JP2004117010A - 変位測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定対象に測定光を照射する照明系と、測定対象の反射光を画像センサ部に入射する結像光学系と、画像センサ部の出力信号に基づき測定対象の変位量を算出する信号処理部と、画像センサ部の出力信号に基づき結像光学系の焦点の状態を演算する焦点演算部と、焦点演算部の演算結果を表示する表示部、とで構成されたことを特徴とするもの。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種機器の振動・位置変化・速度などを光学的に測定する変位測定装置に関し、詳しくは、測定精度の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種機器の微小な動きや振動を光学的に測定する装置として、測定対象平面にターゲットシートを貼り付けてこれにレーザー光を照射し、その反射光ビームを解析することによりX,Y方向の変位を非接触で測定するように構成された変位測定装置が実用化されている。
【0003】
この装置はフォトダイオードアレイによる像検出と空間フィルタ技術を用いている。すなわち、ターゲットシートはX,Y方向に特定の空間周波数分布を持っていて、空間フィルタ構成のフォトダイオードアレイにより変位量を電気的な位相変化として検出する。位相変化から変位への変換はデジタル的に演算処理され、変位測定結果はデジタル表示されるとともにX,Y個別にアナログ出力される。
【0004】
ところがこのような従来の装置は、測定対象にターゲットシートを貼り付けなければならないので、測定対象が限定されてしまう。
また、ターゲットシートを貼り付けることで測定対象の慣性などが変化してしまい、正確な測定ができないという問題もある。
【0005】
出願人は、このような問題点を解決し、測定対象を限定することなく非接触で高速に高精度の測定が行える比較的安価な「変位測定装置」として、特願2000−55857(特開2001−241919)を出願している(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−241919
【0007】
図2は特許文献1に記載されている先願発明(以下単に先願発明という)の一例を示す構成図である。測定対象1には照明系2から測定光が照射される。測定対象1の反射光は結像光学系3を介して画像センサ部4に入射される。
【0008】
ここで、測定対象1と結像光学系3と画像センサ部4の位置関係は、図3のように測定対象1が画像センサ部4の素子の配列方向に沿って移動変位するものとし、この方向をX軸方向と定義づけている。例えば画像センサ部4は1024個の素子が全長1.5mmで配列され、測定対象1は印刷用紙であって移動方向と直交する方向に例えば線幅0.2mmの多数の黒線が線幅と等しい間隔で印刷されているものとする。
【0009】
照明系2としては、外光の影響を除くため照明光の波長を赤外光などを用いて狭波長化し、必要に応じて画像センサ部4の前面にその波長のみを通過させるフィルタを設ける。
【0010】
結像光学系3としては、一般的な結像レンズや測定対象1との距離によって結像倍率変化の起きないテレセントリックな光学系を用いる。
【0011】
画像センサ部4は結像光学系3によってできた実像を読み取るためのイメージセンサであり、1回の露光による画像データを保持する機能を有するライン状に多数の画素が配列されたCCDリニアイメージセンサを用いる。なお、この画像センサ部4には、機械的または電気的なシャッター機能を搭載することが望ましい。
【0012】
画像センサ部4に取り込まれた画像データはクロック発生部5から加えられるクロックに従って逐次A/D変換器6に読み出され、デジタルデータに変換される。A/D変換器6の出力データは、信号処理部7に取り込まれる。
【0013】
信号処理部7は、A/D変換器6から変換出力される画像データに基づいて測定対象1の変位量を演算するものであり、例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)を用いる。
【0014】
基準画像記憶部8には測定対象1の変位量を演算するための基準状態の画像データが格納され、測定画像記憶部9には測定対象1の変位量を演算するための変位状態の画像データが格納される。
【0015】
信号処理部7の演算結果は、D/A変換器10によりアナログ信号に変換されて外部に出力されるとともに、表示器11にデジタル的にあるいはアナログ画像として表示される。
