JP2004106099A - 電動工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】前方蓋板9をトルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌め込んで係止することにより、このトルクアジャスタ7の前方端部の径を小さくすることができるようにすると共に組み立て作業性も向上させることができる電動工具を提供する。
【解決手段】トルクアジャスタ7の前方端面にほぼ五角形状の前方開口部7aが形成されると共に、この前方開口部7a内の後方の5箇所に外周側にえぐられた係止部7cが形成され、外周部から周方向に沿って引き出された弾性部9cと、この弾性部9cの先端部であって外周面よりも外側に突出する部分を有する突起部9dとからなる戻り止め部9bが全周の5箇所に形成された前方蓋板9の内径側でスピンドル4の軸受を行うと共に、外周面をこのトルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌合させて各戻り止め部9bの突起部9dをそれぞれ係止部7cに係止させた構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】トルクアジャスタ7の前方端面にほぼ五角形状の前方開口部7aが形成されると共に、この前方開口部7a内の後方の5箇所に外周側にえぐられた係止部7cが形成され、外周部から周方向に沿って引き出された弾性部9cと、この弾性部9cの先端部であって外周面よりも外側に突出する部分を有する突起部9dとからなる戻り止め部9bが全周の5箇所に形成された前方蓋板9の内径側でスピンドル4の軸受を行うと共に、外周面をこのトルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌合させて各戻り止め部9bの突起部9dをそれぞれ係止部7cに係止させた構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャックに装着したドリルやビット等の工具をモータにより回転させて作業を行う電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動工具は、図5に示すように、電動工具本体1内のモータ2の駆動軸の回転を遊星減速機3により減速し、この電動工具本体1の前方端から突出するスピンドル4を介しチャック5に装着したドリルやビット等の工具6に回転トルクを伝達することによって穴あけやねじの締め付け等を行うものである。また、この電動工具は、ビットを装着してねじの締め付けを行う際に、電動工具本体1の前方端部に取り付けられたトルクアジャスタ7の回転角度位置を変更することにより、締め付けトルクを調整するトルク調整用クラッチ機構8を備えている(例えば、特許文献1参照。)。このトルク調整用クラッチ機構8は、遊星減速機3の図示しないクラッチ歯車(遊星歯車の外輪)を鋼球を介して押圧するばねの圧迫力をトルクアジャスタ7の回転角度位置によって変更するようにしたものであり、スピンドル4の回転トルクがこのトルクアジャスタ7によって設定した値を超えると、クラッチ歯車が回転してモータ2の駆動力がスピンドル4に伝わらないようになる。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−278048号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルクアジャスタ7は、内部に上記のようなトルク調整用クラッチ機構8が組み込まれているので、電動工具本体1の前方端部に嵌め込んだ後も、前方端面に形成された前方開口部を通じて前方側から内部の組み立て作業を行うことがある。そして、このような場合に従来は、例えば図6に示すように、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに、組み立て作業の終了後に、前方蓋板9を嵌め込んでボルト11で固着していた。なお、この前方蓋板9は、内周面でスピンドル4を玉軸受10を介して軸支するようになっている。
【0005】
このため、従来は、前方蓋板9をボルト11で固着するために前方開口部7aも径が大きくならざるを得ず、トルクアジャスタ7の前方端部の径が大きくなりすぎるという問題があった。例えば図5に示す電動工具の場合、小型で前方ほど径が小さくなるテーパ状のチャック5を使用しているにもかかわらず、トルクアジャスタ7が前方端部まで大径のままほぼ円筒状に電動工具本体1から突出するため、デザイン的に不釣り合いであるばかりでなく、斜め後方からチャック5に装着した工具6を見る際にこのトルクアジャスタ7の前方端部が邪魔になり、作業の妨げになるという問題も発生する。また、前方蓋板9は、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌め込んでボルト11により固着するので、組み立て作業工数が増加するという問題もあった。
