JP2004110486A - 看護支援システム及び看護支援方法 - Google Patents

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松本 美幸
Teruko Yoshimoto
吉本 照子
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Abstract

【課題】被看護者の睡眠状態をリアルタイムで把握し、適切な看護内容を看護者に適宜報知することができる看護支援システムを提供する
【解決手段】本発明にかかる看護支援システムは、看護者に被看護者の看護内容を報知する看護支援システムである。被看護者の生体情報を検出するセンサ装置1と情報処理装置2を有する。センサ装置1は体動を検出し、その信号を随時送信する。情報処理装置2は信号を受信する受信装置4とパソコン3を有する。パソコン3は受信した信号に基づくデータを蓄積する。そのデータから被看護者の睡眠状態を判断する。また、パソコン3は被看護者の看護情報を記憶している。そして、睡眠状態と看護情報から看護内容を選定し、その看護内容をパソコン3の表示部に表示させて看護者に報知する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被看護者の看護を行う看護者を支援する看護支援システム及び看護支援方法に関し、特に詳しくは生体情報に基づき被看護者の睡眠状態を判断して、看護内容を選定する看護支援システム及び看護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、病院に入院中の患者に対するケアは看護師(看護士及び看護婦)が中心となって行っている。その中でも、手術など医師の処理が終了した後のケアでは患者の容態に合わせて適切な処置が必要とされる。例えば、骨折した患者は整形外科で手術を行うが、手術後の痛みなどが継続して残る場合がある。
【0003】
この場合、その痛みによって睡眠障害が発生し、それが継続すると正常な精神活動が出来なくなってしまうことがある。さらには、幻覚や幻想が見え始め、強い恐怖を伴う興奮状態に陥ってしまう。そのため、叫んだり暴れたりする錯乱状態となり、せん妄の状態に陥ってしまう場合がある。
【0004】
そこで、看護師が患者の行動や言動から痛みを判断し、鎮痛剤等の投薬により、患者の痛みを和らげている。せん妄の症状は、患者の睡眠時間と大きくかかわっていることが知られており、1日のうち数時間の連続した睡眠を確保することで予防が可能である。
【0005】
このような状況の下、患者の就寝中の脳波や体動等の生体情報から睡眠の質を評価する装置が提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2)。また、生体情報から睡眠の質を評価し、その結果から覚醒時の行動をアドバイスする装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−98863号公報
【特許文献2】
特開2002−34955号公報
【特許文献3】
特開2001−61819号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通常、患者数の増加及び看護師不足から看護師が1人又は少数の患者につきっきりで看護、ケアすることは不可能である。特に夜間においては看護師数が少なくなるため、一人の看護師により看護される患者数は多くなり、充分な看護を行うのが困難になる。そのため、従来は翌日に患者に対してヒアリングを行い、そのヒアリング結果から睡眠具合を把握していた。従って、患者が睡眠障害を起こしているか否か、充分な睡眠がとれているか否かを正確に判断することは困難であり、せん妄が発生してしまうことが多々あった。さらに、せん妄状態の患者は看護師のヒアリングに応じなかったりすることもあった。よって、看護の負担を避けるため、早期から鎮痛剤、睡眠薬等の投薬を行ってしまい、逆に患者の体調を崩してしまうことがあった。
【0008】
一方、ベッド上での長期安静を必要とする高齢の患者に対しては、所定の時間間隔で体の向きを変更して床ずれを防ぐ体位交換が必要となる。しかし、看護師は複数の患者の看護を任されている関係上、特定の患者に対して集中したケアをすることが困難である。そのため、患者が睡眠状態にあるか否かに関わらず、予め決められた時間毎に体位交換を実施している。よって、深夜に患者が熟睡している時であっても無理やり体位交換を行い、患者の睡眠を阻害してしまうことがあった。このように、睡眠を阻害された場合はその患者に睡眠障害が発生し、さらにはせん妄が発生してしまっていた。
【0009】
次に別の問題点について説明する。従来では手術後の患者の容態を把握するためには患者からのヒアリングに頼ることが大きかった。例えば、骨折等により手術をした後は手術後の痛みが多少なりとも発生する。しかし、看護師が常時患者を診ることは不可能である。従って、1日数回のヒアリングにより痛みの状況を把握していた。
【0010】
しかしながら、患者からの回答は個人の意思で作られるもので千差万別である。よって、痛みを我慢したり、自分自身では睡眠不足を把握できないことがあり、誤って報告してしまう場合が多々あった。これらの場合、看護師は患者に対して適切な処置を行うことができず、患者が痛みによる睡眠中断から睡眠障害になることがあった。これにより、患者が精神的に不安定となってしまい、さらには暴力的になるケースが発生している。この場合、医師の判断により早期の鎮痛剤投与が余儀なくされていた。
