JP2004106990A - 用紙折り装置、用紙処理装置および画像形成システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端で揺動自在に支持され、他端で互いに近接する方向に弾性付勢された一対のスイングアーム46a,46bと、1つのアームにそれぞれ回転自在に支持された折りローラ81a,81bと、折りローラ81a,81bと同軸に設けられたガイドコロ45と、一対のガイドコロ45a,45bの間に配置され、前記折りプレート81a,81bの進出後退動作に連動して進出後退動作を行う折りプレートスライダ40とを備え、折りプレート81a,81bの進出後退方向に延長した面に関して前記折りローラ81a,81bがほぼ対称に移動するように前記折りローラ81a,81bが前記アーム46a,46bに支持されるようにした。
【選択図】 図17
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成済みの用紙(記録媒体)に対して折り処理を行う用紙折り装置、用紙に対して前記用紙折り装置による折り処理を含む所定の処理を行って排紙する用紙処理装置、およびこの用紙処理装置と複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置とが一体もしくは別体に構成された画像形成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等の画像出力装置の下流側に配置され、出力される記録紙(用紙−記録媒体)に綴じ、穴あけなどの後処理を行う後処理装置は広く知られている。昨今その機能は多機能化され、従来の端面綴じに加えて中綴じ処理や中折り処理も可能としたのもが提案されている。
【0003】
従来、この種のシート処理装置では、中綴じ製本の折り手段として中央を綴じられた用紙束の綴じ部を用紙束の紙面に対して略垂直な方向に折りプレートにより押出し、用紙束を含む折りプレートの移動方向に設けた折りローラ対を通過させることによりシート束の半折り(中折り)を行っている。このような中綴じ中折り製本においては、折りローラによる折り位置と綴じ位置が正確に一致していることが重要となる。すなわち、折りローラによる折り位置と綴じ位置が正確に一致していれば、見栄えもよく、また、ページをめくったときの見開き具合も非常によくなる。したがって、前記折り位置と綴じ位置の一致がユーザの強い要望でもある。
【0004】
このような要望に応えて例えば特開平10−279177号公報記載の発明が提案されている。この発明は、用紙束を折りローラ対に通過させて折り癖をつける際に、前記折りローラが離反して生じる隙間の中央位置が常に接触時における共通接線位置と一致するように、一方の折りローラの移動に追従して他方の折りローラを相反する方向に移動させるようにしたものである。この移動は、一端部に前記折りローラがそれぞれ支持され、他端部を回動軸心として回動する一対のスイングアームと、前記回動軸の軸心間に設けられ、前記一方のスイングアームの回動に応じて他方のスイングアームを相反する方向にギヤ等の連結手段を用いて同一角度回動させることにより行われる。これにより、用紙束折り位置に対し、一対の折りローラは折り中心に対し対称的に変位しつつ加圧するため、用紙束が折りローラ対を通過する際に折り位置がずれることなく折り位置と綴じ位置を一致させることができるようになっている。
【0005】
また、特開2000−143088号公報に開示された発明も知られている。この発明は、シート束の最外層シートと内層のシートとの相対移動によるシートずれを防止し、皺や破れ等のシート損傷の発生がなく、整然とした折り処理されたシート束を得るようにすることを意図したもので、シート束の折り目部に当接する突き出し板の先端部は、駆動手段により、折りローラの圧接位置を通過する最大挿入位置まで移動して、シート束の折り目部を押し込み、折りローラは、突き出し板の先端部が最大挿入位置に到達するまでは回転を停止した状態を保持し、突き出し板の先端部が最大挿入位置に到達したとき、回転を開始するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−279177号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−143088号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように特開平10−279177号公報開示の技術では、用紙束が折りローラ対を通過する際に折り位置がずれることなく折り位置と綴じ位置を一致させることができるが、一方のスイングアームの回動に応じて他方のスイングアームを相反する方向に回動する手段として、前記回動軸心間にギヤ等の連結手段を用いている。一般的には用紙束に強い折りぐせを施すには、折りローラの加圧力をそれに応じて高い加圧力に設定する必要がある。しかし、前記回動軸心間にギヤ等の連結手段を用いて折りローラを変位させるには強度的に限界があるため、折りローラの加圧力も比較的低く設定しなくてはならない。そのため、折りぐせを施すことができる範囲に限界が生じる。このような折りぐせの弱さは中綴じ製本された冊子において、見栄えの低下や、積載トレイ上において崩れなどが発生しやすく、ユーザにとって望まれないものである。
【0009】
また、一般に用紙束が厚くなってゆくに従って、中折りの際の折りローラ対のニップ間隔が広くなり、折りプレートを正確にニップ間隔の中央に保持して押し込むことが難しくなる。加えて、この機構では、用紙のない状態で中折り動作を実行した際に折りローラ対のニップ近傍と折りプレートが干渉し、機構に無理な力がかかる場合がある。これらの解消のために折りプレートの最大押し込み位置を折りローラのニップの手前までに制限する方法もあるが、例えば用紙中央部の折られる周辺に画像が形成されトナーが用紙上に乗っているような場合、用紙束の外側と内側での用紙間の摩擦力が折りローラと用紙間の摩擦力よりも低くなる場合があり、このような場合には、用紙束の外側と内側に滑りが発生し、用紙束が十分に折りローラ対のニップに噛み込まれなかったり、スティプル部の用紙に破れが発生したりすることがある。
【0010】
一方、特開2000−143088号公報開示の技術では、突き出し板の先端部は、折りローラの圧接位置を通過する最大挿入位置まで移動して、シート束の折り目部を押し込むが、折りローラは突き出し板の先端部が最大挿入位置に到達するまでは回転を停止した状態を保持し、突き出し板の先端部が最大挿入位置に到達したとき、回転を開始するようになっている。すなわち、この発明は折りローラの回転開始タイミングを設定するもので、均等な折りぐせを付けることまでは意図していない。また、そのため、用紙束が折りローラのニップ位置を通過する際、折りローラは回転しておらず、摩擦による影響が排除されていないことから、折りローラのニップ部への確実な噛み込みが保証されているとは言い難い。
