JP2004110001A - 雑音抑圧方法、雑音抑圧装置、雑音抑圧プログラム - Google Patents
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Abstract
処理遅延時間が短く、演算処理量を抑制した雑音抑圧方法及び装置を提供する。
【解決手段】
入力信号を所定のサンプル数ずつ記憶し、記憶されているサンプルの中の最新のサンプル数が予め定めたサンプル数Mに達する毎に入力信号を周波数領域係数に変換するための変換フレームを生成し、この変換フレームの各サンプルデータを周波数領域に変換する、周波数領域に変換する際、更新したMサンプルに係る演算処理のみを実行し、他のデータは前フレームの演算結果をコピーして利用し、演算量を削減する。周波数領域で入力信号から雑音信号を抑圧し、雑音信号が抑圧された雑音抑圧済信号を時間領域に変換し、出力信号を生成するための加算フレームを生成し、この加算フレームのMサンプルと、この加算フレームの1フレーム前の加算フレームMサンプルを重ね合わせて加算して出力信号を生成する。
【選択図】 図1
Description
その後、入力信号パワー計算部24で入力信号パワーが計算され、これと平行して雑音パワー推定部31で雑音パワーが推定される。次いで、損失値計算部32において、入力信号パワーと雑音パワーから帯域信号中に占める各帯域の雑音比率を求め、この比率に基づいて帯域毎の損失値を決める。次いで、損失値挿入部33において前記損失を挿入し、雑音を低減した帯域出力信号を得た後、これを時間領域変換部28で時間信号に変換し、次いで、デジタルアナログ(D/A)変換器29でアナログ信号に変換し、雑音の低減した出力信号17を得る。
図12に示すINPUTは周波数領域変換処理ステップFFTの前段で実行されるフレーム生成ステップ、OUTPUTは窓掛け演算処理ステップWINの後段で実行されるオーバーラップ加算処理ステップを示す。入力信号INSigはデジタル信号列を示す。デジタル信号列INSigは例えば512サンプル分の記憶容量を持つメモリに記憶される。メモリは最新のサンプルデータを書き込む際は、その書き込み位置が最も古いサンプルデータが記憶されているアドレスに選定される。従って、メモリに記憶されているサンプルデータは常時最新の512個サンプルのデータである。図12に示すNO.1は最も新しいサンプルデータの番号を示し、NO.512は512個前にメモリに記憶されたサンプルデータを示す。Kは1回目のフレーム生成ステップ、K+1は2回目のフレーム生成処理ステップを示す。
上述したように、従来は入力側ではメモリに256個のサンプルとデータが書き込まれる毎に1フレーム分のサンプルデータが周波数領域変換処理ステップFFTに送り出されるから、処理遅延は256個のサンプルデータを取り込む時間となる。
結局、従来は入力側と出力側の双方で256個分のデータを処理する時間が掛かることになり、合計で512個分のデータを処理する時間が処理遅延時間となる。サンプリング周波数を16KHzとすれば512個分のサンプルデータを処理する時間は約32msとなる。
すなわち、周波数領域への変換を高速フーリエ変換を用いる場合FFT点数に対応するフレーム長Lは、時間及び周波数分解能のトレードオフから、16KHzのサンプリングの場合で512〜1024サンプル程度(この値を以後Loptとする)が最も良く、その場合には512〜1024サンプルを蓄積するに要する時間32ms〜64ms程度の遅延時間が発生することになる。
処理遅延を少なくするには、周波数領域に変換する際のフレーム長を短くする方法がある。しかし、この方法では周波数分解能が低下し、音声と雑音の分離性能が劣化するために、音声のゆがみや抑圧量の低下が生じる。図13は、フレーム長(L=FFT点数)を短くした場合の雑音抑圧処理の性能を比較した計算機シミュレーションの結果である。曲線aがマイクロホン入力信号(未処理)、曲線bがFFT点数L=512(最適値)、曲線cがFFT点数L=64で処理した出力信号のパワーを表わす。
以上の結果から、フレーム長Lを短くして処理遅延を削減する方法によっては性能劣化を招く欠点がある。
この先に提案した雑音抑圧方法によれば周波数領域係数への変換処理時間間隔が短くなることにより、処理速度が向上し、処理遅延時間を短くすることが出来た。然し乍ら、その反面、周波数領域係数への変換処理回数が増大する欠点が生じる。
