィルターであって、そのフィルター層が下記一般式(I)で表される近赤外色素(一般式(I)中、Y,Y,Y及びYは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表し、X,Xは酸素、硫黄、セレン又はテルルの各原子を表す。Z、Zは特定のピラン誘導体を形成するに必要な原子群を表す。Lはメチン基、p、qは、0、1〜3の整数、rは、5又は7をそれぞれ表す。Aは電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。mは0又は1を表す。)を含有する光学フィルター。
【化1】
Figure 2004117848

【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明支持体およびフィルター層を有する光学フィルターに関する。特に、本発明はプラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような画像表示装置の表面に、色再現性改良および誤動作防止のため取り付けられる光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような画像表示装置において、ディスプレイから発生する赤外線(主に、750nmから1100nm)によって遠隔操作装置(リモコン)が誤動作するとの問題が報告されている。この問題を解決するために、赤外線吸収フィルターが用いられている。赤外線吸収フィルターに用いる染料としては、特許文献1に記載がある。
また、同じ目的でポリメチン染料の会合体を形成して用いる技術も、特許文献2に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
例えば、米国特許5945209号明細書
【特許文献2】
例えば、特開2001−228324号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上記のような画像表示装置における画像の高精細性化が更に望まれ、また、光学フィルターとしての近赤外線吸収効果や、耐久性等のより一層の性能向上が望まれている。
従って、本発明の目的は、近赤外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能及び耐光性に優れた光学フィルターを提供することにある。
本発明の更なる目的は、ディスプレーからでる周辺電子機器の誤動作を引き起こす近赤外線領域である750〜1000nm、とりわけ800〜1000nmの領域の光をカットすると共に、ディスプレーのを阻害しないような可視光線透過率の高い実用的なプラズマディスプレー用フィルターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の構成によって解決されることが見出された。
(1)透明支持体上に少なくとも近赤外線吸収性のフィルター層を有する光学フィルターであって、そのフィルター層が下記一般式(I)で示される近赤外色素のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする光学フィルター。
【0006】
【化2】
Figure 2004117848
【0007】
一般式(I)において、Y,Y,Y及びYは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。
、Xは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。
、Zはピラン、ベンゾピラン、ナフトピラン、チオピラン、ベンゾチオピラン、ナフトチオピラン、セレナピラン、ベンゾセレナピラン、ナフトセレナピラン、テルナピラン、ベンゾテルナピラン、又はナフトテルナピランを形成するに必要な原子群を表す。
Lは、各々独立に、メチン基を表す。
p,qは、各々独立に0、1、2、又は3を表す。rは、5又は7を表す。
は、電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。但し、mは0又は1を表す。
【0008】
(2)上記光学フィルターが、560nm〜620nmの波長領域にも吸収極大を有することを特徴とする上記(1)に記載の光学フィルター。
(3)フィルター層が、色素及びポリマーバインダーを含む上記(1)又は(2)に記載の光学フィルター。
【0009】
(4)透明支持体の片面に、
(i)屈折率が1.65〜2.40である高屈折率層と屈折率が1.20〜1.55である低屈折率層の各々少なくとも一層を有する反射防止膜、及び、
(ii)560nm〜620nmの波長領域及び750nm〜1000nmの波長領域の少なくともいずれかに吸収極大を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルター層、
を有することを特徴とする光学フィルター。
【0010】
(5)可視光吸収層の560〜620nmの波長領域における吸収極大についての半値幅が5〜70nmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学フィルター。
(6)透明支持体が複数枚積層されていることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学フィルター。
(7)複数枚の透明支持体の膜厚の合計が250μm以上であることを特徴とする請上記(6)に記載の光学フィルター。
(8)表面抵抗が500Ω/□以下の導電層が設けられていることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光学フィルター。
【0011】
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学フィルターをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに直接貼りつけたことを特徴とする画像表示装置。
(10)プラズマディスプレイに前面板が設けられておらず、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学フィルターがディスプレイ表面に直接貼り付けられていることを特徴とする画像表示装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細を説明する。
[フィルター層]
本発明のフィルター層は、上記一般式(I)で表される近赤外色素を少なくとも含有する近赤外線遮蔽層である。
【0013】
本発明の一般式(I)で表される近赤外色素は、特定の波長領域(赤色光乃至赤外線領域)に吸収を有する特定構造の色素であり、以下、適宜「特定色素」と称することもある。
【0014】
前記一般式(I)で表される近赤外色素において、Y,Y,Y及びYは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。
、Xは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。
、Zはピラン、ベンゾピラン、ナフトピラン、チオピラン、ベンゾチオピラン、ナフトチオピラン、セレナピラン、ベンゾセレナピラン、ナフトセレナピラン、テルナピラン、ベンゾテルナピラン、又はナフトテルナピランを形成するに必要な原子群を表す。
Lは、各々独立に、メチン基を表す。
p、qは、各々独立に0、1、2、又は3を表す。rは、5又は7を表す。
は、電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。但し、mは0又は1を表す。
【0015】
上記Y,Y,Y及びYが脂肪族基を表わす場合の脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキサン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素)が挙げられる。
これらの中で、炭素原子数1〜12の直鎖状、炭素原子数3〜12の分岐状、並びに炭素原子数5〜10の環状の脂肪族基がより好ましい。
【0016】
かかる脂肪族基は置換基を有してもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。
非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホノオキシ基(−OPO基)、−ORb1、−SRb1、−CORb1、−COORb1、−OCORb1、−SOb1、−NHCONHRb2、−N(Rb2)CORb1、−N(Rb2)SOb1、−N(Rb3)(Rb4)、−CON(Rb3)(Rb4)、−SON(Rb3)(Rb4)、−P(=O)(Rb5)(Rb6)、−OP(=O)(Rb5)(Rb6)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、インダン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン、ナフタセン、ベンゾアントラセン、ピレン、トリフェニレン、アセアントレン等)、酸素原子、イオウ原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、イミダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
前記のアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有してもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