【0011】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、用紙束を確実に噛み込み、折りプレートによる折り込み位置に関して対称に綺麗に折ることができるとともに、簡便な機構で確実な中折りを可能とし、より小型で高品質な中綴じ製本処理が可能な折り装置、用紙処理装置および画像形成システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、折りプレートを用紙あるいは用紙束の用紙面に対してほぼ垂直な方向から当接させて折りローラ対のニップに押し込んで用紙を折る用紙折り装置において、一端で揺動自在に支持され、他端で互いに近接する方向に弾性付勢された一対のアームと、前記1つのアームにそれぞれ回転自在に支持された折りローラと、前記折りローラと同軸に設けられたガイドコロと、前記一対のガイドコロの間に配置され、前記折りプレートの進出後退動作に連動して進出後退動作を行う折りプレートの進退ガイドとを備え、前記折りプレートの進出後退方向に延長した面に関して前記折りローラがほぼ対称に移動するように前記折りローラが前記アームに支持されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成すると、折り目の位置を規定し、折り目を付けさせるための折りプレートと連動して移動する進退ガイドに対して折りローラが対称に移動するので、折り目に対して均等な力が加わり、精度のよい中折りが可能になる。
【0014】
第2の手段は、前記進退ガイドのガイド位置および方向を規制する規制手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
このように構成すると、進退ガイドのガイド位置及び方向が規制されるので、進退ガイドは所定の位置からずれることなく移動することが可能で、これにより、折りプレートの移動の対称性が精度よく保持できる。
【0016】
第3の手段は、第2の手段において、前記規制手段が、中央長手方向に沿って前記進退ガイドの移動距離に対応した長さ穿設されたガイド溝および前記ガイド溝に挿入されたガイドピンと、前記折りローラ対の軸方向と平行に設けられ、前記進退ガイドの前記ガイド溝を挟んだ両端に当接する一対のガイドコロとからなることを特徴とする。
【0017】
このようにガイド溝とガイドピンとガイドコロという機械的に簡単な構成で規制手段を構成することができる。
【0018】
第4の手段は、第1の手段において、前記折りプレートの先端が前記折りローラ対のニップ近傍まで押し込まれた際、前記折りローラのニップが離間するように前記進退ガイドの前記ガイドコロの当接面にカムが形成されていることを特徴とする。
【0019】
このようにカムを形成すると、カム形状に沿って折りローラを対称に離間させることができる。
【0020】
第5の手段は、第4の手段において、折りプレートが前記折りローラ対のニップ間に進入したときに少なくとも前記折りプレートの前記ニップ部への進入部の厚さよりも大寸になるように前記カムの形状が設定されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、折りプレートの先端部と折りローラのニップ部の干渉が生じないようにして、用紙束のニップ部への進入を容易にし、折り皺などがよらずに綺麗な折り目を形成することができる。
【0022】
第6の手段は、第1の手段において、前記折りプレートが前記進退ガイドに一体に設けられていることを特徴とする。
【0023】
折りプレートを進退ガイドに一体に設けると、確実な連動動作が可能になり、両者の相対的な位置がずれることはない。
【0024】
第7の手段は、用紙束の中央部を綴じる綴じ手段と、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の折り装置とを備えていることを特徴とする。
【0025】
このように構成すると、綴じ位置で確実に2つに折り込むことができ、綺麗な折り目の製本が可能になる。
【0026】
第8の手段は、第6の手段に係る用紙処理装置と、用紙に対して可視画像を形成する画像形成装置とが一体または別体に構成されていることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
1.機械的構成
1.1 全体構成
図1は本発明の実施形態に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図であり、図では、用紙後処理装置の全体と画像形成装置の一部を示している。
【0029】
図1において、用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取付けられており、画像形成装置PRの搬出口95から排出された記録媒体、ここでは用紙は用紙後処理装置PDの搬入口18に導かれる。前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路B、シフトトレイ202へ導く搬送路C、整合およびスティプル綴じ等を行う処理トレイF(以下スティプル処理トレイとも称する)へ導く搬送路Dへ、それぞれ分岐爪15および分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0030】
搬送路AおよびDを経てスティプル処理トレイFへ導かれ、スティプル処理トレイFで整合およびスティプル等を施された用紙は、偏向手段である分岐ガイド板54と可動ガイド55により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す処理トレイG(以下、中折り処理トレイとも称する)へ振り分けられるように構成され、中折り処理トレイGで折り等を施された用紙は搬送路Hを通り下トレイ203へ導かれる。また、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、用紙後端がこれを通過した後、搬送ローラ9、10、スティプル排紙ローラ11の内少なくとも搬送ローラ9を逆転し、さらにプレスタックローラ8を逆転させて用紙後端を用紙収容部Eへ導いて滞留させ、次用紙が搬送されてきた際に少なくとも搬送ローラ9およびプレスタックローラ8を正転させて前用紙を次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。
【0031】
