JP2004111820A - 窒化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、AlとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部クラッド層と、InとGaとを含有する窒化物半導体を含む活性層とを基板上に順に設けた窒化物半導体発光素子において、下部クラッド層と活性層との間に、InとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部ガイド層を備え、下部ガイド層は、活性層の側から順に第1の層と第2の層とを有し、第2の層は過飽和吸収層として機能し、第2の層のInの含有率は、第1の層のInの含有率より大きいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自励発振特性を有する窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体レーザは発振波長が400nm前後であり、光ディスクシステム用として開発が進められている。光ディスクシステムなどの光源として用いる場合、ディスク面からの反射光が半導体レーザに再結合して生じる戻り光雑音が問題になっている。一般的に半導体レーザのキャリア密度を過渡状態にして、発振スペクトルの利得集中を緩和することで可干渉性を下げることが知られており、注入電流を変調する高周波重畳や、半導体レーザ内部のキャリアと光子の相互作用を用いて自励発振を行なうとよい。特に高周波回路を用いないため、後者の自励発振素子の方がコスト面や使い勝手において有利である。
【0003】
このような自励発振特性を有する窒化物半導体レーザはたとえば特開平9−191160号公報に紹介されている(特許文献1参照)。このレーザは、図17に示すように光ディスク用低雑音半導体レーザであり、InGaNを構成元素とした可飽和吸収層を有することで安定な低雑音半導体レーザを提供しており、構造はつぎのとおりである。
【0004】
図17において700はn型SiC基板に、n型AlN層701、n型AlGaNクラッド層702、n型GaN光ガイド層703、InGaN量子井戸活性層704、p型GaN光ガイド層705、p型AlGaNクラッド層706、p型GaNコンタクト層707が順次形成されている。またp型GaN光ガイド層705にはInGaN可飽和吸収層708が設けられている。
【0005】
また特開平9−191160号公報には、InGaN可飽和吸収層がn型GaNガイド層703にあってもよいと記載している。窒化物半導体レーザでは基板と活性層の間(以下、「活性層下部層」という。)はn型であって、活性層上部層はp型であることが一般的である。可飽和吸収層にはn層中に設けるn型可飽和吸収層およびp層中に設けるp型可飽和吸収層がある。
【0006】
ところで窒化物半導体レーザはAlとGaを主に含有するクラッド層と、活性層はInとGaを主に含有する層からなり、レーザ光を吸収する可飽和吸収層もInとGaを主に含有する層からなる。AlとGaを含有する層、あるいはGaを主に含有する層の成長温度はInとGaを主に含有する層に比べて、通常100℃以上高く、場合によっては300℃近く高い場合もある。そのため一連のエピタキシャル成長中の温度変化が大きい特徴がある。このような温度変化は活性層の状態を悪化させ、Inの偏析などを促進することがあるため、可飽和吸収層を設ける場合には成長手順に十分注意する必要がある。
【0007】
活性層のInの偏析が生じると、ゲインの悪化が生じるため自励発振しにくくなる。また、先例に従った構造では一部に自励発振しなくなるか、あるいは自励発振の観測される光出力が安定しない。さらに、特開平9−191160号公報においても、InGaN活性層とInGaN可飽和吸収層の間にはGaN層あるいはAlGaN層が設けられるため、熱履歴による悪影響が生じやすい。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−191160号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光出力が安定で、良好な自励発振特性を備える窒化物半導体発光素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、AlとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部クラッド層と、InとGaとを含有する窒化物半導体を含む活性層とを基板上に順に設けた窒化物半導体発光素子において、下部クラッド層と活性層との間に、InとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部ガイド層を備え、下部ガイド層は、活性層の側から順に第1の層と第2の層とを有し、第2の層は可飽和吸収層として機能し、第2の層のInの含有率は、第1の層のInの含有率より大きいことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の窒化物半導体発光素子は、下部クラッド層と活性層との間に、InとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部ガイド層を備え、下部ガイド層は、活性層の側から順に第1の層と第2の層とを有し、第2の層は可飽和吸収層として機能し、第2の層のInの含有率は、第1の層のInの含有率より大きい。かかる構成により、活性層およびn型可飽和吸収層の特性を安定させ、自励発振特性を良化させることが可能となる。
【0012】
良好な自励発振を得るためには可飽和吸収層が適当であること、活性層が適当であることが必要である。ここで適当な特性とは微分ゲインが大きく、かつキャリア寿命が最適であり、可飽和吸収層においては0.2nsから1.0ns程度、活性層においては1.0nsから3.0nsである。これらの性質はGaAsなどの他の材質の半導体レーザと大きく変わることはないが、このような特性を得るための成長方法および層構成において窒化物半導体で別途検討する必要がある。
【0013】
活性層はInとGaを主に含有し、エピタキシャル成長温度はおよそ650℃〜850℃程度であり、一般的に活性層に隣接する層はAlとGa、あるいはGaを主に含有し、エピタキシャル成長温度は900℃以上であることが多く、本明細書においても1075℃で実施している。なお本明細書における「主に含有している」とは、記載された原料が少なくとも99%含まれており、添加される不純物が異なっていてもよく、活性層に1%以下のAlが混在していてもよいことを意味する。
【0014】
ところで活性層とは発光に寄与している層を示し、量子井戸では電子の広がりを考慮した層を示すことが本質的であるが、本明細書においては、特に記載しない限り井戸層のみであっても障壁層をも含んでいてもよい。またいくつかの量子井戸によって形成される多重量子井戸では両端に位置する井戸層から井戸層までであっても障壁層から障壁層までであってもよい。
【0015】
活性層の特性を良好に保つためにはGa、あるいはAlとGaを主に含有する層と格子定数の違いから生じる歪みの影響、および活性層成長後の温度変化、熱履歴の影響に注意する必要がある。一方、可飽和吸収層を良好に保つためには活性層に求められる条件に加えてキャリア寿命を短くする必要がある。
【0016】
