JP2004109353A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Yasushi Tanaka
田中 靖
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Fuji Electric Imaging Device Co Ltd
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Fuji Electric Imaging Device Co Ltd
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Abstract

【課題】導電性樹脂からなるフランジ形状の寸法精度が嵌合による接触面積に影響する程度に悪くても、画像形成に支障のない程度に導電性基体とフランジ間の電気的導通を確保できる導電性樹脂フランジを備えた電子写真感光体の提供。
【解決手段】導電性円筒状基体の外周面に光導電性材料を含む感光層が形成された感光ドラムと、この感光ドラムの開口端部内に嵌合される嵌合部を有する導電性樹脂フランジを備える電子写真感光体において、前記フランジの嵌合部の表面に金属膜が形成されている電子写真感光体とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外周面に有機材料を主成分とする感光層が形成された導電性円筒状基体の開口端部に導電性樹脂からなるフランジを嵌合させた電子写真感光体の前記基体とフランジの電気的導通の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に感光ドラムの開口端部に導電性樹脂からなるフランジを嵌合した従来の電子写真感光体の断面図、図4に従来の電子写真感光体に嵌合される導電性樹脂製フランジの側面図を示す。
【0003】
電子写真感光体10は円筒状の導電性基体1上に光導電性を有する感光層2を備えた感光ドラム3とこのドラム3の両端にそれぞれギヤ無しフランジ(図示せず)や平歯ギヤ付きフランジ7等を強固に結合させたものからなる。図3に示される支持軸6は電子写真装置側に属する部品であるが、接地機構の理解を容易にするために掲載した。支持軸6としては図3に示すような電子写真感光体10を貫通するものもあるが、フランジを支持して感光体10を円滑に回転させ得ればよいので、感光体10全体を貫通せずに両フランジの中心孔部分のみ貫通してフランジを支持できる程度の長さのピン状のものでもよい。
【0004】
電子写真感光体10は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真装置(図示せず)またはこれらの装置に搭載されるプロセスカートリッジ(図示せず)に装着される。画像形成を繰り返し行うには、図4の側面図で示すフランジ7に一体成形されたギヤ(歯車)4を介して装置側の回転駆動力が感光ドラム3に繰り返し伝達される必要があるため、回転駆動力が加えられてもドラム3からフランジ7の脱落または結合のゆるみなどがないように、感光ドラム3とフランジ7との結合には極めて高い信頼性が求められる。
【0005】
前記電子写真感光体10は円滑な回転を可能にするために樹脂フランジ7に設けられた中心孔5を通る支持軸6により支持されるようにして電子写真装置(図示せず)に装着される。また、感光ドラム3の両端に結合される樹脂フランジは前述した回転駆動力を受けるためには、いずれか一方をギヤ付きフランジ7とすればよい。ギヤ(歯車)は図4に示すような平歯4でなく、斜歯(図示せず)であってもよい。
【0006】
一方、電子写真装置における画像形成は電子写真感光体10を支持軸6の周りに回転させながら、その外周面近傍上に設置される電子写真プロセス部材(図示せず)の機能、すなわち、感光体表面の帯電、露光、現像、転写、(定着)、クリーニング、除電等を1サイクルとする電子写真プロセス機能を順に奏することにより実行される。さらにこれらの電子写真プロセス機能が支障無く実行されるには、アルミニウム合金などからなる感光体ドラム3の基体1を電気的に接地することが重要である。そのためには装置側でアース電位に接続された支持軸6と前記基体1間の電気的導通を確実にとる必要がある。この支持軸6と基体1間の電気抵抗が大きくなり、導通が充分でない場合、画像濃度が下がるなどの画像障害が発生することがある。
【0007】
従来はフランジの材料として、アルミニウムなどの金属材料が使われていたので、前述の支持軸6と前記基体1間の電気的導通に関する問題はほとんど無かったが、コストダウンの目的のために絶縁樹脂を使うようになったので、このような問題が生じるようになったのである。
【0008】
樹脂フランジに導電性機能を付加する方法には、フランジに取り付けた金属板による方法と、フランジの材料に導電性樹脂を用いることにより直接導通をとる方法とが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂フランジに金属板を取り付けて前述のように導電性基体と支持軸との電気的導通を確保する場合は、金属板の付加によるコストの発生や金属板と支持軸の接触点からの摺動ノイズの発生や金属板を取りつけたフランジを感光ドラムに嵌合させる際の金属板の変形によるフランジの嵌合不良や嵌合時の押し込み力による基体外表面にまで至る変形不良の発生などの問題がある。