搬送路B、搬送路Cおよび搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置から受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかすホッパ101、搬送ローラ2、分岐爪15および分岐爪16が順次配置されている。分岐爪15、分岐爪16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に、各々回動することによって、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。なお、符号101aはパンチかすの受入口を示す。
【0032】
搬送路Bへ用紙を導く場合は、分岐爪15は図1の状態で前記ソレノイドはOFF、搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となり、搬送路Dへ用紙を導く場合は、分岐爪16は図1の状態で前記ソレノイドはOFF、分岐爪15は図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、上方に回動した状態となる。
【0033】
この用紙後処理装置では、用紙に対して、穴明け(パンチユニット100)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じスティプラS1)、用紙揃え+中綴じ(ジョガーフェンス53、中綴じスティプラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81,82)などの各処理を行うことができる。
【0034】
1.2シフトトレイ部
この用紙後処理装置PDの最下流部に位置するシフトトレイ排紙部Iは、シフト排紙ローラ6と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、図2に示すシフト機構Jと、図3に示すシフトトレイ昇降機構Kとにより構成される。なお、図2はシフト機構Jの詳細を示す要部を拡大した斜視図、図3はシフトトレイ昇降機構Kの要部を拡大した斜視図である。
【0035】
図1および図3において、符号13はシフト排紙ローラ6から排出された用紙と接して前記用紙の後端を図2に示すエンドフェンス32に突き当てて揃えるためのスポンジ製のコロを示す。この戻しコロ13は、シフト排紙ローラ6の回転力で回転するようになっている。戻しコロ13の近傍にはトレイ上昇リミットスイッチ333が設けられており、シフトトレイ202が上昇して戻しコロ13を押し上げると、前記トレイ上昇リミットスイッチ333がオンしてトレイ昇降モータ168が停止する。これによりシフトトレイ202のオーバーランが防止される。また、戻しコロ13の近傍には、図1に示すように、シフトトレイ202上に排紙された用紙もしくは用紙束の紙面位置を検知する紙面位置検知手段としての紙面検知センサ330が設けられている。
【0036】
図1に詳細には図示していないが、紙面検知センサ330は、図3に示す紙面検知レバー30と、紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bとから構成されている。紙面検知レバー30は、レバーの軸部を中心に回動可能に設けられ、シフトトレイ202に積載された用紙の後端上面に接触する接触部30aと扇形の遮蔽部30bとを備えている。上方に位置する紙面検知センサ(スティプル用)330aは主にスティプル排紙制御に用いられ、紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは主にシフト排紙制御に用いられる。
【0037】
本実施形態では、紙面検知センサ(スティプル用)330aおよび紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは、遮蔽部30bによって遮られたときにオンするようになっている。したがって、シフトトレイ202が上昇して紙面検知レバー30の接触部30aが上方に回動すると、紙面検知センサ(スティプル用)330aがオフし、さらに回動すると紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bがオンする。用紙の積載量が所定の高さに達したことが紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bによって検知されると、シフトトレイ202はトレイ昇降モータ168の駆動により所定量下降する。これにより、シフトトレイ202の紙面位置は略一定に保たれる。
【0038】
1.2.1 シフトトレイの昇降機構
シフトトレイ202の昇降機構について詳細に説明する。
【0039】
図3に示すようにシフトトレイ202は、駆動ユニットLにより駆動軸21が駆動されることにより昇降する。駆動軸21と従動軸22との間にはタイミングベルト23がタイミングプーリを介してテンションをもって掛けられ、このタイミングベルト23にシフトトレイ202を支持する側板24が固定されている。このように構成することにより、シフトトレイ202を含むユニットが昇降可能にタイミングベルト23に吊り下げられている。
【0040】
駆動ユニットLは、トレイ昇降モータ168とウォームギア25とから構成され、駆動源としての正逆転可能なトレイ昇降モータ168で発生した動力が、ウォームギヤ25を介して駆動軸21に固定されたギヤ列の最終ギヤに伝達され、シフトトレイ202を上下方向に移動させるるようになっている。動力伝達系統がウォームギヤ25を介しているため、シフトトレイ202を一定位置に保持することができ、このギア構成により、シフトトレイ202の不意の落下事故等を防止することが可能となっている。
【0041】
シフトトレイ202の側板24には、遮蔽板24aが一体に形成され、下方には積載用紙の満載を検出する満杯検知センサ334と下限位置を検出する下限センサ335が配置されており、遮蔽板24aによって満杯検知センサ334と下限センサ335とがオン・オフされるようになっている。満杯検知センサ334と下限センサ335はフォトセンサであり、遮蔽板24aによって遮られたときにオンするようになっている。なお、図3において、シフト排紙ローラ6は省略している。
【0042】
シフトトレイ202の揺動(シフト)機構は図2に示すように、シフトモータ169とシフトカム31とからなり、シフトモータ169を駆動源としてシフトカム31を回転させることにより、シフトトレイ202は用紙排紙方向と直交する方向に往復動する。シフトカム31には回転軸中心から一定量離れた位置にピン31aが立てられ、そのピン31aの他端部がエンドフェンス32の係合部材32aの長孔部32bに遊嵌されている。係合部材32aはエンドフェンス32の背面(シフトトレイ202が位置しない側の面)に固定され、前記シフトカム31のピン31aの回動位置に応じて、用紙排紙方向と直交する方向に往復動し、これにともなってシフトトレイ202も用紙排紙方向と直交する方向に移動する。シフトトレイ202は図1において手前側と奥側の2つの位置で停止し(図2のシフトカム31の拡大図に対応)、その停止制御はシフトカム31の切り欠きをシフトセンサ336により検出し、この検出信号に基づいてシフトモータ169をON、OFF制御することにより行われる。