活性層の歪み削減には活性層下部層にバッファの役目をするガイド層を設けることが良く、InとGaを主に含有する層であることが望ましい。特にガイド層内に活性層の井戸層のInの含有率に近い層を挿入すると効果的である。また活性層成長後にはAlとGaを主に含有するキャリアブロック層(Alの含有率は0.15以上、望ましくは0.2以上)があって、Gaを主に含有するp型ガイド層、AlとGaを主に含有するp型クラッド層、およびGaを主に含有するp型コンタクト層が設けられる。これらの層は前述のように900℃以上でエピタキシャル成長されることが多く、少なからず活性層の状態に変化を誘発すると考えられる。活性層などのInを含有する窒化物層ではInがエネルギー的に安定な偏析された状態になりやすく、活性層成長速度を適当にして層内でのInの拡散を考慮したり、成長中に中断して積極的に偏析を調整したりする。一方、活性層成長後の温度変化も活性層の状態変化に寄与する虞があり、特に成長温度を激しく上下させるような工程は活性層の特性を維持するのが困難になるばかりでなく、悪化させる。
【0017】
たとえばp型可飽和吸収層を挿入する場合には、InとGaを主に含有する層であって、成長温度は650℃以上850℃以下である。p型可飽和吸収層は、キャリアブロック層より上部に形成されるため活性層成長後にすくなくとも1回の降温過程が生じる。前述の理由によりp型可飽和吸収層を設ける窒化物半導体レーザにおいて、活性層を安定に成長することは非常に難しい。
【0018】
本発明においてはn型可飽和吸収層を設ける窒化物半導体レーザであってn型可飽和吸収層近辺の層構造、n型可飽和吸収層上部の層構造を詳細に検討することで良好な自励発振特性を得ることを可能とする。
【0019】
具体的にはGaN基板上にAlとGaを主に含有するn型クラッド層があって、さらにGaを主に含有するn型ガイド層が数十nm積層され、(ただしn型ガイド層は省略してあってもよい)、その後、成長温度を730℃程度に降温したのちInとGaを主に含有するn型可飽和吸収層を設ける。n型可飽和吸収層の成長温度は650℃から850℃程度であればよい。ここで基板はGaNに限定されるものではなく、サファイア、SiC、GaAs、Si、ZrB2などであってもよい。ただしこれらの基板であれば、それぞれn型クラッド層下部に適切な窒化物層が挿入される。
【0020】
n型可飽和吸収層成長から活性層成長までの過程において、極力成長温度変化を抑えることでn型可飽和吸収層のInの偏析を防止できるため、n型可飽和吸収層の微分ゲインは高く保たれる。そのため吸収により生成したキャリアに対応した吸収係数の変化を大きくできる。これによって窒化物半導体レーザは自励発振特性を得やすくなる。一方、n型可飽和吸収層成長後の温度変化を極力抑え、InとGaを主に含有する層を成長後に活性層を成長することによって、基板および活性層下部のAlとGaを主に含有する層、あるいはGaを主に含有する層から活性層がうけている歪みを緩和することができる。特にn型可飽和吸収層はInの含有率が活性層とほぼ同様であって、活性層はより歪みの少ない条件で成長できる。
【0021】
ところで活性層下部にInの含有率が活性層とほぼ同様であって、レーザ光をほとんど吸収しない層をさらに設けると、より活性層のInの偏析が緩和され、良好な自励発振特性が得られる。このような層はn型可飽和吸収層の上部でも下部でもよく、下部に設ける場合にはn型可飽和吸収層の特性向上も期待できる。
【0022】
一方、n型可飽和吸収層は吸収により生成したキャリアを速やかに緩和させることが望ましい。本発明においてはn型可飽和吸収層近辺に結晶性の悪い層を設けることで、吸収により生成したキャリアがトンネル効果により結晶性の悪い層から緩和することができる。具体的にはn型可飽和吸収層下部層において100℃以上成長温度変化のある境界があって、境界よりも上層はn型可飽和吸収層とほぼ同様な成長温度からなる。n型可飽和吸収層から100℃以上高温成長された層は、AlとGaと主に含有する層とGaを主に含有する層を示すものである。境界とn型可飽和吸収層との間隔を0nm〜20nm、望ましくは2nm〜10nmとすることにより適当なキャリア寿命が期待される。本発明における窒化物半導体レーザでは、n型可飽和吸収層に生成したホールおよびエレクトロンのうち、少数キャリアであるエレクトロンはトンネル効果により結晶性の悪い層、あるい境界から非輻射により緩和すると考えられる。
【0023】
他方、n型可飽和吸収層下部、あるいは上部におけるn型可飽和吸収層から0nm〜20nm、望ましくは2nm〜10nmの位置で成長中断を行ない、さらに温度履歴を与えてもn型可飽和吸収層のキャリア寿命低減に効果が期待される。たとえばn型可飽和吸収層成長後に成長温度一定のまま、InとGaを主に含有し、Inの含有率がn型可飽和吸収層よりも少ない層を上記の間隔分成長し、その後成長中断しながら基板温度を900℃程度に上げ、再度730℃程度に降温する。その後InとGaを主に含有し、Inの含有率がn型可飽和吸収層よりも少ない層を成長する。このような温度履歴の界面ではInの偏析が起きやすく、結晶性が悪化するためにn型可飽和吸収層に生成したキャリアがトンネル効果により緩和しやすくなる。なお成長中断のみでも効果が期待できる。
【0024】
また、前記活性層下部にInの含有率が活性層とほぼ同様であって、レーザ光をほとんど吸収しない層をキャリアの緩和を促進する層として用いることもできる。このような用途に用いる場合には、不純物濃度を1×1020cm−3以上にしたり、成長温度を下げるとよい。不純物濃度を高くすることで輻射遷移確率が高くなるが、前述のように過度に上げることで非輻射遷移確率の増加も期待される。一方不純物濃度を1×1016cm−3以下にしても非輻射遷移確率の増加が期待され、n型可飽和吸収層からトンネリングしたキャリアが緩和しやすくなる。
【0025】
ところでn型可飽和吸収層から活性層までは成長温度変化を極力抑えているため、AlとGaを含有する層、あるいはInが含まれなくGaを主に含有する層を成長することが難しいため、窒化物半導体レーザに設けられる上下の電極から注入されるキャリアがn型可飽和吸収層に入ることを防止する必要がある。InとGaを主に含有するn型の層におけるホールの移動度は低いため、n型可飽和吸収層と活性層をすくなくとも20nm以上離すとよい。ここで離間距離はn型可飽和吸収層の最上部の井戸層の層上部から活性層の最下部井戸層の最下部までの距離を示す。
【0026】
さらに、活性層の特性改善のために活性層とキャリアブロック層の間にInとGaを主に含有するp型層があってもよく、活性層とほぼ同様の成長温度であることが望ましい。p−InGaN層を設けることで、活性層の光閉じ込め係数を大きくすることができる。本発明ではn側のみInとGaを主に含有するガイド層を設ける非対称ガイド層構造であるため、垂直方向の光分布の中心が活性層よりも基板側に移動しやすい。よって、活性層上部かつp型キャリアブロック層下部にInとGaを主に含有する層を設けると効果がある。この新たに挿入される層は望ましくはp型がよいが、ノンドープ層、あるいはn型であっても効果は期待できる。
【0027】
なお本明細書内で「n型可飽和吸収層から活性層までは成長温度変化を極力抑えている」とあるが、前述の成長中断時の温度変化は成長していないので矛盾していない。また、n型可飽和吸収層の不純物濃度は一定であるが、不純物濃度を高くすると輻射遷移確率が増加するため良好な自励発振特性が得られる。
【0028】
実施の形態1
