JP2011072823A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コマンドの送信途中に停電等が発生して電源が切断された場合にも該コマンドを欠落すること無く受信することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】S27の処理により停電前に払出制御基板Hへ出力したコマンドデータを再出力する。このときストローブ信号は出力されない。コマンドの送信時において、コマンドデータの出力後(図7のS422の実行後)であってストローブ信号の出力前に(S424の実行前に)停電等が発生した場合、復電処理(図5)後に停電発生直後の処理へ戻されても、コマンドデータの出力がないままストローブ信号が出力されるので、該コマンドを払出制御基板Hは受信できない。電源の切断によりコマンドポートから出力されていたコマンドデータはクリアされるからである。よって、停電前に払出制御基板Hへ出力したコマンドデータを再出力して、かかるコマンド受信の欠落を防止する。
【選択図】図5

Description

本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
パチンコ機の遊技の制御は、主に主制御基板により行われる。この主制御基板には、賞球や貸し球の払い出し制御を行う払出制御基板や、効果音の出力制御を行う効果音制御基板、図柄の変動表示等の表示制御を行う表示用制御基板などが接続されている。これら各制御基板の制御は、主制御基板から各制御基板へ一方向に送信されるコマンドにより行われる。
賞球の払い出しは、停電等の発生によってパチンコ機の電源が突然切断された場合にも確実に行う必要がある。そこで、本願出願人は、賞球の払出残数を記憶する主制御基板および払出制御基板のデータをパチンコ機の電源が切断された後も保持して(バックアップして)、電源が再投入された後に未払い分の賞球を払い出すことを試みた。また、停電等の発生によって電源が切断されると、両制御基板は直ちに処理を中断し、停電が解消した後に、中断後の部分から処理を再開して、停電発生前の状態に復帰させることを試みた。
しかしながら、主制御基板から払出制御基板へのコマンドの送信途中に停電が発生すると、タイミングによっては、主制御基板はコマンドの送信を完了しているにも拘わらず、払出制御基板はそのコマンドを受信する前に処理が中断する場合がある。かかる場合、停電解消後に、両制御基板が停電発生直後から処理を再開しても、主制御基板からコマンドは送信されないので、払出制御基板では該コマンドを受信できず、コマンドの欠落を招くという問題点がある。一方、かかるコマンドの欠落を考慮し、電源入時の復電処理において主制御基板から払出制御基板へ既に送信の完了したコマンドを再送信することも考えられるが、その場合には払出制御基板で同一のコマンドを二重に受信することがあるという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、コマンドの送信途中に停電等が発生して電源が切断された場合にも該コマンドを欠落すること無く受信することができる遊技機を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信されるコマンドに基づいて所定の有価価値を有する有価物体を払い出す払出制御手段とを備え、前記払出制御手段は、前記主制御手段から指示された有価物体の払出残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持するバックアップ手段とを備えており、電源入時にそのバックアップ手段によりバックアップされた有価物体の払出残数を払い出すものであり、前記主制御手段は、電源入時の復電処理において前記払出制御手段へ電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するものである。
この請求項1記載の遊技機によれば、主制御手段から払出制御手段へ有価物体の払い出しに関するコマンドが送信されると、そのコマンドにより指示された有価物体の払出数が残数記憶手段に記憶され、その残数記憶手段に記憶される数の有価物体が払出制御手段によって払い出される。残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって遊技機の電源切断後も保持されるので、停電などの発生によって遊技機の電源が突然切断されても、未払い分の有価物体の払出数を記憶して、電源の再入後に払い出すことができる。また、主制御手段は電源入時の復電処理において払出制御手段へ電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するので、停電等の発生によってコマンドの送信途中に電源が切断された場合にも、払出制御手段は該コマンドを欠落すること無く受信することができる。
本発明の遊技機によれば、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって遊技機の電源切断後も保持される。よって、停電などの発生によって遊技機の電源が突然切断された場合にも、未払い分の有価物体の数を記憶して、電源の再入後に確実に払い出すことができるという効果がある。また、主制御手段は電源入時の復電処理において払出制御手段へ電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するので、停電等の発生によってコマンドの送信途中に電源が切断された場合にも、払出制御手段は該コマンドを欠落すること無く受信することができるという効果がある。
本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。 パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。 主制御基板から払出制御基板へ送信されるコマンドの送信経路の説明図である。 主制御基板で実行されるNMI割込処理のフローチャートである。 主制御基板で実行される立ち上げ処理(復電処理)のフローチャートである。 主制御基板で実行される賞球処理のフローチャートである。 図6に示す賞球処理の賞球コマンド送信処理の中で実行されるコマンド送信処理部分の詳細を示したフローチャートである。 払出制御基板の割込処理で実行されるコマンド受信割込処理のフローチャートである。 払出制御基板のメイン処理の中で繰り返し実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。 払出制御基板で実行されるNMI割込処理のフローチャートである。 払出制御基板で実行される立ち上げ処理(復電処理)のフローチャートである。 払出制御基板の立ち上げ処理(復電処理)の中で実行される復電時コマンド受信処理のフローチャートである。 払出制御基板で実行される賞球払出処理のフローチャートである。 主制御基板から払出制御基板へ送信されるコマンドの送信経路の変形例を示した説明図である。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機1の遊技盤の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板を装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。この内レール7と外レール6とにより囲まれた遊技盤5の前面には、遊技球(球)が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8内には、遊技球が入賞することにより5個から15個の遊技球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶(LCD)ディスプレイ10を備えた可変表示装置11が配設されている。この可変表示装置11の液晶ディスプレイ10の手前側周囲には、装飾部材を兼ねたセンターフレーム11aが周設されており、このセンタフレーム11aにより液晶ディスプレイ10の周囲が装飾されている。また、センタフレーム11aの上部中央には表示装置の一種である7セグメントLED11bが配設されている。
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。この図柄作動ゲート12を遊技球が通過すると、第1種始動口スイッチ28(図2参照)がオンして、上述した可変表示装置11で変動表示が開始されると共に、5個の遊技球が賞球として払い出される。また、図柄作動ゲート12の下方には可変入賞装置13が配設されている。この可変入賞装置13は、その略中央部分に2以上の遊技球が同時に通過可能な幅広矩形状の開口である大入賞口が穿設されている。
この大入賞口は、可変表示装置11の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、遊技球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒間)経過するまで、或いは、所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するまで、開放される入賞口である。この大入賞口の開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。かかる可変入賞装置13の下方であって、遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。