【0011】
また、従来の睡眠状態評価装置では就寝中の脳波や体動等の生体情報から睡眠の質を評価、判断するだけであった。しかし、睡眠状態を評価、判断するのみでは、看護師に適切な看護内容を指示することができなかった。また、患者が眠り始めた時や熟睡している時に体位交換等の患者が起きてしまう看護をしてしまうことがあった。そのため、患者の睡眠不足や睡眠障害が解消しないこともあった。さらにはそれが原因でせん妄が発生してしまうこともあった。
【0012】
また、生体情報から睡眠の質を評価し、その結果から覚醒時の行動をアドバイスする装置では使用者に対して覚醒時(睡眠終了後)に睡眠の質を向上させるためのアドバイスを提示している。
【0013】
従って、病院内における個々の患者の睡眠状態をリアルタイムで把握し、患者に適した看護、処置、ケアを提供することができなかった。そのため、適切なタイミングで体位交換や必要な看護を行うことができなかった。すなわち、患者が眠り始めた時や睡眠状態になった直後に体位交換をしてしまい睡眠を阻害してしまうことがあった。このような睡眠の阻害は睡眠時間の短縮や睡眠の質の低下(睡眠が浅い)を招き、患者がせん妄に陥ってしまうという問題点があった。
【0014】
このように、従来技術では、個々の患者の睡眠状態をリアルタイムで把握し、適切な看護、処置、ケアをすることができないという問題があった。また、睡眠状態が把握できても、患者の睡眠不足を解消することができずに、睡眠障害さらにはせん妄が発生してしまうという問題点があった。
【0015】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、被看護者の睡眠状態を把握し、適切な看護内容、処置、ケアを看護者に適宜指示することができる看護支援システム及び看護支援方法を提供することを目的とする。
【0016】
さらに本発明は過去の正常な睡眠状態と現在の睡眠状態を比較し、現在充分な睡眠ができていないと判断した場合は過去の正常な睡眠状態に近づけるように看護内容を看護師に指示することができる看護支援システム及び看護支援方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる看護支援システムは、看護者に被看護者の看護内容を報知する看護支援システムであって、被看護者の生体情報を検出する検出手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる体動センサ12)と、前記検出手段により検出された生体情報に基づく信号を随時送信する送信手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる無線手段15)と、前記送信手段によって送信された信号を受信する受信手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる受信手段41)と、前記受信手段によって受信された信号に基づくデータを蓄積するデータ蓄積手段(例えば、本発明に実施の形態にかかるデータ蓄積手段32)と、前記蓄積されたデータに基づき被看護者の現在の睡眠状態を判断する睡眠状態判断手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる睡眠状態判断手段33)と、被看護者の看護情報を記憶する看護情報記憶手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる看護情報記憶手段31)と、前記看護情報記憶手段に記憶された看護情報及び睡眠状態判断手段により判断された現在の睡眠状態に基づいて看護内容を選定する看護内容選定手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる看護内容選定手段34)と、前記看護内容選定手段により選定された看護内容を看護者に報知する報知手段(例えば、本発明に実施の形態にかかる報知手段35、表示手段36又は連絡手段37)を備えたものである。
【0018】
本発明にかかる看護支援システムは上記の看護支援システムにおいて前記睡眠状態判断手段は睡眠移行状態を検出し、前記看護内容選定手段は睡眠移行状態を検出した時から覚醒状態移行時まで又は一定時間、被看護者を起こすような看護を行わないように看護内容を選定することを特徴とするものである。
【0019】
本発明にかかる看護支援システムは上記の看護支援システムにおいて、前記看護内容選定手段は前記睡眠状態判断手段によって判断された過去の睡眠状態と現在の睡眠状態を比較することにより、看護内容を選定するものである。
【0020】
前記看護内容選定手段は、被看護者が正常な状態において検出した過去の睡眠状態と現在の睡眠状態を比較し、当該過去の睡眠状態に近づくように看護内容を選定することが望ましい。
【0021】
前記生体情報は被看護者の体動に基づいた情報であってもよい。
【0022】
本発明にかかる看護支援方法は看護者に被看護者の看護内容を報知する看護支援システムであって、被看護者の生体情報を検出するステップと、検出された生体情報に基づく信号を随時送信するステップと、送信された信号を受信する受信するステップと、受信された信号に基づくデータを蓄積するステップと、前記蓄積されたデータに基づき被看護者の現在の睡眠状態を判断するステップと、被看護者の看護情報を記憶するステップと、前記看護情報及び前記睡眠状態に基づいて看護内容を選定するステップと、前記選定された看護内容を看護者に報知するステップを有するものである。
【0023】
