JP2004113550A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホストコンピュータ10内で、傾斜磁場パルスの大きさに応じた倍率でたとえば18ビットデータを16ビットに変換し、シーケンサ9に出力する。傾斜磁場電源インターフェイス71は、シーケンサからの16ビットのデータを18ビットに変換して、傾斜磁場電源72に出力する。傾斜磁場電源72は、そのデータに基づいて、傾斜磁場コイル3を駆動する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係り、特に、強力な傾斜磁場強度を出力することができる傾斜磁場電源を備え、高速なスキャン、高分解能なスキャンが可能な磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴現象を利用したイメージング(撮影ともいう)では、空間的位置情報を持った磁気共鳴信号(MR信号ともいう)を得るために、パルス状の傾斜磁場を印加する必要がある。この傾斜磁場は人体が入る程度の大きさの傾斜磁場コイルに電流パルスを流すことによって発生する。その電流を供給する装置が傾斜磁場電源であり、シーケンサと傾斜磁場コイルとの間に介挿されている。
【0003】
従来の典型的な磁気共鳴イメージング装置(MRIともいう)に用いられている傾斜磁場電源は、電流100[A]〜200[A]程度、電圧200[V]〜300[V]程度であるが、この規模のアンプを搭載したシステムは、通常、撮影時間が10〜15分程度と長い。そこで、近年では撮影を高速化して撮影時間の短縮を図るための研究開発が行われている。傾斜磁場の観点から撮影を高速化するには、パルス状傾斜磁場の強度を大きくし、立ち上がり立ち下がり時間を短縮すればよい。しかしそのためには、傾斜磁場コイルに大きな電流を短い立ち上がり、立ち下がり時間で供給する必要があり、傾斜磁場電源として大電流高電圧のものを用意する必要がある。
【0004】
例えば、撮影時間を数秒程度に短縮するには、概ね電流300[A]〜400[A]、電圧2000[V]〜3000[V]程度のアンプが必要である。このように傾斜磁場系を強力にすることには、撮影時間の短縮ばかりでなく、強力な傾斜磁場を必要とする様々な新規パルスシーケンスを実行させることが可能となり、磁気共鳴イメージング装置の診断能力を著しく向上させることになる。
【0005】
そこで、既に稼動している磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場電源を、強力なものに取り換えること(アップグレード)が行われたりしている。また、新規設計の製品でも強力な傾斜磁場電源が使われるようになってきている。(例えば、特許文献1乃至2参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開平7−313489号公報
【特許文献2】
特開平10−179540号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、傾斜磁場強度が強力な傾斜磁場電源を使用した場合でも、高S/N比、広範囲な撮影視野(Field of view : FOV)、シミングによる微調整など、低い傾斜磁場強度の印加も必要とされており、傾斜磁場の高分解能も要求されている。そこで、傾斜磁場電源を駆動するシーケンサのビット数を例えば16ビットから18ビットに増やすことにより対応することもできるが、その場合シーケンサを変更することになり、アップグレードするために多くのコストと時間が必要となる。
また、新しい機種の開発においても、システムの多くの部分の設計を変更することが必要になり、多くのコストと時間が必要となる。
さらには、強力な傾斜磁場電源を備えるハイグレード機種と通常の傾斜磁場電源を備えるローグレード機種との間での、各構成ユニットの共通化が難しくなり、システム構成を複雑にするなどの問題がある。