【0006】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、前方蓋板をトルクアジャスタの前方開口部に嵌め込んで係止することにより、このトルクアジャスタの前方端部の径を小さくすることができるようにすると共に組み立て作業性も向上させることができる電動工具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、モータの回転が伝動するスピンドルが電動工具本体の前方端から突出すると共に、工具を取り付けるためのチャックがこのスピンドルの突出端部に固着され、スピンドルの軸中心で回転することにより締め付けトルクを切り替えるトルクアジャスタがこの電動工具本体の前方端部に取り付けられた電動工具において、このトルクアジャスタの前方端面にスピンドルを中心とするほぼ多角形状又は円形状の前方開口部が形成されると共に、この前方開口部内の後方に3箇所以上又は全周にわたって外周側にえぐられた係止部が形成され、外周面がトルクアジャスタの前方開口部に嵌合する形状を有し、この外周部から周方向に沿って引き出された弾性部と、この弾性部の先端部であって外周面よりも外側に突出する部分を有する突起部とからなる戻り止め部が全周の3箇所以上形成された前方蓋板の内径側でスピンドルの軸受を行うと共に、外周面をこのトルクアジャスタの前方開口部に嵌合させて各戻り止め部の突起部をそれぞれ係止部に係止させたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、トルクアジャスタの前方開口部に前方蓋板を嵌め込んで各戻り止め部の突起部を係止部に係止させるだけで確実に固着することができるので、組み立ての作業性を向上させることができる。この際、各戻り止め部の突起部の外側への突起は、治具等を用いて弾性体を撓ませることにより全て内側に引き込ませた状態で嵌め込む必要がある。しかしながら、突起部の外側への突起が後方ほど小さくなるようにしておけば、前方蓋板を前方から押し込むだけで、突起部の突起は自動的に内側に引っ込むので、そのままトルクアジャスタの前方開口部に嵌まり込み係止されるようになる。しかも、この前方蓋板は、外周部にボルト等を螺着するスペースが必要がないので、トルクアジャスタの先端部の外径を小さくすることができ、電動工具本体の前方端部を先細りの形状にすることができる。
【0009】
また、各戻り止め部は、円周方向に沿って引き出された十分な長さの弾性部が内側に撓むことにより突起部の突起が引っ込むので、この弾性部のばね応力が大きくなりすぎて使用に伴いばね性を失うようなこともなくなる。即ち、この戻り止め部の弾性部が後方に短く引き出されている場合には、突起部が内側に引っ込む際に大きく撓んでばね応力が大きくなりすぎるので、ばね性を失い外側への突出位置まで十分に復帰できなくなることがある。しかしながら、この戻り止め部の弾性部が後方に十分な長さで引き出された場合には、前方蓋板が前後方向に厚くなりすぎるので、トルクアジャスタも前後に長くなり電動工具本体の前方に突出しすぎることになる。なお、この戻り止め部の弾性部は、金属板ばね等を組み込むことにより構成してもよいが、前方蓋板をプラスチック等の弾性を有する素材で作製し、その一部を板ばね状に引き出した形状に成形してそのまま弾性部として利用することもできる。
【0010】
請求項2の発明は、前記前方蓋板には、各戻り止め部の突起部の前方側の面に解除穴が形成されると共に、この前方蓋板における各戻り止め部の突起部に対応する位置には、治具を挿入するための治具挿入部が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、前方蓋板の各治具挿入部に解除治具のピン等を挿入して各戻り止め部の解除穴に嵌入させ、これらのピン等を同時に内側に移動させることにより、これら各戻り止め部の突起部が係止部に係止しているのを解除することができる。従って、この状態で前方蓋板を前方に引き抜けば、トルクアジャスタの前方開口部から容易に取り外すことができるようになる。
【0012】
例えば、上記トルクアジャスタの前方開口部をほぼ正五角形状の孔にすると共に、上記前方蓋板の外周面もこのほぼ正五角形状とし、この外周面の5辺にそれぞれ1箇所ずつ戻り止め部を形成することができる。このようにトルクアジャスタの前方開口部と前方蓋板の外周面をほぼ正五角形とすることにより、これらの形状を安定感のあるものにし、戻り止め部も全周の5箇所に形成することにより、過不足のない確実な係止を行うことができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図4は本発明の一実施形態を示すものであって、図1はトルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図、図2はトルクアジャスタの正面図、図3は前方蓋板の正面図と側面図と縦断面側面図と背面図、図4は電動工具の主要部を示す側面図である。なお、図5〜図6に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0015】
本実施形態の電動工具は、図5に示した従来例のものとほぼ同様の構成であるが、トルクアジャスタ7と前方蓋板9の構成が相違する。この電動工具も、図4に示すように、トルクアジャスタ7が電動工具本体1の前方端部に取り付けられ、このトルクアジャスタ7の中央部からさらに前方に突出したスピンドル4に、工具6を装着するチャック5が固着されている。
【0016】
