JP2004105520A - 血管切開器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】血管を、容易、迅速かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる血管切開器具を提供する。
【解決手段】血管切開器具1は、本体2と、鋭利な先端51および刃部52を備えた穿刺切開部材5と、穿刺切開部材5に沿って移動し得るように設けられたローラ7と、ローラ7を穿刺切開部材5に押し付けながら穿刺切開部材5に沿って移動させる移動手段4とを有している。本体2は、把持部31と縮径部32とで構成された柄3を有し、縮径部32の下端には、穿刺切開部材5を着脱自在に装着する取り付け部33が設けられている。移動手段4は、フランジ41およびリブ42が形成された操作部材40と、この操作部材40とローラ7とを接続するローラ接続部6とを有している。操作部材40は、柄3の中空部に挿入され、柄3に対して、長手方向に移動し得るようになっている。
【選択図】図1
【解決手段】血管切開器具1は、本体2と、鋭利な先端51および刃部52を備えた穿刺切開部材5と、穿刺切開部材5に沿って移動し得るように設けられたローラ7と、ローラ7を穿刺切開部材5に押し付けながら穿刺切開部材5に沿って移動させる移動手段4とを有している。本体2は、把持部31と縮径部32とで構成された柄3を有し、縮径部32の下端には、穿刺切開部材5を着脱自在に装着する取り付け部33が設けられている。移動手段4は、フランジ41およびリブ42が形成された操作部材40と、この操作部材40とローラ7とを接続するローラ接続部6とを有している。操作部材40は、柄3の中空部に挿入され、柄3に対して、長手方向に移動し得るようになっている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管を切開する血管切開器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、血管の切開には、メスや剪刀が用いられている。
【0003】
例えば、冠状動脈バイパス手術等の血管吻合手技において、例えば内胸動脈と左冠状動脈を端側吻合する場合には、まず、左冠状動脈部を切開し、その後、前記切開部と内胸動脈端部との吻合を行なう。このような場合、前記切開は、メスや剪刀で行われ、手技は医師の手腕に依存し、目標の切開長を得るには数回に渡り前記メスや剪刀を使用する。すなわち、小切開からそれを徐々に広げることにより必要な切開長を得る。
【0004】
しかしながら、メスや剪刀で血管を切開すると、目標の切開長を得るためには、慎重に切開を行わなければならず、また、その切開に要する時間も長くかかる。
【0005】
また、時間をかけて慎重に切開したとしても、目標の切開長が得られないこともあり、正確性に欠ける。特に、心拍動下で目標の切開長を得るのは非常に難しい。
【0006】
また、湾曲した刃を備え、その刃の先端を血管に穿刺し、再び突き出して、血管の穿刺孔と突き出し孔との間を切開する切開器具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この切開器具では、血管の穿刺孔と突き出し孔との間が切開部となる。
【0007】
しかしながら、この切開器具では、切開長を規制する手段を有さないため、刃の先端を血管に穿刺した後、再び突き出すまでの間に、穿刺孔側の刃によって血管を切開してしまうことがあり、これにより、刃の先端を目標の位置から突き出すことができず、目標の切開長が得られないことがある。
【0008】
このため、正確性に欠け、特に、心拍動下で目標の切開長を得るのは非常に難しい。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5776154号明細書(第1図および第2図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、血管を、容易、迅速かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる血管切開器具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0012】
(1) 血管を切開する血管切開器具であって、
本体と、
鋭利な先端および刃部を備えた穿刺切開部材と、
前記穿刺切開部材に沿って移動し得る回転体と、
前記回転体を前記穿刺切開部材に押し付けながら該穿刺切開部材に沿って移動させる移動手段とを有し、
前記穿刺切開部材を血管に穿刺した状態で前記回転体を移動させ、前記穿刺切開部材と前記回転体とで血管壁を挟むことにより血管を切開するよう構成されていることを特徴とする血管切開器具。
【0013】
(2) 前記回転体は、前記穿刺切開部材のうち、少なくとも前記刃部の部分を移動し、その刃部の長さが血管の略切開長となるよう構成されている上記(1)に記載の血管切開器具。
【0014】
(3) 血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(1)に記載の血管切開器具。
【0015】
(4) 前記回転体の移動距離を規制する移動距離規制手段を有する上記(1)または(2)に記載の血管切開器具。
【0016】
(5) 前記移動距離規制手段は、血管を切開する際の前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を規制するものである上記(4)に記載の血管切開器具。
【0017】
(6) 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動距離を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(4)または(5)に記載の血管切開器具。
【0018】
(7) 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(5)に記載の血管切開器具。
【0019】
(8) 前記本体は、略長尺状をなしており、前記穿刺切開部材は、前記本体の一端側に設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0020】
(9) 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0021】
(10) 前記本体は、略筒状をなす柄を有し、
前記移動手段は、略長尺状をなし、前記回転体を移動操作する操作部材を有し、
前記穿刺切開部材は、前記柄の一端側に設けられ、
前記操作部材は、前記柄の中空部に移動可能に挿入され、かつ、該操作部材の操作部は、前記柄の他端側に位置する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0022】
(11) 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する上記(10)に記載の血管切開器具。
【0023】
(12) 前記付勢手段は、弾性体を有し、前記回転体は、該弾性体を介して前記操作部材に接続されている上記(11)に記載の血管切開器具。
【0024】
(13) 前記穿刺切開部材を血管に穿刺したときの該穿刺切開部材の血管内への挿入量を規制する挿入量規制手段を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0025】
(14) 前記回転体の外径は、略一定である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0026】
(15) 前記回転体の外径は、該回転体の長手方向中央付近から両端に向ってそれぞれ漸増している上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0027】
(16) 前記回転体の外周面に溝が設けられている上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0028】
(17) 前記回転体の少なくとも表層部は、硬質材料で構成されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0029】
(18) 前記回転体の少なくとも表層部は、弾性体で構成されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0030】
(19) 前記回転体が前記穿刺切開部材に対し該回転体の回転軸方向にずれるのを防止する横ずれ防止手段を有する上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0031】
(20) 前記穿刺切開部材は、前記本体に対して着脱自在に設けられる上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血管切開器具を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の血管切開器具の第1実施形態を示す断面側面図、図2は、図1に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図、図3は、図1に示す血管切開器具の下端部(ローラ等は省略)を示す斜視図、図4は、図1に示す血管切開器具の正面図、図5は、図1に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図、図6は、図5に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【0034】
