JP2004108270A - エンジンの排気系における継手構造 - Google Patents

エンジンの排気系における継手構造 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンに接続されるエキゾーストマニホールドの下流側と、排気管の上流側を球面継手を介して接続してなる、エンジンの排気系における継手構造において、排気系を流れる排気の脈動に起因して発生するエキゾーストマニホールドの高周波振動の下流側への伝達を低減すると共に球面継手のシール性を高めるようにした。
【解決手段】球面継手18の球面ガスケット24は、その径方向にステンレスメッシュ層35と、膨張黒鉛層37oとが、その膨張黒鉛層37oを外側にして層畳され、径方向内側のステンレスメッシュ層35の密度を、その径方向外側のステンレスメッシュ層35の密度より高くした。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両用エンジンの排気ポートに接続されるエキゾーストマニホールドと、排気管とを相対揺動可能に接続する、エンジンの排気系における継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来自動車用エンジンの排気系は、そのエンジンの排気管ポートに接続されるエキゾーストマニホールドと、その下流側の排気管とが、球面継手を介して接続され、エキゾーストマニホールドと排気管との相対揺動を可能とすると共に排気系を流れる排気脈動に起因する振動を、前記球面継手により減衰するようにしたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献】
特許第2847223号公報
【0004】
また、図9に示すように、エンジンの排気系における継手構造において、前記球面継手の球面ガスケットを、その径方向に、密度の均一な金属メッシュ層と、黒鉛層とを交互に層畳して構成し、排気系を流れる排気の排気脈動に起因して発生するエキゾーストマニホールドの高周波振動の下流側排気管への伝達を低減すると共に球面継手のシール性を高めるようにしたものも既に知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記球面ガスケットの金属メッシュ層は、その密度を高くすると、前記高周波振動による排気系の表面振動の減衰効果を高めることができるが、その反面黒鉛層による球面ガスケットのシール性が悪くなり、また逆に金属メッシュ層の密度を低くすると、黒鉛層によるシール効果を高めることができるが、その反面金属メッシュによる前記高周波振動による排気管系の表面振動が低下するという問題がある。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、エンジンの排気系における継手構造において、球面ガスケットの金属メッシュ層による排気系の表面振動の減衰効果を高めると共に球面ガスケットの黒鉛層によるシール効果をも高めることができるようにした、新規なエンジンの排気系における継手構造を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、エンジンの排気ポートに接続されるエキゾーストマニホールドの下流側と、排気管の上流側とを、球面継手を介して相対揺動可能に接続してなる、エンジンの排気系における継手構造において、
前記球面継手は、エキゾーストマニホールド側の継手半体と、排気管側の継手半体間に介在される球面ガスケットを備え、その球面ガスケットは、その中心部に排気の通る開口を、その外周面に前記継手半体の一方と球面接触する球面部を有して短円筒状に形成されていて、その径方向に金属メッシュ層と、黒鉛層とが、その黒鉛層を球面部側にして層畳され、径方向内側の金属メッシュ層の密度を、その径方向外側の金属メッシュ層の密度よりも高くしたことを特徴としており、かかる特徴によれば、球面継手の球面ガスケットは、主として密度の高い径方向内側の金属メッシュ層によりエキゾーストマニホールドからその下流側への高周波振動の伝達を可及的に低減することができ、しかも、密度の低い径方向外側の金属メッシュ層により球面ガスケットの球面部に露出する金属メッシュ層の表面面積を減少させることができるため、黒鉛層の膨張作用によるシール機能をも高めることができるばかりでなく、球面ガスケットと継手半体の座面間の摩擦抵抗も減少するので、エキゾーストマニホールドと排気管間の曲げ方向の振動吸収効果も向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