また、前記のカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホノオキシ基は、それぞれが、その共役塩基基(カルボキシラート基、スルホナート基、ホスホナート基、ホスホナートオキシ基)であってもよい。
【0017】
前記Rb1は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基、又は複素環基を表す。Rb1における脂肪族基は前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基と同義である。Rb1におけるアリール基としては、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記Rb2は、水素原子又はRb1と同様のものを表す。
前記Rb3及びRb4は、各々独立に、水素原子、又はRb1と同様のものを表し、Rb3とRb4とは互いに結合して、N原子を含有する5員若しくは6員の環を形成してもよい。
前記Rb5及びRb6は、各々独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−ORb1基を表す。Rb5及びRb6における脂肪族基は前記R及びRで表される脂肪族基と同義である。Rb5及びRb6におけるアリール基としては、前記R及びRで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、前記R及びRで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0018】
上記一般式(I)のY,Y,Y及びYで表されるアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体的には、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は、更に置換基を有してもよく、その置換基としては、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)のY,Y,Y及びYで表される複素環基としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含有する単環式若しくは多環式の複素環基を表す。具体的には、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は、更に置換基を有してもよく、その置換基としては、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0020】
一般式中、
、Xは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。pは0、1、2又は3を表わす。
、Zはピラン、ベンゾピラン、ナフトピラン、チオピラン、ベンゾチオピラン、ナフトチオピラン、セレナピラン、ベンゾセレナピラン、ナフトセレナピラン、テルナピラン、ベンゾテルナピラン、又はナフトテルナピランを形成するに必要な原子群を表す。
上記酸素原子、イオウ原子、セレン原子又はテルル原子を含有する複素環は置換基を有してもよい。
置換基としては、前記式(I)のY,Y,Y及びYでの置換基と同一の内容のものが挙げられる。
上記一般式(I)において、Lはメチン鎖を表わし、rは5又は7の整数を表わす。即ち、=(L)−から成るポリメチン鎖はペンタメチン基又はヘプタメチン基を表わす。
【0021】
Lで表されるメチン基は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のアミノ基、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のイミニウムイオン基、下記式(1)で表される置換基より選択される基で置換されていてもよく、これら置換基上の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシスルホニル基、カルボン酸基、スルホン酸基等が好ましい置換基として挙げられる。これらの中でも、L上の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、塩素原子等のハロゲン原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられ、ハロゲン原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、及びフェニルチオ基等のアリールチオ基が特に好ましい。
【0022】
【化3】
Figure 2004117848
【0023】
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の置換されてもよいアルキル基、又は炭素数6〜10の置換されてもよいアリール基を表す。R及びRが置換気基を有する場合、その置換基としては、前記Y,Y,Y及びYで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0024】
又、Lが構成するポリメチン鎖は、連続した3つのメチン鎖を含むシクロアルケン環を形成してもよく、シクロヘキセン環、シクロペンテン環又はシクロブテン環を有することが安定性の点で好ましく、シクロペンテン環又はシクロヘキセン環が特に好ましい。シクロヘキセン環、シクロペンテン環又はシクロブテン環を有する場合は、環を形成するのに必要なプロピレン基、エチレン基又はメチレン基上に置換基を有してもよく、好ましい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシスルホニル基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられ、これら複数の置換基が互いに結合してビシクロ環、トリシクロ環を形成してもよい。また、これらの環形成に必要なアルキレン基(例えば、メチレン基など)は、−O−、−S−、−Se−、−NR21−、−CO−、−COO−、−SO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−OCONH−、−NHCONH−、−NHCSNH−より選択される2価の原子又は原子団により置換されてもよい。ここで、R21は、炭素数1〜22の置換されてもよい炭化水素基を表す。具体的には、前記Rに導入し得る置換基として例示した各炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0025】
更に、ポリメチン鎖の中の1組又は2組以上の連続した2つのメチン鎖(−CH=CH−又は=CH−CH=)は下記式(2)又は(3)で示される構造により置換されてもよい。
【0026】
【化4】
Figure 2004117848
【0027】
式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアミノ基、又はハロゲン原子を表し、RとRは互いに結合し、縮合6員環を形成していてもよい。Yは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0028】
【化5】
Figure 2004117848
【0029】
式(3)中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアミノ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−モノ置換若しくはジ置換のカルバモイル基(N置換基としては、アルキル基又はアリール基)、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルボキシ基、スルホ基、又はホスホノ基を表し、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも一つで、縮合6員環を形成していてもよい。Yは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0030】
前記式(2)及び(3)で示される構造の好ましい例としては、下記に示す(2−1)〜(2−3)及び(3−1)〜(3−4)等が挙げられる。
【0031】
【化6】
Figure 2004117848
【0032】
上記一般式(I)において、Aは、電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。また、mは1又は2を表す。
かかる対アニオンとしては、無機或いは有機のアニオンが挙げられる。
