本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとを含む。前面扉1bの中央上部には、液晶表示器51が設けられている。液晶表示器51は、表示領域51aを有しており、透視窓3に対応する透過領域51bが透過可能である。これにより、表示領域51aで所定の演出を実行可能とするとともに、表示領域51aのうち透過領域51bが透過することで透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールとも称する)が視認可能となる。図2は、各リールの図柄配列を示す図である。リール2L〜2Rには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。なお、リールの個数は、3つに限らず、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、可変表示部は、物理的なリールにて構成されている例を示しているが、液晶表示器などの画像表示装置にて構成されているものであってもよい。
液晶表示器51の右下には、メダルを投入可能なメダル投入部4が設けられ、前面扉1bの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口9、スピーカ53、54が設けられている。また、前面扉1bには、ドアキーを挿入する鍵穴110が設けられている。ドアキーを挿入して時計回りに回転させると、前面扉1bが開放する。ドアキーを挿入して反時計回りに回転させると、エラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能する。
また、前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットおよび設定済の賭数を精算して返却させる際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L〜2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、スタートスイッチ7の操作後においてウエイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウエイト中LED19、リプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
図3は、スロットマシン1の内部構造を示す斜視図である。前面扉1bの内側には、所定のキー操作によりエラー状態及び打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、ボーナス(BB1またはBB2)終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、ボーナス終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25が設けられている。
筐体1a内部には、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33Rからなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6操作などにより規定数の賭数(例えば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、スタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、リール2L〜2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1〜LM4が設けられている。無効ラインLM1〜LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1〜LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(例えば、ベル−ベル−ベル)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L〜2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L〜8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
図4は、スロットマシン1の機能構成例を示す図である。図4の例では、遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000などが設けられている。
遊技制御基板40は、各種の操作手段や検出手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などのスイッチ類からの検出信号に基づいて遊技を進行させ、報知手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などの表示機器類を駆動制御する。また、遊技制御基板40は、リールセンサ33L〜33Rからの信号に基づき、リールモータ32L〜32Rを駆動制御する。
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(図4の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
演出制御基板90は、演出用スイッチ56が接続され、また液晶表示器51などの演出装置(図4の演出制御基板90の左側に例示)を駆動制御する。演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図4の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。サブ制御部91の回路構成には、たとえば、日および時刻のうちの少なくともいずれか一方を計時するための時計装置97(以下では、RTCともいう)を含む。サブ制御部91は、たとえば、RTC97により計時された日および時刻のうちの少なくともいずれか一方の値や、演出用スイッチ56からの検出信号などに応じて演出制御を実行可能である。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図4の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。
電源基板101には、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、鍵穴110にドアキーを挿入して操作を行うリセットスイッチが接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウエイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。遊技補助表示器12には、メダルの払出枚数やエラー時のエラーコード、リールの停止順を識別可能な情報などが表示される。
図5および図6は、入賞役の種類、入賞役の図柄組み合わせ、及び入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。名称欄には、入賞役の名称を示し、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せを示している。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄の組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止する図柄の組合せであって遊技者が認識しやすい図柄の組合せを示している。払出枚数欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与)を示している。たとえば、中段ベルが入賞すると8枚のメダルが払い出される。BB1、BB2は、ボーナスという有利な状態への移行を伴う入賞役である。BB1、BB2の払出枚数欄には、入賞により移行されるボーナスの終了条件が示されている。ボーナスは、各々、予め定められたメダル枚数以上払出されることにより終了する。たとえば、BB1に当選・入賞して制御されるボーナスについては、当該ボーナス中に払出されたメダル枚数が351枚以上となったゲームにおいて終了する。
また、図6の遊技状態欄には、入賞時に移行される遊技状態を示している。また、「/」は、「または」を示している。例えば、図6の転落リプレイについて、図柄の組合せは、「ベル‐リプレイ‐ベル」となり、入賞時にはRT1に制御され、付与される価値は再遊技付与である。また、転落リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「リプレイ/プラム‐リプレイ‐リプレイ/プラム」が停止する。また、特別リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」が停止する。「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」は、特別リプレイに当選しているときにのみ無効ライン上に停止可能であって、特別リプレイに当選していないときにはいずれのライン上にも停止されない図柄の組合せである。
また、再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなく可変表示部が変動表示可能となることであることをいう。本実施形態では、再遊技役が当選すると、導出操作手段の操作手順(操作順序、および操作タイミングのうちの少なくとも1つ)に関わらず、入賞する。なお変形例として、再遊技役は、当選したとしても、導出操作手段の操作手順によっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であるとしてもよい。
図7は、移行出目の図柄組合せ、及び移行出目に関連する技術事項について説明するための図である。移行出目は、図14に示す左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4が当選し、右下がりベルあるいは中段ベルの入賞条件となるリール以外を第1停止とし、かつ当選している上段ベルを取りこぼした場合に、入賞ラインLNに揃う出目である。RT0、2、3中において移行出目が入賞ラインLN上に停止すると、RT1へ移行される。
図8は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図であり、図9は、遊技状態の概要を示す図である。本実施形態におけるスロットマシン1は、リプレイが所定の当選確率(図9の上図の再遊技役欄の数値参照)で当選するRT0〜RT4と、小役の当選確率がRT0〜RT4中であるときよりも向上するボーナスとを含む複数種類の遊技状態のうち、開始条件が成立してから終了条件が成立するまで対応するいずれかの遊技状態に制御される(図8の矢印に沿って示した入賞役あるいは出目参照、図9の上図の開始条件・終了条件欄の参照)。
