JP2004117457A - 静電現像トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能な静電現像トナー。
【解決手段】感光ドラムの周面に形成された30〜50μmの膜厚を有する感光体層に静電潜像を形成し、感光ドラムに対して50〜350kPaのニップ圧で接触されている現像ローラから静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する画像形成装置に使用される静電現像トナーであって、前記静電現像トナーは、重合樹脂粒子中に着色剤が含有されるとともに、互いに粒子径が異なる第1シリカ微粒子及び第2シリカ微粒子の少なくとも一方が外添されており、前記着色剤は、その粒子径が0.1〜0.6μmの範囲にある酸化鉄であり、前記第1シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が50〜150m2/gの範囲にあり、前記第2シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が20〜100m2/gの範囲にある。
【選択図】 なし
【解決手段】感光ドラムの周面に形成された30〜50μmの膜厚を有する感光体層に静電潜像を形成し、感光ドラムに対して50〜350kPaのニップ圧で接触されている現像ローラから静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する画像形成装置に使用される静電現像トナーであって、前記静電現像トナーは、重合樹脂粒子中に着色剤が含有されるとともに、互いに粒子径が異なる第1シリカ微粒子及び第2シリカ微粒子の少なくとも一方が外添されており、前記着色剤は、その粒子径が0.1〜0.6μmの範囲にある酸化鉄であり、前記第1シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が50〜150m2/gの範囲にあり、前記第2シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が20〜100m2/gの範囲にある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光ドラムの感光体層上に形成された静電潜像をトナーにより現像する、所謂、電子写真方式により画像を形成するプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される静電現像トナーに関し、特に、10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能な静電現像トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、感光ドラムの感光体層上に形成された静電潜像を、着色剤を含有するトナー粒子にシリカ微粒子等の外添剤を外添した静電現像トナーを使用して現像する電子写真方式により画像を形成するように構成された各種の画像形成装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−194557号公報には、感光ドラムの駆動時間及び帯電ローラへの電圧印加時間のデータを入力するとともに、不揮発性メモリからクリーニングブレードの感光ドラムに対する当接圧データを入力し、制御部においてはこれらの各データに基づき感光ドラムの表層の膜厚を計算し、その計算した感光ドラムの膜厚に基づき露光装置の感光ドラムに対する画像露光量を制御することにより、感光ドラムにおける表層の膜圧に応じて良好な画像露光量を付与するように構成した画像形成装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−194557号公報(第4〜第6頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した特開平11−194557号公報に記載された画像形成装置では、画像形成に伴って感光ドラムの周面に形成された感光体層が削れてしまう要因として、2つの要因が考慮されている。即ち、その1つの要因は、帯電ローラを感光ドラムに接触させて感光ドラムの外周面における帯電処理を行う接触帯電方式を採用していることから、感光ドラム感光体層は画像形成に伴い帯電ローラを介して削れてしまうことである。もう1つの要因は、転写材へのトナー像の転写後に感光ドラム表面に残留するトナーを除去するについて、感光ドラムにおける感光体層表面に圧接されたクリーニングブレードにより残留トナーを除去する方式を採用していることから、感光ドラム感光体層は画像形成に伴いクリーニングブレードを介して削れてしまうことである。
【0006】
このように、特開平11−194557号公報に記載された画像形成装置では、感光ドラムの感光体層が削れる要因として、画像形成装置の構成上感光ドラムの周面に当接される帯電ローラとクリーニングブレードによる感光体層の削れを勘案しているものである。
【0007】
確かに、画像形成装置の構成上、感光ドラムの感光体層周面に当接される部材が存在する場合には、その部材と感光体層との摩擦接触に起因して感光体層が削れてしまうものではあるが、感光体層が削れる要因としては、これに限定されるものではなく、画像形成装置に使用される静電現像トナーを構成する各成分による感光体層の削れも勘案する必要がある。
【0008】
例えば、静電潜像トナーのトナー粒子に含有される着色剤が粒状の顔料である場合には、その粒子径、含有範囲も感光体層の削れ要因として勘案すべきであり、また、トナー粒子にシリカ微粒子が外添される場合には、その粒子径、外添量も勘案すべきものである。
【0009】
本発明者等は、静電現像トナーの成分が感光ドラムにおける感光体層の削れにどのような影響を与えるかについて実験を行って鋭意検討を重ねた結果本発明をなすに至ったものであり、かかる本発明は10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能な静電現像トナーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に係る静電現像トナーは、感光ドラムの周面に形成された30〜50μmの膜厚を有する感光体層に静電潜像を形成し、感光ドラムに対して50〜350kPaのニップ圧で接触されている現像ローラから静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する画像形成装置に使用される静電現像トナーであって、前記静電現像トナーは、樹脂粒子中に着色剤が含有されるとともに、互いに粒子径が異なる第1シリカ微粒子及び第2シリカ微粒子の少なくとも一方が外添されており、前記着色剤は、その粒子径が0.1〜0.6μmの範囲にある酸化鉄であり、トナーに対して5〜10vol%含有されており、前記第1シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が50〜150m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.3〜2重量%であり、前記第2シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が20〜100m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.5〜2重量%であることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載されているように、感光ドラムの感光体層の初期膜厚を30〜50μmの範囲に設定し、且つ、感光ドラムに対する現像ローラのニップ圧を50〜350kPaの範囲ら設定した画像形成装置に対して、前記のように調整された静電現像トナーを使用して画像形成を行った場合、10000枚程度の画像形成を行った後における感光ドラムの感光体層の削れ量を20〜40μm以下に抑制することができる。これにより、10000枚程度の画像形成後においても、感光体層の膜厚を10μm以上残存させることができ、更に連続して画像形成を行うことができる。
【0012】
ここに、感光体層の膜厚が10μm以下に薄くなると、膜厚の減少に従って画像のかぶりが増加し、適正な画像形成を行うことができなくなることから、画像形成を適正に行うために感光体層は最低限10μm以上の膜厚を有していることが必要である。
【0013】
尚、酸化鉄のトナーに対する含有量は、請求項2に記載されているように、6〜8vol%であることが望ましい。
【0014】
また、第1シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、請求項3に記載されているように、80〜120m2/gの範囲にあることが望ましい。
【0015】
更に、第2シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、請求項4に記載されているように、40〜80m2/gであることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る静電現像トナーについて、本発明を具体化した実施形態に基づき説明する。
【0017】
[画像形成装置について]
先ず、本実施形態に係る静電現像トナーが使用される画像形成装置としてのレーザプリンタについて、図1及び図2に基づき説明する。図1はレーザプリンタの縦断側断面図、図2はレーザプリンタの現像ユニット及び感光ドラム部分の拡大側面図である。
【0018】
図1において、本発明の実施態に係るレーザプリンタ1は、本体ケース2と、画像形成の為の記録媒体としての用紙Pを給紙するフィーダユニット10と、画像形成のための帯電、露光、現像、転写、回収等の工程が順次行われる感光体である感光ドラム20と、感光ドラム20から用紙Pに転写された転写画像を用紙Pに定着させるための定着ユニット70と、画像が定着された用紙Pを搬送路PPに沿って排出するための排紙トレイ77とを備えて構成されている。
【0019】
レーザプリンタ1はまた、感光ドラム20を回動するための図示しない駆動手段を備えており、更に感光ドラム20の周囲に沿って順に、駆動手段により回動される感光ドラム20上に静電潜像を形成するレーザスキャナユニット30と、感光ドラム20上に形成された静電潜像をトナーにより現像するための現像ローラ56を有する現像ユニット50と、感光ドラム20上に現像されたトナー画像を用紙Pに転写する転写ローラ60と、転写後の感光ドラム20に残された残留電位を除去する除電ランプ41と、転写ローラ60による転写の後に感光ドラム20に残留した残留トナーを感光ドラム20を用いて所定のタイミングで現像ユニット50に戻すために、除電ランプ41により除電した後の感光ドラム20上の残留トナーを一時的に吸着して且つ吐き出してならすクリーニングローラ42と、除電及びならし後の感光ドラム20を静電潜像形成可能に帯電させるための帯電器40とを備えて構成されている。
【0020】
