JP2004114215A - カッティング装置 - Google Patents
カッティング装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004114215A JP2004114215A JP2002279878A JP2002279878A JP2004114215A JP 2004114215 A JP2004114215 A JP 2004114215A JP 2002279878 A JP2002279878 A JP 2002279878A JP 2002279878 A JP2002279878 A JP 2002279878A JP 2004114215 A JP2004114215 A JP 2004114215A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tape
- cutting
- roller
- grip
- guide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Control Of Cutting Processes (AREA)
Abstract
【課題】ソレノイドを廃止しコストダウンを図った構造で、カッティングバイトを適切に離接動作させることができる応用性の高いカッティング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】剥離テープTa上にテープ本体Tbを積層したカッティングテープTに対し離接自在のカッティングバイト181を、テープTのX軸方向の正逆送りに同期してY軸方向に移動させて、テープ本体Tbに任意の切抜き形状を形成するカッティング装置1において、駆動モータ351と、駆動モータ351の正逆両方向の回転出力を第1出力手段に伝達すると共に、第1出力手段への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達する動力伝達手段28とを備え、第1出力手段は、カッティングバイト181をテープTに対し離接移動させるバイトアップダウン機構218から構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図6
【解決手段】剥離テープTa上にテープ本体Tbを積層したカッティングテープTに対し離接自在のカッティングバイト181を、テープTのX軸方向の正逆送りに同期してY軸方向に移動させて、テープ本体Tbに任意の切抜き形状を形成するカッティング装置1において、駆動モータ351と、駆動モータ351の正逆両方向の回転出力を第1出力手段に伝達すると共に、第1出力手段への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達する動力伝達手段28とを備え、第1出力手段は、カッティングバイト181をテープTに対し離接移動させるバイトアップダウン機構218から構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カッティングテープに対しカッティングバイトをX・Y方向に相対的に移動させて任意の切抜き形状を形成するカッティング装置に関し、特に、カッティングテープに対しカッティングバイトを離接移動させるバイトアップダウン機構を備えたカッティング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバイトアップダウン機構は、カッティングバイトを搭載したキャリッジを、これの往復動をガイドするキャリッジガイド軸を中心として揺動させることで、カッティングバイトをカッティングテープに離接させている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、キャリッジに作動リンクなどを介して連結したソレノイドを、適宜、励磁・消磁させることで、キャリッジを揺動させるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−24996号公報(第4−5頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のカッティング装置では、ソレノイドをカッティングバイトの離接移動の専用品としているが、装置に例えば印刷機構が搭載されるなど装置構造が複雑化した場合に、ソレノイドでは他の出力をとることができず、コスト高となるソレノイドを有効に活用することができない。また、ソレノイドは消費電力も大きく、装置全体としてコストアップとなる問題があった。
【0005】
本発明は、ソレノイドを廃止したコストダウンを図る構造で、カッティングバイトを適切に離接移動させることができる応用性の高いカッティング装置を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカッティング装置は、剥離テープとテープ本体とを積層して成るカッティングテープに対し離接自在に構成されたカッティングバイトを、当該カッティングテープのX軸方向の正逆送りに同期してY軸方向に移動させて、当該テープ本体に任意の切抜き形状を形成するカッティング装置において、単一の駆動モータと、駆動モータの正逆両方向の回転出力を第1出力手段に伝達すると共に、第1出力手段への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達する動力伝達手段とを備え、第1出力手段は、カッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させるバイトアップダウン機構から構成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、バイトアップダウン機構がカッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させるが、その動力源を正逆回転可能な駆動モータとしている。これにより、駆動モータの正逆回転の切り替えでカッティングバイトを離接移動させることできる。また、動力源をモータで構成したため、ソレノイドに比べ、消費電力を小さくすることができると共に、ほかに出力をとることができる。そして、駆動モータには第2出力手段が動力伝達手段を介して連結されて、バイトアップダウン機構を駆動することなく、駆動モータの正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達して、これを駆動することができるようになっている。また、駆動モータの正逆両方向の回転出力を、第2出力手段に伝達することなくバイトアップダウン機構に伝達することができるため、カッティングバイトの離接移動を適切に確保した状態で第2出力手段を駆動することができる。
【0008】
この場合、動力伝達手段は、駆動モータからの回転動力を入力し、バイトアップダウン機構を駆動する第1板カムと、第1板カムと同軸上に配設され、第1板カムから回転動力を入力して第2出力手段を駆動する第2板カムとを有し、第1板カムと第2板カムとの間には、いずれか一方の対向端面に円弧状の空転溝が設けられ、他方の対向端面に空転溝に係合する突ピンが設けられ、第1板カムは、突ピンが空転溝内を相対的に移動する回動範囲内においてバイトアップダウン機構を駆動し、第2板カムは、突ピンが空転溝の端に相対的に当接して回転動力を伝達することにより第2出力手段を駆動することが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、駆動モータからの回転動力は、先ず第1板カムに入力され、突ピンが空転溝の端に相対的に当接している場合に、第2板カムにも入力され、第1板カムと第2板カムとは同方向に回転する。すなわち、このとき第2出力手段が駆動することとなる。一方、突ピンが空転溝内を相対的に移動する回動範囲内では、第2板カムには動力が入力されないため、第1板カムのみ正逆回転することができる。すなわち、この円弧状の空転溝の回動範囲内で、第2出力手段を駆動することなく、バイトアップダウン機構を駆動して、カッティングバイトを離接移動させることができる。このように、バイトアップダウン機構および第2出力手段を適切に駆動することができると共に、バイトアップダウン機構および第2出力手段を駆動させるのに板カム構造を用いているため、これらの駆動による各動作を正確なタイミングで行うことができる。
【0010】
この場合、相対的に離接自在に構成された駆動ローラおよび従動ローラから成り、カッティングテープを挟持してX軸方向に回転送り可能なグリップローラを更に有し、第2出力手段は、グリップローラを離接動作させるローラ離接機構から成ることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、駆動モータの第2出力として、グリップローラの離接動作をとっている。これにより、例えば、カッティングテープを所定の寸法に切り離す場合などにおいて、離間していた駆動ローラを従動ローラに相対的に移動させ、カッティングテープを挟持することで、一端を固定した状態でのカッティングテープの切り離し作業を行うことができる。また、グリップローラがカッティングテープを挟持して回転正逆送りするため、切抜き形状の形成を安定して且つテープ送り精度良く行うことができる。
【0012】
この場合、ローラ離接機構は、駆動ローラおよび従動ローラの一方を回転自在に支持する支持フレームと、支持フレームの回動中心となる回動軸部と、支持フレームから延設され、第2板カムに連結した入力部と、を有していることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、第2板カムから動力を入力して、グリップローラの一方を支持した支持フレームを回動して、グリップローラを離接移動している。これにより、駆動モータの回転動力を効率的に動力変換して、グリップローラを離接移動させることができる。
【0014】
これらの場合、第2板カムは、従動ローラを駆動ローラから相対的に離間させる離間カム部と、当該従動ローラを当該駆動ローラに弱テープ挟持力で相対的に接触させる第1グリップカム部と、当該従動ローラを当該駆動ローラに強テープ挟持力で相対的に接触させる第2グリップカム部と、を有することが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、グリップローラが、例えばカッティングテープの腰の強さなどの性状に応じたテープ挟持力をとることができるため、カッティングテープを安定して回転送りすることができる。
【0016】
これらの場合、カッティングテープは、連続して繰り出し可能にセットされており、カッティングバイトの上流側に配設され、当該カッティングバイトによるカッティング位置に向かってカッティングテープを繰り出すテープ繰出し機構と、カッティング位置に臨んで配設され、繰り出したカッティングテープを正逆送りする正逆送り機構と、テープ繰出し機構および正逆送り機構の駆動源となる単一のテープ送りモータとを更に備え、第2出力手段は、グリップローラの離接動作に同期して、テープ繰出し機構へのテープ送りモータの動力伝達を断続するテープ繰出し動力遮断機構を有することが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、テープ繰出し機構と同一の動力源であるテープ送りモータにより駆動するテープ正逆送り機構が、テープ繰出し機構から送り渡されたカッティングテープを正逆送りする場合を考慮して、駆動モータの第2出力として、テープ繰出し機構への動力遮断動作をとっている。すなわち、カッティング時となるカッティングテープの正逆送り時において、第2出力手段であるテープ繰り出し遮断機構を介して、テープ繰出し機構でカッティングテープをさらに或いは次のカッティングテープを繰り出すことを防止することができる。
【0018】
また、請求項2の場合、第2出力手段の一部を構成すると共に、第2板カムに入力部を連結した動作フレームを更に備え、動作フレームは、駆動モータの回転動力を分岐させて複数の動作に供する複数の出力部を有することが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、駆動モータの動力が第2板カムから動作フレームに入力すると、動作フレームに設けた複数の出力部が、各動作を行う。これにより、駆動モータの一つの出力で、複数の動作を好適に行うことができる。
【0020】
これらの場合、駆動モータは、整流子・ブラシ付きの直流モータで構成されていることが、好ましい。
【0021】
この構成によれば、回路の制御性を単純にすることができると共に、装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態を適用したテープ処理装置は、剥離紙付きのカッティングテープを送りながら、これに印刷、フルカットおよびハーフカットなどを行うものである。具体的には、テープ処理装置は、カッティングテープのテープ本体に対し、文字や図形等の所望のキャラクタの印刷のみを行う印刷処理と、所望の切抜き形状の切抜きのみを行う切抜き処理と、印刷および切抜きの両方を行う複合処理とを選択して行うことができ、切抜き文字の作成の他、切抜き形状に装飾した印刷済みラベルを作成することができるものである。
【0023】
テープ処理装置に使用するカッティングテープは、各処理に適するべく、腰の強さ、すなわち剛性の異なるものが2種類用意されており、ここでは、剛性の高いカッティングテープを切抜き処理専用とし、剛性の低いカッティングテープを印刷処理および複合処理に供するようにしている。そこで、以下の説明では、剛性の高いものをSテープとし、剛性の低いものをPテープとし、これらの総称としてカッティングテープの語を用いることとする。なお、テープ処理装置の構成のうち、主として印刷に関するものを除く構成をカッティング装置としている。
【0024】
図1は、テープ処理装置の全体を示す外観斜視図であり、図2は、テープ処理装置の開閉蓋を開放した状態の斜視図である。両図に示すように、このテープ処理装置1は、装置ケース2により外殻を形成した装置本体3と、装置本体3に着脱自在に装着したテープカートリッジ5とで構成され、このテープカートリッジ5内に剥離紙Ta付きのカッティングテープTが、ロール状に巻回した状態で繰り出し自在に収容されている。
【0025】
装置ケース2は、下ケース7および上ケース8からなり、上ケース8は、後半部側を一段高くして形成されている。上ケース8の手前上面には、キーボード11が配設され、キーボード11には、カナキー12、電源キー13、処理実行キー14およびモード切替キー15その他の各種入力キーが配列されている。上ケース8の左部正面には、キーボード11からの入力・編集結果などを表示するディスプレイ17が配設されている。
【0026】
上ケース8の後半部の2/3に相当する右側部分は、開閉蓋18として構成されており、開閉蓋18は、後下部に内蔵したヒンジにより開閉自在に構成されている。開閉蓋18の上面には、カッティングテープTを装置本体3外へと導くためのテープ排出口32がスリット状に開口して形成されている。そして、前部を撥ね上げるようにして開放した開閉蓋18の内側には、テープカートリッジ5を着脱自在に装着すると共に各種構成装置を組み込んだ機構部アッセンブリが構成されている。
【0027】
機構部アッセンブリには、そのカートリッジ装着部19に斜め側方からテープカートリッジ5をスライドさせて装着することができるように、イジェクト機構が組み込まれている。イジェクト機構は、機構部アッセンブリの支持ベースとなる傾動自在の装置フレーム4を、カートリッジ装着部19の受入れ開放部側を先上がりに傾けた傾斜位置と、装置本体3に収容する水平位置との間で傾動させる。そして、装置フレーム4には、カッティングテープTに対し各種の処理を行う内部装置21が組み込まれている。
【0028】
内部装置21は、図3の縦断面図に示すように、カッティングテープTを走行経路Aに沿って送るテープ送り機構22と、カッティングテープTに熱転写方式の印刷を行う印刷機構23と、カッティングテープTを所定の寸法に切り離すフルカット機構24と、テープ送り機構22と協働して切り離したカッティングテープT(テープ片)を任意の切抜き形状にハーフカットするハーフカット機構25と、これら各機構を統括制御するコントローラ26(制御手段)とを備えている。
【0029】
印刷機構23、フルカット機構24およびハーフカット機構25は、装置本体3内を下側から上側に向かう略鉛直線上の走行経路Aに、順に臨んでいる。すなわち、印刷機構23が走行経路Aの上流側に臨むと共に、ハーフカット機構25が走行経路Aの下流側に臨み、印刷機構23とハーフカット機構25との間の走行経路Aにフルカット機構24が臨んでいる。これにより、印刷、フルカット、ハーフカットの順でテープ処理が行われる。
【0030】
また、装置本体3内には、フルカット機構24および印刷機構23の走行経路Aから外れ、走行経路Aに対し略直交して装置本体3の後方に向かう分岐経路Bが構成されている。分岐経路Bは、ハーフカット処理時にカッティングテープTを正逆送りする際に、カッティングテープTがフルカット機構24および印刷機構23に干渉しないようにするためのものである。分岐経路Bは、カッティングテープTの巻癖に対応してその巻癖方向に延在しており、その下流端には、カッティングテープTの尾端側を装置本体3内で繰り入れるようにして収容するテープ収納処理部30が構成されている。
【0031】
したがって、ハーフカット処理時にハーフカット機構25の位置で正逆送りされるカッティングテープTは、走行経路Aの下流側および分岐経路B間の往復動経路Cを往復走行し、適宜、その尾端側の一部がテープ収納処理部30に出入りし且つその先端側の一部がテープ排出口32から装置本体3外部に出入りしながら往復走行する。そして、処理済のカッティングテープTは、最終的に、テープ排出口32から上方に送り出されるようになっている(排出)。
【0032】
このテープ処理装置1では、図4(a)に示すように、カッティングテープTのテープ本体Tbに印刷および切抜きの両方を行う複合処理を行える他に、同図(b)に示すように、テープ本体Tbに印刷のみを行う印刷処理を、また同図(c)に示すように、テープ本体Tbに切抜きのみを行う切抜き処理を、選択的に行えるようになっている。すなわち、テープ処理装置1は、複合処理、印刷処理および切抜き処理の各処理モードを切替可能に構成されており、通常は、複合処理モードに設定されている。
【0033】
同図(a)のラベルを作成する場合には、テープ処理装置1の電源キー13をON操作した後、ユーザがディスプレイ17を見ながらキー操作により、印刷画像となる所望のキャラクタ(図示では「ABC」)を入力・編集すると共に、所望の切抜き形状(図示では「ハート」)を選択して、処理実行キー14を押釦する(指令する)。
【0034】
すると、先ず、テープ送り機構22および印刷機構23が駆動して、テープカートリッジ5内でカッティングテープTが繰り出されると共に、これと同時にテープカートリッジ5内のインクリボンRも同時に送られる。このとき、印刷機構23が適宜発熱駆動し、インクリボンRからカッティングテープTに熱転写されて、テープ本体Tbに「ABC」の印刷が行われる。印刷後もカッティングテープTの送りは続行し、送り停止したところで、フルカット機構24のスライドカッタ182が直線的に移動して、カッティングテープTの印刷済み部分を切り離す。
【0035】
続いて、テープ送り機構22およびハーフカット機構25が駆動して、切り離したカッティングテープT(テープ片)に、切抜き形状となる「ハート形状」のハーフカットが行われる。ハーフカットは、カッティングテープTの剥離紙Taを残してテープ本体Tbのみをカットするものであり、カッティングテープTに対し、ハーフカット機構25のカッティングバイト181をX・Y方向に相対的にカット移動させることにより行われる。
【0036】
具体的には、フルカット後、切り離されたカッティングテープT(テープ片)が数ステップ送られたところで、フルカット機構24の下流側直近に位置する後述する経路変更機構27により、走行経路Aが遮断されると同時に、往復動経路Cが確立する。ここで、テープ送り機構22は、カッティングテープTの正逆送りに移行し、且つこの正逆送りに同期して、カッティングバイト181がカッティングテープTに直交する方向に移動して、ハーフカットが行われる。
【0037】
このようにして、カッティングテープTには、印刷画像と切抜き形状とが合成され、印刷画像「ABC」を囲む装飾形状となる切抜き形状「ハート」が形成される(同図(a))。そして、カッティングテープTがテープ排出口32から送り出されることで、テープ処理装置1の一連の処理が完了する。ユーザは、排出されたカッティングテープTのテープ本体Tbを剥離紙Taから分離することで、内側に印刷画像「ABC」を有する外形「ハート」形の態様のラベルとして、ファイルなどの被着体に貼着することが可能となる。
【0038】
なお、同図(b)のラベルを作成する場合には、ハーフカット機構25を待機状態としたまま、テープ送り機構22、印刷機構23およびフルカット機構24を駆動する。この場合は、分岐経路Bは使用されない。一方、同図(c)の場合には、印刷機構23を待機状態としたまま、テープ送り機構22、フルカット機構24およびハーフカット機構25を駆動する。
【0039】
また、同図(d)に示すように、複数の文字、図形等の切抜き形状もテープ本体Tbに形成することができ、切抜き形状は、印刷画像を囲む装飾形状のアウトラインカットのものに限られない。この場合には、所望の印刷画像を入力するキーボード11を、印刷画像の場合と同様にキー操作することで、所望の切抜き形状を入力・編集する。
【0040】
さらに、カッティングバイト181の移動範囲をテープ幅より大きく設定すると、同図(e)に示すように、カッティングテープTを幅方向に直線的にハーフカットする横断ハーフカットや、同図(f)に示すように、カッティングテープTを幅方向に亘って且つ任意の線形となるハーフカットを行うことができる。
【0041】
次に、内部装置21について詳細に説明する前に、装置フレーム4、カートリッジ装着部19およびテープカートリッジ5について説明する。装置フレーム4は、図2に示すように左側基部を、下ケース7に回動自在に支持されており、上記のイジェクト機構により、傾斜位置と水平位置との間で回動し、水平位置にロック可能に構成されている。
【0042】
装置フレーム4は、カートリッジ装着部19を構成する装着フレーム54と、装着フレーム54の上前半部に添設し内部装置21の主要部を組み込んだ添設フレーム55と、装着フレーム54および添設フレーム55を支持するベースフレーム56(図5参照)とで構成され、このベースフレーム56が下ケース7に回動自在に支持されている。
【0043】
添設フレーム55は、左右一対のサイドフレーム57と、両サイドフレーム57の前部間に渡した鉛直フレーム58とで略「C」字状に一体に形成され、両サイドフレーム57には、内部装置21の各種の軸が支持されている(図5および図6参照)。
【0044】
カートリッジ装着部19には、図2および図3に示すように、印刷機構23が臨んでおり、ヘッドカバー35に覆われた印刷ヘッド36(サーマルヘッド)が突設している他、印刷ヘッド36に対峙するプラテン駆動軸37と、リボン巻取軸38とが突設している。プラテン駆動軸37とリボン巻取軸38とは、テープ送り機構22の後述する送り駆動モータ81を動力源として回転し(図8参照)、カッティングテープTおよびインクリボンRを同時に送る。
【0045】
テープカートリッジ5は、上下2分割構造のカートリッジケース41により外殻を形成され、カートリッジケース41内には、カッティングテープT、インクリボンRおよびプラテンローラ42が収容されている。カッティングテープTは、テープリール43に繰り出し自在に巻回され、インクリボンRは、リボン繰出リール44およびリボン巻取リール45に巻回されている。そして、テープリール43、リボン繰出リール44、リボン巻取リール45およびプラテンローラ42は、カートリッジケース41に回転自在に収容されている。
【0046】
カッティングテープTは、剥離紙Ta(剥離テープ)と、剥離紙Ta上に積層したテープ本体Tbとからなり、剥離紙Taを内側にしてロール状に巻回されている。このテープカートリッジ5に収容されるカッティングテープTは、腰の弱い複合処理を行えるPテープであり、テープ本体Tbに印刷画像が形成される他、剥離紙Taを残したハーフカットによりテープ本体Tbに切抜き形状が形成される。なお、剛性の高い切抜き処理専用の100mm幅から成るSテープを収容するテープカートリッジについては、後述する(図21参照)。
【0047】
カートリッジケース41には、印刷ヘッド36が臨むヘッド開口46と、カッティングテープTをカートリッジケース41外に排出するための送出しスリット47とが形成されている。
【0048】
テープカートリッジ5をカートリッジ装着部19に装着するには、開閉蓋18を開放すると共に、イジェクト機構により装置フレーム4を右上がりに傾動させる(図2参照)。この状態で、テープカートリッジ5をカートリッジ装着部19に装着すると、ヘッド開口46に印刷ヘッド36が遊嵌されると共に、プラテンローラ42にプラテン駆動軸37が、リボン巻取リール45にリボン巻取軸38が係合し、カッティングテープTおよびインクリボンRの送りが可能となる。
【0049】
続いて、装置フレーム4を下側に押し込んで元に戻すと、図外のヘッドリリース機構が作動して、印刷ヘッド36が支持軸39を中心に後方に回動する。これにより、カッティングテープTおよびインクリボンRを挟むようにして、印刷ヘッド50がプラテンローラ42に当接し、カッティングテープTへの印刷が可能となる。
【0050】
カッティングテープTは、プラテンローラ42の回転に伴ってテープリール43から繰り出される。一方、インクリボンRは、リボン巻取リール45の回転によりリボン繰出リール44から繰り出され、印刷ヘッド36(プラテンローラ42)の部分でカッティングテープTに重なって併走した後、リボン巻取リール45に巻き取られてゆく。このとき、印刷ヘッド36の熱転写動作により、インクリボンRのインクが所望のキャラクタ形に引き剥がされて、カッティングテープTに転写される。
【0051】
このように、プラテンローラ42は、走行経路Aに沿ってカッティングテープTを送るテープ送り機構22の一部を構成していると共に、印刷ヘッド36と協働してカッティングテープTに印刷を行う印刷機構23の一部を構成している。
熱転写されたカッティングテープTは、テープ本体Tbに所望の印刷画像が形成され、その印刷済み部分は、カートリッジケース41の送出しスリット47を通過して先方の走行経路Aに送られてゆき、フルカット機構24に臨むこととなる。
【0052】
ところで、複合処理用のテープカートリッジ5には、収容するカッティングテープT(Pテープ)の幅として、6mm、9mm、12mm、18mm、24mm、および36mmの6種類のものが用意されており、テープカートリッジ5は、その厚みが異なるものと成っている。この場合、テープカートリッジ5の厚みやカッティングテープTの収納形態により、カートリッジ装着部19に装着される各テープカートリッジ5は、その各装着位置が装着方向の中心位置で合致するようになっている。すなわち、複数種のカッティングテープTは、いずれも、それぞれの幅方向の中心が合致してセットされる。
【0053】
また、カートリッジ装着部19の奥壁には、テープカートリッジ5に収容したカッティングテープTのテープ幅を検出するテープ幅検出機構が備えられている。テープ幅検出機構は、例えば、カートリッジケース41の底部に形成した凹凸部(被検出部)に対し、その装着方向から選択的に係合するテープ幅検出スイッチ370で構成されている(図14参照)。そして、テープ幅検出機構の検出結果に基づいて、後述するテープ幅規制機構29が制御され、走行するカッティングテープTは、幅方向に位置規制されるようになっている。
【0054】
次に、図3および図5ないし図8を参照して、テープ送り機構22について詳細に説明する。テープ送り機構22は、特に図8に示すように、正逆回転可能な送り駆動モータ81と、送り駆動モータ81により正回転する上記のプラテンローラ42と、送り駆動モータ81を駆動源としカッティングテープTを正逆送りする正逆送り機構82と、送り駆動モータ81の回転動力をプラテンローラ42および正逆送り機構82に伝達するギヤ列の動力伝達部83と、を有している。
送り駆動モータ81は、ステッピングモータで構成され、装置フレーム4のベースフレーム56の外側面に配設されている。
【0055】
プラテンローラ42は、正方向(図3示で時計回り)に回転して、テープカートリッジ5からカッティングテープTを繰り出して、走行経路Aに送り出す繰出しローラを兼ねている(テープ繰出し機構、テープ送込み機構、印刷系送り機構)。プラテンローラ42と送り駆動モータ81との間には、ハーフカット処理時にカッティングテープTがテープカートリッジ5から繰り出されないようにするためのプラテンクラッチ機構85が介設されており、このプラテンクラッチ機構85により、プラテンローラ42への動力が、断続されるようになっている(図8参照で後述する)。
【0056】
正逆送り機構82(主送り機構、カット系送り機構)は、図3に示すように、プラテンローラ42の下流側の走行経路Aに配設されたグリップローラ91と、グリップローラ91の下流側の走行経路Aに配設された第1引張りローラ92と、グリップローラ91の上流側の分岐経路Bに配設された第2引張りローラ93と、を有している。グリップローラ91は、カッティングテープTを挟持して回転送りする。第1引張りローラ92および第2引張りローラ93は、グリップローラ91のテープ送り量に比して僅かにテープ送り量が大きく設定されており、カッティングテープT(テープ片)をスリップ回転して送り、これに張力(テンション)を付与する。
【0057】
グリップローラ91は、図8に示すように、送り駆動モータ81により正逆方向に駆動回転可能に構成されている。一方、第1・第2両引張りローラ92、93は、送り駆動モータ81との間に介設した第1・第2両クラッチ機構95、96により断続され、グリップローラ91に対しカッティングテープTを先行送りする一方向にのみ駆動回転するようになっている。すなわち、正逆送り機構82は、グリップローラ91を主正逆送りローラ(メイン送りローラ)としてテープ送り量を制御し、第1・第2引張りローラ92,93と協働してカッティングテープTを正逆送りする。
【0058】
具体的には、グリップローラ91が正回転の時(往動送り時)には、第1クラッチ機構95を介して第1引張りローラ92に往動用動力を伝達しこれを正回転させ、且つ第2クラッチ機構96を介して第2引張りローラ93への往動用動力を遮断してこれを自由回転可能とする。一方、グリップローラ91が逆回転の時(復動送り時)には、第2クラッチ機構96を介して第2引張りローラ93に復動用動力を伝達しこれを逆回転させ、且つ第1クラッチ機構95を介して第1引張りローラ92への復動用動力を遮断してこれを自由回転可能とする。
【0059】
グリップローラ91は、図3、図6、図8および図11に示すように、走行経路Aを挟んで対峙するグリップ駆動ローラ98およびグリップ従動ローラ99から構成され、グリップ駆動ローラ98に送り駆動モータ81が接続されている。
【0060】
グリップ従動ローラ99(99a,99b,99b)は、グリップ駆動ローラ98の回転に従って回転するフリーローラで構成されている。グリップ従動ローラ99は、両サイドフレーム57間にて左右方向に延在する動作フレーム59の下ローラ支持部68に支持され、広狭複数種のカッティングテープTに対応するべく、軸方向に沿って3個が分散配置されている。
【0061】
各グリップ従動ローラ99は、下ローラ支持部68を窓状に切り欠いて形成した各取付部位104に配設され、取付部位104に両持ち支持されたローラ軸109と、ローラ軸109に回転自在に装着したローラ本体105と、ローラ軸109の両端部と取付部位104の底部との間に介設した一対のコイルばね110とで構成されている(図11参照)。このコイルばね110により、グリップ従動ローラ99は、ローラ軸109を介してグリップ駆動ローラ98側に付勢されている。
【0062】
この場合、3個のグリップ従動ローラ99のうち左右の2個(99b、99b)は、中央のグリップ従動ローラ99aに対し、グリップ駆動ローラ98側に僅かに突出した状態で各取付部位104に配設されている。すなわち、各グリップ従動ローラ99のローラ本体105の外周面は、取付部位104から僅かに突出しているが(図3参照)、中央(99a)に比べ左右の2個(99b)の突出量は、大きく設計されている。
【0063】
このため、幅広のカッティングテープT(Sテープ)には、左右のグリップ従動ローラ99b、99b(縁側ローラ)が強く転接し、幅狭のカッティングテープT(Pテープ)には、中央のグリップ従動ローラ99a(中間ローラ)が転接するようになっている。なお、グリップ従動ローラ99は、動作フレーム59を有する後述するローラ離接機構により、カッティングテープTから3個全てが離間する離間位置と、左右の2個のみが転接するSテープ対応の第1グリップ位置と、および3個全てが転接する第1グリップ位置奥側のPテープ対応の第2グリップ位置との間を移動可能に構成されている。
【0064】
グリップ駆動ローラ98は、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸101と、ローラ軸101に装着されたローラ本体102とで構成され、ローラ軸101の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0065】
ローラ本体102は、3つのグリップ従動ローラ99に対応して、軸方向の中央に位置する中央ローラ部106と、中央ローラ部106の外側に間隙を存して対称配置した一対の外側ローラ部107とが、ローラ軸101を共有して構成されている。グリップ従動ローラ99が転接する中央ローラ部106および各外側ローラ部107の半部の外周面は、ローレット加工等により外周面に荒げ加工が施されている。
【0066】
中央ローラ部106の軸方向の中心位置は、カッティングテープTの幅方向の中間位置と合致し且つ周方向に亘って環状溝が形成されている。この環状溝と、中央ローラ部106および各外側ローラ部107間の間隙とを含んで、軸方向に跨いで延びる計5つの中間ブリッジ108が配設されている。中間ブリッジ108により、グリップ従動ローラ99との間で挟持されるカッティングテープTの先端は、ここで噛み込まれることを防止される。なお、中間ブリッジ108は、グリップ駆動ローラ98のローラ本体102を逃げるローラ開口283を形成した受けプレート281に形成されている(後述する)。
【0067】
第1引張りローラ92は、図3、図6、図8および図11に示すように、走行経路Aを挟んで対峙する第1駆動ローラ111および第1従動ローラ112から構成されている。第1駆動ローラ111は、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸114と、ローラ軸114に装着されたローラ本体115とで構成され、ローラ軸114の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0068】
第1従動ローラ112は、動作フレーム59の上ローラ支持部69に両持ち支持されたローラ軸117と、ローラ軸117に回転自在に装着したローラ本体118とで構成されている。第1従動ローラ112は、グリップ従動ローラ99と同様に、上ローラ支持部69に内蔵した左右一対のコイルばね119により、ローラ軸117の左右両端部を介して第1駆動ローラ111側に付勢されている(図11参照)。
【0069】
このため、ローラ本体118の外周面は、上ローラ支持部69から僅かに突出した状態で支持されており、その突出量は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105の突出量と略同量に設定されている。また、ローラ本体118は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105と略同じ長さで構成されている。
【0070】
第2引張りローラ93は、図3、図5、図8および図11に示すように、分岐経路B(カッティングテープT)を挟んで対峙する第2駆動ローラ121および第2従動ローラ122から構成されている。第2駆動ローラ121は、第1駆動ローラ111と同様に、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸124と、ローラ軸124に装着されたローラ本体125とで構成され、ローラ軸124の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0071】
第2従動ローラ122は、支持軸126に固定した略「U」字状のローラ保持部127に保持されており、支持軸126は両サイドフレーム57に支持されている。第2従動ローラ122は、このローラ保持部127に内向きに設けた一対の突起128にローラ本体129が回転自在に両持ち支持されている。また、ローラ本体129は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105と略同じ長さで構成されている。そして、これら第1引張りローラ92および第2引張りローラ93の各ローラ本体(115,118,125,129)は、その軸方向の各中心位置が、カッティングテープTのテープ幅の中心位置に合致している。
