以下、図面を参照しながら本発明の1実施の形態について説明する。
図1ないし図4は本発明の1実施の形態に係り、図1は本発明の1実施の形態の撮像装置を備えた内視鏡装置の全体構成を示す説明図、図2は図1の内視鏡の挿入部先端側の構成を説明する断面図、図3は図1の内視鏡の挿入部基端側及び操作部の構成を説明する断面図、図4は断熱部材の代わりに把持部ケーシングに複数の切り欠き部を形成した断面図である。
図1に示すように本発明の1実施の形態を備えた内視鏡装置1は、図示しない撮像手段を備えた内視鏡2と、前記内視鏡2に着脱自在に接続されてこの内視鏡2に設けられたライトガイドに照明光を供給する光源装置3と、前記内視鏡2と信号ケーブル4を介して接続されて前記内視鏡2の前記撮像手段を制御すると共に、この撮像手段から得られた信号を処理して標準的な映像信号を出力するビデオプロセッサ5と、このビデオプロセッサ5からの映像信号を入力し、内視鏡画像を表示するモニタ6から構成されている。尚、前記内視鏡2は観察や処置に使用された後には、洗滌後に高温高圧蒸気滅菌(以下、オートクレーブ滅菌)にて滅菌を行うことが可能なように構成されている。
前記内視鏡2は可撓性を有する細長の挿入部7と、この挿入部7の基端側に設けられた操作部8、この操作部8の側部から延出した可撓性を有するユニバーサルコード9と、このユニバーサルコード9の端部に設けられた前記光源装置3と着脱自在に接続可能なコネクタ部10と、このコネクタ部10の側部に延出して前記ビデオプロセッサ5と接続可能な前記信号ケーブル4が着脱自在に接続可能な電気コネクタ部11とから主に構成される。
前記挿入部7と前記操作部8との接続部には、この接続部の急激な曲がりを防止する弾性部材を有する挿入部側折れ止め部材12が設けられており、同様に前記操作部8と前記ユニバーサルコード9との接続部には操作部側折れ止め部材13が設けられ、前記ユニバーサルコード9と前記コネクタ部10との接続部にはコネクタ部側折れ止め部材14が設けられている。
前記挿入部7は可撓性を有する柔軟な可撓管部15と、この可撓管部15の先端側に設けられた前記操作部8の操作により湾曲可能な湾曲部16と、先端に設けられ図示しない観察光学系、照明光学系などが配設された先端部17とから構成されている。
前記操作部8には送気操作、送水操作を操作する送気送水操作ボタン21と、吸引操作を操作するための吸引操作ボタン22と、前記湾曲部16の湾曲操作を行うための湾曲操作ノブ23と、前記ビデオプロセッサ5を遠隔操作する複数のリモートスイッチ24と、前記処置具チャンネルに連通した開口である処置具挿入口25とが設けられている。
前記先端部17には送気操作、送水操作によって図示しない観察光学系の観察窓に向けて洗滌液体や気体を噴出するための図示しない送液口及び送気送水ノズルと、前記挿入部7に配設された処置具を挿通したり体腔内の液体を吸引するための図示しない処置具チャンネルの先端側開口である図示しない吸引口とが設けられている。
前記コネクタ部10には前記光源装置3に内蔵された図示しない気体供給源と着脱自在に接続される気体供給口金26と、液体供給源である送水タンク27と着脱自在に接続される送水タンク加圧口金28及び液体供給口金29と、前記先端部17の前記吸引口より吸引を行うための図示しない吸引源と接続される吸引口金30と、前記先端部17の前記送液口より送水を行うための図示しない送水手段と接続される注入口金31とが設けられている。また、前記コネクタ部10には、高周波処理等を行った際に内視鏡に高周波漏れ電流が発生した場合に漏れ電流を高周波処理装置に帰還させるためのアース端子口金32が設けられている。
前記電気コネクタ部11には、前記内視鏡2の内部と外部とを連通する図示しない後述する通気孔66が設けられている。また、前記電気コネクタ部11には圧力調整弁付き防水キャップ33が着脱自在に接続可能であり、この防水キャップ33には図示しない圧力調整弁が設けられている。
オートクレーブ滅菌の際には前記内視鏡2を収納する滅菌用収納ケース(以下、収納ケース)34を用いる。
前記収納ケース34は、前記内視鏡2を収納するトレイ35と、このトレイ35の蓋部材36とから構成されている。これらトレイ35と蓋部材36とは複数の図示しない通気口が設けられており、オートクレーブ滅菌時にはこの孔を通じて水蒸気が通過できるようになっている。
前記トレイ35には、内視鏡本体2に対応した図示しない規制部が形成されており、この規制部は内視鏡本体2のそれぞれの部分が所定の位置に納まるようになっている。また、この規制部は、可撓管性を有する前記挿入部7が収納される図示しない挿入部規制部を有している。
上述したように高温高圧蒸気滅菌の代表的な条件としては米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992ではプレバキュームタイプで滅菌工程132℃で4分、グラビティタイプで滅菌工程132℃で10分とされている。
高温高圧蒸気滅菌の滅菌工程時の温度条件については高温高圧蒸気滅菌装置の形式や滅菌工程の時間によって異なるが、一般的には115℃から138℃程度の範囲で設定される。滅菌装置の中には142℃程度に設定可能なものもある。時間条件については滅菌工程の温度条件によって異なるが、一般的には3分〜60分程度に設定される。滅菌装置の種類によっては100分程度に設定可能なものもある。
この工程での滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して+0.2MPa程度に設定される。
一般的なプレバキュームタイプの高温高圧蒸気滅菌工程には滅菌対象機器を収容した滅菌室内を滅菌工程の前に減圧状態にするプレバキューム工程と、この後に滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌工程が含まれている。プレバキューム工程は、後の滅菌工程時に滅菌対象機器の細部にまで蒸気を浸透させるための工程であり、滅菌室内を減圧させることによって滅菌対象機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。
プレバキューム工程における滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して−0.07MPa〜−0.09MPa程度に設定される。
