JP2004109894A - ディスプレイ用バックライト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスプレイ用バックライト装置における光の利用効率を、光の入射角に依存することなく改善する。
【解決手段】光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置において、コレステリック液晶層とλ/4板との間にさらに位相差板を挿入し、位相差板のレターデーション値を100nm未満として、位相差板の厚さ方向の屈折率を位相差板の面内の平均屈折率よりも高くする。
【選択図】 図1
【解決手段】光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置において、コレステリック液晶層とλ/4板との間にさらに位相差板を挿入し、位相差板のレターデーション値を100nm未満として、位相差板の厚さ方向の屈折率を位相差板の面内の平均屈折率よりも高くする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置、特に液晶ディスプレイ用バックライト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイについて、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。いずれの液晶ディスプレイも、基本的には液晶セルと偏光素子とが必須の構成要素である。偏光素子を通過した直線偏光に対して、液晶セル内の(電圧の印加時と無印加時で異なる配向状態にある)棒状液晶性化合物が光学的に機能することによって、画像が表示される。
偏光素子は、偏光軸(透過軸)方向と合致する直線偏光成分を透過し、偏光軸方向と直交する方向の直線偏光成分を吸収する機能を有する。そのため、光源からの光量の半分しか、画像表示に利用できない。
【0003】
液晶ディスプレイには、小型、軽量、低消費電力との特徴があるため、光源を大型化して光量を増加させることは困難である。そこで、光源からの光量の全てを画像表示に利用するための液晶ディスプレイ用バックライト装置が提案されている(特開平8−146416号、同8−271731号、同10−206636号、同10−293211号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報記載)。
光源、コレステリック液晶層およびλ/4板を有する液晶ディスプレイ用バックライト装置は、コレステリック液晶の選択反射によって、光源からの光量の全てを画像表示に利用しようとする。従って、このディスプレイ用バックライト装置においては、コレステリック液晶層の性能が非常に重要である。特開平8−146416号、同8−271731号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報は、コレステリック液晶層の改良に関する内容である。
また、ディスプレイ用バックライト装置では、コレステリック液晶層に加えて、λ/4板の性能も重要である。特開平10−206636号および同10−293211号の各公報は、λ/4板の改良に関する内容である。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−146416号公報
【特許文献2】
特開平8−271731号公報
【特許文献3】
特開平10−206636号公報
【特許文献4】
特開平10−293211号公報
【特許文献5】
特開平10−319235号公報
【特許文献6】
特表平10−513578号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コレステリック液晶層、λ/4板および直線偏光膜との積層体に対して、光の入射角を0゜から70゜に変化させると、光の透過率が大きく低下する。そのため、液晶表示装置に入射する光の入射角が広く分布していると、光の利用効率が良くないとの問題がある。
本発明者の研究によれば、ディスプレイ用バックライト装置を液晶表示装置に組み込んで使用する場合、コレステリック液晶層に入射する光の入射角が0゜だけではなく、0゜から90゜まで分布している。そして、式(I∝sinθ)で定義されるように、光量(I)は、入射角(θ)に比例して大きくなる。そのため、光源、コレステリック液晶層およびλ/4板からなるディスプレイ用バックライト装置を用いても、実際には、光の入射角の問題で、期待されるほどには光の利用効率が改善されていないことが判明した。
本発明の目的は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置における光の利用効率を、光の入射角に依存することなく改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置であって、コレステリック液晶層とλ/4板との間にさらに位相差板を有し、位相差板の正面レターデーション値が100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率が位相差板の面内の平均屈折率よりも高いことを特徴とするディスプレイ用バックライト装置により達成された。
【0007】
【発明の実施の形態】
[液晶表示装置の構成]
図1は、ディスプレイ用バックライト装置の機能を示す断面模式図である。
図1に示すディスプレイ用バックライト装置は、反射板(RP)、光源(LS)、コレステリック液晶層(Ch)、位相差板(PR)、そしてλ/4板(λ/4)がこの順に配置されている。
反射板(RP)は、通常の(鏡と同様の)反射機能を有する。
光源(LS)は、図1に示す積層体の側面に配置して、導光板や光拡散板によって光を積層体の内部に誘導してもよい。
コレステリック液晶層(Ch)は、液晶性化合物のらせん(図1では右回り)とは逆回り(図1では左回り)の円偏光成分を透過し、液晶性化合物のらせんと同じ回り(図1では右回り)の円偏光成分を反射する。ただし、通常の反射と異なり、円偏光成分の向き(図1では右回り)は変化しない。
