JP2004114107A - 金属部材の接合状態検査方法及び装置 - Google Patents

金属部材の接合状態検査方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実物を用いて接合後の後加工と接合状態の検査とを同時に行う。
【解決手段】接合後の切削加工が開始されると、コンピュータは、ステップS1で工具軸の軸トルクや電力波形、送り速度などの加工負荷をモニタリングし、ステップS2ではモニタリングの結果得られた変動幅が正常値よりも大きいか否かを判定する。ステップS2で変動幅が大きい場合には、ステップS5で接合不良によりバルブシート部材が脱落した不良品と判定し、変動幅が小さい場合にはステップS3で正常に接合された良品と判定する。
【選択図】   図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車用エンジンおけるシリンダヘッドの給排気ポート部に接合される環状バルブシート部材の接合状態を検査する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用エンジンにおけるシリンダヘッドの給排気ポート部にろう材が被覆された環状バルブシート部材を電気抵抗による発熱を用いて埋設して接合する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−263243号公報(図6)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記バルブシート部材とシリンダヘッドとの接合界面の欠陥を超音波やX線、赤外線などを用いて検出するには、欠陥の大きさ(ギャップ)が最低でも5μm以上である必要があり、それ以下の小さな欠陥を非破壊で検査することは不可能である。
【0004】
また、バルブシート部材にろう材を被覆してシリンダヘッドに接合する場合、バルブシート部材の接合界面とシリンダヘッドとの間に素材の塑性流動が起こり、これにより、バルブシート部材がシリンダヘッドに埋め込まれ、当該両金属部材が冶金学的に接合されるため、バルブシート部材とシリンダヘッドとは密接に密着し、欠陥の大きさは限りなくゼロに近いものとなる。このため、超音波などを用いた非破壊検査では接合界面の接合状態(良品/不良品)を検査することは極めて難しいと考えられる。
【0005】
更に、実物を用いた検査の代りに、テストピースの剥離荷重を測定し、この測定値を用いて接合状態を仮想評価することも可能であるが、テストピースの剛性不足や曲げ応力、応力集中の発生などの様々な外乱要素が生じ、測定値のバラツキが非常に大きくなって適正な検査ができないという事情もある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、実物を用いて接合後の後加工と接合状態の検査とを同時に行うことができる金属部材の接合状態検査方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明の金属部材の接合状態検査方法は、電極部による通電及び押圧により第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に接合する接合工程と、前記接合後の後加工時の工具の加工変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定工程とを備える。
【0008】
好ましくは、上記方法において、前記後加工は前記工具によるバリ除去加工であり、前記判定工程では、前記接合工程における前記第1金属部材への押圧方向とは反対方向に加工負荷を作用させて前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する。
【0009】
好ましくは、上記方法において、前記判定工程では、前記加工変動値として前記後加工時の工具の加工負荷の変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する。
【0010】
また、本発明の金属部材の接合状態検査方法は、環状の第1金属部材の非接合端面に当接する当接部と、当該当接部が前記非接合端面に当接した状態で前記第1金属部材の接合端面から突出し、当該第1金属部材の内周部に所定の隙間を持って係合されて当該第1金属部材を位置決めする突出部とを有する電極部による通電と前記当接部による押圧により前記第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に冷却液中において接合する接合工程と、前記接合時に発生するバリが前記所定の隙間に充填された状態で前記電極部を引き抜くことにより、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定工程とを備える。
【0011】
好ましくは、上記方法において、前記第1金属部材は鉄系のバルブシート部材であり、前記第2金属部材はアルミニウム合金製のシリンダヘッドである。
【0012】
また、本発明の金属部材の接合状態検査装置は、電極部による通電及び押圧により第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に接合する接合手段と、前記接合後の後加工時の工具の加工負荷の変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定手段とを備える。
