JP2004109804A - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents
光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
画角特性における非点収差成分が良好に補正されるともに、記録及び/又は再生に使用する光源の波長が互いに異なる光情報記録媒体に対して、それぞれの光源からの光束を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】
対物レンズにおいて、輪帯構造を光学面上に形成することにより、単レンズでありながら、(1)式を満たすような互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して、色収差を適切に補正することができる。また、(2)式に規定する、d1/(f・Nd・NA)の値が0.8と1.6の間の範囲内となるように、焦点距離と像側開口数とに対して、光軸上のレンズ厚さを設定すると、画角特性における非点収差成分を十分に小さくすることができる。
【選択図】 図1
画角特性における非点収差成分が良好に補正されるともに、記録及び/又は再生に使用する光源の波長が互いに異なる光情報記録媒体に対して、それぞれの光源からの光束を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】
対物レンズにおいて、輪帯構造を光学面上に形成することにより、単レンズでありながら、(1)式を満たすような互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して、色収差を適切に補正することができる。また、(2)式に規定する、d1/(f・Nd・NA)の値が0.8と1.6の間の範囲内となるように、焦点距離と像側開口数とに対して、光軸上のレンズ厚さを設定すると、画角特性における非点収差成分を十分に小さくすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置、光情報記録再生装置及びそれらに用いる対物レンズに関し、特に、高密度な光情報記録又は再生が可能な光ピックアップ装置、光情報記録再生装置及びそれらに用いる対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVDよりも波長の短いレーザ光を利用することで記録密度を向上させた高密度DVD(本明細書では、従来のDVDを単にDVDと呼び、以降区別して用いる)に関する規格が提案されているが、市場にはDVDが数多く存在し、また、ユーザーがDVDを所有している場合もあることから、かかる高密度DVD用の光ディスクプレーヤー(本明細書では、光情報記録再生装置ともいう)においては、DVDを記録及び/又は再生できることが、製品価値を高める上で重要となる。
【0003】
光ディスク(本明細書では、光情報記録媒体ともいう)用のディスクプレーヤーに搭載される光ピックアップ装置の対物レンズとして、製造・評価の容易さ及び製造コストの理由から、単レンズ構成の非球面レンズが使用されることが多い。
【0004】
しかるに、レンズ材料の特性の一つである色分散のために、単レンズ構成の対物レンズで波長の異なるレーザ光を集光させた場合、一方のレーザ光に関しては、収差を補正することができるが、同じ仕様で他方のレーザ光に関しては、収差を補正することができないという問題がある。
【0005】
例えば、DVDでは650nm前後のレーザ光をその記録及び/又は再生に利用し、高密度DVDでは405nm前後のレーザ光をその記録及び/又は再生に利用するが、かかる2つのレーザ光の波長差により単レンズでは軸上色収差が発生する。DVDと高密度DVDとで、レーザ光の集光位置が光軸方向にずれていると、フォーカシング用のアクチュエータへの負担が増大する。
【0006】
また、対物レンズをそれぞれのレーザ光の近軸的な集光位置に対してフォーカシングしても、2つのレーザ光の波長差により球面収差が変化するのでスポットを絞りきれず、DVDと高密度DVDの双方に対して互換可能に記録/再生することができない。例えば、405nmの光に対して球面収差補正された単レンズに対して、650nmの光を入射させると、レンズ材料の色分散のために球面収差が補正過剰方向に変化する。
【0007】
これに対し、DVDと高密度DVDの双方に対して互換可能に記録及び/又は再生できる光ディスクプレーヤー用の光ピックアップ装置の実現すべく、それぞれの波長に対して収差補正された専用の対物レンズを波長毎に切り替える構成も可能だが、複雑なレンズ切り替え機構が必要で製造コストが増大し、アクチュエータが大きくなるので小型化に不利となるため実用的ではない。
【0008】
かかる問題に対し、単レンズ構成の対物レンズにおいて、光学面上に形成した輪帯構造の回折作用を利用して、2つのレーザ光の波長差に起因して発生する収差変化を補正することで、波長の異なる光源からの光束を、異なる光情報記録媒体の情報記録面上に回折限界内で集光させる技術は、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開2001−195769
【0009】
しかしながら、光ピックアップ装置用の対物レンズを単レンズとすると、軸外光束を入射した際に非点収差が発生する。この非点収差は画角の自乗に比例して発生するので、画角の増大とともに集光性能が急激に劣化する。
【0010】
光ピックアップ装置では、光源やプリズム等の取付け誤差により、対物レンズに対して画角を持った軸外光束が入射することになるが、画角特性における非点収差が良好に補正されていないような画角に対する許容幅が狭い対物レンズを使用する場合には、光学部材の取付け精度の公差が厳しくなり、光ピックアップ装置の製造コストが増大する。特にかかる公差は、光ピックアップ装置の光源の波長に比例して厳しくなるという問題がある。例えば、405nmの光源を使用する場合は、650nmの光源を使用する場合に対して、光学部材の取付け精度の公差は、1.6倍程度厳しくなる。
【0011】
また、近年、デジタル体積ホログラフィを利用することで、大容量の情報を記録可能な光情報記録技術の研究開発が行われており、ISOM/ODS2002(Joint International Symposium on Optical Memory and Optical Data Storage 2002)Postdeadline papersのセッションTuP.26や、応用物理学会日本光学会微小光学研究グループ主催の第85回微小光学研究会では、DVDと同じ大きさでありながら記憶容量1Tbyte、転送レート1Gbps以上を実現する光情報記録技術が提案された。
【0012】
かかる光情報記録技術では、波長が異なる2つのレーザ光のうち、一方を、干渉パターンを生成するための情報光及び参照光として使用し、もう一方を、対物レンズと光情報記録媒体との相対的な位置決め(フォーカシング)を行うために使用するため、情報の記録/再生を正確に行うためには、波長が異なるこれらの2つのレーザ光を色収差なく光情報記録媒体の所定の位置に集光させる必要がある。
【0013】
さらに、かかる光情報記録技術では、所定の画角を有する軸外光束を情報光として光情報記録媒体に対して照射するので、画角特性に優れた対物レンズが必要である。
【0014】
そこで、かかる光情報記録技術で用いられる対物レンズとして、波長が異なる2つのレーザ光に対して色収差が補正され、且つ、画角特性に優れたレンズが必要となるが、製造・評価の容易さ及び製造コストの理由から、単レンズであることが望まれる。
【0015】
本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、記録及び/又は再生に使用するレーザ光の波長が互いに異なる光ディスクに対して、それぞれのレーザ光を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズであって、画角特性における非点収差成分が良好に補正された対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、さらに、デジタル体積ホログラフィを利用することで、大容量の情報を記録可能な光情報記録技術に好適な対物レンズであって、波長の異なる2つのレーザ光を、光ディスクに対して色収差なく集光することができ、且つ、画角特性に優れた単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有する単レンズの対物レンズであって、
波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差が補正され、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
【0018】
請求項1に記載されたような輪帯構造を光学面上に形成することにより、単レンズでありながら、(1)式を満たすような互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して、色収差を適切に補正することができる。一方、(2)式は、単レンズにおいて、画角特性における非点収差成分を小さくするための条件である。すなわち、d1/(f・Nd・NA)の値が0.8と1.6の間の範囲内となるように、焦点距離と像側開口数とに対して、光軸上のレンズ厚さを設定すると、画角特性における非点収差成分を十分に小さくすることができる。
【0019】
本明細書において、異なる2つの波長λAとλBとに対して色収差が補正された、輪帯構造を光学面上に有する単レンズとは、以下の2つの条件のうち、少なくとも一方を満足するレンズのことをいう。
【0020】
第1の条件は、かかる輪帯構造を光学面上に有する単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合のバックフォーカスの差(波長λAと波長λBとの間の軸上色収差)が、同じ設計基準波長、同じ焦点距離、同じ像側開口数、同じ光軸上のレンズ厚さ、同じレンズ材料で設計された、上記の輪帯構造を有さない屈折単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合のバックフォーカスの差よりも小さくなる場合である。
【0021】
第2の条件は、かかる輪帯構造を光学面上に有する単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合の球面収差の差(それぞれの波長を入射させた場合の、波面収差のrms値の球面収差成分の差の絶対値)が、同じ設計基準波長、同じ焦点距離、同じ像側開口数、同じ光軸上のレンズ厚さ、同じレンズ材料で設計された、上記の輪帯構造を有さない屈折単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合の球面収差の差よりも小さくなる場合である。
【0022】
請求項2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、次式を満たすと、より好ましい。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
【0023】
なお、本明細書において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に駆動可能なレンズを指すものとする。従って、本明細書において、対物レンズの像側開口数NAとは、対物レンズの最も光情報記録媒体側に位置する光学面の開口数であって、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいは、それぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録及び/又は再生をするために必要なスポット径を得ることができる、回折限界性能を有する開口数を指すものとする。
【0024】