滅菌後の滅菌対象機器を乾燥させるために滅菌工程後に滅菌室内を再度減圧状態にする乾燥工程が含まれているものがある。この工程では滅菌室内を減圧して滅菌室内から蒸気を排除して滅菌室内の滅菌対象機器の乾燥を促進する。この工程における滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して−0.07〜−0.09MPa程度に設定される。
前記内視鏡2をオートクレーブ滅菌する際には、前記圧力調整弁付き防水キャップ33を前記電気コネクタ部11に取り付けた状態で行う。この状態では前記防水キャップ33の図示しない圧力調整弁は閉じており、前記通気孔が前記防水キャップ33にて塞がれて、前記内視鏡2の内部は外部と水密的に密閉される。
プレバキューム工程を有する滅菌方法の場合には、プレバキューム工程において滅菌室内の圧力が減少して内視鏡2の内部より外部の方が圧力が低くなるような圧力差が生じると前記圧力調整弁が開き、前記通気孔を介して内視鏡2の内部と外部が連通して内視鏡2の内部と滅菌室内の圧力に大きな圧力差が生じるのを防ぐ。このことにより内視鏡2は内部と外部の圧力差によって破損することがない。
滅菌工程においては滅菌室内が加圧され内視鏡2の内部より外部の方が圧力が高くなるような圧力差が生じると前記圧力調整弁が閉じる。このことにより高圧高温の蒸気は前記防水キャップ33と前記通気孔を介しては内視鏡2の内部には積極的には浸入しない。
しかし、高温高圧蒸気は高分子材料で形成された前記可撓管の外皮や内視鏡2の外装体の接続部に設けられたシール手段であるフッ素ゴムやシリコンゴム等から形成されたOリング等から内部に徐々に侵入する。尚、内視鏡2の外装体にはプレバキューム工程で減圧された圧力と滅菌工程での加圧された圧力とが加算された外部から内部に向けた圧力が生じた状態となる。
滅菌工程後に減圧工程を含む方法の場合には、減圧工程において滅菌室の圧力が減少して内視鏡2の内部より外部の方が圧力が低くなるような圧力差が発生するのとほぼ同時に前記圧力調整弁が開き、前記通気孔を介して内視鏡2の内部と外部が連通して内視鏡2の内部と滅菌室内の圧力に大きな圧力差が生じるのを防ぐ。このことにより内視鏡2は内部と外部の圧力差によって破損することがない。
次に、内部と外部との圧力が等しくなると、前記圧力調整弁が閉じる。減圧工程が終わると、滅菌室内は大気圧となる。
上述したように高温高圧蒸気滅菌の全ての工程が終了すると、前記内視鏡2の外装体には前記減圧工程で減圧された分外部から内部に向けた圧力が生じた状態となる。
前記防水キャップ33を電気コネクタ部11から取り出すと前記通気口により前記内視鏡2の内部と外部とが連通して前記内視鏡2の内部は大気圧となり、前記内視鏡2の外装体を生じていた圧力による負荷がなくなるようになっている。
そして、上述したようにオートクレーブ滅菌後、内視鏡2が所定の温度領域で冷却されて常温に戻った後に、内視鏡検査に使用できるようになっている。
本実施の形態では、所定の温度領域で冷却される際の前記挿入部7の外表面の少なくとも一部の温度低下量を前記挿入部7以外の外表面の少なくとも一部の温度低下量と略同じか、又は大きくして構成する。
図2に示すように前記湾曲部16の基端側は、前記可撓管部15を構成するステンレスやアルミ等から形成された先端側口金37にビス等により連結固定されている。
前記可撓管部15は、金属帯片を螺旋状に巻回した螺旋管38と、この螺旋管38の外周を密着して被覆するステンレス線材等の金属でネット状に編み込んだ網状管39と、この網状管38の外側を密着して被覆する樹脂製の外皮39とで構成される。前記外皮層40は、アミド系エラストマ、スチレン系樹脂、フッ素ゴム、シリコン系ゴム等にて形成している。
前記湾曲部16は、リベット42等により回動可能に連結され、複数の短い筒状のステンレス等の金属部材から形成される関節部材43と、この関節部材43の外周を被覆する金属細線で編組した網状管44と、この網状管44外周を被覆するフッ素ゴム等の樹脂から形成される可撓性の外皮チューブ45とで構成される。
前記関節部材43の基端側である関節部材43aは、前記可撓管部15の先端側口金37に嵌合し、ビス等により連結固定されている。一方、前記関節部材43の先端側である関節部材43bは、図示しない対物光学系等を内蔵保持するステンレス等の金属により形成された先端部本体46にビス等により連結固定されている。
前記先端部本体46の外側にはポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等の耐薬品性が良く、高温高圧蒸気滅菌工程の温度以上の高い温度の耐熱性を有する樹脂にて形成された絶縁カバー部材47が嵌合して設けられている。
前記先端部本体46には照明レンズユニット46aが配置されており、ライトガイド46bで導光された前記光源装置3からの照明光で被写体を照明するようになっている。また、前記先端部本体46及び前記絶縁カバー部材47に形成されたチャンネルパイプ孔47aには金属製のチャンネルパイプ47bが挿通配置されており、このチャンネルパイプ47bの基端部外周面側には管路チューブ47cの先端部が係入配置されている。
前記外皮チューブ45の先端側は前記先端部本体46の基端側を被覆し、端部は絶縁カバー部材47にほぼ当接している。一方、前記外皮チューブ45の基端側は、前記可撓管部15の先端側を被覆し、端部は前記外皮層40にほぼ当接している。また、前記外皮チューブ45の両端部は、共に外周面が固定用糸49によって緊縛されて、内側の前記先端部本体46及び前記先端側口金37にそれぞれ押し付けられて固定されている。
前記固定用糸49の外表面側にはエポキシ樹脂等からなる接着剤48が外皮チューブ45、固定用糸49、絶縁カバー部材47に亘り塗布されており、前記固定用糸49を被覆すると共に前記絶縁カバー部材47と前記外皮チューブ45との境界部分を水密的に封止している。
次に図3を用いて前記挿入部7(可撓管部15)の基端側と前記操作部8を説明する。