【0072】
なお、詳細はいずれも後述するが、上記のローラ離接機構により、第1従動ローラ112はグリップ従動ローラ99と共にカッティングテープTに対し離接移動する。また、グリップ従動ローラ99,第1従動ローラ112等の離接移動に連動して、ローラ離接機構により、第2従動ローラ122は支持軸126の回動を介してカッティングテープTに対し離接移動する。
【0073】
次に、テープ送り機構22の動力伝達系について、図8を主体に、図7および図11を参照して説明する。送り駆動モータ81の回転動力を伝達する動力伝達部83は、送り駆動モータ81の出力軸に固定した出力歯車141と、出力歯車141から動力を分岐してそれぞれ入力する印刷側ギヤ列142およびカット側ギヤ列143とで構成され、サイドフレーム57の外側面等に配設されている。
【0074】
印刷側ギヤ列142は、プラテン駆動軸37を回転可能に軸着したプラテン歯車145と、リボン巻取軸38をスリップ回転可能に軸着したリボン巻取歯車146と、プラテン歯車145とリボン巻取歯車146との間に介設した2個の中間伝達歯車147,147と、出力歯車141に噛み合うと共にプラテン歯車145に選択的に噛み合うプラテン切替歯車148と、を備えている。プラテン歯車145は、プラテンローラ42を回転させ、一方リボン巻取歯車146は、リボン巻取リール45を回転させる。
【0075】
プラテン切替歯車148は、送り駆動モータ81の出力軸に回転自在に支持されたクラッチアーム150の先端部に回転自在に取り付けられており、出力歯車141に噛み合う大歯車151と、同軸上において大歯車151に固定された小歯車152とから構成されている。小歯車152はプラテン歯車145に離接自在に噛み合い、大歯車151は出力歯車141と常に噛み合っており、送り駆動モータ81の回転に伴って常に回転する。
【0076】
そして、クラッチアーム150、出力歯車141、プラテン切替歯車148および後述する動作フレーム59の切替え部71により、上記のプラテンクラッチ機構85が構成されている。クラッチアーム150と切替え部71とが非係合状態において、送り駆動モータ81が正転すると、クラッチアーム150が出力軸に対し連れ廻りし、小歯車152がプラテン歯車145に連結され、送り駆動モータ81の動力がプラテン駆動軸37およびリボン巻取軸38に伝達され、これらを回転させる。
【0077】
逆に、送り駆動モータ81が逆転するときとなるハーフカット処理時には、切替え部71とクラッチアーム150とが係合し、プラテンクラッチ機構85(の小歯車152)がプラテン歯車145から強制的に離間した状態となり、送り駆動モータ81の正逆を問わず、印刷側ギヤ列142への動力伝達が遮断される。
これにより、ハーフカット処理時において、プラテンローラ42が図示時計回りに回転しカッティングテープTをテープカートリッジ5外に繰り出すことがない。
【0078】
また、プラテンクラッチ機構85は、このような構造であるため、送り駆動モータ81の停止時において、カッティングテープTの先端をテープ排出口32から引き出そうとする人的外力が作用すると、小歯車152にトルクがかかるため、クラッチアーム150が逆方向(図8:反時計回り)に連れ廻りして、小歯車152をプラテン歯車145から離間させる。
【0079】
これにより、プラテン歯車145からリボン巻取歯車146までの歯車列は、他の歯車列から独立するため、人的外力によりカッティングテープTがテープカートリッジ5外へと強制的に繰り出される場合であっても、インクリボンRのテープカートリッジ5内の巻き取り走行を許容することができる。したがって、インクリボンRのテープカートリッジ内5でのジャミングや、送出しスリット47からのテープカートリッジ5外への飛び出しを適切に防止することができるようになっている。
【0080】
カット側ギヤ列143は、グリップローラ91を回転させるグリップ歯車161と、第1引張りローラ92を回転させる第1引張り歯車162と、第2引張りローラ93を回転させる第2引張り歯車163と、グリップ歯車161に噛み合うと共に第1引張り歯車162に離接自在に噛み合う第1切替歯車164と、グリップ歯車161に噛み合うと共に第2引張り歯車163に離接自在に噛み合う第2切替歯車165と、グリップ歯車161および出力歯車141に噛み合うグリップ伝達歯車166と、第2引張り歯車163に噛み合い後述する張付き防止ローラ131を回転させる張付き防止歯車169と、を備えている。
【0081】
グリップ歯車161は、グリップ駆動ローラ98のローラ軸101の端部に固定されており、送り駆動モータ81の回転動力をグリップ駆動ローラ98に伝達し、これを回転させる。グリップ歯車161は、グリップ伝達歯車166を介して出力歯車141と常に連結されており、送り駆動モータ81の正逆の回転に伴って常に正逆の回転をする。
【0082】
第1引張り歯車162は、第1駆動ローラ111のローラ軸114の端部に軸支されており、送り駆動モータ81の回転動力を第1駆動ローラ111に伝達し、これを回転させる。この場合、第1引張り歯車162とローラ軸114との間には、グリップローラ91の正転時にローラ本体115を一定トルクで回転させる第1トルクばね171が介設されている。
【0083】
同様に、第2引張り歯車163は、第2駆動ローラ121のローラ軸124の端部に軸支されており、送り駆動モータ81の回転動力を第2駆動ローラ121に伝達し、これを回転させる。そして、第2引張り歯車163とローラ軸124との間には、グリップローラ91の逆転時にローラ本体125を一定トルクで回転させる第2トルクばね172が介設されている。
【0084】
第1切替歯車164は、グリップ歯車161と同軸となるローラ軸101に回転自在に支持されたキャリア160の第1アーム167の先端部に、回転自在に取り付けられている。同様に、第2切替歯車165は、キャリア160の第2アーム168の先端部に、回転自在に取り付けられている。すなわち、グリップ歯車161が太陽歯車に、第1・第2切替歯車164、165が遊星歯車に、第1・第2アーム167、168が遊星腕に対応する遊星歯車列様の構成となっている。
【0085】
したがって、第1アーム167、第1切替歯車164およびグリップ歯車161により、第1引張り歯車162への動力伝達を切り替える上記の第1クラッチ機構95が構成され、同様に、第2アーム168、第2切替歯車165およびグリップ歯車161により、第2引張り歯車163への動力伝達を切り替える上記の第2クラッチ機構96が構成されている。なお、第1アーム167と第2アーム168とは、それぞれ空転側にストッパを設けることで、別体とすることも可能である。
【0086】
送り駆動モータ81が正転(図8:時計回りに回転)すると、グリップ歯車161が正転して、時計回りに連れ廻りするキャリア160により、第1クラッチ機構95の第1切替歯車164が第1引張り歯車162に連結され、第1駆動ローラ111を回転させる。この状態では、第2クラッチ機構96の第2切替歯車165が第2引張り歯車163から離間し、第2切替歯車165は、第2引張り歯車163との噛み合いが解かれて空回転する。すなわち、第2引張りローラ93への動力伝達は、第2クラッチ機構96を介して遮断され、一方、グリップローラ91および第1引張りローラ92の各駆動ローラ98,111が、正回転する。
【0087】
一方、送り駆動モータ81が逆転(図8:反時計回りに回転)すると、グリップ歯車161が逆回転して、反時計回りに連れ廻りするキャリア160により、第2クラッチ機構96の第2切替歯車165が第2引張り歯車163に連結され、第2駆動ローラ121を回転させる。この状態では、第1クラッチ機構95の第1切替歯車164が第1引張り歯車162から離間し、第1切替歯車164は、第1引張り歯車162との噛み合いが解かれて空回転する。すなわち、第1引張りローラ92への動力伝達は、第1クラッチ機構95を介して遮断され、グリップローラ91および第2引張りローラ93の各駆動ローラ98,121が、逆回転する。なおこのとき、張付き防止ローラ131は図3示時計回りに回転する。
【0088】
このように、第1クラッチ機構95および第2クラッチ機構96を介して、グリップローラ91から見て送り方向下流側の(第1或いは第2)引張りローラ92、93に、動力を伝達しないようにしている。これにより、グリップローラ91でカッティングテープTの正逆送りを制御しつつ、両引張りローラ92、93と協働して、カッティングテープTに好適なテンションを作用させることができる。このため、テープ送り機構22とハーフカット機構25との協働によるカッティングテープTのハーフカット処理を、安定して行うことができる。
【0089】
ところで、ハーフカット処理時には、カッティングテープTに切込み抵抗が作用するため、カッティングテープTを各種ローラ91,92,93で挟持した状態で正逆送りすることが好ましいが、切抜き処理専用のSテープの場合には、その高い剛性のために、テープ本体Tbの既切抜き部分に各種ローラ91,92,93が転接すると、この既切抜き部分が剥離紙Taから剥がれ易い不具合がある。そこで、テープ送り機構22は、カッティングテープTの剛性に応じて、グリップローラ91、第1引張りローラ92および第2引張りローラ93のテープ本体Tb側に転接する各従動ローラ99,112,122をカッティングテープTに対し離接させる上記のローラ離接機構を備えている。
【0090】
ローラ離接機構は、上述のように、グリップ従動ローラ99を3段階で移動させるが、これに連動して第1従動ローラ112および第2従動ローラ122を離接移動させる。この場合、グリップ従動ローラ99が離間位置の状態では、第1・第2従動ローラ112,122が第1・第2駆動ローラ111,121からそれぞれ離間しているが、Sテープに対応した第1グリップ位置の状態では、グリップローラ91でSテープの幅方向の両端部のみを挟持し、第1・第2従動ローラ112,122は離間状態を維持する。
【0091】
一方、Pテープに対応した第2グリップ位置の状態では、第1・第2従動ローラ112,122は第1・第2駆動ローラ111,121にそれぞれ接触し、グリップローラ91および第1・第2引張りローラ92,93でPテープを挟持する。このように、各種ローラ91,92,93をカッティングテープTの剛性に応じて離接させているため、Sテープに対しては既切抜き部分の剥離を防止してテープ走行性を維持し、Pテープに対してはハーフカット処理時のテープ斜行やテープ中間部の撓みを有効に防止することができる。
【0092】
ローラ離接機構を構成する動作フレーム59は、図5、図6および図8に示すように、下ローラ支持部68および上ローラ支持部69を平行に構成し両サイドフレーム57間にて左右方向に延在する支持フレーム61と、支持フレーム61の一方の端部から分岐して前後方向に延びる動作レバー62とで一体に構成され、動作レバー62の一端部が後述する連動機構28のフレーム動作カム355に連結している。
【0093】
動作フレーム59は、動作レバー62を介して連動機構28から動力を入力されると、グリップ従動ローラ99がグリップ駆動ローラ98に対し離間位置、第1グリップ位置、および第2グリップ位置の3状態を構成するように、前後方向に回動する。
【0094】
支持フレーム61は、その折り曲げた両側板部64,64に、動作フレーム59の回動中心部となる係合孔部63がそれぞれ形成されている。また、支持フレーム61には、下ローラ支持部68および上ローラ支持部69の間の基面を延在方向に沿って逃げ開口67が略方形に切り欠かれ、この逃げ開口67には、ハーフカット機構25のカッティングバイト181が貫通するようにしてローラ支持部68,69側に挿通している。このため、カッティングバイト181の移動範囲では、支持フレーム61に接触しないようになっている。
【0095】
動作レバー62は、左側のサイドフレーム57に沿うように延びる板状のものであり、送り駆動モータ81側に延びる切替え部71と、切替え部71の近傍で直角に折り曲げ形成した折曲げ部72と、切替え部71と反対側に延び上記の連動機構28に連結した動作入力部73と、切替え部71と動作入力部73との間の中間部から上側に突出した往動突当て部74と、で一体に構成されている。
【0096】
切替え部71は、クラッチアーム150に係脱自在に構成され、クラッチアーム150等と共に上記のプラテンクラッチ機構85を構成している。往動突当て部74は、フルカット機構24のスライドカッタ182を切断動作位置に回動させる(図5および図7参照で後述する)。
【0097】
折曲げ部72は、支持軸126の端部に固定した回動レバー130に係脱自在に構成され、回動レバー130を介して第2従動ローラ122を第2駆動ローラ121に対し離接移動させる。すなわち、折曲げ部72、回動レバー130および支持軸116から第2引張りローラ93を離接させるローラ離接機構の一部が構成されている。
【0098】
支持軸126は、両端部をサイドフレーム57に回動自在に両持ち支持され、回動レバー130と一体に回動する。回動レバー130は、折曲げ部72との係合が解かれると、支持軸126に巻回した戻しばね123により、第2従動ローラ122は第2駆動ローラ121に接触する。一方、動作フレーム59が回動して、折曲げ部72が回動レバー130に係合すると、戻しばね123に抗して回動レバー130が支持軸126を回動させ、ローラ保持部127を介して第2従動ローラ122を第2駆動ローラ121から離間させる。なお、戻しばね123の一端は、支持軸126の回動端位置を規制するストッパ120に掛止めされている。
【0099】
したがって、動作入力部73を介して連動機構28から動力が入力されると、動作フレーム59は、係合孔部63を中心として回動し、支持フレーム61を介してグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112を離間位置から第1グリップ位置または第2グリップ位置に移動させる。このとき第1・第2グリップ位置のいずれにおいても、切替え部71はクラッチアーム150を介して送り駆動モータ81からプラテンローラ42への動力を遮断し、往動突当て部74はスライドカッタ182に突き当て可能な状態にセットされる。また、第2グリップ位置のときにのみ、折曲げ部72は回動レバー130との係合が解かれるように構成されている。
【0100】
このように、連動機構28により、支持フレーム61を介してグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112は各駆動ローラ98、111に対し離接移動すると共に、これに連動して、動作レバー62を介して第2従動ローラ122は第2駆動ローラ121に対し離接移動する。これにより、SテープおよびPテープに応じた適切な往復動経路Cを確立して、カッティングテープTを適切にハーフカット処理することができるようになっている。なお、図示省略したが、動作フレーム59には、これを確動的に回動させるためのばねが係止されている。
【0101】
また、上記したように、左右の2個のグリップ従動ローラ99b、99bは、Sテープのテープ幅100mmに対応して離間して配設されており、最大36mm幅のPテープには転接する構造になっておらず、さらに幅広のPテープを用意した場合には、グリップローラ91のグリップ力は中央に比べ左右が大きくなるが、そのテープ走行性に支障をきたすことはない。また、後述するが、走行経路Aの上流側から送られてくるカッティングテープTの先端がグリップローラ91および第1引張りローラ92に達するまで、グリップローラ91および第1引張りローラ92は、カッティングテープTに対し離間状態(非グリップ状態)を維持している。
【0102】
ところで、上記のように動作フレーム59は片側に配した動作レバー62から回動するための動力を入力されるが、支持フレーム61に平行に支持したグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112は、テープ走行性のためにも、カッティングテープTの幅方向に均一に接触することが好ましい。そこで、動作フレーム59をその係合孔部63を介してサイドフレーム57に両持ち支持させる構造において、ガイド軸65およびブッシュ66を利用している。
【0103】
ここで、図9および図10を参照して、動作フレーム59(フレーム部材)、ガイド軸65、ブッシュ66およびサイドフレーム57廻りの支持構造について詳細に説明する。ガイド軸65は、カッティングバイト181およびスライドカッタ182を搭載したキャリッジ184の左右方向の往復動をガイドするキャリッジガイド軸であり、これを動作フレーム59の支持構造に有効に利用している。
【0104】
ガイド軸65は、グリップ従動ローラ99等の軸線と平行に延在し、キャリッジ184の往復動をガイドする断面円形の丸棒部75と、丸棒部75の両端部から連続してガイド軸65の外端部となる回り止め部76と、で構成されている。
回り止め部76は、係合孔部63に対応して、対向する両端部を半円弧状に切除した横長の断面略長円形に形成されている。ガイド軸65は、両回り止め部76を両係合孔部63に対し、その横長の向きを合致させた状態で、係合孔部63に遊嵌状態で挿通される。
【0105】
各サイドフレーム57には、ブッシュ66を外側から取り付けるための嵌合孔77が、動作フレーム59の回動中心となる位置にそれぞれ形成されている。そして、ブッシュ66を嵌合孔77に嵌め込み、動作フレーム59の係合孔部63にブッシュ66を回り止め状態で装着し、ブッシュ66内にガイド軸65の回り止め部76を回り止め状態で装着させることで、動作フレーム59、ガイド軸65およびブッシュ66は、サイドフレーム57に一体回動自在に支持されるようになっている。
【0106】
ブッシュ66は、円形の外周面から成る胴部501と、胴部501の先端部に位置し面取りして外周面が略長円形をなす嵌装部502と、胴部501を先端側から所定の深さ刳り貫いて形成した装着部503と、胴部501の基端部から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つのフランジ部504と、3つのフランジ部504と所定の間隙を存して胴部501から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つの抜止め部505と、で一体に形成されている。
【0107】
3つのフランジ部504と3つの抜止め部505とは、周方向に相互に位置ずれして形成されていると共に、各フランジ部504が各抜止め部505に比して僅かに大きな矩形に形成されている。すなわち、各抜止め部505は、フランジ部504同士の間の間隙に臨んで形成されている。また、フランジ部504と抜止め部505との間は、サイドフレーム57の厚み分隔てており、サイドフレーム57をフランジ部504の内面と抜止め部505の外面との間で挟み込めるようになっている。
【0108】
これに対し、嵌合孔77は、胴部501に対応する内周面を有する円形の環状孔部78と、環状孔部78から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つの切欠き部79とで構成されている。環状孔部78の径および係合孔部63の径は、ガイド軸65(丸棒部75)の径よりも太径に形成されている。このため、ガイド軸65を嵌合孔77にその外側から係合孔部63を挿通して、両サイドフレーム57間に導入することができる。
【0109】
3つの切欠き部79は、3つの抜止め部505に対応した位置に且つ大きさで矩形に形成されており、3つの切欠き部79と3つの抜止め部505とを合致させた状態では、各抜止め部505は各切欠き部79を挿通可能となり、ブッシュ66を嵌合孔77に着脱することができる。そして、ブッシュ66の嵌め込み時には、フランジ部504がサイドフレーム57の内側へのストッパとして機能する。
【0110】
また、ブッシュ66を嵌め込んで装着した状態では、ブッシュ66の胴部501と嵌合孔77の環状孔部78との間でブッシュ66は嵌合孔77内の回動を許容されると共に、120度の回動角度範囲内では、抜止め部505とフランジ部504とが嵌合孔77廻りにおけるサイドフレーム57を挟み込む。これにより、ブッシュ66は、サイドフレーム57から内外各方向への抜け落ちを防止された状態で、サイドフレーム57に回動自在に支持されることとなる。
【0111】
ブッシュ66の装着部503は、ブッシュ66の軸心に構成され、ガイド軸65の回り止め部76に対応して、これを装着可能な装着深さを有すると共に断面略長円形の内周面507で構成されている。回り止め部76を装着部503に装着したブッシュ66は、その先端面508がガイド軸65の丸棒部75の端面に当接し、ガイド軸65と一体回動可能となる。
【0112】
嵌装部502は、ブッシュ66の軸心に構成され、係合孔部63に対応して、これに嵌合可能な略長円形の外周面を有している。嵌装部502に係合孔部63を嵌め込んだブッシュ66は、その抜止め部505の内面が係合孔部63廻りの支持フレーム61の端面に当接し、支持フレーム61と一体回動可能となる。すなわち、抜止め部505は、係合孔部63を形成した側板部64とサイドフレーム57との間隙分の厚みに形成されている。なお、嵌装部502による嵌装位置を越えて、装着部503の底部は、ブッシュ66の基端側に位置している。
【0113】
ここで、サイドフレーム57に対し、ガイド軸65、動作フレーム59およびブッシュ66を組付け手順について簡単に説明する。先ず、動作フレーム59を両サイドフレーム57間の組付け位置に位置させ、一方の嵌合孔77の外側からガイド軸65を導入して両サイドフレーム57間に位置させて、ガイド軸65の各回り止め部76を各係合孔部63に挿通させた状態とする。このとき、ガイド軸65の回り止め部76および係合孔部63の横長の略長円を、サイドフレーム57に対し僅かに傾けておく。
【0114】
続いて、係合孔部63等の略長円の向きに合致するように傾けたブッシュ66を、サイドフレーム57の外側から嵌合孔77に臨ませる。そして、各サイドフレーム57の内側に押し込むようにして各ブッシュ66を各嵌合孔77に嵌合させると共に、各装着部503にガイド軸65の各回り止め部76を装着し且つ各嵌装部502に動作フレーム59の各係合孔部63を嵌め込み、各嵌合孔77内で各ブッシュ66を回動させる。
【0115】
これにより、ガイド軸65および動作フレーム59をそれぞれ回り止め状態装着した各ブッシュ66は、各嵌合孔77内で回動して、それぞれ3つずつの抜止め部505とフランジ部504との間で嵌合孔77廻りのサイドフレーム57を周方向に挟込んで、組付け作業が完了する(図5および図7参照)。
【0116】
したがって、一方の端部側から回動力を入力される動作フレーム59は、その回動力を両ブッシュ66およびガイド軸65を介して他方の端部側に伝達されて回動する。これにより、動作フレーム59を、その強度に関らず、長さ方向に亘ってねじれることなく水平に回動させることができるため、グリップローラ91等の従動ローラ99(離接部材)をカッティングテープTに対し平行に離接させることができ、カッティングテープTの走行性などを適切に確保することができる。
【0117】
なお、ガイド軸65および動作フレーム59を一体回動自在に支持した両ブッシュ66は、グリップローラ91等の従動ローラ99を離接移動させる回動角度範囲内では、各サイドフレーム57に対し、回転止め無しの抜止め状態で回動自在に支持される。また、切欠き部79等を周方向に3つ形成したが、これに限らない任意の複数の数で形成できることは言うまでもない。
【0118】
なおまた、組付けの作業性は悪くなるが、動作フレーム59の支持構造において、ブッシュ66を省略した構成としてもよい。この場合には、ガイド軸65は、両側板部64を貫通して左右両サイドフレーム57間に渡されるが、その各回り止め部76を各係合孔部63に対し回り止め状態で係合し、且つ各嵌合孔77に対し回動自在に軸支されることになる。
【0119】
また、後述するが、グリップローラ91等の各従動ローラ99の離接移動は、フルカット機構24による切断処理に先立って行われる。これにより、走行経路Aの上流側では印刷ヘッド36およびプラテンローラ42により、また下流側ではグリップローラ91等により、カッティングテープTを、その送り方向の両端を規制(挟持)した状態での切断に臨ませることができ、カッティングテープTを安定してフルカットすることができる。
【0120】
次に、テープ収納処理部30について、図3を参照して詳細に説明する。テープ収納処理部30は、カートリッジ装着部19に隣接してその上側に構成されている。テープ収納処理部30は、ハーフカット処理時に、分岐経路Bの復動送り端から復動(逆送り)してくるカッティングテープTを、正逆送り機構82を含む他の機構への干渉を阻止可能に収容するためのものであり、カッティングテープTをその尾端側(復動送り端側)から内部空間134に繰り入れて収容するものである。
【0121】
内部空間134は、装置本体3の後上部に配設した収納ケース135のテープ案内面137aと、装着フレーム54の上面54aとで構成されている。テープ案内面137aは略半円周の円弧面から成り、装着フレーム54の上面54aはテープ案内面137aに連なる部分が円弧状に湾曲して形成されている。すなわち、内部空間134を構成する内面は、全体として断面が円に近い円弧を為している。
【0122】
収納ケース135は、開閉蓋18の後半部を広く切り欠いた部分に収まるようにして設けられ、開閉蓋18と共に装置ケース2の一部としてテープ処理装置1の外郭を構成し、開閉蓋18と一体に開閉操作されるようになっている(図2参照)。また、収納ケース135は、装置本体3に着脱自在に構成されている。
【0123】
収納ケース135のケース外面136は、閉塞状態において開閉蓋18の後上面から盛り上がるようにしてこれに連続する断面ドーム状に形成され、カッティングテープTの巻癖に倣う湾曲面を有している。ケース外面136は、往復動経路Cの往動送り端の延長上に構成され、ケース外面136の後面側は、鉛直方向に延在していると共に、その前面側はテープ排出口32に臨んでいる。テープ排出口32は、図1に示すように、収納ケース135の端部と装置ケース2の開口縁部との間で形成されている。
【0124】
したがって、テープ排出口32から上方に送り出されるカッティングテープTの部分は、その巻癖および重力により、テープ本体Tb側をケース外面136に適切に案内され、収納ケース135の後方に円滑に向かうようになっている。
【0125】
収納ケース135の後半側のケース内面137は、上記のテープ案内面137aを構成している。テープ案内面137aの案内終端部139は、カッティングテープTを挟んで分岐経路Bに僅かな間隙を存して臨む位置で且つ内部空間134に収容されたカッティングテープTを略一巻きし終える位置まで延在している。そして、案内終端部139と分岐経路Bとの間の間隙には、カッティングテープTの尾端側を補助送りする張付き防止ローラ131(補助送りローラ)が、内部空間134に臨んで配設されている。
【0126】
張付き防止ローラ131は、テープ案内面137aに対するSテープの密着性を解消するように機能させるものであり、カッティングテープTの内部空間134における周回を促進するものである。すなわち、張付き防止ローラ131は、上記の動力伝達部83(図8参照)により図3示時計回りに回転して、カッティングテープTの尾端側を内部空間134側に巻き込む方向に補助的に送り、カッティングテープTがテープ案内面137aで突張るのを防止している。
【0127】
張付き防止ローラ131は、両端部を装置フレーム4のサイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されたローラ軸132と、ローラ軸132に装着された左右一対のローラ本体133とで構成されている(図7および図11参照)。ローラ軸132の端部には、上記の張付き防止歯車169が固着されており、張付き防止ローラ131は、上記の第2クラッチ機構96(図8参照)により、正逆送り機構82の復動送りに同期して回転(図3示時計回りに駆動回転)し、カッティングテープTが正送りされるときには、動力伝達が遮断され自由回転可能となる。
【0128】
一対のローラ本体133は、グリップ従動ローラ99の左右の2個(99b)と同様に、100mm幅のSテープに対応して離間し、Sテープにのみ転接するようになっている。また、ローラ本体133の外周面は、案内終端部139の鉛直面よりも内部空間134内に突出して配設されている。したがって、張付き防止ローラ131は、Sテープがテープ案内面137aに密着することを有効に防止することができる。なお、Pテープの場合には、ローラ軸132によりそのテープ尾端側が装置内でジャミングするのを阻止できる。
【0129】
このように、テープ収納処理部30では、カッティングテープTの巻癖を有効に利用して、正逆送りされるカッティングテープTを、その尾端側を収納ケース135の内部空間134に収容するようにし、その先端側を収納ケース135のケース外面136に案内するようにしている。このため、特に長尺の巻癖を有するカッティングテープTであっても、これを装置本体3内の省スペースで適切にハーフカット処理することができる。なお、張付き防止ローラ131を、Pテープにも転接可能に構成してもよい。
【0130】
次に、図3、図5および図6を中心として、ハーフカット機構25およびフルカット機構24について詳細に説明する。ハーフカット機構25のカッティングバイト181と、フルカット機構24のスライドカッタ182とは、キャリッジ184に搭載されており、カッティングバイト181はグリップローラ91の下流側に位置し、スライドカッタ182はグリップローラ91の上流側に位置している。そして、ハーフカット機構25およびフルカット機構24は、キャリッジ184をカッティングテープTの送り方向に直交する方向に往復動させる往復動機構185(バイト移動機構)と、往復動機構185を駆動する正逆回転可能なキャリッジモータ186と、を共用している。
【0131】
往復動機構185は、キャリッジ184の往復動を案内するキャリッジガイド軸と成る上記のガイド軸65と、キャリッジリードねじ187とを備えている。
キャリッジ184は、キャリッジリードねじ187に螺合する雌ねじ部189を有するキャリッジ駆動枠195と、キャリッジ駆動枠195に係合するキャリッジ本体196とで構成され、キャリッジ本体196には、ガイド軸65を挿入する断面円形のガイド孔188が貫通形成されていると共にカッティングバイト181およびスライドカッタ182が搭載されている。
【0132】
ガイド軸65とキャリッジリードねじ187とは、前後に平行に位置しており、キャリッジリードねじ187は、両端部を両サイドフレーム57に回転自在に支持されている。キャリッジモータ186は、送り駆動モータ81と同様にステッピングモータで構成され、送り駆動モータ81に隣接して、ベースフレーム56の外側面に配設されている。キャリッジモータ186の出力軸には、キャリッジ出力ギヤ191が固定されており、このキャリッジ出力ギヤ191には、キャリッジリードねじ187の端部に固定したキャリッジギヤ192が噛み合っている。
【0133】
キャリッジモータ186の正逆回転により、キャリッジ出力ギヤ191およびキャリッジギヤ192を介してキャリッジリードねじ187が正逆回転する。キャリッジリードねじ187の正逆回転により、キャリッジ駆動枠195を介してキャリッジ184は、キャリッジ本体196をガイド軸65に案内しながら往復動する。なお、以下、図5および図6示におけるキャリッジ184の往復動について、キャリッジモータ186側である左側の移動を「往動」とし、右側の移動を「復動」として説明する。
【0134】
キャリッジ駆動枠195は、上記の雌ねじ部189を中央部に有すると共に、頂部から円弧状に突出した頂面が鉛直フレーム58の内面に摺接する上下一対の摺接部201(図3参照)と、一方の摺接部201からL字状に屈曲して延びる初期位置検出部202とを有している。一対の摺接部201は、移動するキャリッジ駆動枠195の廻止めとして機能している。
【0135】
また、初期位置検出部202は、キャリッジモータ186側(往動側)の初期位置に設けた図外のフォトインタラプタにより、キャリッジ184の初期位置を検出するための遮光部材として使用される。なお、鉛直フレーム58の延在方向の一方の外端部に形成した切り欠きは、カッティングバイト181の交換を考慮したものである。
【0136】
キャリッジ駆動枠195の底部の一部には、幾分切り欠かれた係合凹部203が形成されており、この係合凹部203には、キャリッジ本体196の突出した係合凸部213が挿入されている(図10参照)。係合凸部213は、係合凹部203に左右方向を位置規制されていると共に、前後方向の傾動を許容されている。これにより、キャリッジ駆動枠195が移動すると、係合凹部203が係合凸部213を介してキャリッジ本体196を移動させる。また、係合凹部203は、キャリッジ駆動枠195に対して、キャリッジ本体196がガイド軸65を中心として前後方向に回動するのを許容する。
【0137】
キャリッジ本体196は、図3に示すように、短辺厚板部211と長辺厚板部212とで略「L」字状の断面形状を有しており、短辺厚板部211の一方の端部にはガイド孔188が貫通形成され、他方の端部には上記の係合凸部213が突出形成されている。なお、短片厚板部211のガイド孔188廻りの復動側の部位には、経路変更機構27の経路変更部材331を作用させるトリガー部215が形成されている(図7参照で後述する)。そして、短辺厚板部211の下面と成る端面には、スライドカッタ182が着脱自在に且つ回動自在に搭載され、一方、長辺厚板部212の中間部には、カッティングバイト181が貫通するように着脱自在に装着されている。
【0138】
短辺厚板部211と長辺厚板部212との交差部分には、アップダウン部214が貫通形成されており、このアップダウン部214には、断面略三日月形状のアップダウンレバー216が挿通されている。アップダウンレバー216は、図3に示すように、ガイド軸65を中心にキャリッジ本体196を前後方向に傾動させるものであり、カッティングバイト181をカッティングテープTに対し離接させるアップダウン機構218を構成している。
【0139】
アップダウン機構218は、キャリッジ本体196を水平姿勢に傾動させて、カッティングバイト181をカッティングテープTに切り込ませるカット動作位置(図3参照)と、キャリッジ本体196を上あがり姿勢に傾動させて、カッティングバイト181をカッティングテープTから上方に退避させる非カット動作位置(図23参照)との間で、キャリッジ本体196およびカッティングバイト181を移動させる。
【0140】
アップダウン機構218により、スライドカッタ182をカット動作(フルカット動作)させる時等に、カッティングバイト181をカッティングテープT(走行経路A)から退避させることができ、適切な走行経路Aを確保することができる。また、ハーフカット処理時にカッティングバイト181をカッティングテープT(走行経路A)から適宜退避させることで、例えば図4(d)に示す切抜き形状を形成することができる。
【0141】
アップダウン機構218は、図5ないし図7示すように、ガイド軸65に平行に配設され一方の端部をサイドフレーム57に支持された上記のアップダウンレバー216と、アップダウンレバー216の他方の端部を固定するレバー枠221と、レバー枠221に係合してアップダウンレバー216を作用させる駆動レバー222とを備え、駆動レバー222が連動機構28のアップダウンカム354に連結されている。
【0142】
アップダウンレバー216に対応して、キャリッジ本体196のアップダウン部214には、図3に示すように、上下に位置するカッティングバイト181とガイド軸65との間に位置して、アップダウンレバー216に向かって前後一対の凸部224が突出形成されている。アップダウンレバー216は、一対の凸部224を介してキャリッジ本体196を前後方向に傾動させる。
【0143】
アップダウンレバー216の両端部には、この前後方向の回動中心となりサイドフレーム57に支持された基部突起227と、サイドフレーム57の長孔238に摺動自在に係合する摺動突起228とがそれぞれ形成され、往動側の基部突起にレバー枠221が固定されている。また、往動側の摺動突起228には、アップダウンレバー216を前方に付勢するコイルばね226の一端が係止されている。
【0144】
コイルばね226により、アップダウンレバー216は、常時、キャリッジ本体196を介してカッティングバイト181を非カット動作位置に向かって付勢している(図23参照)。なお、この状態では、アップダウンレバー216は、アップダウン部214の前側の凸部224に当接している。
【0145】