本実施例は、本発明を多気筒エンジンを備えた自動車に実施した場合であり、図1は、本発明継手構造を備えた、エンジンの排気系の側面図、図2は、図1の2矢視仮想線囲い部分の拡大図、図3は、図2の3−3線に沿う拡大断面図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、球面ガスケットの斜視図、図6は、図5の6−6線に沿う部分拡大断面図、図7は、球面ガスケットの型成形前の状態を示す斜視図、図8は、本発明継手構造を備えた排気系と、従来の排気系との周波数と音圧との関係を示すグラフである。
【0010】
図1,2において、自動車の車体の一部を構成するサブフレーム1上には、前後のエンジンマウント2,3を介して、その自動車の走行用の多気筒エンジンEが横置き(そのクランク軸4が、自動車の前後方向と直交する方向)に搭載されている。このエンジンEは、四サイクルの直列式であって、複数のシリンダが並列されたシリンダブロック5と、その上に結合されるシリンダヘッド6と、そのシリンダヘッド6の上面を被覆するヘッドカバー7と、シリンダブロック5のクランクケース部の下面に結合されるオイルパン8とを備えている。
【0011】
図1に示すように、エンジンEは、その重心Gを通ってクランク軸4と平行な振動回転軸すなわちローリング軸L−Lを有し、車両Vの走行時には、そのローリング軸L−Lをローリングセンタとして前後にローリング変位する。
【0012】
エンジンEの前側(図1の左側)には、複数の吸気ポート11が並列して開口され、これらの吸気ポート11に、吸気系Inが接続され、また、エンジンEの後側(図1の右側)には、複数の排気ポート12が並列して開口され、これらの排気ポート12に本発明に従う継手構造を備えた排気系Exが接続される。
【0013】
前記排気系Exは、前記排気ポート12に上流端が一体に接続されるエキゾーストマニホールド14と、その下流端に接続される排気管15とを備えている。排気管15は、上流側の第1の排気管部16と、下流側の第2の排気管部17とを備えており、エキゾーストマニホールド14と第1の排気管部16との間に、本発明に係る球面継手18が介在され、また、第1の排気管部16と第2の排気管部17との間には、フレキシブルチューブ19が介在され、さらに、第2の排気管部17の途中には、触媒コンバータ20が介在され、さらに、この触媒コンバータ20の下流側には、図示しない消音器が接続されている。
【0014】
ところで、この排気系Exは、前記球面継手18とフレキシブルチューブ19とが併設され、自動車の走行、特にその急発進、急加速、急減速などの走行により、エンジンEが大きくローリング振動すなわちローリング変位した際に、この変位を効果的に吸収して、エンジンEのローリング変位に起因する車両振動を可及的に低減することができるように構成されている。
【0015】
以下に、前記排気系Exの構成をさらに詳しく説明するに、図2,3に明瞭に示すように、エキゾーストマニホールド14の、複数の分配管14aは、それらの上流端がエンジンEの各排気ポート12にそれぞれ接続されてエルボ状に湾曲され、下流側に向かって漸次集合しつつ、前記エンジンEの後面に隣接して下向きに延びており、それらの下流側端部が下向きに開口して、その下流側端部は、一つの排気集合部14bに一体に接続されている。そして、この排気集合部14bは、図1,2に示すように、エンジンEの後面に近いところで、前記球面継手18を介して前記第1の排気管部16の上流端に接続される。
【0016】
図2〜6に示すように、前記球面継手18は、一方の継手半体を構成する第1の接続フランジ22と、他方の継手半体を構成する第2の接続フランジ23と、それら両フランジ22,23間に気密に挟持される球面ガスケット24とを備えており、この球面ガスケット24は、後に詳細に述べるように、黒鉛層(この実施例では膨張黒鉛層)37と、金属メッシュ層(この実施例ではステンレスメッシュ層)35とを層畳して、上、下端面24a,24dの平坦な短円筒状に形成されて、その中央部に排気流通用の開口24aを有すると共にその周面に、前記エキゾーストマニホールド14の中心線上に存する中心点C(図3参照)を中心とする球面よりなる球面部24bを有している。そして、この球面ガスケット24は、その平坦な上端面24cが、前記第1の接続フランジ22に接触され、また前記球面部24bは、第2の接続フランジ23に形成した球面状の座面23aに摺動自在に接触される。第1、第2接続フランジ22,23の外周部は複数のボルト・ナット25により圧縮コイルバネ26を介して弾発的に連結されている。
【0017】
