JP2004107753A - ほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法 - Google Patents

ほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法 Download PDF

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Fumiaki Sato
佐藤 文昭
Rihei Hamada
濱田 利平
Yoshihiro Kino
城野 喜広
Takahiro Hayashida
林田 貴裕
Junichi Fujimoto
藤本 準一
Masao Komai
駒井 正雄
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Abstract

【課題】Ti添加鋼板を用い、1回のみのほうろう掛けで優れたほうろう密着性が得られる、ほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】成分がC:≦0.01重量%(以下重量%を%で示す)、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有されており、残部がFeおよび不可避的不純物からなるTi添加鋼板上に、Fe−Mo合金めっきを施し、次いで熱処理して、鋼板の表面に存在するMo、Feの量を一定範囲としたほうろう用鋼板を作成し、これに釉薬を1回掛けして焼成する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法に関する。より詳細には、Ti添加鋼板を用いた、上釉薬の直接1回掛けで優れたほうろう密着性が得られる、ほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ほうろう製品は台所・食卓用品、燃焼機器用部品、浴槽、建造物の内装材および外装材などの用途で幅広く用いられている。ほうろう製品は、通常鋼板上に下釉薬を掛けて焼成し、さらにその上に上釉薬を掛けて焼成する2回掛けで製造されているが、生産コストの低減を図るために、鋼板上に上釉薬を直接掛けて焼成するだけの直接1回掛けによる製造方法が用いられている。しかし、直接1回掛けによる製造方法においては、使用する鋼板のほうろう加工のための前処理として、酸洗を強化したりNi浸漬処理を施す必要がある。また、直接1回掛けによるほうろう製品における良好なほうろう密着性を得るための鋼板としては、製鋼段階でC量を低減し、脱酸処理を施さずに連続鋳造法を用いて製造された酸素含有量が多い高酸素鋼の圧延板が広く使用されている。しかし、高酸素鋼は一般に加工性に乏しく、厳しい加工が要求される用途への使用が制限されている。
【0003】
また、従来、鉄鋼材の表面にNiもしくはFeの一種または二種の金属とMoまたはWの一種または二種の金属との合金を被覆することにより、上釉薬とのなじみが良好で上釉薬との密着性が向上させることが特許文献1で提案されているが、該文献ではその加工性に関しては何も記載されてない。ほうろう製品はその製造工程で曲げや深しぼり加工等の厳しい加工を行なうのが多く、ほうろう用鋼板にはほうろう密着性と共に優れた加工性が要求されるが、その両者を満足するに到っていない。
【0004】
一方、台所用品や浴槽のように、厳しい加工が要求される用途には、従来からB添加鋼(特許文献2参照)やTi添加鋼の圧延板が用いられている。しかし、Ti添加鋼板は加工性には優れているものの、直接1回掛けではほうろう層に黒点欠陥が発生するため、下釉薬仕上げか、または上釉薬および下釉薬の2回掛けでほうろう層を形成しなければならなかった。そこで、本発明者らは、このような工程を省略し製造エネルギーを低減して、生産コストの低減を図ることを可能にするために、Ti添加鋼板を用いて、ほうろう密着性と加工性に優れ、且つ上釉薬の直接1回掛けで黒点欠陥のないほうろう層が得られるほうろう用鋼板を先に提供した(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭54−24413号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開平10−140286号公報
【特許文献3】
特開2002−194494号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記提案のほうろう用鋼板は、上記要求を満たすものであったが、高価なNi−Mo合金めっき皮膜を形成するため、コストの低減の点ではまだ満足するものではなかった。そのため、加工性に優れ、直接上釉薬の1回掛けでも十分な密着性が得られるような、より安価なほうろう用めっき鋼板が求められている。
