JP2004108203A - パティキュレートフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得るようにしたパティキュレートフィルタを提供する。
【解決手段】多孔質材料から成り且つ排気ガス2が流通する多数の流路5をハニカム状に形成したフィルタ本体7を備え、各流路5を区画している多孔質薄壁6を透過させて排気ガス2中のパティキュレートを捕集し得るようにしたパティキュレートフィルタ12に関し、気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上としてフィルタ本体7を構成すると共に、該フィルタ本体7の各流路5の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路5の出口の適宜な割合分のみを栓体8により目封じし、フィルタ本体7全体に酸化触媒を一体的に担持せしめる。
【選択図】 図1
【解決手段】多孔質材料から成り且つ排気ガス2が流通する多数の流路5をハニカム状に形成したフィルタ本体7を備え、各流路5を区画している多孔質薄壁6を透過させて排気ガス2中のパティキュレートを捕集し得るようにしたパティキュレートフィルタ12に関し、気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上としてフィルタ本体7を構成すると共に、該フィルタ本体7の各流路5の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路5の出口の適宜な割合分のみを栓体8により目封じし、フィルタ本体7全体に酸化触媒を一体的に担持せしめる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パティキュレートフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策として、図4に示す如く、ディーゼルエンジン1からの排気ガス2が流通する排気管3の途中にパティキュレートフィルタ4を装備することが考えられている。
【0003】
図5に詳細に示す如く、このパティキュレートフィルタ4は、コージェライト等のセラミックで製作された多孔質ハニカム構造のフィルタ本体7を主構成とし、このフィルタ本体7における格子状に区画された各流路5の入口が栓体8により交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路5については、その出口が栓体8により目封じされるようになっており、各流路5を区画する多孔質薄壁6を透過した排気ガス2のみが下流側へ排出されて、前記多孔質薄壁6の内側表面にパティキュレートが捕集されるようにしてある。
【0004】
そして、排気ガス2中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁6の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタ4の再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジン1の運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒をフィルタ本体7に一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタ4の実用化が進められている。
【0005】
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタ4を採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのである。
【0006】
尚、ここに図示している例では、パティキュレートフィルタ4が、クッション材9により外周部分を保持されて排気管3途中のフィルタケース10内に収容されており、前記クッション材9の軸心方向中間位置には、シール材11が介装されて排気ガス2の迂回を阻止し得るようにしてある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種のパティキュレートフィルタ4内には、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として気筒内燃焼で発生するアッシュが徐々に溜まってくるため、この燃焼除去できないアッシュの堆積により目詰まりが生じて異常な排気圧力の上昇を招く虞れがあった。
【0008】
尚、パティキュレートフィルタ4内に堆積するアッシュの対策としては、未公開の先行出願に次のようなものがあり、この先行出願には、マフラの外筒内に収容させたパティキュレートフィルタに対し作業性良くエア洗浄や水洗浄を行い得るようにした排気浄化装置が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特願2001−62062号
【0010】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得るようにしたパティキュレートフィルタを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質材料から成り且つ排気ガスが流通する多数の流路をハニカム状に形成したフィルタ本体を備え、各流路を区画している多孔質薄壁を透過させて排気ガス中のパティキュレートを捕集し得るようにしたパティキュレートフィルタであって、気孔率を50%以上とし且つ各流路のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上としてフィルタ本体を構成すると共に、該フィルタ本体の各流路の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路の出口の適宜な割合分のみを栓体により目封じし、フィルタ本体全体に酸化触媒を一体的に担持せしめたことを特徴とするものである。
【0012】
このようにフィルタ本体の気孔率を50%以上とし且つ各流路のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上とすれば、多孔質薄壁を透過する抵抗よりも、流路を通過する抵抗の方が上まわることになり、この結果、目封じしていない流路に排気ガスの流入量が偏ることがなくなるので、排気ガスが各流路にほぼ等量ずつ流入することになる。