前記挿入部7(可撓管部15)の基端側には、前記螺旋管38及び前記網状管39を内嵌するステンレス等の金属部材から形成される接続口金41が設けられている。前記網状管39の外側は前記接続口金41の内周面に密着しており、前記螺旋管38と前記網状管39の端部は前記接続口金41に当接して密着している。
前記操作部8には前記湾曲部16の湾曲操作を行うための図示しない湾曲操作機構等が付設された、アルミ等の熱伝導性の良い金属部材から形成されるシャーシ部50が設けられている。尚、このシャーシ部50は金属部材から形成される単一の部材でも良いし、複数の金属部材を連設して構成しても良い。
前記シャーシ部50の先端側は前記可撓管部15の基端側に設けられた前記接続口金41と嵌合し、連結されている。一方、前記シャーシ部50の基端側は前記ユニバーサルコード9のステンレスやアルミ等の金属部材から形成される図示しない接続口金と連結されている。尚、前記ユニバーサルコード9は、前記可撓管部15と同様の構造である。
前記シャーシ部50の外側には、前記シャーシ部50及び図示しない湾曲機構等を水密的に覆う操作部ケーシング52が設けられている。
この操作部ケーシング52は複数の部材から形成され、操作時に作業者が把持する把持部ケーシング54を有している。この把持部ケーシング54はポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等の高温高圧蒸気滅菌に耐性を有する樹脂により形成されている。
この把持部ケーシング54は、前記シャーシ部50や図示しない湾曲機構とは極力接触しないように構成してあり、この間には空間を設けてある。
また、前記把持部ケーシング54と隣接する部材に接触する部分は、熱伝導率が前記把持部ケーシング54の材質よりも低い樹脂、エラストマ、微細空気胞を有する発泡性の樹脂等から形成される断熱部材53を介在させている。
前記湾曲部16及び前記操作部8を構成する各部材の材質の選択、構成部材同士の接続方法及び接触面積の設定、前記可撓管部15に接続された前記シャーシ部50と前記把持部ケーシング54との接触面積の設定、前記把持部ケーシング54と前記シャーシ部50との間に介在させる前記断熱部材53の数等の組み合わせにより以下のように構成している。
所定の温度範囲、例えば36℃〜140℃程度の範囲の温度環境において上記の構成部材が略同一の温度で、ある所定の状態から冷却される際の一定時間における温度低下量を前記挿入部7の外表面即ち、絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40、接着剤48の各外表面の温度低下量が前記把持部ケーシング54の外表面の温度低下量よりも大きくなるように設定している。
上記温度範囲の140℃は前記内視鏡2が高温高圧蒸気滅菌工程にて加熱された際の最高温度であり、36℃は内視鏡2の挿入部7が体腔内に挿入された際に被検者が温度的な違和感を訴えることのない体温と略同一の温度である。
本実施の形態では、これを達成するために以下の構成とした。
前記把持部ケーシング54の材質を絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40、接着剤48のそれぞれを構成する各樹脂材料よりも熱伝導性の低い材質を選択する。例えば絶縁カバー部材47をボリエーテルサルフオン、外皮チューブ45をフッ素ゴム、外皮層40をアミド系エラストマ、接着剤48をエポキシ樹脂とした場合には把持部ケーシング54にはこれらよりも熱伝導性の低い樹脂を用いる。尚、樹脂基剤自体の熱伝導性が一番低くなくても良く、ガラスフィラや他の樹脂とブレンドして把持部ケーシング54の材質が最も熱伝導率が低くなるように設定すれば良い。
又、上述したように前記挿入部7の外表面の絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40の内側表面には熱伝導性が上記の樹脂よりもはるかに高い上述した金属部材を接触して設け、これらを連結して更に金属部材から形成される前記シャーシ部50に接触して接続している。一方、前記把持部ケーシング54は金属部材の前記シャーシ部50とは極力、断熱して設けている。
このように構成した内視鏡2を用いて内視鏡検査を行った後、図示しない高温高圧蒸気滅菌装置(以下、オートクレーブ滅菌装置)に投入し、オートクレーブ滅菌を行う。
内視鏡2は高温高圧蒸気滅菌の滅菌工程においては最高約140℃程度まで加熱され、滅菌装置より取り出される際の温度は一般的には略80℃〜130℃である。内視鏡検査に使用する際には自然放置や冷水や冷風による強制的な冷却により冷却した後に使用する。
内視鏡2が滅菌装置から取り出されると、挿入部7の外表面の絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40に接触している熱伝導性の良い各金属部材及びシャーシ部50が冷却されて、これらに比較して熱伝導性の低い絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40の熱は接触している各金属部材に伝導されて冷却が促進される。
一方、把持部ケーシング54は熱伝導性の良い金属部材とは接触しておらず、断熱部材53及び把持部ケーシング54の周囲の空気によって断熱されているため、冷却され難い。又、把持部ケーシング54の材質自体が絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40の材質よりも熱伝導率が低いため、把持部ケーシング54はこれらよりも確実に冷却され難い。
尚、前記把持部ケーシング54を一定時間後の温度低下量を絶縁カバー部材47、外皮チューブ45、外皮層40、接着剤48の内で最も温度低下量の小さいもの(=冷却され難いもの)と略同じになるように形成しても良い。
図4に示すように前記断熱部材53の代わりに前記把持部ケーシング54に複数の切り欠き部55を形成して、他の操作部ケーシング52との接触面積を減らして、空気層により断熱しても良い。
以上により冷却開始から一定時間後においては、把持部ケーシング54の温度は挿入部7の外表面のどの部分の温度よりも高くなる。
これにより、把持部ケーシング54を把持して温度を確認すればこの温度が検査に使用するには高いと認識した場合には内視鏡2を使用することはないし、この温度が検査に使用可能な温度であれば挿入部7の温度は確実に把持部ケーシング54よりも低いので挿入部7も使用可能な温度であることが認識できる。
