JP2004117579A - 画像表示方法および画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さい表示部で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示を行う。
【解決手段】表示部10の内面を複数の表示面11a,12a,13aとして用い、その複数の表示面にまたがった画像表示を行う。その表示の仕方としては、ある特定の視点からみたとき、それぞれの表示面にはどのような画像表示を行うかを計算によって求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させる。たとえば、表示すべき画像が表示すべき画像が3DCG画像である場合、その3DCG画像を、前記複数の表示面のうちのたとえば2つの隣接する表示面11a,12aに表示する場合は、その表示面11a,12a対応に分割し、その分割されたそれぞれの画像がそれぞれの表示面ごとに、1つずつの消失点を有する透視図法を用いて、それぞれの表示面11a,12aに表示すべき画像の生成を行う。
【選択図】     図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然画像やコンピュータグラフィックス画像などを臨場感や現実感を持たせて表示する画像表示方法および画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨場感・現実感のある画像を表示させるには、広い視野角を取ることが重要である。これを従来の陰極線管(以下、CRTという)表示画面や液晶画面を有する画像表示装置、さらには、プロジェクタなどの投影面に投影することで画像表示を行う画像表示装置で実現するには、これらの表示画面のサイズを大型化する必要があり、そのために、これら画像表示装置自体の価格が高くなったり、画像の投影に広い場所が必要となったり、消費電力が増大したりというように、視野角を大きくするがために種々の問題が生じる。
【0003】
また、コンピュータグラフィックスなどの3次元的な画像データを1枚の2次元的な平面の表示画面上に表示する場合、たとえば、斜投影方法、等角投影方法、1点・2点・3点の各透視図法などの種々の投影方法を用いて表示するのが一般的であるが、これらの方法によって表示された画像は、結局は、3次元の立体的な画像を2次元の表示画面上で表示するため、表示された画像に不自然さが生じるなど、それぞれの投影方法で様々な欠点がある。
【0004】
一方、臨場感・現実感のある画像を表示させる技術として、複数の面に映像を表示することが従来よりなされている。たとえば、特開平7−253773公報に記載された「立体表示装置」(特許文献1:以下、「従来技術」という)もその1つである。
【0005】
この従来技術は、多面体としてたとえば立方体の外側の面に映像を表示させる技術であり、ユーザの視点を検出し、それぞれの視点の位置から、ある物体を見たとき、その物体がどのように見えるかを計算して求めて、それを表示させるものである。
【0006】
これによれば、確かに、ある物体が実在していてそれを色々な角度から実際にユーザが見ているような画像を表示させることができ、より臨場感や現実感のある表示が可能となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−253773号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術は、ユーザの視点を検出し、それぞれの視点の位置に応じた画像を計算して求める処理をリアルタイムで行う必要があるため、演算量も多く、処理能力の高い演算装置が必要となり、システムが大掛かりになるという問題がある。
【0009】
また、この従来技術は、ある大きさの立方体の中にあたかも物体があって、それをユーザの視点位置から見た画像として、その立方体の外画のそれぞれの面に表示するものであるため、視野角の大きさは立方体の大きさに制約されてしまい、それほど大きくとることはできない。もし、視野角を大きく取ろうとして、立方体を大きくしすぎると、それぞれの面が大きすぎて、ある1つの面だけしか見えなくなり、多面体でなる立体型映像表示装置という特徴が失われることになる。
【0010】
そこで本発明は、小さな表示面でも広い視野角と立体感を得ることができ、臨場感・現実感のある画像の表示を可能とし、しかも、それを自然画像だけでなく3DCGに対しても、見た目に自然な表示を可能とする画像表示方法および画像表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために本発明の画像表示方法は、多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示方法であって、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させるようにしている。
【0012】
このような画像表示方法において、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、それぞれの表示面にどのように表示されるかを求める処理は、前記表示すべき画像が自然画像である場合、2次元的な表示面に投影される自然画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面に画像変換する処理としている。
【0013】
また、この画像表示方法において、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、それぞれの表示面にどのように表示されるかを求める処理は、前記表示すべき画像が3次元コンピュータグラフィックス画像である場合、その3次元コンピュータグラフィックス画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面対応に分割し、その分割されたそれぞれの画像データが、前記それぞれの表示面ごとに1つずつの消失点を有する透視図法によって表示されるような画像生成処理としている。
【0014】
また、この画像表示方法において、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面は、隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つの表示面としている。
【0015】
そして、前記隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面は、垂直方向の表示面と水平方向の表示面の組み合わせを含むことを可能としている。
【0016】
また、この画像表示方法において、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、画像表示機能を有する画像表示手段の画像表示画面を前記それぞれの表示画面として用いて行い、これら各画像表示手段の画像表示画面によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うこと可能としている。
【0017】
また、この画像表示方法において、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、表示面を画像投影面とし、この画像投影面に画像を投影する1つまたは複数個の画像投影装置を用いて行い、この1つまたは複数個の画像投影手段によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを可能としている。