【0043】
エンドフェンス32の前面側には、前記シフトトレイ202の案内用の突条32cが設けられ、シフトトレイ202の後端部がこの突条32cに上下動自在に遊嵌され、これにより、シフトトレイ202は上下動可能かつ用紙搬送方向と直交する方向に往復動可能にエンドフェンス32に支持される。なお、エンドフェンス32はシフトトレイ202上の積載紙の後端をガイドし、後端を揃える機能を有する。
【0044】
1.2.2 排紙部
図4はシフトトレイ202への排紙部の構造を示す斜視図である。
【0045】
図1および図4において、シフト排紙ローラ6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bを有し、従動ローラ6bは用紙排出方向上流側を支持され、上下方向に揺動自在設けられた開閉ガイド板33の自由端部に回転自在に支持されている。従動ローラ6bは自重または付勢力により駆動ローラ6aに当接し、用紙は両ローラ6a,6b間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束が排出される時は、開閉ガイド板33が上方に引き上げられ、所定のタイミングで戻されるようになっており、このタイミングはシフト排紙センサ303の検知信号に基づいて決定される。その停止位置は排紙ガイド板開閉センサ331の検知信号に基づいて決定され、排紙ガイド板開閉モータ167により駆動される。なお、排紙ガイド板開閉モータ167は排紙ガイド板開閉リミットスイッチ332のオンオフにより駆動制御される。
【0046】
1.3 スティプル処理トレイ
1.3.1 スティプル処理トレイの全体構成
スティプル処理を施すスティプル処理トレイFの構成を詳細に説明する。
【0047】
図5はこのスティプル処理トレイFを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図、図6はスティプル処理トレイFとその駆動機構を示す斜視図、図7は用紙束の放出機構を示す斜視図である。まず、図6に示すように、スティプル排紙ローラ11によってスティプル処理トレイFへ導かれた用紙は、スティプル処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙ごとに叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向−用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、制御装置(図16参照)からのスティプル信号により端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束は、ただちに放出爪52aが突設された放出ベルト52によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受取り位置にセットされているシフトトレイ202に排出される。
【0048】
1.3.2 用紙放出機構
放出爪52aは、図7に示すように、放出ベルトHPセンサ311によりそのホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。この放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、スティプル処理トレイFに収容された用紙束を交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転し、これから用紙束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52a’の背面でスティプル処理トレイFに収容された用紙束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。したがって、この放出爪52aは用紙束の用紙搬送方向の揃え手段としても機能する。
【0049】
また、図5に示すように、放出モータ157により駆動される放出ベルト52の駆動軸には、用紙幅方向の整合中心に放出ベルト52とその駆動プーリ62とが配置され、駆動プーリ62に対して対称に放出ローラ56が配置、固定されている。さらに、これらの放出ローラ56の周速は放出ベルト52の周速より速くなるように設定されている。
【0050】
1.3.3 処理機構
図6に示すように、叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL(ソレノイド)170によって振り子運動を与えられ、スティプル処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙を後端フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12は反時計回りに回転する。
【0051】
ジョガーフェンス53は、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に往復移動する。
【0052】
端面綴じスティプラS1は、図8のステイプラS1を移動機構とともに示す斜視図から分かるように、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、用紙幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じスティプラS1移動量により制御される。端面綴じスティプラS1は、図9の斜視図に示すように針の打ち込み角度を用紙端部と平行あるいは斜めに変更できるように、さらには、前記ホームポジション位置でスティプラS1の綴じ機構部だけを所定角度斜めに回転させ、スティプル針の交換が容易にできるように構成されている。スティプラS1は斜めモータ160によって斜め回転し、針交換位置センサ313によって所定の斜めの角度に、あるいは、前記針の交換位置まで達したことが検出されると、斜めモータ160は停止する。斜め打ちが終了し、あるいは針交換が終了すると、元の位置まで回転して次のスティプルに備える。
【0053】