この結果、挿入部7に触れることなく、挿入部7が検査に使用可能な温度であるかどうかを確実、容易に知ることができる。
また、通常、検査の開始時には挿入部7を手で把持して体腔内に挿入するが、このとき、可撓管部15を把持する場合が多く、湾曲部16や先端部17には一度も手を触れずに挿入する場合が多い。
そこで、検査開始時に可撓管部15を把持した際に温度を確認することで、挿入部7が検査に使用可能な温度であるかどうかを容易に知ることができるように構成しても良い。
前記先端部17の前記絶縁カバー部材47及び前記外皮チューブ45と、前記可撓管部15の外皮層40とを所定の温度範囲、例えば36℃〜140℃程度の範囲の温度環境において、上記これらの構成部材が略同一の温度から冷却される際の一定時間における温度低下量を前記絶縁カバー部材47及び前記外皮チューブ45の外表面と、前記外皮層40の外表面とが同じか前記外皮層40の方が大きくなるように構成する。
この場合には前記絶縁カバー部材47及び前記外皮チューブ45を形成する材質を前記外皮層40と比較して熱伝導性の良い材質を用いたり、前記絶縁カバー部材47及び前記外皮チューブ45をこれらと接している金属部材の先端部本体46、網状管44、関節部材43との接触面積を増やして熱を熱伝導性の良い金属部材に伝え易くする一方、前記外皮層40と接触している金属部材である螺旋管38や網状管39との間には断熱層を設けて熱を伝え難くする等して適宜調整すれば良い。断熱層としては熱伝導性の低い接着剤を用いたり、接着層の中に微細な空気層を形成するようにしても良い。また、網状管39を金属のみで構成せず、伝導性の低いケブラー等を編み込んで、接続面の金属の面積を少なく形成しても良い。
このように構成した内視鏡2を図示しないオートクレーブ滅菌装置でオートクレーブ滅菌後、所定の温度環境で冷却すると、内視鏡2の挿入部7の湾曲部16、先端部17の外表面即ち絶縁カバー部材47、外皮チューブ45は可撓管部15の外表面即ち外皮層40よりも冷却されやすく、冷却開始から一定時間後においては、外皮層40と同じか又は低い温度になる。
そして、内視鏡検査開始時に可撓管部15を把持したときにこの可撓管部15の温度を確認し、この温度が検査に使用するには高い場合には内視鏡2を使用せず、この温度が検査に使用可能な温度であれば湾曲部16、先端部17の外表面の温度は確実に可撓管部15の外表面と同じか、低いので挿入部7は使用可能な温度であることが認識できる。
この結果、湾曲部16、先端部17に触れることなく、挿入部7が検査に使用可能な温度であるかどうかを確実、容易に知ることができる。
尚、本発明では、材質の熱伝導率の設定や、断熱部材の有無については以上述べた実施形態の通りにする必要はなく、種々の構成の組み合わせにより、一定時間での外表面の温度低下量が所望の関係になるように構成すれば良い。
また、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
ところで、前記特開平5−253168号公報の内視鏡の内圧調整装置に示されている逆止弁アダプタでは着脱自在であるため、滅菌工程の際、付け忘れによって内視鏡を破損する虞れがあった。このため、滅菌時における圧力調整部材の付け忘れを防止して内視鏡の破損を防止した内視鏡装置が望まれていた。また、逆止弁アダプタが複数ある場合、特定の逆止弁アダプタが偏って繰り返し使用されて耐用期間が短くなる虞れもある。一方、滅菌工程の際に内視鏡を収納する容器等に逆止弁アダプタを一体的に設けた場合には、逆止弁アダプタの着脱性が悪くなるうえ、構造が複雑で高価になり、容器と逆止弁アダプタとの何れか一方が故障した場合には修理コストが別体のものに比べ高価になる。
そこで、高温高圧蒸気滅菌時に圧力調整部材を付け忘れを防止でき、内視鏡を破損することなく、作業性が良好で、安価な内視鏡装置の提供が望まれていた。
図5ないし図9を参照して逆止弁アダプタの構成例を説明する。
図5ないし図9は逆止弁アダプタの構成例にかかり、図5は防水キャップ及び収納ケースの構成を説明する外観斜視図、図6は図5の防水キャップを内視鏡の電気コネクタ部に取り付ける際の説明図、図7は圧力調整弁付き通気アダプタ及び収納ケースの構成を説明する外観斜視図、図8は図7の圧力調整弁付き通気アダプタを内視鏡の通気口金に取り付ける際の説明図、図9は開閉弁開放アダプタを取り付け可能な防水キャップを説明する説明図である。
図5に示すように前記防水キャップ(圧力調整弁付き防水キャップ)33と収納ケース(滅菌用収納ケース)34とは金属製で鎖状の接続部材65によって接続されている。
この接続部材65は、前記内視鏡2の電気コネクタ部11に防水キャップ33の取り付けや取り外しの際の作業性を考慮して例えば100mm〜300mm程度の長さを有している。
図6に示すように前記内視鏡2の電気コネクタ部11には通気孔66が形成されている。
前記防水キャップ33は内視鏡2の外部の圧力が内部の圧力より低くなった場合に内視鏡2の内部と外部とを連通させ、外部の圧力が内部の圧力より高くなった場合に内視鏡2の内部と外部との連通を遮断する図示しない所謂、逆止弁から構成される圧力調整弁が設けられている。
従って、前記防水キャップ33を前記電気コネクタ部11に接続すると、前記防水キャップ33は前記電気コネクタ部11を水密的に覆い内部の電気接点を保護すると共に、前記通気孔66を塞いで前記内視鏡2の内部と外部とを遮断するようになっている。
これにより、内視鏡2を図示しないオートクレーブ滅菌装置に投入し、オートクレーブ滅菌を行う際に、内視鏡2を収納する収納ケース34に防水キャップ33が接続されているため、圧力制御部材である防水キャップ33の取り付けを忘れない。また、複数の防水キャップ33、収納ケース34がある場合、単独で容易に取り扱える防水キャップ33のうち、特定のものが繰り返し滅菌に使用されることがない。更に、防水キャップ33と収納ケース34とは一体に形成されていないので、内視鏡2への取り付け、取り外しの作業性が良く、一方が破損した場合は容易に交換できる。また、防水キャップ33は内視鏡の洗滌や消毒の際に用いられることがないので、防水キャップ33の圧力調整弁に洗滌液や消毒液による固着や化学的アタックがない。
