JP2004111362A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解液の注入を、効率よく行うことが可能なリチウム二次電池。
【解決手段】電池ケース23と、電池ケース23内に収納された、正極板2及び負極板3がセパレータを介して、筒状の巻芯6外周に捲回されてなる内部電極体1と、電池ケース23内に注入されて内部電極体1に含浸された電解液と、電池ケース23の少なくとも一端側に配設された蓋21とを備え、電池ケース23の両端が封止されてなるリチウム二次電池であって、巻芯6の筒孔7の外延上にあたる領域以外の領域に配設された、一以上の内部端子14と、内部端子14に接続される複数箇所集電手段(タブ5)とをさらに備えるとともに、電池ケース23の一端側に配設された21蓋が、巻芯6の筒孔7の外延上にあたる部分に、蓋21を貫通して形成された電解液注入口11を有し、かつ、電解液注入口11が、閉塞されており、さらに、2Ah以上の電池容量を有している。
【選択図】図1
【解決手段】電池ケース23と、電池ケース23内に収納された、正極板2及び負極板3がセパレータを介して、筒状の巻芯6外周に捲回されてなる内部電極体1と、電池ケース23内に注入されて内部電極体1に含浸された電解液と、電池ケース23の少なくとも一端側に配設された蓋21とを備え、電池ケース23の両端が封止されてなるリチウム二次電池であって、巻芯6の筒孔7の外延上にあたる領域以外の領域に配設された、一以上の内部端子14と、内部端子14に接続される複数箇所集電手段(タブ5)とをさらに備えるとともに、電池ケース23の一端側に配設された21蓋が、巻芯6の筒孔7の外延上にあたる部分に、蓋21を貫通して形成された電解液注入口11を有し、かつ、電解液注入口11が、閉塞されており、さらに、2Ah以上の電池容量を有している。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のリチウム二次電池は、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、VTR、ノート型コンピュータ等の携帯型電子機器の小型軽量化が加速度的に進行しており、その電源用電池としては、正極活物質にリチウム遷移金属複合酸化物を、負極活物質に炭素質材料を、電解液にLiイオン電解質を有機溶媒に溶解した有機電解液を用いた二次電池が用いられるようになってきている。
【0003】このような電池は、一般的にリチウム二次電池、またはリチウムイオン電池と称せられており、エネルギー密度が大きく、また単電池電圧も約4V程度と高い特徴を有することから、前述の携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車(EV)あるいはハイブリッド電気自動車(HEV)のモータ駆動電源としても注目を集めている。
【0004】リチウム二次電池には、電池反応を行う部分である内部電極体として種々の形態があり、コイン型電池では正極板と負極板とでセパレータを挟んだサンドイッチ型の内部電極体が用いられる。ここで、正極板および負極板は、それぞれ正極材料および負極材料をプレス成形等により板状(コイン状)に成形したものが好適に用いられる。
【0005】また、円筒形のリチウム二次電池にあっては、一般的に図8に示すような、集電用のタブ(集電手段)5が取り付けられた正極板2と負極板3とを互いに接触しないようにセパレータ4を介して円筒状の巻芯6の外周に捲回した捲回型内部電極体1が用いられる。なお、上述した正極板2と負極板3とを小面積に切断して複数枚用意し、これらをセパレータ4を介して交互に積層した積層型の内部電極体も提案されている。
【0006】さて、内部電極体として上記いずれの構造を採用した場合であっても、これらの内部電極体には電解液を含浸させる必要がある。ここで、電解液としては、有機溶媒にリチウム電解質を溶解した非水系電解液(以下、単に「電解液」という。)が用いられ、例えば、コイン型電池では、電池ケース内に内部電極体を載置した後に、真空雰囲気下で定量ポンプ等を用いて一定量の電解液を注入し、電池ケースを封止することで電解液を充填する手法が採られている。また、捲回型内部電極体を用いた場合であっても、小容量電池、例えば一般的な18650(直径18mmφ、長さ65mm)円筒型電池においては、同様の手法が用いられている。
【0007】しかしながら、電解液は一般に高価であり、電池部材コストにおいて電解液が占める割合は低いものではないにもかかわらず、これら小容量電池においてこのような電解液の充填(注入)方法が採られる理由としては、小容量電池においては、電池内部に内部電極体が占有しないために余分な電解液(以下、「余剰電解液」という。)が充填される空間の絶対値が小さい為、このような小空間に充填された電解液のコストが高くないことや、小容量電池においては、電池反応部面積も小さく、必要最小限の電解液量を充填すれば所定の電池特性が得られること、また、余剰電解液を回収する工程を導入することが却って生産コストを引き上げることにつながること等が挙げられる。なお、電解液の注入に関しては、例えば、特許文献1〜3に開示があるが、これらの文献に開示された電池は、電池ケースの一端を完全に開口した状態(蓋で封止しない状態)で電解液を注入し、内部電極体に含浸させる方法を用いたものであり、封止しなければならない部分が大きく、封止が困難であるとともに、封止信頼性等において必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭57−9074号公報
【特許文献2】
特開平2−172158号公報
【特許文献3】
特開平9−167612号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】EV等へ採用される大容量電池においては、内部電極体として捲回型または積層型が用いられるが、大容量化に伴って自然に電池自体が大型化する。この場合、図8に示した捲回型内部電極体1を用いた場合には、電池の両端または片端において集電用のタブ5を収容する空間が広くなり、また、一般的に巻芯6は円筒形であるので、これらの空間の絶対容積が大きくなる。従って、このような大容量電池において、上述した小容量電池と同様の手法により電解液を充填(注入)していたのでは、高価な電解液を無駄に使用して製品コストを引き上げるのみならず、微小ではあるが、電池のエネルギー密度を低下させることとなる。さらに、内部電極体以外の金属部材や電池ケースのシール材等が常に電解液と接触している状態は、電解液の漏洩や各部材の腐食等、耐久性の点から好ましいとは言えない。
【0010】また、電池反応面積が広い大型の内部電極体の内部には、十分に電解液を含浸させる必要があり、これが不十分な場合には、所望の電池性能を得ることができなくなるのみならず、個々の電池特性が大きくばらつくこととなる。従って、大容量電池においては、真空雰囲気で内部電極体を過剰な電解液に浸して十分に含浸処理を行った後、余剰電解液を除去することが好ましい。
【0011】そこで大容量電池において、電解液の充填(注入)を小容量電池と同様の方法を用いて行う場合には、例えば図7に示すように、先ず一方の端部71が封止された電池(電池ケース)70を、その封止された端部71を下側にしてグローブボックス等(図示せず)内に載置し、真空雰囲気とした後に、上部の解放された別の端部72から、定量ポンプ等で送られてくる電解液をノズル73等を用いて注入し、液面位置が下がらなくなるまで、電解液を注入しつつ、所定時間ほど電解液の含浸処理を行う。次に、グローブボックス等内を不活性ガスでパージした後、電池(電池ケース)70を逆さにして余剰電解液を排出し、最後に解放されていた端部72を封止する、といった手法が考えられる。