中綴じスティプラS2は図1および図5に示すように、後端フェンス51から中綴じスティプラS2の針打ち位置までの距離が、中綴じ可能な最大用紙サイズの搬送方向長の半分に相当する距離以上となるように配置され、かつ、用紙幅方向の整合中心に対して対称に2つ配置され、ステー63に固定されている。中綴じスティプラS2自体は公知の構成なので、ここでは詳細についての説明は省略するが、中綴じを行う場合、ジョガーフェンス53で用紙の搬送方向に直交する方向が整合され、後端フェンス51と叩きコロ12用紙の搬送方向が整合された後、放出ベルト52を駆動して放出爪52で用紙束の後端部を持ち上げ、中綴じスティプラS2の綴じ位置に用紙束の搬送方向の中央部が位置するようにし、この位置で停止して、綴じ動作を実行させる。そして、綴じられた用紙束は、中折り処理トレイG側に搬送され、中折りされる。詳細は後述する。
【0054】
なお、図中符号64aは前側板、64bは後側板であり、符号310はスティプル処理トレイF上の用紙の有無を検出する紙有無センサである。
【0055】
1.4 用紙束偏向機構
前記スティプル処理トレイFで中綴じが行われた用紙束は用紙の中央部で中折りされる。この中折りは中折り処理トレイGで行われる。そのためには、綴じた用紙束を中折り処理トレイGに搬送する必要がある。この実施形態では、スティプル処理トレイFの搬送方向最下流側に、用紙束偏向手段が設けられ、中折り処理トレイG側に用紙束を搬送する。
【0056】
用紙束偏向機構は、図1および図15のスティプル処理トレイFと中折り処理トレイG部分の拡大図に示すように分岐ガイド板54と可動ガイド55とからなる。分岐ガイド板54は図10ないし図12の動作説明図に示すように支点54aを中心に上下方向に揺動自在に設けられ、その下流側に回転自在な加圧コロ57が設けられ、スプリング58により放出ローラ56側に加圧される。また、分岐ガイド板54の位置は、束分岐駆動モータ161より駆動力を得て回転するカム61のカム面61aとの当接位置によって規定される。
【0057】
可動ガイド55は放出ローラ56の回転軸に揺動自在に支持され、可動ガイド55の一端(分岐ガイド板54とは反対側の端部)には連結部60aで回動自在に連結されたリンクアーム60が設けられている。リンクアーム60は図5に示す前側板64aに固定された軸と長孔部60bでされており、これにより可動ガイド55の揺動範囲は規制される。また、スプリング59により下方に付勢されることによって図10の位置に保持される。さらに、束分岐駆動モータ161より駆動を得て回転するカム61のカム面61bによりリンクアーム60が押されると、連結されている可動ガイド55は上方へ回動する。束分岐ガイドHPセンサ315はカム61の遮蔽部61cを検知してカム61のホームポジションを検知する。これにより、カム61はそのホームポジションを基準として束分岐駆動モータ161の駆動パルスをカウントすることにより、停止位置の制御が行われる。
【0058】
図10は、カム61がホームポジションに位置した時の分岐ガイド板54と可動ガイド55の位置関係を示す動作説明図である。可動ガイド55のガイド面55aはシフト排紙ローラ6への経路において、用紙をガイドする機能を有する。図11は、カム61が回転することにより、分岐ガイド板54が支点54aを中心として図において反時計方向(下方)へ回動し、加圧コロ57が放出ローラ56側に接触して加圧している状態を示す動作説明図である。
【0059】
図12は、カム61がさらに回転することにより、可動ガイド55が図において時計方向(上方)に回動し、スティプル処理トレイFから中折り処理トレイGに導く経路を分岐ガイド板54と可動ガイド55とで形成した状態を示す動作説明図である。また、図5には奥行き方向の位置関係を示す。
【0060】
この実施形態では、分岐ガイド板54と可動ガイド55は1つの駆動モータにより動作するが、個々に駆動モータを設けて、用紙サイズや綴じ枚数に応じて、移動タイミングや停止位置を制御可能に構成しても良い。
【0061】
1.5 中折り処理トレイ
1.5.1 各部構成
図13および図14は中折りを行うための折りプレート74の移動機構の動作説明図である。
【0062】
折りプレート74は前後側板64a、64bに立てられた各2本の軸64cに長孔部74aを遊嵌することにより支持され、さらに、折りプレート74から立設された軸部74bがリンクアーム76の長孔部76bに遊嵌され、リンクアーム76が支点76aを中心に揺動することにより、折りプレート74は図13および図14中を左右に往復移動する。すなわち、リンクアーム76の長孔部76cに折りプレート駆動カム75の軸部75bは遊嵌されており、折りプレート駆動カム75の回転運動によりリンクアーム76は揺動し、これに応じて、図15において、折りプレート74は束搬送ガイド板下上91,92に対して垂直な方向に往復動する。
【0063】
折りプレート駆動カム75は折りプレート駆動モータ166により図13中の矢印方向に回転する。その停止位置は半月形状の遮蔽部75a両端部を折りプレートHPセンサ325により検知することで決定される。
【0064】
図13は、処理トレイGの用紙束収容領域から完全に退避したホームポジション位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域に突出する。図14は、処理トレイGの用紙束中央を折りローラ81のニップに押し込む位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域から退避する。
【0065】
なお、この実施形態では、中折りについては用紙束を折ることを前提にしているが、この発明は1枚の用紙を折る場合でも適用できる。この場合は、1枚だけで中綴じが不要なので、1枚排紙された時点で中折り処理取り柄G側に送り込み、折りプレート74と折りローラとによって折り処理を実行して下トレイに排紙するようにする。
【0066】
1.6 折り機構
図16は折り機構部を示す斜視図で、同図では、折り機構部の片側を省略して表し、構造体となる側板などは省略されている。図17および図18は図16に示した折り機構部の側面図であり、一部を透視し、側板などは省略されている。
【0067】
これらの図において、折りローラ81a,81bはそれぞれ折りローラ駆動ギヤ44a,44bと同軸の支点44c,44dのスイングアーム46a,46bによって支持されている。スイングアーム46a,46bの自由端側には弾性付勢手段として加圧スプリング47が装着され、前記自由端を互いに近接させる方向に弾性付勢し、折りローラ20a,20bのニップ間に圧力がかけられている。折りローラ81a,81bには、同軸に折りローラギヤ43a、43bが設けられ、それぞれ折りローラ駆動ギヤ44a、44bと噛み合っており、図示しない駆動部から折りローラ駆動ギヤ44a,44bを回転駆動することにより、折りローラ20a,20bを駆動する。なお、駆動部は、例えば駆動モータおよび減速歯車列、あるいはタイミングベルトなどが一般に使用される。
【0068】