上述に看護支援方法において、睡眠状態を判断するステップでは睡眠移行状態を検出し、睡眠移行状態を検出した時から覚醒移行時まで又は一定時間、被看護者を起こすような看護を行わないように看護内容を選定することを特徴とすることが望ましい。
【0024】
さらに、前記被看護者が正常な睡眠状態である時からデータが蓄積され、前記睡眠情報判断手段は前記正常な睡眠状態の時のデータと現在のデータを較し、現在の睡眠状態が正常であるか否かを判断することが望ましい。
【0025】
本発明にかかる看護支援方法は、前記生体情報は被看護者の体動に基づいた情報であることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる看護支援システムについて図1を用いて説明する。図1は本発明にかかる看護支援システムの構成を示す図である。1はセンサ装置、2は情報処理装置、3はパーソナルコンピューター(以下、パソコン)、4は受信装置である。なお、本発明にかかる看護支援システム及び看護支援方法は、例えば多数の病床を備えており、多数の患者が入院している病院や病棟に用いることできる。さらには、看護が必要な要看護者が多数いるリハビリセンター、保健施設、看護施設、介護施設に用いることも可能である。また在宅看護サービスをネットワーク化して運用する場合にも用いることができる。
【0027】
対象者である患者(被看護者)の腕に腕時計型のセンサ装置1が装着されている。このセンサ装置1は患者の体動を検知して、体動の量に基づく信号を無線で送信する。無線送信された信号は受信装置4により受信される。
【0028】
受信装置4で受信された信号はパソコン3へ伝送される。パソコン3は受信された信号に基づき介護方法、処置等を判断する。なお、パソコン3と受信装置4から情報処理装置2が構成される。
【0029】
図2を用いてセンサ装置1について説明する。図2はセンサ装置1の内部構成を示すブロック図である。11は電源部、12は体動センサ、13はセンサ信号処理手段、14は解析手段、15は無線手段である。
【0030】
センサ装置1は体動センサ12を備えている。この体動センサ12は取り付け対象の加速度等を検出するセンサであり、体動に応じた値を出力する。腕時計型のセンサ装置の場合、腕の動きを検出する。腕時計型のセンサ装置1を用いれば体位交換が必要な寝たきりの患者に対しても腕の動きを検出することが出来る。なお、センサは3軸方向の動きを検出するものが望ましい。
【0031】
体動センサ12の出力はセンサ信号処理手段13に入力され、どちらの方向にどの程度の体動があったかを積分等により算出して解析手段14に出力する。
【0032】
解析手段14では所定の時間内における体動を解析して体動量を求める。そして、その結果をデジタルデータに変換して無線手段15に伝送する。例えば、所定時間内における全方向の体動の和により体動の総量を算出する。これにより、体動の総量に応じた体動量を求めることができ、対象者の動きの度合いを把握できるようになる。
【0033】
無線手段15では、解析手段14の結果を変調し無線にて随時、間欠的に送信する。センサ装置1には患者を特定するためにそれぞれ異なるID番号が付加されている。そして、このID番号が解析結果と共に送信される。なお、解析手段14からの出力は無線手段15によって所定の時間毎に送信されるので、複数のセンサ装置1を使用した場合でも混信することがない。ここで、センサ装置1は乾電池や充電式のバッテリー等を備える電源部11によって駆動されている。
【0034】
センサ装置1の無線手段15から送信された信号は受信装置4で受信される。受信装置4では受信信号を復調し、所定のフォーマットに変換してパソコン3へ伝送する。受信装置4からパソコン3への伝送はRS−232C、RS−422、RS−485等の伝送線を利用することができる。またパソコン3は看護師が常駐しているナースステーションの近くに設けられることが望ましい。これにより、看護師が常に患者の容態を把握することが出来る。
【0035】
なお、受信装置4の数は図1に示すように1つに限定されるものではない。例えば、受信装置4を病室毎に設置し、有線回線や電灯線通信(PLC:パワーラインキャリア)でパソコン3に接続してもよい。この場合、無線手段の送信出力を小さくすることができ、他の医療機器へ影響を少なくすることが出来る。また、消費電力が低くなるため電池等の使用時間を長くすることもできる。
【0036】
さらに、信号を受信することが出来なくなった時は、患者又はシステムに異変が起きていると考えられるのでパソコン3にアラームを出し、看護師に連絡することが望ましい。例えば、システム側の異変としてはセンサ装置1や受信装置4の故障、センサ装置1の電池切れ、受信装置4とパソコン3間の伝送ケーブルの断線等が考えられる。患者側の異変としては患者が受信可能領域内から出てしまうことやセンサ装置1を勝手に取り外して受信可能領域内外に置きっ放しにすること等が考えられる。
【0037】
また、センサ装置1に設けられた無線手段15の送信出力が充分大きい場合は、各病室からの無線信号を1つの受信装置4で受信してもよい。この場合、受信装置4の数を減らすことができるため、コスト削減につながる。もちろん、センサ装置1と受信装置4の数の組み合わせは上記のように限られない。例えば、病院の各階に1つ又は複数の受信装置4を設けてもよい。
【0038】