【0012】ところが、このような電池上部から電解液を注入する方法では、真空雰囲気下において、内部電極体の上部から主に電解液の含浸が始まるために、内部電極体下部において発生する気泡が電池上部から抜けにくくなり、真空雰囲気での保持時間が長くかかることとなる。この場合、電解液に揮発性の高い有機溶媒が単独で用いられている場合には、溶媒の蒸発によって電解質濃度が変化する問題が生ずる。また、揮発性有機溶媒が他の不揮発性溶媒等と混合して用いられている場合には、揮発性有機溶媒が優先的に蒸発することによって混合比にずれが生じ、同時に電解質濃度も変化する問題を招く。そして、これらいずれの場合においても、電解液の特性が発揮されないこととなる。
【0013】さらに、大容量電池の場合には、電池自体の形状が大きいために、グローブボックス等内で、電池の開放端を封止することは、封止装置のグローブボックス等内載置によるグローブボックス等の大型化、グローブボックス等の大型化による真空度の低下や真空ポンプの大型化、パージガスの大量消費等、種々の問題を引き起こし、実用的ではない。なお、前述のように、特許文献1〜3に記載された電池の場合には、封止信頼性等において必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたもので、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、電池ケースと、前記電池ケース内に収納された、正極板及び負極板がセパレータを介して、筒状の巻芯外周に捲回されてなる内部電極体と、前記電池ケース内に注入されて前記内部電極体に含浸された電解液と、前記電池ケースの少なくとも一端側に配設された蓋とを備え、前記電池ケースの両端が封止されてなるリチウム二次電池であって、前記巻芯の筒孔の外延上にあたる領域以外の領域に配設された、一以上の内部端子と、前記内部端子に接続される複数箇所集電手段とをさらに備えるとともに、前記電池ケースの一端側に配設された前記蓋が、前記巻芯の筒孔の外延上にあたる部分に、前記蓋を貫通して形成された電解液注入口を有し、かつ、前記電解液注入口が、閉塞されており、さらに、2Ah以上の電池容量を有することを特徴とするリチウム二次電池、が提供される。
【0015】このように構成することによって、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池とすることができる。すなわち、本発明のリチウム二次電池は、電池ケースのうち開口した部分は電解液注入口部分のみとなる(電池ケースの端面を封止した状態で電解液の注入作業が可能となる)構造を有していることから、電解液の注入後に電解液が環境雰囲気と接する面積を減少させることが可能となり、このことから、環境雰囲気から電池ケース内部への水分の混入や環境雰囲気への電解液の蒸発を抑制して、電解液の特性変化を防止する(電解液の特性を安定化させる)ことが可能となり、得られる電池は安定した電池特性を発揮するものとなる。また、電解液の注入後は、ヘリウム(He)リーク等のリーク検査が不可能となるので、確実な封止が要求されるが、本発明のリチウム二次電池は、封止部分が小さく(小さい程、封止信頼性が高いものとなる)、電解液注入口以外がすべて封止された構造を有していることから、得られる電池は、優れた封止信頼性を発揮し、安定した電池特性を発揮するものとなる。
【0016】本発明のリチウム二次電池においては、前記巻芯及び前記電解液注入口が、前記電池ケースの中央部に配置されてなることが好ましい。
【0017】また、本発明のリチウム二次電池においては、前記電池ケースの他端の内側中央部に窪み部が配設されてなることが好ましい。
【0018】また、本発明のリチウム二次電池においては、前記電池ケースの胴体部材としてパイプを用い、前記蓋が前記パイプの両端を閉塞するように、前記パイプの端部をかしめ加工して前記電池ケースを封止した後に、前記電解液の注入/排出を行うことによって作製されたものであることが、電池の製造工程を簡素化することができる点から、好ましい。
【0019】さらに、前記電解液注入口が、外部からネジ止め、圧入、溶接またはシール材の充填により閉塞されてなることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウム二次電池の実施の形態について、その製造工程を中心として、図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものでない。
【0021】本発明におけるリチウム二次電池においては、図8を用いて説明したように、正極板2と負極板3とをセパレータ4を介して、巻芯6の外周に捲回してなる内部電極体1に電解液を含浸させる。ここで具体的には、正極板2はアルミニウム、チタン等、負極板3は銅、ニッケル等の金属箔を電極基板(集電体)とし、それぞれの電極基板の両面に電極活物質を塗布して電極活物質層を形成することにより作製される。また、タブ(集電手段)5は、正極板2と負極板3をセパレータ4とともに捲回する時点で、超音波溶接等の手段により電極基板の一辺の複数箇所に取り付けられ、複数箇所集電手段を構成する。このとき、複数箇所集電手段を構成する1つのタブ5が正極板2と負極板3のそれぞれ一定面積から集電を行えるように、ほぼ等間隔に配設されることが好ましく、タブ5の材質はタブ5が取り付けられる電極基板と同材質とされる場合が多い。巻芯6としては筒孔(中空部分)7を有する筒状部材が用いられる。
【0022】正極板2の作製に使用される正極活物質は、特に限定されるものではなく、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物が好適に用いられ、アセチレンブラック等の炭素微粉末を導電助材として加えることが好ましい。一方、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛や天然黒鉛等の高黒鉛化炭素質粉末が用いられる。これらの各極の電極活物質はスラリー化され、それぞれの電極基板の両面へ塗布、固着されて電極板2・3が作製される。
【0023】また、セパレータ4としては、マイクロポアを有するリチウムイオン透過性のポリエチレンフィルム(PEフィルム)を、多孔性のリチウムイオン透過性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)で挟んだ三層構造としたものが好適に用いられる。これは、内部電極体1の温度が上昇した場合に、PEフィルムが約130℃で軟化してマイクロポアが潰れ、リチウムイオンの移動すなわち電池反応を抑制する安全機構を兼ねたものである。そして、このPEフィルムをより軟化温度の高いPPフィルムで挟持することによって、PEフィルムが軟化した場合においても、PPフィルムが形状を保持して正極板2と負極板3の接触・短絡を防止し、電池反応の確実な抑制と安全性の確保が可能となる。