この結果、オートクレーブ滅菌時の圧力、湿気により内視鏡2を破損することがない。また、防水キャップ33の耐用期間を延ばすことができる。更に防水キャップ33、収納ケース34の破損時の修理性が良く、高温高圧蒸気滅菌前後の作業性が良い。また、防水キャップ33の圧力調整弁の洗滌、消毒による破損がない。
次に変形例として防水キャップと圧力調整弁とを別体とした構成について説明する。
図7に示すように前記収納ケース34には圧力調整弁付き通気アダプタ(以下、通気アダプタ)68が接続部材65にて接続されている。
図8に示すように内視鏡2aには、前記電気コネクタ部11の通気孔66の代わりに通気口金67が設けられている。この内視鏡2aの通気口金67には、前記通気アダプタ68を着脱自在に取り付けることが可能となっている。
前記通気口金67は通常は閉じており内視鏡2を外部に対して水密にシールすると共に、前記通気口金67に前記通気アダプタ68が取り付けると、開いて内視鏡2の内部と前記通気アダプタ68とを連通する図示しない開閉弁が設けられている。
前記通気アダプタ68は、前記通気口金67に接続された状態では前記内視鏡2の内部と連通する、前記防水キャップ33と同様な構成及び動作の図示しない逆止弁から構成される圧力調整弁を有している。尚、防水キャップ33aは防水キャップ33から圧力調整弁を除いた構成となっている。もし、高温高圧蒸気滅菌時に防水キャップ33aを付け忘れた場合は前記電気コネクタ部11に設けられた電気接点は充分乾燥させれば、検査に使用することができる。
これにより、高温高圧蒸気滅菌時に圧力制御部材である通気アダプタ68の付け忘れがない。また、防水キャップ33aが洗滌、消毒と高温高圧蒸気滅菌とに兼用できるので、安価となる。
次に、他の変形例を示す。この例では図9に示すように防水キャップ33bは、図示しない前記圧力調整弁を水密的にシールする図示しない開閉弁を有する。この開閉弁は常時は閉じており、開閉弁開放アダプタ(以下、開放アダプタ)69が防水キャップ33bに取り付けられると開いて、前記圧力調整弁と外部とを連通する。
また、前記防水キャップ33bには接続部材65によって開放アダプタ69が接続されている。この防水キャップ33bは接続部材70によって内視鏡2bに接続されている。洗滌、消毒時には内視鏡2bの電気コネクタ部11に前記防水キャップ33bを取り付けて行う。その場合、前記開放アダプタ69は前記防水キャップ33bに取り付けない。
高温高圧蒸気滅菌時には防水キャップ33bに開放アダプタ69を取り付けて行う。このとき、開閉弁が開いて圧力調整弁は図6で説明した防水キャップ33と同様な動作を行う。
これにより、防水キャップ33bの圧力調整弁は開閉弁によるシールで、洗滌液や消毒液による固着や化学的アタックがない。また、接続部材65で接続されているので高温高圧蒸気滅菌時に防水キャップ33bに開放アダプタ69の取り付けを忘れない。更に、内視鏡2bと防水キャップ33bとが接続部材70で接続されているので、洗滌、消毒、高温高圧蒸気滅菌時に防水キャップ33bと内視鏡2bの取り付けを忘れない。
この結果、高温高圧蒸気滅菌時の圧力制御部材である開放アダプタ69の付け忘れによる内視鏡2bの破損がない。また、洗滌時、消毒時、高温高圧蒸気滅菌時の防水キャップ33bの付け忘れによる内視鏡2bの破損がない。防水キャップ33bの圧力調整弁の洗滌、消毒による破損がない。また、防水キャップ33bが洗滌、消毒と高温高圧蒸気滅菌とに兼用できるので、安価となる。尚、変形例として、防水キャップ33bの圧力調整弁を防水キャップではなく、内視鏡本体に設けたものにおいては、開放アダプタ69を防水キャップ33bに接続部材で接続しても良く、図5、7と同様に収納ケース34に接続して設けても良い。尚、本発明は高温高圧蒸気滅菌に限らず、EOG滅菌に適用しても良く、外部圧力が変動する工程を含めば洗滌、消毒、滅菌の何れに適用しても良い。
ところで、従来より、内視鏡装置では、滅菌、洗滌や消毒に関する情報の判別を外部から迅速且つ容易に行うことが嘱望されている。このような要請に対して例えば、特開平10−286218号公報に記載されている内視鏡装置は、内視鏡に洗滌、消毒及び滅菌情報のうち、少なくとも1つを示す滅菌状態の情報を示す指標を着脱自在に取り付けることで、判別を行うものが提案されている。
しかしながら、上記特開平10−286218号公報に記載の内視鏡装置は、滅菌状態の情報を示す指標を内視鏡に付け忘れる虞れがある。また、指標の交換が煩雑であり、この指標にコストがかかるので高価となっていた。そこで、内視鏡の滅菌状態が確実、容易に識別でき安価な内視鏡装置の提供が望まれていた。
図10及び図11を参照して内視鏡装置の構成例を説明する。
図10及び図11は内視鏡装置の構成例にかかり、図10は内視鏡装置の全体構成を示す全体構成図、図11は図10の内視鏡装置の動作を説明するフローチャートである。
図10に示すように本構成例の内視鏡装置1Aは、ユニバーサルコード9a端部のコネクタ部10aに後述のセンサユニットを設けた内視鏡2Aと、図1で説明した光源装置3及びモニタ6と、前記内視鏡2Aのコネクタ部10aに信号ケーブル4を介して着脱自在に接続されるビデオプロセッサ5aとから構成されている。尚、前記内視鏡2Aは観察や処置に使用された後には、洗滌後にオートクレーブ滅菌にて滅菌を行うことが可能なように構成されている。
前記内視鏡2Aのコネクタ部10aには前記信号ケーブル4の一端が着脱自在に接続される電気接点コネクタ11aが設けられており、前記信号ケーブル4の他端は前記ビデオプロセッサ5aに設けられた電気接点コネクタ11bに接続されるようになっている。
前記内視鏡2Aのコネクタ部10の内部には、センサユニット80が設けられている。このセンサユニット80は、温度センサ81及び湿度センサ82と、これらセンサ81、82が検知したデータを時系列的に記憶するEEPROMやフラッシュROMなどの書き換え可能な不揮発メモリから構成されるデータ記憶部83と、これらセンサ81、82及びデータ記憶部83を駆動するための小型のバッテリ84とを有している。そして、前記センサユニット80は、信号ライン85や電源ライン86によって前記電気コネクタ部11aに接続されている。
