JP2004108634A - 開閉板式加湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単で低コストの装置構成の下に、広範囲な湿度条件において良好な湿度制御性と省エネ効果を得る。
【解決手段】加湿器1は、加湿皿31、蓋32、小孔4、これを開閉する開閉板5、等で構成されている。開閉板5は、内外の差圧で開閉する。
【効果】低湿運転条件で加湿用の蒸気が不要なときには、加湿出力が0で加湿器内の水温が下がっていて圧力が低いので、蒸気が出て行かず、高温運転条件等で加湿出力があるときには、水温が上昇し加湿器内の圧力が上昇して開閉板が開き、加湿に必要な蒸気が供給される。蓋に小孔を開けてその上に開閉板を取り付けるだけの簡単な構造で、低湿から高湿まで広範囲な湿度条件で運転でき、低湿時に無駄な蒸気の放出がないので省エネ効果がある。
【選択図】 図1
【解決手段】加湿器1は、加湿皿31、蓋32、小孔4、これを開閉する開閉板5、等で構成されている。開閉板5は、内外の差圧で開閉する。
【効果】低湿運転条件で加湿用の蒸気が不要なときには、加湿出力が0で加湿器内の水温が下がっていて圧力が低いので、蒸気が出て行かず、高温運転条件等で加湿出力があるときには、水温が上昇し加湿器内の圧力が上昇して開閉板が開き、加湿に必要な蒸気が供給される。蓋に小孔を開けてその上に開閉板を取り付けるだけの簡単な構造で、低湿から高湿まで広範囲な湿度条件で運転でき、低湿時に無駄な蒸気の放出がないので省エネ効果がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置に関し、特に低温低湿条件から高温高湿条件まで広い範囲の温度及び湿度条件を持つ環境試験装置に好都合に利用される。
【0002】
【従来の技術】
恒温恒湿器や恒温恒湿室等の環境試験装置には、例えば温度85℃、相対湿度98%(以下単に「85℃、98%」のように記載する)の高温高湿条件から40℃、20%のような低温低湿条件まで高範囲の温度及び湿度条件を持つものがある。このような環境試験装置では、通常、加湿皿と通称される加湿器により、開放形で貯められた水を内蔵の加熱ヒータで加熱して水の表面から蒸発させて水蒸気を発生させ、これを循環している空気中に直接混入させるようにしている。そして、加湿された循環空気の後に冷却器となる冷凍機の蒸発器と加熱器とを設けて、加湿後の循環空気を冷却除湿すると共に加熱低湿化して目的とする温湿度条件にして恒温恒湿室に供給するようにしている。
【0003】
ところが、このような加湿器では、加熱ヒータの出力が小さいか又は0のときでも、循環空気流にさらされた加湿器の水面から水が自然蒸発し、その蒸発量が湿度調整に必要な適量より過大な量になっていた。
【0004】
そのため、例えば40℃、25%までの温湿度条件では、蒸発器で冷却する循環空気の温度を0℃までの低温にして蒸発器への着霜を防止した無着霜運転をしても、目的とする温湿度条件を達成できるが、40℃、20%の温湿度条件はこのような無着霜運転では達成できないため、循環空気の温度を0℃以下の温度にする運転がされていた。
【0005】
しかしながら、その場合には、蒸発器に霜が付くため、除霜のために環境試験装置の運転を中断する必要があり、低湿条件における環境試験装置の連続運転ができないという問題があった。又、過大な加湿量を与えて余分に除湿するため、加湿及び除湿のための電力等のエネルギーロスが多くなり、省エネ運転ができないという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、加湿器の水の表面積を換えられる表面積可変手段を設けた環境試験装置が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−318107号公報
【0008】
しかしながら、この装置では、加湿器を分割したり加湿皿を特殊な形状にしたり加湿ヒータの切換制御が追加される等のため、加湿器の構造や運転制御が複雑化するという問題がある。
【0009】
一方、空気循環系の外であって環境試験装置等の外に配置されて発生させた蒸気を蒸気管で循環空気系まで供給するようにしたボイラ式加湿器によれば、低湿条件での運転が可能になる。しかし、蒸気管を導設するために、その中に結露が生じて、常に数%の加湿出力が必要になるため加湿器効率が悪いという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、簡単な構造で特別の操作や制御が不要で環境試験装置等の低湿連続運転を可能にし加湿効率が良く省エネの図られた加湿装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置において、
前記容器は前記水の表面より上の位置に部分的に開口部を備えていて該開口部が閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されていて、前記内部の圧力と前記外部の圧力との差圧によって前記開口部が開閉されるように設けられた開閉部材を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記容器の表面のうち少なくとも大部分は断熱材で覆われていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した加湿装置の全体構成の一例を示し、図2はこれを装備した環境試験装置としての恒温恒湿器の概略構造の一例を示す。