【0024】電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)といった炭酸エステル系のもの、プロピレンカーボネート(PC)やγ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独溶媒または混合溶媒に、電解質としてのLiPF6やLiBF4等のリチウム錯体フッ素化合物、あるいはLiClO4といったリチウムハロゲン化物等を1種類または2種類以上を溶解した非水系の有機電解液が好適に用いられる。このような電解液は、電池ケース内に充填されるとともに、内部電極体1に含浸される。
【0025】ここで、図1に本発明のリチウム二次電池の一の実施の形態を示す。ここで、電池10における電池ケース23の胴体部材としてはパイプが用いられており、蓋21・22が、電池ケース(パイプ)23の両端面を封止するように、電池ケース(パイプ)23にかしめ加工が施されている。電池ケース23をこのようなパイプと蓋21・22から構成すると、内部電極体1を電池ケース(パイプ)23中に挿入し、電池ケース(パイプ)23の所定位置に絞り加工部24を設けて内部電極体1の上下方向の移動を抑制し、さらに、タブ5を内部端子14へ接続し、蓋21・22により電池ケース(パイプ)23の両端を閉塞するといった作業を容易に行うことができ、好ましい。なお、内部端子14とは、内部電極体1からの電流の取り出しのために、タブ5を一時的に集合接続させる部材をいう。
【0026】また、電池ケース23の一端面の蓋21(この蓋21を上側とする。)における巻芯6の筒孔7の外延上にあたる位置には、電解液注入口11が設けられている。このような構造とすることにより、電解液の注入や排出を行うノズル(以下、「ノズル」という。)12の先端を、電解液注入口11と筒孔7を通して電池ケース23の他端まで挿入することが可能となる。なお、1本のノズル12を用いて、電解液の注入と排出の両方を行うことが好ましいが、電解液注入用のノズルと、電解液排出用のノズルとを使い分けて用いてもよい。
【0027】電池ケース23は、電解液を充填(注入)する際、グローブボックス等の雰囲気調整が可能な空間に載置される。上述した通り、電池ケース23の両端は既に蓋21・22により封止されているので、電解液の充填(注入)が終了した後に電池ケース23の端部封止を行う必要がなく、従って、封止作業を行う装置等をグローブボックス等内に載置する必要がない。このため、グローブボックス等として、電池10(電池ケース23)の大きさに応じた小型のものを用いることができる。
【0028】グローブボックス等内を真空ポンプを用いて真空雰囲気とすると、電池ケース23には電解液注入口11が設けられているので、電池ケース23の内部も当然に同じ真空雰囲気となる。ここでは真空度を0.1torr(13.3Pa)程度より高真空の状態となるようにすることが好ましい。
【0029】この状態において、ノズル12の先端を、電解液注入口11を通し、次に巻芯6の筒孔7を通して、浅くとも対向する他端(底部)側における内部電極体1の端面の位置、すなわち図1中の破線AA’で示される位置にまで挿入した後に、電解液を少なくとも内部電極体1が浸漬されるまで、すなわち図1中の破線BB’で示される位置まで注入する。ここで、ノズル12の先端を電池ケース23内の最下部(蓋22)まで挿入すると、電解液の跳ねを抑え、確実に内部電極体1の底面側の端面から電解液の含浸を開始させることができる。
【0030】なお、電解液の含浸処理中は、電解液が沸騰しない程度の真空度に保つことが好ましく、このときの真空度は使用する電解液を構成する溶媒の物性に大きく依存する。また、ノズル12はグローブボックス等内を真空雰囲気とする前に予め電池ケース23内に挿入しておいてもよい。ノズル12の材質としては、電解液による腐食を受けない金属あるいは樹脂が用いられ、ノズル12はチューブやパイプ等を介してグローブボックス等外に置かれた電解液貯蔵タンクと接続され、定量ポンプ等を用いて電解液貯蔵タンクから電解液が送られる。当然に、ノズル12の根元やチューブあるいはパイプ等の途中にはストップバルブ等が設けられる。
【0031】このようにして電解液を電池ケース23の下部から満たしていくことにより、電解液は内部電極体1において下部から上部へ向かって含浸し、内部電極体1内部から発生する気泡は、電解液の含浸していない空間を抜けることができるようになるため、電解液の含浸を効果的に行うことができるようになる。こうして、電解液の注入時間を短縮することが可能となり、この場合、電解液に揮発性の高い溶媒が含まれている場合であっても、その蒸発量が最小限に抑えられ、電解液特性の低下の回避が図られる。
【0032】通常、内部電極体は電池の中央に配置され、このとき内部電極体の巻芯は必然的に電池の中央に配置されることとなる。このため、円柱型の内部電極体1を用いた電池10(電池ケース23)の場合には、電解液注入口11は、図1に示すように、外部端子13と電解液注入口11とが一体化されて電池ケース23の一端面の蓋21の中央部に配設されることが、後述するように、得られた電池10どうしの直列接続を容易とする点からも好ましい。なお、外部端子13とは、電池の電流を外部に取り出すために、電池10の外側に配設される部材である。
【0033】また、図2の断面図は本発明のリチウム二次電池の別の実施の形態を示したものであるが、電解液注入口11が電池ケース23の一端面の蓋21の中央部に形成されるとともに外部端子15が電解液注入口11を閉塞しない位置において蓋21に配設される構造としてもよい。
【0034】一方、電池ケース23の内部に着目すると、図1に示すように、内部端子14およびその内部端子14に接続されるタブ5は、巻芯6の筒孔の、その軸方向(長さ方向)の外延上にあたる領域、すなわち、電解液注入口11から内部電極体1の巻芯6の上端に至る領域98、および巻芯6の下端から電池ケース23の底部側の蓋22に至る領域99から外れた位置に配設されていることが好ましい。これは、上述した通り、電解液注入口11からノズル12を出し入れする必要があるので、このノズル12の出し入れ(挿抜)の障害とならない位置に内部端子14とタブ5とを配置するためである。
【0035】なお、内部端子14は、図1に示すように、電池ケース23の一方の端面に1箇所に限定して配設されるものではなく、図2に示すように、電池ケース23の一方の端面に2箇所設けてもよく、さらにこれ以上配設してもよい。ここで、蓋21・22としては、金属部材が好適に用いられるので、この場合には内部端子14と外部端子13とは必然的に導通する。一方、蓋21・22として絶縁部材を用いた場合には、蓋21・22の外周を通して、あるいは蓋21・22に導通孔を設けること等により、内部端子14と外部端子13の電気的接続を行えばよい。
【0036】ところで、本発明によれば、電解液注入口11以外は密閉された構造となっているために電解液の水位を従来のように目視で観察することは困難である。このため、電解液の総注入量は、先に図7を用いて説明したように、上部が開放された電池ケース23に電解液を注入した場合に、内部電極体が完全に電解液に浸されるときの最低水位となるだけの量を予め測定して決定しておけばよい。
【0037】また、図3に示すように、電池ケース23に設けられた正極、負極の各外部端子13間の交流インピーダンスをインピーダンスアナライザ41等を用いて測定することにより、電解液の含浸の終了を判断することができる。但し、この場合には、電解液として電解質を含まない有機溶媒のみからなる溶媒を用いる。このような溶媒を用いることによって、電解質が交流インピーダンスに及ぼす影響が排除され、交流インピーダンスが直接に溶媒の含浸面積を反映することとなる。