【0013】
そして、出口を栓体で目封じしてある流路にて排気ガスが多孔質薄壁を透過して該多孔質薄壁の内側表面にパティキュレートが捕集されることになり、その捕集されたパティキュレートが酸化触媒による燃焼支援を受けて効率良く燃焼除去される一方、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュは、燃焼除去されることなく残存して徐々に堆積していくことになるが、出口が栓体で目封じされていない流路では排気ガスが素通し状態に保持され続けるので、パティキュレートフィルタが目詰まりして異常な排気圧力の上昇を招くような事態が確実に回避される。
【0014】
また、仮に排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体で目封じされていない流路では排気ガスが素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を行わなくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図4及び図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0017】
図1に示す如く、本形態例のパティキュレートフィルタ12においては、多孔質材料から成り且つ排気ガス2が流通する多数の流路5をハニカム状に形成したフィルタ本体7の気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル(1平方インチ)当たり200以上として形成し、しかも、このフィルタ本体7の各流路5の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路5の出口を交互に栓体8により目封じし、フィルタ本体7全体に酸化触媒を一体的に担持せしめるようにしている。
【0018】
このようにフィルタ本体7の気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上とすれば、多孔質薄壁6を透過する抵抗よりも、流路5を通過する抵抗の方が上まわることになり、この結果、目封じしていない流路5に排気ガス2の流入量が偏ることがなくなるので、排気ガス2が各流路5にほぼ等量ずつ流入することになる。
【0019】
そして、出口を栓体8で目封じしてある半数の流路5にて排気ガス2が多孔質薄壁6を透過して該多孔質薄壁6の内側表面にパティキュレートが捕集されることになり、その捕集されたパティキュレートが酸化触媒による燃焼支援を受けて効率良く燃焼除去される一方、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュは、燃焼除去されることなく残存して徐々に堆積していくことになるが、出口が栓体8で目封じされていない残りの半数の流路5では排気ガス2が素通し状態に保持され続けるので、パティキュレートフィルタ12が目詰まりして異常な排気圧力の上昇を招くような事態が確実に回避される。
【0020】
また、仮に排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体8で目封じされていない半数の流路5では排気ガス2が素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートフィルタ12に捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を行わなくて済む。
【0021】
図2は本形態例のパティキュレートフィルタ12を採用した場合のパティキュレートの低減効果を検証した実験結果を示すグラフであり、このグラフ中におけるAは浄化前の排気ガス2中に含まれるパティキュレートを示し、このパティキュレートの全量を基準値の「1」とした場合、ここに含まれる煤分が「0.79」、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)が「0.2」、微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)が「0.01」となる。
【0022】
これに対し、グラフ中のBは、先に図5で示した従来のパティキュレートフィルタ4で浄化された排気ガス2中に残るパティキュレートを示し、この場合にパティキュレートは「0.12」にまで減少される。そこに含まれる煤分が「0.05」、SOF分が「0.07」、サルフェートが「0」となる。
【0023】
そして、本形態例のパティキュレートフィルタ12で浄化された排気ガス2中に残るパティキュレートはグラフ中にCで示されており、この場合にパティキュレートは「0.5」まで減少される。そこに含まれる煤分が「0.4」、SOF分が「0.09」、サルフェートが「0.01」となる。
【0024】
因みにグラフ中のDは、図3に示す如き各流路5を全て目封じせずに開放したパティキュレートフィルタ13を採用した場合に排気ガス2中に残るパティキュレートを示し、この場合にパティキュレートは「0.9」までしか減少されない。そこに含まれる煤分が「0.79」、SOF分が「0.1」、サルフェートが「0.01」として残り、実質的に酸化処理し易いSOF分が僅かに減少するだけの成果しかあげられなかった。
【0025】
これら図2のグラフ中におけるA,B,C,Dを比較すれば明らかなように、本形態例のパティキュレートフィルタ12によるパティキュレートの低減効果(図中のC参照)は、図5の従来のパティキュレートフィルタ4には及ばないものの、パティキュレートを50%も低減することができて十分に実用に供し得るものとなることが確認された。
【0026】
ただし、これはパティキュレートフィルタ12の各流路5の出口を交互に栓体8により目封じすることにより約半数の流路5を開放した場合で例示したもので、各流路5の出口をどの程度の割合で栓体8により目封じするかは任意であり、もっと大きな割合で各流路5の出口を栓体8で目封じするようにすれば、更なる高いパティキュレートの低減効果が得られることは勿論である。
【0027】