また、フィーダユニット10は、本体ケース2の後端部に位置する上部のフィーダ部ケース3内に配置された、用紙Pと略同様の幅寸法を有する用紙押圧板11を備える。用紙押圧板11は、その後端部において揺動可能に枢支されている。用紙押圧板11の前端部には、圧縮バネ12が設けられており、該圧縮バネ12により用紙押圧板11は上側に弾性付勢される。用紙押圧板11には、左右方向に延びる給紙ローラ13が、回転自在に枢支されている。給紙ローラ13は、図示外の駆動系により、給紙のタイミングで回転駆動されるように構成されている。フィーダユニット10はまた、フィーダ部ケース3内に、定形カット紙からなる用紙Pを複数枚収容可能な給紙カセット14が傾斜状に着脱自在に装着されており、給紙ローラ13の回転により、給紙カセット14に収容された用紙Pのうち、上側の用紙Pから1枚ずつ給紙されるように構成されている。更に、フィーダユニット10は、用紙Pの重送を防止する為に、給紙ローラ13の下側に分離部材15を備えており、この分離部材15は、圧縮バネ16により給紙ローラ13に弾性付勢されている。給紙ローラ13よりも搬送方向(図1において、後方から前方向き)下流側には、給紙された用紙Pの先端を揃える1対のレジストローラ17及び18が回転可能に夫々枢支されている。
【0021】
図1及び図2において、感光ドラム20は、正帯電性の材料から構成されており、例えば、正帯電性のポリカーボネイトを主成分とする有機感光体からなる。より具体的には、図2に示すように、感光ドラム20は、例えば、円筒状でアルミ製の円筒スリーブ21を本体として、その外周部に、ポリカーボネートに光導電性樹脂を分散させた所定厚さ(例えば、初期膜厚は、30〜50μmに設定されている)の光導電層22を形成した中空状のドラムから構成されており、円筒スリーブ21を接地した状態で、本体ケース2に回転自在に枢支されている。即ち、感光ドラム20上に形成されたプラス極性(正帯電)の静電潜像に対して、プラス極性に帯電したトナー53を反転現像方式で現像するように構成されている。感光ドラム20は、駆動手段により、側面視で時計回りに回転駆動されるように構成されている。
【0022】
図1において、レーザスキャナユニット30は、感光ドラム20の下側に配設されており、感光ドラム20上に静電潜像を形成する為のレーザ光Lを発生するレーザ発生器31、回転駆動されるポリゴンミラー(5面体ミラー)32、一対のレンズ33及び34、並びに一対の反射ミラー35及び36を含んで構成されている。
【0023】
帯電器40は、例えば、タングステンなどからなる帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器から構成されている。本実施の形態では、クリーナーレス方式を採るが、帯電器40は感光ドラム20に対して非接触に対向配置されており、感光ドラム20上の残留トナーが帯電器40に付着しないように構成されている。
【0024】
本体ケース2に設けられた除電ランプ41は、例えば、LED(レーザ発光ダイオード)、EL(ElectroLuminescence)、蛍光灯などの光源を備えて構成されており、転写後に感光ドラム20に残留する電荷を光Leを照射することにより、除去(除電)する。
【0025】
クリーニングローラ42は、バイアス電圧を変化させることにより、吸引モードにおいて、転写ローラ60による転写の後に感光ドラム20に残留した残留トナー53を一旦吸収し、吐き出しモードにおいて、感光ドラム20上で行われる次の露光、現像、転写等の妨げとならないタイミングで、吸収した残留トナー53を感光ドラム20に吐き出してならすことにより、残留トナー53を感光ドラム20上より現像ユニット50に戻すように構成されている。かかるクリーニングローラ42は、例えば、バイアス電圧印加可能なシリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。
【0026】
尚、クリーニングローラ42は感光ドラム20に接触しているが、前記のようにシリコンゴムやウレタンゴムの発砲弾性体から構成されているので感光ドラム20との摩擦は低減され、そのクリーニング動作時に感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうことはない。
【0027】
図1及び図2において、現像ユニット50は、現像部ケース4内に着脱可能に装着された二重円筒状のトナーボックス51を備えている。トナーボックス51は、回転駆動されるアジテータ52と、電気絶縁性を有する正帯電性のトナー53とを収容する。トナーボックス51の前側には、トナーボックス51に形成されたトナー供給口51aを介してアジテータ52の回転により供給されたトナー53を貯蔵するトナー貯蔵室54が形成されている。トナー貯蔵室54には、供給ローラ55がその長手方向に水平に配設され、回転可能に枢支されている。更に、トナー貯蔵室54の前側を仕切るように且つ供給ローラ55と感光ドラム20とに夫々接するように、現像ローラ56がその長手方向に水平に配設され、回転可能に枢支されている。
【0028】
供給ローラ55は、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。また、現像ローラ56は、図2に示すように感光ドラム20と接触することにより、ニップ部Nを構成し、更に、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性のリジッドなローラである。本実施形態のレーザプリンタ1では例えば、正帯電性のトナー及び正帯電性のポリカーボネイトを主成分とする有機感光体からなる感光ドラム20を用いているので、ウレタンゴムが現像ローラ56の材料とされる。
【0029】
尚、感光ドラム20に対する現像ローラ56のニップ圧(当接圧)は、50〜350kPaの範囲に設定されている。かかるニップ圧が50kPa以下に低くなると、現像ローラ56における偏心状態が直接画像に現れることとなって画像に歪が発生してしまい、また、ニップ圧が350kPa以上に高くなると、現像ローラ56を駆動するためのトルクが大きくなり過ぎて、その駆動上支障が発生する。
【0030】
図2に示すように、現像ユニット50における現像部ケース4にはトナー貯蔵室54が設けられており、トナー貯蔵室54は、供給ローラ55の上側の上部空間Sを大きく設けて形成されている。
【0031】
図1及び図2において、現像部ケース4には、ステンレス製またはリン青銅製の薄い板状の弾性を有する層厚規制ブレード57が下向きに取り付けられている。
【0032】
層厚規制ブレード57の下端部に形成された屈曲部57aが、現像ローラ56に押圧状態で接触しており、供給ローラ55から供給されて現像ローラ56の表面に層状に付着したトナー53の層厚が、この層厚規制ブレード57で所定厚さ(約7〜12μm)に規制される。
【0033】
転写ローラ60は、感光ドラム20の上側に接するように設けられ回転自在に枢支され、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。
【0034】
定着ユニット70は、感光ドラム20よりも搬送方向下流側に設けられ、周知のハロゲンランプを内蔵した加熱用ローラ71と押圧ローラ72とからなり、用紙Pの下面に転写されたトナー画像が加熱されつつ押圧されて用紙Pに定着される。
【0035】
用紙搬送用の1対の搬送ローラ75及び排紙トレイ77は、定着ユニット70の搬送方向下流側に夫々設けられている。
【0036】
本実施の形態によれば、図1に示すように、給紙ローラ13、感光ドラム20、定着ユニット70及び排紙トレイ77は、略直線形状に延びる搬送経路PPに沿って給紙カセット14から給紙された用紙Pを搬送するように構成されている。
【0037】
[トナーについて]
本実施形態におけるトナー53は、正帯電性のものであり、例えば、真球形状に近いスチレンアクリルなどからなる重合樹脂トナーからなる非磁性一成分トナーであり、かかる重合樹脂トナー粒子中には着色剤としての酸化鉄粒子が含有されているとともに、互いに粒子径が異なり流動性を付与する2種類のシリカ微粒子(以下において、粒子径の小さいシリカ微粒子をシリカA、粒子径の大きいシリカ微粒子をシリカBとする)、ワックス、荷電制御剤等の各種の外添剤が添加されている。尚、シリカAは主としてトナー流動性を向上させる作用を行い、トナーBは主としてトナー間の接着を防止する作用を行うものであり、両方のシリカの協働作用に基づき画像のかぶりや白抜けを防止して画質の向上を図るものである。尚、トナーは前記重合トナーの他に、粉砕トナーを用いてもよい。
【0038】
続いて、前記したように、感光ドラム20の周面に形成された光導電層22の初期膜厚が30〜50μmの範囲に設定され、且つ、感光ドラム20に対する現像ローラ56のニップ圧が50〜350kPaの範囲に設定されているレーザプリンタ1に使用されるトナー53に関して、先ずそのトナーを構成するトナー粒子中に含有される酸化鉄粒子の粒子径、含有量、及び、シリカAとシリカBの外添量、粒子径と光導電層22の削れ量との関係を示す関数式を導出し、次いで、酸化鉄粒子の粒子径、及び、シリカAとシリカBの外添量を種々変えた場合における光導電層22の削れ量と関数式の値とを比較検討する。
A.関数式の導出
(1)導出の前提
▲1▼レーザプリンタの構造上の前提
前記したレーザプリンタ1の構造から明らかなように、感光ドラム20の光導電層22には、クリーニングローラ42、現像ローラ56及び転写ローラ60が当接している。このとき、クリーニングローラ42はシリコンゴムやウレタンゴムの発砲弾性体から構成されているので感光ドラム20との摩擦は低減され、そのクリーニング動作時に感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうことはない。また、転写ローラ60も同様に、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されており、用紙Pに画像を転写する際に感光ドラム20の光導電層22を削ることはない。これに対して、現像ローラ56は、ウレタンゴムから構成されるリジッドなローラであり、現像ローラ56の表面に付着したトナー53を光導電層22の静電潜像に付着させて現像する際には、ニップ部Nにて付与されている現像ローラ56のニップ圧に基づき光導電層22を削ってしまうと考えられる。
【0039】
これより、感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうレーザプリンタ1の構造上の要因としては、現像ローラ56による光導電層22の削れを勘案するものとする。このとき、光導電層22の削れ量は、その光導電層22に対する現像ローラ56のニップ圧を変数とする所定の関数に従って変化するものとする。
▲2▼トナーの成分上の前提
トナーは、着色剤として酸化鉄粒子が含有された重合樹脂トナー粒子、かかる重合樹脂トナー粒子に外添されたシリカA及びシリカB、その他トナーの構成上必要なワックス、荷電制御剤等の外添剤が添加されることにより構成されている。
【0040】
ここに、画像形成時に、感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうトナー成分の要因としては、光導電層22よりも硬い成分である酸化鉄粒子、シリカA、シリカBを勘案し、光導電層22の削れ量は、酸化鉄粒子の粒子径、含有量、シリカA及びシリカBの粒子径、外添量を変数として所定関数に従って変化するものとする。
▲3▼光導電層の下限値
画像形成に必要な光導電層の下限値を見出すため、光導電層の膜厚と画像のかぶりとの関係を調べた。この結果が図3に示されている。図3は光導電層の膜厚とかぶりとの関係を示すグラフであり、横軸は光導電層の膜厚、縦軸はかぶり値を示す。
【0041】
図3において、グラフAは、新品の感光ドラムとトナーを使用してかぶり測定を行って得られたかぶり値の初期値を示しており、かぶり値の初期値は、測定範囲で8を示して変化していないことが分かる。
【0042】