前記ビデオプロセッサ5aは、前記センサユニット80を制御する制御部91と、前記センサユニット80のバッテリ84を充電するための充電機構部92とを有している。そして、前記制御部91及び充電機構部92は、それぞれ信号ライン93及び電源ライン94によって前記電気コネクタ部11bに接続されている。
前記信号ケーブル4の一端を前記内視鏡2Aの電気コネクタ部11aに接続し、他端を前記ビデオプロセッサ5aの電気コネクタ部11bに接続することで、前記センサユニット80と前記ビデオプロセッサ5aは電気的に接続される。そして、前記ビデオプロセッサ5aの制御部91はセンサユニット80を制御すると共に、このセンサユニット80から信号ライン85、93を介して情報を授受できる。また、この接続時に前記ビデオプロセッサ5aの充電機構部92は、前記電源ライン86、94を介してバッテリ84を充電する構成となっている。
このように構成された内視鏡装置1Aを用いて内視鏡検査を行った後、内視鏡2Aを図示しないオートクレーブ滅菌装置に投入し、オートクレーブ滅菌を行う。
内視鏡2Aがオートクレーブ滅菌装置に投入されている間、温度センサ81及び湿度センサ82が内視鏡2A内の温度及び湿度を連続的に検知して、このデータをデータ記憶部83に記憶する。
オートクレーブ滅菌工程が終了して、内視鏡検査を行う際に内視鏡2Aを信号ケーブル4を介してビデオプロセッサ5aと接続するとセンサユニット80と制御部91とが接続される。
そして、図11のフォローチャートに示すようにビデオプロセッサ5aの電源をONするとステップS0でデータ記憶部83に記憶された温度及び湿度のデータが信号ライン85、93を介して、制御部91に送信される制御が行われた後、ビデオプロセッサ5aの制御部91では以下の制御が行われる。
ステップS1では制御部91では温度データと予め設定された温度の条件値例えば(温度132℃以上で10分間以上の連続状態)と比較し、この条件を満たすデータが含まれていればステップS2に進み、温度が低かったり、連続時間が短かったりした場合はステップS3に進む。
ステップS2では湿度データと予め設定された湿度の条件値例えば(湿度80%以上で10分間以上の連続状態)と比較し、この条件を満たすデータが含まれていればステップS4に進み、湿度が低かったり、連続時間が短かったりした場合はステップS3に進む。尚、前記温度の条件値と湿度の条件値は、正常に高温高圧蒸気滅菌が行われた際の内視鏡2Aの内部の温度と湿度に設定されている。
ステップS3ではモニタ6に高温高圧蒸気滅菌が適切に行われなかった旨の警告メッセージや図記号を表示すると共に図示しない警告音発生装置から警告音を発生する。次に、ステップS5で温度及び湿度と時間との関係を示すグラフ及びデータを表示した後、ステップS6に進む。尚、ステップS4ではモニタ6に高温高圧蒸気滅菌が適切に行われた旨のメッセージや図記号を表示する。次に、ステップS6ではセンサユニット80のデータ記憶部83のデータを初期状態にリセットする。
これにより、内視鏡2Aを用いて内視鏡検査を行う前に、内視鏡2Aがオートクレーブ滅菌されたか否か又は、高温高圧蒸気滅菌工程が正しく行われ、確実な滅菌が行われたか否かが確実且つ容易に識別できる。また、オートクレーブ滅菌装置が異常の場合、温度、湿度の異常状態が認識可能である。
また、複数の異なるデータの種類のセンサを設けてこれらのデータにより確実に滅菌されたか否かを判定するため、判定の精度が良い。更に、前記制御部91をビデオプロセッサ5aに内蔵したことにより、内視鏡2Aが安価である。
尚、前記制御部91をセンサユニット80と共に内視鏡2Aに内蔵した構成とし、表示や警告のみをビデオプロセッサ5aやモニタ6にて行う構成としても良い。また、前記制御部91を内視鏡2Aとビデオプロセッサ5aとの両方に設けて、処理を分担しても良い。更に、湿度センサ82は設けずに温度センサ81のみを設けた構成でも良いし、その逆でも良い。
また、湿度センサ82の代わりに第二の温度センサ81を設けて上記と同様の制御を行っても良い。この場合、何れかのセンサの故障により高温高圧蒸気滅菌時の温度に異常があるにも関わらず、温度データと所定の条件値との比較時にOKの判定がなされるようなデータとなったとしても、他の一方のセンサのデータによりNGの判断ができるので、センサの単一故障状態では高温高圧蒸気滅菌されたか否かの判定を間違えることがない。また、センサは内視鏡内部の状態ではなく外部の状態をセンシングするものでも良く、温度センサと共に設けるセンサは圧カセンサでも良い。
また、図12ないし図18を参照して、図1で説明した内視鏡2や図10で説明した内視鏡2Aを収納可能な収納ケース(滅菌用収納ケース)の構成例を説明する。
図12ないし図18は収納ケース(滅菌用収納ケース)の構成例にかかり、図12は収納ケース及びこの収納ケースが投入配置されるオートクレーブ滅菌装置のチャンバの一部を示す説明図、図13は図12の収納ケースのオートクレーブ滅菌前の状態の識別表示部付近を示す断面図、図14は図13の状態からオートクレーブ滅菌後の状態を示す収納ケースの識別表示部付近を示す断面図、図15は2つの識別表示部を設けた収納ケースを示す外観斜視図、図16は内視鏡のコネクタ部の配置を規制する規制部を有した収納ケースを示す外観斜視図、図17は図16の収納ケースの規制部付近を示す断面図、図18は図16の収納ケースの規制部に内視鏡のコネクタ部を配置した際の外観斜視図である。
図13に示すようにオートクレーブ滅菌装置100のチャンバ100aには収納ケース(滅菌用収納ケース)110が投入配置されるようになっている。
前記収納ケース110には、オートクレーブ滅菌前後の状態を表示する識別表示部111が設けられている。この識別表示部111には受け部112が設けられている。
前記オートクレーブ滅菌装置100のチャンバ100a内には、前記収納ケース110をチャンバ100a内の所定位置に位置決めする規制部101及び前記収納ケース110が設置された際に前記収納ケース110の受け部112に相対する位置に突起状の切換部102が設けられている。