BB1、BB2のいずれかに当選したときには、RT4に制御される。BB1、BB2のいずれかが当選したときに設定される当選フラグは、当選しているBBの入賞が発生するまで持ち越される。また、RT4についても、BB当選からBB入賞発生まで継続して制御される。RT4中においては、RT0およびRT2中よりも低く、RT1およびRT3中と同じ確率(図9の上図の再遊技役欄の数値参照)でリプレイに当選する。なお、RT4におけるリプレイ確率は、当選した小役を取りこぼすことなく入賞させることができたとしても、払出率が1を超えない確率に設定されている。つまり、RT4におけるリプレイ確率は、RT4中に当選した小役を取りこぼすことなく入賞させた場合に払出されるメダルの合計枚数が、RT4中においてメダルあるいはクレジットを賭数の設定に用いたメダルの合計枚数を超えず、メダルが増加しない確率に設定されている。RT4中においてBB入賞が発生すると、ボーナスに制御されて、図5で説明したメダル枚数以上払出されることによりボーナス終了となり、RT3へ制御される。内部抽選されるリプレイの種類は、RTの種類毎に定められている(図9の下図の丸印が抽選されるリプレイを示す)。
図10および図11は、遊技状態毎に抽選対象役(以下、当選役ともいう)として読み出される抽選対象役の組合せを示す図である。抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類毎に、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。例えば、ベルは、RT0〜RT3いずれかの状態において、360/65536で当選する抽選対象役である。RT4中は、ボーナス抽選されないが、ボーナスと同時当選し得る入賞役(以下では、同時当選役ともいう)の当選確率が他のRT中と同確率となるように、同時当選役であるベルや弱スイカについては括弧内に示す判定値数で内部抽選が行われる。
図11に示すように、特別リプレイは、RT2に制御されているときにのみ抽選対象役となるように定められている。また、ボーナス中においては、たとえば、中段ベルが抽選対象役に設定されており、極めて高い確率(64000/65536)で当選するように定められている。また、中段ベルは、操作タイミングにかかわらず入賞を発生し得る役である。このため、ボーナス中においては、操作タイミングおよび操作手順にかかわらず、極めて高い確率で中段ベル入賞を発生させることができ、メダル枚数を効率的に増加させることができる。このため、ボーナスは、遊技者にとって有利な状態である。
図12は、抽選対象役により入賞が許容される役の組み合わせについて説明するための図である。例えば、弱チェリーは、下段チェリーである。弱スイカは、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとを含む。よって、内部抽選で弱スイカに当選したときには、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとに当選したことになる。
抽選対象役のうちボーナス1〜ボーナス12は、BB1またはBB2と弱チェリーやベルなどの所定の入賞役が同時に読み出されて当選し得る役である。また、図10で示したように、ボーナス1〜ボーナス12は、異なる判定値数が定められている。このため、遊技者にとっての有利度であって、同時当選役に当選したときにBB1またはBB2が実際に同時当選している割合(以下、信頼度ともいう)が、ボーナス6や12などに含まれる中段チェリーが最も高く、続いて、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカの順となり、ベル(以下、中段ベルともいう)が最も低くなるように、判定値数が定められている。
図13および図14は、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明するための図である。当選した抽選対象役毎に、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに、その右の停止する図柄組合せに示す入賞役の図柄組合せを入賞ラインLNに停止させるリール制御が行なわれる。例えば、リプレイGR1が当選したときにおいて、押し順が左中右であるときは、昇格リプレイ1が導出されて、押し順が左中右以外であるときは通常リプレイが導出される。また、例えば、左ベルが当選したときにおいて、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが導出されて、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルまたは移行出目が導出される。
また、同時当選役に当選しているときには、当該同時当選役に当選していないときと異なるリール制御が行われ得る。たとえば、弱スイカに当選しているときには、中段スイカよりも右下がりスイカあるいは上段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われるのに対し、強スイカに当選しているときには、右下がりスイカおよび上段スイカのいずれよりも中段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。また、弱チェリーあるいは強チェリーが当選しているときには、下段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われ、中段チェリーが当選しているときには、中段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。これにより、リール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せから、チェリーかスイカか、弱か強か、あるいは、中段チェリーか否かなどを推定可能となり、ボーナス当選あるいはAT当選に対する期待感を異ならせることができる。
スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L〜2Rが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、リール2L〜2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
また、本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、設定値に応じて、後述する内部抽選で用いる当選確率を決定することにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値に応じて当選確率が変化することを設定差あり、設定値に応じて当選確率が変化しないことを設定差なしとも言う。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。ただし、複数種類の抽選対象役のうち、遊技者にとっての有利度合いが高い状態(CZと呼ばれるAT抽選の高確率状態、および後述するATのような純増枚数が多くなる状態など)にある区間へ移行するか否かを決定する有利区間移行抽選の対象となる抽選対象役は、設定差がない。一方、複数種類の抽選対象役のうち、有利区間移行抽選の対象にならない抽選対象役は、設定差があってもよい。なお、設定値を変更するためには、スロットマシン1の内部に設けられた操作部(図示せず)を管理者が操作し、設定値を変更可能な設定変更状態に移行させればよい。また、設定値を確認するためには、管理者が所定の操作をして、設定値を確認可能な設定確認状態に移行させればよい。
なお、設定値の設定に応じて内部抽選の当選確率を変化させること、設定値の設定に応じて有利区間移行抽選の当選確率を変化させること、および設定値の設定に応じて内部抽選の当選確率を変化させるとともに有利区間移行抽選の当選確率を変化させることのいずれが行われるものであってもよい。
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム制御処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム制御処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、所定の乱数回路から乱数値を抽出し、当該抽出した乱数値に基づいて入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理(図10〜図12など参照)が行われる。乱数回路は、所定の数値範囲(0〜65535)内の数値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している数値を乱数値として抽出する。内部抽選において抽選対象役に当選したときには、当該抽選対象役に含まれる入賞役の当選フラグがRAMの所定領域に設定される。たとえば、BB1に当選したときには、BB1当選フラグが設定され、強チェリーに当選したときには、下段チェリーの当選フラグと、1枚役の当選フラグとが設定される。BB1、BB2の当選フラグについては、当選したBBに入賞するまで持ち越される一方、BB1、BB2以外の入賞役に対応する当選フラグは、入賞の発生の有無にかかわらず、当選したゲームが終了したときに消去される。
内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(例えば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L〜2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる(図13、図14など参照)。リール回転処理では、所定のフリーズ条件が成立しているときに、ゲームの進行を所定期間に亘って遅延(ストップスイッチ8L〜8R各々の停止操作の有効化を遅延)させるフリーズ演出を実行するためのフリーズ演出処理を実行した後に、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化して通常ゲームに移行させる。
リール2L〜2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理(図5〜図7など参照)が行われる。また、入賞ライン上の図柄組合せに応じて、図8で示した状態に制御する。
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払出しまたはクレジット加算や、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ボーナス中のメダル払出枚数を計数してボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグ(小役・再遊技役等の当選フラグ)の消去など)が行われる。また、BB1、BB2のいずれかに入賞したと判定されたときには、入賞したBBの当選フラグを消去する。ゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理(図8、図9など参照)を実行する。これにより、1ゲーム分のゲーム制御処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム制御処理が開始する。
[ATに関する処理について]
メイン制御部41は、ボーナスやRT2などの有利な状態に加えて、AT(アシストタイム)に制御可能である。メイン制御部41は、ATに制御するか否かのAT抽選を実行する。また、メイン制御部41は、AT抽選でATに制御すると決定した場合にATに制御し、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行するための処理を実行する。