【0016】
装置全体の動作を説明する。
測定対象1の像が結像される画像センサ部4上には、測定対象1に応じた光量分布が現れ、画像センサ部4の出力端子から、図4に示すように各画素の光量に比例したアナログ電圧信号が逐次出力される。このアナログ電圧信号はA/D変換器6により逐次デジタルデータに変換され、基準状態での測定対象1の画像データSoは基準画像記憶部8に格納され、測定状態での測定対象画像Sは測定画像記憶部9に格納される。
【0017】
その後、信号処理部7は、図5に示すように基準状態での測定対象1の画像データSoと測定対象画像Sとの両者の画像データを比較して画像センサ部4上での測定対象1の変位量xを求め、さらに光学倍率を乗ずることで測定対象1の実変位を求める。
【0018】
図6は信号処理部7での処理手順の具体例を示すフローチャートである。
ステップSP1において、測定対象1を基準位置に置いた時の画像を基準画像Soとして基準画像記憶部8に格納するとともに基準範囲も設定する。
【0019】
ステップSP2において、測定状態の測定対象1の画像を測定画像Sとして測定画像記憶部9に格納する。
【0020】
これらステップSP1,2の画像の格納シーケンスには、対象物1の像を画像センサ面に結像させた状態で(シャッターを設けている場合にはシャッターを開閉し)画像(光量)に比例した電荷を画像センサ部4の内部に貯える工程と、内部クロックに同期して画像センサ部4のデータを1画素ずつA/D変換してそれぞれの記憶部8,9に逐次格納することを含む。
【0021】
ステップSP3において、測定画像Sと基準画像S0の基準画素区間部分を比較し、基準画像S0と測定画像Sのずれ量xを計算する。
【0022】
ステップSP4において、測定形態がアブソリュート測定かインクリメンタル測定かを判断する。ここで、アブソリュート測定とは画面内で測定対象がどう動くかを測定することを意味し、インクリメンタル測定とは測定対象の画面を超える動きをサンプリング周期毎の変位を積算していくことによって測定するということを意味する。
【0023】
アブソリュート測定の場合には、まずステップSP5において、光学倍率Aに基づいて変位量X=A*xを計算する。そして、続くステップSP6において、サンプリング周期Tに基づいて速度V=(X−X’)/Tを計算する。ここでX’は前回の変位量である。
【0024】
インクリメンタル測定の場合には、まずステップSP7において、光学倍率Aから、積算変位量X=A*x+X’を計算する。続くステップSP8において、サンプリング周期Tに基づいて速度V=(X−X’)/Tを計算する。そして、続くステップSP9において、測定画像記憶部9の内容を基準画像記憶部8に基準画像として更新格納(代入)する。
【0025】
アブソリュート測定の場合もインクリメンタル測定の場合も、ステップSP10において、計算結果として得た変位量Xを次回の計算に用いるX’として格納する。
【0026】
ここで、インクリメンタル測定によれば、測定対象が画面からはみ出るほど大きく変位した場合であっても測定周期毎の変位を積算することで測定できる。また、アブソリュート測定によれば、変位測定範囲は画面内に制限されるものの、積算に伴う誤差のない高精度測定が行える。
【0027】
続くステップSP11において、計算結果を表示するとともに、D/A変換して外部に出力する。
【0028】
そして、ステップSP12において一連の処理が完了した否かを判断し、完了であれば全体の処理を終了し、未了であればステップSP2以降の処理を完了になるまで繰り返して実行する。
【0029】
なお、画像の電圧出力波形がなだらかで特徴がなかったり、非常に凹凸が激しい場合には、画像センサの後段の(デジタル)処理として、隣接画素間の微分(差分)演算や各種フィルタ演算、リニアライズなどの公知の演算処理を施した後に対象物体の特徴を抽出して変位量xの測定演算を施すことで、より汎用性、確度(再現性)を向上させることができる。
【0030】
また基準画像と測定画像の比較手段としては、画像工学分野でよく用いられる最短距離法や相互相関法などのパターンマッチング演算を用いる。
【0031】
最短距離法では、画像の類似度の尺度として、「式(1)または(2)に示す積算誤差量が最も少ない」という基準を用いる。本方法によるx推定手順は、次のようになる。
1)τを0からN−Mまで変化させ、その都度R1(τ),R2(τ)を計算する。2)計算結果に基づき、図7のようなτ−Rの関係図を作成する。
3)τ―R図から、最も小さな値の誤差積算量を示すτを求める。この点がxとなる。