図3に明瞭に示すように、前記球面継手18の一方(図2,3の上側)の継手半体を構成する、第1接続フランジ22の中央部には、前記エキゾーストマニホールド14の下流端の排気集合部14bが一体に連通接続され、また、前記球面継手18の他方(図3の下側)の継手半体を構成する、第2接続フランジ23の中央部には、第1の排気管部16の、上向きに開口する上流端が一体に連通接続されている。したがって、エキゾーストマニホールド14を流れる排気は、球面継手18を通って第1の排気管部16に流れる。
【0018】
図2に示すように、前記球面継手18の、エキゾーストマニホールド14に接続される側の、一方の継手半体、すなわち第1接続フランジ22には、複数のボルト・ナット28により、ステー29が固定されている。このステー29は、エンジンEの後面に向かって前方に延びており、その先端の屈曲取付部が、エンジンEのシリンダブロック5の後面に複数の連結ボルト30をもって固定されている。したがって、エンジンEが、ローリング軸L−L回りにローリング変位するときには、この一方の継手半体22に対して球面ガスケット24を介して他方の継手半体23が回転変位する。
【0019】
前述のように、上流端が前記球面継手18に接続される第1の排気管部16は、図1に示すように、エンジンE側に向かって凸に湾曲する湾曲部を有して、その上流側半部16aがエンジンEに対して下向きに延び、また、その下流側半部16bがエンジンEに対して後方に延びており、側面視でエルボ状に形成されている。そして、第1の排気管部16の、後方に向けて開放される下流端には、前記フレキシブルチューブ19の前端が連通接続されている。このフレキシブルチューブ19は、前後方向に延長されており、前後方向に伸縮可能であって、エンジンEのローリング変位のうち、主として前後方向の成分を吸収する。
【0020】
なお、前記フレキシブルチューブ19は、従来公知のものが採用されるので、その詳細な説明を省略する。
【0021】
前記フレキシブルチューブ19の下流端は、排気管15の、前記第2の排気管部17の上流端に一体に結合され、第1の排気管部16と、第2の排気管部17とは、前記フレキシブルチューブ19を介して連通される。
【0022】
第2の排気管部17は、自動車の前後方向に略水平に延長されており、その途中には、触媒コンバータ20が接続され、さらに、第2の排気管部17の下流端には、図示しない消音器を介して大気に開口するテールパイプが連通接続される。
【0023】
図1に示すように、第2の排気管部17は、弾性支持手段Sを介して車体のサブフレーム1に支持されており、排気系Exに作用する振動は、前記弾性支持手段Sによっても減衰されて、車体への伝達が軽減される。
【0024】
つぎに、図4〜7を参照して球面継手の、本発明にかかる球面ガスケット24の構造について説明する。
【0025】
この球面ガスケット24は、金属メッシュ層としてのステンレスメッシュ層35と、黒鉛層としての膨張黒鉛層37とを、その径方向に交互に層畳し、その外表面に表面層39を積層して形成される多重積層体L(図7参照)を、金型に投入することにより、前述の形状に圧縮成形されるものであり、特に、この実施例では、内、外側の膨張黒鉛層37i,37o間に介装されるステンレスメッシュ層35は、球面ガスケット24の径方向内側の密度が、その外側の密度よりも高くしてあるところに特徴がある。
【0026】
図7に示すように、多重積層体Lの内周面には、内側膨張黒鉛層37iを構成する、帯状の内側膨張黒鉛シートが一回りに巻かれており、その両自由端縁同志は相互に重ね合わされる。
【0027】
内側膨張黒鉛層37iの外周面には、ステンレス線条をメリヤス編みして帯状に形成されるステンレスメッシュシートを渦巻状に二回りに巻いて構成されるステンレスメッシュ層35が層畳される。このステンレスメッシュ層35は、多重積層体L、すなわち球面ガスケット24の径方向の内側の密度が、その外側の密度よりも高くしてあり、その密度を変える手段として、たとえば、帯状のステンレスメッシュシート自体の長手方向のメッシュの密度を変え、あるいは、帯状のステンレスメッシュシート自体の厚みを長手方向に変えるなどの技術手段が採用される。
【0028】
ステンレスメッシュ層35の外周面には、帯状の外側膨張黒鉛シート(厚さ約0.5mm)を渦巻状に二回りに巻いて構成される外側膨張黒鉛層37oが層畳され、さらにその外周面に、帯状の表面層39を構成する表面シートが、その潤滑剤コート面を外側にして一回りに巻かれ、この表面シートの自由端縁同志は相互に重ね合わされる。この表面層39は、窒化ボロンなど硬度の高い材料により構成される。
【0029】
以上のように、内側膨張黒鉛層37i、ステンレスメッシュ層35、外側膨張黒鉛層37oおよび表面層39を、径方向の内側から外側に向けて順次に層畳させてなる、多相積層体Lを成形金型に投入し、この成形金型により、これを熱間あるいは冷間にて圧縮成形することにより、前述した構成を有する球面ガスケット24が成形される。