なお、図1、図2、図5および図6中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図3中、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図4中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」として説明する。
【0035】
これらの図に示す血管切開器具1は、血管を切開するための器具であり、本体2と、血管を切開する穿刺切開部材5と、この穿刺切開部材5に沿って(対して)移動し得るように設けられたローラ(回転体)7と、ローラ7を穿刺切開部材5に押し付けながら穿刺切開部材5に沿って(穿刺切開部材5の長手方向に)移動させる移動手段4とを有している。
【0036】
図1および図4に示すように、本体の全体形状は、長尺状(棒状)をなしている。すなわち、本体2は、筒状をなす柄3を有している。
【0037】
柄3は、略円筒状の把持部31と、この把持部31の下端に設けられ、把持部31より外径が小さい(縮径した)略円筒状の縮径部32とで構成されている。
【0038】
使用者(操作者)は、この把持部31を手指で把持して血管切開器具1を使用する。
また、柄3の縮径部32の側面には、開口(長穴)321が形成されている。
【0039】
また、柄3の縮径部32の下端には、穿刺切開部材5を着脱自在に装着する取り付け部(装着部)33が設けられている。
【0040】
図2に示すように、穿刺切開部材5は、血管に穿刺し、かつ、血管を切開する部材であり、鋭利な先端51および刃部52を有している。
【0041】
本実施形態では、図2中、穿刺切開部材5の上側は、直線状をなし、先端部において下側が傾斜することによって、鋭利な先端51が形成されている。このように穿刺切開部材5の上側を直線状にすることにより、ローラ7を円滑に移動させることができる。
【0042】
また、刃部52は、本実施形態では、穿刺切開部材5の先端51から後述するストッパー(挿入量規制手段)34の先端まで形成されている。
【0043】
なお、刃部52を、穿刺切開部材5の先端51からストッパー34の先端より基端側まで形成してもよいことは言うまでもないが、この場合も、血管を切開し得る刃部として機能するのは、穿刺切開部材5のうち、ストッパー34の先端までの部分である。
【0044】
この穿刺切開部材5の長さ(刃部52の長さ)は、特に限定されず、例えば、血管の切開長等の諸条件に応じて適宜設定される。
【0045】
また、穿刺切開部材5の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、鋼、鉄等の各種金属または合金や、各種セラミックス等が挙げられる。
【0046】
また、図2および図3に示すように、取り付け部33の先端側には、ストッパー(挿入量規制手段)34が形成されている。
【0047】
このスットパー34により、穿刺切開部材5を血管に穿刺し、その血管内に挿入したとき、スットパー34の先端面が血管の表面に当接して穿刺切開部材5の血管内への挿入長さ(挿入量)が規制される。
【0048】
また、ストッパー34には溝341が図3中横方向に沿って形成されており、穿刺切開部材5は、このストッパー34の溝341内に位置している。
【0049】
また、図1および図4に示すように、柄3の縮径部32の下端側、すなわち、取り付け部33の近傍には、ローラ7が前記穿刺切開部材5に対しローラ7の回転軸方向(図4中横方向)にずれるのを防止する横ずれ防止手段として、一対の突出部35、35が設けられている。
【0050】
図1および図4に示すように、移動手段4は、長尺状(棒状)をなす操作部材40と、この操作部材40とローラ(回転体)7とを接続するローラ接続部(回転体接続部)6とを有している。
【0051】
操作部材40は、前記柄3の中空部に挿入され、柄3に対して、長手方向に移動し得るようになっている。
【0052】
なお、本実施形態では、操作部材40の横断面形状および柄3の中空部の横断面形状は、それぞれ、完全な円形ではなく、操作部材40が柄3に対して回転しないように(周方向にずれないように)、円形から少し変形した形状(例えば、楕円形状)をなしている。
【0053】
この操作部材40の上端には、フランジ(操作部)41が形成されており、そのフランジ41の下側には、環状のリブ42が形成されている。これらフランジ41およびリブ42は、それぞれ、柄3の上端側、すなわち、把持部31の上端より上側に位置している。
【0054】
また、操作部材40の下端側には、前記柄3の縮径部32の開口321からローラ接続部6の上端側が接合されている。
【0055】
そして、このローラ接続部6の下端側には、ローラ(回転体)7を回転可能に支持しているローラ支持部(回転体支持部)70が接合されている。
【0056】
ローラ接続部6は、ローラ7を、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を兼ねており、板バネ(弾性体)で構成されている。本実施形態では、このローラ接続部6が自然状態のとき、図2に示すように、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7がストッパー34の基端(移動開始位置)に位置するようになっている。
【0057】
また、ローラ接続部6は、前記一対の突出部35、35の間に位置し、これにより、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0058】
使用者(操作者)により、操作部材40が押圧操作されて下側に移動すると、図5および図6に示すように、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)し、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って先端側に向って移動する。そして、操作部材40のリブ42が柄3の把持部31に当接し、ローラ7は、穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)で止まる。
【0059】
この図5および図6に示す状態では、操作部材40は、ローラ接続部6の復元力(弾性力)により、上側に向って付勢されており、使用者が押圧操作を止め、その操作部材40から手指を離すと、図1および図2に示すように、ローラ接続部6の付勢力により、操作部材40は、上側に移動し、これにより、ローラ7が基端側に向って移動する。そして、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7は、ストッパー34の基端(移動開始位置)で止まる。
【0060】
このように、本実施形態では、ローラ7が、穿刺切開部材5のうち、少なくとも刃部52の部分を移動し、その刃部52の長さが血管の切開長となるようになっている。
【0061】
また、リブ42および取り付け部33等により、ローラ7の移動距離を規制する移動距離規制手段が構成される。この場合、取り付け部33等により血管を切開する際のローラ7の移動開始位置が規制され、リブ42等により、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置が規制される。
【0062】
図4に示すように、本実施形態では、前記ローラ7として、その外径(直径)が略一定のものが用いられている。
【0063】
このローラ7の構成材料は、特に限定されないが、硬質材料(硬質体)または弾性材料(弾性体)が好ましい。この場合、ローラ7の少なくとも表層部が、硬質材料(硬質体)または弾性材料(弾性体)で構成されていればよい。
【0064】
これにより、ローラ7によって、より確実に血管を穿刺切開部材5に押し付けることができ、より確実に血管を切開することができる。
【0065】
前記硬質材料(硬質体)としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、鋼、鉄等の各種金属または合金や、各種セラミックスや、各種硬質樹脂等が挙げられる。
また、前記弾性材料(弾性体)としては、例えば、各種ゴム等が挙げられる。
【0066】
なお、穿刺切開部材5の構成は、図示のものに限定されず、例えば、図7に示すように、穿刺切開部材5の先端部に刃部52を形成しなくてもよく、また、図8に示すように、穿刺切開部材5の先端部および基端部にそれぞれ刃部52を形成しなくてもよく、また、図9に示すように、穿刺切開部材5の基端部に刃部52を形成しなくてもよい。また、図10に示すように、穿刺切開部材5の全体の長さを長くしてもよく、また、図示しないが、穿刺切開部材5の全体の長さを短くしてもよい。
【0067】
また、図7〜図9に示す各穿刺切開部材5においても、それぞれ、穿刺切開部材5の全体の長さを長くしてもよく、また、短くしてもよい。
【0068】
前述したように、本実施形態では、穿刺切開部材5が、本体2に対して着脱自在に装着されるよう、すなわち、交換可能に構成されているので、穿刺切開部材5が破損、損傷、または劣化した場合に、その穿刺切開部材5のみを交換することができ、これにより、血管切開器具1全体を交換する場合に比べ、コストを低減することができる。
【0069】
また、例えば、刃部52の長さや刃部52の形成位置の異なる複数の穿刺切開部材5を用意し、それらから適宜選択して、穿刺切開部材5を装着することにより、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に設定することができ、また、血管の切開をより容易に行うことができる。
【0070】
次に、血管切開器具1の使用方法(作用)を説明する。
図11〜図13は、それぞれ、図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。なお、図11〜図13中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」として説明する。
【0071】
