JP2004113228A - アワビの育成方法及び育成装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】設置場所に制約されず安価且簡便に組立設置でき、而も育成管理が至便で生産収率の高いアワビの育成方法及び育成装置の提供。
【構成】所要水量を貯留でき且その深さが15cm以内で底面に突条により均等面積の餌料区画が形成され、更に底面に対し60乃至90度の立設角度で側辺が形成され、而も底面の一方側端近傍に排水口及び該排水口に水位調節管が連結された育成バットを、所要間隔を以って多段に且その排水口が交互に配位されるよう、中空管体と連結具により組立てた育成バット収納棚に収納し、最上段の育成バットの他方側より海水を給水させ、順次下段の育成バットに排水流通させて育成を図るアワビの育成方法及び育成装置の構成。
【選択図】 図1
【構成】所要水量を貯留でき且その深さが15cm以内で底面に突条により均等面積の餌料区画が形成され、更に底面に対し60乃至90度の立設角度で側辺が形成され、而も底面の一方側端近傍に排水口及び該排水口に水位調節管が連結された育成バットを、所要間隔を以って多段に且その排水口が交互に配位されるよう、中空管体と連結具により組立てた育成バット収納棚に収納し、最上段の育成バットの他方側より海水を給水させ、順次下段の育成バットに排水流通させて育成を図るアワビの育成方法及び育成装置の構成。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は育成管理が簡便且安易になしえるとともに、高い収率で育成生産の可能なアワビの育成方法及び育成装置に関する。
【0002】
【従来技術】
アワビは嗜好性が高く且特有の食感や味覚を有する食材であることから、従来より高級食材として珍重されてきたものであるが、近年においては著しい食生活の向上に伴う高級化やグルメ化指向とも相俟って多量の消費がなされるに至っている。
そしてかかる多量の消費がなされる背景は、他方において人工種苗技術や中間育成技術が確立され、生存率の高い稚貝の放流による増殖効果や、本育成技術による計画的育成生産効果とが大きく寄与している。
加えて今日では時季により安価な海外産アワビ若しくはアワビもどきの類も多量に入荷されている状況にある。
【0003】
ところで増殖による生産や海外からの天然採取生産手段は、自然条件に委ねられているために気象条件や海洋条件によって著しく生産が変動して供給量の逼迫に伴う価格高騰や過剰による暴落が度々惹起されている。
これがため中間育成された稚貝に人工管理を施し成貝となして計画的生産を図る所謂本育成に注力されつつある。
【0004】
而して本育成はその初期においてはポリビクやネトロン網地等で形成した育成籠内にシェルターを入れ、これに稚貝を移殖のうえ海中に垂下させる通称海中籠を用いてなされたものの、かかる手段は天候や海洋条件により十分な管理がなし得ぬことや、垂下時における揺動により成長が悪いこと或いは給餌作業も至難であること等から、現状においては陸上育成に転換されつつある。
【0005】
現状における陸上育成は通称かけ流し式と呼称されるものであって、該かけ流し式においてはその幅が略1.0乃至1.5m、長さ10m、水深1.0乃至1.5m程度の比較的大容量の水槽を設置し、この水槽内にアワビ稚貝の着生をなさしむるシェルターを所要数沈降配設させ且所要数のアワビ稚貝を移植させたうえ定期的に給餌をなし、而も時間当り4乃至5回程度の換水がなされるよう給水を図りながら育成をなすものである。
【0006】
然るに該かけ渡し式の育成手段においては水槽容量が固定されるため、変動する需給に合せて小量の育成生産の場合にも多量の給水が必要となるばかりか、多量に亘る育成生産に際しては多数の水槽を用意する必要が生じ且水深も比較的深いため給餌が均等になされにくく育成のむらが発生し易くなるばかりか、該育成むらや若しくは罹病等の確認にもシェルターをいちいち引揚げてなさねばならず管理作業が至難であり、而も排泄物も堆積し易く病気発生の危険をも孕んでいる。
【0007】
発明者等はかかる実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本育成に供されるアワビ稚貝は略20mm以上の殻長に中間育成された健苗育成のものが用いられ且その殻長が70乃至100mm程度に育成されて生産出荷されるものであり、而も普遍的なエゾアワビ、クロアワビ或いはマダカ等は暗い環境下であればせいぜい10cm程度の水深を有する育成バット内で十分に育成できること、或いは該水深の浅い育成バットによる育成では育成の良否や罹病稚貝の発見が極めて容易且確実になしえること、並びに該育成バット底面に餌料区画を形成させることにより均等な餌料の供給と摂餌がなされること、及び該育成バットを多段に収納させてそれぞれの水位調節管から交互に排水流通させることにより少ない水量と且速い流速により排泄物が滞留しにくく、而も需給状態に対応して収率の高いアワビの育成生産が可能なることを究明し本発