図1(a)は実施の形態1における半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極1、n−GaN基板2、n−GaN層3、n‐AlGaNクラッド層4、n‐GaNガイド層5、n‐InGaN第3の層6、n‐InGaN第2の層7、n‐InGaN第1の層8、n‐InGaN活性層9、p‐AlGaNキャリアブロック層10、p‐GaNガイド層11、p‐AlGaNクラック層12、p‐GaNコンタクト層13、絶縁層14、p電極15である。n‐InGaN活性層9は障壁層と井戸層からなり、多重量子井戸(MQW)構造である。図1(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。第3の層6と第1の層8のInの含有率は同じにしている。
【0029】
本明細書中で記載するエピタキシャル成長法とは、基板上に結晶膜を成長する方法であって、VPE(気相エピタキシャル)法、CVD(化学気相デポジション)法、MOVPE(有機金属気相エピタキシャル)法、MOCVD(有機金属化学気相デポジション)法、Halide−VPE(ハロゲン化学気相エピタキシャル)法、MBE(分子線エピタキシャル)法、MOMBE(有機金属分子線エピタキシャル)法、GSMBE(ガス原料分子線エピタキシャル)法、CBE(化学ビームエピタキシャル)法を含む。
【0030】
第2の層のInの含有率を変更して自然放出光の半値全幅の変化を調べたところ、第2の層の実質的なバンドギャップEg2が活性層の実質的なバンドギャップEg0とほぼ同様のときもっとも半値全幅が狭くなることが分かる。実質的なバンドギャップはPL(フォトルミネッセンス)測定で調べている。その結果活性層の特性向上に効果が見られる条件は
Eg0−0.35eV≦Eg2≦Eg0+0.35eV
であればよい。
【0031】
自然放出光の半値全幅と、第2の層のInの含有率をSIMSにより測定して比較したところ、第2の層のInの含有率をIn(x)2、活性層のInの含有率をIn(x)0として、
In(x)0−0.10≦In(x)2≦In(x)0+0.10
であれば活性層の特性向上に効果がある。
【0032】
しかしながら良好な自励発振特性を維持するためには
Eg0−0.15eV≦Eg2≦Eg0+0.02eV
であることが望ましく、レーザ光を適切に吸収することができる。第1の層8のInの含有率をIn(x)1、第3の層6のInの含有率をIn(x)3としたとき、
In(x)1<In(x)2
In(x)3<In(x)2
であると、良好な自励発振特性を維持する上で好ましい。
【0033】
また、第1の層8の実質的なバンドギャップをEg1、活性層の実質的なバンドギャップをEg0として、活性層のキャリア閉じ込めのために
Eg1>Eg0
であるとよい。
【0034】
また実施の形態1における第2の層の層厚L2は
0.5nm≦L2≦5nm
であれば良好な自励発振特性が期待できる。第2の層が5nm以上ではエレクトロンとホールの空間的な分布の重なりが減るために、量子効果が弱まり微分ゲインが小さくなると考えられる。また0.5nm以下でInGaN層を形成すると、Inの原子半径がGaおよびNよりも大きいために平坦性が悪化し、微分ゲインが小さくなると考えられる。
【0035】
次に第2の層の位置を変更する。第2の層の最上部(p電極側)から活性層の最下部(n電極側の井戸層の端)までの距離をL1として調べた。その結果
L1<20nm
では電流注入時に第2の層からの自然放出光(EL:エレクトロルミネッセンス)が観測された。通常、n−InGaN第3の層6およびn−InGaN第1の層8においてホールの移動度は低いが、この範囲では注入されるホールが第2の層7に注入されてしまうようである。これにより閾値が上昇するため、L1は
L1≧20nm
が望ましい。一方、第2の層と活性層の間隔を広くしていくと、第2の層の光閉じ込め係数が小さくなるため光子密度の時間的な変調作用が弱まり、自励発振しにくくなる。そのため
L1<200nm
であることが望ましい。
【0036】
次にn−InGaN第3の層6および、n−InGaN第1の層8の成長条件を検討する。第2の層7および活性層9の成長温度を固定してn−InGaN下部第3の層6および、n−InGaN第1の層8の成長温度を変更した。下部ガイド層の成長開始から活性層の成長開始までの成長温度の変化をΔTとして定義すると、温度差ΔTが
ΔT>80℃
になると、自然放出光の半値全幅が増大し、図3のように440nm以上の発光成分がみられる。この成分は活性層のバンドテールか、Inの組成揺らぎの影響と考えている。また、発光強度が低下する。このため、
ΔT≦80℃
が望ましい。
【0037】
ここで言う下部ガイド層とは、下部グラッド層4と活性層9の間に挟まれた層であり、n−GaNガイド層を有するときは、n−GaNガイド層5と活性層9の間に挟まれた層である。また、InとGaを主に含有する層であって、第3の層、第2の層、第1の層を含む。ただし、第3の層が省かれている場合には第2の層、第1の層が下部ガイド層である。
【0038】
第2の層7および活性層9の成長温度を高くした場合、先の温度差の範囲内でも自然放出光の半値幅が増大することがわかる。検討したところ下部ガイド層の成長開始から活性層の成長開始までの各層の成長温度Tは
T≦830℃
であることが望ましい。ここで、成長温度とは、成長時のウェハの温度のことである。n−AlGaNクラッド層などnガイド層と基板の間の層構造が変わっても本発明の効果は期待できる。また、n−InGaN第3の層6、n−InGaNn第2の層7、n‐InGaN第1の層8に含まれる不純物が異なっていても、n型の特性であれば本発明の効果は期待できる。さらに、n−InGaN第3の層6およびn‐InGaN第1の層8からInを除いた場合でも、n−InGaN第2の層7により自然放出光の半値全幅、発光効率の向上が期待できるが、本発明の構造よりは悪化する。
【0039】
実施の形態1ではGaN基板を用いているが、サファイア、SiC、GaAs、Si、ZrB2などの基板であってもその効果は期待できる。通常これらの基板を用いる場合には基板上にバッファ層があり、その上にAlとGaとを含有するn型窒化物層を設ける。
【0040】
次に第2の層7を多重量子井戸構造にすると、このように製作された窒化物半導体レーザは閾値以下で動作させたときの自然放出光スペクトルが単峰的であって、光出力5mWでRIN<‐125dB/Hzが期待される。また自励発振特性が安定に得られる。図4は本構造におけるエネルギーレベルを示す図である。
【0041】
多重量子井戸からなる第2の層407の実質的なバンドギャップEg2`、井戸層のInの含有率をIn(x)2`とすると
Eg0−0.15eV<Eg2`<Eg0+0.02eV
かつ
In(x)0−0.10<In(x)2`<In(x)0+0.10
であって、第1の層408のバンドギャップEg1、第3の層406のバンドギャップEg3として、
Eg1>Eg2`
Eg3>Eg2`
であれば、良好な自励発振特性が得られる。n型可飽和吸収層の最上部(p電極側)から活性層の最下部(n電極側の井戸層の端)までの距離をL1‘とすれば
L1‘>20nm
であるとよく、多重量子井戸のそれぞれの井戸層厚L2`は
0.5nm≦L2`≦5.0nm
であると、良好な自励発振特性が得られる点で望ましい。
【0042】
本明細書における窒化物半導体レーザはリッジ構造を用いている。本構造ではリッジ部による電流狭窄と、作りつけの屈折率差により屈折率導波路構造をなしている。しかしながら、本発明の効果はリッジ構造に限ったものではなく、実施の形態1で記載している層構造であって、レーザ発振が得られていればよい。すなわち、図1において、ストライプ電極による利得導波路構造であったり、リッジ構造の絶縁層14がAlとGa、あるいはGaを主に含有する層からなる同一屈折率埋め込み構造であったり、ブロック構造であってもよく、公知の半導体レーザの光閉じ込め技術を適用することができる。ただし、第2の層の光閉じ込め係数が変化しないように各層の層厚を若干調整する必要があるが、実施の形態1で特に層厚を規定した層に関しては、その範囲に従うものとする。すなわち、第1の層8、第2の層7および第1の層6についてである。