アウト口14の下方、即ちガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面には、遊技球を貯留すると共に遊技球発射装置(図示せず)へ遊技球を供給するための上皿16が配設され、その上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった遊技球を貯留するための下皿17が配設されている。また、下皿17の右側部分には、遊技球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル18が配設され、かかる操作ハンドル18の内部には遊技球発射装置の発射用モータ(図示せず)を駆動させるためのハンドルスイッチ18aが内蔵されている。
図2は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機1の遊技内容の制御を行う主制御基板Cと、賞球や貸し球の払出制御を行う払出制御基板Hとの電気的構成を示したブロック図である。
パチンコ機1の主制御基板Cは、演算装置であるMPU21と、そのMPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM22と、ワークメモリ等として使用されるRAM23とを備えている。図4から図7のフローチャートに示すプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。またRAM23には、賞球バッファ23aと、賞球ポインタ23bと、残賞球数カウンタ23cと、バックアップエリア23dと、送信バッファ23eとが設けられると共に、バックアップ用のコンデンサ(電池)23xが接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、RAM23の各値は、パチンコ機1の電源が切断された場合にも保持(バックアップ)される。なお、バックアップ用の電源は、電源基板から各制御基板C,Hへ供給されている。
賞球バッファ23aは、遊技領域8へ打ち込まれた球が普通入賞口9等へ入賞した場合に、払い出される賞球数を記憶するバッファである。払い出される賞球数は入賞した球毎に賞球バッファ23aへ記憶されるので、賞球バッファ23aは複数バイトで構成されている。賞球バッファ23aに記憶された賞球数のデータは、賞球コマンドとして払出制御基板Hへ送信されると、賞球バッファ23aから消去される。具体的には、0番目の賞球バッファ23aに記憶される賞球数を払出制御基板Hへ送信した後、1番目以降の賞球バッファ23aの値を小さいアドレス側へ順に1バイトずつシフトすることによって、0番目の賞球バッファ23aの値が消去される。
ここで、賞球コマンドとは、払い出される賞球数を払出制御基板Hへ指示するためのコマンドであり、1バイトで構成されている。1回の入賞に対する最大の賞球数は15球であるので、賞球コマンドを1バイトで構成する場合には、その最大賞球数に対応した「01H」〜「0FH」の15種類のデータを賞球コマンドとしている。即ち、1バイトで構成されるコマンドの上位4ビットが「0」の場合に賞球コマンドとしている。
賞球ポインタ23bは、賞球数を記憶させる賞球バッファ23aの位置を示すポインタであり、払い出される賞球数は、賞球ポインタ23bの値番目の賞球バッファ23aへ記憶される。この賞球ポインタ23bの値は、賞球バッファ23aへ賞球数を書き込むことにより「1」加算され、逆に、0番目の賞球バッファ23aの値が払出制御基板Hへ送信されることにより「1」減算される。
残賞球数カウンタ23cは、未払いの賞球数を記憶するカウンタであり、払出制御基板Hによって払い出される賞球数を主制御基板Cで管理するためのカウンタである。残賞球数カウンタ23cの値は、主制御基板Cが払出制御基板Hへ賞球の払い出しを指示する毎に、その指示した数が加算され、逆に、払出制御基板Hによって賞球の払い出しが行われて、その払い出された賞球を賞球カウントスイッチ32が検出する毎に「1」ずつ減算される。
バックアップエリア23dは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア23dへの書き込みは、NMI割込処理(図4参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア23dに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復電処理(復帰処理)において実行される。
送信バッファ23eは、払出用制御基板Hへ出力されるコマンドデータを記憶するためのバッファであり、1バイトで構成されている。送信バッファ23eに書き込まれたコマンドデータのコマンドが払出制御基板Hへ送信されると、送信バッファ23eの内容は0クリアされる(S429)。なお、送信バッファ23eに記憶されるコマンドデータは、図5の復電処理において払出制御基板Hへ出力される(S27)。
これらMPU21、ROM22、RAM23は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン24を介して相互に接続されている。バスライン24は、また、入出力ポート25にも接続されている。入出力ポート25は、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)26,46を介して払出制御基板Hと接続されるほか、複数の普通入賞スイッチ27と、第1種始動口スイッチ28と、Vカウントスイッチ29と、10カウントスイッチ30と、賞球カウントスイッチ32と、クリアスイッチ33と、タンク球切スイッチ34と、下皿満タンスイッチ35と、他の入出力装置36と、それぞれ接続されている。
普通入賞スイッチ27は、遊技領域8内の複数の普通入賞口9へ入賞した球をそれぞれ検出するためのスイッチであり、各普通入賞口9の入口近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ28は、図柄作動口(第1種始動口)12を通過した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口12の近傍に設けられている。普通入賞スイッチ27のいずれか又は第1種始動口スイッチ28によって球が検出されると、払出制御基板Hによって6個の賞球が払い出される。
Vカウントスイッチ29は、可変入賞装置(大入賞口)13内のVゾーンへ入賞した球を検出するためのスイッチであり、また、10カウントスイッチ30は、可変入賞装置13内のVゾーン以外へ入賞した球を検出するためのスイッチである。Vカウントスイッチ29又は10カウントスイッチ30により球が検出されると、払出制御基板Hによって15個の賞球が払い出される。
賞球カウントスイッチ32は、賞球払出用モータ31によって払い出された賞球を検出するためのスイッチであり、賞球払出用モータ31と共に賞球払出ユニットSに搭載されている。賞球払出用モータ31は賞球を払い出すためのモータであり、賞球払出用モータ31の駆動は、払出制御基板Hによって制御される。
クリアスイッチ33は、主制御基板Cおよび払出制御基板Hの各RAM23,44にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ33が押下された状態でパチンコ機1の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板Cおよび払出制御基板Hによって、RAM23,44のデータがそれぞれクリアされる。
タンク球切スイッチ36は、払出制御基板Hによって払い出される賞球や貸し球を貯留する貯留タンク(図示せず)に、球が貯留されているか否かを検出するためのスイッチである。下皿満タンスイッチ37は、パチンコ機1の下皿17が球で一杯になっているか否かを検出するためのスイッチである。両スイッチ36,37の検出信号は、入出力ポート25を介して、主制御基板CのMPU21によって読み込まれる。MPU21は、貯留タンクに球が無ければ「タンク球無し状態コマンド」を、逆に、貯留タンクに球があれば「タンク球無し状態解除コマンド」を、それぞれ払出制御基板Hへ送信する。また、MPU21は、下皿17が満タンであれば「下皿満タン状態コマンド」を、逆に、下皿17が満タンで無ければ「下皿満タン状態解除コマンド」を、それぞれ払出制御基板Hへ送信する。払出制御基板Hは、「タンク球無し状態コマンド」或いは「下皿満タン状態コマンド」のいずれかを受信した場合には、そのコマンドの解除コマンドを受信するまでの間、賞球および貸し球の払い出し動作を中止する。
