JP2004115380A - 新規メバスタチン誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として有用な新規メバスタチン誘導体及び該メバスタチン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メバスタチン(ML−236B)は、コレステロール合成経路上の律速酵素として知られる3−ヒドロキシー3−メチルグルタリル・コエンザイムAリダクターゼ(3−hydroxy−3−methyl−glutaryl−Co A reductase)を特異的に阻害する作用(HMG−CoA還元酵素阻害作用)を有し、この作用によってコレステロールの合成を阻害して血中の脂質を低下させることができる。現在、さらに高いHMG−CoA還元酵素阻害作用を有するメバスタチン誘導体を、HMG−CoA還元酵素阻害剤、高脂血症治療剤等の有効成分として使用することが検討されており、特にメバスタチンの構造中に選択的に水酸基を導入する試みがなされている。
【0003】
例えば、微生物変換(選択的水酸化)によりメバスタチンを水酸化する方法及び該方法に使用する生産菌としては、アブシディア(Absidia)、カニンガメラ(Cunninghamella)、シンセファロスポラム(Syncephalosporum)及びストレプトマイセス(Streptmyces)の各属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、ムコール(Mucor)、リゾープス(Rhisopus)、チゴリンクス(zygorynchus)、シルシネラ(Circinella)、アクチノムコール(Actinomucor)、ゴングロネラ(Gongronera)、フィコマイセス(Phycomyces)、モルチエリラ(Mortierella)、ピタノポラス(Pythanoporus)及びリゾクトニア(Rihizoctonia)の各属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。また、ミクロテトラスポーラ(Mictotetraspora)属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
一方、HMG−CoA還元酵素阻害剤の4”−ヒドロキシル化に関する報告がある(例えば、特許文献6参照)が、4”−ヒドロキシメバスタチンそのものに関する具体的な記述はない。しかも、この報告における4”−ヒドロキシル化の方法は、化学合成を利用するものであり、充分な4”−ヒドロキシル化が達成されない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−50894号公報
【特許文献2】
特開昭57−67575号公報
【特許文献3】
特開昭57−155995号公報
【特許文献4】
特開昭58−10572号公報
【特許文献5】
特開2001−286293号公報
【特許文献6】
特開昭62−33133号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として好適に使用することができる新規メバスタチン誘導体、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、メバスタチンの4”位水素原子を水酸基に変換し、4”−ヒドロキシメバスタチンを高い生産性で生成する能力を有する新種の微生物を見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、下記式(I)又は下記一般式(II)で示される新規メバスタチン誘導体を提供するものである。
また、本発明は、有効成分として、上記新規メバスタチン誘導体を含有する医薬品を提供するものである。
また、本発明は、下記式(III)で示されるメバスタチン、又は、下記一般式(IV)で示される、メバスタチンのラクトン開環体、該ラクトン開環体の塩若しくは該ラクトン開環体の炭素数1〜4のアルキルエステルに、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物を作用させて、上記新規メバスタチン誘導体を得る、新規メバスタチン誘導体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記のアミコラトプシス属に属する微生物が、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERMP−18682)菌又はアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌である上記新規メバスタチン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の新規メバスタチン誘導体である上記式(I)又は上記一般式(II)で示される化合物は、新規な化合物である。
【0012】
上記一般式(II)で示される化合物には、上記式(I)で示される化合物(以下、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンともいう)のラクトン開環体(Rが水素原子)、該ラクトン開環体の塩(Rがアルカリ金属)、及び該ラクトン開環体のアルキルエステル(Rが炭素数1〜4のアルキル基)が含まれる。本発明では、上記式(I)で示される化合物及び上記一般式(II)で示される化合物を総称して新規メバスタチン誘導体(以下、4”−ヒドロキシメバスタチン類ともいう)と呼ぶ。
【0013】
上記一般式(II)におけるRは、水素原子、アルカリ金属又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等が挙げられる。
【0014】