明に至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は設置場所に制約されることなく安価且簡便に組立設置ができ、而も育成管理が極めて至便で生産収率の高いアワビの育成方法及び育成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、強靭性と耐腐蝕性素材よりなり全体を軽量に且簡単に組立てをなすうえから中空管体を用い所要の高さ及び幅並びに長さで且適宜数の育成バットを所要の間隔を以って多段に亘り収納しえる収納部が形成されるよう、適宜の連結具を用いて育成バット収納棚を組立形成させるとともに、合成樹脂素材により成形され且その底面には高さが1cm以下の突条を以って均等な面積に区画された餌料区画が形成され、更にその深さが最大15cm以下で且育成中の稚貝の逃避を防止するうえから、底面に対して60乃至90度の立設角度を以って側辺が形成されてなり、而も底面の一方側端近傍には貯留水量を調節する排水口が形成され、且この排水口には所要の高さの水位調節管が連結されて育成バットが形成されている。
【0010】
更に育成バットが所要の間隔を以って多段に収納された最上段の育成バットには、収納される下段のそれぞれの育成バットに順次排水流通させて育成を図るために、所要水量の海水を給水しえる給水管及び給水パイプからなる給水装置とで構成される育成装置を用いて、それぞれの育成バット内に所要量のアワビ稚貝を移植させ且餌料を均等に分散給餌させたうえ、最上段の育成バットの他方側より海水を所要の給水量で給水させ、而して一方側端近傍に設けた排水調節管のレベルまで貯留させ且排水させて順次下段の育成バットに給水且貯留させたる後排水流通させ、更に定期の給餌とともに逐次育成バット収納棚より育成バットを引出し育成不良や罹病稚貝の除去若しくは棚替えをなし、以って安価で且簡便な管理により高い生産収率で生産可能なアワビの育成方法及び育成装置の構成に存する。
【0011】
【作用】
本発明は以上の如き構成を用いてなるため以下のような作用を有する。即ち育成バットを所要の間隔を以って多段に収納させる育成バット収納棚が強靭性と耐腐蝕性素材からなる中空管体を用い、且該中空管体を適宜の連結具を用いて所要の高さ及び幅並びに長さで、且適宜数の育成バットを多段収納しえる収納部が形成されるよう組立形成されるものであるから、新たな組立設置や解体が極めて短時間になしえ、而も育成バット収納棚も軽量に組立形成される。
【0012】
そしてアワビ稚貝の育成をなす育成バットは合成樹脂素材で成形され且その底面には高さが最大1cm以下の突条で均等な面積を有する餌料区画が設けられてなるから、比較的流水が速い状況においても給餌された餌料が略均等に餌料区画内に保持され、育成中のアワビ稚貝が平均的に摂餌できることとなる。
加えて該育成バットはその深さが15cm以下と浅いため、育成期間中適時に育成バット収納棚より引出すことで、育成不良や罹病稚貝を容易に確認発見することができる。
更に該育成バットはその底面に対して60乃至90度の立設角度を以って側辺が形成されてなるため、育成期間中における稚貝の逃避も防止される。
【0013】
而も育成バットの一方側端近傍には排水口が設けられ、且該排水口には水位調節管が連結されてなるため、育成バット内に給水された海水は該水位調節管上面のレベルまで貯留され排水口より排水される。そして育成バットは育成バット収納棚に所要の間隔を以って、且それぞれの育成バットの排水口が交互に配位されるよう収納されるため上段の育成バットの排水口からの排水は、下段の育成バットの他方側端に落水されたうえ、所要の貯留がなされたうえその一方側端に設けられた水位調節管より排水口を経て、更に下段の育成バットの他方側端へ順次落水され換水させながら排水流通され最下段の排水口より排出される。
而も多段に収納された上段の育成バットから下段の育成バットへの落水に際しては曝気作用が働き、アワビ稚貝の育成で消費される溶存酸素の補給もなされる。
【0014】
【実施例】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明育成方法の説明図、図2は育成バット収納棚の説明図、図3は中空管体の連結方法の説明図であって、育成バット収納棚1は全体的に強靭強固で且軽量なものが望まれることから、使用部材としては強靭性と耐腐蝕性素材よりなる中空管体1Aが好適であって、該中空管体1Aの形状としては断面円形のものや正方形のものが使用されるが、特に桁材として横方向に組立使用するものにおいては、該桁材上に海水が貯留され且アワビ稚貝を育成させる育成バット2を収納載置させ、且育成管理に際して逐次引き出して管理を施し、更には給餌等の作業時の引き出しや収納を簡単に且安定してなすうえから断面が正方形状のものが望まれる。
【0015】
そして該中空管体1Aの具体的素材としては中空管体1Aを形成させるための成形性にも優れるものが好適であって、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル若しくはポリカーボネート等の合成樹脂素材が挙げられる。