トルクアジャスタ7は、図1に示すように、プラスチックを筒状に成形したものであり、前方端面に開口された前方開口部7aに前方蓋板9が嵌め込まれ、この前方蓋板9の内周面で玉軸受10を介してスピンドル4を軸支するようになっている。このトルクアジャスタ7は、図2に示すように、前方開口部7aが正五角形の各辺を外側に向けて若干膨らむように湾曲させた形状となっている。そして、外周面もこれと同様のほぼ正五角形状を成していて、このほぼ正五角形の筒体となっている。ただし、前方開口部7aのほぼ正五角形の外接円の径は、後方の開口部の開口径に比べて十分に小さいので、図1及び図4に示すように、このトルクアジャスタ7の外径は前方ほど小さくなっている。このトルクアジャスタ7は、スピンドル4の軸中心に回転させて電動工具本体1に対する回転角度位置を変更することにより、ビット等の工具6を用いた場合の締め付けトルクを調整することができるようになっている。このため、トルクアジャスタ7の外周面におけるほぼ正五角形状の各稜線にそれぞれ凸部7bが形成されて、このトルクアジャスタ7を手で持って回転させ易いようにしている。
【0017】
上記トルクアジャスタ7の前方開口部7aは、図1に示すように、ほぼ正五角形状のままの孔がある程度後方まで形成されている。そして、この前方開口部7aの孔の内周面の後方側には、凹状の係止部7cと凸状のストッパ7dとが形成されている。係止部7cは、図1及び図2に示すように、前方開口部7aの孔の内周面を外周側に半円状にえぐった軸方向に沿う溝であり、この前方開口部7aのほぼ正五角形状の各辺の中央部にそれぞれ形成されている。なお、これらの係止部7cの溝を抜き型で成形するために、トルクアジャスタ7の内部のさらに後方に形成された小径の部品には、それぞれ半月形の孔が形成されている。ストッパ7dは、係止部7cの溝の前方端よりも十分に後方に形成された、前方開口部7aの孔の内周面から内周側に突出する凸部であり、この前方開口部7aのほぼ正五角形状の各角部にそれぞれ形成されている。これらのストッパ7dは、次に説明する前方蓋板9を前方開口部7aに嵌め込んだ際の奥の当たりとなるものである。
【0018】
前方蓋板9は、図3に示すように、プラスチックを孔の空いた盤状に成形したものである。この前方蓋板9は、外周面がトルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌合する形状、即ち、正五角形の各辺を外側に向けて若干膨らむように湾曲させた形であって、前方開口部7aに隙間嵌めで嵌まり込む大きさとなっている。また、この前方蓋板9は、図3(a)に示すように、前方側(正面側)の端面は、中央にスピンドル4が貫通するための孔が形成されると共に、周縁部におけるほぼ五角形の各辺の中央部にそれぞれ半径方向に長い長円形の治具挿入孔9aが形成された平坦な板状である。これに対して、図3(c)及び図3(d)に示すように、この前方蓋板9の後方側(背面側)の端面には、中央部に、図1に示したスピンドル4を軸支する玉軸受10を嵌合させるための凹部が形成されると共に、この凹部の底面に前方側の端面中央部に形成された孔が開口している。
【0019】
また、上記前方蓋板9には、後方側の周縁部におけるほぼ五角形の各辺にそれぞれ戻り止め部9bが配置されている。各戻り止め部9bは、弾性部9cと突起部9dとからなる。突起部9dは、前方蓋板9の後方側におけるほぼ五角形の各辺の中央部に配置されたスピンドル4と平行な小円筒形の部分であり、この小円筒形のほとんどは前方蓋板9のほぼ正五角形の外周面よりも内側に配置されるが、外周側の側面が前方側ほどこの外周側に突出して楔状となっている。また、この突起部9dの小円筒形の内孔は、図示しない解除治具のピンを挿入するための解除孔9eとなり、上記前方蓋板9の前方側の端面に形成された治具挿入孔9aの長孔の外周側の端部と位置が重なり合うようになっている。
【0020】
上記弾性部9cは、先端がこの突起部9dに繋がると共に、基端が最寄りのほぼ五角形のいずれかの陵線部に繋がる細長い板ばね状の部分であり、外周側の面が前方蓋板9のほぼ正五角形の外周面に沿ったものになる。従って、この弾性部9cは、ほぼ五角形の稜線部から周方向に引き出されることになり、突起部9dを内周側に押すことにより、先端部が内側に撓んで、この突起部9dの外周側への突出部分を前方蓋板9の外周面よりも内側に引き込むことができる。そして、各戻り止め部9bの内周側は、これら弾性部9cや突起部9dの内側への移動を阻害することがないように、窪んだ形状に形成されている。また、突起部9dの押圧を開放すると、弾性部9cの弾性によって撓みが戻り、この弾性部9cも楔状の部分が外周側に突出する。
【0021】
上記各戻り止め部9bの弾性部9cと突起部9dは、前方蓋板9の前方側の端面を構成する平坦な板状の部分よりも後方側に少し隙間を開けて形成されることになる。従来であれば、このように突起部9dを周方向に等間隔で配置した場合、平坦な板状の部分との隙間を形成する抜き型は、周囲3箇所以上の方向から挿入する必要があった。しかしながら、本実施形態の前方蓋板9では、5箇所の弾性部9cを、図3(d)に示すほぼ正五角形における上端の1箇所の稜線部と下端の2箇所の稜線部だけから引き出すように構成すると共に、平坦な板状の部分との隙間の形状を上下方向よりも内側に食い込むことがないように工夫することにより、図3(a)に示すように、成形時に上下2箇所の方向からのみ抜き型12,12を挿入すればよいように構成している。
【0022】