【0038】図4は、周波数100Hzにおいて、本発明のリチウム二次電池の構成に基づく、その製造工程における内部電極体の下部からの電解液の充填(注入)と、従来の図7に示した上部からの電解液の充填(注入)との場合における、電解液含浸時間と交流インピーダンスの変化との関係を調べた結果の一例である。ここで電解液含浸時間とは、真空雰囲気において電解液の注入を開始したときから、電解液の注入後に電池ケース内が大気圧に戻るまでの時間をいう。図4より、従来の充填(注入)によれば、交流インピーダンスがある一定の値に低下するまで約2時間の電解液含浸時間を必要としていたのに対し、本発明のリチウム二次電池の構成に基づく、その製造工程における充填(注入)によれば、同等の含浸処理を約30分で行うことができるようになる。こうして、電池の作製時間の短縮と電解液の特性の確保が図られる。なお、ここでは正極の電極基板として幅200mm、長さ3600mm、負極の電極基板として幅200mm、長さ4000mmの大きさのものを捲回して作製した内部電極体を、内径48mmφの電池ケースに収容したものを用いている。また、溶媒としては、ECとDECの等量混合溶媒を用いている。
【0039】次に、電解液の含浸処理が終了した後、グローブボックス等内を窒素やアルゴンといった不活性ガスでパージし、その後に電池ケース23内に残留する余剰電解液をノズル12を用いて外部へ排出する。このとき、筒孔7内やタブ5の配置スペース等に充填された余剰電解液をより多く排出するために、ノズル12の先端は電池ケース23内の底部にまで挿入されていることが好ましい。ここで、図5(a)の断面図に示すように、電池ケース23の底部を形成する蓋22の内側中央部に窪み部31が設けられていると、この窪み部31に電解液が流れ込むようになるため、残留する余剰電解液をさらに多く排出することができるようになる。なお、図5(b)の断面図に示すように、蓋22をその中央部が外側へ凸となるように膨らませて、窪み部31を形成してもよい。
【0040】余剰電解液を排出した後に、グローブボックス等内で電解液注入口11を閉塞する。この閉塞作業が簡便な方法によって行うことができると、グローブボックス等として電池10(電池ケース23)の大きさに合わせた小型のものを用いることができ、前述した電池ケース23の端部を封止するための装置を載置する必要がないことと併せて、設備費の低減とパージガスの使用量の低減を図ることができる。
【0041】ここで、電解液注入口11は、外部からネジ止め、圧入またはシール材の充填といった簡便な封止方法により閉塞されてなることが好ましい。ネジ止めは、図1に示した外部端子13に電解液注入口11を閉塞するネジを填め込む方法や、図6(a)の断面図に示すように、電解液注入口11をネジ状に形成して、その形状に相補するネジ16で止めることで、容易に行うことができる。電解液注入口11が形成される蓋21が薄い場合には、図6(b)の断面図に示すように、蓋21の片面または両面にネジを切った突起部17を設け、相補形状のネジ16で止めればよい。また、圧入は、図6(c)の断面図に示すように、電解液注入口11に電池内側で径が小さくなるような僅かな勾配を設けて、その形状と嵌合する金属部品18等を圧入することで行うこともできる。また、シール材の充填は、樹脂等を用いて行うことが可能であり、電解液注入口11の開口面積が小さい場合には、金属ロウを極部加熱により溶融させて電解液注入口11を封止することも可能である。さらに、溶接によって封止(閉塞)してもよい。
【0042】さて、こうして電解液注入口11が封止されると電池10が完成するが、本発明のリチウム二次電池の用途として、例えば、EVやHEV等のモータ駆動用を挙げることができる。この場合、モータ駆動のために100〜200Vといった電圧が必要となるため、複数の電池を直列に接続する必要がある。そこで、図1に示す電池10のように、電池10(電池ケース23)の両端に正負各電極の外部端子13を別々に設け、かつ、これらの外部端子13を電池10(電池ケース23)の端面の中央に配設すると、電池間の接続が容易となり、好ましい。つまり、電解液注入口11は図1におけるリチウム二次電池に示すように、外部端子13と一体化されて形成されていることが好ましい。電解液注入口11が形成されていない電池10(電池ケース23)の他端の外部端子13を端面の中央に配設したものであってもよい。
【0043】以上、本発明のリチウム二次電池について説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態は断面略円形の巻芯を用いたものであるが、断面略楕円形、長円形等の巻芯を用いてもよく、こうして得られる断面略楕円形、長円形等の内部電極体を収容した電池ケースにおいて、その巻芯の筒孔の外延上に電解液注入口を設けたものであってもよい。つまり、本発明のリチウム二次電池は、円柱型電池のみに適用されるものではなく、筒孔を有する巻芯を用いた全ての電池に適用することができるものである。
【0044】また、電池ケースについては、電池が小型化されれば、有底筒型容器に内部電極体を挿入して電池を組むことが容易となってくる。この場合にあっては、有底筒型容器の底の部分に、最初から窪み部を設けることが可能である。さらに、リチウム二次電池には、過充電や過放電時に電池内圧が上昇することによって起こり得る電池の破裂に対する安全機構として、放圧機構を電池端部に配設することが一般的であるが、本発明のリチウム二次電池においては、この放圧機構の配設に悪影響を及ぼすことはなく、例えば、図1記載の電池10(電池ケース23)においても、その蓋21・22に破裂溝を形成することが可能である。
【0045】本発明のリチウム二次電池は、2Ah以上の比較的大きな容量を有するものである。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリチウム二次電池は、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池の一の実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明のリチウム二次電池の別の実施の形態を示す断面図である。
【図3】電解液含浸時間測定方法の一例を示す説明図である。
【図4】電解液含浸時間と交流インピーダンスの変化との関係を示すグラフである。
【図5】本発明に好適に用いられる電池底部の蓋の一の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明に好適に用いられる電解液注入口の形態の一例を示す断面図である。
【図7】従来法による電解液の充填方法の一例を示す説明図である。
【図8】捲回型内部電極体の一般的な構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…内部電極体、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…タブ(集電手段)、6…巻芯、7…筒孔、10…電池、11…電解液注入口、12…電解液注入用/排出用ノズル、13…外部端子、14…内部端子、15…外部端子、16…ネジ、17…突起部、18…金属部材、21…(上)蓋、22…(下)蓋、23…電池ケース(パイプ)、24…絞り加工部、31…窪み部、41…インピーダンスアナライザ、70…電池(電池ケース)、71・72…端部、73…ノズル、98・99…巻芯の外延領域。