【0018】
また、この画像表示方法において、前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に箱体内部を見るための内部目視用窓を設けて、その内部目視用窓に、前記特定の視点を設定するようにしている。
【0019】
また、本発明の画像表示装置は、多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示装置であって、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求める画像処理手段と、この画像処理手段によって求められた画像をそれぞれの表示面に表示させる画像表示手段とを有している。
【0020】
このような画像表示装置において、前記画像処理手段は、前記表示すべき画像が自然画像である場合、2次元的な表示面に投影される自然画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面に画像変換する。
【0021】
この画像表示装置において、前記画像処理手段は、前記表示すべき画像が3次元コンピュータグラフィックスである場合、その3次元コンピュータグラフィックスの画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面対応に分割し、その分割されたそれぞれの画像データが、前記それぞれの表示面ごとに1つずつの消失点を有する透視図法によって表示されるような画像生成を行う。
【0022】
また、この画像表示装置において、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面は、隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つの表示面としている。
【0023】
そして、前記隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面は、垂直方向の表示面と水平方向の表示面の組み合わせを含むことを可能としている。
【0024】
また、この画像表示装置において、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、画像表示機能を有する画像表示手段の画像表示画面を前記それぞれの表示画面として用いて行い、これら各画像表示手段の画像表示画面によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを可能としている。
【0025】
また、この画像表示装置において、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、表示面を画像投影面とし、この画像投影面に画像を投影する1つまたは複数個の画像投影装置を用いて行い、この1つまたは複数個の画像投影手段によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを可能としている。
【0026】
また、この画像表示装置において、前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に箱体内部を見るための内部目視用窓を設けて、その内部目視用窓に、前記特定の視点を設定するようにしている。
【0027】
このように本発明は、多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示方法であって、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させるようにしているので、小さな表示面で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示が可能となり、また、それぞれの表示面間における画像のつながりに適正な整合性を持たせることができる。
【0028】
また、本発明は、たとえば、DVDなどの自然画像に対して、小さな表示面で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示が可能となるとともに、3次元コンピュータグラフィックス画像に対しても、小さな表示面で、実際の見た目と同じ自然な消失点の存在する画像を表示させることができ、視野角を広く取った立体感のある表示を可能とするだけでなく、ユーザの視線の方向を変えても違和感のない自然な遠近感を持つ画像を表示させることができる。
【0029】
また、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面は、隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つの表示面としている。具体的には、たとえば、室内の壁面同士が直交する部屋の隅部や箱体の隣り合う少なくとも2つの直交する内壁面など、本来は、画像表示に不向きな場所を積極的に利用して画像表示を行うようにしている。また、前記隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面は、垂直方向の表示面と水平方向の表示面の組み合わせを含むことを可能としている。
【0030】
これによって、小さい表示面で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示が可能となる。たとえば、それほど広くない室内の隣り合う複数の壁面を用いて本発明の画像表示を行えば、その中にいる人は、ある特定の視点から壁面に表示された画像を見るとことで、広い視野角を持った立体的な画像を見ることができ、自分があたかも実際の場面にいるような臨場感・現実感を得ることができる。
【0031】
また、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、画像表示機能を有する画像表示手段(たとえば、液晶表示装置やCRT表示装置)の表示画面そのものを前記それぞれの表示画面として用いることが可能であり、これら各画像表示手段の表示画面を用いて前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことによって、投影装置などを必要とせず、表示面そのもので画像表示が行える。
【0032】
これによって、たとえば、手に持つことのできる箱体や投影装置の設置ができない狭い空間内で画像表示を行う場合にも適用することができる。
【0033】
また、前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、表示面を画像投影面とし、この画像投影面に画像を投影する1つまたは複数個の画像投影装置を用いて行い、この1つまたは複数個の画像投影手段によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことによって、より広い空間内での画像表示が可能となり、たとえば、本発明を店頭広告などに適用する場合に好適なものとなる。この投影装置を用いる場合、投影装置1台で複数の表示面に表示させることも可能であり、また、それぞれ対応する表示面ごとに投影装置を設けることも可能である。
【0034】