【0010】
一方、導電性樹脂により直接電気的導通を確保する場合は、前述の問題点は解決するが、樹脂の場合は成形時に収縮するので、金属板に比べて樹脂フランジではその形状の寸法精度に問題が出易い。樹脂フランジの寸法精度が悪いと、基体へのフランジの嵌合時の嵌合の程度が弱い場合(緩い嵌合の場合)は電気的な接触抵抗の増大、いびつなフランジ形状の場合の嵌合時の接触面積の減少による電気抵抗の増大という問題がそれぞれ発生し易くなる。このように導電性樹脂を用いる場合の電気的導通の問題は、導電性を付加するために樹脂に添加するカーボン粉末等の導電性材料の添加量およびその分散状態の影響もあるが、前述のような基体へのフランジの嵌合の際のフランジの接触面積による影響が極めて大である。
【0011】
以上述べた問題点に鑑みて、本発明の目的は、導電性樹脂からなるフランジ形状の寸法精度が嵌合による接触面積に影響する程度に悪くても、画像形成に支障のない程度に導電性基体とフランジ間の電気的導通を確保できる導電性樹脂フランジを備えた電子写真感光体の提供である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、前記目的は、導電性円筒状基体の外周面に光導電性材料を含む感光層が形成された感光ドラムと、この感光ドラムの開口端部内に嵌合される嵌合部を有する導電性樹脂フランジを備える電子写真感光体において、前記フランジの嵌合部表面に金属膜が形成されている電子写真感光体とすることにより、達成される。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、金属膜が金属の、メッキ、スパッタ、蒸着のいずれかの方法により形成される膜である請求項1記載の電子写真感光体とすることが好ましい。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、金属膜が銅またはニッケルの膜である請求項1または2記載の電子写真感光体とすることが望ましい。
【0015】
本発明にかかる電子写真感光体では導電性円筒状基体と導電性樹脂フランジとの接触部であるフランジの嵌合部表面に金属膜を形成することにより、前述のように何らかの原因により基体とフランジとの接触面積が小さくなったり、また接触圧力が小さくなったとしても金属同士の接触のため、良好な画像形成に必要な程度の導通性としては極めて良好になり、前記した問題点を払拭できるものと考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体に関し、図を用いて詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下、説明する実施例に限定されるものではない。
図1は本発明にかかる電子写真感光体の断面図であり、図2は本発明にかかる電子写真感光体に嵌合される導電性樹脂からなるフランジの断面図である。
【0017】
以下の説明では、導電性樹脂フランジに金属メッキを施す場合(本発明にかかる実施例)とそうでない場合(比較例)について、導電性基体とフランジ間の電気抵抗値および印字画像への影響の程度を比較することにより、本発明にかかる電子写真感光体の優位性を説明する。
【0018】
図2に示す導電性樹脂フランジ11はABS樹脂にファーネスカーボン粉末を30重量%添加した導電性樹脂をモールド金型を用いた射出成形により嵌合部8とギヤ部4とを一体成形により作製した。フランジ11のギヤ部4の有無は直接的には本発明には係わらない。次に、図1に示すように導電性基体1の端部に嵌合した時に導電性基体1と接触するフランジ部分に、よく知られた樹脂表面へのメッキ方法(プラスチック加工技術便覧−日刊工業新聞社刊等参照)により金属メッキ膜9を10μmの厚さに形成した。
【0019】
すなわち、金属メッキする部分は、フランジの嵌合部と、導電性基体の端面がフランジに突き当たる面とが好ましいが、フランジの嵌合部だけでも、接触抵抗が実質的に問題にならないので、画像形成機能のために必要な程度の電気的導通は充分に取れる。以下の実験に用いる電子写真感光体では、銅メッキを施したが、ニッケルメッキやその他の種類の金属メッキであっても同様な結果が得られることは言うまでもない。また、前述の金属メッキによる膜ではなく、蒸着やスパッタ技術等により金属膜を設けても良い。これらの金属膜の形成方法は通常のよく知られた方法を採用したので、形成方法については、前記の文献を参照して頂き、ここでは詳述しない。導電性樹脂としてポリカーボネートとポリアセタールを母体樹脂として用いた場合は、金属との密着性があまり良くないのでメッキの前処理として、樹脂表面の粗面化が必要あることもよく知られたことである。フランジと導電性基体との嵌合部のフランジ表面に形成される金属膜は樹脂との密着性がある程度よければ、金属膜の材質としては銅、ニッケル等、形成方法としてはメッキ、蒸着、スパッタ等のいずれであっても、本発明にかかる電子写真感光体に必要な電気的導通は充分に得られるので、特に選択性がなく、また、膜厚等もほとんど限定されない。つまり、通常知られている樹脂表面への金属膜の形成方法により通常得られる程度の密着強度でよい。その他の導電性基体の材質、フランジの樹脂の種類および導電性円筒状基体の外周面に被覆される感光層の種類、材料も特に限定されることはない。