上記構成により、前方蓋板9は、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに前方側から押し込むと、それぞれのほぼ五角形状が嵌合して、各戻り止め部9bの突起部9dが7aの縁で楔状の突出部を内側に押されながら引っ込むので、この前方蓋板9がストッパ7dに当接するまで嵌まり込む。そして、この前方蓋板9が前方開口部7aに完全に嵌まり込むと、弾性部9cの弾性により突起部9dの突出部が外周側に戻り係止部7cに嵌まり込むことにより係止されてトルクアジャスタ7から抜けないようになる。従って、従来のように前方蓋板9を嵌め込んだ後にボルト11を螺着する必要がなくなるので、電動工具の組み立ての作業性を向上させることができる。また、このようなボルト11を螺着するスペースが不要となるので、図4に示すように、トルクアジャスタ7の前方端部の外径を小さくすることができ、小型でテーパ状となったチャック5にマッチしたデザインにすることができるだけでなく、このチャック5の先の工具6も斜め後方から見易くなり、電動工具を用いた作業もやり易くなる。しかも、前方蓋板9の係止を行う各戻り止め部9bの弾性部9cは、比較的薄いほぼ五角形状の盤の周方向に沿って引き出され、突起部9dが内周側に引っ込んだときの弾性応力が十分に小さくなるような長さにすることができるので、使用中にばね性を失うようなおそれもなくなる。
【0023】
さらに、前方蓋板9や前方開口部7aの形状をほぼ正五角形とすることにより、戻り止め部9bを全周に5箇所形成し、過不足のない確実な係止を行うことができるようになる。また、前方蓋板9をほぼ正五角形とし5箇所に戻り止め部9bを形成することにより、六角以上の多角形状や円形状とし6箇所以上に戻り止め部9bを形成した場合よりも、プラスチックの成形時に用いる抜き型12の使用個数を少なくすることができる。さらに、前方開口部7aの形状に伴ってトルクアジャスタ7の外周面もほぼ正五角形状とすることにより、トルク調整時に手で持って回転させ易くすることができると共に、電動工具本体1の断面形状も同様のほぼ五角形として、デザイン的にも安定感のあるものにすることができる。例えば、トルクアジャスタ7や電動工具本体1の外周面を正四角形状とした場合には角張った形状になり、正六角形状にした場合には角が鈍角になりすぎてトルクアジャスタ7を回転させ難くなる。
【0024】
上記前方蓋板9は、前方端面の各治具挿入孔9aに解除治具のピンをそれぞれ挿入し、各ピンの先端部を各戻り止め部9bの突起部9dに形成された解除孔9eに嵌入させ、これら5本のピンを同時に内周側に移動させることにより、各突起部9dと係止部7cとの係止を解除することができる。従って、この状態で前方蓋板9を前方側に引き抜くことにより、トルクアジャスタ7から容易に取り外すことができるようになる。
【0025】
なお、上記実施形態では、前方蓋板9の各戻り止め部9bに解除孔9eを形成すると共に前方端面に治具挿入孔9aを形成したが、この前方蓋板9をトルクアジャスタ7から取り外して分解する必要がなければ、このような解除機構は不要となる。また、このような解除孔9eや治具挿入孔9aの一方又は双方を形成することなく、係止の解除を行うようにすることも可能である。
【0026】
また、上記実施形態では、前方蓋板9をプラスチックで一体成形するとにより各戻り止め部9bの弾性部9cを形成する場合を示したが、この弾性部9cだけを金属や他の弾性の強いプラスチック等で構成することも可能である。さらに、突起部9dは、この金属等の弾性部9cの先端部で構成することもできる。
【0027】
また、上記実施形態では、前方蓋板9の外周面等をほぼ正五角形とする場合を示したが、三角形以上のほぼ多角形状や円形状とすることもできる。
【0028】
また、上記実施形態では、モータ2の回転を遊星減速機3で減速する場合を示したが、この減速機構は任意であり、低速高トルクのモータ2を用いた場合には、減速機構自体を省略することも可能である。さらに、この電動工具は、コンクリート面への穴あけ等のために、スピンドル4を回転させながら前後方向に振動させる振動モードを備えたものであってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電動工具によれば、トルクアジャスタの前方開口部に前方蓋板を嵌め込んで係止部に戻り止め部を係止するだけで固着することができるので、組み立て作業性が向上すると共に、電動工具本体の前方端部を先細りの形状にすることができる。また、各戻り止め部は、円周方向に沿って引き出された弾性体によって撓むので、前方蓋板が前後方向に長くなりすぎるようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、トルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、トルクアジャスタの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであって、前方蓋板の正面図と側面図と縦断面側面図と背面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであって、電動工具の主要部を示す側面図である。
【図5】従来例を示すものであって、電動工具の主要部を内部構造と共に示す側面図である。
【図6】従来例を示すものであって、トルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図である。
【符号の説明】
1 電動工具本体
2 モータ
4 スピンドル
5 チャック
6 工具
7 トルクアジャスタ
7a 前方開口部