なお、投影装置1台で複数の表示面に表示させる場合は、ひずみを考慮した画像処理が必要となるが、投影装置が1台ですむので設備費を低く抑えることができる。一方、複数の投影装置を用いる場合は、設備費が多少増えるが、その分、ひずみを考慮した画像処理などが不要となり、画像処理全体を単純化することができる。
【0035】
また、前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に箱体内部を見るための内部目視用窓を設けて、その内部目視用に特定の視点を設定し、その視点からその覗き窓を通して内部の表示面を見るような構造としている。この箱体を手に持つことのできる程度の大きさのものとすれば、その箱体を手に持って、予め決められた視点からその小さな箱の内部を見ると、広い視野角を持った立体的な画像を見ることができるので、自分があたかも実際の場面にいるような臨場感・現実感を得ることができ、携帯用のゲーム機など幅広い用途が期待できる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態で説明する内容は、本発明の画像表示方法および画像表示装置の両方の説明を含むものである。
【0037】
本発明は、多面体の内面を複数の表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行うもので、表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかをコンピュータ上で計算によって求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させることによって、広い視野角で立体感ある画像表示を可能とし、より臨場感・現実感を持った画像表示を可能とするものである。
【0038】
この実施の形態では、たとえば、DVD(Digital Video Disc)などに保存された自然画像を表示する場合を第1の実施の形態、3次元コンピュータグラフィックス(以下、3DCGという)画像を表示する場合を第2の実施の形態として説明する。
【0039】
まず、自然画像を表示する場合について説明する。図1はある大きな平面的なスクリーン1上に表示された画像(ここでは3角形としている)2を示すものである。今、スクリーン1上に表示された画像2を×印で示す視点P1(この視点P1はスクリーン1表面からある一定距離だけ離れた位置にある)から見ていることを考える。
【0040】
そして、この視点P1からスクリーン1に表示された画像2を見ているときと同じような見え方を小さい表示部で行う場合について説明する。この小さい表示部として、この第1の実施の形態では、多面体の表示部(ここでは、3つの直交する表示面からなる表示部)10を用いる。
【0041】
この3つの直交する表示面からなる表示部10とは、図2に示すように、垂直面を形成し互いに直交する2枚の正方形11,12と、水平面を形成し2枚の正方形の下端部に設けられる1枚の正方形13とでなり、これら各正方形11,12,13の内面側11a,12a,13aをそれぞれ表示面(以下、表示面11a,12a,13aという)とするものである。
【0042】
そして、図1で示した視点P1からスクリーン1に表示された画像2を見たときと同じように画像2が見えるように、表示部10におけるそれぞれの表示面11a,12a,13aに画像2を表示する。なお、これら表示面11a,12a,13aは、スクリーンなどの投影面であってもよく、また、画像表示機能を有する画像表示手段の画像表示画面(たとえば、画像表示手段が液晶表示装置であれば液晶画面、画像表示装置がCRT表示装置であればCRT表示画面など)であってもよい。
【0043】
このように、図1で示した視点P1からスクリーン1に表示された画像2を見たときと同じように表示部10上でも見えるようにする技術は、従来から、テクスチャマッピングやレイトレーシングなど画像変換技術を用いることで実現できる。
【0044】
図3は、背後に存在する大きなスクリーン1上の画像2を、ユーザが視点P1から見たとき、その画像2をスクリーン1よりも手前にある小さな表示部10にマッピングする例を簡単に説明するもので、ごく簡単に説明すると、視点P1とスクリーン1上にある3角形の画像2の各点を結び(この図3では3角形の画像2の3つの頂点のみと視点P1とを結ぶ線が破線で図示されている)、途中、表示部10の各表示面11a,12a,13aとの交点を求め、それぞれの交点における画像データを求めることによって、表示部10に表示すべき画像が得られる。
【0045】
このように、背後の大きなスクリーン1から手前の小さな表示部10への画像変換を行うことによって、視点P1から見たとき、小さい表示部10で大きなスクリーンと同じ視野角を持った画像を表示することができる。
【0046】
図3において、太線で示した画像2’が表示部10に表示される画像であり、この図3では、スクリーン1上に表示されている3角形の画像2に対して、表示面11aと13aとの境目、表示面12aと13aとの境目で、それぞれ線が歪んで4角形として見えるが、視点P1から見れば、表示部10上では、図4に示すように、それぞれの表示面11a,12a,13a上の画像2’があたかも外側の3角形で示した画像、すなわち、スクリーン1上の画像2と同じように見える。
【0047】
図5はこの第1の実施の形態を実現するに必要な構成要素を概略的に説明する図であり、処理対象となる画像信号を画像変換する画像変換手段21とその画像変換された画像を表示する画像表示手段22を有した構成となっている。
【0048】
画像変換手段21は、たとえば、上述した例において、図1で示した視点P1からスクリーン1に表示された画像2を見たときと同じように、表示部10上で画像2が見えるように、スクリーン1上の画像2に対して、表示部10におけるそれぞれの表示面11a,12a,13aへのマッピングを行うといった画像変換を行うものである。これによって、図1のスクリーン1上の画像2は、表示部10におけるそれぞれの表示面11a,12a,13a上で図4の太線で示す画像2’のような画像に変換される。
【0049】
画像表示手段22は、画像変換手段21で画像変換処理された画像を表示面11a,12a,13aに表示させるもので、たとえば、表示面11a,12a,13aがスクリーンであれば、画像表示手段22としてはプロジェクタなどの投影装置が用いられ、表示面11,12,13が液晶画面であれば、画像表示手段22としては液晶表示装置であり、表示面11,12,13がCRT画面であれば、画像表示手段22としてはCRT表示装置であるというように、どのような画像表示手段を用いるかで異なってくる。
【0050】
この第1の実施の形態によれば、3つの直交する正方形11,12,13の内面側を表示面11a,12a,13aとする多面体の表示部10に、予め設定された視点P1から大型のスクリーン1に表示された画像2を見たときと同じように画像2が見えるような画像変換を行うことによって、表示部10そのものは小さくても、視点PIから表示部10を見ると、表示部10に表示された画像2’は、あたかも大型のスクリーン1に表示されている画像のごとく広い視野角で表示することができ、臨場感・現実感を持った画像表示が可能となる。
【0051】
次に、3DCG画像を臨場感・現実感を持つように表示させる第2の実施の形態について説明する。
【0052】
この第2の実施の形態も前述の第1の実施の形態と同様に、直交する3つの表示面11a,12a,13aを有する表示部10を用いる。