上記式(I)又は上記一般式(II)で示される本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類は、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、例えば、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品に、有効成分として含有させることができる。該医薬品中における本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の含有量は、該医薬品の種類等によって適宜な量を選択することができるが、1投与当り、0.1〜200mg、特に0.5〜50mgとすることが好ましい。
【0015】
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類は、例えば、上記式(III)で示されるメバスタチン、又は、上記一般式(IV)で示される、メバスタチンのラクトン開環体、該ラクトン開環体の塩若しくは該ラクトン開環体のアルキルエステルに、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物を作用させて、4”位の水素原子を水酸基に変換することによって得ることができる。
【0016】
上記一般式(IV)におけるRは、上記一般式(II)におけるRと対応しており、水素原子、アルカリ金属又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等が挙げられる。本発明では、上記式(III)又は上記一般式(IV)で示される化合物を総称してメバスタチン類ともいう。
【0017】
上記のアミコラトプシス(Amycolatopsis)属の微生物の具体例としては、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERM P−18682(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 受託番号))菌及びアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 受託番号))菌が挙げられる。
【0018】
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の製造方法の好ましい実施形態について、以下に説明する。
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の製造方法においては、メバスタチン類の4”位の水素原子を水酸基に変換するアミコラトプシス(Amycolatopsis)属の微生物が用いられ、好ましくは、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERM P−18682)菌又はアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌が用いられる。これらの微生物のいずれかをメバスタチン類に作用させ、出発物質(基質)であるメバスタチン類がインキュベーション処理されればよい。作用させる微生物としては、その菌株、培養菌体、培養菌体調製物(培養菌体をホモジナイズした菌体等)及び培養菌体処理物(固定化菌体等)のいずれも用いることができ、さらに、該微生物を作用させる際、該微生物由来の酵素(粗酵素、固定化酵素等)が存在していてもよい。
【0019】
前記微生物を基質に作用させて基質をインキュベーション処理する方法としては、▲1▼前記菌株を培養する際に、その培養液中に基質を添加し、インキュベーション処理する方法、▲2▼前記培養菌体、前記培養菌体調製物又は前記培養菌体処理物の懸濁液中に基質を添加し、酸素を含む気体、例えば空気を通気しながらインキュベーション処理する方法等が挙げられる。
【0020】
前記▲1▼の方法において、培養液への基質の添加は、培養開始時又は培養開始後一定期間経過した時のいずれの時期に行ってもよい。前記菌株の培養及び基質が添加された状態で行われる前記菌株の培養は、原則的には一般微生物の培養方法に準じて行うことができるが、通常、液体培養による振とう培養、通気攪拌培養等の好気的条件下で実施するのが好ましい。
【0021】
該培養に用いられる培地としては、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物が利用できる栄養源を含有する培地であればよく、各種の合成培地、半合成培地、天然培地等いずれも利用可能である。該培地には、炭素源として、グルコース、マルトース、キシロース、フルクトース、シュークロース等を単独で又は組合せて用いることができる。これらの炭素源は、培養途中で随時添加してもよく、例えばグルコースを3〜7g/lの濃度範囲となるようにフィードすると、メバスタチン類から4”−ヒドロキシメバスタチン類への変換速度を相対的に増大させることができる。また、該培地には、窒素源として、ペプトン、肉エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ酸、麦芽エキス、酵母エキス、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を、単独で又は組合せて用いることができる。その他、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、塩化コバルト等の塩類、重金属類塩、ビタミン類も、必要に応じ該培地中に添加することができる。なお、培養中に発泡が著しい場合には、公知の各種消泡剤を適宜培地中に添加することもできる。
【0022】