加湿装置である加湿器1は、加熱手段としてのヒータ2が入れられて蒸発される水Wが貯められる容器3としての加湿皿31及び蓋32を備えていて、湿度が調整される空気の循環系としてその空気流れの一部分を矢印で示している恒温恒湿器10における空気循環系11に設けられる。
【0014】
ヒータ2としては、通常シーズヒータ等の簡易な構造の電気ヒータが使用される。容器3は、水の表面より上の位置として本例ではその蓋32の上部に部分的に開口部としての5つの小孔4を備えていて、これらの小孔4が閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されている。即ち、容器3のうち小孔の部分だけが容器3の内外を導通可能にしている。なお、部分的に設けられる開口部は、スリット状等の他の適当な形状であってもよい。
【0015】
加湿器1は、更に、容器3の内部の圧力である内圧Piと外部の圧力である外圧P0 との差圧Δpによって小孔4が開閉されるように設けられた開閉部材としての開閉板5を有する。本例の開閉板5は、図1(a)で蓋32から仮に離した状態として示しているように、5つの小孔4に対応する位置にあって矢印のように回転してこれを開閉する5つの先板51及びこれらを結合した共通板52、蓋32にネジ等で取り付けられる取付板53、これと共通板52との間を矢印のように回転自在に結合している丁番構造等からなる結合部54、等で構成されている。
【0016】
このような構造により、前記の如く先板51は差圧Δpによって開閉される。従って、先板51及び共通板52からなる開閉部の重量をG、結合部54の中心から重量Gの重心までの距離をd1 、前記中心から小孔4までの距離をd2 、小孔4の合計面積をA、差圧をΔpとして丁度開閉される限界即ち開閉モーメントがバランスするときの差圧をΔp0 とすると、これらの関係は、
Gd1 =AΔp0 d2 −−−−−(1)
となる。
【0017】
そして、容器3の内部で蒸発した水蒸気(以下単に「蒸気」という)を出やすくするために、Δp0 は通常例えば水柱40〜50mm程度の小さい圧力にされるので、先板51及び共通板52は、小孔4の面積にもよるが、例えば軽金属のような比較的軽い材料で作られる。なお、小孔4の間隔の長さや上式(1)の関係等によっては、開閉板5として、共通板52をなくして5枚の先板51を単独に開閉させるようにした重量軽減構造のものを使用するようにしてもよい。又、丁番構造の結合部54を設ける代わりに、開閉板5をゴムやバネ板にして弾性力を利用して開閉させるようにしてもよい。
【0018】
本例の加湿装置1では、更に、容器3の表面のうち少なくとも大部分として加湿皿31の周囲及び蓋32の表面のうち開閉板5の所を除いた部分が発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレン等の断熱材6で覆われている。容器3の表面のうちの底面は、本例では恒温恒湿器10の本体構造をなし断熱材12が入れられた底部13上に設置され、間接的に断熱材で覆われた状態になっている。なお、開閉板5の上面を軽い断熱材で覆うことも可能である。
【0019】
このような加湿器1には、加湿皿31の底に水補給管14が結合されている。又、通常のものと同様にフロートスイッチ15が並設され、このスイッチのオン/オフによって開閉される電磁弁16が水補給管14中に介装されている。
【0020】
恒温恒湿器10は、前記断熱材12の入った外壁で囲われていて、恒温恒湿室である試験槽17及び前記加湿器1が配設された空調室18を備えていて、これらを含んで前記空気循環系11が形成されている。空調室18には、循環空気の流れ方向の順に、前記加湿器1、図示しない冷凍機の一部分をなす蒸発器からなる冷却器19、加熱器20、送風機21等が配設されている。試験槽17と空調室18の間は仕切板22で仕切られている。循環空気の試験槽17への入口部分には、図示を省略しているが、通常の装置と同様に温度及び湿度センサが設けられる。
【0021】
以上のような恒温恒湿器10に装備された加湿器は恒温恒湿器10と共に次のように使用され、その作用効果を発揮する。
恒温恒湿器10では、加湿器1、加熱器20、送風機21等が運転され、温度及び湿度を検出しつつ図示しない制御装置によって例えば85℃、98%の高温高湿条件にされた空気が空気循環系11を流される。このときには、加湿器1のヒータ2は最大出力になる。これにより、加湿器1内に貯められた水が100℃より僅かに高い例えば100.1 ℃程度の温度になり、その飽和蒸気圧が前記外圧P0 として試験槽17と空調室18からなる槽内の圧力である大気圧P0 より少し高いP0 +40mmAq程度の圧力になり、その圧力下で貯められた水が沸騰する。
【0022】
そして、最大量の蒸気を発生すると共に、上記のΔp=40mmの差圧により、開閉板5の開閉部の重量Gによる閉モーメントに対抗する開モーメントが発生し、結合部54を中心として開閉部が回転し、小孔4が開いて発生蒸気が外部に放出される。
【0023】
この蒸気は循環空気の中に加えられ、これによって加湿された循環空気は、加熱器20によって加熱され、最終的に目的とする温度及び湿度である85℃、98%の高温高湿条件にされ、送風機21によって試験槽17に送られる。なお、このような条件のときには、図示しない冷凍機の運転は停止されていて、蒸発器には冷媒液が供給されない。
【0024】