【0053】
ここで、図6に示すような3DCG画像をこの表示部10に表示することを考える。この図6は画像として2つの直方体(第1の直方体31、第2の直方体32という)を2点透視図法で1枚の平面的なスクリーン1上に表示したものであり、水平方向左右両側にそれぞれ消失点A1,A2がある。
【0054】
このような画像を表示部10に表示する場合の処理について説明する。この第2の実施の形態では、この図6に示すような1枚の平面的なスクリーン1上に2点透視図法で表示された画像を、小さな表示部(表示部10)を用いて、視野角を広く取った立体感のある表示を可能とするだけでなく、ユーザの視線の方向を変えても違和感のない自然な遠近感を持つ画像となるような表示を行う。なお、ここでは、表示部10の直交する3つの表示面11a.12a.13aのうち、垂直方向の2つの表示面11a,12aを用いて表示を行う例について説明する。
【0055】
このように、1枚の平面的なスクリーン1上に2点透視図法で表示された画像(図6参照)を小さな表示部10で表示させる際、広い視野角と立体感を持ち、しかも、ユーザの視線の方向を変えても違和感のない自然な遠近感を有する画像となるような表示を行うために、以下のような処理を行う。
【0056】
図7は図6で示した1枚の平面的なスクリーン1を左右方向中心(図6の一点鎖線)で2等分し、左スクリーン1L側に存在する第1の直方体31Lおよび第2の直方体32Lと、右スクリーン1R側に存在する第1の直方体31Rおよび第2の直方体32Rとをそれぞれのスクリーン1L,1Rにそれぞれ1点透視図法で表示したものを示している。
【0057】
この図7の左スクリーン1L側の第1の直方体31Lおよび第2の直方体32Lは、表示部10の表示面11aに表示され、図7の右スクリーン1R側の第1の直方体31Rおよび第2の直方体32Rは、表示部10の表示面11bに表示される。
【0058】
この左スクリーン1L側に表示された第1の直方体31Lと第2の直方体32Lは、それぞれが一点透視図法で表現されると、第2の直方体32Lは図6の一点鎖線より左側とほぼ同様に同じに表現されるが、第1の直方体31Lは、第1の直方体31の最も手前側の2つの角部C1,C2から右方向に延びる辺L1,L2が図7においては水平方向に延びる線として表現されている。
【0059】
一方、左スクリーン1Rに描かれた第1の直方体31Rと第2の直方体32Rは、それぞれが一点透視図法で表現されると、第1の直方体31Rはその一部の線の傾きなどに多少の違いが生じるものの図6の一点鎖線より右側とほぼ同様に表現されるが、第2の直方体32Rは、第2の直方体32Rの角部C3から左方向に延びる辺L3が水平方向に延びる線として表現されている。
【0060】
このように、図6で示した1枚のスクリーン1上に2点透視図法で描かれた画像を左右方向に2等分(図6の一点鎖線に沿って2等分)して、左右それぞれに存在する画像を左右それぞれのスクリー1L,1Rにそれぞれ1点透視図法で表示すると図7のような画像となる。
【0061】
そして、この図7の左右それぞれのスクリーン1L,1Rにそれぞれ1点透視図法で表示された2つの画像を単純につなぎ合わせて1枚のスクリーン1上に表示させたものが図8である。なお、図8の一点鎖線部分がつなぎ合わせ目である。
【0062】
この図8は一見、2点透視図法の表現の仕方であるが、一点透視図法で表現された2つの画像をつなぎ合わせたものであるため、図8の全体の表示面の中心である一点鎖線付近において、第1の直方体31と第2の直方体32を構成する辺のなかには、水平方向に延びる部分(L1,L2,L3の部分)が存在し、2点透視図法としては不自然なものとなる。
【0063】
しかし、この図8に示す平面画像を2つの画像のつなぎ合わせ目(一点鎖線部分)で内側に90度に曲げて、視点を2つの消失点A1,A2を結ぶ水平線上に置いて2つの画像のつなぎ合わせ目である一点鎖線に近づけて見ると、ある視点において図6で示した2点透視図法で描かれたものと同じに見える。
【0064】
したがって、この第2の実施の形態で用いる多面体の表示部10(第1の実施の形態で説明したもの)における2つの直交する表示面11a,12aにおいて、表示面11a側には図7で説明した左スクリーン1Lの画像を表示させ、表示面12a側には図7で説明した右スクリーン1Rの画像を表示させれば、ある特定の視点からその表示面11a,12aを見ると、図6で示した2点透視図法で描かれた画像を見ることができる。これを示したものが図9である。
【0065】
この図9は表示部10の表示面11a,12aに表示された画像を示すもので、左側の表示面11aには、図7で示した左側の画像が表示され、右側の表示面12aには、図7で示した右側の画像が表示された状態を示すものである。
【0066】
このような表示を行うことによって、視線を矢印V1方向、すなわち、表示部10の2つの表示面11a,12aのつなぎ目である中心の折線に向けて見ると、図6で示した2点透視図法で示したと同じに見え、視線を矢印V2方向、すなわち、左側の表示面11aとほぼ直角に向けて見ると、図7の左スクリーン1Lで示したような1点透視図法の画像として見え、視線を矢印V3方向、すなわち、右側の表示面12aとほぼ直角に向けて見ると、図7の右スクリーンIRで示したような1点透視図法の画像として見える。
【0067】
このように、多面体を構成する表示部10のそれぞれの表示面(この場合は、直交する垂直方向の2つの表示面11a,12a)において、図6のような2点透視図法で表現された画像を表示する場合、図6のような2点透視図法で表現された画像を2分割して、2分割したそれぞれの画像をそれぞれ一点透視図法で表現し(図7参照)、それを直交する左右両側の表示面11a,12aにそれぞれ表示させる。なお、このとき、それぞれの表示面11a,12aに表示された画像同士の整合性がとれるような画像処理もなされる。
【0068】
これによって、たとえば、図9で説明したように、視点を2つの直交する表示面11a,12aの折線を正面から見るような位置に置いて、そのまま、図9における矢印V1方向から2つの表示面全体を見るようしても、また、その視点位置を基点にして、視線を左方向に45度、右方向に45度というように視線を左右に振って、それぞれ矢印V2,V3方向からそれぞれの表示面11a,12aを主に見るようにしても、実際の見た目と同じ自然な消失点の存在する画像を見ることができ、視野角が広く立体感のある画像表示を可能とするだけでなく、ユーザの視線の方向を変えても違和感のない自然な遠近感を持つ画像を表示させることができる。
【0069】
図10はこの第2の実施の形態を実現するに必要な構成要素を概略的に説明する図であり、処理対象となる3DCG画像である3次元情報に基づいて、それぞれの表示面にどのような画像を表示すればよいかを決定し、それぞれの表示面に表示すべき画像の生成を行う画像生成手段41と、この画像生成手段41で生成されたそれぞれの表示面ごとの画像データに基づいて画像表示を行う画像表示手段22を有した構成となっている。
【0070】
画像生成手段41は、具体的には、たとえば、上述した例において、図6で示した2点透視図法で表現された画像を2分割し、図9の左側の表示面11aと右側の表示面12aに表示させるための画像をそれぞれ一点透視図法で表現し、しかも、それぞれの表示面11a,12aの画像をつなぎ合わせたとき、それぞれの画像同士の整合性がとれるような画像生成を行うものであり、このような3DCG画像から2次元的な画像データを生成する画像生成手法は従来から用いられている画像生成技術を適用することができる。
