JP2004112934A - インバータ装置、及び、それを用いた照明システム - Google Patents

インバータ装置、及び、それを用いた照明システム Download PDF

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安井 伸志朗
Takuhiro Omi
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Abstract

【課題】照明装置及びイオン発生装置を備える車室内照明システムにおいて、インバータを共用化しつつ、照明装置及びイオン発生装置を適切に動作させる。
【解決手段】車室内照明システム1においては、照明装置41及びイオン発生装置43に共通するインバータ30が設けられている。入力調停部25は、照明装置の点灯中に、イオン発生装置に対する作動指令信号が入力されると、所定時間、インバータを用いて照明装置の動作を継続した後、出力切替部31を制御してイオン発生装置を駆動する。また、両装置に対する作動指令信号が同時入力されると、イオン発生装置に優先して照明装置を駆動する。この他、イオン発生装置の動作中に、照明装置に対する作動指令信号が入力されると、イオン発生装置の駆動を止めて、照明装置を駆動する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置及びイオン発生装置を駆動するためのインバータ装置、及び、それを用いた照明システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車室内には、照明装置が取り付けられている。このような照明装置には、インバータが設けられており、インバータは、直流電源であるバッテリから得た直流電力を照明装置に適合する駆動用の交流電力に変換し、その駆動用の電力を照明装置に供給して、照明装置を駆動する。
【0003】
ところで近年では、利用者の健康志向から、疲労の回復、細胞の活性化等を促すとされる負イオンを放出するイオン発生装置を照明装置に取り付けたものが開発されている(例えば、特許文献1)。
また、特に最近では、車室内にイオン発生装置を取り付けて、車内環境を向上させることが考えられている。
【0004】
しかしながら、車室内にイオン発生装置を取り付ける際には、イオン発生装置に対してもインバータを用意する必要があるため、インバータの設置スペース等を確保するのに困難が生じる場合があった。
即ち、イオン発生装置に対応するインバータを設けようとすると、車両天井部に設置された照明装置及びイオン発生装置の両装置に対して、複数のインバータを、その車両天井部に納めなければならないため、インバータの設置スペースが制限されたり、インバータが取り付けられないといった問題が生じるのである。
【0005】
一方、特許文献2には、モータ駆動装置において、インバータ回路を複数のモータに対して共用化する技術が開示されている。
したがって、特許文献2を参考にすれば、照明装置及びイオン発生装置に、共通してインバータを設けることで、インバータの設置スペースを小さくして、インバータの設置自由度を高めることが考えられる。
【0006】
【特許文献1】
実開昭58−171139号公報
【特許文献2】
特開平13−286175号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、照明装置及びイオン発生装置の場合には、特許文献2のモータ駆動装置とは異なり、両装置(照明装置及びイオン発生装置)の機能がまったく相違するから、単にインバータを共用化するだけでは不都合が生じる場合があった。
【0008】
つまり、インバータを共用化してインバータのサイズを小さくすると、両装置を同時駆動することが従来の方法ではできなくなってしまい、イオン発生装置の動作中に、照明装置が利用者の意図するように点灯しなくなるなどの問題が生じるのである。照明装置は、その用途から夜間などには即時に点灯させる必要性があり、利用者の意図するように照明装置が点灯しないと、利用者の不満が増大する。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑みなされたものであり、照明装置とイオン発生装置とを備える車室内において、インバータの設置スペースを抑え、インバータの設置自由度を高めると共に、そのインバータを用いて照明装置及びイオン発生装置を適切に動作させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載のインバータ装置には、照明装置及びイオン発生装置に共通して用いられるインバータが設けられている。このインバータは、各装置に駆動用の電力を供給可能な構成にされている。また、本発明(請求項1記載)のインバータ装置は、外部からの指令信号に基づいてインバータを制御し、各装置への電力供給を行う制御手段、を備えている。
【0011】