最高湿度条件又はこれより低い湿度条件において加湿器のヒータ出力が下がったときには、水の温度及び蒸発圧力は上記のように維持されるが、蒸発する蒸気量が少なくなり、その蒸気量が同様に開かれている小孔4から放出されることになる。
【0025】
恒温恒湿器10の運転条件が低湿条件になると、ヒータ出力が小さくなったり0になり、加湿用の蒸気の発生量が小量又は0になる。そして、ヒータ出力が小さいときには、出力に対応した量だけ蒸気が発生し、開閉板5の開閉部が開いてこれを槽内に放出し、低湿条件が良好に維持される。一方、ヒータ出力が0のときには、水の蒸発がなく、従って小孔4から蒸気が発散することがなく、例えば40℃、20%の低温低湿条件であっても、確実に達成され維持される。
【0026】
即ち、従来の加湿器のように水面が外部に露出しているときには、水面が循環空気にさらされることにより、循環空気の流速、水の表面積及び水の飽和蒸気圧と循環空気中の水蒸気の分圧との差に対応して水面から水が自然蒸発し、その蒸気量が必要な加湿用蒸気の量より多くなり、加湿出力を0にしても低湿条件を維持できなくなったり、又は蒸発器で過大に冷却・除湿することになっていたが、本発明を適用した本例の加湿器では、加湿出力が0で蒸発による飽和蒸気圧力が大気圧より低いときには開閉板5が開かないので、そのような不具合が発生しない。従って、確実に低湿条件を達成できると共に、無駄な蒸発・加湿と凝縮・再除湿がなくなり、熱効率が良くなって省エネ化が図られる。
【0027】
この場合、蓋に穴を開け、循環空気が水面上を流れないようにすると共に蒸発した蒸気は穴から取り出されるようにし、自然蒸発を抑制しつつ必要な蒸気量だけを供給するような加湿装置も考えられる。
【0028】
しかしながら、穴が常に開いた状態になっていると、ヒータ出力が0になっていても、外部との間で空気の出入りが自由であるため、槽内に常時存在する微小な又はある程度大きい圧力変動により、槽内が負圧になると加湿器から槽内に蒸気が吹き出し、槽内が正圧になると槽内から加湿器に空気が侵入し、加湿器と槽内との間で蒸気と空気が出入りすることになる。
【0029】
その結果、内外圧はバランスするが、加湿器1内では、蒸気が出て行くことによってその分圧Ph が下がり、水温に対応した飽和蒸気圧力Phsとの差が大きくなり、即ち加湿器内の相対湿度が下がるため、水温と水量とに対応した熱量を持つ加湿水が少しづつ温度及び飽和蒸気圧を下げつつ、少量の蒸気を常時発生させて槽内に放出することになる。
【0030】
その結果、恒温恒湿器10では前記低湿条件を維持できなくなり、一方加湿器内では、水温が早く下がって行き無駄な熱ロスが発生することになる。そして、発明者等は、蓋に穴だけを開けた加湿器を用いて低湿試験をした結果、前記低湿条件を実現できないことが分かった。
【0031】
これに対して、本発明を適用した本例の加湿器1のように、小孔4を開けると共にこれに開閉板5を設けると、僅かな内圧変動では開閉板5が開かず、従って蒸気が出て行かないと共に空気が侵入しないので、不必要な加湿がなく、確実に前記低湿条件を実現することができる。又、蒸気が出て行かず、従って水を蒸発させることによる加湿水の水温低下も発生しない。更に、ボイラ式加湿器のように蒸気管がないので、無駄な結露も生じない。そして、冷凍機では無着霜運転が可能になり、従って低湿連続運転状態を確保することができる。
【0032】
なお、開閉板5の重さ等によっては、圧力変動が大きく槽内がある程度以上の負圧になるときには、開閉板5が開いて蒸気が出て行く可能性がある。しかし、そのような状態になることは少ないと共に、槽内が正圧になったときには開閉板が閉まるため、直接空気の侵入がないので、槽内の圧力変動と共調して開閉板が開閉することはない。従って、結局放出される蒸気量はごく僅かな量であり、低湿条件を維持する上で問題にならない。発明者等は、この点についても実際の装置によって確認することができた。
【0033】
低湿条件から中湿又は高湿条件になるときには、ヒータ2がオフからオンになるか又はオンの状態で出力が大きくなる。ヒータがオフからオンになるときには、低湿条件でオフになっている間に、加湿器1からの自然放熱があるため、それによって水温が下がっている。そのため、ヒータオンによって水温が100℃より少し高くなって開閉板5が開いてから蒸発した蒸気が出て行くことになる。この点は開閉板5のない穴だけを開けた加湿器の場合と同じである。
【0034】
しかし本発明の加湿器では、前記の如く開閉板によって蒸気の放出がなくそれによる水温及び飽和蒸気圧の低下がないので、穴だけの加湿器の場合よりも水温の低下量が少ない。又、容器3が蓋32を有するので、蓋を含めて容器表面の少なくとも大部分を断熱することができ、本例の加湿器ではそのようにしているで、放熱による水温低下も小さくなる。その結果、本例の加湿器によれば、熱効率が極めて良く早く沸騰蒸発による多量蒸気の供給が可能になる。従って、ボイラ式加湿器と同様の機能をより熱効率良く達成することができる。
【0035】
この場合、開閉板5が閉まった状態で水温が下がったときには、加湿器1内の飽和蒸気圧Phsが下がるため内外圧に差が生じ、開閉板5が小孔4を密閉していて外部からの空気の漏入がないとすれば、加湿器内が負圧状態になる。しかし、通常水温低下は長期間持続せずそれ程大きくならないので、仮に加湿器内が多少の真空になっても問題は生じない。
【0036】