菌株の培養条件は、該菌株が良好に生育し得る範囲内で適宜選択することができる。通常、pH6〜9.5、25〜35℃で2〜8日間程度培養するとよい。上述した各種の培養条件は、使用する微生物の種類や特性、外部条件等に応じて適宜変更でき、最適条件を選択できる。
【0023】
上記培地への菌株の接種量としては、フラスコ培養の場合は1白金耳、スケールアップの場合は本培養液の1〜5%(v/v)の種培養液を接種することが好ましいが、実質的に培養可能であればこの限りではない。
【0024】
基質となるメバスタチン類は、粉末のままか、あるいは水溶性有機溶媒、例えばエタノール等に溶解して培養液に添加することができ、その添加量は、培養液1l当り0.5〜4.0gが好ましい。添加量を4.0g/lより多くすると、変換速度が著しく遅くなり好ましくない。基質添加後は、好ましくは25〜35℃で1〜7日間、特に約2〜5日間、振とうあるいは通気攪拌等の操作を行い、好気的条件下で反応を進行させることにより、基質であるメバスタチン類を目的の4”−ヒドロキシメバスタチン類に変換することができる。
【0025】
また、前記▲2▼の方法における培養菌体は、前記菌株を前記の如くして培養した後、培養液から遠心分離又は濾過により分離することによって得られる。また、培養菌体調製物は、該培養菌体を例えばホモジナイズした菌体等であり、また、培養菌体処理物は、該培養菌体を例えばイオン交換樹脂、セラミック、キトサン等に固定化した固定化菌体等である。
【0026】
これらの培養菌体、培養菌体調製物又は培養菌体処理物の懸濁液の調製に使用できる溶液としては、前記した培地、あるいはトリス−酢酸、トリス−塩酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の緩衝液又はこれらを混合したものが挙げられる。該緩衝液のpHは、好ましくは6.0〜9.0、さらに好ましくは7.0〜8.5である。
前記懸濁液中の培養菌体の量は、湿容量比で0.1〜5%程度が好ましい。
【0027】
また、前記懸濁液への基質の添加は、前記▲1▼の方法における培養液への基質の添加と同様にして行えばよく、また、1回当りの基質の添加量は、菌体の活性を維持できる範囲が好ましいが、懸濁液1l当り0.1〜5gを1回で又は数回に分けて添加するか、あるいは0.5〜5g/day程度で連続的に添加してもよい。
【0028】
また、前記▲2▼の方法におけるインキュベーションは、前記▲1▼の方法における菌株の培養と同様にして行えばよい。
【0029】
こうして生成した目的の4”−ヒドロキシメバスタチン類を反応系から単離するには、種々の既知精製手段を選択し、組合せて行うことが好ましい。例えば、疎水性吸着樹脂、活性炭等を用いた吸着・溶出、酢酸エチル、n−ブタノール等を用いた溶媒抽出、シリカゲル等によるカラム法あるいは薄層クロマトグラフィー、逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフィー等を、単独であるいは適宜組合せ、場合により反復使用することにより、分離精製することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中のパーセント(%)は、特に断りのない限り、W/Vパーセントを示す。
【0031】
〔実施例1〕
グルコース2.0%、ポリペプトン1.5%、酵母エキス0.05%、NaH2PO4・2H2O 0.05%、MgSO4・7H2O 0.05%、及び前記式(III)で示されるメバスタチン0.02%を含有してなる前培養用培地10mlを24φ試験管6本それぞれに入れ、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌株を各試験管中の前培養用培地に接種し(接種量1白金耳)、28℃で4日間、振とう培養機(310rpm)上で培養し、前培養液を調製した。次に、2.6l容のジャーファーメンテーター(MD−250:株式会社丸菱バイオエンジ製)に、上記前培養用培地と同組成の変換培養用培地1.6lを入れ、121℃で30分間加熱滅菌した。滅菌後の変換培養用培地に前培養液60mlを接種し、27℃、攪拌数250rpm、通気量1.0vvmの条件で、さらにpHを7.9〜8.0にコントロールして本培養を行った。2日後、培養液中に菌体が十分に増殖したことを確認して、前記式(III)で示されるメバスタチン1.6gを12時間おきに7回培養液へ添加し、培養を継続した。この培養液を下記の条件でHPLCにより分析したところ、最初のメバスタチンの添加から4日後には、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩(生成物A)が、培養液1リットル当たり1240mg生産されていることが確認された。前記式(III)で示されるメバスタチンから生成物Aへの変換率は、17.7%であった。
【0032】
<HPLC分析条件>
カラム:symmetry(登録商標、Waters社製)C18 5μm(3.9φ×150mm)
移動相:メタノール:水:酢酸:トリエチルアミン=675:325:1:1
流速:0.8ml/分
検出:238nm
【0033】
培養終了後、上清1lを燐酸でpH4.5に調整し、500mlの酢酸エチルで生成物Aを2回抽出した後、飽和ブライン(500ml)及び水(500ml)で洗浄した。生成物Aを含有した酢酸エチル溶液に5gの活性炭を加え、30分攪拌後、濾過した。濾液をNa2SO4によりを乾燥した後、濃縮し、生成物Aをラクトン化させた後、次いでシリカカラムクロマトグラフィーで精製したところ、式(I)で示される4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(生成物B)が463mg得られた。生成物Bの純度を液体クロマトグラフィーにより測定した結果、純度は57%であった。更に、生成物Bをシリカカラムクロマトグラフィーで精製したところ、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)が116mg得られた。精製物Aの純度を液体クロマトグラフィーにより測定した結果、純度は99%であった。