血管切開器具1を用いて血管を切開する際は、その血管の目標の切開長に対応する穿刺切開部材5を取り付け部33に装着する。
【0072】
まず、使用者(操作者)は、血管切開器具1の柄3の把持部31を手指で把持し、図11に示すように、その穿刺切開部材5の先端51を血管100の外壁110の切開開始位置から穿刺し、図12に示すように、ストッパー34で止まるまで穿刺切開部材5を血管100の内腔120に刺し込む。
【0073】
次に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作する。
【0074】
これにより、図5に示すように、操作部材40は、そのリブ42が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、図13に示すように、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿ってストッパー34の基端(移動開始位置)から穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)まで移動する。この際、一対の突出部35、35により、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0075】
前記ローラの移動により、血管100の外壁110がローラ7と刃部52とで挟まれる。すなわち、ローラ7により、外壁110が刃部52に押し付けられ、その外壁110が切開される。
【0076】
なお、この図13に示す状態では、操作部材40は、ローラ接続部6の復元力(弾性力)により、上側に向って付勢されている。
【0077】
以上で、血管100の切開は終了し、使用者が操作部材40から指を離すと、図1に示すように、ローラ接続部6の付勢力により、操作部材40は、上側に移動し、これとともに、ローラ7が基端側に向って移動する。そして、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7は、ストッパー34の基端で止まり、血管切開器具1は、図1に示す初期の状態に戻る。
【0078】
以上説明したように、この血管切開器具1によれば、穿刺切開部材5の刃部52で血管の切開長が規制され、その刃部52の部分が切開部となるので、血管を、容易かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる。
【0079】
特に、穿刺切開部材5の刃部52の部分が切開部となり、ローラ7の移動によって血管を切開するので、容易に、1回の操作で切開を終了することができる。すなわち、血管を迅速に目標の長さに切開することができる。
【0080】
また、突出部35により、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止されるので、より確実に、血管100を目標の長さに切開することができる。
【0081】
次に、本発明の血管切開器具の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の血管切開器具の第2実施形態を示す断面側面図、図15は、図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分を示す断面側面図(拡大図)、図16は、図15中のA−A線での断面図、図17は、図14に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図、図18および図19は、それぞれ、図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【0082】
以下、第2実施形態の血管切開器具1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図14および図17〜図19中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図13中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」として説明する。
【0083】
これらの図に示す第2実施形態の血管切開器具1は、ローラ7の移動距離を変更、すなわち、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段(切開長調節機構)8を有している。以下、さらに詳細に説明する。
【0084】
図15および図16に示すように、切開長調節手段8は、操作部材40の長手方向に沿って移動可能であって、かつ、操作部材40に対し固定し得るスライダ80を有している。
【0085】
このスライダ80は、雄ネジ(ボルト)81と、雄ネジ81に螺合する雌ネジ82とで構成されている。
【0086】
また、操作部材40の開口321に対応する位置およびその近傍には、操作部材40の長手方向に沿って、溝43が形成されている。この溝43は、底側の幅(図16中横方向の長さ)が表面側の幅より広くなるように(幅広になるように)形成されている。
【0087】
前記スライダ80の雄ネジ81は、溝43内に、その溝43に沿って移動し得るように設置されている。また、雄ネジ81は、その頭部が溝43の前記幅広の部分に位置するように設置されており、これにより、雄ネジ81の溝43(操作部材40)からの離脱が阻止(防止)される。
【0088】
このスライダ80の雌ネジ82を所定方向に回転操作すると、雌ネジ82が操作部材40に接近する方向に移動し、雌ネジ82と雄ネジ81とで操作部材40を挟持し(締め付け)、これにより、スライダ80が操作部材40に固定される。
【0089】
また、雌ネジ82を前記と逆方向に回転操作すると、雌ネジ82が操作部材40から離間する方向に移動し、前記締め付けが緩み、これにより、スライダ80が操作部材40に対して移動可能になる。
【0090】
この血管切開器具1では、初期の状態においては、図14に示すように、スライダ80が、柄3の縮径部32における開口321に臨む縁部に当接し、これにより、ローラ7は、ストッパー34よりも先端側の位置(移動開始位置)に位置している。
【0091】
次に、前述した第1実施形態と同様に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作すると、図17に示すように、操作部材40は、そのリブ42が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)まで移動する。
【0092】
そして、使用者が操作部材40から指を離すと、図14に示す初期の状態に戻る。
【0093】
また、血管の切開長を調節する際は、まず、雌ネジ82を回転操作し、その締め付けを緩め、スライダ80を所定の位置に移動させる。
【0094】
この場合、図18に示すように、スライダ80を上側に移動させると、ローラ7の移動開始位置が先端側に移動し、血管の切開長が短くなる。逆に、図19に示すように、スライダ80を下側に移動させると、ローラ7の移動開始位置が基端側に移動し、血管の切開長が長くなる。
【0095】
そして、スライダ80を所定の位置に移動させた後、雌ネジ82を回転操作し、スライダ80を操作部材40に固定させる。
【0096】
この血管切開器具1によれば、前述した第1実施形態の血管切開器具1と同様の効果が得られる。
【0097】
そして、この血管切開器具1では、切開長調節手段8を有しているので、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に容易かつ迅速に設定することができる。
【0098】
なお、この第2実施形態でも前述した第1実施形態で述べた任意の変形が可能である。
【0099】
次に、本発明の血管切開器具の第3実施形態について説明する。
図20は、本発明の血管切開器具の第3実施形態を示す断面側面図、図21は、図20に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【0100】
以下、第3実施形態の血管切開器具1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図20および図21中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」として説明する。
【0101】
これらの図に示す第3実施形態の血管切開器具1は、ローラ7の移動距離を変更、すなわち、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段(切開長調節機構)9を有している。以下、さらに詳細に説明する。
【0102】
図20に示すように、切開長調節手段9は、操作部材40の長手方向に沿って移動可能であって、かつ、操作部材40に対し固定し得る部材、本実施形態では、ナット(雌ネジ)45を有している。
【0103】
また、操作部材40の上端側の周面には、このナット(雌ネジ)45に螺合する雄ネジ44が形成されており、ナット45は、把持部31の上側に位置している。
【0104】
この血管切開器具1では、初期の状態においては、前述した第1実施形態と同様に、図20に示すように、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、これにより、ローラ7は、ストッパー34の基端(移動開始位置)に位置している。
【0105】
次に、前述した第1実施形態と同様に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作すると、図21に示すように、操作部材40は、ナット45が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って穿刺切開部材5の先端51の手前の位置(移動終了位置)まで移動する。
【0106】
そして、使用者が操作部材40から指を離すと、図20に示す初期の状態に戻る。