前記した通り主制御基板Cは、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)26,46を介して、払出制御基板Hと接続されている。このため主制御基板Cと払出制御基板Hとの間における賞球コマンド等の各コマンドの送受信は、主制御基板Cから払出制御基板Hへの一方向にのみ行われ、払出制御基板Hから主制御基板Cへ行うことはできない。なお、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信される。このストローブ線は、払出制御基板Hの割込入力端子と入力ポートとにそれぞれ接続されている。よって、払出制御基板Hは、ストローブ信号のアクティブを、割込の発生とポート入力(ポートのデータを読み込むこと)との2つの手法によって認識することができる。なお、かかる接続方式については、図3に基づいて後述する。
払出制御基板Hは賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU41と、そのMPU41により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM42と、ワークメモリ等として使用されるRAM43とを備えている。図8から図13に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM42内に記憶されている。
払出制御基板HのRAM43には、残賞球数カウンタ43aと、初期化フラグ43bと、停電処理時受信済フラグ43cと、バックアップエリア43dと、タンク球無しフラグ43eと、下皿満タンフラグ43fと、受信バッファ43gと、受信ポインタ43hとが設けられると共に、バックアップ用のコンデンサ(電池)43xが接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、RAM43の各値は、パチンコ機1の電源が切断された場合にも保持(バックアップ)される。
残賞球数カウンタ43aは、前述した主制御基板Cの残賞球数カウンタ23cと同様に、未払いの賞球数を記憶するカウンタである。残賞球数カウンタ43aの値は、賞球コマンドによって主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球の払い出しが指示される毎に、その指示された賞球数が加算される。逆に、賞球カウントスイッチ32が払い出された賞球を検出する毎に「1」ずつ減算される。払出制御基板Hは、この残賞球数カウンタ43aの値が「0」になるまで、賞球払出用モータ31を動作させて賞球の払い出しを行うが、前記した通り、この残賞球数カウンタ43aの値はコンデンサ43xによってバックアップされるので、賞球の払い出し途中でパチンコ機1の電源が切断された場合にも、そのパチンコ機1の電源を再投入することにより、払出制御基板Hは、残りの賞球(未払い分の賞球)を正確に払い出すことができる。
初期化フラグ43bは、払出制御基板Hが、主制御基板Cから送信される初期化コマンドを受信した場合にオンされるフラグである。初期化コマンドは、主制御基板Cの立ち上げ処理においてバックアップデータがクリアされた場合に送信されるコマンドであり、払出制御基板Hに対して初期化の指示と賞球の払出許可とを与えるコマンドである。払出制御基板Hは、この初期化コマンドを受信すると、初期化フラグ43bをオンし(S112)、払出制御基板Hにおいても既に初期化処理が終了していれば(S96)、初期化フラグ43bをオフした後に(S98)、処理を各処理へ移行して(S100)、賞球の払い出しの可能な状態とする。一方、払出制御基板Hにおいてデータのバックアップが有効に行われている状態で初期化コマンドを受信した場合には(S94:Yes,S102:Yes)、主制御基板Cに合わせて初期化処理を実行した後(S103)、各処理へ移行して(S100)、賞球の払い出しの可能な状態とする。なお、この場合、一旦オンされた初期化フラグ43bは、その後に実行される初期化処理(S103)によってオフされる。
停電処理時受信済フラグ43cは、停電等の発生により電源が切断された場合に実行される停電処理(図10のNMI割込処理)において、主制御基板Cから送信されるコマンドを受信した場合にオンされるフラグである(S86)。この停電処理時受信済フラグ43cがオンされている場合には、受信したコマンドの受信バッファ43gへの書き込みがスキップされるので(図8のS65:YesでS66及びS67をスキップ)、復電後に、処理が停電発生直後へ戻されても、停電処理で既に受信したコマンドの二重受信を回避することができる。具体的には、ストローブ信号がオンされた状態で、図8のS61の処理の実行後からS64の処理の実行前に停電が発生すると、図10のNMI割込処理でコマンドが受信され受信バッファ43gへ書き込まれる(S82〜S85)。停電が解消すると、図11の復電処理が実行された後、停電発生直後へ処理が戻される。後述するように、主制御基板Cは図5に示す復電処理において停電前に出力したコマンドを再出力するので(S27)、図10の停電処理で既に受信したコマンドを、復電処理後に再受信してしまう恐れがある。そこで、かかる同一コマンドの二重受信を回避するために、停電処理時受信済フラグ43cを設け、該フラグ43cがオンされている場合には(S65:Yes)、受信したコマンドの受信バッファ43gへの書き込みをスキップしている(S66及びS67をスキップ)。なお、停電処理時受信済フラグ43cは、主制御基板Cからストローブ信号が出力された場合に実行されるコマンド受信割込処理(図8)の先頭で毎回必ずオフされるので(S61)、未受信のコマンドの受信バッファ43gへの書き込みをスキップすることはなく、コマンドの欠落をも回避することができる。
バックアップエリア43dは、前述した主制御基板Cのバックアップエリア23dと同様に、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア43dへの書き込みは、NMI割込処理(図10参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア43dに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復電処理において実行される(図11)。
タンク球無しフラグ43eは、貯留タンクに球があるか否かの状態を記憶するためのフラグである。主制御基板Cから送信される「タンク球無し状態コマンド」を受信した場合にオンされ、逆に、「タンク球無し状態解除コマンド」を受信した場合にオフされる。下皿満タンフラグ43fは、下皿17が満タンであるか否かの状態を記憶するためのフラグである。主制御基板Cから送信される「下皿満タン状態コマンド」を受信した場合にオンされ、逆に、「下皿満タン状態解除コマンド」を受信した場合にオフされる。タンク球無しフラグ43eまたは下皿満タンフラグ43fのいずれかがオンされている場合には、賞球および貸し球の払い出しが中止される。
受信バッファ43gは、主制御基板Cから受信したコマンドを一時的に格納するためのバッファであり、数十バイトで構成されている。また、受信ポインタ43hは、受信したコマンドの受信バッファ43gへの格納位置(書き込みアドレス)を指示するためのポインタである。受信ポインタ43hの値が「0」であれば受信したコマンドは受信バッファ43gの先頭番地に書き込まれ、「1」であれば受信バッファ43gの先頭+1番地に書き込まれる。受信ポインタ43hの値は、受信したコマンドを受信バッファ43gへ書き込む毎に「1」加算され、逆に、受信バッファ43gからコマンドを読み出す毎に「1」減算される。受信バッファ43gに書き込まれたコマンドは、受信ポインタ43hの値に拘わらず、先頭番地に書き込まれたものから1バイトずつ読み出される(図9のS72)。受信バッファ43hからコマンドが読み出されると、受信バッファ43gの先頭+1番地以降のコマンドが1バイトずつ順に小さいアドレス側へシフトされて(S73)、受信バッファ43hの内容が更新される。なお、受信ポインタ43hの値が「0」である場合には、受信バッファ43gにあるコマンドは全部読み出された空の状態となっているので、その場合には受信バッファ43hの読み出しは禁止される(S71:Yes)。
これらMPU41、ROM42及びRAM43は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン44により互いに接続されている。バスライン44は、また、入出力ポート45にも接続されている。入出力ポート45は、前述した入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)26,46を介して主制御基板Cと接続されるほか、賞球払出ユニットSの賞球払出用モータ31および賞球カウントスイッチ32と、クリアスイッチ33と、他の入出力装置50とにそれぞれ接続されている。
次に、図3を参照して、主制御基板Cから払出制御基板Hへ送信されるコマンドの送信経路について説明する。前記した通り、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信される。タイミングとしては、まず8ビットのコマンドデータが8本のデータ線上に出力され、そのデータが充分に安定するタイミングでストローブ信号が出力されて、データ線上にあるコマンドデータが払出制御基板Hによって受信される。