【0013】
また、本発明の金属部材の接合状態検査装置は、環状の第1金属部材の非接合端面に当接する当接部と、当該当接部が前記非接合端面に当接した状態で前記第1金属部材の接合端面から突出し、当該第1金属部材の内周部に所定の隙間を持って係合されて当該バルブシートを位置決めする突出部とを有する電極部を備え、当該電極部による通電と前記当接部による押圧により前記第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に冷却液中において接合する接合手段と、前記接合時に発生するバリが前記所定の隙間に充填された状態で前記電極部を引き抜くことにより、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定手段とを備える。
【0014】
好ましくは、上記装置において、前記第1金属部材は鉄系のバルブシート部材であり、前記第2金属部材はアルミニウム合金製のシリンダヘッドである。
【0015】
【発明の効果】
以上説明のように、請求項1及び6の発明によれば、電極部による通電及び押圧により第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に接合し、接合後の後加工時の工具の加工変動値に基づいて、第1金属部材の接合状態の良否を判定することにより、実物を用いて接合後の後加工と接合状態の検査とを同時に行うことができ、検査工程の増加がなく、生産ラインにおいて全数検査が可能となる。
【0016】
更に、実物に対して剛性不足や曲げ応力、応力集中の発生などの様々な外乱要素による測定値のバラツキがなく、適正な検査ができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、後加工は工具によるバリ除去加工であり、接合時における第1金属部材への押圧方向とは反対方向に加工負荷を作用させて第1金属部材の接合状態の良否を判定することにより、接合後の切削によるバリ除去加工においてバルブシート部材の接合状態の良否や脱落の有無を検査することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、加工変動値として後加工時の工具の加工負荷の変動値に基づいて、第1金属部材の接合状態の良否を判定することにより、接合後の切削やバリ除去加工において、工具の切削抵抗により変動する工具軸の軸トルクや電力波形、送り速度などの加工負荷を常にモニタリングし、それらの値の変動特性を用いてバルブシート部材20の接合状態の良否や脱落の有無を検査することができる。
【0019】
請求項4及び7の発明によれば、環状の第1金属部材の非接合端面に当接する当接部と、当該当接部が前記非接合端面に当接した状態で前記第1金属部材の接合端面から突出し、当該第1金属部材の内周部に所定の隙間を持って係合されて当該バルブシートを位置決めする突出部とを有する電極部による通電と前記当接部による押圧により前記第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に冷却液中において接合し、接合時に発生するバリが所定の隙間に充填された状態で電極部を引き抜くことで第1金属部材の接合状態の良否を判定することにより、電極部の突出部の突出長さをバルブシート部材の非接合端面とは反対側の接合端面より長く形成し、テーパ角度を所望の接合強度に合わせて調整するだけで、バルブシート部材が所望の接合強度を持つか否かを接合直後の電極部の引き抜きと同時に判定できる。
【0020】
また、接合終了と同時にCCDカメラなどでバルブシート部材の接合界面又は電極チップを撮像することで剥離や脱落などが発生した不良品か否かを接合直後の電極部の引き抜きと同時に判定できる。
【0021】
また、上記いずれかの発明において、第1金属部材は鉄系のバルブシート部材であり、前記第2金属部材はアルミニウム合金製のシリンダヘッドであることにより、生産ラインにおけるシリンダヘッドの全数検査が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0024】
[金属部材の接合装置]
図1は、本発明に係る実施形態の金属部材の接合装置(以下、接合装置という)の全体構成を示す図である。図2は、図1の接合装置の電極部の構成を示す断面図である。図3は、図1の接合装置により接合されるバルブシート部材とシリンダヘッドとの位置関係を示す断面図である。
【0025】
図1において、接合装置1は、ベース11上に設けられた変圧器としてのトランス12と、トランス12の側方のベース11上に2次元方向に移動可能に設けられたステージ13とを備え、このステージ13上に保持された冷却液33で満たされた水槽14内部にシリンダヘッド15が配置される。
【0026】
また、トランス12の側方であってシリンダヘッド15の上方には、トランス12に対して電気的に接続された電気抵抗溶接ユニット16が設けられ、このユニット16の下部には加圧シリンダ17及びプラテン18を介して電極部19が取り付けられている。
【0027】
