JP2004115711A - 廃食用油の精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外食産業等から回収される色相が悪く酸価も高い廃食用油は、従来の精製方法では、精製が不十分であったり、精製のためのコストが高くつくという問題があった。本発明は色相が悪く酸価が高い廃食用油であっても、油脂組成を変化させることなく脱酸・脱色精製できるとともに、精製した油脂の色相が色戻りすることがなく、安価に効率よく廃食用油を精製する方法を提供する。
【解決手段】本発明の廃食用油の精製方法は、廃食用油をアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理することを特徴とする。また本発明方法は、アルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理した後、吸着剤で処理することを特徴とする。
【選択図】 なし。
【解決手段】本発明の廃食用油の精製方法は、廃食用油をアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理することを特徴とする。また本発明方法は、アルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理した後、吸着剤で処理することを特徴とする。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃食用油の精製方法に関し、色相の悪い廃食用油であっても、油に含まれる遊離脂肪酸および不純物を、廃食用油と遊離脂肪酸の溶解度差を利用してアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールに溶解させ、廃食用油の酸価を下げるとともに、脱色精製することのできる廃食用油の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外食産業、ファーストフード店、総菜業、スーパー、コンビニエンスストアー、学校給食等において、天ぷら、フライ等の製造に使用された使用済みの廃食用油は、年間24万トンが回収されていると言われている。廃食用油中には澱粉、、デキストリン、グルコース等の澱粉分解物、天ぷら粉、パン粉、調味料、タンパク質、乳化剤、鉄等の各種不純物が含まれており、色相が悪く透明感も低い。比較的色相(ガードナー)の良い廃食用油は、塗料、インク用等として再利用されているが、廃食用油全体の1割程度の量に過ぎない。残りの9割程度の廃食用油は、色相が悪く(ガードナー8〜13程度)、透明感が低く、また酸価も高い(3〜8程度)ため、不純物の除去・脱色等の精製が容易ではない。
【0003】
一般に廃食用油を脱色し、不純物を除去する精製方法として、白土処理法、水蒸気蒸留精製法、アルカリ精製法、漂白法等が知られている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13等)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−302378
【非特許文献1】「油脂」幸書房、Vol 53, No10, 36頁
【非特許文献2】日本油化学会誌、第49巻、第3号
【非特許文献3】理化学辞典、岩波書店、239頁
【非特許文献4】原田一郎著「油脂化学の知識」幸書房、86頁
【非特許文献5】油脂化学便覧、丸善、333頁
【非特許文献6】稲葉恵一、平野二郎著「脂肪酸化学」幸書房、12頁
【非特許文献7】宮川高明著「食用油製造の実際」幸書房、30頁
【非特許文献8】大橋久三著「しみ抜きカード」清隆社、No4
【非特許文献9】化学便覧、丸善、II 79頁
【非特許文献10】新谷▲いさお▼著「食品油脂の科学」、幸書房、30頁
【非特許文献11】堀口博著「新界面活性剤」、三共出版、127頁
【非特許文献12】実験科学講座 有機化合物の合成、丸善、126頁
【非特許文献13】大饗茂著「還元反応」、丸善出版、49頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら白土処理法は脱色効果が小さく、2〜5重量%程度の量の活性白土を添加した場合、色相(ガードナー)の悪い廃食用油を9(ガードナー)以下まで脱色することは困難であり、通常処理後の色相(ガードナー)を7以下にするには、10〜15%の活性白土が必要となる。水蒸気蒸留精製法は、比較的精製効果が優れてはいるが、大量の廃食用油を処理するためのプラントは、建設費や運転コストが高くつくため実用的でない。またアルカリ精製法は脱色効果が小さい上に、油脂の不飽和結合部分を攻撃して油脂のヨウ素価を変化させる虞れがあるとともに、油脂を強く乳化するため精製した油脂の分離が困難であり、漂白法は廃食用油を脱色しても色の戻りが起こったり、油脂組成を変質させる等の虞れがあった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、色相の悪い廃食用油であっても、油脂のヨウ素価を変化させることなく(油脂中の二重結合を切断しない)、大がかりな設備も必要とせずに低コストで容易かつ確実に廃食用油を精製することのできる廃食用油の精製方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の廃食用油の精製方法は、廃食用油をアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理することを特徴とする。また本発明は、アルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理した後、吸着剤で処理することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるアルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ダイアセトンアルコール、イソデシルアルコール等が挙げられる。アルコールは水を含んだ含水アルコールであっても良い。上記アルコールは、2種以上を併用することができる。上記アルコールの中でも、メチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。また上記アルコール中にアルカリを含んだものを用いることもできる。廃食用油をアルカリを含んだアルコールで処理すると、更に廃食用油の酸価を下げることができる効果がある。アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。アルコールに対するアルカリの割合は0.01〜10%が好ましい。