8本のデータ線は、それぞれ、主制御基板Cの入出力ポート25のコマンドポートから出力され、インバータゲート26,46を介して、払出制御基板Hの入出力ポート45のコマンド入力ポートへ出力される。MPU41は、入出力ポート45のコマンド入力ポートを読み込むことにより、主制御基板Cから出力されているコマンドデータを受信することができる。
ストローブ線は、主制御基板Cの入出力ポート25のストローブポートから出力され、インバータゲート26,46を介して、払出制御基板Hの入出力ポート45からMPU41の割込入力端子へ出力されると共に、ラッチ回路47へも出力される。ラッチ回路47は、ストローブ信号(ストローブ線のアクティブデータ)をラッチするためのものであり、フリップフロップにより構成されている。ラッチ回路47の出力は入出力ポート45の入力ポートへ入力され、MPU41によりいつでも読み出し可能にされている。よって、MPU41はストローブ信号の出力を、割込の発生とポート入力との両方により認識することができる。従って、図8のコマンド受信割込処理だけでなく、図10のNMI割込処理や図11のメイン処理(図12の復電時コマンド受信処理)によっても、コマンドを入力することができる。ラッチ回路47にラッチされたストローブ信号は、入出力ポート47の出力ポートから出力されるクリア信号によってクリアされる。
なお、かかるラッチ回路47のクリア信号は、本実施例ではMPU41から積極的に出力されているが(S64,S83)、MPU41がコマンド入力ポートのデータを読み込む際に出力される信号をクリア信号として用いるようにしても良い。かかる場合には、クリア信号の出力処理を別個に行う必要がなくなるので、クリア信号をコマンドデータの読込時に出力することができ、ラッチ回路47の出力データのクリアをタイミング良く行うことができる。
また、図14に示すように、ラッチ回路47の出力を、入出力ポート45の入力ポートへ出力するだけでなく、入出力ポート45を介してMPU41の割込入力端子へ出力するようにしても良い。このように構成することにより、MPU41の割込入力端子と入力ポートとに出力されるストローブ信号を同一ものとすることができる。
次に、図4から図13に示すフローチャートを参照して、主制御基板C及び払出制御基板Hで行われる各処理について説明する。図4は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア23dに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機1の電源が断されると、図示しない停電信号が主制御基板CのMPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。MPU21は、NMI端子に停電信号が入力されると、実行中の制御を中断して、図4のNMI割込処理を開始する。停電信号が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように、電源回路からは制御系の電力が供給されており、この所定時間内に図4のNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、スタックポインタの値をバックアップエリア23dへ書き込み(S1)、更に、各レジスタおよびI/O等の値をバックアップエリア23dへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その他停電処理を実行し(S3)、その後は、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図5は、パチンコ機1の電源入時に主制御基板Cで実行される立ち上げ処理(復電処理)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア23dに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ33が押下された場合には、初期化処理を実行する。
まず、割込を禁止し(S11)、次に、本来のスタック領域にスタックされているデータを壊さないために、仮のスタックポインタを設定する(S12)。クリアスイッチ33がオンされているか否かを確認し(S13)、オンされていれば(S13:Yes)、処理をS15へ移行して初期化処理を実行する。クリアスイッチ33がオンされていなければ(S13:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S14)。この確認は、RAM23の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S14:Yes)、処理をS21へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源の断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなければ(S14:No)、処理をS15へ移行して初期化処理を実行する。
S15の処理からの初期化処理では、まず、正規のスタックポインタを設定し、スタックの内容を整えた後(S15)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S16)、RAM23及びI/O等の各値を初期化する。その後、割込禁止状態のまま、初期化コマンドを払出制御基板Hへ送信し(S17)、主制御基板Cで初期化処理が実行されたことを払出制御基板Hへ報せる。払出制御基板Hは、主制御基板Cに比べて処理が軽いので、主制御基板Cより先に立ち上げ処理(復電処理)が終了する。よって、払出制御基板Hは、主制御基板Cから送信される初期化コマンドを確実に受信することができる。主制御基板Cは、初期化コマンドの送信後、その初期化コマンドを受信した払出制御基板Hが初期化処理を完了するために充分な時間をウエイトするためにウエイト処理を実行して(S18)、次の処理への移行を所定時間待機する。ウエイト処理の実行後は、払出制御基板Hも確実に立ち上がっているので、割込を許可し(S19)、処理をS20の各処理へ移行して、遊技の制御を開始する。
S21からの復帰処理(復電処理)では、まず、タンク球切スイッチ34の信号を読んで、貯留タンクに球があるか否かを検出する。貯留タンクに球が無ければ(S21:Yes)、タンク球無し状態コマンドを払出制御基板Hへ送信し(S22)、逆に、貯留タンクに球があれば(S21:No)、タンク球無し状態解除コマンドを払出制御基板Hへ送信する(S23)。次に、下皿満タンスイッチ35の信号を読んで、下皿17が満タンであるか否かを検出する。下皿17が満タンであれば(S24:Yes)、下皿満タン状態コマンドを払出制御基板Hへ送信し(S25)、逆に、下皿17が満タンでなければ(S24:No)、下皿満タン状態解除コマンドを払出制御基板Hへ送信する(S26)。これらのコマンドが払出制御基板Hに対して払い出しを許可するコマンドとなる。
S21からS26の各処理によりコマンドを送信した後は、停電前に払出制御基板Hへ出力したコマンドデータを再出力する(S27)。ここでの再出力は、コマンドデータのみの再出力であり、ストローブ信号は出力されない。後述するが、コマンドの送信時において、コマンドデータの出力後(図7のS422の処理の実行後)であってストローブ信号の出力前に(S424の処理の実行前に)停電等が発生して電源が切断された場合、図5の復電処理の後に停電発生直後の処理へ戻されても、コマンドデータが出力されないままストローブ信号が出力されるので、該コマンドを払出制御基板Hは受信することができない。電源の切断により入出力ポート25のコマンドポートから出力されていたコマンドデータはクリアされるからである。よって、かかるコマンド受信の欠落を防止するためにS27の処理によって、停電前に払出制御基板Hへ出力したコマンドデータを再出力するのである。
なお、このコマンドデータの再出力は、送信バッファ23eの内容を再出力するとにより行われるので、送信バッファ23eの内容がバックアップエリア23dに退避されている場合には、S27の処理において、送信バッファ23eの内容を復帰した後、その復帰した送信バッファ23eの内容をコマンドデータとして払出制御基板Hへ出力するのである。
また、停電等の発生による電源の切断がS422の実行後〜S424の実行前に無くても、S27によるコマンドデータの再出力は行われる。前述した通り、コマンドの受信はコマンドデータとストローブ信号の出力により行われるので、S27によりコマンドデータの再出力が行われてもストローブ信号が出力されなければコマンド受信はなされず、停電前に既に受信したコマンドを払出制御基板Hが再度停電後に受信してしまうことはない。よって、S27の処理によりコマンドデータの再出力を行っても、同一コマンドの二重受信を回避することができるのである。更に、コマンドの送信後に、送信バッファ23eの内容は0クリアされる(図7のS429)。本実施例において「0」コマンドは払出制御基板Hへ何ら指示を与えるコマンドではないので、万一、該「0」コマンドが払出制御基板Hへ送信された場合にも払出制御基板Hの誤動作を招来することはない。