【0071】
画像表示手段22は、画像生成手段41で画像生成処理された画像を左右それぞれの表示面に表示させるもので、たとえば、表示面11a,12aがスクリーンであれば、画像表示手段22としてはプロジェクタなどの投影装置が用いられ、表示面11a,12が液晶画面であれば画像表示手段22として液晶表示装置が用いられ、表示面11a,12aがCRT表示画面であれば、画像表示手段22としてはCRT表示装置が用いられるというように、どのような画像表示手段を用いるかで異なってくる。
【0072】
このように、この第2の実施の形態では、本発明を3DCG画像に適用する場合として説明したが、この3DCG画像データは、3次元座標上のどの座標にどのような画像データがあるかをコンピュータ上で持っているので、その3次元画像データに基づいて、画像生成手段41がこれまで説明してきたように、どの表示面にはどのような画像を表示すればよいかを計算によって求め、求められた画像をそれぞれの表示面ごとに表示させることで実現できる。
【0073】
以上、画像の種類としてたとえばDVDなどに保存されている自然画像(第1の実施の形態)と、3DCG(第2の実施の形態)を例にして、多面の表示面を有する小さな表示部10で臨場感・現実感のある表示を行うための処理について説明したが、以下に、その具体的な画像表示の仕方について説明する。
【0074】
図11はたとえば四方が壁で囲まれた会議室の内側に露出する4面の壁面(内壁面という)のうち、互いに直交する2つの内壁面51,52の直交部分、すなわち、内壁面51,52同士のつなぎ目53を投影画面の中心線として、これら2つの直交する内壁面51,52にまたがって画像表示を行う際、それを1台のプロジェクタ501で行う例を示す図である。
【0075】
すなわち、その左側の内壁面51に表示させる画像(たとえば、図9の左側の表示面11aに表示される画像)と右側の内壁面52に表示させる画像(たとえば、図9の右側の表示面12aに表示される画像)を、1台のプロジェクタ501を用いて作成して投影する。
【0076】
この場合、左側の内壁面51に表示させる画像は、図9の左側の表示面11aに表示される画像であり、右側の内壁面52に表示させる画像は、図9の右側の表示面12aに表示される画像であるので、その画像の境目が投影者にわかるようなガイド表示を行うなどして、その画像の境目を左右の内壁面51,52のつなぎ目53に合わせるようにして投影する。
【0077】
この左側の内壁面51に表示すべき画像と右側の内壁面52に表示すべき画像の生成は、図10で示した画像生成部41によって行われる。なお、この図11のように1台のプロジェクタによって、ある角度(この場合は90度としている)を有した2つの内壁面51,52に投影する場合、それぞれの内壁面51,52に投影される画像は歪んで図示のようにそれぞれ台形となるが、画像生成部41では、このような歪みの発生を考慮した上で、左側の内壁面51にはどのような画像を表示し、右側の内壁面52にはどのような画像すればよいかを決定する。なお、このような画像生成処理は従来から行われている画像生成技術を用いることによって実現できる。
【0078】
また、図12は図11と同様に、会議室などの2つの直交する内壁面のつなぎ目を投影画面の中心とし、そのつなぎ目の左側の内壁面51に図9の左側の表示面11aの画像を表示させ、つなぎ目の右側の内壁面52に図9の右側の表示面12aの画像を表示させるものであるが、この図12ではそれを2台のプロジェクタ501,502を用いて、左右それぞれの内壁面51,52に投影する場合を示すものである。この場合、プロジェクタ501によって左側の内壁面51に画像表示を行い、プロジェクタ502によって右側の内壁面52に画像表示を行う。
【0079】
この図11、図12のいずれの場合であっても、視点を2つの内壁面51,52のつなぎ目を正面に見るような位置に置いて、それぞれの内壁面51,52に表示される画像全体を見るようにしても、また、その視点位置を基点にして、視線を左方向に45度、右方向に45度というように視線を左右に振ってそれぞれの表示面に対して視線が直交する位置から見るようにしても、実際の見た目と同じ自然な消失点の存在する画像を見ることができ、広い視野角を持った立体的な画像を比較的小さな表示画面で臨場感と現実感を持たせて表示させることができる。
【0080】
なお、1台のプロジェクタ501でそれを実現する場合は、上述したように、歪を考慮した画像生成処理を行う必要があるが、プロジェクタは1台で済むという利点があり、2台のプロジェクタ502,503でそれを実現する場合には、プロジェクタを2台必要とするが、それぞれの内壁面51,52に対して光軸が直交するように投影することができるので、歪を考慮する必要がなく、画像生成部41の行う画像生成処理を単純なものとすることができる。
【0081】
以上、図11、図12は直交する2つの内壁面51,52に、1台または複数台のプロジェクタを用いて画像を投影する例について説明したが、同様の考えで、直交する3つの内壁面に、1台または複数台のプロジェクタを用いて画像の投影を行うことも可能である。
【0082】
図13および図14はその例を示すもので、図13は1台のプロジェクタ501を用いて、直交する2つの内壁面51,52とこれらの内壁面51,52に直交する水平方向の内壁面(天井面53)に画像の投影を行うもので、この場合、プロジェクタ501から投影される投影面の中心がわかるようなガイド表示を行い、その中心が3つの内壁面51,52,53のつなぎ目の交点O1に位置するように投影する。
【0083】
また、この1台のプロジェクタ501により投影を行う場合は、上述したように、それぞれの内壁面51,52,53の投影面の形状に歪が生じるが、たとえば、全体の投影面の外郭が楕円形を描くようにし、それより外側は真っ黒になるようにするといった処理を施すことは可能である。
【0084】
一方、図14は3台のプロジェクタ501,502,503を用いて、直交する2つの内壁面51,52と、これらの内壁面51,52に直交する水平方向の内壁面(この例では床面54としている)に画像の投影を行う例である。この例では、プロジェクタ501は、左側の壁面51に表示すべき画像の投影を行い、プロジェクタ502は、右側の壁面52に表示すべき画像の投影を行い、プロジェクタ503は、床面54に表示すべき画像の投影を行い、これら3つのプロジェクタ501,502,503によって、3つの内壁面51,52,54にまたがる画像表示を行う。
【0085】
このように、直交する3つの内壁面を用いて画像の投影を行うことにより、それぞれの内壁面にそれぞれ消失点を有した画像の表示を行うことができ、比較的小さな表示面で、広い視野角を持ち立体感のある画像を臨場感と現実感を持たせて表示させることができる。
【0086】
なお、ここでは1台または複数台のプロジェクタによって2つの直交する内壁面51,52あるいは3つの直交する内壁面51,52,53、または、内壁面51,52,54などに投影する例で説明したが、プロジェクタによる投影ではなく、内壁面51,52,53、54そのものを画像表示の可能な表示面(たとえば、液晶表示画面やCRT表示画面など)として、これら液晶表示画面やCRT表示画面による画像表示を行うようにしてもよい。また、プロジェクタなどによる投影を行う場合、その投影面は内壁面でなく、スクリーンであってもよい。