【0009】
アルコールによる処理は、アルコールもしくは含水アルコールを廃食用油に添加し、撹拌しながら行うことが好ましい。アルコールあるいはアルカリを含むアルコールによる処理は常温下で行っても加熱下で行っても良い。アルコールやアルカリを含むアルコールによる処理を加熱下で行う場合、アルコールの沸点により異なるが、30〜60℃で、5〜90分程度処理することが好ましい。アルコールや含水アルコールは廃食用油重量の5〜300重量%程度添加することが好ましい。
【0010】
アルコールやアルカリを含むアルコールを添加して処理した後の廃食用油は、静置したり遠心分離を行ってアルコールやアルカリを含むアルコールを分離除去するが、分離したアルコールやアルカリを含むアルコールは、タンク等に回収して次回の処理にリサイクル使用することが、アルコール使用量が少なくて済むとともに、環境汚染の防止にも貢献できるため好ましい。
【0011】
本発明方法において、アルコールあるいはアルカリを含むアルコールによる処理とともに、吸着剤による処理を併用することができる。吸着剤としては、活性白土、活性炭等が使用できる。吸着剤の使用量は、吸着剤の種類によって異なるが、活性白土の場合、廃食用油重量の0.1〜10重量%である。吸着剤による処理工程は、吸着剤を廃食用油に添加して撹拌しながら、80〜130℃で、5〜60分程度行うことが好ましい。処理終了後、吸着剤は濾過して除去する。
【0012】
本発明方法において、廃食用油のアルコール処理工程と、吸着剤処理工程は、どちらを先に行っても良いが、アルコール処理を行った後、吸着剤で処理することが好ましい。またアルコール処理した後の廃食用油は、撹拌下に加熱処理すると廃食用油中に含まれるアルコールや水を除去することができるため好ましい。アルコール処理後の廃食用油を加熱して廃食用油中のアルコールや水を除去する工程は、別途行っても良いが、アルコール処理後の廃食用油を吸着剤で処理する工程において同時に行うと、吸着剤処理と脱アルコール、脱水処理とを同時に行えるため好ましい。
【0013】
本発明方法によれば、色相が悪く酸価の高い廃食用油であっても、ヨウ素価を変化させることなく、酸価5以下、色相(ガードナー)7以下程度にまで脱色精製することができ、脱色精製処理後の廃食用油は、植物インキ用原料、バイオディーゼル用燃料、塗料用原料、化粧品原料等として再利用することができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
酸価3.5、ヨウ素価115.0、色相(ガードナー)11の廃食用油200gに、エチルアルコール200gおよび10%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、1時間静置して油層を分離した。次いで油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表1に示す。また、処理後の廃食用油を190℃で30分保持した後の色相(ガードナー)を測定し、耐熱性を評価した。
【0015】
【表1】
【0016】
実施例2
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gを同様にしてエチルアルコールで処理し、油層を分離した後、油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0017】
実施例3
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに、メチルアルコール(含水アルコール)200g、1%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加し、実施例1と同様に処理を行った。含水アルコールを分離除去後、油層に、活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0018】
比較例1
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに、1%ソーダ灰水溶液40gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、3時間静置して油層を分離した。ついで油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0019】
比較例2
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0020】
比較例3
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0021】
実施例4
酸価4.1、ヨウ素価117.3、色相(ガードナー)9の廃食用油200gに、エチルアルコール200gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、1時間静置して油層を分離、濾過した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例5
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gを同様にしてエチルアルコールで処理し、油層を分離した後、油層に活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2にあわせて示す。
【0024】
比較例4
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gを濾過した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2に示す。
【0025】
比較例5