本発明(請求項1)では、上記制御手段をインバータと共に、インバータ装置に設けることにより、インバータを、照明装置及びイオン発生装置に対して共用化しつつ、外部からの指令信号に基づき照明装置及びイオン発生装置を適切に動作させることができるようにしている。
【0012】
本発明のように、照明装置及びイオン発生装置に共通してインバータを設ければ、インバータ内の一部回路を共用化することができるので、照明装置及びイオン発生装置の夫々に対応する別個のインバータを設ける場合よりも、全体としてインバータの設置スペースを抑えることができる。したがって、本発明(請求項1)によれば、インバータの設置自由度を高めることができる。
【0013】
また、本発明では、指令信号に基づき制御手段にて、インバータを制御し、インバータの出力を調整することができるから、その指令に従って、適切に照明装置及びイオン発生装置を駆動することができ、結果として、利用者の意図するように照明装置を点灯させることなどができる。
【0014】
特に狭い車室内などにインバータを取り付ける場合に、本発明のインバータ装置を用いると、上記効果が一層発揮され、適切にインバータを車両天井部などの車室内に取り付けることができる。
尚、各装置への電力供給方法としては、インバータ装置の用途などに応じてさまざまな態様が考えられるが、例えば、請求項2に記載のようにするとよい。
【0015】
請求項2に記載のインバータ装置は、請求項1に記載のインバータ装置において、制御手段が、外部からの指令信号に基づいて、インバータから照明装置及びイオン発生装置のいずれか一方に駆動用の電力を供給することを特徴とする。
請求項2に記載のインバータ装置によれば、外部からの指令に基づいて、照明装置又はイオン発生装置を切り替えて駆動することができる。したがって例えば、指令信号に基づき、利用者が照明装置の点灯を希望していると推定される場合には、イオン発生装置に対する電力供給をやめて、照明装置に適切に電力供給を行うことができる。
【0016】
また、本発明(請求項2)によれば、制御手段の動作が比較的単純であるので、開発者が制御手段の設計を簡単に行えるといったメリットがある。尚、請求項2に記載のインバータ装置における制御手段は、請求項3に記載のように構成されているのが一層好ましい。
【0017】
請求項3に記載のインバータ装置は、請求項2に記載のインバータ装置において、制御手段が、イオン発生装置に優先して、照明装置に、駆動用の電力を供給することを特徴とする。
請求項3に記載のインバータ装置によれば、制御手段が、イオン発生装置に優先して、照明装置に駆動用の電力を供給するため、例えば、照明装置の点灯中に、イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力された場合でも、必要に応じて照明装置への電力供給を継続することができる。つまり、請求項3に記載のインバータ装置によれば、イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力された場合でも、必要に応じて照明装置の点灯状態を維持することができる。
【0018】
したがって、請求項3に記載のインバータ装置によれば、イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力された際、利用者の不意に照明装置が消灯してしまうことがない。結果、本発明によれば、照明装置が意図するように点灯しないことによって利用者に不満が及ぶことが少ない。
【0019】
尚、イオン発生装置に優先して、照明装置に駆動用の電力を供給する場合には、照明装置の点灯中において、外部からのイオン発生装置に対する作動指令を無視するように、制御手段を構成してもよい。また、所定期間、そのイオン発生装置に対する作動指令を保留するように制御手段を構成してもよい。
【0020】
請求項4に記載のインバータ装置は、請求項3に記載のインバータ装置において、制御手段が、照明装置の動作(点灯)時に、イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、所定期間、イオン発生装置に優先して、照明装置に駆動用の電力を供給した後、照明装置に対する電力供給を止めて、イオン発生装置に駆動用の電力を供給することを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載のインバータ装置によれば、所定期間(例えば、一定時間)、照明装置に駆動用の電力を供給して、照明装置の点灯を維持した後に、電力供給先をイオン発生装置に切り替えてイオン発生装置を駆動するから、利用者の不意に突然、照明装置が消灯したりすることがなく便利である。また、所定期間経過すると、実行が保留されていた作動指令に基づいてイオン発生装置が動作するから、イオン発生装置が動作しないことによる利用者の不満もなく、便利である。
【0022】