そこで、本発明は上記課題を解決し、シーケンサのアップグレードの必要なしに、強力な傾斜磁場電源を使用した場合でも、傾斜磁場の分解能を確保できる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明は、静磁場中に置かれた被検体に対し、所望のパルスシーケンスに基づき傾斜磁場パルス及び高周波パルスを印加することにより、被検体からの磁気共鳴信号を収集する磁気共鳴イメージング装置において、前記傾斜磁場パルスを発生する傾斜磁場電源ユニットと、この傾斜磁場電源ユニットの駆動信号を出力するシーケンサと、シーケンサを制御するホストコンピュータとを備え、前記ホストコンピュータは、所望される傾斜磁場パルスの大きさに応じた倍率をかけた制御信号をシーケンサに供給し、前記傾斜磁場電源ユニットは、前記シーケンサからの駆動信号に前記ホストコンピュータでかけた倍率の逆数をかけた制御信号に基づいて傾斜磁場を発生するようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、静磁場中に置かれた被検体に対し、所望のパルスシーケンスに基づき傾斜磁場パルス及び高周波パルスを印加することにより、被検体からの磁気共鳴信号を収集する磁気共鳴イメージング装置において、前記傾斜磁場パルスを発生する傾斜磁場電源ユニットと、この傾斜磁場電源ユニットの駆動信号を出力するシーケンサと、シーケンサを制御するホストコンピュータとを備え、前記ホストコンピュータは、所望される傾斜磁場パルスの大きさに基づいて桁を移動させMビットの制御信号をNビット(M>N)に変換してシーケンサに供給し、前記傾斜磁場電源ユニットは、前記ホストコンピュータでの桁移動とは反対方向に桁を移動させ前記シーケンサからのNビットの駆動信号をMビットに変換して傾斜磁場を発生するようにしたことを特徴とする。
このような構成により、本発明は、強力な傾斜磁場電源を搭載する場合でも、シーケンサの変更を必要としないので、過去の機種のアップグレードを安価で且つ容易に実現させることができ、また、ハイグレード機種とローグレード機種の構成をできる限り共通化することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示すブロック図である。この装置は、ガントリ1、静磁場コイル2、傾斜磁場コイル3、送信コイル4、受信コイル5、マグネットコントローラ6、傾斜磁場電源ユニット7、RF送受信器8、シーケンサ9、ホストコンピュータ10、コンソール11、及び被検体13を載せるための寝台12とで構成されている。
【0010】
なお、本実施例においては、シーケンサ9のビット数が、ホストコンピュータ10及び傾斜磁場電源ユニット7のビット数より小さいものであり、例えば、シーケンサ9は16ビットでデータを扱い、ホストコンピュータ10及び傾斜磁場電源ユニット7は18ビットでデータを扱うことができるものである。この場合、シーケンサ9のビット数が2ビット小さいこととなる。本実施例は、このビット差があるにもかかわらず、ダイナミックレンジ及び分解能を損なわずに、ビット変換するものである。このビット変換の詳細については、後述する。
【0011】
静磁場コイル2は、例えば超電導磁石であり、被検体13の周囲に強力な静磁場を発生するための電流を供給するマグネットコンロトーラ6に接続されている。
傾斜磁場コイル3は、互いに直交するX、Y及びZ軸方向の複数のコイルから形成され、これらのコイルに電流を供給する傾斜磁場電源ユニット7に接続されている。傾斜磁場電源ユニット7には、収集される磁気共鳴信号に位置のエンコードを与えるために、シーケンサによって傾斜磁場信号が供給される。この信号に基づいて傾斜磁場電源ユニット7からX、Y、Z軸それぞれのコイルに供給されるパルス電流を制御することにより、X、Y、Z軸方向の傾斜磁場が合成される。そして、互いに直交するスライス方向傾斜磁場Gs、位相エンコード方向傾斜磁場Gp、および周波数エンコード方向傾斜磁場Grを任意に設定することができる。各方向の傾斜磁場は静磁場に重畳される。なお、本実施例での傾斜磁場電源ユニットは、強力な傾斜磁場を発生できる能力を有し、シーケンサ9から入力されたディジタルの傾斜磁場信号に基づく大きさの傾斜磁場を発生させるための電力を傾斜磁場コイル3に供給する。本実施例においては、傾斜磁場信号は16ビットであり、傾斜磁場電源ユニット7の内部では、18ビットのディジタル信号が扱えるようになっているので、傾斜磁場電源ユニット7は、記憶した図示しないソフトウェア手順により、入力した16ビットの傾斜磁場信号を18ビットに変換する機能を有する。
【0012】