対アニオンとして、具体的には以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、Cl−、F、Br、I、ClO 、BrO 、SbF 、PF 、ボレートアニオン(例えば、BF 、テトラフェニルボレートアニオン、ブチル−トリフェニルボレートアニオン、ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ボレートアニオン、ブチル−メチル−ジフェニルボレートアニオン、ブチル−トリス(フルオロフェニル)ボレートアニオン、ブチル−トリス(メトキシフェニル)ボレートアニオン、テトラ(クロロフェニル)ボレートアニオン等)スルホン酸アニオン(例えば、アルカンスルホン酸アニオン(アルカンスルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、アリルスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、ヒドロキシプロパン酸、2−クロロエタンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸等)芳香族スルホン酸アニオン(芳香族スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、アセチルベンゼンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、o−スルホベンゼンカルボン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフトールスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、キノリンスルホン酸等)、ホスホン酸アニオン(具体的には、上記スルホン酸アニオンで例示した脂肪族化合物、芳香族化合物にスルホン酸基の代わりにホスホン酸が各々少なくとも1種置換された化合物が例示される)等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(I)で表される化合物において、Aによる電荷の中和が必要でない場合には、Aを除く部分の分子内に存在するアニオンとカチオンとで分子内塩が形成されている構造を有する。
なお、Aを除く部分の分子内に存在するアニオンとしては、SOH、COOH、PO、P(=O)(OR)OH、SOHから選ばれる少なくとも一種の酸性基が解離することで発生するアニオンであることが好ましい。前記酸性基の中でも、−SOH、−COOH、−PO、−OPOのいずれか1種を有することがより好ましい。
一方、前記一般式(I)で表される化合物において、Aによる電荷の中和が必要である場合には、上記Aで表される対アニオンと、Aを除く部分の分子内に存在するカチオンと、で分子内塩が形成されている構造を有する。
【0034】
本発明に用いられる前記一般式(I)で表される特定色素の例示化合物を以下の表1〜表16に示すが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【表1】
Figure 2004117848
【0036】
【表2】
Figure 2004117848
【0037】
【表3】
Figure 2004117848
【0038】
【表4】
Figure 2004117848
【0039】
【表5】
Figure 2004117848
【0040】
本発明に用いられる上記特定色素は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明に用いられる上記特定色素は、米国特許第4,577,024号、又はワッドワース、デー他、テトラヘドロンレターズ、37号、3569頁(1981)(Wadsworth,D.,et al,Tet.Letters,37,3569(1981)に記載されている合成方法により容易に合成することができる。
【0041】
次に、本発明の光学フィルターの近赤外線吸収性のフィルター層の製造方法について説明する。
該近赤外線吸収フイルター層の製造方法としては、特定色素を配合したフィルムを透明支持体上に貼り付ける方法、透明基板に特定色素を含む塗工液をコーティングする方法、などが挙られる。
【0042】
本発明に係る赤外線吸収フィルター層を構成するフィルムとしては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂であればよく、特に制限はない。その具体的な例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロアルカン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン樹脂、SBR、ポリアルカン酸ビニル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、フェノール系、燐系などの酸化防止剤、ハロゲン系、燐酸系等の難燃剤、耐熱老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を配合してもよい。これらの樹脂組成物を射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などの成形方法により、フィルム状に成形して用いる。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積層されていてもよい。
フィルムの厚みは、目的に応じて通常10μm未満の範囲から選択される。
【0043】
大きな面積の透明支持体上に薄膜を均一に設ける方法としては、特定色素含有組成物を塗布、乾燥して設ける方法が有利である。
特定色素を含む塗工液は、特定色素をバインダー樹脂とともに溶剤中に溶解させることにより、調製することができる。このとき溶剤に溶解される特定色素およびバインダー樹脂などの全固形分の濃度は、通常5〜50質量%である。また、全固形分は対する特定色素の濃度は、通常1〜80質量%、好ましくは2〜70質量%である。
【0044】
また、特定色素を必要に応じて分散剤を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、バインダー樹脂とともに、溶剤に分散させて調製することもできる。このとき溶剤に分散される特定色素、分散剤、バインダー樹脂等の固形分の濃度は、5〜50質量%であることが好ましい。また、全固形分に対する特定色素の濃度は、通常1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%である。用いられる分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。その使用量は、特定色素に対して、通常0〜100質量%、好ましくは0〜50質量%である。
【0045】
バインダー樹脂としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂であれば良く、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。例えば、上記の特定色素配合フィルムの方法で用いられる樹脂として例示したもの等が挙げられる。その使用量は、特定色素に対して、10〜200質量%、好ましくは30〜100質量%である。
【0046】
また、本発明に係るフィルター層には、更に、他の近赤外線吸収剤を添加してもよい。他の近赤外線吸収剤としては、有機物質であるニトロソ化合物及びその金属錯塩、ポリメチン系色素(シアニン系、オキソノール系、クロコニウム系、スクワリリウム系、ピリリウム系、アズレヌウム系、)、ジチオール錯塩系化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、トリアリルメタン系色素、インモニウム系色素、ジインモニウム系色素、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、または、無機物であるカーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期律表4A、5Aまたは6A族に属する金属の酸化物、もしくは炭化物、またはホウ化物などが挙げられる。
【0047】
本発明の光学フィルターを構成する上記フィルター層においては、本発明に係る上記の特定色素の他、必要であればさらに他の近赤外線吸収剤を併用しながら、波長領域750〜1200nmの近赤外線透過率が25%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下となるように赤外線吸収フィルターを調製するのが好ましい。特に透明性と、赤外線吸収性能の面から、本発明に係る特定色素とポリメチン系色素、ジインモニウム系色素、フタロシアニン化合物及びナフタロシアニン化合物から選ばれる近赤外色素と組み合わせることが好ましい。これらの色素の例としては、例えば特開2001−228324号明細書中の段落番号〔0047〕〜〔0066〕に記載のシアニン色素、入江正浩監修「機能性色素の最新応用技術」pp.46((株)シーエムシー、1996年刊行)、編集池森忠三郎、住谷光圀「特殊機能色素−技術と市場−」pp.77((株)シーエムシー、1986年刊行)等に記載の色素が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の特定色素は、これらの他の色素を併用した場合に、他の色素の安定性が向上される。
【0048】
更に、本発明に係るフィルター層には、他の添加剤を併用してもよい。
例えば、褪色防止剤を添加してもよい。染料の安定化剤として機能する褪色防止剤の例には、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016号、同3982944号の各明細書記載)、ハイドロキノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細書および特開昭55−21004号公報記載)、フェノール誘導体(特開昭54−145530号公報記載)、スピロインダンまたはメチレンジオキシベンゼンの誘導体(英国特許公開2077455号、同2062888号の各明細書および特開昭61−90155号公報記載)、クロマン、スピロクロマンまたはクマランの誘導体(米国特許3432300号、同3573050号、同3574627号、同3764337号の各明細書および特開昭52−152225号、同53−20327号、同53−17729号、同61−90156号の各公報記載)、ハイドロキノンモノエーテルまたはパラアミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号、同2066975号の各明細書および特公昭54−12337号、特開昭55−6321号の各公報記載)およびビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明細書および特公昭48−31625号公報記載)が挙げられる。