λ/4板(λ/4)は、円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。
【0008】
光源(LS)からコレステリック液晶層(Ch)側に出射した左回りの円偏光成分(2a)は、コレステリック液晶層(Ch)を通過することができる。通過した左回りの円偏光成分(3a)は、さらに位相差板(PR)を通過する。位相差板(PR)を通過した左回りの円偏光成分(4a)は、λ/4板(λ/4)によって直線偏光(5a)に変換される。すなわち、2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
光源(LS)から反射板(RP)側に出射した右回りの円偏光成分(1b)は、反射板(RP)によって左回りの円偏光成分(1a)として反射される。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様にコレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
【0009】
光源(LS)からコレステリック液晶層(Ch)側に出射した右回りの円偏光成分(2c)は、コレステリック液晶層(Ch)で反射される。反射された光も右回りの円偏光成分(2b)である。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様に、反射板(RP)で反射され、光源(LS)を再び通過し、コレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、2c→2b→1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
光源(LS)から反射板(RP)側に出射した左回りの円偏光成分(1d)は、反射板(RP)によって右回りの円偏光成分(1c)として反射される。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様にコレステリック液晶層(Ch)で反射され、光源(LS)を再び通過し、反射板(RP)で反射され、光源(LS)を三度通過し、コレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、1d→1c→2c→2b→1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
以上のように、光源(LS)からの光の全てが直線偏光(5a)に変換され、液晶ディスプレイの画像表示に利用される。
本発明では、コレステリック液晶層(Ch)とλ/4板(λ/4)との間に位相差板(PR)を挿入し、位相差板(PR)の光学異方性(正面レターデーション値が100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率が位相差板の面内の平均屈折率よりも高い)により、光の入射角の変化に対する光の透過率の変動を抑制する。
【0010】
[位相差板]
本発明のディスプレイ用バックライト装置は、コレステリック液晶層とλ/4板との間に位相差板を有する。位相差板の正面レターデーション値は100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率は位相差板の面内の平均屈折率よりも高い。
位相差板の正面レターデーション値(Re)は、下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
式中、nxは、位相差板面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり、nyは、位相差板面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率であり、そしてdは、位相差板の厚み(nm)である。
従って、本発明に従う位相差板は、下記不等式(I)を満足する。
(I)(nx−ny)×d<100
位相差板の厚さ方向の平均屈折率(nz)は、位相差板の面内の平均屈折率((nx+ny)/2)よりも大きい値である。
厚さ方向のレターデーション値(Rth)は、300乃至3000nmが好ましい。
従って、本発明に従う位相差板は、下記不等式(II)も満足する。
(II)nz>(nx+ny)/2
さらに、位相差板の厚さ方向の平均屈折率(nz)は、位相差板の面内のいずれの屈折率(nx、ny)よりも大きい値であることが好ましい。すなわち、下記不等式(III)および(IV)も満足することが好ましい。
(III)nz>nx
(IV)nz>ny
【0011】
上記式(I)および(II)を満足する位相差板は、ポリマーフイルムの延伸または液晶化合物の塗布により形成できる。
ポリマーフイルムに用いるポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステルが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
前記式(II)を満足する光学異方性は、ポリマーフイルムの延伸により得ることができる。ただし、前記式(I)を満足するため、縦横の延伸倍率を調整して、位相差板の面内の屈折率(nx、ny)の差(nx−ny)を小さな値とすることが好ましい。なお、二枚以上のポリマーフイルムを用いて、二枚以上のフイルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
ポリマーフイルムは、屈折率のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフイルムの厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましく、50乃至100μmであることが最も好ましい。
【0012】