従って、上記形態例によれば、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュが経時的に堆積しても、出口が栓体8で目封じされていない流路5で排気ガス2の素通し状態を保持することができるので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得て、異常な排気圧力の上昇を未然に防止することができ、しかも、排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、パティキュレートフィルタ12に目詰まりが生じないことからパティキュレートを成り行きに任せて燃焼除去させることができ、パティキュレートフィルタ12に捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を不要としてコストの大幅な削減を図ることができる。
【0028】
また、各流路5の出口を栓体8により目封じする割合を変更することでパティキュレートの低減効果を任意に増減することができるので、パティキュレートの低減効果を必要な水準に選定することができる。
【0029】
尚、本発明のパティキュレートフィルタは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
上記した本発明のパティキュレートフィルタによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0031】
(I)潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュが経時的に堆積しても、出口が栓体で目封じされていない流路で排気ガスの素通し状態を保持することができるので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得て、異常な排気圧力の上昇を未然に防止することができる。
【0032】
(II)排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体で目封じされていない流路で排気ガスが素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートを成り行きに任せて燃焼除去させることができ、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を不要としてコストの大幅な削減を図ることができる。
【0033】
(III)各流路の出口を栓体により目封じする割合を変更することでパティキュレートの低減効果を任意に増減することができるので、パティキュレートの低減効果を必要な水準に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】パティキュレートの低減効果を検証した実験結果を示すグラフである。
【図3】各流路を全て開放したパティキュレートフィルタの比較例を示す断面図である。
【図4】従来のパティキュレートフィルタの配置状態を説明する概略図である。
【図5】図4のパティキュレートフィルタの詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
2 排気ガス
5 流路
6 多孔質薄壁
7 フィルタ本体
8 栓体
12 パティキュレートフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、パティキュレートフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策として、図4に示す如く、ディーゼルエンジン1からの排気ガス2が流通する排気管3の途中にパティキュレートフィルタ4を装備することが考えられている。
【0003】
図5に詳細に示す如く、このパティキュレートフィルタ4は、コージェライト等のセラミックで製作された多孔質ハニカム構造のフィルタ本体7を主構成とし、このフィルタ本体7における格子状に区画された各流路5の入口が栓体8により交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路5については、その出口が栓体8により目封じされるようになっており、各流路5を区画する多孔質薄壁6を透過した排気ガス2のみが下流側へ排出されて、前記多孔質薄壁6の内側表面にパティキュレートが捕集されるようにしてある。
【0004】
そして、排気ガス2中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁6の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタ4の再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジン1の運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒をフィルタ本体7に一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタ4の実用化が進められている。
【0005】
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタ4を採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのである。
【0006】
尚、ここに図示している例では、パティキュレートフィルタ4が、クッション材9により外周部分を保持されて排気管3途中のフィルタケース10内に収容されており、前記クッション材9の軸心方向中間位置には、シール材11が介装されて排気ガス2の迂回を阻止し得るようにしてある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種のパティキュレートフィルタ4内には、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として気筒内燃焼で発生するアッシュが徐々に溜まってくるため、この燃焼除去できないアッシュの堆積により目詰まりが生じて異常な排気圧力の上昇を招く虞れがあった。
【0008】
尚、パティキュレートフィルタ4内に堆積するアッシュの対策としては、未公開の先行出願に次のようなものがあり、この先行出願には、マフラの外筒内に収容させたパティキュレートフィルタに対し作業性良くエア洗浄や水洗浄を行い得るようにした排気浄化装置が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特願2001−62062号