又、通常、開閉板5が小孔4を密閉するような構造にする程の必要性はないので、実際には、水温が下がり飽和蒸気圧が下がると、内外の圧力差により、外部から空気が開閉板と小孔との間の隙間を通って漏入し、加湿器内で分圧Pa も持つようになり、常にPh =Phsの状態においてPi=Phs+Pa =槽内圧P0 の関係になるので、加湿器内が真空になることはない。
【0037】
図3は本発明を適用した加湿器の他の例の概略構成を示す。
(a)の加湿器1は、容器3の蓋32を水平からそれぞれθ1 、θ2 として例えば30°及び60°の角度を持つ傾斜面32a及び32bで形成される屋根形にして、傾斜面32aに小孔4及び開閉板5を設けるようにする。このような構造にすれば、(b)に示す如く開閉板5の自重Gが小孔4を閉鎖する方向に作用する力をG cosθ1 に軽減し、θ1 が30°であればG√3/2にして、開閉板5をより開きやすくすることができる。
【0038】
(c)の加湿器1では、蓋32を大きくし、開閉板5を吊り下げ式にしている。このようにすれば、開閉板5が最も軽く開くことになる。そして、開閉板5が開くに従って開閉力が発生して大きくなる。即ち、(d)の二点鎖線で示すように開度がαになると、開閉板5の閉鎖モーメントが0からG sinαだけ発生し、開閉板5の開きが制限される。従って、蒸気の流出と空気の流入が制限され、この構造のものでも低湿条件を維持することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置の容器が、水の表面より上の位置に部分的に開口部を備えていてこれが閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されているので、開口部だけを介して容器の内外を導通させることができる。
【0040】
そして、加湿装置を、容器の内部の圧力と外部の圧力との差圧によって開口部が開閉されるように設けられた開閉部材を有する構造にするので、差圧の変化によって開口部を介して気体が出入りすることを利用し、必要なときに必要なだけの加湿用の蒸気を循環系に供給し、簡単な構造のもとに特別な操作や制御をすることなく、確実に環境試験装置等の低湿連続運転を可能にすると共に、電力消費等を低減して装置の省エネ化を図ることができる。
【0041】
即ち、水の表面が開放されている従来の通常の皿形の加湿器や、開放面を制限するように部分的に穴だけを設けた構造の加湿器では、環境試験装置等における低湿運転において、加湿装置の加熱手段の出力を0又は十分小さくして加湿量を0又は十分少なくする必要があるときでも、加湿装置の容器の内外間で蒸気と空気の出入りが自由なために、量的に差はあっても水の自然蒸発が避けられず、それが余分な加湿量になるため、冷凍機の蒸発器で余分に除湿するために無駄な電力消費が生じたり、そのようにしても低湿運転条件を達成できなかったり、冷凍機を無着霜運転以下の温度条件で運転しなければならず,そのため連続運転が妨げられることになる除霜運転をしつつ低湿運転をするようにしていたが、開閉部材を設けていることにより、容器からの自由な蒸気の発散と空気の流入を制限し、不必要な加湿蒸気の供給をなくし、特別な操作や制御をすることなく確実に環境試験装置等の低湿連続運転を可能にすると共に、電力消費等を低減して装置の省エネ化を図ることができる。
【0042】
一方、低湿条件でないとき等に加熱手段の出力が生じたときには、水温が上がってその飽和蒸気圧が上がることにより、外部の大気圧を越えて差圧が生ずると開閉部材が開かれるので、それによって必要な加湿用の蒸気が放出され、同様に特別な操作や制御をすることなく高湿条件等の運転条件も確実に実現することができる。従って、空気の循環系にボイラ式加湿器を配設して熱効率の良い状態でその機能を利用することができる。
【0043】
そして、加湿装置は開口部と開閉部材とを追加しただけの構成であるから、その構造は簡単でコストの安いものであり、この同じ加湿装置によって環境試験装置等を低湿条件から高湿条件まで広範囲な湿度条件で連続運転できるので、環境試験装置等の加湿装置を使用する装置全体の簡素化と低コスト化を図ることができると共に、運転性能を向上させることができる。
【0044】
請求項2の発明においては、容器の表面のうち少なくとも大部分が断熱材で覆われるので、加湿装置における水の自然蒸発による水温低下がないことに加えて放熱による水温低下も少なくすることができる。その結果、加湿装置における熱効率を一層良くすることができる。又、水温を高く維持することにより、必要な量の蒸気を供給できるまでの水温上昇時間を短くし、高湿条件等を速く達成し、湿度制御性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した加湿器の全体構成の一例を示し、(a)は斜視図で(b)は加湿器の断面を含む説明図である。
【図2】上記加湿器が適用される恒温恒湿器の一例を示す説明図である。
【図3】(a)は本発明の適用した加湿器の他の例の断面図、(b)はその開閉板の作用の説明図、(c)は更に他の例の断面図、(d)はその開閉板の作用の説明図である。
【符号の説明】
1 加湿器(加湿装置)
2 ヒータ(加熱手段)
3 容器
4 小孔(開口部)
5 開閉板(開閉部材)
6 断熱材
11 空気循環系(循環系)
31 加湿皿(容器)
32 蓋(容器)
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置に関し、特に低温低湿条件から高温高湿条件まで広い範囲の温度及び湿度条件を持つ環境試験装置に好都合に利用される。