レバー枠221は、アップダウンレバー216の固定位置から屈曲して動作フレーム59の動作レバー62の裏側にて延在していると共に、その延在終端部には、動作レバー62の表側に突出するばね突当部231が形成されている。ばね突当部231には、駆動レバー222の筒状ボス239に巻回したねじりコイルばね232が突き当てられている。駆動レバー222は、ばね突当部231に対応する先端部位を円弧状に窪んで形成されていると共に、筒状ボス239と同軸上に且つその反対側に突出した軸部233で装置フレーム4に回動自在に支持されている(図2参照)。
【0146】
駆動レバー222の尾端部は、連動モータ351に向かって延びており、連動機構28のアップダウンカム354に接触している。そして、アップダウンカム354を介して、駆動レバー222が軸部233を中心に回動することで、ねじりコイルばね232がばね突当部231を押し込むように機能して、レバー枠221を作用させる。これにより、アップダウンレバー216がコイルばね226に抗してキャリッジ本体196の後側の凸部224に当接し、カッティングバイト181をカット動作位置に移動させる(図3参照)。すなわち、カッティングバイト181の刃先は、カッティングテープTに弾力的に突き当たることになる。
【0147】
なお、アップダウンカム354を介して駆動レバー222が逆方向に回動すると、コイルばね226によりレバー枠221が回動復帰するが、そのばね突当部231に対してねじりコイルばね232がクッション的に作用して、カッティングバイト181が非カット動作位置に移動する(図23参照)。
【0148】
続いて、図9を主体に、図5および図7を適宜参照して、スライドカッタ182廻りの構造について詳細に説明する。スライドカッタ182は、先端部にカッタ刃241を有してキャリッジ本体196に着脱自在に搭載されており、キャリッジ本体196の復動時にカッティングテープTを切断する。また、スライドカッタ182は、キャリッジ本体196に回動自在に取り付けられており、キャリッジ184の往復動を利用したカッタ離接機構219により回動される(図7参照)。
【0149】
スライドカッタ182は、往動端でカッタ刃241を非切断姿勢から切断姿勢に回動させる刃入れ部材246と、復動端でカッタ刃241を切断姿勢から非切断姿勢に回動させる刃出し部材247とを有している。一方、カッタ離接機構219は、上記の往復動機構185と、動作フレーム59の動作レバー62に形成した往動突当て部74と、サイドフレーム57に設けた復動突当て部251と、で構成されている。
【0150】
したがって、往復動機構185により往動するキャリッジ184が往動の終端近傍に達すると、スライドカッタ182の刃入れ部材246が往動突当て部74に突き当たり、スライドカッタ182は、カッタ刃241が切断姿勢となる切断動作位置に回動する(図5参照)。逆に、復動するキャリッジ184が復動の終端近傍に達すると、スライドカッタ182の刃出し部材247が復動突当て部251に突き当たり、スライドカッタ182は、カッタ刃241が非切断姿勢となる非切断動作位置に回動する(図7参照)。
【0151】
スライドカッタ182は、斜刃のカッタ刃241と、カッタ刃241を保持すると共にキャリッジ本体196に回動自在に支持されたカッタホルダ242と、カッタホルダ242に取り付けられ平坦な先端面でカッティングテープTの切断部位を押えるテープ押え部材243とを有している。
【0152】
テープ押え部材243は、中央面を刳り貫いて形成され、カッタホルダ242を覆うと共にカッタホルダ242と一体に回動する。また、テープ押え部材243とカッタホルダ242との間には、テープ押え部材243を押え方向に付勢する押えばね(ねじりコイルばね)244が介設され、テープ押え部材243は、カッタホルダ242に対し押え方向(前後方向)にスライド自在に取り付けられている。このため、テープ押え部材243は、切断動作時にカッティングテープTを弾力的に押えることができるようになっている。
【0153】
テープ押え部材243は、これの先端面を構成し、カッタ刃241の切っ先を囲繞するスリット孔を有する平坦部255と、平坦部255から往動側に連なる緩傾斜部257と、平坦部255から復動側に連なる急傾斜部256と、急傾斜部256に連なり復動側に突出した上記の刃出し部材247とで構成されている。
【0154】
カッタホルダ242は、キャリッジ本体196の軸突起197に回動自在に支持される軸受部249と、テープ押え部材243の刳り貫いた一部位に当接し、押えばね244に抗してテープ押え部材243のスライド端位置(押え端位置)を規制するストッパ245と、テープ押え部材243側に突設して押えばね244を装着したばね掛止ピン248と、ばね掛止ピン248の往動側に隣接して突設する上記の刃入れ部材246とを有している。
【0155】
軸受部249は、カッタ刃241の軸心に対して往動側に僅かに位置ずれして形成されており、カッタホルダ242は、キャリッジ本体196に対し、カッタ刃241を切断姿勢と非切断姿勢との間で回動自在に取り付けられている。また、カッタホルダ242のカッタ刃241近傍には、切断動作時のカッタ刃241の切断姿勢を維持する回動阻止部(図示省略)が形成され、これに対応してキャリッジ本体196には、回動阻止部がクリック係合する回動阻止受け部250が形成されている。
【0156】
回動阻止部は、カッタ刃241を挟んで左右一対のばね性を有する薄肉の帯状部であり、回動阻止受け部250は、軸突起197の左右に形成した一対の突起状物で構成されている。したがって、スライドカッタ182が往動端で切断姿勢に回動すると、回動阻止部が回動阻止受け部250に係合した状態となる。そして、この状態でスライドカッタ182が復動方向に切断動作すると、カッタ刃241には切断抵抗が作用しカッタホルダ242を図5示反時計回りに回動させようとするが、回動阻止部と回動阻止受け部250との係合により、切断動作時のスライドカッタ182の切断動作位置が維持される。
【0157】
また、切断動作位置のスライドカッタ182が、復動端で刃出し部材247を介して非切断動作位置に回動するときには、回動阻止部と回動阻止受け部250との係合は解かれるようになっている。なお、非切断動作位置のスライドカッタ182は、カッタホルダ242とキャリッジ本体196との間に介在する弱摩擦力により、カッタ刃241の非切断姿勢を維持されることとなる(図7参照)。
【0158】
図3に示すように、スライドカッタ182の移動軌跡に対応して、装置本体3には、カッタ受け部252(テープ受け部)が設けられている。カッタ受け部252は、装着フレーム54の一部に一体に設けられている。
【0159】
カッタ受け部252には、図27に示すように、カッタ刃241の移動軌跡に沿って切っ先が臨む直線状のカッタ受け溝253が形成されていると共に、カッタ刃241の移動軌跡に沿ってテープ押え部材243の先端部が面する押受けカム部260が形成されている。復動するスライドカッタ182は、押受けカム部260により、カッタ刃241をテープ押え部材243のスリット孔から相対的に出没するようになっている。なお、上記のストッパ245により、カッタ刃241はテープ押え部材243に対し相対的に没する位置に規制されている。
【0160】
押受けカム部260(摺接部)は、往動端側の上り傾斜から成る助走部261と、助走部261に連なり復動側に延びる直線部262とで構成され、直線部262にカッタ受け溝253が形成されている。切断動作位置のスライドカッタ182が往動端から復動すると、その先端部である急傾斜部256が押受けカム部260の助走部261に優先して当接する。そして、急傾斜部256が助走部261を駆け上るようにして、スライドカッタ182は、テープ押え部材243が押えばね244に抗しながら復動してゆく。
【0161】
スライドカッタ182が押受けカム部260の直線部262に達すると、押受けカム部260に対するテープ押え部材243の摺接部位は、急傾斜部256から平坦部255へと移行する。このとき、平坦部255と直線部262とは平行になると共に、カッタ刃241の切っ先が平坦部255のスリット孔から露出し、カッタ受け溝253に臨む。
【0162】
これにより、スライドカッタ182は、平坦部255の先端面でカッティングテープTの切断部位を直線部262との間で動かないように挟み込んで押圧しながら、これを切断することになる。このため、カッティングテープTの端面を真直ぐに切断することができる。一方、非切断動作位置のスライドカッタ182の往復動では、テープ押え部材243の緩傾斜部257が走行経路Aと略平行になり、スライドカッタ182は、カッタ刃241はもとよりテープ押え部材243がカッティングテープTから離間する。
【0163】
なお、スライドカッタ182を切断動作させるためのキャリッジ184の往動および復動の範囲は、カッティングバイト181をカット動作させるときのキャリッジ184の往復動範囲の外側に設定されており、カッティングバイト181がカット動作(往復動)しているときには、スライドカッタ182が復動突当て部251および往動突当て部74に突き当たることはないようになっている。また、スライドカッタ182が復動突当て部251に突き当たり、非切断動作位置に回動するのと同時に、キャリッジ184のトリガー部215が経路変更機構27の経路変更部材331のレバー部337に突き当たるようになっている(図7参照)。
【0164】
次に、図3および図6を参照して、カッティングバイト181廻りの構造について詳細に説明する。カッティングバイト181は、バイト271と、バイト271を先端部に保持した軸状のバイト保持部材272と、バイト保持部材272を回動自在に保持すると共にキャリッジ本体196に支持されたバイトホルダ枠273とで構成されている。バイトホルダ枠273の先端部は、バイト保持部材272の先端側半部とバイト271とを囲繞するように延在しており、その平坦な先端面からバイト271の切っ先が突出している。そして、バイトホルダ枠273の先端部は、支持フレーム61の逃げ開口67から突出し、その平坦な先端面でバイト271の周囲に対応するカッティングテープTのカット部位を押えるようになっている。
【0165】
バイトホルダ枠273の中間部には、バイト保持部材272の基部側を回転自在に軸支するベアリング275が内蔵され、またバイトホルダ枠273の基端部には、これに両端部をフック形式(スナップイン)で取り付けられた調整ネジ付きのバイト押え部材276が装着されており、このバイト押え部材276が、バイト保持部材272の基部を先端側に向かって押えている。
【0166】
カッティングテープTを挟んでカッティングバイト181が対峙する部分には、両サイドフレーム57に支持した受けプレート281が配設されており、受けプレート281には、図3および図11に示すように、カッティングバイト181の移動軌跡に沿ってバイト271の刃先を逃げるバイト受け溝282が形成されている。
【0167】
また、受けプレート281には、グリップ駆動ローラ98を逃げるローラ開口283と、グリップ駆動ローラ98を跨ぐように軸方向に形成した上記の複数の中間ブリッジ108と、上方に屈曲した移動ガイド部284と、グリップ駆動ローラ98から第2駆動ローラ121にかけて湾曲した分岐経路Bの経路案内部285と、が形成されている。
【0168】
上記のアップダウン機構218によりカット動作位置に移動したカッティングバイト181は、バイト271がバイト受け溝282に臨むと共に、バイトホルダ枠273の先端部が受けプレート281との間でカッティングテープTのカット部位を押えながらカット動作を行う(図3参照)。これにより、バイト271がテープ本体Tbのみを切り込むハーフカットを安定して行うことができるようになっている。
【0169】
また、バイト受け溝282は、設定したカッティングバイト181の移動範囲に対応して、100mm幅のカッティングテープTのテープ幅(最大テープ幅)よりも長く延在している。これにより、カッティングテープTの幅方向の手前側からカット動作を開始することができるため、各幅のカッティングテープTを幅方向に亘って適切にハーフカットすることができる(図4(e)および(f)参照)。
【0170】
なお、カット動作時におけるキャリッジ184の往復動範囲の両端位置(往動端位置および/または復動端位置)のバイト受け溝282に、ゴム状のプレカット部材を設けてもよい。これによれば、カッティングバイト181の初期切込み姿勢が方向付けられるため、特に、カッティングテープTの横断ハーフカットを良好に行うことができる。
【0171】
なおまた、カッティングバイト181のカッティングテープTへの初期切込み姿勢を制御する他のバイトセット機構を設けてもよい。バイトセット機構は、例えば、バイト保持部材272の一部と、これに対応してキャリッジ184の往復動範囲の一方の端位置(サイドフレーム57)とに磁石をそれぞれ設け、その斥力により、バイト保持部材272を回動させバイト271が適切な初期切込み姿勢に向くように構成する。
【0172】
あるいは、キャリッジ184の往復動範囲の一方の端位置に可撓性磁石を設け、この位置に移動したバイト271の切っ先が可撓性磁石に位置決めされるように接触させ、実際に切り込み移動を開始するときに、バイト271を反力で180度回動させるようにする。
【0173】
また、他の構成として、キャリッジ184の往復動範囲の端位置に、一対の姿勢制御部材の先端部をバイト271を挟んで対向するように設け、姿勢制御部材の基部に係止したばねにより、姿勢制御部材の先端部が互いに接触するように回動自在に構成しておく。そして、例えばキャリッジ184が往動端位置に達すると、バイト271は一対の姿勢制御部材の先端部の間を通過するが、反転復動するときには、バイト271により、両姿勢制御部材はばねに抗しながら開くように回動する。これにより、両姿勢制御部材の先端部の部位に挟み込まれるようにして当接したバイト271は、適切な初期切り込み姿勢と成る。
【0174】
ところで、上述のように、カッティングバイト181の切り込み動作は、分岐経路Bに導くカッティングテープTの頻繁な正逆送りに同期して行うものであるが、カッティングテープTの剛性が低い場合にこれが安定して行われる必要がある。そこで、装置本体3内には、カッティングテープTの斜行を防止すべく、走行経路Aおよび分岐経路BのカッティングテープTを幅方向に位置規制するテープ幅規制機構29が配設されている。
【0175】
テープ幅規制機構29について、図6を主体に、図3および図5を参照しながら説明する。テープ幅規制機構29は、カッティングテープTを幅方向に位置規制する左右一対の幅規制ガイド301と、一対の幅規制ガイド301を同時に移動させるガイド移動機構302とを有しており、上記のテープ幅検出機構の検出結果に基づいて、ガイド移動機構302が各幅規制ガイド301をテープ幅に合うように移動させる。
【0176】
ガイド移動機構302は、ガイドリードねじ304と、ガイドリードねじ304を歯車列(ウォーム・ウォームホイール)を介して正逆回転させる幅規制モータ305とで構成されている。幅規制モータ305は、整流子・ブラシつきのDCモータからなり、ベースフレーム56の内側面上部に配設されており、幅規制モータ305の出力軸には、ウォームギヤ306が固定されている。ウォームギヤ306は、ガイドリードねじ304の端部に設けたウォームホイール307に噛み合っており、ガイドリードねじ304を回転させる。
【0177】
ガイドリードねじ304は、両端をサイドフレーム57に回転自在に支持され、各幅規制ガイド301のガイド雌ねじ部308に螺合している。上述のように、複数幅のカッティングテープTは、いずれも幅方向の中心位置が左右方向の中心位置に合致して送られるが、これに対応して、ガイドリードねじ304は、延在する左右方向のセンター部311を境に、一方の側に右ねじを螺刻した右雄ねじ部312が形成され且つ他方の側に右雄ねじ部312と同一リードの左ねじを螺刻した左雄ねじ部313が形成されている。そして、一対の幅規制ガイド301の一方は、右雄ねじ部312に螺合する右ガイド雌ねじ部308を有し、他方は左雄ねじ部313に螺合する左ガイド雌ねじ部308を有している。
【0178】
ガイドリードねじ304が正転すると、一対の幅規制ガイド301は、ガイドリードねじ304のセンター部311から互いに離間するように等距離移動する。また、ガイドリードねじ304が逆転すると、一対の幅規制ガイド301は、ガイドリードねじ304のセンター部311に向かって互いに接近するように等距離移動する。これにより、各幅規制ガイド301のセットを、幅規制モータ305で簡単にコントロールできると共に、同時になすことができる。また、セット後には、カッティングバイト181による切込抵抗に対して、各幅規制ガイド301のセット状態を適切に維持することができる。
【0179】
各幅規制ガイド301は、正逆送り機構82を跨いで分岐経路Bの下流側に位置する下ガイド部321(第1ガイド部、テープガイド部)と、走行経路Aの下流側に位置する上ガイド部322(第2ガイド部、排出口側テープガイド部)とからなり、下ガイド部321と上ガイド部322とは断面略「Z」字状に一体に形成されている。そして、上記のガイド雌ねじ部308は、下ガイド部321と上ガイド部322との略中間部分に形成されている。
【0180】
また、各ガイド雌ねじ部308の近傍には、上記の受けプレート281の移動ガイド部284に摺動自在に係合するガイド案内部324が突出形成されている。ガイド案内部324はガイド雌ねじ部308の廻止めを構成しており、ガイドリードねじ304が回転すると、ガイド案内部324が移動ガイド部284に案内されて、各幅規制ガイド301が往復動する。
【0181】
各下ガイド部321は、図3および図5に示すように、第2引張りローラ93等を逃げるようにして内部空間134内に深く延設された空間側ガイド部323と、走行経路Aと分岐経路Bとの分岐部に臨み、間隙を存して対面する二つの案内片325a,325bとを有している。空間側ガイド部323は、その下面が装着フレーム54の上面54aに倣って湾曲しており、その上面がテープ案内面137aの案内始端部138から案内終端部139に渡って水平に延在している。
【0182】
二つの案内片325a,325bは、下ガイド部321の内面から突出して形成されると共に、往復動経路Cとなるスリットを介して(間隙を存して)上下に位置すると共に、分岐部のコーナーに沿う円弧状の湾曲面が互いに対面している(図28参照)。二つの案内片325a,325bは、カッティングテープTの幅方向の縁部を挟むようにしてこれに接触し、カッティングテープTの両端の折れ込みを抑制するようになっている。なお、二つの案内片325a,325bの先端側は、走行経路Aの直線部に臨んでいることがより好ましい。
【0183】
各上ガイド部322には、走行経路Aに沿って延在し、カッティングテープTの幅方向の縁部に接触して、これを案内する上案内片326が一体に形成されている。上案内片326は、第1引張りローラ92とテープ排出口32との間に位置し、カッティングテープTの巻き癖に倣うように上ガイド部322の内面に円弧状に突出形成されている。上案内片326の表面、すなわち往復動経路Cを構成する送りガイド面は、収納ケース135のケース外面136と面一になるように配設されていると共に、その送り方向の両端側が面取りされている。
【0184】
また、各上ガイド部322は、走行経路Aを挟んで上案内片326に対峙し、カッティングテープTの幅方向の端縁部に転接する自由回転のスターローラ327を有している。スターローラ327は、外周面がギザギザの星形から成る薄肉のスターローラ本体328と、スターローラ本体328を回転自在に軸支するコイルばね様のスターローラ軸329とで構成されている。これにより、スターローラ327は、カッティングテープTを上案内片326に押し付けながらこれに転接する。このため、特に剛性の低いカッティングテープTであっても、両端の折れ込みを効果的に抑制する。
【0185】
このように、往復動経路C上の一方には二つの案内片325a,325bが、他方には上案内片326およびスターローラ327が配設されているため、巻き癖を有するカッティングテープTを、その幅方向の両端を浮き上がらせることなく、往復動経路Cに沿って安定して正逆送りすることができる。またこのとき、カッティングテープTは、その幅方向の両側端を上下両ガイド部321,322の内面(位置規制面)に摺接して、幅方向に位置規制することができると共に、下ガイド部により、カッティングテープTを内部空間134に安定に送り込むことができる
【0186】
なお、場合によっては、下ガイド部321の二つの案内片325a,325bと第2引張りローラ93との位置関係、および上案内片326と第1引張りローラ92との位置関係をそれぞれ逆にしてもよい。また、二つの案内片325a,325bに代えて、上ガイド部322と同様に、下ガイド部321にスターローラ327を設けてもよい。
【0187】
詳細は後述するが、テープ幅規制機構29は、電源ONと同時に、駆動を開始して各幅規制ガイド301をセットする。また、ハーフカット処理のカッティング動作に先行して、切断後のカッティングテープT(テープ片)をテープ送り機構22により、複数回正逆送りさせて各幅規制ガイド301になじむように空送りするようにしている。
【0188】
次に、図3、図7および図11を参照して、経路変更機構27について説明する。経路変更機構27は、フルカット機構24の下流側で走行経路Aを遮断することで分岐経路Bに切り換えるものであり、逆送りされるカッティングテープT(テープ片)を尾端から分岐経路Bに導く経路変更部材331と、経路変更部材331を走行経路A内に突出する変更位置と走行経路Aから退避する退避位置との間で移動させる移動機構332と、を有している。なお、退避位置の経路変更部材331は、分岐経路Bに非突出状態となり、走行経路Aおよび分岐経路Bを共に開放する。
【0189】
経路変更部材331は、スライドカッタ182とカッティングバイト181との間に介設、すなわち走行経路Aと分岐経路Bとの分岐部に配設されている。経路変更部材331は、走行経路Aに沿って平行な面を有する上向き楔状断面を為し、カッティングテープTの幅方向に延在している。経路変更部材331は、両端部を上記のカッタ受け部252に回動自在に支持され、一方の端部には、経路変更部材331を退避位置に向かって付勢する戻しばね334と、戻しばね334の一端が係止されると共に経路変更部材331を退避位置に規制するストッパ335とを有している。上述のように、経路変更部材331は、戻しばね334に抗して、移動機構332によりその先端部が前方に倒れるように回動することで、変更位置に移動して走行経路Aを遮断する。
【0190】
また、経路変更部材331の他方の端部には、復動端位置に移動したキャリッジ184のトリガー部215が係合するレバー部337(連動部材)が設けられている。キャリッジ184が、経路変更部材331を回動させて変更位置に突出させる。なおこのとき、スライドカッタ182は、刃出し部材247が復動突当て部251に突き当たり、非切断姿勢に回動する。また、キャリッジ184が復動端位置から外れると(往動側へ移動すると)、キャリッジ184のトリガー部215とレバー部337との係合が解かれ、戻しばね334により、経路変更部材331は、退避位置に回動復帰する。
【0191】
このように、上記の移動機構332は、経路変更部材331に設けたレバー部337と、レバー部337を介して経路変更部材331を変更位置と退避位置との間で移動させる上記のキャリッジ184のトリガー部215と、上記の往復動機構185とで構成されている。
【0192】
詳細は後述するが、経路変更部材331の変更位置と退避位置との相互間における変更タイミングは、退避位置から変更位置では、切断後のカッティングテープT(テープ片)の尾端が経路変更部材331の通過後に行われ、一方、変更位置から退避位置では、分岐経路BにカッティングテープTが最初に送られたところで行われる。
【0193】
経路変更部材331に対向して分岐経路B側には、図3および図5に示すように、受けプレート281の経路案内部285が臨んでいる。経路案内部285は、カッティングテープTの巻き癖方向に倣って曲面形状に形成されており、経路変更部材331の楔状の先端部と相俟って、本来的に経路変更部材331を回動させなくてもカッティングテープTを分岐経路Bに案内できるようになっている。したがって、移動機構332を省略することも可能であるが、経路変更部材331を変更位置と退避位置との間で適宜移動させることで、逆送りされるカッティングテープTを走行経路Aから分岐経路Bに確実に導くことができる。なお、図5に示すように、経路案内部285は、幅規制ガイド301の移動を確保するべく、受けプレート281の延在方向の中間部および両端部の計3箇所に形成されている。
【0194】
続いて、図5、図6および図7を参照して、カム機構を主体とする連動機構28について説明する。上述したように、連動機構28は、正逆回転可能な連動モータ351により、▲1▼印刷側ギヤ列142への動力伝達を断続する動力切替動作と、▲2▼グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93における各従動ローラ98、112,122のローラ離接動作と、▲3▼カッティングバイト181のアップダウン動作とを行っており、「▲1▼」の動力切替動作と「▲2▼」のローラ離接動作とは同期するようになっている。また、上述したように、「▲2▼」のローラ離接動作では、グリップ従動ローラ99等の離間位置、第1グリップ位置および第2グリップ位置の3段階の動作を行う。
【0195】
連動モータ351は、幅規制モータ305と同様に、整流子・ブラシ付きのDCモータからなり、ベースフレーム56の内側面に配設されている。連動モータ351の出力軸には、ウォームギヤ352が固定され、ウォームギヤ352には、ウォームホイール353が噛み合っている。ウォームホイール353の同軸上には、駆動レバー222を作動させて「▲3▼」の動作を行うアップダウンカム354(第1板カム)と、動作フレーム59の動作入力部73を作動させて「▲1▼」の動作および「▲2▼」の動作を行うフレーム動作カム355(第2板カム)と、が重なるように配設されている。
【0196】
アップダウンカム354は、図7に示すように、ウォームホイール353の裏側に固定され、駆動レバー222の尾端部に接触しこれを作動させるレバー作動カム361と、レバー作動カム361の裏側に固定したアップダウン検出カム362とで構成され、レバー作動カム361およびアップダウン検出カム362は、同軸上に配設された板カムで構成されている。すなわち、ウォームホイール353が回転すると、これと同軸上に、レバー作動カム361およびアップダウン検出カム362が同時に回転する。
【0197】
一方、フレーム動作カム355は自由回転可能に軸支され、図5に示すように、アップダウンカム354とベースフレーム56との間に配設されている。フレーム動作カム355は、動作フレーム59の動作入力部73に接触しこれを作用させるフレーム作用カム364と、フレーム作用カム364の裏側に固定されたフレーム検出カム365とで構成されており、フレーム作用カム364およびフレーム検出カム365は、同軸上に配設された板カムで構成されている。
【0198】
フレーム作用カム364は、「▲2▼」の3段階の動作を構成するために、グリップ従動ローラ98等の離間位置に対応した全離間カム部371と、第1グリップ位置に対応した第1グリップカム部372と、第2グリップ位置に対応した第2グリップカム部373と、これらカム部間を相互に連続させるための3つの移行カム部とで一体に構成されている。なお、移行カム部は、図示符号を省略している。
【0199】
フレーム検出カム365は、径方向に突出するように、第1グリップ位置を検出させるための第1グリップ位置検出カム部375と、第2グリップ位置を検出させるための第2グリップ位置検出カム部376とを有している。第1グリップ位置検出カム部375と第2グリップ位置検出カム部376とは、軸方向(厚み方向)において位置ずれし、且つ周方向において点対称位置に形成されている。
【0200】
図5示中の符号368は、フレーム検出カム365に臨んで配設されたフレーム位置検出スイッチであり、一方、図7示中の符号369は、アップダウン検出カム362に臨んで配設されたアップダウン検出スイッチであり、いずれも連動モータ351の駆動を制御する。
【0201】
フレーム位置検出スイッチ368は、フレーム検出カム365を介して、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作の両結果を検出するものであり、フレーム検出カム365の第1グリップ位置検出カム375に対応した第1グリップ位置検出スイッチ368aと、第2グリップ位置検出カム376に対応した第2グリップ位置検出スイッチ368bとで構成されている。そして、第1グリップ位置検出スイッチ368aおよび第2グリップ位置検出スイッチ368bの各検出結果(1or0)に基づいて、連動モータ351の駆動が停止される。なお、以下、スイッチの検出信号「1」をONとし、スイッチの検出信号「0」をOFFとして説明する。
【0202】
一方、アップダウン検出スイッチ369は、アップダウン検出カム362を介して、「▲3▼」の動作結果を検出するものであり、この検出結果(1or0)に基づいて連動モータ351を、正転から逆転へと、また逆転から正転へと、駆動する回転方向を切り替えるものである。すなわち、アップダウン検出スイッチ369が、適宜ON・OFF(1or0)することで、連動モータ351の正逆の回転が適宜切り替えられる。
【0203】
そして、フレーム動作カム355とアップダウンカム354とは、非接触状態で対面しており、そのフレーム作用カム364の対向端面(表面)には、突ピン366が一体に設けられ、アップダウン検出カム362の対向端面(裏面)には、突ピン366が係合する空転溝367が設けられている。これにより、連動モータ351の出力は、ウォーム・ウォームホイール352、353から、アップダウンカム354を介して、空転溝367の端に当接する突ピン366に力が伝わることで、フレーム動作カム355に伝達される。
【0204】
この場合、空転溝367は半月状(円弧状)の長溝であり、突ピン366は、空転溝367に対し、所定の回度範囲のあそびを有して係合しており、このあそび分、アップダウンカム354のみを正逆回転させることができるようになっている。すなわち、この空転溝367内において、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作を行うことなく、「▲3▼」の動作のみを行うことができるようになっている。
【0205】
ここで、「▲1▼」〜「▲3▼」の各動作と各スイッチ368,369との関係について、図12および図13を参照して説明する。両図は、連動モータ351のシーケンスを、フレーム位置検出スイッチ368およびアップダウン検出スイッチ369との関係において表にしたものである。両図に示すように、電源ONにより連動モータ351が正転して各種スイッチ368,369が「0」となった状態では、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355は初期状態にある。
【0206】
この状態では、動作フレーム59の動作入力部73は全離間カム部371に接触し、「▲2▼離間位置」、「▲1▼動力伝達可」であり、また「▲3▼非カット動作位置」である。一方、突ピン366は空転溝367の一方の端に当接している。そして、この状態ではPテープの場合、通常、印刷処理が行われる。
【0207】
カッティングテープTを切断する場合には、「▲2▼」の動作を行うべく、連動モータ351をさらに正転させて、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355を正転させる。この場合、図13のSテープの場合には、第1グリップ位置検出スイッチ368aが「1」となったところで連動モータ351の駆動は停止するが、この停止までの間に、「▲2▼第1グリップ位置へ」の動作およびこれに同期する「▲1▼動力遮断」の動作が行われる。このとき、空転溝367に対する突ピン366の当接状態は維持され、動作フレーム59の接触端は第1グリップカム部372に移行することになる。
【0208】
一方、図12のPテープの場合には、第2グリップ位置検出スイッチ368bが「1」となるまで連動モータ351は正転を続け、この間に、上記「▲1▼動力遮断」の動作および「▲2▼第1グリップ位置へ」の動作が行われると共に、これらに続いて「▲2▼第1グリップ位置から第2グリップ位置へ」の動作が行われる。このときには、動作フレーム59の接触端は第2グリップカム部373に移行するが、空転溝367に対する突ピン366の当接状態は、依然、維持されている。
【0209】
このように、カッティングテープTを切断するに際しては、SテープおよびPテープのいずれのときも、アップダウンカム354は正転することとなるが、アップダウン検出スイッチ369は「0」を維持するため、「▲3▼」の動作が行われることがない。
【0210】
カッティングテープT切断後のハーフカット時に、「▲3▼」の動作を行うには、先ず、連動モータ351を逆転させる。このとき、突ピン366は空転溝367内を相対的に移動して、アップダウンカム354のみが回転することとなる。これにより、フレーム検出スイッチ368が切り替わることがないため、「▲1▼動力遮断」および「▲2▼第1グリップ位置(或いは第2グリップ位置)」が変動することはない。
【0211】
そして、アップダウン検出スイッチ369が「1」となるまでには、「▲3▼カット動作位置へ」の動作が行われ、カッティングバイト181でハーフカット処理することが可能となる。続いて、このスイッチ369が「1」となると、連動モータ351は正転に切り替えられ、これが「0」となって連動モータ351が再び逆転に切り替わるまでには、「▲3▼非カット動作位置へ」の動作が行われる。この場合も、突ピン366は空転溝367内を相対的に移動するため、フレーム検出スイッチ368が切り替わることがない。
【0212】
このように、ウォームホイール353、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355により、連動モータ351の正逆両方向の回転出力をバイトアップダウン機構218に伝達すると共に、バイトアップダウン機構218への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を、「▲1▼」の動作となるテープ繰出し動力遮断機構および「▲2▼」の動作となるローラ離接機構に伝達する動力伝達手段が構成されており、単一のモータ351で、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作を行うことなく、「▲3▼」の動作のみを繰り返し行うことができるようになっている。
【0213】
次に、コントローラ26により構成される主制御系について説明する。図14のブロック図に示すように、テープ処理装置1の制御系は、キーボード11を有する入力部380と、ディスプレイ17を有する表示部381と、印刷機構23を有してカッティングテープTにキャラクタの印刷を行う印刷部382と、ハーフカット機構25およびフルカット機構24を有してカッティングテープTにカット動作を行うカット部383と、テープ送り機構22を有してカッティングテープTを送る搬送部384と、テープ幅規制機構29を有してカッティングテープTの幅規制を行う幅規制部385と、連動機構28を有して各機構を連動させる連動部386と、各部を駆動する各種ドライバを有する駆動部387と、テープ幅検出機構や連動機構28の検出スイッチ(テープ幅検出スイッチ370、アップダウン検出スイッチ369およびフレーム位置検出スイッチ368)を有して各種検出を行う検出部388と、テープ処理装置1の各部を制御する制御部389(コントローラ26)とを備えている。
【0214】
制御部389は、CPU391、ROM392、RAM393、CG−ROM394およびP−CON395を有しており、これらは互いにバス396を介して接続されている。ROM392は、CPU391で処理する制御プログラムや制御データを記憶する領域を有している。CG−ROM394は、テープ処理装置1に用意されている文字、記号、図形などのフォントデータや切り抜き形状用のフォントデータ(例えば、ハート形)を記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。RAM393は、制御処理のための各種作業領域として使用される。
【0215】
P−CON395には、CPU391の機能を補うと共に周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が組み込まれており、入力部380からの各種指令やフォントデータなどをそのままあるいは加工してバス396に取り込むと共に、CPU391と連動して、CPU391等からバス396に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部387に出力する。
【0216】
そして、CPU391は、上記の構成により、ROM392内の制御プログラムに従って、P−CON395を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM394からのフォントデータ、RAM393内の各種データ等を処理した後、P−CON395を介して駆動部387に制御信号を出力する。