【0087】
ところで、上述したような直交する3つの表示面(上述の例では会議室などの内壁面)を用いた画像の表示の仕方の応用例として、図15のような立方体60の内部の直交する3つの面を表示面として用いて画像の表示を行うものが考えられる。
【0088】
この図15に示す立方体60は、図16に示すようなx,y,zの3次元座標を考えたとき、座標点(0,0,0)、(0,1,0)、(0,1,1)、(0,0,1)で囲まれるyz平面上の内壁61と、座標点(0,0,0)、(0,1,0)、(1,1,0)、(1,0,0)で囲まれるxy平面上の内壁62と、座標点(0,0,0)、(1,0,0)、(1,0,1)、(0,0,1)で囲まれるxz平面上の内壁63を3つの表示面(以下、表示面61,62,63という)とするもので、このような3つの表示面61,62,63に表示される画像を、座標点(1,1,1)を視点P1として設定し、その視点P1から立方体60内部を覗くものである。
【0089】
すなわち、立方体60の1つの角部である座標点(1,1,1)を中心として、その周辺を図15に示すように3角形状に切り欠いて、この切り欠き部を箱体内部を見るための内部目視用窓60aとし、その内部目視用窓60aにおける座標点(1,1,1)を視点P1として設定し、その視点P1から立方体60内部の覗くものである。なお、内部目視用窓60aは3角形である必要はなく、円形や楕円形などであってもよい。
【0090】
そして、立方体60内部の3つの表示面61,62,63を用いて、表示すべき画像をそれぞれの表示面ごとに1点透視図法によって1つの消失点を有する画像として表示する。なお、このときの消失点は、表示面61にあっては座標点(0,1,1)、表示面62にあっては座標点(1,1,0)、表示面63にあっては座標点(1,0,1)とする。
【0091】
ここで、この3つの表示面61,62,63を用いて、ある1つの立方体70を画像として表示する場合について説明する。
【0092】
図17は図15で示した互いに直交する3つの表示面61,62,63を展開したものであり、それぞれの表示面61,62,63上において、画像としての立方体70の各辺を一点透視図法で表現したもので、前述したように、表示面61の消失点A1は座標点(0,1,1)、表示面62の消失点A2は座標点(1,1,0)、表示面63の消失点A3は座標点(1,0,1)である。
【0093】
このように、それぞれの表示面61,62,63上に表示される画像は、各部の座標点の情報や消失点をどこにするか、どのような透視図法で表現するかなどの情報を与えることで、コンピュータ上ではそれぞれの表示面61,62,63ごとに、どのような画像を描けばよいかということうを計算することができ、それによって、この場合は、図17のようなそれぞれの表示面61,62,63ごとの表示画像を得ることができる。
【0094】
この図17において、それぞれの表示面61,62,63同士のつなぎ目を現す線(これをxライン,yライン,zラインで表し、xラインは図16のx軸、yラインは図16のy軸、zラインは図16のz軸に対応している)を90度に折り曲げて、表示面61のzラインと表示面63のzラインを、表示面61側に設けられたいわゆる‘のりしろ’によって表示面63側に貼り付けてzライン同士を共通化すると、図15で示した立方体60内部の直交する3つの表示面61,62,63が形成され、その立方体60における座標点(1,1,1)、すなわち、内部目視用窓60aにおける視点P1から立方体内部を見ると、3つの直交する表示面61,62,63には、図18に示すような3点透視図法による画像(ここでは立方体70)が見える。
【0095】
すなわち、この画像としての立方体70は、表示面61、表示面62、表示面63それぞれに消失点(表示面61においては消失点A1、表示面62においては消失点A2、表示面63においては消失点A3)を有し、内部目視用窓60aに設定された視点P1である座標点(1,1,1)から3つの表示面61,62,63全体を見ると、左右方向と、下方向に消失点A1,A2,A3を有する広い視野角と立体感のある画像となる。また、それぞれの表示面61,62,63を個々に見ると、それぞれ自然な方向に消失点のある現実感のある画像となる。
【0096】
以上は直交した3つの表示面61,62,63を用いてそれぞれの表示面61,62,63ごとに1つの消失点A1,A2,A3を持つような画像表示を行う例であったが、表示面をさらに増やすことも可能である。たとえば、図19に示すように、立方体80のある一つ面86に内部目視用窓80aを設け、その内部目視用窓80aの存在する面86以外の5つの面の内面を表示面81,82,83,84,85として用いて、それぞれの表示面81,82,83,84,85ごとに1つの消失点を持つような画像表示を行う。
【0097】
図20は図19に示すような立方体80の5つの表示面81,82,83,84,85を用いて画像表示を行い、それを展開して示す図であり、それぞれの表示面81,82,83,84,85ごとに表示される画像例を示している。この図20からもわかるように、5つの表示面81,82,83,84,85それぞれに消失点を有している。
【0098】
この図20において、それぞれ表示面81,82,83,84,85における隣接する表示面間のつなぎ目を90度に折り曲げて図19に示すような立方体とし、その立方体80を手にとって、上端面に設けられた内部目視用窓80aに設定された視点(この視点は立方体の上端面と同一平面上の内部目視用窓80a中心部とする)から立方体80内部を見る。すると、それぞれの表示面81,82,83,84,85において、東西南北方向に延びる幾何学的な模様91,92,93,94を適正な遠近感を持った状態で表示させることができ、また、底面(表示面85)に表示された幾何学的な模様95は、上下方向の遠近感が適正に表現される。
【0099】
また、この立方体80を手にとって、内部目視用窓80aから立方体80の内部を見るとき、視点の位置を色々変化させたときの画像の見え方の例を図21から図24に示す。
【0100】
図21は視点を立方体80の表示面84(図19および図20参照)側の上端辺84aの中心でかつ上端辺84aよりも上方に置いて内部目視用窓80aから立方体80の内部を見た場合を示すもので、表示面82に表示される幾何学模様92が視線方向に沿って上方に延びて行くように見える。
【0101】
また、図22は図21の状態から立方体80を少し左方向に回し、かつ、視点を図21の場合よりも少し内部目視用窓80aに近づけた位置に置いて内部目視用窓80aから立方体80の内部を見た場合を示すものであり、表示面82に表示される幾何学模様92が視線方向に対してわずかに左側上方に延びて行くように見えるとともに、表示面83に表示された幾何学模様93の一部も見える。
【0102】
また、図23は視点を図22よりもさらに内部目視用窓80aに近づけた位置に置いて内部目視用窓80aから立方体80の内部を見た場合を示すものであり、表示面82に表示された幾何学模様92が図22に比べて奥行き方向へより一層延びて行くように見える。
【0103】
また、図24は図23の状態で立方体80を左方向にわずかに回して立方体80の内部を見た場合を示すものであり、表示面82に表示される幾何学模様92と表示面83に表示される幾何学模様93が視線方向に対してほぼ45度の角度で左上方と右上方に延びて行くように見える。
【0104】