一方、請求項5に記載のインバータ装置は、請求項3又は請求項4に記載のインバータ装置において、制御手段が、イオン発生装置の動作時に、照明装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、イオン発生装置に対する電力供給を止めて、照明装置に駆動用の電力を供給することを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載のインバータ装置によれば、照明装置に対する作動指令信号が入力された場合に、イオン発生装置に対する電力供給を止めて、照明装置に優先的に電力を供給し照明装置を駆動するから、照明装置に対する作動指令信号が入力されているにもかかわらず、照明装置が動作(点灯)しないといったことがない。つまり、本発明(請求項5記載)のインバータ装置によれば、即時動作の必要性の高い照明装置に対して優先的に電力を供給して照明装置を動作させることができるので、照明装置が点灯せずに利用者が不便に感じることがない。
【0024】
尚、請求項2〜請求項5のいずれかに記載のインバータ装置は、駆動用の電力を照明装置及びイオン発生装置のいずれか一方に供給するものであるが、請求項1に記載のインバータ装置は、照明装置及びイオン発生装置の両装置に、同時に電力供給する構成にされていてもよい。また、このような場合には、制御手段を、請求項6に記載のように構成すればよい。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のインバータ装置において、照明装置の動作時に、イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、制御手段が、インバータから照明装置への電力供給量を抑えて、イオン発生装置の駆動に必要な電力を確保し、その電力をインバータからイオン発生装置に供給することを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載のインバータ装置によれば、制御手段が、照明装置の照度を落とすなどして照明装置の消費電力を抑え、イオン発生装置に必要な電力分を確保し、照明装置及びイオン発生装置に同時に電力供給を行うから、イオン発生装置の作動指令信号が入力されたからといって、照明装置が勝手に消灯することがなく、便利である。
【0027】
一方、請求項7に記載の発明は、車両天井部に、車両室内を照明するための照明装置を備える照明システムであって、イオン発生装置と、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のインバータ装置と、を車両天井部に備えることを特徴とする。
【0028】
インバータの設置場所の問題は特に設置スペースの少ない車両内において発生しやすい。本発明(請求項7)の照明システムでは、請求項1〜請求項6に記載のインバータ装置を用いているから、スペースの少ない車両天井部に適切にインバータを取り付けることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について、図面とともに説明する。尚、図1は、本発明が適用された第一実施例の車室内照明システム1の構成を表すブロック図である。
【0030】
第一実施例の車室内照明システム1は、主に、車両天井部に設けられたインバータ装置10と、照明装置41と、イオン発生装置43と、からなっている。また、インバータ装置10は、主に、第一及び第二入力フィルタ部11,12と、制御部20と、インバータ30と、から構成されている。
【0031】
照明装置41は、車両天井部に設けられており、インバータ30から供給される電力で動作して、照明灯を点灯し、車室内を照明する。また、イオン発生装置43は、照明装置41と同様に車両天井部に設けられており、インバータ30から供給される電力で動作して、車室内に負イオンを放出する。
【0032】
インバータ30は、照明装置41及びイオン発生装置43に共通して設けられており、直流電源である車両内の図示しないバッテリから供給される直流電力を、各装置駆動用の交流電力に変換して出力することにより、各装置(照明装置41及びイオン発生装置43)に駆動用の電力を供給して、各装置を駆動する。インバータ30の出力端には、出力切替部31が設けられており、インバータ30は、この出力切替部31を介して照明装置41又はイオン発生装置43に電力供給を行い、各装置41,43を切り替えて駆動する。
【0033】
尚、出力切替部31は、制御部20の入力調停部25に制御されて出力を切り替え、照明装置41及びイオン発生装置43のいずれか一方に、駆動用の交流電力を供給する。この出力切替部31は、例えば切替スイッチにて構成される。
一方、第一入力フィルタ部11は、照明装置41の誤作動を防止するためのものである。第一入力フィルタ部11は、外部からの入力信号を監視し、所定条件が満足されると、その入力信号が外部から入力された照明装置41に対する指令信号であると判断して、その入力信号に対応する照明装置41のオン/オフ信号を制御部20に入力する。機械的な作動スイッチからの信号が入力される場合、電気的なノイズが接点にのりやすいため、第一入力フィルタ部11がない場合には、制御部20がノイズにより作動スイッチの状態を誤判定する可能性がある。本実施例の第一入力フィルタ部11は、このようなノイズ等の誤信号を排除して、照明装置41のオン/オフ信号を制御部20に入力するのである。