前記折りローラギヤ43a,43bには図16に示すように同外径の平滑な折りローラガイドコロ部45a,45bがそれぞれ同軸に一体に設けられ、この部分で、折りプレートスライダ40の摺動をガイドする。折りプレートスライダ40は、折りプレートスライダ案内ミゾ40bを有し、図示しない側板に固定されたスライダガイドピン42とスライダガイドコロ41a,41bに沿って図13および図14に示した機構によって図示の矢印方向に進出し、後退する。折りプレート74は折りプレートスライダ40の後端側中央に折りプレート74の進出後退方向に沿って一体に延設され、折りプレートスライダ40の進出後退動作に伴って折りローラ81a,81bのニップ間に対して進出、後退する。
【0069】
折りプレートスライダ40には、折りローラガイドコロ部41a,41bと摺動する面に、折りプレートスライダ傾斜部40aを有し、折りプレートスライダ4が折りローラ81a,81bのニップ付近に押し込まれたあたりで折りプレートスライダ傾斜部40aによって折りローラガイドコロ部41a,41bを押し、折りローラ81a,81bのニップ間を広げる機能を有する。
【0070】
図17は図13に対応し、折りプレート74が後退した待機位置の状態を示している。折りローラ81a,81bには、折りローラスイングアーム46a,46bの自由端にかけられた加圧スプリング47によってニップ圧がかかるようになっているが、折りローラガイドコロ部45a,45bが折りプレートスライダ40に当たることによって、用紙の無い状態でのニップ圧を緩和している。
【0071】
図18は図14に対応し、折りプレート74が進出した状態、ここでは用紙束が無い状態で折り動作を行なった状態を示している。この状態は、折りプレートスライダ40が矢印で示した方向に進み、折りプレート74が折りローラ81a,81bとの間のニップ間に進入した状態である。この状態では、折りプレートスライダ40の折りプレートスライダ傾斜部40aによって折りローラガイドコロ部45a,45bをそれぞれ押すことによって折りローラ81a,81bとのニップ間が広げられるが、このとき広げられるニップ間隔は折りプレート74の先端部の厚さより広く設定され、折りプレート74が折りローラ81a,81bのニップよりも奥へ進入しても、折りローラ81a,81bと干渉することがないようにされている。
【0072】
2.制御装置
制御装置350は、図16に示すように、CPU360、I/Oインターフェース370等を有するマイクロコンピュータからなり、画像形成装置PR本体のコントロールパネルの各スイッチ等、および入口センサ301、上排紙センサ302、シフト排紙センサ303、プレスタックセンサ304、スティプル排紙センサ305、紙有無センサ310、放出ベルトホームポジションセンサ311、スティプル移動ホームポジションセンサ312、スティプラ斜めホームポジションセンサ313、束分岐ガイドホームポジションセンサ315、束到達センサ321、可動後端フェンスホームポジションセンサ322、折り部通過センサ323、下排紙センサ324、折りプレートホームポジションセンサ325、紙面検知センサ330,330a,330b、排紙ガイド板開閉センサ331等の各センサからの信号がI/Oインターフェース370を介してCPU360へ入力される。
【0073】
CPU360は、入力された信号に基づいて、シフトトレイ202用のトレイ昇降モータ168、開閉ガイド板を開閉する排紙ガイド板開閉モータ167、シフトトレイ202を移動するシフトモータ169、叩きコロ12を駆動する図示しない叩きコロモータ、叩きSOL170等の各ソレノイド、各搬送ローラを駆動する搬送モータ、各排紙ローラを駆動する排紙モータ、放出ベルト52を駆動する放出モータ157、端面綴じスティプラS1を移動するスティプラ移動モータ159、端面綴じスティプラS1を斜めに回転させる斜めモータ160、ジョガーフェンス53を移動させるジョガーモータ158、分岐ガイド板54および可動ガイド55を回動する束分岐駆動モータ161、その束を搬送する搬送ローラを駆動する図示しない束搬送モータ、可動後端フェンス73を移動させる図示しない後端フェンス移動モータ、折りプレート74を移動させる折りプレート駆動モータ166、折りローラ81を駆動する図示しない折りローラ駆動モータ等の駆動を制御する。スティプル排紙ローラを駆動する図示しないスティプル搬送モータのパルス信号はCPU360に入力されてカウントされ、このカウントに応じて叩きSOL170およびジョガーモータ158が制御される。なお、折りローラ駆動モータはステッピングモータからなり、CPU360からモータドライバを介して直接的に、あるいは、I/O370とモータドライバを介して間接的に制御される。
【0074】
また、パンチユニット100もクラッチやモータを制御することによりCPU360の指示によって穴明けを実行する。
【0075】
なお、用紙後処理装置PDの制御は前記CPU360が図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。
【0076】
3.全体動作
以下、前記CPU360によって実行される本実施形態に係る用紙後処理装置の動作について説明する。
【0077】
本実施形態では、後処理モードに応じて下記の排出形態をとる。本実施例では、後処理モードに応じて下記の排出形態をとる。
【0078】
▲1▼ ノンスティプルモードa:搬送路A、搬送路Bを通り搬送ローラ3,4によって用紙を搬送し、上トレイ201へ排出するモードである。
【0079】
▲2▼ ノンスティプルモードb:搬送路A、搬送路Cを通り、搬送ローラ5によってシフト排紙ローラ6に搬送され、シフトトレイ202へ排出するモードである。
【0080】
▲3▼ ソート、スタックモード:搬送路A、搬送路Cを通り、搬送ローラ5によってシフト排紙ローラ6に搬送され、シフトトレイ202へ排出される。その際、シフトトレイ202が、部の区切れ毎に排紙方向と直交方向に揺動することにより排出する用紙を仕分ける。
【0081】
▲4▼ スティプルモード:搬送路A、搬送路Dを経て処理トレイFで整合及び綴じを施し、搬送路Cを通りシフトトレイ202へ排出するモードである。
【0082】
▲5▼ 中綴じ製本モード:搬送路A、搬送路Dを経て処理トレイFで整合及び中央綴じを施し、更に処理トレイGで中央折りを施して搬送路Hを通り、下トレイ203へ排出するモードである。
【0083】
ノンスティプルモードやスティプルモードは折り処理を行わないので、ここでの説明は省略する。
【0084】