【0032】
なおデジタル演算を行う場合には、和演算のみのR2(τ)に依る方が計算時間上有利である。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
相互相関法では、画像の類似度の尺度として、「式(3)の相互相関関数の値が最も大きい」という基準を用いる。本方法によるx推定手順は、次のようになる。
1)τを0からN−Mまで変化させ、その都度式(3)によりC(τ)を計算する。2)計算値に基づき図8のようなτ−C(τ)関係図を作成する。
3)τ−C(τ)図から、最も大きな相関を示すτを求めてxとする。
【0036】
【数3】
【0037】
【数4】
【0038】
【数5】
【0039】
【数6】
【0040】
【数7】
【0041】
図6のフローチャートでは、説明を簡単にするため、サンプリングのタイミング毎に、
1)画像センサへの測定対象画像の取込み
2)画像データのA/D変換、記憶部への格納
3)基準画像の比較、測定画像の比較
を順次行う形で記載したが、機能ブロックと記憶部を2系統設けて並列化駆動することにより、それぞれの処理を同時に処理することができる。例えば、測定画像記憶部を2つ(S,S’)持つことで、基準画像とSを比較しながら次のサンプリングの画像データをS’に格納することができる。
【0042】
また、DSPのような高速演算器による処理を前提にすれば、画像データ1画素のA/D変換時間内に1回前のA/D結果と基準画像の全データの前述のような比較計算を終えることも可能である。
【0043】
このように構成することにより、例えば2000画素の画像センサを用いた場合には、0.05% of SPANの解像度を持つ変位測定装置が実現できる。
【0044】
ところで、上記の基準画像と測定画像の比較演算に際して、以下に説明するいずれかまたは複数の手法を適用することで、計算の高速化が図れる。
1)計算打切り
2)Coarse to Fine 法
3)予測演算
【0045】
1)計算打切り
最短距離法においては、前述のように一つのτについてM×(N−M)回の差演算、絶対値(二乗)演算、積算が必要となる。ここで、τに関する誤差積算演算を(iを逐次増やしながら)行っていく過程で、積算値がある閾値を越えた場合にはそれ以降の積算を打切るようにすることで、大幅に全体の計算量を減らすことができる。閾値の選択方法如何では最低値が検出されない場合があるが、以下の選択方法によれば、その問題は回避される。
【0046】
a)最初のτ0については閾値無しで積算演算を行う。
b)次のτ1については、a)の積算値を閾値として打切り処置を行う。
c)次のτ2については、
b)の積算値<b)の閾値→c)の閾値としてb)の積算値を用いる。
b)の積算値>b)の閾値→c)の閾値としてb)の閾値を用いる。
以後、c)を繰り返す。
この方法は、同種の演算形態となる相互相関法へも適用可能である。
【0047】
2)Coarse to Fine法(図9参照)
この方法は、S(i)、S0(i)との比較を直接行うのではなく、式(4)または(5)のような低解像度化の処理をした画像S’(j)、S’0(j)について推定演算を行って変位量x’を求めた後、S(i)、S0(i)の比較を変位量x’近傍のみで行うことにより、全体としての計算量を減らす。このような低解像度化を多段に実施することも可能である。
【0048】
データの区間mの平均値
【数8】
【0049】
区間m毎のデータ使用(間引き)
【数9】
【0050】
3)予測演算(図10参照)
この方法は、時刻tnにおいてパターンマッチングの演算を行う範囲をS(i)の全データ範囲とするのではなく、前回の変位推定値から時刻tnにおける変位量xnを予測し(x’nと記す)、その位置を中心とした微小範囲(x’n±m)についてのみ変位推定演算を行うことにより、計算量を減ずる方法である。次ステップの変位量の予測方法としては、式(6)(7)のように前回の変位、速度を使う方法等が考えられ、また式(8)のような一般化した式を用い、線形予測手法を用いて予測を行うことも可能である。
【0051】
前回位置
x’n=xn−1 (6)
前回位置、速度
x’n=xn−1+xn−1−xn−2=2xn−1−xn−2 (7)
【0052】
一般化
【数10】
【0053】
これらの方法による計算量の削減効果の例を図11に示す。なお、図11の条件は、
画素数 : 1000画素、
基準画素範囲 : 500画素
使用アルゴリズム: 最短距離法(誤差絶対値積算式(1)適用)