更に該中空管体1Aは組立形成される育成バット収納棚1の大きさに合せてその長さや肉厚等も具体的に決定されるが、高さ方向の柱材として使用する場合には育成管理の面から略1.8乃至2.0m程度の長さとなり、且幅方向や長さ方向の桁材の長さとしては収納される育成バット2の寸法により自づと決定される。
而して育成バット2は後述する如く育成上並びに育成管理上の面から深さが最大でも15cm以下で且長さが略150乃至180cm程度及び幅が略50乃至80cm程度であるから、かかる寸法の育成バット2が収納しえる程度の収納部を形成する長さの桁材が使用されることとなる。
【0016】
当然に育成バット2が大きな寸法のものほど、育成バット収納棚1への荷重も増大し使用する中空管体1Aも大きな直径と且肉厚なものの選択が要請されるが、一般的な育成バット2の寸法とされる深さ10cm、長さ150cm、幅60cmの場合には直径60mm肉厚3mm程度のものが使用される。
更に該育成バット収納棚1に育成バット2を収納させるための収納部1Bは、育成管理に伴う給餌や育成不良や罹病稚貝の除去等に際しての引出しや収納作業を容易とするため、多段に収納される育成バット2相互の間隔として略15乃至30cm程度が望まれるため、収納部1Bの形成に際してはかかる相互の間隔が保持されるように育成バット2を載置しえる桁材を配設組立てすれば良い。
【0017】
而して中空管体1Aを用いて育成バット収納棚1を組立形成する場合には適宜の連結具10が用いられるもので、図3にはボルト及びナットからなる螺合具10Aを使用する場合の連結方法が示されてなるもので、特に断面が円形の中空管体1Aと他方が正方形の中空管体1Aとを連結させる場合には、その連結面に一側面が湾曲形成されたスペーサー10Bを介在させて連結させることが、強固な連結を図るうえから望まれる。
連結具10はかかる螺合具10Aに限定されるものではなく、簡便且強固に而も解体が容易になしえるものであれば使用でき、他の具体的な連結具10としては建設足場の組立てに用いられるクランプジョイントが挙げられる。
そして本発明における育成バット収納棚1をかかる如き連結組立てや解体を容易となす手段を採用した所以は、今日においては多様な要因により需給バランスや価格変動が著しく、従って需要に適確に対応した育成生産を図ること或いは流通の変革に伴い消費地近郊での育成生産の要望等に応えるために設置移転が容易なものが要請されていることによる。
【0018】
かくしてなる育成バット収納棚1の収納部1Bに収納載置される育成バット2は、合成樹脂素材で成形されその内部にアワビ稚貝を所要数移殖せしめてその殻長が略70〜100mm程度となるまで本育成をなし生産出荷をなすものであって、本発明においては貯留水量を少なく換水率を高めて育成を促進させ、更には育成期間中における育成不良稚貝への育成促進措置を講じ、若しくは罹病稚貝の摘出除去等育成管理を簡便且確実になすうえから、その水深は最大でも15cm以下望ましくは8乃至10cm程度に形成され、且育成管理に際して育成バット収納棚1の収納部1Bより引出し若しくは収納作業が容易になしえる総重量を考慮して、その長さは略150乃至180cm及び幅は略50乃至80cmに形成される。
加えて該育成バット2の底面2Aには、給餌される餌料が比較的流速の早い海水の排水流通により流動せぬよう、該底面2Aにはその高さが1cm以下望ましくは3乃至7mm程度の突条2Bにより均等な面積を以った餌料区画2Cが形成されてなり、これにより育成するアワビ稚貝全体が均等に摂餌しえるよう配慮されている。
【0019】
加えて該育成バット2には育成中のアワビ稚具が該育成バット2の内壁面を付着徘徊して該育成バット2外へ逃避することを防止するため、底面に対して少なくとも60度以上望ましくは75乃至90度の立設角度を以って側辺2Dが一体的に延出形成されている。この育成バット2の肉厚は貯留水量や面積によっても異なるが、通常は3乃至5mm厚程度が望まれる。更に該育成バット2の一方側端近傍には、該育成バット2内に所要の水量を貯留させたうえ順次下段に配位される育成バット2に落水し排水流通させるための排水口2Eが形成されており、且該排水口2Eには所要の水位に調節保持させるための水位調節管2Fが連結されている。かかる水位調節管2Fの高さレベルは、通常の場合では育成バット2の深さの略70乃至80%程度に形成されれば良い。
【0020】
育成バット2はかかる構成からなるものであって、この育成バット2を育成バット収納棚1に収納し育成をなす場合に肝要なことは、その収納された最上段の育成バット2の他方側から所要量の給水がなされ、且所要の水量が貯留されたうえ一方側端近傍の排水口2Eからの排水が下段に収納された育成バット2の他方側に落水されたうえ、該下段の育成バット2内に貯留させ且排水流通と換水をさせながら、その排水口2Eより更に下段の育成バット2の他方側へと順次排水流通がなされるように、収納されるそれぞれの育成バット2の排水口2Eの位置が交互に配位させることにある。