図20ないし図27は中綴じ製本モード時の動作を示す動作説明図で、これらの図では、簡略のために折りプレートスライダ40は省略している。中綴じ製本モードでは、搬送路Aから分岐爪15分岐爪16で振り分けられた用紙は、搬送ローラ対7,9.10によって搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7搬送ローラ9搬送ローラ10スティプル排紙ローラ11により処理トレイFに排出される。処理トレイFでは、排紙ローラ11により順次排出される用紙を整合する(図20)。その後、用紙束は放出爪52aにより用紙サイズ毎に設定された所定距離下流へ運ばれ、その中央を中綴じスティプラS2により綴じ処理される(図21)。綴じられた用紙束は放出爪52aにより下流へ用紙サイズ毎に設定された所定距離搬送され、用紙束先端部は放出ローラ56と加圧コロ57により挟持され、分岐ガイド板54と可動ガイド55とが回動することによって形成される処理トレイGへの経路を再度放出爪52aと放出ローラ56により下流へ搬送される(図22、図23)。この放出ローラ56は放出ベルト52の駆動軸に設けられており放出ベルト52と同期して駆動される。そして、その用紙束は束搬送ローラ上71と束搬送ローラ下72により、予めその用紙サイズに応じた位置にホームポジションから移動し、下側の端面をガイドするべく停止している可動後端フェンス73まで搬送される。このとき、放出爪52aは、放出ベルト52の外周上に対向する位置に配置されたもう1つの放出爪52a′が後端フェンス51近傍に達した位置で停止し、分岐ガイド板54と可動ガイド55はホームポジションへ復帰し、次の用紙に備える。
【0085】
可動後端フェンス73に突き当てられた用紙束は、束搬送ローラ下72の加圧を解除される(図24)。その後、綴じられた針部近傍は略直角方向に折りプレート74により押され、その対向する折りローラ81のニップへと導かれる(図25)。予め回転していた折りローラ81はその用紙束を加圧搬送することによって用紙束中央に折りを施す。折りを施された用紙束先端は第2の折りローラ82のニップ部に進入する(図26)。この時点で折りローラ81と第2の折りローラ82は回転を停止し、所定時間経過した後、再度搬送される。そして、第2の折りローラ対82によって折りぐせを強化し、下排紙ローラ83により下トレイ203へ排出する(図27)。このとき、用紙束後端が折り部通過センサ323に検知されると、折りプレート74、可動後端フェンス73はホームポジションに復帰し、束搬送ローラ下72の加圧は復帰され、次の用紙に備える。また、次のジョブが同用紙サイズ同枚数であれば、可動後端フェンス73はその位置で待機しても良い。なお、可動後端フェンスは一対のプーリ73a,73bに張設されたタイミングベルト73cによって両プーリ73a,73b間で図示しないモータによって昇降動作を行うことができる。
【0086】
4.折り機構の動作
図28ないし図31は本発明の実施形態に係る折り機構の動作を示す動作説明図である。
【0087】
図28は中折り部に用紙束Pが搬送された状態を示す図(図24)に対応)である。用紙束Pは、搬送方向中央部を図21に示したように中綴じスティプラS2で中綴じ(スティプル綴じ)され、画像形成装置PR本体から送られた用紙サイズ信号により可動フェンス73によって後端を位置決めされている。この状態から図29に示すように折りプレートスライダ40が矢印で示した方向に移動し、折りプレートスライダ40に固定されている折りプレート74が用紙束Pのスティプル位置を折り、折った先端部を折りローラ81a,81bのニップ間に押し込んでいく。それに従い、折りローラ駆動ギヤ44a,44bが図示しない駆動部からの動力で矢印方向に回転し、それによって折りローラギヤ43a,43bを回転させ、折りローラ81a,81bが互いに同速で用紙束Pをニップ間に挟み込むように回転する。用紙束Pが挟み込まれた折りローラ81aと81bは用紙束Pの厚さ分ニップ間隔が広がるが、折りプレートスライダ40はスライダガイドコロ41a,41bによって用紙束Pの厚み方向が規制され、スライダガイドピン42によって厚み方向の中央部が規制されているため、折りローラ81a,81bは折りプレート74を中心に上下に均等に互いに折りローラスイングアーム46a,46bの回動により広がる。
【0088】
図30はこのようにして折りプレート74が最も奥まで用紙束Pを押し込んだ状態である。すなわち、図29の状態から折りプレートガイド40が図中の矢印方向に進み、折りプレート74が最も奥まで進んでいる。図では折りプレートスライダ傾斜部40aが折りローラガイドコロ部45a,45bに接触しているように見えるが、実際は用紙束Pの厚さで折りローラ81aと81bのニップ間が広がる量の方が大きく、用紙束Pには折りのためのニップ圧が十分にかけられる。この状態では、折りローラ81a,81bは回転を継続し、用紙束Pを挟み込んで搬送する。
【0089】
このようにして折りプレート74が最大限進出すると、図31に示すように折りプレート74は後退し、折りプレート74は用紙間から離脱する。一方、折られた用紙束Pは、折りローラ81a,81bの回転によって搬送され、前述の図27の状態から下排紙トレイ203に排紙され、積載される。
【0090】
なお、本実施形態での動作では、折りプレート74の押し込み速度と押し込み量、折りローラ81a,81bの回転速度、折りプレート74の引き抜き(後退)タイミングや引き抜き(後退)速度は、折りプレートスライダ40と折りローラ駆動ギヤ44a,44bの駆動を独立した駆動系にすることによって画像形成装置PR本体から送られた信号により用紙束Pの枚数や用紙サイズごとに任意に設定することができる。
【0091】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、用紙束を確実に噛み込み、折りプレートによる折り込み位置に関して対称に綺麗に折ることができる。また、簡便な機構で確実な中折りを可能とし、より小型で高品質な中綴じ製本処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置を主に示す用紙処理装置と画像形成装置とからなる画像処理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフト機構の詳細を示す要部を拡大した斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフトトレイ昇降機構の要部を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフトトレイへの排紙部の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイとその駆動機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束の放出機構を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の端面綴じステイプラを移動機構とともに示す斜視図である。
【図9】図8における端面綴じスティプラの斜め回動機構を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、用紙あるいは用紙束をシフトトレイに排紙するときの状態を示す。