【0030】
なお、前記成形金型およびその成形方法は、従来公知の技術手段が採用されるので、その説明を省略する。
【0031】
ところで、前述のように、球面ガスケット24は、ステンレスメッシュ層35と、内、外側の膨張黒鉛層37i,37oとを層畳させて構成してあることにより、そのうちのステンレスメッシュ層35は、そのステンレス繊維同志が摩擦接触することにより、該球面ガスケット24に加わる振動を減衰する作用を有し、エキゾーストマニホールド14から排気管15に伝わる高周波の振動を低減する機能を備え、一方前記内、外側の膨張黒鉛層37i,37oは、エンジンEの運転停止時のように、その低温時には、圧縮コイルバネ26の弾発力をうけて収縮しているが、エンジンEの運転時のように、加熱されて高温になると膨張して内、外側の膨張黒鉛層37i,37oが、継手半体22,23に気密に圧接し、特に外側の膨張黒鉛層37oが、継手半体23の座面23aに表面層39を介して気密に圧接して、球面ガスケット24のシール性を高める機能を有し、その結果、球面ガスケット24は、高周波振動の減衰機能と、シール機能とを兼備するので、エンジンEの運転による排気脈動から生じるエキゾーストマニホールド14の高周波振動(表面振動)の排気管15への伝達を低減し、さらに球面継手19のシール性を高め、そこからの排気管の外部への漏洩を防止する。
【0032】
ところで、いま仮に前記高周波振動の減衰機能を一層高めるべく、ステンレスメッシュ層35の密度を高めると、球面ガスケット24の球面部24bに露出するステンレスメッシュの表面面積が増大するため、その減衰機能が高まる反面、膨張黒鉛層37の膨張作用によるシール機能が低下するばかりでなく、球面ガスケット24と継手半体23の座面23a間の摩擦抵抗の増大により、エキゾーストマニホールド14と排気管15間の曲げ方向の振動吸収効果も低減してしまうという不都合が生じる。
【0033】
そこで、この実施例は、かかる不都合を解消するため、球面ガスケット24のステンレスメッシュ層35の径方向内側の密度を、その外側の密度よりも高くすることを特徴としており、その密度は、径方向の内側から外側に向けて連続的に高くしても良く、また段階的に高くしてもよい。
【0034】
ところで、この実施例によれば、ステンレスメッシュ層35は、密度の高い径方向内側により前記高周波振動の減衰機能を高めつつ、密度の低い径方向外側により球面ガスケット24の球面部24bに露出するステンレスメッシュの表面面積を減少させることができるため、全体として、ステンレスメッシュ層35による高周波振動の減衰機能を高めながら内、外側の膨張黒鉛層37i,37oの膨張作用によるシール機能をも高めることができるばかりでなく、球面ガスケット24と継手半体23の座面23a間の摩擦抵抗も減少するので、エキゾーストマニホールド14と排気管15間の曲げ方向の振動吸収効果も向上させることができる。
【0035】
図8には、図9に示す従来の球面ガスケット(ステンレスメッシュ層の密度が径方向に均一)を有する球面継手と、この実施例の球面ガスケット24を有する球面継手18を使用した場合における、球面継手の下流側のフレキシブルチューブ19に作用する周波数(Hz)と、そこから発生する放射音の音圧(dB)との関係を示した実験結果によるグラフが示されており、実線がこの実施例、点線が従来の場合を示している。このグラフによれば、エンジンEを4000rpmで運転したとき、この実施例のものは、フレキシブルチューブ19に作用する周波数が3000〜8000Hzで、該フレキシブルチューブ19の放射音の音圧のピーク値が従来のものより低下しており、この周波数領域での放射音の低減効果に有効であることがわかる。
【0036】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0037】
いま、エンジンEの運転によれば、その排気ポート12より排出される排気は、エキゾーストマニホールド14、球面継手18、第1の排気管部16、フレキシブルチューブ19、第2の排気管部17の上流部、触媒コンバータ20、第2の排気管部17の下流部および図示しない消音器を通り、その間に、HC、COなどの有害成分が浄化され、さらに消音器により排気音が消音されて大気に放出される。
【0038】