【発明の属する技術分野】本発明のリチウム二次電池は、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、VTR、ノート型コンピュータ等の携帯型電子機器の小型軽量化が加速度的に進行しており、その電源用電池としては、正極活物質にリチウム遷移金属複合酸化物を、負極活物質に炭素質材料を、電解液にLiイオン電解質を有機溶媒に溶解した有機電解液を用いた二次電池が用いられるようになってきている。
【0003】このような電池は、一般的にリチウム二次電池、またはリチウムイオン電池と称せられており、エネルギー密度が大きく、また単電池電圧も約4V程度と高い特徴を有することから、前述の携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車(EV)あるいはハイブリッド電気自動車(HEV)のモータ駆動電源としても注目を集めている。
【0004】リチウム二次電池には、電池反応を行う部分である内部電極体として種々の形態があり、コイン型電池では正極板と負極板とでセパレータを挟んだサンドイッチ型の内部電極体が用いられる。ここで、正極板および負極板は、それぞれ正極材料および負極材料をプレス成形等により板状(コイン状)に成形したものが好適に用いられる。
【0005】また、円筒形のリチウム二次電池にあっては、一般的に図8に示すような、集電用のタブ(集電手段)5が取り付けられた正極板2と負極板3とを互いに接触しないようにセパレータ4を介して円筒状の巻芯6の外周に捲回した捲回型内部電極体1が用いられる。なお、上述した正極板2と負極板3とを小面積に切断して複数枚用意し、これらをセパレータ4を介して交互に積層した積層型の内部電極体も提案されている。
【0006】さて、内部電極体として上記いずれの構造を採用した場合であっても、これらの内部電極体には電解液を含浸させる必要がある。ここで、電解液としては、有機溶媒にリチウム電解質を溶解した非水系電解液(以下、単に「電解液」という。)が用いられ、例えば、コイン型電池では、電池ケース内に内部電極体を載置した後に、真空雰囲気下で定量ポンプ等を用いて一定量の電解液を注入し、電池ケースを封止することで電解液を充填する手法が採られている。また、捲回型内部電極体を用いた場合であっても、小容量電池、例えば一般的な18650(直径18mmφ、長さ65mm)円筒型電池においては、同様の手法が用いられている。
【0007】しかしながら、電解液は一般に高価であり、電池部材コストにおいて電解液が占める割合は低いものではないにもかかわらず、これら小容量電池においてこのような電解液の充填(注入)方法が採られる理由としては、小容量電池においては、電池内部に内部電極体が占有しないために余分な電解液(以下、「余剰電解液」という。)が充填される空間の絶対値が小さい為、このような小空間に充填された電解液のコストが高くないことや、小容量電池においては、電池反応部面積も小さく、必要最小限の電解液量を充填すれば所定の電池特性が得られること、また、余剰電解液を回収する工程を導入することが却って生産コストを引き上げることにつながること等が挙げられる。なお、電解液の注入に関しては、例えば、特許文献1〜3に開示があるが、これらの文献に開示された電池は、電池ケースの一端を完全に開口した状態(蓋で封止しない状態)で電解液を注入し、内部電極体に含浸させる方法を用いたものであり、封止しなければならない部分が大きく、封止が困難であるとともに、封止信頼性等において必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭57−9074号公報
【特許文献2】
特開平2−172158号公報
【特許文献3】
特開平9−167612号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】EV等へ採用される大容量電池においては、内部電極体として捲回型または積層型が用いられるが、大容量化に伴って自然に電池自体が大型化する。この場合、図8に示した捲回型内部電極体1を用いた場合には、電池の両端または片端において集電用のタブ5を収容する空間が広くなり、また、一般的に巻芯6は円筒形であるので、これらの空間の絶対容積が大きくなる。従って、このような大容量電池において、上述した小容量電池と同様の手法により電解液を充填(注入)していたのでは、高価な電解液を無駄に使用して製品コストを引き上げるのみならず、微小ではあるが、電池のエネルギー密度を低下させることとなる。さらに、内部電極体以外の金属部材や電池ケースのシール材等が常に電解液と接触している状態は、電解液の漏洩や各部材の腐食等、耐久性の点から好ましいとは言えない。
【0010】また、電池反応面積が広い大型の内部電極体の内部には、十分に電解液を含浸させる必要があり、これが不十分な場合には、所望の電池性能を得ることができなくなるのみならず、個々の電池特性が大きくばらつくこととなる。従って、大容量電池においては、真空雰囲気で内部電極体を過剰な電解液に浸して十分に含浸処理を行った後、余剰電解液を除去することが好ましい。
【0011】そこで大容量電池において、電解液の充填(注入)を小容量電池と同様の方法を用いて行う場合には、例えば図7に示すように、先ず一方の端部71が封止された電池(電池ケース)70を、その封止された端部71を下側にしてグローブボックス等(図示せず)内に載置し、真空雰囲気とした後に、上部の解放された別の端部72から、定量ポンプ等で送られてくる電解液をノズル73等を用いて注入し、液面位置が下がらなくなるまで、電解液を注入しつつ、所定時間ほど電解液の含浸処理を行う。次に、グローブボックス等内を不活性ガスでパージした後、電池(電池ケース)70を逆さにして余剰電解液を排出し、最後に解放されていた端部72を封止する、といった手法が考えられる。
【0012】ところが、このような電池上部から電解液を注入する方法では、真空雰囲気下において、内部電極体の上部から主に電解液の含浸が始まるために、内部電極体下部において発生する気泡が電池上部から抜けにくくなり、真空雰囲気での保持時間が長くかかることとなる。この場合、電解液に揮発性の高い有機溶媒が単独で用いられている場合には、溶媒の蒸発によって電解質濃度が変化する問題が生ずる。また、揮発性有機溶媒が他の不揮発性溶媒等と混合して用いられている場合には、揮発性有機溶媒が優先的に蒸発することによって混合比にずれが生じ、同時に電解質濃度も変化する問題を招く。そして、これらいずれの場合においても、電解液の特性が発揮されないこととなる。
【0013】さらに、大容量電池の場合には、電池自体の形状が大きいために、グローブボックス等内で、電池の開放端を封止することは、封止装置のグローブボックス等内載置によるグローブボックス等の大型化、グローブボックス等の大型化による真空度の低下や真空ポンプの大型化、パージガスの大量消費等、種々の問題を引き起こし、実用的ではない。なお、前述のように、特許文献1〜3に記載された電池の場合には、封止信頼性等において必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたもので、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、電池ケースと、前記電池ケース内に収納された、正極板及び負極板がセパレータを介して、筒状の巻芯外周に捲回されてなる内部電極体と、前記電池ケース内に注入されて前記内部電極体に含浸された電解液と、前記電池ケースの少なくとも一端側に配設された蓋とを備え、前記電池ケースの両端が封止されてなるリチウム二次電池であって、前記巻芯の筒孔の外延上にあたる領域以外の領域に配設された、一以上の内部端子と、前記内部端子に接続される複数箇所集電手段とをさらに備えるとともに、前記電池ケースの一端側に配設された前記蓋が、前記巻芯の筒孔の外延上にあたる部分に、前記蓋を貫通して形成された電解液注入口を有し、かつ、前記電解液注入口が、閉塞されており、さらに、2Ah以上の電池容量を有することを特徴とするリチウム二次電池、が提供される。