【0010】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得るようにしたパティキュレートフィルタを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質材料から成り且つ排気ガスが流通する多数の流路をハニカム状に形成したフィルタ本体を備え、各流路を区画している多孔質薄壁を透過させて排気ガス中のパティキュレートを捕集し得るようにしたパティキュレートフィルタであって、気孔率を50%以上とし且つ各流路のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上としてフィルタ本体を構成すると共に、該フィルタ本体の各流路の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路の出口の適宜な割合分のみを栓体により目封じし、フィルタ本体全体に酸化触媒を一体的に担持せしめたことを特徴とするものである。
【0012】
このようにフィルタ本体の気孔率を50%以上とし且つ各流路のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上とすれば、多孔質薄壁を透過する抵抗よりも、流路を通過する抵抗の方が上まわることになり、この結果、目封じしていない流路に排気ガスの流入量が偏ることがなくなるので、排気ガスが各流路にほぼ等量ずつ流入することになる。
【0013】
そして、出口を栓体で目封じしてある流路にて排気ガスが多孔質薄壁を透過して該多孔質薄壁の内側表面にパティキュレートが捕集されることになり、その捕集されたパティキュレートが酸化触媒による燃焼支援を受けて効率良く燃焼除去される一方、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュは、燃焼除去されることなく残存して徐々に堆積していくことになるが、出口が栓体で目封じされていない流路では排気ガスが素通し状態に保持され続けるので、パティキュレートフィルタが目詰まりして異常な排気圧力の上昇を招くような事態が確実に回避される。
【0014】
また、仮に排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体で目封じされていない流路では排気ガスが素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を行わなくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図4及び図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0017】
図1に示す如く、本形態例のパティキュレートフィルタ12においては、多孔質材料から成り且つ排気ガス2が流通する多数の流路5をハニカム状に形成したフィルタ本体7の気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル(1平方インチ)当たり200以上として形成し、しかも、このフィルタ本体7の各流路5の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路5の出口を交互に栓体8により目封じし、フィルタ本体7全体に酸化触媒を一体的に担持せしめるようにしている。
【0018】
このようにフィルタ本体7の気孔率を50%以上とし且つ各流路5のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上とすれば、多孔質薄壁6を透過する抵抗よりも、流路5を通過する抵抗の方が上まわることになり、この結果、目封じしていない流路5に排気ガス2の流入量が偏ることがなくなるので、排気ガス2が各流路5にほぼ等量ずつ流入することになる。
【0019】
そして、出口を栓体8で目封じしてある半数の流路5にて排気ガス2が多孔質薄壁6を透過して該多孔質薄壁6の内側表面にパティキュレートが捕集されることになり、その捕集されたパティキュレートが酸化触媒による燃焼支援を受けて効率良く燃焼除去される一方、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュは、燃焼除去されることなく残存して徐々に堆積していくことになるが、出口が栓体8で目封じされていない残りの半数の流路5では排気ガス2が素通し状態に保持され続けるので、パティキュレートフィルタ12が目詰まりして異常な排気圧力の上昇を招くような事態が確実に回避される。
【0020】
また、仮に排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体8で目封じされていない半数の流路5では排気ガス2が素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートフィルタ12に捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を行わなくて済む。
【0021】
図2は本形態例のパティキュレートフィルタ12を採用した場合のパティキュレートの低減効果を検証した実験結果を示すグラフであり、このグラフ中におけるAは浄化前の排気ガス2中に含まれるパティキュレートを示し、このパティキュレートの全量を基準値の「1」とした場合、ここに含まれる煤分が「0.79」、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)が「0.2」、微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)が「0.01」となる。
【0022】
これに対し、グラフ中のBは、先に図5で示した従来のパティキュレートフィルタ4で浄化された排気ガス2中に残るパティキュレートを示し、この場合にパティキュレートは「0.12」にまで減少される。そこに含まれる煤分が「0.05」、SOF分が「0.07」、サルフェートが「0」となる。
【0023】
そして、本形態例のパティキュレートフィルタ12で浄化された排気ガス2中に残るパティキュレートはグラフ中にCで示されており、この場合にパティキュレートは「0.5」まで減少される。そこに含まれる煤分が「0.4」、SOF分が「0.09」、サルフェートが「0.01」となる。