【0002】
【従来の技術】
恒温恒湿器や恒温恒湿室等の環境試験装置には、例えば温度85℃、相対湿度98%(以下単に「85℃、98%」のように記載する)の高温高湿条件から40℃、20%のような低温低湿条件まで高範囲の温度及び湿度条件を持つものがある。このような環境試験装置では、通常、加湿皿と通称される加湿器により、開放形で貯められた水を内蔵の加熱ヒータで加熱して水の表面から蒸発させて水蒸気を発生させ、これを循環している空気中に直接混入させるようにしている。そして、加湿された循環空気の後に冷却器となる冷凍機の蒸発器と加熱器とを設けて、加湿後の循環空気を冷却除湿すると共に加熱低湿化して目的とする温湿度条件にして恒温恒湿室に供給するようにしている。
【0003】
ところが、このような加湿器では、加熱ヒータの出力が小さいか又は0のときでも、循環空気流にさらされた加湿器の水面から水が自然蒸発し、その蒸発量が湿度調整に必要な適量より過大な量になっていた。
【0004】
そのため、例えば40℃、25%までの温湿度条件では、蒸発器で冷却する循環空気の温度を0℃までの低温にして蒸発器への着霜を防止した無着霜運転をしても、目的とする温湿度条件を達成できるが、40℃、20%の温湿度条件はこのような無着霜運転では達成できないため、循環空気の温度を0℃以下の温度にする運転がされていた。
【0005】
しかしながら、その場合には、蒸発器に霜が付くため、除霜のために環境試験装置の運転を中断する必要があり、低湿条件における環境試験装置の連続運転ができないという問題があった。又、過大な加湿量を与えて余分に除湿するため、加湿及び除湿のための電力等のエネルギーロスが多くなり、省エネ運転ができないという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、加湿器の水の表面積を換えられる表面積可変手段を設けた環境試験装置が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−318107号公報
【0008】
しかしながら、この装置では、加湿器を分割したり加湿皿を特殊な形状にしたり加湿ヒータの切換制御が追加される等のため、加湿器の構造や運転制御が複雑化するという問題がある。
【0009】
一方、空気循環系の外であって環境試験装置等の外に配置されて発生させた蒸気を蒸気管で循環空気系まで供給するようにしたボイラ式加湿器によれば、低湿条件での運転が可能になる。しかし、蒸気管を導設するために、その中に結露が生じて、常に数%の加湿出力が必要になるため加湿器効率が悪いという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、簡単な構造で特別の操作や制御が不要で環境試験装置等の低湿連続運転を可能にし加湿効率が良く省エネの図られた加湿装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置において、
前記容器は前記水の表面より上の位置に部分的に開口部を備えていて該開口部が閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されていて、前記内部の圧力と前記外部の圧力との差圧によって前記開口部が開閉されるように設けられた開閉部材を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記容器の表面のうち少なくとも大部分は断熱材で覆われていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した加湿装置の全体構成の一例を示し、図2はこれを装備した環境試験装置としての恒温恒湿器の概略構造の一例を示す。
加湿装置である加湿器1は、加熱手段としてのヒータ2が入れられて蒸発される水Wが貯められる容器3としての加湿皿31及び蓋32を備えていて、湿度が調整される空気の循環系としてその空気流れの一部分を矢印で示している恒温恒湿器10における空気循環系11に設けられる。
【0014】
ヒータ2としては、通常シーズヒータ等の簡易な構造の電気ヒータが使用される。容器3は、水の表面より上の位置として本例ではその蓋32の上部に部分的に開口部としての5つの小孔4を備えていて、これらの小孔4が閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されている。即ち、容器3のうち小孔の部分だけが容器3の内外を導通可能にしている。なお、部分的に設けられる開口部は、スリット状等の他の適当な形状であってもよい。
【0015】
加湿器1は、更に、容器3の内部の圧力である内圧Piと外部の圧力である外圧P0 との差圧Δpによって小孔4が開閉されるように設けられた開閉部材としての開閉板5を有する。本例の開閉板5は、図1(a)で蓋32から仮に離した状態として示しているように、5つの小孔4に対応する位置にあって矢印のように回転してこれを開閉する5つの先板51及びこれらを結合した共通板52、蓋32にネジ等で取り付けられる取付板53、これと共通板52との間を矢印のように回転自在に結合している丁番構造等からなる結合部54、等で構成されている。
【0016】
このような構造により、前記の如く先板51は差圧Δpによって開閉される。従って、先板51及び共通板52からなる開閉部の重量をG、結合部54の中心から重量Gの重心までの距離をd1 、前記中心から小孔4までの距離をd2 、小孔4の合計面積をA、差圧をΔpとして丁度開閉される限界即ち開閉モーメントがバランスするときの差圧をΔp0 とすると、これらの関係は、