図13に示すように前記収納ケース110の識別表示部111は高温高圧蒸気滅菌前であることを示す赤色の第1の表示部111a及び高温高圧蒸気滅菌後であることを示す青色の第2の表示部111bを有しており、前記収納ケース110に設けられたスライド部113に内挿されて、このスライド部113の空間をスライド可能に配置されている。前記スライド部113には、窓部114が設けられている。
内視鏡検査が終了したら内視鏡を洗滌した後、収納ケース110に収納する。この際、図13に示すように受け部112を手指にて把持して識別表示部111をスライドさせ、窓部114に赤色の第1の表示部111aを位置させると、第1の表示部111aが視認可能となる。よって、作業者は窓部114の表示色により収納ケース110が高温高圧蒸気滅菌前であることを識別可能である。
そして、洗滌済みの内視鏡が収納された収納ケース110がオートクレーブ滅菌装置100に収納可能な、ある程度の個数たまったら、オートクレーブ滅菌装置100に投入する。
収納ケース110をオートクレーブ滅菌装置100のチャンバ100a内の所定位置に設置すると、図12に示すようにチャンバ100a内の切換部102が収納ケース110の受け部112を当接押圧し、識別表示部111がスライドして窓部114に青色の表示部111bが位置してこの表示部111bが視認可能となる。
高温高圧蒸気滅菌が終了し、収納ケース110を取り出すと作業者は窓部114の表示色により、高温高圧蒸気滅菌済みであることを認識する。
これにより、高温高圧蒸気滅菌前後の収納ケース110が混在しても確実にこれらを識別できる。また、識別表示するためのプレートや指標を内視鏡や収納ケース110にその都度、着脱しないので作業性が良い。また、温度による色の変化で、高温高圧蒸気滅菌前後を識別する指標等に比べて耐久性が良く、安価である。
尚、収納ケース110が不要なオートクレーブ滅菌装置の場合には、収納ケース110に設けた識別表示部111を内視鏡の一部に設けて、オートクレーブ滅菌装置には内視鏡の設置位置を規制する規制部及び切換部102を設けて構成しても良い。そして、切換部102は常時、識別表示部111を押圧する位置に設けず、洗滌、消毒、滅菌の各処理が終了した後に識別表示部111を押圧する位置に移動する構成としても良い。この場合には、装置の故障等により処理の途中で収納ケース110を取り出したときには表示は未処理を示すこととなるので、処理済みと間違えることがない。
また、図15に示すように収納ケース110aにはオートクレーブ滅菌前後の状態を表示する識別表示部111の他に、洗滌前後の状態を表示する識別表示部115を設けて構成しても良い。
前記識別表示部111の窓部114近傍及び前記識別表示部115の窓部116近傍にはそれぞれ「滅菌/消毒状態」及び「洗滌状態」を示す文字や図記号をそれぞれ表示している。
内視鏡検査が終了したら内視鏡を収納ケース110aに収納する。この際、上述した収納ケース110と同様に識別表示部111と識別表示部115の表示を赤色に切り換える。図示しない洗滌装置に収納ケース110aを設置すると前記と同様にして識別表示部111aの表示が青色に切り替わる。
洗滌終了後にオートクレーブ滅菌装置100に収納ケース110aを投入すると前記と同様にして識別表示部111の表示が赤色に切り換わる。
これにより、洗滌前、洗滌後、高温高圧蒸気滅菌後の3つの状態の収納ケース110aが混在してもこれらの識別が可能となる。また、内視鏡検査終了後に内視鏡を収納ケース110aに収納すれば、滅菌終了まで全て収納ケース110aに収納したまま内視鏡を扱うことができるので、作業性が良い。
また、図16に示すように収納ケース110cには、内視鏡のコネクタ部10の配置を規制するための規制部120を設けて構成しても良い。
前記収納ケース110cには、識別表示部121の一端が前記規制部120に向けて突出可能なスライド部122が設けられている。
前記識別表示部121は、前記規制部120側が赤色の第1の表示部121a、前記規制部120と離れた側が青色の第2の表示部121bとなっている。
図17に示すように内視鏡のコネクタ部10が規制部120に配置される際には、前記識別表示部111は前記コネクタ部10により押圧されるような寸法に設定されている。
そして、収納ケース110cに内視鏡を収納する際にコネクタ部10を規制部120に通過させると、識別表示部121の一端が規制部120の方へ突出している場合にはコネクタ部10が識別表示部121を押圧し、この識別表示部121がスライドして窓部114に赤色の第1の表示部121aが位置し、図18に示すように赤色の第1の表示部121aが視認可能となる。その他は上述した収納ケース110と同様である。
これにより、内視鏡を収納ケース110cに収納する作業により、識別表示部121が赤色の第1の表示部121aに切り換わるので作業者が識別表示部121を切り換える操作が不要となり高温高圧蒸気滅菌前を示す赤色の第1の表示部121aを確実に表示でき、認識可能となる。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、収納容器に内視鏡を収納して行う処理であれば、洗滌、消毒、滅菌を行うどのような装置に適用しても良い。
[付記]
(付記項1) 細長な挿入部及びこの挿入部の基端側に連設した操作部を備え、洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を高温で行なうことが可能な内視鏡において、
前記洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を高温で行った後、所定の温度領域で冷却される際の前記挿入部の外表面の少なくとも一部の温度低下量をその他の外表面の少なくとも一部の温度低下量と略同じか、又は大きくしたことを特徴とする内視鏡。
(付記項2) 細長な挿入部及びこの挿入部の基端側に連設した操作部を備え、洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を高温で行なうことが可能な内視鏡において、
前記洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を高温で行った後、所定の温度領域で冷却される際の前記挿入部の外表面の少なくとも一部の温度低下量を前記挿入部以外の外表面の少なくとも一部の温度低下量と略同じか、又は大きくしたことを特徴とする内視鏡。