一方、グラフBは、膜厚の異なる光導電膜を有する使用済みの複数の感光ドラムと新品トナーとを使用して得られたかぶり値の変化を示しており、光導電層の膜厚が11μmから10μmまではかぶり値は8以下の良好な値を示しているが、膜厚が10μm以下の範囲では膜厚が減少するに従ってかぶり値が8を越えて増加していくことが分かる。これは、光導電層の膜厚が10μm以下に減少していくと、絶縁性低下又は帯電能力の低下に起因して電位の低下が発生することが原因であると考えられる。
【0043】
前記より、画像形成に必要な光導電層の膜厚の下限値としては、10μmが要求されるものとする。
▲4▼印字デューティと光導電層の削れ量との関係
印字デューティと光導電層の削れ量との関係を調べるために、次のような測定を行った。
【0044】
先ず、2種類のトナーA、B(粒子径が同一で種類の異なる着色剤を使用し、他の成分は同一であるトナー)を使用して耐久印字を行い、印字枚数と印字濃度の関係を測定した。この測定結果が図4に示されている。図4は2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と印字濃度との関係示すグラフである。図4に示されるように、トナーA、トナーBについても耐久印字中、特に、印字枚数が2000枚から3000枚の間で印字濃度は大きく変化している。即ち、耐久印字中印字デューティは大きく変化することが分かる。
【0045】
次に、同様に2種類のトナーA、Bを使用して耐久印字を行い、印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。この測定結果が図5に示されている。図5は2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と光導電層の削れ量とのとの関係示すグラフである。図5に示されるように、トナーA、トナーBについても印字枚数の増加に従って略線形の変化を示しており、印字枚数が2000枚と3000枚との間で大きな変化はない。
【0046】
前記した図4のグラフと図5のグラフとを対比すれば明らかなように、印字デューティと光導電層の削れ量との間には相関関係は存在していないものと考えられ、従って、以下における光導電層の削れ量に関する関数式の導出に当たっては印字デューティは勘案しないこととする。
(2)関数式の導出
▲1▼前記にて検討したように、トナーの構成成分の内光導電層の削れに影響を与える成分は、酸化鉄粒子、シリカA及びシリカBであることから、先ず、これらの各成分が光導電層の削れにどのように寄与するのかについて検討する。尚、以下においては、シリカA、シリカB、酸化鉄粒子の順に検討することとする。
▲2▼シリカAについて
シリカAとして、BET比表面積100m2/gのシリカを使用し、かかるシリカAの光導電層の削れ量への寄与を調べるため、先ず、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカA及びBのいずれも外添しないトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧290kPaにて光導電層の削れ量を測定した。かかる測定の結果、前記のようなトナーは光導電層の削れに寄与しないことが確認された。これにより、着色剤としてのカーボンブラックは、光導電層の削れには寄与しないことが確認されたこととなる。
【0047】
次に、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカAを1%(重量%)外添したトナーを調整し、現像ローラのニップ圧290kPaにて印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。かかる測定結果が図6に示されている。図6は印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は印字枚数、縦軸は削れ量を示す。
【0048】
図6において、光導電層の削れ量は、印字枚数の増加に従って直線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式1となる。
【0049】
【数1】
【0050】
前記数式1に基づき6000枚印字後における光導電層の削れ量は8.5μmと算出された。
【0051】
ここに、シリカA及びBを外添しない場合(外添量0%)には、光導電層の削れは発生しないことが確認されており、従って、光導電層の削れ量を表す関数式について図7のグラフCに示すような原点を通る線形プロットを想定しても問題はないものと考えられる。
【0052】
尚、実際には、シリカA及びBの外添量が0%の場合、フィルミングが発生することから、図7のグラフCにおける切片は若干マイナス値となるものと考えられるが、ここではより厳しい条件(切片=0μm)を用いるものとする。
【0053】
これより、図7のグラフCにおいて、シリカAをx%外添し、1000枚印字をした時の光導電層の削れ量は、下記数式2で表される。
【0054】
【数2】
【0055】
尚、数式2において、係数1.4は、6000枚当たりの削れ量8.5μmを1000枚当たりに換算した係数である。
▲3▼シリカBについて
シリカBとして、BET比表面積50m2/gのシリカを使用し、かかるシリカBの光導電層の削れ量への寄与を調べるため、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカBを1%(重量%)外添したトナーを調整し、現像ローラのニップ圧290kPaにて印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。かかる測定結果が図8に示されている。図8は印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は印字枚数、縦軸は削れ量を示す。
【0056】
図8において、光導電層の削れ量は、印字枚数の増加に従って直線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式3となる。
【0057】
【数3】
【0058】
前記数式3に基づき6000枚印字後における光導電層の削れ量は20.7μmと算出された。
【0059】
ここに、前記シリカAの場合と同様、シリカA及びBを外添しない場合(外添量0%)には、光導電層の削れは発生しないことが確認されており、従って、光導電層の削れ量を表す関数式について図7のグラフDに示すような原点を通る線形プロットを想定しても問題はないものと考えられる。
【0060】
尚、実際には、シリカA及びBの外添量が0%の場合、フィルミングが発生することから、図7のグラフDにおける切片は若干マイナス値となるものと考えられるが、ここではより厳しい条件(切片=0μm)を用いるものとする。
【0061】
これより、図7のグラフDにおいて、シリカBをy%外添し、1000枚印字をした時の光導電層の削れ量は、下記数式4で表される。
【0062】
【数4】
【0063】
尚、数式4において、係数3.5は、6000枚当たりの削れ量20.7μmを1000枚当たりに換算した係数である。
▲4▼シリカA及びシリカBによる削れ量への寄与
以上より、シリカAをx%、シリカBをy%外添し、現像ローラのニップ圧を290kPaに設定して1000枚印字した場合におけるシリカAとシリカBの光導電層の削れ量への寄与は、下記数式5で表される。
【0064】
【数5】
【0065】
▲5▼酸化鉄粒子について
酸化鉄粒子の光導電層の削れ量への寄与を調べるため、粒子径を種々変えた酸化鉄粒子を6%(体積%)含有する重合樹脂粒子に対して、シリカAを%(1重量%)、シリカBを0.5%(重量%)外添したトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧290kPaにて1000枚の印字を行って光導電層の削れ量を測定した。かかる測定結果が図9に示されている。図9は酸化鉄粒子の粒子径と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は酸化鉄粒子の粒子径、縦軸は削れ量を示す。
【0066】
図9において、光導電層の削れ量は、酸化鉄粒子の粒子径が増加するに従って指数関数的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式6となる。
【0067】
【数6】
【0068】
ここに、前記数式6に基づき、酸化鉄粒子の粒子径をz(μm)で表すと、1000枚印字時における酸化鉄粒子の光導電層に対する削れ量の寄与は、下記数式7で表される。
【0069】
【数7】
【0070】
▲6▼現像ローラのニップ圧について
現像ローラの感光ドラムへのニップ圧に基づく光導電層への削れ量の寄与を調べるため、粒子径0.3μmの酸化鉄を含有する重合樹脂トナーに対して、シリカAを0.5重量%、シリカBを0.5重量%外添したトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧を種々変化させて1000枚の耐久印字を行って光導電層の削れ利用を測定した。かかる測定結果が図10に示されている。図10は現像ローラのニップ圧と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は現像ローラのニップ圧、縦軸は削れ量を示す。
【0071】
図10において、現像ローラのニップ圧が増加するに従って光導電層の削れ量は曲線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシュミレーションすると、下記数式8となる。
【0072】
【数8】
【0073】
ここに、前記数式5及び数式7は、いずれも現像ローラのニップ圧が290kPaの条件下で導出されたものであり、これを勘案してニップ圧290kPaに対応する光導電層の削れ量を前記数式8から求めると、削れ量は4.4μmとなる。従って、数式8において、1kPa当たりの光導電層の削れ量を求めるには、数式8を4.4で除すればよい。
【0074】
即ち、1000枚の印字を行った場合における現像ローラのニップ圧1kPa(p)に対応する光導電層の削れ量は、下記数式9で表すことができる。
【0075】
【数9】
【0076】
▲7▼前記にて説明したところに基づき、粒子径zμmの酸化鉄を6%(vol%)含有する重合樹脂トナー粒子に、シリカAをx%(重量%)、シリカBをy%(重量%)外添したトナーを使用し、現像ローラのニップ圧p(kPa)で1000枚の印字を行う場合、光導電層の削れ量は、下記数式10で表される。
【0077】
【数10】
【0078】
前記数式10は、1000枚印字当たりの削れ量を表していることから、印字枚数をsとして一枚印字当たりの削れ量に換算すると、下記数式11で表すことができる。
【0079】
【数11】
【0080】
ここに、前記にて説明したように、画像形成に必要な光導電層の膜厚の下限値として10μmが要求されることから、光導電層の初期膜厚をtとした場合、印字により削られた後に残存する光導電層の膜厚は、(t−10)で表される。そして、残存膜厚(t−10)が前記数式11で示される削れ量よりも大きい場合には、画像形成上問題はないこととなる。これを数式で表すと、下記数式12のように表される。
【0081】
【数12】
【0082】
B.光導電層の削れ量と関数値との関係
(1)重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行って光導電層の削れ量につき測定を行うとともに、削れ量と数式12の左辺で示される関数の関数値(fとする)との関係について検討した。