【0043】
またレーザ光の層構造に対して、水平方向の分布はリッジ幅に依存してあり、第2の層の可飽和吸収特性に影響する。しかしながら、前述のL2の範囲内にあれば最適な条件があり、本発明の効果は0.5μm〜8.0μm程度のリッジ幅(電流狭窄幅などを含む)であればよい。図5は半導体レーザをp電極上面から見た図である。図のようにリッジ幅が長手方向に少なくとも2通り以上ある、変調ストライプ構造であってもよい。このように可飽和吸収層を備える半導体レーザに変調ストライプ構造を設けると、リッジ幅が広い領域Aと、リッジ幅が狭い領域Bがあって、領域A下の可飽和吸収層における光子密度SA、領域B下の可飽和吸収層における光子密度SBとして
SA>SB
であり、すなわち、領域A下の可飽和吸収層は可飽和吸収しやすくなる。一方領域B下の可飽和吸収層は高出力まで可飽和吸収しにくいために、低出力から高出力まで自励発振する半導体レーザを得ることができる。
【0044】
図6は半導体レーザを横方向から見た図である。図のように長手方向にリッジ脇の膜厚が少なくとも2通り以上ある半導体レーザであってもよい。リッジ脇の膜厚とはリッジ脇領域における活性層最上部から絶縁層までの距離である。このように製作された半導体レーザのうち、リッジ脇の膜厚が小さい領域Cと、リッジ脇の膜厚が大きい領域Dがあって、領域C下の可飽和吸収層における光子密度SC、領域D下の可飽和吸収層における光子密度SDとして
SC>SD
であり、すなわち、領域C下の可飽和吸収層は可飽和吸収しやすくなる。一方領域D下の可飽和吸収層は高出力まで可飽和吸収しにくいために、低出力から高出力まで自励発振する半導体レーザを得ることができる。図5および図6に用いたレーザ構造はともにストライプ長手方向に光分布の異なる領域があって、それぞれの領域で可飽和吸収層の光子密度が異なる特徴をもっている。本特性を有する構造はすべて良好な自励発振レーザとして用いることができる。
【0045】
実施の形態1の効果は多重量子井戸活性層の井戸層数が1から10であって、ひとつの井戸幅が1から10nmであればよく、つぎに記載する実施の形態2〜10においても同様である。
【0046】
実施の形態2
実施の形態2では実施の形態1において、第2の層の近辺の成長条件を検討する。まず、実施の形態1において、図1に示すようにn−InGaN第3の層6の層厚L3を20nmより厚くすると、製作された窒化物半導体レーザは自励発振するものの、自励発振の観測される光出力の範囲が狭くなる。このような現象を生じる理由はいくつか考えられるが、今回のケースにおいては第2の層7におけるキャリア寿命が長くなったのではないかと考えられる。すなわち、
0≦L3≦20nm
であって、第3の層は上面は第2の層に隣接し、下面はAlとGaを主に含む層、あるいはGaを主に含む層と隣接していれば良好な自励発振が得られる。
【0047】
ところでn−InGaN第3の層6にはp型の不純物あわせて添加してもよい。これによりレーザ光を吸収して第2の層に生成したキャリアが第3の層にトンネリングしやすく、第2の層のキャリア寿命を短くすることができる。
【0048】
実施の形態3
実施の形態3では実施の形態1におけるn−GaNガイド層を省略した構造を検討する。図7(a)は半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。また図7(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。n−GaNガイド層は光の伝播モードに影響しており、活性層の閉じ込め係数を左右している。特にn−InGaN第3の層706のInの含有率、およびn−InGaN第1の層708のIn含有率が大きい場合には層構造にたいして垂直な光分布が基板側に移動しやすくなるため、n−GaNガイド層を薄くしたり省略するとよい。
【0049】
このように製作された窒化物半導体レーザは閾値以下で動作させたときの自然放出光スペクトルが単峰的であって、光出力5mWでRIN<‐125dB/Hzが期待される。また自励発振特性が安定に得られる。このように本発明で目的としている良好な雑音特性を得るには、n−GaNガイド層は省略してあってもよい。
【0050】
実施の形態4
実施の形態4では実施の形態1におけるn−InGaN第1の層のInの含有率を変更した構造を検討する。図8(a)はn−InGaN第1の層808のInの含有率を下げた場合の半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図8(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。図9(a)はn−InGaN第1の層908のInの含有率を上げた場合の半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図9(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。図10(a)はn−InGaN第1の層108のInの含有率が単一でなく、2つ以上のInの含有率が異なる領域がある場合の半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図10(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。図11(a)はn−InGaN第1の層158のInの含有率が連続的に変化している場合の半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である図11(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。
【0051】
第1の層は活性層におけるキャリア閉じ込め効果を得るため、少なくとも
Eg0<Eg1
であるが、望ましくは前記活性層の障壁層のInの含有率In(x)0‘として
0<In(x)0`−0.02≦In(x)1≦In(x)0`+0.02
であるとよい。
【0052】
このように製作された窒化物半導体レーザは閾値以下で動作させたときの自然放出光スペクトルが単峰的であって、光出力5mWでRIN<‐125dB/Hzが期待される。n−InGaN第1の層は第2の層から活性層成長における成長過程において成長温度変化を極力抑えるためにInをわずかに混晶させているため、その含有率は狭域に限定されるものではないが、上記範囲よりもInの含有率が大きい場合には活性層へのキャリア閉じ込め効果が低下するため閾値上昇につながる。
【0053】
実施の形態5
実施の形態5では実施の形態1における第3の層に、第3の層よりもInの含有率が大きい第4の層を含有する場合を検討する。図12(a)は半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図12(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。
【0054】
実施の形態1において第2の層は基板やn−AlGaNクラッド層およびn−GaNガイド層から活性層にかかる歪みを緩和する役割も果たしてあって、実施の形態5における第4の層250はその効果を助長するものである。また第4の層250を設けることにより、第2の層257にかかる歪みも緩和されるために、可飽和吸収層として機能する第2の層257は、微分ゲインが大きく、良好な自励発振特性をもたらす。なお第4の層250の実質的なバンドギャップは活性層の実質的なバンドギャップよりも大きく、レーザ光にたいする吸収係数は非常に小さい。