【0107】
また、血管の切開長を調節する際は、ナット45を回転操作し、そのナット45を所定の位置に移動させる。
【0108】
この場合、ナット45を上側に移動させると、ローラ7の移動終了位置が先端側に移動し、血管の切開長が長くなる。逆に、ナット45を下側に移動させると、ローラ7の移動終了位置が基端側に移動し、血管の切開長が短くなる。
【0109】
この血管切開器具1によれば、前述した第1実施形態の血管切開器具1と同様の効果が得られる。
【0110】
そして、この血管切開器具1では、切開長調節手段9を有しているので、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に容易かつ迅速に設定することができる。
【0111】
なお、この第3実施形態でも前述した第1実施形態で述べた任意の変形が可能である。
【0112】
また、本発明では、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段、例えば、この第3実施形態の切開長調節手段9と、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段、例えば、前述した第2実施形態の切開長調節手段8とを有していてもよい。
【0113】
以上、本発明の血管切開器具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0114】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、穿刺切開部材5(刃部52)の平面視での形状(図1中上側から見たときの形状)は、直線(直線状)であるが、本発明では、穿刺切開部材5(刃部52)の形状(パターン)は、この形状に限らず、この他、例えば、平面視で、図22に示すように、曲線(曲線状)であってもよく、また、図23に示すように、2つの曲線を互いの凹部側が対向するように合わせたような形状であってもよい。
【0116】
穿刺切開部材5(刃部52)の形状(パターン)を換えることにより、血管を任意のパターンに切開することができる。
【0117】
また、前記実施形態では、ローラ(回転体)7として、その外径(直径)が略一定のものが用いられているが、本発明ではローラ7の形状は、この形状に限定されない。
【0118】
以下、ローラ(回転体)7の他の構成例、ここでは、横ずれ防止手段をローラ7に施した場合について説明する。
【0119】
図24〜図27は、それぞれ、ローラ(回転体)7の他の構成例を示す縦断面図である。
【0120】
図24および図25に示すように、これらのローラ7の外径(直径)は、それぞれ、ローラ7の長手方向中央付近から両端に向ってそれぞれ漸増している。
【0121】
図24に示すローラ7は、それを正面から見たとき(縦断面図において)、外周面71が曲線状をなし、また、図25に示すローラ7は、それを正面から見たとき、外周面71が折れ線(直線)状をなしている。
【0122】
また、図26および図27に示すように、これらのローラ7は、それぞれ、その外周面71に、穿刺切開部材5(刃部52)が挿入される(穿刺切開部材5と係合する)溝72を有している。各溝72は、それぞれ、ローラ7の周方向に沿って形成されている。
【0123】
図26に示すローラ7は、それを正面から見たとき、溝72の形状は、略V字状をなし、また、図27に示すローラ7は、それを正面から見たとき、溝72の形状は、略四角形をなしている。
【0124】
これら図24〜図27に示すローラ7を用いることにより、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0125】
また、別途、横ずれ防止手段を設ける必要がなく、その横ずれ防止手段が邪魔になることもない。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転体を移動させ、穿刺切開部材と回転体とで血管壁を挟むことにより血管を切開するので、血管を、容易、迅速かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる。
【0127】
また、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する場合には、容易、迅速かつ確実に、血管の切開長を目標の長さに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血管切開器具の第1実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図1に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【図3】図1に示す血管切開器具の下端部(ローラ等は省略)を示す斜視図である。
【図4】図1に示す血管切開器具の正面図である。
【図5】図1に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図6】図5に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【図7】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図8】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図9】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図10】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図11】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図12】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図13】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図14】本発明の血管切開器具の第2実施形態を示す断面側面図である。
【図15】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分を示す断面側面図(拡大図)である。
【図16】図15中のA−A線での断面図である。
【図17】図14に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図18】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【図19】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【図20】本発明の血管切開器具の第3実施形態を示す断面側面図である。
【図21】図20に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図22】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す平面図である。
【図23】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す平面図である。
【図24】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図25】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図26】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図27】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 血管切開器具
2 本体
3 柄
31 把持部
32 縮径部
321 開口
33 取り付け部
34 ストッパー
341 溝
35 突出部
4 移動手段
40 操作部材
41 フランジ
42 リブ
43 溝
44 雄ネジ
45 ナット
5 穿刺切開部材
51 先端
52 刃部
6 ローラ接続部
7 ローラ
70 ローラ支持部
71 外周面
72 溝
8 切開長調節手段
80 スライダ
81 雄ネジ
82 雌ネジ
9 切開長調節手段
100 血管
110 外壁
120 内腔
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管を切開する血管切開器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、血管の切開には、メスや剪刀が用いられている。
【0003】
例えば、冠状動脈バイパス手術等の血管吻合手技において、例えば内胸動脈と左冠状動脈を端側吻合する場合には、まず、左冠状動脈部を切開し、その後、前記切開部と内胸動脈端部との吻合を行なう。このような場合、前記切開は、メスや剪刀で行われ、手技は医師の手腕に依存し、目標の切開長を得るには数回に渡り前記メスや剪刀を使用する。すなわち、小切開からそれを徐々に広げることにより必要な切開長を得る。
【0004】
しかしながら、メスや剪刀で血管を切開すると、目標の切開長を得るためには、慎重に切開を行わなければならず、また、その切開に要する時間も長くかかる。
【0005】
また、時間をかけて慎重に切開したとしても、目標の切開長が得られないこともあり、正確性に欠ける。特に、心拍動下で目標の切開長を得るのは非常に難しい。
【0006】
また、湾曲した刃を備え、その刃の先端を血管に穿刺し、再び突き出して、血管の穿刺孔と突き出し孔との間を切開する切開器具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この切開器具では、血管の穿刺孔と突き出し孔との間が切開部となる。
【0007】