本発明は、上記要求に応えようとするものであって、Ti添加鋼板を用い、上釉薬の直接1回掛けで優れたほうろう密着性と黒点欠陥のないほうろう層が得られる安価なほうろう用鋼板、その製造方法、ほうろう製品、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1のほうろう用鋼板は、成分がC:≦0.01%、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有されており、残部がFeおよび不可避的不純物からなるTi添加鋼板上にFe−Mo合金めっき皮膜を形成し、次いで熱処理してなることを特徴とする。
【0008】
本発明のほうろう用鋼板各成分の限定理由は以下の通りである。
[C]
Cは良好な加工性を確保し、ほうろうを焼成する際の気泡や黒点の発生を抑制する観点から、0.01%以下とする。
[Mn]
MnはSと結合することによって、熱間加工時の脆化による割れを抑制する効果があり、0.5%以下含有させる必要がある。0.5%を超えると鋼中の硫化物が減少して酸洗時に鋼板の粗面化の程度が減少し、アンカー効果が失われ、ほうろうの密着性が低下する。
[P]
Pは密着性を向上させる効果があるが、ほうろうを焼成する際の気泡や黒点の発生を抑制する観点から0.04%以下とする。
[S]
Sは酸洗時に鋼板の粗面化を促進して、アンカー効果によりほうろうの密着性を向上するのに有効であるが、熱間加工時の脆化による割れの原因となるので、0.04%以下とする。
[Ti]
Tiは0.01〜0.50%含有させる。この範囲をはずれた場合は硬質化して成形性が劣化する。
【0009】
請求項2のほうろう用鋼板は、請求項1のほうろう用鋼板において、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(以下EDXと呼ぶ)で測定したほうろう用鋼板の表面に存在する元素の割合が、Mo:5〜40%、Fe:60〜95%であり、かつMo+Fe=100%であることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明の請求項3のほうろう用鋼板の製造方法は、成分がC:≦0.01%、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有され、残部がFeおよび不可避的不純物からなるTi添加鋼板上に、Fe−Mo合金めっきを施し、次いで熱処理を施すことを特徴とする方法である。また、請求項4のほうろう用鋼板の製造方法は、Fe−Mo合金めっきとして、めっき皮膜中のFe量が1.5〜20.0g/m、Mo量が0.4〜7.0g/mとなるようにめっきすることを特徴とする。さらに、請求項5のほうろう用鋼板の製造方法は、前記Fe−Mo合金メッキ後の熱処理を500〜900℃の温度で施すことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の請求項6のほうろう製品は、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたほうろう用鋼板上に、ほうろう層を形成してなることを特徴とする。そして請求項7のほうろう製品の製造方法は、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたほうろう用鋼板上に、1回掛けで上釉薬を施釉薬し、次いで焼成することを特徴とする方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、所定の成分範囲に規制した極低炭素のTi添加鋼板に、Ni−Mo合金めっきに代え、より安価なFe−Mo合金めっきを施し、次いで熱処理してなるほうろう用鋼板の表面に存在するMo、Feの量を一定範囲とすることにより、上釉薬を直接1回掛けのみで施釉したほうろう製品においても優れたほうろう密着性が得られることが判明したことに基づくものである。
【0013】
本発明に用いる低炭素のTi添加鋼板は、C:≦0.01%、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるように成分を調整した。この範囲に成分を調整した鋼を連続鋳造法を用いてスラブとする。このスラブを熱間圧延、または再加熱した後熱間圧延する。次いで、硫酸酸洗など定法により酸洗して脱スケールした後、50〜95%程度の圧延率で冷間圧延し、再結晶温度以上、Ac3点以下の温度で箱形焼鈍法または連続焼鈍法により焼鈍し、次いで0.1〜5%程度の圧延率で調質圧延を施し、本発明に用いる鋼板とする。
【0014】