S27の処理の後、図4のNMI割込処理でバックアップエリア23dへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア23dから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S28)。ただし、ここではコマンドデータやストローブ信号が出力されることはなく、先程説明した通り同一コマンドの二重受信は発生しない。更に、バックアップエリア23dからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S29)。同様に、割込状態についても、停電発生時に実行される図4の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S30)。その後、NMI割込をリターンして、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。これにより主制御基板Cでの復電処理を終了する。
図6は、主制御基板Cの各処理(S20)の中で実行される賞球処理のフローチャートである。賞球処理は、普通入賞口9や第1種始動口12或いは可変入賞装置(大入賞口)13へ入賞した打球を検出する入賞検出処理と(S31)、賞球コマンドを払出制御基板Hへ送信する賞球コマンド送信処理と(S40)、払出制御基板Hによって払い出された賞球を検出する賞球検出処理(S50)との3つの処理によって構成されている。
入賞検出処理(S31)では、まず、いずれかの普通入賞スイッチ27又は第1種始動口スイッチ28により、球が検出された否かを確認する(S32)。いずれかのスイッチ27,28によって球が検出された場合には(S32:Yes)、6個の賞球を払い出すために、賞球ポインタ23bの値番目の賞球バッファ23aへ「6」を書き込み(S33)、賞球ポインタ23bの値を「1」加算する(S34)。一方、いずれのスイッチ27,28によっても球が検出されない場合には(S32:No)、S33およびS34の処理をスキップして、S35の処理へ移行する。
S35の処理では、Vカウントスイッチ29又は10カウントスイッチ30により球が検出された否かを確認する(S35)。いずれかのスイッチ29,30によって球が検出された場合には(S35:Yes)、15個の賞球を払い出すために、賞球ポインタ23bの値番目の賞球バッファ23aへ「15」を書き込み(S36)、賞球ポインタ23bの値を「1」加算する(S37)。一方、いずれのスイッチ29,30によっても球が検出されない場合には(S35:No)、S36およびS37の処理をスキップして、入賞検出処理(S31)を終了し、S40の賞球コマンド送信処理へ移行する。
賞球コマンド送信処理(S40)では、まず、賞球ポインタ23bの値が「0」であるか否かを調べる(S41)。賞球ポインタ23bの値が「0」でなければ(S41:No)、払い出すべき賞球数のデータが賞球バッファ23aに記憶されているということなので、0番目の賞球バッファ23aの値を賞球コマンドとしてセットし、その賞球コマンドを払出制御基板Hへ送信する(S42)。賞球コマンドの送信後は、その賞球コマンドによって送信した賞球数データである、0番目の賞球バッファ23aの値を残賞球数カウンタ23cへ加算する(S43)。そして、1番目以降の賞球バッファ23aの値を小さいアドレス側へ順に1バイトずつシフトして(S44)、賞球バッファ23aの値を更新すると共に、送信した0番目の賞球バッファ23aの値を消去し、更に、賞球ポインタ23bの値を「1」減算する(S45)。一方、S41の処理において、賞球ポインタ23bの値が「0」であれば(S41:Yes)、払い出すべき賞球数のデータは賞球バッファ23aに記憶されていないので、S42〜S45の各処理をスキップして、賞球コマンド送信処理(S40)を終了し、S50の賞球検出処理へ移行する。
賞球検出処理(S50)では、まず、賞球カウントスイッチ32がオンされたか否かを判断する(S51)。賞球カウントスイッチ32のオンが検出された場合には(S51:Yes)、賞球が1個払い出されたということなので、残賞球数カウンタ23cの値を確認し(S52)、その値が「0」でなければ(S52:No)、払い出された賞球に対応して残賞球数カウンタ23cの値を「1」減算する(S53)。一方、賞球カウントスイッチ32のオンが検出されない場合には(S51:No)、賞球は払い出されていないので、また、賞球カウントスイッチ32のオンが検出されても残賞球数カウンタ23cの値が「0」であれば(S51:Yes,S52:Yes)、残賞球数カウンタ23cの値を減算することはできないので、S53の処理をスキップして、賞球検出処理(S50)を終了する。これにより、図6の賞球処理が終了する。
図7は、図6に示す賞球処理の賞球コマンド送信処理(S40)の中で実行されるコマンド送信処理部分(S42)の詳細を示したフローチャートである。なお、チャートの右横に、その処理に対応するアセンブラを表記している。
まず、払出制御基板Hへ出力するコマンドデータを送信バッファ23eへ書き込み(S421)、送信バッファ23eの内容をコマンドポートへ出力する(S422)。これにより入出力ポート25のコマンドポートからデータ線上にコマンドデータが出力される(図3参照)。次に、ストローブオンデータを設定し(S423)、その設定したストローブオンデータをストローブポートへ出力して(S424)、更に払出制御基板Hがストローブ信号を認識するのに充分な時間をウエイトする(S425)。これによりストローブ信号がストローブ線上に出力されるので、払出制御基板HのMPU41に受信割込が発生し、データ線上のコマンドデータが読み込まれ、コマンド受信が行われる(図8のS63)。
その後は、ストローブオフデータを設定し(S426)、そのストローブオフデータをストローブポートへ出力する(S427)。そして、かかるストローブオフデータの出力によるストローブ信号のオフを確定するため所定時間のウエイト処理を実行した後(S428)、0データを送信バッファ23eへ書き込んでクリアし(S429)、そのクリアされた送信バッファ23eの内容をコマンドポートへ出力して(S430)、コマンドの送信を完了する。
ここで、コマンドデータの出力後(S422の処理の実行後)であってストローブ信号の出力前に(S424の処理の実行前に)停電等が発生して電源が切断された場合、図5の復電処理の後に停電発生直後の処理へ戻されても、S422の処理は既に終了しているのでコマンドデータが出力されないまま、S424の処理によってストローブ信号が出力される。よって、払出制御基板HはS422の処理で出力されたコマンドデータを受信することができない。しかし、本実施例では、前述したように復電処理の中で停電前に出力したコマンドデータを再出力しているので(S27)、かかる場合にも、S422の処理で出力されたコマンドデータを確実に受信することができる。
次に、図8から図13を参照して、払出制御基板Hで行われる各処理について説明する。図8は、払出制御基板Hの割込処理で実行されるコマンド受信割込処理のフローチャートである。このコマンド受信割込処理は、主制御基板Cから出力されたストローブ信号が払出制御基板HのMPU41の割込入力端子へ入力された場合に実行される。
コマンド受信割込処理では、まず、停電処理時受信済フラグ43cをオフし(S61)、ストローブ信号がオンされているか否かを確認する(S62)。ストローブ信号がオンされていなければ(S62:No)、この処理を終了する。一方、ストローブ信号がオンされていれば(S62:Yes)、データ線上に出力されているコマンドデータを入力してコマンドを受信し(S63)、ラッチ回路47へクリア信号を出力して(S64)、入力ポート(図3参照)へ出力されているストローブ信号をオフする。その後、停電処理時受信済フラグ43cの状態を確認し(S65)、オフされていれば(S65:No)、S63の処理で受信したコマンドを受信バッファ43gに書き込んで記憶し(S66)、受信ポインタ43hの値を「1」加算して更新し(S67)、このコマンド受信割込処理を終了する。
一方、S65の処理において、停電処理時受信済フラグ43cがオンされていれば(S65:Yes)、停電等の発生によりS62の処理後からS65の処理前に図10のNMI割込処理が実行された結果、S63の処理で受信したコマンドが既にNMI割込処理で受信され、受信バッファ43gに格納されたということである。よって、かかる場合には、同一コマンドの二重受信を回避するべくS66およびS67の処理をスキップして、この処理を終了する。
ここで、コマンド受信割込処理の先頭で停電処理時受信済フラグ43cをオフする(S61)ことについて説明する。主制御基板Cからのストローブ信号の出力タイミングと停電の発生タイミングとによっては、コマンド受信割込処理(図8)とNMI割込処理(図10)とが同時に発生する場合がある。その場合、割込優先順位はNMI割込の方が高いので、NMI割込処理は実行されるが、コマンド受信割込処理は実行されない。後述するが、NMI割込処理は、停電等の発生によってパチンコ機1の電源が切断された場合に実行される停電処理である。このNMI処理ではストローブ信号がオンされていると、そのときに主制御基板Cから出力されているコマンドデータを入力してコマンド受信し、そのコマンド受信を記憶するために停電処理時受信済フラグ43cをオンする(S81〜S86)。停電が解消すると、図11に示す復電処理が実行されるが、この復電処理の後は停電前に実行していた処理の直後へ制御が戻される(NMI割込リターン)。しかし、上述の例では、コマンド受信割込処理(図8)は実行されないので、図8の処理へは制御は戻されない。その後、主制御基板Cから正常にコマンドが送信されストローブ信号がオンされると、コマンド受信割込処理が実行されるが、このときには停電処理時受信済フラグ43cはオンされたままなので(S86)、S63の処理で受信したコマンドをS65の処理によるスキップによって受信バッファ43gへ書き込みできずに欠落させてしまう。よって、かかるコマンドの欠落を防止するために、コマンド受信割込処理の先頭で停電処理時受信済フラグ43cをオフしている(S61)。このように構成すれば、停電処理時受信済フラグ43cをオフした状態でコマンド受信割込処理を開始することができるからである。