しかしながら、この切開器具では、切開長を規制する手段を有さないため、刃の先端を血管に穿刺した後、再び突き出すまでの間に、穿刺孔側の刃によって血管を切開してしまうことがあり、これにより、刃の先端を目標の位置から突き出すことができず、目標の切開長が得られないことがある。
【0008】
このため、正確性に欠け、特に、心拍動下で目標の切開長を得るのは非常に難しい。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5776154号明細書(第1図および第2図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、血管を、容易、迅速かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる血管切開器具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0012】
(1) 血管を切開する血管切開器具であって、
本体と、
鋭利な先端および刃部を備えた穿刺切開部材と、
前記穿刺切開部材に沿って移動し得る回転体と、
前記回転体を前記穿刺切開部材に押し付けながら該穿刺切開部材に沿って移動させる移動手段とを有し、
前記穿刺切開部材を血管に穿刺した状態で前記回転体を移動させ、前記穿刺切開部材と前記回転体とで血管壁を挟むことにより血管を切開するよう構成されていることを特徴とする血管切開器具。
【0013】
(2) 前記回転体は、前記穿刺切開部材のうち、少なくとも前記刃部の部分を移動し、その刃部の長さが血管の略切開長となるよう構成されている上記(1)に記載の血管切開器具。
【0014】
(3) 血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(1)に記載の血管切開器具。
【0015】
(4) 前記回転体の移動距離を規制する移動距離規制手段を有する上記(1)または(2)に記載の血管切開器具。
【0016】
(5) 前記移動距離規制手段は、血管を切開する際の前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を規制するものである上記(4)に記載の血管切開器具。
【0017】
(6) 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動距離を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(4)または(5)に記載の血管切開器具。
【0018】
(7) 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する上記(5)に記載の血管切開器具。
【0019】
(8) 前記本体は、略長尺状をなしており、前記穿刺切開部材は、前記本体の一端側に設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0020】
(9) 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0021】
(10) 前記本体は、略筒状をなす柄を有し、
前記移動手段は、略長尺状をなし、前記回転体を移動操作する操作部材を有し、
前記穿刺切開部材は、前記柄の一端側に設けられ、
前記操作部材は、前記柄の中空部に移動可能に挿入され、かつ、該操作部材の操作部は、前記柄の他端側に位置する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0022】
(11) 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する上記(10)に記載の血管切開器具。
【0023】
(12) 前記付勢手段は、弾性体を有し、前記回転体は、該弾性体を介して前記操作部材に接続されている上記(11)に記載の血管切開器具。
【0024】
(13) 前記穿刺切開部材を血管に穿刺したときの該穿刺切開部材の血管内への挿入量を規制する挿入量規制手段を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0025】
(14) 前記回転体の外径は、略一定である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0026】
(15) 前記回転体の外径は、該回転体の長手方向中央付近から両端に向ってそれぞれ漸増している上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0027】
(16) 前記回転体の外周面に溝が設けられている上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0028】
(17) 前記回転体の少なくとも表層部は、硬質材料で構成されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0029】
(18) 前記回転体の少なくとも表層部は、弾性体で構成されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0030】
(19) 前記回転体が前記穿刺切開部材に対し該回転体の回転軸方向にずれるのを防止する横ずれ防止手段を有する上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0031】
(20) 前記穿刺切開部材は、前記本体に対して着脱自在に設けられる上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の血管切開器具。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血管切開器具を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の血管切開器具の第1実施形態を示す断面側面図、図2は、図1に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図、図3は、図1に示す血管切開器具の下端部(ローラ等は省略)を示す斜視図、図4は、図1に示す血管切開器具の正面図、図5は、図1に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図、図6は、図5に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【0034】
なお、図1、図2、図5および図6中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図3中、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図4中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」として説明する。
【0035】
これらの図に示す血管切開器具1は、血管を切開するための器具であり、本体2と、血管を切開する穿刺切開部材5と、この穿刺切開部材5に沿って(対して)移動し得るように設けられたローラ(回転体)7と、ローラ7を穿刺切開部材5に押し付けながら穿刺切開部材5に沿って(穿刺切開部材5の長手方向に)移動させる移動手段4とを有している。
【0036】
図1および図4に示すように、本体の全体形状は、長尺状(棒状)をなしている。すなわち、本体2は、筒状をなす柄3を有している。
【0037】
柄3は、略円筒状の把持部31と、この把持部31の下端に設けられ、把持部31より外径が小さい(縮径した)略円筒状の縮径部32とで構成されている。
【0038】
使用者(操作者)は、この把持部31を手指で把持して血管切開器具1を使用する。
また、柄3の縮径部32の側面には、開口(長穴)321が形成されている。
【0039】
また、柄3の縮径部32の下端には、穿刺切開部材5を着脱自在に装着する取り付け部(装着部)33が設けられている。
【0040】
図2に示すように、穿刺切開部材5は、血管に穿刺し、かつ、血管を切開する部材であり、鋭利な先端51および刃部52を有している。
【0041】
本実施形態では、図2中、穿刺切開部材5の上側は、直線状をなし、先端部において下側が傾斜することによって、鋭利な先端51が形成されている。このように穿刺切開部材5の上側を直線状にすることにより、ローラ7を円滑に移動させることができる。
【0042】
また、刃部52は、本実施形態では、穿刺切開部材5の先端51から後述するストッパー(挿入量規制手段)34の先端まで形成されている。
【0043】
なお、刃部52を、穿刺切開部材5の先端51からストッパー34の先端より基端側まで形成してもよいことは言うまでもないが、この場合も、血管を切開し得る刃部として機能するのは、穿刺切開部材5のうち、ストッパー34の先端までの部分である。
【0044】
この穿刺切開部材5の長さ(刃部52の長さ)は、特に限定されず、例えば、血管の切開長等の諸条件に応じて適宜設定される。
【0045】
また、穿刺切開部材5の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、鋼、鉄等の各種金属または合金や、各種セラミックス等が挙げられる。
【0046】
また、図2および図3に示すように、取り付け部33の先端側には、ストッパー(挿入量規制手段)34が形成されている。
【0047】
このスットパー34により、穿刺切開部材5を血管に穿刺し、その血管内に挿入したとき、スットパー34の先端面が血管の表面に当接して穿刺切開部材5の血管内への挿入長さ(挿入量)が規制される。
【0048】
また、ストッパー34には溝341が図3中横方向に沿って形成されており、穿刺切開部材5は、このストッパー34の溝341内に位置している。
【0049】