【0021】
そして育成バット収納棚1の最上段の育成バット2に給水をなしたるうえ収納される適宜数の育成バット2に順次排水流通させて育成を図るための給水装置3が、該育成バット収納棚1に付帯して設けられている。
この給水装置3は所要水量を供給する給水ポンプ3Aと給水管3Bとにより構成されるもので、収納された育成バット2に十分に排水流通をなしえるものであれば特段に制約はない。
かかる場合における給水ポンプ3Aの給水量としては従来のかけ流し式の場合では、時間当り4回の換水率で育成がなされているもので、その給水量としては略48m3/時程度であるが、本発明においては育成バット2が6段に収納された場合には全体貯留量も僅か0.54m3程度に過ぎず換水率を時間当り4回としても2.08m3程度である。而しながら健全なアワビの育成に際しては十分な溶存酸素量即ち20℃の水温時に溶存する酵素量7.17mg/lの少なくとも70%以上の溶存酸素量の海水の供給が望まれるものであるから、換水率48回として略26m3/時以上の給水能力の給水ポンプ3Aが望まれる。
【0022】
本発明を用いてアワビの育成をなす場合には、育成生産量に見合ったアワビ稚貝を育成バット2内にそれぞれ所要数移殖させ、且それぞれの排水口2Eが交互に配位されるよう収納部に収納させたうえ、その最上段の育成バット2の他方側より所要水量の海水を給水し、順次下段の育成バット2に落水させ排水流通せしめる。
そして育成管理面では、定期に育成バット収納棚1よりそれぞれの育成バット2を引出し育成状態の確認並びに罹病や斃死稚貝の摘出除去或いは餌料を全体に亘って給餌せしめたる後、再び育成バット収納棚1内に収納させる。
【0023】
更に所定の育成期間毎には、アワビ稚貝の成長に伴い育成バット2内の過密化したアワビ稚貝を他の育成バット2に分散移植させ、育成バット収納棚1に収納させ育成させることが繰返されるもので、アワビの成長とともに必然的に育成バット2の数も増加し、従って育成バット収納棚1の組立設置も要請されることとなる。
因みに育成バット2の底面積において長さ150cm、幅60cm、面積9000cm2の場合では初期に移殖される殻長2cmの稚貝では、空隙率20%を見込むと略2200乃至2300個程度の育成となるが、生産出荷時の殻長10cmのアワビにおいては略90乃至95個程度の育成数となる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上述べたように、合成樹脂素材で成形されその深さが15cm以下で且その底面には高さが1cm以下の突条により均等な面積を有する餌料区画が形成され、更に底面に対し60乃至90度の立設角度を以って側辺が延出形成され、而もその一方側端近傍には排水口及び該排水口に水位調節管が連結されてなる育成バットを、適宜の連結具で組立てられ且育成バットを収納及び引出し可能に載置しえる収納部を有する育成バット収納棚に多段に而も上段に位置する育成バットの排水口と下段に位置する育成バットの排水口とが交互に配位されるよう収納のうえ、最上段の育成バットの他方側より所要水量の海水を給水し且所要水量を貯留させつつ排水口より排水させ、順次下段の育成バットに排水流通させてアワビの育成を図るものであるから、アワビの稚貝が移殖されたそれぞれの育成バット内には供給された海水が滞留することなく、速い流速で且高い換水率を以って排水流通され、而も上段の育成バットからの排水に伴う落水により曝気効果が働くため、十分な溶存酸素量の海水が排水流通されるとともに餌料残滓や排泄物も希釈され流動排出されるため、健全で且成長促進の著しい育成が可能となる。
【0025】
そして日常の育成管理に際しても育成バットが極めて浅いものであり、且収納される育成バット収納棚からは僅かな力で容易に引き出せるため、成長不良や罹病若しくは斃死等の稚貝を即時に発見でき、而も給餌も全体に亘り均等になしえるばかりか、給餌された餌料が餌料区画内で流動することなく保持されるため、育成中のアワビ稚貝全体が均等に摂餌でき、品質の安定したアワビが高い生産収率で生産できる。
加えて本発明の育成バット収納棚は、組立て若しくは解体が容易になしえるため、需給状況に合せて組立設置や撤去が容易になしえるとともに、市場の要請により消費地の近郊においても簡便に設置し且生産出荷がなしえる等、極めて優れた特長を具備するアワビの育成方法及び育成装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明育成方法の説明図である。
【図2】育成バット収納棚の説明図である。
【図3】育成バット収納棚の連結方法の説明図である。
【図4】育成バットの平面見取図である。
【図5】育成バットの説明図である。
【符号の説明】
1 育成バット収納棚
1A 中空管体
1B 収納部
10 連結具
10A 螺合具
10B スペーサー
2 育成バット
2A 底面
2B 突条
2C 餌料区画
2D 側辺
2E 排水口
2F 水位調節管
3 給水装置