液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いることができる。棒状液晶性化合物が好ましい。
液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。
前記式(I)および(II)を満足するため、液晶性化合物はホメオトロピック(棒状液晶性化合物は実質的に垂直に、円盤状液晶性化合物は実質的に水平に)配向させることが好ましい。
【0013】
棒状液晶性化合物が実質的に垂直に配向しているとは、棒状液晶性化合物の長軸方向と位相差板の面との平均角度(平均傾斜角)が50乃至90度の範囲内であることを意味する。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
また、重合性基を棒状液晶性化合物に導入して、棒状液晶性化合物が実質的に垂直に配向している状態で、重合反応により棒状液晶性化合物を固定することが特に好ましい。
【0014】
円盤状液晶性化合物が実質的に水平に配向しているとは、円盤状液晶性化合物の円盤面と位相差板の面との平均角度(平均傾斜角)が50乃至90度の範囲内であることを意味する。
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq.Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
【0015】
液晶性化合物の塗布層の厚さは、100nm乃至10μmであることが好ましく、500nm乃至10μmであることがさらに好ましく、2乃至8μmであることが最も好ましい。
液晶性化合物の配向状態は、配向膜を用いて調節できる。
棒状液晶性化合物を実質的に垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより棒状液晶性化合物を立てた状態にする。
円盤状液晶性化合物を実質的に水平に配向させるためには、上記の配向膜とは逆に、配向膜の表面エネルギーを低下させないことが重要である。具体的には、配向膜を構成するポリマーに、表面エネルギーを低下させる官能基を導入しないことが好ましい。言い換えると、通常の配向膜が使用できる。
液晶性化合物の配向膜については、多数の文献(例えば、松本正一著、液晶ディスプレイ技術、196〜201頁、産業図書、1996年)に記載がある。また、液晶性化合物の配向膜は、液晶セル用として多数が市販されている。
【0016】
[λ/4板]
全ての波長領域の光に対応するため、λ/4板は広い波長領域でλ/4板として機能できることが望ましい。そして、液晶表示装置の軽量かつ薄型との損なわないようにするため、なるべく軽く薄い手段で、広い波長領域におけるλ/4を達成することが望ましい。
広い波長領域でλ/4を達成するため、光学異方性を有する二枚のポリマーフイルムを積層したλ/4板が、特開平5−27118号、同5−27119号、同10−68816号および同10−90521号の各公報に記載されており、本発明にも利用できる。ただし、ポリマーフイルムを二枚を重ね合わせて使用すると、全体として厚くなり、貼合せ工程が必要なためコストが高くなりやすい。ポリマーフイルム一枚で広い波長領域でλ/4を実現したλ/4板が、特開2000−137116号公報に記載されており、本発明にも利用できる。ポリマーとして具体的には、2.5〜2.8のアセチル化度を有するセルロースアセテートが用いられている。ただし、セルロースアセテートのみでは、光学異方性(複屈折率)が不足気味であって、λ/4板として必要な正面レターデーション値を得るためには、フイルムを厚くする必要がある。
【0017】
特開2000−147260号、同2000−206331号、同2000−284126号、同2001−004837号、同2001−021720号、同2001−056411号、同2001−091741号、同2001−108825号の各公報に、少なくとも二つの光学異方性層を有し、そして、少なくとも一つの光学異方性層が液晶性化合物から形成された層である広帯域λ/4板が開示されている。液晶性化合物から形成された層は、ポリマーフイルムと比較して、光学異方性の種類が多様であり、遅相軸の方向制御が容易であり、層を薄くできるとの利点がある。従って、ポリマーフイルムに代えて液晶性化合物を用いたλ/4板は、反射型液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
WO00/65384号明細書に、複数の芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として含む一枚のセルロースエステルフイルムからなる広帯域λ/4板が開示されている。レターデーション上昇剤を使用することにより、高い光学異方性(複屈折率)が得られ、薄いセルロースエステルフイルム一枚でも広帯域λ/4を実現できる。従って、WO00/65384号明細書に記載のλ/4板も、反射型液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
【0018】
[ディスプレイ用バックライト装置]
ディスプレイ用バックライト装置は、位相差板およびλ/4板に加えて、反射板、光源およびコレステリック液晶層を有する。
反射板と光源は、通常の液晶ディスプレイに用いられている反射板および光源と同様である。
コレステリック液晶の選択反射は、最も古くから知られている液晶の光学的性質の一つであって、様々な文献に記載がある。コレステリック液晶は、480nm乃至630nmの波長領域で選択反射を示すことが好ましい。選択反射中心波長が異なる複数のコレステリック液晶層を設けることが好ましい。
液晶ディスプレイ用バックライト装置に用いるコレステリック液晶層については、特開平8−146416号、同8−271731号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報に記載がある。
【0019】
[液晶ディスプレイ]