この発明の第2の目的は処理遅延を削減し、然も演算量も削減することができる雑音抑圧方法、雑音抑圧装置、雑音抑圧プログラムを提案しようとするものである。
この発明の請求項2では、請求項1記載の雑音抑圧方法において、周波数領域への変換の際に、現変換フレームにおいて新しく更新されたサンプル数Mのサンプルを用いて計算する必要のある変換処理過程のデータだけを新規に計算し、1フレーム処理前の変換処理過程で計算済みのデータのうち現変換処理過程で計算するデータと重複するデータについては1フレーム処理前のデータを用いることを特徴とする雑音抑圧方法を提案する。
この発明の請求項5では、コンピュータが読み取り可能な符号によって記述され、コンピュータに請求項1又は2の何れかに記載の雑音抑圧方法を実行させる雑音抑圧プログラムを提案する。
最新のサンプル数MをM=32とすれば変換フレーム生成手段は入力信号記憶手段に記憶されている、512サンプルの中の最新のサンプル数が32サンプルに達する毎に512サンプルで構成される変換フレームを生成する。つまり、変換フレーム生成手段は入力信号記憶手段に32個のサンプルが取り込まれる毎に512サンプルで構成される1フレーム分の変換フレームを生成する。32個のサンプルを蓄積する時間は約2msであるから、ここでの処理時間は2msで済むことになる。
然も、この発明では周波数領域に変換するステップでは512サンプルを1フレームとして周波数領域変換手段に投入するから、周波数分解能を充分保ったまま雑音抑圧処理を施すことができる。
A/D変換手段102でデジタル信号に変換された入力信号はこの発明による雑音抑圧装置100に入力される。この発明による雑音抑圧装置100は入力信号記憶手段103と、変換フレーム生成手段104と、周波数領域変換手段105と、雑音抑圧手段106と、時間領域変換手段107と、加算フレーム生成手段108と、出力信号生成手段109と、加算フレーム記憶手段110とによって構成される。
変換フレーム生成手段104は入力信号記憶手段103に予め定めたM個のサンプルデータを含むN個のサンプルデータを1フレームとする変換フレームを生成する。図2に入力信号記憶手段103と、変換フレーム生成手段104の動作を説明するフローチャートを示す。ステップSP1とSP2で入力信号記憶手段103の処理が実行される。ステップSP3で更新されたサンプル数を計数する。ステップSP4でその計数値counterがMに達したか否かを判定する。計数値がMに達するまでステップSP1〜SP4を繰り返す。計数値がMに達すると、ステップSP5に分岐し、メモリに記憶されているデータを変換フレームとして周波数変換手段105に出力する。出力後、計数値counterを0に戻し、ステップSP1に戻る。
変換フレーム生成手段104で生成された変換フレームF1、F2、…は32サンプルの処理遅延時間(この例では2ms)の時間間隔で周波数領域変換手段105に引き渡され周波数領域係数に変換される。周波数領域変換手段105は例えば高速フーリエ変換を用いることができる。
時間領域のサンプリングデータを周波数領域の離散フーリエ係数にするために、LogNステップの変換処理過程を経る。本発明では、フレームのシフト幅がM(<N)であることに着目し、1フレーム前に乗算をしたデータを再利用することにより、乗算回数の削減を行う。変換フレームが生成されたとき、そのサンプル中で新規の分はM個だけで、残りのN−M個はシフトしただけで同じデータである。すなわち、1フレーム処理前に乗算して生成した値(データ)をメモリに記憶しておき、乗算せずにコピーして用いる。すると、第1変換処理過程(第1ステップ)ではN−M回、第2ステップではN−2M回、第3ステップではN−4M回という割合で乗算回数の削減が可能となる。
次に、雑音抑圧手段106で雑音を抑圧する。この雑音抑圧手段としては例えば先に説明した特許文献1に開示された雑音抑圧処理方法を或はその他既存の雑音抑圧方法を適用することができる。本発明は雑音抑圧処理に要する処理遅延時間の削減を主題とし、その一例を図11を用いて説明したから、ここでは雑音抑圧処理方法に関する説明は省略することにする。
時間領域変換手段107は雑音抑圧処理した後の信号を時間領域に逆変換する。
図5を用いてその様子を説明する。図5に示すオーバーラップ加算処理ステップOUTPUTにおいて、DAT1−1とDAT1−2は加算フレーム生成手段108の処理により前フレームの先頭から64サンプルを切り取ったフレームに64点のハニング窓を掛けて生成した加算フレームを示す。またDAT2−1とDAT2−2はそれぞれ自己のフレームと次のフレームの処理が終了するまで加算フレーム記憶手段110に記憶される。