なお、センサ装置1は人体に装着できることが望ましい。また、腕時計型に限られるものではなく、足等に装着しても良い。人体装着型のセンサ装置1の出力を無線信号により送信することで、患者がベッドから出ているときや病室外にいるときでも検出が可能になる。これにより、広範囲で患者の体動を検出することができ、ベッド以外の場所で睡眠を取っていても、その情報を把握することができる。
【0039】
図3を用いて情報処理装置2について説明する。図3は情報処理装置2の内部構成を示すブロック図である。31は看護情報記憶手段、32はデータ蓄積手段、33は睡眠状態判断手段、34は看護内容選定手段、35は報知手段、36は表示手段、37は連絡手段である。これらはパソコン3の内部に含まれている。41は受信手段であり、受信装置4に含まれている。
【0040】
図1に示したように情報処理装置2は受信装置4とパソコン3で構成されている。パソコン3はシリアルポートから受信装置4のデータを入力される。このデータはデータ蓄積手段32により蓄積される。
【0041】
このデータに基づいて睡眠状態判断手段33は患者が眠り始めているか否か、睡眠から覚醒し始めているか否か等を判断する。この判断結果は看護内容選定手段34に伝送される。
【0042】
一方、看護情報記憶手段31には看護師や医師により、患者個人の個人情報、さらには患者に必要とされる看護内容と看護方針が事前に入力され、記憶されている。この看護情報記憶手段31に記憶されるデータとしては、患者の氏名、年齢、性別、病名、入院前後の容態、手術の内容や実施日、病室番号、既往歴、症状、疾例、診断結果、アレルギー、服薬履歴、血圧等の個人情報が挙げられる。また、これらの個人情報は適宜、追加してもよい。
【0043】
そして、患者の個人情報に基づいた看護内容及びその看護内容に対応する看護方針が記憶される。看護内容は定期的に必要な看護、患者の症状や状態に応じて必要な看護のいずれも含まれ、投薬、注射、点滴、体位交換、診断、検温、血圧チェック、食事、リハビリ等が挙げられる。これらの看護内容に基づいて全体の看護方針が決定される。看護方針としては、体位交換、投薬、点滴等を定期的に行うことや投薬すべきではない薬などが記憶される。
【0044】
この看護内容、看護方針は、過去の実例やデータベースを用いて患者の個人情報からパソコン3によって判断されても良い。この看護情報記憶手段31に記憶されたデータは患者毎にデータベース化することが望ましい。なお、看護情報はパソコン3のキーボードやマウスあるいはタッチパネル等により入力することができるようになっている。
【0045】
看護内容選定手段34は看護情報記憶手段31のデータ及び睡眠状態判断手段33の判断結果に基づいて、実行すべき看護内容を選定する。この選定された看護内容は表示部36に表示される。さらに、その表示結果は連絡手段37により看護師に連絡される。
【0046】
次に図4を用い情報処理装置内の処理のフローについて説明する。図4は処理フローを示すフローチャートである。センサ装置1からのデータが受信装置4で受信され、パソコン3に伝送される(ステップS101)。このデータはデータ蓄積手段32に伝送される。
【0047】
データ蓄積手段32では入力されたデータから患者を示すID番号を抽出して、患者毎にデータを振り分ける(ステップS102)。データ蓄積手段32には複数の患者のデータが蓄積されたデータベースがあり、ID番号毎にデータベースのテーブルとして存在している。過去のデータに新しく入力されたデータがトレンドとして追加され(ステップS103)、データベースを更新する。
【0048】
報知手段35の表示部36では、リアルタイムで患者の体動量データをトレンドとして表示させてもよい。なお、表示部36はパソコン3のディスプレイ等で構成される。
【0049】
図5に体動量のトレンドデータの一例を示す。横軸は時間、縦軸は体動量を示している。なお、ここでは受信装置4で受信した時間にその体動量のデータをリアルタイムでプロットしている。上に行くほど体動量が多く、下に行くほど体動量が少なくなっている。従って、上にプロットされている時間では、患者は活発に活動しており、覚醒状態にあることを意味している。反対に下にプロットされている時間では、体動量が少ないため睡眠状態に近いことを意味している。
【0050】
本実施の形態では図5に示すように体動量のデータを大きく5段階に分類している。0〜1の間にある時間が長い場合は体動が少なく、睡眠状態にあるもしくは睡眠状態に近いと判断することができる。この間で以下に示すように体動の傾向を解析すれば睡眠状態を把握することが可能になる。また体動の傾向を解析するために体動量に微分処理をしてもよい。
【0051】
本発明では体動の傾向によって、患者の睡眠がどのような状態にあるか把握している。すなわち、体動が減少してほぼ0になりかかっている時は、患者が眠りにつき始めていると判断される。例えば、図5のAに示す時間である。また体動が0又はほぼ0の状態であり、その状態が安定している時は、患者が深い眠りについていると判断される。体動が0又はほぼ0の状態から増加しているときは、患者が睡眠から覚醒し始めている(起き始めている)と判断することができる。例えば、図5のBに示す時間である。このように、患者の体動を検出しリアルタイムで表示させることにより患者の睡眠状態を把握することが出来る。さらに、1日の睡眠時間、起き始める時間、眠りにつき始める時間等を判断することも可能である。
【0052】
看護内容選定手段34では看護情報記憶手段31によって記憶されている看護情報に基づく看護方針に準じた看護内容が選定される。ここでは、ベッド上での安静が必要な高齢な患者であるとする。よって、床ずれを防ぐために体位交換を定期的に行うという看護方針が看護情報記憶手段31に記憶されている。患者が覚醒している間においては、所定の時間になったら、体位交換を行う必要がある旨、パソコン3の表示部36に表示される。