次いで、上記鋼板にFe−Mo合金めっきを施す。合金めっきは無電解めっき法、電解めっき法のいずれを用いてもよいが、合金組成の制御しやすさの点から電解めっき法を用いることが好ましい。めっき浴組成としては、Feイオンを硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン酸塩などの無機酸塩の形で供給し、Moイオンを金属酸塩のアンモニウム塩などの形で供給し、これにクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸やこれらの有機酸の塩を錯化剤として添加した水溶液を用いる。この水溶液に酸またはアルカリを加えてpHを2〜4に調節し、浴温を30〜50℃に調節し、陽極としてFe板を用い、5〜30A/dmの電流密度で直流電解する。めっき前の鋼板はめっきするまでの経時中に酸化したり、油脂類と接触することがあるので、前記のめっきを施す直前に、定法により脱脂処理、酸洗処理を施すことが好ましい。
【0015】
上記の合金めっきによって形成される皮膜量は、Fe量として1.5〜20.0好ましくは2.0〜6.0g/m、Mo量として0.4〜7.0好ましくは1.0〜2.0g/mである。これらの量は蛍光X線分析法を用いて求めることができる。めっき皮膜中のFe量およびMo量がこの範囲をはずれた場合は、下記に示すようにめっき後の熱処理により鋼板表面にFe、Moの元素を好適範囲で存在させることができず、良好なほうろうの密着性を得ることができない。
【0016】
上記のようにして鋼板上にFe−Mo合金めっきを施した後、熱処理を施す。熱処理は通常の鋼板の焼鈍と同様にして実施する。熱処理方法、すなわち焼鈍方法としては箱形焼鈍法、または連続焼鈍法のいずれを用いても差し支えない。焼鈍条件としては、熱処理後の鋼板表面に存在させるFe、Moの存在割合にもよるが、アンモニア分解ガスなどの還元性雰囲気中で500〜900℃の温度で1分〜15時間、好ましくは550〜750℃で1〜8時間の加熱であることが好ましい。
【0017】
以上のようにして、本発明のほうろう用鋼板を得ることができる。上記の熱処理により、めっきしている金属と鋼を構成している金属とが相互拡散し、鋼板の表面に存在するFe、Moの元素の割合が変化する。鋼板表面に存在する元素の割合は、EDXなどの表面分析装置を用いて測定することができる。熱処理後の鋼板の表面に存在するFe、Moの元素の割合が、Mo:5〜40%、Fe:60〜95%であり、好ましくはMo:5〜30%、Fe:70〜95%であり、かつMo+Fe=100%とすることにより、良好なほうろう密着性が得られる。すなわち、合金めっきを施した後に熱処理を施すことにより、めっき鋼板の表面にある程度以上のFeを含有するMo−Fe層を存在させることにより、良好なほうろう密着性が得られる。
【0018】
次いで上記のようにして得られたほうろう用鋼板は、平板の未加工の状態でほうろう加工してもよいし、曲げ加工や絞り加工を施して所望の形状に成形加工した後、ほうろう加工してもよい。通常、ほうろう加工は、下釉薬として密着性を確保するため、Ni、Coを含有した釉薬、例えばNa,KO:15〜20%、CaF:3〜6%、Al:3〜6%、B:13〜18%、SiO:50〜55%、CoO,NiO:0.3〜1.5%なる下釉薬が施釉され、その後、美麗な外観を有する上釉薬が施釉される。本発明のほうろう用鋼板を使用した場合は、通常のNi、Coを含有した下釉薬に限らず、Ni、Coを含有しない上釉薬、例えばNa,KO:10〜15%、CaF:1〜4%、Al:0〜3%、B:7〜13%、SiO:48〜50%、MgO,ZnO:0〜2%、TiO:15〜20%なる、通常の2回掛け法で用いられる上釉薬を直接施釉、焼成することによっても優れたほうろう密着性を得ることができる。ほうろう加工の条件は、釉薬を乾燥後の厚さが80〜300μmとなるように施釉した後、大気中で700〜900℃の温度で1〜5分加熱し焼成する。以上のようにして、本発明のほうろう製品を得ることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す成分を有する鋼を溶製し、7種類のスラブを製造した。これらのスラブを1160℃に加熱し、仕上げ温度880℃で熱間圧延して板厚:2.8mmの熱延板とし、650℃でコイル状に捲き取った。次いでコイルを巻き解きながら脱スケールおよび硫酸酸洗し、冷間圧延を施して板厚:0.5mm(圧延率:82%)とした後、830℃で75秒間連続焼鈍し、圧延率:0.5%で調質圧延し、冷延鋼板を得た。
【0020】
【表1】
Figure 2004107753
【0021】