【0034】
得られた4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)について、1H−NMRスペクトル、紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル、13C−NMRスペクトル、H−H二次元NMRスペクトル及びC−H二次元NMRスペクトルの測定をそれぞれ行ったところ、精製物Aは次の物性値を示した。
【0035】
1)1H−NMRスペクトル
DMSO−d6中、400MHzで測定した(DMSO−d6,δ:ppm)。
0.90(3H,二重線)
1.10(3H,二重線)
4.16(1H,多重線)
5.59(1H,多重線)
5.79(1H,多重線)
6.00(1H,二重線)
2)紫外吸収スペクトル(エタノール溶液)
λmax(nm):229、236、245
3)赤外吸収スペクトル(KBr法)cm−1:1700、1720、3520
4)マススペクトル
PerSeptiv Biosystems社製Voyager−DEを用いて測定した。
m/z:406
【0036】
また、各スペクトルデータを図1〜6に示す。図1は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの1H−NMRスペクトルを示す。図2は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの13C−NMRスペクトルを示す。図3は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのH−H二次元NMRスペクトルを示す。図4は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのC−H二次元NMRスペクトルを示す。図5は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの赤外吸収(IR)スペクトルを示す。図6は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの紫外吸収(UV)スペクトルを示す。
【0037】
以上の測定結果より、精製物Aの構造は、前記式(I)で示される4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンであることが確認された。
【0038】
〔実施例2〕
本培養における攪拌数を300rpmとした以外は、実施例1と同様にして培養を行ったところ、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩が得られた。培養液について、実施例1と同様にして前述の条件でHPLCにより分析したところ、最初のメバスタチンの添加から4日後には、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩が、培養液1リットル当たり670mg生産されていることが確認された。メバスタチンから該ナトリウム塩への変換率は、9.6%であった。
【0039】
〔実施例3〕生理活性測定
実施例1で得られた4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)のコレステロール合成阻害作用を、[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)234巻2835頁(1959年)]に記載された方法で測定した。測定の結果、コレステロール合成を50%阻害する濃度は0.050μg/mlであった。これにより、本発明の新規メバスタチン誘導体である4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンは、コレステロール合成経路上の律速酵素として知られる3−ヒドロキシー3−メチルグルタリル・コエンザイムAリダクターゼ(3−hydroxy−3−methyl−glutaryl−Co A reductase)を特異的に阻害することが判った。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として使用することができる新規メバスタチン誘導体、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの1H−NMRスペクトルである。
【図2】図2は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの13C−NMRスペクトルである。
【図3】図3は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのH−H二次元NMRスペクトルである。
【図4】図4は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのC−H二次元NMRスペクトルである。
【図5】図5は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの赤外吸収スペクトルである。