(付記項3) 前記挿入部の外表面の少なくとも一部は、この挿入部の軟性外皮を有する可撓管の外表面の少なくとも一部であることを特徴とする付記項1又は2に記載の内視鏡。
(付記項4) 前記挿入部の外表面の少なくとも一部は、この挿入部に設けた湾曲部よりも先端側の外表面の少なくとも一部であることを特徴とする付記項1又は2に記載の内視鏡。
(付記項5) 前記挿入部の外表面の少なくとも一部を形成する部材は、その他の外表面の少なくとも一部を形成する部材よりも熱伝導性の低い材料にて形成したことを特徴とする付記項1又は2に記載の内視鏡。
(付記項6) 内視鏡本体は高温高圧蒸気滅菌可能に形成され、前記所定の温度領域は略36℃〜140℃の範囲であることを特徴とする付記項1又は2に記載の内視鏡。
(付記項7) 前記挿入部の湾曲部よりも先端側の外表面の少なくとも一部の温度低下量をこの湾曲部の基端側に設けた可撓管部の外表面の少なくとも一部の温度低下量と略同じか、又は大きくしたことを特徴とする付記項4に記載の内視鏡。
(付記項8) 前記挿入部の外表面の少なくとも一部の温度低下量を前記操作部の外表面の少なくとも一部の温度低下量と略同じか、又は大きくしたことを特徴とする付記項1〜4に記載の内視鏡。
(付記項9) 前記その他の外表面の少なくとも一部を形成する部材をこの部材に隣接する他の部材に対して断熱して設けたことを特徴とする付記項1又は5に記載の内視鏡。
(付記項10) 前記操作部の外表面の少なくとも一部は、この操作部の把持部の外表面の少なくとも一部であることを特徴とする付記項8に記載の内視鏡。
(付記項11) 洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を行なうことが可能な内視鏡本体と、
前記内視鏡本体に直接的または間接的に着脱自在に接続可能で、この内視鏡本体外部の圧力に応じて内視鏡本体内部と内視鏡本体外部との連通状態を切り換える圧力調整手段又はこの圧力調整手段を制御する制御手段の少なくとも何れか一方を有する圧力制御部材と、
前記洗滌・消毒・滅菌のうち少なくとも一つの処理を行う際に、前記内視鏡本体と組み合わせて使用される組み合わせ部材と、
前記組み合わせ部材を前記圧力制御部材に接続する接続部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
(付記項12) 前記組み合わせ部材は、前記内視鏡本体を水密的に遮蔽する防水キャップ部材であることを特徴とする付記項11に記載の内視鏡装置。
(付記項13) 前記組み合わせ部材は、前記内視鏡本体を収納する容器であることを特徴とする付記項11に記載の内視鏡装置。
(付記項14) 前記圧力制御部材は、前記内視鏡本体の通気口に着脱自在に接続され、前記内視鏡本体外部の圧力が前記内視鏡本体内部の圧力より低いときに内部と外部とを連通し、前記内視鏡本体外部の圧力が前記内視鏡本体内部の圧力より高いときに内部と外部とを遮断する逆止弁を有することを特徴とする付記項11に記載の内視鏡装置。
(付記項15) 前記圧力制御部材は、前記防水キャップ部材に接続されて前記内視鏡本体に間接的に接続されることを特徴とする付記項12に記載の内視鏡装置。
(付記項16) 前記圧力制御部材は、前記逆止弁の動作を制御する制御手段を有することを特徴とする付記項14に記載の内視鏡装置。
(付記項17) 周囲の環境状態を検知するセンサ手段及びこのセンサ手段が検知した情報を記憶する記憶手段を有する内視鏡と、
この内視鏡のセンサ手段が検知した情報、又はこの情報に基づいて所定の環境に前記内視鏡が置かれたか否かを判断した判断結果を告知する告知手段と、
を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
(付記項18) 前記内視鏡のセンサ手段が検知した情報に基づいて所定の環境に前記内視鏡が置かれたか否かを判断する判断部を前記内視鏡又はこの内視鏡と前記情報の授受手段を有する外部装置の少なくとも一方に設けたことを特徴とする付記項17に記載の内視鏡装置。
(付記項19) 前記告知手段を前記内視鏡又はこの内視鏡と前記情報の授受手段を有する外部装置の少なくとも一方に設けたことを特徴とする付記項17に記載の内視鏡装置。
(付記項20) 前記所定の環境は、高温高圧蒸気滅菌時における環境であることを特徴とする付記項17に記載の内視鏡装置。
(付記項21) 前記センサ手段で検知する情報は、少なくとも温度情報を含むことを特徴とする付記項17に記載の内視鏡装置。
(付記項22) 前記判断部は、少なくとも2つの情報に基づいて所定の環境に前記内視鏡が置かれたか否かを判断することを特徴とする付記項18に記載の内視鏡装置。
(付記項23) 前記判断部は、同一の情報を検知する複数のセンサ手段からの少なくとも2つの情報に基づいて所定の環境に前記内視鏡が置かれたか否かを判断することを特徴とする付記項18に記載の内視鏡装置。
(付記項24) 直接又は収納容器に収納した状態で内視鏡を設置して洗滌、消毒、滅菌の少なくとも1つの処理を行う装置を備えた内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡又は前記収納容器の何れか一方に、前記洗滌、消毒、滅菌の少なくとも1つの処理を行ったことを表示する識別表示手段と、
この識別表示手段により識別表示される識別表示を切り換える切換手段と、
を具備したことを特徴とする内視鏡システム。
(付記項25) 第1の識別表示手段及び第2の識別表示手段を備え、前記第1の識別表示手段を切り替える第1の切換手段を洗滌装置に設けると共に、前記第2の識別表示手段を切り替える第2の切換手段を消毒装置及び滅菌装置の何れか一方に設けたことを特徴とする付記項24に記載の内視鏡システム。
(付記項26) 前記識別表示手段は、色の異なる複数の識別表示により行うことを特徴とする付記項24に記載の内視鏡システム。
(付記項27) 前記切換手段は、前記収納容器に前記内視鏡を収納又は取り出しの何れかの作業に関連して前記識別表示手段による識別表示を切り換えることを特徴とする付記項24に記載の内視鏡システム。
(付記項28) 前記装置は、高温高圧蒸気滅菌装置であることを特徴とする付記項24又は25に記載の内視鏡システム。