また、本明細書において、情報の記録とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。また、本明細書において、情報の再生とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいう。本発明による対物レンズは、記録だけあるいは再生だけを行うために用いられるものであってもよいし、記録および再生の両方を行うために用いられるものであってもよい。また、ある光情報記録媒体に対しては記録を行い、別の光情報記録媒体に対しては再生を行うために用いられるものであってもよいし、ある光情報記録媒体に対しては記録または再生を行い、別の光情報記録媒体に対しては記録および再生を行うために用いられるものであってもよい。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
【0025】
請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1と、前記波長λ2と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記波長λ1の光束が入射した際の最良像面位置と、前記波長λ2の光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
【0027】
単レンズでは、レンズ材料の色分散により入射光束の波長が長くなるほど、バックフォーカスは長くなり、逆に入射光束の波長が短くなるほど、バックフォーカスは短くなる。従って、入射光束の波長が長くなるほど、バックフォーカスが短くなって、入射光束の波長が短くなるほど、バックフォーカスが長くなるような波長依存性を前記輪帯構造に持たせることにより、レンズ材料の色分散により発生する軸上色収差を補正することができる。このとき、前記第1の光源からの波長λ1の光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの波長λ2の光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1が(4)式を満たすように、軸上色収差に対する輪帯構造の波長依存性を決定するのが好ましい。
【0028】
請求項5に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1の光束が入射した際の球面収差と、前記波長λ2の光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。
【0029】
かかる軸上色収差に対する前記輪帯構造の波長依存性により、軸上色収差が補正された場合でも、単レンズでは、レンズ材料の色分散により、入射光束の波長が長くなるほど、球面収差は補正過剰方向に変化し、入射光束の波長が短くなるほど、球面収差は補正不足方向に変化するので、波長の異なる2つの光束に対してスポットを絞りきることができない。そこで、請求項5に記載の対物レンズは、さらに、入射光束の波長が長くなるほど、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなるほど、球面収差が補正過剰方向に変化するような波長依存性を前記輪帯構造に持たせることにより、レンズ材料の色分散により発生する球面収差を補正することができ、それにより波長の異なる2つの光束を回折限界内で集光させることが可能となる。
【0030】
請求項6に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。単レンズでは、d線における屈折率Ndが大きくなるほど、画角特性における非点収差成分を小さく抑えるためのレンズ厚さの最適値は大きくなる。そのため、レンズ重量が大きくなるので、アクチュエータが大きくなり、前記光ピックアップ装置の小型化に不利となる。また、レンズ厚さが厚くなるとその分作動距離が失われるので、光情報記録媒体との干渉の可能性が大きくなる。これらの問題を回避するために、d線における屈折率Ndは1.8以下であることが好ましいのである。
【0031】
請求項7に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。
【0032】
請求項7に記載の対物レンズの光学面上に形成される前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であると、回折作用により互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して色収差を補正することができる。
【0033】
なお、本明細書において、回折構造が形成された光学面(回折面)とは、対物レンズの表面に、レリーフを設けて、入射光束を回折させる作用を持たせる光学面のことをいい、同一の光学面に回折を生じる領域と生じない領域がある場合は、回折を生じる領域をいう。
【0034】
また、回折構造とは、この回折を生じる領域のことをいう。レリーフの形状としては、例えば、対物レンズの表面に、光軸を中心として略同心円状の輪帯として形成され、光軸を含む平面でその断面(子午断面)をみれば、各輪帯は鋸歯状、あるいは階段状のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。
【0035】
一般に、回折構造が形成された光学面(回折面)からは、0次回折光、±1次回折光、±2次回折光、・・・・、と無数の次数の回折光が生じるが、例えば、上記のような子午断面が鋸歯状となるレリーフを持つ回折面の場合は、特定の次数の回折効率を他の次数の回折効率よりも高くしたり、場合によっては、特定の1つの次数(例えば、+1次回折光)の回折効率をほぼ100%とするように、このレリーフの形状を設定することができる。
【0036】
本明細書において、「回折構造が波長λB、回折次数nで最適化されている」というときは、波長λBの光が入射したときに、回折次数nの回折光の回折効率が理論的に100%となるように、回折構造(レリーフ)の形状を設定することを指し、このとき、波長λBを回折構造の製造波長と呼び、回折次数nを最適化次数と呼ぶ。
【0037】
請求項8に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズの前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。
【0038】
すなわち、本発明による対物レンズの光学面上に形成される前記輪帯構造として、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して所定の光路差を生じるような構造としてもよい。かかる輪帯構造により互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して色収差を補正することができる。
【0039】
請求項9に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記波長λ1が600nmより短いと好ましい。波長λ1として、600nmより短い波長を選択することで、スポット径をより小さくすることができるので、高密度DVD情報記録及び/又は再生用の対物レンズとして、前記光ピックアップ装置に適用することができる。
【0040】
請求項10に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、プラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
【0041】
請求項11に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
【0042】
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、アクチュエータへの負担を軽減でき、対物レンズの追従を高速的に行うことができる。さらに、所望の金型を製造よく作製することで、射出成形により高精度に大量生産することが可能であり、対物レンズの高性能や低コスト化を図ることが可能となる。
【0043】
ところが、射出成形により作製されたプラスチックレンズには、一般的には複屈折が残留する。対物レンズに複屈折が残留していると、光情報記録媒体からの反射光の偏光面が入射光に対して回転してしまうので、MOのように、レーザ光束の偏光方向の回転を利用して記録及び/又は再生を行う光情報記録装置や、以下の特許文献2に記載されているような、デジタル体積ホログラフィを利用した光情報記録装置において、情報の記録及び/又は再生時にエラーが生じる恐れがある。
【特許文献2】
特開2002−123949
【0044】
複屈折の残留を小さく抑えるためには、有効径の最大値D1(mm)と、外径D2(mm)との間に、(5)式が成り立つのが好ましい。以上の作用をより一層達成するには、(6)式を満足するのがより好ましく、以下の(6’)式を満足すると特に好ましい。
D1/D2 < 0.5 (6’)
【0045】
請求項12に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
【0046】
さらに、複屈折の残留を小さく抑えるためには、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)d2(mm)に対する光軸上のレンズ厚さd1(mm)の比d2/d1(肉厚比率)が次式(7)式を満足するのが好ましく、以下の(7’)式を満足するとより好ましい。
d2/d1 > 0.55 (7’)
【0047】
請求項13に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
【0048】
ここで、本発明による対物レンズの光軸上のレンズ厚さd1、有効径の最大値D1、外径D2、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)d2、連続面径D3、について、図1を参照して説明する。図1において、有効径の最大値D1は、対物レンズOBJの像側開口数NAと、焦点距離fと、結像倍率mとにより一意的に決まる物点側の光学面の有効径であり、連続面径D3は、この物体側の光学面の有効径D1から周辺に向かって、連続して滑らかに連なる面の最大径であり、図1(a)に示すように、非球面部ASPとその周辺部Pとが滑らか(この場合は円弧C)に連続して連なっている場合には、D3(A)が連続面径D3に対応する。一方、図1(b)に示すように、非球面部ASPとその周辺部Pとが不連続(不連続部DC)である場合には、D3(B)が連続面径D3に対応する。
【0049】
請求項14に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。
【0050】
本発明による対物レンズをガラスレンズとすると、温度変化による屈折率変化の影響を受けにくくなるので、光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生中にアクチュエータから放熱等により光ピックアップ装置の温度が上昇しても、その集光性能が劣化することはないという利点がある。また、ガラス材料は、一般的に400nm程度の短波長のレーザ光に対して透過率や耐光性が高いので、高密度DVD用の対物レンズとして信頼性の高いレンズを得ることができる。さらに、ガラスレンズは、複屈折の残留という問題がないので、MOや、特許文献2に記載されているような光情報記録装置に好適な対物レンズを提供することができる。
【0051】
前記対物レンズをガラスレンズとする場合には、転移点Tgが400℃以下であるガラス材料を使用して、金型を用いた成形法で作製するのが好ましい。これにより、通常の成形用のガラス材料(Tgは530℃前後)よりも低い温度での成形が可能となるので、成形時間の短縮や金型の長寿命化等に関して有利となり、結果として対物レンズの低コスト化を実現できる。このようなガラス材料として、住田光学ガラス社製のPG375(商品名)やPG325(商品名)等がある。
【0052】
請求項15に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
本発明における作用効果は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0053】