メイン制御部41は、非AT中においては、特定の抽選対象役(本実施形態では、図12に示すベル、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリー、BB1、BB2)が当選した場合に、ATに制御するか否かを決定するAT抽選処理を行う。AT抽選処理は、たとえば内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよく、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよい。なお、特定の抽選対象役は、内部抽選においてBB1、BB2、同時当選役である例について説明するが、これに限らず、同時当選役の一部を含むものであってもよく、またBB1またはBB2と同時当選し得ない入賞役を含むものであってもよい。
AT抽選処理では、ATに制御するか否かを決定するとともに、ATに制御すると決定したときには、複数種類のゲーム数(50、100、150、200、250、300)からATゲーム数を決定する。ATゲーム数は、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶する。また、メイン制御部41は、ATを開始するタイミングを抽選する。メイン制御部41は、たとえば、AT当選ゲームから0〜32ゲーム経過でATを開始すること(ATを開始するタイミング)を乱数値の抽選により決定する。
遊技者にとっての有利度である、AT抽選においてATに制御すると決定される信頼度やATに制御するときに決定されるATゲーム数の期待値(獲得する平均ゲーム数)は、特定の抽選対象役の種類に応じて異なるように定められており、たとえば、中段チェリーが最も高く、続いて、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカの順となり、ベルが最も低くなるようにAT抽選が行われる。また、AT抽選においてATに制御すると決定される信頼度、および、ATに制御するときに決定されるATゲーム数の期待値は、同じ特定の抽選対象役に当選しているときであっても、当該特定の抽選対象役がBB1またはBB2と同時当選していないとき(たとえば、強チェリー当選時)よりも、BB1またはBB2と同時当選しているとき(たとえば、BB1+強チェリー当選時)の方が高くなるようにAT抽選が行われる。
サブ制御部91は、内部抽選において同時当選役に当選してAT抽選が行われたときには、BB当選およびAT当選したか否かを示唆する当選示唆演出を所定タイミングで実行するための処理を行う。当選示唆演出としては、たとえば、所定画像を液晶表示器51に表示させる演出が設けられている。所定画像を表示させる演出には、たとえば、キャラクタA演出、キャラクタB演出、ボタン演出、連打演出、などが含まれる。このような所定画像を表示させる演出は、スピーカ53、54から所定の効果音を出力する制御や、演出効果LED52やリールLED55などを点灯させる制御とともに行われる。なお、いずれかの制御が単独で行われてもよいし、2つ以上の組合せ(たとえば、所定画像と音とが実行され、LEDの点灯が実行されない等)で実行されるようにしてもよい。
キャラクタA演出とは、キャラクタAを表示させる演出である。キャラクタB演出とは、キャラクタBを表示させる演出である。ボタン演出とは、ボタン画像を表示させて演出用スイッチ56への操作を促し、演出用スイッチ56への操作に応じてBB当選あるいはAT当選の信頼度を示唆する所定画像を表示させる演出である。連打演出とは、演出用スイッチ56への連打操作を促し、所定操作期間内における演出用スイッチ56への連打操作に応じて所定のメータ画像を増加させて、MAXに到達することなどによりBB当選あるいはAT当選している旨を示唆する演出である。
サブ制御部91は、BB当選およびAT当選しているか、BB当選あるいはAT当選のいずれか一方だけ当選しているか、あるいは、BB当選もAT当選もしていないかに応じて異なる割合で、当選示唆演出を実行するか否か、および、実行する当選示唆演出の種別をいずれにするかを決定するための当選示唆演出抽選処理を実行する。
当選示唆演出抽選処理では、少なくともBB当選あるいはAT当選しているときには必ず当選示唆演出を実行する旨を決定し、BB当選もAT当選もしていないときでも所定割合で当選示唆演出を実行する旨を決定する。所定割合は、たとえばBB当選の信頼度が高い小役当選であるとき程、高い割合に設定されている。これにより、当選示唆演出は、BB当選あるいはAT当選している場合だけでなく、BB当選もAT当選もしていないときでも実行される。
また、当選示唆演出抽選処理では、当選示唆演出を実行すると決定したときには、少なくともBB当選あるいはAT当選しているかいずれにも当選していないかに応じて異なる割合で当選示唆演出の種別を決定する。具体的に、遊技者にとっての有利度であって、実行されたときにBB当選あるいはAT当選している信頼度が、連打演出、ボタン演出、キャラクタB演出の順となり、キャラクタA演出が最も低くなるように、当選示唆演出の種別が決定されるように割合が定められている。なお、実行する演出としては、一の当選示唆演出が決定されるものに限らず、複数の当選示唆演出が決定され得るようにしてもよい。
サブ制御部91は、後述する内部当選コマンドおよびAT抽選時コマンドにより、特定の抽選対象役に当選したこと、AT当選したこと、ATの当選または非当選、ATゲーム数、AT開始タイミングを特定する。当選示唆演出を実行する所定タイミングは、ATを開始するタイミングの抽選(AT当選ゲームから0〜32ゲーム経過でATを開始することの抽選)で決定されたAT開始タイミングの前ゲームである。たとえば、AT開始タイミングが0ゲーム後と決定されたなら当該ゲーム(AT当選ゲームにてAT当選が報知される)に当選示唆演出が実行される。また、AT開始タイミングが32ゲーム経過後と決定されたなら31ゲーム間は、前兆演出(AT当選を煽る演出)を実行し、32ゲーム目に当選示唆演出を実行し、AT当選を報知する。
ここで、サブ制御部91は、ATに非当選したことをAT抽選時コマンドにより特定した場合にもガセの演出として当選示唆演出(ATが非当選であることを報知する演出)を実行する。たとえば、サブ制御部91は、内部当選コマンドにより特定の抽選対象役に当選し、AT抽選時コマンドによりATに非当選であることを特定することができるが、ATを開始するタイミングは、メイン制御部41では決定されていない。このような場合には、サブ制御部91が0〜32ゲームからガセの当選示唆演出を実行するゲーム数の抽選を行い、ガセの当選示唆演出のゲーム数を決定する。
メイン制御部41は、BB当選せずにAT当選しているときにはAT開始タイミングとなったときに、ATフラグを設定してATに制御する。一方、メイン制御部41は、BB当選とともにAT当選しているときには、BB入賞してボーナスが終了したときにATフラグを設定し、ボーナス終了後の次のゲームからATに制御する。ここで、ATへの制御は、たとえばAT開始タイミングが10ゲームと決定されている場合には、10ゲームが0ゲームとなったタイミングで制御されるようにしてもよいし、0ゲームとなった次のゲームのタイミングで制御されるようにしてもよい。
ATフラグは、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶し、ATゲーム数が0に到達したときにクリアされる。メイン制御部41は、ATフラグに基づいてAT中であるか否かを特定する。AT中においては、後述するようにナビ演出が実行される結果、RT2に制御可能となる。AT開始後におけるATゲーム数の減算は、たとえば、RT0において特殊リプレイに当選(減算開始契機が成立)した次のゲームから開始する。BB終了後に開始されるATについても同様である。これにより、メイン制御部41は、決定したATゲーム数にわたりAT+RT2に制御可能となる。
メイン制御部41は、AT中においては、特別の抽選対象役(本実施形態では、特別リプレイ、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカ、ベル)が当選した場合に、ATゲーム数を上乗せするか否かを決定する上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選は、たとえば内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよく、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよい。
上乗せ抽選では、ATゲーム数を上乗せするか否かを決定するとともに、上乗せすると決定したときには、複数種類のゲーム数(50、100、150、200、250、300)からATゲーム数に上乗せする上乗せゲーム数を決定する。決定された上乗せゲーム数は、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶されているATゲーム数に加算される。これにより、メイン制御部41は、ATに制御するゲーム数を上乗せする。
サブ制御部91は、上乗せ抽選が行われたときには、上乗せ当選したか否かを示唆する上乗せ示唆演出を所定タイミングで実行するための処理を行う。上乗せ示唆演出としては、所定画像を液晶表示器51に表示させる演出など、どのようなものであってもよい。
[各種コマンドについて]
メイン制御部41は、上記に例示した処理の実行に応じた遊技の進行状況および処理結果を特定可能なコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、各種処理を行う。
本実施形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、払出コマンド、払出完了コマンド、エラー開始コマンド、エラー解除コマンド、内部当選コマンド、押し順コマンド、ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンド、遊技状態コマンド、AT抽選時コマンド、AT中コマンド、ATゲーム数コマンドなどを含む複数種類のコマンドを送信する。
払出コマンドは、メダルの払出開始を通知するとともにメダルの払出枚数を特定可能なコマンドである。払出コマンドは、入賞によるメダルの払出が開始されたときに送信される。
払出完了コマンドは、メダルの払出完了を通知するコマンドである。払出完了コマンドは、入賞によるメダルの払出が完了したときに送信される。
エラー開始コマンドは、エラー処理の開始およびエラーの種類を示すコマンドである。エラー開始コマンドは、エラー処理を開始する際に送信される。
エラー解除コマンドは、エラー処理の終了を示すコマンドである。エラー解除コマンドは、リセット操作がなされてエラー状態が解除されたときに送信される。
内部当選コマンドは、内部抽選の結果に応じて当選した抽選対象役が属するグループを特定可能なコマンドである。内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始されたときに送信される。サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信することにより、スタートスイッチ7の操作、および当選した抽選対象役が属するグループを特定可能である。