シーケンサ9は、ホストコンピュータ10からの16ビットのパルスシーケンス情報を取り込み、それを傾斜磁場電源ユニット7に供給するための16ビットの傾斜磁場信号に変換して出力する。
【0013】
RF送受信器8は、静磁場コイル2内の被検体13の近傍に配設される送信コイル4及び受信コイル5と接続される。このRF送受信器は、シーケンサ9及びホストコンピュータ10の制御のもとで、送信コイル4にラーモア周波数の高周波電流パルスを供給し、送信コイル4は、被検体内の原子核を励起するための高周波パルスを発生する。被検体13内の励起された原子核によって放射される信号が、受信コイル5により検知される。そして、RF送受信器8は、受信コイル5により検知された磁気共鳴信号を取り込み、これに前置増幅、中間周波数変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリング等の各種の信号処理を施した後に、A/D変換してディジタルデータを生成して出力する。
【0014】
ホストコンピュータ10は、記憶した図示しないソフトウェア手順により、シーケンサ9にパルスシーケンス情報を供給するとともに、装置全体を制御する。このホストコンピュータ10内では、パルスシーケンス情報を18ビットで扱えるようになっているが、シーケンサ9に出力する時に、それを16ビットに変換する機能も有する。さらには、RF送受信器8からのディジタルに変換された磁気共鳴信号をK空間に配列して内部のメモリに記憶し、このK空間データをフーリエ変換して、実空間の磁気共鳴画像を再構成する機能をも有する。
【0015】
コンソール11は、図示しない入力部と表示部とを備える。入力部は、オペレーターが磁気共鳴画像の収集のために、パラメータ情報や、スキャン条件、パルスシーケンス、画像処理などに関する情報を入力可能に構成されており、表示部は、これらの情報の入力のための入力画面を表示したり、ホストコンピュータ10により再構成された画像を表示する機能を有する。
【0016】
このように構成される本実施例にかかる磁気共鳴イメージング装置の動作について説明する。
まず、静磁場コイル2は、マグネットコントローラ6によりガントリ1の診断領域に静磁場を発生させ、その静磁場中には、寝台12上の患者が載置される。そして、コンソール11を用いて、オペレーターは、撮影のためのパルスシーケンスを選択したり、様々な撮影のための条件を設定入力し、撮影開始の指示を入力する。ホストコンピュータ10は、入力された設定条件に基づいて、装置の各部を制御するとともに、選択されたパルスシーケンスに基づき、パルスシーケンス情報をシーケンサ9に出力する。このとき、ホストコンピュータ10内での18ビットのパルスシーケンス情報は、16ビットの信号に変換されて出力されることになる。シーケンサ9は、その変換された16ビットの信号を受けて、傾斜磁場電源ユニット7に16ビットの傾斜磁場信号を出力する。そして、傾斜磁場電源ユニット7は、その16ビットの傾斜磁場信号を18ビットに変換して、その18ビットの信号に基づく大きさの傾斜磁場電流を傾斜磁場コイル3に供給する。そして、選択されたパルスシーケンスに基づく傾斜磁場が、傾斜磁場コイル3により生成される。一方、選択されたパルスシーケンスに基づき、送信コイル4は、シーケンサ9により制御されるRF送受信器8により駆動され、高周波パルスを被検体13に印加する。そして、被検体13からは、磁気共鳴信号が発生し、受信コイル5により受信され、その受信信号はRF送受信器により所定の処理が施され、ホストコンピュータ10に送られ、ホストコンピュータ10で画像化され、コンソール11の表示部に表示される。
【0017】
次に、本実施例における、ディジタルデータのビット変換について、図2の詳細ブロック図を参照しながらさらに詳細に説明する。
傾斜磁場電源ユニット7は、傾斜磁場電源インターフェイス71と、傾斜磁場電源72とから構成される。そして、傾斜磁場電源インターフェイス71は、シーケンサ9からの16ビットの傾斜磁場情報信号を入力する。ホストコンピュータ10では、18ビットのパルスシーケンス情報を、その大きさに基づく、すなわち傾斜磁場の大きさに基づく倍率をかけて16ビットに変換する。そして、このときの倍率は、倍率データとしてホストコンピュータから傾斜磁場電源インターフェイス71に入力される。傾斜磁場電源インターフェイス71では、この倍率の逆数をシーケンサ9からの傾斜磁場信号にかけることにより、16ビットの信号を18ビットの信号に変換する。そして、18ビットに変換された信号は、傾斜磁場電源72に入力され、その信号の大きさに応じて傾斜磁場電源72からアナログ信号としての傾斜磁場電流が傾斜磁場コイル3に供給され、傾斜磁場コイル3は、傾斜磁場を発生する。