また、図1および図4に示すように、柄3の縮径部32の下端側、すなわち、取り付け部33の近傍には、ローラ7が前記穿刺切開部材5に対しローラ7の回転軸方向(図4中横方向)にずれるのを防止する横ずれ防止手段として、一対の突出部35、35が設けられている。
【0050】
図1および図4に示すように、移動手段4は、長尺状(棒状)をなす操作部材40と、この操作部材40とローラ(回転体)7とを接続するローラ接続部(回転体接続部)6とを有している。
【0051】
操作部材40は、前記柄3の中空部に挿入され、柄3に対して、長手方向に移動し得るようになっている。
【0052】
なお、本実施形態では、操作部材40の横断面形状および柄3の中空部の横断面形状は、それぞれ、完全な円形ではなく、操作部材40が柄3に対して回転しないように(周方向にずれないように)、円形から少し変形した形状(例えば、楕円形状)をなしている。
【0053】
この操作部材40の上端には、フランジ(操作部)41が形成されており、そのフランジ41の下側には、環状のリブ42が形成されている。これらフランジ41およびリブ42は、それぞれ、柄3の上端側、すなわち、把持部31の上端より上側に位置している。
【0054】
また、操作部材40の下端側には、前記柄3の縮径部32の開口321からローラ接続部6の上端側が接合されている。
【0055】
そして、このローラ接続部6の下端側には、ローラ(回転体)7を回転可能に支持しているローラ支持部(回転体支持部)70が接合されている。
【0056】
ローラ接続部6は、ローラ7を、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を兼ねており、板バネ(弾性体)で構成されている。本実施形態では、このローラ接続部6が自然状態のとき、図2に示すように、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7がストッパー34の基端(移動開始位置)に位置するようになっている。
【0057】
また、ローラ接続部6は、前記一対の突出部35、35の間に位置し、これにより、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0058】
使用者(操作者)により、操作部材40が押圧操作されて下側に移動すると、図5および図6に示すように、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)し、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って先端側に向って移動する。そして、操作部材40のリブ42が柄3の把持部31に当接し、ローラ7は、穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)で止まる。
【0059】
この図5および図6に示す状態では、操作部材40は、ローラ接続部6の復元力(弾性力)により、上側に向って付勢されており、使用者が押圧操作を止め、その操作部材40から手指を離すと、図1および図2に示すように、ローラ接続部6の付勢力により、操作部材40は、上側に移動し、これにより、ローラ7が基端側に向って移動する。そして、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7は、ストッパー34の基端(移動開始位置)で止まる。
【0060】
このように、本実施形態では、ローラ7が、穿刺切開部材5のうち、少なくとも刃部52の部分を移動し、その刃部52の長さが血管の切開長となるようになっている。
【0061】
また、リブ42および取り付け部33等により、ローラ7の移動距離を規制する移動距離規制手段が構成される。この場合、取り付け部33等により血管を切開する際のローラ7の移動開始位置が規制され、リブ42等により、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置が規制される。
【0062】
図4に示すように、本実施形態では、前記ローラ7として、その外径(直径)が略一定のものが用いられている。
【0063】
このローラ7の構成材料は、特に限定されないが、硬質材料(硬質体)または弾性材料(弾性体)が好ましい。この場合、ローラ7の少なくとも表層部が、硬質材料(硬質体)または弾性材料(弾性体)で構成されていればよい。
【0064】
これにより、ローラ7によって、より確実に血管を穿刺切開部材5に押し付けることができ、より確実に血管を切開することができる。
【0065】
前記硬質材料(硬質体)としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、鋼、鉄等の各種金属または合金や、各種セラミックスや、各種硬質樹脂等が挙げられる。
また、前記弾性材料(弾性体)としては、例えば、各種ゴム等が挙げられる。
【0066】
なお、穿刺切開部材5の構成は、図示のものに限定されず、例えば、図7に示すように、穿刺切開部材5の先端部に刃部52を形成しなくてもよく、また、図8に示すように、穿刺切開部材5の先端部および基端部にそれぞれ刃部52を形成しなくてもよく、また、図9に示すように、穿刺切開部材5の基端部に刃部52を形成しなくてもよい。また、図10に示すように、穿刺切開部材5の全体の長さを長くしてもよく、また、図示しないが、穿刺切開部材5の全体の長さを短くしてもよい。
【0067】
また、図7〜図9に示す各穿刺切開部材5においても、それぞれ、穿刺切開部材5の全体の長さを長くしてもよく、また、短くしてもよい。
【0068】
前述したように、本実施形態では、穿刺切開部材5が、本体2に対して着脱自在に装着されるよう、すなわち、交換可能に構成されているので、穿刺切開部材5が破損、損傷、または劣化した場合に、その穿刺切開部材5のみを交換することができ、これにより、血管切開器具1全体を交換する場合に比べ、コストを低減することができる。
【0069】
また、例えば、刃部52の長さや刃部52の形成位置の異なる複数の穿刺切開部材5を用意し、それらから適宜選択して、穿刺切開部材5を装着することにより、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に設定することができ、また、血管の切開をより容易に行うことができる。
【0070】
次に、血管切開器具1の使用方法(作用)を説明する。
図11〜図13は、それぞれ、図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。なお、図11〜図13中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」として説明する。
【0071】
血管切開器具1を用いて血管を切開する際は、その血管の目標の切開長に対応する穿刺切開部材5を取り付け部33に装着する。
【0072】
まず、使用者(操作者)は、血管切開器具1の柄3の把持部31を手指で把持し、図11に示すように、その穿刺切開部材5の先端51を血管100の外壁110の切開開始位置から穿刺し、図12に示すように、ストッパー34で止まるまで穿刺切開部材5を血管100の内腔120に刺し込む。
【0073】
次に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作する。
【0074】
これにより、図5に示すように、操作部材40は、そのリブ42が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、図13に示すように、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿ってストッパー34の基端(移動開始位置)から穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)まで移動する。この際、一対の突出部35、35により、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0075】
前記ローラの移動により、血管100の外壁110がローラ7と刃部52とで挟まれる。すなわち、ローラ7により、外壁110が刃部52に押し付けられ、その外壁110が切開される。
【0076】
なお、この図13に示す状態では、操作部材40は、ローラ接続部6の復元力(弾性力)により、上側に向って付勢されている。
【0077】
以上で、血管100の切開は終了し、使用者が操作部材40から指を離すと、図1に示すように、ローラ接続部6の付勢力により、操作部材40は、上側に移動し、これとともに、ローラ7が基端側に向って移動する。そして、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、ローラ7は、ストッパー34の基端で止まり、血管切開器具1は、図1に示す初期の状態に戻る。
【0078】
以上説明したように、この血管切開器具1によれば、穿刺切開部材5の刃部52で血管の切開長が規制され、その刃部52の部分が切開部となるので、血管を、容易かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる。
【0079】
特に、穿刺切開部材5の刃部52の部分が切開部となり、ローラ7の移動によって血管を切開するので、容易に、1回の操作で切開を終了することができる。すなわち、血管を迅速に目標の長さに切開することができる。
【0080】
また、突出部35により、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止されるので、より確実に、血管100を目標の長さに切開することができる。
【0081】