【0015】このように構成することによって、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮するリチウム二次電池とすることができる。すなわち、本発明のリチウム二次電池は、電池ケースのうち開口した部分は電解液注入口部分のみとなる(電池ケースの端面を封止した状態で電解液の注入作業が可能となる)構造を有していることから、電解液の注入後に電解液が環境雰囲気と接する面積を減少させることが可能となり、このことから、環境雰囲気から電池ケース内部への水分の混入や環境雰囲気への電解液の蒸発を抑制して、電解液の特性変化を防止する(電解液の特性を安定化させる)ことが可能となり、得られる電池は安定した電池特性を発揮するものとなる。また、電解液の注入後は、ヘリウム(He)リーク等のリーク検査が不可能となるので、確実な封止が要求されるが、本発明のリチウム二次電池は、封止部分が小さく(小さい程、封止信頼性が高いものとなる)、電解液注入口以外がすべて封止された構造を有していることから、得られる電池は、優れた封止信頼性を発揮し、安定した電池特性を発揮するものとなる。
【0016】本発明のリチウム二次電池においては、前記巻芯及び前記電解液注入口が、前記電池ケースの中央部に配置されてなることが好ましい。
【0017】また、本発明のリチウム二次電池においては、前記電池ケースの他端の内側中央部に窪み部が配設されてなることが好ましい。
【0018】また、本発明のリチウム二次電池においては、前記電池ケースの胴体部材としてパイプを用い、前記蓋が前記パイプの両端を閉塞するように、前記パイプの端部をかしめ加工して前記電池ケースを封止した後に、前記電解液の注入/排出を行うことによって作製されたものであることが、電池の製造工程を簡素化することができる点から、好ましい。
【0019】さらに、前記電解液注入口が、外部からネジ止め、圧入、溶接またはシール材の充填により閉塞されてなることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウム二次電池の実施の形態について、その製造工程を中心として、図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものでない。
【0021】本発明におけるリチウム二次電池においては、図8を用いて説明したように、正極板2と負極板3とをセパレータ4を介して、巻芯6の外周に捲回してなる内部電極体1に電解液を含浸させる。ここで具体的には、正極板2はアルミニウム、チタン等、負極板3は銅、ニッケル等の金属箔を電極基板(集電体)とし、それぞれの電極基板の両面に電極活物質を塗布して電極活物質層を形成することにより作製される。また、タブ(集電手段)5は、正極板2と負極板3をセパレータ4とともに捲回する時点で、超音波溶接等の手段により電極基板の一辺の複数箇所に取り付けられ、複数箇所集電手段を構成する。このとき、複数箇所集電手段を構成する1つのタブ5が正極板2と負極板3のそれぞれ一定面積から集電を行えるように、ほぼ等間隔に配設されることが好ましく、タブ5の材質はタブ5が取り付けられる電極基板と同材質とされる場合が多い。巻芯6としては筒孔(中空部分)7を有する筒状部材が用いられる。
【0022】正極板2の作製に使用される正極活物質は、特に限定されるものではなく、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物が好適に用いられ、アセチレンブラック等の炭素微粉末を導電助材として加えることが好ましい。一方、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛や天然黒鉛等の高黒鉛化炭素質粉末が用いられる。これらの各極の電極活物質はスラリー化され、それぞれの電極基板の両面へ塗布、固着されて電極板2・3が作製される。
【0023】また、セパレータ4としては、マイクロポアを有するリチウムイオン透過性のポリエチレンフィルム(PEフィルム)を、多孔性のリチウムイオン透過性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)で挟んだ三層構造としたものが好適に用いられる。これは、内部電極体1の温度が上昇した場合に、PEフィルムが約130℃で軟化してマイクロポアが潰れ、リチウムイオンの移動すなわち電池反応を抑制する安全機構を兼ねたものである。そして、このPEフィルムをより軟化温度の高いPPフィルムで挟持することによって、PEフィルムが軟化した場合においても、PPフィルムが形状を保持して正極板2と負極板3の接触・短絡を防止し、電池反応の確実な抑制と安全性の確保が可能となる。
【0024】電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)といった炭酸エステル系のもの、プロピレンカーボネート(PC)やγ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独溶媒または混合溶媒に、電解質としてのLiPF6やLiBF4等のリチウム錯体フッ素化合物、あるいはLiClO4といったリチウムハロゲン化物等を1種類または2種類以上を溶解した非水系の有機電解液が好適に用いられる。このような電解液は、電池ケース内に充填されるとともに、内部電極体1に含浸される。
【0025】ここで、図1に本発明のリチウム二次電池の一の実施の形態を示す。ここで、電池10における電池ケース23の胴体部材としてはパイプが用いられており、蓋21・22が、電池ケース(パイプ)23の両端面を封止するように、電池ケース(パイプ)23にかしめ加工が施されている。電池ケース23をこのようなパイプと蓋21・22から構成すると、内部電極体1を電池ケース(パイプ)23中に挿入し、電池ケース(パイプ)23の所定位置に絞り加工部24を設けて内部電極体1の上下方向の移動を抑制し、さらに、タブ5を内部端子14へ接続し、蓋21・22により電池ケース(パイプ)23の両端を閉塞するといった作業を容易に行うことができ、好ましい。なお、内部端子14とは、内部電極体1からの電流の取り出しのために、タブ5を一時的に集合接続させる部材をいう。
【0026】また、電池ケース23の一端面の蓋21(この蓋21を上側とする。)における巻芯6の筒孔7の外延上にあたる位置には、電解液注入口11が設けられている。このような構造とすることにより、電解液の注入や排出を行うノズル(以下、「ノズル」という。)12の先端を、電解液注入口11と筒孔7を通して電池ケース23の他端まで挿入することが可能となる。なお、1本のノズル12を用いて、電解液の注入と排出の両方を行うことが好ましいが、電解液注入用のノズルと、電解液排出用のノズルとを使い分けて用いてもよい。