押し順コマンドは、内部抽選において当選した抽選対象役に応じて、遊技者にとって有利となる図柄組合せを停止させるための操作手順(正解手順ともいう)を特定可能なコマンドである。押し順コマンドは、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始されたときに送信される。AT中においては、押し順コマンドが送信されるのに対して、非AT中においては、押し順コマンドは送信されない。このため、サブ制御部91は、AT中においては押し順コマンドを受信することにより、正解手順を特定可能となる一方で、非AT中においては正解手順を特定できないようになっている。
ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンドはストップスイッチやスタートスイッチが操作されたことを示すコマンドであり、各操作時に送信される。遊技状態コマンドは遊技状態が移行したときに送信される。具体的にはRTが移行したときやボーナスに制御されたときに送信される。
AT抽選時コマンドは、AT抽選が行われたときに送信され、AT抽選に当選したか否か、当選したATゲーム数が何ゲームであるか、および、AT開始タイミングが何ゲーム目(AT当選から何ゲーム目)であるかなどを特定可能なコマンドである。
AT中コマンドは、ゲームが開始したときに送信され、当該ゲームがAT中におけるゲームであるか否かを特定可能なコマンドである。たとえば、ATゲーム数が付与されていてもATフラグがセットされておらずATが開始されていなければ、非ATを特定可能なコマンドが送信され、ATゲーム数が付与されておりかつATフラグがセットされておりATが開始されているときには、ATを特定可能なコマンドが送信される。
ATゲーム数コマンドは、メイン制御部41が管理するATゲーム数を特定可能なコマンドであって、ゲームが開始したときに送信される。たとえば、ATゲーム数が0であるときには、0を特定可能なコマンドが送信され、ATゲーム数が100であるときには、100を特定可能なコマンドが送信される。
サブ制御部91は、当選示唆演出抽選によって、当選示唆演出を実行する旨およびその種別を決定したときには、BB抽選・AT抽選の結果などに応じた当選示唆演出を次ゲーム開始時に実行した後に、BB抽選およびAT抽選の結果を報知する。
BB抽選およびAT抽選の結果としては、いずれも非当選であったときには「残念!」といったメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、BB当選であったときには「BB確定!」といったメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、AT当選であったときには「AT確定!」といったメッセージとともに「100ゲーム獲得!」といったように獲得したATゲーム数を特定可能なメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、BB当選かつAT当選であったときには「BB・AT確定!」といったメッセージとともに「BB終了後100ゲームに亘りAT!」といったように獲得したATゲーム数を特定可能なメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行される。なお、BB当選したゲームにおいてBB入賞した場合には、サブ制御部91は、BB当選を報知するための当選示唆演出を実行しない。
また、サブ制御部91は、ATゲーム数コマンドに基づき、ATゲーム数のみならず、前回受信時のATゲーム数との差数を算出することでAT当選あるいは上乗せ当選により獲得したATゲーム数を特定し、上乗せ示唆演出を実行する。
本実施の形態では、状態に応じた背景画像による演出、ナビ演出、当選示唆演出、および、上乗せ示唆演出などをサブ制御部91が所定の報知手段を制御することにより実行する例について説明した。しかし、これらサブ制御部91の制御に替えてあるいは加えて、状態に応じた背景画像による演出、ナビ演出、当選示唆演出、および、上乗せ示唆演出などについては、メイン制御部41に接続された報知手段を当該メイン制御部41が制御することにより実行するようにしてもよい。たとえば、状態に応じた背景画像による演出については、図4に示す遊技補助表示器12を用いて、状態に対応する情報を表示することにより実行するようにしてもよい。また、ナビ演出については、図4に示す左・中・右停止有効LED22L〜22Rを用いて、停止すべきストップスイッチに対応するLEDのみを点灯させることにより実行するようにしてもよい。なお、左・中・右停止有効LED22L〜22Rとは、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部に設けられ、通常時においては対応するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知するLEDである。また、当選示唆演出、および、上乗せ示唆演出については、図4に示す遊技補助表示器12を用いて、抽選結果に応じた情報を表示し、AT当選あるいは上乗せ当選しているときには獲得したATゲーム数を表示するようにしてもよい。
[ゲームの流れ]
ここで、図8および図9を再び参照して、ゲームの流れをまとめて説明する。まず、RT4およびボーナス以外のRT0〜RT3におけるゲームの流れを説明する。RT0〜3においては、AT中であるか否かによって、それぞれ、以下に説明するようなゲームの流れとなる。まず、非AT中のゲームの流れについて説明する。
設定変更状態が終了した後において、RT3に制御される。設定変更状態に制御されることにより非ATとなるため、RT3ではATに制御されず、ナビ演出が実行されない。このように、RT3においてナビ演出が実行されることがないため、RT3において左ベル1〜4などのベルのうちの何れかに当選すると、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出される(図14参照)。よって、いつまでも移行出目が導出されずにRT1に移行されないといった不都合の発生を防止することができる。
RT1では、昇格リプレイに入賞することにより、RT0に移行する。昇格リプレイに入賞するためには、図13で示したように、リプレイGR1〜6の何れかに当選しかつ昇格リプ入賞させるための操作手順で停止操作する必要がある。
また、RT0に制御された場合でも、当該RT0への制御を維持することが困難となるように設定されている。すなわち、図11および図13で示したように、RT0では、リプレイGR11〜13に当選する可能性があり、このときには2/3の確率で転落リプレイが入賞してRT1に転落してしまう。
さらに、RT0で左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選した場合において、所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出されてRT1に転落してしまう。また、図11および図13で示したように、RT0では、リプレイGR21〜23に当選する可能性があり、このときに、所定のリール(図13に示す特殊リプレイを入賞させるためのリール)を第1停止すると特殊リプレイが入賞してRT2に制御される可能性がある。しかし、RT2に制御された場合でも、左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選したときには、所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出されてRT1に転落してしまう。その結果、非AT中のときの遊技の大部分は、RT1において消化されることとなる。
次に、AT中であるときのゲームの流れについて説明する。RT1では、リプレイGR1〜6の何れかに当選したときに、昇格リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、昇格リプレイの入賞によりRT0に移行させることができる。RT0では、リプレイGR11〜13の何れかに当選したときに、通常リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、通常リプレイ入賞によりRT0を維持することができる。また、RT0では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT0を維持させることができる。さらに、RT0では、リプレイGR21〜23の何れかに当選したときに、特殊リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、特殊リプレイ入賞によりRT2に移行させることができる。
RT2では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT2を維持させることができる。
このように、本実施の形態のスロットマシン1において、AT中であるときには、RT2に制御されるように、かつRT2が維持されるように、ナビ演出が実行されるため、AT中であるときの遊技の大部分は、RT2において消化されることとなる。なお、ATはATゲーム数が0になると終了する。ATのゲーム数は、RT2+AT(本実施の形態では、遊技者にとって有利なRT2においてATに制御されている状態を、特に、アシストリプレイタイム(以下、ARTという)と呼ぶ。)に制御することが可能になったゲームの次ゲーム、すなわちRT0でリプレイGR21〜23のいずれかに当選し、特殊リプレイが入賞可能となったゲームの次ゲームからカウント開始される。これにより、実質的にはARTでATゲーム数分のゲームを消化するとATが終了する。そして、ATの終了によりARTが終了することとなる。
ARTが終了した後においてはナビ演出が実行されなくなるが、移行出目が導出するまでRT2への制御が維持される。しかし、ARTが終了した後のRT2中は、非AT中であるため、前述したように所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止される。その結果、ARTが終了した後のRT2中においては、ARTが終了してから極めて早い段階で移行出目が停止することによりRT1に移行される。
次に、BB1あるいはBB2に当選した後のゲームの流れについて説明する。いずれのRTに制御されているかにかかわらず、BB1あるいはBB2に当選したときには、図8で示したとおり、RT4へ制御される。また、BB当選ゲーム終了後の次ゲームにおいて当選示唆演出が実行されてBB当選している旨が報知されて、遊技者はBB1あるいはBB2に当選したことを把握することができる。BB入賞が発生すると、対応するボーナスに移行されて、所定の終了枚数払出されたときに終了して、RT3へ移行される。ここで、BBが他の抽選対象役と同時当選している場合は、BB以外の抽選対象役が優先的に入賞するようにリール制御される。そのため、RT4において小役または再遊技役に当選する確率が高い場合は、BB入賞が発生しにくく、ボーナスに移行しにくくなる。そこで、RT4においては、再遊技役に当選する確率がRT0またはRT2に比べて低くなるように設定されている(図9参照)。さらに、RT0〜RT4においては、再遊技役以外の抽選対象役である小役に当選する確率は変わらないように設定されている。そのため、RT4においては、BBに単独で当選しやすく、いつまでもボーナスに移行できないということが起こりにくくなるように設定されている。
[払出を中断させるエラーについて]