【0018】
次に、より具体的なビット変換の方法について図3を参照しながら説明する。なお、図3においては、簡単のためにホストコンピュータ10と傾斜磁場電源ユニット7内では、2進数のデータを5ビットで、シーケンサ9では、2進数のデータを3ビットで扱うものとする。なお、図においては、5ビットでは、0から+31の数字を2進数で扱う場合、3ビットでは、0から+7の数字を2進数で扱う場合を考えている。そして、シーケンサでの処理については、無視するものとする。
【0019】
同図(A)は、大きな傾斜磁場を発生する場合のデータ(10進数での値26、以下10進数での値を単に「値」という)を表しており、まずホストコンピュータ10で5ビットのデータが3ビット(値6)に変換され出力される。このとき最上位ビットが1であるので、5ビットのデータの上位3ビットが、3ビットのデータとして出力される。すなわち、2桁分下位ビットの方向にシフトされ、下位2ビット分のデータは欠落する。そして、傾斜磁場電源インターフェイス71では、この3ビットデータを5ビットデータに変換する。このとき3ビットデータが、5ビットデータの上位3ビットに割り当てられる。すなわち、ホストコンピュータ10内でシフトさせた桁数分逆の方向に、つまり、2桁分上位ビットの方向にシフトされる。そして、データの情報がない下位2ビットには0が割り当てられる。よって値は24になる。この場合は、ホストコンピュータ10内で第4位ビットが1であったが、この変換で0となってしまう。すなわち、ホストコンピュータ10内では値が26であったものが、一旦6に変換され、傾斜磁場インターフェイス71の出力では24となってしまう。今の場合ビット数が少ないので、誤差が大きいように思えるが、18ビットであれば、下位2ビット分の誤差は、非常に小さなものであり、無視しても問題ない程度となる。
【0020】
同図(B)は、中程度の大きさの傾斜磁場を発生する場合のデータ(値10)を表しており、この場合は、最上位ビットが0であるので、1である第2ビットより下位3ビットが、1桁分下位ビットの方向にシフトされ、最下位ビットのデータは欠落して、ホストコンピュータ10の出力となる。このときの値は5となる。そして、傾斜磁場電源インターフェイス71では、この3ビットデータを5ビットデータに変換する。すなわち、ホストコンピュータ10内でシフトさせた桁数分逆の方向に、つまり、1桁分上位ビットの方向にシフトされる。そして、データの情報がない最上位ビットと最下位ビットには0が割り当てられる。よって値は10になる。すなわち、ホストコンピュータ10内では値が10であったものが、一旦5に変換され、傾斜磁場インターフェイス71の出力では10となる。今の場合ホストコンピュータ10内でのデータの最下位ビットが0であるので、誤差は生じないが、最下位ビットが1だった場合でも、傾斜磁場電源インターフェイス71の出力では、最下位ビットが0となってしまい、誤差が生じる。しかしながら、18ビットであれば、最下位ビット分の誤差は、非常に小さなものであり、無視しても問題ない程度となる。
【0021】
同図(C)は、小さい傾斜磁場を発生する場合のデータ(値6)を表しており、この場合は、上位2ビットが0であるので、桁のシフトは行われずに、1である第3ビットより下位3ビットが、ホストコンピュータ10の出力となる。そして、傾斜磁場電源インターフェイス71では、この3ビットデータを5ビットデータに変換する。このとき、ホストコンピュータ10内で桁のシフトは行われなかったので、桁のシフトは行われずに、3ビットデータが、5ビットデータの第3位ビットから割り当てられる。データの情報がない上位2ビットには0が割り当てられる。すなわち、ホストコンピュータ10内では値が6であったものは、変換によっても6であり、傾斜磁場インターフェイス71の出力でも6となる。今の場合は、誤差は生じない。
【0022】