請求項16に記載の光ピックアップ装置において、次式を満たすことを特徴とする。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
本発明における作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0054】
請求項17に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項3に記載の発明と同様である。
【0055】
請求項18に記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
本発明における作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
【0056】
請求項19に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項5に記載の発明と同様である。
【0057】
請求項20に記載の光ピックアップ装置において、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項6に記載の発明と同様である。
【0058】
請求項21に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項7に記載の発明と同様である。
【0059】
請求項22に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項8に記載の発明と同様である。
【0060】
請求項23に記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
【0061】
請求項24に記載の光ピックアップ装置において、前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
本発明における作用効果は、請求項10に記載の発明と同様である。
【0062】
請求項25に記載の光ピックアップ装置において、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
本発明における作用効果は、請求項11に記載の発明と同様である。
【0063】
請求項26に記載の光ピックアップ装置において、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
本発明における作用効果は、請求項12に記載の発明と同様である。
【0064】
請求項27に記載の光ピックアップ装置において、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
本発明における作用効果は、請求項13に記載の発明と同様である。
【0065】
請求項28に記載の光ピックアップ装置において、前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項14に記載の発明と同様である。
【0066】
請求項29に記載の光情報記録再生装置は、波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置を搭載した光情報記録再生装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
本発明における作用効果は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0067】
請求項30に記載の光情報記録再生装置において、次式を満たすことを特徴とする。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
本発明における作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0068】
請求項31に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項3に記載の発明と同様である。
【0069】
請求項32に記載の光情報記録再生装置において、前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
本発明における作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
【0070】
請求項33に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項5に記載の発明と同様である。
【0071】
請求項34に記載の光情報記録再生装置において、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項6に記載の発明と同様である。
【0072】
請求項35に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項7に記載の発明と同様である。
【0073】
請求項36に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項8に記載の発明と同様である。
【0074】
請求項37に記載の光情報記録再生装置において、前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
【0075】
請求項38に記載の光情報記録再生装置において、前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
本発明における作用効果は、請求項10に記載の発明と同様である。
【0076】
請求項39に記載の光情報記録再生装置において、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
本発明における作用効果は、請求項11に記載の発明と同様である。
【0077】
請求項40に記載の光情報記録再生装置において、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
本発明における作用効果は、請求項12に記載の発明と同様である。
【0078】
請求項41に記載の光情報記録再生装置において、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
本発明における作用効果は、請求項13に記載の発明と同様である。
【0079】
請求項42に記載の光情報記録再生装置において、前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項14に記載の発明と同様である。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による光ピックアップ装置用の対物レンズの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる対物レンズOBJ1を示す概略図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は側面を一部拡大した図である。この対物レンズOBJ1は、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスクの所定の位置に集光させる機能を有しており、例えば、青紫色半導体レーザのような短波長光源を使用する高密度DVDと、赤色半導体レーザを使用するDVDとを互換可能に記録及び/又は再生するための光ピックアップ装置や、上述したデジタル体積ホログラフィを利用して記録及び/又は再生する光ピックアップ装置の対物レンズとして好適なものである。
【0081】
対物レンズOBJ1は、非球面である2つの光学面S1、S2を有する両凸の単レンズであり、一方の光学面S1上に、図2(a)に示したように光軸を中心とした同心円状の回折構造としての輪帯構造が形成されている。この輪帯構造は、図2(c)に示したように、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持つ。この輪帯構造の任意の輪帯に入射したレーザ光は、その輪帯の光軸に垂直な方向の幅によって決定される方向に回折する。
【0082】
この輪帯構造は、入射光の波長が長くなるほどバックフォーカスが短くなるような軸上色収差の波長依存性と、入射光の波長が長くなるほど球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の波長依存性とを有している。これにより、対物レンズOBJ1は、レンズ材料の色分散により発生する軸上色収差と球面収差変化が補正され、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく回折限界内で集光することが可能となっている。
【0083】
更に、この輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有している。これにより、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光束が入射した際における球面収差と、前記第2の光束が入射した際における球面収差とが近づくように補正される。又、この輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成する。
【0084】
また、対物レンズOBJ1は、レンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、画角に対するマージンが広いレンズとなっている。
【0085】
図3は、第2の別の実施の形態にかかる対物レンズOBJ2を示す概略図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。この対物レンズOBJ2は、対物レンズOBJ1と同様に、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスクの所定の位置に集光させる機能を有しており、例えば、青紫色半導体レーザのような短波長光源を使用する高密度DVDと、赤色半導体レーザを使用するDVDとを互換可能に記録及び/又は再生するための光ピックアップ装置や、上述したデジタル体積ホログラフィを利用して記録及び/又は再生する光ピックアップ装置の対物レンズとして好適なものである。
【0086】
対物レンズOBJ2は、非球面である2つの光学面S1、S2を有する両凸のプラスチック単レンズであり、一方の光学面S1上に、図3(a)に示したように光軸を中心とした同心円上の輪帯構造が形成されている。この輪帯構造は、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持ち、各段差Δは、波長の異なる2つのレーザ光のうち、波長が短いレーザ光が入射した場合に、隣り合う輪帯同士で波長の整数倍光路差が異なるように決定されている。
【0087】
各輪帯は、図3(b)に示すように、内側に隣接する輪帯よりも光軸に沿って光源方向に変位して形成されている。このように各輪帯を形成することにより、レンズ材料の色分散により発生する色収差を補正することができ、対物レンズOBJ2は、波長の異なる2つのレーザ光を色収差を抑制しつつ回折限界内で集光することが可能となっている。
【0088】
また、対物レンズOBJ1と同様に、対物レンズOBJ2は、レンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、画角に対するマージンが広いレンズとなっている。
【0089】
図4は、上記の対物レンズOBJ1あるいは対物レンズOBJ2を搭載した光ピックアップ装置の構成を概略的に示す図である。光ピックアップ装置PUは、高密度DVD用のGaN系青紫色半導体レーザLD1と、DVD用の赤色半導体レーザLD2と、これらの半導体レーザからの波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスク上に集光できる対物レンズOBJとを有している。
【0090】