3A 給水ポンプ
3B 給水管
【産業上の利用分野】
本発明は育成管理が簡便且安易になしえるとともに、高い収率で育成生産の可能なアワビの育成方法及び育成装置に関する。
【0002】
【従来技術】
アワビは嗜好性が高く且特有の食感や味覚を有する食材であることから、従来より高級食材として珍重されてきたものであるが、近年においては著しい食生活の向上に伴う高級化やグルメ化指向とも相俟って多量の消費がなされるに至っている。
そしてかかる多量の消費がなされる背景は、他方において人工種苗技術や中間育成技術が確立され、生存率の高い稚貝の放流による増殖効果や、本育成技術による計画的育成生産効果とが大きく寄与している。
加えて今日では時季により安価な海外産アワビ若しくはアワビもどきの類も多量に入荷されている状況にある。
【0003】
ところで増殖による生産や海外からの天然採取生産手段は、自然条件に委ねられているために気象条件や海洋条件によって著しく生産が変動して供給量の逼迫に伴う価格高騰や過剰による暴落が度々惹起されている。
これがため中間育成された稚貝に人工管理を施し成貝となして計画的生産を図る所謂本育成に注力されつつある。
【0004】
而して本育成はその初期においてはポリビクやネトロン網地等で形成した育成籠内にシェルターを入れ、これに稚貝を移殖のうえ海中に垂下させる通称海中籠を用いてなされたものの、かかる手段は天候や海洋条件により十分な管理がなし得ぬことや、垂下時における揺動により成長が悪いこと或いは給餌作業も至難であること等から、現状においては陸上育成に転換されつつある。
【0005】
現状における陸上育成は通称かけ流し式と呼称されるものであって、該かけ流し式においてはその幅が略1.0乃至1.5m、長さ10m、水深1.0乃至1.5m程度の比較的大容量の水槽を設置し、この水槽内にアワビ稚貝の着生をなさしむるシェルターを所要数沈降配設させ且所要数のアワビ稚貝を移植させたうえ定期的に給餌をなし、而も時間当り4乃至5回程度の換水がなされるよう給水を図りながら育成をなすものである。
【0006】
然るに該かけ渡し式の育成手段においては水槽容量が固定されるため、変動する需給に合せて小量の育成生産の場合にも多量の給水が必要となるばかりか、多量に亘る育成生産に際しては多数の水槽を用意する必要が生じ且水深も比較的深いため給餌が均等になされにくく育成のむらが発生し易くなるばかりか、該育成むらや若しくは罹病等の確認にもシェルターをいちいち引揚げてなさねばならず管理作業が至難であり、而も排泄物も堆積し易く病気発生の危険をも孕んでいる。
【0007】
発明者等はかかる実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本育成に供されるアワビ稚貝は略20mm以上の殻長に中間育成された健苗育成のものが用いられ且その殻長が70乃至100mm程度に育成されて生産出荷されるものであり、而も普遍的なエゾアワビ、クロアワビ或いはマダカ等は暗い環境下であればせいぜい10cm程度の水深を有する育成バット内で十分に育成できること、或いは該水深の浅い育成バットによる育成では育成の良否や罹病稚貝の発見が極めて容易且確実になしえること、並びに該育成バット底面に餌料区画を形成させることにより均等な餌料の供給と摂餌がなされること、及び該育成バットを多段に収納させてそれぞれの水位調節管から交互に排水流通させることにより少ない水量と且速い流速により排泄物が滞留しにくく、而も需給状態に対応して収率の高いアワビの育成生産が可能なることを究明し本発明に至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は設置場所に制約されることなく安価且簡便に組立設置ができ、而も育成管理が極めて至便で生産収率の高いアワビの育成方法及び育成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、強靭性と耐腐蝕性素材よりなり全体を軽量に且簡単に組立てをなすうえから中空管体を用い所要の高さ及び幅並びに長さで且適宜数の育成バットを所要の間隔を以って多段に亘り収納しえる収納部が形成されるよう、適宜の連結具を用いて育成バット収納棚を組立形成させるとともに、合成樹脂素材により成形され且その底面には高さが1cm以下の突条を以って均等な面積に区画された餌料区画が形成され、更にその深さが最大15cm以下で且育成中の稚貝の逃避を防止するうえから、底面に対して60乃至90度の立設角度を以って側辺が形成されてなり、而も底面の一方側端近傍には貯留水量を調節する排水口が形成され、且この排水口には所要の高さの水位調節管が連結されて育成バットが形成されている。
【0010】