【0083】
ここに、耐久印字枚数を10000枚としたのは、5000枚程度の耐久印字では現実の製品として許容されるレベルではなく、また、数万枚としたのでは、現実の製品の許容レベルからあまりにかけ離れてしまうからである。
(2)実施例
▲1▼重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行った結果が、実施例1〜6として下記表1に示されている。
【0084】
【表1】
【0085】
▲2▼実施例1では、シリカAの外添量が0.5%、シリカBの外添量が0.5%、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.3μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は200kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は32.7μmであり、10000枚印字後における膜厚は14.5μmであった。これより、光導電層の削れ量は、18.2μとなる。このとき、関数値fは、−3.5となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0086】
この場合、シリカA及びBの外添量、酸化鉄粒子の粒子径、現像ローラのニップ圧が適正な範囲であることに基づき、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲3▼実施例2では、シリカAの外添量が0.4%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は350kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は32.3μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.5μmであった。これより、光導電層の削れ量は、20.8μmとなる。このとき、関数値fは、−1.7となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0087】
この場合、現像ローラのニップ圧は350kPaと高く設定されているが、シリカAのBET比表面積が100m2/gで粒子径が小さく、また、酸化鉄の粒子径も0.1μmと小さいことから、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲4▼実施例3では、シリカAの外添量が0.3%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.45μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は31.8μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.9μmであった。これより、光導電層の削れ量は、19.9μmとなる。このとき、関数値fは、−1.6となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0088】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径は0.45μmと大きいが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低いことから、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲5▼実施例4では、シリカAは外添されておらず、シリカBの外添量が1.8%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は49.5μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.3μmであった。これより、光導電層の削れ量は、38.2μmとなる。このとき、関数値fは、−1.2となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0089】
この場合、シリカBの外添量が1.8%と多いが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、酸化鉄粒子の粒子径が0.1μmと小さく、且つ、光導電層の初期膜厚が49.5μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
▲6▼実施例5では、シリカAの外添量が2%、シリカBの外添量が1%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は50μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.1μmであった。これより、光導電層の削れ量は、38.9μmとなる。このとき、関数値fは、−1.7となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0090】
この場合、シリカAの外添量が2%、シリカBの外添量が1%とシリカ全体の外添量は多いが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、酸化鉄粒子の粒子径が0.1μmと小さく、且つ、光導電層の初期膜厚が50μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
▲7▼実施例6では、シリカAの外添量が0.5%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.6μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は50μmであり、10000枚印字後における膜厚は10.8μmであった。これより、光導電層の削れ量は、39.2μmとなる。このとき、関数値fは、−0.4となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0091】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径が0.6μmと大きいが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、且つ、光導電層の初期膜厚が50μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
(3)比較例
▲1▼重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行った結果が、比較例1〜5として前記表1に示されている。
▲2▼比較例1では、シリカAの外添量が0.3%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は400kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は31.2μmであり、10000枚印字後における膜厚は3.6μmであった。これより、光導電層の削れ量は、27.6μmとなる。このとき、関数値fは、31.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0092】
この場合、現像ローラのニップ圧が高すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲3▼比較例2では、シリカAの外添量が6%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.7μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、11.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0093】
この場合、シリカAの外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲4▼比較例3では、シリカAは外添されておらず、シリカBの外添量が3%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.5μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、23.0となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0094】
この場合、粒子径の大きい(BET比表面積50m2/g)シリカBの外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲5▼比較例4では、シリカAの外添量が3%、シリカBの外添量が1%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.7μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、11.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0095】
この場合、シリカAの外添量が多く、また、粒子径の大きいシリカBも1%外添されており、シリカA及びBの全体の外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲6▼比較例5では、シリカAの外添量が0.5%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.8μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は49.5μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、54.4となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0096】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径が0.8μmと大きすぎたため、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係る静電現像トナーによれば、10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザプリンタの縦断側断面図である。
【図2】レーザプリンタの現像ユニット及び感光ドラム部分の拡大側面図である。
【図3】光導電層の膜厚とかぶりとの関係を示すグラフであ
【図4】2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と印字濃度との関係示すグラフである。
【図5】2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と光導電層の削れ量とのとの関係示すグラフである。
【図6】印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであである。
【図7】シリカA及びシリカBの外添量と光導電層の削れ量との関係を線形プロットで示すグラフである。