バックライト装置は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードの液晶ディスプレイに有効である。
【0020】
【実施例】
(第1コレステリック液晶層の形成)
ガラス基板上に、ポリイミド配向膜用塗布液をスピンコーターにて塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した後、250℃のオーブンにて1時間焼成してガラス基板上に被膜を形成した。被膜の表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
配向膜の上に、下記の組成の第1コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0021】
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
形成した第1コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第1コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第1コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第1コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0025】
(第2コレステリック液晶層の形成)
第1コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第2コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0026】
【0027】
形成した第2コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第2コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第2コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第2コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0028】
(第3コレステリック液晶層の形成)
第2コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第3コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0029】
【0030】
形成した第3コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第3コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第3コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第3コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0031】
(第4コレステリック液晶層の形成)
第3コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第4コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0032】
【0033】
形成した第4コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第4コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第4コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第4コレステリック液晶層との界面で剥離した。
第1〜第4コレステリック液晶層の積層体を、さらに220℃のオーブンで20分間焼成した。
【0034】
(位相差板の作製)
ガラス基板上に、市販のポリイミド配向膜塗布液(SE−7511L、日産化学(株)製)をスピンコーターにて塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した。さらに、250℃のオーブンで1時間焼成し、配向膜を設けた。配向膜をラビング処理して、配向膜付きガラス基板を作製した。
次に、下記の組成の塗布液を配向膜の上にスピンコートし、100℃のオーブンで2分間乾燥した。
【0035】
【0036】
液晶層を塗布した基板を、窒素ガス雰囲気下で、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、基板上に液晶層を有する位相差板を作製した。
作製した位相差板の屈折率を測定したところ、面内平均屈折率が1.50、正面レターデーション値が0nm、厚さ方向の平均屈折率が1.65、厚さが5μmであった。厚さ方向のレターデーション値は、915nmであった。
【0037】
第1〜第4コレステリック液晶層、位相差板、λ/4板、直線偏光膜を積層した状態(位相差板あり)および第1〜第4コレステリック液晶層、λ/4板、直線偏光膜を積層した状態(位相差板なし)で、波長580nmまたは680nmの光を、入射角60゜で入射し、吸収損失を分光光度計を用いて測定した。そして、位相差板の有無による吸収損失への影響を調べた。結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(液晶表示装置の作製)
作製したコレステリック液晶層および位相差板を用いて、図1に示すディスプレイ用バックライト装置を作製した。
作製したディスプレイ用バックライト装置を液晶表示装置に取り付けたところ、良好な画像を表示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスプレイ用バックライト装置の機能を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1a、1d、2a、3a、4a 左回り円偏光成分