更に育成バットが所要の間隔を以って多段に収納された最上段の育成バットには、収納される下段のそれぞれの育成バットに順次排水流通させて育成を図るために、所要水量の海水を給水しえる給水管及び給水パイプからなる給水装置とで構成される育成装置を用いて、それぞれの育成バット内に所要量のアワビ稚貝を移植させ且餌料を均等に分散給餌させたうえ、最上段の育成バットの他方側より海水を所要の給水量で給水させ、而して一方側端近傍に設けた排水調節管のレベルまで貯留させ且排水させて順次下段の育成バットに給水且貯留させたる後排水流通させ、更に定期の給餌とともに逐次育成バット収納棚より育成バットを引出し育成不良や罹病稚貝の除去若しくは棚替えをなし、以って安価で且簡便な管理により高い生産収率で生産可能なアワビの育成方法及び育成装置の構成に存する。
【0011】
【作用】
本発明は以上の如き構成を用いてなるため以下のような作用を有する。即ち育成バットを所要の間隔を以って多段に収納させる育成バット収納棚が強靭性と耐腐蝕性素材からなる中空管体を用い、且該中空管体を適宜の連結具を用いて所要の高さ及び幅並びに長さで、且適宜数の育成バットを多段収納しえる収納部が形成されるよう組立形成されるものであるから、新たな組立設置や解体が極めて短時間になしえ、而も育成バット収納棚も軽量に組立形成される。
【0012】
そしてアワビ稚貝の育成をなす育成バットは合成樹脂素材で成形され且その底面には高さが最大1cm以下の突条で均等な面積を有する餌料区画が設けられてなるから、比較的流水が速い状況においても給餌された餌料が略均等に餌料区画内に保持され、育成中のアワビ稚貝が平均的に摂餌できることとなる。
加えて該育成バットはその深さが15cm以下と浅いため、育成期間中適時に育成バット収納棚より引出すことで、育成不良や罹病稚貝を容易に確認発見することができる。
更に該育成バットはその底面に対して60乃至90度の立設角度を以って側辺が形成されてなるため、育成期間中における稚貝の逃避も防止される。
【0013】
而も育成バットの一方側端近傍には排水口が設けられ、且該排水口には水位調節管が連結されてなるため、育成バット内に給水された海水は該水位調節管上面のレベルまで貯留され排水口より排水される。そして育成バットは育成バット収納棚に所要の間隔を以って、且それぞれの育成バットの排水口が交互に配位されるよう収納されるため上段の育成バットの排水口からの排水は、下段の育成バットの他方側端に落水されたうえ、所要の貯留がなされたうえその一方側端に設けられた水位調節管より排水口を経て、更に下段の育成バットの他方側端へ順次落水され換水させながら排水流通され最下段の排水口より排出される。
而も多段に収納された上段の育成バットから下段の育成バットへの落水に際しては曝気作用が働き、アワビ稚貝の育成で消費される溶存酸素の補給もなされる。
【0014】
【実施例】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明育成方法の説明図、図2は育成バット収納棚の説明図、図3は中空管体の連結方法の説明図であって、育成バット収納棚1は全体的に強靭強固で且軽量なものが望まれることから、使用部材としては強靭性と耐腐蝕性素材よりなる中空管体1Aが好適であって、該中空管体1Aの形状としては断面円形のものや正方形のものが使用されるが、特に桁材として横方向に組立使用するものにおいては、該桁材上に海水が貯留され且アワビ稚貝を育成させる育成バット2を収納載置させ、且育成管理に際して逐次引き出して管理を施し、更には給餌等の作業時の引き出しや収納を簡単に且安定してなすうえから断面が正方形状のものが望まれる。
【0015】
そして該中空管体1Aの具体的素材としては中空管体1Aを形成させるための成形性にも優れるものが好適であって、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル若しくはポリカーボネート等の合成樹脂素材が挙げられる。
更に該中空管体1Aは組立形成される育成バット収納棚1の大きさに合せてその長さや肉厚等も具体的に決定されるが、高さ方向の柱材として使用する場合には育成管理の面から略1.8乃至2.0m程度の長さとなり、且幅方向や長さ方向の桁材の長さとしては収納される育成バット2の寸法により自づと決定される。
而して育成バット2は後述する如く育成上並びに育成管理上の面から深さが最大でも15cm以下で且長さが略150乃至180cm程度及び幅が略50乃至80cm程度であるから、かかる寸法の育成バット2が収納しえる程度の収納部を形成する長さの桁材が使用されることとなる。
【0016】
当然に育成バット2が大きな寸法のものほど、育成バット収納棚1への荷重も増大し使用する中空管体1Aも大きな直径と且肉厚なものの選択が要請されるが、一般的な育成バット2の寸法とされる深さ10cm、長さ150cm、幅60cmの場合には直径60mm肉厚3mm程度のものが使用される。
更に該育成バット収納棚1に育成バット2を収納させるための収納部1Bは、育成管理に伴う給餌や育成不良や罹病稚貝の除去等に際しての引出しや収納作業を容易とするため、多段に収納される育成バット2相互の間隔として略15乃至30cm程度が望まれるため、収納部1Bの形成に際してはかかる相互の間隔が保持されるように育成バット2を載置しえる桁材を配設組立てすれば良い。
【0017】