【0055】
具体的には第4の層250の実質的なバンドギャップをEg4、Inの含有率をIn(x)4とした場合、
Eg0−0.05eV<Eg4
かつ
In(x)3<In(x)4
かつ
In(x)0−0.10<In(x)4<In(x)0+0.10
であればよい。
【0056】
このように製作された窒化物半導体レーザは実施の形態1に対して、閾値以下の動作で観測される自然放出光の半値全幅の狭化を促進するものであり、安定な自励発振特性が期待される。なお、実施の形態5では第4の層250は単一量子井戸からなるが、多重量子井戸構造であったり、複数の実質的なバンドギャップの異なる層からなっていてもよく、その場合にはそれぞれの層が、Eg4とIn(x)4からなる条件をみたしていればよい。
【0057】
ところで、第4の層250は可飽和吸収層として機能している第2の層257の近傍に位置しているため、レーザ光を吸収して第2の層257に生成したキャリアが第4の層250へトンネリングすることが期待される。第4の層250のキャリア寿命が短い場合には、すなわち第2の層257のキャリア寿命を短くできるために、自励発振しやすくなる。
【0058】
第4の層のキャリア寿命を短くする方法として、たとえば不純物の添加量を変更したり、成長温度を下げたりするとよい。第4の層の不純物を1×1016cm−3以下にすると、第4の層の結晶性が低下し、非輻射再結合が増大するためキャリア寿命が短くなる。一方第4の層の不純物濃度を1×1020cm−3以上にすると、輻射遷移確率が上がるほか、結晶性が低下し、総じてキャリア寿命が短くなる。このように第4の層と第2の層の不純物濃度を変えることで、第2の層のキャリア寿命を短くすることができるため、良好な自励発振特性が得られる。
【0059】
第4の層のキャリア寿命を短くする方法として、たとえば第4の層の成長温度を第2の層の成長温度以下にするとよい。特に活性層の発光効率を高くするために条件出しされた成長温度に対して、少なくとも20℃以上下げることで第4の層の結晶性が低下するため、キャリア寿命が短くなる。これにより第2の層のキャリア寿命を短くすることができるため、良好な自励発振特性が得られる。
【0060】
第4の層のキャリア寿命を短くする方法として、n型の不純物に加えて、p型の不純物を同時に少量添加してあってもよい。これにより第4の層のキャリア寿命が短くなり、良好な自励発振特性が得られる。
【0061】
実施の形態6
実施の形態6は実施の形態5における第4の層を可飽和吸収層として用いる場合について検討する。図13は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。第4の層350を可飽和吸収層として用いることで、第2の層と合わせて吸収特性を制御しやすい。一方、第2の層と第4の層で吸収特性を変えることで、低出力から高出力まで自励発振する窒化物半導体レーザが得られる。なお、可飽和吸収層として機能する第4の層は、実施の形態1に記載の第2の層に従う。
【0062】
実施の形態7
実施の形態7では実施の形態1における第1の層と、第2の層の間に、活性層側から順に、第1の層よりもInの含有率が大きい第5の層を積層し、さらに第5の層および第2の層よりもInの含有率が小さい第6の層を積層する場合について検討する。図14(a)は半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図14(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。
【0063】
実施の形態1において第2の層は基板やn−AlGaNクラッド層およびn−GaNガイド層から活性層にかかる歪みを緩和する役割も果たしていて、実施の形態7における第5の層471はその効果を助長するものである。なお第5の層471の実質的なバンドギャップは活性層の実質的なバンドギャップよりも大きく、レーザ光にたいする吸収係数は非常に小さい。
【0064】
具体的には第5の層471の実質的なバンドギャップをEg5、Inの含有率をIn(x)5とした場合、
Eg0−0.05eV<Eg5
かつ
In(x)1<In(x)5
かつ
In(x)6<In(x)5
かつ
In(x)0−0.10<In(x)5<In(x)0+0.10
であればよい。
【0065】
このように製作された窒化物半導体レーザは実施の形態1に対して、閾値以下の動作で観測される自然放出光の半値全幅の狭化を促進するものであり、安定な自励発振特性が期待される。なお、実施の形態7では第5の層471は単一量子井戸からなるが、多重量子井戸構造であったり、複数の実質的なバンドギャップの異なる層からなっていてもよく、その場合にはそれぞれの層がEg5とIn(x)5からなる条件をみたしていればよい。
【0066】
次に第5の層の位置を変更する。第5の層の最上部(p電極側)から活性層最下部(n電極側の井戸層の端)までの距離をL5として調べると、
L5<20nm
では電流注入時に第5の層からの自然放出光(EL:エレクトロルミネッセンス)が観測される。通常、n−InGaN第1の層458においてホールの移動度は低いが、その範囲では注入されるホールが第5の層471に注入されてしまうようである。これにより閾値が上昇するため、前記L5は
L5≧20nm
が望ましい。一方、第6の層472は、第5の層471および第2の層457よりもInの含有率が少ないものが好ましい。このように製作された窒化物半導体レーザは実施の形態1に対して、より安定な自励発振特性が期待される。
【0067】
ところで、第5の層471は可飽和吸収層として機能している第2の層457の近傍に位置しているため、レーザ光を吸収して第2の層457に生成したキャリアが第5の層471へトンネリングすることが期待される。第5の層471のキャリア寿命が短い場合には、すなわち第2の層457のキャリア寿命を短くできるために、自励発振しやすくなる。
【0068】
第5の層のキャリア寿命を短くする方法として、たとえば不純物の添加量を変更したり、成長温度を下げたりするとよい。第5の層の不純物を1×1016cm−3以下にすると、第5の層の結晶性が低下し、非輻射再結合が増大するためキャリア寿命が短くなる。一方第5の層の不純物濃度を1×1020cm−3以上にすると、輻射遷移確率が上がるほか、結晶性が低下し、総じてキャリア寿命が短くなる。このように第5の層と第2の層の不純物濃度を変えることで、第2の層のキャリア寿命を短くすることができるため、良好な自励発振特性が得られる。
【0069】
第5の層のキャリア寿命を短くする方法として、たとえば第5の層の成長温度を第2の層の成長温度以下に下げるとよい。特に活性層の発光効率を高くするために条件出しされた成長温度に対して、少なくとも20℃以上下げることで第5の層の結晶性が低下するため、キャリア寿命が短くなる。これにより第2の層のキャリア寿命を短くすることができるため、良好な自励発振特性が得られる。
【0070】
第5の層のキャリア寿命を短くする方法として、n型の不純物に加えて、p型の不純物を同時に少量添加してあってもよい。これにより第5の層のキャリア寿命が短くなり、良好な自励発振特性が得られる。
【0071】
実施の形態8
実施の形態8は実施の形態7における第5の層を可飽和吸収層として用いる場合について検討する。図15は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。第5の層571を可飽和吸収層として用いることで、第2の層557と合わせて吸収特性を制御しやすい。一方、第2の層557と第5の層571で吸収特性を変えることで、低出力から高出力まで自励発振する窒化物半導体レーザが得られる。なお、可飽和吸収層として機能する第5の層は実施の形態1に記載の第2の層に従う。