上記の冷延鋼板に定法によりアルカリ脱脂、硫酸水溶液を用いて酸洗を施した後、下記のめっき浴を用い、下記の条件でFe−Mo合金を表2に示す皮膜量となるように電気めっきし、次いでアンモニア分解ガス中で表2に示す条件で熱処理し、表2に示すほうろう用鋼板を作成した。これらのほうろう用鋼板の表面に存在するFe、Moの元素の割合をEDXを用いて測定した。結果を表2に示す。なお鋼板上へのFe皮膜量に関しては測定が困難であるため、銅板上へめっきし皮膜量を確認した後、同条件で鋼板上にめっきを施し表2の皮膜量とした。
[めっき浴]
硫酸鉄          :  82g/L
モリブデン酸アンモニウム :  48g/L
クエン酸ナトリウム    :  88g/L
[めっき条件]
pH           :  3.0
浴温           :  40℃
電流密度         :  5〜20A/dm
陽極           :  Fe板
【0022】
また、比較例として、比較例2の鋼種番号Cの冷延鋼板については、上記のめっき浴を用い、上記の条件でFe−Mo合金を表2に示す皮膜量となるように電気めっきし、比較例1の鋼種番号Gの冷延鋼板については、下記のめっき浴を用い、下記のめっき条件でNiを表2に示す皮膜量となるように電気めっきし、次いでアンモニア分解ガス中で表2に示す条件で熱処理し、表2に示すほうろう用鋼板を作成した。これらのほうろう用鋼板の表面に存在するFe、Moの元素の割合をEDXを用いて測定した。結果を表2に示す。
[めっき浴]
硫酸ニッケル       : 300g/L
塩化ニッケル       :  45g/L
ホウ酸          :  30g/L
[めっき条件]
pH           :  4.0
浴温           :  55℃
電流密度         :  10A/dm
陽極           :  ニッケル板
【0023】
【表2】
Figure 2004107753
【0024】
上記のようにして得られた実施例および比較例の各ほうろう用鋼板に、上釉薬(日本フエロー株式会社製:No.02−1103/100)を、焼成後の厚さが約120μmとなるように施釉して乾燥した後、大気中で800℃で3分間焼成し、ほうろう製品の試料とした。このようにして得られた試料について、下記のようにほうろうの密着性および外観を評価した。
【0025】
[特性評価]
<密着性>
ほうろうの密着性はPEI法で評価した。
−PEI法−
油圧ハンドプレスを用いて25mm径の鋼球を8.9kNの力を作用させて上記の試料の平板部分に押しつけて変形させた後、その部分に169本の金属製導通針を押し当てて電流を通し、下記の式から絶縁性を評価した。
絶縁性(%)=(n/169)×100
ここで n:通電しなかった針の数である。次いで本式より得られた絶縁性を示す値(%)から、下記の評価基準でほうろう密着性を評価した。
◎:絶縁性=100%
○:絶縁性<100%でかつ>85%
△:絶縁性≦85%でかつ≧80%
×:絶縁性<80%
結果を表3に示す。
【0026】
<外観>
ほうろうの外観については、30cm×30cmのサイズの試験片を同一試料について10枚切り出し、泡・黒点および爪飛びの発生状況を肉眼観察して発生個数を計測し、下記の規準で評価した。
−泡・黒点−
○:泡および黒点は一切認められない。
△:10枚の試験片でトータル10個未満の泡または黒点が認められる。
×:10枚の試験片でトータル10以上の泡または黒点が認められる。
−爪飛び−
○:爪飛びは一切認められない。
△:10枚の試験片でトータル10個未満の爪飛びが認められる。
×:10枚の試験片でトータル10以上の爪飛びが認められる。
これらの結果を表3に示す。
【0027】
表3に示すように、本発明のほうろう用鋼板を用いた場合は、上釉薬の直接1回掛けのみの施釉でも、ほうろうの密着性および外観の優れたほうろう製品が得られることが判る。これに対し、比較例1、2の場合は、いずれもほうろうの密着性が劣っており、また外観においても10個以上の泡・黒点と爪飛びが観察された。
【0028】
【表3】
Figure 2004107753
【0029】
[ほうろう製品の作成]
本発明のほうろう用鋼板を用いて、以下に示すようにしてほうろう製品を作成した。
表2の実施例4および11のほうろう用鋼板を、それぞれ内径:160mm、深さ:110mmの鍋、および縦:220mm、横:400mm、深さ:8mmの石油ストーブ天板の形状にプレス成形加工し、施釉下地とした。次いで下記の釉薬を用い、下記のようにして施釉下地に4種類の方法で施釉し、次いで焼き付け、ほうろう製品とした。
【0030】
下釉薬:日本フエロー株式会社製 03−1226
上釉薬:日本フエロー株式会社製 02−2105
(1)下釉薬仕上げ(下釉薬1回掛け−1回焼成)