【0053】
従来であれば、患者の睡眠状態に関わらず、決まった時間に体位交換の看護は行われていた。従って、図5におけるAの時間に行われてしまうことがあった。つまり、従来では看護師が患者の睡眠状態を外観から見た限りの範囲でしか把握できなかったことから、患者が眠りにつき始めた時又は深い眠りに入っている時に体位交換を行ってしまう場合があった。この場合、この体位交換が睡眠の障害となり、患者は睡眠不足に陥り、さらにせん妄になってしまうことがあった。
【0054】
本発明では、睡眠状態判断手段において体動量のその傾向を常時モニターしている。この体動量とその傾向の基づいて睡眠状態を判断している。以下に睡眠状態の判断の一例を説明する。ここでは情報処理装置2において体位交換を適切なタイミングで行うための処理が成されている。まず、最初に体動量が閾値以上か以下かを判断する(ステップS104)。例えば、ある閾値(図5に示す1)以上である場合は覚醒していると判断する。これにより、覚醒しているか否かを判別することができる。体動量が閾値以上である場合、患者は覚醒していると判別し、ステップS106に進む。
【0055】
体動量が閾値以下である場合、患者は覚醒していないと判別する。覚醒していない状態では、患者は「体動がほとんどなく、完全に眠っている熟睡状態」、「体動量が減少傾向にあり、眠り始めている睡眠移行状態」、「体動量が増加傾向にあり、起き始めている覚醒移行状態」、「体動量が少しあり、覚醒よりも眠りに近い半睡眠状態」、「体動量がある程度あり、眠りよりも覚醒に近い半覚醒状態」等にあることが考えられる。これらの睡眠状態を判断し、適切なタイミングで体位交換を行うために、まず体動量の傾向を判断する(ステップS105)。例えば、体動量が減少傾向にあると判断すれば覚醒から睡眠に遷移していると考えられる。よって、眠りにつき始めている状態であると把握することができる。この場合は、ステップS101に戻り、再びトレンドデータの収集が行われる。なお、この閾値はそれぞれの患者毎の体動量に基づいて別々に設定することが望ましい。また、体動量の減少傾向の判断もそれぞれの患者毎に基準を設けてもよい。例えば、体動量の傾きがある一定値より小さければ、睡眠移行状態にあると判断してもよい。また、減少傾向がある一定時間続いていれば睡眠移行状態にあると判断してもよい。
【0056】
逆に体動量が増加傾向にあると判断すれば、睡眠状態から覚醒していると考えられる。これにより、患者が起き始めていると把握することができる。この場合、ステップS106に進む。また、減少傾向の判断と同様に患者毎に体動量の増加傾向の判断基準を設けても良い。
【0057】
上述のように、ステップ104で体動量が閾値以上あり、覚醒していると判別された場合やステップ105で起き始めていると判断された場合は体位交換に適しているか否か判断する(ステップS106)。そして、前回の体位交換から所定の時間が経過しており、体位交換に適していると判断された場合はパソコン3の画面にその旨表示される(ステップS107)。
【0058】
またパソコン3の画面を常時見る必要がないように、連絡手段37を用いて看護師に連絡してもよい。連絡手段37としては、病院内に設置されているPHSやPDA等の携帯端末を用いることが考えられる。また院内放送により連絡しても良い。各看護師が携帯している携帯端末に看護内容選定手段32の結果を送信する。これより、看護師がパソコン3の前に常時待機していなくても、院内にいれば患者の状態を把握することができる。
【0059】
本発明にかかる看護支援システムでは体位交換が必要な時間帯だとしても、A〜Bの状態即ち患者が眠りにつき始めた時(睡眠移行時)から覚醒し始める時(覚醒移行時)までの状態では体位交換の指示を出さないようにしている。そしてBを過ぎたら体位交換の指示を出すことができるようになる。これにより、熟睡している患者や眠り始めた患者に無理やり体位交換をして起こすことが無くなる。よって、睡眠を継続することが可能になり、充分な睡眠時間をとることができる。なお、患者が眠りにつき始めた時から一定時間は体位交換の指示を出さないようにしてもよい。
【0060】
なお、選定される看護内容は体位交換のみに限らず、投薬、注射、リハビリ、点滴、診断、検温、血圧チェック、食事等が挙げられる。リアルタイムの体動量から睡眠状態を判断し、これらの看護内容に適しているか否かを判断する。例えば、患者が眠り始めた時(睡眠移行時)から起き始める時は患者を起こすような看護内容を選定しないようにする。すなわち、眠り始めから睡眠中の時間を避けて、患者を起こすような看護内容を選定し、看護を実施する。これにより睡眠障害を防ぐことが出来る。あるいは、患者が眠り始めた時(睡眠移行時)から一定時間の間は患者を起こすような看護内容を選定しないようにしてもよい。これにより、睡眠障害を予防できる。さらに、1日の睡眠時間が不十分であると判断された場合は、睡眠薬を投与するように表示してもよい。
【0061】
以上のように、本発明では患者が携帯するセンサ装置1で検出された体動量を無線によりリアルタイムで送信している。そして患者の体動量データからトレンドデータを生成して現在の睡眠状態を判断し、それに基づいて実施する看護内容を看護者に報知している。従って、従来のように患者の睡眠状態が不明瞭のまま、無理やりに看護を行うことで、患者に睡眠障害を起こさせることを避けることが可能になる。
【0062】
発明の実施の形態2.