元の計算量 : 「差の絶対値演算+積算」が25万回
とする。
【0054】
このような高速化演算処理方法を用いることにより、基準画像と測定画像の比較演算時間を大幅に短縮でき、相対的に測定サンプリング周波数を高くできて機械系の振動測定などの高速現象の測定が行える。
【0055】
これらの方法を用いずに比較的計算量の少ない最短距離法を用いた場合には、非常に多くの計算量を要する。図11の条件では2値の「差の絶対値演算」および積算を25万回(=500×500)繰返すことになり、仮に「差の絶対値演算」の時間が1μsecとすると、全体で250msecもの計算時間が必要になる。このため、変位の測定サンプリング周波数は数Hz程度と低くなり、機械系の振動測定用途には不向きなものとなっていた。
【0056】
このような高速化演算処理方法は、1次元画像センサの画像出力処理のみならず、2次元画像センサの画像出力処理の高速処理にも有効である。
【0057】
なお図2の実施例では図6のフローチャートの機能を有する信号処理部に市販の1次元センサとレンズ(結像光学系)と照明系を組合せた構成を示したが、製品形態はこれに限るものではなく、処理部のみを一つの製品としたり、信号処理部を波形測定器等に組込んだり、これら全てを一体の装置として構成したものであってもよい。
【0058】
また回転体の微小部分の変位測定をすることで、回転体の回転数や回転角も測定できる。この場合、回転体にターゲットシートやエンコード板などの付加質量を取りつけることなく回転体自体の画像データに基づいて回転体の回転数や回転角度を非接触で測定でき、微小な回転体であっても付加質量による損失を伴うことなく高精度に測定できる。
【0059】
インクリメンタルな測定が可能であることから、例えば自動車の速度を測定する速度計へも適用可能である。
【0060】
ところが、このような構成の測定装置によれば、結像光学系3として例えば一般的な結像レンズを用いた場合、結像レンズと測定対象1との距離の変動によって撮像倍率が大きく変化し、変位測定結果にゲイン誤差が生じてしまう。
【0061】
結像光学系3として例えばテレセントリック光学系を用いた場合には、一般的な結像レンズに比べてゲイン誤差は小さくできるものの、測定作業者による測定値の個人差が生じることは避けられない。
【0062】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、高精度の測定を行うために、画像センサ部4の出力信号波形を作業者がオシロスコープなどで観測しながら、結像光学系3の焦点を調整することが行われているが、個人差として±0.2mm程度のばらつきが生じることは避けられない。
【0063】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、その目的は、ゲイン誤差が小さく、測定値の個人差の少ない高精度の測定が行える変位測定装置を提供することにある。
【0064】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する請求項1の発明は、
測定対象に測定光を照射する照明系と、
測定対象の反射光を画像センサ部に入射する結像光学系と、
画像センサ部の出力信号に基づき測定対象の変位量を算出する信号処理部と、
画像センサ部の出力信号に基づき結像光学系の焦点の状態を演算する焦点演算部と、
焦点演算部の演算結果を表示する表示部、
とで構成されたことを特徴とする変位測定装置である。
【0065】
請求項2の発明は、請求項1記載の変位測定装置において、
画像センサ部はライン状に多数の画素が配列された1次元画像センサであり、
焦点演算部は、画像センサ部の隣接する画素間の出力信号に基づき焦点の状態を演算することを特徴とする。
【0066】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の変位測定装置において、
表示部は、焦点演算部の演算結果を、バーグラフ、アナログメータおよびデジタルメータのいずれかの形態で表示することを特徴とする。
【0067】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2記載の変位測定装置において、
焦点演算部の演算結果を、表示ランプの輝度の明暗で表示することを特徴とする。
【0068】
請求項5の発明は、請求項1または請求項2記載の変位測定装置において、
可聴音で出力することを特徴とする。
【0069】
これらにより、表示部に表示あるいは表示部から出力される焦点演算部の演算結果を参照して、結像光学系の焦点を最適に調整でき、測定対象の変位を高精度で測定できる。