【0072】
実施の形態9
実施の形態9は、実施の形態1において活性層とp型キャリアブロック層の間にp−InGaN第7の層を設ける場合について検討する。すなわち、図16に示すように、第7の層673を活性層659の上部に活性層659に隣接して成長させる。図16(a)は半導体レーザ素子を共振器方向から見た断面図である。図16(b)は各層のエネルギーレベルを示す模式図である。
【0073】
実施の形態1にしたがった構造では活性層下部のガイド層はInとGaを主に含有する層からなり、活性層上部のガイド層はGaを主に含有する層からなるため、両者の屈折率が異なり、後者のガイド層のほうが低屈折率層になっている。このような非対称ガイド層によって垂直方向の光分布は基板側に引っ張られる。光分布の中心が活性層位置からずれると活性層の光閉じ込め係数が小さくなるため、発振閾値が上昇する。一方活性層下部に設けられたn型可飽和吸収層の光閉じ込め係数は大きくしやすいため光子密度の変調が大きくなると考えられる。実施の形態9では閾値上昇の問題を解決すべく、垂直方向の光分布の検討をした。その結果、上述したような第7の層673を設けることで、活性層659を垂直方向の光分布中心に近づけることが可能になり、閾値を低減できる。第7の層673はホールの移動度を高くする方がよく、Mgなどのp型不純物を添加すると効果的である。しかしながら、第7の層673はn型あるいはノンドープ層であっても効果は期待できる。
【0074】
一方、p型キャリアブロック層成長後に、基板温度を下げ、InとGaを含有するp型窒化物層を設けると、閾値以下で動作させたときの自然放出光の半値全幅が広がったり、単峰的なスペクトルにならず、閾値が上昇する。活性層成長後の温度履歴により活性層にInの偏析が生じたためと思われる。
【0075】
実施の形態10
実施の形態10は実施の形態1において、第2の層の近辺にあるn−InGaN第3の層を成長する過程で、成長を中断して熱履歴を与える場合について検討する。
【0076】
成長中断された層の表面(以下、「成長中断界面」という。)はInが偏析しやすく、非輻射再結合確率が増加する。成長中断時の温度変化は降温後に昇温してもよく、昇温後に降温してもよく、いくつかの温度変化をともなってもよい。また前述の効果より悪くなるが、温度一定のまま中断してもよい。また中断時間は60秒に限らない。成長中断時には少なくともIII族原料がほとんど流れていなければよく、たとえば不純物原料は流してあっても、停止してあってもよい。またV族原料も流してあっても、停止してあってもよい。
【0077】
次に第2の層と成長中断界面の距離L4について検討する。ここで言う距離とは成長中断後に積層され、第2の層に含まれる最も下部までの層厚である。その結果、L4は0nm〜20nmが望ましく、2nm〜10nmがより望ましい。また、成長中断界面は少なくとも1つあることが好ましい。
【0078】
次に成長中断界面を第2の層の上部に設ける。その結果、同様な効果が期待され、n型可飽和吸収層に含まれる最も上部から成長中断界面までの距離は0nm〜20nmが好ましく、2nm〜10nmがより好ましい。
【0079】
実施の形態2〜10においては実施の形態1に、それぞれ特徴ある構成になっているが、これらが複合されていてもそれぞれの効果が競合することはなく、本明細書に記載の効果が期待される。
【0080】
【実施例】
実施例1
まず、MOCVD装置にGaN基板をセットし、V族原料のNH3とIII族原料のTMGaを用いて、550℃の成長温度で、図1(a)に示すように、低温GaNバッファ層を25nm成長させた。次に、1075℃の成長温度で原料にSiH4を加え、n−GaN基板2上にn−GaN層3(Si不純物濃度1×1018/cm3)を3μm形成した。続いて、III族原料のTMAlを用いて、0.95μm厚のn−Al0.1Ga0.9Nクラッド層4(Si不純物濃度1×1018/cm3)、続いてn−GaNガイド層5を0.05μm成長させた。
【0081】
その後、基板温度を725℃に下げ、n−In0.02Ga0.98N第3の層6(Si不純物濃度1×1018/cm3)を4nm成長させ、ほぼ温度一定のまま、n−In0.18Ga0.82N第2の層7を4nm、つぎにn−In0.02Ga0.98N第1の層8(Si不純物濃度1×1018/cm3)を46nm成長させた。n型可飽和吸収層成長後に1秒以上180秒以内の成長中断を行なっても良い。このことにより各層の平坦性の向上が期待できる。前記第2の層7は可飽和吸収層として機能した。
【0082】
つづいて、3周期の厚さ4nmのIn0.15Ga0.85N井戸層と厚さ8nmのIn0.02Ga0.98N障壁層により構成される活性層(多重量子井戸構造)9を井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層の順序で成長させた。障壁層と井戸層、または井戸層と障壁層との間に1秒以上180秒以内の成長中断を行なっても良い。このことにより各層の平坦性が向上し発光半値幅が減少する。
【0083】
次に基板温度を再び1050℃まで昇温して、厚み18nmのp−Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層10、0.1μmのp−GaNガイド層11を成長させた。なお、p型不純物としては、Mgを1×1020/cm3添加した。続いて基板温度を1050℃のままにして、0.5μmのp−Al0.1Ga0.9Nクラッド層12、0.1μmのp−GaNコンタクト層13を成長させた。p型不純物としては、同様にMgを1×1020/cm3添加した。また、各層を構成する元素およびドープ元素の各原料には、TMGa、TMAl、TMIn、NH3、Cp2Mg、SiH4を用いた。
【0084】
p−GaNコンタクト層13形成後、ドライエッチングによりリッジ構造を形成し、SiO2からなる絶縁層14上面にp電極15(Pd/Mo/Au)を形成した。その後、GaN基板2の裏面側から研磨もしくはエッチングにより基板の一部を除去しウェハの厚みを120μmに調整した。ウェハの厚みは100μm〜200μm程度に薄く調整するのが好ましい。これは後の工程でウェハを分割し個々のレーザチップにするのを容易にするためである。特にレーザ端面ミラーも分割時に形成する場合には80〜150μm程度に薄く調整することが望ましい。なお、研磨機のみでもよい。なお、ウェハの裏面は研磨機により磨かれているため平らであった。
【0085】
研磨後、GaN基板2の裏面に薄い金属膜を蒸着し、n電極1を得た。n電極1はHf/Al/Mo/Pt/Auの層構造よりなるものを用いた。このような薄い金属膜を膜厚の制御性よく形成するには真空蒸着法が適しており、本実施例においてもこの手法を用いた。p、nの各電極特性向上のため金属膜形成後500℃でアニールを行ない良好なオーミック電極を得た。なおアニールはp電極形成後、およびn電極形成後にそれぞれ行なってもよく、またn電極におけるAl形成後に行なった後、Mo/Pt/Auを形成してもよい。
【0086】
このように制作された半導体素子をつぎのように分割した。まず表面からダイヤモンドポイントでスクライブラインを入れウェハに適宜力を入れ、スクライブラインに沿ってウェハを分割した。スクライブラインは裏面から入れてもよい。他の手法としてはワイヤソーもしくは薄板ブレードを用いて傷入れもしくは切断を行なうダイシング法、エキシマレーザなどのレーザ光の照射加熱とその後の急冷により照射部にクラックを生じさせ、これをスクライブラインとするレーザスクライビング法、高エネルギー密度のレーザ光を照射し、この部分を蒸発させて溝入れ加工を行なうレーザアブレーション法などを用いても同様にチップ分割可能であった。