1b、1c、2b、2c 右回り円偏光成分
5a 直線偏光
Ch コレステリック液晶層
LS 光源
PR 位相差板
RP 反射板
λ/4 λ/4板
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置、特に液晶ディスプレイ用バックライト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイについて、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。いずれの液晶ディスプレイも、基本的には液晶セルと偏光素子とが必須の構成要素である。偏光素子を通過した直線偏光に対して、液晶セル内の(電圧の印加時と無印加時で異なる配向状態にある)棒状液晶性化合物が光学的に機能することによって、画像が表示される。
偏光素子は、偏光軸(透過軸)方向と合致する直線偏光成分を透過し、偏光軸方向と直交する方向の直線偏光成分を吸収する機能を有する。そのため、光源からの光量の半分しか、画像表示に利用できない。
【0003】
液晶ディスプレイには、小型、軽量、低消費電力との特徴があるため、光源を大型化して光量を増加させることは困難である。そこで、光源からの光量の全てを画像表示に利用するための液晶ディスプレイ用バックライト装置が提案されている(特開平8−146416号、同8−271731号、同10−206636号、同10−293211号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報記載)。
光源、コレステリック液晶層およびλ/4板を有する液晶ディスプレイ用バックライト装置は、コレステリック液晶の選択反射によって、光源からの光量の全てを画像表示に利用しようとする。従って、このディスプレイ用バックライト装置においては、コレステリック液晶層の性能が非常に重要である。特開平8−146416号、同8−271731号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報は、コレステリック液晶層の改良に関する内容である。
また、ディスプレイ用バックライト装置では、コレステリック液晶層に加えて、λ/4板の性能も重要である。特開平10−206636号および同10−293211号の各公報は、λ/4板の改良に関する内容である。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−146416号公報
【特許文献2】
特開平8−271731号公報
【特許文献3】
特開平10−206636号公報
【特許文献4】
特開平10−293211号公報
【特許文献5】
特開平10−319235号公報
【特許文献6】
特表平10−513578号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コレステリック液晶層、λ/4板および直線偏光膜との積層体に対して、光の入射角を0゜から70゜に変化させると、光の透過率が大きく低下する。そのため、液晶表示装置に入射する光の入射角が広く分布していると、光の利用効率が良くないとの問題がある。
本発明者の研究によれば、ディスプレイ用バックライト装置を液晶表示装置に組み込んで使用する場合、コレステリック液晶層に入射する光の入射角が0゜だけではなく、0゜から90゜まで分布している。そして、式(I∝sinθ)で定義されるように、光量(I)は、入射角(θ)に比例して大きくなる。そのため、光源、コレステリック液晶層およびλ/4板からなるディスプレイ用バックライト装置を用いても、実際には、光の入射角の問題で、期待されるほどには光の利用効率が改善されていないことが判明した。
本発明の目的は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置における光の利用効率を、光の入射角に依存することなく改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置であって、コレステリック液晶層とλ/4板との間にさらに位相差板を有し、位相差板の正面レターデーション値が100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率が位相差板の面内の平均屈折率よりも高いことを特徴とするディスプレイ用バックライト装置により達成された。
【0007】
【発明の実施の形態】
[液晶表示装置の構成]
図1は、ディスプレイ用バックライト装置の機能を示す断面模式図である。
図1に示すディスプレイ用バックライト装置は、反射板(RP)、光源(LS)、コレステリック液晶層(Ch)、位相差板(PR)、そしてλ/4板(λ/4)がこの順に配置されている。
反射板(RP)は、通常の(鏡と同様の)反射機能を有する。
光源(LS)は、図1に示す積層体の側面に配置して、導光板や光拡散板によって光を積層体の内部に誘導してもよい。
コレステリック液晶層(Ch)は、液晶性化合物のらせん(図1では右回り)とは逆回り(図1では左回り)の円偏光成分を透過し、液晶性化合物のらせんと同じ回り(図1では右回り)の円偏光成分を反射する。ただし、通常の反射と異なり、円偏光成分の向き(図1では右回り)は変化しない。
λ/4板(λ/4)は、円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。
【0008】
光源(LS)からコレステリック液晶層(Ch)側に出射した左回りの円偏光成分(2a)は、コレステリック液晶層(Ch)を通過することができる。通過した左回りの円偏光成分(3a)は、さらに位相差板(PR)を通過する。位相差板(PR)を通過した左回りの円偏光成分(4a)は、λ/4板(λ/4)によって直線偏光(5a)に変換される。すなわち、2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