【0034】
尚、本実施例における第一入力フィルタ部11は、例えば、車両内のドアの開閉状態を検出するドア開閉センサ(図示せず)からの入力信号に対応して、照明装置41のオン/オフ信号を制御部20に入力する。また、照明装置41の図示しない作動スイッチの状態信号に対応して、照明装置41のオン/オフ信号を制御部20に入力する。
【0035】
また、第二入力フィルタ部12は、第一入力フィルタ部11と同様、イオン発生装置43の誤作動を防止するために設けられている。第二入力フィルタ部12は、外部からの入力信号を監視し、所定条件が満足されると、その入力信号が外部から入力されたイオン発生装置43に対する指令信号であると判断して、入力信号に対応するイオン発生装置43のオン/オフ信号を制御部20に入力する。例えば、第二入力フィルタ部12は、イオン発生装置43の図示しない作動スイッチの状態信号に対応して、イオン発生装置43のオン/オフ信号を制御部20に入力する。
【0036】
一方、制御部20は、照明装置制御部21と、イオン発生装置制御部23と、入力調停部25と、を備えている。この制御部20は、例えば、照明装置制御部21、イオン発生装置制御部23、及び、入力調停部25、の各部としての機能を実現させるためのプログラムをMPUに実行させることで実現される。
【0037】
照明装置制御部21は、第一入力フィルタ部11からの入力信号(即ち、オン/オフ信号)に基づき照明装置41の点灯及び消灯を制御する。第一入力フィルタ部11には、作動スイッチや、ドア開閉センサからの出力信号等、複数種類の入力があるため、照明装置制御部21は、それら複数種類の入力を管理して、照明装置41を点灯(若しくは消灯)すべきか判断する。
【0038】
尚、照明装置制御部21は、第一入力フィルタ部11からの入力信号に基づき、照明灯を点灯させるべきか判断し、点灯させる場合には、入力調停部25に照明装置に対する作動指令信号を入力する。また、照明装置制御部21は、第一入力フィルタ部11に入力された信号の種類等を判別し、所定条件で、照明装置41を消灯するための停止指令信号を入力調停部25に入力することにより、照明装置41を消灯したりする。
【0039】
例えば、ドアが開放されて、ドア開閉センサを介し、第一入力フィルタ部11から照明装置41に対するオン信号が入力されると、照明装置制御部21は、照明装置41を点灯させるために、照明装置41に対する作動指令信号を入力調停部25に入力する。また、ドアが閉鎖され、第一入力フィルタ部11から照明装置41のオフ信号が入力されると、照明装置41の消灯するための停止指令信号を入力調停部25に入力する。
【0040】
この他、照明装置41用の作動スイッチがオンになると、照明装置制御部21は、作動指令信号を入力調停部25に入力し、作動スイッチがオフになると、停止指令信号を入力調停部25に入力することにより、入力調停部25を介してインバータ30を制御し、照明装置41を消灯する。また、本実施例の照明装置制御部21は、外部から入力される調光信号に基づき、インバータ30を制御し、照明装置41における照明灯の照度を調整する。
【0041】
一方、イオン発生装置制御部23は、第二入力フィルタ部12からの入力信号に基づき、入力調停部25を介して、イオン発生装置43の駆動を制御する。第二入力フィルタ部12には、作動スイッチや、エアーコンディショナの状態信号等、複数種類の入力があるため、イオン発生装置制御部23は、それら複数種類の入力を管理して、イオン発生装置43の駆動を制御する。
【0042】
尚、イオン発生装置制御部23は、第二入力フィルタ部12からの入力信号に基づき、イオン発生装置43を駆動(オン)すべきであると判断すると、その作動指令信号を入力調停部25に入力する、また、イオン発生装置43の動作を停止(オフ)すべきであると判断すると、イオン発生装置43を停止するための停止指令信号を入力調停部25に入力する。
【0043】
一方、入力調停部25は、照明装置制御部21やイオン発生装置制御部23から作動指令信号が入力されると、図2に示す出力制御処理を実行し、その作動指令信号に基づいて出力切替部31を切替ると共に、インバータ30を制御して、インバータ30から照明装置41及びイオン発生装置43への電力供給を行う。尚、図2は、入力調停部25が実行する出力制御処理を表すフローチャートである。
【0044】
入力調停部25は、処理を実行すると、照明装置41に対する作動指令信号の入力があったか否か判断し(S110)、照明装置41に対する作動指令信号の入力あったと判断すると(S110でYes)、処理をS120に移して、出力切替部31の状態を表す切替状態信号に基づき、現在のインバータ30の出力が照明装置41側になっているかどうか判断する。
【0045】
ここで、出力が照明装置41側ではないと判断すると(S120でNo)、入力調停部25は、S130に処理を移して、インバータ30の出力切替部31を制御し、インバータ30の出力をイオン発生装置43側から照明装置41側に切り替えることによりインバータ30から照明装置41側に電力供給が行われるようにする。この後、入力調停部25は、S135で、インバータ30を駆動して照明装置41を点灯させ、その後に処理をS140に移す。