7c 係止部
8 トルク調整用クラッチ機構
9 前方蓋板
9a 治具挿入孔
9b 戻り止め部
9c 弾性部
9d 突起部
9e 解除孔
10 玉軸受
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャックに装着したドリルやビット等の工具をモータにより回転させて作業を行う電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動工具は、図5に示すように、電動工具本体1内のモータ2の駆動軸の回転を遊星減速機3により減速し、この電動工具本体1の前方端から突出するスピンドル4を介しチャック5に装着したドリルやビット等の工具6に回転トルクを伝達することによって穴あけやねじの締め付け等を行うものである。また、この電動工具は、ビットを装着してねじの締め付けを行う際に、電動工具本体1の前方端部に取り付けられたトルクアジャスタ7の回転角度位置を変更することにより、締め付けトルクを調整するトルク調整用クラッチ機構8を備えている(例えば、特許文献1参照。)。このトルク調整用クラッチ機構8は、遊星減速機3の図示しないクラッチ歯車(遊星歯車の外輪)を鋼球を介して押圧するばねの圧迫力をトルクアジャスタ7の回転角度位置によって変更するようにしたものであり、スピンドル4の回転トルクがこのトルクアジャスタ7によって設定した値を超えると、クラッチ歯車が回転してモータ2の駆動力がスピンドル4に伝わらないようになる。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−278048号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルクアジャスタ7は、内部に上記のようなトルク調整用クラッチ機構8が組み込まれているので、電動工具本体1の前方端部に嵌め込んだ後も、前方端面に形成された前方開口部を通じて前方側から内部の組み立て作業を行うことがある。そして、このような場合に従来は、例えば図6に示すように、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに、組み立て作業の終了後に、前方蓋板9を嵌め込んでボルト11で固着していた。なお、この前方蓋板9は、内周面でスピンドル4を玉軸受10を介して軸支するようになっている。
【0005】
このため、従来は、前方蓋板9をボルト11で固着するために前方開口部7aも径が大きくならざるを得ず、トルクアジャスタ7の前方端部の径が大きくなりすぎるという問題があった。例えば図5に示す電動工具の場合、小型で前方ほど径が小さくなるテーパ状のチャック5を使用しているにもかかわらず、トルクアジャスタ7が前方端部まで大径のままほぼ円筒状に電動工具本体1から突出するため、デザイン的に不釣り合いであるばかりでなく、斜め後方からチャック5に装着した工具6を見る際にこのトルクアジャスタ7の前方端部が邪魔になり、作業の妨げになるという問題も発生する。また、前方蓋板9は、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌め込んでボルト11により固着するので、組み立て作業工数が増加するという問題もあった。
【0006】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、前方蓋板をトルクアジャスタの前方開口部に嵌め込んで係止することにより、このトルクアジャスタの前方端部の径を小さくすることができるようにすると共に組み立て作業性も向上させることができる電動工具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、モータの回転が伝動するスピンドルが電動工具本体の前方端から突出すると共に、工具を取り付けるためのチャックがこのスピンドルの突出端部に固着され、スピンドルの軸中心で回転することにより締め付けトルクを切り替えるトルクアジャスタがこの電動工具本体の前方端部に取り付けられた電動工具において、このトルクアジャスタの前方端面にスピンドルを中心とするほぼ多角形状又は円形状の前方開口部が形成されると共に、この前方開口部内の後方に3箇所以上又は全周にわたって外周側にえぐられた係止部が形成され、外周面がトルクアジャスタの前方開口部に嵌合する形状を有し、この外周部から周方向に沿って引き出された弾性部と、この弾性部の先端部であって外周面よりも外側に突出する部分を有する突起部とからなる戻り止め部が全周の3箇所以上形成された前方蓋板の内径側でスピンドルの軸受を行うと共に、外周面をこのトルクアジャスタの前方開口部に嵌合させて各戻り止め部の突起部をそれぞれ係止部に係止させたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、トルクアジャスタの前方開口部に前方蓋板を嵌め込んで各戻り止め部の突起部を係止部に係止させるだけで確実に固着することができるので、組み立ての作業性を向上させることができる。この際、各戻り止め部の突起部の外側への突起は、治具等を用いて弾性体を撓ませることにより全て内側に引き込ませた状態で嵌め込む必要がある。しかしながら、突起部の外側への突起が後方ほど小さくなるようにしておけば、前方蓋板を前方から押し込むだけで、突起部の突起は自動的に内側に引っ込むので、そのままトルクアジャスタの前方開口部に嵌まり込み係止されるようになる。しかも、この前方蓋板は、外周部にボルト等を螺着するスペースが必要がないので、トルクアジャスタの先端部の外径を小さくすることができ、電動工具本体の前方端部を先細りの形状にすることができる。