【図6】図6は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの紫外吸収スペクトルである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として有用な新規メバスタチン誘導体及び該メバスタチン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メバスタチン(ML−236B)は、コレステロール合成経路上の律速酵素として知られる3−ヒドロキシー3−メチルグルタリル・コエンザイムAリダクターゼ(3−hydroxy−3−methyl−glutaryl−Co A reductase)を特異的に阻害する作用(HMG−CoA還元酵素阻害作用)を有し、この作用によってコレステロールの合成を阻害して血中の脂質を低下させることができる。現在、さらに高いHMG−CoA還元酵素阻害作用を有するメバスタチン誘導体を、HMG−CoA還元酵素阻害剤、高脂血症治療剤等の有効成分として使用することが検討されており、特にメバスタチンの構造中に選択的に水酸基を導入する試みがなされている。
【0003】
例えば、微生物変換(選択的水酸化)によりメバスタチンを水酸化する方法及び該方法に使用する生産菌としては、アブシディア(Absidia)、カニンガメラ(Cunninghamella)、シンセファロスポラム(Syncephalosporum)及びストレプトマイセス(Streptmyces)の各属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、ムコール(Mucor)、リゾープス(Rhisopus)、チゴリンクス(zygorynchus)、シルシネラ(Circinella)、アクチノムコール(Actinomucor)、ゴングロネラ(Gongronera)、フィコマイセス(Phycomyces)、モルチエリラ(Mortierella)、ピタノポラス(Pythanoporus)及びリゾクトニア(Rihizoctonia)の各属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。また、ミクロテトラスポーラ(Mictotetraspora)属に属する微生物を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
一方、HMG−CoA還元酵素阻害剤の4”−ヒドロキシル化に関する報告がある(例えば、特許文献6参照)が、4”−ヒドロキシメバスタチンそのものに関する具体的な記述はない。しかも、この報告における4”−ヒドロキシル化の方法は、化学合成を利用するものであり、充分な4”−ヒドロキシル化が達成されない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−50894号公報
【特許文献2】
特開昭57−67575号公報
【特許文献3】
特開昭57−155995号公報
【特許文献4】
特開昭58−10572号公報
【特許文献5】
特開2001−286293号公報
【特許文献6】
特開昭62−33133号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として好適に使用することができる新規メバスタチン誘導体、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、メバスタチンの4”位水素原子を水酸基に変換し、4”−ヒドロキシメバスタチンを高い生産性で生成する能力を有する新種の微生物を見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、下記式(I)又は下記一般式(II)で示される新規メバスタチン誘導体を提供するものである。
また、本発明は、有効成分として、上記新規メバスタチン誘導体を含有する医薬品を提供するものである。
また、本発明は、下記式(III)で示されるメバスタチン、又は、下記一般式(IV)で示される、メバスタチンのラクトン開環体、該ラクトン開環体の塩若しくは該ラクトン開環体の炭素数1〜4のアルキルエステルに、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物を作用させて、上記新規メバスタチン誘導体を得る、新規メバスタチン誘導体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記のアミコラトプシス属に属する微生物が、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERMP−18682)菌又はアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌である上記新規メバスタチン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の新規メバスタチン誘導体である上記式(I)又は上記一般式(II)で示される化合物は、新規な化合物である。
【0012】
上記一般式(II)で示される化合物には、上記式(I)で示される化合物(以下、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンともいう)のラクトン開環体(Rが水素原子)、該ラクトン開環体の塩(Rがアルカリ金属)、及び該ラクトン開環体のアルキルエステル(Rが炭素数1〜4のアルキル基)が含まれる。本発明では、上記式(I)で示される化合物及び上記一般式(II)で示される化合物を総称して新規メバスタチン誘導体(以下、4”−ヒドロキシメバスタチン類ともいう)と呼ぶ。
【0013】
上記一般式(II)におけるRは、水素原子、アルカリ金属又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等が挙げられる。
【0014】