高密度DVD用の光源としては、上記のGaN系青紫色半導体レーザLD1のほかに、SHG青紫色レーザを使用することができる。
【0091】
対物レンズOBJは、上記の対物レンズOBJ1、及び対物レンズOBJ2のいずれかである。対物レンズOBJは、光軸に対し垂直に延びた面を持つフランジ部FLを有し、このフランジ部FLにより、対物レンズOBJを光ピックアップ装置PUに精度よく取り付けることができる。
【0092】
第1の光源である半導体レーザLD1から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS1で反射され、偏光ビームスプリッタBS2を透過した後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによって、高密度DVDである光ディスク(第1の光情報記録媒体)D1の保護層DP1を介して情報記録面DR1上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0093】
情報記録面DR1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS2、偏光ビームスプリッタBS1を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD1に記録された情報を読み取ることができる。
【0094】
一方、第2の光源である半導体レーザLD2から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS2で反射された後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによってDVDである光ディスク(第2の光情報記録媒体)D2の保護層DP2を介して情報記録面DR2上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0095】
情報記録面DR2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS1、偏光ビームスプリッタBS2を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD2に記録された情報を読み取ることができる。
【0096】
なお、光ピックアップ装置PUは、半導体レーザLD1と対物レンズOBJとの間と、半導体レーザLD2と対物レンズOBJとの間の光路中にレーザ光の偏光を変えるための1/4波長板を備えるが、かかる1/4波長板は図4では省略されている。
【0097】
(実施例)
次に、上述した実施の形態に基づく具体的な実施例を3例提示する。実施例1及び実施例2の対物レンズは、プラスチックレンズであって、実施例3の対物レンズは、ガラス転移点Tgが285℃である住田光学ガラス社製のPG325(商品名)からなるガラスレンズである。いずれもレンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、両角に対するマージンが広いレンズとなっており、第1面(光源側の光学面)に形成した回折構造としての輪帯構造の作用により2つの波長に対して色収差が補正された対物レンズである。
【0098】
表1に、それぞれの実施例の対物レンズの設計基準波長λ1及びλ2,像側開口数NA、焦点距離f、及び上記の(1)〜(4)式に用いた値を示す。
【表1】
【0099】
各実施例の対物レンズにおける非球面は、その面の頂点に接する平面からの変形量をX(mm)、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、曲率半径をr(mm)とするとき、次の数1で表される。ただし、κを円錐係数、A2iを非球面係数とする。
【数1】
【0100】
また、各実施例の対物レンズにおける回折構造としての輪帯構造は、この輪帯構造により透過波面に付加される光路差で表される。かかる光路差は、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、b2jを回折面係数(光路差関数係数ともいう)とするとき次の数2で定義される光路差関数Φb(mm)で表される。
【数2】
【0101】
この光路差関数Φb(mm)の値をもとに対物レンズの光学面上に回折構造を形成する場合、光路差関数Φb(mm)の値が所定の波長λBのn倍(ただし、nは自然数)変わる毎に輪帯を形成する。
【0102】
表2に実施例1の対物レンズのレンズデータを示し、表3に実施例2の対物レンズのレンズデータを示し、表4に実施例3の対物レンズのレンズデータを示す。表2乃至表4のレンズデータにおいて、r(mm)は曲率半径、d(mm)は面間隔、Ndはdにd線における屈折率、Nλ1は波長λ1における屈折率、Nλ2は波長λ2における屈折率、νdはd線におけるアッベ数を表し、各実施例の回折構造としての輪帯構造の製造波長はλ1、最適化次数は1である。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば 2.5×10−3)を、E(例えば 2.5×E―3)を用いて表すものとする。
【表2】
【表3】
【表4】
【0103】
さらに、各実施例の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図を、それぞれ図5乃至図7に示す。いずれの場合も、波長λ1及び波長λ2における球面収差、及び波長λ1と波長λ2との間の軸上色収差とが良好に補正されていることがわかる。
【0104】
図8乃至図10に、各実施例の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す。いずれの場合も、半画角2度での波面収差は0.07λrms以下であり、画角に対するマージンが広いレンズであることがわかる。
【0105】
図11に実施例1の対物レンズの概略断面図を示し、図12に実施例2の対物レンズの概略断面図を示す。また、表5にこれらの対物レンズの上記の(5)式〜(8)式に対応する値を示す。これらの実施例の対物レンズは、上記の(5)式〜(8)式を満足するような形状を有しているので、射出成形により作製するプラスチックレンズでありながら、複屈折の残留が小さいレンズとなっている。
【表5】
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、画角特性における非点収差成分が良好に補正されるともに、記録及び/又は再生に使用する光源の波長が互いに異なる光情報記録媒体に対して、それぞれの光源からの光束を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる対物レンズの概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる対物レンズの概略図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる対物レンズの概略図である。
【図4】光ピックアップ装置(光情報記録再生装置)の構成を概略的に示す図である。
【図5】実施例1の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図6】実施例2の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図7】実施例3の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図8】実施例1の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図9】実施例2の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図10】実施例3の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図11】実施例1の対物レンズの概略断面図である。
【図12】実施例2の対物レンズの概略断面図である。
【符号の説明】
PU 光ピックアップ装置
OBJ、OBJ1,OBJ2 対物レンズ
LD1、LD2 半導体レーザ
BS1,BS2 偏光ビームスプリッタ
CL コリメートレンズ
ST 絞り
PD 光検出器
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置、光情報記録再生装置及びそれらに用いる対物レンズに関し、特に、高密度な光情報記録又は再生が可能な光ピックアップ装置、光情報記録再生装置及びそれらに用いる対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVDよりも波長の短いレーザ光を利用することで記録密度を向上させた高密度DVD(本明細書では、従来のDVDを単にDVDと呼び、以降区別して用いる)に関する規格が提案されているが、市場にはDVDが数多く存在し、また、ユーザーがDVDを所有している場合もあることから、かかる高密度DVD用の光ディスクプレーヤー(本明細書では、光情報記録再生装置ともいう)においては、DVDを記録及び/又は再生できることが、製品価値を高める上で重要となる。
【0003】
光ディスク(本明細書では、光情報記録媒体ともいう)用のディスクプレーヤーに搭載される光ピックアップ装置の対物レンズとして、製造・評価の容易さ及び製造コストの理由から、単レンズ構成の非球面レンズが使用されることが多い。
【0004】
しかるに、レンズ材料の特性の一つである色分散のために、単レンズ構成の対物レンズで波長の異なるレーザ光を集光させた場合、一方のレーザ光に関しては、収差を補正することができるが、同じ仕様で他方のレーザ光に関しては、収差を補正することができないという問題がある。
【0005】
例えば、DVDでは650nm前後のレーザ光をその記録及び/又は再生に利用し、高密度DVDでは405nm前後のレーザ光をその記録及び/又は再生に利用するが、かかる2つのレーザ光の波長差により単レンズでは軸上色収差が発生する。DVDと高密度DVDとで、レーザ光の集光位置が光軸方向にずれていると、フォーカシング用のアクチュエータへの負担が増大する。
【0006】
また、対物レンズをそれぞれのレーザ光の近軸的な集光位置に対してフォーカシングしても、2つのレーザ光の波長差により球面収差が変化するのでスポットを絞りきれず、DVDと高密度DVDの双方に対して互換可能に記録/再生することができない。例えば、405nmの光に対して球面収差補正された単レンズに対して、650nmの光を入射させると、レンズ材料の色分散のために球面収差が補正過剰方向に変化する。
【0007】
これに対し、DVDと高密度DVDの双方に対して互換可能に記録及び/又は再生できる光ディスクプレーヤー用の光ピックアップ装置の実現すべく、それぞれの波長に対して収差補正された専用の対物レンズを波長毎に切り替える構成も可能だが、複雑なレンズ切り替え機構が必要で製造コストが増大し、アクチュエータが大きくなるので小型化に不利となるため実用的ではない。
【0008】
かかる問題に対し、単レンズ構成の対物レンズにおいて、光学面上に形成した輪帯構造の回折作用を利用して、2つのレーザ光の波長差に起因して発生する収差変化を補正することで、波長の異なる光源からの光束を、異なる光情報記録媒体の情報記録面上に回折限界内で集光させる技術は、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開2001−195769
【0009】
しかしながら、光ピックアップ装置用の対物レンズを単レンズとすると、軸外光束を入射した際に非点収差が発生する。この非点収差は画角の自乗に比例して発生するので、画角の増大とともに集光性能が急激に劣化する。
【0010】
光ピックアップ装置では、光源やプリズム等の取付け誤差により、対物レンズに対して画角を持った軸外光束が入射することになるが、画角特性における非点収差が良好に補正されていないような画角に対する許容幅が狭い対物レンズを使用する場合には、光学部材の取付け精度の公差が厳しくなり、光ピックアップ装置の製造コストが増大する。特にかかる公差は、光ピックアップ装置の光源の波長に比例して厳しくなるという問題がある。例えば、405nmの光源を使用する場合は、650nmの光源を使用する場合に対して、光学部材の取付け精度の公差は、1.6倍程度厳しくなる。