次に、本発明の血管切開器具の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の血管切開器具の第2実施形態を示す断面側面図、図15は、図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分を示す断面側面図(拡大図)、図16は、図15中のA−A線での断面図、図17は、図14に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図、図18および図19は、それぞれ、図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【0082】
以下、第2実施形態の血管切開器具1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図14および図17〜図19中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」とし、図13中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」として説明する。
【0083】
これらの図に示す第2実施形態の血管切開器具1は、ローラ7の移動距離を変更、すなわち、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段(切開長調節機構)8を有している。以下、さらに詳細に説明する。
【0084】
図15および図16に示すように、切開長調節手段8は、操作部材40の長手方向に沿って移動可能であって、かつ、操作部材40に対し固定し得るスライダ80を有している。
【0085】
このスライダ80は、雄ネジ(ボルト)81と、雄ネジ81に螺合する雌ネジ82とで構成されている。
【0086】
また、操作部材40の開口321に対応する位置およびその近傍には、操作部材40の長手方向に沿って、溝43が形成されている。この溝43は、底側の幅(図16中横方向の長さ)が表面側の幅より広くなるように(幅広になるように)形成されている。
【0087】
前記スライダ80の雄ネジ81は、溝43内に、その溝43に沿って移動し得るように設置されている。また、雄ネジ81は、その頭部が溝43の前記幅広の部分に位置するように設置されており、これにより、雄ネジ81の溝43(操作部材40)からの離脱が阻止(防止)される。
【0088】
このスライダ80の雌ネジ82を所定方向に回転操作すると、雌ネジ82が操作部材40に接近する方向に移動し、雌ネジ82と雄ネジ81とで操作部材40を挟持し(締め付け)、これにより、スライダ80が操作部材40に固定される。
【0089】
また、雌ネジ82を前記と逆方向に回転操作すると、雌ネジ82が操作部材40から離間する方向に移動し、前記締め付けが緩み、これにより、スライダ80が操作部材40に対して移動可能になる。
【0090】
この血管切開器具1では、初期の状態においては、図14に示すように、スライダ80が、柄3の縮径部32における開口321に臨む縁部に当接し、これにより、ローラ7は、ストッパー34よりも先端側の位置(移動開始位置)に位置している。
【0091】
次に、前述した第1実施形態と同様に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作すると、図17に示すように、操作部材40は、そのリブ42が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って穿刺切開部材5の先端51(移動終了位置)まで移動する。
【0092】
そして、使用者が操作部材40から指を離すと、図14に示す初期の状態に戻る。
【0093】
また、血管の切開長を調節する際は、まず、雌ネジ82を回転操作し、その締め付けを緩め、スライダ80を所定の位置に移動させる。
【0094】
この場合、図18に示すように、スライダ80を上側に移動させると、ローラ7の移動開始位置が先端側に移動し、血管の切開長が短くなる。逆に、図19に示すように、スライダ80を下側に移動させると、ローラ7の移動開始位置が基端側に移動し、血管の切開長が長くなる。
【0095】
そして、スライダ80を所定の位置に移動させた後、雌ネジ82を回転操作し、スライダ80を操作部材40に固定させる。
【0096】
この血管切開器具1によれば、前述した第1実施形態の血管切開器具1と同様の効果が得られる。
【0097】
そして、この血管切開器具1では、切開長調節手段8を有しているので、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に容易かつ迅速に設定することができる。
【0098】
なお、この第2実施形態でも前述した第1実施形態で述べた任意の変形が可能である。
【0099】
次に、本発明の血管切開器具の第3実施形態について説明する。
図20は、本発明の血管切開器具の第3実施形態を示す断面側面図、図21は、図20に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【0100】
以下、第3実施形態の血管切開器具1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図20および図21中、下側を「下端」または「下」、上側を「上端」または「上」、左側を「先端」、右側を「基端」として説明する。
【0101】
これらの図に示す第3実施形態の血管切開器具1は、ローラ7の移動距離を変更、すなわち、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段(切開長調節機構)9を有している。以下、さらに詳細に説明する。
【0102】
図20に示すように、切開長調節手段9は、操作部材40の長手方向に沿って移動可能であって、かつ、操作部材40に対し固定し得る部材、本実施形態では、ナット(雌ネジ)45を有している。
【0103】
また、操作部材40の上端側の周面には、このナット(雌ネジ)45に螺合する雄ネジ44が形成されており、ナット45は、把持部31の上側に位置している。
【0104】
この血管切開器具1では、初期の状態においては、前述した第1実施形態と同様に、図20に示すように、ローラ7またはローラ支持部70が取り付け部33または縮径部32に当接し、これにより、ローラ7は、ストッパー34の基端(移動開始位置)に位置している。
【0105】
次に、前述した第1実施形態と同様に、操作部材40のフランジ41に指を当て、その操作部材40を下側に押圧操作すると、図21に示すように、操作部材40は、ナット45が柄3の把持部31の上端面に当接するまで、下側に移動し、これとともに、ローラ接続部6が湾曲(弾性変形)しつつ、ローラ7は、穿刺切開部材5に押し付けられながらその穿刺切開部材5に沿って穿刺切開部材5の先端51の手前の位置(移動終了位置)まで移動する。
【0106】
そして、使用者が操作部材40から指を離すと、図20に示す初期の状態に戻る。
【0107】
また、血管の切開長を調節する際は、ナット45を回転操作し、そのナット45を所定の位置に移動させる。
【0108】
この場合、ナット45を上側に移動させると、ローラ7の移動終了位置が先端側に移動し、血管の切開長が長くなる。逆に、ナット45を下側に移動させると、ローラ7の移動終了位置が基端側に移動し、血管の切開長が短くなる。
【0109】
この血管切開器具1によれば、前述した第1実施形態の血管切開器具1と同様の効果が得られる。
【0110】
そして、この血管切開器具1では、切開長調節手段9を有しているので、血管の切開長を目標の長さ(希望する長さ)に容易かつ迅速に設定することができる。
【0111】
なお、この第3実施形態でも前述した第1実施形態で述べた任意の変形が可能である。
【0112】
また、本発明では、血管を切開する際のローラ7の移動終了位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段、例えば、この第3実施形態の切開長調節手段9と、血管を切開する際のローラ7の移動開始位置を変更することによって、血管の切開長を調節する切開長調節手段、例えば、前述した第2実施形態の切開長調節手段8とを有していてもよい。
【0113】
以上、本発明の血管切開器具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0114】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、穿刺切開部材5(刃部52)の平面視での形状(図1中上側から見たときの形状)は、直線(直線状)であるが、本発明では、穿刺切開部材5(刃部52)の形状(パターン)は、この形状に限らず、この他、例えば、平面視で、図22に示すように、曲線(曲線状)であってもよく、また、図23に示すように、2つの曲線を互いの凹部側が対向するように合わせたような形状であってもよい。
【0116】
穿刺切開部材5(刃部52)の形状(パターン)を換えることにより、血管を任意のパターンに切開することができる。
【0117】
また、前記実施形態では、ローラ(回転体)7として、その外径(直径)が略一定のものが用いられているが、本発明ではローラ7の形状は、この形状に限定されない。
【0118】
以下、ローラ(回転体)7の他の構成例、ここでは、横ずれ防止手段をローラ7に施した場合について説明する。
【0119】
図24〜図27は、それぞれ、ローラ(回転体)7の他の構成例を示す縦断面図である。
【0120】
図24および図25に示すように、これらのローラ7の外径(直径)は、それぞれ、ローラ7の長手方向中央付近から両端に向ってそれぞれ漸増している。
【0121】
図24に示すローラ7は、それを正面から見たとき(縦断面図において)、外周面71が曲線状をなし、また、図25に示すローラ7は、それを正面から見たとき、外周面71が折れ線(直線)状をなしている。
【0122】
また、図26および図27に示すように、これらのローラ7は、それぞれ、その外周面71に、穿刺切開部材5(刃部52)が挿入される(穿刺切開部材5と係合する)溝72を有している。各溝72は、それぞれ、ローラ7の周方向に沿って形成されている。