上記式(I)又は上記一般式(II)で示される本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類は、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、例えば、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品に、有効成分として含有させることができる。該医薬品中における本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の含有量は、該医薬品の種類等によって適宜な量を選択することができるが、1投与当り、0.1〜200mg、特に0.5〜50mgとすることが好ましい。
【0015】
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類は、例えば、上記式(III)で示されるメバスタチン、又は、上記一般式(IV)で示される、メバスタチンのラクトン開環体、該ラクトン開環体の塩若しくは該ラクトン開環体のアルキルエステルに、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物を作用させて、4”位の水素原子を水酸基に変換することによって得ることができる。
【0016】
上記一般式(IV)におけるRは、上記一般式(II)におけるRと対応しており、水素原子、アルカリ金属又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等が挙げられる。本発明では、上記式(III)又は上記一般式(IV)で示される化合物を総称してメバスタチン類ともいう。
【0017】
上記のアミコラトプシス(Amycolatopsis)属の微生物の具体例としては、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERM P−18682(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 受託番号))菌及びアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 受託番号))菌が挙げられる。
【0018】
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の製造方法の好ましい実施形態について、以下に説明する。
本発明の4”−ヒドロキシメバスタチン類の製造方法においては、メバスタチン類の4”位の水素原子を水酸基に変換するアミコラトプシス(Amycolatopsis)属の微生物が用いられ、好ましくは、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERM P−18682)菌又はアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌が用いられる。これらの微生物のいずれかをメバスタチン類に作用させ、出発物質(基質)であるメバスタチン類がインキュベーション処理されればよい。作用させる微生物としては、その菌株、培養菌体、培養菌体調製物(培養菌体をホモジナイズした菌体等)及び培養菌体処理物(固定化菌体等)のいずれも用いることができ、さらに、該微生物を作用させる際、該微生物由来の酵素(粗酵素、固定化酵素等)が存在していてもよい。
【0019】
前記微生物を基質に作用させて基質をインキュベーション処理する方法としては、▲1▼前記菌株を培養する際に、その培養液中に基質を添加し、インキュベーション処理する方法、▲2▼前記培養菌体、前記培養菌体調製物又は前記培養菌体処理物の懸濁液中に基質を添加し、酸素を含む気体、例えば空気を通気しながらインキュベーション処理する方法等が挙げられる。
【0020】
前記▲1▼の方法において、培養液への基質の添加は、培養開始時又は培養開始後一定期間経過した時のいずれの時期に行ってもよい。前記菌株の培養及び基質が添加された状態で行われる前記菌株の培養は、原則的には一般微生物の培養方法に準じて行うことができるが、通常、液体培養による振とう培養、通気攪拌培養等の好気的条件下で実施するのが好ましい。
【0021】
該培養に用いられる培地としては、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属に属する微生物が利用できる栄養源を含有する培地であればよく、各種の合成培地、半合成培地、天然培地等いずれも利用可能である。該培地には、炭素源として、グルコース、マルトース、キシロース、フルクトース、シュークロース等を単独で又は組合せて用いることができる。これらの炭素源は、培養途中で随時添加してもよく、例えばグルコースを3〜7g/lの濃度範囲となるようにフィードすると、メバスタチン類から4”−ヒドロキシメバスタチン類への変換速度を相対的に増大させることができる。また、該培地には、窒素源として、ペプトン、肉エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ酸、麦芽エキス、酵母エキス、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を、単独で又は組合せて用いることができる。その他、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、塩化コバルト等の塩類、重金属類塩、ビタミン類も、必要に応じ該培地中に添加することができる。なお、培養中に発泡が著しい場合には、公知の各種消泡剤を適宜培地中に添加することもできる。
【0022】
菌株の培養条件は、該菌株が良好に生育し得る範囲内で適宜選択することができる。通常、pH6〜9.5、25〜35℃で2〜8日間程度培養するとよい。上述した各種の培養条件は、使用する微生物の種類や特性、外部条件等に応じて適宜変更でき、最適条件を選択できる。
【0023】