本実施の形態では患者の手術前の活動量から個人毎の睡眠のリズムや起床時間、就寝時間等の睡眠パターンを把握し、手術後もその状態に近づけることを目的とした看護支援システムを提供する。これにより、より適切な看護を行うことができ、また手術後の睡眠状態のパターンを手術前の正常な睡眠状態に近づけるような看護を行うことが可能となる。
【0063】
本発明の実施の形態2にかかる看護支援システムについて図6を用いて説明する。図6は検出された体動量データの一例を示す。なお、体動量のデータ収集方法は実施の形態1と同様であり、装置構成は図1、図2及び図3で示した構成と同様であるため説明を省略する。患者は入院した時にセンサ装置1を装着し、情報処理装置2で患者の体動量のデータ収集を開始する。すなわち図6のCの時点から体動量のデータが収集されている。
【0064】
収集されたデータはデータ蓄積手段32に蓄積されると共に、睡眠状態判断手段33によって睡眠と覚醒の状態、傾向が判断される。例えば、図6の期間T0では体動量が少ないことから睡眠状態になっていると睡眠状態判断手段33において判断される。なお、看護情報記憶手段31には患者の個人情報、症状や手術内容に基づく看護内容と看護方針が事前に記憶されている。
【0065】
ここで患者は図6のDの時点で手術を受けたとする。通常、手術室と病室は離れておりセンサ装置1の信号を受信できない場合もある。また手術中にセンサ装置1を装着していると手術や手術用機器に支障を及ぼす場合もある。このような場合はセンサ装置1を外すので手術中はデータが収集されない。従って、図6のDの時点では数時間、データが0のままである。ただし、特に手術やデータ収集に支障がなければセンサ装置1を装着したまま手術を行い、継続的にデータを収集しても良い。
【0066】
手術が終わって、病室に戻った時点で再度センサ装置1を装着する。そして再度データ収集がされるが、患者はまだ麻酔が効いているため体動はほとんど見られない。よって検出を再開した直後において睡眠状態判断手段33は睡眠状態にあると判断している。
【0067】
その後、患者は麻酔から覚めるが手術の痛みや麻酔によって昼間眠っていたことにより、夜間に睡眠をとることが出来ていない。よって、期間T2では手術前の正常な睡眠状態の体動量より高い体動量が検出されている。
【0068】
そこで、看護内容選定手段34は睡眠を充分に取ることが出来ていない患者への看護内容を選定する。その選定処理の流れについて図7を用いて説明する。図7は選定処理の流れを示すフローチャートである。なお、体動量のトレンドデータを収集し、追加するステップ(ステップS201とS202)については実施の形態1のステップ(ステップS101〜S103)と同等であるため説明を省略する。
【0069】
睡眠状態判断手段32は、患者がセンサ装置1装着後から手術前の2日間は夜から朝までの期間T0と期間T1は体動量が低いレベルにあり、睡眠状態にあったと判断している。そして、このレベルの体動量の時に患者が深い睡眠を取っていると判断する。また、体動量がある一定値以下の時は睡眠状態にあると判断して、正常な睡眠における1日の睡眠時間、睡眠開始時間(就寝時間)、睡眠終了時間(起床時間)を算出してもよい。
【0070】
そして、睡眠状態判断手段32ではこの手術前の体動量のレベルと手術後の同じ時間帯(期間T2)の体動量のレベルを比較する。すると、手術前の体動量のレベルよりも高いので深い睡眠状態を取っていないと判断する(ステップS203)。そこで看護内容選定手段34は患者に深い睡眠を取らせるような看護内容を選定する(ステップS204)。なお、手術前と手術後の比較では、上述のように同じ時間帯において検出された体動量のデータを直接比較してもよい。あるいは、同じ時間帯の体動量データに基づいて睡眠状態判断手段32が判断した手術前(過去)の睡眠状態と手術後(現在)の睡眠状態を比較してもよい。この場合、過去の睡眠状態はデータ取得時に判断されていてもよいし、比較する時間になった時にその都度、睡眠状態判断手段32によって判断されてもよい。
【0071】
例えば、手術後の痛みが発生している可能性があると判断し、手術後の痛みがあるかどうかカウンセリングすることを選定する(ステップS207)。この場合、患者にトレンドデータを見せて睡眠が充分取れていないことを認識させても良い。これにより、看護師からトレンドデータを見せられた患者は、自分が充分な睡眠が取れていないことを自覚して、痛みや精神的な不安等を自発的に話すようになる。よって看護師はよりヒアリングして、患者の状態を詳細に把握することが出来る。さらに、看護師は手術後の痛みに対するカウンセリングを通常より細かく行ってもよい。看護師はヒアリングしたデータをパソコン3に入力して、看護情報記憶手段31に記憶させる。
【0072】
情報処理装置2では引き続きトレンドデータを収集し、さらなる看護内容を選定することもできる。例えば、夜間に睡眠が取れるように睡眠薬や鎮痛剤の投与を選定する(ステップS206)。選定時には、睡眠薬を投与する時間も選定する。図6の例では患者が手術前に睡眠と取っていた期間(T0又はT1)と同じ期間に薬の効果が現れるようにEの時点で投薬することが選定される。投与する時間は投与してから薬の効果が現れ始める時間を逆算して求めることが望ましい。
【0073】
