JP2004105290A - 医療用ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減させる。
【解決手段】医療用ブラシ1は、長尺の操作ワイヤー2と、ブラシ部3と、球状金属パイプ4,6,7と、金属パイプ5とを含んで構成されている。第1の固定部53は、第1の開口部51から挿入した前記操作ワイヤー2の先端部21に前記金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2を該金属パイプ5に固定する。第2の固定部42は、前記ブラシ部3の一端部に前記球状金属パイプ4の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の一端部に該球状金属パイプ4を固定する。第3の固定部54は、球状金属パイプ4を前記金属パイプ5に突き当てるまで第2の開口部52から挿入した前記突出部33に該金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部3を該金属パイプ5に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】医療用ブラシ1は、長尺の操作ワイヤー2と、ブラシ部3と、球状金属パイプ4,6,7と、金属パイプ5とを含んで構成されている。第1の固定部53は、第1の開口部51から挿入した前記操作ワイヤー2の先端部21に前記金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2を該金属パイプ5に固定する。第2の固定部42は、前記ブラシ部3の一端部に前記球状金属パイプ4の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の一端部に該球状金属パイプ4を固定する。第3の固定部54は、球状金属パイプ4を前記金属パイプ5に突き当てるまで第2の開口部52から挿入した前記突出部33に該金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部3を該金属パイプ5に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ワイヤーにブラシ毛を編み込むことにより形成した医療用ブラシに係り、特に金属ワイヤーが解けることを防止できる医療用ブラシに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、医療用ブラシのブラシ毛の脱落防止策としては、ブラシ毛が編み込まれている金属ワイヤーが解けないように、固定パイプをブラシ部の先端部とブラシ毛の端末部の間の所定箇所に固定パイプをスポット溶接、銀ロー付け、かしめ等の方法で固着させている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−60895号公報(第2頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の医療用ブラシでは、内視鏡のスコープの管路(チャンネル)に挿入して内視鏡観察下で洗浄ブラシとして使用する際に、スコープの管路形状によりブラシ部に外力を受けると、ブラシ部と固定パイプとの接続部に応力が集中し、ブラシ部の金属ワイヤーがゆるみブラシ部からブラシ毛が抜けたり、繰り返して加えられる集中荷重による疲労で金属ワイヤーが切断しブラシ部全体が抜け落ちてしまうことがある。もし、金属ワイヤーが破断してブラシ部がスコープの管路へ残った場合、取り出す作業は容易ではなく、場合によってはスコープを分解修理しなければならなかった。前記ブラシ部の金属ワイヤーがほぐれてくる位置は、金属ワイヤー端末部および固定パイプの根元付近から発生しやすかった。
【0006】
また、ブラシ部と固定パイプの接合方法でも上記従来技術において以下のような問題が発生する。
【0007】
通常ブラシ毛にはナイロン等の樹脂が用いられる。スポット溶接、銀ロー付けによる固定パイプの取り付けでは、加工によって発生した熱が金属ワイヤーを伝ってブラシ毛に到達し、ブラシ毛の変形、脱落および強度劣化等が発生することがあった。
【0008】
これら加工の際の熱による影響は、固定パイプの位置がブラシに近いほど顕著に発生するため、熱影響をブラシ毛に与えないような対策が必要となり、製造工程が複雑になっていた。
【0009】
また、固定パイプの端末形状にエッジ部が存在すると、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりの原因や、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させてしまうことがあった。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減することができる医療用ブラシを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の医療用ブラシは、金属製のワイヤー部材からなる所定の大きさの第1の外径を有する長尺の操作ワイヤーと、対象物をブラッシングするブラシ毛が植毛された所定の大きさの第2の外径と所定の長さを有する金属製のワイヤー部材からなるブラシ部と、前記ブラシ部が有する第2の外径よりも大きい内径に形成された貫通路を有する金属製の球状材料からなる球状金属パイプと、所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる金属パイプと、前記操作ワイヤーが有する前記第1の外径よりも大きい第1の内径に形成された前記金属パイプが有する第1の開口部と、前記ブラシ部が有する前記第2の外径よりも大きい第2の内径に形成された前記金属パイプが有する第2の開口部と、前記第1の開口部から挿入した前記操作ワイヤーの先端部に前記金属パイプの外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤーを該金属パイプに固定する第1の固定部と、前記貫通路に貫通させた前記ブラシ部の一端部に前記球状金属パイプの外周面が押圧されてなり、該ブラシ部の一端部に該球状金属パイプを固定する第2の固定部と、前記ブラシ部の一端部に固定された前記球状金属パイプから突出した該ブラシ部の一端部に設けられた突出部と、前記球状金属パイプを前記金属パイプに突き当てるまで前記第2の開口部から挿入した前記突出部に該金属パイプの外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部を該金属パイプに固定する第3の固定部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1ないし図12は本発明の実施の形態に係り、図1は医療用ブラシの側面図、図2ないし図12は医療用ブラシの製造工程を示す第1乃至第11の説明図である。
【0013】
(構成)
まず、図1を用いて医療用ブラシの構成について説明する。
図1に示すように、医療用ブラシ1は、長尺の操作ワイヤー2と、ブラシ部3と、球状金属パイプ4,6,7と、金属パイプ5と、第1及び第2の開口部51,52と、第1乃至第5の固定部53,42,54,62,72とを含んで構成されている。
【0014】
操作ワイヤー2は、長尺に形成された金属製のワイヤー部材からなり、所定の大きさの第1の外径D1を有する。
ブラシ部3は、金属製のワイヤー部材31と、対象物をブラッシングするブラシ毛32とから構成されている。
【0015】
ワイヤー部材31にはブラシ毛32が植毛されている。また、ワイヤー部材31は所定の大きさの第2の外径D2と所定の長さを有する。
【0016】
球状金属パイプ4は、金属製の球状材料からなり、前記ブラシ部3が有する第2の外径D2よりも大きい内径に形成された貫通路41を有する。
【0017】
金属パイプ5は、所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる。
前記金属パイプ5は第1及び第2の開口部51,52を有する。第1の開口部51は、前記操作ワイヤー2が有する第1の外径D1よりも大きい第1の内径に形成されている。第2の開口部52は、前記第2の外径D2よりも大きい第2の内径に形成されている。
【0018】
第1の固定部53は、前記第1の開口部51から挿入した前記操作ワイヤー2の先端部21に前記金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2を該金属パイプ5に固定する。
【0019】
第2の固定部42は、前記貫通路41に貫通させた前記ブラシ部3の一端部に前記球状金属パイプ4の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の一端部に該球状金属パイプ4を固定する。
【0020】
突出部33は、該ブラシ部3の一端部に設けられたものであり、前記ブラシ部3の一端部に固定された前記球状金属パイプ4から突出する。
【0021】
第3の固定部54は、前記球状金属パイプ4を前記金属パイプ5に突き当てるまで前記第2の開口部52から挿入した前記突出部33に該金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部3を該金属パイプ5に固定する。
【0022】
前記ブラシ部3の他端側には球状金属パイプ6が固定されている。球状金属パイプ6は、前記ブラシ部3が有する第2の外径D2よりも大きい内径に形成された貫通路61を有する金属製の球状材料からなる。
【0023】
第4の固定部62は、前記貫通路61に貫通させた前記ブラシ部3の他端部に前記球状金属パイプ6の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の他端部に該球状金属パイプ6を固定する。
【0024】
前記操作ワイヤー2の先端部21の基端側には球状金属パイプ7が固定されている。球状金属パイプ7は、前記操作ワイヤー2が有する第2の外径D1よりも大きい内径に形成された貫通路71を有する金属製の球状材料からなる。
【0025】
第5の固定部72は、前記貫通路71に貫通させた前記操作ワイヤー2の一端部に前記球状金属パイプ7の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2の一端部に該球状金属パイプ7を固定する。
【0026】
このような構造により、医療用ブラシ1は、内視鏡のスコープのチャンネルに挿入して内視鏡観察下で洗浄ブラシとして使用できる。
【0027】
(作用)
次に、医療用ブラシ1の製造方法について図2乃至図11を参照して説明する。
医療用ブラシ1の製造するために以下のような工程を要する。
【0028】
まず、図2に示すように、ブラシ部3は、ブラシ毛32をワイヤー部材31の2本の金属ワイヤー34,35に挟み込み、金属ワイヤー34,35を絞り込むように巻きつけることで製造されている。このようなブラシ部3のワイヤー部材31の他端部に前記球状金属パイプ6をかしめにより固定する。続いて、ワイヤー解け防止部材となる球状金属パイプ4の貫通路41にブラシ部3を挿入する。さらに、図3に示すように、ワイヤー解け防止部材となる球状金属パイプ7の貫通路71に操作ワイヤー2を挿入する。
【0029】
ここで、ブラシ部3のワイヤー部材31と操作ワイヤー2の双方を同部品の前記球状金属パイプ4,7に挿入できるように、ブラシ部3のワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径は略同形であることが望ましい。
【0030】
球状金属パイプ4,7の貫通路41,71は、それぞれ挿入されたワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径よりも大きく、それぞれワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外周面との間に若干の隙間が確保される程度の大きさが望ましい。
【0031】
球状金属パイプ4,7の外径はそれぞれ挿入されるワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径の数倍程度の大きさが望ましい。
【0032】
前記ワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径の外径が相違する場合は、前述したとおりの関係が満たされる寸法の球状金属パイプ4,7を使用する。
【0033】
ワイヤー部材31が挿入された前記球状金属パイプ4は、図4に示すように、ブラシ毛32の端面36からワイヤー部材31の外径の数倍程度間隔を開けた位置に該球状金属パイプ4の端面43が来る状態で仮固定を行う。前記球状金属パイプ4の端面44からは、ワイヤー部材31の一端側が突出する。端面44とワイヤー部材31の一端側の端面37の距離はある程度長めに設定する。
【0034】
操作ワイヤー2が挿入された前記球状金属パイプ7は、図5に示すように、ワイヤー端末部の先端部21が該球状金属パイプ7の端面73から操作ワイヤー2の外径の所定倍以上突出された位置で仮固定する。仮固定の方法は、双方の球状金属パイプ4,7とも、対となった2平面の押圧部材で押圧することにより前記球状金属パイプ4,7を変形させ、それぞれワイヤー部材31、操作ワイヤー2に仮固定する。
【0035】
仮固定された前記球状金属パイプ4,7は、不図示のスエージングマシンにてかしめることにより、位置決め固定する。図5及び図6に示すように、スエージング加工後の前記球状金属パイプ4,7の外径は加工前の数割分、縮径した寸法を目安にする。必要以上に縮径すると、前記球状金属パイプ4,7でも端末形状がエッジ状となること、過負荷による破断等の不具合が発生する。また、スエージングマシンは前記球状金属パイプ4,7の外周面を均一に連続殴打することが可能で、均等な円周面を有した形状となるものを用いる。これにより、球状金属パイプ4,7には、図1に示した第2及び第5の固定部42,72が形成される。
【0036】
スエージングマシンでかしめる時の条件として、仮止めされた前記球状金属パイプ4,7の位置ずれが発生する量を見込んで図4に示す仮止め位置を設定しておくこと、ワイヤー部材31と操作ワイヤー2のワイヤーの巻き方向と逆方向に回転させた状態でスエージング加工させないことが必要である。前記球状金属パイプ4,7の端面44,73から突出したワイヤー部材31と操作ワイヤー2は、固定パイプとしての金属パイプ5内に納まる長さで設定しておく必要がある。金属パイプ5としてはステンレス等の耐食性の強い金属パイプが望ましい。
【0037】
ここで、前記工程で固定された前記球状金属パイプ4,7の位置がずれてしまいワイヤー突出量を調整しなくてはいけない場合、もしくはワイヤー部材31と操作ワイヤー2のワイヤー突き出し量を調整することを前提として固定していた場合は、ワイヤー突き出し量をグラインダー等で研削して調整する必要がある。
【0038】
このとき、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を調整する場合には、図8に示すように、グラインダー等で必要以上に研削しないように研削の対象とする部分のみを露出させる治具8を用いるとよい。
【0039】
図8に示すように、治具8は硬度の高い金属製のブロックにより形成されている。治具8の上面には、ブラシ毛32と球状金属パイプ7の間のワイヤー部材31が挿入される第1の溝部81と、球状金属パイプ7が挿入される凹部82と、ワイヤー部材31の他端側が挿入される第2の溝部83が形成されている。
【0040】
第2の溝部83の長さが、球状金属パイプ7に対するワイヤー部材31の正規のワイヤー突出量である。第2の溝部83から治具8の側面84より外側に延出するワイヤー部材31が研削する部分である。
【0041】
図9に示すように、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を調整する場合には、治具8の側面84から延出するワイヤー部材31をグラインダ9の回転する研削砥石91に当てて削り取る。
【0042】
これにより、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を正規の量に調整できる。 次に、図10示すように、前記金属パイプ5は第1及び第2の開口部51,52には、それぞれ操作ワイヤー2の先端部21及びワイヤー部材31の突出部33を挿入し、先端部21及び突出部33をつき合わせた状態にする。
【0043】
金属パイプ5はワイヤー部材を固定する固定パイプとなっている。金属パイプ5は、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー外径(外径D1,D2)から僅かに大きい内径を有しており、金属パイプ5の内周面と操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー外周面との間に、隙間が確保されている。
【0044】
金属パイプ5の外径は、内径の数倍程度、金属パイプ5の長さはワイヤーと固定パイプの接触面積をなるべく多く取れるような程度が望ましい。
【0045】
次に、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー部端面をつき合わせた状態で、対となった2平面による押圧部材で金属パイプ5を押圧して、図11に示すように金属パイプ5を楕円柱状に変形させて操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の仮固定を行う。
【0046】
このとき、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の位置ずれや脱落が無いように確実に押圧する。仮止め後、金属パイプ5は前記球状金属パイプ4,7の第2及び第5の固定部42,72と同様にスエージングマシンにてかしめ加工を行い、第1及び第3の固定部53,54を形成する。
【0047】
これにより、図1に示した医療用ブラシ1が完成する。
ここで、かしめ加工後の金属パイプ5の外径は加工前と比較して数割分縮径する程度が望ましい。かしめ加工する時は操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー素線が破断しないこと、金属パイプ5の破断、表面に亀裂、しわの発生が無いことが条件としてあげられる。
【0048】
前記金属パイプ5と前記球状金属パイプ4,7は、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31との接触面積が前記金属パイプ5の方が大きく、かしめ強度は前記球状金属パイプ4,7よりも金属パイプ5の方が高い関係となる。また、スエージング加工により前記金属パイプ5は操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の軸方向および内径側に肉部が逃げる。その変形を見込んで前述したワイヤー突出し量の設定値、スエージングによるかしめ量の設定をする必要がある。
【0049】
(効果)
本実施の形態では、ワイヤー部材31のブラシ毛脱落防止策として、ワイヤ用固定パイプとなる金属パイプ5の隣接した位置に球状金属パイプ4をかしめ接続している。前記球状金属パイプ4はかしめ接続をすることで、球状金属の中心部が一番強く接続され、両端はゆるくなる。そのためワイヤー部材31の接続部へかかる応力集中は分散され、ワイヤー部材31のワイヤーのゆるみが少なくなりブラシ毛の抜けるまでの寿命が延び、洗浄ブラシとしての使用寿命が延びる。また、応力分散により接続部へ繰り返しかかる集中荷重も低減されるためワイヤーの破断までの寿命も延びる。
【0050】
ここで、求めるゆるみが加減によって金属パイプ5をブラシ毛脱落防止部材とすることもできる。この場合ね金属パイプ5の端面形状を球状金属のように変えることで、球状金属と同じように金属パイプ5の接続部はかしめられ、金属パイプ5の両端にがたを持たせることができ、3部品を1部品へ減らすこともできる。しかし、球状部品を金属パイプ5の両端へ追加した方が集中荷重は分散されるので、図1に示した構造の方が耐久性が高い。
【0051】
また、本実施の形態では、金属パイプ5を取り付ける方法として熱を利用しないかしめ加工が有効である。さらに、超弾性合金のような酸化被膜が強いワイヤーにおいては、溶接、銀ロー付け、ハンダ付け等による接合が困難という素材特性の理由もあり、かしめによる接合が特に有効な方法である。
【0052】
金属パイプ5をかしめによって操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の両ワイヤーを接合した場合、かしめ時に金属パイプ5が変形を起こし、場合により端面にエッジのできることがあり、このエッジ部が洗浄ブラシの使用時に引っ掛かりの原因となることがある。そのため、本実施の形態では、金属パイプ5端面に隣接した位置に球状金属パイプ4,7を取り付けることで、エッジ部による引っ掛かりを軽減することが可能となる。また、金属パイプ5の両端にあらかじめ丸みを付けておく方法もある。
【0053】
以上のことから、本実施の形態の医療用ブラシ1は、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減させことができるので、医療用ブラシ1の寿命を延長し、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりのを防止して信頼性を向上し、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させるのを防止できる。
【0054】
尚、操作ワイヤー2には、超弾性記憶合金を用いれば、操作ワイヤー2が折れ曲がった場合にも熱を加えるだけで、操作ワイヤー2を真っ直ぐ伸ばすことが可能になり、操作ワイヤー2の寿命を延長できる。
【0055】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0056】
(付記項1) 金属製のワイヤー部材からなる所定の大きさの第1の外径を有する長尺の操作ワイヤーと、
対象物をブラッシングするブラシ毛が植毛された所定の大きさの第2の外径と所定の長さを有する金属製のワイヤー部材からなるブラシ部と、
前記ブラシ部が有する第2の外径よりも大きい内径に形成された貫通路を有する金属製の球状材料からなる球状金属パイプと、
所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる金属パイプと、
前記操作ワイヤーが有する前記第1の外径よりも大きい第1の内径に形成された前記金属パイプが有する第1の開口部と、
前記ブラシ部が有する前記第2の外径よりも大きい第2の内径に形成された前記金属パイプが有する第2の開口部と、
前記第1の開口部から挿入した前記操作ワイヤーの先端部に前記金属パイプの外周面が押圧されてなる該操作ワイヤーを該金属パイプに固定する第1の固定部と、
前記貫通路に貫通させた前記ブラシ部の一端部に前記球状金属パイプの外周面が押圧されてなる該ブラシ部の一端部に該球状金属パイプを固定する第2の固定部と、
前記ブラシ部の一端部に固定された前記球状金属パイプから突出した該ブラシ部の一端部に設けられた突出部と、
前記球状金属パイプを前記金属パイプに突き当てるまで前記第2の開口部から挿入した前記突出部に該金属パイプの外周面が押圧されてなる前記ブラシ部を該金属パイプに固定する第3の固定部と、
を具備したことを特徴とする医療用ブラシ。
【0057】
(付記項2) 操作ワイヤーに超弾性記憶合金を用いるとともに、ブラシ部と前記操作ワイヤーを金属パイプによって圧接およびかしめ等で位置決め固定した医療用ブラシにおいて、
継続的に使用していくにつれ前記ブラシ部の金属ワイヤーが解け、前記ブラシ部の毛が脱落することを防ぐために、前記金属パイプに隣接した位置に前記金属パイプよりも薄肉で略同形の球状金属パイプを設けることを特徴とする医療用ブラシ。
【0058】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減できるので、医療用ブラシの寿命を延長し、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりのを防止して信頼性を向上し、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第1の説明図。
【図3】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第2の説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第3の説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第4の説明図。
【図6】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第5の説明図。
【図7】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第6の説明図。
【図8】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第7の説明図。
【図9】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第8の説明図。
【図10】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第9の説明図。
【図11】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第10の説明図。
【図12】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第11の説明図。
【符号の説明】
1 …医療用ブラシ
2 …操作ワイヤー
3 …ブラシ部
4 …球状金属パイプ
5 …金属パイプ
31 …ワイヤー部材
21 …先端部
32 …ブラシ毛
41 …貫通路
42 …第2の固定部
51 …第1の開口部
52 …第2の開口部
53 …第1の固定部
54 …第3の固定部
D1 …第1の外径
D2 …第2の外径
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ワイヤーにブラシ毛を編み込むことにより形成した医療用ブラシに係り、特に金属ワイヤーが解けることを防止できる医療用ブラシに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、医療用ブラシのブラシ毛の脱落防止策としては、ブラシ毛が編み込まれている金属ワイヤーが解けないように、固定パイプをブラシ部の先端部とブラシ毛の端末部の間の所定箇所に固定パイプをスポット溶接、銀ロー付け、かしめ等の方法で固着させている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−60895号公報(第2頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の医療用ブラシでは、内視鏡のスコープの管路(チャンネル)に挿入して内視鏡観察下で洗浄ブラシとして使用する際に、スコープの管路形状によりブラシ部に外力を受けると、ブラシ部と固定パイプとの接続部に応力が集中し、ブラシ部の金属ワイヤーがゆるみブラシ部からブラシ毛が抜けたり、繰り返して加えられる集中荷重による疲労で金属ワイヤーが切断しブラシ部全体が抜け落ちてしまうことがある。もし、金属ワイヤーが破断してブラシ部がスコープの管路へ残った場合、取り出す作業は容易ではなく、場合によってはスコープを分解修理しなければならなかった。前記ブラシ部の金属ワイヤーがほぐれてくる位置は、金属ワイヤー端末部および固定パイプの根元付近から発生しやすかった。
【0006】
また、ブラシ部と固定パイプの接合方法でも上記従来技術において以下のような問題が発生する。
【0007】
通常ブラシ毛にはナイロン等の樹脂が用いられる。スポット溶接、銀ロー付けによる固定パイプの取り付けでは、加工によって発生した熱が金属ワイヤーを伝ってブラシ毛に到達し、ブラシ毛の変形、脱落および強度劣化等が発生することがあった。
【0008】
これら加工の際の熱による影響は、固定パイプの位置がブラシに近いほど顕著に発生するため、熱影響をブラシ毛に与えないような対策が必要となり、製造工程が複雑になっていた。
【0009】
また、固定パイプの端末形状にエッジ部が存在すると、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりの原因や、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させてしまうことがあった。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減することができる医療用ブラシを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の医療用ブラシは、金属製のワイヤー部材からなる所定の大きさの第1の外径を有する長尺の操作ワイヤーと、対象物をブラッシングするブラシ毛が植毛された所定の大きさの第2の外径と所定の長さを有する金属製のワイヤー部材からなるブラシ部と、前記ブラシ部が有する第2の外径よりも大きい内径に形成された貫通路を有する金属製の球状材料からなる球状金属パイプと、所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる金属パイプと、前記操作ワイヤーが有する前記第1の外径よりも大きい第1の内径に形成された前記金属パイプが有する第1の開口部と、前記ブラシ部が有する前記第2の外径よりも大きい第2の内径に形成された前記金属パイプが有する第2の開口部と、前記第1の開口部から挿入した前記操作ワイヤーの先端部に前記金属パイプの外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤーを該金属パイプに固定する第1の固定部と、前記貫通路に貫通させた前記ブラシ部の一端部に前記球状金属パイプの外周面が押圧されてなり、該ブラシ部の一端部に該球状金属パイプを固定する第2の固定部と、前記ブラシ部の一端部に固定された前記球状金属パイプから突出した該ブラシ部の一端部に設けられた突出部と、前記球状金属パイプを前記金属パイプに突き当てるまで前記第2の開口部から挿入した前記突出部に該金属パイプの外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部を該金属パイプに固定する第3の固定部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1ないし図12は本発明の実施の形態に係り、図1は医療用ブラシの側面図、図2ないし図12は医療用ブラシの製造工程を示す第1乃至第11の説明図である。
【0013】
(構成)
まず、図1を用いて医療用ブラシの構成について説明する。
図1に示すように、医療用ブラシ1は、長尺の操作ワイヤー2と、ブラシ部3と、球状金属パイプ4,6,7と、金属パイプ5と、第1及び第2の開口部51,52と、第1乃至第5の固定部53,42,54,62,72とを含んで構成されている。
【0014】
操作ワイヤー2は、長尺に形成された金属製のワイヤー部材からなり、所定の大きさの第1の外径D1を有する。
ブラシ部3は、金属製のワイヤー部材31と、対象物をブラッシングするブラシ毛32とから構成されている。
【0015】
ワイヤー部材31にはブラシ毛32が植毛されている。また、ワイヤー部材31は所定の大きさの第2の外径D2と所定の長さを有する。
【0016】
球状金属パイプ4は、金属製の球状材料からなり、前記ブラシ部3が有する第2の外径D2よりも大きい内径に形成された貫通路41を有する。
【0017】
金属パイプ5は、所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる。
前記金属パイプ5は第1及び第2の開口部51,52を有する。第1の開口部51は、前記操作ワイヤー2が有する第1の外径D1よりも大きい第1の内径に形成されている。第2の開口部52は、前記第2の外径D2よりも大きい第2の内径に形成されている。
【0018】
第1の固定部53は、前記第1の開口部51から挿入した前記操作ワイヤー2の先端部21に前記金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2を該金属パイプ5に固定する。
【0019】
第2の固定部42は、前記貫通路41に貫通させた前記ブラシ部3の一端部に前記球状金属パイプ4の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の一端部に該球状金属パイプ4を固定する。
【0020】
突出部33は、該ブラシ部3の一端部に設けられたものであり、前記ブラシ部3の一端部に固定された前記球状金属パイプ4から突出する。
【0021】
第3の固定部54は、前記球状金属パイプ4を前記金属パイプ5に突き当てるまで前記第2の開口部52から挿入した前記突出部33に該金属パイプ5の外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部3を該金属パイプ5に固定する。
【0022】
前記ブラシ部3の他端側には球状金属パイプ6が固定されている。球状金属パイプ6は、前記ブラシ部3が有する第2の外径D2よりも大きい内径に形成された貫通路61を有する金属製の球状材料からなる。
【0023】
第4の固定部62は、前記貫通路61に貫通させた前記ブラシ部3の他端部に前記球状金属パイプ6の外周面が押圧されてなり、該ブラシ部3の他端部に該球状金属パイプ6を固定する。
【0024】
前記操作ワイヤー2の先端部21の基端側には球状金属パイプ7が固定されている。球状金属パイプ7は、前記操作ワイヤー2が有する第2の外径D1よりも大きい内径に形成された貫通路71を有する金属製の球状材料からなる。
【0025】
第5の固定部72は、前記貫通路71に貫通させた前記操作ワイヤー2の一端部に前記球状金属パイプ7の外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤー2の一端部に該球状金属パイプ7を固定する。
【0026】
このような構造により、医療用ブラシ1は、内視鏡のスコープのチャンネルに挿入して内視鏡観察下で洗浄ブラシとして使用できる。
【0027】
(作用)
次に、医療用ブラシ1の製造方法について図2乃至図11を参照して説明する。
医療用ブラシ1の製造するために以下のような工程を要する。
【0028】
まず、図2に示すように、ブラシ部3は、ブラシ毛32をワイヤー部材31の2本の金属ワイヤー34,35に挟み込み、金属ワイヤー34,35を絞り込むように巻きつけることで製造されている。このようなブラシ部3のワイヤー部材31の他端部に前記球状金属パイプ6をかしめにより固定する。続いて、ワイヤー解け防止部材となる球状金属パイプ4の貫通路41にブラシ部3を挿入する。さらに、図3に示すように、ワイヤー解け防止部材となる球状金属パイプ7の貫通路71に操作ワイヤー2を挿入する。
【0029】
ここで、ブラシ部3のワイヤー部材31と操作ワイヤー2の双方を同部品の前記球状金属パイプ4,7に挿入できるように、ブラシ部3のワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径は略同形であることが望ましい。
【0030】
球状金属パイプ4,7の貫通路41,71は、それぞれ挿入されたワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径よりも大きく、それぞれワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外周面との間に若干の隙間が確保される程度の大きさが望ましい。
【0031】
球状金属パイプ4,7の外径はそれぞれ挿入されるワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径の数倍程度の大きさが望ましい。
【0032】
前記ワイヤー部材31と操作ワイヤー2の外径の外径が相違する場合は、前述したとおりの関係が満たされる寸法の球状金属パイプ4,7を使用する。
【0033】
ワイヤー部材31が挿入された前記球状金属パイプ4は、図4に示すように、ブラシ毛32の端面36からワイヤー部材31の外径の数倍程度間隔を開けた位置に該球状金属パイプ4の端面43が来る状態で仮固定を行う。前記球状金属パイプ4の端面44からは、ワイヤー部材31の一端側が突出する。端面44とワイヤー部材31の一端側の端面37の距離はある程度長めに設定する。
【0034】
操作ワイヤー2が挿入された前記球状金属パイプ7は、図5に示すように、ワイヤー端末部の先端部21が該球状金属パイプ7の端面73から操作ワイヤー2の外径の所定倍以上突出された位置で仮固定する。仮固定の方法は、双方の球状金属パイプ4,7とも、対となった2平面の押圧部材で押圧することにより前記球状金属パイプ4,7を変形させ、それぞれワイヤー部材31、操作ワイヤー2に仮固定する。
【0035】
仮固定された前記球状金属パイプ4,7は、不図示のスエージングマシンにてかしめることにより、位置決め固定する。図5及び図6に示すように、スエージング加工後の前記球状金属パイプ4,7の外径は加工前の数割分、縮径した寸法を目安にする。必要以上に縮径すると、前記球状金属パイプ4,7でも端末形状がエッジ状となること、過負荷による破断等の不具合が発生する。また、スエージングマシンは前記球状金属パイプ4,7の外周面を均一に連続殴打することが可能で、均等な円周面を有した形状となるものを用いる。これにより、球状金属パイプ4,7には、図1に示した第2及び第5の固定部42,72が形成される。
【0036】
スエージングマシンでかしめる時の条件として、仮止めされた前記球状金属パイプ4,7の位置ずれが発生する量を見込んで図4に示す仮止め位置を設定しておくこと、ワイヤー部材31と操作ワイヤー2のワイヤーの巻き方向と逆方向に回転させた状態でスエージング加工させないことが必要である。前記球状金属パイプ4,7の端面44,73から突出したワイヤー部材31と操作ワイヤー2は、固定パイプとしての金属パイプ5内に納まる長さで設定しておく必要がある。金属パイプ5としてはステンレス等の耐食性の強い金属パイプが望ましい。
【0037】
ここで、前記工程で固定された前記球状金属パイプ4,7の位置がずれてしまいワイヤー突出量を調整しなくてはいけない場合、もしくはワイヤー部材31と操作ワイヤー2のワイヤー突き出し量を調整することを前提として固定していた場合は、ワイヤー突き出し量をグラインダー等で研削して調整する必要がある。
【0038】
このとき、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を調整する場合には、図8に示すように、グラインダー等で必要以上に研削しないように研削の対象とする部分のみを露出させる治具8を用いるとよい。
【0039】
図8に示すように、治具8は硬度の高い金属製のブロックにより形成されている。治具8の上面には、ブラシ毛32と球状金属パイプ7の間のワイヤー部材31が挿入される第1の溝部81と、球状金属パイプ7が挿入される凹部82と、ワイヤー部材31の他端側が挿入される第2の溝部83が形成されている。
【0040】
第2の溝部83の長さが、球状金属パイプ7に対するワイヤー部材31の正規のワイヤー突出量である。第2の溝部83から治具8の側面84より外側に延出するワイヤー部材31が研削する部分である。
【0041】
図9に示すように、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を調整する場合には、治具8の側面84から延出するワイヤー部材31をグラインダ9の回転する研削砥石91に当てて削り取る。
【0042】
これにより、ワイヤー部材31のワイヤー突出量を正規の量に調整できる。 次に、図10示すように、前記金属パイプ5は第1及び第2の開口部51,52には、それぞれ操作ワイヤー2の先端部21及びワイヤー部材31の突出部33を挿入し、先端部21及び突出部33をつき合わせた状態にする。
【0043】
金属パイプ5はワイヤー部材を固定する固定パイプとなっている。金属パイプ5は、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー外径(外径D1,D2)から僅かに大きい内径を有しており、金属パイプ5の内周面と操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー外周面との間に、隙間が確保されている。
【0044】
金属パイプ5の外径は、内径の数倍程度、金属パイプ5の長さはワイヤーと固定パイプの接触面積をなるべく多く取れるような程度が望ましい。
【0045】
次に、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー部端面をつき合わせた状態で、対となった2平面による押圧部材で金属パイプ5を押圧して、図11に示すように金属パイプ5を楕円柱状に変形させて操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の仮固定を行う。
【0046】
このとき、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の位置ずれや脱落が無いように確実に押圧する。仮止め後、金属パイプ5は前記球状金属パイプ4,7の第2及び第5の固定部42,72と同様にスエージングマシンにてかしめ加工を行い、第1及び第3の固定部53,54を形成する。
【0047】
これにより、図1に示した医療用ブラシ1が完成する。
ここで、かしめ加工後の金属パイプ5の外径は加工前と比較して数割分縮径する程度が望ましい。かしめ加工する時は操作ワイヤー2及びワイヤー部材31のワイヤー素線が破断しないこと、金属パイプ5の破断、表面に亀裂、しわの発生が無いことが条件としてあげられる。
【0048】
前記金属パイプ5と前記球状金属パイプ4,7は、操作ワイヤー2及びワイヤー部材31との接触面積が前記金属パイプ5の方が大きく、かしめ強度は前記球状金属パイプ4,7よりも金属パイプ5の方が高い関係となる。また、スエージング加工により前記金属パイプ5は操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の軸方向および内径側に肉部が逃げる。その変形を見込んで前述したワイヤー突出し量の設定値、スエージングによるかしめ量の設定をする必要がある。
【0049】
(効果)
本実施の形態では、ワイヤー部材31のブラシ毛脱落防止策として、ワイヤ用固定パイプとなる金属パイプ5の隣接した位置に球状金属パイプ4をかしめ接続している。前記球状金属パイプ4はかしめ接続をすることで、球状金属の中心部が一番強く接続され、両端はゆるくなる。そのためワイヤー部材31の接続部へかかる応力集中は分散され、ワイヤー部材31のワイヤーのゆるみが少なくなりブラシ毛の抜けるまでの寿命が延び、洗浄ブラシとしての使用寿命が延びる。また、応力分散により接続部へ繰り返しかかる集中荷重も低減されるためワイヤーの破断までの寿命も延びる。
【0050】
ここで、求めるゆるみが加減によって金属パイプ5をブラシ毛脱落防止部材とすることもできる。この場合ね金属パイプ5の端面形状を球状金属のように変えることで、球状金属と同じように金属パイプ5の接続部はかしめられ、金属パイプ5の両端にがたを持たせることができ、3部品を1部品へ減らすこともできる。しかし、球状部品を金属パイプ5の両端へ追加した方が集中荷重は分散されるので、図1に示した構造の方が耐久性が高い。
【0051】
また、本実施の形態では、金属パイプ5を取り付ける方法として熱を利用しないかしめ加工が有効である。さらに、超弾性合金のような酸化被膜が強いワイヤーにおいては、溶接、銀ロー付け、ハンダ付け等による接合が困難という素材特性の理由もあり、かしめによる接合が特に有効な方法である。
【0052】
金属パイプ5をかしめによって操作ワイヤー2及びワイヤー部材31の両ワイヤーを接合した場合、かしめ時に金属パイプ5が変形を起こし、場合により端面にエッジのできることがあり、このエッジ部が洗浄ブラシの使用時に引っ掛かりの原因となることがある。そのため、本実施の形態では、金属パイプ5端面に隣接した位置に球状金属パイプ4,7を取り付けることで、エッジ部による引っ掛かりを軽減することが可能となる。また、金属パイプ5の両端にあらかじめ丸みを付けておく方法もある。
【0053】
以上のことから、本実施の形態の医療用ブラシ1は、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減させことができるので、医療用ブラシ1の寿命を延長し、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりのを防止して信頼性を向上し、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させるのを防止できる。
【0054】
尚、操作ワイヤー2には、超弾性記憶合金を用いれば、操作ワイヤー2が折れ曲がった場合にも熱を加えるだけで、操作ワイヤー2を真っ直ぐ伸ばすことが可能になり、操作ワイヤー2の寿命を延長できる。
【0055】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0056】
(付記項1) 金属製のワイヤー部材からなる所定の大きさの第1の外径を有する長尺の操作ワイヤーと、
対象物をブラッシングするブラシ毛が植毛された所定の大きさの第2の外径と所定の長さを有する金属製のワイヤー部材からなるブラシ部と、
前記ブラシ部が有する第2の外径よりも大きい内径に形成された貫通路を有する金属製の球状材料からなる球状金属パイプと、
所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる金属パイプと、
前記操作ワイヤーが有する前記第1の外径よりも大きい第1の内径に形成された前記金属パイプが有する第1の開口部と、
前記ブラシ部が有する前記第2の外径よりも大きい第2の内径に形成された前記金属パイプが有する第2の開口部と、
前記第1の開口部から挿入した前記操作ワイヤーの先端部に前記金属パイプの外周面が押圧されてなる該操作ワイヤーを該金属パイプに固定する第1の固定部と、
前記貫通路に貫通させた前記ブラシ部の一端部に前記球状金属パイプの外周面が押圧されてなる該ブラシ部の一端部に該球状金属パイプを固定する第2の固定部と、
前記ブラシ部の一端部に固定された前記球状金属パイプから突出した該ブラシ部の一端部に設けられた突出部と、
前記球状金属パイプを前記金属パイプに突き当てるまで前記第2の開口部から挿入した前記突出部に該金属パイプの外周面が押圧されてなる前記ブラシ部を該金属パイプに固定する第3の固定部と、
を具備したことを特徴とする医療用ブラシ。
【0057】
(付記項2) 操作ワイヤーに超弾性記憶合金を用いるとともに、ブラシ部と前記操作ワイヤーを金属パイプによって圧接およびかしめ等で位置決め固定した医療用ブラシにおいて、
継続的に使用していくにつれ前記ブラシ部の金属ワイヤーが解け、前記ブラシ部の毛が脱落することを防ぐために、前記金属パイプに隣接した位置に前記金属パイプよりも薄肉で略同形の球状金属パイプを設けることを特徴とする医療用ブラシ。
【0058】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、簡単な構造及び製造工程で、ブラシ毛を植毛したワイヤーのゆるみ及び切断を防止するとともに、エッジ部による引っ掛かりを軽減できるので、医療用ブラシの寿命を延長し、内視鏡のスコープの管路に挿入する際の引っ掛かりのを防止して信頼性を向上し、エッジ部とスコープ内部の接触によりスコープ内部を損傷させるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第1の説明図。
【図3】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第2の説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第3の説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第4の説明図。
【図6】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第5の説明図。
【図7】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第6の説明図。
【図8】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第7の説明図。
【図9】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第8の説明図。
【図10】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第9の説明図。
【図11】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第10の説明図。
【図12】本発明の実施の形態に係る医療用ブラシの製造工程を示す第11の説明図。
【符号の説明】
1 …医療用ブラシ
2 …操作ワイヤー
3 …ブラシ部
4 …球状金属パイプ
5 …金属パイプ
31 …ワイヤー部材
21 …先端部
32 …ブラシ毛
41 …貫通路
42 …第2の固定部
51 …第1の開口部
52 …第2の開口部
53 …第1の固定部
54 …第3の固定部
D1 …第1の外径
D2 …第2の外径
Claims (1)
- 金属製のワイヤー部材からなる所定の大きさの第1の外径を有する長尺の操作ワイヤーと、
対象物をブラッシングするブラシ毛が植毛された所定の大きさの第2の外径と所定の長さを有する金属製のワイヤー部材からなるブラシ部と、
前記ブラシ部が有する第2の外径よりも大きい内径に形成された貫通路を有する金属製の球状材料からなる球状金属パイプと、
所定の長さに形成した金属製の筒状部材からなる金属パイプと、
前記操作ワイヤーが有する前記第1の外径よりも大きい第1の内径に形成された前記金属パイプが有する第1の開口部と、
前記ブラシ部が有する前記第2の外径よりも大きい第2の内径に形成された前記金属パイプが有する第2の開口部と、
前記第1の開口部から挿入した前記操作ワイヤーの先端部に前記金属パイプの外周面が押圧されてなり、該操作ワイヤーを該金属パイプに固定する第1の固定部と、
前記貫通路に貫通させた前記ブラシ部の一端部に前記球状金属パイプの外周面が押圧されてなり、該ブラシ部の一端部に該球状金属パイプを固定する第2の固定部と、
前記ブラシ部の一端部に固定された前記球状金属パイプから突出した該ブラシ部の一端部に設けられた突出部と、
前記球状金属パイプを前記金属パイプに突き当てるまで前記第2の開口部から挿入した前記突出部に該金属パイプの外周面が押圧されてなり、前記ブラシ部を該金属パイプに固定する第3の固定部と、
を具備したことを特徴とする医療用ブラシ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011095101A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Olympus Medical Systems Corp | ブラシ寿命検知装置及び内視鏡洗浄装置 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268836A patent/JP2004105290A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011095101A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Olympus Medical Systems Corp | ブラシ寿命検知装置及び内視鏡洗浄装置 |
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