ここで、再び、図3を参照して、メダルの払出を中断させるエラーについて説明する。このようなエラーとしては、以下に説明する「ホッパーエンプティエラー」や「メダルセレクタエラー」が挙げられる。
メダルの払出を中断させるエラーとして、ホッパーエンプティエラーがある。具体的には、ホッパータンク34aに貯留されていたメダルが空になったときにエラーが発生する。ホッパータンク34aのメダルが空になっていることを判断する方法としては、以下の2つの方法がある。1つの方法は、メダルの払い出しを検出するセンサが所定時間払い出しを検出しないことにより、メダルが空になっていることを判断する方法である。ホッパーモータ34bが駆動しているにも関わらず所定時間の払い出しを検出しない場合、ホッパータンク34aのメダルが空になっているか、ホッパータンク34a内においてメダル詰まりなどが発生していると判断できるからである。もう1つの方法は、ホッパータンク34aのメダルの貯留状況を画像認識により監視すること、あるいはホッパータンク34aのメダルの貯留状況を重量検出にて監視することにより、メダルが空になっていることを判断する方法(ホッパータンク34a内のメダルの貯留状況を直接的に監視する方法)である。
ホッパーエンプティエラーが発生し得る状況としては、次のようなものがある。たとえば、ARTに制御された場合、メダルの投入よりもメダルの払出の方が多くなる。このような場合、ホッパータンク34aに貯留されるメダルが空になり、ホッパーエンプティエラーが発生し得る。また、ARTでなくとも、ホッパータンク34a内のメダルを不正行為者が不正に取り出すという不正行為により空になった場合もホッパーエンプティエラーは発生する。
メダルの払出を中断させるエラーとして、メダルセレクタエラーがある。具体的には、メダルセレクタ29内でメダルが詰まる等、メダルセレクタ29内でメダルが滞留状態であることが検出された場合にエラーが発生する。たとえば、不正行為者が、スロットマシン1内に異物を投入するという不正行為をして異物がメダルセレクタ29内で詰まると、メダルセレクタエラーが発生する。
なお、上記とは異なり、メダルの払出を中断させないエラーとしては、たとえば、サブ制御部91が受信したコマンドにおいてコマンド異常が検出されたときに発生するエラーが挙げられる。また、演出に用いられる可動体としてのシャッターなどの役物の不良動作により発生するエラーが挙げられる。このようなメイン制御部41による処理に直接的に影響を与えないエラーが発生したとしても、現在払出中のメダルの払出が一時的に停止することはない。
[エラー処理]
スロットマシン1では、上述の払出を中断させるエラー(「ホッパーエンプティエラー」や「メダルセレクタエラー」など)が発生すると、メイン制御部41は、タイマ割込処理によって当該エラーの発生を検知する。メイン制御部41は、エラーを検知すると、遊技の進行を不能化するエラー処理を実行する。具体的に、メイン制御部41は、エラー処理において、遊技補助表示器12にエラーコードを表示する。さらに、メイン制御部41は、エラー処理において、サブ制御部91に対してエラー開始コマンドを送信する。サブ制御部91は、エラー開始コマンドを受信すると、液晶表示器51の画面上にエラーが発生した旨の画像を表示するとともに、スピーカ53,54からエラー音を出力する。このとき、スピーカ53,54から払出音が出力中である場合は、払出音を停止してからエラー音を出力する。このように、エラー処理が実行されると、遊技補助表示器12にエラーコードが表示されるため、払出枚数やナビ報知によるリールの停止順を識別可能な情報等が表示されず、遊技の進行が不能となる。また、エラー処理が実行されると、液晶表示器51の画面上にエラーが発生した旨の画像が表示されるとともに、スピーカ53,54からエラー報知音が出力されるため、遊技に関する演出等が表示されず、遊技の進行が不能となる。なお、遊技の進行が不能となるのは、ホッパーエンプティエラーのようにメダルの払出時に発生するエラーや、メダルセレクタエラーのようにメダル投入時に発生数するエラーや、RAM41cのデータが正常でない場合のRAM異常などのエラーが発生した場合が挙げられる。
図3を再び参照して、エラー状態を解除するためのリセット操作は、前面扉1bの内側に設けられているリセットスイッチ23の操作、電源ボックス100の前面に設けられているリセット/設定スイッチ38の操作、および前面扉1bに設けられている鍵穴110にドアキーを挿入して反時計回りに回転させる操作のいずれかの操作により可能となる。リセットスイッチ23またはリセット/設定スイッチ38によるリセット操作は前面扉1bを開放しなければ操作できないが、ドアキーによるリセット操作は前面扉1bを開放することなく操作することができる。
メイン制御部41は、リセット操作を受け付けると、遊技補助表示器12のエラーコードの表示をクリアする。また、メイン制御部41は、エラー処理を終了する旨を示すエラー解除コマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、エラー解除コマンドを受信すると、液晶表示器51のエラー画像の表示をクリアする。エラー音は、エラー解除コマンドを受信した後の所定期間経過後に、スピーカ53,54からの出力を停止する。また、エラーが解除されると、メイン制御部41は、スタートスイッチ7やストップスイッチの操作に基づく処理を実行する。このように、エラーが解除されると、遊技の進行が可能になる。
[払出枚数の表示等について]
メダルの払出枚数は、遊技補助表示器12および液晶表示器51により表示される。
たとえば、中段ベルが入賞すると、8枚のメダルが払い出される。入賞によりホッパーモータ34bが駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される。メダル払出口9よりメダルが払い出されるたびに、遊技補助表示器12には現在払い出されているメダル枚数が表示される。払出が開始していない状態では、遊技補助表示器12に「00」と表示され、現在の払出枚数が「0枚」であることが示される。1枚払い出された状態では、遊技補助表示器12には「01」が表示され、現在の払出枚数が「1枚」であることが示される。同様に、全てのメダル(8枚)が払い出された状態では、遊技補助表示器12には「08」が表示され、現在の払出枚数が「8枚」であることが示される。仮に、払出しの途中で払出エラーが発生し、メダルの払出が途中で停止したときには、遊技補助表示器12も実際に払出済みのメダル枚数を表示した段階で払出枚数の更新が止まる。
メダルの払出が開始すると、メイン制御部は、メダルの払出枚数(8枚)を特定可能な払出コマンドを送信する。サブ制御部91は、受信した払出コマンドに基づいて液晶表示器51の払出枚数の表示を更新する。たとえば、現在の払出枚数が8枚であれば、「8枚」が液晶表示器51の画面の右下に表示される。さらに、ATに制御されている場合は、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数(以下、「総払出枚数」とも称する)が更新される。たとえば、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数が500枚である場合、「TOTAL500」が液晶表示器51の画面の左上に表示される。さらに、サブ制御部91は、受信した払出コマンドに基づいてスピーカ53、54から払出音を出力させる。
サブ制御部91は、払出枚数が8枚であることを示す払出コマンドを受信すると、途中で発生した払出エラーの影響によりメダルが払い出されない事態が発生したか否かにかかわらず、指示された払出枚数(=8枚)に達するまで液晶表示器51の「払出枚数」および「総払出枚数」の表示を1枚ずつ更新する。すなわち、「払出枚数」は、払出コマンドの受信により「0枚」から「1枚」に更新され、以降、「2枚」、「3枚」、「4枚」、「5枚」、「6枚」、「7枚」、「8枚」と更新される。一方、「総払出枚数」は、たとえば、払出コマンド受信前の枚数が「495枚」であれば、払出コマンドの受信により「495枚」から「496枚」に更新され、以降、「497枚」、「498枚」、「499枚」、「500枚」、「501枚」、「502枚」、「503枚」と更新される。このように、液晶表示器51では、実際のメダルの払出とは関係なく表示が更新される。
メダルの払出が完了(8枚の払出が完了)すると、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知する払出完了コマンドを送信する。払出エラーが発生することなくサブ制御部91により払出完了コマンドが受信されると、払出音の出力が停止する。
[エラーが発生しなかった場合の払出音等]
図15は、メダルの払出中にエラーが発生しなかった場合の払出音等を説明するタイミングチャートである。横軸は時刻tを示し、上から「ホッパー作動」、「コマンド」、「エラー」、「エラー音」、「払出音」、および「特定演出」が、onまたはoffのいずれであるかを示している。また、「遊技用補助表示器12(メイン側表示)」、および「液晶表示器51(サブ側表示)」の表示状態を示している。
以下、図15のタイミングチャートに基づいて説明する。本実施の形態では、RT2の遊技状態に制御されているとともに、ATに制御されている状態(ART)を想定している。RT2では、RT0やRT1よりもリプレイ当選確率が高くなるため、8枚役であるベル入賞等により徐々にメダルを増やしていくことができる。遊技者がメダルを増やしていく場合、メダル投入部4へメダルを投入する枚数よりもメダル払出口9からメダルが払い出される枚数の方が多くなるため、ホッパータンク34a内のメダルが徐々に少なくなる。そして、ホッパータンク34a内のメダルが空になったとき、ホッパーエンプティエラーが発生する。以下、図15においては、メダルの払出中にホッパーエンプティエラーが発生しないケースについて説明する。メダルの払出中にホッパーエンプティエラーが発生するケースについては、図16に基づいて説明する。
図15のタイミングチャートにおいて、時刻t1以前はメダルの払出が発生していない状態である。また、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数(総払出枚数)は、「495枚」であるとする。遊技用補助表示器12には、現在の払出枚数が「0枚」であることを示す「00」が表示されている。液晶表示器51には、現在の払出枚数が「0枚」であることを示す「0枚」が画面の右下に表示されるとともに、総払出枚数が「495枚」であることを示す「TOTAL495」が画面の左上に表示されている。なお、液晶表示器51の表示は図15(A)に示すとおりであるが、タイムチャート上では図15(B)のように簡略化して表示する。
時刻t1において、中段ベルに入賞したとする。中段ベルの入賞によりメダルが8枚払い出される。このとき、ホッパーモータ34bを駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される(「ホッパー作動」状態は、off状態からon状態になる)。さらに、メイン制御部は、8枚のメダルの払出を開始することを示す払出コマンドを送信する。メダル払出口9より1枚目のメダルの払出が行われると、遊技用補助表示器12の表示は、「00」から現在の払出枚数が「1枚」であることを示す「01」に更新される。