【0011】
また、近年、デジタル体積ホログラフィを利用することで、大容量の情報を記録可能な光情報記録技術の研究開発が行われており、ISOM/ODS2002(Joint International Symposium on Optical Memory and Optical Data Storage 2002)Postdeadline papersのセッションTuP.26や、応用物理学会日本光学会微小光学研究グループ主催の第85回微小光学研究会では、DVDと同じ大きさでありながら記憶容量1Tbyte、転送レート1Gbps以上を実現する光情報記録技術が提案された。
【0012】
かかる光情報記録技術では、波長が異なる2つのレーザ光のうち、一方を、干渉パターンを生成するための情報光及び参照光として使用し、もう一方を、対物レンズと光情報記録媒体との相対的な位置決め(フォーカシング)を行うために使用するため、情報の記録/再生を正確に行うためには、波長が異なるこれらの2つのレーザ光を色収差なく光情報記録媒体の所定の位置に集光させる必要がある。
【0013】
さらに、かかる光情報記録技術では、所定の画角を有する軸外光束を情報光として光情報記録媒体に対して照射するので、画角特性に優れた対物レンズが必要である。
【0014】
そこで、かかる光情報記録技術で用いられる対物レンズとして、波長が異なる2つのレーザ光に対して色収差が補正され、且つ、画角特性に優れたレンズが必要となるが、製造・評価の容易さ及び製造コストの理由から、単レンズであることが望まれる。
【0015】
本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、記録及び/又は再生に使用するレーザ光の波長が互いに異なる光ディスクに対して、それぞれのレーザ光を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズであって、画角特性における非点収差成分が良好に補正された対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、さらに、デジタル体積ホログラフィを利用することで、大容量の情報を記録可能な光情報記録技術に好適な対物レンズであって、波長の異なる2つのレーザ光を、光ディスクに対して色収差なく集光することができ、且つ、画角特性に優れた単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有する単レンズの対物レンズであって、
波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差が補正され、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
【0018】
請求項1に記載されたような輪帯構造を光学面上に形成することにより、単レンズでありながら、(1)式を満たすような互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して、色収差を適切に補正することができる。一方、(2)式は、単レンズにおいて、画角特性における非点収差成分を小さくするための条件である。すなわち、d1/(f・Nd・NA)の値が0.8と1.6の間の範囲内となるように、焦点距離と像側開口数とに対して、光軸上のレンズ厚さを設定すると、画角特性における非点収差成分を十分に小さくすることができる。
【0019】
本明細書において、異なる2つの波長λAとλBとに対して色収差が補正された、輪帯構造を光学面上に有する単レンズとは、以下の2つの条件のうち、少なくとも一方を満足するレンズのことをいう。
【0020】
第1の条件は、かかる輪帯構造を光学面上に有する単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合のバックフォーカスの差(波長λAと波長λBとの間の軸上色収差)が、同じ設計基準波長、同じ焦点距離、同じ像側開口数、同じ光軸上のレンズ厚さ、同じレンズ材料で設計された、上記の輪帯構造を有さない屈折単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合のバックフォーカスの差よりも小さくなる場合である。
【0021】
第2の条件は、かかる輪帯構造を光学面上に有する単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合の球面収差の差(それぞれの波長を入射させた場合の、波面収差のrms値の球面収差成分の差の絶対値)が、同じ設計基準波長、同じ焦点距離、同じ像側開口数、同じ光軸上のレンズ厚さ、同じレンズ材料で設計された、上記の輪帯構造を有さない屈折単レンズに、波長λAの光を入射させた場合と波長λBの光を入射させた場合の球面収差の差よりも小さくなる場合である。
【0022】
請求項2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、次式を満たすと、より好ましい。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
【0023】
なお、本明細書において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に駆動可能なレンズを指すものとする。従って、本明細書において、対物レンズの像側開口数NAとは、対物レンズの最も光情報記録媒体側に位置する光学面の開口数であって、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいは、それぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録及び/又は再生をするために必要なスポット径を得ることができる、回折限界性能を有する開口数を指すものとする。
【0024】
また、本明細書において、情報の記録とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。また、本明細書において、情報の再生とは、上記のような光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいう。本発明による対物レンズは、記録だけあるいは再生だけを行うために用いられるものであってもよいし、記録および再生の両方を行うために用いられるものであってもよい。また、ある光情報記録媒体に対しては記録を行い、別の光情報記録媒体に対しては再生を行うために用いられるものであってもよいし、ある光情報記録媒体に対しては記録または再生を行い、別の光情報記録媒体に対しては記録および再生を行うために用いられるものであってもよい。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
【0025】
請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1と、前記波長λ2と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記波長λ1の光束が入射した際の最良像面位置と、前記波長λ2の光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
【0027】
単レンズでは、レンズ材料の色分散により入射光束の波長が長くなるほど、バックフォーカスは長くなり、逆に入射光束の波長が短くなるほど、バックフォーカスは短くなる。従って、入射光束の波長が長くなるほど、バックフォーカスが短くなって、入射光束の波長が短くなるほど、バックフォーカスが長くなるような波長依存性を前記輪帯構造に持たせることにより、レンズ材料の色分散により発生する軸上色収差を補正することができる。このとき、前記第1の光源からの波長λ1の光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの波長λ2の光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1が(4)式を満たすように、軸上色収差に対する輪帯構造の波長依存性を決定するのが好ましい。
【0028】
請求項5に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1の光束が入射した際の球面収差と、前記波長λ2の光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。
【0029】
かかる軸上色収差に対する前記輪帯構造の波長依存性により、軸上色収差が補正された場合でも、単レンズでは、レンズ材料の色分散により、入射光束の波長が長くなるほど、球面収差は補正過剰方向に変化し、入射光束の波長が短くなるほど、球面収差は補正不足方向に変化するので、波長の異なる2つの光束に対してスポットを絞りきることができない。そこで、請求項5に記載の対物レンズは、さらに、入射光束の波長が長くなるほど、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなるほど、球面収差が補正過剰方向に変化するような波長依存性を前記輪帯構造に持たせることにより、レンズ材料の色分散により発生する球面収差を補正することができ、それにより波長の異なる2つの光束を回折限界内で集光させることが可能となる。
【0030】
請求項6に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。単レンズでは、d線における屈折率Ndが大きくなるほど、画角特性における非点収差成分を小さく抑えるためのレンズ厚さの最適値は大きくなる。そのため、レンズ重量が大きくなるので、アクチュエータが大きくなり、前記光ピックアップ装置の小型化に不利となる。また、レンズ厚さが厚くなるとその分作動距離が失われるので、光情報記録媒体との干渉の可能性が大きくなる。これらの問題を回避するために、d線における屈折率Ndは1.8以下であることが好ましいのである。
【0031】
請求項7に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。
【0032】
請求項7に記載の対物レンズの光学面上に形成される前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であると、回折作用により互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して色収差を補正することができる。
【0033】
なお、本明細書において、回折構造が形成された光学面(回折面)とは、対物レンズの表面に、レリーフを設けて、入射光束を回折させる作用を持たせる光学面のことをいい、同一の光学面に回折を生じる領域と生じない領域がある場合は、回折を生じる領域をいう。
【0034】
また、回折構造とは、この回折を生じる領域のことをいう。レリーフの形状としては、例えば、対物レンズの表面に、光軸を中心として略同心円状の輪帯として形成され、光軸を含む平面でその断面(子午断面)をみれば、各輪帯は鋸歯状、あるいは階段状のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。
【0035】
一般に、回折構造が形成された光学面(回折面)からは、0次回折光、±1次回折光、±2次回折光、・・・・、と無数の次数の回折光が生じるが、例えば、上記のような子午断面が鋸歯状となるレリーフを持つ回折面の場合は、特定の次数の回折効率を他の次数の回折効率よりも高くしたり、場合によっては、特定の1つの次数(例えば、+1次回折光)の回折効率をほぼ100%とするように、このレリーフの形状を設定することができる。
【0036】
本明細書において、「回折構造が波長λB、回折次数nで最適化されている」というときは、波長λBの光が入射したときに、回折次数nの回折光の回折効率が理論的に100%となるように、回折構造(レリーフ)の形状を設定することを指し、このとき、波長λBを回折構造の製造波長と呼び、回折次数nを最適化次数と呼ぶ。