【0070】
請求項6の発明は、
測定対象に測定光を照射する照明系と、
測定対象の反射光を画像センサ部に入射する結像光学系と、
画像センサ部の出力信号に基づき測定対象の変位量を算出する信号処理部と、
画像センサ部の出力信号に基づき結像光学系の焦点の状態を演算する焦点演算部と、
焦点演算部の演算結果に基づき結像光学系の焦点を自動的に制御する焦点制御部、
とで構成されたことを特徴とする。
【0071】
これにより、結像光学系の焦点を常に最適に調整でき、安定した高精度の測定が行える。
【0072】
請求項7の発明は、請求項1または請求項6記載の変位測定装置において、
焦点演算部として、信号処理部を切り換えて駆動することを特徴とする。
【0073】
これにより、信号処理部を焦点処理部としても共用でき、回路構成を簡略化できる。
【0074】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例を示す構成図であり、図2と共通する部分には同一の符号を付けて、重複する部分のそれらの説明は省略する。
図1と図2の異なる点は、図1には、焦点演算部12と焦点制御部13とアクチュエータ14を設けていることである。
【0075】
焦点演算部12は、画像センサ部4の出力信号に基づき、画像センサ部4の受光面に結像される結像光学系3の焦点の状態を演算する。
【0076】
この焦点演算部12における演算結果は、表示器11に表示される。表示形態は、バーグラフ、アナログメータ、デジタルメータなど、作業者が数値を把握しやすい表示形態が選択できるようにしてもよいし、いずれかの表示形態に固定してもよい。焦点演算部12の演算結果の具体的な数値に拘らない場合には、例えば表示器11の一部に設けた表示ランプパターンや表示器11とは別に設けた表示ランプの輝度の明暗で表示するようにしてもよい。
【0077】
焦点演算部12は、画像センサ部4の出力信号に基づいてデジタル演算を行い、結像の焦点が合っている度合いをコントラストの大小として数値化する。
【0078】
例えば画像センサ部4の各画素位置における傾きの大きさを積算する。
具体的には、画像センサ部4の隣接する画素間のグレーレベルの差の2乗和を求める。この関係を数式で表わすと次式のようになる。
Σ{S(k+1)−S(k)}2
S(k):画素の位置kにおける画像出力
これにより、簡単な演算で焦点の度合いを数値化できる。
なお、隣接する3個以上の画像出力からフィルタ演算により傾きに相当する値を演算したり、2乗和の代わりに絶対値和を求めてもよい。
【0079】
他の方法として、次式により、画像出力の分散を求めてもよい。
Σ|S(k)−μ|2
μ:全画素出力の平均値
すなわち、画像出力の分散が大きければ焦点が合っていて線分の境界も明瞭に検出できているコントラストの大きい画像と考えることができ、分散が小さければ焦点が合っていなくて線分の境界がぼやけて明瞭に検出できていないコントラストの小さい画像と考えられる。
【0080】
手動測定の場合の手順を説明する。
まず、測定対象1に対して結像光学系3および画像センサ部4を概略位置に設置して焦点演算部12を起動する。
次に、このような焦点演算部12の演算出力結果の表示を見ながら、コントラストが最大になるように測定対象1と結像光学系3および画像センサ部4の位置関係を手動調整する。
そして、コントラストが最大になるように調整した後に、信号処理部7による変位測定を実行する。
【0081】
手動の実測例によれば、従来発生していた±0.2mm程度のばらつきを±0.05mm程度にまで改善でき、再現性の高い高精度の測定結果が得られた。
【0082】
図1において、焦点演算部12に焦点制御部13とアクチュエータ14を付加することにより、焦点演算部12の演算出力に基づいて、結像光学系3の焦点を自動的に制御できる。
【0083】
すなわち、焦点制御部13は画像センサ部4を光軸方向に沿って移動可能に支持するアクチュエータ14を駆動することにより、画像センサ部4を光軸方向に沿って移動させ、コントラストが最大になるように自動的に調整する。
【0084】
これにより、常に正確な焦点調整が行われることになり、高精度の変位測定が実現できる。
【0085】
なお、図1では、焦点演算部12を信号処理部7とは独立したものとして別個に設ける例を示したが、焦点演算機能を信号処理部7に組み込んでおき、測定ステップに応じて所望の機能で動作するように切り換えてもよい。
【0086】