【0087】
分割後ファブリペロー共振器をなす端面に誘電体の多層膜を設けて反射率を変えた。このような反射膜はシステムに応じて形成されるものであり、一概に定まるものではないが、一般的に後面は80%以上の後反射膜が望ましい。特に後面のさらに後ろに光出力を検出する受光素子が設けられていない場合には90%以上の反射膜を設けるとよい。これにより半導体レーザ内の光子密度が向上するため発振閾値が低下する。このような高反射膜は低屈折率と高屈折率の材質を交互に4/λの層厚で形成すればよく、SiO2、TiO2、Ta2O5、Al2O3、ZrO2などがよく用いられている。ところで内部光子密度が上がりすぎるとn型可飽和吸収層が可飽和状態になりやすいために出射面側の端面の反射率を落としても良い。しかしながら高反射膜と比較して波長分散の少ない低反射膜を設計することは難しく、特に405nm近辺の波長においては上述の誘電体にSiOやTiO2とZrO2の混合体などを加えた少なくとも3つ以上の材質からなる多層膜を設けることで設計が容易になる。特に高出力時の自励発振特性を得るためには前面の反射膜を検討するとよい。一方で、低出力の雑音特性に注目すれば劈界面からなる端面の反射率22%程度を若干高くすることも有益であって50%以下の前面反射膜を設けるとよい。
【0088】
次にダイボンディング法により、レーザチップをヒートシンク上にマウントし半導体レーザ装置を得た。チップはn電極側を接合面にするジャンクアップで強固に接着した。ここでいうヒートシンクはステムなどのことである。なお、p電極側を接合面とするジャンクションダウンであってもよく、その場合にはp電極構造がPd/Mo/Pt/Auであったり、Pd/Mo/Ni/Auなどであるとよい。
【0089】
このように製作された窒化物半導体レーザの諸特性を調べた。窒化物半導体レーザの共振器長は500μm、ストライプ幅1.5μmとした。室温25℃において閾値35mAで連続発振し、発振波長405±5nmであった。FFP(ファーフィールドパターン)を調べた結果、積層面に対して水平方向、垂直方向ともに基本モードで発振していた。次に光帰還をともなう系で雑音測定を行なった。このような光帰還をともなう系は、一般的に光ディスクシステムなどの光情報記録装置で見られ、図2は擬似的にこれらの系を再現したものである。光帰還をともなう系では出射されたレーザ光が戻り光として再び半導体レーザに結合する現象に起因する雑音(通常戻り光雑音と呼ばれる。)が支配的であり、システムの雑音評価は相対強度雑音(RIN)を用いた。一般的にRIN<−125dB/Hzが良好なシステムの基準となっている。
【0090】
図2に示すように、半導体レーザ201から出射されたレーザ光はレンズ204でコリメートされ、ハーフミラー203で2ビームに分岐される。透過光はNDフィルター206、レンズ205を経て、反射鏡202に集光される。反射鏡は光ディスクなどと等価であり、反射率はNDフィルターで変更できる。反射光はこの光路を帰還し、半導体レーザ201に集光される。このように雑音測定器は光ディスクに半導体レーザを搭載したシステムを置き換えたものであり、戻り光雑音を含んだ相対強度雑音を測定できる。なお光出力は受光素子207で観測した。このような雑音測定器を用いて窒化物半導体レーザを評価した。その結果、光出力5mWにおいてRIN<‐130dB/Hzが得られた。またレーザ光を高速のディテクターを用いて観測したところ、周期的に変動していた。
【0091】
閾値以下で、本素子を動作させ自然放出光のスペクトルを観測した。自然放出光の半値全幅を調べたところ14.5nmであり、単峰的なスペクトル形状であった。たとえば活性層に歪みあるいは熱履歴によるInの組成揺らぎなどがある場合、前述のような閾値以下で動作させたときの自然放出光のスペクトル形状が単峰的にならず、たとえば420nmから440nm付近にサブピークが生じることがある。このような活性層においては、誘導放出への励起キャリアの結合が弱く、微分ゲインが小さくなると考えられる。活性層の微分ゲインが小さい場合には、レーザ発振している光子密度の時間微分が小さくなるために自励発振しにくくなり、自励発振時の光子密度の変調量が小さく、振動周波数が変化するなどの現象が想定される。システムを考慮した雑音では自励発振時の光子密度の変調量や振動周波数が適当な許容範囲を持つことは容易に考えられ、これらのパラメータが安定に成長できる構造が望ましい。
【0092】
比較例1
実施の形態1においてn‐InGaN第1の層8をn−GaNに変更し、成長温度を1050℃とした。その結果、室温25℃において42mAで連続発振し、閾値以下で動作させたところ自然放出光の半値全幅は17nmであった。またいくつかの素子で観測したところ自然放出光スペクトルが単峰的でないものも見られた。このように製作された窒化物半導体レーザの雑音特性にはばらつきが多く、雑音測定器で評価したところRIN<‐125dB/Hzを満足する素子の歩留りが低下した。
【0093】
実施例2
実施例1において、n−GaNガイド層5の成長後、基板温度を725℃に下げ、n−In0.02Ga0.98N第3の層(Si不純物濃度1×1018/cm3)を16nm成長したところで成長を中断して、基板温度を900℃まで昇温し、すぐに725℃まで降温した。昇温開始から降温終了までの時間は約60秒であった。その後、n−In0.02Ga0.98Nを4nm成長してn−In0.02Ga0.98N第3の層を20nm得た以外は、実施例1と同様にして、発光素子を得た。得られた発光素子は実施例1と比較して、自励発振の見られる光出力の範囲が広くなった。第2の層7に生成したキャリアがトンネル効果により成長中断界面から緩和したものと考えられた。
【0094】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0095】
【発明の効果】
光出力が安定で、良好な自励発振特性を有する窒化物半導体発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体発光素子を示す図である。
【図2】雑音測定に使用する試験機を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の半導体発光素子の発光スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1の可飽和吸収層が多重量子井戸の場合のエネルギーレベルを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体発光素子の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体発光素子の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3の半導体発光素子を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態4の半導体発光素子を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4の半導体発光素子を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態4の半導体発光素子を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4の半導体発光素子を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態5の半導体発光素子を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態6の半導体発光素子を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態7の半導体発光素子を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態8の半導体発光素子を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態9の半導体発光素子を示す図である。