【0217】
これにより、各種ドライバを介してディスプレイ17の表示制御を行うと共に、印刷ヘッド36を制御して所定の印刷条件でカッティングテープTに印刷し、送り駆動モータ81、キャリッジモータ186、幅規制モータ305および連動モータ351などを制御して、カッティングテープTに対し所定の送り条件やカット条件でハーフカットおよびフルカットを行うなどテープ処理装置1全体を制御している。
【0218】
次に、図15ないし図18を参照して、テープ処理装置1によるテープ処理方法について、複合処理モードにおけるコントローラ26による制御につき、順を追って簡単に説明する。テープカートリッジ5を装着したテープ処理装置1の電源キー13を押釦すると、各種の機構が初期設定される(図15:S1〜S3)。
【0219】
この初期設定により(図15:S4)、連動機構28の連動モータ351が正転し、グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93の各従動ローラ99、112,122を離間位置に移動させ、プラテンローラ42への動力伝達が可能となり、さらに、カッティングバイト181が非カット動作位置に移動した状態となる(図12および図13参照)。また、キャリッジ184は初期位置側に移動しており、経路変更部材331は退避位置に移動していると共に、スライドカッタ182は非切断動作位置に移動している。さらに、幅規制ガイド301が、テープ幅検出を受けてテープ幅に合うように移動してセットされる。
【0220】
この状態(図17(a))から、ユーザによる所望の印刷画像および切抜き形状の入力が行われて、処理実行キー14が押釦されると(図15:S8〜S9)、送り駆動モータ81が正転する。これにより、グリップローラ91、第1引張りローラ92およびプラテンローラ42が正転を開始し、カッティングテープTがテープカートリッジ5から走行経路Aに繰り出されてゆく。
【0221】
このとき、プラテンローラ42の正転と同期して発熱駆動する印刷ヘッド36により、カッティングテープTに印刷画像の印刷が行われる(図16:S7、図17(b))。印刷が終了すると(図16:S8)、送り駆動モータ81が幾分正転して、カッティングテープTを、印刷ヘッド36およびスライドカッタ182間の距離分、先方に送ったところで、送り駆動モータ81に電圧を印加して停止状態をホールドする(図16:S9〜S10)。
【0222】
ここで、連動モータ351を、フレーム位置検出スイッチ368の第2グリップ位置検出スイッチ368bがONするまで正転させ(図12参照)、プラテンローラ42への動力伝達を遮断すると共に、グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93の各従動ローラ99,112,122を第2グリップ位置に移動させる(図16:S11、図17(c))。次のタイミングで、スライドカッタ182が往動し、切断動作位置に回動してから反転復動して、カッティングテープTを切り離す(図16:S12、図18(a))。
【0223】
続いて、切り離されたカッティングテープT(印刷済みテープ片)には、「ハーフカット処理」が行われることになる(図16:P10のサブルーチン相当)。すなわち、先ず、送り駆動モータ81を再び正転させて、カッティングテープTの尾端が、経路変更部材331を通過するまで、カッティングテープTを走行経路Aに沿って送る(図16:S14)。次いで、スライドカッタ182がさらに復動し、その復動端位置でスライドカッタ182が非切断動作位置に回動される。これと同時に、経路変更部材331がキャリッジ184を介して変更位置に回動し、往復動経路Cが確立される(図16:S15、図18(b))。
【0224】
ここで、送り駆動モータ81が逆転して、グリップローラ91および第2引張りローラ93が逆転すると、カッティングテープTが後方に送られ、その尾端が経路変更部材331に当接して、分岐経路Bへと導かれてゆき、幅規制ガイド301の上ガイド部322まで送られる(図16:S16、図18(c))。そして、キャリッジ184が往動して、経路変更部材331が退避位置に回動復帰したところで、送り駆動モータ81を複数回、逆・正回転させて、カッティングテープTを往復の正逆空走行をさせ、セット状態の幅規制ガイド301に馴染ませる(図16:S17〜S18、図19(a))。
【0225】
続いて、グリップローラ91および第1・第2引張りローラ92,93によるカッティングテープTの正逆送りと、往復動機構185によるカッティングバイト181の往復動と、連動機構28によるカッティングバイト181のアップダウン動作とを同期させて、カッティングテープTにハーフカットが行われる(図16:S19、図19(b))。ハーフカットが完了したら、最後に、送り駆動モータ81を正転させて、カッティングテープTをテープ排出口32から装置外部に送り出す(図16:S20〜S21、図19(c))。
【0226】
このように、本実施形態のテープ処理装置1によれば、印刷画像および切抜き形状の作成を、装置ケース2に収容した各機構を駆動させることで、カッティングテープTに対する一連の動作を自動で行うことができる。なお、図15のStep5で切抜き形状を入力していない場合には、ハーフカット機構25の駆動がキャンセルされ、上記のStep13の判断分岐からStep21へと移行される。これにより、カッティングテープT(印刷済みのテープ片)は、待機状態のハーフカット機構25を通過して、テープ排出口32から装置外部に送り出される。
【0227】
なお、テープカートリッジ5に収容するカッティングテープTおよびインクリボンRには、複数色が用意されており、カッティングテープTに、カラー印刷画像やカラーの切抜き形状を形成することができるようになっている。このため、多彩な態様のテープを作成することができるようになっている。
【0228】
また、このテープ処理装置1を、ケーブルなどでパーソナルコンピュータなどの外部機器と接続してもよい。これによれば、外部機器で作成した入力・編集あるいは選択して作成したデータを、テープ処理装置1でカッティングテープTに処理することができる。なおまた、幅規制ガイド301のセットなどは、ユーザのマニュアル操作に委ねてもよい。
【0229】
図20は、複合処理モードにおいて、カッティングテープTに形成される印刷画像と切抜き形状とを構造上、高精度で合成するテープ処理装置1の他の処理フローを示している。具体的には、図16におけるS7〜S12の間の処理フローが異なっており、プラテンローラ42に代えてグリップローラ91の正転の送りに同期して、印刷ヘッド36を発熱駆動してカッティングテープTに印刷するようにしている。
【0230】
同図に示すように、印刷画像および切抜き形状の入力後、処理実行キー14が押釦されると(図15参照)、カッティングテープTは、プラテンローラ42の正回転によりテープカートリッジ5から走行経路Aに繰り出されてゆく(同図:S6)。この場合、印刷ヘッド36を発熱駆動させることなく、カッティングテープTの先端部がグリップローラ91の位置に達するまで送る(図20:S31)。なお、厳密には、カッティングテープTの先端が第1引張りローラ92の位置に達するまで送る。ここで、連動モータ351を正転させ、プラテンローラ42への動力伝達を遮断すると共に、グリップローラ91等の各従動ローラ99を第2グリップ位置に移動させる(図20:S32)。
【0231】
この状態で、グリップローラ91の正転により、カッティングテープTをテープカートリッジ5から更に繰り出すと共に、この繰出し送りに同期して印刷ヘッド36の発熱駆動を開始させ、カッティングテープTへの画像の印刷を開始する(同図:S33)。そして、印刷終了後に幾分先方に送られたカッティングテープTの切り離しが行われた後(同図:S34〜S37)、切り離されたカッティングテープT(テープ片)に対して、グリップローラ91によりテープ送り量が制御される正逆送りと、カッティングバイト181の往復動とが同期して行われ、カッティングテープTに切抜き形状のハーフカット処理が行われる(同図:P10)。
【0232】
このように、本処理フローによれば、カッティングテープTへの印刷およびハーフカットは、いずれもテープ送り量をグリップローラ91により送り制御されて行われる。これにより、プラテンローラ42で印刷を、またグリップローラ91でハーフカットを個々にテープ送り制御して行う場合に生じ得る印刷―ハーフカット間のテープ送り量に基づく相対誤差を解消することができるため、印刷画像と切抜き形状とを良好に合成することができる。
【0233】
次に、図21ないし図23を参照して、切抜き形状のみの形成となる切抜き処理専用のテープカートリッジ401を用いた場合について説明する。切抜き処理専用のカッティングテープT(Sテープ)は、上記実施形態と同様に剥離紙Taとテープ本体Tbとから成るものであるが、切抜き処理用に大きな剛性を有していると共に、上記実施形態に比べテープ本体Tbが伸縮性を有している。このため、テープ本体Tbに切抜きが行われると、この既切抜き部分が剥離紙Taから剥がれ易い構成となっている。このため、テープ処理装置1の処理動作は、上記実施形態とは一部異なっている。
【0234】
これらの図に示すように、切抜き処理専用のテープカートリッジ401は、上記の印刷・複合処理用のテープカートリッジ5に比べ、大きな厚みで形成されており、100mm幅のカッティングテープTを収容している。テープカートリッジ401は、筒状のコアにカッティングテープTをロール状に巻回したテープロール403と、テープロール403を着脱可能に収容するカートリッジケース404とで構成されている。
【0235】
カートリッジケース404は、テープロール403を収容する本体ケース406と、本体ケース406を閉塞する蓋体407と、テープロール403を回転自在に軸支すると共に両端部が本体ケース407の両側板411に支持されたロール軸408と、で構成されている。
【0236】
本体ケース406は、両側板411と、両側板411間に渡した鉛直板412とで一体に形成され、両側板411は、ロール軸408をその軸方向に引き抜き可能に支持している。このため、テープカートリッジ401は、本体ケース406に対しロール軸408を抜止め状態にロックするロック機構413を有している。
【0237】
ロック機構413は、ロール軸408の一方の端部に形成され径方向に延在するロック片414と、ロック片414に対応する一方の側板411(図21示では上側の側板411a)に形成され、ロック片414を引き抜き可能な切欠き開口415とを有し、ロール軸408は側板411の内側においてロック片414が切欠き開口415から外れるロック位置と、切欠き開口415に臨むアンロック位置との間で回転操作可能に構成されている。
【0238】
ロック片414は、ばね性を有し、その先端部には、側板411に向かって突出する回止め突起419が設けられている。回止め突起419に対応して側板411には、ロール軸408がロック位置に回転した状態で、ロック片414の回止め突起が嵌入する回止め孔420が形成されている。
【0239】
蓋体407は、両側板411の内側に支持された基部を中心として開閉し、両側板411の内側に収まるように本体ケース406を閉塞する。蓋体407の先端辺417には、他の側面部位に比して延在方向に幾分突出し、蓋体407を閉塞状態で抜止めする係合部418が形成されている。係合部418に対応して本体ケース406の両側板411には、蓋体407の開閉に伴って係合部418が係脱する係合受け部421が形成されている。
【0240】
また、閉塞状態の蓋体407は、ロール軸408に対し開放阻止される。すなわち、ロール軸408の両端部には、蓋体407を閉塞状態で掛け止めする掛止部422が設けられ、これに対応して蓋体407には、ロール軸408のロック位置とアンロック位置との間の回転操作に伴って、掛止部422が係脱する掛止受け部423が設けられている。このように、ロール軸408の回転操作による自身の抜止めロックと、蓋体407の開閉ロック(開放阻止)とが行われ、本体ケース406に対する蓋体407の閉塞状態を適切に維持することができると共に、簡単に開放してテープロール403の交換等を行うことができるようになっている。
【0241】
閉塞状態の蓋体407の先端辺417と、蓋体407の先端辺417に面する本体ケース406の端辺との間には、カッティングテープTをテープロール403から繰り出してケース外部に送り出すためのテープ送出口424が構成されている。また、テープ送出口424に近接してカートリッジケース404には、カッティングテープTをテープロール403から繰り出してテープ送出口424に導く繰出しローラ425が内蔵されている。
【0242】
繰出しローラ425は、両側板411から内側に突出形成したローラ支持部426に回転自在に支持されており、テープカートリッジ401の厚みの中心位置、すなわちカッティングテープTのテープ幅の中心位置に臨んでいる。繰出しローラ425の基端側には、カートリッジ装着部19のプラテン駆動軸37が係合するようになっており、繰出しローラ425は、走行経路Aに沿ってカッティングテープTを送るテープ送り機構22の一部を構成している。
【0243】
繰出しローラ425に面する蓋体407の側面部には、方形に切り欠かれたヘッド逃げ開口427が形成されており、テープカートリッジ401をカートリッジ装着部19に装着した状態において、この逃げ開口427に印刷ヘッド36が臨むようになっている。テープカートリッジ401は、上記のテープカートリッジ5と同様に、カートリッジ装着部19に同一方向から着脱することができる。
テープカートリッジ401は、カートリッジ装着部19の後半部側に寄せた位置に装着され、この装着状態では、プラテン駆動軸37が繰出しローラ425に係合すると共に、ヘッドリリース機構を介して回動した印刷ヘッド36がヘッド逃げ開口427越しにカッティングテープTを挟んで繰出しローラ425に当接し、リボン巻取軸38がテープカートリッジ401から外れて立設した状態となる。
【0244】
図23および図24を参照して、テープ処理装置1における切抜き処理の処理フローについて、簡単に説明する。テープ処理装置1の電源キー13をON操作すると、複合処理と同様に、各種初期設定が行われる(図24:S41〜S44)。ここで、モード切替キー15を押釦し(入力し)、テープ処理装置1を複合処理モードから切抜き処理モードに切り替える(図24:S45)。このモード切替により、印刷機構23の発熱駆動が自動的にキャンセルされる(図24:S46)。
【0245】
ユーザはディスプレイ17を見ながらキー操作により、所望の切抜き形状を入力・編集または選択して、処理実行キー14を押釦する(図24:S47〜S48)。すると、先ずテープ送り機構22が駆動して、繰出しローラ425が非発熱駆動状態(待機状態)の印刷ヘッド36にカッティングテープTを押し付けながら、これをテープカートリッジ401から繰り出してゆき、これを走行経路Aに沿って所定の長さ送る。
【0246】
この場合も、カッティングテープTの先端がグリップローラ91の位置まで送られたところで、繰出しローラ425への動力を遮断し、それ以降のカッティングテープTの送りを、テープカートリッジ5からの繰り出しを含めてグリップローラ91で行うようにしている(図24:S49)。すなわち、カッティングテープTの先端がグリップローラ91に達すると、連動モータ351が正転して、繰出しローラ425への動力伝達を遮断し、グリップローラ91の従動ローラ99を第1グリップ位置に移動させる(図24:S50)。
【0247】
この第1グリップ位置での状態は、上述のように、グリップローラ91のグリップ従動ローラ99の左右のローラ99b、99bのみが、グリップ駆動ローラ98との間でカッティングテープTを挟持し、グリップ従動ローラの中央のローラ99aおよび第1・第2両従動ローラ112,122は、カッティングテープTから離間した状態を維持されている(図23および図13参照)。これにより、カッティングテープTの適切な走行性が確保されるようになる。
【0248】
そして、グリップローラ91の正転により、カッティングテープTをテープカートリッジ5から繰り出すと共に、切抜き形状を施すのに必要な長さ分、先方に送ったところで(図22:S51)、フルカット機構24による切断のために送り停止させる。次のタイミングで、カッティングテープTは、スライドカッタ182により切断され(図22:S52〜S53)、その後のハーフカット処理(図22:P10)に臨む。
【0249】
そして、上述したように、ハーフカット処理においてテープ収納処理部30に導かれるカッティングテープTには、張付き防止ローラ131がその幅方向の両端部に転接する。これにより、カッティングテープTは収納ケース135のケース内面137に張り付くことを防止されるため、ハーフカット時のカッティングテープTの正逆送りは円滑に行われる。そして、最終的に、カッティングテープTはテープ排出口32から装置外部に排出される。
【0250】
このように、切抜き処理専用の剛性の高いカッティングテープTを切抜き処理する場合には、カッティングテープTの幅方向の中心位置に位置するグリップ従動ローラ99a、および第1・第2引張ローラ92,93の従動ローラ112,122をカッティングテープTから離間させ、グリップ従動ローラの左右のローラ99b、99bとグリップ駆動ローラ99とでカッティングテープTを挟持した状態で回転送りするようにしている。これにより、正逆送りされるカッティングテープTの走行性を良好に確保した状態で、その既切抜き形状部分を剥がすことなく、カッティングテープTを挟持した状態で送り制御することができる。
【0251】
なお、複合処理モードから切抜き処理モードへのモード切替は、上記のようにキーボード11の入力操作により行ってもよいが、カートリッジ装着部19に設けた上記のテープ幅検出機構が、テープカートリッジの種別を検出することで行うようにしてもよい。
【0252】
すなわち、テープ幅検出機構が、複合処理、印刷処理および切抜き処理の各テープカートリッジの種別を検出するテープ検出機構(カートリッジ検出手段)を兼ね、テープ検出機構が切抜き処理用のテープカートリッジ401を検出したときに、印刷機構23の発熱駆動をキャンセルするようにしてもよい。これにより、キー操作によるモード切替を行うことなく、切抜き処理用のテープカートリッジ401の装着で、印刷機構23の駆動を自動的にキャンセルすることができる。
【0253】
なお、本実施形態の切抜き処理専用のカッティングテープTは、ロール状に巻回したものを用いたが、特定の長さたる定長のカッティングテープTであってもよい。この場合には、カッティングテープTは、テープ排出口32を導入口とした、テープ処理装置1に対し手差しのものとなる。図25および図26は、この場合のテープ処理装置1の処理フローを示している。なお、手差し用カッティングテープTのテープ幅は上記同様に、100mm幅としていると共に、テープ処理装置1は、複合処理用または切抜き処理用のテープカートリッジ5,401をカートリッジ装着部19に装着した状態においても、手差し用カッティングテープTをハーフカット処理可能に構成されている。
【0254】
図25に示すように、テープ処理装置1の電源キー13をON操作すると、上記同様に初期設定が行われる(図25:S61〜S63)。ここで、モード切替キー15を2回押釦し(入力し)、テープ処理装置1を、複合処理モード→切抜き処理の自動モード(図24参照)→切抜き処理の手差しモードに切り替えると、上記と同様に、印刷機構23の発熱駆動がキャンセルされる(図25:S64〜S65)。
【0255】
さらに、キャリッジ184を介して経路変更部材331が変更位置にセットされる(図25:S66No〜S69)。なお、テープカートリッジが装着されているときには(図25:S66Yes)、Step67の判断分岐に移行し、いずれのテープカートリッジ5(或いは401)が装着されているかが判断される。このとき、複合処理用のテープカートリッジ5が装着されている場合には(図25:S67No)、Pテープ仕様にセットされた幅規制ガイド301は、手差し用カッティングテープTの仕様に再セットされた後(図25:S68)、Step69へと移行するようになっている。また、手差し用カッティングテープTがテープ処理装置1に予め導入されている場合には、その旨がディスプレイ17にコメント表示される(図26:S70Yes〜S71)。
【0256】
つづいて、カッティングテープTをテープ排出口32にセットし、キー操作により所望の切抜き形状を入力等して、処理実行キー14を押釦する(図26:S72〜S73)。すると、グリップローラ91のグリップ従動ローラ99等が第1グリップ位置に移動すると共に、プラテンローラ42等への動力伝達が遮断され、その後、カッティングテープTの慣らし往復走行が行われる(図26:S75)。
【0257】
そして、経路変更部材331が退避位置に回動復帰して、切抜き形状のハーフカット処理に臨む(図26:S76〜S78)こととなる。上記同様に、ハーフカット機構25とテープ送り機構22(の正逆送り機構82)とが協働して、テープ収納処理部30にカッティングテープTを収納しながらそのハーフカット処理が行われた後、カッティングテープTは、最終的に、テープ排出口32から装置外部に排出される(図26:S79〜S80)。
【0258】
次に、テープ幅規制機構29の他の実施形態について、図29および図30を参照して説明する。上記実施形態と異なり、本実施形態のテープ幅規制機構29は、ガイド移動機構302には、ガイドリードねじ304に代えて、円筒カム溝533を形成したリード軸531を設け、これに対応して、幅規制ガイド301には、ガイド雌ねじ部308に代えて、円筒カム溝533に係合するカム突起534を設けている。また、各上ガイド部322には、スターローラ327に代えて、走行経路Aを挟んで上案内片326に対峙する下案内片550を設けられ、下ガイド部321に形成した二つの案内片325a、325bと同様な構造になっている。
【0259】
リード軸531は、ガイドリードねじ304と同様に、両端部をサイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されると共に、幅規制モータ305に歯車列306,307を介して連結されている。リード軸531の歯車(ウォームホイール307)側の端部には、リード軸531の1回転を検出するための検出カム532が形成されている。図外の検出スイッチにより、検出カム532を介して、リード軸531の回転数が検出され、幅規制ガイド301の移動は、ステップ数で制御されるようになっている。なお、この検出カム532および検出スイッチから成る回転数検出機構の構成は、第1実施形態のテープ幅規制機構にも適用可能である。
【0260】
リード軸531は、延在する左右方向のセンター部536を境として、複数種のカッティングテープTの各テープ幅に対応した円筒カム溝533が左右対称に形成されており、両円筒カム溝533は、一方の側が右ねじ状に、他方の側が左ねじ状に形成されている。一方、左右の幅規制ガイド301は、左右の各円筒カム溝533に係合するカム突起534により、幅規制モータ305の正転時に相互に離間し且つ逆転時に相互に接近するように構成されている。
【0261】
各円筒カム溝533は、各幅規制ガイド301のセット状態となる複数の位置規制溝部537と、複数の位置規制溝部537間を結ぶと共に各テープ幅に対応して所定ピッチの複数の送り溝部538とで構成されている。最外端の位置規制溝部537aは、ピッチ零の環状溝から構成され、最外端を除く複数の位置規制溝部537bは、略半円周溝から構成されている。この中間の所定の位置規制溝部537bにカム突起534が係合しているときに、幅規制ガイド301は、カッティングテープTのガイド位置にセットされた状態となる。
【0262】
ガイド移動機構302は、各幅規制ガイド301に対応して、リード軸531に遊嵌状態で装着した二つのコイルばね540を備えている。各コイルばね540は、一端部を各幅規制ガイド301の離間側(外側)の外側面に固定され、他端部をサイドフレーム57に当接可能に構成されている。すなわち、各コイルばね540は、各幅規制ガイド301と一体になってリード軸531の軸方向に移動し、リード軸531の外端部に移動した幅規制ガイド301を、サイドフレーム57との間で逆方向に付勢する。
【0263】
したがって、幅規制モータ305が正転して、幅規制ガイド301がリード軸531の外端部まで移動して、そのカム突起534が最外端の位置規制溝部537aに移行すると、幅規制ガイド301はそれ以上送られることなく、その位置に停止した状態となる。この空送り状態では、幅規制ガイド301は、コイルばね540を介してサイドフレーム57に突き当たり、コイルばね540の付勢力に抗してカム突起534が最外端の位置規制溝部537aを摺動する。
【0264】
逆に、この状態で幅規制モータ305を逆転すると、幅規制ガイド301は、コイルばね540の付勢力に乗じてカム突起534が最外端の位置規制溝部537aからこれに連続する送り溝部538に移行される。これにより、空送り状態を解除され、各幅規制ガイド301が接近するようにリード軸531の内側に移動してゆく。上記検出機構の検出結果に基づいて、テープ幅に対応する回転数分、幅規制モータ305を逆転させることで、各送り溝部538に従って移動する各幅規制ガイド301を所定のガイド位置にセットすることができる。
【0265】
このように、本実施形態のテープ幅規制機構29によっても、各幅規制ガイド301のセットを幅規制モータ305で簡単に調整して、カッティングテープTを幅方向に適切に位置規制することができる。特に、各テープ幅に対応して各幅規制ガイド301を迅速に移動させることができると共に、幅規制ガイド301の停止位置の精度を十分に高めることができる。また、複数種のカッティングテープTの幅方向の導入中心がテープ幅によって変動する場合にも、特に有効となる。
【0266】
具体的には、例えばテープカートリッジ(5,401)の構造上、任意の1のカッティングテープTが幅方向の中心を合致してセットされない場合であっても、左右の送り溝部538をそれぞれテープ幅に対応して設計することで、左右の幅規制ガイド301を異なるストローク量で移動させることできる。このため、上記実施形態のねじ式の移動構造に比べ、テープ処理装置1で処理できるカッティングテープTの幅がひろがる。また、幅規制ガイド301のセット移動を迅速に行うことができると共に、セット位置(停止位置)の精度を高めることができる。
【0267】
なお、他の実施施形態のテープ幅規制機構29を含め、幅規制ガイド301の構成を、下ガイド部321と上ガイド部322とを一体成形し、下ガイド部321および上ガイド部322を同時に且つ同幅に移動させることとしたが、これらを別体にすなわち2組で構成して、個別にテープ幅方向に移動させるようにしてもよい。
【0268】
これを他の実施形態を例に説明すると、リード軸531を別にもうひとつ設け、二つのリード軸531にそれぞれ、左右一対の上流ガイド部および左右一対の下流ガイド部を個別に案内可能に構成する。このように構成した場合、ハーフカット時のカッティングテープTの正逆送りに同期して、上流ガイド部および下流ガイド部をそれぞれ、適宜移動させることが好ましい。
【0269】
具体的には、カッティングテープTの送り方向の上流側に位置する一方の一対のガイド部をテープ幅に合う位置に個々に移動させ、且つ他方の一対のガイド部をテープ幅より僅かに広くなる位置に個々に移動させることが、好ましい。これによれば、カッティングテープTの送り方向の下流側が臨むガイド部を、テープ幅に合致させてカッティングテープTを適切に幅規制するようにし、一方、カッティングテープTの送り方向の上流側が臨むガイド部には、カッティングテープTに対しクリアランスを有することになる。
【0270】
これにより、正逆送り時において、仮に、カッティングテープがこれから臨む一対のガイド部に斜めに送られても、該一対のガイド部の内側にカッティングテープTを適切に導くことができる。このため、カッティングテープTの正逆送りに支障をきたすことなく、これを適切に幅規制することができる。
【0271】
【発明の効果】
本発明のカッティング装置によれば、駆動モータ二つの出力手段のうち、一方をバイトアップダウン機構として、カッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させている。これにより、ソレノイドに比べ消費電力の小さいモータを、バイトアップダウン機構の動力源としたため、装置全体のコストダウンを図ることができると共に、第2出力手段も動力伝達手段を介して駆動することができるため、装置における応用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ処理装置の外観斜視図である。
【図2】テープ処理装置の開閉蓋を開放した状態の外観斜視図である。
【図3】テープ処理装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図4】テープ処理装置でカッティングテープに形成した、各種処理によるテープ本体への形成結果を例示しており、(a)は複合処理、(b)は印刷処理、(c)および(d)は切抜き処理、(e)および(f)は横断ハーフカット処理を施したものである。
【図5】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図6】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図7】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図8】テープ処理装置の輪列を示す平面図である。
【図9】テープ処理装置において、フルカット機構廻りおよびブッシュ廻りを示す部分分解斜視図である。
【図10】テープ処理装置において、ブッシュ廻りを示す断面図である。
【図11】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図12】複合処理を実行する場合の連動機構のシーケンスを示した表である。
【図13】切抜き処理を実行する場合の連動機構のシーケンスを示した表である。
【図14】テープ処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図15】テープ処理装置による制御の処理フローを示すフローチャートであり、特に印刷処理および複合処理の処理フローを示している。
【図16】図15に続く、同様の処理フローを示すフローチャートである。
【図17】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(1)を示す動作説明図である。
【図18】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(2)を示す動作説明図である。
【図19】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(3)を示す動作説明図である。
【図20】テープ処理装置による処理フローのうち、複合処理における他の処理フローを示すフローチャートである。
【図21】切抜き処理専用のテープカートリッジを示す外観斜視図である。
【図22】切抜き処理専用のテープカートリッジを、その蓋体を開放した状態を示す外観斜視図である。
【図23】切抜き処理用のテープカートリッジを装着したテープ処理装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図24】テープ処理装置による処理フローのうち、切抜き処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図25】テープ処理装置による処理フローのうち、定長カッティングテープにおける切抜き処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図26】図25に続く、同様の処理フローを示すフローチャートである。
【図27】テープ処理装置において、フルカット機構廻りを示す断面図である。
【図28】テープ処理装置において、テープ幅規制機構廻りを示す断面図である。
【図29】他の実施形態に係るテープ幅規制機構を示す斜視図である。
【図30】他の実施形態に係るテープ幅規制機構を示す断面図である。
【符号の説明】
1 テープ処理装置 2 装置ケース
3 装置本体 4 装置フレーム
5 テープカートリッジ 19 カートリッジ装着部
22 テープ送り機構 23 印刷機構
24 フルカット機構 25 ハーフカット機構
26 コントローラ 27 経路変更機構
29 テープ幅規制機構 30 テープ収納処理部
32 テープ排出口 36 印刷ヘッド
42 プラテンローラ 57 サイドフレーム
59 動作フレーム 61 支持フレーム
63 係合孔部 65 ガイド軸
66 ブッシュ 67 逃げ開口
68 下ローラ支持部 69 上ローラ支持部
77 嵌合孔 78 環状孔部
79 切欠き部 81 送り駆動モータ
82 正逆送り機構 85 プラテンクラッチ機構
91 グリップローラ 92 第1引張りローラ
93 第2引張りローラ 95 第1クラッチ機構
96 第2クラッチ機構 131 張付き防止ローラ
134 内部空間 135 収納ケース
136 ケース外面 137 ケース内面
139 終端部 181 カッティングバイト
182 スライドカッタ 184 キャリッジ
185 往復動機構 187 キャリッジリードねじ
218 アップダウン機構 219 カッタ離接機構
241 カッタ刃 242 カッタホルダ
243 テープ押え部材 244 押えばね
245 ストッパ 246 刃入れ部材
247 刃出し部材 250 回動阻止受け部
252 カッタ受け部 253 カッタ受け溝
271 バイト 281 受けプレート
282 バイト受け溝 301 幅規制ガイド
302 ガイド移動機構 304 ガイドリードねじ
305 幅規制モータ 308 ガイド雌ねじ部
311 センター部 312 右雄ねじ部
313 左雄ねじ部 321 上ガイド部
322 下ガイド部 325 上案内片
326 下案内片 327 スターローラ
331 経路変更部材 332 移動機構
351 連動モータ 353 ウォームホイール
354 アップダウンカム 355 フレーム動作カム
366 突ピン 367 空転溝
401 テープカートリッジ 501 環状孔部
502 嵌装部 503 装着部
504 フランジ部 505 抜止め部
531 リード軸 533 円筒カム溝
534 カム突起 536 センター部
537 位置規制溝部 538 送り溝部
A 走行経路 B 分岐経路
C 往復動経路 T カッティングテープ
Ta 剥離テープ Tb テープ本体
R インクリボン
【発明の属する技術分野】
本発明は、カッティングテープに対しカッティングバイトをX・Y方向に相対的に移動させて任意の切抜き形状を形成するカッティング装置に関し、特に、カッティングテープに対しカッティングバイトを離接移動させるバイトアップダウン機構を備えたカッティング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバイトアップダウン機構は、カッティングバイトを搭載したキャリッジを、これの往復動をガイドするキャリッジガイド軸を中心として揺動させることで、カッティングバイトをカッティングテープに離接させている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、キャリッジに作動リンクなどを介して連結したソレノイドを、適宜、励磁・消磁させることで、キャリッジを揺動させるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−24996号公報(第4−5頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のカッティング装置では、ソレノイドをカッティングバイトの離接移動の専用品としているが、装置に例えば印刷機構が搭載されるなど装置構造が複雑化した場合に、ソレノイドでは他の出力をとることができず、コスト高となるソレノイドを有効に活用することができない。また、ソレノイドは消費電力も大きく、装置全体としてコストアップとなる問題があった。
【0005】