【0027】電池ケース23は、電解液を充填(注入)する際、グローブボックス等の雰囲気調整が可能な空間に載置される。上述した通り、電池ケース23の両端は既に蓋21・22により封止されているので、電解液の充填(注入)が終了した後に電池ケース23の端部封止を行う必要がなく、従って、封止作業を行う装置等をグローブボックス等内に載置する必要がない。このため、グローブボックス等として、電池10(電池ケース23)の大きさに応じた小型のものを用いることができる。
【0028】グローブボックス等内を真空ポンプを用いて真空雰囲気とすると、電池ケース23には電解液注入口11が設けられているので、電池ケース23の内部も当然に同じ真空雰囲気となる。ここでは真空度を0.1torr(13.3Pa)程度より高真空の状態となるようにすることが好ましい。
【0029】この状態において、ノズル12の先端を、電解液注入口11を通し、次に巻芯6の筒孔7を通して、浅くとも対向する他端(底部)側における内部電極体1の端面の位置、すなわち図1中の破線AA’で示される位置にまで挿入した後に、電解液を少なくとも内部電極体1が浸漬されるまで、すなわち図1中の破線BB’で示される位置まで注入する。ここで、ノズル12の先端を電池ケース23内の最下部(蓋22)まで挿入すると、電解液の跳ねを抑え、確実に内部電極体1の底面側の端面から電解液の含浸を開始させることができる。
【0030】なお、電解液の含浸処理中は、電解液が沸騰しない程度の真空度に保つことが好ましく、このときの真空度は使用する電解液を構成する溶媒の物性に大きく依存する。また、ノズル12はグローブボックス等内を真空雰囲気とする前に予め電池ケース23内に挿入しておいてもよい。ノズル12の材質としては、電解液による腐食を受けない金属あるいは樹脂が用いられ、ノズル12はチューブやパイプ等を介してグローブボックス等外に置かれた電解液貯蔵タンクと接続され、定量ポンプ等を用いて電解液貯蔵タンクから電解液が送られる。当然に、ノズル12の根元やチューブあるいはパイプ等の途中にはストップバルブ等が設けられる。
【0031】このようにして電解液を電池ケース23の下部から満たしていくことにより、電解液は内部電極体1において下部から上部へ向かって含浸し、内部電極体1内部から発生する気泡は、電解液の含浸していない空間を抜けることができるようになるため、電解液の含浸を効果的に行うことができるようになる。こうして、電解液の注入時間を短縮することが可能となり、この場合、電解液に揮発性の高い溶媒が含まれている場合であっても、その蒸発量が最小限に抑えられ、電解液特性の低下の回避が図られる。
【0032】通常、内部電極体は電池の中央に配置され、このとき内部電極体の巻芯は必然的に電池の中央に配置されることとなる。このため、円柱型の内部電極体1を用いた電池10(電池ケース23)の場合には、電解液注入口11は、図1に示すように、外部端子13と電解液注入口11とが一体化されて電池ケース23の一端面の蓋21の中央部に配設されることが、後述するように、得られた電池10どうしの直列接続を容易とする点からも好ましい。なお、外部端子13とは、電池の電流を外部に取り出すために、電池10の外側に配設される部材である。
【0033】また、図2の断面図は本発明のリチウム二次電池の別の実施の形態を示したものであるが、電解液注入口11が電池ケース23の一端面の蓋21の中央部に形成されるとともに外部端子15が電解液注入口11を閉塞しない位置において蓋21に配設される構造としてもよい。
【0034】一方、電池ケース23の内部に着目すると、図1に示すように、内部端子14およびその内部端子14に接続されるタブ5は、巻芯6の筒孔の、その軸方向(長さ方向)の外延上にあたる領域、すなわち、電解液注入口11から内部電極体1の巻芯6の上端に至る領域98、および巻芯6の下端から電池ケース23の底部側の蓋22に至る領域99から外れた位置に配設されていることが好ましい。これは、上述した通り、電解液注入口11からノズル12を出し入れする必要があるので、このノズル12の出し入れ(挿抜)の障害とならない位置に内部端子14とタブ5とを配置するためである。
【0035】なお、内部端子14は、図1に示すように、電池ケース23の一方の端面に1箇所に限定して配設されるものではなく、図2に示すように、電池ケース23の一方の端面に2箇所設けてもよく、さらにこれ以上配設してもよい。ここで、蓋21・22としては、金属部材が好適に用いられるので、この場合には内部端子14と外部端子13とは必然的に導通する。一方、蓋21・22として絶縁部材を用いた場合には、蓋21・22の外周を通して、あるいは蓋21・22に導通孔を設けること等により、内部端子14と外部端子13の電気的接続を行えばよい。
【0036】ところで、本発明によれば、電解液注入口11以外は密閉された構造となっているために電解液の水位を従来のように目視で観察することは困難である。このため、電解液の総注入量は、先に図7を用いて説明したように、上部が開放された電池ケース23に電解液を注入した場合に、内部電極体が完全に電解液に浸されるときの最低水位となるだけの量を予め測定して決定しておけばよい。
【0037】また、図3に示すように、電池ケース23に設けられた正極、負極の各外部端子13間の交流インピーダンスをインピーダンスアナライザ41等を用いて測定することにより、電解液の含浸の終了を判断することができる。但し、この場合には、電解液として電解質を含まない有機溶媒のみからなる溶媒を用いる。このような溶媒を用いることによって、電解質が交流インピーダンスに及ぼす影響が排除され、交流インピーダンスが直接に溶媒の含浸面積を反映することとなる。
【0038】図4は、周波数100Hzにおいて、本発明のリチウム二次電池の構成に基づく、その製造工程における内部電極体の下部からの電解液の充填(注入)と、従来の図7に示した上部からの電解液の充填(注入)との場合における、電解液含浸時間と交流インピーダンスの変化との関係を調べた結果の一例である。ここで電解液含浸時間とは、真空雰囲気において電解液の注入を開始したときから、電解液の注入後に電池ケース内が大気圧に戻るまでの時間をいう。図4より、従来の充填(注入)によれば、交流インピーダンスがある一定の値に低下するまで約2時間の電解液含浸時間を必要としていたのに対し、本発明のリチウム二次電池の構成に基づく、その製造工程における充填(注入)によれば、同等の含浸処理を約30分で行うことができるようになる。こうして、電池の作製時間の短縮と電解液の特性の確保が図られる。なお、ここでは正極の電極基板として幅200mm、長さ3600mm、負極の電極基板として幅200mm、長さ4000mmの大きさのものを捲回して作製した内部電極体を、内径48mmφの電池ケースに収容したものを用いている。また、溶媒としては、ECとDECの等量混合溶媒を用いている。
【0039】次に、電解液の含浸処理が終了した後、グローブボックス等内を窒素やアルゴンといった不活性ガスでパージし、その後に電池ケース23内に残留する余剰電解液をノズル12を用いて外部へ排出する。このとき、筒孔7内やタブ5の配置スペース等に充填された余剰電解液をより多く排出するために、ノズル12の先端は電池ケース23内の底部にまで挿入されていることが好ましい。ここで、図5(a)の断面図に示すように、電池ケース23の底部を形成する蓋22の内側中央部に窪み部31が設けられていると、この窪み部31に電解液が流れ込むようになるため、残留する余剰電解液をさらに多く排出することができるようになる。なお、図5(b)の断面図に示すように、蓋22をその中央部が外側へ凸となるように膨らませて、窪み部31を形成してもよい。