Gd1 =AΔp0 d2 −−−−−(1)
となる。
【0017】
そして、容器3の内部で蒸発した水蒸気(以下単に「蒸気」という)を出やすくするために、Δp0 は通常例えば水柱40〜50mm程度の小さい圧力にされるので、先板51及び共通板52は、小孔4の面積にもよるが、例えば軽金属のような比較的軽い材料で作られる。なお、小孔4の間隔の長さや上式(1)の関係等によっては、開閉板5として、共通板52をなくして5枚の先板51を単独に開閉させるようにした重量軽減構造のものを使用するようにしてもよい。又、丁番構造の結合部54を設ける代わりに、開閉板5をゴムやバネ板にして弾性力を利用して開閉させるようにしてもよい。
【0018】
本例の加湿装置1では、更に、容器3の表面のうち少なくとも大部分として加湿皿31の周囲及び蓋32の表面のうち開閉板5の所を除いた部分が発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレン等の断熱材6で覆われている。容器3の表面のうちの底面は、本例では恒温恒湿器10の本体構造をなし断熱材12が入れられた底部13上に設置され、間接的に断熱材で覆われた状態になっている。なお、開閉板5の上面を軽い断熱材で覆うことも可能である。
【0019】
このような加湿器1には、加湿皿31の底に水補給管14が結合されている。又、通常のものと同様にフロートスイッチ15が並設され、このスイッチのオン/オフによって開閉される電磁弁16が水補給管14中に介装されている。
【0020】
恒温恒湿器10は、前記断熱材12の入った外壁で囲われていて、恒温恒湿室である試験槽17及び前記加湿器1が配設された空調室18を備えていて、これらを含んで前記空気循環系11が形成されている。空調室18には、循環空気の流れ方向の順に、前記加湿器1、図示しない冷凍機の一部分をなす蒸発器からなる冷却器19、加熱器20、送風機21等が配設されている。試験槽17と空調室18の間は仕切板22で仕切られている。循環空気の試験槽17への入口部分には、図示を省略しているが、通常の装置と同様に温度及び湿度センサが設けられる。
【0021】
以上のような恒温恒湿器10に装備された加湿器は恒温恒湿器10と共に次のように使用され、その作用効果を発揮する。
恒温恒湿器10では、加湿器1、加熱器20、送風機21等が運転され、温度及び湿度を検出しつつ図示しない制御装置によって例えば85℃、98%の高温高湿条件にされた空気が空気循環系11を流される。このときには、加湿器1のヒータ2は最大出力になる。これにより、加湿器1内に貯められた水が100℃より僅かに高い例えば100.1 ℃程度の温度になり、その飽和蒸気圧が前記外圧P0 として試験槽17と空調室18からなる槽内の圧力である大気圧P0 より少し高いP0 +40mmAq程度の圧力になり、その圧力下で貯められた水が沸騰する。
【0022】
そして、最大量の蒸気を発生すると共に、上記のΔp=40mmの差圧により、開閉板5の開閉部の重量Gによる閉モーメントに対抗する開モーメントが発生し、結合部54を中心として開閉部が回転し、小孔4が開いて発生蒸気が外部に放出される。
【0023】
この蒸気は循環空気の中に加えられ、これによって加湿された循環空気は、加熱器20によって加熱され、最終的に目的とする温度及び湿度である85℃、98%の高温高湿条件にされ、送風機21によって試験槽17に送られる。なお、このような条件のときには、図示しない冷凍機の運転は停止されていて、蒸発器には冷媒液が供給されない。
【0024】
最高湿度条件又はこれより低い湿度条件において加湿器のヒータ出力が下がったときには、水の温度及び蒸発圧力は上記のように維持されるが、蒸発する蒸気量が少なくなり、その蒸気量が同様に開かれている小孔4から放出されることになる。
【0025】
恒温恒湿器10の運転条件が低湿条件になると、ヒータ出力が小さくなったり0になり、加湿用の蒸気の発生量が小量又は0になる。そして、ヒータ出力が小さいときには、出力に対応した量だけ蒸気が発生し、開閉板5の開閉部が開いてこれを槽内に放出し、低湿条件が良好に維持される。一方、ヒータ出力が0のときには、水の蒸発がなく、従って小孔4から蒸気が発散することがなく、例えば40℃、20%の低温低湿条件であっても、確実に達成され維持される。
【0026】
即ち、従来の加湿器のように水面が外部に露出しているときには、水面が循環空気にさらされることにより、循環空気の流速、水の表面積及び水の飽和蒸気圧と循環空気中の水蒸気の分圧との差に対応して水面から水が自然蒸発し、その蒸気量が必要な加湿用蒸気の量より多くなり、加湿出力を0にしても低湿条件を維持できなくなったり、又は蒸発器で過大に冷却・除湿することになっていたが、本発明を適用した本例の加湿器では、加湿出力が0で蒸発による飽和蒸気圧力が大気圧より低いときには開閉板5が開かないので、そのような不具合が発生しない。従って、確実に低湿条件を達成できると共に、無駄な蒸発・加湿と凝縮・再除湿がなくなり、熱効率が良くなって省エネ化が図られる。
【0027】
この場合、蓋に穴を開け、循環空気が水面上を流れないようにすると共に蒸発した蒸気は穴から取り出されるようにし、自然蒸発を抑制しつつ必要な蒸気量だけを供給するような加湿装置も考えられる。
【0028】