電極部19の下端部には、図2に示すように、環状のバルブシート部材20が図示しない磁石の磁力により着脱自在に保持される。上記シリンダヘッド15は、例えば導電性材料であるアルミニウム合金からなり、バルブシート部材は、例えば導電性材料である鉄系材料からなる焼結材である。
【0028】
図3に示すように、バルブシート部材20は非接合端面である上端面20aお及び内周部20bと、接合端面である2つのテーパ部20c,20dが形成された外周部とを有しており、上記水槽14内の冷却液33中でテーパ部20cを電極部19による押圧によりシリンダヘッド15のポート部15aの開口縁部15bに当接させ、且つ通電により発熱を集中させることによりシリンダヘッド素材を塑性流動させながら押し込む。
【0029】
図2に示すように、電極部19は、プラテン18の下部にボルト21aなどにより固定された筒状の電極チップホルダ21と、電極チップホルダ21の下端部に凸部螺合により固定された電極チップ22と、電極チップホルダ21の外周面に設けられた筒状のカーテン部材23とを備える。
【0030】
電極チップホルダ21はクロム銅などの導電性材料から構成され、電極チップ22もクロムなどの導電性材料から構成されている。カーテン部材23は、電極チップホルダ21の外周面との間に下方に開口するカーテン通路23aを形成している。
【0031】
電極チップホルダ21の内部には、外部から導入された冷却液(工場水)をホルダの軸方向に流通させるための冷却液通路24と、電極チップホルダ21の外周面から冷却液通路24に冷却液を導入するための導入通路25と、この冷却液通路24から分岐して電極チップホルダ21の外周面とカーテン部材23との間のカーテン通路23aに連通する分岐通路26とが形成されている。
【0032】
また、電極チップ22の内部にも、電極チップホルダ21に装着された状態で冷却液通路24に連通するチップ内通路27が形成されている。
【0033】
冷却液通路24及びチップ内通路27には導入通路25から5気圧程度の冷却液が導入されて電極チップ22を冷却する。また、分岐通路26からカーテン通路23aに流入する冷却液は電極チップ22の外周部にカーテン状に吐き出され、冷却液33中で接合界面からバルブシート部材20の非接合端面又は電極チップ22の外周部に排出されるろう材及びシリンダヘッド素材からなるバリB1の成長を抑制し、接合性の向上と後処理の省略化との両立を図ることができる。
【0034】
電極チップ22は、バルブシート部材20の非接合端面である上端面20aに当接する当接部28と、この当接部28がバルブシート部材20の上端面20aに当接した状態で、バルブシート部材20の内周部20bの非接合端面側に隙間なく嵌合し、かつその接合端面側に向けてテーパ状に縮径して内周部20bとの間に隙間を形成する突出部29とを有する。
【0035】
この突出部29は、バルブシート部材20の内周部20bの非接合端面側に隙間なく嵌合することによりバルブシート部材20を電極チップ22に対して位置決めする。また、突出部29は、当接部28がバルブシート部材20の上端面20aに当接した状態で、バルブシート部材20の非接合端面とは反対側の接合端面から突出する突出長さに形成され、後述するように接合時に下方に出ていたバリB2をせき止めてバルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部との間の隙間に流れ込ませ、バルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部とを嵌合状態とする。
【0036】
図4は、シリンダヘッドとバルブシート部材との接合工程を説明する図である。
【0037】
この接合工程における接合条件は、例えば、押圧力3.0トン、電流90kA、通電時間0.3〜0.5秒とされ、接合工程においては、先ず、電極部19の電極チップ22で保持したバルブシート部材20をシリンダヘッド15のポート開口縁部15bに移動させ、予めろう材が被覆されたバルブシート20を、図4(a)に示す如く当接させる。
【0038】
次に、図4(b)に示す如く、電極チップ22の当接部28によりバルブシート部材20をポート開口縁部15bに対して押圧すると同時に通電させる。シリンダヘッド15のポート開口縁部15bとバルブシート部材20のテーパ部20cとの接合面には電気的な抵抗が存在するため、電極チップ22による押圧及び(パルス)通電によって当該接合面が加熱される。そして、この加圧と加熱とが継続されることにより、シリンダヘッド15のポート開口縁部15bの素材が塑性流動するので、バルブシート部材20は図4(b)の状態を経て図4(c)のようにシリンダヘッド15のポート部15aに埋没し、溶融拡散接合される。
【0039】
[金属部材の接合状態検査装置]
本実施形態の金属部材の接合状態検査装置は、上記接合後の後加工(仕上げ加工やバリ除去加工)を行う切削加工装置を兼ね備えている。
【0040】
図5は、バルブシート部材が接合されたシリンダヘッドに仕上げの切削加工を行う切削加工装置を示す図である。
【0041】
図5において、切削加工装置は、ベース51上に設けられた2次元方向に移動可能なXYテーブル52と、このXYテーブル52の上方に設けられた上下方向(Z方向)に移動可能で且つZ方向の軸を中心として回転及び軸まわりに回転(公転)可能な工具軸53とを備え、このXYテーブル52に治具などを介してバルブシート部材20が接合されたシリンダヘッド15が配置される。