そして、睡眠薬を投薬する指示が報知手段35により看護師に報知される。看護師は選定された看護内容を実施することで、患者は一定期間T3の間、睡眠をとることができる。なお、事前に投与する時間を表示手段36や連絡手段37によって報知させてもよいし、投与する時間になったら報知させてもよい。例えば、投与する時間を表示手段36によってパソコン3の画面に表示させてもよい。また、投与する時間がきたらパソコン3の画面に睡眠薬を投与する指示を表示させてもよい。さらにこの指示を看護師が携帯しているPHSを用いて連絡してもよい。
【0074】
また、情報処理装置2はリアルタイムで患者の体動量データを収集して看護内容を選定している。よって、図6に示すFの時点のように昼間患者が睡眠に入ろうとした場合に夜中に睡眠の周期性を持たすことが出来なくなると判断して患者を起こすような指示を出すこともできる。このように、昼間の睡眠を故意に妨げることによって、睡眠薬の投与なしに患者は手術前の正常な睡眠周期と同じ周期(T4)で睡眠を取ることができる。さらに、投薬やカウンセリング以外の看護内容についての看護方針を変更することも可能である(ステップS205)。
【0075】
本発明では患者が入院してから手術を受けて退院するまでの間、生体情報を検出し、それに基づいて睡眠状態の判断と個人毎の看護内容の選定を行うことができる。従って、手術などの医療行為により患者の睡眠周期が崩れることをリアルタイムで把握したり、睡眠周期が崩れたことを即座に把握することができる。さらに、睡眠時間や睡眠パターンの異変を即座に検出することができる。よって、過剰な投薬を回避しながら充分な睡眠をとることができ、睡眠障害やせん妄などの症状を引き起こすことのない看護を支援することが可能となる。
【0076】
なお、入院予定の患者に対して入院前からセンサ装置1を装着させて、本発明にかかる看護支援システムを在宅において用いることも可能である。このように、入院前から生体情報を収集すれば、入院による環境変化によって発生する睡眠障害を検出することが可能である。この場合、センサ装置1によって生体情報を随時送信させてもよいし、受信装置がない場合等はセンサ装置1内部にデータを蓄積させ、入院時又は手術前にそのデータをまとめて取得しても良い。
【0077】
また、過去に患者が入院したことがある場合には、前回の入院時のトレンドデータを情報処理装置2に読み込ませて過去のデータと比較することも可能である。さらに、同じ症状の患者のデータを参考として用いても良い。この場合、氏名、病名、手術名等の個人情報から情報処理装置2に蓄積されているデータが自動的に読み込まれるようにしてもよい。
【0078】
このように患者自身の過去のデータや同じ症状の患者のデータを参考として用いて、看護内容を選定することにより、より適切な看護内容を選定することが出来る。また、その患者や症状特有のノウハウ、看護内容を医師や看護師が入力することによって、全ての看護師が熟練の看護師と同様の看護を提供できる。さらに、これらのデータをデータベース化して複数の病院や看護施設等で共有すれば患者に対して包括的な看護を行うことが可能になる。
【0079】
発明の実施の形態3
本発明の実施の形態3にかかる看護支援システムについて図8及び図9を用いて説明する。本実施の形態では実施の形態1、2で用いた腕時計型のセンサ装置ではなくベッド型のセンサ装置を用いている。従って、睡眠状態の判断や看護内容の選定は実施の形態1、2と同様であるため説明を省略する。
【0080】
図8は本実施の形態にかかる看護支援システムの構成を示す図である。5はセンサ装置、6は信号線である。図9はセンサ装置5の内部構成を示すブロックである。51は電源部、52はマット、53はマイク、54は体動検出手段、55は体内信号検出手段、56は解析手段、57は送信手段である。
【0081】
センサ装置5はベッドなど患者の寝具の下に敷かれている。そしてセンサ装置5からの信号は信号線6によりナースステーション等に設置された情報処理装置2に送信される。
【0082】
センサ装置5はビニールでできたマット52に空気や水等の流体が封入された流体封入体型のセンサを用いている。マット内の圧力変動をマイクロフォン53にて検出する。なお、マイクロフォン53は圧力変動を検出することができる圧力センサであれば、これに限らない。
【0083】
マイクロフォン53で検出された信号は体動検出手段54と体内信号検知手段55の双方に入力される。体動検知手段54は寝返り、痙攣、いびきなどにより体の動きを検知するものである。一方、体内信号検出手段55は呼吸や心拍などの体内からの振動を検出するものである。
【0084】
各々の検出手段は信号をフィルタリングする周波数や信号の増幅率などが異なっている。さらに、各々の検出手段の中でも複数のフィルタを持ち、複数の周波数成分の信号を抽出できるようになっている。各々で抽出された信号は解析手段56に入力され解析される。解析された信号は送信手段57によって送信され、信号線6を介して情報処理装置2に入力される。情報処理装置2は実施の形態1で説明したものと情報処理装置2と同等の構成を有する。ただし、信号線6によって信号の送受信を行っているため受信装置4は不要である。また、無線通信で信号の送受信を行ってもよい。
【0085】
そして情報処理装置2は実施の形態1、2と同様に患者の睡眠状態を判断し、その睡眠状態に適した看護内容を選定する。このように、マット型のセンサ装置5を用いても患者の体動量に関するデータから睡眠状態を把握し、看護師に指示を出すことが可能になる。
【0086】
その他の実施の形態.