同図(D)は、非常に小さい傾斜磁場を発生する場合のデータ(値2)を表しており、この場合は、上位3ビットが0であるが、下位3ビットにデータが全て含まれているので、(C)の場合と同様にして変換が行われる。すなわち、ホストコンピュータ10内では値が2であったものは、変換によっても2であり、傾斜磁場インターフェイス71の出力でも2となる。今の場合は、誤差は生じない。
【0023】
以上のように、ホストコンピュータ10内でのデータの変換に使われるデータ、図3の例では、5ビット中3ビットのデータの桁が図のようにシフトされるようになるが、そのシフト量がデータの倍率となる。すなわち、1桁下位ビット方向にシフトさせれば、ほぼ1/2倍になり、2桁シフトの場合には、ほぼ1/4倍になり、桁シフトがない場合には、1倍となる。よって、そのシフト量すなわち倍率をホストコンピュータ10から傾斜磁場電源インターフェイス71に入力し、その倍率データに基づいて、変換を行えば、図3のような変換が可能となる。ここでいう倍率とは、あくまで、桁のシフト数から求めたものであり、2進数で表すデータの値をもとに求めたものではない。
【0024】
以上のような、変換を行うことにより、シーケンサ9のビット数が少なく16ビットであったとしても、18ビットデータで表せる最大の値が、傾斜磁場電源72の最大出力に相当するように設定されている場合において、ビット変換の際の桁落ち分の誤差でほぼ最大出力まで制御することができる。一方、仮に、16ビットデータで表せる最大の値が、傾斜磁場電源72の最大出力に相当するように設定されていた場合にも、最大出力まで制御できることになるが、この場合には、16ビットで表せる数が18ビットで表せる数よりも少ないために、分解能が悪くなってしまう。パルスシーケンス情報が小さい場合には、16ビットデータのうちの下位の方の数ビットしか使用しないことになり、傾斜磁場の分解能が悪くなってしまう。それによって、位置の精度の劣化、画質の劣化などの問題が発生してしまう。一方、本実施例においては、パルスシーケンス情報が小さい場合でも18ビットの分解能を損なうことがないので、小さな傾斜磁場でも、より分解能が高く制御することができる。
【0025】
次に、ホストコンピュータ10内でのビット変換を図4のフローチャートを用いて説明する。ホストコンピュータ10と傾斜磁場電源72は、Mビットのデータを扱うことができるものとし、また、シーケンサ9は、Nビットのデータを扱うことができるものとする(M>N、M,Nは整数)。そして、扱うデータの10進数での値は簡単のため0を含む正の数とする。
【0026】
まずステップ01で、ホストコンピュータ10内でのMビットデータの最上位ビットが、「1」かどうかを判定する。「1」の場合、ステップ02で下位方向に(M−N)ビット移動させ、そしてステップ03で最下位ビットを合わせてNビットデータに変換する。ステッ01で、「0」の場合には、ステップ11で、上位から第2位ビットが「1」かどうかを判定する。「1」の場合、ステップ12で下位方向に(M−N+1)ビット移動させ、そしてステップ03で最下位ビットを合わせてNビットデータに変換する。ステッ11で、「0」の場合には、次の判定に進む。同様にして、ステップ21で、上位から第(M−N)ビットが「1」かどうかを判する。「1」の場合、ステップ22で下位方向に1ビット移動させ、そしてステップ03で最下位ビットを合わせてNビットデータに変換する。ステップ21で、「0」の場合には、ステップ32に進み、Mビットデータの桁移動を行わずに、ステップ03で最下位ビットを合わせてNビットデータに変換する。以上のようにして、MビットデータからNビットデータへの変換が終了する。
【0027】
そして、変換されたNビットのデータは、ホストコンピュータ10からシーケンサ9を介して、Nビットのデータとして傾斜磁場インターフェイス71に入力されるとともに、変換の際の桁移動がどれだけ行われたかに関する倍率データが、ホストコンピュータ10から傾斜磁場電源インターフェイス71に入力される。
【0028】
次に、傾斜磁場インターフェイス71でのビット変換を図5のフローチャートを用いて説明する。