次に、S62の処理でストローブ信号のオンを確認することについて説明する。本来、コマンド受信割込処理は、ストローブ信号のオンによって実行されるので、かかるストローブ信号のチェックは無意味なように思われる。しかし、コマンド受信割込処理の開始後、S61の処理による停電処理時受信済フラグ43cのオフ前に、停電等の発生によってNMI割込処理(図10)が実行されると、NMI割込処理によってコマンドが受信され停電処理時受信済フラグ43cがオンされる(S81〜S86)。復電処理の後、制御はコマンド受信割込処理の先頭へ戻されるが、そこでS61の処理によって停電処理時受信済フラグ43cがオフされるので、S65の処理によるスキップが働かず、データ線上に出力されているデータをコマンドデータとして受信してしまうからである。そこで、本実施例では、停電処理時受信済フラグ43cをオフした後で(S61)、再度、ストローブ信号のオンを確認することにより、かかる不具合を解消している。復電処理においてストローブ信号の再出力は行われないからである。
図9は、コマンド受信処理のフローチャートである。コマンド受信処理は、払出制御基板Hのメイン処理の中で繰り返し実行される処理である。コマンド受信処理では、まず、受信ポインタ43hの値を調べて(S71)、その値が「0」であれば(S71:Yes)、新たなコマンドは受信されていないので、処理を終了する。
受信ポインタ43hの値が「0」でなければ(S71:No)、受信バッファ43gに新たなコマンドが入力されている。よって、受信バッファ43gの0番目のコマンドを読み出し(S72)、1番目以降の受信バッファ43gの値を小さいアドレス側へ順に1バイトずつシフトし(S73)、更に受信ポインタ43hの値を「1」減算して(S74)、受信バッファ43gおよび受信ポインタ43hの内容を更新する。S72の処理で読み出したコマンドが賞球コマンドであれば(S75:Yes)、その賞球コマンドで指示される値を残賞球数カウンタ43aへ加算し(S76)、処理を終了する。一方、S72の処理で読み出したコマンドが賞球コマンドでなければ(S75:No)、そのコマンドに対応する処理を実行する(S77)。
図10は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源断時に、払出制御基板Hで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の払出制御基板Hの状態がバックアップエリア43dに記憶される。また、コマンドの受信途中(ストローブ信号がオン中)に停電等が発生し、このNMI割込処理が開始された場合には、このNMI割込処理により、その受信途中のコマンドが受信され、停電処理時受信済フラグ43cがオンされる。
停電の発生等によりパチンコ機1の電源が断されると、図示しない停電信号が払出制御基板HのMPU41のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。MPU41は、NMI端子に停電信号が入力されると、実行中の制御を中断して、図10のNMI割込処理を開始する。停電信号が出力された後所定時間は、払出制御基板Hの処理が実行可能なように、電源回路からは制御系の電力が供給されており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、ストローブ信号が調べられる(S81)。ストローブ信号がオンされていれば(S81:Yes)、データ線上に出力されているコマンドデータを入力してコマンドを受信し(S82)、ラッチ回路47へクリア信号を出力して入力ポートへ出力されるストローブ信号を解除する(S83)。S82の処理で受信したコマンドを受信バッファ43gに書き込んで記憶し(S84)、受信ポインタ43hの値を「1」加算して更新する(S85)。更に、このNMI割込処理(停電処理)でコマンド受信が行われたことを記憶するべく、停電処理時受信済フラグ43cをオンする(S86)。
一方、ストローブ信号がオンされていなければ(S81:No)、受信するコマンドはないので、S82からS86の各処理をスキップしてS87の処理へ移行する。S87の処理では、スタックポインタの値をバックアップエリア43dへ書き込み(S87)、更に、各レジスタおよびI/O等の値をバックアップエリア43dへ書き込んで(S88)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その他停電処理を実行し(S89)、その後は、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。なお、このNMI割込処理において、S83のラッチ回路47へのクリア信号出力処理は削除しても良い。
図11は、パチンコ機1の電源入時に払出制御基板Hで実行される立ち上げ処理(復電処理)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア43dに記憶された各データを元の状態に戻し、賞球の払出制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ33が押下された場合には、初期化処理を実行する。
まず、割込を禁止し(S91)、次に、本来のスタック領域にスタックされているデータを壊さないために、仮のスタックポインタを設定する(S92)。クリアスイッチ33がオンされているか否かを確認し(S93)、オンされていれば(S93:Yes)、処理をS95へ移行して初期化処理を実行する。クリアスイッチ33がオンされていなければ(S93:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S94)。この確認は、RAM43の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S94:Yes)、処理をS101へ移行して、払出制御基板Hの各状態を電源の断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなければ(S94:No)、処理をS95へ移行して初期化処理を実行する。
S95の処理からの初期化処理では、まず、正規のスタックポインタを設定し、スタックの内容を整えた後(S95)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S96)、RAM43及びI/O等の各値を初期化する。その後、割込禁止状態のままで、図12に示す復電時コマンド受信処理を実行する(S97)。後述するように、復電時コマンド受信処理(S97)で初期化コマンドが受信されると初期化フラグ43bがオンされるので(S112)、次の電源断に備えて、この初期化フラグ43bをオフした後(S98)、割込を許可して(S99)、各処理へ移行する(S100)。図13に示す賞球払出処理は、この各処理(S100)の中で実行されるので、払出制御基板Hによる賞球の払い出しは、復電時コマンド受信処理(S97)が終了するまで待機される。
なお、復電時コマンド受信処理(S97)の中で、主制御基板Cから送信される初期化コマンドを受信した場合にも、その後は、割込を許可して(S99)、各処理(S100)へ移行するので、RAMクリア及び初期化処理(S96)を重複して実行することはない。
バックアップが有効であれば(S94:Yes)、処理をS101へ移行して、払出制御基板Hの各状態を電源の断前の状態に復帰させる。S101からの復帰処理では、まず、割込禁止状態のまま、図12に示す復電時コマンド受信処理を実行する(S101)。後述するように、復電時コマンド受信処理で初期化コマンドが受信されると、初期化フラグ43bがオンされる(S112)。よって、復電時コマンド受信処理の実行後に、初期化フラグ43bがオンされていれば(S102:Yes)、初期化コマンドを受信したということであるので、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S103)、RAM43及びI/O等の各値を初期化し、その後、割込を許可して(S99)、処理を各処理へ移行する(S100)。前述したように、図13に示す賞球払出処理は、この各処理(S100)の中で実行されるので、払出制御基板Hによる賞球の払い出しは、復電時コマンド受信処理(S101)が終了するまで待機される。