【図17】従来の半導体発光素子を示す図である。
【符号の説明】
1 n電極、2 n−GaN基板、3 n‐GaN層、4 n‐AlGaNクラッド層、5 n‐GaNガイド層、6 第3の層、7 第2の層、8 第1の層、9 n‐InGaN活性層、10 p‐AlGaNキャリアブロック層、11 p‐GaNガイド層、12 p‐AlGaNクラッド層、13 p‐GaNコンタクト層、14 絶縁層、15 p電極、250 第4の層、471 第5の層、472 第6の層。
Claims (23)
- AlとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部クラッド層と、InとGaとを含有する窒化物半導体を含む活性層とを基板上に順に設けた窒化物半導体発光素子において、下部クラッド層と活性層との間に、InとGaとを含有する窒化物半導体からなる下部ガイド層を備え、該下部ガイド層は、活性層の側から順に第1の層と第2の層とを有し、該第2の層は可飽和吸収層として機能し、前記第2の層のInの含有率は、前記第1の層のInの含有率より大きいことを特徴とする窒化物半導体発光素子。
- 前記下部ガイド層は、活性層の側から順に第1の層と、第2の層と、第3の層と、を有し、該第3の層のInの含有率は、前記第2の層のInの含有率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2の層から活性層の基板側の井戸層までの距離L1が、
L1≧20nm
であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第3の層の厚さL3が、
0nm≦L3≦20nm
であることを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第2の層の厚さL2が、
0.5nm≦L2≦5.0nm
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第1の層の実質的なバンドギャップは、活性層における実質的なバンドギャップよりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記活性層は、量子井戸活性層であり、前記第2の層のInの含有率をIn(x)2とし、前記第2の層の実質的なバンドギャップをEg2とし、前記活性層のInの含有率をIn(x)0とし、前記活性層の実質的なバンドギャップをEg0とするとき、
Eg0−0.15eV≦Eg2≦Eg0+0.02eV
であり、かつ
In(x)0−0.10≦In(x)2≦In(x)0+0.10
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第3の層は、該第3の層よりもInの含有率が大きい第4の層を有することを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第4の層は、可飽和吸収層として機能することを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2の層は、多重量子井戸であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 多重量子井戸である前記第2の層の実質的なバンドギャップをEg2`とし、多重量子井戸である第2の層における井戸層のInの含有率をIn(x)2`とし、前記活性層のInの含有率をIn(x)0とし、前記活性層の実質的なバンドギャップEg0とするとき、
Eg0−0.15eV≦Eg2`≦Eg0+0.02eV
であり、かつ
In(x)0−0.10≦In(x)2`≦In(x)0+0.10
であることを特徴とする請求項10に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記多重量子井戸における1つの井戸層の厚さL2`が、
0.5nm≦L2`≦5.0nm
であることを特徴とする請求項10または11に記載の窒化物半導体発光素子。 - 第1の層と第2の層の間に、活性層の側から順に第5の層と第6の層とを有し、前記第5の層のInの含有率は、前記第1の層のInの含有率より大きく、前記第6の層のInの含有率は、前記第5の層のInの含有率および前記第2の層のInの含有率より小さいことを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第5の層から前記活性層の基板側の井戸層までの距離L5が、
L5≧20nm
であることを特徴とする請求項13に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記活性層の上部に該活性層に隣接して、InとGaを主に含有する窒化物からなる第7の層を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2の層と前記第4の層の不純物濃度が異なることを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2の層と前記第5の層の不純物濃度が異なることを特徴とする請求項13に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2の層の成長温度をT2とし、前記第4の層の成長温度T4とするとき、
T4≦T2
であることを特徴とする請求項8または16に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記第2の層の成長温度T2とし、前記第5の層の成長温度をT5とするとき、
T5≦T2
であることを特徴とする請求項13または17に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記下部ガイド層の成長開始から活性層の成長開始までの成長温度の変化ΔTが、
ΔT≦80℃
であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記下部ガイド層の成長開始から活性層の成長開始までの各層の成長温度が、830℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記第2の層からの距離L4が、
0nm≦L4≦20nm
である範囲内に、成長中断を行なう界面が少なくとも1つあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記成長中断において、基板温度の変化が少なくもと1つあることを特徴とする請求項22に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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