上記培地への菌株の接種量としては、フラスコ培養の場合は1白金耳、スケールアップの場合は本培養液の1〜5%(v/v)の種培養液を接種することが好ましいが、実質的に培養可能であればこの限りではない。
【0024】
基質となるメバスタチン類は、粉末のままか、あるいは水溶性有機溶媒、例えばエタノール等に溶解して培養液に添加することができ、その添加量は、培養液1l当り0.5〜4.0gが好ましい。添加量を4.0g/lより多くすると、変換速度が著しく遅くなり好ましくない。基質添加後は、好ましくは25〜35℃で1〜7日間、特に約2〜5日間、振とうあるいは通気攪拌等の操作を行い、好気的条件下で反応を進行させることにより、基質であるメバスタチン類を目的の4”−ヒドロキシメバスタチン類に変換することができる。
【0025】
また、前記▲2▼の方法における培養菌体は、前記菌株を前記の如くして培養した後、培養液から遠心分離又は濾過により分離することによって得られる。また、培養菌体調製物は、該培養菌体を例えばホモジナイズした菌体等であり、また、培養菌体処理物は、該培養菌体を例えばイオン交換樹脂、セラミック、キトサン等に固定化した固定化菌体等である。
【0026】
これらの培養菌体、培養菌体調製物又は培養菌体処理物の懸濁液の調製に使用できる溶液としては、前記した培地、あるいはトリス−酢酸、トリス−塩酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の緩衝液又はこれらを混合したものが挙げられる。該緩衝液のpHは、好ましくは6.0〜9.0、さらに好ましくは7.0〜8.5である。
前記懸濁液中の培養菌体の量は、湿容量比で0.1〜5%程度が好ましい。
【0027】
また、前記懸濁液への基質の添加は、前記▲1▼の方法における培養液への基質の添加と同様にして行えばよく、また、1回当りの基質の添加量は、菌体の活性を維持できる範囲が好ましいが、懸濁液1l当り0.1〜5gを1回で又は数回に分けて添加するか、あるいは0.5〜5g/day程度で連続的に添加してもよい。
【0028】
また、前記▲2▼の方法におけるインキュベーションは、前記▲1▼の方法における菌株の培養と同様にして行えばよい。
【0029】
こうして生成した目的の4”−ヒドロキシメバスタチン類を反応系から単離するには、種々の既知精製手段を選択し、組合せて行うことが好ましい。例えば、疎水性吸着樹脂、活性炭等を用いた吸着・溶出、酢酸エチル、n−ブタノール等を用いた溶媒抽出、シリカゲル等によるカラム法あるいは薄層クロマトグラフィー、逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフィー等を、単独であるいは適宜組合せ、場合により反復使用することにより、分離精製することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中のパーセント(%)は、特に断りのない限り、W/Vパーセントを示す。
【0031】
〔実施例1〕
グルコース2.0%、ポリペプトン1.5%、酵母エキス0.05%、NaH2PO4・2H2O 0.05%、MgSO4・7H2O 0.05%、及び前記式(III)で示されるメバスタチン0.02%を含有してなる前培養用培地10mlを24φ試験管6本それぞれに入れ、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌株を各試験管中の前培養用培地に接種し(接種量1白金耳)、28℃で4日間、振とう培養機(310rpm)上で培養し、前培養液を調製した。次に、2.6l容のジャーファーメンテーター(MD−250:株式会社丸菱バイオエンジ製)に、上記前培養用培地と同組成の変換培養用培地1.6lを入れ、121℃で30分間加熱滅菌した。滅菌後の変換培養用培地に前培養液60mlを接種し、27℃、攪拌数250rpm、通気量1.0vvmの条件で、さらにpHを7.9〜8.0にコントロールして本培養を行った。2日後、培養液中に菌体が十分に増殖したことを確認して、前記式(III)で示されるメバスタチン1.6gを12時間おきに7回培養液へ添加し、培養を継続した。この培養液を下記の条件でHPLCにより分析したところ、最初のメバスタチンの添加から4日後には、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩(生成物A)が、培養液1リットル当たり1240mg生産されていることが確認された。前記式(III)で示されるメバスタチンから生成物Aへの変換率は、17.7%であった。
【0032】
<HPLC分析条件>
カラム:symmetry(登録商標、Waters社製)C18 5μm(3.9φ×150mm)
移動相:メタノール:水:酢酸:トリエチルアミン=675:325:1:1
流速:0.8ml/分
検出:238nm
【0033】
培養終了後、上清1lを燐酸でpH4.5に調整し、500mlの酢酸エチルで生成物Aを2回抽出した後、飽和ブライン(500ml)及び水(500ml)で洗浄した。生成物Aを含有した酢酸エチル溶液に5gの活性炭を加え、30分攪拌後、濾過した。濾液をNa2SO4によりを乾燥した後、濃縮し、生成物Aをラクトン化させた後、次いでシリカカラムクロマトグラフィーで精製したところ、式(I)で示される4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(生成物B)が463mg得られた。生成物Bの純度を液体クロマトグラフィーにより測定した結果、純度は57%であった。更に、生成物Bをシリカカラムクロマトグラフィーで精製したところ、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)が116mg得られた。精製物Aの純度を液体クロマトグラフィーにより測定した結果、純度は99%であった。
【0034】