【0049】
光又は熱に対する色素の安定性を向上させるため、金属錯体(米国特許4245018号明細書および特開昭60−97353号公報記載)を褪色防止剤として用いてもよい。
さらに色素の耐光性を改良するために、一重項酸素クエンチャーを褪色防止剤として用いてもよい。一重項酸素クエンチャーの例には、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報記載)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書記載)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記載)および酸化防止剤(欧州特許公開820057A1号明細書記載)が挙げられる。
【0050】
以上のような特定色素を含む塗布組成物に用いる溶媒としては、具体的には、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等)、炭化水素類(トルエン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(エチレンジクロライド等)、ケトン類(アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等)、アミド類(ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、水及びこれらの溶媒の混合物から適切に選択して使用することができる。
【0051】
特定色素を含む塗工液の透明支持体へのコーティングは、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の公知の塗工方法で行われる。特定色素を含む層は、乾燥後の膜厚が、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布される。
【0052】
また、本発明の光学フィルターは、可視光の560〜620nmの波長領域にも吸収極大(透過率の極小)を有することが好ましい。すなわち、560nm〜620nmに吸収極大を有する可視光色素を含むことが好ましい。
この可視光吸収色素を含む層は、その吸収極大が、570〜600nmの波長領域にあることがさらに好ましく、580〜600nmの波長領域にあることが最も好ましい。吸収極大における透過率は、0.01〜90%であることが好ましく、0.1〜70%であることがさらに好ましい。吸収極大の波長は、光を照射することにより移動させることもできる。
【0053】
本発明の光学フィルターは、560〜620nmの波長領域における吸収極大に加えて、500〜550nmの波長領域にも吸収極大を有していても良い。500〜550nmの波長領域の吸収極大における透過率は、20〜85%であることが好ましい。
500〜550nmの波長領域の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光体の発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発光域は、なだらかにカットすることが好ましい。500〜550nmの波長領域の吸収極大での半値幅(吸収極大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)は、30〜300nmであることが好ましく、40〜300nmであることがより好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜150nmであることが最も好ましい。
【0054】
本発明の光学フィルターとして、上記の特性を有するものであればいずれでもよく、前記の特定色素を含有するフィルター層中に、後述する各可視光吸収色素を含有させてもよいし、可視光吸収層を別に設けてもよい。
【0055】
<可視光吸収層>
本発明の光学フィルターに用いることができる、特定の波長の光を選択的に吸収する可視光吸収層について説明する。
560〜620nmの波長領域における吸収極大は、なるべく緑の蛍光体の発光に影響を与えないよう選択的に光をカットするため吸収スペクトルのピークをシャープにすることが好ましい。560〜620nmの波長領域における吸収極大での半値幅は、5〜70nmであることが好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましく、10〜30nmであることが最も好ましい。
【0056】
光吸収層に上記の吸収スペクトルを付与するためには、色素(染料または顔料)を用いることが好ましい。
500〜550nmの波長領域に吸収極大を持つ色素としては、スクアリリウム染料、アゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、ベンジリデン染料あるいはそれらをレーキ化した顔料が好ましく用いられる。500〜550nmの波長領域に吸収極大を持つ染料の例として、例えば、特開2000−25042号明細書の段落番号〔0018〕〜〔0025〕記載の化合物、特開2001−343520号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0013〕に記載の色素(a1)〜(a11)等が挙げられる。
【0057】
560〜620nmの波長領域に吸収極大を持つ色素としては、シアニン染料、スクアリリウム染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、オキソノール染料、アゾ染料あるいはそれらをレーキ化した顔料が好ましく用いられる。560〜620nmの波長領域に吸収極大を持つ染料の例として、例えば特開2000−250420号明細書の段落番号〔0025〕〜〔0034〕に記載のシアニン化合物、特開2001−343520号明細書の段落番号〔0014〕〜〔0018〕に記載の色素(b1)〜(b16)、特開2001−131435号明細書記載のシアニン化合物(例えば同明細書記載の化合物No.(I−1)〜(I−27)等)等が挙げられる。
【0058】
また、本発明の光学フィルターは380〜440nmの波長領域に吸収極大(透過率の極小)を有していることが好ましい。380〜440nmの波長範囲に吸収を持つ染料としてはメチン系、アントラキノン系、キノン系、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アゾ系、アゾメチン系の化合物が好ましい。メチン系としてはシアニン系、メロシアニン系、オキソノール系、アリーリデン系、スチリル系などである。
具体的には、例えば特開2002−122730号公報の段落番号〔0054〕〜〔0060〕記載の化合物等が挙げられる。
【0059】
可視光吸収層には、2種類以上の色素を組み合わせて用いることができる。
可視光吸収層の厚さは、0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜100μmであることがさらに好ましく、1〜15μmであることが最も好ましい。
【0060】
可視光吸収層は、色素単独でも形成可能だが、色素の安定性および反射率特性の制御のためポリマーバインダーを含むことができる。
【0061】
可視光吸収層のポリマーバインダーとしては、ゼラチンが好ましいが、そのほかにアクリル系、ウレタン系、SBR系、オレフィン系、塩化ビニリデン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、またはこれらの共重合体が好ましく用いられる。
【0062】
可視光吸収層に、他の添加剤を添加してもよい。例えば、染料の安定化剤として機能する褪色防止剤の例としては、前記の近赤外線吸収フィルター層で例示したと同様のものが挙げられる。可視光吸収層は、前記近赤外線フィルター層と同様の方法で設けられ、塗布用溶媒及び塗布方法は、先に例示したと同様のものが挙げられる。
【0063】
<透明支持体>
本発明で用いる透明支持体の好ましい例としては、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースニトレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリ(メタ)アクリレート(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチレン等が含まれる。好ましくはセルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートである。
透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0064】
透明支持体に、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。さらに滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO 、CaCO、タルクおよびカオリンが含まれる。
【0065】