時刻t2において、サブ制御部91により払出コマンドが受信されると、スピーカ53、54からは払出音の出力が開始される(「払出音」は、off状態からon状態になる)。また、液晶表示器51の払出枚数の表示が「0枚」から「1枚」に更新されるとともに、総払出枚数の表示が「495枚」から「496枚」に更新される。
時刻t2〜t3において、ホッパーモータ34bを駆動し、メダル払出口9よりメダルが1枚払出されるたびに、遊技用補助表示器12の表示は更新される。たとえば、メダル払出口9からの実払出枚数が「2枚」になったとき、遊技用補助表示器12の表示は「01」から「02」に更新される。同様にして、遊技用補助表示器12の表示は中段ベルの入賞による払出枚数である「8枚」まで表示が更新され、最終的には「08」が表示される。
一方で、払出コマンドの受信により表示の更新を開始する液晶表示器51では、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に一定の時間間隔で表示が更新される。ただし、メダル払出口9からの払出が正常に完了するタイミング(エラーにより払出が停止することなく、正常に払い出された場合の払出完了タイミング)に応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。たとえば、実際に8枚の払出が完了するまでの時間がT秒であった場合、液晶表示器51の更新完了タイミングもT秒としてもよい。ただし、必ずしも更新完了タイミングを一致させる必要はなく、T秒より短くしてもよい。
液晶表示器51では、払出枚数の表示が「0枚」から中段ベル払出枚数の「8枚」まで1枚ずつ表示が更新される(合計8枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「503枚」まで1枚ずつ更新される(合計8枚加算)。
時刻t3において、メダル払出口9より8枚のメダルの払出が完了すると、ホッパーモータ34bは駆動を停止する(「ホッパー作動」状態がon状態からoff状態になる。)。さらに、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知するコマンドである払出完了コマンドを送信する。
時刻t4において、サブ制御部91が払出完了コマンドを受信すると、スピーカ53、54は払出音の出力を停止する(「払出音」は、on状態からoff状態になる)。さらに、払出完了コマンドを受信したときに総払出枚数が500枚を超えているため、総払出枚数が500枚を超えていることを報知するための報知演出が実行される。このように、本実施の形態では、総払出枚数が一定枚数を超えたときには、遊技者の満足感を高めるための報知演出をするものとしている。ただし、図15に示されるように、総払出枚数が500枚を超えた時点は、時刻t4よりも前の時点である。本実施の形態では、払出途中の総払出枚数が、報知演出に値する一定枚数に達したとしても、すべての払出を終えるのを待って、そのような報知演出をするものとしている。具体的には、総払出枚数が一定枚数を超えた後、払出完了コマンドが受信されたタイミングでそのような報知演出を行う。このように、払出完了コマンドの受信を待って行われる報知演出のことを本実施の形態では、特定演出と称する。
図15に示されるように、時刻t4の時点でこのような「特定演出」を実行する(「特定演出」がoff状態からon状態になる)。具体的には、液晶表示器51に総払出枚数が500枚を超えたことを報知する「500枚 OVER!」が表示される。総払出枚数が「500枚」であるときに限らず、たとえば、「1000枚」、「2000枚」など、あらかじめ規定された総払出枚数を超えるたびに実行するようにしてもよい。
[エラーが発生した場合の払出音等]
図16は、メダルの払出中にエラーが発生した場合の払出音等を説明するタイミングチャートである。横軸は時刻tを示し、上から「ホッパー作動」、「コマンド」、「エラー(ホッパーエンプティエラー)」、「エラー音」、「払出音」、および「特定演出」が、onまたはoffのいずれであるかを示している。また、「遊技用補助表示器12(メイン側表示)」、および「液晶表示器51(サブ側表示)」の表示状態を示している。なお、図15の説明と重複する部分については、説明を省略する。
以下、図16のタイミングチャートに基づいて説明する。図16においても、図15と同様にRT2の遊技状態に制御されているとともに、ATに制御されている状態(ART)を想定している。図16においては、図15とは異なり、払出の途中でホッパータンク34a内のメダルがなくなり、ホッパーエンプティエラーが発生している。
タイミングチャートにおいて、時刻t1以前はメダルの払出が発生していない状態である。また、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数(総払出枚数)は、「495枚」であるとする。遊技用補助表示器12には、現在の払出枚数が「0枚」であることを示す「00」が表示されている。液晶表示器51には、現在の払出枚数が「0枚」であることを示す「0枚」が画面の右下に表示されるとともに、総払出枚数が「495枚」であることを示す「TOTAL495」が画面の左上に表示されている。
時刻t1において、中段ベルに入賞したとする。中段ベルの入賞によりメダルが8枚払い出される。このとき、ホッパーモータ34bを駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される(「ホッパー作動」状態は、off状態からon状態になる)。さらに、メイン制御部は、メダルの払出開始を通知しメダルの払出枚数(8枚)を特定可能とする払出コマンドを送信する。メダル払出口9より1枚目のメダルの払出が行われると、遊技用補助表示器12の表示は、「00」から現在の払出枚数が「1枚」であることを示す「01」に更新される。
時刻t2において、サブ制御部91により払出コマンドが受信されると、スピーカ53、54からは払出音の出力が開始される(「払出音」は、off状態からon状態になる)。また、液晶表示器51の払出枚数の表示が「0枚」から「1枚」に更新されるとともに、総払出枚数の表示が「495枚」から「496枚」に更新される。
さらに、メダル払出口9より2枚目のメダルが払い出され、遊技用補助表示器12の表示は、「01」から現在の払出枚数が「2枚」であることを示す「02」に更新される。ここで、2枚目のメダルが払い出されたときに、34aに貯留されているメダルの数が0枚になったとする。このとき、ホッパータンク34a内にメダルが残存している可能性があるため、規定秒数、ホッパーモータ34bは駆動し続ける(空回りをする)。
この間、メダル払出口9からの実払出枚数は「2枚」のままであるため、遊技用補助表示器12の表示は「02」のままで停止する。一方で、払出コマンドの受信を契機に表示の更新を開始する液晶表示器51は、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に表示を更新する。液晶表示器51の表示は、払出枚数の表示が「0枚」から中段ベル払出枚数の「8枚」まで1枚ずつ更新される(合計8枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「503枚」まで1枚ずつ更新される(合計8枚加算)。払出枚数および総払出枚数は、メダル払出口9からの実際の払出が完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。
規定秒数、ホッパーモータ34bが空回りした時刻t4において、ホッパーエンプティエラーが発生する(「ホッパーエンプティエラー」は、off状態からon状態になる)。エラー発生により、サブ制御部91がエラー開始コマンドを受信すると、スピーカ53、54からは、エラーが発生した旨を報知するエラー音が出力される(「エラー音」は、off状態からon状態になる)。このとき、スピーカ53、54から出力されている払出音の出力は停止する(「払出音」は、on状態からoff状態になる)、エラー音の出力を優先させている。
エラーが発生してからエラーが解除されるまでの時刻t4〜t5までの間は、液晶表示器51には図16(A)に示すような「払出枚数」および「総払出枚数」の表示は行われず、エラーが発生したことを報知する表示に切り替わる。
ホッパーエンプティエラーは、次のようにして解除される。まず、遊技店の店員等が、前面扉1bを開放し、空になったホッパータンク34a内にメダルを補充する。そして、前面扉1bを閉鎖する。時刻t5において、前面扉1bに設けられた鍵穴110にドアキーを挿入して反時計回りに回転させるリセット操作によりエラー状態が解除される(「エラー」は、on状態からoff状態になる)。ただし、エラー音の出力は停止されず、所定期間はエラー音の出力は継続される。そして、所定期間経過後の時刻t6において、エラー音の出力は停止される(「エラー音」は、on状態からoff状態になる)。
時刻t5においてエラー状態が解除されると、ホッパーモータ34bが駆動を再開し(「ホッパー作動」状態は、off状態からon状態になる。)、停止していたメダルの払出を再開する。時刻t5において、メダル払出口9より3枚目のメダルが払い出される。それに伴い、遊技用補助表示器12の表示は、「02」から現在の払出枚数が「3枚」であることを示す「03」に更新される。一方で、液晶表示器51における「払出枚数」と「総払出枚数」の表示は更新されない。時刻t4以前に既に表示の更新が完了しているためである。時刻t5でエラー解除されると、液晶表示器51上のエラー表示は消えて、元の画面に戻る。「払出枚数」は元々表示されていた「8枚」を表示し、「総払出枚数」も元々表示されていた「503枚」を表示する。
時刻t5においてエラー状態が解除されても、払出コマンドは再度送信されることはない(「払出コマンド」は、off状態からon状態にはならない)。また、払出音を再度出力することもない(「払出音」は、off状態からon状態にはならない)。
時刻t5〜t7において、メダル払出口9よりメダルが1枚払出されるたびに、遊技用補助表示器12の表示は更新される。時刻t7までに、3枚目のメダルから8枚目のメダルまでが払い出される。遊技用補助表示器12は、1枚払い出されるごとに表示を更新し、最終的には「08」が表示される。
時刻t7において、メダル払出口9より8枚のメダルの払出が完了すると、ホッパーモータ34bは駆動を停止する(「ホッパー作動」状態がon状態からoff状態になる。)。さらに、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知するコマンドである払出完了コマンドを送信する。
時刻t8において、サブ制御部91は払出完了コマンドを受信している。払出完了コマンドを受信したときに総払出枚数が500枚を超えているため(総払出枚数は「503枚」)、総払出枚数が500枚を超えていることを報知する「特定演出」を実行する(「特定演出」がoff状態からon状態になる)。このとき、液晶表示器51には、総払出枚数が500枚を超えたことを報知する「500枚 OVER!」が表示される。なお、スピーカ53、54は既に払出音の出力を停止しているため、払出完了コマンドの受信により払出音の出力に影響を与えることはない。