【0046】
一方、現在のインバータ30の出力が照明装置41側に設定されていると判断すると(S120でYes)、入力調停部25は、S130の処理を行わず、処理をS135に移して、照明装置41を点灯させ、その後にS140の処理を実行する。
【0047】
S140において、入力調停部25は、イオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されているかどうか判断し、入力されていなければ当該出力制御処理を終了する。一方、イオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されていると判断すると(S140でYes)、入力調停部25は、照明装置41から入力される照明灯の点灯/消灯状態を表す点灯状態信号に基づき、照明装置41が消灯しているか否か判断する(S150)。
【0048】
そして、消灯していないと判断すると(S150でNo)、入力調停部25は、当該出力制御処理の実行と共に作動するタイマの値に基づき、当該出力制御処理の実行後180秒経過している(即ち、時間T>180s)か否か判断する(S160)。そして、経過していると判断すると(S160でYes)、当該処理を終了し、経過していないと判断すると(S160でNo)、再びS150での判断を行う。
【0049】
一方、S150で照明装置41が消灯していると判断すると(S150でYes)、入力調停部25は、出力切替部31を制御して、インバータ30の出力を照明装置41からイオン発生装置43側へと切り替える(S210)。そして、インバータ30からイオン発生装置43に駆動用の交流電力を供給して、イオン発生装置43を駆動する(S215)。
【0050】
この他、入力調停部25は、S110で、照明装置41に対する作動指令信号の入力がないと判断すると(S110でNo)、処理をS170に移して、イオン発生装置43に対する作動指令信号の入力があるか否か判断し(S170)、ないと判断すると(S170でNo)、当該出力制御処理を終了する。
【0051】
一方、イオン発生装置43に対する作動指令信号の入力があったと判断すると(S170でYes)、入力調停部25は、S180で、インバータ30の出力が照明装置41側になっているか否か判断する。そして、インバータ30の出力が照明装置41側にはないと判断すると(S180でNo)、入力調停部25は、処理をS215に移し、インバータ30を駆動してイオン発生装置43を動作させ、その後に当該出力制御処理を終了する。
【0052】
一方、入力調停部25は、インバータ30の出力が照明装置41側にあると判断すると(S180でYes)、処理をS190に移して、照明装置41から得られる点灯状態信号に基づき照明装置41が消灯しているか否か判断する。ここで、消灯していると判断すると(S190でYes)、入力調停部25は、処理をS210に移して、出力切替部31を制御することにより、インバータ30の出力をイオン発生装置43側に切り替える。また、入力調停部25は、S215で、インバータ30を駆動してイオン発生装置43に電力供給を行い、イオン発生装置43を動作させる。
【0053】
また、入力調停部25は、S190で、照明装置41が消灯していないと判断すると(S190でNo)、S200で、タイマの値に基づき、当該出力制御処理の実行後60秒経過している(即ち、時間T>60s)かどうか判断する。
ここで、入力調停部25は、60秒経過していないと判断すると(S200でNo)、処理をS190に戻す。一方、入力調停部25は、60秒経過していると判断すると(S200でYes)、処理をS210に移して、インバータ30の出力を照明装置41側からイオン発生装置43側に切り替え、その後、S215にてインバータ30を駆動することにより、インバータ30からイオン発生装置43に駆動用の電力を供給し、イオン発生装置43を動作させる。この後、入力調停部25は、当該出力制御処理を終了する。
【0054】
以上、第一実施例の車室内照明システム1について説明したが、第一実施例では、インバータ30が照明装置41及びイオン発生装置43に共通して設けられており、入力調停部25が、照明装置制御部21及びイオン発生装置制御部23から入力された作動指令信号に基づき、インバータ30の出力を照明装置41及びイオン発生装置43のいずれか一方に切り替えて(S130,S210)、照明装置41及びイオン発生装置43のいずれか一方に駆動用の電力を供給する。
【0055】
結果、本実施例によれば、照明装置41及びイオン発生装置43の夫々に別個のインバータを設ける場合よりも、インバータ30の設置スペースを小さくすることができ、更には、インバータ30の共用化によっても照明装置41及びイオン発生装置43を適切に動作させることができる。
【0056】