透明支持体には、その上に設ける層(例、下塗り層)との接着性をより強固にするために表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好ましい。
【0066】
<反射防止層>
本発明の光学フィルターには、反射防止層を設けることが好ましい。
反射防止層の反射防止機能としては、正反射率が3.0%以下であることが好ましく、1.8%以下であることがさらに好ましい。反射防止層を設ける場合は、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20乃至1.55であることが好ましく、1.30乃至1.55であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50乃至400nmであることが好ましく、50乃至200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、同6−115023号、同8−313702号、同7−168004号、同11−52103号、特開2000−275405号等の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、同6−299091号、同7−168003号、同11−106704号等の各公報記載)、又は微粒子含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、同6−56478号、同7−92306号、同9−288201号、同11−52103号等の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる(特開平9−222502号、同9−227713号、同11−64601号等の各公報記載)。微粒子を含む層は、3乃至50体積%の空隙率を有することが好ましく、5乃至35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
【0067】
広い波長領域の反射を防止するためには、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50乃至1.9 0であることが好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm乃至100μmであることが好ましく、10nm乃至10μmであることがさらに好ましく、30nm乃至1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
【0068】
さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80乃至2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例には、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが含まれる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
【0069】
反射防止層は、表面をアンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3乃至30%のヘイズを有する。
【0070】
<下塗り層>
透明支持体と隣接する層との間に、下塗り層を設けることが好ましい。
下塗り層は、ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを含む層、隣接する層側の表面が粗面である層または隣接する層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。なお、隣接する層が設けられていない透明支持体の面に下塗り層を設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、低屈折率層、高・中屈折率層等)との接着力を改善してもよい。また、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。
下塗り層の厚みは、20〜1000nmが好ましく、80〜300nmがより好ましい。
【0071】
ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で透明支持体と隣接する層とを接着し、好ましく用いることができる。
ガラス転移温度が25℃以下のポリマーは、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニルエーテルの重合または共重合により得ることができる。
二層以上の下塗り層を設けてもよい。
【0072】
下塗り層には、帯電防止剤を添加してもよい。この場合、下塗り層は帯電防止層を兼ねることになる。
帯電防止剤は、上記の下塗り層に付与してもよいし、第2の下塗り層に付与してもよい。また、支持体の反射防止膜側の下塗り層に付与しても、反対側の下塗り層に付与してもよい。両方の側に付与することがより好ましい。
帯電防止性を付与するためには、以下の説明する導電性材料をバインダーとともに分散し塗布することにより付与することができる。
【0073】
好ましく使用される帯電防止用導電性材料は結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び、用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は一般的にいって導電性が高いので特に好ましい。
金属酸化物の例としては、特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号、特開平4−79104号などの各公報に記載されている化合物が挙げられる。
上記金属酸化物微粒子は、導電性を有しており、その体積抵抗率は10Ω−cm以下、特に10Ω−cm以下である。
【0074】
さらに、特公昭59−6235号公報に記載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。利用できる一次粒子サイズは0.0001〜1μmが好ましい。
また、導電性材料が針状あるいは繊維状の場合はその長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり長さ/直径比が3以上である。
【0075】
帯電防止用金属酸化物は、バインダーと共に塗布されることが好ましい。バインダーとしては、特に限定されないが、例えばゼラチンやデキストラン、ポリアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコールのような水溶性バインダーでもよいし、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの合成重合体バインダーを有機溶媒で使ってもよいし、更にこれらの重合体バインダーを水分散体の形体で用いてもよい。
また、これらの金属酸化物は球形状のものと繊維状のものを混合して使用しても良い。
帯電防止用金属酸化物の含有量は、0.0005g/m以上であり、より好ましくは0.0009〜0.5g/mである。
【0076】
最終形態としての反射防止膜の表面抵抗率は、10〜1012Ωの範囲が一般的であり、10〜1012Ωの範囲が好ましい。表面抵抗率が1012Ωをこえると、帯電防止機能が十分でなく、ほこり等の付着を防ぐことができない。また、表面抵抗率が10Ωを下回るには、多量の導電性金属酸化物を添加しなければならず、そのため下塗り層の膜質が弱くなり低屈折率層の接着強度が低下したり、反射防止膜のヘイズが大きくなり過ぎ実用的でない。
また、下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤や硬膜剤を添加してもよい。
【0077】
<アンチグレア層>
本発明の光学フィルターは、その表面にアンチグレア層を設け、凹凸を形成することも好ましい。凸部の断面形状は、丸みを帯びた頂点からなだらかな傾斜が周囲に延びていることが好ましい。傾斜部は頂点に近い部分では上に凸、それ以外の部分では下に凸の形態であることが好ましい。頂点は鋭角的であっても、平坦であってもよい。
上方から観察した凸部の形態は、円形または楕円形であることが好ましい。ただし、三角形、四角形、六角形あるいは複雑な形であってもよい。凸部の形状は、凸部の周囲を囲む谷の部分の輪郭で示される。輪郭で示される凸部の大きさは、円相当径で、0.5〜300μmであることが好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましく、3〜20μmであることが最も好ましい。
表面の凹凸は、凹凸を有するカレンダーロールにてカレンダープレスを行う方法、マトリクスと粒子とを含む液を支持体上に塗布、乾燥(必要により、硬化)させて層を形成する方法、印刷による方法、リソグラフィーあるいはエッチングにより形成できる。マトリックスと粒子とを含む液を支持体上に塗布する方法が好ましい。
上記マトリックス及び粒子として用いる化合物としては、例えば特開2000−9908号公報、特開2000−846617号公報、特開2001−272502号公報、特開2001−91707号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0078】
本発明の光学フィルターには、ハードコート層、潤滑層、防汚層、帯電防止層、紫外線吸収層、中間層等を設けることもできる。
【0079】
<ハードコート層>
ハードコート層は、所望により光学フィルターに強度を付与するために設けられる。ハードコート層は架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。無機微粒子のフィラー(例えば、Al、Si、Zr、Ti等の酸化物)をハードコート層に添加することもできる。