【0042】
工具軸53の先端部には切削工具としてのエンドミル54が取り付けられ、XYテーブル52の移動、並びに工具軸53の移動及び回転は、制御部55の指令により動作するサーボ機構により数値制御される。また、制御部55はコンピュータ56に通信可能に接続され、コンピュータ56は、サーボ機構に出力した指令に対するXYテーブル52の移動量、工具軸53の移動量及び回転数、並びに切削抵抗により変動する工具軸の軸トルクや電力波形、送り速度などの加工負荷をモニタリングし、それらの変動特性を用いてバルブシート部材20の接合状態の良否や脱落の有無を検査する。
【0043】
上記切削加工は、図6に示すように、バルブシート部材20の内周部20bの切削及び接合時に発生したバリを除去するために行われ、エンドミル54が回転しながらバルブシート部材20をシリンダヘッド15に接合する際の押圧方向とは反対方向(下方から上方)に移動されるコンタリング加工である。このように、バルブシート部材20をシリンダヘッド15に接合する際の押圧方向とは反対方向(下方から上方)にエンドミル54を移動させるコンタリング加工とすることにより、接合後の切削加工において接合状態の検査を行うことができる。
【0044】
図7は、切削加工時における軸トルクの変動特性を例示し、(a)は問題なく接合された状態、(b)は接合不良の状態を夫々示している。
【0045】
図7(a)に比して、図7(b)では切削開始後の30数秒付近で軸トルクが急激に低下しており、バルブシート部材20の接合不良により切削開始後の30数秒付近でシリンダヘッド15から脱落している。
【0046】
このように、接合後の切削やバリ除去加工において、工具の切削抵抗により変動する工具軸の軸トルクや電力波形、送り速度などの加工負荷を常にモニタリングし、それらの値の変動特性を用いてバルブシート部材20の接合状態の良否や脱落の有無を検査することができる。
【0047】
尚、工具の送り速度などの加工条件は、正常に接合された接合強度の十分なバルブシート部材は脱落しないが、正常に接合されていない接合強度の低いバルブシート部材は脱落してしまうような加工負荷(例えば、切削抵抗が600〜1200Ncm)に設定すればよい。
【0048】
また、上記加工負荷以外に、切削中の異常音や異常信号などを利用して良否を判定してもよい。
【0049】
更に、検査精度を上げるために加工条件を厳しくする(例えば、送り速度を上げる)と、切削後の表面粗さが悪化するため、この場合には、送り速度を連続的に変化させる(例えば、加工途中より加工終了付近での送り速度を低下させる)ことにより対処すればよい。
【0050】
図8は、第1の実施形態の金属部材の接合状態検査工程を示す図である。
【0051】
図8において、接合後の切削及びバリ除去加工が開始されると、切削加工装置の制御部55に接続されたコンピュータ56は、ステップS1で工具軸53の軸トルクや電力波形、送り速度などの加工負荷をモニタリングし、ステップS2ではモニタリングの結果得られた変動幅が正常値よりも大きいか否かを判定する。
【0052】
ステップS2で変動幅が大きい場合には接合不良によりバルブシート部材が脱落した不良品と判定し(S5)、切削加工を停止すると共に、その旨をディスプレイなどに警告する(S6)。
【0053】
また、変動幅が小さい場合には正常に接合された良品と判定し(S3)、切削加工が終了するまで上記S1,S2の処理を繰り返し実行する。
【0054】
尚、上記正常値は、予め実験などにより測定しておき、切削加工を行う装置のメモリ内に格納されている。
【0055】
上記実施形態によれば、実物を用いて接合後の切削加工と接合状態の検査とを同時に行うことができ、検査工程の増加がなく、生産ラインにおいて全数検査が可能となる。
【0056】
更に、実物に対して剛性不足や曲げ応力、応力集中の発生などの様々な外乱要素による測定値のバラツキがなく、適正な検査ができる。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法及び装置について説明する。
【0058】
図9は従来の金属部材の接合工程を説明する図であり、図10は第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を説明する図である。
【0059】
図9において、従来の接合では、電極部19’の押圧と通電によりバルブシート部材20がシリンダヘッド15のポート開口縁部15bに埋設されていくにつれて、接合界面からバルブシート部材20の非接合端面又は電極チップ22’の外周部にはろう材及びシリンダヘッド素材からなるバリB1が排出され、接合界面からバルブシート部材20の接合端面又はポート内周部にはろう材及びシリンダヘッド素材からなるバリB2が排出される。
【0060】
これに対して、第2の実施形態では、図10に示すように、電極チップ22の突出部29の突出長さtを、当接部28がバルブシート部材20の上端面20aに当接した状態で、バルブシート部材20の非接合端面とは反対側の接合端面(バルブシート部材20の下面)より10mm程度長く形成し、接合時に下方に出ていたバリB2をせき止めてバルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部との間の隙間に流れ込ませ、バルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部とを嵌合状態とする。