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表1にあわせて示す。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明方法によれば、色相が悪く、酸価の高い廃食用油であっても脱酸・脱色することができ、しかも処理の際に廃食用油の二重結合部分を切断することがないから、油の組成が変化する虞れがない。また本発明方法で精製した廃食用油は、耐熱性が良好で精製後の色戻りの虞れが少ない。更に活性白土等吸着剤を併用することで、より効果的に脱色精製することができる。本発明によれば、利用価値の低かった色相の悪い廃食用油に新たな再利用分野を開拓できる等の効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃食用油の精製方法に関し、色相の悪い廃食用油であっても、油に含まれる遊離脂肪酸および不純物を、廃食用油と遊離脂肪酸の溶解度差を利用してアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールに溶解させ、廃食用油の酸価を下げるとともに、脱色精製することのできる廃食用油の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外食産業、ファーストフード店、総菜業、スーパー、コンビニエンスストアー、学校給食等において、天ぷら、フライ等の製造に使用された使用済みの廃食用油は、年間24万トンが回収されていると言われている。廃食用油中には澱粉、、デキストリン、グルコース等の澱粉分解物、天ぷら粉、パン粉、調味料、タンパク質、乳化剤、鉄等の各種不純物が含まれており、色相が悪く透明感も低い。比較的色相(ガードナー)の良い廃食用油は、塗料、インク用等として再利用されているが、廃食用油全体の1割程度の量に過ぎない。残りの9割程度の廃食用油は、色相が悪く(ガードナー8〜13程度)、透明感が低く、また酸価も高い(3〜8程度)ため、不純物の除去・脱色等の精製が容易ではない。
【0003】
一般に廃食用油を脱色し、不純物を除去する精製方法として、白土処理法、水蒸気蒸留精製法、アルカリ精製法、漂白法等が知られている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13等)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−302378
【非特許文献1】「油脂」幸書房、Vol 53, No10, 36頁
【非特許文献2】日本油化学会誌、第49巻、第3号
【非特許文献3】理化学辞典、岩波書店、239頁
【非特許文献4】原田一郎著「油脂化学の知識」幸書房、86頁
【非特許文献5】油脂化学便覧、丸善、333頁
【非特許文献6】稲葉恵一、平野二郎著「脂肪酸化学」幸書房、12頁
【非特許文献7】宮川高明著「食用油製造の実際」幸書房、30頁
【非特許文献8】大橋久三著「しみ抜きカード」清隆社、No4
【非特許文献9】化学便覧、丸善、II 79頁
【非特許文献10】新谷▲いさお▼著「食品油脂の科学」、幸書房、30頁
【非特許文献11】堀口博著「新界面活性剤」、三共出版、127頁
【非特許文献12】実験科学講座 有機化合物の合成、丸善、126頁
【非特許文献13】大饗茂著「還元反応」、丸善出版、49頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら白土処理法は脱色効果が小さく、2〜5重量%程度の量の活性白土を添加した場合、色相(ガードナー)の悪い廃食用油を9(ガードナー)以下まで脱色することは困難であり、通常処理後の色相(ガードナー)を7以下にするには、10〜15%の活性白土が必要となる。水蒸気蒸留精製法は、比較的精製効果が優れてはいるが、大量の廃食用油を処理するためのプラントは、建設費や運転コストが高くつくため実用的でない。またアルカリ精製法は脱色効果が小さい上に、油脂の不飽和結合部分を攻撃して油脂のヨウ素価を変化させる虞れがあるとともに、油脂を強く乳化するため精製した油脂の分離が困難であり、漂白法は廃食用油を脱色しても色の戻りが起こったり、油脂組成を変質させる等の虞れがあった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、色相の悪い廃食用油であっても、油脂のヨウ素価を変化させることなく(油脂中の二重結合を切断しない)、大がかりな設備も必要とせずに低コストで容易かつ確実に廃食用油を精製することのできる廃食用油の精製方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の廃食用油の精製方法は、廃食用油をアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理することを特徴とする。また本発明は、アルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理した後、吸着剤で処理することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるアルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ダイアセトンアルコール、イソデシルアルコール等が挙げられる。アルコールは水を含んだ含水アルコールであっても良い。上記アルコールは、2種以上を併用することができる。上記アルコールの中でも、メチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。また上記アルコール中にアルカリを含んだものを用いることもできる。廃食用油をアルカリを含んだアルコールで処理すると、更に廃食用油の酸価を下げることができる効果がある。アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。アルコールに対するアルカリの割合は0.01〜10%が好ましい。
【0009】
アルコールによる処理は、アルコールもしくは含水アルコールを廃食用油に添加し、撹拌しながら行うことが好ましい。アルコールあるいはアルカリを含むアルコールによる処理は常温下で行っても加熱下で行っても良い。アルコールやアルカリを含むアルコールによる処理を加熱下で行う場合、アルコールの沸点により異なるが、30〜60℃で、5〜90分程度処理することが好ましい。アルコールや含水アルコールは廃食用油重量の5〜300重量%程度添加することが好ましい。
【0010】
アルコールやアルカリを含むアルコールを添加して処理した後の廃食用油は、静置したり遠心分離を行ってアルコールやアルカリを含むアルコールを分離除去するが、分離したアルコールやアルカリを含むアルコールは、タンク等に回収して次回の処理にリサイクル使用することが、アルコール使用量が少なくて済むとともに、環境汚染の防止にも貢献できるため好ましい。
【0011】
本発明方法において、アルコールあるいはアルカリを含むアルコールによる処理とともに、吸着剤による処理を併用することができる。吸着剤としては、活性白土、活性炭等が使用できる。吸着剤の使用量は、吸着剤の種類によって異なるが、活性白土の場合、廃食用油重量の0.1〜10重量%である。吸着剤による処理工程は、吸着剤を廃食用油に添加して撹拌しながら、80〜130℃で、5〜60分程度行うことが好ましい。処理終了後、吸着剤は濾過して除去する。
【0012】