【図8】印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【図9】酸化鉄粒子の粒子径と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【図10】現像ローラのニップ圧と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レーザプリンタ
20 感光ドラム
22 光導電層
56 現像ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光ドラムの感光体層上に形成された静電潜像をトナーにより現像する、所謂、電子写真方式により画像を形成するプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される静電現像トナーに関し、特に、10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能な静電現像トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、感光ドラムの感光体層上に形成された静電潜像を、着色剤を含有するトナー粒子にシリカ微粒子等の外添剤を外添した静電現像トナーを使用して現像する電子写真方式により画像を形成するように構成された各種の画像形成装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−194557号公報には、感光ドラムの駆動時間及び帯電ローラへの電圧印加時間のデータを入力するとともに、不揮発性メモリからクリーニングブレードの感光ドラムに対する当接圧データを入力し、制御部においてはこれらの各データに基づき感光ドラムの表層の膜厚を計算し、その計算した感光ドラムの膜厚に基づき露光装置の感光ドラムに対する画像露光量を制御することにより、感光ドラムにおける表層の膜圧に応じて良好な画像露光量を付与するように構成した画像形成装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−194557号公報(第4〜第6頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した特開平11−194557号公報に記載された画像形成装置では、画像形成に伴って感光ドラムの周面に形成された感光体層が削れてしまう要因として、2つの要因が考慮されている。即ち、その1つの要因は、帯電ローラを感光ドラムに接触させて感光ドラムの外周面における帯電処理を行う接触帯電方式を採用していることから、感光ドラム感光体層は画像形成に伴い帯電ローラを介して削れてしまうことである。もう1つの要因は、転写材へのトナー像の転写後に感光ドラム表面に残留するトナーを除去するについて、感光ドラムにおける感光体層表面に圧接されたクリーニングブレードにより残留トナーを除去する方式を採用していることから、感光ドラム感光体層は画像形成に伴いクリーニングブレードを介して削れてしまうことである。
【0006】
このように、特開平11−194557号公報に記載された画像形成装置では、感光ドラムの感光体層が削れる要因として、画像形成装置の構成上感光ドラムの周面に当接される帯電ローラとクリーニングブレードによる感光体層の削れを勘案しているものである。
【0007】
確かに、画像形成装置の構成上、感光ドラムの感光体層周面に当接される部材が存在する場合には、その部材と感光体層との摩擦接触に起因して感光体層が削れてしまうものではあるが、感光体層が削れる要因としては、これに限定されるものではなく、画像形成装置に使用される静電現像トナーを構成する各成分による感光体層の削れも勘案する必要がある。
【0008】
例えば、静電潜像トナーのトナー粒子に含有される着色剤が粒状の顔料である場合には、その粒子径、含有範囲も感光体層の削れ要因として勘案すべきであり、また、トナー粒子にシリカ微粒子が外添される場合には、その粒子径、外添量も勘案すべきものである。
【0009】
本発明者等は、静電現像トナーの成分が感光ドラムにおける感光体層の削れにどのような影響を与えるかについて実験を行って鋭意検討を重ねた結果本発明をなすに至ったものであり、かかる本発明は10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能な静電現像トナーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に係る静電現像トナーは、感光ドラムの周面に形成された30〜50μmの膜厚を有する感光体層に静電潜像を形成し、感光ドラムに対して50〜350kPaのニップ圧で接触されている現像ローラから静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する画像形成装置に使用される静電現像トナーであって、前記静電現像トナーは、樹脂粒子中に着色剤が含有されるとともに、互いに粒子径が異なる第1シリカ微粒子及び第2シリカ微粒子の少なくとも一方が外添されており、前記着色剤は、その粒子径が0.1〜0.6μmの範囲にある酸化鉄であり、トナーに対して5〜10vol%含有されており、前記第1シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が50〜150m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.3〜2重量%であり、前記第2シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が20〜100m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.5〜2重量%であることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載されているように、感光ドラムの感光体層の初期膜厚を30〜50μmの範囲に設定し、且つ、感光ドラムに対する現像ローラのニップ圧を50〜350kPaの範囲ら設定した画像形成装置に対して、前記のように調整された静電現像トナーを使用して画像形成を行った場合、10000枚程度の画像形成を行った後における感光ドラムの感光体層の削れ量を20〜40μm以下に抑制することができる。これにより、10000枚程度の画像形成後においても、感光体層の膜厚を10μm以上残存させることができ、更に連続して画像形成を行うことができる。
【0012】
ここに、感光体層の膜厚が10μm以下に薄くなると、膜厚の減少に従って画像のかぶりが増加し、適正な画像形成を行うことができなくなることから、画像形成を適正に行うために感光体層は最低限10μm以上の膜厚を有していることが必要である。
【0013】
尚、酸化鉄のトナーに対する含有量は、請求項2に記載されているように、6〜8vol%であることが望ましい。
【0014】
また、第1シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、請求項3に記載されているように、80〜120m2/gの範囲にあることが望ましい。
【0015】
更に、第2シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、請求項4に記載されているように、40〜80m2/gであることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る静電現像トナーについて、本発明を具体化した実施形態に基づき説明する。
【0017】
[画像形成装置について]
先ず、本実施形態に係る静電現像トナーが使用される画像形成装置としてのレーザプリンタについて、図1及び図2に基づき説明する。図1はレーザプリンタの縦断側断面図、図2はレーザプリンタの現像ユニット及び感光ドラム部分の拡大側面図である。
【0018】
図1において、本発明の実施態に係るレーザプリンタ1は、本体ケース2と、画像形成の為の記録媒体としての用紙Pを給紙するフィーダユニット10と、画像形成のための帯電、露光、現像、転写、回収等の工程が順次行われる感光体である感光ドラム20と、感光ドラム20から用紙Pに転写された転写画像を用紙Pに定着させるための定着ユニット70と、画像が定着された用紙Pを搬送路PPに沿って排出するための排紙トレイ77とを備えて構成されている。
【0019】
レーザプリンタ1はまた、感光ドラム20を回動するための図示しない駆動手段を備えており、更に感光ドラム20の周囲に沿って順に、駆動手段により回動される感光ドラム20上に静電潜像を形成するレーザスキャナユニット30と、感光ドラム20上に形成された静電潜像をトナーにより現像するための現像ローラ56を有する現像ユニット50と、感光ドラム20上に現像されたトナー画像を用紙Pに転写する転写ローラ60と、転写後の感光ドラム20に残された残留電位を除去する除電ランプ41と、転写ローラ60による転写の後に感光ドラム20に残留した残留トナーを感光ドラム20を用いて所定のタイミングで現像ユニット50に戻すために、除電ランプ41により除電した後の感光ドラム20上の残留トナーを一時的に吸着して且つ吐き出してならすクリーニングローラ42と、除電及びならし後の感光ドラム20を静電潜像形成可能に帯電させるための帯電器40とを備えて構成されている。
【0020】
また、フィーダユニット10は、本体ケース2の後端部に位置する上部のフィーダ部ケース3内に配置された、用紙Pと略同様の幅寸法を有する用紙押圧板11を備える。用紙押圧板11は、その後端部において揺動可能に枢支されている。用紙押圧板11の前端部には、圧縮バネ12が設けられており、該圧縮バネ12により用紙押圧板11は上側に弾性付勢される。用紙押圧板11には、左右方向に延びる給紙ローラ13が、回転自在に枢支されている。給紙ローラ13は、図示外の駆動系により、給紙のタイミングで回転駆動されるように構成されている。フィーダユニット10はまた、フィーダ部ケース3内に、定形カット紙からなる用紙Pを複数枚収容可能な給紙カセット14が傾斜状に着脱自在に装着されており、給紙ローラ13の回転により、給紙カセット14に収容された用紙Pのうち、上側の用紙Pから1枚ずつ給紙されるように構成されている。更に、フィーダユニット10は、用紙Pの重送を防止する為に、給紙ローラ13の下側に分離部材15を備えており、この分離部材15は、圧縮バネ16により給紙ローラ13に弾性付勢されている。給紙ローラ13よりも搬送方向(図1において、後方から前方向き)下流側には、給紙された用紙Pの先端を揃える1対のレジストローラ17及び18が回転可能に夫々枢支されている。
【0021】
図1及び図2において、感光ドラム20は、正帯電性の材料から構成されており、例えば、正帯電性のポリカーボネイトを主成分とする有機感光体からなる。より具体的には、図2に示すように、感光ドラム20は、例えば、円筒状でアルミ製の円筒スリーブ21を本体として、その外周部に、ポリカーボネートに光導電性樹脂を分散させた所定厚さ(例えば、初期膜厚は、30〜50μmに設定されている)の光導電層22を形成した中空状のドラムから構成されており、円筒スリーブ21を接地した状態で、本体ケース2に回転自在に枢支されている。即ち、感光ドラム20上に形成されたプラス極性(正帯電)の静電潜像に対して、プラス極性に帯電したトナー53を反転現像方式で現像するように構成されている。感光ドラム20は、駆動手段により、側面視で時計回りに回転駆動されるように構成されている。
【0022】
図1において、レーザスキャナユニット30は、感光ドラム20の下側に配設されており、感光ドラム20上に静電潜像を形成する為のレーザ光Lを発生するレーザ発生器31、回転駆動されるポリゴンミラー(5面体ミラー)32、一対のレンズ33及び34、並びに一対の反射ミラー35及び36を含んで構成されている。