【0009】
また、各戻り止め部は、円周方向に沿って引き出された十分な長さの弾性部が内側に撓むことにより突起部の突起が引っ込むので、この弾性部のばね応力が大きくなりすぎて使用に伴いばね性を失うようなこともなくなる。即ち、この戻り止め部の弾性部が後方に短く引き出されている場合には、突起部が内側に引っ込む際に大きく撓んでばね応力が大きくなりすぎるので、ばね性を失い外側への突出位置まで十分に復帰できなくなることがある。しかしながら、この戻り止め部の弾性部が後方に十分な長さで引き出された場合には、前方蓋板が前後方向に厚くなりすぎるので、トルクアジャスタも前後に長くなり電動工具本体の前方に突出しすぎることになる。なお、この戻り止め部の弾性部は、金属板ばね等を組み込むことにより構成してもよいが、前方蓋板をプラスチック等の弾性を有する素材で作製し、その一部を板ばね状に引き出した形状に成形してそのまま弾性部として利用することもできる。
【0010】
請求項2の発明は、前記前方蓋板には、各戻り止め部の突起部の前方側の面に解除穴が形成されると共に、この前方蓋板における各戻り止め部の突起部に対応する位置には、治具を挿入するための治具挿入部が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、前方蓋板の各治具挿入部に解除治具のピン等を挿入して各戻り止め部の解除穴に嵌入させ、これらのピン等を同時に内側に移動させることにより、これら各戻り止め部の突起部が係止部に係止しているのを解除することができる。従って、この状態で前方蓋板を前方に引き抜けば、トルクアジャスタの前方開口部から容易に取り外すことができるようになる。
【0012】
例えば、上記トルクアジャスタの前方開口部をほぼ正五角形状の孔にすると共に、上記前方蓋板の外周面もこのほぼ正五角形状とし、この外周面の5辺にそれぞれ1箇所ずつ戻り止め部を形成することができる。このようにトルクアジャスタの前方開口部と前方蓋板の外周面をほぼ正五角形とすることにより、これらの形状を安定感のあるものにし、戻り止め部も全周の5箇所に形成することにより、過不足のない確実な係止を行うことができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図4は本発明の一実施形態を示すものであって、図1はトルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図、図2はトルクアジャスタの正面図、図3は前方蓋板の正面図と側面図と縦断面側面図と背面図、図4は電動工具の主要部を示す側面図である。なお、図5〜図6に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0015】
本実施形態の電動工具は、図5に示した従来例のものとほぼ同様の構成であるが、トルクアジャスタ7と前方蓋板9の構成が相違する。この電動工具も、図4に示すように、トルクアジャスタ7が電動工具本体1の前方端部に取り付けられ、このトルクアジャスタ7の中央部からさらに前方に突出したスピンドル4に、工具6を装着するチャック5が固着されている。
【0016】
トルクアジャスタ7は、図1に示すように、プラスチックを筒状に成形したものであり、前方端面に開口された前方開口部7aに前方蓋板9が嵌め込まれ、この前方蓋板9の内周面で玉軸受10を介してスピンドル4を軸支するようになっている。このトルクアジャスタ7は、図2に示すように、前方開口部7aが正五角形の各辺を外側に向けて若干膨らむように湾曲させた形状となっている。そして、外周面もこれと同様のほぼ正五角形状を成していて、このほぼ正五角形の筒体となっている。ただし、前方開口部7aのほぼ正五角形の外接円の径は、後方の開口部の開口径に比べて十分に小さいので、図1及び図4に示すように、このトルクアジャスタ7の外径は前方ほど小さくなっている。このトルクアジャスタ7は、スピンドル4の軸中心に回転させて電動工具本体1に対する回転角度位置を変更することにより、ビット等の工具6を用いた場合の締め付けトルクを調整することができるようになっている。このため、トルクアジャスタ7の外周面におけるほぼ正五角形状の各稜線にそれぞれ凸部7bが形成されて、このトルクアジャスタ7を手で持って回転させ易いようにしている。
【0017】
上記トルクアジャスタ7の前方開口部7aは、図1に示すように、ほぼ正五角形状のままの孔がある程度後方まで形成されている。そして、この前方開口部7aの孔の内周面の後方側には、凹状の係止部7cと凸状のストッパ7dとが形成されている。係止部7cは、図1及び図2に示すように、前方開口部7aの孔の内周面を外周側に半円状にえぐった軸方向に沿う溝であり、この前方開口部7aのほぼ正五角形状の各辺の中央部にそれぞれ形成されている。なお、これらの係止部7cの溝を抜き型で成形するために、トルクアジャスタ7の内部のさらに後方に形成された小径の部品には、それぞれ半月形の孔が形成されている。ストッパ7dは、係止部7cの溝の前方端よりも十分に後方に形成された、前方開口部7aの孔の内周面から内周側に突出する凸部であり、この前方開口部7aのほぼ正五角形状の各角部にそれぞれ形成されている。これらのストッパ7dは、次に説明する前方蓋板9を前方開口部7aに嵌め込んだ際の奥の当たりとなるものである。