本発明は、ソレノイドを廃止したコストダウンを図る構造で、カッティングバイトを適切に離接移動させることができる応用性の高いカッティング装置を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカッティング装置は、剥離テープとテープ本体とを積層して成るカッティングテープに対し離接自在に構成されたカッティングバイトを、当該カッティングテープのX軸方向の正逆送りに同期してY軸方向に移動させて、当該テープ本体に任意の切抜き形状を形成するカッティング装置において、単一の駆動モータと、駆動モータの正逆両方向の回転出力を第1出力手段に伝達すると共に、第1出力手段への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達する動力伝達手段とを備え、第1出力手段は、カッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させるバイトアップダウン機構から構成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、バイトアップダウン機構がカッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させるが、その動力源を正逆回転可能な駆動モータとしている。これにより、駆動モータの正逆回転の切り替えでカッティングバイトを離接移動させることできる。また、動力源をモータで構成したため、ソレノイドに比べ、消費電力を小さくすることができると共に、ほかに出力をとることができる。そして、駆動モータには第2出力手段が動力伝達手段を介して連結されて、バイトアップダウン機構を駆動することなく、駆動モータの正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達して、これを駆動することができるようになっている。また、駆動モータの正逆両方向の回転出力を、第2出力手段に伝達することなくバイトアップダウン機構に伝達することができるため、カッティングバイトの離接移動を適切に確保した状態で第2出力手段を駆動することができる。
【0008】
この場合、動力伝達手段は、駆動モータからの回転動力を入力し、バイトアップダウン機構を駆動する第1板カムと、第1板カムと同軸上に配設され、第1板カムから回転動力を入力して第2出力手段を駆動する第2板カムとを有し、第1板カムと第2板カムとの間には、いずれか一方の対向端面に円弧状の空転溝が設けられ、他方の対向端面に空転溝に係合する突ピンが設けられ、第1板カムは、突ピンが空転溝内を相対的に移動する回動範囲内においてバイトアップダウン機構を駆動し、第2板カムは、突ピンが空転溝の端に相対的に当接して回転動力を伝達することにより第2出力手段を駆動することが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、駆動モータからの回転動力は、先ず第1板カムに入力され、突ピンが空転溝の端に相対的に当接している場合に、第2板カムにも入力され、第1板カムと第2板カムとは同方向に回転する。すなわち、このとき第2出力手段が駆動することとなる。一方、突ピンが空転溝内を相対的に移動する回動範囲内では、第2板カムには動力が入力されないため、第1板カムのみ正逆回転することができる。すなわち、この円弧状の空転溝の回動範囲内で、第2出力手段を駆動することなく、バイトアップダウン機構を駆動して、カッティングバイトを離接移動させることができる。このように、バイトアップダウン機構および第2出力手段を適切に駆動することができると共に、バイトアップダウン機構および第2出力手段を駆動させるのに板カム構造を用いているため、これらの駆動による各動作を正確なタイミングで行うことができる。
【0010】
この場合、相対的に離接自在に構成された駆動ローラおよび従動ローラから成り、カッティングテープを挟持してX軸方向に回転送り可能なグリップローラを更に有し、第2出力手段は、グリップローラを離接動作させるローラ離接機構から成ることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、駆動モータの第2出力として、グリップローラの離接動作をとっている。これにより、例えば、カッティングテープを所定の寸法に切り離す場合などにおいて、離間していた駆動ローラを従動ローラに相対的に移動させ、カッティングテープを挟持することで、一端を固定した状態でのカッティングテープの切り離し作業を行うことができる。また、グリップローラがカッティングテープを挟持して回転正逆送りするため、切抜き形状の形成を安定して且つテープ送り精度良く行うことができる。
【0012】
この場合、ローラ離接機構は、駆動ローラおよび従動ローラの一方を回転自在に支持する支持フレームと、支持フレームの回動中心となる回動軸部と、支持フレームから延設され、第2板カムに連結した入力部と、を有していることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、第2板カムから動力を入力して、グリップローラの一方を支持した支持フレームを回動して、グリップローラを離接移動している。これにより、駆動モータの回転動力を効率的に動力変換して、グリップローラを離接移動させることができる。
【0014】
これらの場合、第2板カムは、従動ローラを駆動ローラから相対的に離間させる離間カム部と、当該従動ローラを当該駆動ローラに弱テープ挟持力で相対的に接触させる第1グリップカム部と、当該従動ローラを当該駆動ローラに強テープ挟持力で相対的に接触させる第2グリップカム部と、を有することが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、グリップローラが、例えばカッティングテープの腰の強さなどの性状に応じたテープ挟持力をとることができるため、カッティングテープを安定して回転送りすることができる。
【0016】
これらの場合、カッティングテープは、連続して繰り出し可能にセットされており、カッティングバイトの上流側に配設され、当該カッティングバイトによるカッティング位置に向かってカッティングテープを繰り出すテープ繰出し機構と、カッティング位置に臨んで配設され、繰り出したカッティングテープを正逆送りする正逆送り機構と、テープ繰出し機構および正逆送り機構の駆動源となる単一のテープ送りモータとを更に備え、第2出力手段は、グリップローラの離接動作に同期して、テープ繰出し機構へのテープ送りモータの動力伝達を断続するテープ繰出し動力遮断機構を有することが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、テープ繰出し機構と同一の動力源であるテープ送りモータにより駆動するテープ正逆送り機構が、テープ繰出し機構から送り渡されたカッティングテープを正逆送りする場合を考慮して、駆動モータの第2出力として、テープ繰出し機構への動力遮断動作をとっている。すなわち、カッティング時となるカッティングテープの正逆送り時において、第2出力手段であるテープ繰り出し遮断機構を介して、テープ繰出し機構でカッティングテープをさらに或いは次のカッティングテープを繰り出すことを防止することができる。
【0018】
また、請求項2の場合、第2出力手段の一部を構成すると共に、第2板カムに入力部を連結した動作フレームを更に備え、動作フレームは、駆動モータの回転動力を分岐させて複数の動作に供する複数の出力部を有することが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、駆動モータの動力が第2板カムから動作フレームに入力すると、動作フレームに設けた複数の出力部が、各動作を行う。これにより、駆動モータの一つの出力で、複数の動作を好適に行うことができる。
【0020】
これらの場合、駆動モータは、整流子・ブラシ付きの直流モータで構成されていることが、好ましい。
【0021】
この構成によれば、回路の制御性を単純にすることができると共に、装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態を適用したテープ処理装置は、剥離紙付きのカッティングテープを送りながら、これに印刷、フルカットおよびハーフカットなどを行うものである。具体的には、テープ処理装置は、カッティングテープのテープ本体に対し、文字や図形等の所望のキャラクタの印刷のみを行う印刷処理と、所望の切抜き形状の切抜きのみを行う切抜き処理と、印刷および切抜きの両方を行う複合処理とを選択して行うことができ、切抜き文字の作成の他、切抜き形状に装飾した印刷済みラベルを作成することができるものである。
【0023】
テープ処理装置に使用するカッティングテープは、各処理に適するべく、腰の強さ、すなわち剛性の異なるものが2種類用意されており、ここでは、剛性の高いカッティングテープを切抜き処理専用とし、剛性の低いカッティングテープを印刷処理および複合処理に供するようにしている。そこで、以下の説明では、剛性の高いものをSテープとし、剛性の低いものをPテープとし、これらの総称としてカッティングテープの語を用いることとする。なお、テープ処理装置の構成のうち、主として印刷に関するものを除く構成をカッティング装置としている。
【0024】
図1は、テープ処理装置の全体を示す外観斜視図であり、図2は、テープ処理装置の開閉蓋を開放した状態の斜視図である。両図に示すように、このテープ処理装置1は、装置ケース2により外殻を形成した装置本体3と、装置本体3に着脱自在に装着したテープカートリッジ5とで構成され、このテープカートリッジ5内に剥離紙Ta付きのカッティングテープTが、ロール状に巻回した状態で繰り出し自在に収容されている。
【0025】
装置ケース2は、下ケース7および上ケース8からなり、上ケース8は、後半部側を一段高くして形成されている。上ケース8の手前上面には、キーボード11が配設され、キーボード11には、カナキー12、電源キー13、処理実行キー14およびモード切替キー15その他の各種入力キーが配列されている。上ケース8の左部正面には、キーボード11からの入力・編集結果などを表示するディスプレイ17が配設されている。
【0026】
上ケース8の後半部の2/3に相当する右側部分は、開閉蓋18として構成されており、開閉蓋18は、後下部に内蔵したヒンジにより開閉自在に構成されている。開閉蓋18の上面には、カッティングテープTを装置本体3外へと導くためのテープ排出口32がスリット状に開口して形成されている。そして、前部を撥ね上げるようにして開放した開閉蓋18の内側には、テープカートリッジ5を着脱自在に装着すると共に各種構成装置を組み込んだ機構部アッセンブリが構成されている。
【0027】
機構部アッセンブリには、そのカートリッジ装着部19に斜め側方からテープカートリッジ5をスライドさせて装着することができるように、イジェクト機構が組み込まれている。イジェクト機構は、機構部アッセンブリの支持ベースとなる傾動自在の装置フレーム4を、カートリッジ装着部19の受入れ開放部側を先上がりに傾けた傾斜位置と、装置本体3に収容する水平位置との間で傾動させる。そして、装置フレーム4には、カッティングテープTに対し各種の処理を行う内部装置21が組み込まれている。
【0028】
内部装置21は、図3の縦断面図に示すように、カッティングテープTを走行経路Aに沿って送るテープ送り機構22と、カッティングテープTに熱転写方式の印刷を行う印刷機構23と、カッティングテープTを所定の寸法に切り離すフルカット機構24と、テープ送り機構22と協働して切り離したカッティングテープT(テープ片)を任意の切抜き形状にハーフカットするハーフカット機構25と、これら各機構を統括制御するコントローラ26(制御手段)とを備えている。
【0029】
印刷機構23、フルカット機構24およびハーフカット機構25は、装置本体3内を下側から上側に向かう略鉛直線上の走行経路Aに、順に臨んでいる。すなわち、印刷機構23が走行経路Aの上流側に臨むと共に、ハーフカット機構25が走行経路Aの下流側に臨み、印刷機構23とハーフカット機構25との間の走行経路Aにフルカット機構24が臨んでいる。これにより、印刷、フルカット、ハーフカットの順でテープ処理が行われる。
【0030】
また、装置本体3内には、フルカット機構24および印刷機構23の走行経路Aから外れ、走行経路Aに対し略直交して装置本体3の後方に向かう分岐経路Bが構成されている。分岐経路Bは、ハーフカット処理時にカッティングテープTを正逆送りする際に、カッティングテープTがフルカット機構24および印刷機構23に干渉しないようにするためのものである。分岐経路Bは、カッティングテープTの巻癖に対応してその巻癖方向に延在しており、その下流端には、カッティングテープTの尾端側を装置本体3内で繰り入れるようにして収容するテープ収納処理部30が構成されている。
【0031】
したがって、ハーフカット処理時にハーフカット機構25の位置で正逆送りされるカッティングテープTは、走行経路Aの下流側および分岐経路B間の往復動経路Cを往復走行し、適宜、その尾端側の一部がテープ収納処理部30に出入りし且つその先端側の一部がテープ排出口32から装置本体3外部に出入りしながら往復走行する。そして、処理済のカッティングテープTは、最終的に、テープ排出口32から上方に送り出されるようになっている(排出)。
【0032】
このテープ処理装置1では、図4(a)に示すように、カッティングテープTのテープ本体Tbに印刷および切抜きの両方を行う複合処理を行える他に、同図(b)に示すように、テープ本体Tbに印刷のみを行う印刷処理を、また同図(c)に示すように、テープ本体Tbに切抜きのみを行う切抜き処理を、選択的に行えるようになっている。すなわち、テープ処理装置1は、複合処理、印刷処理および切抜き処理の各処理モードを切替可能に構成されており、通常は、複合処理モードに設定されている。
【0033】
同図(a)のラベルを作成する場合には、テープ処理装置1の電源キー13をON操作した後、ユーザがディスプレイ17を見ながらキー操作により、印刷画像となる所望のキャラクタ(図示では「ABC」)を入力・編集すると共に、所望の切抜き形状(図示では「ハート」)を選択して、処理実行キー14を押釦する(指令する)。
【0034】
すると、先ず、テープ送り機構22および印刷機構23が駆動して、テープカートリッジ5内でカッティングテープTが繰り出されると共に、これと同時にテープカートリッジ5内のインクリボンRも同時に送られる。このとき、印刷機構23が適宜発熱駆動し、インクリボンRからカッティングテープTに熱転写されて、テープ本体Tbに「ABC」の印刷が行われる。印刷後もカッティングテープTの送りは続行し、送り停止したところで、フルカット機構24のスライドカッタ182が直線的に移動して、カッティングテープTの印刷済み部分を切り離す。
【0035】
続いて、テープ送り機構22およびハーフカット機構25が駆動して、切り離したカッティングテープT(テープ片)に、切抜き形状となる「ハート形状」のハーフカットが行われる。ハーフカットは、カッティングテープTの剥離紙Taを残してテープ本体Tbのみをカットするものであり、カッティングテープTに対し、ハーフカット機構25のカッティングバイト181をX・Y方向に相対的にカット移動させることにより行われる。
【0036】
具体的には、フルカット後、切り離されたカッティングテープT(テープ片)が数ステップ送られたところで、フルカット機構24の下流側直近に位置する後述する経路変更機構27により、走行経路Aが遮断されると同時に、往復動経路Cが確立する。ここで、テープ送り機構22は、カッティングテープTの正逆送りに移行し、且つこの正逆送りに同期して、カッティングバイト181がカッティングテープTに直交する方向に移動して、ハーフカットが行われる。
【0037】
このようにして、カッティングテープTには、印刷画像と切抜き形状とが合成され、印刷画像「ABC」を囲む装飾形状となる切抜き形状「ハート」が形成される(同図(a))。そして、カッティングテープTがテープ排出口32から送り出されることで、テープ処理装置1の一連の処理が完了する。ユーザは、排出されたカッティングテープTのテープ本体Tbを剥離紙Taから分離することで、内側に印刷画像「ABC」を有する外形「ハート」形の態様のラベルとして、ファイルなどの被着体に貼着することが可能となる。
【0038】
なお、同図(b)のラベルを作成する場合には、ハーフカット機構25を待機状態としたまま、テープ送り機構22、印刷機構23およびフルカット機構24を駆動する。この場合は、分岐経路Bは使用されない。一方、同図(c)の場合には、印刷機構23を待機状態としたまま、テープ送り機構22、フルカット機構24およびハーフカット機構25を駆動する。
【0039】
また、同図(d)に示すように、複数の文字、図形等の切抜き形状もテープ本体Tbに形成することができ、切抜き形状は、印刷画像を囲む装飾形状のアウトラインカットのものに限られない。この場合には、所望の印刷画像を入力するキーボード11を、印刷画像の場合と同様にキー操作することで、所望の切抜き形状を入力・編集する。
【0040】
さらに、カッティングバイト181の移動範囲をテープ幅より大きく設定すると、同図(e)に示すように、カッティングテープTを幅方向に直線的にハーフカットする横断ハーフカットや、同図(f)に示すように、カッティングテープTを幅方向に亘って且つ任意の線形となるハーフカットを行うことができる。
【0041】
次に、内部装置21について詳細に説明する前に、装置フレーム4、カートリッジ装着部19およびテープカートリッジ5について説明する。装置フレーム4は、図2に示すように左側基部を、下ケース7に回動自在に支持されており、上記のイジェクト機構により、傾斜位置と水平位置との間で回動し、水平位置にロック可能に構成されている。
【0042】
装置フレーム4は、カートリッジ装着部19を構成する装着フレーム54と、装着フレーム54の上前半部に添設し内部装置21の主要部を組み込んだ添設フレーム55と、装着フレーム54および添設フレーム55を支持するベースフレーム56(図5参照)とで構成され、このベースフレーム56が下ケース7に回動自在に支持されている。
【0043】
添設フレーム55は、左右一対のサイドフレーム57と、両サイドフレーム57の前部間に渡した鉛直フレーム58とで略「C」字状に一体に形成され、両サイドフレーム57には、内部装置21の各種の軸が支持されている(図5および図6参照)。
【0044】
カートリッジ装着部19には、図2および図3に示すように、印刷機構23が臨んでおり、ヘッドカバー35に覆われた印刷ヘッド36(サーマルヘッド)が突設している他、印刷ヘッド36に対峙するプラテン駆動軸37と、リボン巻取軸38とが突設している。プラテン駆動軸37とリボン巻取軸38とは、テープ送り機構22の後述する送り駆動モータ81を動力源として回転し(図8参照)、カッティングテープTおよびインクリボンRを同時に送る。
【0045】
テープカートリッジ5は、上下2分割構造のカートリッジケース41により外殻を形成され、カートリッジケース41内には、カッティングテープT、インクリボンRおよびプラテンローラ42が収容されている。カッティングテープTは、テープリール43に繰り出し自在に巻回され、インクリボンRは、リボン繰出リール44およびリボン巻取リール45に巻回されている。そして、テープリール43、リボン繰出リール44、リボン巻取リール45およびプラテンローラ42は、カートリッジケース41に回転自在に収容されている。
【0046】
カッティングテープTは、剥離紙Ta(剥離テープ)と、剥離紙Ta上に積層したテープ本体Tbとからなり、剥離紙Taを内側にしてロール状に巻回されている。このテープカートリッジ5に収容されるカッティングテープTは、腰の弱い複合処理を行えるPテープであり、テープ本体Tbに印刷画像が形成される他、剥離紙Taを残したハーフカットによりテープ本体Tbに切抜き形状が形成される。なお、剛性の高い切抜き処理専用の100mm幅から成るSテープを収容するテープカートリッジについては、後述する(図21参照)。
【0047】
カートリッジケース41には、印刷ヘッド36が臨むヘッド開口46と、カッティングテープTをカートリッジケース41外に排出するための送出しスリット47とが形成されている。
【0048】
テープカートリッジ5をカートリッジ装着部19に装着するには、開閉蓋18を開放すると共に、イジェクト機構により装置フレーム4を右上がりに傾動させる(図2参照)。この状態で、テープカートリッジ5をカートリッジ装着部19に装着すると、ヘッド開口46に印刷ヘッド36が遊嵌されると共に、プラテンローラ42にプラテン駆動軸37が、リボン巻取リール45にリボン巻取軸38が係合し、カッティングテープTおよびインクリボンRの送りが可能となる。
【0049】
続いて、装置フレーム4を下側に押し込んで元に戻すと、図外のヘッドリリース機構が作動して、印刷ヘッド36が支持軸39を中心に後方に回動する。これにより、カッティングテープTおよびインクリボンRを挟むようにして、印刷ヘッド50がプラテンローラ42に当接し、カッティングテープTへの印刷が可能となる。
【0050】
カッティングテープTは、プラテンローラ42の回転に伴ってテープリール43から繰り出される。一方、インクリボンRは、リボン巻取リール45の回転によりリボン繰出リール44から繰り出され、印刷ヘッド36(プラテンローラ42)の部分でカッティングテープTに重なって併走した後、リボン巻取リール45に巻き取られてゆく。このとき、印刷ヘッド36の熱転写動作により、インクリボンRのインクが所望のキャラクタ形に引き剥がされて、カッティングテープTに転写される。
【0051】
このように、プラテンローラ42は、走行経路Aに沿ってカッティングテープTを送るテープ送り機構22の一部を構成していると共に、印刷ヘッド36と協働してカッティングテープTに印刷を行う印刷機構23の一部を構成している。
熱転写されたカッティングテープTは、テープ本体Tbに所望の印刷画像が形成され、その印刷済み部分は、カートリッジケース41の送出しスリット47を通過して先方の走行経路Aに送られてゆき、フルカット機構24に臨むこととなる。
【0052】
ところで、複合処理用のテープカートリッジ5には、収容するカッティングテープT(Pテープ)の幅として、6mm、9mm、12mm、18mm、24mm、および36mmの6種類のものが用意されており、テープカートリッジ5は、その厚みが異なるものと成っている。この場合、テープカートリッジ5の厚みやカッティングテープTの収納形態により、カートリッジ装着部19に装着される各テープカートリッジ5は、その各装着位置が装着方向の中心位置で合致するようになっている。すなわち、複数種のカッティングテープTは、いずれも、それぞれの幅方向の中心が合致してセットされる。
【0053】
また、カートリッジ装着部19の奥壁には、テープカートリッジ5に収容したカッティングテープTのテープ幅を検出するテープ幅検出機構が備えられている。テープ幅検出機構は、例えば、カートリッジケース41の底部に形成した凹凸部(被検出部)に対し、その装着方向から選択的に係合するテープ幅検出スイッチ370で構成されている(図14参照)。そして、テープ幅検出機構の検出結果に基づいて、後述するテープ幅規制機構29が制御され、走行するカッティングテープTは、幅方向に位置規制されるようになっている。
【0054】
次に、図3および図5ないし図8を参照して、テープ送り機構22について詳細に説明する。テープ送り機構22は、特に図8に示すように、正逆回転可能な送り駆動モータ81と、送り駆動モータ81により正回転する上記のプラテンローラ42と、送り駆動モータ81を駆動源としカッティングテープTを正逆送りする正逆送り機構82と、送り駆動モータ81の回転動力をプラテンローラ42および正逆送り機構82に伝達するギヤ列の動力伝達部83と、を有している。
送り駆動モータ81は、ステッピングモータで構成され、装置フレーム4のベースフレーム56の外側面に配設されている。
【0055】
プラテンローラ42は、正方向(図3示で時計回り)に回転して、テープカートリッジ5からカッティングテープTを繰り出して、走行経路Aに送り出す繰出しローラを兼ねている(テープ繰出し機構、テープ送込み機構、印刷系送り機構)。プラテンローラ42と送り駆動モータ81との間には、ハーフカット処理時にカッティングテープTがテープカートリッジ5から繰り出されないようにするためのプラテンクラッチ機構85が介設されており、このプラテンクラッチ機構85により、プラテンローラ42への動力が、断続されるようになっている(図8参照で後述する)。
【0056】
正逆送り機構82(主送り機構、カット系送り機構)は、図3に示すように、プラテンローラ42の下流側の走行経路Aに配設されたグリップローラ91と、グリップローラ91の下流側の走行経路Aに配設された第1引張りローラ92と、グリップローラ91の上流側の分岐経路Bに配設された第2引張りローラ93と、を有している。グリップローラ91は、カッティングテープTを挟持して回転送りする。第1引張りローラ92および第2引張りローラ93は、グリップローラ91のテープ送り量に比して僅かにテープ送り量が大きく設定されており、カッティングテープT(テープ片)をスリップ回転して送り、これに張力(テンション)を付与する。
【0057】
グリップローラ91は、図8に示すように、送り駆動モータ81により正逆方向に駆動回転可能に構成されている。一方、第1・第2両引張りローラ92、93は、送り駆動モータ81との間に介設した第1・第2両クラッチ機構95、96により断続され、グリップローラ91に対しカッティングテープTを先行送りする一方向にのみ駆動回転するようになっている。すなわち、正逆送り機構82は、グリップローラ91を主正逆送りローラ(メイン送りローラ)としてテープ送り量を制御し、第1・第2引張りローラ92,93と協働してカッティングテープTを正逆送りする。
【0058】
具体的には、グリップローラ91が正回転の時(往動送り時)には、第1クラッチ機構95を介して第1引張りローラ92に往動用動力を伝達しこれを正回転させ、且つ第2クラッチ機構96を介して第2引張りローラ93への往動用動力を遮断してこれを自由回転可能とする。一方、グリップローラ91が逆回転の時(復動送り時)には、第2クラッチ機構96を介して第2引張りローラ93に復動用動力を伝達しこれを逆回転させ、且つ第1クラッチ機構95を介して第1引張りローラ92への復動用動力を遮断してこれを自由回転可能とする。
【0059】
グリップローラ91は、図3、図6、図8および図11に示すように、走行経路Aを挟んで対峙するグリップ駆動ローラ98およびグリップ従動ローラ99から構成され、グリップ駆動ローラ98に送り駆動モータ81が接続されている。
【0060】
グリップ従動ローラ99(99a,99b,99b)は、グリップ駆動ローラ98の回転に従って回転するフリーローラで構成されている。グリップ従動ローラ99は、両サイドフレーム57間にて左右方向に延在する動作フレーム59の下ローラ支持部68に支持され、広狭複数種のカッティングテープTに対応するべく、軸方向に沿って3個が分散配置されている。
【0061】
各グリップ従動ローラ99は、下ローラ支持部68を窓状に切り欠いて形成した各取付部位104に配設され、取付部位104に両持ち支持されたローラ軸109と、ローラ軸109に回転自在に装着したローラ本体105と、ローラ軸109の両端部と取付部位104の底部との間に介設した一対のコイルばね110とで構成されている(図11参照)。このコイルばね110により、グリップ従動ローラ99は、ローラ軸109を介してグリップ駆動ローラ98側に付勢されている。
【0062】
この場合、3個のグリップ従動ローラ99のうち左右の2個(99b、99b)は、中央のグリップ従動ローラ99aに対し、グリップ駆動ローラ98側に僅かに突出した状態で各取付部位104に配設されている。すなわち、各グリップ従動ローラ99のローラ本体105の外周面は、取付部位104から僅かに突出しているが(図3参照)、中央(99a)に比べ左右の2個(99b)の突出量は、大きく設計されている。
【0063】
このため、幅広のカッティングテープT(Sテープ)には、左右のグリップ従動ローラ99b、99b(縁側ローラ)が強く転接し、幅狭のカッティングテープT(Pテープ)には、中央のグリップ従動ローラ99a(中間ローラ)が転接するようになっている。なお、グリップ従動ローラ99は、動作フレーム59を有する後述するローラ離接機構により、カッティングテープTから3個全てが離間する離間位置と、左右の2個のみが転接するSテープ対応の第1グリップ位置と、および3個全てが転接する第1グリップ位置奥側のPテープ対応の第2グリップ位置との間を移動可能に構成されている。
【0064】
グリップ駆動ローラ98は、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸101と、ローラ軸101に装着されたローラ本体102とで構成され、ローラ軸101の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0065】
ローラ本体102は、3つのグリップ従動ローラ99に対応して、軸方向の中央に位置する中央ローラ部106と、中央ローラ部106の外側に間隙を存して対称配置した一対の外側ローラ部107とが、ローラ軸101を共有して構成されている。グリップ従動ローラ99が転接する中央ローラ部106および各外側ローラ部107の半部の外周面は、ローレット加工等により外周面に荒げ加工が施されている。
【0066】
中央ローラ部106の軸方向の中心位置は、カッティングテープTの幅方向の中間位置と合致し且つ周方向に亘って環状溝が形成されている。この環状溝と、中央ローラ部106および各外側ローラ部107間の間隙とを含んで、軸方向に跨いで延びる計5つの中間ブリッジ108が配設されている。中間ブリッジ108により、グリップ従動ローラ99との間で挟持されるカッティングテープTの先端は、ここで噛み込まれることを防止される。なお、中間ブリッジ108は、グリップ駆動ローラ98のローラ本体102を逃げるローラ開口283を形成した受けプレート281に形成されている(後述する)。
【0067】
第1引張りローラ92は、図3、図6、図8および図11に示すように、走行経路Aを挟んで対峙する第1駆動ローラ111および第1従動ローラ112から構成されている。第1駆動ローラ111は、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸114と、ローラ軸114に装着されたローラ本体115とで構成され、ローラ軸114の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0068】
第1従動ローラ112は、動作フレーム59の上ローラ支持部69に両持ち支持されたローラ軸117と、ローラ軸117に回転自在に装着したローラ本体118とで構成されている。第1従動ローラ112は、グリップ従動ローラ99と同様に、上ローラ支持部69に内蔵した左右一対のコイルばね119により、ローラ軸117の左右両端部を介して第1駆動ローラ111側に付勢されている(図11参照)。
【0069】
このため、ローラ本体118の外周面は、上ローラ支持部69から僅かに突出した状態で支持されており、その突出量は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105の突出量と略同量に設定されている。また、ローラ本体118は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105と略同じ長さで構成されている。
【0070】
第2引張りローラ93は、図3、図5、図8および図11に示すように、分岐経路B(カッティングテープT)を挟んで対峙する第2駆動ローラ121および第2従動ローラ122から構成されている。第2駆動ローラ121は、第1駆動ローラ111と同様に、送り駆動モータ81により回転されるローラ軸124と、ローラ軸124に装着されたローラ本体125とで構成され、ローラ軸124の両端部が、サイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されている。
【0071】
第2従動ローラ122は、支持軸126に固定した略「U」字状のローラ保持部127に保持されており、支持軸126は両サイドフレーム57に支持されている。第2従動ローラ122は、このローラ保持部127に内向きに設けた一対の突起128にローラ本体129が回転自在に両持ち支持されている。また、ローラ本体129は、中央のグリップ従動ローラ99aのローラ本体105と略同じ長さで構成されている。そして、これら第1引張りローラ92および第2引張りローラ93の各ローラ本体(115,118,125,129)は、その軸方向の各中心位置が、カッティングテープTのテープ幅の中心位置に合致している。
【0072】
なお、詳細はいずれも後述するが、上記のローラ離接機構により、第1従動ローラ112はグリップ従動ローラ99と共にカッティングテープTに対し離接移動する。また、グリップ従動ローラ99,第1従動ローラ112等の離接移動に連動して、ローラ離接機構により、第2従動ローラ122は支持軸126の回動を介してカッティングテープTに対し離接移動する。
【0073】
次に、テープ送り機構22の動力伝達系について、図8を主体に、図7および図11を参照して説明する。送り駆動モータ81の回転動力を伝達する動力伝達部83は、送り駆動モータ81の出力軸に固定した出力歯車141と、出力歯車141から動力を分岐してそれぞれ入力する印刷側ギヤ列142およびカット側ギヤ列143とで構成され、サイドフレーム57の外側面等に配設されている。
【0074】
印刷側ギヤ列142は、プラテン駆動軸37を回転可能に軸着したプラテン歯車145と、リボン巻取軸38をスリップ回転可能に軸着したリボン巻取歯車146と、プラテン歯車145とリボン巻取歯車146との間に介設した2個の中間伝達歯車147,147と、出力歯車141に噛み合うと共にプラテン歯車145に選択的に噛み合うプラテン切替歯車148と、を備えている。プラテン歯車145は、プラテンローラ42を回転させ、一方リボン巻取歯車146は、リボン巻取リール45を回転させる。
【0075】
プラテン切替歯車148は、送り駆動モータ81の出力軸に回転自在に支持されたクラッチアーム150の先端部に回転自在に取り付けられており、出力歯車141に噛み合う大歯車151と、同軸上において大歯車151に固定された小歯車152とから構成されている。小歯車152はプラテン歯車145に離接自在に噛み合い、大歯車151は出力歯車141と常に噛み合っており、送り駆動モータ81の回転に伴って常に回転する。
【0076】
そして、クラッチアーム150、出力歯車141、プラテン切替歯車148および後述する動作フレーム59の切替え部71により、上記のプラテンクラッチ機構85が構成されている。クラッチアーム150と切替え部71とが非係合状態において、送り駆動モータ81が正転すると、クラッチアーム150が出力軸に対し連れ廻りし、小歯車152がプラテン歯車145に連結され、送り駆動モータ81の動力がプラテン駆動軸37およびリボン巻取軸38に伝達され、これらを回転させる。
【0077】
逆に、送り駆動モータ81が逆転するときとなるハーフカット処理時には、切替え部71とクラッチアーム150とが係合し、プラテンクラッチ機構85(の小歯車152)がプラテン歯車145から強制的に離間した状態となり、送り駆動モータ81の正逆を問わず、印刷側ギヤ列142への動力伝達が遮断される。
これにより、ハーフカット処理時において、プラテンローラ42が図示時計回りに回転しカッティングテープTをテープカートリッジ5外に繰り出すことがない。
【0078】
また、プラテンクラッチ機構85は、このような構造であるため、送り駆動モータ81の停止時において、カッティングテープTの先端をテープ排出口32から引き出そうとする人的外力が作用すると、小歯車152にトルクがかかるため、クラッチアーム150が逆方向(図8:反時計回り)に連れ廻りして、小歯車152をプラテン歯車145から離間させる。
【0079】
これにより、プラテン歯車145からリボン巻取歯車146までの歯車列は、他の歯車列から独立するため、人的外力によりカッティングテープTがテープカートリッジ5外へと強制的に繰り出される場合であっても、インクリボンRのテープカートリッジ5内の巻き取り走行を許容することができる。したがって、インクリボンRのテープカートリッジ内5でのジャミングや、送出しスリット47からのテープカートリッジ5外への飛び出しを適切に防止することができるようになっている。
【0080】
カット側ギヤ列143は、グリップローラ91を回転させるグリップ歯車161と、第1引張りローラ92を回転させる第1引張り歯車162と、第2引張りローラ93を回転させる第2引張り歯車163と、グリップ歯車161に噛み合うと共に第1引張り歯車162に離接自在に噛み合う第1切替歯車164と、グリップ歯車161に噛み合うと共に第2引張り歯車163に離接自在に噛み合う第2切替歯車165と、グリップ歯車161および出力歯車141に噛み合うグリップ伝達歯車166と、第2引張り歯車163に噛み合い後述する張付き防止ローラ131を回転させる張付き防止歯車169と、を備えている。
【0081】
グリップ歯車161は、グリップ駆動ローラ98のローラ軸101の端部に固定されており、送り駆動モータ81の回転動力をグリップ駆動ローラ98に伝達し、これを回転させる。グリップ歯車161は、グリップ伝達歯車166を介して出力歯車141と常に連結されており、送り駆動モータ81の正逆の回転に伴って常に正逆の回転をする。
【0082】
第1引張り歯車162は、第1駆動ローラ111のローラ軸114の端部に軸支されており、送り駆動モータ81の回転動力を第1駆動ローラ111に伝達し、これを回転させる。この場合、第1引張り歯車162とローラ軸114との間には、グリップローラ91の正転時にローラ本体115を一定トルクで回転させる第1トルクばね171が介設されている。
【0083】