まずステップ101で、ホストコンピュータ10内から入力された倍率データが「1」かどうかを判定する。「1」の場合、ホストコンピュータ10内では桁移動は行われていないので、ステップ102で桁移動を行わずに、最下位ビットを合わせてMビット化される。そして、ステップ103で、データの無い上位ビットに0が割り当てられる。ステッ101で、「1」でない場合には、ステップ111で、倍率データが「1/2」かどうかを判定する。「1/2」の場合、ステップ112で上位方向に1桁移動させてMビットデータに変換し、そしてステップ103でデータの無いビットに0が割り当てられる。ステップ111で、「1/2」でない場合には、次の判定に進む。同様にして、ステップ121で、倍率データが「1/2M−N+1」かどうかを判定する。「1/2M−N+1」の場合、ステップ122で上位方向に(M−N+1)桁移動させてMビットデータに変換し、そしてステップ103でデータの無いビットに0が割り当てられる。ステップ121で、倍率データが「1/2M−N+1」でない場合には、ステップ132で上位方向に(M−N)桁移動させてMビットデータに変換し、そしてステップ103でデータの無いビットに0が割り当てられる。以上のようにして、NビットデータからMビットデータへの変換が終了する。
【0029】
以上説明したホストコンピュータ10及び傾斜磁場電源インターフェイス71での変換処理は、それらの記憶装置にあらかじめ記憶されたソフトウェアプログラムにより実行されるとして説明したが、ハードウェアで同様の機能を実現するようにしてもよい。
【0030】
なお、これまで、2進数で正の数を表す場合について説明してきたが、負の数を表す場合にもほぼ同様に変換することができる。2進数で一般的に負の数を表す場合には、最上位ビットを符号ビットとして、2の補数表示が使われる。この場合には、まず最上位ビットで正の数であるか負の数であるかを判断し、その判断によって、異なる変換アルゴリズムを使用する必要がある。正の数であるとの判断の場合には、これまで説明したとおりの方法でよいが、負であるとの判断の場合には、正の場合と異なる。正の場合の桁移動の判断では、上位ビットから1であるかどうかを判定したが、負の場合には、2の補数表示であるので、0かどうかを判断するようにすればよい。後の処理は、正の場合と同様である。このように、正負の判断により使うアルゴリズムを変更すれば、正負が混在するデータにおいても本発明のビット変換が適用できる。
【0031】
次に、実際に磁気共鳴画像の撮影のためにパルスシーケンスを実行させた時に、どのように変換が行われるかについて説明する。
傾斜磁場としては、スライス方向傾斜磁場Gs、位相エンコート方向傾斜磁場Gp、周波数エンコード方向傾斜磁場Grがあり、それらは、X、Y、Z軸それぞれのコイルに供給されるパルス電流を制御することにより、X、Y、Z軸方向の傾斜磁場を合成して得られる。本実施例においては、パルスシーケンスの実行中さまざまに大きさが変化する傾斜磁場パルス毎に、最適倍率が決定されビット変換が行われることになる。この場合、位相エンコード方向傾斜磁場パルスの強度が変わる度に、最適倍率が決定され、変換が行われる。
【0032】
しかしながら、ホストコンピュータ10や傾斜磁場インターフェイス71のリソースが十分でない場合などには、撮影のために設定されたパルスシーケンスのX、Y、Z全チャンネルの傾斜磁場パルスの最大値に応じて、それが出力できるように倍率を決定しておいてもよい。あるいは、チャンネル毎の傾斜磁場パルスの最大値に応じて、チャンネル毎に倍率を決定しておいてもよい。
【0033】
また、以上説明した実施例は、ビットの桁を移動してビット変換を行う方法であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下説明するように変形して実施することもできる。
簡単のため、正の整数を扱うこととし、5ビットのデータを3ビットのデータに変換する場合について説明する。
5ビットのデータを3ビットのデータに変換する時には、5ビットのデータの値が3ビットで表せる最大の値になるような倍率をかけて、3ビットに変換し、5ビットに戻すときには、その倍率の逆数をかけるようにしてもよい。すなわち、所望される傾斜磁場パルスの大きさとシーケンサ9のダイナミックレンジに応じて倍率を決定してもよい。このようにすれば、先の実施例で説明した方法での桁落ちを改善することができ、精度を向上させることができる。なお、倍率を決定する時に基準とする値は、3ビットで表せる最大の値でなくとも、精度を考慮して適宜設定すればよい。