【図11】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図10の状態から分岐ガイド板が放出ローラ側に回動した状態を示す。
【図12】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図11の状態から可動ガイドが分岐ガイド板側に回動し、中折り処理トレイ側に用紙束を偏向する経路を形成した状態を示す。
【図13】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の折りプレートスライダと折りプレートの移動機構の動作説明図で、中折り動作に入る前の状態を示す。
【図14】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の折りプレートスライダと折りプレートの移動機構の動作説明図で、中折り後、初期位置に戻るときの状態を示す。
【図15】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイと中折り処理トレイの詳細を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の制御回路を画像形成装置とともに示すブロック図である。
【図17】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の折り機構部を示す要部斜視図である。
【図18】図17に示した折り機構部の初期状態を示す側面図である。
【図19】図17に示した折り機構部の折り動作時の状態を示す側面図である。
【図20】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、ジョガーフェンスにより用紙端面がずれないようにしたときの状態を示す。
【図21】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、中綴じスティプラによって中綴じを行うときの状態を示す。
【図22】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、分岐ガイド板と可動ガイド板が閉鎖状態となって用紙束を中折り処理トレイに導くときの状態を示す。
【図23】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、中折り部に用紙束が搬送された状態を示す。
【図24】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、中折り部の中折り位置に用紙束が位置し、中折りが開始されるときの状態を示す。
【図25】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、折りプレートスライダが移動し、折りプレートが折った先端部を折りのニップ間に押し込んだ状態を示す。
【図26】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、折りプレートが最も奥まで用紙束を押し込んだ状態を示す。
【図27】中折り処理モード時の動作を示す動作説明図で、折りプレートが後退し、用紙間から離脱した状態を示す。
【図28】本発明の実施形態に係る折り機構の動作を示す動作説明図で、中折り部に用紙束が搬送された状態を示す。
【図29】本発明の実施形態に係る折り機構の動作を示す動作説明図で、折りプレートスライダが移動し、折りプレートが折った先端部を折りローラのニップ間に押し込んだ状態を示す。
【図30】本発明の実施形態に係る折り機構の動作を示す動作説明図で、折りプレートが最も奥まで用紙束を押し込んだ状態を示す。
【図31】本発明の実施形態に係る折り機構の動作を示す動作説明図で、折りプレートが後退し、用紙間から離脱した状態を示す。
【符号の説明】
40 折りプレートスライダ
40a,40b 折りプレートスライダ傾斜部
41a,41b ガイドコロ
42 ガイドピン
43a,43b 折りローラギア
44a,44b 折りローラ駆動ギア
44c,44d 支点
45a,45b ガイドコロ
46a,46b スイングアーム
47 加圧スプリング
74 折りプレート
81a,81b 折りローラ
Claims (8)
- 折りプレートを用紙あるいは用紙束の用紙面に対してほぼ垂直な方向から当接させて折りローラ対のニップに押し込んで用紙を折る用紙折り装置において、
一端で揺動自在に支持され、他端で互いに近接する方向に弾性付勢された一対のアームと、
前記1つのアームにそれぞれ回転自在に支持された折りローラと、
前記折りローラと同軸に設けられたガイドコロと、
前記一対のガイドコロの間に配置され、前記折りプレートの進出後退動作に連動して進出後退動作を行う進退ガイドと、
を備え、前記折りプレートの進出後退方向に延長した面に関して前記折りローラがほぼ対称に移動するように前記折りローラが前記アームに支持されていることを特徴とする用紙折り装置。 - 前記進退ガイドのガイド位置および方向を規制する規制手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の用紙折り装置。
- 前記規制手段が、
中央長手方向に沿って前記進退ガイドの移動距離に対応した長さ穿設されたガイド溝および前記ガイド溝に挿入されたガイドピンと、
前記折りローラ対の軸方向と平行に設けられ、前記進退ガイドの前記ガイド溝を挟んだ両端に当接する一対のガイドコロと、
からなることを特徴とする請求項2記載の用紙折り装置。 - 前記折りプレートの先端が前記折りローラ対のニップ近傍まで押し込まれた際、前記折りローラのニップが離間するように前記進退ガイドの前記ガイドコロの当接面にカムが形成されていることを特徴とする請求項1記載の用紙折り装置。
- 折りプレートが前記折りローラ対のニップ間に進入したときに少なくとも前記折りプレートの前記ニップ部への進入部の厚さよりも大寸になるように前記カムの形状が設定されていることを特徴とする請求項4記載の用紙折り装置。
- 前記折りプレートが前記進退ガイドに一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の用紙折り装置。
- 用紙束の中央部を綴じる綴じ手段と、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折り装置と、
を備えていることを特徴とする用紙処理装置。 - 請求項7記載の用紙処理装置と、
用紙に対して可視画像を形成する画像形成装置と、
が一体または別体に構成されていることを特徴とする画像形成システム。
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