同様に、第2引張り歯車163は、第2駆動ローラ121のローラ軸124の端部に軸支されており、送り駆動モータ81の回転動力を第2駆動ローラ121に伝達し、これを回転させる。そして、第2引張り歯車163とローラ軸124との間には、グリップローラ91の逆転時にローラ本体125を一定トルクで回転させる第2トルクばね172が介設されている。
【0084】
第1切替歯車164は、グリップ歯車161と同軸となるローラ軸101に回転自在に支持されたキャリア160の第1アーム167の先端部に、回転自在に取り付けられている。同様に、第2切替歯車165は、キャリア160の第2アーム168の先端部に、回転自在に取り付けられている。すなわち、グリップ歯車161が太陽歯車に、第1・第2切替歯車164、165が遊星歯車に、第1・第2アーム167、168が遊星腕に対応する遊星歯車列様の構成となっている。
【0085】
したがって、第1アーム167、第1切替歯車164およびグリップ歯車161により、第1引張り歯車162への動力伝達を切り替える上記の第1クラッチ機構95が構成され、同様に、第2アーム168、第2切替歯車165およびグリップ歯車161により、第2引張り歯車163への動力伝達を切り替える上記の第2クラッチ機構96が構成されている。なお、第1アーム167と第2アーム168とは、それぞれ空転側にストッパを設けることで、別体とすることも可能である。
【0086】
送り駆動モータ81が正転(図8:時計回りに回転)すると、グリップ歯車161が正転して、時計回りに連れ廻りするキャリア160により、第1クラッチ機構95の第1切替歯車164が第1引張り歯車162に連結され、第1駆動ローラ111を回転させる。この状態では、第2クラッチ機構96の第2切替歯車165が第2引張り歯車163から離間し、第2切替歯車165は、第2引張り歯車163との噛み合いが解かれて空回転する。すなわち、第2引張りローラ93への動力伝達は、第2クラッチ機構96を介して遮断され、一方、グリップローラ91および第1引張りローラ92の各駆動ローラ98,111が、正回転する。
【0087】
一方、送り駆動モータ81が逆転(図8:反時計回りに回転)すると、グリップ歯車161が逆回転して、反時計回りに連れ廻りするキャリア160により、第2クラッチ機構96の第2切替歯車165が第2引張り歯車163に連結され、第2駆動ローラ121を回転させる。この状態では、第1クラッチ機構95の第1切替歯車164が第1引張り歯車162から離間し、第1切替歯車164は、第1引張り歯車162との噛み合いが解かれて空回転する。すなわち、第1引張りローラ92への動力伝達は、第1クラッチ機構95を介して遮断され、グリップローラ91および第2引張りローラ93の各駆動ローラ98,121が、逆回転する。なおこのとき、張付き防止ローラ131は図3示時計回りに回転する。
【0088】
このように、第1クラッチ機構95および第2クラッチ機構96を介して、グリップローラ91から見て送り方向下流側の(第1或いは第2)引張りローラ92、93に、動力を伝達しないようにしている。これにより、グリップローラ91でカッティングテープTの正逆送りを制御しつつ、両引張りローラ92、93と協働して、カッティングテープTに好適なテンションを作用させることができる。このため、テープ送り機構22とハーフカット機構25との協働によるカッティングテープTのハーフカット処理を、安定して行うことができる。
【0089】
ところで、ハーフカット処理時には、カッティングテープTに切込み抵抗が作用するため、カッティングテープTを各種ローラ91,92,93で挟持した状態で正逆送りすることが好ましいが、切抜き処理専用のSテープの場合には、その高い剛性のために、テープ本体Tbの既切抜き部分に各種ローラ91,92,93が転接すると、この既切抜き部分が剥離紙Taから剥がれ易い不具合がある。そこで、テープ送り機構22は、カッティングテープTの剛性に応じて、グリップローラ91、第1引張りローラ92および第2引張りローラ93のテープ本体Tb側に転接する各従動ローラ99,112,122をカッティングテープTに対し離接させる上記のローラ離接機構を備えている。
【0090】
ローラ離接機構は、上述のように、グリップ従動ローラ99を3段階で移動させるが、これに連動して第1従動ローラ112および第2従動ローラ122を離接移動させる。この場合、グリップ従動ローラ99が離間位置の状態では、第1・第2従動ローラ112,122が第1・第2駆動ローラ111,121からそれぞれ離間しているが、Sテープに対応した第1グリップ位置の状態では、グリップローラ91でSテープの幅方向の両端部のみを挟持し、第1・第2従動ローラ112,122は離間状態を維持する。
【0091】
一方、Pテープに対応した第2グリップ位置の状態では、第1・第2従動ローラ112,122は第1・第2駆動ローラ111,121にそれぞれ接触し、グリップローラ91および第1・第2引張りローラ92,93でPテープを挟持する。このように、各種ローラ91,92,93をカッティングテープTの剛性に応じて離接させているため、Sテープに対しては既切抜き部分の剥離を防止してテープ走行性を維持し、Pテープに対してはハーフカット処理時のテープ斜行やテープ中間部の撓みを有効に防止することができる。
【0092】
ローラ離接機構を構成する動作フレーム59は、図5、図6および図8に示すように、下ローラ支持部68および上ローラ支持部69を平行に構成し両サイドフレーム57間にて左右方向に延在する支持フレーム61と、支持フレーム61の一方の端部から分岐して前後方向に延びる動作レバー62とで一体に構成され、動作レバー62の一端部が後述する連動機構28のフレーム動作カム355に連結している。
【0093】
動作フレーム59は、動作レバー62を介して連動機構28から動力を入力されると、グリップ従動ローラ99がグリップ駆動ローラ98に対し離間位置、第1グリップ位置、および第2グリップ位置の3状態を構成するように、前後方向に回動する。
【0094】
支持フレーム61は、その折り曲げた両側板部64,64に、動作フレーム59の回動中心部となる係合孔部63がそれぞれ形成されている。また、支持フレーム61には、下ローラ支持部68および上ローラ支持部69の間の基面を延在方向に沿って逃げ開口67が略方形に切り欠かれ、この逃げ開口67には、ハーフカット機構25のカッティングバイト181が貫通するようにしてローラ支持部68,69側に挿通している。このため、カッティングバイト181の移動範囲では、支持フレーム61に接触しないようになっている。
【0095】
動作レバー62は、左側のサイドフレーム57に沿うように延びる板状のものであり、送り駆動モータ81側に延びる切替え部71と、切替え部71の近傍で直角に折り曲げ形成した折曲げ部72と、切替え部71と反対側に延び上記の連動機構28に連結した動作入力部73と、切替え部71と動作入力部73との間の中間部から上側に突出した往動突当て部74と、で一体に構成されている。
【0096】
切替え部71は、クラッチアーム150に係脱自在に構成され、クラッチアーム150等と共に上記のプラテンクラッチ機構85を構成している。往動突当て部74は、フルカット機構24のスライドカッタ182を切断動作位置に回動させる(図5および図7参照で後述する)。
【0097】
折曲げ部72は、支持軸126の端部に固定した回動レバー130に係脱自在に構成され、回動レバー130を介して第2従動ローラ122を第2駆動ローラ121に対し離接移動させる。すなわち、折曲げ部72、回動レバー130および支持軸116から第2引張りローラ93を離接させるローラ離接機構の一部が構成されている。
【0098】
支持軸126は、両端部をサイドフレーム57に回動自在に両持ち支持され、回動レバー130と一体に回動する。回動レバー130は、折曲げ部72との係合が解かれると、支持軸126に巻回した戻しばね123により、第2従動ローラ122は第2駆動ローラ121に接触する。一方、動作フレーム59が回動して、折曲げ部72が回動レバー130に係合すると、戻しばね123に抗して回動レバー130が支持軸126を回動させ、ローラ保持部127を介して第2従動ローラ122を第2駆動ローラ121から離間させる。なお、戻しばね123の一端は、支持軸126の回動端位置を規制するストッパ120に掛止めされている。
【0099】
したがって、動作入力部73を介して連動機構28から動力が入力されると、動作フレーム59は、係合孔部63を中心として回動し、支持フレーム61を介してグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112を離間位置から第1グリップ位置または第2グリップ位置に移動させる。このとき第1・第2グリップ位置のいずれにおいても、切替え部71はクラッチアーム150を介して送り駆動モータ81からプラテンローラ42への動力を遮断し、往動突当て部74はスライドカッタ182に突き当て可能な状態にセットされる。また、第2グリップ位置のときにのみ、折曲げ部72は回動レバー130との係合が解かれるように構成されている。
【0100】
このように、連動機構28により、支持フレーム61を介してグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112は各駆動ローラ98、111に対し離接移動すると共に、これに連動して、動作レバー62を介して第2従動ローラ122は第2駆動ローラ121に対し離接移動する。これにより、SテープおよびPテープに応じた適切な往復動経路Cを確立して、カッティングテープTを適切にハーフカット処理することができるようになっている。なお、図示省略したが、動作フレーム59には、これを確動的に回動させるためのばねが係止されている。
【0101】
また、上記したように、左右の2個のグリップ従動ローラ99b、99bは、Sテープのテープ幅100mmに対応して離間して配設されており、最大36mm幅のPテープには転接する構造になっておらず、さらに幅広のPテープを用意した場合には、グリップローラ91のグリップ力は中央に比べ左右が大きくなるが、そのテープ走行性に支障をきたすことはない。また、後述するが、走行経路Aの上流側から送られてくるカッティングテープTの先端がグリップローラ91および第1引張りローラ92に達するまで、グリップローラ91および第1引張りローラ92は、カッティングテープTに対し離間状態(非グリップ状態)を維持している。
【0102】
ところで、上記のように動作フレーム59は片側に配した動作レバー62から回動するための動力を入力されるが、支持フレーム61に平行に支持したグリップ従動ローラ99および第1従動ローラ112は、テープ走行性のためにも、カッティングテープTの幅方向に均一に接触することが好ましい。そこで、動作フレーム59をその係合孔部63を介してサイドフレーム57に両持ち支持させる構造において、ガイド軸65およびブッシュ66を利用している。
【0103】
ここで、図9および図10を参照して、動作フレーム59(フレーム部材)、ガイド軸65、ブッシュ66およびサイドフレーム57廻りの支持構造について詳細に説明する。ガイド軸65は、カッティングバイト181およびスライドカッタ182を搭載したキャリッジ184の左右方向の往復動をガイドするキャリッジガイド軸であり、これを動作フレーム59の支持構造に有効に利用している。
【0104】
ガイド軸65は、グリップ従動ローラ99等の軸線と平行に延在し、キャリッジ184の往復動をガイドする断面円形の丸棒部75と、丸棒部75の両端部から連続してガイド軸65の外端部となる回り止め部76と、で構成されている。
回り止め部76は、係合孔部63に対応して、対向する両端部を半円弧状に切除した横長の断面略長円形に形成されている。ガイド軸65は、両回り止め部76を両係合孔部63に対し、その横長の向きを合致させた状態で、係合孔部63に遊嵌状態で挿通される。
【0105】
各サイドフレーム57には、ブッシュ66を外側から取り付けるための嵌合孔77が、動作フレーム59の回動中心となる位置にそれぞれ形成されている。そして、ブッシュ66を嵌合孔77に嵌め込み、動作フレーム59の係合孔部63にブッシュ66を回り止め状態で装着し、ブッシュ66内にガイド軸65の回り止め部76を回り止め状態で装着させることで、動作フレーム59、ガイド軸65およびブッシュ66は、サイドフレーム57に一体回動自在に支持されるようになっている。
【0106】
ブッシュ66は、円形の外周面から成る胴部501と、胴部501の先端部に位置し面取りして外周面が略長円形をなす嵌装部502と、胴部501を先端側から所定の深さ刳り貫いて形成した装着部503と、胴部501の基端部から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つのフランジ部504と、3つのフランジ部504と所定の間隙を存して胴部501から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つの抜止め部505と、で一体に形成されている。
【0107】
3つのフランジ部504と3つの抜止め部505とは、周方向に相互に位置ずれして形成されていると共に、各フランジ部504が各抜止め部505に比して僅かに大きな矩形に形成されている。すなわち、各抜止め部505は、フランジ部504同士の間の間隙に臨んで形成されている。また、フランジ部504と抜止め部505との間は、サイドフレーム57の厚み分隔てており、サイドフレーム57をフランジ部504の内面と抜止め部505の外面との間で挟み込めるようになっている。
【0108】
これに対し、嵌合孔77は、胴部501に対応する内周面を有する円形の環状孔部78と、環状孔部78から径方向に突出し且つ周方向に相互に位置ずれして等ピッチの3つの切欠き部79とで構成されている。環状孔部78の径および係合孔部63の径は、ガイド軸65(丸棒部75)の径よりも太径に形成されている。このため、ガイド軸65を嵌合孔77にその外側から係合孔部63を挿通して、両サイドフレーム57間に導入することができる。
【0109】
3つの切欠き部79は、3つの抜止め部505に対応した位置に且つ大きさで矩形に形成されており、3つの切欠き部79と3つの抜止め部505とを合致させた状態では、各抜止め部505は各切欠き部79を挿通可能となり、ブッシュ66を嵌合孔77に着脱することができる。そして、ブッシュ66の嵌め込み時には、フランジ部504がサイドフレーム57の内側へのストッパとして機能する。
【0110】
また、ブッシュ66を嵌め込んで装着した状態では、ブッシュ66の胴部501と嵌合孔77の環状孔部78との間でブッシュ66は嵌合孔77内の回動を許容されると共に、120度の回動角度範囲内では、抜止め部505とフランジ部504とが嵌合孔77廻りにおけるサイドフレーム57を挟み込む。これにより、ブッシュ66は、サイドフレーム57から内外各方向への抜け落ちを防止された状態で、サイドフレーム57に回動自在に支持されることとなる。
【0111】
ブッシュ66の装着部503は、ブッシュ66の軸心に構成され、ガイド軸65の回り止め部76に対応して、これを装着可能な装着深さを有すると共に断面略長円形の内周面507で構成されている。回り止め部76を装着部503に装着したブッシュ66は、その先端面508がガイド軸65の丸棒部75の端面に当接し、ガイド軸65と一体回動可能となる。
【0112】
嵌装部502は、ブッシュ66の軸心に構成され、係合孔部63に対応して、これに嵌合可能な略長円形の外周面を有している。嵌装部502に係合孔部63を嵌め込んだブッシュ66は、その抜止め部505の内面が係合孔部63廻りの支持フレーム61の端面に当接し、支持フレーム61と一体回動可能となる。すなわち、抜止め部505は、係合孔部63を形成した側板部64とサイドフレーム57との間隙分の厚みに形成されている。なお、嵌装部502による嵌装位置を越えて、装着部503の底部は、ブッシュ66の基端側に位置している。
【0113】
ここで、サイドフレーム57に対し、ガイド軸65、動作フレーム59およびブッシュ66を組付け手順について簡単に説明する。先ず、動作フレーム59を両サイドフレーム57間の組付け位置に位置させ、一方の嵌合孔77の外側からガイド軸65を導入して両サイドフレーム57間に位置させて、ガイド軸65の各回り止め部76を各係合孔部63に挿通させた状態とする。このとき、ガイド軸65の回り止め部76および係合孔部63の横長の略長円を、サイドフレーム57に対し僅かに傾けておく。
【0114】
続いて、係合孔部63等の略長円の向きに合致するように傾けたブッシュ66を、サイドフレーム57の外側から嵌合孔77に臨ませる。そして、各サイドフレーム57の内側に押し込むようにして各ブッシュ66を各嵌合孔77に嵌合させると共に、各装着部503にガイド軸65の各回り止め部76を装着し且つ各嵌装部502に動作フレーム59の各係合孔部63を嵌め込み、各嵌合孔77内で各ブッシュ66を回動させる。
【0115】
これにより、ガイド軸65および動作フレーム59をそれぞれ回り止め状態装着した各ブッシュ66は、各嵌合孔77内で回動して、それぞれ3つずつの抜止め部505とフランジ部504との間で嵌合孔77廻りのサイドフレーム57を周方向に挟込んで、組付け作業が完了する(図5および図7参照)。
【0116】
したがって、一方の端部側から回動力を入力される動作フレーム59は、その回動力を両ブッシュ66およびガイド軸65を介して他方の端部側に伝達されて回動する。これにより、動作フレーム59を、その強度に関らず、長さ方向に亘ってねじれることなく水平に回動させることができるため、グリップローラ91等の従動ローラ99(離接部材)をカッティングテープTに対し平行に離接させることができ、カッティングテープTの走行性などを適切に確保することができる。
【0117】
なお、ガイド軸65および動作フレーム59を一体回動自在に支持した両ブッシュ66は、グリップローラ91等の従動ローラ99を離接移動させる回動角度範囲内では、各サイドフレーム57に対し、回転止め無しの抜止め状態で回動自在に支持される。また、切欠き部79等を周方向に3つ形成したが、これに限らない任意の複数の数で形成できることは言うまでもない。
【0118】
なおまた、組付けの作業性は悪くなるが、動作フレーム59の支持構造において、ブッシュ66を省略した構成としてもよい。この場合には、ガイド軸65は、両側板部64を貫通して左右両サイドフレーム57間に渡されるが、その各回り止め部76を各係合孔部63に対し回り止め状態で係合し、且つ各嵌合孔77に対し回動自在に軸支されることになる。
【0119】
また、後述するが、グリップローラ91等の各従動ローラ99の離接移動は、フルカット機構24による切断処理に先立って行われる。これにより、走行経路Aの上流側では印刷ヘッド36およびプラテンローラ42により、また下流側ではグリップローラ91等により、カッティングテープTを、その送り方向の両端を規制(挟持)した状態での切断に臨ませることができ、カッティングテープTを安定してフルカットすることができる。
【0120】
次に、テープ収納処理部30について、図3を参照して詳細に説明する。テープ収納処理部30は、カートリッジ装着部19に隣接してその上側に構成されている。テープ収納処理部30は、ハーフカット処理時に、分岐経路Bの復動送り端から復動(逆送り)してくるカッティングテープTを、正逆送り機構82を含む他の機構への干渉を阻止可能に収容するためのものであり、カッティングテープTをその尾端側(復動送り端側)から内部空間134に繰り入れて収容するものである。
【0121】
内部空間134は、装置本体3の後上部に配設した収納ケース135のテープ案内面137aと、装着フレーム54の上面54aとで構成されている。テープ案内面137aは略半円周の円弧面から成り、装着フレーム54の上面54aはテープ案内面137aに連なる部分が円弧状に湾曲して形成されている。すなわち、内部空間134を構成する内面は、全体として断面が円に近い円弧を為している。
【0122】
収納ケース135は、開閉蓋18の後半部を広く切り欠いた部分に収まるようにして設けられ、開閉蓋18と共に装置ケース2の一部としてテープ処理装置1の外郭を構成し、開閉蓋18と一体に開閉操作されるようになっている(図2参照)。また、収納ケース135は、装置本体3に着脱自在に構成されている。
【0123】
収納ケース135のケース外面136は、閉塞状態において開閉蓋18の後上面から盛り上がるようにしてこれに連続する断面ドーム状に形成され、カッティングテープTの巻癖に倣う湾曲面を有している。ケース外面136は、往復動経路Cの往動送り端の延長上に構成され、ケース外面136の後面側は、鉛直方向に延在していると共に、その前面側はテープ排出口32に臨んでいる。テープ排出口32は、図1に示すように、収納ケース135の端部と装置ケース2の開口縁部との間で形成されている。
【0124】
したがって、テープ排出口32から上方に送り出されるカッティングテープTの部分は、その巻癖および重力により、テープ本体Tb側をケース外面136に適切に案内され、収納ケース135の後方に円滑に向かうようになっている。
【0125】
収納ケース135の後半側のケース内面137は、上記のテープ案内面137aを構成している。テープ案内面137aの案内終端部139は、カッティングテープTを挟んで分岐経路Bに僅かな間隙を存して臨む位置で且つ内部空間134に収容されたカッティングテープTを略一巻きし終える位置まで延在している。そして、案内終端部139と分岐経路Bとの間の間隙には、カッティングテープTの尾端側を補助送りする張付き防止ローラ131(補助送りローラ)が、内部空間134に臨んで配設されている。
【0126】
張付き防止ローラ131は、テープ案内面137aに対するSテープの密着性を解消するように機能させるものであり、カッティングテープTの内部空間134における周回を促進するものである。すなわち、張付き防止ローラ131は、上記の動力伝達部83(図8参照)により図3示時計回りに回転して、カッティングテープTの尾端側を内部空間134側に巻き込む方向に補助的に送り、カッティングテープTがテープ案内面137aで突張るのを防止している。
【0127】
張付き防止ローラ131は、両端部を装置フレーム4のサイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されたローラ軸132と、ローラ軸132に装着された左右一対のローラ本体133とで構成されている(図7および図11参照)。ローラ軸132の端部には、上記の張付き防止歯車169が固着されており、張付き防止ローラ131は、上記の第2クラッチ機構96(図8参照)により、正逆送り機構82の復動送りに同期して回転(図3示時計回りに駆動回転)し、カッティングテープTが正送りされるときには、動力伝達が遮断され自由回転可能となる。
【0128】
一対のローラ本体133は、グリップ従動ローラ99の左右の2個(99b)と同様に、100mm幅のSテープに対応して離間し、Sテープにのみ転接するようになっている。また、ローラ本体133の外周面は、案内終端部139の鉛直面よりも内部空間134内に突出して配設されている。したがって、張付き防止ローラ131は、Sテープがテープ案内面137aに密着することを有効に防止することができる。なお、Pテープの場合には、ローラ軸132によりそのテープ尾端側が装置内でジャミングするのを阻止できる。
【0129】
このように、テープ収納処理部30では、カッティングテープTの巻癖を有効に利用して、正逆送りされるカッティングテープTを、その尾端側を収納ケース135の内部空間134に収容するようにし、その先端側を収納ケース135のケース外面136に案内するようにしている。このため、特に長尺の巻癖を有するカッティングテープTであっても、これを装置本体3内の省スペースで適切にハーフカット処理することができる。なお、張付き防止ローラ131を、Pテープにも転接可能に構成してもよい。
【0130】
次に、図3、図5および図6を中心として、ハーフカット機構25およびフルカット機構24について詳細に説明する。ハーフカット機構25のカッティングバイト181と、フルカット機構24のスライドカッタ182とは、キャリッジ184に搭載されており、カッティングバイト181はグリップローラ91の下流側に位置し、スライドカッタ182はグリップローラ91の上流側に位置している。そして、ハーフカット機構25およびフルカット機構24は、キャリッジ184をカッティングテープTの送り方向に直交する方向に往復動させる往復動機構185(バイト移動機構)と、往復動機構185を駆動する正逆回転可能なキャリッジモータ186と、を共用している。
【0131】
往復動機構185は、キャリッジ184の往復動を案内するキャリッジガイド軸と成る上記のガイド軸65と、キャリッジリードねじ187とを備えている。
キャリッジ184は、キャリッジリードねじ187に螺合する雌ねじ部189を有するキャリッジ駆動枠195と、キャリッジ駆動枠195に係合するキャリッジ本体196とで構成され、キャリッジ本体196には、ガイド軸65を挿入する断面円形のガイド孔188が貫通形成されていると共にカッティングバイト181およびスライドカッタ182が搭載されている。
【0132】
ガイド軸65とキャリッジリードねじ187とは、前後に平行に位置しており、キャリッジリードねじ187は、両端部を両サイドフレーム57に回転自在に支持されている。キャリッジモータ186は、送り駆動モータ81と同様にステッピングモータで構成され、送り駆動モータ81に隣接して、ベースフレーム56の外側面に配設されている。キャリッジモータ186の出力軸には、キャリッジ出力ギヤ191が固定されており、このキャリッジ出力ギヤ191には、キャリッジリードねじ187の端部に固定したキャリッジギヤ192が噛み合っている。
【0133】
キャリッジモータ186の正逆回転により、キャリッジ出力ギヤ191およびキャリッジギヤ192を介してキャリッジリードねじ187が正逆回転する。キャリッジリードねじ187の正逆回転により、キャリッジ駆動枠195を介してキャリッジ184は、キャリッジ本体196をガイド軸65に案内しながら往復動する。なお、以下、図5および図6示におけるキャリッジ184の往復動について、キャリッジモータ186側である左側の移動を「往動」とし、右側の移動を「復動」として説明する。
【0134】
キャリッジ駆動枠195は、上記の雌ねじ部189を中央部に有すると共に、頂部から円弧状に突出した頂面が鉛直フレーム58の内面に摺接する上下一対の摺接部201(図3参照)と、一方の摺接部201からL字状に屈曲して延びる初期位置検出部202とを有している。一対の摺接部201は、移動するキャリッジ駆動枠195の廻止めとして機能している。
【0135】
また、初期位置検出部202は、キャリッジモータ186側(往動側)の初期位置に設けた図外のフォトインタラプタにより、キャリッジ184の初期位置を検出するための遮光部材として使用される。なお、鉛直フレーム58の延在方向の一方の外端部に形成した切り欠きは、カッティングバイト181の交換を考慮したものである。
【0136】
キャリッジ駆動枠195の底部の一部には、幾分切り欠かれた係合凹部203が形成されており、この係合凹部203には、キャリッジ本体196の突出した係合凸部213が挿入されている(図10参照)。係合凸部213は、係合凹部203に左右方向を位置規制されていると共に、前後方向の傾動を許容されている。これにより、キャリッジ駆動枠195が移動すると、係合凹部203が係合凸部213を介してキャリッジ本体196を移動させる。また、係合凹部203は、キャリッジ駆動枠195に対して、キャリッジ本体196がガイド軸65を中心として前後方向に回動するのを許容する。
【0137】
キャリッジ本体196は、図3に示すように、短辺厚板部211と長辺厚板部212とで略「L」字状の断面形状を有しており、短辺厚板部211の一方の端部にはガイド孔188が貫通形成され、他方の端部には上記の係合凸部213が突出形成されている。なお、短片厚板部211のガイド孔188廻りの復動側の部位には、経路変更機構27の経路変更部材331を作用させるトリガー部215が形成されている(図7参照で後述する)。そして、短辺厚板部211の下面と成る端面には、スライドカッタ182が着脱自在に且つ回動自在に搭載され、一方、長辺厚板部212の中間部には、カッティングバイト181が貫通するように着脱自在に装着されている。
【0138】
短辺厚板部211と長辺厚板部212との交差部分には、アップダウン部214が貫通形成されており、このアップダウン部214には、断面略三日月形状のアップダウンレバー216が挿通されている。アップダウンレバー216は、図3に示すように、ガイド軸65を中心にキャリッジ本体196を前後方向に傾動させるものであり、カッティングバイト181をカッティングテープTに対し離接させるアップダウン機構218を構成している。
【0139】
アップダウン機構218は、キャリッジ本体196を水平姿勢に傾動させて、カッティングバイト181をカッティングテープTに切り込ませるカット動作位置(図3参照)と、キャリッジ本体196を上あがり姿勢に傾動させて、カッティングバイト181をカッティングテープTから上方に退避させる非カット動作位置(図23参照)との間で、キャリッジ本体196およびカッティングバイト181を移動させる。
【0140】
アップダウン機構218により、スライドカッタ182をカット動作(フルカット動作)させる時等に、カッティングバイト181をカッティングテープT(走行経路A)から退避させることができ、適切な走行経路Aを確保することができる。また、ハーフカット処理時にカッティングバイト181をカッティングテープT(走行経路A)から適宜退避させることで、例えば図4(d)に示す切抜き形状を形成することができる。
【0141】
アップダウン機構218は、図5ないし図7示すように、ガイド軸65に平行に配設され一方の端部をサイドフレーム57に支持された上記のアップダウンレバー216と、アップダウンレバー216の他方の端部を固定するレバー枠221と、レバー枠221に係合してアップダウンレバー216を作用させる駆動レバー222とを備え、駆動レバー222が連動機構28のアップダウンカム354に連結されている。
【0142】
アップダウンレバー216に対応して、キャリッジ本体196のアップダウン部214には、図3に示すように、上下に位置するカッティングバイト181とガイド軸65との間に位置して、アップダウンレバー216に向かって前後一対の凸部224が突出形成されている。アップダウンレバー216は、一対の凸部224を介してキャリッジ本体196を前後方向に傾動させる。
【0143】
アップダウンレバー216の両端部には、この前後方向の回動中心となりサイドフレーム57に支持された基部突起227と、サイドフレーム57の長孔238に摺動自在に係合する摺動突起228とがそれぞれ形成され、往動側の基部突起にレバー枠221が固定されている。また、往動側の摺動突起228には、アップダウンレバー216を前方に付勢するコイルばね226の一端が係止されている。
【0144】
コイルばね226により、アップダウンレバー216は、常時、キャリッジ本体196を介してカッティングバイト181を非カット動作位置に向かって付勢している(図23参照)。なお、この状態では、アップダウンレバー216は、アップダウン部214の前側の凸部224に当接している。
【0145】
レバー枠221は、アップダウンレバー216の固定位置から屈曲して動作フレーム59の動作レバー62の裏側にて延在していると共に、その延在終端部には、動作レバー62の表側に突出するばね突当部231が形成されている。ばね突当部231には、駆動レバー222の筒状ボス239に巻回したねじりコイルばね232が突き当てられている。駆動レバー222は、ばね突当部231に対応する先端部位を円弧状に窪んで形成されていると共に、筒状ボス239と同軸上に且つその反対側に突出した軸部233で装置フレーム4に回動自在に支持されている(図2参照)。
【0146】
駆動レバー222の尾端部は、連動モータ351に向かって延びており、連動機構28のアップダウンカム354に接触している。そして、アップダウンカム354を介して、駆動レバー222が軸部233を中心に回動することで、ねじりコイルばね232がばね突当部231を押し込むように機能して、レバー枠221を作用させる。これにより、アップダウンレバー216がコイルばね226に抗してキャリッジ本体196の後側の凸部224に当接し、カッティングバイト181をカット動作位置に移動させる(図3参照)。すなわち、カッティングバイト181の刃先は、カッティングテープTに弾力的に突き当たることになる。
【0147】
なお、アップダウンカム354を介して駆動レバー222が逆方向に回動すると、コイルばね226によりレバー枠221が回動復帰するが、そのばね突当部231に対してねじりコイルばね232がクッション的に作用して、カッティングバイト181が非カット動作位置に移動する(図23参照)。
【0148】
続いて、図9を主体に、図5および図7を適宜参照して、スライドカッタ182廻りの構造について詳細に説明する。スライドカッタ182は、先端部にカッタ刃241を有してキャリッジ本体196に着脱自在に搭載されており、キャリッジ本体196の復動時にカッティングテープTを切断する。また、スライドカッタ182は、キャリッジ本体196に回動自在に取り付けられており、キャリッジ184の往復動を利用したカッタ離接機構219により回動される(図7参照)。
【0149】
スライドカッタ182は、往動端でカッタ刃241を非切断姿勢から切断姿勢に回動させる刃入れ部材246と、復動端でカッタ刃241を切断姿勢から非切断姿勢に回動させる刃出し部材247とを有している。一方、カッタ離接機構219は、上記の往復動機構185と、動作フレーム59の動作レバー62に形成した往動突当て部74と、サイドフレーム57に設けた復動突当て部251と、で構成されている。
【0150】
したがって、往復動機構185により往動するキャリッジ184が往動の終端近傍に達すると、スライドカッタ182の刃入れ部材246が往動突当て部74に突き当たり、スライドカッタ182は、カッタ刃241が切断姿勢となる切断動作位置に回動する(図5参照)。逆に、復動するキャリッジ184が復動の終端近傍に達すると、スライドカッタ182の刃出し部材247が復動突当て部251に突き当たり、スライドカッタ182は、カッタ刃241が非切断姿勢となる非切断動作位置に回動する(図7参照)。
【0151】
スライドカッタ182は、斜刃のカッタ刃241と、カッタ刃241を保持すると共にキャリッジ本体196に回動自在に支持されたカッタホルダ242と、カッタホルダ242に取り付けられ平坦な先端面でカッティングテープTの切断部位を押えるテープ押え部材243とを有している。
【0152】
テープ押え部材243は、中央面を刳り貫いて形成され、カッタホルダ242を覆うと共にカッタホルダ242と一体に回動する。また、テープ押え部材243とカッタホルダ242との間には、テープ押え部材243を押え方向に付勢する押えばね(ねじりコイルばね)244が介設され、テープ押え部材243は、カッタホルダ242に対し押え方向(前後方向)にスライド自在に取り付けられている。このため、テープ押え部材243は、切断動作時にカッティングテープTを弾力的に押えることができるようになっている。
【0153】
テープ押え部材243は、これの先端面を構成し、カッタ刃241の切っ先を囲繞するスリット孔を有する平坦部255と、平坦部255から往動側に連なる緩傾斜部257と、平坦部255から復動側に連なる急傾斜部256と、急傾斜部256に連なり復動側に突出した上記の刃出し部材247とで構成されている。
【0154】
カッタホルダ242は、キャリッジ本体196の軸突起197に回動自在に支持される軸受部249と、テープ押え部材243の刳り貫いた一部位に当接し、押えばね244に抗してテープ押え部材243のスライド端位置(押え端位置)を規制するストッパ245と、テープ押え部材243側に突設して押えばね244を装着したばね掛止ピン248と、ばね掛止ピン248の往動側に隣接して突設する上記の刃入れ部材246とを有している。
【0155】
軸受部249は、カッタ刃241の軸心に対して往動側に僅かに位置ずれして形成されており、カッタホルダ242は、キャリッジ本体196に対し、カッタ刃241を切断姿勢と非切断姿勢との間で回動自在に取り付けられている。また、カッタホルダ242のカッタ刃241近傍には、切断動作時のカッタ刃241の切断姿勢を維持する回動阻止部(図示省略)が形成され、これに対応してキャリッジ本体196には、回動阻止部がクリック係合する回動阻止受け部250が形成されている。
【0156】
回動阻止部は、カッタ刃241を挟んで左右一対のばね性を有する薄肉の帯状部であり、回動阻止受け部250は、軸突起197の左右に形成した一対の突起状物で構成されている。したがって、スライドカッタ182が往動端で切断姿勢に回動すると、回動阻止部が回動阻止受け部250に係合した状態となる。そして、この状態でスライドカッタ182が復動方向に切断動作すると、カッタ刃241には切断抵抗が作用しカッタホルダ242を図5示反時計回りに回動させようとするが、回動阻止部と回動阻止受け部250との係合により、切断動作時のスライドカッタ182の切断動作位置が維持される。
【0157】