光源(LS)から反射板(RP)側に出射した右回りの円偏光成分(1b)は、反射板(RP)によって左回りの円偏光成分(1a)として反射される。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様にコレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
【0009】
光源(LS)からコレステリック液晶層(Ch)側に出射した右回りの円偏光成分(2c)は、コレステリック液晶層(Ch)で反射される。反射された光も右回りの円偏光成分(2b)である。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様に、反射板(RP)で反射され、光源(LS)を再び通過し、コレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、2c→2b→1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
光源(LS)から反射板(RP)側に出射した左回りの円偏光成分(1d)は、反射板(RP)によって右回りの円偏光成分(1c)として反射される。反射された光は、光源(LS)を通過して、上記と同様にコレステリック液晶層(Ch)で反射され、光源(LS)を再び通過し、反射板(RP)で反射され、光源(LS)を三度通過し、コレステリック液晶層(Ch)および位相差板(PR)を通過し、直線偏光(5a)に変換される。すなわち、1d→1c→2c→2b→1b→1a→2a→3a→4a→5aの順序で直線偏光に変換される。
以上のように、光源(LS)からの光の全てが直線偏光(5a)に変換され、液晶ディスプレイの画像表示に利用される。
本発明では、コレステリック液晶層(Ch)とλ/4板(λ/4)との間に位相差板(PR)を挿入し、位相差板(PR)の光学異方性(正面レターデーション値が100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率が位相差板の面内の平均屈折率よりも高い)により、光の入射角の変化に対する光の透過率の変動を抑制する。
【0010】
[位相差板]
本発明のディスプレイ用バックライト装置は、コレステリック液晶層とλ/4板との間に位相差板を有する。位相差板の正面レターデーション値は100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率は位相差板の面内の平均屈折率よりも高い。
位相差板の正面レターデーション値(Re)は、下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
式中、nxは、位相差板面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり、nyは、位相差板面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率であり、そしてdは、位相差板の厚み(nm)である。
従って、本発明に従う位相差板は、下記不等式(I)を満足する。
(I)(nx−ny)×d<100
位相差板の厚さ方向の平均屈折率(nz)は、位相差板の面内の平均屈折率((nx+ny)/2)よりも大きい値である。
厚さ方向のレターデーション値(Rth)は、300乃至3000nmが好ましい。
従って、本発明に従う位相差板は、下記不等式(II)も満足する。
(II)nz>(nx+ny)/2
さらに、位相差板の厚さ方向の平均屈折率(nz)は、位相差板の面内のいずれの屈折率(nx、ny)よりも大きい値であることが好ましい。すなわち、下記不等式(III)および(IV)も満足することが好ましい。
(III)nz>nx
(IV)nz>ny
【0011】
上記式(I)および(II)を満足する位相差板は、ポリマーフイルムの延伸または液晶化合物の塗布により形成できる。
ポリマーフイルムに用いるポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステルが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
前記式(II)を満足する光学異方性は、ポリマーフイルムの延伸により得ることができる。ただし、前記式(I)を満足するため、縦横の延伸倍率を調整して、位相差板の面内の屈折率(nx、ny)の差(nx−ny)を小さな値とすることが好ましい。なお、二枚以上のポリマーフイルムを用いて、二枚以上のフイルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
ポリマーフイルムは、屈折率のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフイルムの厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましく、50乃至100μmであることが最も好ましい。
【0012】
液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いることができる。棒状液晶性化合物が好ましい。
液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。
前記式(I)および(II)を満足するため、液晶性化合物はホメオトロピック(棒状液晶性化合物は実質的に垂直に、円盤状液晶性化合物は実質的に水平に)配向させることが好ましい。
【0013】
棒状液晶性化合物が実質的に垂直に配向しているとは、棒状液晶性化合物の長軸方向と位相差板の面との平均角度(平均傾斜角)が50乃至90度の範囲内であることを意味する。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
また、重合性基を棒状液晶性化合物に導入して、棒状液晶性化合物が実質的に垂直に配向している状態で、重合反応により棒状液晶性化合物を固定することが特に好ましい。