【0061】
そして、接合後にバリB2によりバルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部とが所定の嵌合力で嵌合された状態で電極部19を上方に引き抜くときに、上記嵌合力が接合強度を上回るとバルブシート部材20はシリンダヘッド15から剥離、脱落することになり、接合強度が上記嵌合力より上回ると剥離や脱落がなく引き抜かれることになるため、上記嵌合力を所望の接合強度に合わせて設定しておくことで接合後の電極部19の引き抜きと同時にバルブシート部材20の剥離や脱落の有無を判定できることになる。
【0062】
図11は、第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を実現するための電極部の寸法と接合状態の検査結果を従来例と比較して示す図である。
【0063】
図11において、バルブシート部材20の内周部20bと突出部29の外周部との嵌合力は電極チップ22の突出長さtと突出部のテーパ角度θにより決定され、接合強度が8kN以下のものを不良品と判定する場合には(実施例1)、突出長さを10mm,テーパ角度θを3°、接合強度が2kN以下のものを不良品と判定する場合には(実施例2)、突出長さを10mm,テーパ角度θを5°とする。
【0064】
図12は、第2の実施形態の金属部材の接合状態検査装置を示す正面図である。
【0065】
図12において、第2の実施形態の金属部材の接合状態検査装置は、図1に示す金属部材の接合装置において電極部19の突出部29の突出長さtとテーパ角度θを上記実施例1又は2に例示するように所望の接合強度に設定された構成とされ、図1の接合装置にCCDカメラ31が設けられている。
【0066】
CCDカメラ31は電極部近傍に配置されており、接合後のバルブシート部材の接合界面又は電極チップ22を撮像する。撮像された画像は、データ処理部34に送られて画像処理が施された後、接合状態の判定に用いられる。その他の構成は、図1の接合装置と同一であるので説明を省略する。尚、CCDカメラの代りに光電管などを用いてもよい。
【0067】
図13は、第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を説明するフローチャートである。
【0068】
図13において、ステップS11,S12で接合終了により電極部19を引き抜いた後、ステップS13ではCCDカメラ31でバルブシート部材の接合界面又は電極チップ22を撮像する。次に、ステップS14,S15では、撮像された画像からデジタル画像データを生成し、スムージング処理などの画像処理により特徴部分が抽出された画像データを得る。
【0069】
そして、ステップS16では、この得られた画像データにおいてバルブシート部材が剥離している場合や完全に離脱して電極チップ22に嵌合している場合(図14(b)参照)には正常な接合状態の画像データと相違する形状が存在するため、ステップS19で不良品と判定して、ステップS20で警告を発すると共に、接合装置を停止する。
【0070】
また、ステップS16で、この得られた画像データにおいてバルブシート部材が剥離していない場合や電極チップ22に嵌合していない場合(図14(a)参照)には正常な接合状態の画像データと相違する形状が存在しないため、ステップS17で良品と判定して、ステップS18で次の接合を開始する。
【0071】
この実施形態によれば、電極部19の突出部29の突出長さtをバルブシート部材20の非接合端面とは反対側の接合端面(バルブシート部材の下面)より長く形成し、テーパ角度を所望の接合強度に合わせて調整するだけで、バルブシート部材20が所望の接合強度を持つか否かを接合直後の電極部19の引き抜きと同時に判定できる。
【0072】
また、接合終了と同時にCCDカメラ31でバルブシート部材20の接合界面又は電極チップ22を撮像することで剥離や脱落などが発生した不良品か否かを接合直後の電極部19の引き抜きと同時に判定できる。
【0073】
尚、検査精度をより向上させるために、上記第1の実施形態による接合後の切削時における接合状態の検査と、第2の実施形態による接合と同時の接合状態の検査とを組み合わせ実行することも可能である。
【0074】
また、シリンダヘッドに接合されるバルブシート部材の他、バルブ本体の傘部の外縁部に接合されるシート部材にも適用可能である。
【0075】
また、図8や図13に示す接合状態検査工程を切削加工装置や接合装置を制御するコンピュータにより実行するためのプログラムや当該プログラムコードが格納された記憶媒体を、コンピュータに供給して、当該コンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して、上記実施形態の接合状態の判定を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金属部材の接合装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の接合装置の電極部の構成を示す断面図である。
【図3】図1の接合装置により接合されるバルブシート部材とシリンダヘッドとの位置関係を示す断面図である。