特に、車室内は狭い空間であることから、本実施例のようにして、インバータ30を小型にすると、インバータ30及び制御部20を備えるインバータ装置10の設置自由度を高めることができる。従って、車室内の狭い車両天井部の空間を有効に利用して、インバータ装置10を取り付けることができる。
【0057】
また第一実施例によれば、照明装置41の点灯中(即ち、動作時)に、イオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されると、入力調停部25が、そのイオン発生装置43に対する作動指令信号に対応する処理の実行を保留し、まず所定時間、照明装置41を優先して、インバータ30から照明装置41に駆動用の電力を供給する(S190,S200)。
【0058】
そして、照明装置41の作動指令信号がなく照明装置41の点灯が継続する場合には、照明装置41の点灯を所定時間(本実施例では60秒)保った後、入力調停部25は、出力切替部31を制御してインバータ30の出力を切り替えることにより、照明装置41に対する電力供給を止めてイオン発生装置43に電力供給を行い、イオン発生装置43を駆動する(S210,S215)。
【0059】
この他、照明装置41に対する作動指令信号と、イオン発生装置43に対する作動指令信号と、が同時に入力された場合、入力調停部25は、イオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されているか否かにかかわらず、イオン発生装置43に優先して、まず照明装置41に対する作動指令信号に従い、照明装置41に電力供給を行う(S130,S135)。また、この処理後、照明装置41の点灯が所定時間(本実施例では180秒)継続する場合、入力調停部25は、そのイオン発生装置43に対する作動指令信号を無視して、出力制御処理を終了する。
【0060】
また、入力調停部25は、イオン発生装置43の動作時に、照明装置41に対する作動指令信号が照明装置制御部21から入力されると、出力制御処理のS130で、インバータ30の出力を強制的に照明装置41側に切り替えることにより、イオン発生装置43に対する電力供給を止め、インバータ30から照明装置41に優先的に駆動用の電力を供給する。
【0061】
したがって、第一実施例の車室内照明システム1よれば、イオン発生装置43に対する作動指令信号が外部から入力された際、照明装置41が点灯しなかったり、利用者の不意に照明装置41が消灯してしまうことがなく、利用者に対して照明装置41が意図するように動作しないことによる不満が及ぶことがない。
【0062】
特に、夜間などにおいては、照明装置41の即時動作の必要性の方がイオン発生装置43より高く、照明装置41が利用者の要求に応じてただち点灯しないと、照明装置41が点灯せずに利用者が不便に感じ、利用者の不満が発生することになる。本実施例では、上述のように電力供給を行うことにより、イオン発生装置43に優先して、照明装置41を駆動し、このような不満を解消しているのである。
【0063】
尚、第一実施例では、照明装置41及びイオン発生装置43に共通して設けられた単一のインバータ30を用いて、照明装置41及びイオン発生装置43の夫々に駆動用の交流電力を供給する構成としたが、照明装置41とイオン発生装置43とで完全にインバータを共用化できない場合には、上記インバータ30に加えて、第二のインバータ33を、イオン発生装置43若しくは照明装置41と、インバータ30との間に設けて、それら二つのインバータ30,33で、照明装置41及びイオン発生装置43の夫々を駆動すればよい。
【0064】
図3は、照明装置41及びイオン発生装置43に共通して設けられたインバータ30と、そのインバータ30とイオン発生装置43との間に設けられ、インバータ30から得た電力を、イオン発生装置駆動用の電力に変換して出力する第二のインバータ33と、を備える第二実施例の車室内照明システム1’及びインバータ装置10’の構成を表す説明図である。
【0065】
尚、インバータ30の制御と共に第二のインバータ33の制御を行うことを除けば、第二実施例の制御部20における入力調停部25’の動作は、第一実施例のそれと同一であるので、入力調停部25’の詳しい動作に関する説明は省略する。また、第二実施例における第一及び第二入力フィルタ部11,12の構成は第一実施例のそれと同一であるので、説明を省略することにする。
【0066】
第二実施例の車室内照明システム1’によれば、照明装置41とイオン発生装置43とでインバータ30を共用化する結果、第二のインバータ33を小型にすることができ、車両天井部においてインバータ30及び第二のインバータ33の設置自由度を高めることができる。
【0067】
続いて第三実施例の車室内照明システム50について説明することにする。図4は、第三実施例の車室内照明システム50の構成を表す説明図である。尚、第三実施例の車室内照明システム50は、入力調停部53及びインバータ60の構成を除けば、上記第一実施例の車室内照明システム1と略同様の構成にされているため、以下では、第一実施例の車室内照明システム1と同一構成の各部についての説明を省略することにする。