このオーバーラップ加算処理時に、ここでは32サンプル分の処理遅延が発生する。加算処理された出力信号d(K)(図1参照)はD/A変換手段111でアナログ信号に変換し、出力端子112から出力される。
曲線bは変換フレームF1、F2、…の最新側の半分のサンプル(256個)だけに入力信号の値を用い、過去の半分のサンプル(256個)に「0」を代入して処理した場合(この条理条件を条件IIとする)を示す。
また、曲線cはマイクロホンの生の入力信号、曲線dは従来の雑音抑圧方法(1フレーム512サンプル)で処理した特性を示す。尚、曲線aとbは音声区間では共に重なり合っており、図では曲線bの線種のみを表示している。
また音声区間においては曲線a及びbはパワーがマイクロホン入力信号とほぼ一致し、聴取においても音声歪みは殆ど発生していない。しかし、雑音区間において曲線aは抑圧量が僅かに低下しており、聴取の結果、残留雑音に高周波が重畳していることが確認された。これに対し曲線bは、従来方式と抑圧量も同等であり、聴取においても残留雑音に対して不自然さの発生もなかった。以上の結果から、曲線bが得られる処理条件IIが音声品質と雑音抑圧性能を保持したまま、処理遅延を削減していることが確認できる。
101 入力端 108 加算フレーム生成手段
102 A/D変換手段 109 出力信号生成手段
103 入力信号記憶手段 110 加算フレーム記憶手段
104 変換フレーム生成手段 111 D/A変換手段
105 周波数領域変換手段 112 出力端
106 雑音抑圧手段 F1、F2 変換フレーム
Claims (5)
- 入力信号を所定のサンプル数Nずつ記憶し、記憶されているサンプルの中の最新のサンプル数が予め定めたサンプル数M(<N)に達する毎に入力信号を周波数領域係数に変換するための変換フレームを生成し、この変換フレームの各サンプルデータを周波数領域に変換し、周波数領域で上記入力信号から雑音信号を抑圧し、雑音信号が抑圧された雑音抑圧済信号を時間領域に変換し、出力信号を生成するための加算フレームを生成し、この加算フレームのMサンプルと、この加算フレームの1フレーム前の加算フレームのMサンプルを重ね合わせて加算して出力信号を生成することを特徴とする雑音抑圧方法。
- 請求項1記載の雑音抑圧方法において、周波数領域への変換の際に、現変換フレームにおいて新しく更新されたサンプル数Mのサンプルを用いて計算する必要のある変換処理過程のデータだけを新規に計算し、1フレーム処理前の変換処理過程で計算済みのデータのうち現変換処理過程で計算するデータと重複するデータについては1フレーム処理前のデータを用いることを特徴とする雑音抑圧方法。
- 入力信号を所定のサンプル数ずつ記憶する入力信号記憶手段と、
この入力信号記憶手段に記憶したサンプルの中の最新のサンプル数が予め定めた所定値Nに達する毎に周波数領域に変換するための変換フレームを生成する変換フレーム生成手段と、
この変換フレーム生成手段が生成した変換フレームを周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
雑音信号が抑圧された雑音抑圧済信号を時間領域に変換する時間領域変換手段と、
出力信号を生成するための加算フレームを生成する加算フレーム生成手段と、
この加算フレーム生成手段が生成した加算フレームを記憶する加算フレーム記憶手段と、
上記加算フレーム生成手段が生成した加算フレームのNサンプルと上記加算フレーム記憶手段に記憶した1フレーム前の加算フレームのNサンプルを重ね合わせて加算して出力信号を生成する出力信号生成手段と、
とを備えた構成としたことを特徴とする雑音抑圧装置。 - 請求項3記載の雑音抑圧装置において、現変換フレームにおいて新しく更新されたサンプル数Mのサンプルを用いて計算する必要のある変換処理過程のデータだけを新規に計算し、1フレーム処理前の変換処理過程で計算済みのデータのうち現変換処理過程で計算するデータと重複するデータについては1フレーム処理前のデータを用いる入力信号周波数領域変換手段を備えて構成したことを特徴とする雑音抑圧装置。
- コンピュータが読み取り可能な符号によって記述され、コンピュータに請求項1又は2の何れかに記載の雑音抑圧方法を実行させる雑音抑圧プログラム。
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