なお、図5で説明した通り、主制御基板Cは初期化コマンドの送信後、ウエイト処理(S18)を実行しその後の処理の実行を所定時間待機するので、払出制御基板HによるRAMクリア及び初期化処理(S103)の実行中に、主制御基板Cから新たなコマンドが送信されることはない。よって、払出制御基板Hは、かかる場合にも遊技の払出制御を正常に行うことができる。
一方、S101の復電時コマンド受信処理の実行後、初期化フラグ43bがオンされていなければ(S102:No)、初期化コマンドは受信されず、タンク球無し状態コマンド又はタンク球無し状態解除コマンドおよび下皿満タン状態コマンド又は下皿満タン状態解除コマンドが受信されたということである。これらのコマンドは、賞球の払出許可コマンドとしての機能を有するコマンドである。よって、かかる場合には、バックアップエリア43dへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア43dから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込み(S104)、更に、バックアップエリア43dからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込んで(S105)、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す。同様に、割込状態についても、停電発生時に実行される図10の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S106)。その後、NMI割込をリターンし、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。この場合、制御は各処理(S100)の中のいずれかの処理へリターンするので、これにより賞球の払い出しが可能となる。
図12は、払出制御基板Hの立ち上げ処理(復電処理)の中で実行される復電時コマンド受信処理のフローチャートである。復電時コマンド受信処理(S97,S101)は、割込禁止状態で復電処理の中で実行される。前述したように、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているコマンドデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信されるが、ストローブ線は、払出制御基板Hの割込入力端子と入力ポートとにそれぞれ接続されているので、割込が禁止された状態であっても、ストローブ線の状態をポート入力(データ読込)することによりストローブ信号のアクティブを検出して、主制御基板Cから送信されるコマンドを受信することができる。即ち、この復電時コマンド受信処理では、かかるストローブ信号をポート入力(データ読込)することにより、割込禁止状態で各コマンド受信している。
図5に示すように、主制御基板Cの立ち上げ処理において払出制御基板Hへ送信されるのは、初期化コマンド、タンク球無し状態コマンド又はタンク球無し状態解除コマンド、および下皿満タン状態コマンド又は下皿満タン状態解除コマンドである。このうち最初に送信されるのは、初期化コマンド、タンク球無し状態コマンド又はタンク球無し状態解除コマンドの3コマンドのうちのいずれかである。よって、図12に示す復電時コマンド受信処理では、まず、この3コマンドのいずれの受信を待機する(S111:No,S113:No,S114:No)。
初期化コマンドを受信した場合には(S111:Yes)、初期化フラグ43bをオンして(S112)、この処理を終了する。すると、図11を参照して説明したように、RAMクリア及び初期化処理が実行されていなければ、これが実行され(S103)、RAM43及びI/O等の各値が初期化される。その後、割込が許可されて(S99)、各処理へ移行し(S100)、賞球や貸し球の払い出しが可能な状態となる。このようにかかる場合には、初期化コマンドが賞球の払い出しを許可するコマンドとなり、払出制御基板Hは、初期化コマンドを受信するまで、賞球や貸し球の払い出しを待機するのである。
一方、3コマンドのうちタンク球無し状態コマンドを受信した場合には(S113:Yes)、タンク球無しフラグ43eをオンし(S116)、逆に、タンク球無し状態解除コマンドを受信した場合には(S114:Yes)、タンク球無しフラグ43eをオフする(S115)。次に、下皿満タン状態コマンド又は下皿満タン状態解除コマンドの受信を待機し(S117:No,S118:No)、下皿満タン状態コマンドを受信した場合には(S117:Yes)、下皿満タンフラグ43fをオンし(S120)、逆に、下皿満タン状態解除コマンドを受信した場合には(S118:Yes)、下皿満タンフラグ43fをオフして(S119)、この復電時コマンド受信処理を終了する。
図11を参照して説明したように、復電時コマンド受信処理の実行後は、各レジスタ、メモリ、I/O、スタックポインタ、割込状態などの値や状態を停電発生前の状態に戻して、停電発生時のアドレスへNMIリターンする(S104〜S106)。よって、かかる場合には、タンク球無し状態コマンド又はタンク球無し状態解除コマンド、および下皿満タン状態コマンド又は下皿満タン状態解除コマンドが、即ち、パチンコ機1の状態を示すコマンドが賞球の払い出しを許可するコマンドとなり、払出制御基板Hは、これらのコマンドを受信するまで、賞球や貸し球の払い出しを待機するのである。
図13は、払出制御基板Hの各処理(S100)の中で実行される賞球払出処理のフローチャートである。この賞球払出処理により、賞球の払い出しと、払い出された賞球の検出とが行われる。賞球払出処理では、まず、残賞球数カウンタ43aの値を調べ(S131)、その値が「0」でなければ(S131:No)、未払いの賞球が残っているので、賞球払出用モータ31を駆動して賞球を1個払い出す(S132)。一方、残賞球数カウンタ43aの値が「0」であれば(S131:Yes)、未払いの賞球は残っていないので、S132の賞球の払い出し処理をスキップする。
S133の処理において、賞球カウントスイッチ32のオンが検出されれば(S133:Yes)、賞球の払い出しが行われたということである。よって、かかる場合には、残賞球数カウンタ43aの値を確認し(S134)、その値が「0」でなければ(S134:No)、払い出された賞球に対応して残賞球数カウンタ43aの値を「1」減算し(S135)、この賞球払出処理を終了する。一方、賞球カウントスイッチ32のオンが検出されない場合や(S133:No)、賞球カウントスイッチ32のオンが検出されても(S133:Yes)、残賞球数カウンタ43aの値が「0」であれば(S134:Yes)、S135の処理をスキップして、この賞球払出処理を終了する。
なお、上記実施例において、請求項1記載の復電処理としては、図5に示すフローチャートの処理が該当し、その復電処理の中でのコマンドデータの再出力はS27の処理により行われる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、図3及び図14に示すラッチ回路47を削除して、主制御基板Cから出力されるストローブ信号を該ラッチ回路47を介すことなく、払出制御基板Hへ出力するように構成しても良い。かかる場合には、ラッチ回路47へのクリア信号の出力処理に代えて(図8のS64)、ストローブ信号の出力時間(図7のS425の時間)に相当する時間のウエイト処理を実行する(このウエイト処理は、図10のNMI割込処理では不要である)。なお、この場合には、該ウエイト処理の実行により、コマンド受信割込処理(図8)の実行時間が長くなるので、ラッチ回路47を備えた上記実施例の方が好ましい。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記主制御手段による前記払出制御手段へのコマンドの送信は、コマンドデータの出力と、そのコマンドデータを前記払出制御手段に受信(入力)させる受信指示信号の出力とにより行われるものであることを特徴とする遊技機1。このようにコマンドの受信は、コマンドデータの出力だけでは行われず、コマンドデータと受信指示信号との両者が出力された場合に行われる。コマンドデータの出力後、受信指示信号の出力前に停電が発生し停電処理が行われると、停電発生前に出力されたコマンドデータは払出制御手段に受信されない。停電解消後の復電処理においては、停電発生直後の処理から再開されるので、主制御手段からコマンドコードは出力されず、受信指示信号のみ出力されるからである。よって、払出制御手段は該コマンドを受信することができない。しかし、遊技機1では、主制御手段は電源入時の復電処理において電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するので、コマンドデータの出力後であって受信指示信号の出力前に停電が発生した場合であっても、払出制御手段は該コマンドを受信することができる。また、コマンドデータの再出力は行っても、受信指示信号の再出力は行わないので、同一のコマンドを二重に受信することはない。なお、受信指示信号としては、本実施例におけるストローブ信号が該当する。