このように、多数の表示面(上述の例では、5つの表示面81,82,83,84,85)を用いてそれぞれの表示面ごとに1つの消失点を持つような画像表示を行う具体的な例としては、たとえば、これまでの直交する2つあるいは3つの表示面の場合と同様、それぞれの表示面そのものを液晶画面やCRT表示画面としてもよく、また、各表示面にプロジェクタを用いて投影するようにしてもよい。
【0105】
そして、多数の表示面(上述の例では5つの表示面)を有する立方体80が、内部に人間が入れる広さをもつようにすれば、人間が入った状態で、たとえば、上述したように、5つの内壁面(5つの表示面81,82,83,84,85)それぞれに、たとえば、5台のプロジェクタなどを用いて、図19に示すような画像を投影すれば、その中にいる人は、予め設定されている視点からそれぞれの表示面81,82,83,84,85を見ることによって、自分があたかも実物の中にいるような臨場感・現実感を得ることができる。
【0106】
また、この立方体80を手に持つことのできる程度の大きさのものとし、内部目視用窓80aに設定されている視点からその小さな箱の内部を見ることで、広い視野角を持った立体的な画像を見ることができ、自分があたかも実際の場面にいるような臨場感・現実感を得ることができ、携帯用のゲーム機など幅広い用途が期待できる。
【0107】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、前述の各実施の形態では、画像を表示する複数の表示面は直交する表示面としたが、直交に限られるものではなく、表示面同士のなす角度が180未満であればよい。また、曲面であってもよい。
【0108】
また、本発明は以上説明した本発明を実現するための処理手順が記述された処理プログラムを作成し、その処理プログラムをフロッピィディスク、光ディスク、ハードディスクなどの記録媒体に記録させておくこともでき、本発明は、その処理プログラムの記録された記録媒体をも含むものである。また、ネットワークから当該処理プログラムを得るようにしてもよい。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示方法であって、前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させるようにしているので、小さな表示面で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示が可能となる。
【0110】
また、本発明は、たとえば、DVDなどの自然画像に対して、小さな表示面で広い視野角と立体感を持ち、臨場感・現実感のある画像表示が可能となるとともに、3次元コンピュータグラフィックス画像に対しても、小さな表示面で、実際の見た目と同じ自然な消失点の存在する画像を表示させることができ、視野角を広く取った立体感のある表示を可能とするだけでなく、ユーザの視線の方向を変えても違和感のない自然な遠近感を持つ画像を表示させることができる。
【0111】
また、多面体の複数の内面を表示面として用いる例としては、たとえば、室内の壁面同士が直交する部屋の隅部(天井や床をも含む)や、立方体などの箱体の隣り合う少なくとも2つの内壁面など、本来は、画像表示に不向きな場所を積極的に利用しての画像表示が可能となる。これによって、たとえば、それほど広くない室内などの壁面を複数面用いて本発明の画像表示を行えば、その中にいる人は、ある特定の視点から壁面に表示された画像を見るとことで、広い視野角を持った立体的な画像を見ることができ、自分があたかも実際の場面にいるような臨場感・現実感を得ることができる。
【0112】
また、前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に内部目視用窓を設けて、その内部目視用窓に特定の視点を設定し、その視点からその内部目視用窓を通して内部の表示面を見るような構造とすることもできる。これによって、この箱体を手に持つことのできる程度の大きさのものとすれば、その箱体を手に持って、予め決められた視点からその小さな箱の内部を見ると、広い視野角を持った立体的な画像を見ることができるので、自分があたかも実際の場面にいるような臨場感・現実感を得ることができ、携帯用のゲーム機など幅広い用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる図であり、スクリーン上に自然画像としての画像が表示されている様子を示す図である。
【図2】図1におけるスクリーン上に3つの直交する表示面を有する表示部を重ね合わせた状態を示す図である。
【図3】ある決められた視点から見たときのスクリーン上に表示された画像を3つの直交する表示面にマッピングした様子を示す図である。
【図4】図3で示した3つの直交する表示面にマッピングされた画像をある決められた視点から見たときの画像の見え方を説明する図である。
【図5】本発明の画像表示装置の第1の実施の形態の概略的な構成図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の説明に用いる3DCG画像を2次元的な表示面に2点透視図法で表示した例を示す図である。
【図7】図6で示した画像を左右方向に2等分(図6の一点鎖線に沿って2等分)して、左右それぞれの画像をそれぞれ1枚の平面上にそれぞれ1点透視図法で表現したものを示す図である。
【図8】図7に示す左右2つの画像をつなぎ合わせて単純に1枚の平面上に現した図である。
【図9】図8に示す平面画像を2つの画像のつなぎ合わせ部分で内側に90度に曲げて、視点を2つの消失点を結ぶ水平線上に置いて2つの画像のつなぎ合わせ部分に近づけて見たとき画像がどのように見えるかを説明する図である。
【図10】本発明の画像表示装置の第2の実施の形態の概略的な構成図である。
【図11】本発明で用いる多面体の表示面に画像を表示させる具体例として、直交する2つの内壁面に1台のプロジェクタを用いて投影する例を説明する図である。
【図12】本発明で用いる多面体の表示面に画像を表示させる具体例として、直交する2つの内壁面に2台のプロジェクタを用いて投影する例を説明する図である。
【図13】本発明で用いる多面体の表示面に画像を表示させる具体例として、直交する3つの内壁面に1台のプロジェクタを用いて投影する例を説明する図である。
【図14】本発明で用いる多面体の表示面に画像を表示させる具体例として、直交する3つの内壁面に3台のプロジェクタを用いて投影する例を説明する図である。
【図15】直交する3つの表示面を用いた表示装置の一例として立方体の内部の直交する3つの面を用いた例を説明する図である。
【図16】図15で示した立方体の内部の直交する3つの表示面を3次元座標で説明する図である。
【図17】図15で示した立方体の直交する3つの表示面に表示された画像を展開して示す図である。
【図18】図16の立方体における座標点(1,1,1)、すなわち、内部目視用窓における水平・垂直方向の3つの辺の延長上の交点から見た画像を示す図である。
【図19】立方体のある一面に内部目視用窓を設け、その内部目視用窓の存在する面以外の5つの表示面を用いてそれぞれの表示面ごとに1つの消失点を持つように画像表示を行う例を説明する図である。
【図20】図19に示す立方体の5つの表示面を用いて画像表示を行ったものを展開して示す図である。