これにより、信号処理部を焦点処理部としても共用でき、回路構成を簡略化できる。
【0087】
また、図1では、アクチュエータ14を駆動することにより画像センサ部4を光軸方向に沿って移動させる結像光学系3が固定焦点の構成を示したが、本発明は結像光学系3が可変焦点の場合にも適用できるものであり、その場合には結像光学系3をアクチュエータで光軸方向に沿って移動させればよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特定のターゲットなどの付加物を用いることなく、ゲイン誤差が小さく、測定値の個人差の少ない高精度の非接触測定を行える測定対象が制限されない変位測定装置が比較的簡単な構成で実現でき、光学系の選定により顕微鏡レベルの測定から構造物の測定まで、広範囲の測定対象の変位測定に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す構成ブロック図である。
【図2】先願発明の実施の形態の一例を示す構成ブロック図である。
【図3】図2の動作説明図である。
【図4】図2の画像演算処理の説明図である。
【図5】図2の画像演算処理の説明図である。
【図6】図2の画像演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図2の画像演算処理の説明図である。
【図8】図2の画像演算処理の説明図である。
【図9】図2の画像演算処理の説明図である。
【図10】図2の画像演算処理の説明図である。
【図11】計算量削減効果の説明図である。
【符号の説明】
1 測定対象
2 照明系
3 結像光学系
4 画像センサ部
5 クロック発生部
6 A/D変換器
7 信号処理部(DSP)
8 基準画像記憶部
9 測定画像記憶部
10 D/A変換器
11 表示器
Claims (7)
- 測定対象に測定光を照射する照明系と、
測定対象の反射光を画像センサ部に入射する結像光学系と、
画像センサ部の出力信号に基づき測定対象の変位量を算出する信号処理部と、
画像センサ部の出力信号に基づき結像光学系の焦点の状態を演算する焦点演算部と、
焦点演算部の演算結果を表示する表示部、
とで構成されたことを特徴とする変位測定装置。 - 画像センサ部はライン状に多数の画素が配列された1次元画像センサであり、
焦点演算部は、画像センサ部の隣接する画素間の出力信号に基づき焦点の状態を演算することを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。 - 表示部は、焦点演算部の演算結果を、バーグラフ、アナログメータおよびデジタルメータのいずれかの形態で表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の変位測定装置。
- 表示部は、焦点演算部の演算結果を、表示ランプの輝度の明暗で表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の変位測定装置。
- 表示部は、焦点演算部の演算結果を、可聴音で出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載の変位測定装置。
- 測定対象に測定光を照射する照明系と、
測定対象の反射光を画像センサ部に入射する結像光学系と、
画像センサ部の出力信号に基づき測定対象の変位量を算出する信号処理部と、
画像センサ部の出力信号に基づき結像光学系の焦点の状態を演算する焦点演算部と、
焦点演算部の演算結果に基づき結像光学系の焦点を自動的に制御する焦点制御部、
とで構成されたことを特徴とする変位測定装置。 - 焦点演算部として、信号処理部を切り換えて駆動することを特徴とする請求項1または請求項6記載の変位測定装置。
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Cited By (5)
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-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002276593A patent/JP2004117010A/ja active Pending
Cited By (6)
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---|---|---|---|---|
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