【0024】
因みにグラフ中のDは、図3に示す如き各流路5を全て目封じせずに開放したパティキュレートフィルタ13を採用した場合に排気ガス2中に残るパティキュレートを示し、この場合にパティキュレートは「0.9」までしか減少されない。そこに含まれる煤分が「0.79」、SOF分が「0.1」、サルフェートが「0.01」として残り、実質的に酸化処理し易いSOF分が僅かに減少するだけの成果しかあげられなかった。
【0025】
これら図2のグラフ中におけるA,B,C,Dを比較すれば明らかなように、本形態例のパティキュレートフィルタ12によるパティキュレートの低減効果(図中のC参照)は、図5の従来のパティキュレートフィルタ4には及ばないものの、パティキュレートを50%も低減することができて十分に実用に供し得るものとなることが確認された。
【0026】
ただし、これはパティキュレートフィルタ12の各流路5の出口を交互に栓体8により目封じすることにより約半数の流路5を開放した場合で例示したもので、各流路5の出口をどの程度の割合で栓体8により目封じするかは任意であり、もっと大きな割合で各流路5の出口を栓体8で目封じするようにすれば、更なる高いパティキュレートの低減効果が得られることは勿論である。
【0027】
従って、上記形態例によれば、潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュが経時的に堆積しても、出口が栓体8で目封じされていない流路5で排気ガス2の素通し状態を保持することができるので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得て、異常な排気圧力の上昇を未然に防止することができ、しかも、排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、パティキュレートフィルタ12に目詰まりが生じないことからパティキュレートを成り行きに任せて燃焼除去させることができ、パティキュレートフィルタ12に捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を不要としてコストの大幅な削減を図ることができる。
【0028】
また、各流路5の出口を栓体8により目封じする割合を変更することでパティキュレートの低減効果を任意に増減することができるので、パティキュレートの低減効果を必要な水準に選定することができる。
【0029】
尚、本発明のパティキュレートフィルタは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
上記した本発明のパティキュレートフィルタによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0031】
(I)潤滑油や燃料中の硫黄分を起源として発生するアッシュが経時的に堆積しても、出口が栓体で目封じされていない流路で排気ガスの素通し状態を保持することができるので、アッシュの堆積による目詰まりを確実に回避し得て、異常な排気圧力の上昇を未然に防止することができる。
【0032】
(II)排気温度の低い運転状態が続いてパティキュレートの過捕集状態が生じたとしても、出口が栓体で目封じされていない流路で排気ガスが素通し状態に保持され続けて目詰まりが生じないので、パティキュレートを成り行きに任せて燃焼除去させることができ、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートを過捕集状態に陥る前に積極的に燃焼除去させるような制御を不要としてコストの大幅な削減を図ることができる。
【0033】
(III)各流路の出口を栓体により目封じする割合を変更することでパティキュレートの低減効果を任意に増減することができるので、パティキュレートの低減効果を必要な水準に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】パティキュレートの低減効果を検証した実験結果を示すグラフである。
【図3】各流路を全て開放したパティキュレートフィルタの比較例を示す断面図である。
【図4】従来のパティキュレートフィルタの配置状態を説明する概略図である。
【図5】図4のパティキュレートフィルタの詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
2 排気ガス
5 流路
6 多孔質薄壁
7 フィルタ本体
8 栓体
12 パティキュレートフィルタ
Claims (1)
- 多孔質材料から成り且つ排気ガスが流通する多数の流路をハニカム状に形成したフィルタ本体を備え、各流路を区画している多孔質薄壁を透過させて排気ガス中のパティキュレートを捕集し得るようにしたパティキュレートフィルタであって、気孔率を50%以上とし且つ各流路のセル数を6.45平方センチメートル当たり200以上としてフィルタ本体を構成すると共に、該フィルタ本体の各流路の入口を全て目封じせずに開放し且つ各流路の出口の適宜な割合分のみを栓体により目封じし、フィルタ本体全体に酸化触媒を一体的に担持せしめたことを特徴とするパティキュレートフィルタ。
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---|---|---|---|
JP2002270005A JP2004108203A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | パティキュレートフィルタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009000647A (ja) * | 2007-06-22 | 2009-01-08 | Tokyo Yogyo Co Ltd | 排ガス浄化用フィルタ |
JP5195416B2 (ja) * | 2006-02-17 | 2013-05-08 | 日立金属株式会社 | セラミックハニカムフィルタ及び排気ガス浄化装置 |
-
2002
- 2002-09-17 JP JP2002270005A patent/JP2004108203A/ja active Pending
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