また、切断動作位置のスライドカッタ182が、復動端で刃出し部材247を介して非切断動作位置に回動するときには、回動阻止部と回動阻止受け部250との係合は解かれるようになっている。なお、非切断動作位置のスライドカッタ182は、カッタホルダ242とキャリッジ本体196との間に介在する弱摩擦力により、カッタ刃241の非切断姿勢を維持されることとなる(図7参照)。
【0158】
図3に示すように、スライドカッタ182の移動軌跡に対応して、装置本体3には、カッタ受け部252(テープ受け部)が設けられている。カッタ受け部252は、装着フレーム54の一部に一体に設けられている。
【0159】
カッタ受け部252には、図27に示すように、カッタ刃241の移動軌跡に沿って切っ先が臨む直線状のカッタ受け溝253が形成されていると共に、カッタ刃241の移動軌跡に沿ってテープ押え部材243の先端部が面する押受けカム部260が形成されている。復動するスライドカッタ182は、押受けカム部260により、カッタ刃241をテープ押え部材243のスリット孔から相対的に出没するようになっている。なお、上記のストッパ245により、カッタ刃241はテープ押え部材243に対し相対的に没する位置に規制されている。
【0160】
押受けカム部260(摺接部)は、往動端側の上り傾斜から成る助走部261と、助走部261に連なり復動側に延びる直線部262とで構成され、直線部262にカッタ受け溝253が形成されている。切断動作位置のスライドカッタ182が往動端から復動すると、その先端部である急傾斜部256が押受けカム部260の助走部261に優先して当接する。そして、急傾斜部256が助走部261を駆け上るようにして、スライドカッタ182は、テープ押え部材243が押えばね244に抗しながら復動してゆく。
【0161】
スライドカッタ182が押受けカム部260の直線部262に達すると、押受けカム部260に対するテープ押え部材243の摺接部位は、急傾斜部256から平坦部255へと移行する。このとき、平坦部255と直線部262とは平行になると共に、カッタ刃241の切っ先が平坦部255のスリット孔から露出し、カッタ受け溝253に臨む。
【0162】
これにより、スライドカッタ182は、平坦部255の先端面でカッティングテープTの切断部位を直線部262との間で動かないように挟み込んで押圧しながら、これを切断することになる。このため、カッティングテープTの端面を真直ぐに切断することができる。一方、非切断動作位置のスライドカッタ182の往復動では、テープ押え部材243の緩傾斜部257が走行経路Aと略平行になり、スライドカッタ182は、カッタ刃241はもとよりテープ押え部材243がカッティングテープTから離間する。
【0163】
なお、スライドカッタ182を切断動作させるためのキャリッジ184の往動および復動の範囲は、カッティングバイト181をカット動作させるときのキャリッジ184の往復動範囲の外側に設定されており、カッティングバイト181がカット動作(往復動)しているときには、スライドカッタ182が復動突当て部251および往動突当て部74に突き当たることはないようになっている。また、スライドカッタ182が復動突当て部251に突き当たり、非切断動作位置に回動するのと同時に、キャリッジ184のトリガー部215が経路変更機構27の経路変更部材331のレバー部337に突き当たるようになっている(図7参照)。
【0164】
次に、図3および図6を参照して、カッティングバイト181廻りの構造について詳細に説明する。カッティングバイト181は、バイト271と、バイト271を先端部に保持した軸状のバイト保持部材272と、バイト保持部材272を回動自在に保持すると共にキャリッジ本体196に支持されたバイトホルダ枠273とで構成されている。バイトホルダ枠273の先端部は、バイト保持部材272の先端側半部とバイト271とを囲繞するように延在しており、その平坦な先端面からバイト271の切っ先が突出している。そして、バイトホルダ枠273の先端部は、支持フレーム61の逃げ開口67から突出し、その平坦な先端面でバイト271の周囲に対応するカッティングテープTのカット部位を押えるようになっている。
【0165】
バイトホルダ枠273の中間部には、バイト保持部材272の基部側を回転自在に軸支するベアリング275が内蔵され、またバイトホルダ枠273の基端部には、これに両端部をフック形式(スナップイン)で取り付けられた調整ネジ付きのバイト押え部材276が装着されており、このバイト押え部材276が、バイト保持部材272の基部を先端側に向かって押えている。
【0166】
カッティングテープTを挟んでカッティングバイト181が対峙する部分には、両サイドフレーム57に支持した受けプレート281が配設されており、受けプレート281には、図3および図11に示すように、カッティングバイト181の移動軌跡に沿ってバイト271の刃先を逃げるバイト受け溝282が形成されている。
【0167】
また、受けプレート281には、グリップ駆動ローラ98を逃げるローラ開口283と、グリップ駆動ローラ98を跨ぐように軸方向に形成した上記の複数の中間ブリッジ108と、上方に屈曲した移動ガイド部284と、グリップ駆動ローラ98から第2駆動ローラ121にかけて湾曲した分岐経路Bの経路案内部285と、が形成されている。
【0168】
上記のアップダウン機構218によりカット動作位置に移動したカッティングバイト181は、バイト271がバイト受け溝282に臨むと共に、バイトホルダ枠273の先端部が受けプレート281との間でカッティングテープTのカット部位を押えながらカット動作を行う(図3参照)。これにより、バイト271がテープ本体Tbのみを切り込むハーフカットを安定して行うことができるようになっている。
【0169】
また、バイト受け溝282は、設定したカッティングバイト181の移動範囲に対応して、100mm幅のカッティングテープTのテープ幅(最大テープ幅)よりも長く延在している。これにより、カッティングテープTの幅方向の手前側からカット動作を開始することができるため、各幅のカッティングテープTを幅方向に亘って適切にハーフカットすることができる(図4(e)および(f)参照)。
【0170】
なお、カット動作時におけるキャリッジ184の往復動範囲の両端位置(往動端位置および/または復動端位置)のバイト受け溝282に、ゴム状のプレカット部材を設けてもよい。これによれば、カッティングバイト181の初期切込み姿勢が方向付けられるため、特に、カッティングテープTの横断ハーフカットを良好に行うことができる。
【0171】
なおまた、カッティングバイト181のカッティングテープTへの初期切込み姿勢を制御する他のバイトセット機構を設けてもよい。バイトセット機構は、例えば、バイト保持部材272の一部と、これに対応してキャリッジ184の往復動範囲の一方の端位置(サイドフレーム57)とに磁石をそれぞれ設け、その斥力により、バイト保持部材272を回動させバイト271が適切な初期切込み姿勢に向くように構成する。
【0172】
あるいは、キャリッジ184の往復動範囲の一方の端位置に可撓性磁石を設け、この位置に移動したバイト271の切っ先が可撓性磁石に位置決めされるように接触させ、実際に切り込み移動を開始するときに、バイト271を反力で180度回動させるようにする。
【0173】
また、他の構成として、キャリッジ184の往復動範囲の端位置に、一対の姿勢制御部材の先端部をバイト271を挟んで対向するように設け、姿勢制御部材の基部に係止したばねにより、姿勢制御部材の先端部が互いに接触するように回動自在に構成しておく。そして、例えばキャリッジ184が往動端位置に達すると、バイト271は一対の姿勢制御部材の先端部の間を通過するが、反転復動するときには、バイト271により、両姿勢制御部材はばねに抗しながら開くように回動する。これにより、両姿勢制御部材の先端部の部位に挟み込まれるようにして当接したバイト271は、適切な初期切り込み姿勢と成る。
【0174】
ところで、上述のように、カッティングバイト181の切り込み動作は、分岐経路Bに導くカッティングテープTの頻繁な正逆送りに同期して行うものであるが、カッティングテープTの剛性が低い場合にこれが安定して行われる必要がある。そこで、装置本体3内には、カッティングテープTの斜行を防止すべく、走行経路Aおよび分岐経路BのカッティングテープTを幅方向に位置規制するテープ幅規制機構29が配設されている。
【0175】
テープ幅規制機構29について、図6を主体に、図3および図5を参照しながら説明する。テープ幅規制機構29は、カッティングテープTを幅方向に位置規制する左右一対の幅規制ガイド301と、一対の幅規制ガイド301を同時に移動させるガイド移動機構302とを有しており、上記のテープ幅検出機構の検出結果に基づいて、ガイド移動機構302が各幅規制ガイド301をテープ幅に合うように移動させる。
【0176】
ガイド移動機構302は、ガイドリードねじ304と、ガイドリードねじ304を歯車列(ウォーム・ウォームホイール)を介して正逆回転させる幅規制モータ305とで構成されている。幅規制モータ305は、整流子・ブラシつきのDCモータからなり、ベースフレーム56の内側面上部に配設されており、幅規制モータ305の出力軸には、ウォームギヤ306が固定されている。ウォームギヤ306は、ガイドリードねじ304の端部に設けたウォームホイール307に噛み合っており、ガイドリードねじ304を回転させる。
【0177】
ガイドリードねじ304は、両端をサイドフレーム57に回転自在に支持され、各幅規制ガイド301のガイド雌ねじ部308に螺合している。上述のように、複数幅のカッティングテープTは、いずれも幅方向の中心位置が左右方向の中心位置に合致して送られるが、これに対応して、ガイドリードねじ304は、延在する左右方向のセンター部311を境に、一方の側に右ねじを螺刻した右雄ねじ部312が形成され且つ他方の側に右雄ねじ部312と同一リードの左ねじを螺刻した左雄ねじ部313が形成されている。そして、一対の幅規制ガイド301の一方は、右雄ねじ部312に螺合する右ガイド雌ねじ部308を有し、他方は左雄ねじ部313に螺合する左ガイド雌ねじ部308を有している。
【0178】
ガイドリードねじ304が正転すると、一対の幅規制ガイド301は、ガイドリードねじ304のセンター部311から互いに離間するように等距離移動する。また、ガイドリードねじ304が逆転すると、一対の幅規制ガイド301は、ガイドリードねじ304のセンター部311に向かって互いに接近するように等距離移動する。これにより、各幅規制ガイド301のセットを、幅規制モータ305で簡単にコントロールできると共に、同時になすことができる。また、セット後には、カッティングバイト181による切込抵抗に対して、各幅規制ガイド301のセット状態を適切に維持することができる。
【0179】
各幅規制ガイド301は、正逆送り機構82を跨いで分岐経路Bの下流側に位置する下ガイド部321(第1ガイド部、テープガイド部)と、走行経路Aの下流側に位置する上ガイド部322(第2ガイド部、排出口側テープガイド部)とからなり、下ガイド部321と上ガイド部322とは断面略「Z」字状に一体に形成されている。そして、上記のガイド雌ねじ部308は、下ガイド部321と上ガイド部322との略中間部分に形成されている。
【0180】
また、各ガイド雌ねじ部308の近傍には、上記の受けプレート281の移動ガイド部284に摺動自在に係合するガイド案内部324が突出形成されている。ガイド案内部324はガイド雌ねじ部308の廻止めを構成しており、ガイドリードねじ304が回転すると、ガイド案内部324が移動ガイド部284に案内されて、各幅規制ガイド301が往復動する。
【0181】
各下ガイド部321は、図3および図5に示すように、第2引張りローラ93等を逃げるようにして内部空間134内に深く延設された空間側ガイド部323と、走行経路Aと分岐経路Bとの分岐部に臨み、間隙を存して対面する二つの案内片325a,325bとを有している。空間側ガイド部323は、その下面が装着フレーム54の上面54aに倣って湾曲しており、その上面がテープ案内面137aの案内始端部138から案内終端部139に渡って水平に延在している。
【0182】
二つの案内片325a,325bは、下ガイド部321の内面から突出して形成されると共に、往復動経路Cとなるスリットを介して(間隙を存して)上下に位置すると共に、分岐部のコーナーに沿う円弧状の湾曲面が互いに対面している(図28参照)。二つの案内片325a,325bは、カッティングテープTの幅方向の縁部を挟むようにしてこれに接触し、カッティングテープTの両端の折れ込みを抑制するようになっている。なお、二つの案内片325a,325bの先端側は、走行経路Aの直線部に臨んでいることがより好ましい。
【0183】
各上ガイド部322には、走行経路Aに沿って延在し、カッティングテープTの幅方向の縁部に接触して、これを案内する上案内片326が一体に形成されている。上案内片326は、第1引張りローラ92とテープ排出口32との間に位置し、カッティングテープTの巻き癖に倣うように上ガイド部322の内面に円弧状に突出形成されている。上案内片326の表面、すなわち往復動経路Cを構成する送りガイド面は、収納ケース135のケース外面136と面一になるように配設されていると共に、その送り方向の両端側が面取りされている。
【0184】
また、各上ガイド部322は、走行経路Aを挟んで上案内片326に対峙し、カッティングテープTの幅方向の端縁部に転接する自由回転のスターローラ327を有している。スターローラ327は、外周面がギザギザの星形から成る薄肉のスターローラ本体328と、スターローラ本体328を回転自在に軸支するコイルばね様のスターローラ軸329とで構成されている。これにより、スターローラ327は、カッティングテープTを上案内片326に押し付けながらこれに転接する。このため、特に剛性の低いカッティングテープTであっても、両端の折れ込みを効果的に抑制する。
【0185】
このように、往復動経路C上の一方には二つの案内片325a,325bが、他方には上案内片326およびスターローラ327が配設されているため、巻き癖を有するカッティングテープTを、その幅方向の両端を浮き上がらせることなく、往復動経路Cに沿って安定して正逆送りすることができる。またこのとき、カッティングテープTは、その幅方向の両側端を上下両ガイド部321,322の内面(位置規制面)に摺接して、幅方向に位置規制することができると共に、下ガイド部により、カッティングテープTを内部空間134に安定に送り込むことができる
【0186】
なお、場合によっては、下ガイド部321の二つの案内片325a,325bと第2引張りローラ93との位置関係、および上案内片326と第1引張りローラ92との位置関係をそれぞれ逆にしてもよい。また、二つの案内片325a,325bに代えて、上ガイド部322と同様に、下ガイド部321にスターローラ327を設けてもよい。
【0187】
詳細は後述するが、テープ幅規制機構29は、電源ONと同時に、駆動を開始して各幅規制ガイド301をセットする。また、ハーフカット処理のカッティング動作に先行して、切断後のカッティングテープT(テープ片)をテープ送り機構22により、複数回正逆送りさせて各幅規制ガイド301になじむように空送りするようにしている。
【0188】
次に、図3、図7および図11を参照して、経路変更機構27について説明する。経路変更機構27は、フルカット機構24の下流側で走行経路Aを遮断することで分岐経路Bに切り換えるものであり、逆送りされるカッティングテープT(テープ片)を尾端から分岐経路Bに導く経路変更部材331と、経路変更部材331を走行経路A内に突出する変更位置と走行経路Aから退避する退避位置との間で移動させる移動機構332と、を有している。なお、退避位置の経路変更部材331は、分岐経路Bに非突出状態となり、走行経路Aおよび分岐経路Bを共に開放する。
【0189】
経路変更部材331は、スライドカッタ182とカッティングバイト181との間に介設、すなわち走行経路Aと分岐経路Bとの分岐部に配設されている。経路変更部材331は、走行経路Aに沿って平行な面を有する上向き楔状断面を為し、カッティングテープTの幅方向に延在している。経路変更部材331は、両端部を上記のカッタ受け部252に回動自在に支持され、一方の端部には、経路変更部材331を退避位置に向かって付勢する戻しばね334と、戻しばね334の一端が係止されると共に経路変更部材331を退避位置に規制するストッパ335とを有している。上述のように、経路変更部材331は、戻しばね334に抗して、移動機構332によりその先端部が前方に倒れるように回動することで、変更位置に移動して走行経路Aを遮断する。
【0190】
また、経路変更部材331の他方の端部には、復動端位置に移動したキャリッジ184のトリガー部215が係合するレバー部337(連動部材)が設けられている。キャリッジ184が、経路変更部材331を回動させて変更位置に突出させる。なおこのとき、スライドカッタ182は、刃出し部材247が復動突当て部251に突き当たり、非切断姿勢に回動する。また、キャリッジ184が復動端位置から外れると(往動側へ移動すると)、キャリッジ184のトリガー部215とレバー部337との係合が解かれ、戻しばね334により、経路変更部材331は、退避位置に回動復帰する。
【0191】
このように、上記の移動機構332は、経路変更部材331に設けたレバー部337と、レバー部337を介して経路変更部材331を変更位置と退避位置との間で移動させる上記のキャリッジ184のトリガー部215と、上記の往復動機構185とで構成されている。
【0192】
詳細は後述するが、経路変更部材331の変更位置と退避位置との相互間における変更タイミングは、退避位置から変更位置では、切断後のカッティングテープT(テープ片)の尾端が経路変更部材331の通過後に行われ、一方、変更位置から退避位置では、分岐経路BにカッティングテープTが最初に送られたところで行われる。
【0193】
経路変更部材331に対向して分岐経路B側には、図3および図5に示すように、受けプレート281の経路案内部285が臨んでいる。経路案内部285は、カッティングテープTの巻き癖方向に倣って曲面形状に形成されており、経路変更部材331の楔状の先端部と相俟って、本来的に経路変更部材331を回動させなくてもカッティングテープTを分岐経路Bに案内できるようになっている。したがって、移動機構332を省略することも可能であるが、経路変更部材331を変更位置と退避位置との間で適宜移動させることで、逆送りされるカッティングテープTを走行経路Aから分岐経路Bに確実に導くことができる。なお、図5に示すように、経路案内部285は、幅規制ガイド301の移動を確保するべく、受けプレート281の延在方向の中間部および両端部の計3箇所に形成されている。
【0194】
続いて、図5、図6および図7を参照して、カム機構を主体とする連動機構28について説明する。上述したように、連動機構28は、正逆回転可能な連動モータ351により、▲1▼印刷側ギヤ列142への動力伝達を断続する動力切替動作と、▲2▼グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93における各従動ローラ98、112,122のローラ離接動作と、▲3▼カッティングバイト181のアップダウン動作とを行っており、「▲1▼」の動力切替動作と「▲2▼」のローラ離接動作とは同期するようになっている。また、上述したように、「▲2▼」のローラ離接動作では、グリップ従動ローラ99等の離間位置、第1グリップ位置および第2グリップ位置の3段階の動作を行う。
【0195】
連動モータ351は、幅規制モータ305と同様に、整流子・ブラシ付きのDCモータからなり、ベースフレーム56の内側面に配設されている。連動モータ351の出力軸には、ウォームギヤ352が固定され、ウォームギヤ352には、ウォームホイール353が噛み合っている。ウォームホイール353の同軸上には、駆動レバー222を作動させて「▲3▼」の動作を行うアップダウンカム354(第1板カム)と、動作フレーム59の動作入力部73を作動させて「▲1▼」の動作および「▲2▼」の動作を行うフレーム動作カム355(第2板カム)と、が重なるように配設されている。
【0196】
アップダウンカム354は、図7に示すように、ウォームホイール353の裏側に固定され、駆動レバー222の尾端部に接触しこれを作動させるレバー作動カム361と、レバー作動カム361の裏側に固定したアップダウン検出カム362とで構成され、レバー作動カム361およびアップダウン検出カム362は、同軸上に配設された板カムで構成されている。すなわち、ウォームホイール353が回転すると、これと同軸上に、レバー作動カム361およびアップダウン検出カム362が同時に回転する。
【0197】
一方、フレーム動作カム355は自由回転可能に軸支され、図5に示すように、アップダウンカム354とベースフレーム56との間に配設されている。フレーム動作カム355は、動作フレーム59の動作入力部73に接触しこれを作用させるフレーム作用カム364と、フレーム作用カム364の裏側に固定されたフレーム検出カム365とで構成されており、フレーム作用カム364およびフレーム検出カム365は、同軸上に配設された板カムで構成されている。
【0198】
フレーム作用カム364は、「▲2▼」の3段階の動作を構成するために、グリップ従動ローラ98等の離間位置に対応した全離間カム部371と、第1グリップ位置に対応した第1グリップカム部372と、第2グリップ位置に対応した第2グリップカム部373と、これらカム部間を相互に連続させるための3つの移行カム部とで一体に構成されている。なお、移行カム部は、図示符号を省略している。
【0199】
フレーム検出カム365は、径方向に突出するように、第1グリップ位置を検出させるための第1グリップ位置検出カム部375と、第2グリップ位置を検出させるための第2グリップ位置検出カム部376とを有している。第1グリップ位置検出カム部375と第2グリップ位置検出カム部376とは、軸方向(厚み方向)において位置ずれし、且つ周方向において点対称位置に形成されている。
【0200】
図5示中の符号368は、フレーム検出カム365に臨んで配設されたフレーム位置検出スイッチであり、一方、図7示中の符号369は、アップダウン検出カム362に臨んで配設されたアップダウン検出スイッチであり、いずれも連動モータ351の駆動を制御する。
【0201】
フレーム位置検出スイッチ368は、フレーム検出カム365を介して、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作の両結果を検出するものであり、フレーム検出カム365の第1グリップ位置検出カム375に対応した第1グリップ位置検出スイッチ368aと、第2グリップ位置検出カム376に対応した第2グリップ位置検出スイッチ368bとで構成されている。そして、第1グリップ位置検出スイッチ368aおよび第2グリップ位置検出スイッチ368bの各検出結果(1or0)に基づいて、連動モータ351の駆動が停止される。なお、以下、スイッチの検出信号「1」をONとし、スイッチの検出信号「0」をOFFとして説明する。
【0202】
一方、アップダウン検出スイッチ369は、アップダウン検出カム362を介して、「▲3▼」の動作結果を検出するものであり、この検出結果(1or0)に基づいて連動モータ351を、正転から逆転へと、また逆転から正転へと、駆動する回転方向を切り替えるものである。すなわち、アップダウン検出スイッチ369が、適宜ON・OFF(1or0)することで、連動モータ351の正逆の回転が適宜切り替えられる。
【0203】
そして、フレーム動作カム355とアップダウンカム354とは、非接触状態で対面しており、そのフレーム作用カム364の対向端面(表面)には、突ピン366が一体に設けられ、アップダウン検出カム362の対向端面(裏面)には、突ピン366が係合する空転溝367が設けられている。これにより、連動モータ351の出力は、ウォーム・ウォームホイール352、353から、アップダウンカム354を介して、空転溝367の端に当接する突ピン366に力が伝わることで、フレーム動作カム355に伝達される。
【0204】
この場合、空転溝367は半月状(円弧状)の長溝であり、突ピン366は、空転溝367に対し、所定の回度範囲のあそびを有して係合しており、このあそび分、アップダウンカム354のみを正逆回転させることができるようになっている。すなわち、この空転溝367内において、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作を行うことなく、「▲3▼」の動作のみを行うことができるようになっている。
【0205】
ここで、「▲1▼」〜「▲3▼」の各動作と各スイッチ368,369との関係について、図12および図13を参照して説明する。両図は、連動モータ351のシーケンスを、フレーム位置検出スイッチ368およびアップダウン検出スイッチ369との関係において表にしたものである。両図に示すように、電源ONにより連動モータ351が正転して各種スイッチ368,369が「0」となった状態では、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355は初期状態にある。
【0206】
この状態では、動作フレーム59の動作入力部73は全離間カム部371に接触し、「▲2▼離間位置」、「▲1▼動力伝達可」であり、また「▲3▼非カット動作位置」である。一方、突ピン366は空転溝367の一方の端に当接している。そして、この状態ではPテープの場合、通常、印刷処理が行われる。
【0207】
カッティングテープTを切断する場合には、「▲2▼」の動作を行うべく、連動モータ351をさらに正転させて、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355を正転させる。この場合、図13のSテープの場合には、第1グリップ位置検出スイッチ368aが「1」となったところで連動モータ351の駆動は停止するが、この停止までの間に、「▲2▼第1グリップ位置へ」の動作およびこれに同期する「▲1▼動力遮断」の動作が行われる。このとき、空転溝367に対する突ピン366の当接状態は維持され、動作フレーム59の接触端は第1グリップカム部372に移行することになる。
【0208】
一方、図12のPテープの場合には、第2グリップ位置検出スイッチ368bが「1」となるまで連動モータ351は正転を続け、この間に、上記「▲1▼動力遮断」の動作および「▲2▼第1グリップ位置へ」の動作が行われると共に、これらに続いて「▲2▼第1グリップ位置から第2グリップ位置へ」の動作が行われる。このときには、動作フレーム59の接触端は第2グリップカム部373に移行するが、空転溝367に対する突ピン366の当接状態は、依然、維持されている。
【0209】
このように、カッティングテープTを切断するに際しては、SテープおよびPテープのいずれのときも、アップダウンカム354は正転することとなるが、アップダウン検出スイッチ369は「0」を維持するため、「▲3▼」の動作が行われることがない。
【0210】
カッティングテープT切断後のハーフカット時に、「▲3▼」の動作を行うには、先ず、連動モータ351を逆転させる。このとき、突ピン366は空転溝367内を相対的に移動して、アップダウンカム354のみが回転することとなる。これにより、フレーム検出スイッチ368が切り替わることがないため、「▲1▼動力遮断」および「▲2▼第1グリップ位置(或いは第2グリップ位置)」が変動することはない。
【0211】
そして、アップダウン検出スイッチ369が「1」となるまでには、「▲3▼カット動作位置へ」の動作が行われ、カッティングバイト181でハーフカット処理することが可能となる。続いて、このスイッチ369が「1」となると、連動モータ351は正転に切り替えられ、これが「0」となって連動モータ351が再び逆転に切り替わるまでには、「▲3▼非カット動作位置へ」の動作が行われる。この場合も、突ピン366は空転溝367内を相対的に移動するため、フレーム検出スイッチ368が切り替わることがない。
【0212】
このように、ウォームホイール353、アップダウンカム354およびフレーム動作カム355により、連動モータ351の正逆両方向の回転出力をバイトアップダウン機構218に伝達すると共に、バイトアップダウン機構218への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を、「▲1▼」の動作となるテープ繰出し動力遮断機構および「▲2▼」の動作となるローラ離接機構に伝達する動力伝達手段が構成されており、単一のモータ351で、「▲1▼」および「▲2▼」の両動作を行うことなく、「▲3▼」の動作のみを繰り返し行うことができるようになっている。
【0213】
次に、コントローラ26により構成される主制御系について説明する。図14のブロック図に示すように、テープ処理装置1の制御系は、キーボード11を有する入力部380と、ディスプレイ17を有する表示部381と、印刷機構23を有してカッティングテープTにキャラクタの印刷を行う印刷部382と、ハーフカット機構25およびフルカット機構24を有してカッティングテープTにカット動作を行うカット部383と、テープ送り機構22を有してカッティングテープTを送る搬送部384と、テープ幅規制機構29を有してカッティングテープTの幅規制を行う幅規制部385と、連動機構28を有して各機構を連動させる連動部386と、各部を駆動する各種ドライバを有する駆動部387と、テープ幅検出機構や連動機構28の検出スイッチ(テープ幅検出スイッチ370、アップダウン検出スイッチ369およびフレーム位置検出スイッチ368)を有して各種検出を行う検出部388と、テープ処理装置1の各部を制御する制御部389(コントローラ26)とを備えている。
【0214】
制御部389は、CPU391、ROM392、RAM393、CG−ROM394およびP−CON395を有しており、これらは互いにバス396を介して接続されている。ROM392は、CPU391で処理する制御プログラムや制御データを記憶する領域を有している。CG−ROM394は、テープ処理装置1に用意されている文字、記号、図形などのフォントデータや切り抜き形状用のフォントデータ(例えば、ハート形)を記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。RAM393は、制御処理のための各種作業領域として使用される。
【0215】
P−CON395には、CPU391の機能を補うと共に周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が組み込まれており、入力部380からの各種指令やフォントデータなどをそのままあるいは加工してバス396に取り込むと共に、CPU391と連動して、CPU391等からバス396に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部387に出力する。
【0216】
そして、CPU391は、上記の構成により、ROM392内の制御プログラムに従って、P−CON395を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM394からのフォントデータ、RAM393内の各種データ等を処理した後、P−CON395を介して駆動部387に制御信号を出力する。
【0217】
これにより、各種ドライバを介してディスプレイ17の表示制御を行うと共に、印刷ヘッド36を制御して所定の印刷条件でカッティングテープTに印刷し、送り駆動モータ81、キャリッジモータ186、幅規制モータ305および連動モータ351などを制御して、カッティングテープTに対し所定の送り条件やカット条件でハーフカットおよびフルカットを行うなどテープ処理装置1全体を制御している。
【0218】
次に、図15ないし図18を参照して、テープ処理装置1によるテープ処理方法について、複合処理モードにおけるコントローラ26による制御につき、順を追って簡単に説明する。テープカートリッジ5を装着したテープ処理装置1の電源キー13を押釦すると、各種の機構が初期設定される(図15:S1〜S3)。
【0219】
この初期設定により(図15:S4)、連動機構28の連動モータ351が正転し、グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93の各従動ローラ99、112,122を離間位置に移動させ、プラテンローラ42への動力伝達が可能となり、さらに、カッティングバイト181が非カット動作位置に移動した状態となる(図12および図13参照)。また、キャリッジ184は初期位置側に移動しており、経路変更部材331は退避位置に移動していると共に、スライドカッタ182は非切断動作位置に移動している。さらに、幅規制ガイド301が、テープ幅検出を受けてテープ幅に合うように移動してセットされる。
【0220】
この状態(図17(a))から、ユーザによる所望の印刷画像および切抜き形状の入力が行われて、処理実行キー14が押釦されると(図15:S8〜S9)、送り駆動モータ81が正転する。これにより、グリップローラ91、第1引張りローラ92およびプラテンローラ42が正転を開始し、カッティングテープTがテープカートリッジ5から走行経路Aに繰り出されてゆく。
【0221】
このとき、プラテンローラ42の正転と同期して発熱駆動する印刷ヘッド36により、カッティングテープTに印刷画像の印刷が行われる(図16:S7、図17(b))。印刷が終了すると(図16:S8)、送り駆動モータ81が幾分正転して、カッティングテープTを、印刷ヘッド36およびスライドカッタ182間の距離分、先方に送ったところで、送り駆動モータ81に電圧を印加して停止状態をホールドする(図16:S9〜S10)。
【0222】
ここで、連動モータ351を、フレーム位置検出スイッチ368の第2グリップ位置検出スイッチ368bがONするまで正転させ(図12参照)、プラテンローラ42への動力伝達を遮断すると共に、グリップローラ91および第1・第2両引張りローラ92、93の各従動ローラ99,112,122を第2グリップ位置に移動させる(図16:S11、図17(c))。次のタイミングで、スライドカッタ182が往動し、切断動作位置に回動してから反転復動して、カッティングテープTを切り離す(図16:S12、図18(a))。
【0223】
続いて、切り離されたカッティングテープT(印刷済みテープ片)には、「ハーフカット処理」が行われることになる(図16:P10のサブルーチン相当)。すなわち、先ず、送り駆動モータ81を再び正転させて、カッティングテープTの尾端が、経路変更部材331を通過するまで、カッティングテープTを走行経路Aに沿って送る(図16:S14)。次いで、スライドカッタ182がさらに復動し、その復動端位置でスライドカッタ182が非切断動作位置に回動される。これと同時に、経路変更部材331がキャリッジ184を介して変更位置に回動し、往復動経路Cが確立される(図16:S15、図18(b))。
【0224】
ここで、送り駆動モータ81が逆転して、グリップローラ91および第2引張りローラ93が逆転すると、カッティングテープTが後方に送られ、その尾端が経路変更部材331に当接して、分岐経路Bへと導かれてゆき、幅規制ガイド301の上ガイド部322まで送られる(図16:S16、図18(c))。そして、キャリッジ184が往動して、経路変更部材331が退避位置に回動復帰したところで、送り駆動モータ81を複数回、逆・正回転させて、カッティングテープTを往復の正逆空走行をさせ、セット状態の幅規制ガイド301に馴染ませる(図16:S17〜S18、図19(a))。
【0225】
続いて、グリップローラ91および第1・第2引張りローラ92,93によるカッティングテープTの正逆送りと、往復動機構185によるカッティングバイト181の往復動と、連動機構28によるカッティングバイト181のアップダウン動作とを同期させて、カッティングテープTにハーフカットが行われる(図16:S19、図19(b))。ハーフカットが完了したら、最後に、送り駆動モータ81を正転させて、カッティングテープTをテープ排出口32から装置外部に送り出す(図16:S20〜S21、図19(c))。
【0226】
このように、本実施形態のテープ処理装置1によれば、印刷画像および切抜き形状の作成を、装置ケース2に収容した各機構を駆動させることで、カッティングテープTに対する一連の動作を自動で行うことができる。なお、図15のStep5で切抜き形状を入力していない場合には、ハーフカット機構25の駆動がキャンセルされ、上記のStep13の判断分岐からStep21へと移行される。これにより、カッティングテープT(印刷済みのテープ片)は、待機状態のハーフカット機構25を通過して、テープ排出口32から装置外部に送り出される。
【0227】
なお、テープカートリッジ5に収容するカッティングテープTおよびインクリボンRには、複数色が用意されており、カッティングテープTに、カラー印刷画像やカラーの切抜き形状を形成することができるようになっている。このため、多彩な態様のテープを作成することができるようになっている。
【0228】