【0080】
<潤滑層>
最表面の反射防止層(通常は低屈折率層)の上に、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反射防止層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
【0081】
<防汚層>
最表面の反射防止層の上に防汚層を設けることもできる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。防汚層は含フッ素ポリマーを用いて形成することができる。防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
【0082】
最表面の反射防止層上に防汚層を設けたり、または反射防止層中に防汚効果を有する化合物(防汚剤)を添加することで反射防止層に防汚性を持たせることもできる。防汚層は、反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。防汚層は、含フッ素化合物及び含ケイ素化合物から選ばれる化合物を用いて形成することができる。防汚層の厚さは2乃至100nmであることが好ましく、5乃至30nmであることがさらに好ましい。防汚層や防汚剤としては、含フッ素化合物を用いるのが好ましい。
【0083】
防汚剤の具体的な化合物としては、例えば、特開2001−10003号公報に記載のようなフッ素を含有するモノマー、フッ素を含有するモノマーと他の親水性もしくは親油性のモノマーとのブロック共重合体、又はグラフト共重合体が挙げられる。
【0084】
<帯電防止層>
光学フィルターに帯電性を付与する目的で、帯電防止層を形成することができる。帯電防止層は、通常透明支持体の反射防止膜層側に形成される。
帯電防止層は、以下に説明する導電性材料をバインダーとともに分散し塗布することにより形成することができる。
好ましく使用される帯電防止用導電性材料およびバインダーとしては、前記下塗り層に帯電防止性能を付与し、帯電防止層を兼ねる際に用いる帯電防止用導電性材料およびバインダーを用いることができる。
【0085】
[各層の形成と光学フィルターの使用等]
以上述べた光学フィルターの種々の層は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法の例には、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法およびホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)が含まれる。ワイヤーバーコート法、グラビアコート法およびエクストルージョンコート法が好ましい。
二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
各層の塗布液には、ポリマーバインダー、硬化剤、界面活性剤、pH調整剤のような添加剤を加えることができる。
塗布法以外にも、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あるいはPVD法により層を形成することもできる。
【0086】
<電磁波遮蔽層>
なお、画像表示装置のディスプレイから発生される電磁波を遮蔽する必要がある場合には、ディスプレイの前面に導電性の高い膜が必要であり、本発明の光学フィルターに導電層が設けられる。
導電層の種類としては、銀などの金属層と金属酸化物の積層系を用いる方法、格子状等にエッチングした金属薄膜、導電性メッシュを用いる方法などがあるが、モアレを起こさないという点で銀などの金属層と金属酸化物の積層系を用いる方法が好ましい。
導電層の抵抗は、500Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは50Ω/□以下であることが好ましく、特に好ましくは3Ω/□以下である。また、実質的な下限としては、スパッタ膜で1Ω/□、金属メッシュでは0.5Ω/□程度である。
透明導電層を設置する層としては、可視光吸収層と同一の支持体上でもよいし、他の支持体でもよい。
【0087】
上記銀などの金属層と金属酸化物の積層系は、透明であることが好ましい。金属薄膜の金属としては、金、銀、銅、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、から選ばれる1種もしくは2種以上の合金が好ましく、パラジウムと銀との合金が特に好ましい。この合金中の銀の含有率は、80質量%以上であることが好ましい。金属酸化物薄膜の金属酸化物としては、TiO、SnO、ZnO、ITOおよびInを主成分とするものであることが好ましく、Gaなどを添加しても良い。
金属層と金属酸化物層とを積層すると、金属酸化物層により金属層を保護(酸化防止)し、可視光の透過率を高くすることができる。積層する構成としては、支持体/(金属酸化物層/金属層)n/金属酸化物層であることが好ましい。ここでnは1以上の整数であり、1〜10の整数が好ましく、更に好ましくは1〜7の整数であり、特に好ましくは1〜5の整数である。金属層、金属酸化物層はそれぞれ、二種以上の積層であっても良い。また金属層上に金属層を保護するための層を設けても良い。
【0088】
また、上記層構成において、金属アルコキサイド化合物の薄膜も、金属層と積層することができる。金属酸化物または金属アルコキサイド化合物の層は、金属層の両側に積層することができる。金属層の両側に積層する場合、異なる種類の層を用いてもよい。
金属層の厚さは、合計5〜60nmであることが好ましく、10〜55nmであることがさらに好ましく、15〜50nmであることが最も好ましい。
金属酸化物または金属アルコキサイド化合物層の厚さは、20〜300nmであることが好ましく、40〜150nmであることがさらに好ましい。
金属層は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマPVD法あるいは金属または金属酸化物の超微粒子塗布により形成することができる。中でもスパッタリング法が好ましい。
また、スパッタリングする透明支持体上には支持体からの可塑剤の揮散を防ぐためにアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いてオーバーコート層を10μm以下の厚みで有することが好ましい。また、特開2001−343520号に記載のメッシュ状の金属薄膜とする方法も好ましい。
【0089】
光学フィルターは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いると、顕著な効果が得られる。
【0090】
本発明の光学フィルターは、透明支持体を前面ガラス板を撤去された画像表示装置のパネル、例えばプラズマディスプレイパネルに直接貼り合わせることができる。その際ガラス破損防止、破損時のガラスによる怪我を防ぐため、本発明の光学フィルターを構成する透明支持体に1〜5枚、好ましくは1枚または2枚のの透明支持体を積層することが望ましい。
この場合、透明支持体の膜厚の合計が250μm以上であることが好ましく、より好ましくは350μm以上であり、特に好ましくは400μm以上である。また、実質的な上限としては5mmで、好ましくは4mmで、さらに好ましくは2mmである。厚いほど強度は増すが張り合わせの手間、視認性の劣化が起こるので、透明支持体の材質や他の層の構成を勘案して適宜選ぶことができる。
また、用いる透明支持体の内、一枚が160μm以上であることが好ましい。また、可視光吸収層は低反射層と同一の支持体の低反射層の反対面側に設置されてもよいし、別の支持体に設置されても良い。近赤外線遮蔽フィルター層、透明導電層も同様である。
【0091】
支持体同士を貼りつける際には、粘着剤を用いることが好ましい。粘着剤は、粘着性を有し、ゴム状の粘りを有する材料である。粘着剤として、好ましくは天然ゴム系、SBR系、ブチルゴム系、再生ゴム系、アクリル系、ポリイソブチレン系、シリコーンゴム系、ポリビニルブチルエーテルなどを挙げることができ、なかでもアクリル系が好ましい。
粘着剤に関しては、高分子学会編「高機能接着剤・粘着剤」などに記載されているものを用いることができる。
粘着剤層は、これらの粘着剤を水または溶剤に、溶解あるいは分散した塗布液を直接塗布、乾燥して得られるが、あらかじめ剥離性の良好なPETなどの支持体上に粘着剤層を設けたものをラミネートして粘着剤層を設けることもできる。
【0092】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されることはない。
【0093】
実施例1及び比較例1
(実施例1)
前記の例示化合物(No 1)0.7g及び(No 13)0.8gおよびポリシクロヘキシルメタクリレート(重量平均分子量10万)10kgを280℃で溶融混練して、押し出し成型機を用いて、厚み2mmのフィルターを作製した。該フィルターについて、(株)島津製作所製分光光度計UV−3100にて透過率を測定した。可視光線透過率は88%(JIS−R−3106に従って計算した)、800〜1000nmの平均光線透過率は15%であった。
このフィルムに、UVカットフィルターSC−39(富士写真フィルム(株)製)を装着し、キセノンロングライフフェードメーター(FAL−25AX−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、300時間照射し、照射前後の吸収極大波長における吸収強度を測定したところ、色素残存率(照射前の強度÷照射後の強度×100)は、85%であり、耐光性が高いことを確認した。