遊技機1において、前記払出制御手段は、電源断時の停電処理において前記受信指示信号が出力されている場合には前記主制御手段から出力されているコマンドデータを受信してそのコマンドの受信を記憶すると共に、電源入時の復電処理において前記停電処理におけるコマンドの受信が記憶されている場合には前記主制御手段から送信されるコマンドの受信をスキップ(禁止)するものであることを特徴とする遊技機2。停電発生のタイミングによっては、電源入時の復電処理において停電発生直前に送信されたコマンドデータが再送信される場合がある。また、コマンドデータを入力した後であって受信指示信号をクリアする前(或いは受信指示信号がクリアされる前)に電源断時の停電処理が実行された場合、その停電処理で該コマンドが受信され、停電解消後の復電処理で停電前に入力したコマンドデータの受信処理が続行されることがある。しかし、遊技機2では、主制御手段からのコマンド送信直後(コマンドデータと受信指示信号の送信直後)に停電が発生した場合、払出制御手段の停電処理で該コマンドが受信され、その受信が記憶される。かかる記憶がある場合には復電後のコマンドの受信をスキップ(禁止)するので(復電後のコマンドの受信をしないので)、同一コマンドを二重に受信することがなく、遊技機を正常に復電することができる。なお、コマンドの受信の記憶とは、例えばコマンドを受信したことを示すフラグ(停電処理時受信済フラグ)のオンが例示される。また、コマンドの受信のスキップ(禁止)とは、受信(入力)処理自体をしないものと、受信(入力)処理は実行するものの受信したコマンドのメモリへの格納処理をしないものとのいずれでも良い。
遊技機2において、前記払出制御手段は、コマンドの受信処理において前記停電処理におけるコマンドの受信の記憶をクリアした後に、前記主制御手段から送信されるコマンドの受信ステップを実行するものであることを特徴とする遊技機3。即ち、コマンドの受信ステップは、停電処理におけるコマンドの受信の記憶がクリアされた後に実行されるので、停電処理においてコマンドが受信されてその受信が記憶されていても、同一コマンドの重複受信時以外では、該受信の記憶によるコマンド受信のスキップ(禁止)を回避できる。よって、コマンドの受信漏れをなくして、コマンドを正常に受信することができる。
遊技機2又は3において、前記主制御手段は、電源入時の復電処理において、電源入時における遊技機の状態を示すコマンドを、前記払出制御手段による有価物体の払い出しの待機を解除する所定の指示として送信すると共に、その所定の指示の送信後に前記払出制御手段へ電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するものであり、前記払出制御手段は、電源断時の停電処理において前記受信指示信号が出力されている場合には前記主制御手段から出力されているコマンドデータを受信してその受信を記憶すると共に、電源入時の復電処理において前記停電処理におけるコマンドの受信が記憶されている場合には、前記所定の指示の後に前記主制御手段から送信されるコマンドの受信をスキップ(禁止)するものであることを特徴とする遊技機4。このように遊技機4では、遊技機2と同様に、同一コマンドを二重に受信することがなく、遊技機を正常に復電することができる。なお、遊技機の状態を示すコマンドとしては、例えば、払い出される賞球を貯留する貯留タンクに球が貯留されているか否かを示す「タンク球無し状態コマンド」或いは「タンク球無し状態解除コマンド」や、下皿の状態を示す「下皿満タン状態コマンド」或いは「下皿満タン状態解除コマンド」が例示される。このように遊技機の状態を示すコマンドを、有価物体の払い出しの待機を解除する所定の指示として用いることにより、停電解消後の遊技機を正常に動作させることができる。例えば、停電の発生前は貯留タンクに球があっても、停電解消時には貯留タンクが空になっている場合がある。同様に、停電の発生前は下皿が満タンでなくても、停電解消時には下皿が満タンになっている場合がある。停電解消後、遊技機が停電発生前の状態に戻ると、貯留タンクが空であったり下皿が満タンであるにも拘わらず、それを認識できずに賞球や貸し球の払い出しを行ってしまい、不都合が生じる。しかし、遊技機4によれば、遊技機の状態を示すコマンドを有価物体の払い出しの待機を解除する所定の指示として用いているので、停電解消後の遊技機の状態を払出制御手段に正常に認識させて、遊技機を正常に動作させることができるのである。なお、遊技機の状態を示すコマンドの中の特に、賞球の払い出し状態に拘わるコマンドや、賞球の払い出しの可不可に影響を与えるコマンド等を、払出制御手段による有価物体の払い出しの待機を解除する所定の指示として送信するようにしても良い。
遊技機4において、前記有価物体の払い出しの待機を解除する前記所定の指示として前記主制御手段から送信された遊技機の状態を示すコマンドにより指示される遊技機の状態を、前記払出制御手段は復電処理の後も継続して記憶するものであることを特徴とする遊技機5。払出制御手段において、かかるコマンドにより指示される遊技機の状態は、バックアップされているか否かに拘わらず、復電後の遊技機の状態として用いられる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記主制御手段から出力される受信指示信号は前記払出制御手段の入力ポートへ出力されることを特徴とする遊技機6。受信指示信号は、主制御手段から払出制御手段の割込端子ではなく入力ポートに出力されるので、停電の発生により開始される停電処理においても、払出制御手段は受信指示信号の出力を確認して、その停電処理の中でコマンドを受信することができる。なお、受信指示信号は、払出制御手段の入力ポートだけでなく、本実施例のように、入力ポートおよび割込端子の両方に出力するように構成しても良い。
遊技機6において、前記受信指示信号は、ラッチ回路を介して前記払出制御手段の入力ポートへ出力されると共に、前記払出制御手段はコマンドデータを受信すると前記ラッチ回路へクリア信号を出力するものであることを特徴とする遊技機7。コマンドデータの受信後、受信指示信号をクリアするので、この点でも同一コマンドの二重受信を防止できる。なお、クリア信号の出力は、コマンドデータの受信(入力)により必然的に出力される信号を用いて行っても良いし、コマンドの受信(入力)とは別に出力する信号によって行うようにしても良い。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記主制御手段による次のコマンドデータの出力は、前のコマンドデータの受信指示信号のオフ後所定時間以上経過した場合に行われることを特徴とする遊技機8。信号の遅延時間が電子回路により異なるのと同様に、受信指示信号のオフの確定時間も、電子回路により異なる。前のコマンドデータの受信指示信号のオフ確定前に、次のコマンドデータが出力されると、前の受信指示信号によって次のコマンドデータが誤入力されてしまう。これに対し、遊技機8によれば、次のコマンドデータの出力は、前のコマンドデータの受信指示信号のオフ後所定時間以上経過した場合に行われるので、かかるコマンドの誤入力を回避することができる。なお、受信指示信号のオフ後に所定のウエイト処理を実行すれば、前のコマンドデータの受信指示信号のオフ後所定時間以上経過した状態で、次のコマンドデータの出力を行うことができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記主制御手段と払出制御手段との送受信を、その主制御手段から払出制御手段への一方向にのみ可能とする一方向手段を備えていることを特徴とする遊技機9。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機10。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機11。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機12。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
1 パチンコ機(遊技機)
23 主制御基板のRAM
23c 主制御基板の残賞球数カウンタ
23x 主制御基板のバックアップ用コンデンサ
43 払出制御基板のRAM
43a 払出制御基板の残賞球数カウンタ(残数記憶手段)
43x 払出制御基板のバックアップ用コンデンサ(バックアップ手段)
C 主制御基板(主制御手段)
H 払出制御基板(払出制御手段)

Claims (1)

  1. 遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信されるコマンドに基づいて所定の有価価値を有する有価物体を払い出す払出制御手段とを備えた遊技機において、
    前記払出制御手段は、前記主制御手段から指示された有価物体の払出残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持するバックアップ手段とを備えており、電源入時にそのバックアップ手段によりバックアップされた有価物体の払出残数を払い出すものであり、
    前記主制御手段は、電源入時の復電処理において前記払出制御手段へ電源の切断前に出力したコマンドデータを再出力するものであることを特徴とする遊技機。
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