【図4】シリンダヘッドとバルブシート部材との接合工程を説明する図である。
【図5】バルブシート部材が接合されたシリンダヘッドに仕上げの切削加工を行う切削加工装置を示す図である。
【図6】図5の切削加工装置による切削加工形態を示す図である。
【図7】切削加工時における軸トルクの変動特性を例示し、(a)は問題なく接合された状態、(b)は接合不良の状態を夫々示す図である。
【図8】第1の実施形態の金属部材の接合状態検査工程を示す図である。
【図9】従来の金属部材の接合工程を説明する図である。
【図10】第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を説明する図である。
【図11】第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を実現するための電極部の寸法と接合状態の検査結果を従来例と比較して示す図である。
【図12】第2の実施形態の金属部材の接合状態検査装置を示す正面図である。
【図13】第2の実施形態の金属部材の接合状態検査方法を説明するフローチャートである。
【図14】第2の実施形態の金属部材の接合状態を示す図である。
【符号の説明】
12 トランス
15 シリンダヘッド
18 プラテン
19 電極部
20 バルブシート部材
21 電極チップホルダ
22 電極チップ
23 カーテン部材
23a カーテン通路
24 冷却液通路
25 導入通路
26 分岐通路
28 当接部
29 突出部
31 CCDカメラ
32 水槽
33 冷却液
34 データ処理部
53 工具軸
54 エンドミル
55 制御部
56 コンピュータ
B1,B2 バリ

Claims (8)

  1. 電極部による通電及び押圧により第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に接合する接合工程と、
    前記接合後の後加工時の工具の加工変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定工程とを備えることを特徴とする金属部材の接合状態検査方法。
  2. 前記後加工は前記工具によるバリ除去加工であり、前記判定工程では、前記接合工程における前記第1金属部材への押圧方向とは反対方向に加工負荷を作用させて前記第1金属部材の接合状態の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の金属部材の接合状態検査方法。
  3. 前記判定工程では、前記加工変動値として前記後加工時の工具の加工負荷の変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の金属部材の接合状態検査方法。
  4. 環状の第1金属部材の非接合端面に当接する当接部と、当該当接部が前記非接合端面に当接した状態で前記第1金属部材の接合端面から突出し、当該第1金属部材の内周部に所定の隙間を持って係合されて当該第1金属部材を位置決めする突出部とを有する電極部による通電と前記当接部による押圧により前記第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に冷却液中において接合する接合工程と、
    前記接合時に発生するバリが前記所定の隙間に充填された状態で前記電極部を引き抜くことにより、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定工程とを備えることを特徴とする金属部材の接合状態検査方法。
  5. 前記第1金属部材は鉄系のバルブシート部材であり、前記第2金属部材はアルミニウム合金製のシリンダヘッドであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属部材の接合状態検査方法。
  6. 電極部による通電及び押圧により第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に接合する接合手段と、
    前記接合後の後加工時の工具の加工負荷の変動値に基づいて、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする金属部材の接合状態検査装置。
  7. 環状の第1金属部材の非接合端面に当接する当接部と、当該当接部が前記非接合端面に当接した状態で前記第1金属部材の接合端面から突出し、当該第1金属部材の内周部に所定の隙間を持って係合されて当該バルブシートを位置決めする突出部とを有する電極部を備え、当該電極部による通電と前記当接部による押圧により前記第1金属部材を当該第1金属部材より融点の低い第2金属部材に冷却液中において接合する接合手段と、
    前記接合時に発生するバリが前記所定の隙間に充填された状態で前記電極部を引き抜くことにより、前記第1金属部材の接合状態の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする金属部材の接合状態検査装置。
  8. 前記第1金属部材は鉄系のバルブシート部材であり、前記第2金属部材はアルミニウム合金製のシリンダヘッドであることを特徴とする請求項6又は7に記載の金属部材の接合状態検査装置。
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