【0014】
円盤状液晶性化合物が実質的に水平に配向しているとは、円盤状液晶性化合物の円盤面と位相差板の面との平均角度(平均傾斜角)が50乃至90度の範囲内であることを意味する。
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq.Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
【0015】
液晶性化合物の塗布層の厚さは、100nm乃至10μmであることが好ましく、500nm乃至10μmであることがさらに好ましく、2乃至8μmであることが最も好ましい。
液晶性化合物の配向状態は、配向膜を用いて調節できる。
棒状液晶性化合物を実質的に垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより棒状液晶性化合物を立てた状態にする。
円盤状液晶性化合物を実質的に水平に配向させるためには、上記の配向膜とは逆に、配向膜の表面エネルギーを低下させないことが重要である。具体的には、配向膜を構成するポリマーに、表面エネルギーを低下させる官能基を導入しないことが好ましい。言い換えると、通常の配向膜が使用できる。
液晶性化合物の配向膜については、多数の文献(例えば、松本正一著、液晶ディスプレイ技術、196〜201頁、産業図書、1996年)に記載がある。また、液晶性化合物の配向膜は、液晶セル用として多数が市販されている。
【0016】
[λ/4板]
全ての波長領域の光に対応するため、λ/4板は広い波長領域でλ/4板として機能できることが望ましい。そして、液晶表示装置の軽量かつ薄型との損なわないようにするため、なるべく軽く薄い手段で、広い波長領域におけるλ/4を達成することが望ましい。
広い波長領域でλ/4を達成するため、光学異方性を有する二枚のポリマーフイルムを積層したλ/4板が、特開平5−27118号、同5−27119号、同10−68816号および同10−90521号の各公報に記載されており、本発明にも利用できる。ただし、ポリマーフイルムを二枚を重ね合わせて使用すると、全体として厚くなり、貼合せ工程が必要なためコストが高くなりやすい。ポリマーフイルム一枚で広い波長領域でλ/4を実現したλ/4板が、特開2000−137116号公報に記載されており、本発明にも利用できる。ポリマーとして具体的には、2.5〜2.8のアセチル化度を有するセルロースアセテートが用いられている。ただし、セルロースアセテートのみでは、光学異方性(複屈折率)が不足気味であって、λ/4板として必要な正面レターデーション値を得るためには、フイルムを厚くする必要がある。
【0017】
特開2000−147260号、同2000−206331号、同2000−284126号、同2001−004837号、同2001−021720号、同2001−056411号、同2001−091741号、同2001−108825号の各公報に、少なくとも二つの光学異方性層を有し、そして、少なくとも一つの光学異方性層が液晶性化合物から形成された層である広帯域λ/4板が開示されている。液晶性化合物から形成された層は、ポリマーフイルムと比較して、光学異方性の種類が多様であり、遅相軸の方向制御が容易であり、層を薄くできるとの利点がある。従って、ポリマーフイルムに代えて液晶性化合物を用いたλ/4板は、反射型液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
WO00/65384号明細書に、複数の芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として含む一枚のセルロースエステルフイルムからなる広帯域λ/4板が開示されている。レターデーション上昇剤を使用することにより、高い光学異方性(複屈折率)が得られ、薄いセルロースエステルフイルム一枚でも広帯域λ/4を実現できる。従って、WO00/65384号明細書に記載のλ/4板も、反射型液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
【0018】
[ディスプレイ用バックライト装置]
ディスプレイ用バックライト装置は、位相差板およびλ/4板に加えて、反射板、光源およびコレステリック液晶層を有する。
反射板と光源は、通常の液晶ディスプレイに用いられている反射板および光源と同様である。
コレステリック液晶の選択反射は、最も古くから知られている液晶の光学的性質の一つであって、様々な文献に記載がある。コレステリック液晶は、480nm乃至630nmの波長領域で選択反射を示すことが好ましい。選択反射中心波長が異なる複数のコレステリック液晶層を設けることが好ましい。
液晶ディスプレイ用バックライト装置に用いるコレステリック液晶層については、特開平8−146416号、同8−271731号、同10−319235号および特表平10−513578号の各公報に記載がある。
【0019】
[液晶ディスプレイ]
バックライト装置は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードの液晶ディスプレイに有効である。
【0020】
【実施例】
(第1コレステリック液晶層の形成)
ガラス基板上に、ポリイミド配向膜用塗布液をスピンコーターにて塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した後、250℃のオーブンにて1時間焼成してガラス基板上に被膜を形成した。被膜の表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
配向膜の上に、下記の組成の第1コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0021】
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