しかしながら、穴が常に開いた状態になっていると、ヒータ出力が0になっていても、外部との間で空気の出入りが自由であるため、槽内に常時存在する微小な又はある程度大きい圧力変動により、槽内が負圧になると加湿器から槽内に蒸気が吹き出し、槽内が正圧になると槽内から加湿器に空気が侵入し、加湿器と槽内との間で蒸気と空気が出入りすることになる。
【0029】
その結果、内外圧はバランスするが、加湿器1内では、蒸気が出て行くことによってその分圧Ph が下がり、水温に対応した飽和蒸気圧力Phsとの差が大きくなり、即ち加湿器内の相対湿度が下がるため、水温と水量とに対応した熱量を持つ加湿水が少しづつ温度及び飽和蒸気圧を下げつつ、少量の蒸気を常時発生させて槽内に放出することになる。
【0030】
その結果、恒温恒湿器10では前記低湿条件を維持できなくなり、一方加湿器内では、水温が早く下がって行き無駄な熱ロスが発生することになる。そして、発明者等は、蓋に穴だけを開けた加湿器を用いて低湿試験をした結果、前記低湿条件を実現できないことが分かった。
【0031】
これに対して、本発明を適用した本例の加湿器1のように、小孔4を開けると共にこれに開閉板5を設けると、僅かな内圧変動では開閉板5が開かず、従って蒸気が出て行かないと共に空気が侵入しないので、不必要な加湿がなく、確実に前記低湿条件を実現することができる。又、蒸気が出て行かず、従って水を蒸発させることによる加湿水の水温低下も発生しない。更に、ボイラ式加湿器のように蒸気管がないので、無駄な結露も生じない。そして、冷凍機では無着霜運転が可能になり、従って低湿連続運転状態を確保することができる。
【0032】
なお、開閉板5の重さ等によっては、圧力変動が大きく槽内がある程度以上の負圧になるときには、開閉板5が開いて蒸気が出て行く可能性がある。しかし、そのような状態になることは少ないと共に、槽内が正圧になったときには開閉板が閉まるため、直接空気の侵入がないので、槽内の圧力変動と共調して開閉板が開閉することはない。従って、結局放出される蒸気量はごく僅かな量であり、低湿条件を維持する上で問題にならない。発明者等は、この点についても実際の装置によって確認することができた。
【0033】
低湿条件から中湿又は高湿条件になるときには、ヒータ2がオフからオンになるか又はオンの状態で出力が大きくなる。ヒータがオフからオンになるときには、低湿条件でオフになっている間に、加湿器1からの自然放熱があるため、それによって水温が下がっている。そのため、ヒータオンによって水温が100℃より少し高くなって開閉板5が開いてから蒸発した蒸気が出て行くことになる。この点は開閉板5のない穴だけを開けた加湿器の場合と同じである。
【0034】
しかし本発明の加湿器では、前記の如く開閉板によって蒸気の放出がなくそれによる水温及び飽和蒸気圧の低下がないので、穴だけの加湿器の場合よりも水温の低下量が少ない。又、容器3が蓋32を有するので、蓋を含めて容器表面の少なくとも大部分を断熱することができ、本例の加湿器ではそのようにしているで、放熱による水温低下も小さくなる。その結果、本例の加湿器によれば、熱効率が極めて良く早く沸騰蒸発による多量蒸気の供給が可能になる。従って、ボイラ式加湿器と同様の機能をより熱効率良く達成することができる。
【0035】
この場合、開閉板5が閉まった状態で水温が下がったときには、加湿器1内の飽和蒸気圧Phsが下がるため内外圧に差が生じ、開閉板5が小孔4を密閉していて外部からの空気の漏入がないとすれば、加湿器内が負圧状態になる。しかし、通常水温低下は長期間持続せずそれ程大きくならないので、仮に加湿器内が多少の真空になっても問題は生じない。
【0036】
又、通常、開閉板5が小孔4を密閉するような構造にする程の必要性はないので、実際には、水温が下がり飽和蒸気圧が下がると、内外の圧力差により、外部から空気が開閉板と小孔との間の隙間を通って漏入し、加湿器内で分圧Pa も持つようになり、常にPh =Phsの状態においてPi=Phs+Pa =槽内圧P0 の関係になるので、加湿器内が真空になることはない。
【0037】
図3は本発明を適用した加湿器の他の例の概略構成を示す。
(a)の加湿器1は、容器3の蓋32を水平からそれぞれθ1 、θ2 として例えば30°及び60°の角度を持つ傾斜面32a及び32bで形成される屋根形にして、傾斜面32aに小孔4及び開閉板5を設けるようにする。このような構造にすれば、(b)に示す如く開閉板5の自重Gが小孔4を閉鎖する方向に作用する力をG cosθ1 に軽減し、θ1 が30°であればG√3/2にして、開閉板5をより開きやすくすることができる。
【0038】
(c)の加湿器1では、蓋32を大きくし、開閉板5を吊り下げ式にしている。このようにすれば、開閉板5が最も軽く開くことになる。そして、開閉板5が開くに従って開閉力が発生して大きくなる。即ち、(d)の二点鎖線で示すように開度がαになると、開閉板5の閉鎖モーメントが0からG sinαだけ発生し、開閉板5の開きが制限される。従って、蒸気の流出と空気の流入が制限され、この構造のものでも低湿条件を維持することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置の容器が、水の表面より上の位置に部分的に開口部を備えていてこれが閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されているので、開口部だけを介して容器の内外を導通させることができる。