而して中空管体1Aを用いて育成バット収納棚1を組立形成する場合には適宜の連結具10が用いられるもので、図3にはボルト及びナットからなる螺合具10Aを使用する場合の連結方法が示されてなるもので、特に断面が円形の中空管体1Aと他方が正方形の中空管体1Aとを連結させる場合には、その連結面に一側面が湾曲形成されたスペーサー10Bを介在させて連結させることが、強固な連結を図るうえから望まれる。
連結具10はかかる螺合具10Aに限定されるものではなく、簡便且強固に而も解体が容易になしえるものであれば使用でき、他の具体的な連結具10としては建設足場の組立てに用いられるクランプジョイントが挙げられる。
そして本発明における育成バット収納棚1をかかる如き連結組立てや解体を容易となす手段を採用した所以は、今日においては多様な要因により需給バランスや価格変動が著しく、従って需要に適確に対応した育成生産を図ること或いは流通の変革に伴い消費地近郊での育成生産の要望等に応えるために設置移転が容易なものが要請されていることによる。
【0018】
かくしてなる育成バット収納棚1の収納部1Bに収納載置される育成バット2は、合成樹脂素材で成形されその内部にアワビ稚貝を所要数移殖せしめてその殻長が略70〜100mm程度となるまで本育成をなし生産出荷をなすものであって、本発明においては貯留水量を少なく換水率を高めて育成を促進させ、更には育成期間中における育成不良稚貝への育成促進措置を講じ、若しくは罹病稚貝の摘出除去等育成管理を簡便且確実になすうえから、その水深は最大でも15cm以下望ましくは8乃至10cm程度に形成され、且育成管理に際して育成バット収納棚1の収納部1Bより引出し若しくは収納作業が容易になしえる総重量を考慮して、その長さは略150乃至180cm及び幅は略50乃至80cmに形成される。
加えて該育成バット2の底面2Aには、給餌される餌料が比較的流速の早い海水の排水流通により流動せぬよう、該底面2Aにはその高さが1cm以下望ましくは3乃至7mm程度の突条2Bにより均等な面積を以った餌料区画2Cが形成されてなり、これにより育成するアワビ稚貝全体が均等に摂餌しえるよう配慮されている。
【0019】
加えて該育成バット2には育成中のアワビ稚具が該育成バット2の内壁面を付着徘徊して該育成バット2外へ逃避することを防止するため、底面に対して少なくとも60度以上望ましくは75乃至90度の立設角度を以って側辺2Dが一体的に延出形成されている。この育成バット2の肉厚は貯留水量や面積によっても異なるが、通常は3乃至5mm厚程度が望まれる。更に該育成バット2の一方側端近傍には、該育成バット2内に所要の水量を貯留させたうえ順次下段に配位される育成バット2に落水し排水流通させるための排水口2Eが形成されており、且該排水口2Eには所要の水位に調節保持させるための水位調節管2Fが連結されている。かかる水位調節管2Fの高さレベルは、通常の場合では育成バット2の深さの略70乃至80%程度に形成されれば良い。
【0020】
育成バット2はかかる構成からなるものであって、この育成バット2を育成バット収納棚1に収納し育成をなす場合に肝要なことは、その収納された最上段の育成バット2の他方側から所要量の給水がなされ、且所要の水量が貯留されたうえ一方側端近傍の排水口2Eからの排水が下段に収納された育成バット2の他方側に落水されたうえ、該下段の育成バット2内に貯留させ且排水流通と換水をさせながら、その排水口2Eより更に下段の育成バット2の他方側へと順次排水流通がなされるように、収納されるそれぞれの育成バット2の排水口2Eの位置が交互に配位させることにある。
【0021】
そして育成バット収納棚1の最上段の育成バット2に給水をなしたるうえ収納される適宜数の育成バット2に順次排水流通させて育成を図るための給水装置3が、該育成バット収納棚1に付帯して設けられている。
この給水装置3は所要水量を供給する給水ポンプ3Aと給水管3Bとにより構成されるもので、収納された育成バット2に十分に排水流通をなしえるものであれば特段に制約はない。
かかる場合における給水ポンプ3Aの給水量としては従来のかけ流し式の場合では、時間当り4回の換水率で育成がなされているもので、その給水量としては略48m3/時程度であるが、本発明においては育成バット2が6段に収納された場合には全体貯留量も僅か0.54m3程度に過ぎず換水率を時間当り4回としても2.08m3程度である。而しながら健全なアワビの育成に際しては十分な溶存酸素量即ち20℃の水温時に溶存する酵素量7.17mg/lの少なくとも70%以上の溶存酸素量の海水の供給が望まれるものであるから、換水率48回として略26m3/時以上の給水能力の給水ポンプ3Aが望まれる。
【0022】
本発明を用いてアワビの育成をなす場合には、育成生産量に見合ったアワビ稚貝を育成バット2内にそれぞれ所要数移殖させ、且それぞれの排水口2Eが交互に配位されるよう収納部に収納させたうえ、その最上段の育成バット2の他方側より所要水量の海水を給水し、順次下段の育成バット2に落水させ排水流通せしめる。