本実施の形態において、特定演出を払出完了コマンド受信後に実行する理由は、次の通りである。AT中に総払出枚数が規定量(例えば、500枚)を上回ったことを報知するのは、AT中にメダルが増加したことを遊技者に意識させて楽しませるため(満足感を与えるため)であり、たとえば、10秒間の特定演出を行う。仮に、払出完了前で総払出枚数が規定量を上回った時点に特定演出を行ったとすると、その後の払出エラー発生により液晶表示器51の表示が特定演出画面からエラー画面に切り替わってしまい、特定演出が途切れてしまう可能性がある。メダル切れによりホッパーが空回りしてホッパーエンプティエラーが発生した場合は、本来10秒間の特定演出を行うところを、たとえば、3秒程度でエラー表示に切り替わってしまい、遊技者を楽しませることができない。特定演出を払出完了コマンド受信後に実行することにより、特定演出の報知期間(10秒間)を確実に確保することができる。また、たとえば、入賞と同時に特定演出を行うことが考えられるが、実際には払い出しが完了しておらず、総払出枚数は500枚を超えていない。このため、実際に総払出枚数が500枚を超えている払出完了コマンド受信後に特定演出を行っている。
[実施の形態により得られる主な効果]
次に、前述した実施の形態により得られる主な構成および効果を説明する。
遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン1、パチンコ遊技機)であって、遊技を制御する遊技制御手段(たとえば、メイン制御部41)と、演出を制御する演出制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、遊技用価値(たとえば、スロットマシン1におけるメダル、あるいはパチンコ遊技機におけるパチンコ玉)を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41により小役の入賞が発生したときにメダルが付与される処理)と、遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段(たとえば、図4、図15、図16に示すように、サブ制御部91により制御され、払出音を出力させるスピーカ53、54)と、前記遊技制御手段によって制御される手段であって、遊技用価値が付与されたときに第1表示部(たとえば、遊技補助表示器12)に表示される第1情報(たとえば、払出枚数)を更新可能な第1更新手段(たとえば、図15、図16に示すように、メイン制御部41により遊技補助表示器12に払出枚数を表示させる処理)と、前記演出制御手段によって制御される手段であって、遊技用価値が付与されたときに第2表示部(たとえば液晶表示器51)に表示される第2情報(たとえば、払出枚数、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数(総払出枚数))を更新可能な第2更新手段(たとえば、図15、図16に示すように、サブ制御部91により液晶表示器51に払出枚数および総払出枚数を表示させる処理)とを備え、前記付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解消後に遊技用価値の付与を再開させ(たとえば、図16に示すように、時刻t4でエラーが発生した後に時刻t5でエラーが解除されたときにメダルの払出を再開させる)、前記音出力手段は、前記エラー状態が発生しないときには遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する(たとえば、図15に示すように、払出が完了する時刻t3に関連するタイミングに応じて、時刻t4において払出音の出力を完了する)一方で、遊技用価値の付与が完了する前に発生した前記エラー状態の解消後に遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず(たとえば、図16に示すように、払出が完了する前の時刻t4に発生したエラー状態の解消後の時刻t5において払出が再開されたときには払出音の出力を再開させない)、前記第2更新手段は、前記エラー状態が発生しないときには遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記第2情報の更新を完了する(たとえば、図15に示すように、払出が完了する時刻t3に関連するタイミングに応じて、液晶表示器51の払出枚数および総払出枚数の表示の更新を完了する)一方で、遊技用価値の付与が完了する前に発生した前記エラー状態の解消後に遊技用価値の付与が再開されたときには前記第2情報の更新を再開させず(たとえば、図16に示すように、払出が完了する前の時刻t4に発生したエラー状態の解消後の時刻t5において払出が再開されたときには液晶表示器51の払出枚数および総払出枚数の表示の更新を再開させない)、前記第1更新手段は、前記エラー状態が発生しないときには遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記第1情報の更新を完了する(たとえば、図15に示すように、払出が完了する時刻t3に関連するタイミングに応じて、遊技補助表示器12の払出枚数の表示の更新を完了する)とともに、遊技用価値の付与が完了する前に発生した前記エラー状態の解消後に遊技用価値の付与が再開されたときには前記第1情報の更新を再開する(たとえば、図16に示すように、払出が完了する前の時刻t4に発生したエラー状態の解消後の時刻t5において払出が再開されたときには遊技補助表示器12の払出枚数の表示の更新を再開する)。
このような構成によれば、図16に示したように、払出が完了する前の時刻t4に発生したエラー状態の解消後の時刻t5において払出が再開されたときには、払出音の出力を再開させず、液晶表示器51の払出枚数および総払出枚数の表示の更新を再開させないため、エラー状態の解消後の処理負担が軽減される。
また、このような構成によれば、図15の時刻t2、図16の時刻t2に示したように、サブ制御部91は払出コマンドに基づいて払出音を発生させるため、払出に関連するタイミングで払出音を出力できる。
また、このような構成によれば、図15の時刻t4に示したように、サブ制御部91は払出完了コマンドに基づいて払出音の出力を終了させるため、払出完了に関連するタイミングで払出音の制御を終了できるとともに、サブ制御部91は、払出完了コマンドによってメダルの払出完了タイミングを把握することができる。
また、このような構成によれば、図16に示したように、エラー状態の解消後の時刻t5においてメダルの払出が再開されたときには払出コマンドを送信しない一方、時刻t7において再開されたメダルの払出が完了したときには払出完了コマンドを送信するため、サブ制御部91は、払出完了コマンドによって、エラー解除後にもメダルの払出完了タイミングを把握することができる。
また、このような構成によれば、図15の時刻t4、図16の時刻t8に示したように、払出完了コマンドに基づいて総払出枚数が500枚を超えた旨の特定演出を実行可能である。払出完了コマンドは、本来、払出音の出力を完了させる契機となるものであるが、払出完了コマンドを当該特定演出の実行開始契機とすることで、エラー状態の解消後においても当該特定演出を実行させることができる。
また、このような構成によれば、図16に示したように、総払出枚数が500枚に到達してからメダルの払出の完了を待つ間に時刻t4でエラー状態が発生したときには、エラー状態の解消後に再開されたメダルの払出の完了を待って、時刻t8に総払出枚数が500枚を超えた旨の特定演出を行う。払出完了コマンドは、本来、払出音の出力を完了させる契機となるものであるが、払出完了コマンドを当該特定演出の実行開始契機とすることで、エラー状態の解消後においても当該特定演出を実行させることができる。
また、このような構成によれば、図16に示したように、メダルの払出の完了前に発生したエラー状態の解消後である時刻t5には払出音の出力は再開させないが、メダルの払出の完了前に発生したエラー状態の解消後である時刻t5から時刻t6まではエラー音の出力を継続させる。仮に、払出音の出力を再開させた場合は、払出音とエラー音とが重なってしまい、互いの音が互いの報知の妨げとなる。このように、払出音の出力を再開させずエラー音を出力することで、エラー音による報知の妨げとならない。
[変形例]
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
[エラー解除とエラー音について]
前述した実施の形態においては、図16に示したように、時刻t5において、前面扉1bを開放することなくドアキーによるリセット操作によりホッパーエンプティエラーの解除を行った。このとき、全てのエラーが解除されているが、エラー音の出力は停止されず所定期間(時刻t5〜t6)継続させるようにした。しかし、これに限らず、次のようにしてもよい。ホッパーエンプティエラーの解除は、ドアキーによるリセット操作だけではなく、リセットスイッチ23またはリセット/設定スイッチ38によるリセット操作によっても行うことができる。リセットスイッチ23およびリセット/設定スイッチ38は、前面扉1bを開放した状態でなければ操作することができない。エラー解除を行った直後はドアが開放された状態のままであるので、ホッパーエンプティエラーが解除されたとしても、ドア開放エラーが依然として検出される。ホッパーエンプティエラー解除後のエラー音は、前面扉1bを閉鎖しドア開放エラーが解除されるまで出力を継続させるようにしてもよい。また、ホッパーエンプティエラー解除後のエラー音は、前面扉1bを閉鎖しドア開放エラーが解除された後、さらに所定期間において出力を継続させるようにしてもよい。
前面扉1bを開放した状態でホッパーエンプティエラーが解除された場合、前面扉1bを開放した状態のままでホッパーモータ34bが駆動を開始し、メダルの払出が再開される。このとき、メダルが1枚払い出されるたびに、遊技用補助表示器12の表示が更新される。ただし、ドア開放エラーが発生したままであるので、液晶表示器51にはエラーが発生したことを報知する表示が行われる(前面扉1bを閉鎖するまで表示される)。しかし、これに限らず、前面扉1bを開放した状態(ドア開放信号がon状態)でホッパーエンプティエラーが解除された場合、前面扉1bが閉鎖されたこと(ドア開放信号がoff状態)を条件にホッパーモータ34bを駆動させ、メダル払出口9からの払出を再開させるようにしてもよい。
[特定演出について]
前述した実施の形態においては、図16に示したように、特定演出として総払出枚数が500枚を超えたことを報知するものについて説明した。しかし、これに限らず、特定演出としてATゲーム数が上乗せされたことを報知するものであってもよい。たとえば、AT中であって、強スイカに入賞したときに、上乗せ抽選にも当選し50ゲームのATゲーム数が上乗せされたとする。このとき、図16で説明したように、入賞による払出枚数(5枚)の払出途中にホッパーエンプティエラーが発生したとする。さらに、エラー解除により払出が完了すると、メイン制御部41は払出完了コマンドが送信する。サブ制御部91が払出完了コマンドを受信すると、上乗せ当選したか否かを示唆する上乗せ示唆演出が行われる。たとえば、液晶表示器51において、50ゲームのATゲーム数が上乗せされたことを示す「+50G」等の表示を行う。
[払出コマンドおよび払出完了コマンドについて]
前述した実施の形態においては、図15で示したように、時刻t2において払出コマンドが受信されると払出音の出力が開始され、時刻t4において払出完了コマンドが受信されると払出音の出力を停止するようにした。しかし、これに限らず、払出コマンドの受信により払出音の出力を開始し、払出完了コマンドを受信することなく払出音の出力を停止するようにしてもよい。たとえば、ベル入賞によって8枚の払出が発生したとする。サブ制御部91は、払出コマンドより特定した払出枚数(8枚)に応じた長さの払出音の出力期間を設定する。そして、払出音の出力期間の経過後に、払出音の出力を停止するようにしてもよい。