【0094】
(比較例1)
実施例1において、特定色素(例示化合物(No 1)0.7g及び(No 13)0.8g))1.5gの代わりに、下記色素(R−1)1.5gを用いた他は実施例1と同様にしてフィルターを作製した。可視光線透過率は83%、800〜1000nmの平均光線透過率は26%であった。
このフィルムに、実施例1と同様にUVカットフィルターSC−39を装着した耐久テストの結果は75%であり、耐光性が低かった。
【0095】
【化7】
Figure 2004117848
【0096】
以上の結果より、本発明のフィルターは、可視光透過性に優れ且つ近赤外の長波側領域(800〜1000nmの領域)で近赤外線遮蔽効果が良好であり、耐久性も良好であった。一方、比較例1は、特に耐光性での近赤外線遮蔽効果が十分でなかった。
【0097】
実施例2〜7
実施例1において、特定色素(No 1)0.7g及び(No 13)0.8gの代わりに、下記表−Aの各特定色素(合計量1.5g)を用いた他は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。
実施例1と同様にして各フィルターの性能を調べた所、いずれも実施例1と同等以上の良好な性能を示した。
【0098】
【表6】
Figure 2004117848
【0099】
実施例8
(下塗り層の形成)
厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルムの両面をコロナ処理した後、片面にスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックスを厚さ130nmとなるよう塗布し、下塗り層を形成した。
【0100】
(フィルター層の形成)
本発明の色素(No(4)及びNo(15)(40/60)質量比)の5質量%THF溶液0.06gに、バイロン300東洋紡(株)製)のクロロホルム溶液(樹脂濃度20質量%)を1.5g添加し、超音液洗浄機にて攪拌して、完全に溶解させた後、この塗工液を、バーコータ#24で上記の下塗り処理したPETフィルムに塗工したのち乾燥して近赤外吸収フィルムを得た。塗布膜厚は、約10μmであった。
このフィルムについて、実施例1と同様にして透過率、耐久性を測定した。可視光線透過率は88%、800〜1000nmの平均光線透過率は13%、色素残存率は91%であり、良好な性能を示した。
得られたフィルムを、プラズマディスプレーの前面に配置したところ、色目の変化はなく、コントラストが向上しかつ、近赤外練の放射も低減された。
【0101】
実施例9〜13
(支持体上への下塗り層および帯電防止層の形成)
厚さ175μmの透明支持体(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の両面をコロナ処理した後、可視光吸収層、赤外線遮蔽フィルター層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)を膜厚が300nmとなるよう塗布し、下塗り層を形成した。反対面にも屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(石原産業(株)FS−10D)を質量で5:5の割合で混合し乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層を兼ねる下塗り層を形成した。
【0102】
(ハードコート層の形成)
酸化ジルコニウムの48質量%分散液(溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン、質量比1/1)37.2g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)4.46g、光重合開始剤1.17g(イルガキュア907、チバガイギー社製)を混合溶解した。
上記下塗り層および帯電防止層上に上記溶液を乾燥膜厚が6μmとなるようにワイヤーバーにて塗布、乾燥し、紫外線を照射し硬化させた。
【0103】
(反射防止層の形成)
(1)高屈折率層Hn−1などの形成
二酸化チタン微粒子(TTO−55N、シェル材料;なし、石原産業(株)製)30.0質量部、市販のアニオン性モノマー(PM−21、日本化薬(株)製)4.5質量部、市販のカチオン性モノマー(DMAEA、(株〉興人)0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。特開平11−153703号公報、実施例1に記載の方法と同様に前記二酸化チタン分散物とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)およびメチルエチルケトンを添加し、高屈折率層用塗布液を調製した。添加量は、高屈折率層の屈折率が1.75となるように調節した。
【0104】
具体的には、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマー(1)およびアニオン性モノマー(2)の合計量)と二酸化チタンとの体積比が79.0/21.0、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、そして、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100になるように調節した。
前記ハードコート層の上に、本高屈折率層用塗布液をバーコーターで塗布し、紫外線を照射して層を硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が50nmの高屈折率層を形成した。
同様にしてHn−2として屈折率が1.94、Hn−3として屈折率が1.73、Hn−4として屈折率が1.62となるように酸化チタンとモノマーの比を調整し高屈折率層を形成した。
【0105】
(2)低屈折率層Ln−1などの形成
ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)6g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.5g、光増感剤(カヤキュアーDETX,日木化薬(株)製)0.2gおよびメチルエチルケトン200gを混合、攪拌して、低屈折率層の塗布液を調製した。塗布液を高屈折率層の上にワイヤーバーを用いて厚さ100nmに塗布し、これを乾燥後、100℃に加熱して12W/cmの高圧水銀灯を用いて1分間紫外線照射し架橋させた。その後室温まで放冷して低屈折率層(屈折率:1.53)を形成した。このようにして、反射防止膜を作成した。反射防止膜の反射率の最低値を、反射率計(V−550、ARV−474(日本分光(株)製)で測定した。
【0106】
同様にしてDPHAの替わりにトリエチレングリコールジアクリレートを使用した以外はLn−1と同様にして低屈折率層Ln−2、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを形成した以外はLn−1と同様にして低屈折率層Ln−3を形成した。
また、DPHAに粒径が10〜20nmのSiOを質量比でDPHA/SiOが60/40となるようメチルエチルケトンと共に混合、塗布しLn−4を形成した。
Ln−5としては、Hn−4のDPHAの替わりにトリエチレングリコールジアクリレートを使用した以外はHn−4と同様にして得た。
【0107】
(3)中屈折率層Mn−1の形成
中屈折率層としてHn−1と同じ塗布液を用いMn−1を形成した。
【0108】
(4)反射防止膜AR−1〜AR−5の形成
下記表−Bに示される反射防止膜を形成した。
【0109】
【表7】
Figure 2004117848
【0110】
(可視光吸収層の形成)
ゼラチンの10質量%水溶液180gにpHが7になるように1規定の水酸化ナトリウム溶液を添加し、下記(色素(v−1))0.05gおよび下記(色素(v−2))0.05gを添加し、30℃で24時聞攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターで濾過した。得られたフィルター層用塗布液を反射防止膜AR−1〜AR−5に、低屈折率層が形成されている裏面の300nmの下塗り層側に、乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。
【0111】
【化8】
Figure 2004117848
【0112】
(赤外線遮蔽フィルター層の形成)
本発明の色素No(1)3.5質量%及び色素No(7)3.5質量%のTHF溶液0.06gに、メチルメタクリレート/アクリル酸(99/1質量比)共重合体(重量平均分子量10万)のTHF/トルエン(1/1)体積比の溶液(樹脂濃度20質量%)を1.5g添加し、超音波洗浄機にて攪拌して完全に溶解させた塗工液を、バーコータ#24で上記の可視光吸収層上に塗工し、乾燥することにより、光学フィルターを作成した。塗布膜厚は、5μmであった。
【0113】
作成した光学フィルターについて、分光透過率を調べた。可視光領域の400nmの吸収極大での透過率は35%、595nmの吸収極大での透過率は30%で、800〜1000nmの近赤外線領域の透過率は13%であった。また、595nmの半値幅は30nmであった。
これら光学フィルターをプラズマディスプレイに直接貼り合わせ、色味、800〜900nmの領域での近赤外線カット性、消しゴム擦り耐性を比較した。
【0114】
【表8】
Figure 2004117848
【0115】
{赤外線カット性の評価}
800から820nm、890から910nm、970から990nmの透過率において、