【0023】
帯電器40は、例えば、タングステンなどからなる帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器から構成されている。本実施の形態では、クリーナーレス方式を採るが、帯電器40は感光ドラム20に対して非接触に対向配置されており、感光ドラム20上の残留トナーが帯電器40に付着しないように構成されている。
【0024】
本体ケース2に設けられた除電ランプ41は、例えば、LED(レーザ発光ダイオード)、EL(ElectroLuminescence)、蛍光灯などの光源を備えて構成されており、転写後に感光ドラム20に残留する電荷を光Leを照射することにより、除去(除電)する。
【0025】
クリーニングローラ42は、バイアス電圧を変化させることにより、吸引モードにおいて、転写ローラ60による転写の後に感光ドラム20に残留した残留トナー53を一旦吸収し、吐き出しモードにおいて、感光ドラム20上で行われる次の露光、現像、転写等の妨げとならないタイミングで、吸収した残留トナー53を感光ドラム20に吐き出してならすことにより、残留トナー53を感光ドラム20上より現像ユニット50に戻すように構成されている。かかるクリーニングローラ42は、例えば、バイアス電圧印加可能なシリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。
【0026】
尚、クリーニングローラ42は感光ドラム20に接触しているが、前記のようにシリコンゴムやウレタンゴムの発砲弾性体から構成されているので感光ドラム20との摩擦は低減され、そのクリーニング動作時に感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうことはない。
【0027】
図1及び図2において、現像ユニット50は、現像部ケース4内に着脱可能に装着された二重円筒状のトナーボックス51を備えている。トナーボックス51は、回転駆動されるアジテータ52と、電気絶縁性を有する正帯電性のトナー53とを収容する。トナーボックス51の前側には、トナーボックス51に形成されたトナー供給口51aを介してアジテータ52の回転により供給されたトナー53を貯蔵するトナー貯蔵室54が形成されている。トナー貯蔵室54には、供給ローラ55がその長手方向に水平に配設され、回転可能に枢支されている。更に、トナー貯蔵室54の前側を仕切るように且つ供給ローラ55と感光ドラム20とに夫々接するように、現像ローラ56がその長手方向に水平に配設され、回転可能に枢支されている。
【0028】
供給ローラ55は、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。また、現像ローラ56は、図2に示すように感光ドラム20と接触することにより、ニップ部Nを構成し、更に、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性のリジッドなローラである。本実施形態のレーザプリンタ1では例えば、正帯電性のトナー及び正帯電性のポリカーボネイトを主成分とする有機感光体からなる感光ドラム20を用いているので、ウレタンゴムが現像ローラ56の材料とされる。
【0029】
尚、感光ドラム20に対する現像ローラ56のニップ圧(当接圧)は、50〜350kPaの範囲に設定されている。かかるニップ圧が50kPa以下に低くなると、現像ローラ56における偏心状態が直接画像に現れることとなって画像に歪が発生してしまい、また、ニップ圧が350kPa以上に高くなると、現像ローラ56を駆動するためのトルクが大きくなり過ぎて、その駆動上支障が発生する。
【0030】
図2に示すように、現像ユニット50における現像部ケース4にはトナー貯蔵室54が設けられており、トナー貯蔵室54は、供給ローラ55の上側の上部空間Sを大きく設けて形成されている。
【0031】
図1及び図2において、現像部ケース4には、ステンレス製またはリン青銅製の薄い板状の弾性を有する層厚規制ブレード57が下向きに取り付けられている。
【0032】
層厚規制ブレード57の下端部に形成された屈曲部57aが、現像ローラ56に押圧状態で接触しており、供給ローラ55から供給されて現像ローラ56の表面に層状に付着したトナー53の層厚が、この層厚規制ブレード57で所定厚さ(約7〜12μm)に規制される。
【0033】
転写ローラ60は、感光ドラム20の上側に接するように設けられ回転自在に枢支され、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されている。
【0034】
定着ユニット70は、感光ドラム20よりも搬送方向下流側に設けられ、周知のハロゲンランプを内蔵した加熱用ローラ71と押圧ローラ72とからなり、用紙Pの下面に転写されたトナー画像が加熱されつつ押圧されて用紙Pに定着される。
【0035】
用紙搬送用の1対の搬送ローラ75及び排紙トレイ77は、定着ユニット70の搬送方向下流側に夫々設けられている。
【0036】
本実施の形態によれば、図1に示すように、給紙ローラ13、感光ドラム20、定着ユニット70及び排紙トレイ77は、略直線形状に延びる搬送経路PPに沿って給紙カセット14から給紙された用紙Pを搬送するように構成されている。
【0037】
[トナーについて]
本実施形態におけるトナー53は、正帯電性のものであり、例えば、真球形状に近いスチレンアクリルなどからなる重合樹脂トナーからなる非磁性一成分トナーであり、かかる重合樹脂トナー粒子中には着色剤としての酸化鉄粒子が含有されているとともに、互いに粒子径が異なり流動性を付与する2種類のシリカ微粒子(以下において、粒子径の小さいシリカ微粒子をシリカA、粒子径の大きいシリカ微粒子をシリカBとする)、ワックス、荷電制御剤等の各種の外添剤が添加されている。尚、シリカAは主としてトナー流動性を向上させる作用を行い、トナーBは主としてトナー間の接着を防止する作用を行うものであり、両方のシリカの協働作用に基づき画像のかぶりや白抜けを防止して画質の向上を図るものである。尚、トナーは前記重合トナーの他に、粉砕トナーを用いてもよい。
【0038】
続いて、前記したように、感光ドラム20の周面に形成された光導電層22の初期膜厚が30〜50μmの範囲に設定され、且つ、感光ドラム20に対する現像ローラ56のニップ圧が50〜350kPaの範囲に設定されているレーザプリンタ1に使用されるトナー53に関して、先ずそのトナーを構成するトナー粒子中に含有される酸化鉄粒子の粒子径、含有量、及び、シリカAとシリカBの外添量、粒子径と光導電層22の削れ量との関係を示す関数式を導出し、次いで、酸化鉄粒子の粒子径、及び、シリカAとシリカBの外添量を種々変えた場合における光導電層22の削れ量と関数式の値とを比較検討する。
A.関数式の導出
(1)導出の前提
▲1▼レーザプリンタの構造上の前提
前記したレーザプリンタ1の構造から明らかなように、感光ドラム20の光導電層22には、クリーニングローラ42、現像ローラ56及び転写ローラ60が当接している。このとき、クリーニングローラ42はシリコンゴムやウレタンゴムの発砲弾性体から構成されているので感光ドラム20との摩擦は低減され、そのクリーニング動作時に感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうことはない。また、転写ローラ60も同様に、シリコンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成されており、用紙Pに画像を転写する際に感光ドラム20の光導電層22を削ることはない。これに対して、現像ローラ56は、ウレタンゴムから構成されるリジッドなローラであり、現像ローラ56の表面に付着したトナー53を光導電層22の静電潜像に付着させて現像する際には、ニップ部Nにて付与されている現像ローラ56のニップ圧に基づき光導電層22を削ってしまうと考えられる。
【0039】
これより、感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうレーザプリンタ1の構造上の要因としては、現像ローラ56による光導電層22の削れを勘案するものとする。このとき、光導電層22の削れ量は、その光導電層22に対する現像ローラ56のニップ圧を変数とする所定の関数に従って変化するものとする。
▲2▼トナーの成分上の前提
トナーは、着色剤として酸化鉄粒子が含有された重合樹脂トナー粒子、かかる重合樹脂トナー粒子に外添されたシリカA及びシリカB、その他トナーの構成上必要なワックス、荷電制御剤等の外添剤が添加されることにより構成されている。
【0040】
ここに、画像形成時に、感光ドラム20の光導電層22を削ってしまうトナー成分の要因としては、光導電層22よりも硬い成分である酸化鉄粒子、シリカA、シリカBを勘案し、光導電層22の削れ量は、酸化鉄粒子の粒子径、含有量、シリカA及びシリカBの粒子径、外添量を変数として所定関数に従って変化するものとする。
▲3▼光導電層の下限値
画像形成に必要な光導電層の下限値を見出すため、光導電層の膜厚と画像のかぶりとの関係を調べた。この結果が図3に示されている。図3は光導電層の膜厚とかぶりとの関係を示すグラフであり、横軸は光導電層の膜厚、縦軸はかぶり値を示す。
【0041】
図3において、グラフAは、新品の感光ドラムとトナーを使用してかぶり測定を行って得られたかぶり値の初期値を示しており、かぶり値の初期値は、測定範囲で8を示して変化していないことが分かる。
【0042】
一方、グラフBは、膜厚の異なる光導電膜を有する使用済みの複数の感光ドラムと新品トナーとを使用して得られたかぶり値の変化を示しており、光導電層の膜厚が11μmから10μmまではかぶり値は8以下の良好な値を示しているが、膜厚が10μm以下の範囲では膜厚が減少するに従ってかぶり値が8を越えて増加していくことが分かる。これは、光導電層の膜厚が10μm以下に減少していくと、絶縁性低下又は帯電能力の低下に起因して電位の低下が発生することが原因であると考えられる。
【0043】
前記より、画像形成に必要な光導電層の膜厚の下限値としては、10μmが要求されるものとする。
▲4▼印字デューティと光導電層の削れ量との関係
印字デューティと光導電層の削れ量との関係を調べるために、次のような測定を行った。
【0044】
先ず、2種類のトナーA、B(粒子径が同一で種類の異なる着色剤を使用し、他の成分は同一であるトナー)を使用して耐久印字を行い、印字枚数と印字濃度の関係を測定した。この測定結果が図4に示されている。図4は2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と印字濃度との関係示すグラフである。図4に示されるように、トナーA、トナーBについても耐久印字中、特に、印字枚数が2000枚から3000枚の間で印字濃度は大きく変化している。即ち、耐久印字中印字デューティは大きく変化することが分かる。
【0045】
次に、同様に2種類のトナーA、Bを使用して耐久印字を行い、印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。この測定結果が図5に示されている。図5は2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と光導電層の削れ量とのとの関係示すグラフである。図5に示されるように、トナーA、トナーBについても印字枚数の増加に従って略線形の変化を示しており、印字枚数が2000枚と3000枚との間で大きな変化はない。