【0037】
請求項8に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズの前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。
【0038】
すなわち、本発明による対物レンズの光学面上に形成される前記輪帯構造として、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して所定の光路差を生じるような構造としてもよい。かかる輪帯構造により互いに異なる2つの波長のレーザ光に対して色収差を補正することができる。
【0039】
請求項9に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、前記波長λ1が600nmより短いと好ましい。波長λ1として、600nmより短い波長を選択することで、スポット径をより小さくすることができるので、高密度DVD情報記録及び/又は再生用の対物レンズとして、前記光ピックアップ装置に適用することができる。
【0040】
請求項10に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、プラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
【0041】
請求項11に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
【0042】
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、アクチュエータへの負担を軽減でき、対物レンズの追従を高速的に行うことができる。さらに、所望の金型を製造よく作製することで、射出成形により高精度に大量生産することが可能であり、対物レンズの高性能や低コスト化を図ることが可能となる。
【0043】
ところが、射出成形により作製されたプラスチックレンズには、一般的には複屈折が残留する。対物レンズに複屈折が残留していると、光情報記録媒体からの反射光の偏光面が入射光に対して回転してしまうので、MOのように、レーザ光束の偏光方向の回転を利用して記録及び/又は再生を行う光情報記録装置や、以下の特許文献2に記載されているような、デジタル体積ホログラフィを利用した光情報記録装置において、情報の記録及び/又は再生時にエラーが生じる恐れがある。
【特許文献2】
特開2002−123949
【0044】
複屈折の残留を小さく抑えるためには、有効径の最大値D1(mm)と、外径D2(mm)との間に、(5)式が成り立つのが好ましい。以上の作用をより一層達成するには、(6)式を満足するのがより好ましく、以下の(6’)式を満足すると特に好ましい。
D1/D2 < 0.5 (6’)
【0045】
請求項12に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
【0046】
さらに、複屈折の残留を小さく抑えるためには、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)d2(mm)に対する光軸上のレンズ厚さd1(mm)の比d2/d1(肉厚比率)が次式(7)式を満足するのが好ましく、以下の(7’)式を満足するとより好ましい。
d2/d1 > 0.55 (7’)
【0047】
請求項13に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
【0048】
ここで、本発明による対物レンズの光軸上のレンズ厚さd1、有効径の最大値D1、外径D2、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)d2、連続面径D3、について、図1を参照して説明する。図1において、有効径の最大値D1は、対物レンズOBJの像側開口数NAと、焦点距離fと、結像倍率mとにより一意的に決まる物点側の光学面の有効径であり、連続面径D3は、この物体側の光学面の有効径D1から周辺に向かって、連続して滑らかに連なる面の最大径であり、図1(a)に示すように、非球面部ASPとその周辺部Pとが滑らか(この場合は円弧C)に連続して連なっている場合には、D3(A)が連続面径D3に対応する。一方、図1(b)に示すように、非球面部ASPとその周辺部Pとが不連続(不連続部DC)である場合には、D3(B)が連続面径D3に対応する。
【0049】
請求項14に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。
【0050】
本発明による対物レンズをガラスレンズとすると、温度変化による屈折率変化の影響を受けにくくなるので、光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生中にアクチュエータから放熱等により光ピックアップ装置の温度が上昇しても、その集光性能が劣化することはないという利点がある。また、ガラス材料は、一般的に400nm程度の短波長のレーザ光に対して透過率や耐光性が高いので、高密度DVD用の対物レンズとして信頼性の高いレンズを得ることができる。さらに、ガラスレンズは、複屈折の残留という問題がないので、MOや、特許文献2に記載されているような光情報記録装置に好適な対物レンズを提供することができる。
【0051】
前記対物レンズをガラスレンズとする場合には、転移点Tgが400℃以下であるガラス材料を使用して、金型を用いた成形法で作製するのが好ましい。これにより、通常の成形用のガラス材料(Tgは530℃前後)よりも低い温度での成形が可能となるので、成形時間の短縮や金型の長寿命化等に関して有利となり、結果として対物レンズの低コスト化を実現できる。このようなガラス材料として、住田光学ガラス社製のPG375(商品名)やPG325(商品名)等がある。
【0052】
請求項15に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
本発明における作用効果は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0053】
請求項16に記載の光ピックアップ装置において、次式を満たすことを特徴とする。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
本発明における作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0054】
請求項17に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項3に記載の発明と同様である。
【0055】
請求項18に記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
本発明における作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
【0056】
請求項19に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項5に記載の発明と同様である。
【0057】
請求項20に記載の光ピックアップ装置において、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項6に記載の発明と同様である。
【0058】
請求項21に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項7に記載の発明と同様である。
【0059】
請求項22に記載の光ピックアップ装置において、前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項8に記載の発明と同様である。
【0060】
請求項23に記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
【0061】
請求項24に記載の光ピックアップ装置において、前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
本発明における作用効果は、請求項10に記載の発明と同様である。
【0062】
請求項25に記載の光ピックアップ装置において、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
本発明における作用効果は、請求項11に記載の発明と同様である。
【0063】
請求項26に記載の光ピックアップ装置において、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
本発明における作用効果は、請求項12に記載の発明と同様である。
【0064】
請求項27に記載の光ピックアップ装置において、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
本発明における作用効果は、請求項13に記載の発明と同様である。
【0065】
請求項28に記載の光ピックアップ装置において、前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項14に記載の発明と同様である。
【0066】
請求項29に記載の光情報記録再生装置は、波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置を搭載した光情報記録再生装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする。(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2)
本発明における作用効果は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0067】
請求項30に記載の光情報記録再生装置において、次式を満たすことを特徴とする。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3)
本発明における作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0068】
請求項31に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項3に記載の発明と同様である。
【0069】
請求項32に記載の光情報記録再生装置において、前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4)
本発明における作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
【0070】
請求項33に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項5に記載の発明と同様である。
【0071】
請求項34に記載の光情報記録再生装置において、d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項6に記載の発明と同様である。
【0072】
請求項35に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項7に記載の発明と同様である。
【0073】
請求項36に記載の光情報記録再生装置において、前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項8に記載の発明と同様である。
【0074】
請求項37に記載の光情報記録再生装置において、前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項9に記載の発明と同様である。
【0075】
請求項38に記載の光情報記録再生装置において、前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.7 (5)
本発明における作用効果は、請求項10に記載の発明と同様である。