○・・・いずれも20%以下である
△・・・一部20%以下である
×・・・いずれも20%以上である。
【0116】
{消しゴム擦り評価}
ライオン(株)製消しゴムNo.50を用いて1kgの荷重をかけ表面を50往復し、表面の損傷を目視で評価した。
○・・・傷無し
△・・・一部傷あり
×・・・膜がはがれる
【0117】
{防汚性の評価}
指紋付着性評価のため接触角を測定した。
○・・・100°以上
△・・・70°以上100°未満
【0118】
表−Cの結果より、本発明の光学フィルターは、色補正に優れたものであり、近赤外線カット性及び膜の強度も充分であった。また、フィルター表面の対防汚性も良好であった。
更に、上記各光学フィルターについて、実施例1と同一の耐光テストの方法で試験を行なった所、いずれのフィルターも、実用上何ら問題のないレベルの性能を示した。
【0119】
実施例14
(下塗り層の形成)
厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの両面をコロナ処理した後、両面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を塗布し、下塗り層を形成した。乾燥後の膜厚として、フィルター層を設ける面には厚さ300nm、低屈折率層を設ける面には厚さ150nmとなるように塗布した。
【0120】
(第2下塗り層の形成)
フィルター層を設ける面の下塗り層の上に、酢酸とグルタルアルデヒドを含むゼラチン水溶液を、乾燥後の厚さ100nmとなるように塗布し、反射防止層を設ける面の下塗り層の上には屈折率1.50、ガラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(HA16、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ20nmとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0121】
(反射防止層としての低屈折率層の形成)
反応性フッ素ポリマー(JN−7219、日本合成ゴム(株)製)2.50gにt−ブタノール1.3gを加え、室温で10分間攪拌し、1μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られた低屈折率層用塗布液を、透明支持体の片面(スチレン−ブタジエンコポリマーラテックス150nm、アクリルラテックス20nmを下塗り層とする面)に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が96nmとなるように塗布し、120℃で15分間乾燥して硬化させ低屈折率層を形成した。
【0122】
(可視光吸収層の形成)
実施例15記載の可視光吸収層形成において、色素(v−1)及び色素(v−2)の代わりに下記色素(v−3)及び色素(v−4)を各同量用いた他は、実施例15と同様にして塗布液を作製した。この塗布液を透明支持体の低屈折率層を塗布した反対側の第2下塗り層上に、転燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で10分間乾燥してフィルター層を形成し、反射防止層とフィルター層を付与した支持体を作製した。
【0123】
【化9】
Figure 2004117848
【0124】
(近赤外線遮蔽フィルター層の形成)
実施例9記載の近赤外線遮蔽フィルター層形成において、色素No(1)及びNo(7)の代わりに色素の化合物例No(6)及びNo(10)を各同量用いた他は、実施例9と同様にして上記の可視光吸収層上に塗布・乾燥した。塗布膜厚は4μmであった。
【0125】
(ガラス透明支持体上への電磁波遮へい層、反射防止層の塗設)
厚さ3mmの無色透明ガラス板の表面に銀をスパッターし、表面抵抗が2.5Ω/□となるように厚さ約12nmの膜を塗設した。こうして塗設した銀の膜の上に、真空蒸着法を用いてMgF、次にSiO、TiO、MgFの順に光学膜厚(屈折率と膜厚の積)が130〜140nmとなるように蒸着した。この反射防止膜の反射率を測定したところ、表面反射率は0.6%であった。
【0126】
(前面板の作製)
低屈折率層、可視光吸収層及び近赤外線遮蔽層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムの該遮蔽層面にアクリル系の粘着剤を30μmの厚さで塗布し、上記反射防止層を蒸着したガラス板の反射防止層を蒸着した面とは反対面に貼りつけ、本発明の前面板を作製した。
【0127】
(光学フィルムの性能評価)
プラズマディスプレイパネル(PDS4202J−H、富士通(株)製)の前面板を取り外し、上記作製した前面板を、フィルター層がプラズマディスプレイパネルの画像表示面に向くように本体に取り付けた。電磁波および近赤外線遮へい層をプラズマディスプレイパネルの背面の金属部アースに接続し、プラズマディスプレイパネルより放射される電磁波により電磁波および近赤外線遮へい層に誘起される電圧をアースに導通し、機能の評価を実施した。評価項目として、電磁波および赤外線遮へい能、表示される画像のコントラストの測定および目視による色再現性の評価を行った。電磁波遮へい能は、周波数10MHz〜200MHzの範囲で最低9デシベル以上が得られ、情報処理装置等で規制されている電磁波の外部漏洩レベルを達成した。また、近赤外線領域の線スペクトル遮へい能は、800〜1000nmの範囲で15%となり、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害を防止できた。コントラストおよび目視による色再現性は、著しく改善された。コントラストは前面板を交換する前は104であったが実施例ではいずれも15:1であった。前面板の交換前にくらべて、オレンジ色の入った赤が純赤に、緑がかった青が鮮やかな青に、また黄ばんだ感じの白が純白に改良されていることを確認した。
また、実施例1に記載の耐光性テスト後のフィルターの性能は、経時前と殆ど変わらず、視認上は何ら変わらない良好なものであった。
【0128】
【発明の効果】
本発明の光学フィルターは、近赤外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能及び耐光性に優れている。また、この光学フィルターをプラズマディスプレイパネルに使用することで、ディスプレーからでる周辺電子機器の誤動作を引き起こす近赤外線領域である700〜1100nm、好ましくは800〜1100nmの領域の光をカットすると共に、ディスプレーの鮮明度の阻害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】陰極管表示装置(CRT)またはプラズマディスプレイパネル(PDP)の本体Aの前面に本発明の前面板を用いた場合の断面概念図である。図1−1は本体Aと前面板Dが密着した場合、図1−2は本体Aと前面板Dの間に空間がある場合の概念図である。
【図2】前面板の層構成の断面模式図である。図2−1および図2−2は図1−1の、図2−3および図2−4は図1−2の配置に対応する層構成の例である。
【符号の説明】
A CRTまたはPDP
B 支持体
C 各種フィルター層および反射防止層
D 前面板
1 反射防止層
2 電磁波および赤外線遮へい層
3 ハードコート層
4 プラスチック透明支持体
5 フィルター層
6 ガラス透明支持体

Claims (4)

  1. 透明支持体上に少なくとも近赤外線吸収性のフィルター層を有する光学フィルターであって、そのフィルター層が下記一般式(I)で示される近赤外色素のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする光学フィルター。
    Figure 2004117848
    一般式(I)中、
    ,Y,Y及びYは、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。
    、Xは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。
    、Zはピラン、ベンゾピラン、ナフトピラン、チオピラン、ベンゾチオピラン、ナフトチオピラン、セレナピラン、ベンゾセレナピラン、ナフトセレナピラン、テルナピラン、ベンゾテルナピラン、又はナフトテルナピランを形成するに必要な原子群を表す。
    Lは、各々独立に、メチン基を表す。
    p,qは、各々独立に、0、1、2、又は3を表す。rは、5又は7を表す。
    は、電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。但し、mは0又は1を表す。
  2. 透明支持体の片面に、
    (i)屈折率が1.65〜2.40である高屈折率層と屈折率が1.20〜1.55である低屈折率層とを有する反射防止膜、および
    (ii)560nm〜620nmの波長領域および/または750〜1200nmの波長領域に吸収極大を有する請求項1に記載のフィルター層を有することを特徴とする光学フィルター。
  3. 請求項1又は2に記載の光学フィルターをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに直接貼りつけたことを特徴とする画像表示装置。
  4. プラズマディスプレイに前面板が設けられておらず、請求項1又は2に記載の光学フィルターがディスプレイ表面に直接貼り付けられていることを特徴とする画像表示装置。
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