【0068】
第三実施例の車室内照明システム50におけるインバータ装置51には、第一実施例と同様に、照明装置41及びイオン発生装置43に共用されるインバータ60が設けられている。このインバータ60は、照明装置41及びイオン発生装置43の夫々に駆動用の電力を供給可能な構成にされており、出力端に、出力調整部61を備えている。即ち、このインバータ60は、図示しないバッテリから得た直流電力を各装置駆動用の交流電力に変換し、出力調整部61を介してその駆動用の電力を出力し、照明装置41及びイオン発生装置43に電力供給を行う。
【0069】
出力調整部61は、各装置駆動用の交流電力を照明装置41及びイオン発生装置43の夫々に適切に配分して供給するためのものであり、照明装置41及びイオン発生装置43の夫々に入力する電力量を制御部20の入力調停部53に制御されて調整する。
【0070】
入力調停部53は、照明装置制御部21から照明装置41に対する作動指令信号が入力されたり、イオン発生装置制御部23からイオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されると、図5に示す出力制御処理を実行し、インバータ60を制御して照明装置41及びイオン発生装置43への電力供給量を調整する。尚、図5は、入力調停部53が実行する出力制御処理を表すフローチャートである。
【0071】
入力調停部53は、処理を実行すると、照明装置41に対する作動指令信号の入力があったか否か判断し(S310)、作動指令信号があったと判断すると(S310でYes)、イオン発生装置43から入力される作動状態信号に基づいて、イオン発生装置43が現在動作中であるか否か判断する(S320)。
【0072】
そして、動作中ではないと判断すると(S320でNo)、入力調停部53は、インバータ60の出力調整部61を制御し、インバータ60から照明装置41にのみ駆動用の電力が供給されるようにして、照明装置41の照明灯を最大照度で点灯させる(S330)。その後、当該出力制御処理を終了する。
【0073】
一方、入力調停部53は、S320でイオン発生装置43が動作中であると判断すると(S320でYes)、出力調整部61を制御して、イオン発生装置43の駆動に必要な電力が継続してイオン発生装置43に供給されるようにすると共に、照明装置41の照明灯を最大照度の80%で点灯させるのに必要な電力が照明装置41に供給されるようにして、照明灯を最大照度の80%で点灯させる(S340)。その後、入力調停部53は、当該出力制御処理を終了する。
【0074】
尚、この記述からも理解できるように、本実施例のインバータ60の定格電力は、イオン発生装置43の駆動と同時に、照明装置41の照明灯を最大照度の80%で点灯させることが可能な程度に設定されている。
この他、入力調停部53は、S310で、照明装置41に対する作動指令信号の入力がなかったと判断すると(S310でNo)、処理をS350に移し、イオン発生装置43に対する作動指令信号が入力されているか否か判断し、作動指令信号が入力されていないと判断すると(S350でNo)、そのまま当該出力制御処理を終了し、入力されていると判断すると(S350でYes)、処理をS360に移す。
【0075】
そして、入力調停部53は、照明装置41が現在動作(点灯)中であるかどうか判断する(S360)。ここで、入力調停部53は、照明装置41が動作中ではないと判断すると(S360でNo)、出力調整部61を制御して、インバータ60からイオン発生装置43にのみ駆動用電力が供給されるようにし、イオン発生装置43を駆動する。一方、入力調停部53は、照明装置41が動作中であると判断すると(S360でYes)、処理をS370に移す。
【0076】
S370において、入力調停部53は、照明装置41の照度が最大照度の80%以下になっているか否かを、照明装置41からの点灯状態信号に基づいて判断し、80%以下になっていると判断すると(S370でYes)、イオン発生装置43の駆動に必要な電力を確保できるため、処理をS390に移して、インバータ60を制御し、インバータ60からイオン発生装置43に駆動用の電力が供給されるようにして、イオン発生装置43を駆動し、その後、当該出力制御処理を終了する。
【0077】
一方、入力調停部53は、S370において、照明装置41の照度が最大照度の80%以下ではないと判断すると(S370でNo)、S380にて、出力調整部61を制御し、照明装置41の照度を最大照度の80%にして照明装置41の駆動に必要な電力量を抑える。その後、処理をS390に移して、インバータ60からイオン発生装置43に駆動用の電力が供給されるようにし、イオン発生装置43を駆動する。そして、当該出力制御処理を終了する。
【0078】
以上、第三実施例の車室内照明システム50について説明したが、第三実施例では、照明装置41の動作時に、イオン発生装置43に対する作動指令信号がイオン発生装置制御部23から入力されると、入力調停部53が、インバータ60から照明装置41への電力供給量を抑えて(S380)、イオン発生装置43の駆動に必要な電力をインバータ60からイオン発生装置43に供給する(S390)から、イオン発生装置43に対しての作動指令信号が入力されても、照明装置41は、消灯しない。