【0076】
請求項39に記載の光情報記録再生装置において、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D2 < 0.6 (6)
本発明における作用効果は、請求項11に記載の発明と同様である。
【0077】
請求項40に記載の光情報記録再生装置において、光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
d2/d1 > 0.45 (7)
本発明における作用効果は、請求項12に記載の発明と同様である。
【0078】
請求項41に記載の光情報記録再生装置において、物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
D1/D3 < 0.8 (8)
本発明における作用効果は、請求項13に記載の発明と同様である。
【0079】
請求項42に記載の光情報記録再生装置において、前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする。本発明における作用効果は、請求項14に記載の発明と同様である。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による光ピックアップ装置用の対物レンズの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる対物レンズOBJ1を示す概略図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は側面を一部拡大した図である。この対物レンズOBJ1は、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスクの所定の位置に集光させる機能を有しており、例えば、青紫色半導体レーザのような短波長光源を使用する高密度DVDと、赤色半導体レーザを使用するDVDとを互換可能に記録及び/又は再生するための光ピックアップ装置や、上述したデジタル体積ホログラフィを利用して記録及び/又は再生する光ピックアップ装置の対物レンズとして好適なものである。
【0081】
対物レンズOBJ1は、非球面である2つの光学面S1、S2を有する両凸の単レンズであり、一方の光学面S1上に、図2(a)に示したように光軸を中心とした同心円状の回折構造としての輪帯構造が形成されている。この輪帯構造は、図2(c)に示したように、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持つ。この輪帯構造の任意の輪帯に入射したレーザ光は、その輪帯の光軸に垂直な方向の幅によって決定される方向に回折する。
【0082】
この輪帯構造は、入射光の波長が長くなるほどバックフォーカスが短くなるような軸上色収差の波長依存性と、入射光の波長が長くなるほど球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の波長依存性とを有している。これにより、対物レンズOBJ1は、レンズ材料の色分散により発生する軸上色収差と球面収差変化が補正され、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく回折限界内で集光することが可能となっている。
【0083】
更に、この輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有している。これにより、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光束が入射した際における球面収差と、前記第2の光束が入射した際における球面収差とが近づくように補正される。又、この輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成する。
【0084】
また、対物レンズOBJ1は、レンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、画角に対するマージンが広いレンズとなっている。
【0085】
図3は、第2の別の実施の形態にかかる対物レンズOBJ2を示す概略図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。この対物レンズOBJ2は、対物レンズOBJ1と同様に、波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスクの所定の位置に集光させる機能を有しており、例えば、青紫色半導体レーザのような短波長光源を使用する高密度DVDと、赤色半導体レーザを使用するDVDとを互換可能に記録及び/又は再生するための光ピックアップ装置や、上述したデジタル体積ホログラフィを利用して記録及び/又は再生する光ピックアップ装置の対物レンズとして好適なものである。
【0086】
対物レンズOBJ2は、非球面である2つの光学面S1、S2を有する両凸のプラスチック単レンズであり、一方の光学面S1上に、図3(a)に示したように光軸を中心とした同心円上の輪帯構造が形成されている。この輪帯構造は、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持ち、各段差Δは、波長の異なる2つのレーザ光のうち、波長が短いレーザ光が入射した場合に、隣り合う輪帯同士で波長の整数倍光路差が異なるように決定されている。
【0087】
各輪帯は、図3(b)に示すように、内側に隣接する輪帯よりも光軸に沿って光源方向に変位して形成されている。このように各輪帯を形成することにより、レンズ材料の色分散により発生する色収差を補正することができ、対物レンズOBJ2は、波長の異なる2つのレーザ光を色収差を抑制しつつ回折限界内で集光することが可能となっている。
【0088】
また、対物レンズOBJ1と同様に、対物レンズOBJ2は、レンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、画角に対するマージンが広いレンズとなっている。
【0089】
図4は、上記の対物レンズOBJ1あるいは対物レンズOBJ2を搭載した光ピックアップ装置の構成を概略的に示す図である。光ピックアップ装置PUは、高密度DVD用のGaN系青紫色半導体レーザLD1と、DVD用の赤色半導体レーザLD2と、これらの半導体レーザからの波長の異なる2つのレーザ光を色収差なく光ディスク上に集光できる対物レンズOBJとを有している。
【0090】
高密度DVD用の光源としては、上記のGaN系青紫色半導体レーザLD1のほかに、SHG青紫色レーザを使用することができる。
【0091】
対物レンズOBJは、上記の対物レンズOBJ1、及び対物レンズOBJ2のいずれかである。対物レンズOBJは、光軸に対し垂直に延びた面を持つフランジ部FLを有し、このフランジ部FLにより、対物レンズOBJを光ピックアップ装置PUに精度よく取り付けることができる。
【0092】
第1の光源である半導体レーザLD1から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS1で反射され、偏光ビームスプリッタBS2を透過した後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによって、高密度DVDである光ディスク(第1の光情報記録媒体)D1の保護層DP1を介して情報記録面DR1上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0093】
情報記録面DR1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS2、偏光ビームスプリッタBS1を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD1に記録された情報を読み取ることができる。
【0094】
一方、第2の光源である半導体レーザLD2から射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタBS2で反射された後、コリメートレンズCLを経て平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによってDVDである光ディスク(第2の光情報記録媒体)D2の保護層DP2を介して情報記録面DR2上に形成されるスポットとなる。対物レンズOBJは、その周辺に配置されたアクチュエータACTによってフォーカス制御およびトラッキング制御される。
【0095】
情報記録面DR2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りST、コリメートレンズCLを透過した後、収斂光束となり、偏光ビームスプリッタBS1、偏光ビームスプリッタBS2を透過し、シリンドリカルレンズCY、凹レンズLを経ることによって非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて光ディスクD2に記録された情報を読み取ることができる。
【0096】
なお、光ピックアップ装置PUは、半導体レーザLD1と対物レンズOBJとの間と、半導体レーザLD2と対物レンズOBJとの間の光路中にレーザ光の偏光を変えるための1/4波長板を備えるが、かかる1/4波長板は図4では省略されている。
【0097】
(実施例)
次に、上述した実施の形態に基づく具体的な実施例を3例提示する。実施例1及び実施例2の対物レンズは、プラスチックレンズであって、実施例3の対物レンズは、ガラス転移点Tgが285℃である住田光学ガラス社製のPG325(商品名)からなるガラスレンズである。いずれもレンズ厚さが上記の(2)式を満足するので、単レンズでありながら、画角特性における非点収差成分の発生が小さく、両角に対するマージンが広いレンズとなっており、第1面(光源側の光学面)に形成した回折構造としての輪帯構造の作用により2つの波長に対して色収差が補正された対物レンズである。
【0098】
表1に、それぞれの実施例の対物レンズの設計基準波長λ1及びλ2,像側開口数NA、焦点距離f、及び上記の(1)〜(4)式に用いた値を示す。
【表1】
【0099】
各実施例の対物レンズにおける非球面は、その面の頂点に接する平面からの変形量をX(mm)、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、曲率半径をr(mm)とするとき、次の数1で表される。ただし、κを円錐係数、A2iを非球面係数とする。
【数1】
【0100】
また、各実施例の対物レンズにおける回折構造としての輪帯構造は、この輪帯構造により透過波面に付加される光路差で表される。かかる光路差は、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、b2jを回折面係数(光路差関数係数ともいう)とするとき次の数2で定義される光路差関数Φb(mm)で表される。
【数2】
【0101】
この光路差関数Φb(mm)の値をもとに対物レンズの光学面上に回折構造を形成する場合、光路差関数Φb(mm)の値が所定の波長λBのn倍(ただし、nは自然数)変わる毎に輪帯を形成する。
【0102】
表2に実施例1の対物レンズのレンズデータを示し、表3に実施例2の対物レンズのレンズデータを示し、表4に実施例3の対物レンズのレンズデータを示す。表2乃至表4のレンズデータにおいて、r(mm)は曲率半径、d(mm)は面間隔、Ndはdにd線における屈折率、Nλ1は波長λ1における屈折率、Nλ2は波長λ2における屈折率、νdはd線におけるアッベ数を表し、各実施例の回折構造としての輪帯構造の製造波長はλ1、最適化次数は1である。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば 2.5×10−3)を、E(例えば 2.5×E―3)を用いて表すものとする。
【表2】
【表3】
【表4】
【0103】