そして育成管理面では、定期に育成バット収納棚1よりそれぞれの育成バット2を引出し育成状態の確認並びに罹病や斃死稚貝の摘出除去或いは餌料を全体に亘って給餌せしめたる後、再び育成バット収納棚1内に収納させる。
【0023】
更に所定の育成期間毎には、アワビ稚貝の成長に伴い育成バット2内の過密化したアワビ稚貝を他の育成バット2に分散移植させ、育成バット収納棚1に収納させ育成させることが繰返されるもので、アワビの成長とともに必然的に育成バット2の数も増加し、従って育成バット収納棚1の組立設置も要請されることとなる。
因みに育成バット2の底面積において長さ150cm、幅60cm、面積9000cm2の場合では初期に移殖される殻長2cmの稚貝では、空隙率20%を見込むと略2200乃至2300個程度の育成となるが、生産出荷時の殻長10cmのアワビにおいては略90乃至95個程度の育成数となる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上述べたように、合成樹脂素材で成形されその深さが15cm以下で且その底面には高さが1cm以下の突条により均等な面積を有する餌料区画が形成され、更に底面に対し60乃至90度の立設角度を以って側辺が延出形成され、而もその一方側端近傍には排水口及び該排水口に水位調節管が連結されてなる育成バットを、適宜の連結具で組立てられ且育成バットを収納及び引出し可能に載置しえる収納部を有する育成バット収納棚に多段に而も上段に位置する育成バットの排水口と下段に位置する育成バットの排水口とが交互に配位されるよう収納のうえ、最上段の育成バットの他方側より所要水量の海水を給水し且所要水量を貯留させつつ排水口より排水させ、順次下段の育成バットに排水流通させてアワビの育成を図るものであるから、アワビの稚貝が移殖されたそれぞれの育成バット内には供給された海水が滞留することなく、速い流速で且高い換水率を以って排水流通され、而も上段の育成バットからの排水に伴う落水により曝気効果が働くため、十分な溶存酸素量の海水が排水流通されるとともに餌料残滓や排泄物も希釈され流動排出されるため、健全で且成長促進の著しい育成が可能となる。
【0025】
そして日常の育成管理に際しても育成バットが極めて浅いものであり、且収納される育成バット収納棚からは僅かな力で容易に引き出せるため、成長不良や罹病若しくは斃死等の稚貝を即時に発見でき、而も給餌も全体に亘り均等になしえるばかりか、給餌された餌料が餌料区画内で流動することなく保持されるため、育成中のアワビ稚貝全体が均等に摂餌でき、品質の安定したアワビが高い生産収率で生産できる。
加えて本発明の育成バット収納棚は、組立て若しくは解体が容易になしえるため、需給状況に合せて組立設置や撤去が容易になしえるとともに、市場の要請により消費地の近郊においても簡便に設置し且生産出荷がなしえる等、極めて優れた特長を具備するアワビの育成方法及び育成装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明育成方法の説明図である。
【図2】育成バット収納棚の説明図である。
【図3】育成バット収納棚の連結方法の説明図である。
【図4】育成バットの平面見取図である。
【図5】育成バットの説明図である。
【符号の説明】
1 育成バット収納棚
1A 中空管体
1B 収納部
10 連結具
10A 螺合具
10B スペーサー
2 育成バット
2A 底面
2B 突条
2C 餌料区画
2D 側辺
2E 排水口
2F 水位調節管
3 給水装置
3A 給水ポンプ
3B 給水管
Claims (2)
- 所要の水量を貯留でき且その底面に餌料の流動を防止するため突条により均等面積の餌料区画が形成され、且底面に対し60乃至90度の立設角度で側辺が形成され、而も底面の一方側端近傍に貯留水量を調節する排水口と該排水口に水位調節管が連結された育成バットを、所要の間隔を以って多段に且その排水口が交互に配位されるよう育成バット収納棚に収納させたうえ、それぞれの育成バット内に所要数のアワビ稚貝を移殖し且定時の給餌をなすとともに、最上段の育成バットの他方側より所要量の海水を給水せしめて順次下段の育成バットに排水流通させて育成を図ることを特徴とするアワビの育成方法。
- 強靭性と耐腐蝕性素材からなる中空管体を、適宜の連結具で所要の高さ及び幅並びに長さで、且適宜数の育成バットを多段収納しえる収納部が組立形成される育成バット収納棚と、合成樹脂素材で成形されその底面には1cm以下の突条により均等面積の餌料区画が形成されてなるとともに、その深さが15cm以下で且底面に対して60乃至90度の立設角度で側辺が形成され、更に底面の一方側端近傍には貯留水量を調節する排水口と該排水口に水位調節管が連結された育成バットと、育成バット収納棚の最上段に収納される育成バットの他方側に、所要量の海水を給水する給水ポンプ及び給水管とからなる給水装置とにより構成されるアワビの育成装置。
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