【0018】
前方蓋板9は、図3に示すように、プラスチックを孔の空いた盤状に成形したものである。この前方蓋板9は、外周面がトルクアジャスタ7の前方開口部7aに嵌合する形状、即ち、正五角形の各辺を外側に向けて若干膨らむように湾曲させた形であって、前方開口部7aに隙間嵌めで嵌まり込む大きさとなっている。また、この前方蓋板9は、図3(a)に示すように、前方側(正面側)の端面は、中央にスピンドル4が貫通するための孔が形成されると共に、周縁部におけるほぼ五角形の各辺の中央部にそれぞれ半径方向に長い長円形の治具挿入孔9aが形成された平坦な板状である。これに対して、図3(c)及び図3(d)に示すように、この前方蓋板9の後方側(背面側)の端面には、中央部に、図1に示したスピンドル4を軸支する玉軸受10を嵌合させるための凹部が形成されると共に、この凹部の底面に前方側の端面中央部に形成された孔が開口している。
【0019】
また、上記前方蓋板9には、後方側の周縁部におけるほぼ五角形の各辺にそれぞれ戻り止め部9bが配置されている。各戻り止め部9bは、弾性部9cと突起部9dとからなる。突起部9dは、前方蓋板9の後方側におけるほぼ五角形の各辺の中央部に配置されたスピンドル4と平行な小円筒形の部分であり、この小円筒形のほとんどは前方蓋板9のほぼ正五角形の外周面よりも内側に配置されるが、外周側の側面が前方側ほどこの外周側に突出して楔状となっている。また、この突起部9dの小円筒形の内孔は、図示しない解除治具のピンを挿入するための解除孔9eとなり、上記前方蓋板9の前方側の端面に形成された治具挿入孔9aの長孔の外周側の端部と位置が重なり合うようになっている。
【0020】
上記弾性部9cは、先端がこの突起部9dに繋がると共に、基端が最寄りのほぼ五角形のいずれかの陵線部に繋がる細長い板ばね状の部分であり、外周側の面が前方蓋板9のほぼ正五角形の外周面に沿ったものになる。従って、この弾性部9cは、ほぼ五角形の稜線部から周方向に引き出されることになり、突起部9dを内周側に押すことにより、先端部が内側に撓んで、この突起部9dの外周側への突出部分を前方蓋板9の外周面よりも内側に引き込むことができる。そして、各戻り止め部9bの内周側は、これら弾性部9cや突起部9dの内側への移動を阻害することがないように、窪んだ形状に形成されている。また、突起部9dの押圧を開放すると、弾性部9cの弾性によって撓みが戻り、この弾性部9cも楔状の部分が外周側に突出する。
【0021】
上記各戻り止め部9bの弾性部9cと突起部9dは、前方蓋板9の前方側の端面を構成する平坦な板状の部分よりも後方側に少し隙間を開けて形成されることになる。従来であれば、このように突起部9dを周方向に等間隔で配置した場合、平坦な板状の部分との隙間を形成する抜き型は、周囲3箇所以上の方向から挿入する必要があった。しかしながら、本実施形態の前方蓋板9では、5箇所の弾性部9cを、図3(d)に示すほぼ正五角形における上端の1箇所の稜線部と下端の2箇所の稜線部だけから引き出すように構成すると共に、平坦な板状の部分との隙間の形状を上下方向よりも内側に食い込むことがないように工夫することにより、図3(a)に示すように、成形時に上下2箇所の方向からのみ抜き型12,12を挿入すればよいように構成している。
【0022】
上記構成により、前方蓋板9は、トルクアジャスタ7の前方開口部7aに前方側から押し込むと、それぞれのほぼ五角形状が嵌合して、各戻り止め部9bの突起部9dが7aの縁で楔状の突出部を内側に押されながら引っ込むので、この前方蓋板9がストッパ7dに当接するまで嵌まり込む。そして、この前方蓋板9が前方開口部7aに完全に嵌まり込むと、弾性部9cの弾性により突起部9dの突出部が外周側に戻り係止部7cに嵌まり込むことにより係止されてトルクアジャスタ7から抜けないようになる。従って、従来のように前方蓋板9を嵌め込んだ後にボルト11を螺着する必要がなくなるので、電動工具の組み立ての作業性を向上させることができる。また、このようなボルト11を螺着するスペースが不要となるので、図4に示すように、トルクアジャスタ7の前方端部の外径を小さくすることができ、小型でテーパ状となったチャック5にマッチしたデザインにすることができるだけでなく、このチャック5の先の工具6も斜め後方から見易くなり、電動工具を用いた作業もやり易くなる。しかも、前方蓋板9の係止を行う各戻り止め部9bの弾性部9cは、比較的薄いほぼ五角形状の盤の周方向に沿って引き出され、突起部9dが内周側に引っ込んだときの弾性応力が十分に小さくなるような長さにすることができるので、使用中にばね性を失うようなおそれもなくなる。
【0023】
さらに、前方蓋板9や前方開口部7aの形状をほぼ正五角形とすることにより、戻り止め部9bを全周に5箇所形成し、過不足のない確実な係止を行うことができるようになる。また、前方蓋板9をほぼ正五角形とし5箇所に戻り止め部9bを形成することにより、六角以上の多角形状や円形状とし6箇所以上に戻り止め部9bを形成した場合よりも、プラスチックの成形時に用いる抜き型12の使用個数を少なくすることができる。さらに、前方開口部7aの形状に伴ってトルクアジャスタ7の外周面もほぼ正五角形状とすることにより、トルク調整時に手で持って回転させ易くすることができると共に、電動工具本体1の断面形状も同様のほぼ五角形として、デザイン的にも安定感のあるものにすることができる。例えば、トルクアジャスタ7や電動工具本体1の外周面を正四角形状とした場合には角張った形状になり、正六角形状にした場合には角が鈍角になりすぎてトルクアジャスタ7を回転させ難くなる。