さらに、各実施例の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図を、それぞれ図5乃至図7に示す。いずれの場合も、波長λ1及び波長λ2における球面収差、及び波長λ1と波長λ2との間の軸上色収差とが良好に補正されていることがわかる。
【0104】
図8乃至図10に、各実施例の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す。いずれの場合も、半画角2度での波面収差は0.07λrms以下であり、画角に対するマージンが広いレンズであることがわかる。
【0105】
図11に実施例1の対物レンズの概略断面図を示し、図12に実施例2の対物レンズの概略断面図を示す。また、表5にこれらの対物レンズの上記の(5)式〜(8)式に対応する値を示す。これらの実施例の対物レンズは、上記の(5)式〜(8)式を満足するような形状を有しているので、射出成形により作製するプラスチックレンズでありながら、複屈折の残留が小さいレンズとなっている。
【表5】
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、画角特性における非点収差成分が良好に補正されるともに、記録及び/又は再生に使用する光源の波長が互いに異なる光情報記録媒体に対して、それぞれの光源からの光束を回折限界内で集光することのできる単レンズ構成の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる対物レンズの概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる対物レンズの概略図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる対物レンズの概略図である。
【図4】光ピックアップ装置(光情報記録再生装置)の構成を概略的に示す図である。
【図5】実施例1の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図6】実施例2の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図7】実施例3の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における球面収差図である。
【図8】実施例1の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図9】実施例2の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図10】実施例3の対物レンズの波長λ1及び波長λ2における半画角に対する波面収差のrms値の変化の様子を示す図である。
【図11】実施例1の対物レンズの概略断面図である。
【図12】実施例2の対物レンズの概略断面図である。
【符号の説明】
PU 光ピックアップ装置
OBJ、OBJ1,OBJ2 対物レンズ
LD1、LD2 半導体レーザ
BS1,BS2 偏光ビームスプリッタ
CL コリメートレンズ
ST 絞り
PD 光検出器
Claims (42)
- 複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有する単レンズの対物レンズであって、
波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差が補正され、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2) - 次式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1と、前記波長λ2と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 前記波長λ1の光束が入射した際の最良像面位置と、前記波長λ2の光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記波長λ1の光束が入射した際の球面収差と、前記波長λ2の光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 前記波長λ1が600nmより短いことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
D1/D2 < 0.7 (5) - 次式を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
D1/D2 < 0.6 (6) - 光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項10または11に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
d2/d1 > 0.45 (7) - 物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
D1/D3 < 0.8 (8) - 前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
- 波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2) - 次式を満たすことを特徴とする請求項15に記載の光ピックアップ装置。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項15または16に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする請求項17に記載の光ピックアップ装置。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする請求項15乃至22のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
D1/D2 < 0.7 (5) - 次式を満たすことを特徴とする請求項24に記載の光ピックアップ装置。
D1/D2 < 0.6 (6) - 光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項24または25に記載の光ピックアップ装置。
d2/d1 > 0.45 (7) - 物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
D1/D3 < 0.8 (8) - 前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 波長λ1(nm)の光束を発生する第1の光源と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束を発生する第2の光源と、光情報記録媒体に対向する位置に配置され、前記第1の光源及び前記第2の光源からのそれぞれの光束を前記光情報記録媒体の所定の位置に集光させるための対物レンズと、を有する光ピックアップ装置を搭載した光情報記録再生装置において、
前記対物レンズは、複数の輪帯から構成され、且つ、隣り合う輪帯同士が、入射光束に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、に対して色収差が補正された単レンズであって、波長λ1(nm)の光束と、前記波長λ1より長い波長λ2(nm)の光束と、に対して色収差を補正し、
更に、光軸上のレンズ厚さをd1(mm)、焦点距離をf(mm)、d線における屈折率をNd、像側開口数をNAとしたとき、次式を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
(λ2−λ1)/λ1 > 0.15 (1)
1.6 > d1/(f・Nd・NA) > 0.8 (2) - 次式を満たすことを特徴とする請求項29に記載の光情報記録再生装置。
1.5 > d1/(f・Nd/NA) > 0.9 (3) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなるとバックフォーカスが短くなる方向に変化し、入射光束の波長が短くなるとバックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束と、前記第2の光源からの光束と、の間の軸上色収差が、前記輪帯構造の軸上色収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項29または30に記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、前記第2の光源からの光束が入射した際の最良像面位置と、の差Δ1(mm)が次式を満たすことを特徴とする請求項31に記載の光情報記録再生装置。
|Δ1/λ1| < 3×10−6 (4) - 前記輪帯構造は、入射光束の波長が長くなると球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなると球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有し、レンズ材料の色分散により発生する、前記第1の光源からの光束が入射した際の球面収差と、前記第2の光源からの光束が入射した際の球面収差と、の差が、前記輪帯構造の球面収差の波長依存性により補正されることを特徴とする請求項29乃至32のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
- d線における屈折率Ndが1.8以下であることを特徴とする請求項29乃至33のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
- 前記輪帯構造は、入射光束を回折させる機能を有する回折構造であって、前記対物レンズは、回折作用と屈折作用とを合わせた作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項29乃至34のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
- 前記輪帯構造は、隣り合う輪帯同士が、互いに光軸方向に変位して形成されることで、入射光束に対して前記所定の光路差を生じ、前記対物レンズは、屈折作用により集光波面を形成することを特徴とする請求項29乃至34のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光源の波長λ1が600nmより短いことを特徴とする請求項29乃至36のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
- 前記対物レンズはプラスチックレンズであって、有効径の最大値をD1(mm)、外径をD2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項29乃至37のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
D1/D2 < 0.7 (5) - 次式を満たすことを特徴とする請求項38に記載の光情報記録再生装置。
D1/D2 < 0.6 (6) - 光軸方向の厚さの最小値(縁厚)をd2(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項38または39に記載の光情報記録再生装置。
d2/d1 > 0.45 (7) - 物点側の光学面において、有効径より周辺に連続して滑らかに連なる面の最大径を連続面径D3(mm)としたとき、次式を満たすことを特徴とする請求項38乃至40のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
D1/D3 < 0.8 (8) - 前記対物レンズは、ガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から構成されたガラスレンズであることを特徴とする請求項29乃至37のいずれか1項に記載の光情報記録再生装置。
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