【0046】
前記した図4のグラフと図5のグラフとを対比すれば明らかなように、印字デューティと光導電層の削れ量との間には相関関係は存在していないものと考えられ、従って、以下における光導電層の削れ量に関する関数式の導出に当たっては印字デューティは勘案しないこととする。
(2)関数式の導出
▲1▼前記にて検討したように、トナーの構成成分の内光導電層の削れに影響を与える成分は、酸化鉄粒子、シリカA及びシリカBであることから、先ず、これらの各成分が光導電層の削れにどのように寄与するのかについて検討する。尚、以下においては、シリカA、シリカB、酸化鉄粒子の順に検討することとする。
▲2▼シリカAについて
シリカAとして、BET比表面積100m2/gのシリカを使用し、かかるシリカAの光導電層の削れ量への寄与を調べるため、先ず、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカA及びBのいずれも外添しないトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧290kPaにて光導電層の削れ量を測定した。かかる測定の結果、前記のようなトナーは光導電層の削れに寄与しないことが確認された。これにより、着色剤としてのカーボンブラックは、光導電層の削れには寄与しないことが確認されたこととなる。
【0047】
次に、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカAを1%(重量%)外添したトナーを調整し、現像ローラのニップ圧290kPaにて印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。かかる測定結果が図6に示されている。図6は印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は印字枚数、縦軸は削れ量を示す。
【0048】
図6において、光導電層の削れ量は、印字枚数の増加に従って直線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式1となる。
【0049】
【数1】
【0050】
前記数式1に基づき6000枚印字後における光導電層の削れ量は8.5μmと算出された。
【0051】
ここに、シリカA及びBを外添しない場合(外添量0%)には、光導電層の削れは発生しないことが確認されており、従って、光導電層の削れ量を表す関数式について図7のグラフCに示すような原点を通る線形プロットを想定しても問題はないものと考えられる。
【0052】
尚、実際には、シリカA及びBの外添量が0%の場合、フィルミングが発生することから、図7のグラフCにおける切片は若干マイナス値となるものと考えられるが、ここではより厳しい条件(切片=0μm)を用いるものとする。
【0053】
これより、図7のグラフCにおいて、シリカAをx%外添し、1000枚印字をした時の光導電層の削れ量は、下記数式2で表される。
【0054】
【数2】
【0055】
尚、数式2において、係数1.4は、6000枚当たりの削れ量8.5μmを1000枚当たりに換算した係数である。
▲3▼シリカBについて
シリカBとして、BET比表面積50m2/gのシリカを使用し、かかるシリカBの光導電層の削れ量への寄与を調べるため、着色剤としてカーボンブラックを使用し、且つ、シリカBを1%(重量%)外添したトナーを調整し、現像ローラのニップ圧290kPaにて印字枚数と光導電層の削れ量との関係を測定した。かかる測定結果が図8に示されている。図8は印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は印字枚数、縦軸は削れ量を示す。
【0056】
図8において、光導電層の削れ量は、印字枚数の増加に従って直線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式3となる。
【0057】
【数3】
【0058】
前記数式3に基づき6000枚印字後における光導電層の削れ量は20.7μmと算出された。
【0059】
ここに、前記シリカAの場合と同様、シリカA及びBを外添しない場合(外添量0%)には、光導電層の削れは発生しないことが確認されており、従って、光導電層の削れ量を表す関数式について図7のグラフDに示すような原点を通る線形プロットを想定しても問題はないものと考えられる。
【0060】
尚、実際には、シリカA及びBの外添量が0%の場合、フィルミングが発生することから、図7のグラフDにおける切片は若干マイナス値となるものと考えられるが、ここではより厳しい条件(切片=0μm)を用いるものとする。
【0061】
これより、図7のグラフDにおいて、シリカBをy%外添し、1000枚印字をした時の光導電層の削れ量は、下記数式4で表される。
【0062】
【数4】
【0063】
尚、数式4において、係数3.5は、6000枚当たりの削れ量20.7μmを1000枚当たりに換算した係数である。
▲4▼シリカA及びシリカBによる削れ量への寄与
以上より、シリカAをx%、シリカBをy%外添し、現像ローラのニップ圧を290kPaに設定して1000枚印字した場合におけるシリカAとシリカBの光導電層の削れ量への寄与は、下記数式5で表される。
【0064】
【数5】
【0065】
▲5▼酸化鉄粒子について
酸化鉄粒子の光導電層の削れ量への寄与を調べるため、粒子径を種々変えた酸化鉄粒子を6%(体積%)含有する重合樹脂粒子に対して、シリカAを%(1重量%)、シリカBを0.5%(重量%)外添したトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧290kPaにて1000枚の印字を行って光導電層の削れ量を測定した。かかる測定結果が図9に示されている。図9は酸化鉄粒子の粒子径と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は酸化鉄粒子の粒子径、縦軸は削れ量を示す。
【0066】
図9において、光導電層の削れ量は、酸化鉄粒子の粒子径が増加するに従って指数関数的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシミュレーションすると下記数式6となる。
【0067】
【数6】
【0068】
ここに、前記数式6に基づき、酸化鉄粒子の粒子径をz(μm)で表すと、1000枚印字時における酸化鉄粒子の光導電層に対する削れ量の寄与は、下記数式7で表される。
【0069】
【数7】
【0070】
▲6▼現像ローラのニップ圧について
現像ローラの感光ドラムへのニップ圧に基づく光導電層への削れ量の寄与を調べるため、粒子径0.3μmの酸化鉄を含有する重合樹脂トナーに対して、シリカAを0.5重量%、シリカBを0.5重量%外添したトナーを調整し、かかるトナーを使用して現像ローラのニップ圧を種々変化させて1000枚の耐久印字を行って光導電層の削れ利用を測定した。かかる測定結果が図10に示されている。図10は現像ローラのニップ圧と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであり、横軸は現像ローラのニップ圧、縦軸は削れ量を示す。
【0071】
図10において、現像ローラのニップ圧が増加するに従って光導電層の削れ量は曲線的に増加する傾向があり、グラフにおける各測定点から近似式をシュミレーションすると、下記数式8となる。
【0072】
【数8】
【0073】
ここに、前記数式5及び数式7は、いずれも現像ローラのニップ圧が290kPaの条件下で導出されたものであり、これを勘案してニップ圧290kPaに対応する光導電層の削れ量を前記数式8から求めると、削れ量は4.4μmとなる。従って、数式8において、1kPa当たりの光導電層の削れ量を求めるには、数式8を4.4で除すればよい。
【0074】
即ち、1000枚の印字を行った場合における現像ローラのニップ圧1kPa(p)に対応する光導電層の削れ量は、下記数式9で表すことができる。
【0075】
【数9】
【0076】
▲7▼前記にて説明したところに基づき、粒子径zμmの酸化鉄を6%(vol%)含有する重合樹脂トナー粒子に、シリカAをx%(重量%)、シリカBをy%(重量%)外添したトナーを使用し、現像ローラのニップ圧p(kPa)で1000枚の印字を行う場合、光導電層の削れ量は、下記数式10で表される。
【0077】
【数10】
【0078】
前記数式10は、1000枚印字当たりの削れ量を表していることから、印字枚数をsとして一枚印字当たりの削れ量に換算すると、下記数式11で表すことができる。
【0079】
【数11】
【0080】
ここに、前記にて説明したように、画像形成に必要な光導電層の膜厚の下限値として10μmが要求されることから、光導電層の初期膜厚をtとした場合、印字により削られた後に残存する光導電層の膜厚は、(t−10)で表される。そして、残存膜厚(t−10)が前記数式11で示される削れ量よりも大きい場合には、画像形成上問題はないこととなる。これを数式で表すと、下記数式12のように表される。
【0081】
【数12】
【0082】
B.光導電層の削れ量と関数値との関係
(1)重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行って光導電層の削れ量につき測定を行うとともに、削れ量と数式12の左辺で示される関数の関数値(fとする)との関係について検討した。
【0083】
ここに、耐久印字枚数を10000枚としたのは、5000枚程度の耐久印字では現実の製品として許容されるレベルではなく、また、数万枚としたのでは、現実の製品の許容レベルからあまりにかけ離れてしまうからである。
(2)実施例
▲1▼重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行った結果が、実施例1〜6として下記表1に示されている。
【0084】
【表1】
【0085】
▲2▼実施例1では、シリカAの外添量が0.5%、シリカBの外添量が0.5%、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.3μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は200kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は32.7μmであり、10000枚印字後における膜厚は14.5μmであった。これより、光導電層の削れ量は、18.2μとなる。このとき、関数値fは、−3.5となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0086】
この場合、シリカA及びBの外添量、酸化鉄粒子の粒子径、現像ローラのニップ圧が適正な範囲であることに基づき、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲3▼実施例2では、シリカAの外添量が0.4%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は350kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は32.3μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.5μmであった。これより、光導電層の削れ量は、20.8μmとなる。このとき、関数値fは、−1.7となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0087】