【図21】図19に示す立方体の内部を視点を色々変えて見たときの画像の見え方の一例を示す図であり、視点を立方体のある上端辺の中心でかつその上端辺よりも上方に置いて立方体の内部を見た場合を示す図である。
【図22】図21の状態から立方体を少し左方向に回し、かつ、視点を図21よりも少し内部目視用窓に近づけた位置に置いて立方体内部を見た場合を示す図である。
【図23】図22よりもさらに内部目視用窓に近づけた位置に置いて立方体内部を見た場合を示す図である。
【図24】図23の状態で立方体を左方向にわずかに回して立方体内部を見た場合を示す図である。
【符号の説明図】
1 スクリーン(2次元的な表示面)
2 画像(三角形)
10 多面体としての表示部
11a,12a,13a 表示部10の表示面
21 画像変換手段
22 画像表示手段
31 画像(第1の直方体)
32 画像(第2の直方体)
41 画像生成手段
51,52,53,54 内壁面
60,80 立方体
61,62,63 立方体60の表示面
81,82,83,84,85 立方体80の表示面
60a、80a 内部目視用窓
A1,A2,A3 消失点
P1 視点

Claims (16)

  1. 多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示方法であって、
    前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求め、求められた画像をそれぞれの表示面に表示させることを特徴とする画像表示方法。
  2. 前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、それぞれの表示面にどのように表示されるかを求める処理は、
    前記表示すべき画像が自然画像である場合、2次元的な表示面に投影される自然画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面に画像変換する処理であることを特徴とする請求項1記載の画像表示方法。
  3. 前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、それぞれの表示面にどのように表示されるかを求める処理は、
    前記表示すべき画像が3次元コンピュータグラフィックス画像である場合、その3次元コンピュータグラフィックス画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面対応に分割し、その分割されたそれぞれの画像データが、前記それぞれの表示面ごとに1つずつの消失点を有する透視図法によって表示されるような画像生成処理であることを特徴とする請求項1記載の画像表示方法。
  4. 前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面は、隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像表示方法。
  5. 前記隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面は、垂直方向の表示面と水平方向の表示面の組み合わせを含むことを特徴とする請求項3記載の画像表示方法。
  6. 前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、画像表示機能を有する画像表示手段の画像表示画面を前記それぞれの表示画面として用いて行い、これら各画像表示手段の画像表示画面によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像表示方法。
  7. 前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、表示面を画像投影面とし、この画像投影面に画像を投影する1つまたは複数個の画像投影装置を用いて行い、この1つまたは複数個の画像投影手段によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像表示方法。
  8. 前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に箱体内部を見るための内部目視用窓を設けて、その内部目視用窓に、前記特定の視点を設定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像表示方法。
  9. 多面体の複数の内面を表示面として用い、これら複数の表示面にまたがって画像の表示を行う画像表示装置であって、
    前記表示すべき画像をある特定の視点からみたとき、その画像がそれぞれの表示面にどのように表示されるかを求める画像処理手段と、この画像処理手段によって求められた画像をそれぞれの表示面に表示させる画像表示手段とを有したことを特徴とする画像表示装置。
  10. 前記画像処理手段は、前記表示すべき画像が自然画像である場合、2次元的な表示面に投影される自然画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面に画像変換することを特徴とする請求項9記載の画像表示装置。
  11. 前記画像処理手段は、前記表示すべき画像が3次元コンピュータグラフィックスである場合、その3次元コンピュータグラフィックスの画像を、前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面対応に分割し、その分割されたそれぞれの画像データが、前記それぞれの表示面ごとに1つずつの消失点を有するような透視図法によって表示されるような画像生成を行うことを特徴とする請求項9記載の画像表示装置。
  12. 前記多面体を構成する複数の表示面のうちの少なくとも2つの隣り合う表示面は、隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つの表示面であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の画像表示装置。
  13. 前記隣り合う表示面同士が直交する少なくとも2つ表示面は、垂直方向の表示面と水平方向の表示面の組み合わせを含むことを特徴とする請求項12記載の画像表示装置。
  14. 前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、画像表示機能を有する画像表示手段の画像表示画面を前記それぞれの表示画面として用いて行い、これら各画像表示手段の画像表示画面によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の画像表示装置。
  15. 前記複数の表示面にまたがった画像の表示は、表示面を画像投影面とし、この画像投影面に画像を投影する1つまたは複数個の画像投影装置を用いて行い、この1つまたは複数個の画像投影手段によって前記複数の表示面にまたがった画像の表示を行うことを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の画像表示装置。
  16. 前記多面体は箱体とし、その箱体の内面を表示面として用い、その箱体に箱体内部を見るための内部目視用窓を設けて、その内部目視用窓に、前記特定の視点を設定することを特徴とする請求項9から115のいずれかに記載の画像表示装置。
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