【0034】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、シーケンサのアップグレードの必要なしに、強力な傾斜磁場電源を使用した場合でも、傾斜磁場の分解能を確保できる磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】傾斜磁場電源ユニット7の詳細ブロック図である。
【図3】ビット変化の説明図である。
【図4】ホストコンピュータ10内でのビット変換のフローチャートの一例を示す図である。
【図5】傾斜磁場電源インターフェイス71でのビット変換のフローチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
3 傾斜磁場コイル
7 傾斜磁場電源ユニット
9 シーケンサ
10 ホストコンピュータ
71 傾斜磁場電源ユニット
Claims (9)
- 静磁場中に置かれた被検体に対し、所望のパルスシーケンスに基づき傾斜磁場パルス及び高周波パルスを印加することにより、被検体からの磁気共鳴信号を収集する磁気共鳴イメージング装置において、
前記傾斜磁場パルスを発生する傾斜磁場電源ユニットと、
この傾斜磁場電源ユニットの駆動信号を出力するシーケンサと、
シーケンサを制御するホストコンピュータとを備え、
前記ホストコンピュータは、所望される傾斜磁場パルスの大きさに応じた倍率をかけた制御信号をシーケンサに供給し、
前記傾斜磁場電源ユニットは、前記シーケンサからの駆動信号に前記ホストコンピュータでかけた倍率の逆数をかけた制御信号に基づいて傾斜磁場を発生するようにした磁気共鳴イメージング装置。 - 前記倍率は、所望とされるパルスシーケンスの中の傾斜磁場パルスの最大値に基づいて決定される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記傾斜磁場パルスは、複数チャンネルのコイルから発生されるものであり、前記倍率は、前記チャンネル毎の傾斜磁場パルスの最大値に基づいて決定される請求項1載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記倍率は、傾斜磁場パルスの大きさの変化に応じて、変更される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記倍率は、所望される傾斜磁場パルスの大きさ及びシーケンサのダイナミックレンジに基づいて決定されるものである請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 静磁場中に置かれた被検体に対し、所望のパルスシーケンスに基づき傾斜磁場パルス及び高周波パルスを印加することにより、被検体からの磁気共鳴信号を収集する磁気共鳴イメージング装置において、
前記傾斜磁場パルスを発生する傾斜磁場電源ユニットと、
この傾斜磁場電源ユニットの駆動信号を出力するシーケンサと、
シーケンサを制御するホストコンピュータとを備え、
前記ホストコンピュータは、所望される傾斜磁場パルスの大きさに基づいて桁を移動させMビットの制御信号をNビット(M>N)に変換してシーケンサに供給し、
前記傾斜磁場電源ユニットは、前記ホストコンピュータでの桁移動とは反対方向に桁を移動させ前記シーケンサからのNビットの駆動信号をMビットに変換して傾斜磁場を発生するようにした磁気共鳴イメージング装置。 - 前記桁移動は、所望とされるパルスシーケンスの中の傾斜磁場パルスの最大値に基づいて決定される請求項6記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記傾斜磁場パルスは、複数チャンネルのコイルから発生されるものであり、前記桁移動は、前記チャンネル毎の傾斜磁場パルスの最大値に基づいて決定される請求項6記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記桁移動は、傾斜磁場パルスの大きさの変化に応じて、変更される請求項8記載の磁気共鳴イメージング装置。
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JP2002282455A JP2004113550A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 磁気共鳴イメージング装置 |
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