得られた4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)について、1H−NMRスペクトル、紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル、13C−NMRスペクトル、H−H二次元NMRスペクトル及びC−H二次元NMRスペクトルの測定をそれぞれ行ったところ、精製物Aは次の物性値を示した。
【0035】
1)1H−NMRスペクトル
DMSO−d6中、400MHzで測定した(DMSO−d6,δ:ppm)。
0.90(3H,二重線)
1.10(3H,二重線)
4.16(1H,多重線)
5.59(1H,多重線)
5.79(1H,多重線)
6.00(1H,二重線)
2)紫外吸収スペクトル(エタノール溶液)
λmax(nm):229、236、245
3)赤外吸収スペクトル(KBr法)cm−1:1700、1720、3520
4)マススペクトル
PerSeptiv Biosystems社製Voyager−DEを用いて測定した。
m/z:406
【0036】
また、各スペクトルデータを図1〜6に示す。図1は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの1H−NMRスペクトルを示す。図2は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの13C−NMRスペクトルを示す。図3は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのH−H二次元NMRスペクトルを示す。図4は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのC−H二次元NMRスペクトルを示す。図5は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの赤外吸収(IR)スペクトルを示す。図6は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの紫外吸収(UV)スペクトルを示す。
【0037】
以上の測定結果より、精製物Aの構造は、前記式(I)で示される4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンであることが確認された。
【0038】
〔実施例2〕
本培養における攪拌数を300rpmとした以外は、実施例1と同様にして培養を行ったところ、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩が得られた。培養液について、実施例1と同様にして前述の条件でHPLCにより分析したところ、最初のメバスタチンの添加から4日後には、前記一般式(II)で示されるラクトン開環体のナトリウム塩が、培養液1リットル当たり670mg生産されていることが確認された。メバスタチンから該ナトリウム塩への変換率は、9.6%であった。
【0039】
〔実施例3〕生理活性測定
実施例1で得られた4”−ヒドロキシメバスタチンラクトン(精製物A)のコレステロール合成阻害作用を、[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)234巻2835頁(1959年)]に記載された方法で測定した。測定の結果、コレステロール合成を50%阻害する濃度は0.050μg/mlであった。これにより、本発明の新規メバスタチン誘導体である4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンは、コレステロール合成経路上の律速酵素として知られる3−ヒドロキシー3−メチルグルタリル・コエンザイムAリダクターゼ(3−hydroxy−3−methyl−glutaryl−Co A reductase)を特異的に阻害することが判った。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、コレステロールの合成を阻害することにより血中の脂質を低下させる作用を有し、高脂血症治療剤、動脈硬化予防薬等の医薬品の有効成分として使用することができる新規メバスタチン誘導体、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの1H−NMRスペクトルである。
【図2】図2は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの13C−NMRスペクトルである。
【図3】図3は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのH−H二次元NMRスペクトルである。
【図4】図4は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンのC−H二次元NMRスペクトルである。
【図5】図5は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの赤外吸収スペクトルである。
【図6】図6は、4”−ヒドロキシメバスタチンラクトンの紫外吸収スペクトルである。
Claims (4)
- 有効成分として、請求項1記載の新規メバスタチン誘導体を含有する医薬品。
- 上記のアミコラトプシス属に属する微生物が、アミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6506(FERMP−18682)菌又はアミコラトプシス エスピー(Amycolatopsis sp.)G6508(FERM P−18683)菌である請求項3記載の新規メバスタチン誘導体の製造方法。
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