【0123】
図26に示すローラ7は、それを正面から見たとき、溝72の形状は、略V字状をなし、また、図27に示すローラ7は、それを正面から見たとき、溝72の形状は、略四角形をなしている。
【0124】
これら図24〜図27に示すローラ7を用いることにより、穿刺切開部材5に対し、ローラ7がその回転軸方向にずれるのが防止される。
【0125】
また、別途、横ずれ防止手段を設ける必要がなく、その横ずれ防止手段が邪魔になることもない。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転体を移動させ、穿刺切開部材と回転体とで血管壁を挟むことにより血管を切開するので、血管を、容易、迅速かつ確実に、目標(希望)の長さに切開することができる。
【0127】
また、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する場合には、容易、迅速かつ確実に、血管の切開長を目標の長さに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血管切開器具の第1実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図1に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【図3】図1に示す血管切開器具の下端部(ローラ等は省略)を示す斜視図である。
【図4】図1に示す血管切開器具の正面図である。
【図5】図1に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図6】図5に示す血管切開器具の下端部を示す断面側面図である。
【図7】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図8】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図9】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図10】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す側面図である。
【図11】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図12】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図13】図1に示す血管切開器具の使用方法(作用)を説明するための断面側面図である。
【図14】本発明の血管切開器具の第2実施形態を示す断面側面図である。
【図15】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分を示す断面側面図(拡大図)である。
【図16】図15中のA−A線での断面図である。
【図17】図14に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図18】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【図19】図14に示す血管切開器具の点線で囲んだ部分の他の状態を示す断面側面図(拡大図)である。
【図20】本発明の血管切開器具の第3実施形態を示す断面側面図である。
【図21】図20に示す血管切開器具の他の状態を示す断面側面図である。
【図22】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す平面図である。
【図23】本発明における穿刺切開部材の他の構成例を示す平面図である。
【図24】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図25】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図26】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【図27】本発明における回転体の他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 血管切開器具
2 本体
3 柄
31 把持部
32 縮径部
321 開口
33 取り付け部
34 ストッパー
341 溝
35 突出部
4 移動手段
40 操作部材
41 フランジ
42 リブ
43 溝
44 雄ネジ
45 ナット
5 穿刺切開部材
51 先端
52 刃部
6 ローラ接続部
7 ローラ
70 ローラ支持部
71 外周面
72 溝
8 切開長調節手段
80 スライダ
81 雄ネジ
82 雌ネジ
9 切開長調節手段
100 血管
110 外壁
120 内腔
Claims (20)
- 血管を切開する血管切開器具であって、
本体と、
鋭利な先端および刃部を備えた穿刺切開部材と、
前記穿刺切開部材に沿って移動し得る回転体と、
前記回転体を前記穿刺切開部材に押し付けながら該穿刺切開部材に沿って移動させる移動手段とを有し、
前記穿刺切開部材を血管に穿刺した状態で前記回転体を移動させ、前記穿刺切開部材と前記回転体とで血管壁を挟むことにより血管を切開するよう構成されていることを特徴とする血管切開器具。 - 前記回転体は、前記穿刺切開部材のうち、少なくとも前記刃部の部分を移動し、その刃部の長さが血管の略切開長となるよう構成されている請求項1に記載の血管切開器具。
- 血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する請求項1に記載の血管切開器具。
- 前記回転体の移動距離を規制する移動距離規制手段を有する請求項1または2に記載の血管切開器具。
- 前記移動距離規制手段は、血管を切開する際の前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を規制するものである請求項4に記載の血管切開器具。
- 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動距離を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する請求項4または5に記載の血管切開器具。
- 前記移動距離規制手段は、前記回転体の移動開始位置および/または移動終了位置を変更して、血管の切開長を調節する切開長調節機構を有する請求項5に記載の血管切開器具。
- 前記本体は、略長尺状をなしており、前記穿刺切開部材は、前記本体の一端側に設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記本体は、略筒状をなす柄を有し、
前記移動手段は、略長尺状をなし、前記回転体を移動操作する操作部材を有し、
前記穿刺切開部材は、前記柄の一端側に設けられ、
前記操作部材は、前記柄の中空部に移動可能に挿入され、かつ、該操作部材の操作部は、前記柄の他端側に位置する請求項1ないし7のいずれかに記載の血管切開器具。 - 前記回転体を、血管を切開する際の該回転体の移動開始位置へ向けて付勢する付勢手段を有する請求項10に記載の血管切開器具。
- 前記付勢手段は、弾性体を有し、前記回転体は、該弾性体を介して前記操作部材に接続されている請求項11に記載の血管切開器具。
- 前記穿刺切開部材を血管に穿刺したときの該穿刺切開部材の血管内への挿入量を規制する挿入量規制手段を有する請求項1ないし12のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体の外径は、略一定である請求項1ないし13のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体の外径は、該回転体の長手方向中央付近から両端に向ってそれぞれ漸増している請求項1ないし13のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体の外周面に溝が設けられている請求項1ないし13のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体の少なくとも表層部は、硬質材料で構成されている請求項1ないし16のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体の少なくとも表層部は、弾性体で構成されている請求項1ないし16のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記回転体が前記穿刺切開部材に対し該回転体の回転軸方向にずれるのを防止する横ずれ防止手段を有する請求項1ないし18のいずれかに記載の血管切開器具。
- 前記穿刺切開部材は、前記本体に対して着脱自在に設けられる請求項1ないし19のいずれかに記載の血管切開器具。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013066613A (ja) * | 2011-09-22 | 2013-04-18 | Konami Digital Entertainment Co Ltd | ゲーム装置、表示方法、および、プログラム |
WO2018135703A1 (ko) * | 2017-01-23 | 2018-07-26 | 인제대학교 산학협력단 | 혈관 전용 가위 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002273297A patent/JP2004105520A/ja active Pending
Cited By (2)
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