【0040】余剰電解液を排出した後に、グローブボックス等内で電解液注入口11を閉塞する。この閉塞作業が簡便な方法によって行うことができると、グローブボックス等として電池10(電池ケース23)の大きさに合わせた小型のものを用いることができ、前述した電池ケース23の端部を封止するための装置を載置する必要がないことと併せて、設備費の低減とパージガスの使用量の低減を図ることができる。
【0041】ここで、電解液注入口11は、外部からネジ止め、圧入またはシール材の充填といった簡便な封止方法により閉塞されてなることが好ましい。ネジ止めは、図1に示した外部端子13に電解液注入口11を閉塞するネジを填め込む方法や、図6(a)の断面図に示すように、電解液注入口11をネジ状に形成して、その形状に相補するネジ16で止めることで、容易に行うことができる。電解液注入口11が形成される蓋21が薄い場合には、図6(b)の断面図に示すように、蓋21の片面または両面にネジを切った突起部17を設け、相補形状のネジ16で止めればよい。また、圧入は、図6(c)の断面図に示すように、電解液注入口11に電池内側で径が小さくなるような僅かな勾配を設けて、その形状と嵌合する金属部品18等を圧入することで行うこともできる。また、シール材の充填は、樹脂等を用いて行うことが可能であり、電解液注入口11の開口面積が小さい場合には、金属ロウを極部加熱により溶融させて電解液注入口11を封止することも可能である。さらに、溶接によって封止(閉塞)してもよい。
【0042】さて、こうして電解液注入口11が封止されると電池10が完成するが、本発明のリチウム二次電池の用途として、例えば、EVやHEV等のモータ駆動用を挙げることができる。この場合、モータ駆動のために100〜200Vといった電圧が必要となるため、複数の電池を直列に接続する必要がある。そこで、図1に示す電池10のように、電池10(電池ケース23)の両端に正負各電極の外部端子13を別々に設け、かつ、これらの外部端子13を電池10(電池ケース23)の端面の中央に配設すると、電池間の接続が容易となり、好ましい。つまり、電解液注入口11は図1におけるリチウム二次電池に示すように、外部端子13と一体化されて形成されていることが好ましい。電解液注入口11が形成されていない電池10(電池ケース23)の他端の外部端子13を端面の中央に配設したものであってもよい。
【0043】以上、本発明のリチウム二次電池について説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態は断面略円形の巻芯を用いたものであるが、断面略楕円形、長円形等の巻芯を用いてもよく、こうして得られる断面略楕円形、長円形等の内部電極体を収容した電池ケースにおいて、その巻芯の筒孔の外延上に電解液注入口を設けたものであってもよい。つまり、本発明のリチウム二次電池は、円柱型電池のみに適用されるものではなく、筒孔を有する巻芯を用いた全ての電池に適用することができるものである。
【0044】また、電池ケースについては、電池が小型化されれば、有底筒型容器に内部電極体を挿入して電池を組むことが容易となってくる。この場合にあっては、有底筒型容器の底の部分に、最初から窪み部を設けることが可能である。さらに、リチウム二次電池には、過充電や過放電時に電池内圧が上昇することによって起こり得る電池の破裂に対する安全機構として、放圧機構を電池端部に配設することが一般的であるが、本発明のリチウム二次電池においては、この放圧機構の配設に悪影響を及ぼすことはなく、例えば、図1記載の電池10(電池ケース23)においても、その蓋21・22に破裂溝を形成することが可能である。
【0045】本発明のリチウム二次電池は、2Ah以上の比較的大きな容量を有するものである。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリチウム二次電池は、大容量(大型)の電池の製造工程において、電解液の注入および不必要な電解液の排出、ならびに電池の封止を、簡易に、効率よく行うことが可能なように構成され、製造工程の簡易化、効率化に基づき低コストであるとともに、電解液の特性が安定し、さらに安定した電池特性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池の一の実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明のリチウム二次電池の別の実施の形態を示す断面図である。
【図3】電解液含浸時間測定方法の一例を示す説明図である。
【図4】電解液含浸時間と交流インピーダンスの変化との関係を示すグラフである。
【図5】本発明に好適に用いられる電池底部の蓋の一の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明に好適に用いられる電解液注入口の形態の一例を示す断面図である。
【図7】従来法による電解液の充填方法の一例を示す説明図である。
【図8】捲回型内部電極体の一般的な構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…内部電極体、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…タブ(集電手段)、6…巻芯、7…筒孔、10…電池、11…電解液注入口、12…電解液注入用/排出用ノズル、13…外部端子、14…内部端子、15…外部端子、16…ネジ、17…突起部、18…金属部材、21…(上)蓋、22…(下)蓋、23…電池ケース(パイプ)、24…絞り加工部、31…窪み部、41…インピーダンスアナライザ、70…電池(電池ケース)、71・72…端部、73…ノズル、98・99…巻芯の外延領域。
Claims (4)
- 電池ケースと、前記電池ケース内に収納された、正極板及び負極板がセパレータを介して、筒状の巻芯外周に捲回されてなる内部電極体と、前記電池ケース内に注入されて前記内部電極体に含浸された電解液と、前記電池ケースの少なくとも一端側に配設された蓋とを備え、前記電池ケースの両端が封止されてなるリチウム二次電池であって、
前記巻芯の筒孔の外延上にあたる領域以外の領域に配設された、一以上の内部端子と、前記内部端子に接続される複数箇所集電手段とをさらに備えるとともに、前記電池ケースの一端側に配設された前記蓋が、前記巻芯の筒孔の外延上にあたる部分に、前記蓋を貫通して形成された電解液注入口を有し、かつ、
前記電解液注入口が、閉塞されており、
さらに、2Ah以上の電池容量を有することを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記巻芯及び前記電解液注入口が、前記電池ケースの中央部に配設されてなることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記電池ケースの他端の内側中央部に窪み部が配設されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
- 前記電解液注入口が、外部からネジ止め、圧入、溶接またはシール材の充填により閉塞されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
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