【0079】
したがって、第三実施例の車室内照明システム50においては、インバータ60を照明装置41及びイオン発生装置43に対して共用化することにより、インバータ60の設置スペースを抑えることができると共に、照明装置41及びイオン発生装置43を同時動作させることができる。
【0080】
また、インバータ60の設置スペースを小さくすることができる結果、第三実施例の車室内照明システム50においては、インバータ装置51の設置自由度を高めることができ、インバータ60を車両天井部に、車両乗員に目立たないようにして適切に設置することができる。
【0081】
尚、第一〜第三実施例の制御部20における入力調停部25,53は、本発明の制御手段に相当する。以上、本発明の実施例について説明したが、本発明のインバータ装置及び照明システムは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0082】
例えば、第二実施例と同様に、第三実施例の車室内照明システム50において、第二のインバータを設けてもよい。このようにすれば、第二のインバータを小型にすることができ、車両天井部においてインバータ60及び第二のインバータの設置自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の車室内照明システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】第一実施例の入力調停部25が実行する出力制御処理を表すフローチャートである。
【図3】第二実施例の車室内照明システム1’の構成を表すブロック図である。
【図4】第三実施例の車室内照明システム50の構成を表すブロック図である。
【図5】第三実施例の入力調停部53が実行する出力制御処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1,50…車室内照明システム、10,51…インバータ装置、11,12…入力フィルタ部、20…制御部、21…照明装置制御部、23…イオン発生装置制御部、25,53…入力調停部、30,33,60…インバータ、31…出力切替部、41…照明装置、43…イオン発生装置、61…出力調整部

Claims (7)

  1. 照明装置及びイオン発生装置に共通して設けられ、該各装置に駆動用の電力を供給可能なインバータと、
    外部からの指令信号に基づいて前記インバータを制御し、前記各装置への電力供給を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記制御手段は、外部からの指令信号に基づいて、前記インバータから前記照明装置及び前記イオン発生装置のいずれか一方に前記駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記制御手段は、前記イオン発生装置に優先して、前記照明装置に、前記駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項2に記載のインバータ装置。
  4. 前記制御手段は、前記照明装置の動作時に、前記イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、所定期間、前記イオン発生装置に優先して、前記照明装置に前記駆動用の電力を供給した後、前記照明装置に対する電力供給を止めて、前記イオン発生装置に前記駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項3に記載のインバータ装置。
  5. 前記制御手段は、前記イオン発生装置の動作時に、前記照明装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、前記イオン発生装置に対する電力供給を止めて、前記照明装置に前記駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のインバータ装置。
  6. 前記制御手段は、前記照明装置の動作時に、前記イオン発生装置に対する作動指令信号が外部から入力されると、前記インバータから前記照明装置への電力供給量を抑えて、前記イオン発生装置の駆動に必要な電力を確保し、該電力を前記インバータから前記イオン発生装置に供給することを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  7. 車両天井部に、車両室内を照明するための照明装置を備える照明システムであって、
    イオン発生装置と、
    請求項1〜請求項6のいずれかに記載のインバータ装置と、
    を前記車両天井部に備えることを特徴とする照明システム。
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