また、前述した実施の形態においては、ベル入賞による8枚の払出に対して、1回の払出コマンドを送信するようにし、8枚の払出に対応する一定の長さの払出音(連続音)を出力するようにした。しかし、これに限らず、1枚の払出が行われるたびに払出コマンドを送信するようにしてもよい。この場合、払出コマンドが受信されるたびに、1枚の払出に対応する一定の長さの払出音(短い音)を出力するようにし、合計で8回の払出音を出力する。
[スロットマシンの変形例について]
上記実施形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。また、遊技玉を発射して遊技を行うことが可能な遊技領域を備え、遊技領域に設けられた所定領域を遊技玉が通過することに応じて賭数の設定が可能となるスロットマシンであってもよい。
[演出や報知について]
前述した例では、液晶表示器51やスピーカ53,54を用いて演出や報知を行う例を挙げたが、たとえば、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(上記実施形態のリールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で演出を実行してもよい。
[ATについて]
上記スロットマシンの例では、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する例について説明したが、メイン制御部41が実行するATに係る制御としては、AT抽選の実行が挙げられる。AT抽選には、AT抽選の当選または非当選の決定、ATゲーム数をストックするか否かの決定、ATゲーム数の決定、ATゲーム数の上乗せ抽選などが含まれるものであってもよい。また、ATに係る制御としてAT抽選の高確率状態の制御が挙げられる。AT抽選の高確率状態の制御には、AT抽選の当選確率が高確率になる制御、内部抽選の結果に応じてATに制御されるまでの期間を短縮する制御、上乗せ抽選の当選確率やゲーム数を優遇する制御などが含まれる。また、ATに係る制御として、規定ゲーム数のゲームが消化されたときにATに制御することが挙げられる。規定ゲーム数のゲームが消化されたときとして、天井ゲーム数に到達したとき、抽選で決定されたゲーム数に到達したときが含まれる。また、ATに係る制御として、前兆期間を設定する制御が挙げられる。前兆期間を設定する制御には、ATの開始前の前兆期間にたとえば0〜32ゲームの演出を実行する制御が含まれる。また、ATに係る制御として、ペナルティを付与する制御が挙げられる。ペナルティを付与する制御には、ペナルティ内容の決定、ペナルティ期間の決定または設定が含まれる。また、ATに係る制御として、AT中である旨のランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。
また、ATに係る制御として、ナビ演出を実行するためのランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。さらに、メイン制御部41がナビ演出を実行することに連動してサブ制御部91がナビ演出を実行するようにしてもよい。さらに、メイン制御部41は、たとえばAT抽選の高確率状態に制御するときなど抽選確率を向上させるときに、その旨をランプやLED(たとえば、遊技補助表示器12など)の点灯制御によって報知するようにしてもよい。より具体的に、メイン制御部41は、遊技補助表示器12によりナビ演出を所定回数実行することによりAT抽選の高確率状態に制御する旨を報知するようにしてもよい。あるいは、メイン制御部41は、サブ制御部91にナビ演出を所定回数実行させることによりAT抽選の高確率状態に制御する旨を報知するようにしてもよい。
なお、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する場合には、メイン制御部41の処理を、メイン制御部41に従属し、メイン制御部41の下位となる制御部に実行させることが好ましい。たとえば、リールの停止制御を遊技制御基板以外の基板に設けた制御部が実行するようにし、メイン制御部41はストップスイッチの操作信号を当該制御部に転送することが挙げられる。このように、メイン制御部41の制御を下位となる制御部に行わせることにより、ATに係る制御を行うときのROM41bやRAM41cの容量不足やメインCPU41aの処理能力不足を防止することができる。
また、前述した実施の形態では、前述したATに係る制御をメイン制御部41が実行するようにしたが、サブ制御部91が実行するようにしてもよい。サブ制御部91は、たとえば、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいてAT抽選処理や上乗せ抽選処理を行い、その結果に応じてATに制御するための処理やナビ演出を実行するための処理などを行うようにしてもよい。
[設定変更状態および設定確認状態について]
設定変更状態に関して、「電源ON」+「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定変更状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定変更を防ぐことができる。また、一旦設定変更状態に移行された後は、設定変更状態を終了させる終了条件(設定値確定後に設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定変更状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定変更状態中に前面扉が閉まっても設定変更状態を終了させないため、再度設定変更状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
また、設定確認状態に関して、「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定確認状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定確認を防ぐことができる。また、一旦設定確認状態に移行された後は、設定確認状態を終了させる終了条件(設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定確認状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定確認状態中に前面扉が閉まっても設定確認状態を終了させないため、再度設定確認状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
前述した実施の形態では、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールを複数備え、リールを変動表示した後、リールの変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数のリールの表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンについて説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンであれば、3つのリールを備えるものに限らず、1のリールしか備えないものや、3以外の複数のリールを備えるスロットマシンであってもよい。
[パチンコ遊技機について]
次に、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合の例を説明する。以下、上記実施の形態と同様の部分については詳しい説明を省略する。なお、パチンコ遊技機における「入賞」とは入賞口にパチンコ玉が通過することを意味する。
パチンコ遊技機は、遊技盤に設けられた遊技領域に遊技媒体であるパチンコ玉を打込むことで遊技が行われる。パチンコ遊技機においては、遊技領域に設けられた始動領域(普通入賞球装置が形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置が形成する第2始動入賞口)をパチンコ玉が通過することにより、抽出された乱数に基づいて、大当りを発生させるか否かなどについて決定される。大当りとなった後の大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置の大入賞口を開放可能とする。第1始動入賞口にパチンコ玉が入賞すれば所定個数(例えば3個)の出玉(賞球)が得られ、第2始動入賞口にパチンコ玉が入賞すれば所定個数(例えば3個)の出玉(賞球)が得られ、大入賞口にパチンコ玉が入賞すれば所定個数(例えば15個)の出玉(賞球)が得られる。
本実施の形態においては、図15および図16に示したように、ベル入賞により8枚のメダルが払い出される場合において、エラーが発生した場合と発生しなかった場合とで場合分けをして、払出音の出力や、遊技補助表示器12および液晶表示器51における払出表示について説明した。
パチンコ遊技機に適用する場合は、以下のようにしてもよい。たとえば、第1始動入賞口、第2始動入賞口、および大入賞口のいずれかにパチンコ玉が入賞し、所定個数の賞球が得られる場合において、1賞球ごとに、主基板(遊技制御基板)に接続された表示装置上に賞球数を表示する。同様に、1賞球ごとに、演出制御基板に接続された表示装置上にも賞球数を表示するとともに、大当りにおける総賞球数も表示する。たとえば、大当りとなった後の大当り遊技状態において、大入賞口にパチンコ玉が入賞し、15個の賞球が得られる場合について説明する。大入賞口への入賞が発生したときに、遊技制御基板側から払出コマンドを送信する。演出制御基板側が払出コマンドを受信すると、払出音(賞球音)の出力を開始する。また、演出制御基板側では、1賞球ごとに賞球数を更新して表示するとともに総賞球数を表示する。15個の賞球が完了すると、遊技制御基板側が払出完了コマンドを送信する。演出制御基板側が払出完了コマンドを受信すると、払出音(賞球音)の出力を停止する。また、払出完了コマンドの受信により特定演出を実行する。払出完了コマンドを受信したときに、あらかじめ定められた総賞球数(たとえば、600個、1200個、1800個、2400個)に達していた場合は、演出制御基板側でその旨を報知する。たとえば、総賞球数が2401個に達していたとき、サブ側では「2400個 OVER!」といった表示を行う。
15個の賞球の途中にエラーが発生した場合は、図16で説明したような方法で、払出音(賞球音)の出力や賞球数の表示を行う。遊技制御基板側の賞球数の表示は、実際の賞球数に連動して表示を行う。その一方で、演出制御基板側の賞球数の表示は、賞球の途中にエラーが発生しても、15個の賞球まで表示を更新する。エラー発生により、払出音(賞球音)は出力を停止し、エラー音を出力する。エラーが解除されたときは、賞球を再開するとともに、それに伴って遊技制御基板側の賞球数の表示を更新する。このとき、払出音(賞球音)の出力は行わない。賞球が完了すると、遊技制御基板側は払出完了コマンドを送信する。演出制御基板側は、払出完了コマンドを受信すると、上記同様に特定演出を実行する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。