本発明方法において、廃食用油のアルコール処理工程と、吸着剤処理工程は、どちらを先に行っても良いが、アルコール処理を行った後、吸着剤で処理することが好ましい。またアルコール処理した後の廃食用油は、撹拌下に加熱処理すると廃食用油中に含まれるアルコールや水を除去することができるため好ましい。アルコール処理後の廃食用油を加熱して廃食用油中のアルコールや水を除去する工程は、別途行っても良いが、アルコール処理後の廃食用油を吸着剤で処理する工程において同時に行うと、吸着剤処理と脱アルコール、脱水処理とを同時に行えるため好ましい。
【0013】
本発明方法によれば、色相が悪く酸価の高い廃食用油であっても、ヨウ素価を変化させることなく、酸価5以下、色相(ガードナー)7以下程度にまで脱色精製することができ、脱色精製処理後の廃食用油は、植物インキ用原料、バイオディーゼル用燃料、塗料用原料、化粧品原料等として再利用することができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
酸価3.5、ヨウ素価115.0、色相(ガードナー)11の廃食用油200gに、エチルアルコール200gおよび10%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、1時間静置して油層を分離した。次いで油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表1に示す。また、処理後の廃食用油を190℃で30分保持した後の色相(ガードナー)を測定し、耐熱性を評価した。
【0015】
【表1】
【0016】
実施例2
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gを同様にしてエチルアルコールで処理し、油層を分離した後、油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0017】
実施例3
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに、メチルアルコール(含水アルコール)200g、1%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加し、実施例1と同様に処理を行った。含水アルコールを分離除去後、油層に、活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0018】
比較例1
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに、1%ソーダ灰水溶液40gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、3時間静置して油層を分離した。ついで油層に活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0019】
比較例2
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土14g(廃食用油重量の7重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0020】
比較例3
実施例1で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相の測定結果及び耐熱性試験の結果を表1にあわせて示す。
【0021】
実施例4
酸価4.1、ヨウ素価117.3、色相(ガードナー)9の廃食用油200gに、エチルアルコール200gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、1時間静置して油層を分離、濾過した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例5
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gを同様にしてエチルアルコールで処理し、油層を分離した後、油層に活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加して120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2にあわせて示す。
【0024】
比較例4
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gを濾過した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表2に示す。
【0025】
比較例5
実施例4で用いたと同様の廃食用油200gに活性白土7g(廃食用油重量の3.5重量%相当量)を添加し、120℃で15分間撹拌し、その後、活性白土を濾過して除去した。処理後の廃食用油の酸価、ヨウ素価、色相を測定した結果を表1にあわせて示す。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明方法によれば、色相が悪く、酸価の高い廃食用油であっても脱酸・脱色することができ、しかも処理の際に廃食用油の二重結合部分を切断することがないから、油の組成が変化する虞れがない。また本発明方法で精製した廃食用油は、耐熱性が良好で精製後の色戻りの虞れが少ない。更に活性白土等吸着剤を併用することで、より効果的に脱色精製することができる。本発明によれば、利用価値の低かった色相の悪い廃食用油に新たな再利用分野を開拓できる等の効果を奏する。
Claims (2)
- 廃食用油をアルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理することを特徴とする廃食用油の精製方法。
- アルコールもしくはアルカリを含んだアルコールで処理した後、吸着剤で処理することを特徴とする廃食用油の精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002283322A JP2004115711A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 廃食用油の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002283322A JP2004115711A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 廃食用油の精製方法 |
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