【0040】
そして、加湿装置を、容器の内部の圧力と外部の圧力との差圧によって開口部が開閉されるように設けられた開閉部材を有する構造にするので、差圧の変化によって開口部を介して気体が出入りすることを利用し、必要なときに必要なだけの加湿用の蒸気を循環系に供給し、簡単な構造のもとに特別な操作や制御をすることなく、確実に環境試験装置等の低湿連続運転を可能にすると共に、電力消費等を低減して装置の省エネ化を図ることができる。
【0041】
即ち、水の表面が開放されている従来の通常の皿形の加湿器や、開放面を制限するように部分的に穴だけを設けた構造の加湿器では、環境試験装置等における低湿運転において、加湿装置の加熱手段の出力を0又は十分小さくして加湿量を0又は十分少なくする必要があるときでも、加湿装置の容器の内外間で蒸気と空気の出入りが自由なために、量的に差はあっても水の自然蒸発が避けられず、それが余分な加湿量になるため、冷凍機の蒸発器で余分に除湿するために無駄な電力消費が生じたり、そのようにしても低湿運転条件を達成できなかったり、冷凍機を無着霜運転以下の温度条件で運転しなければならず,そのため連続運転が妨げられることになる除霜運転をしつつ低湿運転をするようにしていたが、開閉部材を設けていることにより、容器からの自由な蒸気の発散と空気の流入を制限し、不必要な加湿蒸気の供給をなくし、特別な操作や制御をすることなく確実に環境試験装置等の低湿連続運転を可能にすると共に、電力消費等を低減して装置の省エネ化を図ることができる。
【0042】
一方、低湿条件でないとき等に加熱手段の出力が生じたときには、水温が上がってその飽和蒸気圧が上がることにより、外部の大気圧を越えて差圧が生ずると開閉部材が開かれるので、それによって必要な加湿用の蒸気が放出され、同様に特別な操作や制御をすることなく高湿条件等の運転条件も確実に実現することができる。従って、空気の循環系にボイラ式加湿器を配設して熱効率の良い状態でその機能を利用することができる。
【0043】
そして、加湿装置は開口部と開閉部材とを追加しただけの構成であるから、その構造は簡単でコストの安いものであり、この同じ加湿装置によって環境試験装置等を低湿条件から高湿条件まで広範囲な湿度条件で連続運転できるので、環境試験装置等の加湿装置を使用する装置全体の簡素化と低コスト化を図ることができると共に、運転性能を向上させることができる。
【0044】
請求項2の発明においては、容器の表面のうち少なくとも大部分が断熱材で覆われるので、加湿装置における水の自然蒸発による水温低下がないことに加えて放熱による水温低下も少なくすることができる。その結果、加湿装置における熱効率を一層良くすることができる。又、水温を高く維持することにより、必要な量の蒸気を供給できるまでの水温上昇時間を短くし、高湿条件等を速く達成し、湿度制御性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した加湿器の全体構成の一例を示し、(a)は斜視図で(b)は加湿器の断面を含む説明図である。
【図2】上記加湿器が適用される恒温恒湿器の一例を示す説明図である。
【図3】(a)は本発明の適用した加湿器の他の例の断面図、(b)はその開閉板の作用の説明図、(c)は更に他の例の断面図、(d)はその開閉板の作用の説明図である。
【符号の説明】
1 加湿器(加湿装置)
2 ヒータ(加熱手段)
3 容器
4 小孔(開口部)
5 開閉板(開閉部材)
6 断熱材
11 空気循環系(循環系)
31 加湿皿(容器)
32 蓋(容器)
Claims (2)
- 加熱手段が入れられて蒸発される水が貯められる容器を備え湿度が調整される空気の循環系に設けられる加湿装置において、
前記容器は前記水の表面より上の位置に部分的に開口部を備えていて該開口部が閉鎖されると内部が外部から閉鎖された状態になるように形成されていて、前記内部の圧力と前記外部の圧力との差圧によって前記開口部が開閉されるように設けられた開閉部材を有することを特徴とする加湿装置。 - 前記容器の表面のうち少なくとも大部分は断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002270129A JP2004108634A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 開閉板式加湿装置 |
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JP2002270129A JP2004108634A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 開閉板式加湿装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008209064A (ja) * | 2007-02-27 | 2008-09-11 | Hisato Abe | 空気調和装置 |
JP2009281669A (ja) * | 2008-05-23 | 2009-12-03 | Espec Corp | 加湿装置及びこれを含む環境試験装置 |
-
2002
- 2002-09-17 JP JP2002270129A patent/JP2004108634A/ja active Pending
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