形成した第1コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第1コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第1コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第1コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0025】
(第2コレステリック液晶層の形成)
第1コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第2コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0026】
【0027】
形成した第2コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第2コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第2コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第2コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0028】
(第3コレステリック液晶層の形成)
第2コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第3コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0029】
【0030】
形成した第3コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第3コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第3コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第3コレステリック液晶層との界面で剥離した。
【0031】
(第4コレステリック液晶層の形成)
第3コレステリック液晶層塗布液の上に、下記の組成の第4コレステリック液晶層塗布液をスピンコートし、100℃のオーブンにて2分間乾燥した。
【0032】
【0033】
形成した第4コレステリック液晶層の上に、ポリエチレンテレフタレートフイルムを貼り合わせた。これを、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持したところ、第4コレステリック液晶層が発色した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、第4コレステリック液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、ポリエチレンテレフタレートフイルムを、第4コレステリック液晶層との界面で剥離した。
第1〜第4コレステリック液晶層の積層体を、さらに220℃のオーブンで20分間焼成した。
【0034】
(位相差板の作製)
ガラス基板上に、市販のポリイミド配向膜塗布液(SE−7511L、日産化学(株)製)をスピンコーターにて塗布し、100℃のオーブンで5分間乾燥した。さらに、250℃のオーブンで1時間焼成し、配向膜を設けた。配向膜をラビング処理して、配向膜付きガラス基板を作製した。
次に、下記の組成の塗布液を配向膜の上にスピンコートし、100℃のオーブンで2分間乾燥した。
【0035】
【0036】
液晶層を塗布した基板を、窒素ガス雰囲気下で、ホットプレート上にて110℃の温度で5分間保持した。次に、超高圧水銀灯(500W/cm2 )にて、液晶層に60cmの距離から25秒間露光を行った(照射エネルギー:100mj/cm2 )。
露光後、室温まで冷却し、基板上に液晶層を有する位相差板を作製した。
作製した位相差板の屈折率を測定したところ、面内平均屈折率が1.50、正面レターデーション値が0nm、厚さ方向の平均屈折率が1.65、厚さが5μmであった。厚さ方向のレターデーション値は、915nmであった。
【0037】
第1〜第4コレステリック液晶層、位相差板、λ/4板、直線偏光膜を積層した状態(位相差板あり)および第1〜第4コレステリック液晶層、λ/4板、直線偏光膜を積層した状態(位相差板なし)で、波長580nmまたは680nmの光を、入射角60゜で入射し、吸収損失を分光光度計を用いて測定した。そして、位相差板の有無による吸収損失への影響を調べた。結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(液晶表示装置の作製)
作製したコレステリック液晶層および位相差板を用いて、図1に示すディスプレイ用バックライト装置を作製した。
作製したディスプレイ用バックライト装置を液晶表示装置に取り付けたところ、良好な画像を表示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスプレイ用バックライト装置の機能を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1a、1d、2a、3a、4a 左回り円偏光成分
1b、1c、2b、2c 右回り円偏光成分
5a 直線偏光
Ch コレステリック液晶層
LS 光源
PR 位相差板
RP 反射板
λ/4 λ/4板
Claims (1)
- 光源、コレステリック液晶層、そしてλ/4板がこの順に配置されているディスプレイ用バックライト装置であって、コレステリック液晶層とλ/4板との間にさらに位相差板を有し、位相差板の正面レターデーション値が100nm未満であり、位相差板の厚さ方向の平均屈折率が位相差板の面内の平均屈折率よりも高いことを特徴とするディスプレイ用バックライト装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |