JP2004105205A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】S142の処理で、、払出異常カウンタ53jの値が「3」であれば(S142:Yes)、エラー処理(S146)を実行し、払出用モータ62を停止し、エラー解除ボタン44が押下されると(S147:Yes)、払出異常カウンタ53jの値を「0」クリアし、モータを正逆転回転駆動させ(S144)、モータ低速フラグ53kをオンする(S145)。一方、払出異常カウンタ53jの値が「3」でない場合は(S142:No)、タイマカウンタ53jに「1000」をセットし(S143)、モータを正逆転回転駆動させ(S144)、モータ低速フラグ53kをオンする(S145)。
【選択図】 図15
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パチンコ機等の遊技機の遊技の制御は、主に主制御基板により行われる。この主制御基板には、球払出装置内に配設された払出用モータを駆動して賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板や、効果音の出力制御を行う効果音制御基板、図柄の変動表示等を行う表示用制御基板などが接続されている。これらの各制御基板の制御は、主制御基板から各制御基板へ送信されるコマンドに基づいて行われる。
【0003】
払出制御基板により払い出される球は、球払出装置内に設けられたカウントスイッチにより検出され、その検出信号が主制御基板又は払出制御基板へ出力されることによって、球の払い出しが確実に行われているか否かが確認可能に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−224344号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、球の払い出しを検出するカウントスイッチが故障等を含む何らかの理由で球を検出できなくなってしまう場合がある。かかる場合には、払出用モータが駆動することによって払い出された球をカウント(検出)することができないので、球の払い出しが不当に長時間継続してしまい、不当な球が大量に払い出されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、不当な遊技媒体が大量に払い出されてしまうことを抑制することができる遊技機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から出力される指示に基づいて所定の有価価値を有する有価物体の払出制御を行う払出制御手段とを備えており、前記払出制御手段により駆動されて前記有価物体を払い出す払出手段と、その払出手段により払い出された前記有価物体を検出する検出手段とを備え、前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動後所定時間以上経過しても前記検出手段により前記有価物体が検出されない場合に、前記払出手段を停止させる払出停止手段と、その払出停止手段によって停止された前記払出手段の駆動を再開させ得る停止解除手段と、その停止解除手段によって前記払出手段の駆動が再開される場合に、その払出手段の駆動速度を通常状態より低下させる駆動速度低下手段とを備えている。
【0008】
【発明の効果】本発明の遊技機によれば、払出制御手段は、払出停止手段によって停止された払出手段の駆動が停止解除手段によって再開される場合に、駆動速度低下手段によって払出手段の駆動速度を通常状態より低下させる。よって、停止された払出手段の駆動を再開させる場合に、その駆動速度を低下させることによって、払い出される有価物体数を通常状態より少なくすることができるので、不当な遊技媒体が大量に払い出されてしまうことを抑制することができるという効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0010】
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の前面(図1の紙面に対して手前側)には遊技盤2が配設されている。
【0011】
遊技盤2の前面には略円弧状の外レール3が植立され、その外レール3の内側位置には円弧状の内レール4が植立されている。この内レール4および外レール3により囲まれた遊技盤2の前面には、球(打球)Pが打ち込まれる遊技領域5が形成されており、遊技領域5に周囲には、球Pが入賞することにより所定数(例えば、5個)の球Pが賞球として払い出される複数の普通入賞口6が配設されている。この複数の普通入賞口6が配設された遊技領域5の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄等を表示する液晶ディスプレイ(LCD)7を備えた可変表示装置8が配設されている。なお、液晶ディスプレイ7に代えて、例えば、リール等を用いて可変表示装置を構成するようにしても良い。
【0012】
可変表示装置8の下方には、図柄作動ゲート(第1種始動口)9が配設されている。図柄作動ゲート9を球Pが通過することにより、第1種始動口スイッチ39(図2参照)がオンして、上述した可変表示装置8の変動表示が開始されると共に、所定数の球Pが賞球として払い出される。また、図柄作動ゲート9の下方には可変入賞装置10が配設されており、この可変入賞装置10の略中央部分には大入賞口の開口10aが穿設されている。この大入賞口の開口10aは、可変表示装置8の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、球Pが入賞し易いように所定時間(例えば、30秒)経過するまで、又は、所定個数(例えば、10個)の球Pが大入賞口の開口10aへ入賞するまで、開放されるものである。この大入賞口の開口10aの開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態、通称、「大当たり」状態)である。
【0013】
可変入賞装置10の下方であって上述した遊技領域5外には前面扉板(腰板)11が配設され、この前面扉板11の前面には、球Pを貯留し、かつ、遊技領域5内に球Pを打ち込む球発射装置(図示せず)へ球Pを供給する上皿12が配設されている。上皿12の下方であって、パチンコ機1の下側部分には上皿12に貯留しきれなかった球Pを貯留するための下皿13が配設されている。上皿12の上方における前面扉板11の上部中央には、後述するカード読取ユニット18により読み取られたカードの残高金額を表示するために、7セグメントLEDにより構成された残高表示器14が配設されている。この残高表示器14の右側には、後述するカード読取ユニット18のカード挿入口19に挿入されたカードを取り出す場合に押下される返却ボタン15が配設される一方、残高表示器14の左側には、貸球の払い出し(貸出)を開始する際に押下される貸出ボタン16が配設されている。また、貸出ボタン16の左側上方には貸出ボタン16が押下可能か否かを報知する貸出ボタンランプ17が配設されており、この貸出ボタンランプ17は、貸出ボタン16が押下可能な状態である場合に点灯される一方、貸出ボタン16が押下不可能な状態である場合に消灯される。よって、遊技者は、この貸出ボタンランプ17を視認することにより、貸出ボタン16が押下可能であるか否かを判断することができる。
【0014】
上記のように構成されたパチンコ機1の左側には、正面視長方形状のカード読取ユニット18が並設されている。カード読取ユニット18はカードに記憶された残高金額のデータを読み取るためのものであり、その上下方向における略中央部分には、金銭と同様の有価価値を有するカードを挿入するためのカード挿入口19が配設されている。このカード挿入口19の上方であって、カード読取ユニット18の上部にはカード利用可能ランプ20が配設されており、このカード利用可能ランプ20は、例えば、カード挿入口19へカードが挿入可能である場合に点灯される一方、カード挿入口19へカードが挿入不可能である場合に消灯される。よって、遊技者は、このカード利用可能ランプ20を視認することにより、カード読取ユニット18が使用可能であるか否かを判断することができる。
【0015】
カード挿入口19とカード利用可能ランプ20との間部分であって、カード読取ユニット18の上側位置には、カードに記録された残高金額のデータに基づいて貸出金額を設定するための金額設定ボタン21が配設されており、この金額設定ボタン21を押下することにより貸出金額を100円、200円、300円又は500円に設定することができる。なお、通常、貸出金額は500円に設定されており、100円分の貸球(例えば、25球)に相当する球Pの払い出しを計5回(例えば、125球)行うものである。
【0016】
金額設定ボタン21の下側には、端数表示ボタン22が配設されている。この端数表示ボタン22は、カードに記憶された残高金額が貸出金額の最低額(例えば、100円)に満たない場合に、その端数を残高表示器14に表示する際に押下されるものである。
【0017】
端数表示ボタン22の下側には、略三角形状に形成された上下一対の連結台方向表示ランプ23が配設されている。この一対の連結台方向表示ランプ23は、カード読取ユニット18が接続されているパチンコ機1の配設(並設)方向を示すためのものであり、その内部にそれぞれ1つずつLEDが内蔵されている。よって、例えば、カード読取ユニット18が左側に並設されるパチンコ機(図示せず)に接続される場合には上側のLEDが点灯されるのである。この連結台方向表示ランプ23の下側には、1つのLEDで構成されたカード挿入中ランプ24が配設されており、このカード挿入中ランプ24は、カードがカード挿入口19に挿入されている場合に消灯される一方、カードがカード挿入口19に挿入されていない場合に消灯される。尚、カード利用可能ランプ20および連結台方向表示ランプ23は、カード読取ユニット18の電源投入とともに点灯される。
【0018】
図2は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機1の遊技内容を制御を行う主制御基板Cと、賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hとの電気的構成を示したブロック図である。
【0019】
パチンコ機1の主制御基板Cは、演算装置であるMPU31と、そのMPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、ワークメモリ等として使用されるRAM33とを備えている。図4から図8に示すフローチャートのプログラムは、ROM32内に記憶されている。
【0020】
RAM33には、バックアップエリア33aと、賞球バッファ33bと、賞球ポインタ33cと、残賞球数カウンタ33dと、タンク球無フラグ33eと、下皿満タンフラグ33fとが設けられている。
【0021】
バックアップエリア33aは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア33aへの書き込みは、NMI割込処理(図4参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア33aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復帰処理(停電処理)において実行される。(図6のS15,S16参照)。
【0022】
賞球バッファ33bは、遊技領域5へ打ち込まれた球Pが普通入賞口6等へ入賞した場合に、払い出される賞球数を記憶するバッファである。払い出される賞球数は、入賞した球P毎に賞球バッファ33bへ記憶される。このため、賞球バッファ33bは、複数バイトで構成されている。賞球バッファ33bに記憶された賞球数データは、賞球コマンドとして図7の賞球数データ送信処理によって払出制御基板Hへ送信されると、賞球バッファ33bから消去される。具体的には、0番目の賞球バッファ33bに記憶される賞球数を払出制御基板Hへ送信した後、1番目以降の賞球バッファ33bの値を小さいアドレス側へ順に1バイトずつシフトすることにより、0番目の賞球バッファ33bの値が消去される。
【0023】
ここで、賞球コマンドとは、払い出される賞球数を払出制御基板Hへ指示するためのコマンドであり、2バイトで構成されている。賞球コマンドの1バイト目のデータは、そのコマンドが賞球コマンドであることを示すためのデータ(例えば「A0H」)とされており、また、2バイト目のデータは払い出される賞球数を示すデータとされている。1回の入賞に対する最大の賞球数は15球であるので、その最大賞球数に対応した「0H」〜「0FH」の15種類のデータが賞球コマンドの2バイト目のデータとされている。
【0024】
なお、賞球コマンドを1バイトで構成するようにしても良い。前記した通り、1回の入賞に対する最大の賞球数は15球であるので、賞球コマンドを1バイトで構成する場合には、その最大賞球数に対応した「01H」〜「0FH」の15種類のデータを賞球コマンドとする。即ち、1バイトで構成されるコマンドの上位4ビットが「0」の場合に賞球コマンドとする。
【0025】
賞球ポインタ33cは、賞球数を記憶させる賞球バッファ33bの位置を示すポインタであり、払い出される賞球数は、賞球ポインタ33cの値番目の賞球バッファ33bへ記憶される。この賞球ポインタ33cの値は、賞球バッファ33bへ賞球数を書き込むことにより「1」加算され、0番目の賞球バッファ33bの値が賞球数データ送信処理(S37)によって払出制御基板Hへ送信されることにより「1」減算される。
【0026】
残賞球数カウンタ33dは、未払いの賞球数を記憶するカウンタであり、払出制御基板Hによって払い出される賞球数を主制御基板Cで管理するためのカウンタである。残賞球数カウンタ33dの値は、主制御基板Cが払出制御基板Hへ賞球の払い出しを指示する毎に、その指示した数が加算され、逆に、払出制御基板Hによって賞球の払い出しが行われて、その払い出された賞球を賞球カウントスイッチ66が検出する毎に「1」ずつ減算される。
【0027】
タンク球無フラグ33eは、パチンコ機1の裏側に配設される球貯留タンク(図示せず)の球の貯留状態を判断するためのフラグである。このタンク球無フラグ33eは、球貯留タンクに球がなくなった場合、即ち、後述するタンク球無スイッチ42がオンされた場合に、オンされる。逆に、球貯留タンクに球が貯留されている場合はオフされる。このタンク球無フラグ33eがオンされると、後述する球払出停止コマンド処理において(図8参照)、払出用モータ駆動停止コマンドが主制御基板Cから払出制御基板Hへ送信され、払出用モータ62の駆動を停止し、球の払い出し動作を停止する。
【0028】
下皿満タンフラグ33fは、下皿13における球の貯留状態を判断するためのフラグである。この下皿満タンフラグ33fは、下皿13に貯留される球が満タン状態、即ち、後述する下皿満タンスイッチ43がオンの状態に、オンされる。
逆に、下皿13に貯留される球が満タン状態でない場合にオフされる。この下皿満タンフラグ33fがオンされると、タンク球無フラグ33eと同様に、後述する球払出停止コマンド処理において(図8)、払出用モータ駆動停止コマンドが主制御基板Cから払出制御基板Hへ送信され、払出用モータ62の駆動を停止し、払い出し動作を停止する。
【0029】
これらROM32及びRAM33を内蔵したMPU31は入出力ポート35と接続されており、入出力ポート35は、複数の信号線37を介して払出制御基板Hと双方向通信可能に接続されるほか、普通入賞口スイッチ38と、第1種始動口スイッチ39と、Vカウントスイッチ40と、10カウントスイッチ41と、タンク球無スイッチ42と、下皿満タンスイッチ43と、賞球カウントスイッチ66と、他の入出力装置45とそれぞれ接続されている。
【0030】
普通入賞口スイッチ38は、遊技領域5内の普通入賞口6へ入賞した球Pを検出するためのスイッチであり、普通入賞口6の入口近傍に設けられている。また、第1種始動口スイッチ39は、図柄作動ゲート(第1種始動口)9を通過した球Pを検出するためのスイッチであり、図柄作動ゲート9の近傍に設けられている。普通入賞口スイッチ38或いは第1種始動口スイッチ39により球Pが検出されると、普通入賞口6または図柄作動ゲート(第1種始動口)9への入賞により払い出される賞球数の「5」が、賞球ポインタ33cの値番目の賞球バッファ33bへ書き込まれ、賞球ポインタ33cの値が「1」加算される。
【0031】
Vカウントスイッチ40は、可変入賞装置10により構成される大入賞口へ入賞し、且つ、その大入賞口内のVゾーン(図示せず)を通過した球Pを検出するためのスイッチである。また、10カウントスイッチ41は、可変入賞装置10により構成される大入賞口へ入賞した球Pのうち、Vゾーン以外を通過した球Pを検出するためのスイッチである。Vカウントスイッチ40または10カウントスイッチ41により球Pが検出されると、大入賞口への入賞により払い出される賞球数の「15」が、賞球ポインタ33cの値番目の賞球バッファ33bへ書き込まれ、賞球ポインタ33cの値が「1」加算される。
【0032】
タンク球無スイッチ42は、パチンコ機1の裏側に配設される球貯留タンク(図示せず)に貯留されている球Pの貯留状態を監視するためのスイッチである。
このタンク球無スイッチ42は、球Pが球貯留タンクに無くなった場合にオンされ、後述するタンク球無フラグ33eをオンするように構成されている。賞球または貸球の払い出しには、球貯留タンクに貯留されている球Pを使用するため、球貯留タンクに貯留されている球Pが無くなると払い出しが不可能となる。従って、タンク球無スイッチ42により球貯留タンクの球Pの貯留状態を監視し、該スイッチ42によって球貯留タンクに球Pが貯留されていないことが検出された場合は、タンク球無しフラグ33eをオンして、図8の球払出停止コマンド処理において、払出用モータ駆動停止コマンドを払出制御基板Hに送信し、払出用モータ62を停止する。
【0033】
下皿満タンスイッチ43は、上皿12に貯留しきれなかった球Pを貯留する下皿13が球Pで満タンか否かを監視するためのスイッチである。この下皿満タンスイッチ43は、下皿13が球Pによって満タン状態となった場合にオンされ、後述する下皿満タンフラグ33fをオンするように構成されている。下皿13は、上皿12で球Pを貯留しきれなかった場合に貯留しきれなかった球Pを貯留するために設けられており、下皿13が球Pで満タンになっている場合に賞球または貸球の払い出しを行うと、後述する球払出装置60(図3参照)内で球詰まり等が発生してしまう。従って、下皿満タンスイッチ43により下皿13の球の貯留状態を監視し、該スイッチ43によって下皿13に貯留されている球Pが満タン状態であることが検出された場合は、下皿満フラグ33fをオンして、図8の球払出停止コマンド処理において、払出用モータ駆動停止コマンドを払出制御基板Hに送信し、払出用モータ62を停止する。
【0034】
賞球カウントスイッチ66は、払出制御基板Hによって払い出される賞球数をカウントするためのスイッチであり、その出力は主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ入力されている。この賞球カウントスイッチ66によって、本来の賞球数を越えた賞球の払い出しや本来の賞球数に満たない賞球の払い出しがチェックされる。
【0035】
払出制御基板Hは、賞球や貸球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU51と、そのMPU51により実行される制御プログラムや固定データ等を記憶したROM52と、ワークメモリ等として使用されるRAM53とを備えている。図6及び図9から図15に示すフローチャートのプログラムは、ROM52内に記憶されている。また、払出制御基板HのRAM53には、バックアップエリア53aと、受信バッファ53bと、コマンド受信フラグ53cと、総賞球数カウンタ53dと、賞球払出カウンタ53eと、貸球払出カウンタ53fと、貸球払出中フラグ53gと、払出実行フラグ53hと、タイマカウンタ53iと、払出異常カウンタ53jと、モータ低速フラグ53kとが設けられている。
【0036】
バックアップエリア53aは、前述した主制御基板Cのバックアップエリア33aと同様に、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア53aへの書き込みは、NMI割込処理(図4参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア53aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復帰処理(停電処理)において実行される。(図6のS15,S16参照)。
【0037】
受信バッファ53bは、主制御基板Cから送信されるデータ(例えば、賞球数データ)を一時的に記憶するバッファである。コマンド受信フラグ53cは、主制御基板Cから払出制御基板Hに制御用コマンドが送信された場合にオンされるフラグである。即ち、主制御基板Cから送信されたデータ(制御用コマンド)が受信バッファ53bに記憶されているとオンされ、そのデータがROM52に記憶されている制御プログラムの各処理により各メモリに書き込まれるとオフされるように構成されている。このコマンド受信フラグ53cは、賞球数データが主制御基板Cから送信されたか否かを確認するために、賞球動作処理(S71)において参照される。
【0038】
総賞球数カウンタ53dは、賞球払出カウンタ53eへ加算される前の賞球数の合計を記憶するカウンタである。賞球数のデータからなる賞球コマンドが受信されると、その賞球コマンド、即ち賞球数データは、受信バッファ53bに書き込まれる。この受信バッファ53bに書き込まれた賞球数データが、図11の賞球動作処理によって、総賞球数カウンタ53dへ加算されるのである(S83)。
【0039】
賞球払出カウンタ53eは、払い出すべき賞球数を記憶するカウンタであり、前記した総賞球数カウンタ53dの値が加算されることにより増加する。賞球払出カウンタ53eの値が「1」以上である場合には、後述する貸球払出カウンタ53fの値に拘わらず、図13のモータ駆動処理(S73)によって賞球の払い出し動作が行われる。即ち、本実施例のパチンコ機1では、賞球の払い出し動作が貸球の払い出し動作に優先して行われる。また、賞球払出カウンタ53eの値は、図14の払出スイッチ読込処理(S74)により、賞球カウントスイッチ66によって払い出された賞球が検出される毎に「1」ずつ減算される。
【0040】
貸球払出カウンタ53fは、払い出すべき貸球の数を記憶するカウンタである。貸球は貸出金額100円毎に25球ずつ貸し出される。よって、1の球貸し要求毎に貸球払出カウンタ53fの値に「25」が設定される。貸球払出カウンタ53fの値が「1」以上で且つ賞球払出カウンタ53eの値が「0」である場合には、図13のモータ駆動処理(S73)によって貸球の払い出し動作が行われる。貸球払出カウンタ53fの値は、図14の払出スイッチ読込処理(S74)により、貸球カウントスイッチ67によって払い出された貸球が検出される毎に「1」ずつ減算される。
【0041】
貸球払出中フラグ53gは、貸球の払い出し動作中(球貸し動作中)であることを示すフラグである。球貸し動作の開始時にオンされ、球貸し動作が終了するとオフされる。この貸球払出中フラグ53gは、図11の賞球動作処理(S71)で参照され、図12の球貸し動作処理(S72)で参照およびオン又はオフされる。
【0042】
払出実行フラグ53hは、1の賞球または貸球の払い出しが開始されたことを示すためのフラグである。この払出実行フラグ53hは、賞球払出カウンタ53e又は貸球払出カウンタ53fの値が「1」以上である場合、即ち、賞球又は貸球が払い出される場合にオンされる(図13参照)。逆に、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67がオンされた場合、即ち、賞球又は貸球が払い出された場合にオフされる(図14参照)。この払出実行フラグ53hがオンされることによって、払出用モータ62が正転駆動されて賞球又は貸球が払い出される。また、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67での賞球又は貸球の検出は、払出実行フラグ53hがオンされていないと行われないように構成されている。従って、払出制御基板Hは、1の賞球又は貸球の払い出し動作を確実に認識することができる。
【0043】
タイマカウンタ53iは、賞球又は貸球が払い出されてからの経過時間を計測するためのカウンタである。このタイマカウンタ53iの値は、払出実行フラグ53hがオンされる場合、即ち、賞球又は貸球が払い出される場合において「1000」がセットされる。また、タイマカウンタ53iの値は、賞球又は貸球が所定時間内に検出されない場合に行われる払出エラー処理(図15参照)において、払出エラー処理の実行回数が3回未満、即ち、後述する払出異常カウンタ53jの値が「3」未満の場合において「1000」がセットされる。
【0044】
一方、このタイマカウンタ53iの値は、払出制御基板Hのメイン処理が1回実行される毎に「1」ずつ減算される(図10、S77及びS78参照)。また、払い出された賞球又は貸球が賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67によって検出された場合に、タイマカウンタ53iの値が「0」クリアされるように構成されている。賞球又は貸球が払い出し時にセットされたタイマカウンタ53iの値が「0」となった場合に、払出制御基板Hは、球詰まり等によって賞球又は貸球等の払い出し動作が滞っていると判断して、払出エラー処理(図15参照)を実行する。
【0045】
なお、本実施例のパチンコ機1の払出制御基板Hのメイン処理は、2ms毎に行われるように構成されている。よって、払出制御基板Hは、賞球等の払出指示を行ってから略2秒が経過するまでに各カウントスイッチ66,67のいずれかによって球Pが検出されていない場合は、払い出し動作を再開又は停止するために後述する払出エラー処理(図15)を実行するように構成されている。
【0046】
払出異常カウンタ53jは、賞球又は貸球の払い出し動作が異常を発生した回数を記憶するカウンタである。この払出異常カウンタ53jは、払出実行フラグ53hがオンされている状態でタイマカウンタ53iの値が「0」となった場合に「1」加算され、逆に、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67によって球Pが検出された場合、又は、エラー発生時にエラー解除ボタン44が押下された場合に「0」クリアされるように構成されている。本実施例のパチンコ機1では、払出異常カウンタ53jの値が「3」になった場合、即ち、払い出し動作の異常が3回発生した場合に、以後の払い出し動作を停止するためにエラー処理を実行するように構成されている(図15、S146参照)。球詰まり等の払い出し動作の異常は頻繁に起こり得るものであるから、1の払い出し動作の異常で常に払い出し動作を停止させていると、頻繁に遊技が中断し得てしまい、遊技者が遊技に興醒めしてしまう。また、払い出し動作の異常は、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67が抜き取られる等の不正行為によっても起こり得る。各スイッチ66,67が抜き取られている状況で払い出し動作を停止しないと、不当な球が払い出されてしまい、遊技場に多大な不利益を被らせてしまうという問題点がある。そこで、払い出し異常が3回発生した場合に、払い出し動作を停止することにより、遊技を頻繁に中断させずに、不正行為が行われた場合にも対応することができるのである。
【0047】
モータ低速フラグ53kは、払出用モータ62の駆動速度を超低速にするためのフラグである。このモータ低速フラグ53kは、払出実行フラグ53hがオンされている状態でタイマカウンタ33iの値が「0」となった場合にオンされ、逆に、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67が球Pを検出した場合にオフされるように構成されている。払い出し動作の異常が発生した場合に、モータ低速フラグ53kをオンして、以後、賞球又は貸球が各カウントスイッチ66,67で検出されるまで払出用モータ62の駆動速度を通常状態より低速にすることで、何らかの払出異常が発生している場合に、不当な球Pが大量に払い出されることを抑制することができる。
【0048】
かかるROM52及びRAM53を内蔵したMPU51は入出力ポート55と接続されており、入出力ポート55は、複数の信号線37を介して主制御基板Cと双方向通信可能に接続されるほか、カード操作ユニット14〜17と、カード読取りユニット18と、ドライバ回路57と、ソレノイド65と、貸球カウントスイッチ67と、賞球カウントスイッチ66と、エラー解除ボタン44と、他の入力装置45と、それぞれ接続されている。
【0049】
貸球カウントスイッチ67は、払出制御基板Hによって払い出される貸球数をカウントするためのスイッチであり、その出力は払出制御基板Hへ入力されている。この貸球カウントスイッチ67によって、本来の貸球数を越えた貸球の払い出しや、本来の貸球数に満たない貸球の払い出しがチェックされる。
【0050】
ドライバ回路57は、払出用モータ62を駆動し回転させるための回路である。このドライバ回路57により払出用モータ62が回転されると、球受け部材63(図3参照)が回転して賞球又は貸球の払い出しが行われる。ソレノイド65については、図3において詳述する。
【0051】
エラー解除ボタン44は、エラー処理(S146)において払出用モータ62が停止した場合に、そのエラー処理を終了させて、払出用モータ62を再駆動させるためのボタンである。このエラー解除ボタン44は、パチンコ機1の裏側に配設されており(図示せず)、遊技場(ホール)に配設された状態では、鍵等を保持する従業員のみ操作可能な位置に配設されている。よって、球詰まり等のエラー処理が発生した場合には、パチンコ機1の遊技者は、遊技場の従業員を呼び、その従業員によってエラーの原因(例えば、球詰まり等)を解消してもらうと共にエラー解除ボタン44を押下してもらうことによって、エラー処理が終了するように構成されている。
【0052】
電源基板70は、パチンコ機1の各部に電力を供給するための電源部70aと、停電監視回路70bと、クリアスイッチ70cとを備えている。停電監視回路70bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU31のNMI端子へ停電信号71を出力するための回路である。停電監視回路70bは、電源部70aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号71を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号71の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(図4のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部70aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるものである。
【0053】
クリアスイッチ70cは、主制御基板CのRAM33及び払出制御基板HのRAM53にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ70cが押下された状態でパチンコ機1の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板C及び払出制御基板Hによって、それぞれのRAM33、RAM53のデータがクリアされる。
【0054】
図3は、賞球および貸球の払い出し動作を行う球払出装置60の正面断面図である。球払出装置60は、パチンコ機1の裏面に配設されており(図示せず)、払出制御基板Hにより、賞球払出カウンタ53eまたは貸球払出カウンタ53fの値に応じて、払出用モータ62及びソレノイド65が制御され、賞球または貸球の払い出し動作を実行するものである。なお、図3(a)は、賞球の払い出し動作時を示した図であり、図3(b)は、貸球の払い出し動作時を示した図である。
【0055】
この球払出装置60には、球貯留タンク(図示せず)から供給される球Pを該球払出装置60へ流入させる流入通路61と、その流入した球Pを受け止めて、その下流側へ搬送する球受け部材63とが配設されており、この球受け部材63は、略同一形状に形成された一対の略円形板状の搬送板63a,63bとを備えている。この球受け部材63は、払出用モータ62と連結軸63cを介して連結されており、払出用モータ62の回転に伴って連結軸63cを回転中心として回転されるものである。
【0056】
球受け部材63の下流側には、流入通路61と連通する賞球通路68および貸球通路69が設けられている。これら賞球通路68と貸球通路69との分岐部には、仕切板64が設けられており、この仕切板64の下方には、賞球通路68と貸球通路69との間を仕切る仕切ブロック70が形成されている。仕切板64は、球払出装置60の後面(図3の紙面に対して奥側)に配設されたソレノイド65と連結されている。このソレノイド65が非通電の状態では、図3(a)に示すように、仕切板64は貸球通路69を閉鎖する位置にあり、一方、ソレノイド65が通電の状態では、図3(b)に示すように、仕切板64は賞球通路68を閉鎖する位置にある。
【0057】
賞球通路68は、流入通路61へ流入した球Pを賞球として払い出す場合に球Pが排出される通路であり、その下流部分には該賞球通路68を通過する球Pを検出する賞球カウントスイッチ66が配設されている。この賞球カウントスイッチ66は、賞球通路68の一部を構成しており、その略中央部分には球Pが1個ずつ通過可能な円形状の開口である賞球検出部66aが穿設されている。かかる賞球検出部66aを球Pが通過することにより、賞球通路68を通過した球Pを検出して、賞球として払い出された球Pの個数を計数(カウント)することができる。
【0058】
一方、貸球通路69は、流入通路61へ流入した球Pを貸球として払い出す場合に球Pが排出される通路であり、その下流部分には該貸球通路69を通過する球Pを検出する貸球カウントスイッチ67が配設されている。この貸球カウントスイッチ67は、貸球通路69の一部を構成しており、その略中央部分には球Pが1個ずつ通過可能な円形状の開口である貸球検出部67aが穿設されている。
かかる貸球検出部67aを球Pが通過することにより、貸球通路69を通過した球Pを検出して、貸球として払い出された球Pの個数を計数することができる。
なお、これらの賞球カウントスイッチ66および貸球カウントスイッチ67は、磁気センサを備えた近接スイッチで構成されているが、これに代えて、発光ダイオードやフォトトランジスタなどを組み合わせることにより構成される光センサを使用しても良い。
【0059】
ここで、球払出装置60の動作を説明すると、図3(a)に示すように、ソレノイド65のオフ(非通電)状態の場合は、仕切板64は貸球通路69を閉塞して賞球通路68を開放した状態で停止している。一方、図3(b)に示すように、ソレノイドのオン(通電)状態の場合は、仕切板64は賞球通路68を閉塞して貸球通路69を開放した状態で停止している。よって、図3(a)の状態で払出用モータ62を作動させることにより、賞球の払い出し動作が実行され、図3(b)の状態で払出用モータ62を作動させることにより、貸球の払い出し動作が実行されるのである。このように、ソレノイド65に非通電の状態で賞球の払い出し動作を行うことができるので、パチンコ機1が稼働するほとんどの時間でソレノイド65をオフすることができ、ソレノイド65の通電時間を短縮して、その耐久性を向上させることができる。
【0060】
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図4から図15の各フローチャートを参照して説明する。図4は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源断時に、主制御基板C及び払出制御基板Hで、それぞれ別々に実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板C及び払出制御基板Hの状態がそれぞれのバックアップエリア33a,53aに記憶される。なお、NMI割込処理は、主制御基板CのROM32と払出制御基板HのROM52とに、それぞれ別々に搭載される処理であるが、フローチャートの表記上、同様に表すことができるので、図4にまとめて図示してある。
【0061】
停電の発生等によりパチンコ機1の電源が断されると、停電監視回路70bから停電信号71が主制御基板C及び払出制御基板HのMPU31,51のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へそれぞれ出力される。各MPU31,51は、NMI端子に停電信号71が入力されると、それぞれ実行中の制御を中断して、図4のNMI割込処理を開始する。停電信号71が出力された後所定時間は、主制御基板C及び払出制御基板Hの処理が実行可能なように電源基板70の電源部70aから電力供給がなされており、この所定時間内に、図4のNMI割込処理が実行される。
【0062】
NMI割込処理では、まず,各レジスタおよびI/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、次に、スタックポインタの値をバックアップエリア33a,53aへ書き込んで退避する(S2)。更に、停電発生情報をバックアップエリア33a,53aへ書き込んで(S3)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、主制御基板C及び払出制御基板Hに応じてそれぞれ異なるその他停電処理を実行した後(S4)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
【0063】
次に、図5から図8を参照して、主制御基板Cで行われる各処理について説明する。図5は、所定時間(本実施例では、2ms)毎に主制御基板Cで実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、まず、RAM33の初期化を含む初期化処理を実行する(S11)。
【0064】
図6は、主制御基板C及び払出制御基板Hで、それぞれ別々に実行される初期化処理のフローチャートである。なお、初期化処理は、主制御基板CのROM32と払出制御基板HのROM52とに、それぞれ別々に搭載される処理であるが、フローチャートの表記上、同様に表すことができるので、図6にまとめて図示してある。初期化処理では、まず、スタックポインタを設定し(S12)、クリアスイッチ70cがオンされているか否かを確認する(S13)。クリアスイッチ70cがオンされていなければ(S13:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S14)。この確認は、RAM33,53の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。
【0065】
バックアップが有効であれば(S14:Yes)、バックアップエリア33a,53aからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断時(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S15)。次に、スタックポインタの値を戻した後のスタックエリア、即ちバックアップエリア33a,53aへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア33a,53aから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込み(S16)、その後、割込の状態を停電発生時に実行される図4の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S17)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
【0066】
一方、クリアスイッチ70cがオンされていたり(S13:Yes)、或いはバックアップが有効でなければ(S14:No)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S18)、RAM33,53及びI/O等の各値を初期化し終了する。初期化処理(S11)の終了後は、図5のメイン処理に戻る。
【0067】
初期化処理(S11)の実行後、普通入賞口スイッチ38または第1種始動口スイッチ39により、球Pが検出されたか否かを確認する(S31)。普通入賞口スイッチ38又は第1種始動口スイッチ39により球Pが検出された場合には(S31:Yes)、5個の賞球を払い出すために、賞球ポインタ33cの値番目の賞球バッファ33bへ「5」を書き込み(S32)、賞球ポインタ33cの値を「1」加算する(S33)。一方、普通入賞口スイッチ38又は第1種始動口スイッチ39により球Pが検出されない場合には(S31:No)、S32およびS33の処理をスキップして、S34の処理へ移行する。
【0068】
S34の処理では、Vカウントスイッチ40又は10カウントスイッチ41により球Pが検出されたか否かを確認する(S34)。Vカウントスイッチ40又は10カウントスイッチ41により球Pが検出された場合には(S34:Yes)、15個の賞球を払い出すために、賞球ポインタ33cの値番目の賞球バッファ33bへ「15」を書き込み(S35)、賞球ポインタ33cの値を「1」加算する(S36)。一方、Vカウントスイッチ40又は10カウントスイッチ41により球Pが検出されない場合には(S34:No)、S35およびS36の処理をスキップして、S37の賞球数データ送信処理へ移行する。
【0069】
図7は、賞球数データ送信処理(S37)のフローチャートである。賞球数データ送信処理では、まず、賞球ポインタ33cの値が「0」か否かを調べる(S51)。賞球ポインタ33cの値が「0」であれば(S51:Yes)、送信される賞球数データは存在しないので、そのまま、この賞球数データ送信処理を終了する。
【0070】
賞球ポインタ33cの値が「0」でなければ(S51:No)、0番目の賞球バッファ33bの値を払出制御基板Hへ送信する(S52)。賞球数データの送信後、送信した賞球数データである、0番目の賞球バッファ33b値を残賞球数カウンタ33dの値へ加算し(S53)、1番目以降の賞球バッファの33bの値を小さいアドレス側へ順に1バトずつシフトして(S54)、賞球バッファ33bの値を更新するとともに、0番目の賞球バッファの33bの値を消去する。その後、賞球ポインタ33cの値を「1」減算して(S55)、この賞球数データ送信処理を終了する。賞球数データ送信処理(S37)の終了後は、図5のメイン処理に戻って、賞球カウントスイッチ66がオンされたか否かを判断する(S38)。
【0071】
賞球カウントスイッチ66のオンが検出された場合には(S38:Yes)、賞球が1個払い出されたということなので、残賞球数カウンタ33dの値を確認し(S39)、その値が「0」でなければ(S39:No)、払い出された賞球に対応して残賞球数カウンタ33dの値から「1」減算し(S40)、遊技の状態に応じた各処理を実行する(S41)。一方、賞球カウントスイッチ66のオンが検出されない場合には(S38:No)、賞球は払い出されていないので、また、賞球カウントスイッチ66のオンが検出されても残賞球数カウンタ13dの値が「0」であれば(S38:Yes,S39:Yes)、残賞球数カウンタ33dの値を減算することはできないので、S40の処理をスキップして、遊技の状態に応じた各処理を実行する(S41)。
【0072】
各処理の実行後は、前回のS31の処理の実行から所定時間(本実施例では、2ms)経過しているか否かを確認する。前回のS31の処理の実行から所定時間経過していれば(S42:Yes)、処理をS31に移行し、次のメイン処理を開始する。前回のS71の処理の実行から所定時間経過していなければ(S42:No)、所定時間経過するまで待機する。このため、S42の処理により、S31からS41までの処理が所定時間の間隔で実行される。
【0073】
図8は、主制御基板Cで行われる球払出停止コマンド処理のフローチャートである。まず、払出球状態確認処理を実行する(S56)。この払出球状態確認処理では、球貯留タンク(図示せず)に球Pが貯留されているか否かをタンク球無しフラグ33eによって確認し、さらに、下皿が球Pで満タンか否かを下皿満タンフラグ33fによって確認する。確認の結果、球の払い出しが不可能な状態(タンク球無フラグ33eまたは、下皿満タンフラグ33fの少なくともいずれか一方がオン)であれば(S57:No)、払出用モータ駆動停止コマンドを払出制御基板Hへ送信し(S58)、払出制御基板Hに対して払い出しを停止させる。
【0074】
一方、球の払い出しが可能な状態(タンク球無フラグ33eと下皿満タンフラグ33fが共にオフ)であれば(S57:Yes)、そのまま、球払出停止コマンド処理を終了する。
【0075】
次に図9から図15を参照して、払出制御基板Hで行われる賞球および貸球の払い出し動作について説明する。図9は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信した場合に実行されるデータ受信処理のフローチャートである。データ受信処理では、主制御基板Cから送信された制御用コマンドを受信バッファ53bに書き込み(S61)、コマンド受信フラグ53cをオンする(S62)。賞球数データを指示する賞球コマンドは、このデータ受信処理で制御用コマンドの一部として受信され、受信バッファ53bへ書き込まれる。
【0076】
図10は、払出制御基板Hにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。この処理では、まず、前述した初期化処理を実行する(S11)。その後、図11に示す賞球動作処理を実行する(S71)。
【0077】
図11は、賞球動作処理(S71)のフローチャートである。この賞球動作処理(S71)は、総賞球数カウンタ53dの賞球数データを賞球払出カウンタ53eへ書き込むための処理である。賞球動作処理(S71)では、まず、コマンド受信フラグ53cがオンされているか否かを確認し(S81)、コマンド受信フラグ53cがオンされていれば(S81:Yes)、主制御基板Cから新たな制御用コマンドが払出制御基板Hへ送信されているので、その制御用コマンドが賞球コマンドであるか否かを確認する(S82)。受信バッファ53bに記憶されている制御用コマンドが賞球コマンド、即ち賞球数データであれば(S82:Yes)、その賞球数データを総賞球数カウンタ53dに加算し(S83)、コマンド受信フラグ53cをオフする(S84)。貸球払出中フラグ53gがオンであれば(S85:Yes)、貸球の払い出し動作中なので、この賞球動作処理(S71)を終了する。
【0078】
貸球払出中フラグ33gがオフであれば(S85:No)、貸球の払い出しの動作は実行されていないので、総賞球数カウンタの値が「0」でなければ(S86:No)、その総賞球数カウンタ53dの値を賞球払出カウンタ53eの値に加算し(S87)、総賞球数カウンタ53dの値を「0」クリア(消去)して(S88)、賞球動作処理(S71)を終了する。一方、S86の処理において、総賞球数カウンタ53dの値が「0」であれば(S85:Yes)、そのまま、賞球動作処理(S71)を終了する。賞球動作処理(S71)の終了後は、図12に示す球貸し動作処理(S72)を実行する。
【0079】
図12は、球貸し動作処理(S72)のフローチャートである。球貸し動作処理(S72)では、貸出ボタン15が押下されることにより生じる球貸し要求に応じて、貸し出される貸球数を貸球払出カウンタ53fへ設定するための処理である。
【0080】
この球貸し動作処理(S72)では、まず、貸球払出中フラグ53gがオンされているか否かにより(S91)、球貸し動作中であるか否かを判断する。貸球払出中フラグ53gがオフされていれば(S91:No)、球貸し動作中ではない。よって、この場合には貸出ボタン15が押下されて球貸し要求があるか否かを確認する(S92)。球貸し要求がなければ(S92:No)、そのまま、この球貸し動作処理を終了し、一方、球貸し要求があれば(S92:Yes)、賞球払出カウンタ53eの値が「0」であるか否かを確認する(S93)。賞球払出カウンタ53eの値が「0」でなければ(S93:No)、賞球の払い出し動作中である。球貸し動作は、賞球の払い出し動作の終了後に行われるので、この場合にも、そのまま球貸し動作処理を終了する。
【0081】
球貸し要求があり(S92:Yes)、賞球払出カウンタ53eの値が「0」であれば、(S93:Yes)、貸球払出カウンタ53fの値に、100円分の貸出金額に相当する貸球の「25」を設定し(S94)、貸球払出中フラグ53gをオンして(S95)、球貸動作を開始させ、この球貸し動作処理(S72)を終了する。
【0082】
一方、S91の処理において、貸球払出中フラグ53gがオンされていれば(S91:Yes)、球貸し動作中であるので、この場合には、貸球払出カウンタ53fの値が「0」であるか否かを確認する(S96)。貸球払出カウンタ53fの値が「0」でなければ(S96:No)、未だ前回の球貸し要求分の貸球が払い出されていないので、この場合には、そのまま球貸し動作処理(S72)を終了する。
【0083】
貸球払出カウンタ53fの値が「0」であれば(S96:Yes)、貸球払出中フラグ53gをオフして(S98)、球貸し動作を終了させ、この球貸し動作処理(S72)を終了する。球貸し動作処理(S72)の終了後は、図13に示すモータ駆動処理を実行する(S73)。
【0084】
図13は、モータ駆動処理(S73)のフローチャートである。このモータ駆動処理によって、払出用モータ62が回転駆動され、その回転に伴って、球受け部材63が図3の矢印R方向に回転され、賞球または貸球の払い出し動作が行われる。なお、払い出しの行われた賞球数または貸球数は、後述する払出スイッチ読込処理(S74)によってカウントされる。
【0085】
このモータ駆動処理(S73)では、まず、主制御基板Cから送信された払出用モータ駆動停止コマンドを受信したか否かを確認する(S101)。払出用モータ駆動停止フラグを受信していなければ(S101:No)、賞球払出カウンタ53eの値が「0」であるか否かを確認する(S102)。確認の結果、賞球払出カウンタ53eの値が「0」でなければ(S102:No)、ソレノイド65をオフして仕切板64で貸球通路69を閉鎖すると共に賞球通路68を開放して(S103)、処理をS108へ移行する。
【0086】
一方、賞球払出カウンタ53eの値が「0」であっても(102:Yes)、貸球払出カウンタ53fの値が「0」でなければ(S104:No)、ソレノイド65をオンして仕切板64で賞球通路68を閉鎖すると共に貸球通路69を開放して(S105)、処理をS108へ移行する。
【0087】
なお、S101の処理において払出用モータ駆動停止フラグを受信している場合(S101:Yes)、または、S102及びS103の処理において賞球払出カウンタ53eの値および貸球払出カウンタ53fの値が共に「0」である場合(S102:Yes,S104:Yes)、賞球および貸球の払い出しは行われないので、かかる場合にはソレノイド65をオフして(S106)、払出用モータ62の駆動を停止して(S107)、このモータ駆動処理(S73)を終了する。
【0088】
S108の処理では、払出実行フラグ53hがオンされているか否かを確認する(S108)。払出実行フラグ53hがオフされていれば(S108:No)、タイマカウンタ53iに値を設定するために、まず、払出実行フラグ53hをオンし(S112)、タイマカウンタ53iに「1000」をセットし(S113)、モータ駆動処理(S73)を終了する。タイマカウンタ53iに「1000」をセットすることによって、払出用モータ62が駆動してからの経過時間を計測することができる。
【0089】
一方、S108の処理において、払出実行フラグ53hがオンされていれば(S108:Yes)、タイマカウンタ53iに値は設定済みであるので、次に、モータ低速フラグ33kがオンされているか否かを確認する(S109)。モータ低速フラグ33kがオンされていれば(S109:Yes)、払い出しに何らかの異常が発生している状態なので、払出用モータ62を超低速で正転駆動し、モータ駆動処理(S73)を終了する。何らかの払出異常が発生した場合に、払出用モータ62の駆動速度を超低速にすることによって、払い出される賞球数または貸球数を通常状態より少なくすることができ、不当な球を大量に払い出すことを抑制できる。モータ低速フラグ33kがオフされていれば(S109:No)、通常状態なので、払出用モータ62を通常速度で正転駆動し、モータ駆動処理(S73)を終了する。
【0090】
モータ駆動処理(S73)の終了後は、図14に示す払出スイッチ読込処理(S74)を実行する。払出スイッチ読込処理(S74)では、まず、払出実行フラグ53hがオンされているか否かを確認する(S121)。払出実行フラグ53hがオフされていれば(S121:No)、賞球または貸球の払い出しは行われていないので、この払出スイッチ読込処理(S74)を終了する。一方、払出実行フラグ53hがオンされていれば(S121:Yes)、タイマカウンタ53iの値が「0」であるか否かを確認する(S122)。即ち、賞球または貸球が払い出されてから賞球カウントスイッチ66または貸球カウントスイッチ67で検出されずに所定時間(本実施では、2s)経過したことによって払出異常状態であるか否かを確認する。タイマカウンタ53iの値が「0」でなければ(S122:No)、賞球カウントスイッチ66が賞球を検出したか否かを確認する(S123)。
【0091】
賞球カウントスイッチ66が賞球を検出していれば(S123:Yes)、賞球払出カウンタ53eの値から「1」減算し(S124)、払出実行フラグ53hをオフする(S125)。その後、モータ低速フラグ53kをオフし(S126)、払出異常カウンタ53jの値を「0」クリアする(S127)。
【0092】
一方、S123の処理において、賞球カウントスイッチ66が賞球を検出していなければ(S123:No)、S124〜S127の処理をスキップして、S128の処理へ移行する。
【0093】
S128の処理では、貸球カウントスイッチ67が貸球を検出したか否かを確認する(S128)。貸球カウントスイッチ67が貸球を検出していれば(S128:Yes)、貸球払出カウンタ53fから「1」減算し(S129)、払出実行フラグ53hをオフする(S130)。その後、モータ低速フラグ53kをオフし(S131)、払出異常カウンタ53iの値を「0」クリアする(S132)。
【0094】
ここで、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67によって球Pが検出された場合には、正常な賞球又は貸球の払い出しが行われているので、モータ低速フラグ53kをオフすることによってモータ駆動速度を通常の速度に設定し、通常の払い出しを実行することができる。
【0095】
また、賞球カウントスイッチ66又は貸球カウントスイッチ67により球Pが検出され、正常な賞球又は貸球の払い出しが確認された場合には、払出異常カウンタ53jの値を「0」クリアする。正常な払い出し動作が行われた場合においても払出異常カウンタ53jの値をそのまま記憶しておくと、次回の払い出し動作の異常が発生した場合に、払出エラー処理を3回行う前に払出異常カウンタ53jの値が「3」が達してしまい、エラー処理がすぐに発生して遊技が停止してしまう。そこで、賞球又は貸球が正常に払い出された場合に払出異常カウンタ53jの値を「0」クリアすることで、次の払出異常が発生した場合でも適切な処置を施すことができる。
【0096】
一方、S128の処理において、貸球カウントスイッチ67が貸球を検出していなければ(S128:No)、S129〜S132の処理をスキップして,この払出スイッチ読込処理(S74)の処理を終了する。
【0097】
S122の処理において、タイマカウンタ53iの値が「0」である場合、即ち、賞球または貸球が払い出されてから賞球カウントスイッチ66または貸球カウントスイッチ67で検出されずに所定時間(本実施例では、2s)経過している場合には、何らかの払出異常が発生している状態なので、払出エラー処理(S133)を実行する。
【0098】
図15は、払出エラー処理(S133)のフローチャートである。払出エラー処理では、まず、払出異常カウンタ53jの値に「1」を加算し(S141)、払出異常カウンタ53jの値が「3」であるか否かを確認する(S142)。払出異常カウンタ53jの値が「3」でなければ(S142:No)、再度、払出用モータ62の駆動開始からの経過時間を計測するために、タイマカウンタ53iの値に「1000」をセットし(S143)、処理をS144に移行する。
【0099】
S144において、払出用モータ62を正逆転駆動させる正逆転回転駆動の処理を実行する(S144)。モータ正逆回転駆動を行うことにより、球払出装置60内に球Pが滞留していた場合にその滞留を解消することができる。その後、モータ低速フラグ53kをオンして(S145)、この払出エラー処理を終了する。
【0100】
一方、S142の処理において、払出異常カウンタ53jの値が「3」であれば(S142:Yes)、払い出し動作の異常が発生してから3回目の払出エラー処理であるので、エラー処理(S146)を実行し、払出用モータ62を停止する。その後、エラー解除ボタン44が押下されるまでエラー処理を繰り返し行って払出制御基板Hの払い出し動作を停止し(S147:No)、エラー解除ボタン44が押下された場合には(S147:Yes)、払出異常カウンタ53jの値を「0」クリアし、S144の処理に移行する。
【0101】
賞球カウントスイッチ66または貸球カウントスイッチ67が抜き取られることによって発生する払い出し動作の異常の場合において、球詰まりのみを解消してエラーを解除して通常の駆動速度で払出用モータ62を駆動可能にしてしまうと、再び不適切な大量の球Pが払い出されてしまう。そこで、エラーを解除した場合に、払出用モータ62の駆動速度を超低速に設定することで、払い出される球Pを極力少なくすることができ、不当な球Pが大量に払い出されることを抑制することができる。
【0102】
払出エラー処理(S133)の終了後は、処理を図14の払出スイッチ読込処理(S74)に戻して、この払出スイッチ読込処理(S74)の処理を終了する。
【0103】
払出スイッチ読込処理(S74)の終了後は、処理を図10のメイン処理に戻して、各処理を実行する(S75)。各処理の実行後は、前回のS71の処理の実行から所定時間(本実施例では、2ms)経過しているか否かを確認する(S76)。前回のS71の処理の実行から所定時間経過していれば(S76:Yes)、処理をS77に移行する。前回のS71の処理の実行から所定時間経過していなければ(S76:No)、所定時間経過するまで待機する。このため、S76の処理により、S71からS75までの処理が所定時間の間隔で実行される。
【0104】
S77の処理では、タイマカウンタ53iの値が「1」以上であるか否かを確認する。タイマカウンタ53iの値が「1」以上であれば(S77:Yes)、タイマカウンタ53iの値から「1」減算し(S78)、処理をS71へ移行し、次のメイン処理を開始する。タイマカウンタ53iの値が「1」以上でない、即ち、「0」であれば(S77:No)、処理をS71に移行し、次のメイン処理を開始する。この減算処理(S78)で、タイマカウンタ53iの値が「0」になることによって、払出用モータ62の駆動開始からの経過時間が計測されたことになる。
【0105】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0106】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0107】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0108】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0109】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記払出制御手段は、前記払出手段から前記有価物体を払い出してからの時間を計測する時間計測手段と、その時間計測手段によって計測された時間が所定時間経過しているか否かを判断する経過時間判断手段とを備え、前記駆動速度低下手段は、前記経過時間判断手段によって前記払出手段から前記有価物体を払い出してからその有価物体が前記検出手段で検出されずに所定時間が経過していると判断された場合に、前記払出手段の駆動速度を低下することを特徴とする遊技機1。払出手段から有価物体を払い出してからその有価物体が検出手段で検出されずに所定時間が経過した場合は、検出手段の抜き取り、又は、有価物体の滞留等の払出異常が発生している状態である。検出手段が抜き取られる払出異常が発生している状態において、払出手段の駆動速度を通常状態と同一で駆動してしまうと、不適切な大量の有価物体が払い出されてしまうといった問題点があった。そこで、払出異常が発生した場合に、払出手段の駆動速度を通常状態より低下させることによって、払い出される有価物体数を通常状態より少なくすることができるので、不当な遊技媒体が大量に払い出されてしまうことを抑制することができる。
【0110】
遊技機1において、前記払出手段によって払い出される前記有価物体を排出する排出経路を備え、前記払出手段は、前記有価物体を払い出す第1駆動形態と、前記有価物体の払い出しが前記排出経路内で滞留した場合にその滞留を解消し得る第2駆動形態とを有するものであり、前記払出制御手段は、前記駆動速度低下手段によって前記払出手段の駆動速度を低下させる場合に、前記払出手段を前記第2駆動形態で駆動することを特徴とする遊技機2。払出手段から有価物体を払い出してからその有価物体が検出手段で検出されずに所定時間が経過した場合は、検出手段の抜き取り、又は、有価物体の滞留等の払出異常が発生している状態である。そこで、払出手段から有価物体を払い出してからその有価物体が検出手段で検出されずに所定時間が経過した場合は、排出経路に有価物体が滞留している可能性があるので、払出手段を第2駆動形態で駆動する。よって、排出経路内で有価物体が滞留していればその滞留を解消することができ、適切な払出動作を実行することができ、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
【0111】
遊技機1又は2において、前記払出制御手段は、前記経過時間判断手段によって前記払出手段から前記有価物体を払い出してからその有価物体が前記検出手段で検出されずに所定時間が経過していると判断された回数を記憶する異常回数記憶手段を備えており、前記払出停止手段は、前記異常回数記憶手段が予め定められた所定値に達した場合に前記払出手段の駆動を停止することを特徴とする遊技機3。払出手段から有価物体を払い出してからその有価物体が検出手段で検出されずに所定時間が経過した場合は、検出手段の抜き取り、又は、有価物体の滞留等の払出異常が発生している状態である。ここで、有価物体の滞留は、頻繁に発生し得るものであり、1の払出異常が発生する毎に払出停止手段によって払出手段の駆動を停止させてしまうと、遊技が途切れ途切れとなって遊技状態が不安定になってしまう。そこで、異常回数記憶手段によって、払出異常が発生した回数を記憶しておき、異常回数記憶手段に記憶される値が所定値に達した場合に、払出停止手段によって払出手段の駆動を停止する。従って、遊技を頻繁に停止することなく、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
【0112】
遊技機3において、前記払出制御手段は、前記検出手段によって前記払出手段から払い出された前記有価物体が検出された場合に、前記異常回数記憶手段に記憶されている値を初期化するものであることを特徴とする遊技機4。異常回数記憶手段に記憶されている値を初期化せずに遊技を継続した場合、次の払出異常が発生したとき、異常回数記憶手段に記憶される値がすぐに所定値に達してしまい、払出異常が発生した場合における適切な処置をすることができないといった問題点があった。払出手段によって払い出された有価物体が検出手段によって検出された場合は、正常な有価物体の払出動作が行われているということである。そこで、検出手段によって有価物体が検出された場合に、異常回数記憶手段に記憶されている値を初期化することによって、次の払出異常が発生した場合でも適切な処置を施すことができるので、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
【0113】
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から4のいずれかにおいて、前記払出制御手段は、前記停止解除手段によって前記払出手段の駆動が再開されたか否かを判断する解除判断手段を備え、その解除判断手段によって前記払出手段の駆動が再開されたと判断された場合に、前記払出手段を前記第2駆動形態で駆動すると共に、前記駆動速度低下手段によって前記払出手段の駆動速度を低下することを特徴とする遊技機5。従来、検出手段が抜き取られる等の不正対策として、払出手段が有価物体を払い出してから所定時間内にその有価物体を検出しなければ、払出制御手段は、払出手段で払出異常が発生していると判断し、その判断が複数回(例えば、3回)行われた場合に払出手段の駆動を停止していた。停止された払出手段は、遊技場の従業員等のみが操作可能な位置に配設された停止解除手段を操作することで、駆動停止が解除されるように構成されている。しかしながら、検出手段が抜き取られることによって発生する払出異常の場合、停止解除手段の操作によって払出手段の駆動停止が解除してしまうと、払出手段は再び有価物体の払出動作を行って、不適切な有価物体が再び払い出されてしまっていた。そこで、払出制御手段は、解除判断手段によって停止解除手段により払出異常が解消されると判断された場合に、払出手段を第2駆動形態で駆動すると共に、駆動速度低下手段によって払出手段の駆動速度を低下させるように構成する。よって、払い出される有価物体数を通常状態より少なくすることができるので、不当な遊技媒体が大量に払い出されてしまうことを抑制することができる。
【0114】
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から5のいずれかにおいて、前記払出制御手段は、前記検出手段によって前記払出手段から払い出された前記有価物体が検出された場合に、前記駆動速度低下手段によって駆動速度が低下させられていた前記払出手段の駆動速度を通常状態に設定する速度低下解除手段を備えていることを特徴とする遊技機6。払出手段によって払い出された有価物体が検出手段によって検出された場合は、正常な有価物体の払出動作が行われているということである。そこで、検出手段によって有価物体が検出された場合に、速度低下解除手段によって払出手段の駆動速度を通常状態に設定することで、適切な払出動作を実行することができ、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
【0115】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機7。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0116】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機8。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0117】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機9。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機の正面図である。
【図2】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】球払出装置の断面図である。
【図4】主制御基板及び払出制御基板で実行されるNMI割込処理のフローチャートである。
【図5】主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図6】主制御基板及び払出制御基板で実行される初期化処理のフローチャートである。
【図7】主制御基板で実行される賞球数データ送信処理のフローチャートである。
【図8】主制御基板で実行される球払出停止コマンド処理のフローチャートである。
【図9】払出制御基板で実行されるデータ受信処理のフローチャートである。
【図10】払出制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図11】払出制御基板で実行される賞球動作処理のフローチャートである。
【図12】払出制御基板で実行される球貸し動作処理のフローチャートである。
【図13】払出制御基板で実行されるモータ駆動処理のフローチャートである。
【図14】払出制御基板で実行される払出スイッチ読込処理のフローチャートである。
【図15】払出制御基板で実行される払出エラー処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
33 主制御基板のRAM
44 エラー解除ボタン(停止解除手段)
53 払出制御基板のRAM
53h 払出実行フラグ
53i タイマカウンタ
53j 払出異常カウンタ(払出停止手段の一部)
53k モータ低速フラグ(駆動速度低下手段)
60 球払出装置
62 払出用モータ(払出手段)
66a 賞球検出部(検出手段の一部)
67a 貸球検出部(検出手段の一部)
C 主制御基板(主制御手段)
H 払出制御基板(払出制御手段)
Claims (1)
- 遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から出力される指示に基づいて所定の有価価値を有する有価物体の払出制御を行う払出制御手段とを備えた遊技機において、
前記払出制御手段により駆動されて前記有価物体を払い出す払出手段と、
その払出手段により払い出された前記有価物体を検出する検出手段とを備え、前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動後所定時間以上経過しても前記検出手段により前記有価物体が検出されない場合に、前記払出手段を停止させる払出停止手段と、
その払出停止手段によって停止された前記払出手段の駆動を再開させ得る停止解除手段と、
その停止解除手段によって前記払出手段の駆動が再開される場合に、その払出手段の駆動速度を通常状態より低下させる駆動速度低下手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
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A761 | Written withdrawal of application |
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