【0024】
上記前方蓋板9は、前方端面の各治具挿入孔9aに解除治具のピンをそれぞれ挿入し、各ピンの先端部を各戻り止め部9bの突起部9dに形成された解除孔9eに嵌入させ、これら5本のピンを同時に内周側に移動させることにより、各突起部9dと係止部7cとの係止を解除することができる。従って、この状態で前方蓋板9を前方側に引き抜くことにより、トルクアジャスタ7から容易に取り外すことができるようになる。
【0025】
なお、上記実施形態では、前方蓋板9の各戻り止め部9bに解除孔9eを形成すると共に前方端面に治具挿入孔9aを形成したが、この前方蓋板9をトルクアジャスタ7から取り外して分解する必要がなければ、このような解除機構は不要となる。また、このような解除孔9eや治具挿入孔9aの一方又は双方を形成することなく、係止の解除を行うようにすることも可能である。
【0026】
また、上記実施形態では、前方蓋板9をプラスチックで一体成形するとにより各戻り止め部9bの弾性部9cを形成する場合を示したが、この弾性部9cだけを金属や他の弾性の強いプラスチック等で構成することも可能である。さらに、突起部9dは、この金属等の弾性部9cの先端部で構成することもできる。
【0027】
また、上記実施形態では、前方蓋板9の外周面等をほぼ正五角形とする場合を示したが、三角形以上のほぼ多角形状や円形状とすることもできる。
【0028】
また、上記実施形態では、モータ2の回転を遊星減速機3で減速する場合を示したが、この減速機構は任意であり、低速高トルクのモータ2を用いた場合には、減速機構自体を省略することも可能である。さらに、この電動工具は、コンクリート面への穴あけ等のために、スピンドル4を回転させながら前後方向に振動させる振動モードを備えたものであってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電動工具によれば、トルクアジャスタの前方開口部に前方蓋板を嵌め込んで係止部に戻り止め部を係止するだけで固着することができるので、組み立て作業性が向上すると共に、電動工具本体の前方端部を先細りの形状にすることができる。また、各戻り止め部は、円周方向に沿って引き出された弾性体によって撓むので、前方蓋板が前後方向に長くなりすぎるようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、トルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、トルクアジャスタの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであって、前方蓋板の正面図と側面図と縦断面側面図と背面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであって、電動工具の主要部を示す側面図である。
【図5】従来例を示すものであって、電動工具の主要部を内部構造と共に示す側面図である。
【図6】従来例を示すものであって、トルクアジャスタの前方開口部に嵌め込まれた前方蓋板を示す部分省略縦断面側面図である。
【符号の説明】
1 電動工具本体
2 モータ
4 スピンドル
5 チャック
6 工具
7 トルクアジャスタ
7a 前方開口部
7c 係止部
8 トルク調整用クラッチ機構
9 前方蓋板
9a 治具挿入孔
9b 戻り止め部
9c 弾性部
9d 突起部
9e 解除孔
10 玉軸受
Claims (2)
- モータの回転が伝動するスピンドルが電動工具本体の前方端から突出すると共に、工具を取り付けるためのチャックがこのスピンドルの突出端部に固着され、スピンドルの軸中心で回転することにより締め付けトルクを切り替えるトルクアジャスタがこの電動工具本体の前方端部に取り付けられた電動工具において、
このトルクアジャスタの前方端面にスピンドルを中心とするほぼ多角形状又は円形状の前方開口部が形成されると共に、この前方開口部内の後方に3箇所以上又は全周にわたって外周側にえぐられた係止部が形成され、
外周面がトルクアジャスタの前方開口部に嵌合する形状を有し、この外周部から周方向に沿って引き出された弾性部と、この弾性部の先端部であって外周面よりも外側に突出する部分を有する突起部とからなる戻り止め部が全周の3箇所以上形成された前方蓋板の内径側でスピンドルの軸受を行うと共に、外周面をこのトルクアジャスタの前方開口部に嵌合させて各戻り止め部の突起部をそれぞれ係止部に係止させたことを特徴とする電動工具。 - 前記前方蓋板には、各戻り止め部の突起部の前方側の面に解除穴が形成されると共に、この前方蓋板における各戻り止め部の突起部に対応する位置には、治具を挿入するための治具挿入部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
Priority Applications (1)
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2002
- 2002-09-18 JP JP2002270887A patent/JP2004106099A/ja active Pending
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