【0020】
(導電性基体とフランジ間の電気抵抗の測定)
通常の銅メッキを10μm厚形成した導電性樹脂フランジをアルミニウム系合金製の円筒状基体の端部に嵌合させて電子写真感光体とした。この際、嵌合部に接着剤を用いたものと用いないものをそれぞれ実施例1と2の感光体とした。これらと比較するため、銅メッキ無しで、接着剤の有無の場合で分けてそれぞれ比較例1と2の感光体とした。電気抵抗の測定は図1に示すように感光ドラム3端部のフランジ嵌合部に対応する外表面側のa点とフランジの中心孔5近傍のb点間で測定した。接触抵抗の有無を比較するために、フランジ自体の電気抵抗をA−b間で測定したところ、5kΩであった。
【0021】
【表1】
Figure 2004109353
【0022】
表1において、実施例1のa−b間の電気抵抗値、5kΩはフランジ自体(A−b間)の電気抵抗値5kΩと同じであり、銅メッキ有りの場合は基体とフランジ間の接触抵抗は実質的に無いことを示している。実施例2は嵌合部に接着剤を使わない場合も、銅メッキ有りの場合は接触抵抗の発生が無いことを示している。ただし、電子写真装置における実動作では基体とフランジ間には回転駆動力が加わるので、装置の実際の使用においては、信頼性向上の観点からむしろ接着剤を用いる方が望ましい。
【0023】
比較例1と2は共に銅メッキ無しの場合であり、a−b間の電気抵抗が1300kΩ、50kΩのように極めて大きくなっている。これらの場合は共にメッキが無く、およびさらに比較例1では接着剤が介在するためにその影響でa−b間の接触抵抗が極めて大になったものと考えられる。
【0024】
(印字評価)
表1において、電気抵抗を測定した実施例1、2および比較例1、2の各電子写真感光体を市販のレーザープリンターに搭載して印字評価を行った。印字評価は印字濃度を測定することにより行った。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 2004109353
【0026】
実施例1と2の場合の印字濃度は1.45と良好である。比較例2はやや濃度が落ちているが実使用上は許容レベルである。しかし、嵌合部に接着剤を用いていないので回転駆動力のトルクに信頼性の観点から問題がある。
比較例1では、印字濃度が1.10と実施例1の1.45に比べて濃度が大きく低下した。実用上においても許容できない画像不良のレベルである。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性円筒状基体の外周面に光導電性材料を含む感光層が形成された感光ドラムと、この感光ドラムの開口端部内に嵌合される嵌合部を有する導電性樹脂フランジを備える電子写真感光体において、前記フランジの嵌合部の表面に金属膜が形成されている電子写真感光体としたので、導電性樹脂からなるフランジ形状の寸法精度が嵌合による接触面積に影響する程度に悪くても、画像形成に支障のない程度に導電性基体とフランジ間の電気的導通を確保できる導電性樹脂フランジを備えた電子写真感光体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電子写真感光体の断面図
【図2】本発明にかかる電子写真感光体に嵌合される導電性樹脂フランジの断面図
【図3】従来の電子写真感光体の断面図
【図4】従来の電子写真感光体にかかるフランジの側面図
【符号の説明】
1  導電性基体
2  感光層
3  感光ドラム
5  中心孔
6  支持軸
8  嵌合部
9  金属メッキ膜
10 電子写真感光体
11 導電性樹脂フランジ
20 電子写真感光体

Claims (3)

  1. 導電性円筒状基体の外周面に光導電性材料を含む感光層が形成された感光ドラムと、この感光ドラムの開口端部内に嵌合される嵌合部を有する導電性樹脂フランジを備える電子写真感光体において、前記フランジの嵌合部表面に金属膜が形成されていることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 金属膜が金属の、メッキ、スパッタ、蒸着のいずれかの方法により形成される膜であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 金属膜が銅またはニッケルの膜であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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