また、このテープ処理装置1を、ケーブルなどでパーソナルコンピュータなどの外部機器と接続してもよい。これによれば、外部機器で作成した入力・編集あるいは選択して作成したデータを、テープ処理装置1でカッティングテープTに処理することができる。なおまた、幅規制ガイド301のセットなどは、ユーザのマニュアル操作に委ねてもよい。
【0229】
図20は、複合処理モードにおいて、カッティングテープTに形成される印刷画像と切抜き形状とを構造上、高精度で合成するテープ処理装置1の他の処理フローを示している。具体的には、図16におけるS7〜S12の間の処理フローが異なっており、プラテンローラ42に代えてグリップローラ91の正転の送りに同期して、印刷ヘッド36を発熱駆動してカッティングテープTに印刷するようにしている。
【0230】
同図に示すように、印刷画像および切抜き形状の入力後、処理実行キー14が押釦されると(図15参照)、カッティングテープTは、プラテンローラ42の正回転によりテープカートリッジ5から走行経路Aに繰り出されてゆく(同図:S6)。この場合、印刷ヘッド36を発熱駆動させることなく、カッティングテープTの先端部がグリップローラ91の位置に達するまで送る(図20:S31)。なお、厳密には、カッティングテープTの先端が第1引張りローラ92の位置に達するまで送る。ここで、連動モータ351を正転させ、プラテンローラ42への動力伝達を遮断すると共に、グリップローラ91等の各従動ローラ99を第2グリップ位置に移動させる(図20:S32)。
【0231】
この状態で、グリップローラ91の正転により、カッティングテープTをテープカートリッジ5から更に繰り出すと共に、この繰出し送りに同期して印刷ヘッド36の発熱駆動を開始させ、カッティングテープTへの画像の印刷を開始する(同図:S33)。そして、印刷終了後に幾分先方に送られたカッティングテープTの切り離しが行われた後(同図:S34〜S37)、切り離されたカッティングテープT(テープ片)に対して、グリップローラ91によりテープ送り量が制御される正逆送りと、カッティングバイト181の往復動とが同期して行われ、カッティングテープTに切抜き形状のハーフカット処理が行われる(同図:P10)。
【0232】
このように、本処理フローによれば、カッティングテープTへの印刷およびハーフカットは、いずれもテープ送り量をグリップローラ91により送り制御されて行われる。これにより、プラテンローラ42で印刷を、またグリップローラ91でハーフカットを個々にテープ送り制御して行う場合に生じ得る印刷―ハーフカット間のテープ送り量に基づく相対誤差を解消することができるため、印刷画像と切抜き形状とを良好に合成することができる。
【0233】
次に、図21ないし図23を参照して、切抜き形状のみの形成となる切抜き処理専用のテープカートリッジ401を用いた場合について説明する。切抜き処理専用のカッティングテープT(Sテープ)は、上記実施形態と同様に剥離紙Taとテープ本体Tbとから成るものであるが、切抜き処理用に大きな剛性を有していると共に、上記実施形態に比べテープ本体Tbが伸縮性を有している。このため、テープ本体Tbに切抜きが行われると、この既切抜き部分が剥離紙Taから剥がれ易い構成となっている。このため、テープ処理装置1の処理動作は、上記実施形態とは一部異なっている。
【0234】
これらの図に示すように、切抜き処理専用のテープカートリッジ401は、上記の印刷・複合処理用のテープカートリッジ5に比べ、大きな厚みで形成されており、100mm幅のカッティングテープTを収容している。テープカートリッジ401は、筒状のコアにカッティングテープTをロール状に巻回したテープロール403と、テープロール403を着脱可能に収容するカートリッジケース404とで構成されている。
【0235】
カートリッジケース404は、テープロール403を収容する本体ケース406と、本体ケース406を閉塞する蓋体407と、テープロール403を回転自在に軸支すると共に両端部が本体ケース407の両側板411に支持されたロール軸408と、で構成されている。
【0236】
本体ケース406は、両側板411と、両側板411間に渡した鉛直板412とで一体に形成され、両側板411は、ロール軸408をその軸方向に引き抜き可能に支持している。このため、テープカートリッジ401は、本体ケース406に対しロール軸408を抜止め状態にロックするロック機構413を有している。
【0237】
ロック機構413は、ロール軸408の一方の端部に形成され径方向に延在するロック片414と、ロック片414に対応する一方の側板411(図21示では上側の側板411a)に形成され、ロック片414を引き抜き可能な切欠き開口415とを有し、ロール軸408は側板411の内側においてロック片414が切欠き開口415から外れるロック位置と、切欠き開口415に臨むアンロック位置との間で回転操作可能に構成されている。
【0238】
ロック片414は、ばね性を有し、その先端部には、側板411に向かって突出する回止め突起419が設けられている。回止め突起419に対応して側板411には、ロール軸408がロック位置に回転した状態で、ロック片414の回止め突起が嵌入する回止め孔420が形成されている。
【0239】
蓋体407は、両側板411の内側に支持された基部を中心として開閉し、両側板411の内側に収まるように本体ケース406を閉塞する。蓋体407の先端辺417には、他の側面部位に比して延在方向に幾分突出し、蓋体407を閉塞状態で抜止めする係合部418が形成されている。係合部418に対応して本体ケース406の両側板411には、蓋体407の開閉に伴って係合部418が係脱する係合受け部421が形成されている。
【0240】
また、閉塞状態の蓋体407は、ロール軸408に対し開放阻止される。すなわち、ロール軸408の両端部には、蓋体407を閉塞状態で掛け止めする掛止部422が設けられ、これに対応して蓋体407には、ロール軸408のロック位置とアンロック位置との間の回転操作に伴って、掛止部422が係脱する掛止受け部423が設けられている。このように、ロール軸408の回転操作による自身の抜止めロックと、蓋体407の開閉ロック(開放阻止)とが行われ、本体ケース406に対する蓋体407の閉塞状態を適切に維持することができると共に、簡単に開放してテープロール403の交換等を行うことができるようになっている。
【0241】
閉塞状態の蓋体407の先端辺417と、蓋体407の先端辺417に面する本体ケース406の端辺との間には、カッティングテープTをテープロール403から繰り出してケース外部に送り出すためのテープ送出口424が構成されている。また、テープ送出口424に近接してカートリッジケース404には、カッティングテープTをテープロール403から繰り出してテープ送出口424に導く繰出しローラ425が内蔵されている。
【0242】
繰出しローラ425は、両側板411から内側に突出形成したローラ支持部426に回転自在に支持されており、テープカートリッジ401の厚みの中心位置、すなわちカッティングテープTのテープ幅の中心位置に臨んでいる。繰出しローラ425の基端側には、カートリッジ装着部19のプラテン駆動軸37が係合するようになっており、繰出しローラ425は、走行経路Aに沿ってカッティングテープTを送るテープ送り機構22の一部を構成している。
【0243】
繰出しローラ425に面する蓋体407の側面部には、方形に切り欠かれたヘッド逃げ開口427が形成されており、テープカートリッジ401をカートリッジ装着部19に装着した状態において、この逃げ開口427に印刷ヘッド36が臨むようになっている。テープカートリッジ401は、上記のテープカートリッジ5と同様に、カートリッジ装着部19に同一方向から着脱することができる。
テープカートリッジ401は、カートリッジ装着部19の後半部側に寄せた位置に装着され、この装着状態では、プラテン駆動軸37が繰出しローラ425に係合すると共に、ヘッドリリース機構を介して回動した印刷ヘッド36がヘッド逃げ開口427越しにカッティングテープTを挟んで繰出しローラ425に当接し、リボン巻取軸38がテープカートリッジ401から外れて立設した状態となる。
【0244】
図23および図24を参照して、テープ処理装置1における切抜き処理の処理フローについて、簡単に説明する。テープ処理装置1の電源キー13をON操作すると、複合処理と同様に、各種初期設定が行われる(図24:S41〜S44)。ここで、モード切替キー15を押釦し(入力し)、テープ処理装置1を複合処理モードから切抜き処理モードに切り替える(図24:S45)。このモード切替により、印刷機構23の発熱駆動が自動的にキャンセルされる(図24:S46)。
【0245】
ユーザはディスプレイ17を見ながらキー操作により、所望の切抜き形状を入力・編集または選択して、処理実行キー14を押釦する(図24:S47〜S48)。すると、先ずテープ送り機構22が駆動して、繰出しローラ425が非発熱駆動状態(待機状態)の印刷ヘッド36にカッティングテープTを押し付けながら、これをテープカートリッジ401から繰り出してゆき、これを走行経路Aに沿って所定の長さ送る。
【0246】
この場合も、カッティングテープTの先端がグリップローラ91の位置まで送られたところで、繰出しローラ425への動力を遮断し、それ以降のカッティングテープTの送りを、テープカートリッジ5からの繰り出しを含めてグリップローラ91で行うようにしている(図24:S49)。すなわち、カッティングテープTの先端がグリップローラ91に達すると、連動モータ351が正転して、繰出しローラ425への動力伝達を遮断し、グリップローラ91の従動ローラ99を第1グリップ位置に移動させる(図24:S50)。
【0247】
この第1グリップ位置での状態は、上述のように、グリップローラ91のグリップ従動ローラ99の左右のローラ99b、99bのみが、グリップ駆動ローラ98との間でカッティングテープTを挟持し、グリップ従動ローラの中央のローラ99aおよび第1・第2両従動ローラ112,122は、カッティングテープTから離間した状態を維持されている(図23および図13参照)。これにより、カッティングテープTの適切な走行性が確保されるようになる。
【0248】
そして、グリップローラ91の正転により、カッティングテープTをテープカートリッジ5から繰り出すと共に、切抜き形状を施すのに必要な長さ分、先方に送ったところで(図22:S51)、フルカット機構24による切断のために送り停止させる。次のタイミングで、カッティングテープTは、スライドカッタ182により切断され(図22:S52〜S53)、その後のハーフカット処理(図22:P10)に臨む。
【0249】
そして、上述したように、ハーフカット処理においてテープ収納処理部30に導かれるカッティングテープTには、張付き防止ローラ131がその幅方向の両端部に転接する。これにより、カッティングテープTは収納ケース135のケース内面137に張り付くことを防止されるため、ハーフカット時のカッティングテープTの正逆送りは円滑に行われる。そして、最終的に、カッティングテープTはテープ排出口32から装置外部に排出される。
【0250】
このように、切抜き処理専用の剛性の高いカッティングテープTを切抜き処理する場合には、カッティングテープTの幅方向の中心位置に位置するグリップ従動ローラ99a、および第1・第2引張ローラ92,93の従動ローラ112,122をカッティングテープTから離間させ、グリップ従動ローラの左右のローラ99b、99bとグリップ駆動ローラ99とでカッティングテープTを挟持した状態で回転送りするようにしている。これにより、正逆送りされるカッティングテープTの走行性を良好に確保した状態で、その既切抜き形状部分を剥がすことなく、カッティングテープTを挟持した状態で送り制御することができる。
【0251】
なお、複合処理モードから切抜き処理モードへのモード切替は、上記のようにキーボード11の入力操作により行ってもよいが、カートリッジ装着部19に設けた上記のテープ幅検出機構が、テープカートリッジの種別を検出することで行うようにしてもよい。
【0252】
すなわち、テープ幅検出機構が、複合処理、印刷処理および切抜き処理の各テープカートリッジの種別を検出するテープ検出機構(カートリッジ検出手段)を兼ね、テープ検出機構が切抜き処理用のテープカートリッジ401を検出したときに、印刷機構23の発熱駆動をキャンセルするようにしてもよい。これにより、キー操作によるモード切替を行うことなく、切抜き処理用のテープカートリッジ401の装着で、印刷機構23の駆動を自動的にキャンセルすることができる。
【0253】
なお、本実施形態の切抜き処理専用のカッティングテープTは、ロール状に巻回したものを用いたが、特定の長さたる定長のカッティングテープTであってもよい。この場合には、カッティングテープTは、テープ排出口32を導入口とした、テープ処理装置1に対し手差しのものとなる。図25および図26は、この場合のテープ処理装置1の処理フローを示している。なお、手差し用カッティングテープTのテープ幅は上記同様に、100mm幅としていると共に、テープ処理装置1は、複合処理用または切抜き処理用のテープカートリッジ5,401をカートリッジ装着部19に装着した状態においても、手差し用カッティングテープTをハーフカット処理可能に構成されている。
【0254】
図25に示すように、テープ処理装置1の電源キー13をON操作すると、上記同様に初期設定が行われる(図25:S61〜S63)。ここで、モード切替キー15を2回押釦し(入力し)、テープ処理装置1を、複合処理モード→切抜き処理の自動モード(図24参照)→切抜き処理の手差しモードに切り替えると、上記と同様に、印刷機構23の発熱駆動がキャンセルされる(図25:S64〜S65)。
【0255】
さらに、キャリッジ184を介して経路変更部材331が変更位置にセットされる(図25:S66No〜S69)。なお、テープカートリッジが装着されているときには(図25:S66Yes)、Step67の判断分岐に移行し、いずれのテープカートリッジ5(或いは401)が装着されているかが判断される。このとき、複合処理用のテープカートリッジ5が装着されている場合には(図25:S67No)、Pテープ仕様にセットされた幅規制ガイド301は、手差し用カッティングテープTの仕様に再セットされた後(図25:S68)、Step69へと移行するようになっている。また、手差し用カッティングテープTがテープ処理装置1に予め導入されている場合には、その旨がディスプレイ17にコメント表示される(図26:S70Yes〜S71)。
【0256】
つづいて、カッティングテープTをテープ排出口32にセットし、キー操作により所望の切抜き形状を入力等して、処理実行キー14を押釦する(図26:S72〜S73)。すると、グリップローラ91のグリップ従動ローラ99等が第1グリップ位置に移動すると共に、プラテンローラ42等への動力伝達が遮断され、その後、カッティングテープTの慣らし往復走行が行われる(図26:S75)。
【0257】
そして、経路変更部材331が退避位置に回動復帰して、切抜き形状のハーフカット処理に臨む(図26:S76〜S78)こととなる。上記同様に、ハーフカット機構25とテープ送り機構22(の正逆送り機構82)とが協働して、テープ収納処理部30にカッティングテープTを収納しながらそのハーフカット処理が行われた後、カッティングテープTは、最終的に、テープ排出口32から装置外部に排出される(図26:S79〜S80)。
【0258】
次に、テープ幅規制機構29の他の実施形態について、図29および図30を参照して説明する。上記実施形態と異なり、本実施形態のテープ幅規制機構29は、ガイド移動機構302には、ガイドリードねじ304に代えて、円筒カム溝533を形成したリード軸531を設け、これに対応して、幅規制ガイド301には、ガイド雌ねじ部308に代えて、円筒カム溝533に係合するカム突起534を設けている。また、各上ガイド部322には、スターローラ327に代えて、走行経路Aを挟んで上案内片326に対峙する下案内片550を設けられ、下ガイド部321に形成した二つの案内片325a、325bと同様な構造になっている。
【0259】
リード軸531は、ガイドリードねじ304と同様に、両端部をサイドフレーム57に回転自在に両持ち支持されると共に、幅規制モータ305に歯車列306,307を介して連結されている。リード軸531の歯車(ウォームホイール307)側の端部には、リード軸531の1回転を検出するための検出カム532が形成されている。図外の検出スイッチにより、検出カム532を介して、リード軸531の回転数が検出され、幅規制ガイド301の移動は、ステップ数で制御されるようになっている。なお、この検出カム532および検出スイッチから成る回転数検出機構の構成は、第1実施形態のテープ幅規制機構にも適用可能である。
【0260】
リード軸531は、延在する左右方向のセンター部536を境として、複数種のカッティングテープTの各テープ幅に対応した円筒カム溝533が左右対称に形成されており、両円筒カム溝533は、一方の側が右ねじ状に、他方の側が左ねじ状に形成されている。一方、左右の幅規制ガイド301は、左右の各円筒カム溝533に係合するカム突起534により、幅規制モータ305の正転時に相互に離間し且つ逆転時に相互に接近するように構成されている。
【0261】
各円筒カム溝533は、各幅規制ガイド301のセット状態となる複数の位置規制溝部537と、複数の位置規制溝部537間を結ぶと共に各テープ幅に対応して所定ピッチの複数の送り溝部538とで構成されている。最外端の位置規制溝部537aは、ピッチ零の環状溝から構成され、最外端を除く複数の位置規制溝部537bは、略半円周溝から構成されている。この中間の所定の位置規制溝部537bにカム突起534が係合しているときに、幅規制ガイド301は、カッティングテープTのガイド位置にセットされた状態となる。
【0262】
ガイド移動機構302は、各幅規制ガイド301に対応して、リード軸531に遊嵌状態で装着した二つのコイルばね540を備えている。各コイルばね540は、一端部を各幅規制ガイド301の離間側(外側)の外側面に固定され、他端部をサイドフレーム57に当接可能に構成されている。すなわち、各コイルばね540は、各幅規制ガイド301と一体になってリード軸531の軸方向に移動し、リード軸531の外端部に移動した幅規制ガイド301を、サイドフレーム57との間で逆方向に付勢する。
【0263】
したがって、幅規制モータ305が正転して、幅規制ガイド301がリード軸531の外端部まで移動して、そのカム突起534が最外端の位置規制溝部537aに移行すると、幅規制ガイド301はそれ以上送られることなく、その位置に停止した状態となる。この空送り状態では、幅規制ガイド301は、コイルばね540を介してサイドフレーム57に突き当たり、コイルばね540の付勢力に抗してカム突起534が最外端の位置規制溝部537aを摺動する。
【0264】
逆に、この状態で幅規制モータ305を逆転すると、幅規制ガイド301は、コイルばね540の付勢力に乗じてカム突起534が最外端の位置規制溝部537aからこれに連続する送り溝部538に移行される。これにより、空送り状態を解除され、各幅規制ガイド301が接近するようにリード軸531の内側に移動してゆく。上記検出機構の検出結果に基づいて、テープ幅に対応する回転数分、幅規制モータ305を逆転させることで、各送り溝部538に従って移動する各幅規制ガイド301を所定のガイド位置にセットすることができる。
【0265】
このように、本実施形態のテープ幅規制機構29によっても、各幅規制ガイド301のセットを幅規制モータ305で簡単に調整して、カッティングテープTを幅方向に適切に位置規制することができる。特に、各テープ幅に対応して各幅規制ガイド301を迅速に移動させることができると共に、幅規制ガイド301の停止位置の精度を十分に高めることができる。また、複数種のカッティングテープTの幅方向の導入中心がテープ幅によって変動する場合にも、特に有効となる。
【0266】
具体的には、例えばテープカートリッジ(5,401)の構造上、任意の1のカッティングテープTが幅方向の中心を合致してセットされない場合であっても、左右の送り溝部538をそれぞれテープ幅に対応して設計することで、左右の幅規制ガイド301を異なるストローク量で移動させることできる。このため、上記実施形態のねじ式の移動構造に比べ、テープ処理装置1で処理できるカッティングテープTの幅がひろがる。また、幅規制ガイド301のセット移動を迅速に行うことができると共に、セット位置(停止位置)の精度を高めることができる。
【0267】
なお、他の実施施形態のテープ幅規制機構29を含め、幅規制ガイド301の構成を、下ガイド部321と上ガイド部322とを一体成形し、下ガイド部321および上ガイド部322を同時に且つ同幅に移動させることとしたが、これらを別体にすなわち2組で構成して、個別にテープ幅方向に移動させるようにしてもよい。
【0268】
これを他の実施形態を例に説明すると、リード軸531を別にもうひとつ設け、二つのリード軸531にそれぞれ、左右一対の上流ガイド部および左右一対の下流ガイド部を個別に案内可能に構成する。このように構成した場合、ハーフカット時のカッティングテープTの正逆送りに同期して、上流ガイド部および下流ガイド部をそれぞれ、適宜移動させることが好ましい。
【0269】
具体的には、カッティングテープTの送り方向の上流側に位置する一方の一対のガイド部をテープ幅に合う位置に個々に移動させ、且つ他方の一対のガイド部をテープ幅より僅かに広くなる位置に個々に移動させることが、好ましい。これによれば、カッティングテープTの送り方向の下流側が臨むガイド部を、テープ幅に合致させてカッティングテープTを適切に幅規制するようにし、一方、カッティングテープTの送り方向の上流側が臨むガイド部には、カッティングテープTに対しクリアランスを有することになる。
【0270】
これにより、正逆送り時において、仮に、カッティングテープがこれから臨む一対のガイド部に斜めに送られても、該一対のガイド部の内側にカッティングテープTを適切に導くことができる。このため、カッティングテープTの正逆送りに支障をきたすことなく、これを適切に幅規制することができる。
【0271】
【発明の効果】
本発明のカッティング装置によれば、駆動モータ二つの出力手段のうち、一方をバイトアップダウン機構として、カッティングバイトをカッティングテープに対し離接移動させている。これにより、ソレノイドに比べ消費電力の小さいモータを、バイトアップダウン機構の動力源としたため、装置全体のコストダウンを図ることができると共に、第2出力手段も動力伝達手段を介して駆動することができるため、装置における応用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ処理装置の外観斜視図である。
【図2】テープ処理装置の開閉蓋を開放した状態の外観斜視図である。
【図3】テープ処理装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図4】テープ処理装置でカッティングテープに形成した、各種処理によるテープ本体への形成結果を例示しており、(a)は複合処理、(b)は印刷処理、(c)および(d)は切抜き処理、(e)および(f)は横断ハーフカット処理を施したものである。
【図5】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図6】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図7】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図8】テープ処理装置の輪列を示す平面図である。
【図9】テープ処理装置において、フルカット機構廻りおよびブッシュ廻りを示す部分分解斜視図である。
【図10】テープ処理装置において、ブッシュ廻りを示す断面図である。
【図11】テープ処理装置の主要な機構部分を示す斜視図である。
【図12】複合処理を実行する場合の連動機構のシーケンスを示した表である。
【図13】切抜き処理を実行する場合の連動機構のシーケンスを示した表である。
【図14】テープ処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図15】テープ処理装置による制御の処理フローを示すフローチャートであり、特に印刷処理および複合処理の処理フローを示している。
【図16】図15に続く、同様の処理フローを示すフローチャートである。
【図17】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(1)を示す動作説明図である。
【図18】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(2)を示す動作説明図である。
【図19】テープ処理装置によるテープ処理(特に複合処理)の作成手順(3)を示す動作説明図である。
【図20】テープ処理装置による処理フローのうち、複合処理における他の処理フローを示すフローチャートである。
【図21】切抜き処理専用のテープカートリッジを示す外観斜視図である。
【図22】切抜き処理専用のテープカートリッジを、その蓋体を開放した状態を示す外観斜視図である。
【図23】切抜き処理用のテープカートリッジを装着したテープ処理装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図24】テープ処理装置による処理フローのうち、切抜き処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図25】テープ処理装置による処理フローのうち、定長カッティングテープにおける切抜き処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図26】図25に続く、同様の処理フローを示すフローチャートである。
【図27】テープ処理装置において、フルカット機構廻りを示す断面図である。
【図28】テープ処理装置において、テープ幅規制機構廻りを示す断面図である。
【図29】他の実施形態に係るテープ幅規制機構を示す斜視図である。
【図30】他の実施形態に係るテープ幅規制機構を示す断面図である。
【符号の説明】
1 テープ処理装置 2 装置ケース
3 装置本体 4 装置フレーム
5 テープカートリッジ 19 カートリッジ装着部
22 テープ送り機構 23 印刷機構
24 フルカット機構 25 ハーフカット機構
26 コントローラ 27 経路変更機構
29 テープ幅規制機構 30 テープ収納処理部
32 テープ排出口 36 印刷ヘッド
42 プラテンローラ 57 サイドフレーム
59 動作フレーム 61 支持フレーム
63 係合孔部 65 ガイド軸
66 ブッシュ 67 逃げ開口
68 下ローラ支持部 69 上ローラ支持部
77 嵌合孔 78 環状孔部
79 切欠き部 81 送り駆動モータ
82 正逆送り機構 85 プラテンクラッチ機構
91 グリップローラ 92 第1引張りローラ
93 第2引張りローラ 95 第1クラッチ機構
96 第2クラッチ機構 131 張付き防止ローラ
134 内部空間 135 収納ケース
136 ケース外面 137 ケース内面
139 終端部 181 カッティングバイト
182 スライドカッタ 184 キャリッジ
185 往復動機構 187 キャリッジリードねじ
218 アップダウン機構 219 カッタ離接機構
241 カッタ刃 242 カッタホルダ
243 テープ押え部材 244 押えばね
245 ストッパ 246 刃入れ部材
247 刃出し部材 250 回動阻止受け部
252 カッタ受け部 253 カッタ受け溝
271 バイト 281 受けプレート
282 バイト受け溝 301 幅規制ガイド
302 ガイド移動機構 304 ガイドリードねじ
305 幅規制モータ 308 ガイド雌ねじ部
311 センター部 312 右雄ねじ部
313 左雄ねじ部 321 上ガイド部
322 下ガイド部 325 上案内片
326 下案内片 327 スターローラ
331 経路変更部材 332 移動機構
351 連動モータ 353 ウォームホイール
354 アップダウンカム 355 フレーム動作カム
366 突ピン 367 空転溝
401 テープカートリッジ 501 環状孔部
502 嵌装部 503 装着部
504 フランジ部 505 抜止め部
531 リード軸 533 円筒カム溝
534 カム突起 536 センター部
537 位置規制溝部 538 送り溝部
A 走行経路 B 分岐経路
C 往復動経路 T カッティングテープ
Ta 剥離テープ Tb テープ本体
R インクリボン
Claims (8)
- 剥離テープとテープ本体とを積層して成るカッティングテープに対し離接自在に構成されたカッティングバイトを、当該カッティングテープのX軸方向の正逆送りに同期してY軸方向に移動させて、当該テープ本体に任意の切抜き形状を形成するカッティング装置において、
単一の駆動モータと、
前記駆動モータの正逆両方向の回転出力を第1出力手段に伝達すると共に、前記第1出力手段への回転出力を遮断した状態で、正逆一方向の回転出力を第2出力手段に伝達する動力伝達手段とを備え、
前記第1出力手段は、前記カッティングバイトを前記カッティングテープに対し離接移動させるバイトアップダウン機構から構成されていることを特徴とするカッティング装置。 - 前記動力伝達手段は、
前記駆動モータからの回転動力を入力し、前記バイトアップダウン機構を駆動する第1板カムと、
前記第1板カムと同軸上に配設され、前記第1板カムから回転動力を入力して前記第2出力手段を駆動する第2板カムとを有し、
前記第1板カムと前記第2板カムとの間には、いずれか一方の対向端面に円弧状の空転溝が設けられ、他方の対向端面に前記空転溝に係合する突ピンが設けられ、
前記第1板カムは、前記突ピンが前記空転溝内を相対的に移動する回動範囲内において前記バイトアップダウン機構を駆動し、
前記第2板カムは、前記突ピンが前記空転溝の端に相対的に当接して回転動力を伝達することにより前記第2出力手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載のカッティング装置。 - 相対的に離接自在に構成された駆動ローラおよび従動ローラから成り、前記カッティングテープを挟持してX軸方向に回転送り可能なグリップローラを更に有し、
前記第2出力手段は、前記グリップローラを離接動作させるローラ離接機構から成ることを特徴とする請求項2に記載のカッティング装置。 - 前記ローラ離接機構は、
前記駆動ローラおよび前記従動ローラの一方を回転自在に支持する支持フレームと、
前記支持フレームの回動中心となる回動軸部と、
前記支持フレームから延設され、前記第2板カムに連結した入力部と、を有していることを特徴とする請求項3に記載のカッティング装置。 - 前記第2板カムは、
前記従動ローラを前記駆動ローラから相対的に離間させる離間カム部と、
当該従動ローラを当該駆動ローラに弱テープ挟持力で相対的に接触させる第1グリップカム部と、
当該従動ローラを当該駆動ローラに強テープ挟持力で相対的に接触させる第2グリップカム部と、を有することを特徴とする請求項4に記載のカッティング装置。 - 前記カッティングテープは、連続して繰り出し可能にセットされており、
前記カッティングバイトの上流側に配設され、当該カッティングバイトによるカッティング位置に向かって前記カッティングテープを繰り出すテープ繰出し機構と、
前記カッティング位置に臨んで配設され、繰り出した前記カッティングテープを正逆送りする正逆送り機構と、
前記テープ繰出し機構および前記正逆送り機構の駆動源となる単一のテープ送りモータとを更に備え、
前記第2出力手段は、前記グリップローラの離接動作に同期して、前記テープ繰出し機構への前記テープ送りモータの動力伝達を断続するテープ繰出し動力遮断機構を有することを特徴とする請求項3、4または5に記載のカッティング装置。 - 前記第2出力手段の一部を構成すると共に、前記第2板カムに入力部を連結した動作フレームを更に備え、
前記動作フレームは、前記駆動モータの回転動力を分岐させて複数の動作に供する複数の出力部を有することを特徴とする請求項2に記載のカッティング装置。 - 前記駆動モータは、整流子・ブラシ付きの直流モータで構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のカッティング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002279878A JP2004114215A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | カッティング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002279878A JP2004114215A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | カッティング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004114215A true JP2004114215A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32274758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002279878A Pending JP2004114215A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | カッティング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004114215A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114261999A (zh) * | 2020-09-16 | 2022-04-01 | 河北水悦环保科技有限公司 | 一种高效率便于维护的格栅式除污机 |
CN117961337A (zh) * | 2024-03-28 | 2024-05-03 | 天津杰斯特科技有限公司 | 一种激光切割夹具 |
-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002279878A patent/JP2004114215A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114261999A (zh) * | 2020-09-16 | 2022-04-01 | 河北水悦环保科技有限公司 | 一种高效率便于维护的格栅式除污机 |
CN117961337A (zh) * | 2024-03-28 | 2024-05-03 | 天津杰斯特科技有限公司 | 一种激光切割夹具 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6364766B2 (ja) | テープ印刷装置 | |
JP2004114210A (ja) | カッティング装置およびこれを備えたテープ処理装置 | |
JP3864567B2 (ja) | テープ印刷装置 | |
JP2004114455A (ja) | カッティング装置およびカッティング方法 | |
JP2004114209A (ja) | カッティング装置およびこれを備えたテープ処理装置 | |
JP2004114213A (ja) | フルカット装置およびこれを備えたテープ処理装置 | |
JP2004114215A (ja) | カッティング装置 | |
JP2004114212A (ja) | テープ処理装置 | |
JP2010082817A (ja) | テープ印刷装置 | |
JP2004114211A (ja) | テープ処理装置 | |
JP2004114214A (ja) | フレーム部材の支持構造およびこれを備えたカッティング装置 | |
JP2004114204A (ja) | テープ処理装置 | |
JP3985443B2 (ja) | 切断装置 | |
JP4702168B2 (ja) | 印字装置 | |
JP3757713B2 (ja) | 印刷テープのラミネート方法 | |
JP4069766B2 (ja) | テープ処理方法およびテープ処理装置 | |
JP3565157B2 (ja) | ハーフカット用シートの剥離方法 | |
JP2002127093A (ja) | 切抜き文字作成方法および切抜き文字作成装置 | |
JP2007007892A (ja) | カッティング装置およびその制御方法 | |
JP3724286B2 (ja) | テープ印刷方法およびテープ印刷装置 | |
JP3511995B2 (ja) | ハーフカット用シートの剥離方法およびその剥離装置 | |
JP3528779B2 (ja) | シートカートリッジおよびこれを備えたカッティングプロッタ | |
JP3724285B2 (ja) | テープ印刷方法およびテープ印刷装置 | |
JP3528783B2 (ja) | カッティングプロッタ | |
JP2002127076A (ja) | シート切断装置、並びにこれを備えたカッティングプロッタおよび電子機器 |