上記のようにしてプレス成形加工した鍋および石油ストーブ天板の施釉下地に、上記の下釉薬:03−1226を、焼成後の厚さが約100μmになるように施釉し、乾燥した後、焼成炉にて 820℃で5分間焼成した。
(2)下釉薬仕上げ後上釉薬仕上げ(2回掛け−2回焼成)
上記と同様にして下釉薬を施釉し焼成した後、その表面に上記の上釉薬:02−2105を焼成後の厚さが約100μmになるように施釉し、乾燥後、焼成炉にて820℃で5分間焼成した。
(3)下釉薬+上釉薬仕上げ(2回掛け−1回焼成)
上記と同一の鍋および石油ストーブ天板の施釉下地に、上記の下釉薬:03−1226を、焼成後の厚さが約80μmになるように施釉し、焼成することなく引き続きその上に、上記の上釉薬:2−2105を焼成後の厚さが約120μmになるように施釉し、乾燥後、焼成炉にて820℃で5分間焼成した。
(4)上釉薬仕上げ(上釉薬直接1回掛け−1回焼成)
上記と同一の鍋および石油ストーブ天板の施釉下地に、上記の上釉薬:2−2105を焼成後の厚さが約120μmになるように施釉し、乾燥後、焼成炉にて820℃で5分間焼成した。
(1)〜(4)のようにして得られた鍋および石油ストーブ天板のほうろう製品の密着性および外観を下記の要領で評価した。
【0031】
<密着性>
先に示したほうろう用鋼板のほうろう密着性の評価と同様に、PEI法を用いて評価した。
<外観>
ほうろう製品の外観を目視観察し、泡、黒点、ピンホール、爪飛び等の有無をの程度を評価した。結果を表4に示す。
【0032】
表4に示すように、本発明のほうろう製品は、下釉薬または上釉薬のみ施釉した後焼成する1回掛けの場合でも、下釉薬を施釉し焼成し、次いで上釉薬を施釉し焼成する場合、および下釉薬を施釉し次いで上釉薬を施釉し焼成する2回掛けの場合と同様に、ほうろう密着性および外観に優れている。
【0033】
また、本発明のほうろう用鋼板は、上記のようにほうろう用製品の下地としてのみならず、無機コーティングや有機コーティング皮膜を形成させる下地としても適用することができる。
【0034】
【表4】
Figure 2004107753
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明のほうろう用鋼板は、所定の成分に調整した極低炭素のTi添加鋼板にFe−Mo合金めっきを施し、次いで熱処理することにより、鋼板の表面にMo、Feを、一定範囲の量で存在させたものであり、Ni−Mo合金めっきを施した場合と同様な加工性とほうろう密着性に優れたほうろう用鋼板を得ることができる。そして、本発明のほうろう用鋼板に、上釉薬を1回掛けのみで施釉し焼成しても、ほうろう密着性に優れ、泡・黒点および爪飛びのような外観欠陥のない優れたほうろう製品が得られる。

Claims (7)

  1. 成分がC:≦0.01重量%(以下重量%を%で示す)、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有されており、残部がFeおよび不可避的不純物からなるTi添加鋼板上にFe−Mo合金めっき皮膜を形成し、次いで熱処理してなる、ほうろう用鋼板。
  2. ほうろう用鋼板の表面に存在する元素の割合が、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーで測定して、Mo:5〜40%、Fe:60〜95%であり、かつMo+Fe=100%であることを特徴とする請求項1に記載のほうろう用鋼板。
  3. 成分がC:≦0.01%、Mn:≦0.5%、P:≦0.04%、S:≦0.04%、Ti:0.01〜0.50%の関係で含有され、残部がFeおよび不可避的不純物からなるTi添加鋼板上に、Fe−Mo合金めっきを施し、次いで熱処理を施すことを特徴とする、ほうろう用鋼板の製造方法。
  4. Fe−Mo合金めっきとして、めっき皮膜中のFe量が1.5〜20.0g/m、Mo量が0.4〜7.0g/mとなるようにめっきすることを特徴とする請求項3に記載のほうろう用鋼板の製造方法。
  5. 熱処理を500〜900℃の温度で施すことを特徴とする請求項3または4に記載のほうろう用鋼板の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載のほうろう用鋼板に、ほうろう層を形成してなる、ほうろう製品。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法を用いた、ほうろう用鋼板上に、1回掛けで上釉薬を施釉薬し、次いで焼成することを特徴とする、ほうろう製品の製造方法。
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