上述の実施の形態では腕時計タイプの人体装着型センサ又はマットタイプの流体封入体型センサを用いているが、体動を検出することができるセンサであれば、これ以外のものでもよい。
【0087】
また、腕時計型とマット型のセンサを組み合わせて体動を検出してもよい。これにより、より正確な検出を行うことができ、睡眠状態の判断の正確性を向上できる。さらに体温、心拍、呼吸、脳波等の生体情報を検出するセンサを用いて睡眠状態を判断してもよい。これらの検出結果を無線により、送信することにより、リアルタイムでの検出が容易になる。これにより、適切な看護、処置、ケアを適宜実行することができる。
【0088】
なお、本発明にかかる看護支援システム及び看護支援方法の対象となる者は入院している患者及び病院で働く看護師に限らず、看護が必要な要看護者及びその者の看護をする看護者であればよい。またセンサ装置1と受信装置4の間は無線通信を行うこととしたが、これに限らず有線通信を行うようにしてもよい。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、被看護者の生体情報をリアルタイムで取得し、睡眠状態を判断することができるとともに、さらには、この睡眠状態と予め記憶された看護情報とに基づき看護内容を選定し、看護者に報知することができるので、適切な看護内容を看護者に適宜報知することができる。これにより、看護者は、適切な看護を実行することができ、ひいては被看護者が快適な睡眠をとることができ、睡眠障害やせん妄を予防することが可能になる。
【0090】
また、睡眠移行状態を検出し、睡眠移行状態を検出した時から覚醒状態移行時まで又は一定時間、被看護者を起こすような看護を行わないように看護内容を選定するようにしたので、睡眠が必要な時間帯に被看護者を起こすような例えば体位変動などの看護を行うことを防止できる。これにより、非看護者の睡眠障害を防ぐことができ、せん妄を予防することが可能になる。
【0091】
さらに、本発明では正常時の睡眠状態と現在の睡眠状態を比較することにより、睡眠状態の異変を早期に検出することもできる。また、正常な睡眠状態に近づけるような看護内容を選定することができ、過剰な投薬等を行うことなく適切な時により適切な看護を実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる看護支援システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1における処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1において検出した体動の様子を示すプロット図である。
【図6】本発明の実施の形態2において検出した体動の様子を示すプロット図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる看護支援システムの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3におけるセンサ装置の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 センサ装置
2 情報処理装置
3 パソコン
4 受信装置
5 センサ装置
6 信号線
11 電源部
12 体動センサ
13 センサ信号処理手段
14 解析手段
15 無線手段
31 看護情報記憶手段
32 データ蓄積手段
33 睡眠状態判断手段
34 看護内容選定手段
35 報知手段
36 表示手段
37 連絡手段
51 電源部
52 マット
53 マイク
54 体動検出手段
55 体内信号検知手段
56 解析手段
57 通信手段

Claims (9)

  1. 看護者に被看護者の看護内容を報知する看護支援システムであって、
    被看護者の生体情報を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された生体情報に基づく信号を随時送信する送信手段と、
    前記送信手段によって送信された信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段によって受信された信号に基づくデータを蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記蓄積されたデータに基づき被看護者の現在の睡眠状態を判断する睡眠状態判断手段と、
    被看護者の看護情報を記憶する看護情報記憶手段と、
    前記看護情報記憶手段に記憶された看護情報及び睡眠状態判断手段により判断された現在の睡眠状態に基づいて看護内容を選定する看護内容選定手段と、
    前記看護内容選定手段により選定された看護内容を看護者に報知する報知手段を備えた看護支援システム。
  2. 前記睡眠状態判断手段は睡眠移行状態を検出し、
    前記看護内容選定手段は睡眠移行状態を検出した時から覚醒移行時まで又は一定時間、被看護者を起こすような看護を行わないように看護内容を選定することを特徴とする請求項1記載の看護支援システム。
  3. 前記看護内容選定手段は前記睡眠状態判断手段によって判断された過去の睡眠状態と現在の睡眠状態を比較することにより、看護内容を選定する請求項1乃至3いずれかに記載の看護支援システム。
  4. 前記看護内容選定手段は被看護者が正常な状態において検出した過去の睡眠状態と現在の睡眠状態を比較し、当該過去の睡眠状態に近づくように看護内容を選定することを特徴とする請求項3記載の看護支援システム。
  5. 前記生体情報は被看護者の体動に基づいた情報であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の看護支援システム。
  6. 看護者に被看護者の看護内容を報知する看護支援方法であって、
    被看護者の生体情報を検出するステップと、
    検出された生体情報に基づく信号を随時送信するステップと、
    送信された信号を受信する受信するステップと、
    受信された信号に基づくデータを蓄積するステップと、
    前記蓄積されたデータに基づき被看護者の現在の睡眠状態を判断するステップと、
    被看護者の看護情報を記憶するステップと、
    前記看護情報及び前記睡眠状態に基づいて看護内容を選定するステップと、
    前記選定された看護内容を看護者に報知するステップを有する看護支援方法。
  7. 前記睡眠状態を判断するステップでは睡眠移行状態を検出し、
    前記看護内容を選定するステップでは睡眠移行状態を検出した時から覚醒移行状態まで又は一定時間、被看護者を起こすような看護を行わないように看護内容を選定することを特徴とする請求項6記載の看護支援方法。
  8. 前記被看護者が正常な睡眠状態である時からデータが蓄積され、
    前記睡眠情報判断手段は前記正常な睡眠状態の時のデータと現在のデータを
    比較し、現在の睡眠状態が正常であるか否かを判断することを特徴とする請求項6又は7記載の看護支援方法。
  9. 前記生体情報は被看護者の体動に基づいた情報であることを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の看護支援方法。
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