また、排気が排気ポート12からエキゾーストマニホールド14に流れる過程において、その排気脈動が、エンジンEからエキゾーストマニホールド14に伝達され、排気の速度エネルギと、その圧力とがエキゾーストマニホールド14の内表面を加振することにより、該エキゾーストマニホールドに、高周波振動(1000〜8000Hz)による表面振動を発生させ、この表面振動が、排気系の軸方向だけでなく全方位振動となって、球面継手18、第1の排気管部16、フレキシブルチューブ19、下流側排気管17、触媒コンバータ20など、エキゾーストマニホールド14の下流側へと伝達されて、たとえばフレキシブルチューブ19や触媒コンバータ20の外表面から放射音が発生するが、この実施例の球面継手18の球面ガスケット24は、主として密度の高い径方向内側のステンレスメッシュ層35によりエキゾーストマニホールド14からその下流側への高周波振動の伝達を可及的に低減することができ、しかも、密度の低い径方向外側のステンレスメッシュ層35により球面ガスケット24の球面部24bに露出するステンレスメッシュの表面面積を減少させることができるため、膨張黒鉛層37の膨張作用によるシール機能をも高めることができるばかりでなく、球面ガスケット24の球面部24aと継手半体23の座面23a間の摩擦抵抗も減少するので、エキゾーストマニホールド14と排気管15間の曲げ方向の振動吸収効果も向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の1実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0040】
たとえば、前記実施例では、本発明にかかるエンジンの排気系における継手構造を多気筒四サイクルエンジンに実施した場合を説明したが、これを他の型式のエンジンにも実施できることは勿論である。また、前記実施例では、球面ガスケットの金属メッシュとしてステンレスメッシュを、また黒鉛として膨張黒鉛を使用した場合を説明したが、ステンレスメッシュ、膨張黒鉛に代えて他の同効の金属メッシュ、黒鉛を使用してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、エンジンの排気系における継手構造において、球面継手の球面ガスケットは、主として密度の高い径方向内側の金属メッシュ層によりエキゾーストマニホールドからその下流側への高周波振動の伝達を可及的に低減することができ、しかも、密度の低い径方向外側の金属メッシュ層により球面ガスケットの球面部に露出する金属メッシュの表面面積を減少させることができるため、黒鉛層の膨張作用によるシール機能をも高めることができるばかりでなく、球面ガスケットと継手半体の座面間の摩擦抵抗も減少するので、エキゾーストマニホールドと排気管間の曲げ方向の振動吸収効果も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明継手構造を備えた、エンジンの排気系の側面図
【図2】図1の2矢視仮想線囲い部分の拡大図
【図3】図2の3−3線に沿う拡大断面図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】球面ガスケットの斜視図
【図6】図5の6−6線に沿う部分拡大断面図
【図7】球面ガスケットの型成形前の状態を示す斜視図
【図8】本発明継手構造を備えた排気系と、従来の排気系との周波数と音圧との関係を示すグラフ
【図9】(A)は、従来の球面ガスケットの斜視図、(B)は、(A)のB−B線に沿う拡大断面図
【符号の説明】
14・・・・・・・・・エキゾーストマニホールド
15・・・・・・・・・排気管
18・・・・・・・・・球面継手
22・・・・・・・・・継手半体(一方)
23・・・・・・・・・継手半体(他方)
24・・・・・・・・・球面ガスケット
24a・・・・・・・・開口(球面ガスケット)
24b・・・・・・・・球面部(球面ガスケット)
35・・・・・・・・・金属メッシュ層(ステンレスメッシュ層)
37o・・・・・・・・黒鉛層(外側膨張黒鉛層)
E・・・・・・・・・・エンジン

Claims (1)

  1. エンジン(E)の排気ポート(12)に接続されるエキゾーストマニホールド(14)の下流側と、排気管(15)の上流側とを、球面継手(18)を介して相対揺動可能に接続してなる、エンジンの排気系における継手構造において、
    前記球面継手(18)は、エキゾーストマニホールド(14)側の継手半体(22)と、排気管(15)側の継手半体(23)間に介在される球面ガスケット(24)を備え、その球面ガスケット(24)は、その中心部に排気の通る開口(24a)を、その外周面に前記継手半体(22,23)の一方と球面接触する球面部(24b)を有して短円筒状に形成されていて、その径方向に金属メッシュ層(35)と、黒鉛層(37o)とが、その黒鉛層(37o)を球面部(24b)側にして層畳され、径方向内側の金属メッシュ層(35)の密度を、その径方向外側の金属メッシュ層(35)の密度よりも高くしたことを特徴とする、エンジンの排気系における継手構造。
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