この場合、現像ローラのニップ圧は350kPaと高く設定されているが、シリカAのBET比表面積が100m2/gで粒子径が小さく、また、酸化鉄の粒子径も0.1μmと小さいことから、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲4▼実施例3では、シリカAの外添量が0.3%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.45μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は31.8μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.9μmであった。これより、光導電層の削れ量は、19.9μmとなる。このとき、関数値fは、−1.6となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0088】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径は0.45μmと大きいが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低いことから、良好な結果が得られたものと考えられる。
▲5▼実施例4では、シリカAは外添されておらず、シリカBの外添量が1.8%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は49.5μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.3μmであった。これより、光導電層の削れ量は、38.2μmとなる。このとき、関数値fは、−1.2となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0089】
この場合、シリカBの外添量が1.8%と多いが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、酸化鉄粒子の粒子径が0.1μmと小さく、且つ、光導電層の初期膜厚が49.5μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
▲6▼実施例5では、シリカAの外添量が2%、シリカBの外添量が1%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は50μmであり、10000枚印字後における膜厚は11.1μmであった。これより、光導電層の削れ量は、38.9μmとなる。このとき、関数値fは、−1.7となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0090】
この場合、シリカAの外添量が2%、シリカBの外添量が1%とシリカ全体の外添量は多いが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、酸化鉄粒子の粒子径が0.1μmと小さく、且つ、光導電層の初期膜厚が50μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
▲7▼実施例6では、シリカAの外添量が0.5%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.6μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は50μmであり、10000枚印字後における膜厚は10.8μmであった。これより、光導電層の削れ量は、39.2μmとなる。このとき、関数値fは、−0.4となり、前記数式12の条件を満たしている。
【0091】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径が0.6μmと大きいが、現像ローラのニップ圧が50kPaと低く、且つ、光導電層の初期膜厚が50μmと厚いので、初期膜厚により制御されて良好な結果が得られたものと考えられる。
(3)比較例
▲1▼重合樹脂粒子に含有させる酸化鉄粒子の粒子径(含有量6%:vol%)、並びに、シリカA及びシリカBの外添量を種々変えたトナーを調整し、かかるトナーを使用し現像ローラのニップ圧を種々変えて10000枚の耐久印字を行った結果が、比較例1〜5として前記表1に示されている。
▲2▼比較例1では、シリカAの外添量が0.3%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は400kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は31.2μmであり、10000枚印字後における膜厚は3.6μmであった。これより、光導電層の削れ量は、27.6μmとなる。このとき、関数値fは、31.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0092】
この場合、現像ローラのニップ圧が高すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲3▼比較例2では、シリカAの外添量が6%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.7μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、11.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0093】
この場合、シリカAの外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲4▼比較例3では、シリカAは外添されておらず、シリカBの外添量が3%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.5μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、23.0となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0094】
この場合、粒子径の大きい(BET比表面積50m2/g)シリカBの外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲5▼比較例4では、シリカAの外添量が3%、シリカBの外添量が1%で、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.1μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は48.7μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、11.2となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0095】
この場合、シリカAの外添量が多く、また、粒子径の大きいシリカBも1%外添されており、シリカA及びBの全体の外添量が多すぎたために、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
▲6▼比較例5では、シリカAの外添量が0.5%で、シリカBは外添されておらず、重合樹脂粒子中に含有された酸化鉄の粒子径が0.8μmであるトナーが使用され、また、現像ローラのニップ圧は50kPaに設定された。光導電層の初期膜厚は49.5μmであったが、10000枚の耐久印字中に光導電層の膜厚は0μmとなって途中で印字停止した。このときの関数値fは、54.4となり、前記数式12の条件を満たしていない。
【0096】
この場合、酸化鉄粒子の粒子径が0.8μmと大きすぎたため、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係る静電現像トナーによれば、10000枚程度の画像形成を行った場合においても、その画像形成に伴って発生する感光ドラムにおける感光体層の削れ量を一定以下に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザプリンタの縦断側断面図である。
【図2】レーザプリンタの現像ユニット及び感光ドラム部分の拡大側面図である。
【図3】光導電層の膜厚とかぶりとの関係を示すグラフであ
【図4】2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と印字濃度との関係示すグラフである。
【図5】2種類のトナーA、Bについて耐久印字時における印字枚数と光導電層の削れ量とのとの関係示すグラフである。
【図6】印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフであである。
【図7】シリカA及びシリカBの外添量と光導電層の削れ量との関係を線形プロットで示すグラフである。
【図8】印字枚数と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【図9】酸化鉄粒子の粒子径と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【図10】現像ローラのニップ圧と光導電層の削れ量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レーザプリンタ
20 感光ドラム
22 光導電層
56 現像ローラ
Claims (4)
- 感光ドラムの周面に形成された30〜50μmの膜厚を有する感光体層に静電潜像を形成し、感光ドラムに対して50〜350kPaのニップ圧で接触されている現像ローラから静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する画像形成装置に使用される静電現像トナーであって、
前記静電現像トナーは、樹脂粒子中に着色剤が含有されるとともに、互いに粒子径が異なる第1シリカ微粒子及び第2シリカ微粒子の少なくとも一方が外添されており、
前記着色剤は、その粒子径が0.1〜0.6μmの範囲にある酸化鉄であり、トナーに対して5〜10vol%含有されており、
前記第1シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が50〜150m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.3〜2重量%であり、
前記第2シリカ微粒子は、そのBET比表面積の平均値が20〜100m2/gの範囲にあり、トナーに対する外添量は0.5〜2重量%であることを特徴とする静電現像トナー。 - 前記酸化鉄のトナーに対する含有量は、6〜8vol%であることを特徴とする請求項1に記載の静電現像トナー。
- 前記第1シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、80〜120m2/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の静電現像トナー。
- 前記第2シリカ微粒子のBET比表面積の平均値は、40〜80
m2/gであることを特徴とする請求項1に記載の静電現像トナー。
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